JP2010002219A - クロマトデバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】尿検体中に含まれる被検出物質を定量するため、基板40上に、検体を導入する検体導入部10と、クレアチニンを検出するクレアチニン検出試薬を担持するクレアチニン検出部21、および、検体中の被検出物質を検出する被検出物質検出試薬を担持する被検出物質検出部22を備えた展開手段20と、吸水部30とを、この順に設けてあるクロマトデバイスX。
【選択図】図1
Description
尿中排泄量は成人では体重当たりほぼ一定で、食事や生理的変動因子の影響を受けず、主として筋肉のクレアチン総量に比例する。
従って、クレアチニンの尿中濃度は、筋肉疾患や腎機能障害の指標に用いられている。
しかし、尿検査に際して例えば外来診療では蓄尿することは困難である。そこで、このような尿の濃度を補正する手段として、別に測定したクレアチニン値で割って算出された比を求めるクレアチニン補正が行われている。
また、本構成のクロマトデバイスでは、試薬が予め展開手段に担持されているため、検体の定量に際して試薬の調整が不要であるため検査の迅速性が達成でき、携帯性および保管性にも優れている。さらに、患者の身辺での検査であるポイント・オブ・ケア診断においても容易に適応できるデバイスとなる。
即ち、クレアチニンは、クレアチニナーゼによる酵素反応によってクレアチンを生成する。このとき生成したクレアチンは、クレアチナーゼによる酵素反応によってザルコシンを生成する。このザルコシンは、ザルコシンオキシダーゼによる酵素反応によってグリシンおよび過酸化水素を生成する。このとき生成した過酸化水素がペルオキシダーゼに作用して、発色基質を発色させる。
臨床検査において様々な検査法が利用されてきているが、その検査法のうち、ドライケミストリー法が公知である。ドライケミストリー法では、フィルムや試験紙のような展開マトリクスに乾燥状態で担持させた試薬に対して、液体状の検体をスポットして、検体中の被検査物質を測定する。このように、ドライケミストリー法は、液体法のような酵素反応液の調製や配管系が不要なため、操作や保守が容易である。
当該クロマトデバイスは、検体中に含まれる被検出物質を定量するため、固定相である展開手段の表面あるいは内部を、被検出物質を含んだ移動相(液体など)が通過することで被検出物質を分離する。
本実施形態では検体はクレアチニンが含まれる尿検体を使用する。
基板40は、検体導入部10・展開手段20・吸水部30を載置できるものであれば、どのような態様であってもよいが、吸水部30の吸水性を阻害しない材質を選択する必要がある。簡便に携行するため、例えば薄板状のプラスチック板が好ましい。基板40は、例えば60mm ×5mm ×0.3mm程度の大きさで形成してある。
検体導入部10は、検体をスポットする部位である。本実施形態では、ガラスフィルター(日本ミリポア株式会社製)を例示するが、これに限られない。毛管現象により、下流側に移動相が流下する態様であればよい。
展開手段20には、固相の担体上に、クレアチニンを検出するクレアチニン検出試薬を担持するクレアチニン検出部21、および、前記検体中の被検出物質を検出する被検出物質検出試薬を担持する被検出物質検出部22が備えてある。
免疫クロマトグラフィー法とは、抗原抗体反応と毛管現象を利用した検査法である。そのため、展開手段20は、毛管現象により移動相が流下する態様であればよく、例えばニトロセルロースメンブレン(日本ミリポア株式会社製)等が使用できる。当該展開手段20は、一方の端部を、検体導入部10の下流側と接触させるかオーバーラップさせるように配置し、他方の端部を、吸水部30の上流側と接触させるかオーバーラップさせるように配置する。
抗原抗体反応の形態は、サンドイッチ法に限らず、競合型の抗原抗体反応(競合法)を利用してもよい。例えば、被検出物質の分子量が大きい場合にサンドイッチ法を利用し、被検出物質の分子量が小さい場合に競合法を利用する。
3つの試薬部R1〜R3には、各試薬が乾燥状態で担持してある。
本実施形態では、検出試薬部R3は第2試薬部R2の上流に設けてある。
これら酵素の濃度範囲は、展開手段20の材質、移動相の流速等を考慮して、適宜設定する。例えば、移動相の流速が早くなる材質で展開手段20を構成した場合、或いは、移動相の流速が遅くなる材質で展開手段20を構成した場合に応じて、検出試薬が十分に発色し得る最適な濃度範囲を設定する。
即ち、クレアチニンは、クレアチニナーゼによる酵素反応によってクレアチンを生成する。このとき生成したクレアチンは、クレアチナーゼによる酵素反応によってザルコシンを生成する。このザルコシンは、ザルコシンオキシダーゼによる酵素反応によってグリシンおよび過酸化水素を生成する。このとき生成した過酸化水素がペルオキシダーゼに作用して、DABを発色させる。
上記反応では、クレアチニンの量に対応した過酸化水素が生成するため、過酸化水素の生成量に応じたDABが発色する。
そのため、検出試薬部R3は、第2試薬部R2の上流側或いは下流側の何れに配置してもかまわない。
吸水部30は、隣接する展開手段20に存在する移動相である液体を吸水する。当該吸水部30が展開手段20の液体を吸水することで、検体導入部10にスポットした検体を、下流側に流下させることができる。
本実施形態では、吸水部30を適当な大きさに切断した濾紙(日本ミリポア株式会社製)を、展開手段20の下流側に接触させるかオーバーラップさせるように配置する。
本明細書に記載の「検体」とは、定量を行なうべき対象となる被検出物質を含む、或いは、含む可能性のある液体サンプルのことを指す。検体はどのような起源由来のものであってもよいが、特に生検試料等から得た尿のように、クレアチニンを含有し、クレアチニン濃度を指標として濃度の補正を行う検体が例示される。
クロマトデバイスXを用いてクレアチニンの定量を行うため、まず、クレアチニン検出部21(第1試薬部R1,第2試薬部R2)に以下の試薬を担持させた。このとき、被検出物質検出部22には、試薬は担持させなかった。
第1試薬部R1にはクレアチニナーゼ(キッコーマン株式会社製)10U/μL、クレアチナーゼ(キッコーマン株式会社製)10U/μL、ザルコシンオキシダーゼ(東洋紡社製)1U/μgを混合した後、塗布して乾燥させた。
第2試薬部R2には、ペルオキシダーゼ(ナカライテスク株式会社製)100μg/μLを塗布して乾燥させた。
検体導入部10の検出試薬部R3にはDAB(株式会社同仁化学研究所製)1mg/mLを塗布して乾燥させた。
クレアチニンは、0.1〜100mg/Lの範囲で複数の濃度を設定して、それぞれの発色量を測定した。光の吸収量をフォトダイオードで検出して得られた電圧値を発色濃度(mV)とした。この測定結果に基づき、検量線を作成した(図2)。
また、図2の結果より、クレアチニンをクロマトデバイスXによって良好に測定できるものと認められた。
本発明のクロマトデバイスXを用いて、IL−6の定量を行なった。定量はサンドイッチ法による抗原抗体反応を利用して行なった。
実施例1で作製したクロマトデバイスXの展開手段20において、被検出物質検出部22に、以下の試薬を担持させた。
第2試薬部R2の上流側に被検出物質検出部22にとして第1捕捉部R4、および、下流側に被検出物質検出部22にとして第2捕捉部R5を形成した。
第1捕捉部R4には、ウサギ由来抗humanIL−6抗体(SCB(Santa Cruz Biotechnology, Inc)社製)200μg/mLを塗布して乾燥させた。
第2捕捉部R5には、抗ウサギIgG抗体(Sigma Aldrich, Inc.)1mg/mL塗布して乾燥させた。
次に、アルカリフォスファターゼ修飾ヤギ由来抗ウサギIgG抗体(Kirkegaard & Perry Laboratories, Inc)を燐酸緩衝液(pH9.5)によって1μg/mLに調整したものを検体導入部10に滴下した。
さらに、BCIP/NBT(ナカライテスク株式会社製)を適量滴下し、前記発色量測定装置にて発色量を測定した。この測定結果に基づき、検量線を作成した(図3)。
実施例1で作製した人工尿に、5〜50mg/Lの濃度範囲の何れかでクレアチニンを混合し、10〜100pg/Lの濃度範囲の何れかのIL−6を混合したものを作製した(サンプル1〜6)。各サンプルのクレアチニン濃度およびIL−6濃度を表2に示した。
次に、アルカリフォスファターゼ修飾ヤギ由来抗ウサギIgG抗体(Kirkegaard & Perry Laboratories, Inc)を燐酸緩衝液(pH9.5)によって1μg/mLに調整したものを検体導入部10に滴下した。
さらに、BCIP/NBT(ナカライテスク株式会社製)を適量滴下し、前記発色量測定装置にて発色量を測定した。結果を表3に示した。尚、A/B(mV/mV)は、「第1捕捉部R4における電圧値/第2捕捉部R5における電圧値」を示したものである。
本実施例3では、クレアチニンおよびIL−6共に濃度は既知であるため、予めクレアチニン補正した値を算出できる。そのため、比較データとして、表5の最下段に予め算出したクレアチニン補正値を示した。
この結果、検量線から算出したクレアチニン補正値と、既知の濃度から算出したクレアチニン補正値(比較値)とでは相関があると判断できる。これより、本発明のクロマトデバイスXを用いてクレアチニン補正値を算出した値は、有効であると認められる。
10 検体導入部
20 展開手段
21 クレアチニン検出部
22 被検出物質検出部
30 吸水部
40 基板
Claims (3)
- 尿検体中に含まれる被検出物質を定量するため、基板上に、
前記検体を導入する検体導入部と、
クレアチニンを検出するクレアチニン検出試薬を担持するクレアチニン検出部、および、前記検体中の被検出物質を検出する被検出物質検出試薬を担持する被検出物質検出部を備えた展開手段と、
吸水部とを、この順に設けてあるクロマトデバイス。 - 前記クレアチニン検出部は、
クレアチニナーゼ・クレアチナーゼ・ザルコシンオキシダーゼを有する第1試薬部と、ペルオキシダーゼを有する第2試薬部とを備え、
発色基質を有する検出試薬部を、前記検体導入部および前記展開手段の何れか一方に備え、
前記検出試薬部を前記第2試薬部の上流に設けた請求項1に記載のクロマトデバイス。 - 前記クレアチニナーゼが0.1〜100U/μL、前記クレアチナーゼが0.1〜100U/μL、前記ザルコシンオキシダーゼが0.1〜100U/μgの濃度範囲である請求項2に記載のクロマトデバイス。
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