JP3849632B2 - 複合材料、複合材料の製造方法、人工発光毛髪および人工発光繊維 - Google Patents
複合材料、複合材料の製造方法、人工発光毛髪および人工発光繊維 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複合材料、複合材料の製造方法、人工発光毛髪および人工発光繊維に関し、例えば、発光を効果的に利用するエンターテインメント分野あるいはアミューズメント分野や光学分野などで使用される複合材料の製造に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、蛍光性物質として、希土類元素をドープしたアルミネート系物質が注目され、活発に研究が行われている。このようなアルミネート系物質としては、EuをドープしたSrAl2 O4 (以下「SrAl2 O4 :Eu」と書く)が、後述のように応力発光現象の報告を契機として、最も注目されている。そこで、まず、このSrAl2 O4 :Euの研究開発経緯について、先行技術文献を挙げながら説明する。
【0003】
蛍光体であるSrAl 2 O 4 :Euの特許と研究経緯
SrAl2 O4 :Euは、古くから蛍光体として研究された経緯があり、以下の特許が1960年代にすでに登録されており、今や公知の材料系と言える(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】
米国特許第3294699号明細書
【0004】
根本特殊化学(株)による蓄光材料/長残光蛍光体SrAl 2 O 4 :Eu+Dy(N夜光:商品名「ルミノーバ」)の発明と研究経緯
この蛍光体の詳細については多くの報告または解説がある(例えば、非特許文献1−9、特許文献2−4)
【非特許文献1】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://w ww.nemoto.co.jp/index j.html〉
【非特許文献2】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://w ww.nemoto.co.jp/products/luminova/index.html〉
【非特許文献3】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://w ww.nemoto.co.jp/product/01 luminova/index.html〉
【非特許文献4】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://w ww.nemoto.co.jp/column/10 glow.html 〉
【特許文献2】
特許第2543825号明細書
【特許文献3】
米国特許第5424006号明細書
【特許文献4】
欧州特許第622440号明細書
【非特許文献5】
松沢隆嗣、竹内信義、青木康充、村上義彦、第248回 蛍光体同学会講演予稿集[Proc.Phosphor Res.Soc.](1993.11.26)7-13
【非特許文献6】
村上義彦、日経サイエンス、5(1996)20-29
【非特許文献7】
T.Matsuzawa,Y.Aoki,T.Takeuchi and Y.Murayama,J.Electrochem.Soc .,143(1996)2670-2673
【非特許文献8】
村上義彦、セラミックス、32(1997)40-43
【非特許文献9】
村上義彦、はかる、42(1997)2-7
【0005】
独立行政法人産業技術総合研究所センター・基礎素材研究部門・多機能材料技術研究グループの徐超男氏(元・通産省工業技術院・九州工業技術研究所・無機複 合材料部・機能性セラミックス研究室)らによるSrAl 2 O 4 :Eu系材料における応力発光現象の発見と特許および研究経緯
この応力発光SrAl2 O4 :Eu系材料や関連物質に関しては多くの解説や報告がある(例えば、非特許文献10−17、特許文献5−19参照)。特許文献5には、外部からの機械的エネルギーをウルツァイト(wurzite)型圧電材料で受けることにより発光し、内部に0.01〜20重量%の希土類あるいは遷移金属を含む材料が記載され、特許文献6にはこの材料を薄膜にしたものが記載されている。特許文献7には、機械的な外力を加えて生じる変形により発光する材料であり、MgAl2 O4 、CaAl2 O4 、Al2 O3 、SrMgAl10O17の母体材料に3d,4d,5d,4fの電子殻を有する遷移元素あるいは希土類元素を含む物質とその製造方法が記載されている。特許文献8には、金属酸化物/複合酸化物の母体結晶に3d,4d,5d,4fの電子殻を有する遷移元素あるいは希土類元素を発光中心イオンとして含む物質からなる、機械的変形により発光する材料が記載されている。特許文献9には、Sr3 Al2 O6 ,Ga3 Al2 O6 の母体材料に遷移元素や希土類を含む材料、 及び添加物質の量が0.01〜20重量%で800〜1700℃の還元雰囲気下で焼成させる製造方法が記載されている。特許文献10には、外部からの機械的エネルギーを光に変える材料において、Y−Ba−Mg−Si酸化物を母体材料とし、 希土類ないし遷移金属元素を発光中心とする材料が記載されている。特許文献11には、非化学量論組成のアルミン酸塩を規定した、機械的エネルギーによって発光する材料が記載されている。特許文献12には、可視光で励起させた蛍光体メモリーでmMO・nAl2 O3 の材料系が記載されている。特許文献13には、応力発光材料を用いた応力分布の測定システムが記載されている。特許文献14には、メリライト型結晶構造の酸化物(例えば、CaYAl3 O7 ,Ca2 Al2 SiO7 など)を母体とする、機械的エネルギーによって発光する材料が記載されている。特許文献15には、MN2 O4 でM=Mg,Sr,Ba,Zn、N=Ga,Alで、それに発光中心として希土類あるいは遷移金属がドープされた材料系とその製造方法が記載されている。特許文献16には、アルミン酸塩の母体に希土類あるいは遷移元素をドープした電場発光材料が記載されている。特許文献17には、(Sr,Ba,Mg,Ca,Zn,Cd)−(Al,Ga,Si)酸化物系の電歪材料で最大歪みが1%であることが記載されており、これは相当大きい値である。特許文献18には、トライボルミネッセント(Triboluminescent)材料としてピエゾ関連材料が記載されている。特許文献19には、応力発光材料として主にSr3 Al3 O6 が記載され、特許文献9に対応するものである。
【非特許文献10】
徐超男、AIST Today,vol.2,No8(2002)
【非特許文献11】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://w ww.aist.go.jp/aist j/aistinfo/aist today/vol02 08/vol02 80 mai n.html〉
【非特許文献12】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://w ww.aist.go.jp/aist j/aistinfo/aist today/vol02 08/vol02 08 p1 3.pdf〉
【非特許文献13】
C-N.Xu,T.Watanabe,M.Akiyama and X-G.Zheng,Appl.Phys.Lett.,74(1 999)1236-1238
【非特許文献14】
C-N.Xu,T.Watanabe,M.Akiyama and X-G.Zheng,Appl.Phys.Lett.,74(1 999)2414-2416
【非特許文献15】
C-N.Xu,X-G.Zheng,M.Akiyama,K.Nonaka and T.Watanabe,Appl.Phys.L ett.,76(2000)179-181
【非特許文献16】
徐超男、化学工業(2000年10月号)pp.790-794&808
【非特許文献17】
徐超男、月刊ディスプレー、9月号(2001年)98-103
【特許文献5】
特開平11−116946号公報
【特許文献6】
特許第3265356号明細書
【特許文献7】
特許第3136340号明細書
【特許文献8】
特許第3136338号明細書
【特許文献9】
特許第2992631号明細書
【特許文献10】
特開2000−313878号公報
【特許文献11】
特開2001−49251号公報
【特許文献12】
特開2001−123162号公報
【特許文献13】
特開2001−215157号公報
【特許文献14】
特許第3273317号明細書
【特許文献15】
特開2002−194349号公報
【特許文献16】
特開2002−194350号公報
【特許文献17】
特開2002−201068号公報
【特許文献18】
米国特許第6117574号明細書
【特許文献19】
米国特許第6159394号明細書
【0006】
次に、応力発光する物質系、主としてSrAl2 O4 系微粒子と樹脂との複合化技術について、その従来技術を以下に述べる。
根本特殊化学(株)から、複合材料としての商品名「ルミノーバ」(SrAl2 O4 :Eu+Dy)の樹脂含浸製品が、「練込樹脂ペレット」として以下のとおり販売されている(非特許文献18、19)。
【非特許文献18】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://w ww.nemoto.co.jp/products/luminova/index.html〉
【非特許文献19】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://w ww.nemoto.co.jp/products/gss/index.html 〉
【0007】
樹脂材料としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ABS樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(PA)、ウレタン樹脂が、上記ウェブ資料や非特許文献9に記載されている。さらに、上記ウェブ資料によれば、シリコーンゴムへの練り込みも試みられているようであるが、その詳細は明らかにされていない。一方、粉体と樹脂との混合比については、重量比で10%程度との記述があるのみである。
【0008】
一方、応力発光を発見した徐らの論文で報告されている複合材料は、そのほとんどがマトリックス(母材)としてエポキシ樹脂を用い、これを粉体と混合したもので、その形状もバルク塊であることから、発光させる際には、万力などにより強い機械的力を加える必要がある。
また、徐は、非特許文献10において、主として、応力分布の可視化技術や各種ディスプレイへの応用について記述しているが、エンターテインメント用の人工発光皮膚、人工発光毛髪、人工発光ボディー、人工発光布地などの用途展開に関しては、一切記述されていない。さらに、複合化技術においても、論文でエポキシ樹脂での成型が記述されているに過ぎず、ウェブ資料などでも、他の樹脂との複合化については一切記述されていない。
【0009】
根元特殊化学(株)が開発した蓄光材料の応用商品として、これまでに、以下の東京インテリジェントネットワーク株式会社のもの(非特許文献20、21)とサン・ユニット・カンパニーのもの(非特許文献22)とが知られている。非特許文献20、21には、蓄光材料の応用例として、蓄光タイル、蓄光ストラップ、蓄光特殊メイクジェル、蓄光壁紙などが記述され、また、非特許文献22には、タイル、塗料、ペレット、球などへの応用例が記述されているが、エンターテインメント用の人工発光皮膚、人工発光毛髪、人工発光ボディー、人工発光布地などの用途展開に関しては、一切記述されていない。
【非特許文献20】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://w ww2.raidway.ne.jp/〜tin/〉
【非特許文献21】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://w ww2.raidway.ne.jp/〜tin/nl/nl.html〉
【非特許文献22】
[平成14年8月30日検索]、インターネット〈URL:http://w eb.kyoto-inet.or.jp/people/sansanuc/s4.htm〉
【0010】
なお、応力発光についての記述は一切ないが、透明性を持たせた蛍光体材料およびその応用に関する文献がある(特許文献20〜24)。特許文献20には、蛍光体膜中の空隙を極めて少なくした高透光性蛍光膜が記載されている。特許文献21には、透明な蛍光インクと紫外線ランプとを具備する蛍光筆記具が記載され、これによれば筆記した筆記画像を繰り返し可視化、不可視化することができるとされている。特許文献22には、蓄光体を、可視光を散乱・反射しない粒子径(1〜100nm)の超微粒子とし、透明なバインダーと複合化することで、透明な蓄光性材料を得ることが記載され、実施例としてSrAl2 O4 :Eu系蓄光体が記載されている。特許文献23には、透明蛍光インクもしくは透明赤外吸収インクを用いた偽造防止性に優れる定期券が記載されている。特許文献24には、透明蛍光インクにより形成した文字などの秘密情報を有する偽造防止用シートが記載されている。これらはいずれも、根本的に応力発光材料とは機能の異なる材料に関するものである。
【特許文献20】
特公平6−43580号公報(特開平5−132668号公報)
【特許文献21】
特開平7−195890号公報
【特許文献22】
特開平9−95671号公報
【特許文献23】
特開平6−227192号公報
【特許文献24】
特開平9−183288号公報
【0011】
また、逆ミセル法を利用することで超微粒子を合成する方法が提案されている(非特許文献23)。
【非特許文献23】
河合武司、色材、71(1998)449
【0012】
また、超微粒子表面の配位子の交換反応を用いることで超微粒子を配列させることが可能であることが報告されている(非特許文献24)。さらに、前駆体超微粒子の表面を覆っている有機分子を所望の有機分子と配位子変換することで表面改質をする例として、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル燐酸や、ポリオキシエチレン(4,5)ラウリルエーテルのような分子を表面にコーティングすることが提案されている(特許文献25)。
【非特許文献24】
鳥本司、大谷文章、Electrochemistry, 69(2001)866
【特許文献25】
特開2002−201471号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来の技術では、応力発光性粒子は、もっぱら、固相反応法により作製したセラミックスを粉砕して粉末化することにより作製している。
このため、均一粒径の応力発光性粒子を得ることは困難であり、また、その粒径は数μmと大きかった。したがって、応力発光性粒子の分散性に優れる複合材料を得ることは困難であった。また、微細な構造を持つデバイスへの応力発光性粒子の適用も困難であり、例えば、応力発光性粒子を透明チューブへ詰めて応力発光人工毛髪を作製する場合、そのチューブ径には限界があり、十分に細い応力発光人工毛髪を得ることは困難であると考えられる。
【0014】
さらに、粒径が数μmの応力発光性粒子は、可視光域(波長400〜750nm)において光を散乱・反射するため、透明な応力発光材料を作製することができなかった。したがって、透明性が必要な、例えば表示パネルのようなパネルを通して反対側の情報を確認する必要のある部位への使用はできず、その用途は限定されていた。
【0015】
この発明は、上記課題を解決することを目的とする。
すなわち、この発明が解決しようとする課題は、人間の力でも、例えば人間の手や指で触っただけでも容易に発光を起こさせることができ、しかも触ったりした時だけ発光を起こさせることができる複合材料、その製造方法、この複合材料を用いた人工発光毛髪および人工発光繊維を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、逆ミセル法などにより作製される粒径5nm以上100nm以下の結晶性超微粒子あるいは逆ミセル法による前駆体超微粒子などを用いて複合材料を作製することで極めて分散性に優れた応力発光材料を作製することが可能であり、さらに複合化の際に透明な材料を選択することで、通常は透明でありながら、外力を印加した際にのみ発光を示す透明応力発光材料を作製できることなどを見いだし、この発明を案出するに至ったものである。
【0019】
すなわち、上記課題を解決するために、この発明の第1の発明は、
粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光する複合材料であって、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている
ことを特徴とするものである。
この発明の第2の発明は、
粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光し、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている複合材料の製造方法であって、
非極性溶媒中で界面活性剤分子の親水基部を内側に、疎水基部を外側に向けた分子集合体が含む水の中に、上記結晶性超微粒子を構成する金属のイオンが溶けたものを形成する工程と、
上記分子集合体と上記透明な有機物質とを混練する工程と、
上記分子集合体と上記透明な有機物質とを混練したものに対し、結晶化処理を行うことにより上記結晶性超微粒子と上記透明な有機物質とからなる複合材料を製造する工程とを
有することを特徴とするものである。
この発明の第3の発明は、
粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光し、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている複合材料の製造方法であって、
上記結晶性超微粒子の前駆体超微粒子内包逆ミセルを形成する工程と、
上記前駆体超微粒子内包逆ミセルと上記透明な有機物質とを混練する工程と、
上記前駆体超微粒子内包逆ミセルと上記透明な有機物質とを混練したものに対し、結晶化処理を行うことにより上記結晶性超微粒子と上記透明な有機物質とからなる複合材料を製造する工程とを
有することを特徴とするものである。
この発明の第4の発明は、
粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光し、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている複合材料の製造方法であって、
上記結晶性超微粒子内包逆ミセルを形成する工程と、
上記結晶性超微粒子内包逆ミセルと上記透明な有機物質とを混練する工程と、
上記結晶性超微粒子内包逆ミセルと上記透明な有機物質とを混練したものに対し、水を除去する処理を行うことにより上記結晶性超微粒子と上記透明な有機物質とからなる複合材料を製造する工程とを
有することを特徴とするものである。
この発明の第5の発明は、
粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光し、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている複合材料の製造方法であって、
上記結晶性超微粒子の前駆体超微粒子を形成する工程と、
上記前駆体超微粒子と上記透明な有機物質とを混練する工程と、
上記前駆体超微粒子と上記透明な有機物質とを混練したものに対し、結晶化処理を行うことにより上記結晶性超微粒子と上記透明な有機物質とからなる複合材料を製造する工程 とを
有することを特徴とするものである。
この発明の第6の発明は、
粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光し、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている複合材料の製造方法であって、
有機分子被覆前駆体超微粒子を形成する工程と、
上記有機分子被覆前駆体超微粒子と上記透明な有機物質とを混練する工程と、
上記有機分子被覆前駆体超微粒子と上記透明な有機物質とを混練したものに対し、結晶化処理を行うことにより上記結晶性超微粒子と上記透明な有機物質とからなる複合材料を製造する工程とを
有することを特徴とするものである。
この発明の第7の発明は、
粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光し、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている複合材料の製造方法であって、
有機分子被覆結晶性超微粒子を形成する工程と、
上記有機分子被覆結晶性超微粒子と上記透明な有機物質とを混練して上記結晶性超微粒子と上記透明な有機物質とからなる複合材料を製造する工程とを
有することを特徴とするものである。
この発明の第8の発明は、
粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光する複合材料からなり、太さが1mm以下0.1mm以上である人工発光毛髪であって、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている
ことを特徴とするものである。
この発明の第9の発明は、
粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光する複合材料からなり、太さが1mm以下である人工発光繊維であって、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている
ことを特徴とするものである。
【0020】
ここで、結晶性超微粒子の粒径を5nm以上100nm以下とした理由は、次のとおりである。まず、波長範囲380nmから780nmの可視光を散乱・反射させずに透過させることができるようにするために、粒径は100nm以下とすることが好ましい。一方、粒径が5nm未満になると、応力発光材料は典型的には母体材料に極微量の発光中心元素を添加したものであるため、結晶性超微粒子の製造時に発光中心元素を含まず、発光強度が低い結晶性超微粒子が現れる確率が高まるとともに、作製や取り扱いが困難となる。結晶性超微粒子の粒径は、5nm以上100nm以下の範囲内で必要に応じて選ぶことができるが、典型的には5nm以上80nm、より典型的には20nm以上80nm以下である。また、結晶性超微粒子は、他の材料と複合化する際には粉末(粒子群)として使用されるが、この粉末を構成する結晶性超微粒子の平均粒径としては5nm以上100nm以下とすることが好ましい。この場合、粒径分布の標準偏差は好適には±30%以内、より好適には±20%以内、さらに好適には±10%以内、最も好適には±5%以内とする。
【0021】
結晶性超微粒子の形状は任意であり、球状、立方体状、直方体状、板状、棒状などのいずれのものであってもかまわないが、一般的には球状のものが用いられる。ここで、板状および棒状の結晶性超微粒子の粒径とは、その結晶性超微粒子の長手方向の長さを意味する。
【0022】
応力の時間変化率に依存して発光させるためには、結晶性超微粒子に外部からエネルギーを加える。このエネルギーは、典型的には、外力により発生する応力による機械的エネルギーであるが、そのほかに、外部から加える弾性振動あるいは超音波などの音波による振動エネルギーも含まれる。
【0023】
この結晶性超微粒子の表面は、例えば有機分子で覆れていてもよい。この有機分子は各種のものであってよいが、特に、後述のようにこの結晶性超微粒子が逆ミセル法により製造されたものである場合、この有機分子は、例えば親水基部と疎水基部とを有する界面活性剤であり、その親水基部は例えば−SO3 - 、R2 N+ R2 (R:アルキル基)、−OH、−(OCH2 CH2 )n −、−O−、−N=などであり、疎水基部は例えば直鎖もしくは分岐を持ったアルキル鎖を有するものである。
【0024】
結晶性超微粒子に用いられる応力発光材料は、典型的には無機化合物である。この無機化合物としては各種のものを用いることができ、用途などに応じて一種または二種以上のものを適宜選択して用いることができる。この無機化合物は、一般的には酸化物、硫化物、窒化物、炭化物などである。具体的には、ウルツ鉱型圧電体である、ZnS:Mn、ZnS:Cu、ZnS:Eu、ZnS:Ce、AlN:Mn、SiC:Mn、ZnO:Eu、ZnO:Mn、蛍石構造を有するZrO2 :Ce、ZrO2 :Ti、HfO2 :Ce、CeO2 :Ce、コランダム構造を有するCr2 O3 :Ce、Ti2 O3 :Ce、Al2 O3 :Ce、アルミン酸塩であるSr3 Al2 O6 :Eu、Ca3 Al2 O6 :Nd、MgAl2 O4 :Ce,Eu,Mn,Cu,Eu+Tb、SrAl2 O4 、SrAl2 O4 :Eu、BaAl2 O4 :Eu、CaAl2 O4 :Ce、SrMgAl10O17:Eu、Sr−Ba−Mg−Al−O:Eu、Ba−Mg−Al−O:Eu、Y−Ba−Mg−Si−O系のY2 SiO5 :Eu,Ce,Sm、BaSi2 O5 :Pb、Ba3 MgSi2 O8 :Eu、メリライト構造を有するCa2 Al2 SiO7 :Ce、CaMgSi2 O7 :Ce、Ca2 (Mg,Fe)Si2 O7 :Ce、CaYAl3 O7 :Ce、Ca2 B2 SiO7 :Ce、CaNaAlSi2 O7 :Ce、(Ca,Na)2 (Al,Mg)(Si,Al)2 O7 :Ce、Ca2 (Mg,Al)(Al,Si)SiO7 :Ce、スピネル型のZnGa2 O4 :Mn、ZnAl2 O4 :Mn、MgGa2 O4 :Mnなどや、それらに由来する無機成分である。
【0025】
特に、結晶性超微粒子がアルカリ土類アルミン酸塩からなる場合、それは、典型的には、
で表記される組成を有する酸化物結晶である。ここで、一般式Ax By Oz におけるAはSrk Bal Cam Mgn と表記されるが、これは、アルカリ土類であるSr,Ba,Ca,Mgを任意の組成で含む固溶体であることを意味する。また、DはYq Gar Int と表記され、これはY,Ga,Inを任意の組成で含む固溶体であることを意味するが、典型的にはAlを主成分とし、Y,Ga,Inを含む固溶体である。この結晶性超微粒子には希土類元素または遷移金属元素が添加されることもあり、その場合、典型的には、Ax By Oz の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加される。典型的には、希土類元素または遷移金属元素として少なくともEuが添加される。希土類元素または遷移金属元素を添加する場合、これらは、典型的には、酸化物結晶のAサイトに置換固溶させる。
【0026】
上記の応力発光材料は、それぞれ発光色が異なり、所望の色の発光を示す応力発光材料を選択することで、様々な発光色を持つ材料を得ることができる。例えば、発光強度の観点からは、アルミン酸塩系の材料が好ましく、その中でも人間の目の視感度の高い緑色の発光を示すSrAl2 O4 :Euが好適である。
【0027】
この結晶性超微粒子は、基本的には、どのような方法で製造してもよいが、好適には、後述のような逆ミセル法を利用して製造される。
この発明の第1の発明に関連して述べた以上のことは、その性質に反しない限り、以下に述べるこの発明の第2〜第13の発明においても同様に成立するものである。
【0029】
結晶性超微粒子と複合化する材料としては各種のものを用いることができ、複合材料の用途などに応じて適宜選ぶことができる。この材料は一種または二種以上のものであってもよく、さらには有機材料、無機材料のいずれであっても、両者を一緒に用いてもよく、場合によっては有機・無機複合物質であってもよい。この材料は、例えば、各種の樹脂やガラスなどであり、複合材料に柔軟性を持たせる観点からは、これらの中でも弾性体が好適に用いられる。この場合、複合材料中の結晶性超微粒子の重量比率は、複合材料の用途などに応じて適宜選択することができるが、結晶性超微粒子と複合化する材料として弾性体を用いる場合には、複合材料全体として弾力を持たせ、応力発光を人間の力などで容易に実施することを可能としたり、耐久性の向上を図るなどの観点より、好適には30%以上100%未満、より好適には30%以上80%以下とする。これらの材料のヤング率は、例えば人間の力で容易に発光が起こる限り特に問わないが、比較的硬いものでは例えば10MPa以上であり、より柔軟なものでは例えば10MPa未満、好適には1MPa以下、通常は0.0001MPa以上である。複合材料のヤング率も同様に、例えば10MPa以上、より柔軟なものでは例えば10MPa未満、典型的には例えば1MPa以下で通常は0.0001MPa以上である。
【0030】
また、複合材料中においては、好適には、結晶性超微粒子がその他の材料中に互いに接することなく分散している。一方、複合材料の製造時、例えば混練時などには、意図しないでも、何らかの原因で結晶性超微粒子が凝集体を形成してしまう場合もあるが、この場合でも、その凝集体の大きさが例えば100nm以下であれば、可視光の散乱・反射を防止することができる。
【0031】
結晶性超微粒子と複合化する材料は典型的には有機物質であり、具体的には、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ウレタン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、シリコーンゴム、シロキサン結合を有する有機シリコン化合物および有機圧電物質からなる群より選ばれた少なくとも一種以上の物質である。ここで、有機圧電物質としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリトリフルオロエチレン共重合体などが挙げられる。これらに加えて、発泡物質、具体的には例えば発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレンまたはこれらの混合物を用いてもよく、これらは特に弾性に富み柔軟な複合材料を得る場合に好適なものである。
【0032】
例えば、上記のポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ウレタン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、シリコーンゴム、シロキサン結合を有する有機シリコーン化合物などの樹脂を結晶性超微粒子と複合化した複合材料に外力を加えた場合、この複合材料は樹脂の本来の特徴を損なうことなく弾性変形し、これに伴い、分散した結晶性超微粒子に応力が発生し、この結晶性超微粒子からの発光を確認することができる。この場合、応力発光させるために複合材料を変形させるために必要な外力は、例えば人間が手で軽く触る程度の力で十分である。
【0033】
結晶性超微粒子と樹脂との複合材料を作製する際に、樹脂として光硬化性樹脂を選択することで、三次元光造形法により複雑な構造を持った構造体を作ることも可能である。この光硬化性樹脂は主としてプレポリマー、モノマーおよび開始剤からなる。この光硬化性樹脂としては、具体的には、例えばエポキシ系、アクリル系、エン・チオール系などの樹脂を用いることができる。
【0034】
結晶性超微粒子と複合化する材料としては、例えばイオンを取り込んで変形する有機導電性物質を用いることもできる。このような有機導電性物質としては、例えば複素芳香環系導電性高分子、具体的にはポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどが挙げられる。さらに、結晶性超微粒子と複合化する材料として高分子ゲル材料を用いることもできる。この高分子ゲル材料は、例えば、熱変位機能を有する水溶性非電解質高分子ゲル、pHによって変位が生じる電解質高分子ゲル、電気で変位が起きる高分子化合物と界面活性剤との組み合わせ、ポリビニルアルコール系材料およびポリピロール系材料からなる群より選ばれた少なくとも一種以上の材料である。ここで、熱変位機能を有する水溶性非電解質高分子ゲルは、例えばポリビニルメチルエーテルまたはポリNイソプロピルアクリルアミドであり、pHによって変位が生じる電解質高分子ゲルは例えばポリアクリロニトリルであり、電気で変位が起きる高分子化合物は例えばポリアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である。
【0035】
上記の複合材料において結晶性超微粒子と複合化する材料として無機物質を用いる場合、この無機物質としては、典型的には無機ガラスが用いられる。この無機ガラスは、一般的にはSi,Ge,Ti,Zr,Pb,B,Al,P,As,Mg,Ca,Sr,Ba,Li,Na,K,S,Se,TeおよびFよりなる群から選択された少なくとも一種の元素を含むガラスであり、より具体的には、例えば、Si,Al,TiまたはBを有する酸化物、シリカガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウ酸ガラス、ソーダガラスおよびアルミネート系ガラスからなる群より選ばれた少なくとも一種以上の物質で構成されたものである。これらの無機ガラスは、樹脂に比べてヤング率は高いが、その分応力がより効果的に結晶性超微粒子に発生する利点がある。
【0036】
複合材料が液状の塗料、インク、接着剤などである場合、結晶性超微粒子と複合化するその他の材料としては、典型的には、バインダー、添加剤、溶剤などが用いられる。バインダーとしては無機樹脂(ポリシロキサン、ポリボロシロキサンなど)や金属アルコキシド(有機シリケート、有機チタネートなど)、添加剤としては増粘剤、沈降防止剤や硬化剤、溶剤としては有機溶剤や水が適宜必要に応じて選択され使用される。
【0037】
上記のように結晶性超微粒子を他の材料と複合化する場合には、発光輝度を低下させないために、この材料としては、好適には、可視光に透明なものが用いられる。例えば、上記のエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーンゴムなどの樹脂やホウケイ酸ガラスなどはこの観点から好適な例である。このように結晶性超微粒子と複合化する他の材料として可視光に透明な材料を用いることにより、上述のように粒径が5nm以上100nm以下の結晶性超微粒子は可視光を散乱・反射させずに透過させることができることと相まって、可視光に透明な複合材料を得ることができる。このため、例えば、この透明な複合材料を用いてシートやフィルムや後述の人工発光毛髪などを作製した場合、これらは通常は透明であり、これらを例えば手で触ったり曲げたりして応力が発生したときのみ、複合材料中に分散された結晶性超微粒子からの発光を得ることができる。また、結晶性超微粒子をバインダーなどへ分散させた透明応力発光体塗料や透明応力発光体インクは通常は透明性を維持しその形状を確認することはできないが、手で触るなどして応力が発生したときにのみそれらの塗布の形状に応じた発光を得ることができる。
【0038】
上記の複合材料の具体例を挙げると、結晶性超微粒子が、SrAl2 O4 またはBaAl2 O4 を母体物質とし、この母体物質にEuを0.001%以上20%以下添加したもので、他の材料としての有機物質がポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂またはこれらの混合物であるもの、結晶性超微粒子が、SrAl2 O4 またはBaAl2 O4 を母体物質とし、この母体物質にEuを0.0001%以上20%以下添加したもので、他の材料としての無機材料が無機ガラスであるものなどである。
【0039】
結晶性超微粒子とその他の材料との複合化の際には、後述のように、超微粒子表面の配位子と複合化させる材料との相性を考慮することで、極めて分散性に優れた複合材料を作製することが可能であることから、これを考慮して適宜材料を選択することが望ましい。また、超微粒子表面の配位子の交換反応を用いることで超微粒子を配列させることも可能である。
【0040】
この複合材料を用いて各種の構造物を製造することができる。例えば、人工発光シート、人工発光毛髪、人工発光繊維などである。そして、これらの人工発光毛髪や人工発光繊維により、例えば、人工発光毛髪構造体、人工発光皮膚、人工発光ボディーなどを構成することができる。
【0041】
具体的には、この複合材料からなる複数の人工発光毛髪が基体上に立設された構造を有する人工発光毛髪構造体または人工発光皮膚や、この複合材料からなる複数の人工発光毛髪がボディー表面に立設された構造を有する人工発光ボディーを製造することができる。ここで、人工発光毛髪は、典型的には、針状、ファイバー状または繊維状の形状を有する。この人工発光毛髪の太さは、この人工発光毛髪を人間が手や指などで触ったときに十分に曲がって発光が起こる限り、特に限定されないが、柔軟性を確保するとともに、応力発光に必要な内部応力を生じさせて容易に発光を起こさせ、さらには、人間が触った時の感触を良好にするなどの観点からは、好適には2mm以下、より好適には1mm以下、さらに好適には0.5mm以下とする。この人工発光毛髪の太さの下限は、強度が確保される限り存在しないが、通常は例えば0.1mm以上である。この太さは、基体上の全ての場所で一定であってもよいし、場所によって異なってもよい。基体上の人工発光毛髪の面密度は必要に応じて選ばれるが、人間が手や指などで触ったときにその触った部位で明瞭な発光が認められるようにするなどの観点からは、好適には1本/cm2 以上とし、より好適には2本/cm2 以上とする。面密度の上限は、使用する人工発光毛髪の太さにより決まる。面密度は、基体上の全ての場所で一定であってもよいし、場所によって異なってもよい。基体の面に対する人工発光毛髪の角度は必要に応じて決められ、90°であってもそれ以外の角度でもよいが、典型的には90°とする。この角度は、基体上の全ての場所で一定であってもよいし、場所によって異なってもよい。基体上への人工発光毛髪の立設の方法は基本的にはどのような方法を用いてもよいが、典型的には、例えば基体に設けられた孔(貫通孔であっても非貫通孔であってもよい)に人工発光毛髪の根元が埋め込まれる。人工発光毛髪は、典型的には基体上に周期的に立設され、具体的には、規則格子、例えば正方格子や正三角格子の配置で立設される。この配置の仕方は、基体上の全ての場所で同一であってもよいし、場所によって異なってもよい。なお、必要に応じて、人工発光毛髪と混ぜて、発光機能のない人工毛髪を用いてもよい。
【0042】
人工発光毛髪からの発光を均一に起こさせる観点からは、好適には、複合材料からなる人工発光毛髪の内部において結晶性超微粒子をほぼ均一に分散させる。人工発光毛髪に触った時の感触を良くしたり、耐久性の向上を図るなどの観点からは、好適には、人工発光毛髪の表面が有機材料層、具体的には例えばコーティング層で被覆される。基体は、好適には、人間の手で容易に曲げることができるフレキシブルな材料で構成されるが、それ以外の材料で構成してもよい。
【0043】
上記の複合材料からなる人工発光繊維を用いて人工発光布地を製造することができる。ここで、人工発光布地の織り方(編み方)の周期(織り目または編み目において互いに隣接する人工発光繊維の間隔に対応する)は必要に応じて選ばれるが、人間が手などで触ったときにその触った部位で明瞭な発光が認められるようにするなどの観点からは、好適には1回/cm以上、より好適には2回/cm以上とする。また、織り方(編み方)は種々のタイプがあり、必要に応じてこれらのうちから選ぶことができる。人工発光布地は、人工発光繊維だけを用いて織ったり編んだりしてもよいが、例えば、貫通孔を周期的に設けた基体を用い、この基体の貫通孔に人工発光繊維を通しながら織ったり編んだりしてもよい。この場合には、布地の模様が周期的になり、美しい文様を呈することができる。ここで、基体上の貫通孔の面密度は、好適には1本/cm2 以上、より好適には2本/cm2 以上である。また、必要に応じて、人工発光繊維と混ぜて、発光機能のない繊維を用いてもよい。
【0044】
上記の人工発光毛髪構造体、人工発光皮膚、人工発光ボディーおよび人工発光布地は、例えば、各種ロボット(仕事ロボット、娯楽ロボット、癒しロボットなど)や、各種オーディオ機器(スピーカーを含む)、テレビ、ビデオ、パソコンなどの家庭電器製品や、文房具などの日用雑貨品などにおいて、ボディーや装飾などに用いて好適なものである。
この発明の第2の発明に関連して述べた以上のことは、その性質に反しない限り、以下に述べるこの発明の第3〜第13の発明においても同様に成立するものである。
【0045】
上述のような結晶性超微粒子やその前駆体超微粒子などは、界面活性剤で油中に安定に分散させたナノメートルオーダーサイズの水滴を反応場とする超微粒子合成法である逆ミセル法を用いることにより製造することができる。この方法によると、反応場の大きさを容易に変えることができ、これにより作製する超微粒子の粒径を所望の範囲、例えば5〜100nmの範囲で任意に制御することができる。さらに、大きさのそろった反応場での合成のため、極めて単分散性に優れた超微粒子を製造することが可能である。逆ミセル法に用いる界面活性剤として特に制限はないが、例えば、アニオン性のビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AOT)、カチオン性のヘキサデシルトリメチルアンモニウム=ブロミド、セチルジメチルベンジルアンモニウム=ブロミド、ブチルドデシルジメチルアンモニウム=ブロミド、ジオレイルジメチルアンモニウム=クロリド、非イオン性のペンタオキシエチレングリコールドデシル=エーテル、ヘキサオキシエチレングリコールドデシルーエーテル、ポリオキシエチレン(6)ノニルフェニル=エーテルなどを用いることができる。油相としては、例えば、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ベンゼン、クロロベンゼンなどの中から、一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。また、用いる金属源に特に制限はないが、例えば、製造すべき結晶性超微粒子を構成する金属を含む硝酸塩、硫酸塩、金属アルコキシド、水酸化物、ハロゲン化物などから適宜選択して用いることができ、逆ミセル中に溶解させたこれらの金属のイオンに対して、加水分解反応や沈殿反応などを起こさせることで超微粒子を合成することができる。また、このようにして作製した前駆体超微粒子に、熱処理、レーザー光照射、超音波照射、マイクロ波照射などによる結晶化処理を行うことにより、結晶性の高い応力発光性超微粒子、すなわち結晶性超微粒子を得ることができる。他の材料との複合材料を作製する際には、上述の方法で作製された応力発光性超微粒子を用いることもできるが、作製プロセスの各段階で得られる生成物を用いることも可能である。例えば、加水分解反応や沈殿反応を起こす前の水中に金属イオンが溶解した逆ミセルや、最終的な結晶化処理を行う前の前駆体超微粒子などを用い、これを他の材料と複合化させた後に結晶化処理などを行うことができる。前駆体超微粒子を用いる際には、製造反応に用いられる溶媒、配位子、界面活性剤などの有機分子あるいはこれらが何らかの化学変化を受けて生成する有機構造などの有機成分をそのまま表面に保持していても構わない。粒子表面に保持される有機成分と前駆体超微粒子あるいは結晶性超微粒子との結合様式に制限はないが、例えば、配位結合、共有結合、イオン結合、ファンデルワールス力、水素結合、疎水- 疎水相互作用、分子鎖の絡み合いなどの結合および相互作用などが挙げられる。表面が有機分子で覆われた前駆体超微粒子あるいは結晶性超微粒子は、簡単には、前駆体超微粒子内包逆ミセルあるいは結晶性超微粒子内包逆ミセルを乾燥処理することで得られるが、所望の有機分子と配位子変換することで、表面改質をすることも可能である。一例を挙げれば、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル燐酸や、ポリオキシエチレン(4,5)ラウリルエーテルのような分子を表面にコーティングさせることが可能である。また、複合化させる材料として、粒子表面に付いている有機分子などと相性のよい材料を選択することで、分散性に優れた複合材料を作製することが可能である。このような材料の一例は、シロキサン結合を有する有機シリコーン化合物であり、この場合、そのシロキサンと粒子表面に付いている界面活性剤の疎水基とが結合する。前駆体超微粒子内包逆ミセルや結晶性超微粒子内包逆ミセルを有機溶媒などで洗浄し、表面に何も付いていない状態の前駆体超微粒子や結晶性超微粒子として用いることも可能である。
【0047】
ここで、製造すべき結晶性超微粒子の粒径は、既に述べた理由により、好適には5nm以上100nm以下であるが、必ずしもこの範囲に限定されない。分子集合体の内部の水の平均粒径、言い換えれば界面活性剤内の水滴からなる反応場の大きさは、製造すべき結晶性超微粒子の粒径に応じて選ぶことができるが、例えば5nm以上100nm以下とすることができる。逆ミセル法に用いる界面活性剤、油相、金属源などは、例えば上記のものの中から必要に応じて選択することができる。界面活性剤分子の親水基部は、典型的には、−SO3 - 、R2 N+ R2 (R:アルキル基)、−OH、−(OCH2 CH2 )n −、−O−、−N=などで表される親水性結合部を有し、また、その疎水基部は、典型的には、直鎖もしくは分岐を持ったアルキル鎖を有する。
【0048】
上記の分子集合体が含む水の中の水に対する金属のイオンの濃度は、一般的には10mol/l以下である。特に、結晶性超微粒子が、上記の一般式Ax By Oz で表記される組成を有するものである場合には、典型的には、分子集合体が含む水の中の金属のイオンはAを構成するアルカリ土類金属のイオンおよびBを構成する金属のイオンであり、Bを構成する金属のイオンに対するAを構成するアルカリ土類金属のイオンの比が0.1以上5以下である。また、典型的には、分子集合体が含む水の中に、Aを構成するアルカリ土類金属のイオンの1モルに対して、希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下含まれる。具体的には、例えば、希土類元素または遷移金属元素として少なくともEuが含まれる。
【0049】
非極性溶媒中で界面活性剤分子の親水基部を内側に、疎水基部を外側に向けた分子集合体、すなわち逆ミセルが含む水の中に、結晶性超微粒子を構成する金属のイオンが溶けたものを形成した後は、逆ミセル中に溶解させたこれらの金属のイオンに対して、加水分解反応や沈殿反応などを起こさせることで前駆体超微粒子を合成することができる。沈殿反応を起こさせる場合、沈殿剤としては、例えばアンモニア水(NH4 OH)や過酸化水素(H2 O2 )などを用いることができる。そして、このようにして作製した前駆体超微粒子に、熱処理、レーザー光照射、超音波照射、マイクロ波照射などを行って結晶化処理を行うことで、結晶性の高い応力発光性超微粒子、すなわち結晶性超微粒子を得ることができる。ここで、例えば、酸化物からなる結晶性超微粒子を得る場合、上記のアンモニア水などの沈殿剤の添加により金属の水酸化物などが生成され、これが前駆体超微粒子となるため、酸化物の形成に必要な酸素はここから供給される。酸化物の形成に必要な酸素は、上記の結晶化処理の際に酸素を含む雰囲気を用いることによっても供給することができる。
【0050】
あるいは、上記のように、逆ミセルが含む水の中に、結晶性超微粒子を構成する金属のイオンが溶けたものを形成した後、結晶性超微粒子を構成する物質に応じた適切な雰囲気、例えば、結晶性超微粒子が酸化物からなる場合には酸素を含む雰囲気あるいは結晶性超微粒子が硫化物からなる場合にはイオウを含む雰囲気(例えば、H2 S雰囲気)中において、熱処理、レーザー光照射、超音波照射、マイクロ波照射などの結晶化処理を行うことで、結晶性超微粒子を得ることもできる。
【0051】
さらに、上記のように、逆ミセルが含む水の中に、結晶性超微粒子を構成する金属のイオンが溶けたものを形成した後、逆ミセル中に溶解させたこれらの金属のイオンに対して、加水分解反応や沈殿反応などを起こさせることで結晶性超微粒子を直接合成することもできる。
また、例えば、硫化物からなる結晶性超微粒子を得る場合には、上記の金属のイオンを含む逆ミセルを、Na2 Sなどの沈殿剤を含む逆ミセルと反応させることによって、結晶性超微粒子を簡便に直接合成することができる。
この発明の第3の発明に関連して述べた以上のことは、その性質に反しない限り、以下に述べるこの発明の第4〜第13の発明においても同様に成立するものである。
【0053】
ここで、前駆体超微粒子の粒径は、一般的には、製造すべき結晶性超微粒子の粒径に比べて少し大きいと考えられるが、近似的には、製造すべき結晶性超微粒子の粒径と同程度であり、例えば、5nm以上100nm以下である。
【0054】
非極性溶媒中で界面活性剤分子の親水基部を内側に、疎水基部を外側に向けた分子集合体、すなわち逆ミセルが含む水の中に、結晶性超微粒子の前駆体超微粒子が含まれているもの、すなわち前駆体超微粒子内包逆ミセルを形成した後、その前駆体超微粒子に、熱処理、レーザー光照射、超音波照射、マイクロ波照射などを行って結晶化処理を行うことで、結晶性の高い応力発光性超微粒子、すなわち結晶性超微粒子を得ることができる。
【0061】
この複合材料においては、結晶性超微粒子を構成する物質に応じた適切な雰囲気、例えば、結晶性超微粒子が酸化物からなる場合には酸素を含む雰囲気あるいは結晶性超微粒子が硫化物からなる場合にはイオウを含む雰囲気(例えば、H2 S雰囲気)中において、熱処理、レーザー光照射、超音波照射、マイクロ波照射などの結晶化処理を行うことで、結晶性の高い応力発光性超微粒子、すなわち結晶性超微粒子を得ることができる。
【0063】
この複合材料においては、熱処理、レーザー光照射、超音波照射、マイクロ波照射などの結晶化処理を行うことで、結晶性の高い応力発光性超微粒子、すなわち結晶性超微粒子を得ることができる。
例えば、その他の材料が樹脂である場合、前駆体超微粒子内包逆ミセルの界面活性剤と樹脂組成分とは、ファンデルワールス力、水素結合、化学結合などで結合している。
【0064】
例えば、その他の材料が樹脂である場合、結晶性超微粒子内包逆ミセルの界面活性剤と樹脂組成分とは、ファンデルワールス力、水素結合、化学結合などで結合している。
【0065】
この複合材料においては、熱処理、レーザー光照射、超音波照射、マイクロ波照射などにより前駆体超微粒子の結晶化処理を行うことで、結晶性の高い応力発光性超微粒子、すなわち結晶性超微粒子を得ることができる。
【0066】
上述のように構成されたこの発明によれば、結晶性超微粒子の粒径が5nm以上100nm以下であることにより、その他の材料と複合化する際の分散性に優れているとともに、結晶性超微粒子による可視光の散乱・反射をなくすことができ、作製や取り扱いも容易である。
【0067】
また、粒径が5nm以上100nm以下の結晶性超微粒子とその他の材料とからなる複合材料によれば、他の材料を必要に応じて選択することにより、所望の機能を有する応力発光性材料を得ることができる。例えば、他の材料として柔軟性に富む樹脂などを用いることにより、人間が手や指で触っただけで容易に発光させることが可能となる。あるいは、他の材料として透明な材料を用いることにより、通常は透明で外部からエネルギーを加えたときにのみ発光する応力発光性材料を得ることもできる。
【0068】
また、逆ミセルあるいは前駆体超微粒子内包逆ミセルを形成することにより、結晶化を含む適切な後処理を行うことで、所望の粒径の結晶性超微粒子を容易に製造することができる。あるいは、結晶性超微粒子内包逆ミセルを形成することにより、結晶性超微粒子を直接製造することが可能である。
【0069】
さらに、逆ミセル、前駆体超微粒子内包逆ミセルあるいは前駆体超微粒子とその他の材料とから複合材料を形成することにより、その後に結晶化を含む適切な後処理を行うことにより、所望の粒径の結晶性超微粒子とその他の材料とからなる複合材料を容易に製造することができる。あるいは、結晶性超微粒子内包逆ミセルとその他の材料とから複合材料を形成することにより、所望の粒径の結晶性超微粒子とその他の材料とからなる複合材料を容易に製造することができる。
【0070】
また、上記の複合材料で人工発光毛髪や人工発光繊維を製造することにより、例えば、人間が手や指で軽く触っただけでも柔らかい感触で容易に人工発光毛髪や人工発光繊維を大きく曲げて発光を起こさせることができる。また、接触が終われば、直ちに発光が停止する。そして、以上のように接触に伴い発光が生じ、それを一般ユーザーが知覚することにより、ユーザーに心地よさが喚起され、あるいはその感性を効果的に刺激することができる。
【0071】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態の全図において、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
図1はこの発明の第1の実施形態による複合材料を示す断面図である。図1に示すように、この複合材料においては、粒径が5〜100nmで応力により発光を示す結晶性超微粒子1がその他の材料2中に分散している。図2に結晶性超微粒子1を示す。結晶性超微粒子1およびその他の材料2としては種々のものを用いることができるが、この場合、結晶性超微粒子1はSrAl2 O4 :Euからなり、その他の材料2はポリエステル樹脂である。この複合材料中において、結晶性超微粒子1は、その一つ一つが互いに接することなく分散している。
【0072】
次に、上述のように構成された複合材料の製造方法について説明する。
まず、SrAl2 O4 :Euからなる結晶性超微粒子1を逆ミセル法により次のようにして製造する。
【0073】
まず、原料として以下の物質を所定量サンプル管にとり1時間攪拌する。
サンプル管1
硝酸ストロンチウム(Sr源) 0.00667mol
硝酸アルミニウム9水和物(Al源) 0.00333mol
硝酸ユーロピウム6水和物(Eu源) 0.0000167mol
イオン交換水 5ml
サンプル管2
アンモニア水(沈殿剤) 2ml
過酸化水素水(沈殿剤) 0.3ml
水 2.7ml
サンプル管3
AOT(界面活性剤) 0.05mol
イソオクタン(油相) 100ml
【0074】
サンプル管1および2の溶液に、サンプル管3の溶液を2等分したものをそれぞれ加え、さらに1時間攪拌する。次に、サンプル管1の溶液を加熱還流装置を備えたセパラブルフラスコへ移し変えこれを150℃に昇温させた後、サンプル管2の溶液をそのセパラブルフラスコへ徐々に加え反応を開始する。反応開始後2時間経過時点で、加熱を終了し室温まで冷却する。得られた前駆体超微粒子を遠心分離(例えば、4000回転/分)し、さらに上澄みを取り除くことで、前駆体超微粒子内包逆ミセルを得る。さらに、この前駆体超微粒子内包逆ミセルを100℃に設定したホットプレートにて加熱することで、逆ミセル中の水を除去し、有機分子被覆前駆体超微粒子を得る。また、前駆体超微粒子内包逆ミセルを遠心分離した沈殿物をアセトンで洗浄することで、前駆体超微粒子を得た。結晶性超微粒子1は、この前駆体超微粒子に対し、1400℃での酸素中仮焼、1200℃での水素(5%)窒素雰囲気中還元熱処理という結晶化処理を施すことにより得た。このようにして得られた結晶性超微粒子1のX線回折図形を図3に示す。図3からわかるように、ほぼ目的結晶相で構成されており、結果的にできている物質は既知論文[F. Hanic, T. Y.Chemekova and J. Majling, J. Appl. Pyys., 12 (1979) 243]と同様に単斜晶系で指数付けされた。図4に、この結晶性超微粒子を水銀ランプによる波長254nmの紫外線で励起したときの発光スペクトルを示す。
【0075】
次に、ポリエステル樹脂と、上述のようにして製造された結晶性超微粒子1からなる粉末とを重量比で1:2の割合で混錬し、これを数cm角のシート状に成形し、一昼夜放置して無機・有機複合シートを作製した。ここで作製したシートは、厚さ1mmに満たない薄いシートである。シートを通して向こう側を見ることができ、透明なシートが作製できていることが確認できた。このシートにおいては、暗がりで手で軽く曲げるだけで、発光することが確認された。
【0076】
以上のように、この第1の実施形態によれば、逆ミセル法を利用して粒径が5〜100nmで応力により発光を示すSrAl2 O4 :Euからなる結晶性超微粒子1を製造し、これをポリエステル樹脂からなるその他の材料2中に分散させて複合材料を製造していることにより、結晶性超微粒子1の分散性が優れ、発光効率が高く、しかも透明な応力発光材料を得ることができる。また、この複合材料は、人間の手や指で軽く曲げただけでも容易に発光を起こさせることができ、しかも触ったりした時だけ発光を起こさせることができる。
【0077】
次に、この発明の第2の実施形態による複合材料について説明する。
この複合材料においては、第1の実施形態における結晶性超微粒子1の代わりに、図5に示すような、結晶性超微粒子1の表面が有機分子3で覆われた有機分子被覆結晶性超微粒子4が用いられる。その他のことは第1の実施形態と同様である。
【0078】
この複合材料の製造方法は第1の実施形態による複合材料の製造方法と同様であるが、この場合、ポリエステル樹脂からなるその他の材料2と有機分子被覆結晶性超微粒子4とを混練して複合材料を製造する点が異なる。
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0079】
次に、この発明の第3の実施形態による複合材料について説明する。
この複合材料においては、第2の実施形態における有機分子3が特に、図6に示すような界面活性剤5である。その他のことは第1の実施形態と同様である。
【0080】
この複合材料の製造方法は第1の実施形態による複合材料の製造方法と同様であるが、この場合、ポリエステル樹脂からなるその他の材料2と有機分子被覆結晶性超微粒子4とを混練して複合材料を製造する点が異なる。
この第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0081】
次に、この発明の第4の実施形態による複合材料について説明する。
図7に示すように、この第4の実施形態においては、まず、図8に示す逆ミセル6とその他の材料2とを混練して複合材料を製造する。図8に示すように、逆ミセル6においては、その中心部に含まれる水の中に金属イオンとしてSr,AlおよびEuのイオンが溶けている。
【0082】
次に、この複合材料に対し、酸素を含む雰囲気中において、熱処理、レーザー光照射、超音波照射、マイクロ波照射などにより結晶化処理を行う。これによって、SrAl2 O4 :Euからなる結晶性超微粒子1が得られ、この結晶性超微粒子1とその他の材料2とからなる複合材料が得られる。
上記以外のことは第1の実施形態と同様である。
この第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0083】
次に、この発明の第5の実施形態による複合材料について説明する。
図9に示すように、この第5の実施形態においては、まず、図10に示す前駆体超微粒子内包逆ミセル7とその他の材料2とを混練して複合材料を製造する。図10に示すように、前駆体超微粒子内包逆ミセル7においては、その中心部に含まれる水の中に、Sr,AlおよびEuに加えてOを含む前駆体超微粒子8が含まれている。
【0084】
次に、この複合材料に対し、熱処理、レーザー光照射、超音波照射、マイクロ波照射などにより結晶化処理を行うことで、前駆体超微粒子8を結晶化させる。これによって、SrAl2 O4 :Euからなる結晶性超微粒子1が得られ、この結晶性超微粒子1とその他の材料2とからなる複合材料が得られる。
上記以外のことは第1の実施形態と同様である。
この第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0085】
次に、この発明の第6の実施形態による複合材料について説明する。
図11に示すように、この第6の実施形態においては、図12に示す結晶性超微粒子内包逆ミセル9とその他の材料2とを混練して複合材料を製造する。図12に示すように、結晶性超微粒子内包逆ミセル9においては、その中心部に含まれる水の中に、応力により発光する結晶性超微粒子1が含まれている。
【0086】
次に、この複合材料に対し、熱処理、レーザー光照射、超音波照射、マイクロ波照射などによる処理を行うことで、結晶性超微粒子内包逆ミセル9に含まれる水を除去する。これによって、SrAl2 O4 :Euからなる結晶性超微粒子1とその他の材料2とからなる複合材料が得られる。
上記以外のことは第1の実施形態と同様である。
この第6の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0087】
次に、この発明の第7の実施形態による複合材料について説明する。
図13に示すように、この第7の実施形態においては、まず、図14に示す前駆体超微粒子8とその他の材料2とを混練して複合材料を製造する。前駆体超微粒子8にはSr,AlおよびEuに加えてOが含まれている。
【0088】
次に、この複合材料に対し、熱処理、レーザー光照射、超音波照射、マイクロ波照射などにより結晶化処理を行うことで、前駆体超微粒子8を結晶化させる。これによって、SrAl2 O4 :Euからなる結晶性超微粒子1が得られ、この結晶性超微粒子1とその他の材料2とからなる複合材料が得られる。
上記以外のことは第1の実施形態と同様である。
この第7の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0089】
次に、この発明の第8の実施形態による複合材料について説明する。
図15に示すように、この第8の実施形態においては、まず、図16に示す有機分子被覆前駆体超微粒子10とその他の材料2とを混練して複合材料を製造する。有機分子被覆前駆体超微粒子10においては、Sr,AlおよびEuに加えてOを含む前駆体超微粒子8の表面が有機分子3で覆われている。
【0090】
次に、この複合材料に対し、熱処理、レーザー光照射、超音波照射、マイクロ波照射などにより結晶化処理を行うことで、前駆体超微粒子8を結晶化させる。これによって、表面が有機分子3で覆われた、SrAl2 O4 :Euからなる結晶性超微粒子1が得られ、この結晶性超微粒子1とその他の材料2とからなる複合材料が得られる。
上記以外のことは第1の実施形態と同様である。
この第8の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0091】
次に、この発明の第9の実施形態による複合材料について説明する。
この第9の実施形態においては、第8の実施形態における有機分子被覆前駆体超微粒子10の有機分子3が特に、図17に示すような界面活性剤5である。その他のことは第1および第8の実施形態と同様である。
この第9の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0092】
次に、この発明の第10の実施形態による複合材料について説明する。
図18はこの複合材料を示す断面図である。図18に示すように、この複合材料においては、粒径が5〜100nmで応力により発光を示す結晶性超微粒子1が複数個凝集して凝集体Cを形成している。凝集体Cの大きさは100nm以下である。
この複合材料においては、結晶性超微粒子1は凝集体Cを形成しているが、その大きさが100nm以下であるので、透明性は保たれている。
この第10の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0093】
次に、この発明の第11の実施形態による複合材料について説明する。
この複合材料においては、第10の実施形態における結晶性超微粒子1の代わりに、有機分子被覆結晶性超微粒子4が用いられる。そして、この有機分子被覆結晶性超微粒子4が複数個凝集して凝集体Cを形成している。
上記以外のことは第1、第2および第10の実施形態と同様である。
この第11の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0094】
次に、この発明の第12の実施形態による複合材料について説明する。
この複合材料においては、第11の実施形態における有機分子3が界面活性剤5である。そして、有機分子被覆結晶性超微粒子4が複数個凝集して凝集体Cを形成している。
上記以外のことは第1、第3および第10の実施形態と同様である。
この第12の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0095】
次に、この発明の第13の実施形態による複合材料について説明する。
この第13の実施形態においては、まず、図8に示す逆ミセル6とその他の材料2とを混練して複合材料を製造する。この混練時に、何らかの原因で逆ミセル6が複数個凝集して凝集体を形成したものとする。
【0096】
次に、この複合材料に対し、酸素を含む雰囲気中において、熱処理、レーザー光照射、超音波照射、マイクロ波照射などにより結晶化処理を行う。これによって、SrAl2 O4 :Euからなる結晶性超微粒子1とその他の材料2とからなる複合材料が得られる。この複合材料においては、結晶性超微粒子1が複数個凝集して凝集体Cを形成している。
上記以外のことは第1、第4および第10の実施形態と同様である。
この第13の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0097】
次に、この発明の第14の実施形態による複合材料について説明する。
この第14の実施形態においては、まず、図10に示す前駆体超微粒子内包逆ミセル7とその他の材料2とを混練して複合材料を製造する。この混練時に、何らかの原因で前駆体超微粒子内包逆ミセル7が複数個凝集して凝集体を形成したものとする。
【0098】
次に、この複合材料に対し、熱処理、レーザー光照射、超音波照射、マイクロ波照射などにより結晶化処理を行うことで、前駆体超微粒子8を結晶化させる。これによって、SrAl2 O4 :Euからなる結晶性超微粒子1とその他の材料2とからなる複合材料が得られる。この複合材料においては、結晶性超微粒子1が複数個凝集して凝集体Cを形成している。
上記以外のことは第1、第5および第10の実施形態と同様である。
この第14の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0099】
次に、この発明の第15の実施形態による複合材料について説明する。
この第15の実施形態においては、図12に示す結晶性超微粒子内包逆ミセル9とその他の材料2とを混練して複合材料を製造する。この混練時に、何らかの原因で結晶性超微粒子内包逆ミセル9が複数個凝集して凝集体を形成したものとする。
【0100】
次に、この複合材料に対し、熱処理、レーザー光照射、超音波照射、マイクロ波照射などによる処理を行うことで、結晶性超微粒子内包逆ミセル9に含まれる水を除去する。これによって、SrAl2 O4 :Euからなる結晶性超微粒子1とその他の材料2とからなる複合材料が得られる。この複合材料においては、結晶性超微粒子1が複数個凝集して凝集体Cを形成している。
上記以外のことは第1、第6および第10の実施形態と同様である。
この第15の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0101】
次に、この発明の第16の実施形態による複合材料について説明する。
この第16の実施形態においては、まず、図14に示す前駆体超微粒子8とその他の材料2とを混練して複合材料を製造する。この混練時に、何らかの原因で前駆体超微粒子8が複数個凝集して凝集体を形成したものとする。
【0102】
次に、この複合材料に対し、熱処理、レーザー光照射、超音波照射、マイクロ波照射などにより結晶化処理を行うことで、前駆体超微粒子8を結晶化させる。これによって、SrAl2 O4 :Euからなる結晶性超微粒子1とその他の材料2とからなる複合材料が得られる。この複合材料においては、結晶性超微粒子1が複数個凝集して凝集体Cを形成している。
上記以外のことは第1、第7および第10の実施形態と同様である。
この第16の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0103】
次に、この発明の第17の実施形態による複合材料について説明する。
この第17の実施形態においては、まず、図16に示す有機分子被覆前駆体超微粒子10とその他の材料2とを混練して複合材料を製造する。この混練時に、何らかの原因で有機分子被覆前駆体超微粒子10が複数個凝集して凝集体を形成したものとする。
【0104】
次に、この複合材料に対し、熱処理、レーザー光照射、超音波照射、マイクロ波照射などにより結晶化処理を行うことで、前駆体超微粒子8を結晶化させる。これによって、表面が有機分子3で覆われた、SrAl2 O4 :Euからなる結晶性超微粒子1とその他の材料2とからなる複合材料が得られる。この複合材料においては、結晶性超微粒子1が複数個凝集して凝集体Cを形成している。
上記以外のことは第1、第8および第10の実施形態と同様である。
この第17の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0105】
次に、この発明の第18の実施形態による複合材料について説明する。
この第18の実施形態においては、第17の実施形態における有機分子被覆前駆体超微粒子10の有機分子3が特に界面活性剤5である。
上記以外のことは第1、第8、第10および第17の実施形態と同様である。
この第18の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0106】
次に、この発明の第19の実施形態による人工発光毛髪構造体について説明する。
まず、ポリエステル樹脂と第1の実施形態と同様にして製造された結晶性超微粒子1からなる粉末とを重量比で1:2の割合で混錬し、有機材料、例えばナイロン製やポリエーテルイミド製のチューブに、注射器を用いて吸い込む形でその複合材料を注入する。その後、この複合材料が注入されたチューブを一昼夜放置して固化させ、これを毛髪状試料の1本とした。そしてこの作業を繰り返し、必要な本数の人工発光毛髪を製造した。チューブとしては、例えば、外径0.9mm、内径0.5mmのナイロン製チューブや外径0.5mm、内径0.3mmのポリエーテルイミド製のチューブが用いられる。この場合、この人工発光毛髪においては、チューブの内側にあるSrAl2 O4 :Euからなる結晶性超微粒子1とポリエステル樹脂との複合材料部の太さはチューブの内径と同一でそれぞれ0.5mmあるいは0.3mmである。この人工発光毛髪において、外皮を構成するチューブは人工発光毛髪の弾性を高めるとともに、人工発光毛髪の表面を保護する役割を果たす。
【0107】
図19は、上述のようにして製造される人工発光毛髪を用いた人工発光毛髪構造体を示す。ここで、図19Aは側面図、図19Bは平面図である。
図19に示すように、この人工発光毛髪構造体においては、基体11の一方の主面上に、人工発光毛髪12が正方格子状の配置で立設されている。この場合、基体11に孔13が正方格子状の配置で設けられ、この孔13に人工発光毛髪12の根元が埋め込まれていることにより、基体11に対して人工発光毛髪12が固定されている。この固定には必要に応じて接着剤を用いてもよい。人工発光毛髪12としては、上述のようにして製造されたものが用いられる。人工発光毛髪12の直径dは、人工発光毛髪12を十分にしなやかにする観点より、好適には太くても2mm以下に選ばれ、より好適には1mm以下に選ばれ、具体的には例えば0.3〜0.5mmに選ばれる。
【0108】
基体11は、人工発光毛髪12が繰り返し曲げられても基体11に対する人工発光毛髪12の固定強度が劣化しないように、また、人工発光毛髪構造体の設置場所の状況などに応じて、その材質や厚さが適宜選ばれる。特に、非平坦面上に人工発光毛髪構造体を設置するような用途の場合、この基体11は、好適には、弾力性に富み、人間の手や指で容易に曲げることができるフレキシブルなものが用いられ、具体的には、樹脂フィルム、例えばポリエステル樹脂フィルムなどが用いられる。この基体11の厚さの具体例を挙げると例えば2〜3mmである。
【0109】
人工発光毛髪12の配列個数および配列間隔は必要に応じて決められるが、図7においては一例として縦横に11本ずつ、合計121本配列した場合が示されている。配列間隔a(図19B参照)は、人工発光毛髪12の面密度が1本/cm2 以上となるように決められるが、典型的には、例えば、2〜10mmに選ばれる。この場合、人工発光毛髪12の面密度は1〜25本/cm2 となる。
【0110】
また、人工発光毛髪12の高さh(図19A参照)は、人工発光毛髪構造体のユーザーの感性や嗜好などを考慮して決められるものである。具体的には、人工発光毛髪12の高さhは、直径dにもよるが、これらの人工発光毛髪12を手で撫でた時に毛髪や動物の毛を撫でた時と同じような感触や毛並み感を得たい場合には、好適には最低でも直径dの2〜3倍以上とし、典型的には例えば直径dの5〜50倍とする。一方、人工発光毛髪12を触ったときにスキンタッチを味わいたい場合には、人工発光毛髪12の高さhを十分に低く、例えば直径dの2〜3倍以下とし、極端な場合にはほとんどドット状と言えるほどの高さ、すなわち直径dと同程度にしてもよい。
【0111】
この人工発光毛髪構造体を暗がりの中に入れ、その人工発光毛髪12を手先で軽く撫でたところ、その瞬間、人工発光毛髪12から強い発光が起こることが確認された。また、撫で終わった後には、短時間で発光が感じられなくなった。そして、人工発光毛髪12を撫でながらこの発光を見ることで、感性に訴えるものが感じられた。
【0112】
この人工発光毛髪構造体によれば、応力発光する無機化合物と樹脂とからなる十分に細い人工発光毛髪12を製造し、この人工発光毛髪12を基体11の一主面上に必要な本数だけ正方格子状に立設することにより人工発光毛髪構造体を構成しているため、ユーザーが人工発光毛髪12を手で軽く撫でるだけで強く発光させることができ、しかも撫で終わったときには直ぐに発光が感じられなくなる。このため、ユーザーは、撫でたときの手の感触の心地よさと同時に、撫でた時の発光を楽しむことができ、それによって心が癒されたり、気分が明るくなったりするなどの効果を得ることができる。
この人工発光毛髪構造体は、人工発光皮膚に適用して好適なものであり、例えば、癒しロボット、娯楽ロボットなどのエンターテインメントあるいはアミューズメント用ロボットのボディー表面に設けて使用することができる。
【0113】
図20はこの発明の第20の実施形態による人工発光布地を示す。図20に示すように、この人工発光布地は、縦糸として人工発光繊維21を用い、横糸として人工発光繊維22を用いて織ったり編んだりしたものである。この織ったり編んだりした人工発光繊維21、22は、必ず湾曲しているのが特徴である。
【0114】
人工発光繊維21、22としては、上述の人工発光毛髪12と同様な方法により製造されたものが用いられる。人工発光繊維21、22の直径は、人工発光繊維21、22を十分にしなやかにして容易に織ったり編んだりすることができるようにする観点より、好適には太くても2mm以下に選ばれ、より好適には1mm以下、さらに好適には0.5mm以下に選ばれる。
【0115】
人工発光繊維21、22の間隔は、これらの人工発光繊維21、22の織り方(編み方)の周期が、好適には1回/cm以上、より好適には2回/cm以上となるように決められるが、典型的には、例えば、2〜10mmに選ばれる。この場合、人工発光繊維21、22の織り方(編み方)の周期は1〜5回/cmとなる。
言うまでもないが、人工発光繊維21、22が細いほど、また、人工発光繊維21、22の織り方(編み方)の周期が多いほど、緻密な人工発光布地を得ることができ、実際の絹の織物に匹敵する緻密な布地を得ることも可能である。
【0116】
この人工発光布地によれば、応力発光する無機化合物と樹脂との複合材料からなる十分に細い人工発光繊維21、22を製造し、これらの人工発光繊維21、22を縦糸、横糸に用いて織ったり編んだりしたりすることにより人工発光布地を構成しているため、ユーザーが湾曲している人工発光繊維21、22を手で軽く撫でるだけで強く発光させることができ、しかも撫で終わったときには直ぐに発光が感じられなくなる。このため、ユーザーは、見た目には毛髪に覆われていないにもかかわらず、撫でたときの手の感触の心地よさと同時に、撫でた時の発光を楽しむことができ、それによって心が癒されたり、気分が明るくなったりするなどの効果を得ることができる。
この人工発光毛布地は、人工発光皮膚に適用して好適なものであり、例えば、癒しロボット、娯楽ロボットなどのエンターテインメントあるいはアミューズメント用ロボットのボディー表面に設けて使用することができる。また、衣服の布地として用いることもできる。
【0117】
図21はこの発明の第21の実施形態による人工発光布地を示す。図21に示すように、この人工発光布地は、縦糸として人工発光繊維21を用い、横糸として人工発光繊維22を用いて織られたり編まれたりしたものであることは第20の実施形態による人工発光布地と同様であるが、織り方あるいは編み方が異なっている。その他のことは第20の実施形態による人工発光布地と同様である。
この第21の実施形態によれば、第20の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0118】
図22はこの発明の第22の実施形態による人工発光布地を示す。図22に示すように、この人工発光布地は、縦糸として人工発光繊維21を用い、横糸として人工発光繊維22を用いて織ったり編んだりしたものであることは第20および第21の実施形態と同様であるが、織り方あるいは編み方が異なっている。その他のことは第20の実施形態による人工発光布地と同様である。
この第22の実施形態によれば、第20の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0119】
図23はこの発明の第23の実施形態による人工発光布地を示す。図23に示すように、この人工発光布地は、縦糸として人工発光繊維21を用い、横糸として人工発光繊維22を用いて織ったり編んだりしたものであることは第20、第21および第22の実施形態による人工発光布地と同様であるが、人工発光布地の織り目あるいは編み目に対応した配置で周期的に貫通孔23が設けられた基体24を用い、人工発光繊維21、22をこれらの貫通孔23に通しながら織られたり編まれたりしたものであることが異なっている。その他のことは第20の実施形態による人工発光布地と同様である。このようにして織ったり編んだりした人工発光繊維21、22も必ず湾曲している。
【0120】
この第23の実施形態によれば、第20の実施形態と同様な利点を得ることができるほか、人工発光繊維21、22による織り上げ模様あるいは編み上げ模様を周期的にすることができるため、人工発光布地の美観の向上を図ることができ、付加価値を高めることができるという利点を得ることもできる。
【0121】
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構造、形状、材料、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料、原料、プロセスなどを用いてもよい。
【0122】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、応力の時間変化率に依存して発光する結晶性超微粒子の粒径が5nm以上100nm以下であることにより、他の材料と複合化するときの分散性に優れ、発光効率が高く、しかも透明な応力発光材料を作製することができる。
【0123】
また、逆ミセル法を利用することにより、結晶性超微粒子、逆ミセル、前駆体超微粒子内包逆ミセル、結晶性超微粒子内包逆ミセルおよび前駆体超微粒子を容易に製造することができ、これらを用いて結晶性超微粒子が分散された複合材料を容易に製造することができる。
【0124】
また、複合化に用いる材料として透明な材料を用いることにより透明応力発光材料を得ることができる。
また、複合化に用いる材料として弾性体を用いることにより、人間の力でも、例えば人間の手や指で触っただけでも容易に発光を起こさせることができ、しかも触ったりした時だけ発光を起こさせることができる複合材料を得ることができる。そして、この複合材料により人工発光毛髪や人工発光繊維を製造することができ、これらを用いて人工発光毛髪構造体、人工発光皮膚、人工発光ボディー、人工発光布地などを実現することができる。これによって、例えば、エンターテインメント用あるいはアミューズメント用ロボットあるいは光学分野などの分野において、大きな革新をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態による複合材料を示す断面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態において用いられる結晶性超微粒子を示す略線図である。
【図3】この発明の第1の実施形態において用いられる結晶性超微粒子のX線回折図形を示す略線図である。
【図4】この発明の第1の実施形態において用いられる結晶性超微粒子の紫外線励起による発光スペクトルを示す略線図である。
【図5】この発明の第2の実施形態において用いられる有機分子被覆結晶性超微粒子を示す略線図である。
【図6】この発明の第3の実施形態において用いられる有機分子被覆結晶性超微粒子を示す略線図である。
【図7】この発明の第4の実施形態において最初に製造される複合材料を示す断面図である。
【図8】この発明の第4の実施形態において用いられる逆ミセルを示す略線図である。
【図9】この発明の第5の実施形態において最初に製造される複合材料を示す断面図である。
【図10】この発明の第5の実施形態において用いられる前駆体超微粒子内包逆ミセルを示す略線図である。
【図11】この発明の第6の実施形態において最初に製造される複合材料を示す断面図である。
【図12】この発明の第6の実施形態において用いられる結晶性超微粒子内包逆ミセルを示す略線図である。
【図13】この発明の第7の実施形態において最初に製造される複合材料を示す断面図である。
【図14】この発明の第7の実施形態において用いられる前駆体超微粒子を示す略線図である。
【図15】この発明の第8の実施形態において最初に製造される複合材料を示す断面図である。
【図16】この発明の第8の実施形態において用いられる有機分子被覆前駆体超微粒子を示す略線図である。
【図17】この発明の第9の実施形態において用いられる有機分子被覆前駆体超微粒子を示す略線図である。
【図18】この発明の第10の実施形態による複合材料を示す断面図である。
【図19】この発明の第19の実施形態による人工発光毛髪構造体を示す側面図および平面図である。
【図20】この発明の第20の実施形態による人工発光布地を示す略線図である。
【図21】この発明の第21の実施形態による人工発光布地を示す略線図である。
【図22】この発明の第22の実施形態による人工発光布地を示す略線図である。
【図23】この発明の第23の実施形態による人工発光布地を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・結晶性超微粒子、2・・・その他の材料、3・・・有機分子、4・・・有機分子被覆結晶性超微粒子、5・・・界面活性剤、6・・・逆ミセル、7・・・前駆体超微粒子内包逆ミセル、8・・・前駆体超微粒子、9・・・結晶性超微粒子内包逆ミセル、10・・・有機分子被覆前駆体超微粒子、C・・・凝集体、11・・・基体、12・・・人工発光毛髪、21、22・・・人工発光繊維
Claims (11)
- 粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光する複合材料であって、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている
ことを特徴とする複合材料。 - 上記希土類元素または遷移金属元素として少なくともEuが添加されている
ことを特徴とする請求項1記載の複合材料。 - 上記有機物質が透明な材料である
ことを特徴とする請求項1記載の複合材料。 - 粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光し、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている複合材料の製造方法であって、
非極性溶媒中で界面活性剤分子の親水基部を内側に、疎水基部を外側に向けた分子集合体が含む水の中に、上記結晶性超微粒子を構成する金属のイオンが溶けたものを形成する工程と、
上記分子集合体と上記透明な有機物質とを混練する工程と、
上記分子集合体と上記透明な有機物質とを混練したものに対し、結晶化処理を行うことにより上記結晶性超微粒子と上記透明な有機物質とからなる複合材料を製造する工程とを
有することを特徴とする複合材料の製造方法。 - 粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光し、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている複合材料の製造方法であって、
上記結晶性超微粒子の前駆体超微粒子内包逆ミセルを形成する工程と、
上記前駆体超微粒子内包逆ミセルと上記透明な有機物質とを混練する工程と、
上記前駆体超微粒子内包逆ミセルと上記透明な有機物質とを混練したものに対し、結晶化処理を行うことにより上記結晶性超微粒子と上記透明な有機物質とからなる複合材料を製造する工程とを
有することを特徴とする複合材料の製造方法。 - 粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光し、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている複合材料の製造方法であって、
上記結晶性超微粒子内包逆ミセルを形成する工程と、
上記結晶性超微粒子内包逆ミセルと上記透明な有機物質とを混練する工程と、
上記結晶性超微粒子内包逆ミセルと上記透明な有機物質とを混練したものに対し、水を除去する処理を行うことにより上記結晶性超微粒子と上記透明な有機物質とからなる複合材料を製造する工程とを
有することを特徴とする複合材料の製造方法。 - 粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光し、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている複合材料の製造方法であって、
上記結晶性超微粒子の前駆体超微粒子を形成する工程と、
上記前駆体超微粒子と上記透明な有機物質とを混練する工程と、
上記前駆体超微粒子と上記透明な有機物質とを混練したものに対し、結晶化処理を行うことにより上記結晶性超微粒子と上記透明な有機物質とからなる複合材料を製造する工程 とを
有することを特徴とする複合材料の製造方法。 - 粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光し、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている複合材料の製造方法であって、
有機分子被覆前駆体超微粒子を形成する工程と、
上記有機分子被覆前駆体超微粒子と上記透明な有機物質とを混練する工程と、
上記有機分子被覆前駆体超微粒子と上記透明な有機物質とを混練したものに対し、結晶化処理を行うことにより上記結晶性超微粒子と上記透明な有機物質とからなる複合材料を製造する工程とを
有することを特徴とする複合材料の製造方法。 - 粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光し、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている複合材料の製造方法であって、
有機分子被覆結晶性超微粒子を形成する工程と、
上記有機分子被覆結晶性超微粒子と上記透明な有機物質とを混練して上記結晶性超微粒子と上記透明な有機物質とからなる複合材料を製造する工程とを
有することを特徴とする複合材料の製造方法。 - 粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光する複合材料からなり、太さが1mm以下0.1mm以上である人工発光毛髪であって、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている
ことを特徴とする人工発光毛髪。 - 粒径が20nm以上80nm以下の球状の結晶性超微粒子と透明な有機物質とからなり、応力の時間変化率に依存して発光する複合材料からなり、太さが1mm以下である人工発光繊維であって、
ヤング率が1MPa以下0.0001MPa以上であり、
上記結晶性超微粒子は、一般式A x B y O z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Sr k Ba l Ca m Mg n
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al 1-p D p (0≦p<1)
D=Y q Ga r In t (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有し、
上記A x B y O z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加されている
ことを特徴とする人工発光繊維。
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