JP2004138119A - 管継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】管継手を接続相手の他の配管部材に接続する際、取り付け工具による締め込みに対して十分耐える機械的強度の係合部を有し、もって接続相手の配管部材との間に必要な接続強度が得易く、かつ接続部から流体への金属の溶出の恐れもない金属と合成樹脂の一体成形体からなる管継手を提供することにある。
【解決手段】前端部外周面に設けられ他部材とねじ接続されるねじ部と、該ねじ部後方の外周面に設けられ該ねじ部を他部材にねじ結合させるべく取り付け工具を係合させる係合部と、後端部に設けられ流体移送用の管を接続するための受口部とを有する管継手において、前記ねじ部の後半部と前記係合部とが一体で筒状の金属体により形成され、かつ前記受口部を含む管継手の接水面及び前記ねじ部の前半部とが合成樹脂で形成されていて、金属体と合成樹脂とが一体成形されていることを特徴とする管継手。
【選択図】 図1
【解決手段】前端部外周面に設けられ他部材とねじ接続されるねじ部と、該ねじ部後方の外周面に設けられ該ねじ部を他部材にねじ結合させるべく取り付け工具を係合させる係合部と、後端部に設けられ流体移送用の管を接続するための受口部とを有する管継手において、前記ねじ部の後半部と前記係合部とが一体で筒状の金属体により形成され、かつ前記受口部を含む管継手の接水面及び前記ねじ部の前半部とが合成樹脂で形成されていて、金属体と合成樹脂とが一体成形されていることを特徴とする管継手。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、給水栓等の接続に使用される金属体と合成樹脂とが一体成形された管継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から給水給湯管や暖房管をはじめとする流体移送管に、水栓器具等の配管部材を接続する場合、一般的に図5に示すような管継手1が使用されている。
この管継手1は、前端部外周面に他の配管部材にねじ接続するためのねじ部2(雄ねじ)を有し、このねじ部2の後方の外周面にはこのねじ部2を配管部材のねじ部にねじ結合させるべくスパナやトルクレンチ等の締め具を係合する係合部3が設けられ、さらに管継手1の後端部には流体移送用の管を接続するための受口部4とを有している。
【0003】
この種の管継手としては、真鍮等の金属を切削加工した金属製の管継手や、ポリブデンやポリエチレン等のオレフィン系樹脂を射出成形やブロー成形したもの、さらに架橋処理を施したもの、あるいはエンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックを射出成形したもの等各種合成樹脂からなる樹脂製の管継手がともに実用化されている。
さらに最近では、金属管と合成樹脂管といった異種材料からなる管同士を接続する管継手も現れ、例えば雌ねじ部の一部や雌ねじ部全体を金属で構成し、これをインサート成形して金属と合成樹脂とを一体成形したもの(特許文献1及び特許文献2)も提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平 8−210568号(平成8年8月20日公開)
【特許文献2】特開平10−103569号(平成10年4月21日公開)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、給水給湯用配管は、金属の溶出や腐食の問題がなく、衛生的である、という観点から鋼管のような金属製配管に代えて合成樹脂からなる配管を使用する傾向にある。その結果、これら配管に接続する管継手もまた従来の真鍮等からなる金属製の管継手から合成樹脂製の管継手に代えられつつある。
具体的には、真鍮製の管継手を使用した場合、真鍮内の鉛が流体中に溶出し、健康を害する、という問題がある。
そこで金属製のものから合成樹脂製の管継手に代えられつつあるが、例えば図5に示したような管継手1の場合、金属製に比して合成樹脂製のものは機械的強度が小さいから、スパナやトルクレンチ等締め付け工具を係合部3に係合させ、これを締め込んでいくと、係合部3が変形し易く、その結果、必要な締め付け力(接続強度)を得ることが難しい。また最悪の場合には、ねじ部2あるいはねじ部2と係合部3間で管継手1がねじ切れ、ここから流体が漏れ易い、という問題がある。またこの係合部3が一挙に変形しないとしても、基本的に合成樹脂は機械的強度が小さいから、長期的にはスパナやトルクレンチ等締め付け工具の締め付け力がストレスとして残留し、寿命が低下する、という問題もある。
ところで、ねじ切れの問題を解決するために、例えばトルクレンチで係合部3を締め付ける際、そのトルクを管理するやり方もあるが、概して管継手の取り付け作業は、作業性の悪い場所でやることが多く、その結果このようなトルク管理のやり方は作業者にとって煩わしい作業になっていて、できれば避けたい作業の一つである。
【0006】
そこで最近では前述した特許文献1,2に記載されているように金属と合成樹脂とを一体成形した管継手も提案されている。すなわち、機械的強度に劣る合成樹脂製の管継手を、一部金属に置き換えて機械的強度の不足を補おう、とするものである。
さて、特許文献1の図1に記載のものは、管継手本体端部内面に雌ねじを有する筒状の金属体を埋設し、該金属体の端部内面に切欠段部を周設し、該切欠段部を管継手本体から一体的に延出した合成樹脂で覆うとともに、その内面に前記金属体の内面に設けた雌ねじと連続する雌ねじを設けて漏水を防止している。
しかしながらこの管継手では、ねじ部を有する金属体内面が管継手内面に直接露出しているため、ねじ部に潜り込んだ流体と金属体のねじ部との接触は完全には避けがたいこと、また金属体と合成樹脂との弾性率の相違が原因で、両者間に剥離が起き易く、その剥離箇所に流体が回り込み易いこと、等の理由のために、このねじ部から流体への金属の溶出を完全には防止できない。すなわち飲料水を扱う給水管には使用できない。
また、この管継手を接続する際使用する工具の係合部は合成樹脂からなるため係合部がスパナ等で傷つけられ変形し易く、所望の締め付けトルク、すなわち接続強度が得られるか疑問である。また合成樹脂は基本的に機械的強度が小さいから、工具から受けた力が残留し、その寿命は短い。
【0007】
また特許文献2の図1に記載のものも、前述した特許文献1記載のもの同様に、内面に雌ねじが設けられた金属体が合成樹脂体にインサート成形されている。
この管継手にあっても特許文献1同様に、金属体のねじ部が管継手内面に直接露出した状態で配設されていること、また金属体と合成樹脂がその弾性率の違いに起因して剥離を起こし易いこと、等のため、ねじ部に流体が回り込み易く、やはり金属体と流体の接触を完全に防止することはできない。すなわち流体への金属の浸出を完全に防止することはできない。よってこの特許文献2に記載の管継手も飲料水を扱う管継手には不適当である。
またこの管継手を接続する際使用する工具の係合部も特許文献1記載のものと同じく合成樹脂からなるため、係合部がスパナ等で傷つけられ変形し易く、所望の締め付けトルクが得られるか疑わしい。すなわち、相手配管部材との間で充分な接続強度が得られるか疑問である。
そこで前記問題に鑑み本発明の目的は、管継手を接続相手の他の配管部材に接続する際、取り付け工具による締め込みに対して十分耐える機械的強度の係合部を有し、もって接続相手の配管部材との間に必要な接続強度が得易く、かつ接続部から流体への金属の溶出の恐れもない金属と合成樹脂の一体成形体からなる管継手を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成すべく本発明の請求項1記載の管継手は、前端部外周面に設けられ他部材とねじ接続されるねじ部と、該ねじ部後方の外周面に設けられ該ねじ部を他部材にねじ結合させるべく取り付け工具を係合させる係合部と、後端部に設けられ流体移送用の管を接続するための受口部とを有する管継手において、前記ねじ部の後半部と前記係合部とが一体で筒状の金属体により形成され、かつ前記受口部を含む管継手の接水面及び前記ねじ部の前半部とが合成樹脂で形成されていて、金属体と合成樹脂とが一体成形されていることを特徴としている。
このようにしてなる本発明の請求項1記載の管継手によれば、他の配管部材にこの管継手を取り付ける際、トルクが負荷する部分、すなわち、ねじ部の一部と取り付け工具が係合する係合部とが金属で構成されているため、工具による係合部の変形が起こり難く、安定した締め込みが可能である。また係合部のみならずねじ部の一部も金属体で形成されているため、ねじ部やねじ部と係合部間でねじ切れが起こる心配も少なくなり、長期にわたって使用できる。
また、受口部を含む管継手の接水面はもちろん、流体に接する恐れがあるねじ部の一部を含む管継手先端部も合成樹脂で形成されているため、金属の移送流体への溶出も防止され、もって金属の混入をよしとしない、例えば飲料水への適用も可能である。
【0009】
また請求項2に記載の本発明の管継手は、請求項1記載の管継手において、前記ねじ部はテーパねじであって、前記金属体のねじ部の先端は前記テーパねじの基準径の位置より管継手前端部側に位置していて、かつ前記金属体と前記合成樹脂との界面の一部には、管継手周方向に凹部または凸部が設けられていることを特徴としている。
このようにしてなる本発明の請求項2記載の管継手によれば、ねじとしてテーパねじを採用し、かつ前記金属体のねじ部の先端、すなわち、連続的なねじ部を構成している金属部分と合成樹脂部分の境界面が、前記テーパねじの基準径の位置より管継手前端部側に位置しているため、この管継手を他の配管部材にねじ込んだ際、合成樹脂からなるねじ部に過度の応力がより働き難くなり好ましい。
また金属体と合成樹脂との界面の一部には、管継手周方向に、好ましくは間歇的に凹部または凸部が設けられているので、例えばトルクレンチで係合部を締め付け回転せしめた時、前記凹部または凸部が金属体と合成樹脂の界面の滑りに対して抵抗力として作用するため、この回転力で金属体と合成樹脂の界面が剥がれ難くなり好ましい。
また、前述のように凹部または凸部が設けられている分、金属体と合成樹脂の剥離が起き難くなるので、この管継手を他の配管部材に締め込む際、トルク管理が不要になるケースも多くなり好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図1から図3を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示す。本発明の管継手1は、管継手1の前端部外周面に設けられ他部材とねじ接続されるねじ部2と、該ねじ部2後方の外周面に設けられ該ねじ部を他部材にねじ結合させるべく取り付け工具を係合させる係合部3と、後端部に設けられ流体移送用の管を接続するための受口部4とを有する管継手1であって、前記ねじ部2の後半部2bと前記係合部3とが一体で筒状の金属体5により形成され、かつ前記受口部4を含む管継手1の接水面6及び前記ねじ部2の前半部2aとが合成樹脂で形成されていて、金属体5と合成樹脂とが一体成形されている。
ここで符号10はねじ部2を構成する金属体5と合成樹脂からなる部分の境界を示している。すなわち、ねじ部2の合成樹脂からなる前半部2aと金属体5の外周面に設けられた後半部2bとは連続するねじ部2を構成している。
【0011】
ここで金属体5としては、真鍮が代表的な材料であり、合成樹脂としては、例えば、架橋ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニルサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリイミドをはじめとする耐熱性あるいは機械的強度に優れたエンジニアリングプラスチックや、これらを変性またはアロイ化させたもの、または強度を補強する目的で前記樹脂にビーズやファイバーを添加させたもの等も使用できる。また金属体5と合成樹脂の線膨張係数の違いによる成形時の歪を防止するため、一体成形を行う前に金属体5側を高温に保持するとか、合成樹脂成形時の残留応力を取り除くために成形後にこの管継手1をアニールする等、必要に応じて既知の成形方法を種々組み合わせる。例えば、アニールする場合には、合成樹脂の熱変形温度より10度高い温度から、合成樹脂が流動し、成形体の形状が変化してしまう温度以下の温度範囲でアニールし、例えば肉厚1mmの成形体なら約1時間程度アニールする。
【0012】
またこのねじ部2は平行ネジでも問題ないが、好ましくはテーパねじであって、前記金属体5のねじ部2bの先端、すなわち符号10が示す金属体5と合成樹脂からなる部分の境界は、前記テーパねじの基準径の位置20より管継手前端部側に位置している。さらに前記金属体5と前記合成樹脂との界面の一部には、管継手周方向に間欠的に凹部または凸部30,40が複数箇所設けられている。
【0013】
このようにしてなる本発明の管継手1によれば、他の配管部材にこの管継手1を取り付ける際、大きなトルクを受ける部分、すなわち、ねじ部2の後半部2bと取り付け工具が係合する係合部3、特に係合部3が金属体5で構成されているためこの部分の機械的強度が高く、取り付け工具で係合部3を締め込んでも、係合部3が変形し難い。よってこの管継手と配管部材との間に、安定した接続強度を得ることができる。また同時にねじ部2やねじ部2と係合部3間でねじ切れが起こり難くなる。
また、受口部4を含む管継手の接水面6はもちろん、流体に接する恐れがある管継手1の前端面を含む先端部、すなわちねじ部2の前半部2aも合成樹脂で形成されているため、金属体5から移送流体への金属の浸出も防止され、もって鉛等の金属の混入をよしとしない、例えば飲料水用の配管への適用も可能である。
【0014】
さらにまたねじ部2としてテーパねじを採用し、かつ前記金属体5のねじ部2bの先端、すなわち、連続的なねじ部2を構成している金属部分と合成樹脂部分の境界10を、前記テーパねじの基準径の位置20より管継手前端部側に位置させるように形成すれば、この管継手1を他の配管部材にねじ込んだ際、合成樹脂からなるねじ部に過度の応力が働き難くなり好ましい。またテーパねじを採用すると、接続相手の他の配管部材とのねじ結合も、平行ねじ同士のねじ結合よりより強い接続強度を得ることができ、ねじ接続部からの漏水も起こり難くくなる。
ここで前述した基準径の位置とは、JIS B 0203に規定されている管用テーパねじに関して定義されているように、雄ねじの小径端から基準長さの位置をいい、概略的には、雄ねじを雌ねじに挿入した際、テーパ状の雄ねじの小径端が雌ねじに最初に衝突し、雌ねじに対して雄ねじの位置が定まる位置をいう。
【0015】
さらにまた、金属体5と合成樹脂との界面の一部には、管継手周方向に間欠的に凹部または凸部30あるいは40を設ければ、例えばトルクレンチで係合部3を締め付け、回転せしめた時、この凹部または凸部30あるいは40が金属体5と合成樹脂の周方向のすべりに対して抵抗力として作用するため、トルクレンチのよる回転方向の力による金属体5と合成樹脂からなる部分がより剥がれ難くなり好ましい。なお凹部または凸部30あるいは40はトルク負荷が比較的小さい管継手ならなくともよい。ただし、大きなトルクが掛かる管継手にあっては凹部または凸部30あるいは40いずれか一方または両方を、管継手周方向に複数箇所、好ましくは均一間隔で間歇的に設けるとよい。いずれにせよ管継手1に加えられるトルクの大きさを考慮し、必要に応じて設計すればよい。
【0016】
【実施例】
以下に、本発明の実施例および比較例を示すとともに、各々について性能等評価したので、その評価結果も示す。
「実施例1」
図1に示す形状の管継手であって、合成樹脂としてポリフェニルサルフォン、金属体5としてCAC406C(青銅6種連鋳材)、いわゆる真鍮を用いた。なお、ねじ部2はテーパねじであり、ねじ部2における合成樹脂製のねじ部2aと金属体5に設けられたねじ部2bの境界10は、このテーパねじの基準径の位置20よりは管継手1の前端側に位置している。凹部または凸部30、40は管継手の周方向に間歇的に複数個設けた。
この管継手1を、万力に固定した雌ねじを有する配管部材に、トルク管理をせずにスパナを使って、かつ通常の作業手順で締め込める位置まで締め込んだ。この状態を目視で観察するとともにJIS K 6770−1999に従い、継手の性能試験(気密試験、水密試験、耐圧試験)及び金属の浸出(溶出)試験を行った。
その結果、この管継手においては、配管部材に対して大きな力で締め込んだにも関わらず、係合部3の変形はなく、また金属体5と合成樹脂間の剥離は見当たらず、ねじ切れもなかった。加えて前述した管継手の各性能試験はすべて合格し、金属、具体的には鉛の溶出も確認されなかった。
【0017】
「実施例2」
図2も本発明の一実施例を示す半縦断面図である。実施例1との構造上の相違は、凹部または凸部30、40がない点のみで、それ以外は同じである。
なお、相手の配管部材にねじ込む際には、凹部または凸部30、40がないことを考慮してトルク管理を行った。
実施例1同様に評価した結果、実施例2のものでも係合部3の変形は見当たらず、合成樹脂製部分と金属体5間の剥離もなかった。また気密性試験等の性能試験も合格しており、浸出試験でも鉛の溶出は確認されなかった。
【0018】
「実施例3」
実施例1と同様の構造であって、実施例1との相違は、合成樹脂がポリエーテルイミドである点のみである。なお、配管部材に取り付ける際、トルク管理は行わなかった。
実施例1同様に評価した結果、実施例3のものでも係合部3の変形はなく、合成樹脂製部分と金属体5の剥離も見当たらなかった。また気密性試験等の性能試験も合格しており、浸出試験でも鉛の溶出は確認されなかった。
【0019】
「実施例4」
実施例1と同様の構造であって、実施例1との相違は、合成樹脂としてポリサルフォンを使用した点のみである。また実施例1に同じくトルク管理も行わなかった。
実施例1と同様に評価した結果、実施例4のものでも係合部3に変形は発見されず、合成樹脂製部分と金属体5の剥離も見当たらなかった。また気密性試験等の性能試験も合格しており、鉛の溶出も確認されなかった。
【0020】
「実施例5」
実施例1と同様の構造であって、実施例1との相違は、合成樹脂としてポリエーテルサルフォンを使用した点のみである。また実施例1と同じく、他の配管部材への取り付け時、トルク管理は行わなかった。
実施例1と同様に評価した結果、実施例5のものでも係合部3の変形も合成樹脂製部分と金属体5の剥離も見当たらなかった。また気密性試験等の性能試験も合格しており、鉛の溶出も確認されなかった。
【0021】
「実施例6」
実施例1と同様の構造であって、実施例1との相違は、合成樹脂としてポリフェニレンスルフィドを使用した点のみである。そして締め込み作業の際にはトルク管理は行わなかった。
実施例1と同様に評価した結果、実施例6のものでも係合部3の変形も合成樹脂製部分と金属体5の剥離も見当たらなかった。また気密性試験等の性能試験も合格しており、鉛の溶出も確認されなかった。
【0022】
「実施例7」
図3に示すように、金属体5のねじ部2bと合成樹脂からなるねじ部2aの境界10が管継手1の前部端から見た場合、テーパねじの基準径の位置20より後方にある点以外は実施例1に同じである。この管継手1を慎重にトルク管理しながら接続相手の配管部材にねじ結合させた。
実施例1と同様に評価した結果、実施例7のものでも係合部3の変形および合成樹脂製部分と金属体5の剥離は見当たらなかった。気密性試験等の性能試験はすべて合格し、鉛の溶出も確認されなかった。
ただし、前述したように金属体5のねじ部2bと合成樹脂製のねじ部2aの境界10が基準径の位置20より管継手1の後端側によっているため、ねじりに対して実施例1のものより弱いためトルク管理が必要であった。それ故、実施例7のものは、締め付け力が小さくてよい管継手用に使用すべきである。
【0023】
「比較例1」
図4に比較例1を示す。図1に記載の実施例との相違は、ねじ部2がすべて金属体5により形成されている点である。すなわち、管継手1の前端部まで金属体5が延びていて、その端部が管継手1の先端部において露出している点である。その結果、凹部または凸部40は設けられているが、凹部または凸部30は設けられていない。これ以外は金属体5の材質および合成樹脂の材料は実施例1に同じである。
比較例1の管継手1をトルク管理をせずに相手側の配管部材に締め込み、実施例1と同様にして評価した。その結果、係合部3の変形やねじ切れは見当たらなかったが、管継手1の前端部で金属体5が合成樹脂で覆われていず直接露出しているため、また前端部近傍で両者の弾性率の差に起因する剥離が起こり、その剥離箇所に流体が回り込んだためか、流体中に鉛の溶出が見られた。
【0024】
「比較例2」
比較例2として、図5に示す構造で、全体をCAC406C、すなわち全体をすべて真鍮で形成した。比較例2のものは、機械的強度は優れているからスパナでこの管継手を配管部材に締め込む際、トルク管理は不要であるが、移送する流体と金属体が直接接触しているため、鉛の溶出は防止できなかった。
【0025】
「比較例3」
比較例3として図5の構造ですべてポリエチレンで構成したものを用意した。これを他の例と同様に他の配管部材に取り付けたが、取り付け時トルク管理を行わないで締め込んでいったら、途中で係合部3が損傷し、かつねじ部2の部分でねじ切れが発生した。それ故、性能試験は行わなかった。
【0026】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の管継手によれば、他の配管部材にこの管継手を取り付ける際、大きなトルクを受ける部分、すなわち、取り付け工具が係合する係合部とねじ部の後半部とが金属体で構成されているため、特に係合部が金属体で構成されているため、すべて合成樹脂により構成されているものより機械的強度が高い。それ故、取り付け工具で係合部を締め込んでも、係合部が変形し難く、それ故に、この管継手と配管部材間に十分な接続強度を得ることができる。またねじ部やねじ部と係合部間でねじ切れが起こり難くなった。
加えて受口部を含む管継手の接水面はもちろん、流体に接する恐れがある管継手の前端面を含む先端部、すなわちねじ部の前半部も合成樹脂で形成されているため、金属体から移送流体への金属の浸出も防止され、もって金属の混入をよしとしない、例えば飲料水用配管への適用も可能である。
【0027】
本発明の請求項2記載の管継手によれば、ねじ部としてテーパねじを採用し、かつ前記金属体のねじ部の先端、すなわち、連続的なねじ部を構成している金属部分と合成樹脂部分の境界が、テーパねじの基準径の位置より管継手前端部側に位置しているため、この管継手を他の配管部材にねじ込んだ際、合成樹脂からなる部分に過度の応力が働くことがなく好ましい。またテーパねじを採用しているため、接続相手の他の配管部材とのねじ結合も、平行ねじ同士のねじ結合より強く、その結果、配管部材との接続部からの漏水もより起こり難い。
【0028】
さらにまた、金属体と合成樹脂との界面の一部には、管継手周方向に、好ましくは間欠的に凹部または凸部を設けたので、例えばトルクレンチで係合部を締め付け回転せしめた時、金属体と合成樹脂からなる部分がより剥がれ難くなり好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す半縦断面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す半縦断面図である。
【図3】本発明の一実施例を示す半縦断面図である。
【図4】比較例を示す半縦断面図である。
【図5】従来の管継手を示す半縦断面図である。
【符号の説明】
1 管継手
2 ねじ部
3 係合部
4 受口部
5 金属体
6 接水面
【発明の属する技術分野】
本発明は、給水栓等の接続に使用される金属体と合成樹脂とが一体成形された管継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から給水給湯管や暖房管をはじめとする流体移送管に、水栓器具等の配管部材を接続する場合、一般的に図5に示すような管継手1が使用されている。
この管継手1は、前端部外周面に他の配管部材にねじ接続するためのねじ部2(雄ねじ)を有し、このねじ部2の後方の外周面にはこのねじ部2を配管部材のねじ部にねじ結合させるべくスパナやトルクレンチ等の締め具を係合する係合部3が設けられ、さらに管継手1の後端部には流体移送用の管を接続するための受口部4とを有している。
【0003】
この種の管継手としては、真鍮等の金属を切削加工した金属製の管継手や、ポリブデンやポリエチレン等のオレフィン系樹脂を射出成形やブロー成形したもの、さらに架橋処理を施したもの、あるいはエンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックを射出成形したもの等各種合成樹脂からなる樹脂製の管継手がともに実用化されている。
さらに最近では、金属管と合成樹脂管といった異種材料からなる管同士を接続する管継手も現れ、例えば雌ねじ部の一部や雌ねじ部全体を金属で構成し、これをインサート成形して金属と合成樹脂とを一体成形したもの(特許文献1及び特許文献2)も提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平 8−210568号(平成8年8月20日公開)
【特許文献2】特開平10−103569号(平成10年4月21日公開)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、給水給湯用配管は、金属の溶出や腐食の問題がなく、衛生的である、という観点から鋼管のような金属製配管に代えて合成樹脂からなる配管を使用する傾向にある。その結果、これら配管に接続する管継手もまた従来の真鍮等からなる金属製の管継手から合成樹脂製の管継手に代えられつつある。
具体的には、真鍮製の管継手を使用した場合、真鍮内の鉛が流体中に溶出し、健康を害する、という問題がある。
そこで金属製のものから合成樹脂製の管継手に代えられつつあるが、例えば図5に示したような管継手1の場合、金属製に比して合成樹脂製のものは機械的強度が小さいから、スパナやトルクレンチ等締め付け工具を係合部3に係合させ、これを締め込んでいくと、係合部3が変形し易く、その結果、必要な締め付け力(接続強度)を得ることが難しい。また最悪の場合には、ねじ部2あるいはねじ部2と係合部3間で管継手1がねじ切れ、ここから流体が漏れ易い、という問題がある。またこの係合部3が一挙に変形しないとしても、基本的に合成樹脂は機械的強度が小さいから、長期的にはスパナやトルクレンチ等締め付け工具の締め付け力がストレスとして残留し、寿命が低下する、という問題もある。
ところで、ねじ切れの問題を解決するために、例えばトルクレンチで係合部3を締め付ける際、そのトルクを管理するやり方もあるが、概して管継手の取り付け作業は、作業性の悪い場所でやることが多く、その結果このようなトルク管理のやり方は作業者にとって煩わしい作業になっていて、できれば避けたい作業の一つである。
【0006】
そこで最近では前述した特許文献1,2に記載されているように金属と合成樹脂とを一体成形した管継手も提案されている。すなわち、機械的強度に劣る合成樹脂製の管継手を、一部金属に置き換えて機械的強度の不足を補おう、とするものである。
さて、特許文献1の図1に記載のものは、管継手本体端部内面に雌ねじを有する筒状の金属体を埋設し、該金属体の端部内面に切欠段部を周設し、該切欠段部を管継手本体から一体的に延出した合成樹脂で覆うとともに、その内面に前記金属体の内面に設けた雌ねじと連続する雌ねじを設けて漏水を防止している。
しかしながらこの管継手では、ねじ部を有する金属体内面が管継手内面に直接露出しているため、ねじ部に潜り込んだ流体と金属体のねじ部との接触は完全には避けがたいこと、また金属体と合成樹脂との弾性率の相違が原因で、両者間に剥離が起き易く、その剥離箇所に流体が回り込み易いこと、等の理由のために、このねじ部から流体への金属の溶出を完全には防止できない。すなわち飲料水を扱う給水管には使用できない。
また、この管継手を接続する際使用する工具の係合部は合成樹脂からなるため係合部がスパナ等で傷つけられ変形し易く、所望の締め付けトルク、すなわち接続強度が得られるか疑問である。また合成樹脂は基本的に機械的強度が小さいから、工具から受けた力が残留し、その寿命は短い。
【0007】
また特許文献2の図1に記載のものも、前述した特許文献1記載のもの同様に、内面に雌ねじが設けられた金属体が合成樹脂体にインサート成形されている。
この管継手にあっても特許文献1同様に、金属体のねじ部が管継手内面に直接露出した状態で配設されていること、また金属体と合成樹脂がその弾性率の違いに起因して剥離を起こし易いこと、等のため、ねじ部に流体が回り込み易く、やはり金属体と流体の接触を完全に防止することはできない。すなわち流体への金属の浸出を完全に防止することはできない。よってこの特許文献2に記載の管継手も飲料水を扱う管継手には不適当である。
またこの管継手を接続する際使用する工具の係合部も特許文献1記載のものと同じく合成樹脂からなるため、係合部がスパナ等で傷つけられ変形し易く、所望の締め付けトルクが得られるか疑わしい。すなわち、相手配管部材との間で充分な接続強度が得られるか疑問である。
そこで前記問題に鑑み本発明の目的は、管継手を接続相手の他の配管部材に接続する際、取り付け工具による締め込みに対して十分耐える機械的強度の係合部を有し、もって接続相手の配管部材との間に必要な接続強度が得易く、かつ接続部から流体への金属の溶出の恐れもない金属と合成樹脂の一体成形体からなる管継手を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成すべく本発明の請求項1記載の管継手は、前端部外周面に設けられ他部材とねじ接続されるねじ部と、該ねじ部後方の外周面に設けられ該ねじ部を他部材にねじ結合させるべく取り付け工具を係合させる係合部と、後端部に設けられ流体移送用の管を接続するための受口部とを有する管継手において、前記ねじ部の後半部と前記係合部とが一体で筒状の金属体により形成され、かつ前記受口部を含む管継手の接水面及び前記ねじ部の前半部とが合成樹脂で形成されていて、金属体と合成樹脂とが一体成形されていることを特徴としている。
このようにしてなる本発明の請求項1記載の管継手によれば、他の配管部材にこの管継手を取り付ける際、トルクが負荷する部分、すなわち、ねじ部の一部と取り付け工具が係合する係合部とが金属で構成されているため、工具による係合部の変形が起こり難く、安定した締め込みが可能である。また係合部のみならずねじ部の一部も金属体で形成されているため、ねじ部やねじ部と係合部間でねじ切れが起こる心配も少なくなり、長期にわたって使用できる。
また、受口部を含む管継手の接水面はもちろん、流体に接する恐れがあるねじ部の一部を含む管継手先端部も合成樹脂で形成されているため、金属の移送流体への溶出も防止され、もって金属の混入をよしとしない、例えば飲料水への適用も可能である。
【0009】
また請求項2に記載の本発明の管継手は、請求項1記載の管継手において、前記ねじ部はテーパねじであって、前記金属体のねじ部の先端は前記テーパねじの基準径の位置より管継手前端部側に位置していて、かつ前記金属体と前記合成樹脂との界面の一部には、管継手周方向に凹部または凸部が設けられていることを特徴としている。
このようにしてなる本発明の請求項2記載の管継手によれば、ねじとしてテーパねじを採用し、かつ前記金属体のねじ部の先端、すなわち、連続的なねじ部を構成している金属部分と合成樹脂部分の境界面が、前記テーパねじの基準径の位置より管継手前端部側に位置しているため、この管継手を他の配管部材にねじ込んだ際、合成樹脂からなるねじ部に過度の応力がより働き難くなり好ましい。
また金属体と合成樹脂との界面の一部には、管継手周方向に、好ましくは間歇的に凹部または凸部が設けられているので、例えばトルクレンチで係合部を締め付け回転せしめた時、前記凹部または凸部が金属体と合成樹脂の界面の滑りに対して抵抗力として作用するため、この回転力で金属体と合成樹脂の界面が剥がれ難くなり好ましい。
また、前述のように凹部または凸部が設けられている分、金属体と合成樹脂の剥離が起き難くなるので、この管継手を他の配管部材に締め込む際、トルク管理が不要になるケースも多くなり好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図1から図3を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示す。本発明の管継手1は、管継手1の前端部外周面に設けられ他部材とねじ接続されるねじ部2と、該ねじ部2後方の外周面に設けられ該ねじ部を他部材にねじ結合させるべく取り付け工具を係合させる係合部3と、後端部に設けられ流体移送用の管を接続するための受口部4とを有する管継手1であって、前記ねじ部2の後半部2bと前記係合部3とが一体で筒状の金属体5により形成され、かつ前記受口部4を含む管継手1の接水面6及び前記ねじ部2の前半部2aとが合成樹脂で形成されていて、金属体5と合成樹脂とが一体成形されている。
ここで符号10はねじ部2を構成する金属体5と合成樹脂からなる部分の境界を示している。すなわち、ねじ部2の合成樹脂からなる前半部2aと金属体5の外周面に設けられた後半部2bとは連続するねじ部2を構成している。
【0011】
ここで金属体5としては、真鍮が代表的な材料であり、合成樹脂としては、例えば、架橋ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニルサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリイミドをはじめとする耐熱性あるいは機械的強度に優れたエンジニアリングプラスチックや、これらを変性またはアロイ化させたもの、または強度を補強する目的で前記樹脂にビーズやファイバーを添加させたもの等も使用できる。また金属体5と合成樹脂の線膨張係数の違いによる成形時の歪を防止するため、一体成形を行う前に金属体5側を高温に保持するとか、合成樹脂成形時の残留応力を取り除くために成形後にこの管継手1をアニールする等、必要に応じて既知の成形方法を種々組み合わせる。例えば、アニールする場合には、合成樹脂の熱変形温度より10度高い温度から、合成樹脂が流動し、成形体の形状が変化してしまう温度以下の温度範囲でアニールし、例えば肉厚1mmの成形体なら約1時間程度アニールする。
【0012】
またこのねじ部2は平行ネジでも問題ないが、好ましくはテーパねじであって、前記金属体5のねじ部2bの先端、すなわち符号10が示す金属体5と合成樹脂からなる部分の境界は、前記テーパねじの基準径の位置20より管継手前端部側に位置している。さらに前記金属体5と前記合成樹脂との界面の一部には、管継手周方向に間欠的に凹部または凸部30,40が複数箇所設けられている。
【0013】
このようにしてなる本発明の管継手1によれば、他の配管部材にこの管継手1を取り付ける際、大きなトルクを受ける部分、すなわち、ねじ部2の後半部2bと取り付け工具が係合する係合部3、特に係合部3が金属体5で構成されているためこの部分の機械的強度が高く、取り付け工具で係合部3を締め込んでも、係合部3が変形し難い。よってこの管継手と配管部材との間に、安定した接続強度を得ることができる。また同時にねじ部2やねじ部2と係合部3間でねじ切れが起こり難くなる。
また、受口部4を含む管継手の接水面6はもちろん、流体に接する恐れがある管継手1の前端面を含む先端部、すなわちねじ部2の前半部2aも合成樹脂で形成されているため、金属体5から移送流体への金属の浸出も防止され、もって鉛等の金属の混入をよしとしない、例えば飲料水用の配管への適用も可能である。
【0014】
さらにまたねじ部2としてテーパねじを採用し、かつ前記金属体5のねじ部2bの先端、すなわち、連続的なねじ部2を構成している金属部分と合成樹脂部分の境界10を、前記テーパねじの基準径の位置20より管継手前端部側に位置させるように形成すれば、この管継手1を他の配管部材にねじ込んだ際、合成樹脂からなるねじ部に過度の応力が働き難くなり好ましい。またテーパねじを採用すると、接続相手の他の配管部材とのねじ結合も、平行ねじ同士のねじ結合よりより強い接続強度を得ることができ、ねじ接続部からの漏水も起こり難くくなる。
ここで前述した基準径の位置とは、JIS B 0203に規定されている管用テーパねじに関して定義されているように、雄ねじの小径端から基準長さの位置をいい、概略的には、雄ねじを雌ねじに挿入した際、テーパ状の雄ねじの小径端が雌ねじに最初に衝突し、雌ねじに対して雄ねじの位置が定まる位置をいう。
【0015】
さらにまた、金属体5と合成樹脂との界面の一部には、管継手周方向に間欠的に凹部または凸部30あるいは40を設ければ、例えばトルクレンチで係合部3を締め付け、回転せしめた時、この凹部または凸部30あるいは40が金属体5と合成樹脂の周方向のすべりに対して抵抗力として作用するため、トルクレンチのよる回転方向の力による金属体5と合成樹脂からなる部分がより剥がれ難くなり好ましい。なお凹部または凸部30あるいは40はトルク負荷が比較的小さい管継手ならなくともよい。ただし、大きなトルクが掛かる管継手にあっては凹部または凸部30あるいは40いずれか一方または両方を、管継手周方向に複数箇所、好ましくは均一間隔で間歇的に設けるとよい。いずれにせよ管継手1に加えられるトルクの大きさを考慮し、必要に応じて設計すればよい。
【0016】
【実施例】
以下に、本発明の実施例および比較例を示すとともに、各々について性能等評価したので、その評価結果も示す。
「実施例1」
図1に示す形状の管継手であって、合成樹脂としてポリフェニルサルフォン、金属体5としてCAC406C(青銅6種連鋳材)、いわゆる真鍮を用いた。なお、ねじ部2はテーパねじであり、ねじ部2における合成樹脂製のねじ部2aと金属体5に設けられたねじ部2bの境界10は、このテーパねじの基準径の位置20よりは管継手1の前端側に位置している。凹部または凸部30、40は管継手の周方向に間歇的に複数個設けた。
この管継手1を、万力に固定した雌ねじを有する配管部材に、トルク管理をせずにスパナを使って、かつ通常の作業手順で締め込める位置まで締め込んだ。この状態を目視で観察するとともにJIS K 6770−1999に従い、継手の性能試験(気密試験、水密試験、耐圧試験)及び金属の浸出(溶出)試験を行った。
その結果、この管継手においては、配管部材に対して大きな力で締め込んだにも関わらず、係合部3の変形はなく、また金属体5と合成樹脂間の剥離は見当たらず、ねじ切れもなかった。加えて前述した管継手の各性能試験はすべて合格し、金属、具体的には鉛の溶出も確認されなかった。
【0017】
「実施例2」
図2も本発明の一実施例を示す半縦断面図である。実施例1との構造上の相違は、凹部または凸部30、40がない点のみで、それ以外は同じである。
なお、相手の配管部材にねじ込む際には、凹部または凸部30、40がないことを考慮してトルク管理を行った。
実施例1同様に評価した結果、実施例2のものでも係合部3の変形は見当たらず、合成樹脂製部分と金属体5間の剥離もなかった。また気密性試験等の性能試験も合格しており、浸出試験でも鉛の溶出は確認されなかった。
【0018】
「実施例3」
実施例1と同様の構造であって、実施例1との相違は、合成樹脂がポリエーテルイミドである点のみである。なお、配管部材に取り付ける際、トルク管理は行わなかった。
実施例1同様に評価した結果、実施例3のものでも係合部3の変形はなく、合成樹脂製部分と金属体5の剥離も見当たらなかった。また気密性試験等の性能試験も合格しており、浸出試験でも鉛の溶出は確認されなかった。
【0019】
「実施例4」
実施例1と同様の構造であって、実施例1との相違は、合成樹脂としてポリサルフォンを使用した点のみである。また実施例1に同じくトルク管理も行わなかった。
実施例1と同様に評価した結果、実施例4のものでも係合部3に変形は発見されず、合成樹脂製部分と金属体5の剥離も見当たらなかった。また気密性試験等の性能試験も合格しており、鉛の溶出も確認されなかった。
【0020】
「実施例5」
実施例1と同様の構造であって、実施例1との相違は、合成樹脂としてポリエーテルサルフォンを使用した点のみである。また実施例1と同じく、他の配管部材への取り付け時、トルク管理は行わなかった。
実施例1と同様に評価した結果、実施例5のものでも係合部3の変形も合成樹脂製部分と金属体5の剥離も見当たらなかった。また気密性試験等の性能試験も合格しており、鉛の溶出も確認されなかった。
【0021】
「実施例6」
実施例1と同様の構造であって、実施例1との相違は、合成樹脂としてポリフェニレンスルフィドを使用した点のみである。そして締め込み作業の際にはトルク管理は行わなかった。
実施例1と同様に評価した結果、実施例6のものでも係合部3の変形も合成樹脂製部分と金属体5の剥離も見当たらなかった。また気密性試験等の性能試験も合格しており、鉛の溶出も確認されなかった。
【0022】
「実施例7」
図3に示すように、金属体5のねじ部2bと合成樹脂からなるねじ部2aの境界10が管継手1の前部端から見た場合、テーパねじの基準径の位置20より後方にある点以外は実施例1に同じである。この管継手1を慎重にトルク管理しながら接続相手の配管部材にねじ結合させた。
実施例1と同様に評価した結果、実施例7のものでも係合部3の変形および合成樹脂製部分と金属体5の剥離は見当たらなかった。気密性試験等の性能試験はすべて合格し、鉛の溶出も確認されなかった。
ただし、前述したように金属体5のねじ部2bと合成樹脂製のねじ部2aの境界10が基準径の位置20より管継手1の後端側によっているため、ねじりに対して実施例1のものより弱いためトルク管理が必要であった。それ故、実施例7のものは、締め付け力が小さくてよい管継手用に使用すべきである。
【0023】
「比較例1」
図4に比較例1を示す。図1に記載の実施例との相違は、ねじ部2がすべて金属体5により形成されている点である。すなわち、管継手1の前端部まで金属体5が延びていて、その端部が管継手1の先端部において露出している点である。その結果、凹部または凸部40は設けられているが、凹部または凸部30は設けられていない。これ以外は金属体5の材質および合成樹脂の材料は実施例1に同じである。
比較例1の管継手1をトルク管理をせずに相手側の配管部材に締め込み、実施例1と同様にして評価した。その結果、係合部3の変形やねじ切れは見当たらなかったが、管継手1の前端部で金属体5が合成樹脂で覆われていず直接露出しているため、また前端部近傍で両者の弾性率の差に起因する剥離が起こり、その剥離箇所に流体が回り込んだためか、流体中に鉛の溶出が見られた。
【0024】
「比較例2」
比較例2として、図5に示す構造で、全体をCAC406C、すなわち全体をすべて真鍮で形成した。比較例2のものは、機械的強度は優れているからスパナでこの管継手を配管部材に締め込む際、トルク管理は不要であるが、移送する流体と金属体が直接接触しているため、鉛の溶出は防止できなかった。
【0025】
「比較例3」
比較例3として図5の構造ですべてポリエチレンで構成したものを用意した。これを他の例と同様に他の配管部材に取り付けたが、取り付け時トルク管理を行わないで締め込んでいったら、途中で係合部3が損傷し、かつねじ部2の部分でねじ切れが発生した。それ故、性能試験は行わなかった。
【0026】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の管継手によれば、他の配管部材にこの管継手を取り付ける際、大きなトルクを受ける部分、すなわち、取り付け工具が係合する係合部とねじ部の後半部とが金属体で構成されているため、特に係合部が金属体で構成されているため、すべて合成樹脂により構成されているものより機械的強度が高い。それ故、取り付け工具で係合部を締め込んでも、係合部が変形し難く、それ故に、この管継手と配管部材間に十分な接続強度を得ることができる。またねじ部やねじ部と係合部間でねじ切れが起こり難くなった。
加えて受口部を含む管継手の接水面はもちろん、流体に接する恐れがある管継手の前端面を含む先端部、すなわちねじ部の前半部も合成樹脂で形成されているため、金属体から移送流体への金属の浸出も防止され、もって金属の混入をよしとしない、例えば飲料水用配管への適用も可能である。
【0027】
本発明の請求項2記載の管継手によれば、ねじ部としてテーパねじを採用し、かつ前記金属体のねじ部の先端、すなわち、連続的なねじ部を構成している金属部分と合成樹脂部分の境界が、テーパねじの基準径の位置より管継手前端部側に位置しているため、この管継手を他の配管部材にねじ込んだ際、合成樹脂からなる部分に過度の応力が働くことがなく好ましい。またテーパねじを採用しているため、接続相手の他の配管部材とのねじ結合も、平行ねじ同士のねじ結合より強く、その結果、配管部材との接続部からの漏水もより起こり難い。
【0028】
さらにまた、金属体と合成樹脂との界面の一部には、管継手周方向に、好ましくは間欠的に凹部または凸部を設けたので、例えばトルクレンチで係合部を締め付け回転せしめた時、金属体と合成樹脂からなる部分がより剥がれ難くなり好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す半縦断面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す半縦断面図である。
【図3】本発明の一実施例を示す半縦断面図である。
【図4】比較例を示す半縦断面図である。
【図5】従来の管継手を示す半縦断面図である。
【符号の説明】
1 管継手
2 ねじ部
3 係合部
4 受口部
5 金属体
6 接水面
Claims (2)
- 前端部外周面に設けられ他部材とねじ接続されるねじ部と、該ねじ部後方の外周面に設けられ該ねじ部を他部材にねじ結合させるべく取り付け工具を係合させる係合部と、後端部に設けられ流体移送用の管を接続するための受口部とを有する管継手において、前記ねじ部の後半部と前記係合部とが一体で筒状の金属体により形成され、かつ前記受口部を含む管継手の接水面及び前記ねじ部の前半部とが合成樹脂で形成されていることを特徴とする金属体と合成樹脂とが一体成形されてなる管継手。
- 前記ねじ部はテーパねじであって、前記金属体のねじ部の先端は前記テーパねじの基準径の位置より管継手前端部側に位置していて、かつ前記金属体と前記合成樹脂との界面の一部には、管継手周方向に凹部または凸部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の管継手。
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-
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