JP4349140B2 - 発光性複合材料 - Google Patents

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Description

この発明は、発光性複合材料に関し、例えば、発光を効果的に利用するエンターテインメント分野あるいはアミューズメント分野や光学分野などで使用される発光性複合材料に適用して好適なものである。
近年、独立行政法人産業技術総合研究所センターの徐超男らによって精力的な研究が行われ、様々な材料系において応力発光現象が観測されている(例えば、非特許文献1−11)。
特開平11−116946号公報 特許第3265356号明細書 特許第3136338号明細書 特許第2992631号明細書 特許第3136340号明細書 特許第3421736号明細書 特開2001−49251号公報 特許第3273317号明細書 特開2002−194349号公報 特開2002−22587号公報 特開2003−165973号公報
また、本出願人により、SrAl2 4 :Euなどの応力発光材料と樹脂などとを複合化させた複合材料が提案されている(例えば、特許文献12)。
国際公開第03/057797号パンフレット なお、蓄光材料について多くの報告または解説がある(例えば、非特許文献1、2、特許文献13、14)。
T.Matsuzawa,Y.Aoki,T.Takeuchi and Y.Murayama,J.Electrochem.Soc., 143(1996)2670-2673 村山義彦、プラスチックス、Vol.52,No9,53-55 特許第2543825号明細書 特開平7−11250号公報
また、SrAl2 4 系材料の合成およびX線回折による測定結果について報告されている(非特許文献3)。
F.Hanic,T.Y.Chemekova and J.Majling,J.Appl.Phys.,12(1979)243
上述の従来の技術で作製される応力発光材料を樹脂などと複合化し、この複合材料に外力を印加して応力を発生させたときには、暗所で発光を明瞭に観察することができる。しかしながら、この複合材料は、外力を印加しないときには全く発光しないため、そのものがどこにあるか確認することができず、暗所での視認性に乏しいという欠点があった。
この発明は、上記課題を解決することを目的とする。
すなわち、この発明が解決しようとする課題は、外力を印加したときには発光を示し、外力を印加していないときにも優れた視認性を有する新規な発光性複合材料を提供することにある。
上記課題を解決するために、この発明の第1の発明は、
応力発光材料と蓄光材料とを含む
ことを特徴とする発光性複合材料である。
この発明の第2の発明は、
応力発光材料と蓄光材料とその他の材料とを含む
ことを特徴とする発光性複合材料である。
第1および第2の発明において用いられる応力発光材料は、典型的には無機化合物である。この無機化合物としては各種のものを用いることができ、用途などに応じて一種または二種以上のものを適宜選択して用いることができる。この無機化合物は、一般的には酸化物、硫化物、窒化物、炭化物などである。具体的には、ウルツ鉱型圧電体である、ZnS:Mn、ZnS:Cu、ZnS:Eu、ZnS:Ce、AlN:Mn、SiC:Mn、ZnO:Eu、ZnO:Mn、蛍石構造を有するZrO2 :Ce、ZrO2 :Ti、HfO2 :Ce、CeO2 :Ce、コランダム構造を有するCr2 3 :Ce、Ti2 3 :Ce、Al2 3 :Ce、アルミン酸塩であるSr3 Al2 6 :Eu、Ca3 Al2 6 :Nd、MgAl2 4 :Ce、MgAl2 4 :Eu、MgAl2 4 :Mn、MgAl2 4 :Cu、MgAl2 4 :Eu,Tb、SrAl2 4 、SrAl2 4 :Eu、BaAl2 4 :Eu、CaAl2 4 :Ce、SrMgAl1017:Eu、Sr−Ba−Mg−Al−O:Eu、Ba−Mg−Al−O:Eu、Y−Ba−Mg−Si−O系のY2 SiO5 :Eu、Y2 SiO5 :Ce、Y2 SiO5 :Sm、BaSi2 5 :Pb、Ba3 MgSi2 8 :Eu、メリライト構造を有するCa2 Al2 SiO7 :Ce、CaMgSi2 7 :Ce、Ca2 (Mg,Fe)Si2 7 :Ce、CaYAl3 7 :Ce、Ca2 2 SiO7 :Ce、CaNaAlSi2 7 :Ce、(Ca,Na)2 (Al,Mg)(Si,Al)2 7 :Ce、Ca2 (Mg,Al)(Al,Si)SiO7 :Ce、スピネル型のZnGa2 4 :Mn、ZnAl2 4 :Mn、MgGa2 4 :Mnなどや、それらに由来する無機成分である。
応力発光材料は、最も好適には、アルカリ土類金属およびアルミニウムの酸化物を母体とし、これに希土類元素が添加されたものである。特に、応力発光材料がアルカリ土類アルミン酸塩からなる場合、それは典型的には、
一般式Ax y z
ただし、0.8≦x≦1.1
1.8≦y≦2.2
{(2x+3y)/2}−0.2<z<{(2x+3y)/2}+0.2
A=Srk Bal Cam Mgn
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
B=Al1-p p (0≦p<1)
D=Yq Gar Int (0≦q,r,t≦1,q+r+t=1)
で表記される組成を有する酸化物結晶である。ここで、一般式Ax y z におけるAはSrk Bal Cam Mgn と表記されるが、これは、アルカリ土類であるSr,Ba,Ca,Mgを任意の組成で含む固溶体であることを意味する。また、DはYq Gar Int と表記され、これはY,Ga,Inを任意の組成で含む固溶体であることを意味するが、典型的にはAlを主成分とし、Y,Ga,Inを含む固溶体である。この応力発光材料には希土類元素または遷移金属元素が添加されることもあり、その場合、典型的には、Ax y z の1モルに対して希土類元素または遷移金属元素が総和として0.2モル以下添加される。典型的には、希土類元素または遷移金属元素として少なくともEuが添加される。希土類元素または遷移金属元素を添加する場合、これらは、典型的には、酸化物結晶のAサイトに置換固溶させる。
上記の応力発光材料は、それぞれ発光色が異なり、所望の色の発光を示す応力発光材料を選択することで、様々な発光色を持つ材料を得ることができる。例えば、発光強度の観点からは、アルミン酸塩系の材料が好ましく、その中でも人間の目の視感度の高い緑色の発光を示すSrAl2 4 :Euが好適である。
さらに、応力発光材料としては、好適には、次のようなものを用いることができる。
本発明者らは、現在までに知られている、アルミネートにユーロピウム(Eu)のみを添加した応力発光材料や、SrAl2 4 にEuおよびジスプロシウム(Dy)を添加した応力発光材料(SrAl2 4 :Eu,Dy)とは異なる新規な応力発光材料を発見した。これらの応力発光材料は、アルミネートにEuを添加した応力発光材料に対し、第2の添加元素としてランタン(La)、セリウム(Ce)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)またはイッテルビウム(Yb)を加えたものである。これらのうち、Euに加えてLa、Ce、ErまたはTmを添加した応力発光材料は、上記の従来の応力発光材料に比べて高強度の応力発光を得ることができ、その中でも、Euに加えてLaを添加した応力発光材料は際立って高い発光強度を得ることができる。
これらの応力発光材料は以下のようにまとめることができる。
第1の応力発光材料は、
Srp Euq Lar Al2 4-s
ただし、p+q+r=1
0.8<p<1
0<q<0.2
0<r<0.2
−0.1<s<0.2
で表される組成を有する
ことを特徴とするものである。
第2の応力発光材料は、
Sr1-x Al2 4-x-y
ただし、−0.3<x<0.3
0≦y<0.2
で表される材料に少なくともEuおよびLaが添加されてなる
ことを特徴とするものである。
ここで、この応力発光材料におけるEuおよびLaの添加量の合計は、典型的には、Srに対するモル%で0.002%以上30%以下である。あるいは、この応力発光材料におけるEuおよびLaのそれぞれの添加量は、典型的には、Srに対するモル%で0.001%以上20%以下である。
第3の応力発光材料は、
Sr1-x Al2 4-x-y
ただし、−0.3<x<0.3
0≦y<0.2
で表される材料に少なくともEuとCe、Er、LaまたはTmとが添加されてなる
ことを特徴とするものである。
ここで、この応力発光材料におけるEuとCe、Er、LaまたはTmとの添加量の合計は、典型的には、Srに対するモル%で0.002%以上30%以下である。あるいは、この応力発光材料におけるEuの添加量およびCe、Er、LaまたはTmの添加量は、典型的には、Srに対するモル%で0.001%以上20%以下である。
第4の応力発光材料は、
Sr1-x Al2 4-x-y
ただし、−0.3<x<0.3
0≦y<0.2
で表される材料に少なくともEuとCe、Er、La、Tm、Gd、LuまたはYbとが添加されてなる
ことを特徴とするものである。
ここで、この応力発光材料におけるEuとCe、Er、La、Tm、Gd、LuまたはYbとの添加量の合計は、典型的には、Srに対するモル%で0.002%以上30%以下である。あるいは、この応力発光材料におけるEuの添加量およびCe、Er、La、Tm、Gd、LuまたはYbの添加量は、典型的には、Srに対するモル%で0.001%以上20%以下である。
第5の応力発光材料は、
1-x Al2 4-x-y
ただし、−0.3<x<0.3
0≦y<0.2
M=Srk Bal Cam Mgn
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
で表される材料に少なくともEuおよびLaが添加されてなる
ことを特徴とするものである。
ここで、この応力発光材料におけるEuおよびLaの添加量の合計は、典型的には、Mに対するモル%で0.002%以上30%以下である。あるいは、この応力発光材料におけるEuおよびLaのそれぞれの添加量は、典型的には、Mに対するモル%で0.001%以上20%以下である。
第6の応力発光材料は、
1-x Al2 4-x-y
ただし、−0.3<x<0.3
0≦y<0.2
M=Srk Bal Cam Mgn
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
で表される材料に少なくともEuとCe、Er、LaまたはTmとが添加されてなる
ことを特徴とするものである。
ここで、この応力発光材料におけるEuとCe、Er、LaまたはTmとの添加量の合計は、典型的には、Mに対するモル%で0.002%以上30%以下である。あるいは、この応力発光材料におけるEuの添加量およびCe、Er、LaまたはTmの添加量は、典型的には、Mに対するモル%で0.001%以上20%以下である。
第7の応力発光材料は、
1-x Al2 4-x-y
ただし、−0.3<x<0.3
0≦y<0.2
M=Srk Bal Cam Mgn
(0≦k,l,m,n≦1,k+l+m+n=1)
で表される材料に少なくともEuとCe、Er、La、Tm、Gd、LuまたはYbとが添加されてなる
ことを特徴とするものである。
ここで、この応力発光材料におけるEuとCe、Er、La、Tm、Gd、LuまたはYbとの添加量の合計は、典型的には、Mに対するモル%で0.002%以上30%以下である。あるいは、この応力発光材料におけるEuの添加量およびCe、Er、La、Tm、Gd、LuまたはYbの添加量は、典型的には、Mに対するモル%で0.001%以上20%以下である。
第5〜第7の応力発光材料において、M1-x Al2 4-x-y におけるMはSrk Bal Cam Mgn と表記されるが、これは、アルカリ土類であるSr,Ba,Ca,Mgを任意の組成で含む固溶体であることを意味する。
第2〜第7の応力発光材料は、Sr1-x Al2 4-x-y またはM1-x Al2 4-x-y で表される材料にEuとCe、Er、La、Tm、Gd、LuまたはYbとが添加されたものであるが、Ce、Er、La、Tm、Gd、LuまたはYbの代わりに他の希土類元素、具体的にはスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、テルビウム(Tb)またはホルミウム(Ho)を添加しても、応力発光材料を得ることができると考えられる。また、第2〜第7の応力発光材料は、添加元素としてEuを必ず含んでいるが、Euを含むことは絶対条件ではないと考えられ、Euを含まない、互いに異なる2種類以上の希土類元素を添加することでも応力発光材料を得ることができると考えられる。さらに、場合によっては、1種類以上の希土類元素と1種類以上の遷移金属元素とを添加することでも応力発光材料を得ることができると考えられる。
図1に、SrAl2 4 にEuに加えてDy、Ce、Er、Gd、La、Lu、YbまたはTmを添加した応力発光材料の応力発光強度を示す。図1から分かるように、SrAl2 4 :Eu,Dy、SrAl2 4 :Eu,Ce、SrAl2 4 :Eu,Er、SrAl2 4 :Eu,LaおよびSrAl2 4 :Eu,Tmの応力発光強度は、従来の応力発光材料であるSrAl2 4 :Eu(図1においてNonと示されているもの)に比べて発光強度が約1.6〜3.5倍と極めて高い。
第1および第2の発明において用いられる蓄光材料は、例えば、非特許文献1、2、特許文献13、14に記載されているものから、用途などに応じて一種または二種以上のものを適宜選択して用いることができる。蓄光材料の具体例を挙げると、SrAl2 4 :Eu,Dy、Sr4 Al1425:Eu,Dy、CaAl2 4 :Eu,Nd、Y2 2 S:Eu,Mg,Tiがあり、それぞれ黄緑、青緑、紫青、赤の残光を示す。そのほかに、Sr2 MgSi2 8 :Eu,Dy(青)、Sr2 MgSiO7 :Eu,Dy(青)、SrAl3 5 (OH):Eu,Dy(青緑)、ZnGa2 4 :Mn(緑)、Y2 2 S:Eu,Mg,Ti(赤)、GdO2 S:Eu,Mg,Ti(赤)などがある。蓄光材料としては、使用する応力発光材料を励起可能な光を発光することができるものがさらに好ましい。
他の材料と複合化する際の応力発光材料および蓄光材料の形態は、典型的には微粒子であり、結晶質である。微粒子の形状は任意であり、球状、立方体状、直方体状、板状、棒状などのいずれのものであってもかまわない。
応力発光材料および蓄光材料と複合化するその他の材料としては各種のものを用いることができ、複合材料の用途などに応じて適宜選ぶことができる。この材料は一種または二種以上のものであってもよく、さらには有機材料、無機材料のいずれであっても、両者を一緒に用いてもよく、場合によっては有機・無機複合物質であってもよい。この材料は、例えば、各種の樹脂やガラスなどであり、複合材料に柔軟性を持たせる観点からは、これらの中でも弾性体が好適に用いられる。この場合、複合材料中の応力発光材料および蓄光材料の重量比率は、複合材料の用途などに応じて適宜選択することができるが、応力発光材料および蓄光材料と複合化する材料として弾性体を用いる場合には、複合材料全体として弾力を持たせ、応力発光を人間の力などで容易に実施することを可能としたり、耐久性の向上を図るなどの観点より、好適には30%以上100%未満、より好適には30%以上80%以下とする。これらの材料のヤング率は、例えば人間の力で容易に発光が起こる限り特に問わないが、比較的硬いものでは例えば10MPa以上であり、より柔軟なものでは例えば10MPa未満、好適には1MPa以下、通常は0.0001MPa以上である。複合材料のヤング率も同様に、例えば10MPa以上、より柔軟なものでは例えば10MPa未満、典型的には例えば1MPa以下で通常は0.0001MPa以上である。
応力発光材料および蓄光材料と複合化する材料は典型的には有機物質であり、具体的には、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリウレタン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、シリコーンゴム、シロキサン結合を有する有機シリコーン化合物および有機圧電材料からなる群より選ばれた少なくとも一種以上の物質である。ここで、有機圧電材料としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリトリフルオロエチレン共重合体などが挙げられる。これらに加えて、発泡物質、具体的には例えば発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレンまたはこれらの混合物を用いてもよく、これらは特に弾性に富み柔軟な複合材料を得る場合に好適なものである。
例えば、上記のポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリウレタン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、シリコーンゴム、シロキサン結合を有する有機シリコーン化合物などの樹脂を応力発光材料および蓄光材料と複合化した複合材料に外力を加えた場合、この複合材料は樹脂の本来の特徴を損なうことなく弾性変形し、これに伴い、分散した応力発光材料に応力が発生し、この応力発光材料からの発光を確認することができる。この場合、応力発光させるために複合材料を変形させるのに必要な外力は、例えば人間が手で軽く触る程度の力で十分である。
応力発光材料および蓄光材料と樹脂との複合材料を作製する際に、樹脂として光硬化性樹脂を選択することで、三次元光造形法により複雑な構造を持った構造体を作ることも可能である。この光硬化性樹脂は主としてプレポリマー、モノマーおよび開始剤からなる。この光硬化性樹脂としては、具体的には、例えばエポキシ系、アクリル系、エン・チオール系などの樹脂を用いることができる。
応力発光材料および蓄光材料と複合化する材料としては、例えばイオンを取り込んで変形する有機導電性物質を用いることもできる。このような有機導電性物質としては、例えば複素芳香環系導電性高分子、具体的にはポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどが挙げられる。さらに、応力発光材料および蓄光材料と複合化する材料として高分子ゲル材料を用いることもできる。この高分子ゲル材料は、例えば、熱変位機能を有する水溶性非電解質高分子ゲル、pHによって変位が生じる電解質高分子ゲル、電気で変位が起きる高分子化合物と界面活性剤との組み合わせ、ポリビニルアルコール系材料およびポリピロール系材料からなる群より選ばれた少なくとも一種以上の材料である。ここで、熱変位機能を有する水溶性非電解質高分子ゲルは、例えばポリビニルメチルエーテルまたはポリNイソプロピルアクリルアミドであり、pHによって変位が生じる電解質高分子ゲルは例えばポリアクリロニトリルであり、電気で変位が起きる高分子化合物は例えばポリアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である。
上記の複合材料において応力発光材料および蓄光材料と複合化する材料として無機物質を用いる場合、この無機物質としては、典型的には無機ガラスが用いられる。この無機ガラスは、一般的にはSi,Ge,Ti,Zr,Pb,B,Al,P,As,Mg,Ca,Sr,Ba,Li,Na,K,S,Se,TeおよびFよりなる群から選択された少なくとも一種の元素を含むガラスであり、より具体的には、例えば、Si,Al,TiまたはBを有する酸化物、シリカガラス、ホウケイ酸ガラス、ホウ酸ガラス、ソーダガラスおよびアルミネート系ガラスからなる群より選ばれた少なくとも一種以上の物質で構成されたものである。これらの無機ガラスは、樹脂に比べてヤング率は高いが、その分応力がより効果的に応力発光材料に発生する利点がある。
複合材料が液状の塗料、インク、接着剤などである場合、応力発光材料および蓄光材料と複合化するその他の材料としては、典型的には、バインダー、添加剤、溶剤などが用いられる。バインダーとしては無機樹脂(ポリシロキサン、ポリボロシロキサンなど)や金属アルコキシド(有機シリケート、有機チタネートなど)、添加剤としては増粘剤、沈降防止剤や硬化剤、溶剤としては有機溶剤や水が適宜必要に応じて選択され使用される。
上記のように応力発光材料および蓄光材料を他の材料と複合化する場合には、発光輝度を低下させないために、この材料としては、好適には可視光に透明なものが用いられる。例えば、上記のエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーンゴムなどの樹脂やホウケイ酸ガラスなどはこの観点から好適な例である。複合化する材料としては、応力発光材料および蓄光材料のエネルギー蓄積をより有効に行う観点から、好適には、可視光から紫外光に対して透明性を有するものが用いられる。
上記の複合材料を用いて各種の構造物を製造することができる。例えば、人工発光シート、人工発光毛髪、人工発光繊維などである。そして、これらの人工発光毛髪や人工発光繊維により、例えば、人工発光毛髪構造体、人工発光皮膚、人工発光ボディーなどを構成することができる。
具体的には、この複合材料からなる複数の人工発光毛髪が基体上に立設された構造を有する人工発光毛髪構造体または人工発光皮膚や、この複合材料からなる複数の人工発光毛髪がボディー表面に立設された構造を有する人工発光ボディーを製造することができる。ここで、人工発光毛髪は、典型的には、針状、ファイバー状または繊維状の形状を有する。この人工発光毛髪の太さは、この人工発光毛髪を人間が手や指などで触ったときに十分に曲がって発光が起こる限り、特に限定されないが、柔軟性を確保するとともに、応力発光に必要な内部応力を生じさせて容易に発光を起こさせ、さらには、人間が触った時の感触を良好にするなどの観点からは、好適には2mm以下、より好適には1mm以下、さらに好適には0.5mm以下とする。この人工発光毛髪の太さの下限は、強度が確保される限り存在しないが、通常は例えば0.1mm以上である。この太さは、基体上の全ての場所で一定であってもよいし、場所によって異なってもよい。基体上の人工発光毛髪の面密度は必要に応じて選ばれるが、人間が手や指などで触ったときにその触った部位で明瞭な発光が認められるようにするなどの観点からは、好適には1本/cm2 以上とし、より好適には2本/cm2 以上とする。面密度の上限は、使用する人工発光毛髪の太さにより決まる。面密度は、基体上の全ての場所で一定であってもよいし、場所によって異なってもよい。基体の面に対する人工発光毛髪の角度は必要に応じて決められ、90°であってもそれ以外の角度でもよいが、典型的には90°とする。この角度は、基体上の全ての場所で一定であってもよいし、場所によって異なってもよい。基体上への人工発光毛髪の立設の方法は基本的にはどのような方法を用いてもよいが、典型的には、例えば基体に設けられた孔(貫通孔であっても非貫通孔であってもよい)に人工発光毛髪の根元が埋め込まれる。人工発光毛髪は、典型的には基体上に周期的に立設され、具体的には、規則格子、例えば正方格子や正三角格子の配置で立設される。この配置の仕方は、基体上の全ての場所で同一であってもよいし、場所によって異なってもよい。なお、必要に応じて、人工発光毛髪と混ぜて、発光機能のない人工毛髪を用いてもよい。
人工発光毛髪からの発光を均一に起こさせる観点からは、好適には、複合材料からなる人工発光毛髪の内部において応力発光材料の微粒子および蓄光材料の微粒子をほぼ均一に分散させる。人工発光毛髪に触った時の感触を良くしたり、耐久性の向上を図るなどの観点からは、好適には、人工発光毛髪の表面が有機材料層、具体的には例えばコーティング層で被覆される。基体は、好適には、人間の手で容易に曲げることができるフレキシブルな材料で構成されるが、それ以外の材料で構成してもよい。
上記の複合材料からなる人工発光繊維を用いて人工発光布地を製造することができる。ここで、人工発光布地の織り方(編み方)の周期(織り目または編み目において互いに隣接する人工発光繊維の間隔に対応する)は必要に応じて選ばれるが、人間が手などで触ったときにその触った部位で明瞭な発光が認められるようにするなどの観点からは、好適には1回/cm以上、より好適には2回/cm以上とする。また、織り方(編み方)は種々のタイプがあり、必要に応じてこれらのうちから選ぶことができる。人工発光布地は、人工発光繊維だけを用いて織ったり編んだりしてもよいが、例えば、貫通孔を周期的に設けた基体を用い、この基体の貫通孔に人工発光繊維を通しながら織ったり編んだりしてもよい。この場合には、布地の模様が周期的になり、美しい文様を呈することができる。ここで、基体上の貫通孔の面密度は、好適には1本/cm2 以上、より好適には2本/cm2 以上である。また、必要に応じて、人工発光繊維と混ぜて、発光機能のない繊維を用いてもよい。
上記の人工発光毛髪構造体、人工発光皮膚、人工発光ボディーおよび人工発光布地は、例えば、各種ロボット(仕事ロボット、娯楽ロボット、癒しロボットなど)や、各種オーディオ機器(スピーカーを含む)、テレビ、ビデオ、パソコンなどの家庭電器製品や、文房具などの日用雑貨品などにおいて、ボディーや装飾などに用いて好適なものである。
この発明の第3の発明は、
応力発光材料樹脂複合体と蓄光材料樹脂複合体とが積層されてなる
ことを特徴とする発光性複合材料である。
ここで、応力発光材料樹脂複合体は、応力発光材料と樹脂との複合材料からなり、蓄光材料樹脂複合体は、蓄光材料と樹脂との複合材料からなる。
この第3の発明においては、その性質に反しない限り、第1および第2の発明に関連して述べたことが同様に成立する。
この発明において、発光材料または発光性複合材料に応力発光を起こさせるためには、これらに対して外部からエネルギーを加える。このエネルギーは、典型的には、外力により発生する応力による機械的エネルギーであるが、そのほかに、外部から加える弾性振動あるいは超音波などの音波による振動エネルギーも含まれる。
上述のように構成されたこの発明においては、外力の印加などにより応力発光材料に応力が発生したときにはこの応力発光材料から発光が起き、応力発光材料に応力が発生していないときには蓄光材料から発光が起きる。
また、上記の複合材料で人工発光毛髪や人工発光繊維を製造することにより、例えば、人間が手や指で軽く触っただけでも柔らかい感触で容易に人工発光毛髪や人工発光繊維を大きく曲げて発光を起こさせることができる。また、接触が終われば、直ちに発光が停止する。そして、以上のように接触に伴い発光が生じ、それを一般ユーザーが知覚することにより、ユーザーに心地よさが喚起され、あるいはその感性を効果的に刺激することができる。
この発明によれば、外力を印加したときには発光を示し、外力を印加していないときにも優れた視認性を有する発光材料および発光性複合材料を実現することができる。また、特に応力発光材料として、Sr1-x Al2 4-x-y またはM1-x Al2 4-x-y で表される材料にEuに加えてLa、Ce、Er、Tm、Gd、LuまたはYbを加えた新規な応力発光材料を用いることにより、高い発光強度を得ることができ、中でもSr1-x Al2 4-x-y またはM1-x Al2 4-x-y で表される材料にEuに加えてLa、Ce、ErまたはTmを加えた応力発光材料は従来の応力発光材料に比べて発光強度が極めて高い。さらに、応力発光材料と蓄光材料との組み合わせを選ぶことで、外力を印加した際の発光色を、例えば、通常時「赤」→外力印加時「黄緑」といったように変えることができ、外力の印加を容易に目視により確認することができる。また、応力発光材料の励起波長に合わせた蓄光材料を選ぶことで、応力発光の繰り返し回数を大幅に増加させることが可能である。そして、この応力発光材料を樹脂などと複合化することにより、人間の力でも、例えば人間の手や指で触っただけでも容易に発光を起こさせることができ、しかも触ったりした時だけ高強度で発光を起こさせることができる発光性複合材料を得ることができる。この発光性複合材料により人工発光毛髪や人工発光繊維を製造することができ、これらを用いて人工発光毛髪構造体、人工発光皮膚、人工発光ボディー、人工発光布地などを実現することができる。これによって、例えば、エンターテインメント用あるいはアミューズメント用ロボットあるいは光学分野などの分野において、大きな革新をもたらすことができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
まず、以下の実施形態において応力発光材料として用いるSrAl2 4 :Eu,Laについて説明する。
この応力発光材料は、例えば、通常の固相反応法により、以下の手順で作製することができる。
まず、試料特級の炭酸ストロンチウム(SrCO3 )0.98モルおよびアルミナ(Al2 3 )1.00モルに、Euを酸化ユーロピウム(Eu2 3 )で0.005モル、Laを酸化ランタン(La2 3 )で0.005モル添加し、さらにフラックスとして酸化ホウ素(B2 3 )を0.08モル添加し、これらをボールミルにて混合する。次に、この混合粉体に対し、1400℃での酸素中仮焼、1200℃でのH2 (5%)添加N2 雰囲気中還元熱処理を順次行い、試料を作製した。
こうして合成された試料のX線回折図形を図2に示す。図2より、合成された試料は、既知論文(非特許文献3)と同様に単斜晶系で全て指数付けされ、主成分が既知論文(非特許文献3)と同様の結晶から構成されることが判明した。
次に、エポキシ樹脂と、上記のSrAl2 4 :Eu,Laの粉体とを重量比で1:1の割合で混練し、数cm角のシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料を作製した。こうして作製したシートは、厚さ1mmに満たない薄いシート(下敷き状)であり、暗がりで軽く曲げるだけで強く光ることが確認された。同様な方法で、鋳型を用いて数mm角の立方体を作製した。そして、この試料に対して自作の荷重印加試験機で圧縮荷重を印加して応力を発生させ、その時発生する光を分光器で分光し、圧縮時の応力発光スペクトルを測定した。その結果を図3に示す。図3より、波長520nm付近にピークを持つブロードな発光スペクトルが得られていることが分かる。
一方、SrAl2 4 :Euからなる応力発光材料を作製し、上記と同様な測定を行った。応力発光材料の作製方法は、原料に酸化ランタンを添加しないことを除いて上記と同様である。こうして合成された試料のX線回折図形を図4に示す。図4より、合成された試料は、既知論文(非特許文献3)と同様に単斜晶系で全て指数付けされ、主成分が既知論文(非特許文献3)と同様の結晶から構成されることが判明した。
次に、上記と同様にしてSrAl2 4 :Euの粉体をエポキシ樹脂と複合化し、無機有機・複合化シート材料を作製した。こうして作製したシートも、厚さ1mmに満たない薄いシートであり、暗がりで軽く曲げるだけで強く光ることが確認された。同様な方法で、鋳型を用いて数mm角の立方体を作製し、上記と同様にして、圧縮時の応力発光スペクトルを測定した。その結果を図5に示す。図5から分かるように、波長520nm付近にピークを持つブロードな発光スペクトルであり、すでに報告されているもの(非特許文献3)と同様であった。
図6に、SrAl2 4 :Eu,Laの応力発光スペクトルとSrAl2 4 :Euの応力発光スペクトルとを併せて示す。
第1の実施形態
第1の実施形態においては、SrAl2 4 :Eu,Laからなる応力発光材料およびCaAl2 4 :Eu,Ndからなる蓄光材料を用いたエポキシ樹脂複合材料について説明する。
上記のSrAl2 4 :Eu,Laの粉体とCaAl2 4 :Eu,Nd(根本特殊科学、V−300M)とを重量比で1:1になるように混合し、この混合粉体をエポキシ樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角のシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料を作製した。こうして作製したシートは、厚さ1mmに満たない薄いシート(下敷き状)であり、暗がりで紫青色に光ることが確認された。この時の残光のスペクトルを図7に示す。図7より、発光のピークは440nm付近であり、紫青色の発光であることが分かる。また、このシートに軽く触れた際には黄緑色の強い発光が観測された。この応力発光のスペクトルを図8に示す。図8より、発光のピークは520nm付近であり、黄緑色の発光であることが分かる。上述の複合シートでは、通常の外力が印加されていない状態では紫青色に発光することで視認性に優れ、シートがどこにあるか一目で確認することができ、さらに、外力印加時には、黄緑色に光ることで、色の違いから確かに外力が印加されたことを確認することができる。通常、応力発光材料では、励起されたエネルギーを応力発生時に放出することで発光するため、ある一定回数の発光の後には応力発生時の発光が観測されなくなる。これに対し、紫色で発光する蓄光材料と複合化させたこの複合材料では、蓄光材料の発光波長と、応力発光材料の励起波長(図9参照)とに重なりがあり、上述の紫色発光の蓄光材料からの発光を励起源として常に応力発光材料を励起させ続けることができる。上記のシートは、蓄光材料の発光がある限りは、回数の限度なく応力発光を示した。
第2の実施形態
第2の実施形態においては、SrAl2 4 :Eu,Laからなる応力発光材料およびSr4 Al1425:Eu,Dyからなる蓄光材料を用いたエポキシ樹脂複合材料について説明する。
上記のSrAl2 4 :Eu,Laの粉体とSr4 Al1425:Eu,Dy(根本特殊科学、BG−300M)とを重量比で1:1になるように混合し、この混合粉体をエポキシ樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角のシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料を作製した。こうして作製したシートは、厚さ1mmに満たない薄いシート(下敷き状)であり、暗がりで青緑色に光ることが確認された。この時の残光のスペクトルを図10に示す。図10より、発光のピークは490nm付近であり、青緑色の発光であることが分かる。また、このシートに軽く触れた際には黄緑色の強い発光が観測された。この応力発光のスペクトルを図11に示す。図11より、発光のピークは520nm付近であり、黄緑色の発光であることが分かる。上述の複合シートでは、通常の外力が印加されていない状態では青緑色に発光することで視認性に優れ、シートがどこにあるか一目で確認することができ、さらに、外力印加時には、黄緑色に光ることで、色の違いから確かに外力が印加されたことを確認することができる。通常、応力発光材料では、励起されたエネルギーを外力印加時に放出することで発光するため、ある一定回数の発光の後には外力印加時の発光が観測されなくなる。これに対し、青緑色で発光する蓄光材料と複合化させたこの複合材料では、蓄光材料の発光波長と、応力発光材料の励起波長とに重なりがあり、上述の紫色発光の蓄光材料からの発光を励起源として常に応力発光材料を励起させ続けることができる。上記のシートは、蓄光材料の発光がある限りは、回数の限度なく応力発光を示した。
第3の実施形態
第3の実施形態においては、SrAl2 4 :Eu,Laからなる応力発光材料およびSrAl2 4 :Eu,Dyからなる蓄光材料を用いたエポキシ樹脂複合材料について説明する。
上記のSrAl2 4 :Eu,Laの粉体とSrAl2 4 :Eu,Dy(根本特殊科学、G−300M)とを重量比で1:1になるように混合し、この混合粉体をエポキシ樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角のシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料を作製した。こうして作製したシートは、厚さ1mmに満たない薄いシート(下敷き状)であり、暗がりで黄緑色に光ることが確認された。この時の残光のスペクトルを図12に示す。図12より、発光のピークは520nm付近であり、黄緑色の発光であることが分かる。また、このシートに軽く触れた際には同じ黄緑色ではあるが、触れる前に比べて明らかに強い発光が観測された。この応力発光のスペクトルを図13に示す。図13より、発光のピークは520nm付近であり、黄緑色の発光であることが分かる。上述の複合シートでは、通常の外力が印加されていない状態では黄緑色に発光することで視認性に優れ、シートがどこにあるか一目で確認することができ、さらに、外力印加時には、この黄緑色の発光の強度が増すことで、確かに外力が印加されたことを確認することができる。
第4の実施形態
第4の実施形態においては、SrAl2 4 :Eu,Laからなる応力発光材料およびY2 2 S:Eu,Mg,Tiからなる蓄光材料を用いたエポキシ樹脂複合材料について説明する。
上記のSrAl2 4 :Eu,Laの粉体とY2 2 S:Eu,Mg,Ti(根本特殊科学、R−300M)とを重量比で1:1になるように混合し、この混合粉体をエポキシ樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角のシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料を作製した。こうして作製したシートは、厚さ1mmに満たない薄いシート(下敷き状)であり、暗がりで赤色に光ることが確認された。この時の残光のスペクトルを図14に示す。図14より、発光のピークは625nm付近であり、赤色の発光であることがわかる。また、このシートに軽く触れた際には黄緑色の強い発光が観測された。この応力発光のスペクトルを図15に示す。図15より、発光のピークは520nm付近であり、黄緑色の発光であることが分かる。上述の複合シートでは、通常の外力が印加されていない状態では赤色に発光することで視認性に優れ、シートがどこにあるか一目で確認することができ、さらに、外力印加時には、黄緑色に光ることで、色の違いから確かに外力が印加されたことを確認することができる。
第5の実施形態
第5の実施形態においては、SrAl2 4 :Eu,Laからなる応力発光材料およびSrMgSi2 8 :Eu,Dyからなる蓄光材料を用いたエポキシ樹脂複合材料について説明する。
上記のSrAl2 4 :Eu,Laの粉体とSrMgSi2 8 :Eu,Dyとを重量比で1:1になるように混合し、この混合粉体をエポキシ樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角のシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料を作製した。こうして作製したシートは、厚さ1mmに満たない薄いシート(下敷き状)であり、暗がりで青色(中心波長:460nm)に光ることが確認された。また、このシートに軽く触れた際には黄緑色(中心波長:520nm)の強い発光が観測された。上述の複合シートでは、通常の外力が印加されていない状態では青色に発光することで視認性に優れ、シートがどこにあるか一目で確認することができ、さらに、外力印加時には、黄緑色に光ることで、色の違いから確かに外力が印加されたことを確認することができる。
第6の実施形態
第6の実施形態においては、SrAl2 4 :Eu,Laからなる応力発光材料およびSrMgSi2 7 :Eu,Dyからなる蓄光材料を用いたエポキシ樹脂複合材料について説明する。
上記のSrAl2 4 :Eu,Laの粉体とSrMgSi2 7 :Eu,Dyとを重量比で1:1になるように混合し、この混合粉体をエポキシ樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角のシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料を作製した。こうして作製したシートは、厚さ1mmに満たない薄いシート(下敷き状)であり、暗がりで青色(中心波長:470nm)に光ることが確認された。また、このシートに軽く触れた際には黄緑色(中心波長:520nm)の強い発光が観測された。上述の複合シートでは、通常の外力が印加されていない状態では青色に発光することで視認性に優れ、シートがどこにあるか一目で確認することができ、さらに、外力印加時には、黄緑色に光ることで、色の違いから確かに外力が印加されたことを確認することができる。
第7の実施形態
第7の実施形態においては、SrAl2 4 :Eu,Laからなる応力発光材料およびSrAl3 5 (OH):Eu,Dyからなる蓄光材料を用いたエポキシ樹脂複合材料について説明する。
上記のSrAl2 4 :Eu,Laの粉体とSrAl3 5 (OH):Eu,Dyとを重量比で1:1になるように混合し、この混合粉体をエポキシ樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角のシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料を作製した。こうして作製したシートは、厚さ1mmに満たない薄いシート(下敷き状)であり、暗がりで青緑色(中心波長:486nm)に光ることが確認された。また、このシートに軽く触れた際には黄緑色(中心波長:520nm)の強い発光が観測された。上述の複合シートでは、通常の外力が印加されていない状態では青緑色に発光することで視認性に優れ、シートがどこにあるか一目で確認することができ、さらに、外力印加時には、黄緑色に光ることで、色の違いから確かに外力が印加されたことを確認することができる。
第8の実施形態
第8の実施形態においては、SrAl2 4 :Eu,Laからなる応力発光材料およびZnGa2 4 :Mnからなる蓄光材料を用いたエポキシ樹脂複合材料について説明する。
上記のSrAl2 4 :Eu,Laの粉体とZnGa2 4 :Mnとを重量比で1:1になるように混合し、この混合粉体をエポキシ樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角のシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料を作製した。こうして作製したシートは、厚さ1mmに満たない薄いシート(下敷き状)であり、暗がりで緑色(中心波長:500nm)に光ることが確認された。また、このシートに軽く触れた際には黄緑色(中心波長:520nm)の強い発光が観測された。上述の複合シートでは、通常の外力が印加されていない状態では緑色に発光することで視認性に優れ、シートがどこにあるか一目で確認することができ、さらに、外力印加時には、黄緑色に光ることで、色の違いから確かに外力が印加されたことを確認することができる。
第9の実施形態
第9の実施形態においては、SrAl2 4 :Eu,Laからなる応力発光材料およびGd2 2 S:Eu,Mg,Tiからなる蓄光材料を用いたエポキシ樹脂複合材料について説明する。
上記のSrAl2 4 :Eu,Laの粉体とGd2 2 S:Eu,Mg,Tiとを重量比で1:1になるように混合し、この混合粉体をエポキシ樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角のシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料を作製した。こうして作製したシートは、厚さ1mmに満たない薄いシート(下敷き状)であり、暗がりで赤色(中心波長:625nm)に光ることが確認された。また、このシートに軽く触れた際には黄緑色(中心波長:520nm)の強い発光が観測された。上述の複合シートでは、通常の外力が印加されていない状態では赤色に発光することで視認性に優れ、シートがどこにあるか一目で確認することができ、さらに、外力印加時には、黄緑色に光ることで、色の違いから確かに外力が印加されたことを確認することができる。
第10の実施形態
次に、この発明の第10の実施形態による人工発光毛髪構造体について説明する。
まず、ポリエステル樹脂と第1〜第9の実施形態のいずれかの応力発光材料および蓄光材料の粉体とを重量比で1:2の割合で混錬し、有機材料、例えばナイロン製やポリエーテルイミド製のチューブに、注射器を用いて吸い込む形でその複合材料を注入する。その後、この複合材料が注入されたチューブを一昼夜放置して固化させ、これを毛髪状試料の1本とした。そしてこの作業を繰り返し、必要な本数の人工発光毛髪を製造した。チューブとしては、例えば、外径0.9mm、内径0.5mmのナイロン製チューブや外径0.5mm、内径0.3mmのポリエーテルイミド製のチューブが用いられる。この場合、この人工発光毛髪においては、チューブの内側にある、応力発光材料からなる微粒子と蓄光材料からなる微粒子とポリエステル樹脂との複合材料部の太さはチューブの内径と同一でそれぞれ0.5mmあるいは0.3mmである。この人工発光毛髪において、外皮を構成するチューブは人工発光毛髪の弾性を高めるとともに、人工発光毛髪の表面を保護する役割を果たす。
図16は、上述のようにして製造される人工発光毛髪を用いた人工発光毛髪構造体を示す。ここで、図16Aは側面図、図16Bは平面図である。
図16に示すように、この人工発光毛髪構造体においては、基体11の一方の主面上に、人工発光毛髪12が正方格子状の配置で立設されている。この場合、基体11に孔13が正方格子状の配置で設けられ、この孔13に人工発光毛髪12の根元が埋め込まれていることにより、基体11に対して人工発光毛髪12が固定されている。この固定には必要に応じて接着剤を用いてもよい。人工発光毛髪12としては、上述のようにして製造されたものが用いられる。人工発光毛髪12の直径dは、人工発光毛髪12を十分にしなやかにする観点より、好適には太くても2mm以下に選ばれ、より好適には1mm以下に選ばれ、具体的には例えば0.3〜0.5mmに選ばれる。
基体11は、人工発光毛髪12が繰り返し曲げられても基体11に対する人工発光毛髪12の固定強度が劣化しないように、また、人工発光毛髪構造体の設置場所の状況などに応じて、その材質や厚さが適宜選ばれる。特に、非平坦面上に人工発光毛髪構造体を設置するような用途の場合、この基体11は、好適には、弾力性に富み、人間の手や指で容易に曲げることができるフレキシブルなものが用いられ、具体的には、樹脂フィルム、例えばポリエステル樹脂フィルムなどが用いられる。この基体11の厚さの具体例を挙げると例えば2〜3mmである。
人工発光毛髪12の配列個数および配列間隔は必要に応じて決められるが、図16においては一例として縦横に11本ずつ、合計121本配列した場合が示されている。配列間隔a(図16B参照)は、人工発光毛髪12の面密度が1本/cm2 以上となるように決められるが、典型的には、例えば、2〜10mmに選ばれる。この場合、人工発光毛髪12の面密度は1〜25本/cm2 となる。
また、人工発光毛髪12の高さh(図16A参照)は、人工発光毛髪構造体のユーザーの感性や嗜好などを考慮して決められるものである。具体的には、人工発光毛髪12の高さhは、直径dにもよるが、これらの人工発光毛髪12を手で撫でた時に毛髪や動物の毛を撫でた時と同じような感触や毛並み感を得たい場合には、好適には最低でも直径dの2〜3倍以上とし、典型的には例えば直径dの5〜50倍とする。一方、人工発光毛髪12を触ったときにスキンタッチを味わいたい場合には、人工発光毛髪12の高さhを十分に低く、例えば直径dの2〜3倍以下とし、極端な場合にはほとんどドット状と言えるほどの高さ、すなわち直径dと同程度にしてもよい。
この人工発光毛髪構造体を暗がりの中に入れ、その人工発光毛髪12を手先で軽く撫でたところ、その瞬間、人工発光毛髪12から応力発光材料に由来する強い発光が起こることが確認された。また、撫で終わった後には、蓄光材料に由来する発光が見られた。
この人工発光毛髪構造体によれば、応力発光する無機化合物と樹脂とからなる十分に細い人工発光毛髪12を製造し、この人工発光毛髪12を基体11の一主面上に必要な本数だけ正方格子状に立設することにより人工発光毛髪構造体を構成しているため、ユーザーが人工発光毛髪12を手で軽く撫でるだけで強く発光させることができ、しかも撫で終わったときには直ぐに発光が弱くなる。このため、ユーザーは、撫でたときの手の感触の心地よさと同時に、撫でた時の発光を楽しむことができ、それによって心が癒されたり、気分が明るくなったりするなどの効果を得ることができる。
この人工発光毛髪構造体は、人工発光皮膚に適用して好適なものであり、例えば、癒しロボット、娯楽ロボットなどのエンターテインメントあるいはアミューズメント用ロボットのボディー表面に設けて使用することができる。
第11の実施形態
図17はこの発明の第11の実施形態による人工発光布地を示す。図17に示すように、この人工発光布地は、縦糸として人工発光繊維21を用い、横糸として人工発光繊維22を用いて織ったり編んだりしたものである。この織ったり編んだりした人工発光繊維21、22は、必ず湾曲しているのが特徴である。
人工発光繊維21、22としては、上述の人工発光毛髪12と同様な方法により製造されたものが用いられる。人工発光繊維21、22の直径は、人工発光繊維21、22を十分にしなやかにして容易に織ったり編んだりすることができるようにする観点より、好適には太くても2mm以下に選ばれ、より好適には1mm以下、さらに好適には0.5mm以下に選ばれる。
人工発光繊維21、22の間隔は、これらの人工発光繊維21、22の織り方(編み方)の周期が、好適には1回/cm以上、より好適には2回/cm以上となるように決められるが、典型的には、例えば、2〜10mmに選ばれる。この場合、人工発光繊維21、22の織り方(編み方)の周期は1〜5回/cmとなる。
言うまでもないが、人工発光繊維21、22が細いほど、また、人工発光繊維21、22の織り方(編み方)の周期が多いほど、緻密な人工発光布地を得ることができ、実際の絹の織物に匹敵する緻密な布地を得ることも可能である。
この人工発光布地によれば、応力発光する無機化合物と樹脂との複合材料からなる十分に細い人工発光繊維21、22を製造し、これらの人工発光繊維21、22を縦糸、横糸に用いて織ったり編んだりしたりすることにより人工発光布地を構成しているため、ユーザーが湾曲している人工発光繊維21、22を手で軽く撫でるだけで応力発光材料に由来する強い発光が見られ、しかも撫で終わったときには直ぐに蓄光材料に由来する発光が見られた。このため、ユーザーは、見た目には毛髪に覆われていないにもかかわらず、撫でたときの手の感触の心地よさと同時に、撫でた時の発光を楽しむことができ、それによって心が癒されたり、気分が明るくなったりするなどの効果を得ることができる。
この人工発光毛布地は、人工発光皮膚に適用して好適なものであり、例えば、癒しロボット、娯楽ロボットなどのエンターテインメントあるいはアミューズメント用ロボットのボディー表面に設けて使用することができる。また、衣服の布地として用いることもできる。
第12の実施形態
図18はこの発明の第12の実施形態による人工発光布地を示す。図18に示すように、この人工発光布地は、縦糸として人工発光繊維21を用い、横糸として人工発光繊維22を用いて織られたり編まれたりしたものであることは第11の実施形態による人工発光布地と同様であるが、織り方あるいは編み方が異なっている。その他のことは第11の実施形態による人工発光布地と同様である。
この第12の実施形態によれば、第11の実施形態と同様な利点を得ることができる。
第13の実施形態
図19はこの発明の第13の実施形態による人工発光布地を示す。図19に示すように、この人工発光布地は、縦糸として人工発光繊維21を用い、横糸として人工発光繊維22を用いて織ったり編んだりしたものであることは第11および第12の実施形態と同様であるが、織り方あるいは編み方が異なっている。その他のことは第11の実施形態による人工発光布地と同様である。
この第13の実施形態によれば、第11の実施形態と同様な利点を得ることができる。
第14の実施形態
図20はこの発明の第14の実施形態による人工発光布地を示す。図20に示すように、この人工発光布地は、縦糸として人工発光繊維21を用い、横糸として人工発光繊維22を用いて織ったり編んだりしたものであることは第11、第12および第13の実施形態による人工発光布地と同様であるが、人工発光布地の織り目あるいは編み目に対応した配置で周期的に貫通孔23が設けられた基体24を用い、人工発光繊維21、22をこれらの貫通孔23に通しながら織られたり編まれたりしたものであることが異なっている。その他のことは第11の実施形態による人工発光布地と同様である。このようにして織ったり編んだりした人工発光繊維21、22も必ず湾曲している。
この第14の実施形態によれば、第11の実施形態と同様な利点を得ることができるほか、人工発光繊維21、22による織り上げ模様あるいは編み上げ模様を周期的にすることができるため、人工発光布地の美観の向上を図ることができ、付加価値を高めることができるという利点を得ることもできる。
第15の実施形態
第15の実施形態においては、SrAl2 4 :Euからなる応力発光材料とCaAl2 4 :Eu,Ndからなる蓄光材料とを積層したエポキシ樹脂複合材料について説明する。
上記のSrAl2 4 :Euの粉体をエポキシ樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角で厚さ0.25mmのシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料からなる応力発光層を作製した。また、CaAl2 4 :Eu,Nd(根本特殊科学、V−300M)の粉体をエポキシ樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角で厚さ0.25mmのシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料からなる蓄光体層を作製した。そして、こうして作製した応力発光層および蓄光体層を積層接着し、厚さ0.5mmの積層シートを作製した。図21にこの積層シートを示す。図21において、符号31が応力発光層、32が蓄光体層を示す。こうして作製した積層シートの応力発光層31は透光性があり、暗がりで蓄光材料に由来する紫青色に光ることが確認された(図22A参照)。この時の発光のピークは440nm付近であり、紫青色の発光であることが分かる。また、この積層シートを曲げた際には黄緑色の強い発光が観測された。この時の発光のピークは520nm付近であり、黄緑色の強い発光が観測された。発光のピークは520nm付近であり、黄緑色の発光であることが分かる。上述の積層シートでは、通常の外力が印加されていない状態では紫青色に発光することで視認性に優れ、シートがどこにあるか一目で確認することができ、さらに、外力印加時には、黄緑色に光ることで、色の違いから確かに外力が印加されたことを確認することができる。
一方、図23に示すように、紫青色発光の蓄光体をエポキシ樹脂と複合化した角状サンプル(4cm×4cm×4cm)からなる蓄光体層32を作製し、その表面を応力発光体樹脂複合体(厚さ0.2mm)からなる応力発光層31で形成したサンプルを作製した。このサンプルは、暗所中では紫青色で発光しているが(図24A参照)、荷重20Nを印加すると緑色に発光した(図24B参照)。上記のサンプルは、蓄光材料の発光がある限りは、回数の限度なく応力発光を示した。通常、応力発光材料では、励起されたエネルギーを応力発生時に放出することで発光するため、ある一定回数の発光の後には応力発生時の発光が観測されなくなる。これに対し、紫色で発光する蓄光材料と複合化させたこの複合材料では、蓄光材料の発光波長と、応力発光材料の励起波長とに重なりがあり、上述の紫色発光の蓄光材料からの発光を励起源として常に応力発光材料を励起させ続けることができる。
第16の実施形態
第16の実施形態においては、SrAl2 4 :Euからなる応力発光材料とSr4 Al1425:Eu,Dyからなる蓄光材料とを積層したエポキシ樹脂複合材料について説明する。
上記のSrAl2 4 :Euの粉体をエポキシ樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角で厚さ0.25mmのシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料からなる応力発光層31を作製した。また、Sr4 Al1425:Eu,Dy(根本特殊科学、BG−300M)の粉体をエポキシ樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角で厚さ0.25mmのシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料からなる蓄光体層32を作製した。そして、こうして作製した応力発光層31および蓄光体層32を積層接着し、厚さ0.5mmの積層シートを作製した。こうして作製した積層シートの応力発光層31は透光性があり、暗がりで蓄光材料に由来する紫青色に光ることが確認された。この時の発光のピークは490nm付近であり、青緑色の強い発光であることが分かる。また、この積層シートを曲げた際には黄緑色の強い発光が観測された。この時の発光のピークは520nm付近であり、黄緑色の発光であることが分かる。上述の積層シートでは、通常の外力が印加されていない状態では紫青色に発光することで視認性に優れ、シートがどこにあるか一目で確認することができ、さらに、外力印加時には、黄緑色に光ることで、色の違いから確かに外力が印加されたことを確認することができる。
第17の実施形態
第17の実施形態においては、SrAl2 4 :Euからなる応力発光材料とSrAl2 4 :Eu,Dyからなる蓄光材料とを積層したエポキシ樹脂複合材料について説明する。
上記のSrAl2 4 :Euの粉体をエポキシ樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角で厚さ0.25mmのシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料からなる応力発光層31を作製した。また、SrAl2 4 :Eu,Dy(根本特殊科学、G−300M)の粉体をエポキシ樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角で厚さ0.25mmのシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料からなる蓄光体層32を作製した。そして、こうして作製した応力発光層31および蓄光体層32を積層接着し、厚さ0.5mmの積層シートを作製した。こうして作製した積層シートの応力発光層31は透光性があり、暗がりで蓄光材料に由来する黄緑色で光ることが確認された。この時の発光のピークは520nm付近であり、黄緑色の発光であることが分かる。また、この積層シートを曲げた際には同じ黄緑色(中心波長:520nm)ではあるが、前に比べて明らかに強い発光が観測された。上述の積層シートでは、通常の外力が印加されていない状態では黄緑色に発光することで視認性に優れ、シートがどこにあるか一目で確認することができ、さらに、外力印加時には、この黄緑色の発光の強度が増すことで、確かに外力が印加されたことを確認することができる。
第18の実施形態
第18の実施形態においては、SrAl2 4 :Euからなる応力発光材料とY2 2 S:Eu,Mg,Tiからなる蓄光材料とを積層したエポキシ樹脂複合材料について説明する。
上記のSrAl2 4 :Euの粉体をエポキシ樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角で厚さ0.25mmのシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料からなる応力発光層31を作製した。また、Y2 2 S:Eu,Mg,Ti(根本特殊科学、R−300M)の粉体をエポキシ樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角で厚さ0.25mmのシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料からなる蓄光体層32を作製した。そして、こうして作製した応力発光層31および蓄光体層32を積層接着し、厚さ0.5mmの積層シートを作製した。こうして作製した積層シートの応力発光層31は透光性があり、暗がりで蓄光材料に由来する赤色に光ることが確認された。また、この積層シートを曲げた際には黄緑色の強い発光が観測された(図22B参照)。この時の発光のピークは520nm付近であり、黄緑色の発光であることが分かる。上述の複合シートでは、通常の外力が印加されていない状態では赤色に発光することで視認性に優れ、シートがどこにあるか一目で確認することができ、さらに、外力印加時には、黄緑色に光ることで、色の違いから確かに外力が印加されたことを確認することができる。
第19の実施形態
第19の実施形態においては、SrAl2 4 :Euからなる応力発光材料とY2 2 S:Eu,Mg,Tiからなる蓄光材料とを積層したシリコーン樹脂複合材料について説明する。
上記のSrAl2 4 :Euの粉体をシリコーン樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角で厚さ0.25mmのシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料からなる応力発光層31を作製した。また、Y2 2 S:Eu,Mg,Ti(根本特殊科学、R−300M)の粉体をシリコーン樹脂と重量比で1:1の割合で混練し、数cm角で厚さ0.25mmのシート状にし、これを一昼夜放置して、無機有機・複合化シート材料からなる蓄光体層32を作製した。そして、こうして作製した応力発光層31および蓄光体層32を積層接着し、厚さ0.5mmのゴム状積層シートを作製した。こうして作製した積層シートの応力発光層31は透光性があり、暗がりで蓄光材料に由来する赤色で光ることが確認された。また、この積層シートに軽く触れた際には黄緑色の強い発光が観測された。発光のピークは520nm付近であり、黄緑色の発光であることが分かる。上述の複合シートでは、通常の外力が印加されていない状態では赤色に発光することで視認性に優れ、シートがどこにあるか一目で確認することができ、さらに、外力印加時には、黄緑色に光ることで、色の違いから確かに外力が印加されたことを確認することができる。
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構造、形状、材料、原料、プロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料、原料、プロセスなどを用いてもよい。
Euのみを添加したSrAl2 4 およびEuに加えてDy、Ce、Er、Gd、La、Lu、YbまたはTmを添加したSrAl2 4 の応力発光スペクトルにおける波長520nm付近の発光ピークの発光強度を示す略線図である。 この発明の実施形態において用いられる応力発光材料のX線回折図形を示す略線図である。 この発明の実施形態において用いられる応力発光材料の応力発光スペクトルを示す略線図である。 この発明の実施形態において用いられる応力発光材料のX線回折図形を示す略線図である。 この発明の実施形態において用いられる応力発光材料の応力発光スペクトルを示す略線図である。 この発明の実施形態において用いられるSrAl2 4 :Eu,LaおよびSrAl2 4 :Euの応力発光スペクトルを示す略線図である。 この発明の第1の実施形態において作製した発光性複合材料の残光スペクトルを示す略線図である。 この発明の第1の実施形態において作製した発光性複合材料の応力発光スペクトルを示す略線図である。 この発明の第1の実施形態において作製した発光性複合材料中の応力発光材料の励起スペクトルを示す略線図である。 この発明の第2の実施形態において作製した発光性複合材料の残光スペクトルを示す略線図である。 この発明の第2の実施形態において作製した発光性複合材料の応力発光スペクトルを示す略線図である。 この発明の第3の実施形態において作製した発光性複合材料の残光スペクトルを示す略線図である。 この発明の第3の実施形態において作製した発光性複合材料の応力発光スペクトルを示す略線図である。 この発明の第4の実施形態において作製した発光性複合材料の残光スペクトルを示す略線図である。 この発明の第4の実施形態において作製した発光性複合材料の応力発光スペクトルを示す略線図である。 この発明の第10の実施形態による人工発光毛髪構造体を示す側面図および平面図である。 この発明の第11の実施形態による人工発光布地を示す略線図である。 この発明の第12の実施形態による人工発光布地を示す略線図である。 この発明の第13の実施形態による人工発光布地を示す略線図である。 この発明の第14の実施形態による人工発光布地を示す断面図である。 この発明の第15の実施形態による発光性複合材料を示す断面図である。 この発明の第15の実施形態において発光性複合材料の発光の様子を示す図面代用写真である。 この発明の第15の実施形態による他の発光性複合材料を示す断面図である。 この発明の第15の実施形態において他の発光性複合材料の発光の様子を示す図面代用写真である。
符号の説明
11…基体、12…人工発光毛髪、21、22…人工発光繊維、31…応力発光層、32…蓄光体層

Claims (4)

  1. SrAl2 4 :Eu,Laからなる応力発光材料とSrAl2 4 :Eu,Dy、Sr4 Al1425:Eu,Dy、CaAl2 4 :Eu,Nd、Y2 2 S:Eu,Mg,Ti、Sr2 MgSi2 8 :Eu,Dy、SrMgSi 2 7 :Eu,Dy、SrAl3 5 (OH):Eu,Dy、ZnGa2 4 :MnまたはGdO2 S:Eu,Mg,Tiからなる蓄光材料と樹脂とを含む発光性複合材料。
  2. 上記SrAl2 4 :Eu,LaにおけるEuおよびLaのそれぞれの添加量がSrに対するモル%で0.001%以上20%以下である請求項1記載の発光性複合材料。
  3. 上記樹脂は、シリコーンゴム、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリエステル、エポキシ樹脂およびシロキサン結合を有する有機シリコーン化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種以上の樹脂からなる請求項2記載の発光性複合材料。
  4. 上記応力発光材料および上記蓄光材料は微粒子からなる請求項3記載の発光性複合材料。
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