JP2004137329A - 応力発光性粒子、応力発光性人工砂、応力発光性粒子集合体、応力発光性柔軟構造体および応力発光性粒子の製造方法 - Google Patents

応力発光性粒子、応力発光性人工砂、応力発光性粒子集合体、応力発光性柔軟構造体および応力発光性粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】外力に応じて発光可能でしかも人間や環境に害がなく、軽量で取り扱いも快適に行うことができ、落下や投てきなどによる危険性も少なく、アミューズメント空間、都市空間、生活空間などのエンターテインメント性の向上を図ることができる応力発光性粒子を提供する。
【解決手段】応力発光粒子の粒径を0.01mm以上10mm以下とする。応力発光性粒子は応力発光性物質のみで形成してもよいし、応力発光性物質と有機物質または無機物質との複合物質で形成してもよく、中空構造としてもよい。応力発光性物質は例えばSrAl2 4 :Euであり、複合化する物質としては例えばポリエステル樹脂を用いる。この応力発光性粒子を用いて人工砂やビーズクッションを作る。
【選択図】    図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、応力発光性粒子、応力発光性人工砂、応力発光性粒子集合体、応力発光性柔軟構造体および応力発光性粒子の製造方法に関し、例えば、発光を効果的に利用するエンターテインメント分野、アミューズメント分野、都市空間の景観材料などに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、蛍光性物質として、希土類元素をドープしたアルミネート系物質が注目され、活発に研究が行われている。このようなアルミネート系物質としては、EuをドープしたSrAl2 4 (以下「SrAl2 4 :Eu」と書く)が、後述のように応力発光現象の報告を契機として、最も注目されている。そこで、まず、このSrAl2 4 :Euの研究開発経緯について、先行技術文献を挙げながら説明する。
【0003】
蛍光体であるSrAl 2  4  :Euの特許と研究経緯
SrAl2 4 :Euは、古くから蛍光体として研究された経緯があり、以下の特許が1960年代にすでに登録されており、今や公知の材料系と言える(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】
米国特許第3294699号明細書
【0004】
根本特殊化学(株)による蓄光材料/長残光蛍光体SrAl 2  4  :Eu+Dy(N夜光:商品名「ルミノーバ」)の発明と研究経緯
この蛍光体の詳細については多くの報告または解説がある(例えば、非特許文献1−9、特許文献2−4)
【非特許文献1】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.nemoto.co.jp/index j.html〉
【非特許文献2】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.nemoto.co.jp/products/luminova/index.html〉
【非特許文献3】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.nemoto.co.jp/product/01 luminova/index.html〉
【非特許文献4】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.nemoto.co.jp/column/10 glow.html 〉
【特許文献2】
特許第2543825号明細書
【特許文献3】
米国特許第5424006号明細書
【特許文献4】
欧州特許第622440号明細書
【非特許文献5】
松沢隆嗣、竹内信義、青木康充、村上義彦、第248回 蛍光体同学
会講演予稿集[Proc.Phosphor Res.Soc.](1993.11.26)7−13
【非特許文献6】
村上義彦、日経サイエンス、5(1996)20−29
【非特許文献7】
T.Matsuzawa,Y.Aoki,T.Takeuchi and Y.Murayama,J.Electrochem.Soc.,143(1996)2670−2673
【非特許文献8】
村上義彦、セラミックス、32(1997)40−43
【非特許文献9】
村上義彦、はかる、42(1997)2−7
【0005】
独立行政法人産業技術総合研究所センター・基礎素材研究部門・多機能材料技術研究グループの徐超男氏(元・通産省工業技術院・九州工業技術研究所・無機複合材料部・機能性セラミックス研究室)らによるSrAl 2  4  :Eu系材料における応力発光現象の発見と特許および研究経緯
この応力発光SrAl2 4 :Eu系材料や関連物質に関しては多くの解説や報告がある(例えば、非特許文献10−17、特許文献5−19参照)。特許文献5には、外部からの機械的エネルギーをウルツァイト(wurzite)型圧電材料で受けることにより発光し、内部に0.01〜20重量%の希土類あるいは遷移金属を含む材料が記載され、特許文献6にはこの材料を薄膜にしたものが記載されている。特許文献7には、機械的な外力を加えて生じる変形により発光する材料であり、MgAl2 4 、CaAl2 4 、Al2 3 、SrMgAl1017の母体材料に3d,4d,5d,4fの電子殻を有する遷移元素あるいは希土類元素を含む物質とその製造方法が記載されている。特許文献8には、金属酸化物/複合酸化物の母体結晶に3d,4d,5d,4fの電子殻を有する遷移元素あるいは希土類元素を発光中心イオンとして含む物質からなる、機械的変形により発光する材料が記載されている。特許文献9には、Sr3 Al2 6 ,Ga3 Al2 6 の母体材料に遷移元素や希土類を含む材料、 及び添加物質の量が0.01〜20重量%で800〜1700℃の還元雰囲気下で焼成させる製造方法が記載されている。特許文献10には、外部からの機械的エネルギーを光に変える材料において、Y−Ba−Mg−Si酸化物を母体材料とし、 希土類ないし遷移金属元素を発光中心とする材料が記載されている。特許文献11には、非化学量論組成のアルミン酸塩を規定した、機械的エネルギーによって発光する材料が記載されている。特許文献12には、可視光で励起させた蛍光体メモリーでmMO・nAl2 3 の材料系が記載されている。特許文献13には、応力発光材料を用いた応力分布の測定システムが記載されている。特許文献14には、メリライト型結晶構造の酸化物(例えば、CaYAl3 7 ,Ca2 Al2 SiO7 など)を母体とする、機械的エネルギーによって発光する材料が記載されている。特許文献15には、MN2 4 でM=Mg,Sr,Ba,Zn、N=Ga,Alで、それに発光中心として希土類あるいは遷移金属がドープされた材料系とその製造方法が記載されている。特許文献16には、アルミン酸塩の母体に希土類あるいは遷移元素をドープした電場発光材料が記載されている。特許文献17には、(Sr,Ba,Mg,Ca,Zn,Cd)−(Al,Ga,Si)酸化物系の電歪材料で最大歪みが1%であることが記載されており、これは相当大きい値である。特許文献18には、トライボルミネッセント(Triboluminescent)材料としてピエゾ関連材料が記載されている。特許文献19には、応力発光材料として主にSr3 Al3 6 が記載され、特許文献9に対応するものである。
【非特許文献10】
徐超男、AIST Today,vol.2,No8(2002)
【非特許文献11】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.aist.go.jp/aist j/aistinfo/aist today/vol02 08/vol02 80 main.html〉
【非特許文献12】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://www.aist.go.jp/aist j/aistinfo/aist today/vol02 08/vol02 08 p13.pdf〉
【非特許文献13】
C−N.Xu,T.Watanabe,M.Akiyama and X−G.Zheng,Appl.Phys.Lett.,74(1999)1236−1238
【非特許文献14】
C−N.Xu,T.Watanabe,M.Akiyama and X−G.Zheng,Appl.Phys.Lett.,74(1999)2414−2416
【非特許文献15】
C−N.Xu,X−G.Zheng,M.Akiyama,K.Nonaka and T.Watanabe,Appl.Phys.Lett.,76(2000)179−181
【非特許文献16】
徐超男、化学工業(2000年10月号)pp.790−794&808
【非特許文献17】
徐超男、月刊ディスプレイ、9月号(2001年)98−103
【特許文献5】
特開平11−116946号公報
【特許文献6】
特許第3265356号明細書
【特許文献7】
特許第3136340号明細書
【特許文献8】
特許第3136338号明細書
【特許文献9】
特許第2992631号明細書
【特許文献10】
特開2000−313878号公報
【特許文献11】
特開2001−49251号公報
【特許文献12】
特開2001−123162号公報
【特許文献13】
特開2001−215157号公報
【特許文献14】
特許第3273317号明細書
【特許文献15】
特開2002−194349号公報
【特許文献16】
特開2002−194350号公報
【特許文献17】
特開2002−201068号公報
【特許文献18】
米国特許第6117574号明細書
【特許文献19】
米国特許第6159394号明細書
【0006】
以上の特許および論文では、応力発光体の応用は全て粒径数μm以下の粉末を利用しており、これ以上の粒径、例えば10ミクロン以上の粒径を有する粒子の利用については何ら具体的に言及されていない。また、他物質との複合化に関しては、徐らは上記論文中においてエポキシ樹脂との複合化を述べているが、10μm以上の粒径を有する応力発光性粒子の利用については、何ら具体的に言及されていない。
【0007】
なお、応力発光についての記述は一切ないが、ガラス板、樹脂板、フィルムなどの透明基材にSrAl2 4 :Euなどの超微粒子状長残光無機蛍光体を分散させた透明蓄光性材料が提案されている(特許文献20)。
【特許文献20】
特開平9−95671号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来技術では、応力発光材料の粉末をそのまま利用したり、あるいはエポキシ樹脂などと複合化して利用することは報告されているが、粒径が10μmを越える粒子の利用形態については言及されていない。
【0009】
ところで、材質が柔らかい物は、人間の触感に心地良さを与えるが、それ以外に、固い材質の物であっても砂のように粒径の揃った球に近い形状を有する粒子の集合体もまた、心地よい触感をもたらす。すなわち、粒子の材質とともに、粒子の大きさおよび形状が重要な要素となる。粒子の大きさは、小さすぎると粉塵となり人間の健康や環境に害となり、大きすぎると重量が増し、取り扱い上の快適性を欠く上に、落下や投てきなどによる危険性も増す。このように、応力発光材料からなる粒子を心地良く利用するためには、粒子の粒径および形状に最適なものがあるが、本発明者の知る限り、これまで、そのようなことは応用例も含めて利用および記載されたことがなかった。
【0010】
電気的あるいは化学的に光を灯すこと以上に、人間が触れたとき、あるいは足で踏み締めたときに、それによって発生する応力に応じて発光する素材は、人間が生活する上で避けて通れない暗闇に全く新しい楽しみを見い出すものである。暗闇で光るものとして白熱灯、蛍光灯、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)などの種々の発光デバイスや長残光蛍光体(蓄光体)があるが、人間の動きに素材自体が応答して可視光を発する応力発光体は実用化された例はない。
【0011】
さて、以上は、適切な粒径を有する応力発光性粒子を用いて、人間の触覚および視覚に対して心地よい刺激を与えるものであった。さらに聴覚にも心地よい刺激を与える粒子が自然界に存在する。「鳴き砂」と呼ばれるもので、その砂の上を歩くとクッ、クッと快い音を発する(粉の秘密・砂の謎、三輪茂雄、平凡社、1989年)。このような音を昔の人は琴の音にたとえ、北陸や山陰地方には琴ヶ浜、琴引浜などの名がつけられているほどである。応力発光性粒子からなる人工砂に鳴き砂の発音機能を付与することができれば、踏み締めることによって発光し、かつ発音する全く新しい人工砂ができる。
【0012】
また、最近、発泡ポリスチレンビーズを用いて柔軟な感触の良いクッションが発売されている(エビス化成、http://www.ebisukasei.co.jp)。クッション内部の素材であるビーズは流動性と柔軟性とに優れており、これを伸縮性の柔軟なカバーで囲んだクッションや枕は、大変心地よい感触をもたらす。これは、外力に対して変形し、復元する性質が高いためであるが、その際に発光性を付与しようという試みはこれまで全くなかった。
【0013】
この発明は、粒径が10μmを越える応力発光性粒子を用いて、人工砂や柔らかな球状粒子を作製し、アミューズメント施設のエンターティンメント用材料として、さらには新たな都市空間のための景観材料として、あるいはクッションや枕などの素材として用いることを目的とする。
すなわち、この発明が解決しようとする課題は、外力に応じて発光可能でしかも人間や環境に害がなく、軽量で取り扱いも快適に行うことができ、落下や投てきなどによる危険性も少なく、アミューズメント空間、都市空間、生活空間などのエンターテインメント性の向上を図ることができる応力発光性粒子およびその製造方法ならびにこの応力発光性粒子を用いた応力発光性粒子集合体および応力発光性柔軟構造体を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来技術が有する上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その概要について説明すると、以下のとおりである。
最も重要な点は
(1)触感が良く、取り扱いが容易な粒径および形状であること
である。さらに、
(2)応力発光体は、輝度が高く、化学的に安定な物質であること
(3)応力発光体を他の物質と複合化する場合、その他の物質は透明で化学的に安定な物質であること
も重要な点である。その他、利用目的に応じて
(4)応力による発光だけでなく、応力による発音の機能も付与すること
(5)ビーズクッションなどに利用できる程柔軟な粒子であること
も重要な点として挙げられる。
【0015】
本発明者らは、独自に研究を行った結果、応力発光性粒子とポリエステル樹脂やポリジメチルシロキサン(PDMS)などの比較的柔らかい弾性体との複合化により、人間が手や指などで触っただけで容易に応力発光を起こさせ、しかも触った時だけ応力発光を起こさせることに成功し(これは本発明者らが知る限り、本発明者らにより初めて達成されたことである)、この独自開発の技術を背景として、上記の条件を満たすべく種々検討を行った結果、下記のような結論に至った。
【0016】
(A)応力発光性粒子の粒径を0.01mm以上10mm以下とすること
(B)応力発光性物質としては、種類が多く様々な発光色を選択することが可能であり、化学的にも極めて安定で耐久性に優れたSrAl2 4 その他の酸化物系応力発光体を用いること
(C)応力発光性物質と複合化する物質としては、発光輝度を低下させないために、可視光に対して透明な樹脂やガラス、例えば、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系などの樹脂やホウケイ酸ガラスなどを用いること
(D)応力発光に加えて発音機能を付与したい場合には、応力発光性粒子に加えていわゆる鳴き砂を混合すること
(E)応力発光性粒子の柔軟性を特に高めるためには、発泡物質からなる粒子の表面に応力発光性物質と樹脂などとの複合物質をコーティングすること
この発明は、以上の検討および知見に基づいてさらに検討を行った結果、案出されたものである。
【0017】
すなわち、上記課題を解決するために、この発明の第1の発明は、
粒径が0.01mm以上10mm以下である
ことを特徴とする応力発光性粒子である。
ここで、応力発光性粒子には、応力発光性物質のみからなるものと、応力発光性物質と他の物質とからなる複合物質からなるものとが含まれる。また、応力発光性粒子からの応力発光は、典型的には、応力発光性粒子に外力が加わって応力が発生することにより生じるが、応力発光性粒子に外部から弾性振動あるいは超音波などの音波の振動エネルギーが加わって応力が発生することにより生じることもある。
【0018】
応力発光性粒子の粒径を0.01mm以上10mm以下とする理由は、次のとおりである。まず、取り扱いが容易な粒径であるが、既に述べたように、粒径が小さすぎると粉塵などの問題を引き起こし、人間の健康や環境に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、肺の深部にある肺胞に沈着する粒子の粒径は1〜2μmのものが最も多く、粒径が5μm以上の粒子は約70%が、粒径が10μm以上の粒子は90%が鼻腔内に沈着する(粉体〜理論と応用〜、改定二版、丸善株式会社、1979年)。このように粒径が大きくなる程、鼻腔で取り除かれ、肺胞に到達する可能性が低くなるので、安全となる。この点から、取り扱いに適した粒径は10μm(0.01mm)以上となる。また、粒径が大きすぎると、重くなって快適に取り扱えなかったり、投てきや落下による危険性が増すなどの問題を生じる。例えば、アミューズメント施設の人工砂として用いる場合、粒径がおよそ10mmを越えると、その粒子一つを容易に手で扱えるので、投てきなどの誤った使用による危険性が増大する。粒径がさらに大きくなると、落下や転がったりするだけでも、事故を起こす可能性が生じる。また、体積および質量は粒径の三乗、表面積は粒径の二乗に比例するので、応力発光体では、粒径を大きくすると発光面である表面積の寄与が小さくなるという問題もある。以上をまとめると、取り扱いに適した粒径は、10μm(0.01mm)以上10mm以下となる。さらに、例えばこの応力発光性粒子を人工砂などとして使用する場合、その粒径は、好適には0.1mm以上5mm以下とする。
【0019】
応力発光性粒子の形状については、球状や多面体状など、利用目的に応じて最適な形状を選ぶことができる。例えば、人工砂やビーズクッションとして用いる場合には、手触りが良く、適度な流動性が必要であるので、球状に近いものが望ましい。
【0020】
応力発光性粒子を構成する応力発光性物質としては、典型的には、アルミネート系物質、ガレート系物質、シリケート系物質、ジルコネート系物質およびアルミノシリケート系物質からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の物質を母体物質とするものが用いられる。具体的には、応力発光性物質として、例えば、アルカリ土類アルミン酸塩を母体物質とし、これに希土類元素または遷移元素(遷移金属)から選ばれた少なくとも一つ以上の元素を0.001〜20%添加(ドープ)したものを用いることができる。ここで、希土類元素はY,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luであり、遷移元素はMn、V、Crなどである。より具体的には、応力発光性物質は、例えば、XAl2 4 (XはMg,Ca,SrおよびBaからなる群より選ばれた少なくとも一つ以上の元素)を母体物質とし、この母体物質に少なくとも一つ以上の希土類元素を0.001%以上20%以下添加したものである。応力発光性物質は、必ずしも化学量論組成を有するものである必要はなく、例えば、XAl2 4 (XはMg,Ca,SrおよびBaからなる群より選ばれた少なくとも一つ以上の元素)を母体物質とし、Alに対するXのモル比が0.35以上1未満の非化学量論組成を有するものであってもよい。希土類元素は、用途に応じて1種類または2種類以上が添加される。希土類元素が1種類だけ添加される場合の代表例はEuが添加される場合であり、特に短残光が必要な用途に適している。また、希土類元素が2種類以上添加される場合の代表例はEuおよびDyがともに添加される場合であり、長残光を積極的に利用する用途に適している。このような応力発光性物質の具体例は、SrAl2 4 またはBaAl2 4 を母体物質とし、この母体物質にEuを0.001%以上20%以下添加したものである。以上の酸化物系応力発光性物質は、種類が多いために様々な発光色を選択することが可能であり、また、化学的に極めて安定であるので耐久性に優れ、屋外の利用においても好適なものである。
応力発光性物質は、上記のもの以外のものを用いてもよく、例を挙げると、Mnおよび/またはTiがドープされたZnS:Mn、ZnS:Ti、ZnS:Mn,Tiなどを用いてもよい。また、これらの応力発光性物質と上記の応力発光性物質とを混用してもよい。
【0021】
上記の複合物質において応力発光性物質と複合化する他の物質は、典型的には弾性体であるが、その種類は用途などに応じて適宜選定することができ、1種または2種以上のものであってもよく、さらには有機物質、無機物質のいずれであっても、両者を一緒に用いてもよく、場合によっては有機・無機複合物質であってもよい。この場合、複合物質中の応力発光性粒子の重量比率は、好適には30%以上100%未満、より好適には30%以上80%以下とする。これらの物質のヤング率は、例えば人間の力で容易に発光が起こる限り特に問わないが、比較的硬いものでは例えば10MPa以上であり、より柔軟なものでは例えば10MPa未満、好適には1MPa以下である。他の物質は、典型的には有機物質であり、具体的には、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ウレタン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、シリコーンゴム、シロキサン結合を有する有機シリコン化合物および有機圧電物質からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の物質で構成されたものである。ここで、有機圧電材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリトリフルオロエチレン共重合体などが挙げられる。これらに加えて、発泡物質、具体的には、例えば、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレンまたはこれらの混合物を用いてもよく、これらは特に弾性に富み柔軟な応力発光性粒子を得る場合に好適なものである。
【0022】
上記の複合物質において応力発光性物質と複合化する他の物質としては、イオンを取り込んで変形する有機導電性物質を用いることもできる。このような有機導電性物質としては、例えば、複素芳香環系導電性高分子、具体的にはポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどが挙げられる。さらに、弾性体として高分子ゲル材料を用いることもできる。この高分子ゲル材料は、例えば、熱変位機能を有する水溶性非電解質高分子ゲル、pHによって変位が生じる電解質高分子ゲル、電気で変位が起きる高分子化合物と界面活性剤との組み合わせ、ポリビニルアルコール系材料およびポリピロール系材料からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の材料である。ここで、熱変位機能を有する水溶性非電解質高分子ゲルは、例えばポリビニルメチルエーテルまたはポリNイソプロピルアクリルアミドであり、pHによって変位が生じる電解質高分子ゲルは例えばポリアクリロニトリルであり、電気で変位が起きる高分子化合物は例えばポリアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である。
【0023】
上記の複合物質において応力発光性物質と複合化する他の物質として無機物質を用いる場合、この無機物質としては、典型的には無機ガラスが用いられる。この無機物質は、具体的には、シリコン、アルミニウム、チタンまたはホウ素を有する酸化物、シリカガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウ酸ガラス、ソーダガラスおよびアルミネート系ガラスからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の物質で構成されたものである。この無機ガラスは、樹脂に比べてヤング率は高いが、その分応力がより効果的に応力発光性粒子に発生する利点がある。
【0024】
上記のように応力発光性物質を樹脂などの有機物質や無機ガラスなどの無機物質と複合化した応力発光性粒子を利用する場合には、発光輝度を低下させないために、これらの有機物質または無機物質としては、好適には、可視光に対して透明なものが用いられる。上記のエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーンゴムなどの樹脂やホウケイ酸ガラスなどはこの観点から好適な例である。
【0025】
上記の複合物質の具体例を挙げると、応力発光性物質が、SrAl2 4 またはBaAl2 4 を母体物質とし、この母体物質にEuを0.001%以上20%以下添加したものであり、他の物質としての有機物質がポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂またはこれらの混合物であるもの、応力発光性物質が、SrAl2 4 またはBaAl2 4 を母体物質とし、この母体物質にEuを0.001%以上20%以下添加したものであり、他の物質としての無機物質が無機ガラスであるものなどである。
【0026】
応力発光性粒子の構造は中実であっても中空であってもよい。具体的には、応力発光性粒子は、例えば、応力発光性物質または応力発光性物質と他の物質とからなる複合物質が有機物質または無機物質からなる粒子の表面にコーティングされたものや、応力発光性物質または応力発光性物質と他の物質とからなる複合物質からなる外殻を有し、その内部が中空となっているものなどであってよい。応力発光性粒子の内部を中空とすると、原材料の節約、粒子の軽量化の利点が得られる。また、特に、応力発光性物質と柔軟な樹脂あるいは高分子とからなる複合物質からなる外殻を有し、その内部が中空となっている応力発光性粒子は弾性に優れたものとなる。この中心体となる粒子を構成する有機物質または無機物質としては、既に述べたものの中から適切なものを用いることができるが、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、これらの混合物などの発泡物質は特に弾性に富み柔軟な応力発光性粒子を得る場合に好適なものである。
この発明の第1の発明に関連して述べた以上のことは、その性質に反しない限り、以下に述べるこの発明の第2〜第5の発明においても同様に成立するものである。
【0027】
この発明の第2の発明は、
粒径が0.01mm以上10mm以下の複数の応力発光性粒子からなる
ことを特徴とする応力発光性人工砂である。
ここで、この応力発光性人工砂は、粒径が同一の応力発光性粒子からなるものであってもよいし、互いに粒径が異なる応力発光性粒子が混在したものであってもよい。なお、この応力発光性人工砂と、粒径が0.01mm以上10mm以下の範囲から外れた応力発光性粒子と混ぜて使用してもよい。また、この応力発光性人工砂は、形状が同一の応力発光性粒子からなるものであってもよいし、互いに形状が異なる応力発光性粒子が混在したものであってもよい。
【0028】
この応力発光性人工砂を構成する応力発光性粒子は、白色を基調としてもよいし、希土類元素や遷移金属などによりわずかに着色してもよいが、一般的には美しい人工粒子であるので、昼間の屋外や明るい照明の下でも景観材料として用いることができる。また、庭園用の砂として用いてもよいし、人工渚、人工の砂場に用いてもよい。明るいところでは、白色あるいは少し色付いた美しい景観を生み出し、夜間あるいは照明を落とした場所では、一変して、触れると光る、あるいは踏むと光るエンターテインメント材料となる。特に、アミューズメント施設においては、演出効果を出すために暗闇を利用する場合が多いので、この応力発光性人工砂をそのような場所に用いることで、来場者に新たな楽しみや喜びを与えることができる。
【0029】
上記のような利用において、鳴き砂のように、足で踏み締めることで応力発光性粒子に応力が発生して発音する機能、より一般的には、外力が加わった時に可聴音を発する機能を付与することができれば、さらに楽しみが広がる。鳴き砂が発音するメカニズムは、石英を主成分とする清浄な砂が、応力によって滑り面を内部に生じ、周期的な剪断崩壊を発生させるためである。応力発光性粒子のみを用いて発音させることも可能であるが、応力発光性粒子に石英粒子を混合してもよい。より簡便には、自然の美しい音色を有する天然の鳴き砂と応力発光性粒子とを混合して使用してもよい。これにより、踏み締めることによって発光し、かつ発音する全く新しい人工砂が得られる。ここで、石英粒子の粒径は、例えば、0.01mm以上10mm以下、好適には0.1mm以上5mm以下とする。参考のため、以下に天然の鳴き砂の成分を表示する(http://www.bigai.ne.jp/ miwa/sand/what/j conbad.html)。
【0030】
琴引浜(京都府竹野郡)
石英 43%
カリ長石 33%
堆積岩片 15%
斜長石 6%
火山岩片 2%
貝殻片 1%
【0031】
小清水海岸(北海道小清水町)
斜長石 36.9%
堆積岩片 29.2%
単斜長石 12.5%
石英 7.0%
火山岩片 6.6%
斜方輝石 5.2%
不透明鉱物 2.2%
角閃石 0.4%
【0032】
イタンキ浜(北海道室蘭市)
斜長石 51.5%
堆積岩片 18.5%
火山岩片 13.2%
石英 7.9%
単斜長石 4.3%
貝殻片 3.0%
斜方輝石 0.7%
角閃石 0.3%
ザクロ石 0.3%
不透明鉱物 0.3%
【0033】
角海浜(新潟県巻町)
石英 28.9%
堆積岩片 23.0%
火山岩片 17.2%
斜長石 16.2%
カリ長石 14.2%
斜方輝石 0.5%
【0034】
琴ヶ浜(島根県邇摩郡仁摩町)
石英 50%
カリ長石 22%
斜長石 14%
堆積岩片 9%
角閃石 2%
単斜輝石 1%
貝殻片 1%
火山岩片 0.5%
緑簾岩 0.5%
【0035】
姉子の浜(福岡県二丈町)
石英 75%
斜長石 15%
カリ長石 2%
角閃石類 1%>
黒雲母 1%>
岩石片 7%
貝殻片 1%
【0036】
以上のように、天然の鳴き砂には数%以上の石英が含まれる。そこで、応力発光性粒子に石英粒子を混合する場合、好適には、石英粒子の分量は5%以上となるようにする。石英粒子はα型、β型、非晶質のどれを用いてもよいが、好適にはβ型粒子の分量が5%以上となるようにする。また、石英粒子は人工的に造られたものでもよく、天然に産出するものでもよい。
【0037】
この発明の第3の発明は、
粒径が0.01mm以上10mm以下の複数の応力発光性粒子からなる
ことを特徴とする応力発光性粒子集合体である。
この応力発光性粒子集合体は、その用途は問わないが、例えば、人間が踏み締めると発光する人工砂として用いて好適なものである。特に、石英粒子を混ぜた応力発光性粒子集合体は、人間が踏み締めると発光するとともに可聴音を発する人工砂として用いて好適なものである。
【0038】
この発明の第4の発明は、
粒径が0.01mm以上10mm以下の複数の応力発光性粒子からなる、弾性を有する応力発光性粒子集合体が柔軟なカバーの内部に収容された構造を有する
ことを特徴とする応力発光性柔軟構造体である。
【0039】
ここで、応力発光性粒子としては、この発明の第1の発明に関連して述べたものを用いることができるが、弾性に富み柔軟性の高い応力発光性粒子を得る観点からは、好適には、応力発光性物質と発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレンまたはこれらの混合物とからなる複合物質からなる応力発光性粒子が用いられる。この応力発光性粒子の具体例を挙げると、応力発光性物質と発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレンまたはこれらの混合物とからなる複合物質からなり、応力発光性物質がSrAl2 4 またはBaAl2 4 を母体物質とし、この母体物質にEuを0.001%以上20%以下添加したものである応力発光性粒子や、応力発光性物質とシリコーンゴムまたはシロキサン結合を有する有機シリコン化合物とからなる複合物質からなり、応力発光性物質がSrAl2 4 またはBaAl2 4 を母体物質とし、この母体物質にEuを0.001%以上20%以下添加したものである応力発光性粒子などである。一方、中心体に弾性を持たせることにより応力発光性粒子に弾性を持たせ、柔軟性を確保する場合には、応力発光性粒子として、好適には、応力発光性物質と他の物質とからなる複合物質が発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレンまたはこれらの混合物からなる粒子の表面にコーティングされている応力発光性粒子が用いられる。
【0040】
カバーの材質は、柔軟なものである限り特に問わず、化学繊維、天然繊維のいずれを用いたものであってもよいが、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ウレタン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、シリコーンゴムおよびシロキサン結合を有する有機シリコン化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質からなるものを成分とするものが用いられる。カバーの典型的な一例を挙げると、ポリエステルを主成分とするものである。
【0041】
この応力発光性柔軟構造体をビーズクッションに利用する場合には、例えば、発泡前のポリスチレンビーズに応力発光性物質を混合することで、発泡ポリスチレンビーズに応力発光性を付与することができ、弾性に富み柔軟な応力発光性粒子を得ることができる。この柔軟な応力発光性粒子をポリエステルやポリエチレンなどの繊維からできた透明な伸縮性素材の中に入れて作ったクッションは大変柔軟であり、押したり捻じったりして応力発光性粒子に応力を発生させることにより、その心地よい感触とともに発光を楽しむことができる。
【0042】
この発明の第5の発明は、
応力発光性物質と他の物質とからなる複合物質からなり、粒径が0.01mm以上10mm以下の応力発光性粒子の製造方法であって、
所定の鋳型の注入孔から複合物質を注入し、固化させるようにした
ことを特徴とするものである。
【0043】
ここで、複合物質を注入する鋳型は、例えば、それぞれ窪みを有し、互いに分離可能な第1の鋳型および第2の鋳型をそれらの窪み同士が互いに対向するように位置合わせして保持したものである。この場合、互いに対向した窪みの全体により形成される空間が、製造しようとする応力発光性粒子の外形を形作る。球状の応力発光性粒子を製造する場合、この窪みは半球状である。中空構造の応力発光性粒子を製造する場合には、鋳型に複合物質を注入した後、固化させる前に、注入された複合物質に圧縮ガス、例えば空気、窒素、アルゴンなどを注入する。このようにして製造される中空構造の応力発光性粒子は軽量であるという特徴がある。鋳型の材質は鉄、アルミニウム、白金などの各種金属、あるいは高純度カーボンやポリ(テトラフルオロエチレン)などの各種有機物、あるいはアルミナやジルコニアなどの各種酸化物セラミックスのいずれでもよい。室温で応力発光体粉末が含まれた複合樹脂を固化するときには、鉄やポリ(テトラフルオロエチレン)製の鋳型で十分である。また、応力発光性物質を含む高温融体を固化するときには、白金や高純度カーボン、アルミナなどを利用することができる。
【0044】
この発明は、種々の利用形態が考えられ、例えば、アミューズメント施設における利用や、新たな都市空間を提供する景観材料としての利用や、家庭における快適性および娯楽性を高める利用などが典型的な利用形態として挙げられる。
【0045】
上述のように構成されたこの発明によれば、応力発光性粒子の粒径が0.01mm以上10mm以下であることにより、外力に応じて発光可能でしかも人間や環境に害がなく、軽量で取り扱いも快適に行うことができ、落下や投てきなどによる危険性も少ない。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
第1の実施形態
この発明の第1の実施形態においては、応力発光性粒子がSrAl2 4 :Euとポリエステル樹脂との複合物質からなる場合について説明する。
この複合物質の製造方法は次のとおりである。
まず、通常の固相反応法によるSrAl2 4 :Euセラミックスの作製法について説明する。
原料として以下の物質を所定量、ボールミルにて約20時間混合する。
【0047】
SrCO3  0.39mol、147.6292×0.39=57.575g
Al2 3  0.4mol、101.96128×0.4=40.785g
Eu2 3  0.002mol、351.9182×0.002=0.704g
2 3   0.032mol、69.6182×0.032=2.228g
【0048】
その後、酸素雰囲気中1400℃で仮焼し、さらにH2 (5%)−N2 雰囲気中1200℃で還元処理を行った。合成後の粉末のX線回折パターンを図1に示す。既知論文[F.Hanic,T.Y.Chemekova and J.Majling,J.Appl.Phys.,12(1979)243]と同様に単斜晶系で全て指数付けされ、単相であることが判明した。
【0049】
次に、ポリエステル樹脂(Buehler 社製のCastolite Resin)と、上述のようにして得られたSrAl2 4 :Euの粉末とを重量比で例えば1:2の割合で混練し、この混練物質を、図2に示す、球形の空洞11を有する鋳型12の注入孔13から注入する。鋳型12は、硬化後に球状粒子を取り出すことができるように、互いに分離可能な上型12aおよび下型12bの上下2つの部分からなっている。上型12aおよび下型12bのそれぞれには半球状の窪みが形成されており、これらの窪みの全体により空洞11が形成されている。注入孔13は上型12aに形成されており、空洞11と連通している。
【0050】
上述のようにして鋳型12に混練物質を注入した後、一昼夜放置して十分に固化させ、SrAl2 4 :Euとポリエステル樹脂との複合物質からなるSrAl2 4 :Eu複合粒子を作製した。ここで作製した粒子は、粒径1mmの球状粒子であり、暗がりで軽く押すだけで、強く光ることが確認された。応力発光スペクトルを図3に示す。図3から明らかなように、波長520nm付近に発光ピークがあった。
【0051】
上述の方法でSrAl2 4 :Eu複合粒子を多数作製する。そして、図4に示すように、これらのSrAl2 4 :Eu複合粒子14を乳ばち15に入れ、暗がりの中で棒(図示せず)の先でこのSrAl2 4 :Eu複合粒子14の集合体を矢印で示すように押して応力を発生させたところ、その近傍のSrAl2 4 :Eu複合粒子14から強い発光が生じた。
【0052】
また、さらに多数のSrAl2 4 :Eu複合粒子14を作製して、図5に示す木枠16の中に入れ、このSrAl2 4 :Eu複合粒子14の集合体を足で踏み締めたところ、暗がりの中では明瞭な発光を確認した。また、太陽光の下や照明の下などの明るいところでは、このSrAl2 4 :Eu複合粒子14の集合体は少し緑がかった白色を呈しており、美しいので、景観材料や人工砂として利用することができる。
【0053】
以上のように、この第1の実施形態によれば、SrAl2 4 :Euとポリエステル樹脂との複合物質からなり、粒径が1mmのSrAl2 4 :Eu複合粒子により、外力に応じて発光可能でしかも人間や環境に害がなく、軽量で取り扱いも快適に行うことができ、落下や投てきなどによる危険性も少ない応力発光性粒子を得ることができる。そして、この応力発光性粒子を用いて、足で踏み締めることにより発光する応力発光性粒子集合体あるいは応力発光性人工砂を得ることができる。これは、人間の触覚、視覚を通して心地良さを感じさせる新しい粒子あるいは素材であり、人間の生活空間に楽しみをもたらす新しいエンターテインメント材料となりうるものである。これらは人間の生活と切り離せない暗闇に新たな楽しみを与えるものであるとともに、電気エネルギーを消費しないので、省エネルギー化に貢献する。また、電気エネルギーを利用しないので、複雑な電気配線を必要とせず、環境に与える負荷が少ないことも大きな利点である。これらは、アミューズメント空間、都市空間、生活空間などのエンターテインメント性を大幅に向上させるものである。
【0054】
第2の実施形態
この発明の第2の実施形態においては、応力発光性粒子がBaAl2 4 :Euとポリエステル樹脂との複合物質からなる場合について説明する。
まず、第1の実施形態と同様な手法でBaAl2 4 :Euセラミックスを作製する。すなわち、BaCO3 を0.39mol、Al2 3 を0.4mol、Eu2 3 を0.002mol、B2 3 を0.032mol秤量し、ボールミルにて20時間混合後、酸素気流中1400℃で仮焼し、さらにH2 (5%)−N2 雰囲気中1200℃で還元処理を行った。合成後の粉末のX線回折パターンを図6に示す。JCPDS17−0306で全て指数付けされ、単相であることが判明した。
【0055】
次に、上記のポリエステル樹脂と、上述のようにして得られたBaAl2 4 :Euの粉末とを例えば重量比で1:2の割合で混練する。そして、第1の実施形態と同様にして、この混練物質を図2に示す鋳型12に注入し、一昼夜放置して十分に固化させ、BaAl2 4 :Euとポリエステル樹脂との複合物質からなるBaAl2 4 :Eu複合粒子を作製した。ここで作製した粒子は、粒径1mmの球状粒子であり、暗がりで軽く押すだけで、強く光ることが確認された。応力発光スペクトルを図7に示す。図7から明らかなように、波長500nm付近に発光ピークがあった。
【0056】
上述の方法でBaAl2 4 :Eu複合粒子を多数作製し、第1の実施形態と同様にこれらのBaAl2 4 :Eu複合粒子を図4に示す乳ばち15に入れ、暗がりの中で棒の先でこのBaAl2 4 :Eu複合粒子の集合体を押して応力を発生させたところ、その近傍のBaAl2 4 :Eu複合粒子から強い発光が生じた。また、さらに多数のBaAl2 4 :Eu複合粒子を作製して、図5に示す木枠16の中に入れ、このBaAl2 4 :Eu複合粒子の集合体を足で踏み締めたところ、暗がりの中では明瞭な発光を確認した。また、太陽光の下や照明の下などの明るいところでは、このBaAl2 4 :Eu複合粒子の集合体は少し緑がかった白色を呈しており、美しいので、景観材料や人工砂として利用することができる。
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0057】
第3の実施形態
この発明の第3の実施形態においては、応力発光性粒子がSrAl2 4 :Euのみからなる場合について説明する。
まず、第1の実施形態と同様な手法で、SrAl2 4 :Euの粉末を作製する。
【0058】
次に、上記のポリエステル樹脂とこのSrAl2 4 :Euの粉末とを重量比で1:4の割合で混練し、第1の実施形態と同様の手法で粒径1mmの球状粒子を作製した。これをさらに酸素雰囲気中1500℃で熱処理し、樹脂成分を完全に燃焼させるとともにセラミックス成分を焼結させ、さらにH2 (5%)−N2 雰囲気中1300℃で還元処理を行って、球状のSrAl2 4 :Eu粒子を得た。ここで作製したSrAl2 4 :Eu粒子は、全成分がセラミックスであるので、非常に固く、また耐久性に優れる。
【0059】
このSrAl2 4 :Eu粒子を多数作製し、図4に示す乳ばち15に入れ、暗がりの中で棒の先でこのSrAl2 4 :Eu粒子の集合体を矢印で示すように押して応力を発生させたところ、その近傍のSrAl2 4 :Eu粒子から強い発光が生じた。
【0060】
また、さらに多数のSrAl2 4 :Eu粒子を作製して、図5に示す木枠16の中に入れ、このSrAl2 4 :Eu粒子の集合体を足で踏み締めたところ、暗がりの中では明瞭な発光を確認した。また、太陽光の下や照明の下などの明るいところでは、このSrAl2 4 :Eu粒子の集合体は少し緑がかった白色を呈しており、美しいので、景観材料や人工砂として利用することができる。
この第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0061】
第4の実施形態
この発明の第4の実施形態においては、応力発光性粒子が、ポリエステル球表面にポリエステル樹脂とSrAl2 4 :Euとからなる複合物質がコーティングされた構造を有する場合について説明する。
まず、第1の実施形態と同様な手法で、SrAl2 4 :Euの粉末を作製する。
一方、ポリエステル樹脂のみからなる球状粒子、すなわちポリエステル球を多数作製する。このポリエステル球の径は例えば1mmである。これらのポリエステル球をポリエステル樹脂とSrAl2 4 :Eu粉末とを含むコーティング剤とともに転動式ミルに入れ、30分間混練撹拌する。その後、この混練物質を取り出して一昼夜放置して十分に固化させることにより、ポリエステル球表面にポリエステル樹脂とSrAl2 4 :Euとからなる複合物質がコーティングされたSrAl2 4 :Eu複合粒子を作製した。図8にこのSrAl2 4 :Eu複合粒子の断面を示す。図8において、符号17がポリエステル球、18がポリエステル樹脂とSrAl2 4 :Euとからなる複合物質を示す。ここで作製したSrAl2 4 :Eu複合粒子は、暗がりで軽く押すだけで、強く光ることが確認された。
【0062】
このSrAl2 4 :Eu複合粒子を多数作製し、図4に示す乳ばち15に入れ、暗がりの中で棒の先でこのSrAl2 4 :Eu複合粒子の集合体を矢印で示すように押して応力を発生させたところ、その近傍のSrAl2 4 :Eu複合粒子から強い発光が生じた。
【0063】
また、さらに多数のSrAl2 4 :Eu複合粒子を作製して、図5に示す木枠16の中に入れ、このSrAl2 4 :Eu複合粒子の集合体を足で踏み締めたところ、暗がりの中では明瞭な発光を確認した。また、太陽光の下や照明の下などの明るいところでは、このSrAl2 4 :Eu複合粒子の集合体は少し緑がかった白色を呈しており、美しいので、景観材料や人工砂として利用することができる。
【0064】
この第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができるほか、SrAl2 4 :Eu複合粒子の中心部がポリエステル球により構成されていることにより、第1の実施形態と比較して、SrAl2 4 :Eu粉末の量が少なくて済み、コストがかからないという利点も得ることができる。
【0065】
第5の実施形態
この発明の第5の実施形態においては、応力発光性粒子が、ガラス球表面にポリエステル樹脂とSrAl2 4 :Euとからなる複合物質がコーティングされた構造を有する場合について説明する。
まず、第1の実施形態と同様な手法で、SrAl2 4 :Euの粉末を作製する。
一方、市販の球状ガラス(粒径1mm)、すなわちガラス球を多数用意する。そして、これらのガラス球をポリエステル樹脂とSrAl2 4 :Eu粉末とを含むコーティング剤とともに転動式ミルに入れ、30分間混練撹拌する。その後、この混練物質を取り出して一昼夜放置して十分に固化させることにより、ガラス球表面にポリエステル樹脂とSrAl2 4 :Euとからなる複合物質がコーティングされたSrAl2 4 :Eu複合粒子を作製した。図9にこのSrAl2 4 :Eu複合粒子の断面を示す。図9において、符号19がガラス球、18がポリエステル樹脂とSrAl2 4 :Euとからなる複合物質を示す。ここで作製したSrAl2 4 :Eu複合粒子は、暗がりで軽く押すだけで、強く光ることが確認された。
【0066】
このSrAl2 4 :Eu複合粒子を多数作製し、図4に示す乳ばち15に入れ、暗がりの中で棒の先でこのSrAl2 4 :Eu複合粒子の集合体を矢印で示すように押して応力を発生させたところ、その近傍のSrAl2 4 :Eu複合粒子から強い発光が生じた。
【0067】
また、さらに多数のSrAl2 4 :Eu複合粒子を作製して、図5に示す木枠16の中に入れ、このSrAl2 4 :Eu複合粒子の集合体を足で踏み締めたところ、暗がりの中では明瞭な発光を確認した。また、太陽光の下や照明の下などの明るいところでは、このSrAl2 4 :Eu複合粒子の集合体は少し緑がかった白色を呈しており、美しいので、景観材料や人工砂として利用することができる。
【0068】
この第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができるほか、SrAl2 4 :Eu複合粒子の中心部がガラス球により構成されていることにより、第1の実施形態と比較して、SrAl2 4 :Eu粉末の量が少なくて済み、コストがかからないという利点も得ることができる。
【0069】
第6の実施形態
この発明の第6の実施形態においては、応力発光性粒子が中空構造を有し、外殻がポリエステル樹脂とSrAl2 4 :Euとからなる複合物質からなる場合について説明する。
まず、第1の実施形態と同様な手法で、SrAl2 4 :Euの粉末を作製する。
次に、熱可塑性のポリエチレン樹脂と上記のSrAl2 4 :Euの粉末とを重量比で1:2の割合で加熱しながら混練し、この混練物質を図4に示す鋳型12に注入し、さらにシリンジ(図示せず)により、この注入された混練物質の中央部に圧縮空気を送り込み、冷却することにより中空のSrAl2 4 :Eu複合粒子を作製する。図10にこのSrAl2 4 :Eu複合粒子の断面を示す。図10において、符号20が中空部、18がポリエステル樹脂とSrAl2 4 :Euとからなる複合物質を示す。ここで作製したSrAl2 4 :Eu複合粒子は、粒径1mmの中空球状粒子であり、暗がりで軽く押すだけで、強く光ることが確認された。
【0070】
このSrAl2 4 :Eu複合粒子を多数作製し、図4に示す乳ばち15に入れ、暗がりの中で棒の先でこのSrAl2 4 :Eu複合粒子の集合体を矢印で示すように押して応力を発生させたところ、その近傍のSrAl2 4 :Eu複合粒子から強い発光が生じた。
【0071】
また、さらに多数のSrAl2 4 :Eu複合粒子を作製して、図5に示す木枠16の中に入れ、このSrAl2 4 :Eu複合粒子の集合体を足で踏み締めたところ、暗がりの中では明瞭な発光を確認した。また、太陽光の下や照明の下などの明るいところでは、このSrAl2 4 :Eu複合粒子の集合体は少し緑がかった白色を呈しており、美しいので、景観材料や人工砂として利用することができる。
【0072】
この第6の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができるほか、SrAl2 4 :Eu複合粒子が中空構造であることにより、第1の実施形態と比較して、SrAl2 4 :Eu粉末の量が少なくて済み、コストがかからないという利点を得ることができるとともに、軽量であり、柔軟性も非常に高いという利点も得ることができる。
【0073】
第7の実施形態
この発明の第7の実施形態においては、応力発光性粒子と鳴き砂としての石英粒子とを混合して応力発光機能および発音機能を有する粒子集合体を構成する場合について説明する。
すなわち、この第7の実施形態においては、第3の実施形態による粒径1mmのSrAl2 4 :Eu粒子(応力発光性粒子)と平均粒径0.5mmのβ石英粒子とを重量比で1:2の割合で混合した。混合状態を図11に示す。図11において、符号21がSrAl2 4 :Eu粒子、22がβ石英粒子を示す。
【0074】
このSrAl2 4 :Eu粒子/β石英粒子集合体を図4に示す乳ばち15に入れ、暗がりの中で棒の先でこの粒子集合体を矢印で示すように押して応力を発生させたところ、その近傍のSrAl2 4 :Eu粒子21から強い発光が生じるとともに可聴音が発生した。
【0075】
また、さらに多数のSrAl2 4 :Eu粒子およびβ石英粒子からなる粒子集合体を、図5に示す木枠16の中に入れ、この粒子集合体を足で踏み締めたところ、暗がりの中では明瞭な発光とともに可聴音を確認した。また、太陽光の下や照明の下などの明るいところでは、これらの粒子集合体は少し緑がかった白色を呈しており、美しいので、景観材料や人工砂として利用利用することができる。
【0076】
この第7の実施形態によれば、足で踏み締めることにより、可聴音を発しながら発光するというエンターテインメント用の粒子集合体あるいは人工砂を提供することができる。これは、人間の触覚、視覚、聴覚を通して心地よさを感じさせる新しい粒子あるいは素材である。
【0077】
第8の実施形態
この発明の第8の実施形態においては、応力発光性粒子が、発泡ポリスチレンとSrAl2 4 :Euとからなる複合物質からなる場合について説明する。
まず、第1の実施形態と同様な手法で、SrAl2 4 :Euの粉末を作製する。
次に、発泡ポリスチレンを製造する過程で上記のSrAl2 4 :Euの粉末を投入し、ポリスチレンとSrAl2 4 :Euとの割合が重量比で2:1となるようにSrAl2 4 :Eu複合粒子を作製する。粒径は0.5〜2mm程度であり、発泡倍率は2〜30倍程度である。ここで作製した、発泡ポリスチレンとSrAl2 4 :Euとが複合したSrAl2 4 :Eu複合粒子は、柔軟性が非常に高く、暗がりで軽く押すだけで、発光することが確認された。
【0078】
このSrAl2 4 :Eu複合粒子を多数作製し、これを伸縮性素材の中に充填し、ビーズクッションを作製した。ここでは、伸縮性素材として、透明なポリエステル繊維からなる布を使用した。図12にビーズクッションの断面を示す。図12において、符号23がSrAl2 4 :Eu粒子、24がポリエステル布を示す。このビーズクッションに手で力を加えると、柔軟に変形しながら、暗闇では発光することが確認された。
この第8の実施形態によれば、変形時に発光する柔軟なビーズクッションという楽しい商品を提供することができる。
【0079】
第9の実施形態
この発明の第9の実施形態においては、応力発光性粒子が、シリコーン樹脂とSrAl2 4 :Euとからなる複合物質からなる場合について説明する。
まず、第1の実施形態と同様な手法で、SrAl2 4 :Euの粉末を作製する。
次に、シリコーン樹脂と上記のSrAl2 4 :Euの粉末とを重量比で2:1の割合で混練する。そして、第1の実施形態と同様にして、この混練物質を図2に示す鋳型12に注入し、一昼夜放置して十分に固化させ、シリコーン樹脂とSrAl2 4 :Euとの複合物質からなるSrAl2 4 :Eu複合粒子を作製した。粒径は1mm程度である。ここで作製したSrAl2 4 :Eu複合粒子は、柔軟性が非常に高く、暗がりで軽く押すだけで、発光することが確認された。
【0080】
このSrAl2 4 :Eu複合粒子を多数作製し、これを図12に示すようにポリエステル布24の中に充填し、ビーズクッションを作製した。これに力を加えると、柔軟に変型しながら、暗闇では発光することが確認された。
この第9の実施形態によれば、第8の実施形態と同様に、変形時に発光する柔軟なビーズクッションという楽しい商品を提供することができる。
【0081】
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構造、形状、材料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、構造、形状、材料、プロセスなどを用いてもよい。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、応力発光性粒子の粒径が0.01mm以上10mm以下であることにより、外力に応じて発光可能でしかも人間や環境に害がなく、軽量で取り扱いも快適に行うことができ、落下や投てきなどによる危険性も少ない応力発光性粒子を得ることができる。そして、この応力発光性粒子を用いて、人間が踏み締めることにより、発光したり、あるいは可聴音を発しながら発光するというエンターテインメント用の応力発光性粒子集合体あるいは応力発光性人工砂を提供することができる。また、変形時に発光する柔軟なビーズクッションなどの応力発光性柔軟構造体という楽しい商品を提供することができる。これらは人間の生活と切り離せない暗闇に新たな楽しみを与えるものであるとともに、電気エネルギーを消費しないので、省エネルギー化に貢献するものである。これは、アミューズメント施設での利用や、新たな都市空間を提供する景観材料としての利用や、クッションや枕として家庭内における個人の快適性およびエンターティンメント性を高める利用に好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】固相反応によるSrAl2 4 :Euセラミックス粉末のX線回折パターンを示す略線図である。
【図2】この発明の第1の実施形態において用いる鋳型を示す略線図である。
【図3】SrAl2 4 :Eu複合粒子の応力発光スペクトルを示す略線図である。
【図4】この発明の第1の実施形態においてSrAl2 4 :Eu複合粒子の発光を確認するために行った実験に用いた配置を示す略線図である。
【図5】この発明の第1の実施形態においてSrAl2 4 :Eu複合粒子の発光および発音を確認するために行った実験に用いた配置を示す断面図である。
【図6】固相反応によるBaAl2 4 :Euセラミックス粉末のX線回折パターンを示す略線図である。
【図7】BaAl2 4 :Eu複合粒子の応力発光スペクトルを示す略線図である。
【図8】この発明の第4の実施形態によるSrAl2 4 :Eu複合粒子の構造を示す断面図である。
【図9】この発明の第5の実施形態によるSrAl2 4 :Eu複合粒子の構造を示す断面図である。
【図10】この発明の第6の実施形態によるSrAl2 4 :Eu複合粒子の構造を示す断面図である。
【図11】この発明の第7の実施形態によるSrAl2 4 :Eu粒子/β石英粒子集合体を示す略線図である。
【図12】この発明の第8の実施形態によるビーズクッションを示す断面図である。
【符号の説明】
11・・・空洞、12・・・鋳型、13・・・注入孔、14・・・SrAl2 4 :Eu複合粒子、17・・・ポリエステル球、18・・・複合物質、19・・・ガラス球、20・・・中空部、21・・・SrAl2 4 :Eu粒子、22・・・β石英粒子、、23・・・SrAl2 4 :Eu複合粒子、24・・・ポリエステル布

Claims (34)

  1. 粒径が0.01mm以上10mm以下である
    ことを特徴とする応力発光性粒子。
  2. 上記応力発光性粒子が応力発光性物質のみからなる
    ことを特徴とする請求項1記載の応力発光性粒子。
  3. 上記応力発光性粒子が応力発光性物質と他の物質とからなる複合物質からなる
    ことを特徴とする請求項1記載の応力発光性粒子。
  4. 上記他の物質が有機物質または無機物質である
    ことを特徴とする請求項3記載の応力発光性粒子。
  5. 上記応力発光性物質が有機物質または無機物質からなる粒子の表面にコーティングされている
    ことを特徴とする請求項2記載の応力発光性粒子。
  6. 上記複合物質が有機物質または無機物質からなる粒子の表面にコーティングされている
    ことを特徴とする請求項3記載の応力発光性粒子。
  7. 上記応力発光性粒子が上記応力発光性物質からなる外殻を有し、その内部が中空となっている
    ことを特徴とする請求項2記載の応力発光性粒子。
  8. 上記応力発光性粒子が上記複合物質からなる外殻を有し、その内部が中空となっている
    ことを特徴とする請求項3記載の応力発光性粒子。
  9. 上記応力発光性物質が、アルミネート系物質、ガレート系物質、シリケート系物質、ジルコネート系物質およびアルミノシリケート系物質からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の物質で構成されている
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の応力発光性粒子。
  10. 上記応力発光性物質が、アルカリ土類アルミン酸塩を母体物質とし、この母体物質に希土類元素または遷移元素から選ばれた少なくとも一つ以上の元素を0.001%以上20%以下添加したものである
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の応力発光性粒子。
  11. 上記応力発光性物質が、XAl2 4 (XはMg,Ca,SrおよびBaからなる群より選ばれた少なくとも一つ以上の元素)を母体物質とし、この母体物質に少なくとも一つ以上の希土類元素を0.001%以上20%以下添加したものである
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の応力発光性粒子。
  12. 上記応力発光性物質が、XAl2 4 (XはMg,Ca,SrおよびBaからなる群より選ばれた少なくとも一つ以上の元素)を母体物質とし、Alに対するXのモル比が0.35以上1未満の非化学量論組成を有するものである
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の応力発光性粒子。
  13. 上記有機物質が、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ウレタン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、シリコーンゴム、シロキサン結合を有する有機シリコン化合物および有機圧電物質からなる群より選ばれた少なくとも1種以上の物質で構成されている
    ことを特徴とする請求項4、5または6記載の応力発光性粒子。
  14. 上記無機物質が無機ガラスである
    ことを特徴とする請求項4、5または6記載の応力発光性粒子。
  15. 上記無機物質が、シリコン、アルミニウム、チタンまたはホウ素を有する酸化物、シリカガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウ酸ガラス、ソーダガラスおよびアルミネート系ガラスからなる群より選ばれた少なくとも1種以上の物質で構成されている
    ことを特徴とする請求項4、5または6記載の応力発光性粒子。
  16. 上記応力発光性物質が、SrAl2 4 またはBaAl2 4 を母体物質とし、この母体物質にEuを0.001%以上20%以下添加したものである
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の応力発光性粒子。
  17. 上記応力発光性物質が、SrAl2 4 またはBaAl2 4 を母体物質とし、この母体物質にEuを0.001%以上20%以下添加したものであり、上記有機物質がポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂またはこれらの混合物である
    ことを特徴とする請求項4記載の応力発光性粒子。
  18. 上記応力発光性物質が、SrAl2 4 またはBaAl2 4 を母体物質とし、この母体物質にEuを0.001%以上20%以下添加したものであり、上記無機物質が無機ガラスである
    ことを特徴とする請求項4記載の応力発光性粒子。
  19. 粒径が0.01mm以上10mm以下の複数の応力発光性粒子からなる
    ことを特徴とする応力発光性人工砂。
  20. 外力が加わると可聴音を発する
    ことを特徴とする請求項19記載の応力発光性人工砂。
  21. 粒径が0.01mm以上10mm以下の石英粒子が5%以上混合されている
    ことを特徴とする請求項19記載の応力発光性人工砂。
  22. 粒径が0.01mm以上10mm以下の複数の応力発光性粒子からなる
    ことを特徴とする応力発光性粒子集合体。
  23. 粒径が0.01mm以上10mm以下の複数の応力発光性粒子からなる、弾性を有する応力発光性粒子集合体が柔軟なカバーの内部に収容された構造を有する
    ことを特徴とする応力発光性柔軟構造体。
  24. 上記カバーが布からなる
    ことを特徴とする請求項23記載の応力発光性柔軟構造体。
  25. 上記応力発光性粒子が、応力発光性物質と発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレンまたはこれらの混合物とからなる複合物質からなる
    ことを特徴とする請求項23記載の応力発光性柔軟構造体。
  26. 上記応力発光性粒子が、応力発光性物質と発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレンまたはこれらの混合物とからなる複合物質からなり、上記応力発光性物質がSrAl2 4 またはBaAl2 4 を母体物質とし、この母体物質にEuを0.001%以上20%以下添加したものである
    ことを特徴とする請求項23記載の応力発光性柔軟構造体。
  27. 上記応力発光性粒子が、応力発光性物質とシリコーンゴムまたはシロキサン結合を有する有機シリコン化合物とからなる複合物質からなり、上記応力発光性物質がSrAl2 4 またはBaAl2 4 を母体物質とし、この母体物質にEuを0.001%以上20%以下添加したものである
    ことを特徴とする請求項23記載の応力発光性柔軟構造体。
  28. 上記応力発光性粒子が、応力発光性物質と他の物質とからなる複合物質が発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレンまたはこれらの混合物からなる粒子の表面にコーティングされたものである
    ことを特徴とする請求項23記載の応力発光性柔軟構造体。
  29. 上記カバーの成分がアクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ウレタン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、シリコーンゴムおよびシロキサン結合を有する有機シリコン化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質からなる
    ことを特徴とする請求項23記載の応力発光性柔軟構造体。
  30. 上記カバーの主成分がポリエステルである
    ことを特徴とする請求項23記載の応力発光性柔軟構造体。
  31. 応力発光性物質と他の物質とからなる複合物質からなり、粒径が0.01mm以上10mm以下の応力発光性粒子の製造方法であって、
    所定の鋳型の注入孔から上記複合物質を注入し、固化させるようにした
    ことを特徴とする応力発光性粒子の製造方法。
  32. 上記鋳型は、それぞれ窪みを有し、互いに分離可能な第1の鋳型および第2の鋳型をそれらの窪み同士が互いに対向するように位置合わせして保持したものである
    ことを特徴とする請求項31記載の応力発光性粒子の製造方法。
  33. 上記窪みは半球状である
    ことを特徴とする請求項32記載の応力発光性粒子の製造方法。
  34. 上記複合物質を注入した後、固化させる前に、上記注入された上記複合物質に圧縮ガスを注入するようにした
    ことを特徴とする請求項31記載の応力発光性粒子の製造方法。
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