JP2004138219A - 壁面取付構造 - Google Patents
壁面取付構造 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004138219A JP2004138219A JP2002305651A JP2002305651A JP2004138219A JP 2004138219 A JP2004138219 A JP 2004138219A JP 2002305651 A JP2002305651 A JP 2002305651A JP 2002305651 A JP2002305651 A JP 2002305651A JP 2004138219 A JP2004138219 A JP 2004138219A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wall
- fixing member
- main body
- wall surface
- pin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Connection Of Plates (AREA)
Abstract
【課題】高い取付強度と優れた設置作業性を得られる壁面取付構造を提供する。
【解決手段】壁面固定部材5は、その上下に設けられた固定ネジ孔54,54で壁面Wの奥の間柱Cにネジ止めされる。壁面固定部材5は、壁掛け型展示棚1の本体(被取付物)2の後面に設けられた一対の案内レール26,26によって左右から挟み込まれ、本体2は壁面固定部材5に対して左右方向の位置決めがなされる。壁面固定部材5に設けられたピン止め孔54…のいずれかと本体2の挿通ピン孔27の高さ位置を合わせ、本体2の前面側から挿通ピン6を挿し込んで、本体2を壁面固定部材5に固定する。
【選択図】 図10
【解決手段】壁面固定部材5は、その上下に設けられた固定ネジ孔54,54で壁面Wの奥の間柱Cにネジ止めされる。壁面固定部材5は、壁掛け型展示棚1の本体(被取付物)2の後面に設けられた一対の案内レール26,26によって左右から挟み込まれ、本体2は壁面固定部材5に対して左右方向の位置決めがなされる。壁面固定部材5に設けられたピン止め孔54…のいずれかと本体2の挿通ピン孔27の高さ位置を合わせ、本体2の前面側から挿通ピン6を挿し込んで、本体2を壁面固定部材5に固定する。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁掛け型展示棚等の被取付物を壁面に取り付けるための壁面取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、展示棚等の被取付物を壁面に取り付ける壁面取付構造としては、被取付物の背面板等の上部左右に貫通孔を設け、ここから壁面に達するネジ等を打ち込む構造が一般的である。
【0003】
その他、下記特許文献1には、鏡を壁面に取り付ける壁面取付構造として、鏡の下辺の少なくとも2箇所をそれぞれが支える下部支持具と、鏡の上辺の少なくとも2箇所をそれぞれが支える上部支持具とを備えた構造が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、額縁を壁面に取り付ける壁面取付構造として、金具の左右両側を壁面にネジ止めし、この金具の壁面から浮かせた中央部に、額縁に付ける金具の下部を挿し込む構造が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−85103号公報
【0006】
【特許文献2】
登録実用新案第3042701号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般的な家屋の構造では薄い壁材の奥側に間柱が所定の間隔毎に設けられているために、被取付物の左右2箇所においてネジ等を壁面に打ち込む従来の壁面取付構造では、たとえば被取付物の右側で打ち込んだネジが間柱を捉えたとしても、左側で打ち込んだネジは間柱を捉えられず、薄い壁材を貫通した状態となって十分な支持力が得られない場合があった。
【0008】
なお、時計や額縁等の壁面取付構造では、その背面に凹みや孔あるいは左右に張り渡した係止ひもを壁面に打ち込んだ1本のネジ釘に引っかけて係止する簡易な構造が一般的であるが、このような構造では、支持力が小さい上、背面の凹み等にネジ釘に引っかけにくく設置作業性に問題がある。また、被取付物の取付角度が斜めに傾きやすいという問題もある。
【0009】
本発明は、高い取付強度と優れた設置作業性を得られる壁面取付構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、被取付物を、壁面にネジ止めされる壁面固定部材を介して前記壁面に取り付ける壁面取付構造であって、前記壁面固定部材の上下端部それぞれの近傍には前記壁面にねじ込む固定ネジが挿通される固定ネジ孔が設けられ、前記壁面固定部材の高さ方向中間部にはピン止め孔が設けられ、前記被取付物の後面には前記壁面固定部材を回転不能かつ上下方向スライド可能に左右から挟み込む一対の案内レールが設けられ、前記被取付物の前記一対の案内レールの間には、前後方向に貫通する挿通ピン孔が設けられ、前記被取付物は、挿通ピンを前記挿通ピン孔に前面側から貫通して前記壁面固定部材の前記ピン止め孔に挿通させることにより、前記壁面固定部材に結合されることを特徴とするものである。
【0011】
このような壁面取付構造によると、壁面固定部材はその上下の固定ネジ孔で壁面にネジ止めされるため、一方(たとえば上側)の固定ネジ孔で壁材の奥の間柱を捉えれば他方(たとえば下側)の固定ネジ孔でも必ず間柱を捉えることができる。一般に間柱は上下に延びて設けられているからである。こうして上下2つの固定ネジ孔におけるネジ止めにより、壁面固定部材を高い取付強度で壁面に取り付けることができる。
【0012】
また、壁面固定部材は、上下に離れた固定ネジ孔において壁面にネジ止めされるため、左右に離れたネジ孔でネジ止めされる場合と比べ、下向きに作用する被取付物の重量に対して、固定強度面で有利である。
【0013】
また、壁面にネジ止めされた壁面固定部材に被取付物を取り付ける際、挿通ピンを被取付物の前面側から挿し込めばよいため、設置作業が容易である。
【0014】
また、壁面にネジ止めされた壁面固定部材に被取付物を取り付ける際、壁面固定部材は被取付物の一対の案内レールに挟まれて案内されることで、被取付物は上下にしか動かず、左右への移動が規制されるため、設置作業が容易である。
【0015】
また、被取付物の一対の案内レールが壁面固定部材を左右から挟み込むため、被取付物が壁面固定部材に対してがたつくことが極力防止でき、被取付物を安定して壁面に取り付けることができる。
【0016】
また、被取付物の一対の案内レールが壁面固定部材を左右から挟み込むため、被取付物が壁面固定部材に対して斜めに傾くことがなく、ひいては被取付物が上下方向に対して斜めに取り付けられてしまうことがない。
【0017】
このような壁面取付構造においては、前記ピン止め孔は、複数が上下方向に並んで設けられることが望ましい。
【0018】
このようにすると、壁面固定部材を所定の高さ位置に取り付けた後であっても、この複数のピン止め孔のいずれに挿通ピンを挿し込むかによって被取付物の取り付け高さ位置を調整することができる。
【0019】
また、このような壁面取付構造においては、前記被取付物の前記挿通ピン孔は1つであることが望ましい。
【0020】
このようにすると、被取付物を前面側から見たとき、被取付物を壁面固定部材に結合させるために挿通ピンが挿通されている挿通ピン孔しか見えず、見栄えがよい。
【0021】
また、このような壁面取付構造においては、前記壁面固定部材の前記固定ネジ孔が設けられる上下端部近傍には、前記壁面に面接触する取付部が形成され、前記壁面固定部材の前記ピン止め孔が設けられる高さ方向中間部は、前記壁面から前方に離間した離間部が形成され、前記ピン止め孔は、前記離間部を貫通して設けられ、前記挿通ピンは、前記ピン止め孔を貫通して前記離間部の後面を押さえることで前記被取付物を前記壁面固定部材に結合させることが望ましい。
【0022】
このようにすると、壁面固定部材は上限端部近傍の取付部で壁面に面接触してより強固に壁面に取り付けられるとともに、被取付物は挿通ピンが壁面固定部材を後ろ側から押さえるため、被取付物の壁面固定部材に対する結合強度も高いものとできる。
【0023】
また、このような壁面取付構造においては、前記壁面固定部材の前記ピン止め孔の近傍の前面側および前記被取付物の前記挿通ピン孔の近傍の後面側には、前記ピン止め孔と前記挿通ピン孔の高さ位置が一致したときに互いに嵌合する嵌合凸部および嵌合凹部がそれぞれ設けられたことが望ましい。
【0024】
このようにすると、挿通ピンを挿し込むときに、壁面固定部材に対して被取付物の高さ位置を仮固定できるため、設置作業がさらに容易になる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる壁面取付構造を、内部に人形等の展示物を収容して展示する壁掛け型展示棚に適用した一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、この壁掛け型展示棚を正面側から見た斜視図である。図2は、同壁掛け型展示棚を背面側から見た斜視図である。図3は、同壁掛け型展示棚の側面図である。図4は、同壁掛け型展示棚を上から見た平面図である。図5は、同壁掛け型展示棚のカバーを開けた状態の斜視図である。図6は、壁面固定部材の斜視図である。図7は、壁面固定部材を壁面に取り付けた状態の斜視図である。図8は、壁面固定部材が本体に取り付けられた状態を背面側から見た斜視図である。図9は、挿通ピンの動作説明図である。図10は、壁掛け型展示棚が壁面に設置された状態の側方断面図である。
【0027】
この実施形態にかかる壁掛け型展示棚は、例えば図10に示すように、展示物を収容する本体2と、展示物が載置される複数枚の棚板3…と、本体2の前面側を覆うカバー4と、壁面Wに直接取り付けられる壁面固定部材5と、本体2を壁面固定部材5に結合させる挿通ピン6とを備えている。
【0028】
(本体)
本体2は、展示物とともに展示物が載置される棚板3…を収容するものである。この本体2は、前面側の全面に開口21が設けられたほぼ直方体形状の箱体からなる。この本体2は、たとえば耐衝撃用ポリスチレン(HIPS)等の合成樹脂の成型品として構成されている。また、この本体2は、不透明材料から構成され、取り付けられる壁面Wが隠れるようになっている。これにより、本体2内に収容される展示物の展示による興趣性が殺がれることを防止したり、展示物を引き立てる背景を構成することもできる。
【0029】
この本体2の後面側には、図2に示すように、上下方向に延びる左右で一対の案内レール26,26が後方に突出するように設けられている。この一対の案内レール26,26は、図8に示すように、後述する壁面固定部材5を回転不能かつ上下方向スライド可能に左右から挟み込むものである。
【0030】
この一対の案内レール26,26は、本体2の上端近傍から下端近傍にまで至っており、この一対の案内レール26,26間に挟み込まれる壁面固定部材5のスライド動作範囲ができるだけ大きく確保されるようになっている。
【0031】
また、この一対の案内レール26,26の上下端部には、一対の案内レール26,26がつながるように延びる終端261,261が本体2の後面側から後方に突出するように設けられている。これにより、この一対の案内レール26,26間に挟み込まれる壁面固定部材5のスライド動作範囲を規制し、壁面固定部材5が本体2の上下に突出しないようになっている。
【0032】
本体2の一対の案内レール26…の間には、図2に示すように、本体2を前後方向に貫通する1つの挿通ピン孔27が設けられている。この挿通ピン孔27は、後述する挿通ピン6を貫通させて壁面固定部材5に挿通させることにより、本体2を壁面固定部材5に結合させるためのものである。
【0033】
この挿通ピン孔27の近傍の後面側には、図2に示すように、後方に若干突出した嵌合凸部28が挿通ピン孔27の周囲を囲むように設けられている。この嵌合凸部28は、後述する壁面固定部材5に設けられる嵌合凹部55…と互いに嵌合して、本体2を壁面固定部材5に取り付ける際の作業性を高めるものである。
【0034】
この一対の案内レール26,26および挿通ピン孔27等は、後述する壁面固定部材5および挿通ピン6とともに、この本体2を壁面Wに取り付けるための壁面取付構造をなしている。また、本体2は、この壁面取付構造によって壁面に取り付けられる被取付物となっている。
【0035】
本体2の両側壁22,22の内側には、図1等に示すように、それぞれ複数段の前後方向に延びる棚挿込溝23…が形成されている。この棚挿込溝23…には、本体2の前面側の開口21から後述する棚板3…が任意の高さ位置…に挿し込まれて本体2内に取り付けられる。この棚挿込溝23…は、棚板3…を本体2内の任意の高さ位置に取り付けることを可能とする高さ調整手段を構成している。このように棚挿込溝23…が高さ調整手段として機能するため、簡素な構造でありながら、展示物の高さに応じて棚板3…の上に適切な高さスペースを確保することができ、展示物を効率的に収容し、興趣性に富む展示を実現することができる。
【0036】
本体2の開口21の上縁部には、図3等に示すように、前方に突出する2つの被係合部24,24が左右対称に設けられている。この被係合部24,24の上面には上方に突出する突起部241,241が設けられている。この被係合部24,24は、この突起部241,241において後述するカバー4の上縁部に設けられる係合部44,44と係合してカバー4の前後方向および左右方向のずれを規制しながら、カバー4を支持するためのものである。
【0037】
本体2の開口21の下縁部には、図3等に示すように、ロック部材25,25が左右対称な位置に、ともに左右方向にスライド動作可能に取り付けられている。このロック部材25,25は、後述するカバー4の下縁部に設けられた被ロック突起45,45に係合して、このカバー4の下縁部が前方に離間することを防止するロック構造として機能する。
【0038】
(棚板)
棚板3…は、本体2内に取り付けられて、展示物が載置されるものである。ここでは、1つの壁掛け型展示棚1に対して複数枚(図示例では3枚)が用いられている。
【0039】
この棚板3…は、たとえば耐衝撃用ポリスチレン(HIPS)等の不透明な合成樹脂の成型品として構成され、図10等に示すように、平坦な上面をなす上部板部31と下方に突出する強度確保用のリブ32とから構成されている。
【0040】
この棚板3…は、本体2の内側空間の奥行き(前後幅)よりも前後長さが長く構成されており、図3等に示すように、その先端部分が本体2の前面側の開口21より前方に突出する状態で、本体2の両側壁内側に設けられた棚挿込溝23…の任意の高さ位置に挿し込まれて本体2内に取り付けられる。
【0041】
(カバー)
カバー4は、本体2の開口21を覆って、本体2内にほこり等が進入することを防止し、展示物を保護するものである。このカバー4は、図3に示すように、本体2内に取り付けられた棚板3…の本体2の開口21より前方に突出した先端部分ごと本体2の開口21を覆うように、本体2の開口21から前方に膨らんだ形状に形成されている。具体的には、このカバー4は、後面側が開口したほぼ直方体形状の箱体からなる。このカバー4は、たとえばポリスチレン等の合成樹脂の成型品として構成されている。また、この本体2は、透明な材料から構成され、本体2内に収容される展示物を外部から視認できるようになっている。
【0042】
このように、カバー4は透明樹脂からなるため、不透明な桟や枠を用いることなく、前方に膨らんだ形状を容易かつ安価に製造することができる。
【0043】
このカバー4の前面42は、カバー4が本体2に取り付けられたとき、壁面Wにほぼ平行になるが、この前面42は、図4に示すように、その左右に対して中央が若干前方に突出する凸面形状をなすように構成されている。このような形状にすることにより、カバー4の前面を平面として形成する場合と比べて、若干の曲率の変化があっても判明しにくくなるため、設計上の形状から逸脱が許容される範囲が広くなり、カバー4を容易かつ低コストで製造することが可能となる。また、平面形状とするより高い強度的が得られる。
【0044】
このカバー4は、壁面Wに取り付けられた本体2に対して、着脱可能に取り付けられるようになっている。具体的には、図3に示すように、カバー4の上縁部内側には、本体2側の被係合部24,24に上側から係合する係合部44,44が左右対称に設けられている。この係合部44,44は、本体2側の被係合部24,24に設けられた突起部241,241と係合する孔部として形成されている。カバー4は、この係合部44,44における本体2側の突起部241,241との係合により本体2に対する前後方向および左右方向のずれが規制された状態で、本体2側の被係合部24,24の上面によってその重量が支持されるようになっている。
【0045】
カバー4の下縁部外面には、被ロック突起45,45が下方に突出して設けられている。この被ロック突起45,45は、本体2側のロック部材25,25がそれぞれ外側にスライドしたときには、ロック部材25,25と係合する。これにより、カバー4は、その下縁部が本体2の下縁部から前方に離れて開くことが防止されるようになっている。一方、被ロック突起45,45は、本体2側のロック部材25,25がそれぞれ内側にスライドしたときには、ロック部材25,25のとの係合が解かれる。これにより、図5に示すように、カバー4は、その下縁部が本体2の下縁部から前方に離れて開くことができるようになっている。
【0046】
(壁面固定部材)
壁面固定部材5は、壁面Wにネジ止めされ、被取付物である本体2を壁面Wに取り付けるための土台をなすものである。この壁面固定部材5は、平面状の両側部が上記本体2の一対の案内レール26,26に接触して挟み込まれる。この壁面固定部材5は、たとえばABS等の高い強度を有する合成樹脂の成型品として構成されている。
【0047】
図6に示すように、壁面固定部材5の上下端部それぞれの近傍には、壁面Wに面接触する取付部51が形成されており、この取付部51に、それぞれ固定ネジ孔52,52が設けられている。すなわち、この壁面固定部材5では、2つの固定ネジ孔52,52が上下に並んで設けられている。この固定ネジ孔52は、この壁面固定部材5を壁面Wにネジ止めするための固定ネジS,Sが挿通されるものである。
【0048】
壁面固定部材5の高さ方向中間部には、図10に示すように、壁面Wから前方に離間した離間部が形成されており、この離間部53に、複数の(ここでは5つの)ピン止め孔54…が上下方向に並んで設けられている。複数の各ピン止め孔54…は、離間部53を貫通している。この複数のピン止め孔54…は、任意の高さ位置のピン止め孔54…に後述する挿通ピンを挿入することによって、壁面固定部材5に本体2を結合させて取り付けるためのものである。
【0049】
壁面固定部材5の複数のピン止め孔54…の近傍の前面側には、図6等に示すように、後方に若干凹んだ嵌合凹部55…が、各ピン止め孔54…の周囲を囲むように連なって設けられている。この嵌合凹部55…は、上述した本体2側の挿通ピン孔27と、壁面固定部材5側の複数のピン止め孔54…のいずれかとの高さ位置が一致したときに、本体2側の嵌合凸部28と嵌合するようになっている。これにより、本体2を壁面固定部材5に取り付ける際に、壁面固定部材5に対する本体2の相対的な高さ位置が、挿通ピン孔27とピン止め孔54…の高さ位置が一致する結合可能な状態にあることを、設置作業者に容易に感知させるとともに、この状態で本体2と壁面固定部材5との相対的な高さ位置関係を仮固定して、挿通ピン6を挿入する設置作業の作業性を高めることができるようになっている。
【0050】
(挿通ピン)
挿通ピン6は、本体2の挿通ピン孔27を貫通し、さらに壁面固定部材5のピン止め孔54…のいずれかを貫通して、本体2の前面側と壁面固定部材5の後面側とに当接して押さえることで、本体(被取付物)2を壁面固定部材5に結合させるものである。この挿通ピン6は、たとえばABS等の合成樹脂の成型品として構成されている。
【0051】
この挿通ピン6は、図9(a)に示すように、拡開体61と押込体62との2つの部品から構成されている。拡開体61は、大径の頭部67とここから延びる複数本(例えば4本)の脚部63…を有し、軸方向に孔部64が形成されている。押込体62は、大径のネジ部66とここから延びるネジ部62とを有している。そして、このように構成された拡開体61の孔部64に押込体62のネジ部62を押し込むことで、図9(b)に示すように、拡開体61の複数本の脚部63…が互いに離間するように開くようになっている。一方、拡開体61の複数本の脚部63…の内側には押込体62のネジ部62と係合する図示しない1または複数の突起が形成されており、拡開体61に押し込んだ押込体62を所定方向に回転させることで、押込体62を拡開体61から抜き取ることができるようになっている。
【0052】
(壁面への取付)
次に、以上のように構成された壁掛け型展示棚1を壁面Wに取り付ける設置作業について説明する。
【0053】
この壁掛け型展示棚1の壁面Wへの設置作業では、まず、壁面Wに壁面固定部材5を取り付ける。この際、図7に示すように、一般的な家屋の構造では壁材Bの奥側に上下方向に延びる間柱Cが存在するので、これを探し出し、壁面固定部材5の上下の固定ネジ孔52,52からこの間柱Cに対して、固定ネジS,Sをねじ込み、壁面固定部材5を壁面Wに取り付ける。
【0054】
このように間柱Cに壁面固定部材5をねじ込むことで壁面固定部材5の壁面Wへの高い取付強度を得ることができる。このとき、壁面固定部材5の固定ネジ孔52,52は上下に設けられているため、1本の間柱Cに対して、確実に2本の固定ネジS,Sをねじ込むことが可能である。また、固定ネジS,Sは上下に配されているので左右に配されている場合と比べ、下向きに作用する荷重に対して強度面で有利である。
【0055】
次に、壁面Wに取り付けられた壁面固定部材5に対し、本体2を取り付ける。この作業では、作業者から直接には見えない不透明な本体2の背面側(後面側)に壁面固定部材5を取り付けることとなる。しかしながら、本体2の後面側には一対の案内レール26,26が本体2の上下端近傍まで延びているため、一対の案内レール26,26の上端近傍または下端近傍等の分かりやすい部位に壁面固定部材5を嵌め込むことで、壁面固定部材5と本体2との左右方向の位置合わせを容易に行うことができる。また同時に、壁面固定部材5に対して本体2が斜めに傾かないように水平合わせ(姿勢合わせ)も完了できる。
【0056】
こうして壁面固定部材5が本体2の一対の案内レール26,26に挟み込まれれば、壁面固定部材5をこの一対の案内レール26,26に沿わせて本体2を上下にスライド動作させることで、本体2の挿通ピン孔27と壁面固定部材5の複数のピン止め孔54…の高さ位置が一致する位置を容易に見つけることができる。とくに、本体2の挿通ピン孔27と壁面固定部材5の複数のピン止め孔54…の高さ位置が一致すると、本体2の嵌合凸部28が壁面固定部材5の嵌合凹部55…に嵌り込むため、この両ピン孔27,54…が一致する状態を特に容易に知ることができる。
【0057】
そして、図10に示すように、壁面固定部材5に設けられた複数の(ここでは5つの)ピン止め孔54…から、本体2の挿通ピン孔27を一致させたときに、本体2が設置したい高さ位置になるピン止め孔54…を決定し、このピン止め孔54と本体2の挿通ピン孔27とを一致させた状態で、ここに挿通ピン6を挿通する。本体2の挿通ピン孔27および壁面固定部材5のピン止め孔54を挿通された挿通ピン6は、拡開体61の頭部67が本体2の挿通ピン孔27の前面側周囲に当接し、拡開体61の拡開された拡開脚部63…が壁面固定部材5のピン止め孔54の後面側周囲に当接して、本体2と壁面固定部材5とが離間しないように押さえ込み、本体2を壁面固定部材5に結合させる。
【0058】
このように、本体2を壁面固定部材5に結合させる際、本体2の前面側から挿通ピン6を挿入すればよいため、設置作業が容易である。また、このときにも、本体2の嵌合凸部28が壁面固定部材5の嵌合凹部55…に嵌り込むことで本体2と壁面固定部材5の相対的な高さ位置が仮固定されているため、挿通ピン6を挿通させる作業も容易に行うことができる。また、壁面固定部材5には複数のピン止め孔54…が設けられているため、壁面固定部材5を壁面Wに取り付けた後であっても、壁掛け型展示棚1の取り付け高さ位置を調整することができる。また、本体2には挿通ピン孔27は1つだけしか設けられておらず、ここに挿通ピン6が挿入されるため、見栄えがよい。
【0059】
本体2が壁面固定部材5を介して壁面Wに取り付けられれば、展示物の大きさに応じて、1または複数枚の棚板3…を任意の高さの棚挿込溝23…に挿し込んで取り付け、この棚板3…上に、展示物を載置する。
【0060】
こうして棚板3上に展示物が載置されれば、本体2の上縁部の被係合部24,24にカバー4の係合部44,44を係合させ、本体2の下縁部のロック部材25,25を内側にスライドさせた状態でカバー4を本体2の開口21に被せ、ロック部材25,25を外側にスライドさせてカバー4の被ロック突起45,45に係合させて、カバー4が開かないように固定する。以上で一連の設置作業は完了する。
【0061】
このような壁掛け型展示棚1によると、展示物が載置される棚板3…は本体2の前面側の開口21から前方に突出してカバー4に覆われるため、この棚板3…に展示される展示物はその正面姿だけでなく、左右側面の姿も容易に視認することができ、立体的な展示物の特性を生かした興趣性に富んだ展示ができる。
【0062】
また、壁面固定部材5を本体2の一対の案内レール26,26で挟み込んだ構成としたため、壁面固定部材5に対して本体2ががたつくことを極力防止して安定した取付状態を得ることができる。
【0063】
また、壁面固定部材5を本体2の一対の案内レール26,26で挟み込んだ構成としたため、棚板3…に左右アンバランスな重量配分で展示物を収容し展示した場合であっても、本体2が斜めに傾くことを防止することができる。
【0064】
また、ロック部材25,25等によるロック構造によってカバー4を本体2から離間しないようにできるので、地震等によりカバー4が不意に開いて展示物が落下してしまうことも未然に防止することができる。
【0065】
一方、本体2内の展示物を入れ替えたり、棚板3…の高さ位置を変更したりする場合には、ロック部材25,25を内側にスライドさせてロックを解除し、カバー4の下縁部を手前に持ち上げ、さらに、上部の係合部44,44および被係合部24,24の係合が外れるように、カバー4を全体として上方に持ち上げることで、カバー4を本体2から完全に取り外すことができる。これにより、本体2を壁面Wに取り付けた状態のままで、本体2の開口21は全面的に開放され、展示物の入れ替え等の作業を、カバーを片手で支えたりすることなく、容易に行うことができる。
【0066】
また、展示物の載置された位置や向き等を少しだけ修正したいという場合には、ロック部材25,25を内側にスライドさせてロックを解除し、カバー4上部の係合部44,44が本体2の被係合部24,24から外れない範囲で、カバー4の下縁部を手前に持ち上げて、カバー4の下側から本体2の開口部21に手を入れることが可能である。これにより、カバー4を外してしまうことなく、少しの修正作業等であれば非常に簡易に行うことができる。
【0067】
(その他の実施形態)
以上、本発明を一実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように構成してもよい。
【0068】
(1)上記実施形態では、一対の案内レール26,26を本体2の上端近傍から下端近傍にまで至るものとしたが、壁面固定部材5を納められる長さを有していればよい。
【0069】
(2)上記実施形態では、挿通ピンは、拡開体61に押し込み体62を押し込むことでワンタッチで本体2と壁面固定部材5とを結合させることができるものとしたが、本体2の前面側から本体2の挿通ピン孔27に挿入して、本体2と壁面固定部材5と結合させることができるものであればよい。例えばネジでもよい。
【0070】
(3)上記実施形態では、壁面固定部材5の挿通ピン孔54…は壁面固定部材5を貫通するようにしたが、挿通ピン孔は挿通ピン6が挿入されることによって本体2と壁面固定部材5とを結合できるものであればよい。たとえば挿通ピン6先端に設けられる係合手段等と結合する被係合手段や、挿通ピン6先端に設けられるネジ部がねじ込まれる有底のネジ孔でもよい。
【0071】
(4)上記実施形態では、本体2の嵌合凸部28および壁面固定部材5の嵌合凹部55…を、それぞれ挿通ピン孔27およびピン止め孔54…の周囲を囲む形状に構成したが、挿通ピン孔7とピン止め孔54…との高さ位置が一致したときに互いに嵌合して、本体2と壁面固定部材5の相対的な高さ位置を仮固定できる形態であれば種々の形態を採用しうる。
【0072】
(5)上記実施形態では、壁面固定部材5のピン止め孔54…を複数設けたが、1つだけとしてもよい。
【0073】
(6)上記実施形態では、本体2の挿通ピン孔27を1つだけとしたが、2つ以上設けてもよい。
【0074】
(7)上記実施形態では、壁面固定部材5の両側部のほぼ全長で一対の案内レール26,26に接触して挟み込まれるようにしたが、壁面固定部材5の形態はこれに限定されるものではない。ただし、壁面固定部材5の少なくとも左右両側の上部および下部において一対の案内レール26,26に接触するようにすれば、一対の案内レール26,26に対する壁面固定部材5の傾きやガタつきを防止できるため、好ましい。
【0075】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる壁面取付構造によると、壁面固定部材はその上下の固定ネジ孔で壁面にネジ止めされるため、一方(たとえば上側)の固定ネジ孔で壁材の奥の間柱を捉えれば他方(たとえば下側)の固定ネジ孔でも必ず間柱を捉えることができる。このため、高い取付強度が得られる。
【0076】
また、壁面固定部材は、上下に離れた固定ネジ孔において壁面にネジ止めされるため、左右に離れたネジ孔でネジ止めされる場合と比べ、下向きに作用する被取付物の重量に対して、固定強度面で有利である。
【0077】
また、壁面にネジ止めされた壁面固定部材に被取付物を取り付ける際、挿通ピンを被取付物の前面側から挿し込めばよいため、設置作業が容易である。
【0078】
また、壁面にネジ止めされた壁面固定部材に被取付物を取り付ける際、壁面固定部材は被取付物の一対の案内レールに挟まれて案内されることで、被取付物は上下にしか動かず、左右への移動が規制されるため、設置作業が容易である。
【0079】
また、被取付物の一対の案内レールが壁面固定部材を左右から挟み込むため、被取付物が壁面固定部材に対してがたつくことが極力防止でき、被取付物を安定して壁面に取り付けることができる。
【0080】
また、被取付物の一対の案内レールが壁面固定部材を左右から挟み込むため、被取付物が斜めに傾いて取り付けられてしまうこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる壁面取付構造を適用した壁掛け型展示棚の正面側から見た斜視図である。
【図2】同壁掛け型展示棚を背面側から見た斜視図である。
【図3】同壁掛け型展示棚の側面図である。
【図4】同壁掛け型展示棚を上から見た平面図である。
【図5】同壁掛け型展示棚のカバーを開けた状態の斜視図である。
【図6】壁面固定部材の斜視図である。
【図7】壁面固定部材を壁面に取り付けた状態の斜視図である。
【図8】壁面固定部材が本体に取り付けられた状態を背面側から見た斜視図である。
【図9】挿通ピンの動作説明図である。
【図10】壁掛け型展示棚が壁面に設置された状態の側方断面図である。
【符号の説明】
1 壁掛け型展示棚(被取付物)
2 本体(被取付物)
25 ロック部材
26 一対の案内レール
27 挿通ピン孔
28 嵌合凸部
3 棚板
4 カバー
5 壁面固定部材
51 取付部
52 固定ネジ孔
53 離間部
54 ピン止め孔
55 嵌合凹部
6 挿通ピン
W 壁面
C 間柱
S 固定ネジ
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁掛け型展示棚等の被取付物を壁面に取り付けるための壁面取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、展示棚等の被取付物を壁面に取り付ける壁面取付構造としては、被取付物の背面板等の上部左右に貫通孔を設け、ここから壁面に達するネジ等を打ち込む構造が一般的である。
【0003】
その他、下記特許文献1には、鏡を壁面に取り付ける壁面取付構造として、鏡の下辺の少なくとも2箇所をそれぞれが支える下部支持具と、鏡の上辺の少なくとも2箇所をそれぞれが支える上部支持具とを備えた構造が開示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、額縁を壁面に取り付ける壁面取付構造として、金具の左右両側を壁面にネジ止めし、この金具の壁面から浮かせた中央部に、額縁に付ける金具の下部を挿し込む構造が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−85103号公報
【0006】
【特許文献2】
登録実用新案第3042701号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般的な家屋の構造では薄い壁材の奥側に間柱が所定の間隔毎に設けられているために、被取付物の左右2箇所においてネジ等を壁面に打ち込む従来の壁面取付構造では、たとえば被取付物の右側で打ち込んだネジが間柱を捉えたとしても、左側で打ち込んだネジは間柱を捉えられず、薄い壁材を貫通した状態となって十分な支持力が得られない場合があった。
【0008】
なお、時計や額縁等の壁面取付構造では、その背面に凹みや孔あるいは左右に張り渡した係止ひもを壁面に打ち込んだ1本のネジ釘に引っかけて係止する簡易な構造が一般的であるが、このような構造では、支持力が小さい上、背面の凹み等にネジ釘に引っかけにくく設置作業性に問題がある。また、被取付物の取付角度が斜めに傾きやすいという問題もある。
【0009】
本発明は、高い取付強度と優れた設置作業性を得られる壁面取付構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、被取付物を、壁面にネジ止めされる壁面固定部材を介して前記壁面に取り付ける壁面取付構造であって、前記壁面固定部材の上下端部それぞれの近傍には前記壁面にねじ込む固定ネジが挿通される固定ネジ孔が設けられ、前記壁面固定部材の高さ方向中間部にはピン止め孔が設けられ、前記被取付物の後面には前記壁面固定部材を回転不能かつ上下方向スライド可能に左右から挟み込む一対の案内レールが設けられ、前記被取付物の前記一対の案内レールの間には、前後方向に貫通する挿通ピン孔が設けられ、前記被取付物は、挿通ピンを前記挿通ピン孔に前面側から貫通して前記壁面固定部材の前記ピン止め孔に挿通させることにより、前記壁面固定部材に結合されることを特徴とするものである。
【0011】
このような壁面取付構造によると、壁面固定部材はその上下の固定ネジ孔で壁面にネジ止めされるため、一方(たとえば上側)の固定ネジ孔で壁材の奥の間柱を捉えれば他方(たとえば下側)の固定ネジ孔でも必ず間柱を捉えることができる。一般に間柱は上下に延びて設けられているからである。こうして上下2つの固定ネジ孔におけるネジ止めにより、壁面固定部材を高い取付強度で壁面に取り付けることができる。
【0012】
また、壁面固定部材は、上下に離れた固定ネジ孔において壁面にネジ止めされるため、左右に離れたネジ孔でネジ止めされる場合と比べ、下向きに作用する被取付物の重量に対して、固定強度面で有利である。
【0013】
また、壁面にネジ止めされた壁面固定部材に被取付物を取り付ける際、挿通ピンを被取付物の前面側から挿し込めばよいため、設置作業が容易である。
【0014】
また、壁面にネジ止めされた壁面固定部材に被取付物を取り付ける際、壁面固定部材は被取付物の一対の案内レールに挟まれて案内されることで、被取付物は上下にしか動かず、左右への移動が規制されるため、設置作業が容易である。
【0015】
また、被取付物の一対の案内レールが壁面固定部材を左右から挟み込むため、被取付物が壁面固定部材に対してがたつくことが極力防止でき、被取付物を安定して壁面に取り付けることができる。
【0016】
また、被取付物の一対の案内レールが壁面固定部材を左右から挟み込むため、被取付物が壁面固定部材に対して斜めに傾くことがなく、ひいては被取付物が上下方向に対して斜めに取り付けられてしまうことがない。
【0017】
このような壁面取付構造においては、前記ピン止め孔は、複数が上下方向に並んで設けられることが望ましい。
【0018】
このようにすると、壁面固定部材を所定の高さ位置に取り付けた後であっても、この複数のピン止め孔のいずれに挿通ピンを挿し込むかによって被取付物の取り付け高さ位置を調整することができる。
【0019】
また、このような壁面取付構造においては、前記被取付物の前記挿通ピン孔は1つであることが望ましい。
【0020】
このようにすると、被取付物を前面側から見たとき、被取付物を壁面固定部材に結合させるために挿通ピンが挿通されている挿通ピン孔しか見えず、見栄えがよい。
【0021】
また、このような壁面取付構造においては、前記壁面固定部材の前記固定ネジ孔が設けられる上下端部近傍には、前記壁面に面接触する取付部が形成され、前記壁面固定部材の前記ピン止め孔が設けられる高さ方向中間部は、前記壁面から前方に離間した離間部が形成され、前記ピン止め孔は、前記離間部を貫通して設けられ、前記挿通ピンは、前記ピン止め孔を貫通して前記離間部の後面を押さえることで前記被取付物を前記壁面固定部材に結合させることが望ましい。
【0022】
このようにすると、壁面固定部材は上限端部近傍の取付部で壁面に面接触してより強固に壁面に取り付けられるとともに、被取付物は挿通ピンが壁面固定部材を後ろ側から押さえるため、被取付物の壁面固定部材に対する結合強度も高いものとできる。
【0023】
また、このような壁面取付構造においては、前記壁面固定部材の前記ピン止め孔の近傍の前面側および前記被取付物の前記挿通ピン孔の近傍の後面側には、前記ピン止め孔と前記挿通ピン孔の高さ位置が一致したときに互いに嵌合する嵌合凸部および嵌合凹部がそれぞれ設けられたことが望ましい。
【0024】
このようにすると、挿通ピンを挿し込むときに、壁面固定部材に対して被取付物の高さ位置を仮固定できるため、設置作業がさらに容易になる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる壁面取付構造を、内部に人形等の展示物を収容して展示する壁掛け型展示棚に適用した一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、この壁掛け型展示棚を正面側から見た斜視図である。図2は、同壁掛け型展示棚を背面側から見た斜視図である。図3は、同壁掛け型展示棚の側面図である。図4は、同壁掛け型展示棚を上から見た平面図である。図5は、同壁掛け型展示棚のカバーを開けた状態の斜視図である。図6は、壁面固定部材の斜視図である。図7は、壁面固定部材を壁面に取り付けた状態の斜視図である。図8は、壁面固定部材が本体に取り付けられた状態を背面側から見た斜視図である。図9は、挿通ピンの動作説明図である。図10は、壁掛け型展示棚が壁面に設置された状態の側方断面図である。
【0027】
この実施形態にかかる壁掛け型展示棚は、例えば図10に示すように、展示物を収容する本体2と、展示物が載置される複数枚の棚板3…と、本体2の前面側を覆うカバー4と、壁面Wに直接取り付けられる壁面固定部材5と、本体2を壁面固定部材5に結合させる挿通ピン6とを備えている。
【0028】
(本体)
本体2は、展示物とともに展示物が載置される棚板3…を収容するものである。この本体2は、前面側の全面に開口21が設けられたほぼ直方体形状の箱体からなる。この本体2は、たとえば耐衝撃用ポリスチレン(HIPS)等の合成樹脂の成型品として構成されている。また、この本体2は、不透明材料から構成され、取り付けられる壁面Wが隠れるようになっている。これにより、本体2内に収容される展示物の展示による興趣性が殺がれることを防止したり、展示物を引き立てる背景を構成することもできる。
【0029】
この本体2の後面側には、図2に示すように、上下方向に延びる左右で一対の案内レール26,26が後方に突出するように設けられている。この一対の案内レール26,26は、図8に示すように、後述する壁面固定部材5を回転不能かつ上下方向スライド可能に左右から挟み込むものである。
【0030】
この一対の案内レール26,26は、本体2の上端近傍から下端近傍にまで至っており、この一対の案内レール26,26間に挟み込まれる壁面固定部材5のスライド動作範囲ができるだけ大きく確保されるようになっている。
【0031】
また、この一対の案内レール26,26の上下端部には、一対の案内レール26,26がつながるように延びる終端261,261が本体2の後面側から後方に突出するように設けられている。これにより、この一対の案内レール26,26間に挟み込まれる壁面固定部材5のスライド動作範囲を規制し、壁面固定部材5が本体2の上下に突出しないようになっている。
【0032】
本体2の一対の案内レール26…の間には、図2に示すように、本体2を前後方向に貫通する1つの挿通ピン孔27が設けられている。この挿通ピン孔27は、後述する挿通ピン6を貫通させて壁面固定部材5に挿通させることにより、本体2を壁面固定部材5に結合させるためのものである。
【0033】
この挿通ピン孔27の近傍の後面側には、図2に示すように、後方に若干突出した嵌合凸部28が挿通ピン孔27の周囲を囲むように設けられている。この嵌合凸部28は、後述する壁面固定部材5に設けられる嵌合凹部55…と互いに嵌合して、本体2を壁面固定部材5に取り付ける際の作業性を高めるものである。
【0034】
この一対の案内レール26,26および挿通ピン孔27等は、後述する壁面固定部材5および挿通ピン6とともに、この本体2を壁面Wに取り付けるための壁面取付構造をなしている。また、本体2は、この壁面取付構造によって壁面に取り付けられる被取付物となっている。
【0035】
本体2の両側壁22,22の内側には、図1等に示すように、それぞれ複数段の前後方向に延びる棚挿込溝23…が形成されている。この棚挿込溝23…には、本体2の前面側の開口21から後述する棚板3…が任意の高さ位置…に挿し込まれて本体2内に取り付けられる。この棚挿込溝23…は、棚板3…を本体2内の任意の高さ位置に取り付けることを可能とする高さ調整手段を構成している。このように棚挿込溝23…が高さ調整手段として機能するため、簡素な構造でありながら、展示物の高さに応じて棚板3…の上に適切な高さスペースを確保することができ、展示物を効率的に収容し、興趣性に富む展示を実現することができる。
【0036】
本体2の開口21の上縁部には、図3等に示すように、前方に突出する2つの被係合部24,24が左右対称に設けられている。この被係合部24,24の上面には上方に突出する突起部241,241が設けられている。この被係合部24,24は、この突起部241,241において後述するカバー4の上縁部に設けられる係合部44,44と係合してカバー4の前後方向および左右方向のずれを規制しながら、カバー4を支持するためのものである。
【0037】
本体2の開口21の下縁部には、図3等に示すように、ロック部材25,25が左右対称な位置に、ともに左右方向にスライド動作可能に取り付けられている。このロック部材25,25は、後述するカバー4の下縁部に設けられた被ロック突起45,45に係合して、このカバー4の下縁部が前方に離間することを防止するロック構造として機能する。
【0038】
(棚板)
棚板3…は、本体2内に取り付けられて、展示物が載置されるものである。ここでは、1つの壁掛け型展示棚1に対して複数枚(図示例では3枚)が用いられている。
【0039】
この棚板3…は、たとえば耐衝撃用ポリスチレン(HIPS)等の不透明な合成樹脂の成型品として構成され、図10等に示すように、平坦な上面をなす上部板部31と下方に突出する強度確保用のリブ32とから構成されている。
【0040】
この棚板3…は、本体2の内側空間の奥行き(前後幅)よりも前後長さが長く構成されており、図3等に示すように、その先端部分が本体2の前面側の開口21より前方に突出する状態で、本体2の両側壁内側に設けられた棚挿込溝23…の任意の高さ位置に挿し込まれて本体2内に取り付けられる。
【0041】
(カバー)
カバー4は、本体2の開口21を覆って、本体2内にほこり等が進入することを防止し、展示物を保護するものである。このカバー4は、図3に示すように、本体2内に取り付けられた棚板3…の本体2の開口21より前方に突出した先端部分ごと本体2の開口21を覆うように、本体2の開口21から前方に膨らんだ形状に形成されている。具体的には、このカバー4は、後面側が開口したほぼ直方体形状の箱体からなる。このカバー4は、たとえばポリスチレン等の合成樹脂の成型品として構成されている。また、この本体2は、透明な材料から構成され、本体2内に収容される展示物を外部から視認できるようになっている。
【0042】
このように、カバー4は透明樹脂からなるため、不透明な桟や枠を用いることなく、前方に膨らんだ形状を容易かつ安価に製造することができる。
【0043】
このカバー4の前面42は、カバー4が本体2に取り付けられたとき、壁面Wにほぼ平行になるが、この前面42は、図4に示すように、その左右に対して中央が若干前方に突出する凸面形状をなすように構成されている。このような形状にすることにより、カバー4の前面を平面として形成する場合と比べて、若干の曲率の変化があっても判明しにくくなるため、設計上の形状から逸脱が許容される範囲が広くなり、カバー4を容易かつ低コストで製造することが可能となる。また、平面形状とするより高い強度的が得られる。
【0044】
このカバー4は、壁面Wに取り付けられた本体2に対して、着脱可能に取り付けられるようになっている。具体的には、図3に示すように、カバー4の上縁部内側には、本体2側の被係合部24,24に上側から係合する係合部44,44が左右対称に設けられている。この係合部44,44は、本体2側の被係合部24,24に設けられた突起部241,241と係合する孔部として形成されている。カバー4は、この係合部44,44における本体2側の突起部241,241との係合により本体2に対する前後方向および左右方向のずれが規制された状態で、本体2側の被係合部24,24の上面によってその重量が支持されるようになっている。
【0045】
カバー4の下縁部外面には、被ロック突起45,45が下方に突出して設けられている。この被ロック突起45,45は、本体2側のロック部材25,25がそれぞれ外側にスライドしたときには、ロック部材25,25と係合する。これにより、カバー4は、その下縁部が本体2の下縁部から前方に離れて開くことが防止されるようになっている。一方、被ロック突起45,45は、本体2側のロック部材25,25がそれぞれ内側にスライドしたときには、ロック部材25,25のとの係合が解かれる。これにより、図5に示すように、カバー4は、その下縁部が本体2の下縁部から前方に離れて開くことができるようになっている。
【0046】
(壁面固定部材)
壁面固定部材5は、壁面Wにネジ止めされ、被取付物である本体2を壁面Wに取り付けるための土台をなすものである。この壁面固定部材5は、平面状の両側部が上記本体2の一対の案内レール26,26に接触して挟み込まれる。この壁面固定部材5は、たとえばABS等の高い強度を有する合成樹脂の成型品として構成されている。
【0047】
図6に示すように、壁面固定部材5の上下端部それぞれの近傍には、壁面Wに面接触する取付部51が形成されており、この取付部51に、それぞれ固定ネジ孔52,52が設けられている。すなわち、この壁面固定部材5では、2つの固定ネジ孔52,52が上下に並んで設けられている。この固定ネジ孔52は、この壁面固定部材5を壁面Wにネジ止めするための固定ネジS,Sが挿通されるものである。
【0048】
壁面固定部材5の高さ方向中間部には、図10に示すように、壁面Wから前方に離間した離間部が形成されており、この離間部53に、複数の(ここでは5つの)ピン止め孔54…が上下方向に並んで設けられている。複数の各ピン止め孔54…は、離間部53を貫通している。この複数のピン止め孔54…は、任意の高さ位置のピン止め孔54…に後述する挿通ピンを挿入することによって、壁面固定部材5に本体2を結合させて取り付けるためのものである。
【0049】
壁面固定部材5の複数のピン止め孔54…の近傍の前面側には、図6等に示すように、後方に若干凹んだ嵌合凹部55…が、各ピン止め孔54…の周囲を囲むように連なって設けられている。この嵌合凹部55…は、上述した本体2側の挿通ピン孔27と、壁面固定部材5側の複数のピン止め孔54…のいずれかとの高さ位置が一致したときに、本体2側の嵌合凸部28と嵌合するようになっている。これにより、本体2を壁面固定部材5に取り付ける際に、壁面固定部材5に対する本体2の相対的な高さ位置が、挿通ピン孔27とピン止め孔54…の高さ位置が一致する結合可能な状態にあることを、設置作業者に容易に感知させるとともに、この状態で本体2と壁面固定部材5との相対的な高さ位置関係を仮固定して、挿通ピン6を挿入する設置作業の作業性を高めることができるようになっている。
【0050】
(挿通ピン)
挿通ピン6は、本体2の挿通ピン孔27を貫通し、さらに壁面固定部材5のピン止め孔54…のいずれかを貫通して、本体2の前面側と壁面固定部材5の後面側とに当接して押さえることで、本体(被取付物)2を壁面固定部材5に結合させるものである。この挿通ピン6は、たとえばABS等の合成樹脂の成型品として構成されている。
【0051】
この挿通ピン6は、図9(a)に示すように、拡開体61と押込体62との2つの部品から構成されている。拡開体61は、大径の頭部67とここから延びる複数本(例えば4本)の脚部63…を有し、軸方向に孔部64が形成されている。押込体62は、大径のネジ部66とここから延びるネジ部62とを有している。そして、このように構成された拡開体61の孔部64に押込体62のネジ部62を押し込むことで、図9(b)に示すように、拡開体61の複数本の脚部63…が互いに離間するように開くようになっている。一方、拡開体61の複数本の脚部63…の内側には押込体62のネジ部62と係合する図示しない1または複数の突起が形成されており、拡開体61に押し込んだ押込体62を所定方向に回転させることで、押込体62を拡開体61から抜き取ることができるようになっている。
【0052】
(壁面への取付)
次に、以上のように構成された壁掛け型展示棚1を壁面Wに取り付ける設置作業について説明する。
【0053】
この壁掛け型展示棚1の壁面Wへの設置作業では、まず、壁面Wに壁面固定部材5を取り付ける。この際、図7に示すように、一般的な家屋の構造では壁材Bの奥側に上下方向に延びる間柱Cが存在するので、これを探し出し、壁面固定部材5の上下の固定ネジ孔52,52からこの間柱Cに対して、固定ネジS,Sをねじ込み、壁面固定部材5を壁面Wに取り付ける。
【0054】
このように間柱Cに壁面固定部材5をねじ込むことで壁面固定部材5の壁面Wへの高い取付強度を得ることができる。このとき、壁面固定部材5の固定ネジ孔52,52は上下に設けられているため、1本の間柱Cに対して、確実に2本の固定ネジS,Sをねじ込むことが可能である。また、固定ネジS,Sは上下に配されているので左右に配されている場合と比べ、下向きに作用する荷重に対して強度面で有利である。
【0055】
次に、壁面Wに取り付けられた壁面固定部材5に対し、本体2を取り付ける。この作業では、作業者から直接には見えない不透明な本体2の背面側(後面側)に壁面固定部材5を取り付けることとなる。しかしながら、本体2の後面側には一対の案内レール26,26が本体2の上下端近傍まで延びているため、一対の案内レール26,26の上端近傍または下端近傍等の分かりやすい部位に壁面固定部材5を嵌め込むことで、壁面固定部材5と本体2との左右方向の位置合わせを容易に行うことができる。また同時に、壁面固定部材5に対して本体2が斜めに傾かないように水平合わせ(姿勢合わせ)も完了できる。
【0056】
こうして壁面固定部材5が本体2の一対の案内レール26,26に挟み込まれれば、壁面固定部材5をこの一対の案内レール26,26に沿わせて本体2を上下にスライド動作させることで、本体2の挿通ピン孔27と壁面固定部材5の複数のピン止め孔54…の高さ位置が一致する位置を容易に見つけることができる。とくに、本体2の挿通ピン孔27と壁面固定部材5の複数のピン止め孔54…の高さ位置が一致すると、本体2の嵌合凸部28が壁面固定部材5の嵌合凹部55…に嵌り込むため、この両ピン孔27,54…が一致する状態を特に容易に知ることができる。
【0057】
そして、図10に示すように、壁面固定部材5に設けられた複数の(ここでは5つの)ピン止め孔54…から、本体2の挿通ピン孔27を一致させたときに、本体2が設置したい高さ位置になるピン止め孔54…を決定し、このピン止め孔54と本体2の挿通ピン孔27とを一致させた状態で、ここに挿通ピン6を挿通する。本体2の挿通ピン孔27および壁面固定部材5のピン止め孔54を挿通された挿通ピン6は、拡開体61の頭部67が本体2の挿通ピン孔27の前面側周囲に当接し、拡開体61の拡開された拡開脚部63…が壁面固定部材5のピン止め孔54の後面側周囲に当接して、本体2と壁面固定部材5とが離間しないように押さえ込み、本体2を壁面固定部材5に結合させる。
【0058】
このように、本体2を壁面固定部材5に結合させる際、本体2の前面側から挿通ピン6を挿入すればよいため、設置作業が容易である。また、このときにも、本体2の嵌合凸部28が壁面固定部材5の嵌合凹部55…に嵌り込むことで本体2と壁面固定部材5の相対的な高さ位置が仮固定されているため、挿通ピン6を挿通させる作業も容易に行うことができる。また、壁面固定部材5には複数のピン止め孔54…が設けられているため、壁面固定部材5を壁面Wに取り付けた後であっても、壁掛け型展示棚1の取り付け高さ位置を調整することができる。また、本体2には挿通ピン孔27は1つだけしか設けられておらず、ここに挿通ピン6が挿入されるため、見栄えがよい。
【0059】
本体2が壁面固定部材5を介して壁面Wに取り付けられれば、展示物の大きさに応じて、1または複数枚の棚板3…を任意の高さの棚挿込溝23…に挿し込んで取り付け、この棚板3…上に、展示物を載置する。
【0060】
こうして棚板3上に展示物が載置されれば、本体2の上縁部の被係合部24,24にカバー4の係合部44,44を係合させ、本体2の下縁部のロック部材25,25を内側にスライドさせた状態でカバー4を本体2の開口21に被せ、ロック部材25,25を外側にスライドさせてカバー4の被ロック突起45,45に係合させて、カバー4が開かないように固定する。以上で一連の設置作業は完了する。
【0061】
このような壁掛け型展示棚1によると、展示物が載置される棚板3…は本体2の前面側の開口21から前方に突出してカバー4に覆われるため、この棚板3…に展示される展示物はその正面姿だけでなく、左右側面の姿も容易に視認することができ、立体的な展示物の特性を生かした興趣性に富んだ展示ができる。
【0062】
また、壁面固定部材5を本体2の一対の案内レール26,26で挟み込んだ構成としたため、壁面固定部材5に対して本体2ががたつくことを極力防止して安定した取付状態を得ることができる。
【0063】
また、壁面固定部材5を本体2の一対の案内レール26,26で挟み込んだ構成としたため、棚板3…に左右アンバランスな重量配分で展示物を収容し展示した場合であっても、本体2が斜めに傾くことを防止することができる。
【0064】
また、ロック部材25,25等によるロック構造によってカバー4を本体2から離間しないようにできるので、地震等によりカバー4が不意に開いて展示物が落下してしまうことも未然に防止することができる。
【0065】
一方、本体2内の展示物を入れ替えたり、棚板3…の高さ位置を変更したりする場合には、ロック部材25,25を内側にスライドさせてロックを解除し、カバー4の下縁部を手前に持ち上げ、さらに、上部の係合部44,44および被係合部24,24の係合が外れるように、カバー4を全体として上方に持ち上げることで、カバー4を本体2から完全に取り外すことができる。これにより、本体2を壁面Wに取り付けた状態のままで、本体2の開口21は全面的に開放され、展示物の入れ替え等の作業を、カバーを片手で支えたりすることなく、容易に行うことができる。
【0066】
また、展示物の載置された位置や向き等を少しだけ修正したいという場合には、ロック部材25,25を内側にスライドさせてロックを解除し、カバー4上部の係合部44,44が本体2の被係合部24,24から外れない範囲で、カバー4の下縁部を手前に持ち上げて、カバー4の下側から本体2の開口部21に手を入れることが可能である。これにより、カバー4を外してしまうことなく、少しの修正作業等であれば非常に簡易に行うことができる。
【0067】
(その他の実施形態)
以上、本発明を一実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように構成してもよい。
【0068】
(1)上記実施形態では、一対の案内レール26,26を本体2の上端近傍から下端近傍にまで至るものとしたが、壁面固定部材5を納められる長さを有していればよい。
【0069】
(2)上記実施形態では、挿通ピンは、拡開体61に押し込み体62を押し込むことでワンタッチで本体2と壁面固定部材5とを結合させることができるものとしたが、本体2の前面側から本体2の挿通ピン孔27に挿入して、本体2と壁面固定部材5と結合させることができるものであればよい。例えばネジでもよい。
【0070】
(3)上記実施形態では、壁面固定部材5の挿通ピン孔54…は壁面固定部材5を貫通するようにしたが、挿通ピン孔は挿通ピン6が挿入されることによって本体2と壁面固定部材5とを結合できるものであればよい。たとえば挿通ピン6先端に設けられる係合手段等と結合する被係合手段や、挿通ピン6先端に設けられるネジ部がねじ込まれる有底のネジ孔でもよい。
【0071】
(4)上記実施形態では、本体2の嵌合凸部28および壁面固定部材5の嵌合凹部55…を、それぞれ挿通ピン孔27およびピン止め孔54…の周囲を囲む形状に構成したが、挿通ピン孔7とピン止め孔54…との高さ位置が一致したときに互いに嵌合して、本体2と壁面固定部材5の相対的な高さ位置を仮固定できる形態であれば種々の形態を採用しうる。
【0072】
(5)上記実施形態では、壁面固定部材5のピン止め孔54…を複数設けたが、1つだけとしてもよい。
【0073】
(6)上記実施形態では、本体2の挿通ピン孔27を1つだけとしたが、2つ以上設けてもよい。
【0074】
(7)上記実施形態では、壁面固定部材5の両側部のほぼ全長で一対の案内レール26,26に接触して挟み込まれるようにしたが、壁面固定部材5の形態はこれに限定されるものではない。ただし、壁面固定部材5の少なくとも左右両側の上部および下部において一対の案内レール26,26に接触するようにすれば、一対の案内レール26,26に対する壁面固定部材5の傾きやガタつきを防止できるため、好ましい。
【0075】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる壁面取付構造によると、壁面固定部材はその上下の固定ネジ孔で壁面にネジ止めされるため、一方(たとえば上側)の固定ネジ孔で壁材の奥の間柱を捉えれば他方(たとえば下側)の固定ネジ孔でも必ず間柱を捉えることができる。このため、高い取付強度が得られる。
【0076】
また、壁面固定部材は、上下に離れた固定ネジ孔において壁面にネジ止めされるため、左右に離れたネジ孔でネジ止めされる場合と比べ、下向きに作用する被取付物の重量に対して、固定強度面で有利である。
【0077】
また、壁面にネジ止めされた壁面固定部材に被取付物を取り付ける際、挿通ピンを被取付物の前面側から挿し込めばよいため、設置作業が容易である。
【0078】
また、壁面にネジ止めされた壁面固定部材に被取付物を取り付ける際、壁面固定部材は被取付物の一対の案内レールに挟まれて案内されることで、被取付物は上下にしか動かず、左右への移動が規制されるため、設置作業が容易である。
【0079】
また、被取付物の一対の案内レールが壁面固定部材を左右から挟み込むため、被取付物が壁面固定部材に対してがたつくことが極力防止でき、被取付物を安定して壁面に取り付けることができる。
【0080】
また、被取付物の一対の案内レールが壁面固定部材を左右から挟み込むため、被取付物が斜めに傾いて取り付けられてしまうこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる壁面取付構造を適用した壁掛け型展示棚の正面側から見た斜視図である。
【図2】同壁掛け型展示棚を背面側から見た斜視図である。
【図3】同壁掛け型展示棚の側面図である。
【図4】同壁掛け型展示棚を上から見た平面図である。
【図5】同壁掛け型展示棚のカバーを開けた状態の斜視図である。
【図6】壁面固定部材の斜視図である。
【図7】壁面固定部材を壁面に取り付けた状態の斜視図である。
【図8】壁面固定部材が本体に取り付けられた状態を背面側から見た斜視図である。
【図9】挿通ピンの動作説明図である。
【図10】壁掛け型展示棚が壁面に設置された状態の側方断面図である。
【符号の説明】
1 壁掛け型展示棚(被取付物)
2 本体(被取付物)
25 ロック部材
26 一対の案内レール
27 挿通ピン孔
28 嵌合凸部
3 棚板
4 カバー
5 壁面固定部材
51 取付部
52 固定ネジ孔
53 離間部
54 ピン止め孔
55 嵌合凹部
6 挿通ピン
W 壁面
C 間柱
S 固定ネジ
Claims (5)
- 被取付物を、壁面にネジ止めされる壁面固定部材を介して前記壁面に取り付ける壁面取付構造であって、
前記壁面固定部材の上下端部それぞれの近傍には前記壁面にねじ込む固定ネジが挿通される固定ネジ孔が設けられ、
前記壁面固定部材の高さ方向中間部にはピン止め孔が設けられ、
前記被取付物の後面には前記壁面固定部材を回転不能かつ上下方向スライド可能に左右から挟み込む一対の案内レールが設けられ、
前記被取付物の前記一対の案内レールの間には、前後方向に貫通する挿通ピン孔が設けられ、
前記被取付物は、挿通ピンを前記挿通ピン孔に前面側から貫通して前記壁面固定部材の前記ピン止め孔に挿通させることにより、前記壁面固定部材に結合されることを特徴とする壁面取付構造。 - 前記ピン止め孔は、複数が上下方向に並んで設けられたことを特徴とする請求項1記載の壁面取り付け構造。
- 前記被取付物の前記挿通ピン孔は1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の壁面取付構造。
- 前記壁面固定部材の前記固定ネジ孔が設けられる上下端部近傍には、前記壁面に面接触する取付部が形成され、
前記壁面固定部材の前記ピン止め孔が設けられる高さ方向中間部は、前記壁面から前方に離間した離間部が形成され、
前記ピン止め孔は、前記離間部を貫通して設けられ、
前記挿通ピンは、前記ピン止め孔を貫通して前記離間部の後面を押さえることで前記被取付物を前記壁面固定部材に結合させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の壁面取付構造。 - 前記壁面固定部材の前記ピン止め孔の近傍の前面側および前記被取付物の前記挿通ピン孔の近傍の後面側には、前記ピン止め孔と前記挿通ピン孔の高さ位置が一致したときに互いに嵌合する嵌合凸部および嵌合凹部がそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の壁面取付構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002305651A JP2004138219A (ja) | 2002-10-21 | 2002-10-21 | 壁面取付構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002305651A JP2004138219A (ja) | 2002-10-21 | 2002-10-21 | 壁面取付構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004138219A true JP2004138219A (ja) | 2004-05-13 |
Family
ID=32452694
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002305651A Pending JP2004138219A (ja) | 2002-10-21 | 2002-10-21 | 壁面取付構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004138219A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100601441B1 (ko) | 2004-11-09 | 2006-07-18 | 주식회사 대우일렉트로닉스 | 벽걸이형 디스플레이 장치의 브라켓 구조 |
CN112971400A (zh) * | 2021-03-03 | 2021-06-18 | 唯想建筑设计(上海)有限公司 | 一种儿童活动室 |
-
2002
- 2002-10-21 JP JP2002305651A patent/JP2004138219A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100601441B1 (ko) | 2004-11-09 | 2006-07-18 | 주식회사 대우일렉트로닉스 | 벽걸이형 디스플레이 장치의 브라켓 구조 |
CN112971400A (zh) * | 2021-03-03 | 2021-06-18 | 唯想建筑设计(上海)有限公司 | 一种儿童活动室 |
CN112971400B (zh) * | 2021-03-03 | 2022-06-14 | 唯想建筑设计(上海)有限公司 | 一种儿童活动室 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20100200525A1 (en) | Adjustable Display Device | |
JP3595548B2 (ja) | 組立式ラック | |
US20170105553A1 (en) | Decorative article with receiving member | |
JP2004138219A (ja) | 壁面取付構造 | |
JP2004136017A (ja) | 壁掛け型展示棚 | |
JP3498648B2 (ja) | 配線カバー | |
JP4077302B2 (ja) | 配線カバー装置 | |
JP4553369B2 (ja) | 開口の開閉装置 | |
JPH07981Y2 (ja) | 机等における配線ダクト構造 | |
CN213640349U (zh) | 一种陈列挂架及其安装结构 | |
JP4594490B2 (ja) | 商品陳列棚 | |
JP4152380B2 (ja) | 収納ユニット及び収納ユニット用棚受け部 | |
JP4574886B2 (ja) | 引き出しのラッチレバー取付構造 | |
JP3051138U (ja) | 額 縁 | |
JPH052115Y2 (ja) | ||
JP3178139U (ja) | 載置物落下防止装置 | |
KR200401434Y1 (ko) | 액자 | |
KR100791593B1 (ko) | 라이터용 진열장 | |
JP2009071686A (ja) | 取付構造 | |
JP3843726B2 (ja) | 遊技機 | |
JP2000125954A (ja) | 陳列棚 | |
JPH0642531Y2 (ja) | 壁面等取付具 | |
KR200483886Y1 (ko) | 액자 | |
JP4418067B2 (ja) | 棚装置におけるパネルの取付構造 | |
JP6662677B2 (ja) | 表示装置 |