JP2004136642A - タイヤ成形用金型の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベース金型4の所定箇所に一以上の貫通部66を形成することによって貫通ベース金型67を形成し、この貫通ベース金型67の貫通部66に樹脂を含む材料からなる鋳継ぎ材76aを注入して鋳継ぎ部埋込ベース金型78を形成し、この鋳継ぎ部埋込ベース金型78の鋳継ぎ部76を貫通ベース金型67の背面側からタイヤデザイン表面側に押し出して、タイヤデザイン表面側の段差を補正したものをタイヤの反転型形状となるように組み合わせることを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法。
【選択図】 図14
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、タイヤ成形用金型の製造方法に関する。さらに詳しくは、タイヤデザイン部での段差やデザインズレ等のないノンスピュータイプのタイヤ成形用金型を、簡易且つ効率的に低コストで製造することが可能なタイヤ成形用金型の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】タイヤ成形用金型は、タイヤのデザイン(表面形状)がシャープなコーナー部やブレードと称する薄肉の突起物を数多く有する複雑な形状であることに対応して、複雑な形状の形成に適した鋳造によって製造される場合が多い。
【0003】具体的な鋳造法としては、石膏等の崩壊性鋳型を用い低圧鋳造や重力鋳造して鋳物を得る石膏鋳造法又はセラミックモールド法や、鋼材等の非崩壊性鋳型を用い加圧鋳造して鋳物を得るダイキャスト法等を挙げることができる。
【0004】このような鋳造によって製造されるタイヤ成形用金型は、通常、部分金型に分割され、タイヤ成形時にこれらの部分金型を全体的に組み合わせて全体金型として用いられている。このような金型の分割方法としては、中心軸方向に2個の部分金型に分割する方法(2Pモールド)、及び円周に沿って、7〜11個の部分金型に分割する方法(セクショナルモールド)があるが、製造条件等に応じて適宜選択することができる。
【0005】例えば、石膏鋳造法を用いて2Pモールドのタイヤ成形用金型を製造する場合は、図23(a)〜図23(h)に示すように、タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有するマスターモデル101を機械加工等によって形成し(図23(a))、このマスターモデル101の反転形状であるゴム型102を形成し(図23(b))、ゴム型102を用いて、その反転形状である部分鋳型103を必要個数形成し(図23(c))、各部分鋳型103を乾燥(焼成)させ、これを組み立てることができるように端面を切断する角度加工を行い(図23(d))、各部分鋳型103を組み立てることで1リング分の全体鋳型104を形成する(図23(e))。このようにして形成された全体鋳型104を、定盤108上に設置し、鋳枠105で囲い、全体鋳型104と鋳枠105との間隙に合金溶湯106を流し込み(図23(f))、これを凝固させることによって(図23(g))、所望のタイヤ形状の反転形状を有するタイヤ成形用金型107を製造していた(図23(h))。
【0006】また、石膏鋳造法を用いてセクショナルモールドのタイヤ成形用金型を製造する場合は、図24(a)〜図24(j)に示すように、所望のタイヤ形状を円周方向に数分割した大きさの基本形状であるマスターモデル111を機械加工等によって形成し(図24(a))、このマスターモデル111の反転形状であるゴム型112を形成し(図24(b))、ゴム型112を用いて、その反転形状である部分鋳型113を必要個数形成し(図24(c))、各部分鋳型113を乾燥(焼成)させ、これを組み立てることができるように端面を切断する角度加工を行い(図24(d))、各部分鋳型113を組み立てることで1リング分の全体鋳型114を形成する(図24(e))。この際、反転形状の鋳物116に対応する各部分金型(セクター)118の端面(セクター端面)に加工代119を確保することができるように、部分鋳型113の両端部にも加工代をつけておき、必要に応じてダミー鋳型115を組み込むことで所定のリング直径に全体鋳型114を組み立てる。このようにして形成された全体鋳型114を、定盤120上に設置し、鋳枠121で囲い、全体鋳型114と鋳枠121との間隙に合金溶湯122を流し込み、合金溶湯122を凝固させる(図24(f)及び図24(g))。このようにして得られた鋳物116から全体鋳型114を取り外し(図24(h))、各セクター118に分割し、底面部をフライス加工して倒れ補正を行い、端面部をフライス加工し、外周面を旋盤(ターニング)加工して(図24(i))、タイヤ成形用金型123を製造していた(図24(j))。
【0007】また、セクショナルモールドのタイヤ成形用金型を製造する方法には、図24(g)に示したような、セクター端面に加工代119を確保した状態で鋳造する方法以外に図25(a)〜図25(g)に示すような方法がある。まず、上述した方法によって部分鋳型124を形成し、部分鋳型124を全体鋳型125を組み合わせる工程において加工代119を確保することなく、即ち、セクター端面に余剰部分が形成されない状態で組み合わせ、このように構成された全体鋳型125を定盤126上に設置し、鋳枠127で囲い、全体鋳型125と鋳枠127との間隙に合金溶湯128を流し込み(図25(a)及び図25(b))、所望の形状の鋳物129を鋳造する(図25(c))。このようにして得られた鋳物129を型バラシし、鋳物129の背面の余剰部分を機械加工し(図25(d))、ワイヤ放電加工機等を用いて部分金型(セクター)130に分割し(図25(e)及び図25(f))、得られた部分金型(セクター)130を型合わせしてタイヤ成形用金型131を製造する(図25(g))。
【0008】一方、ダイキャスト法を用いて、タイヤ成形用金型を製造する場合は、図26(a)〜図26(f)に示すように、所望のタイヤ形状を数十分割した大きさの形状の原型(ダイキャスト型)132を、鋼材等を用いて形成し(図26(a))、原型132を鋳枠133で囲み、溶湯134を加圧注湯して加圧鋳造を行い(図26(b))、ピース鋳物135を形成する(図26(c)及び図26(d))。以上の工程を、必要なピース数分繰り返して行い、複数の複製鋳物を形成する。次に、各ピース鋳物135を必要外周形状に機械加工し、機械加工した各ピース鋳物135を、バックモールド136内に配設してタイヤ成形用金型137を製造する(図26(e)及び図26(f))。図26(e)は、2Pモールドのタイヤ成形用金型137を示し、図26(f)は、セクショナルモールドのタイヤ成形用金型137を示している。
【0009】ダイキャスト法においては、鋼材等から形成した非崩壊性の原型132(図26(a)参照)を鋳型として用いるために、原型132(図26(a)参照)の形状としては、所望のタイヤ形状をアンダーカットのない大きさまで分割しなければならない。例えば、図27に示すように、原型(ダイキャスト型)132にアンダーカット形状がある場合は、ピース鋳物135がアンダーカット形状138に入り込み、原型(ダイキャスト型)132からの脱型が不可能となる。このようにダイキャスト法では、鋳物の脱型時のアンダーカットを回避するために、微小ピース形態で鋳物を形成し、加工してリング形態に組み込むこと(アッセンブル)が必須となる。
【0010】上述した2種類の鋳造方法には、それぞれに利点と不都合とがあり、結局は、タイヤの用途、製造コスト等を考慮して使い分けられているのが現状である。
【0011】例えば、上述した石膏鋳造法は、石膏鋳型の段階での鋳型組み立て、及び形状修正が可能であるため、タイヤ成形用金型の最終形状レベルの、継ぎ目のない一体鋳物を寸法精度高く製作できる利点を有する。また、石膏鋳造法の場合、2Pモールドで2リング、セクショナルモールドで1リングで、1セット分のタイヤ成形用金型の鋳造を完結させられるのに対し、ダイキャスト法では多数回(通常50〜200回)に分けて鋳造しなければ、1セット分の鋳造が完了しない。このようなことから、リング鋳物としての寸法精度を考えた場合は、石膏鋳造法により得られた鋳物は、各部の寸法バラツキが小さく抑えられるのに対し、ダイキャスト法による鋳物は、鋳造回数分のバラツキの影響が現れ、寸法バラツキが大きくなることがある。
【0012】また、ダイキャスト法は、アンダーカット形状を付与することが不可能なのに対して、石膏鋳造法は崩壊性鋳型を用いていることから、アンダーカット形状に対しても自由度高く対応することができる。
【0013】一方、鋳物の凝固形態から考察すると、石膏鋳造法は、石膏鋳型が断熱素材であるために、溶湯の凝固は鋳物の背面側から意匠面側に向かって起こるため、肝心な意匠面側に鋳造欠陥を生じることがあるが、ダイキャスト法は、意匠面側からも凝固が起こるため、鋳造欠陥が生じづらいという利点を有している。
【0014】鋳物(タイヤ成形用金型)の製造コストの面では、鋳型の製作コストの比較となる。数千個以上の同一鋳物を大量に製造する場合は、ダイキャスト法がコスト的にメリットを有する場合があるが、タイヤ成形用金型の製造においては、このような大量生産を行うケースは殆どなく、鋳型を安価に形成することができる石膏鋳造法に利点がある。また、石膏鋳造法は、完成形態に近い鋳物を製造することができることから、後加工に掛かるコストを低くすることができる。
【0015】このような製造方法により製造されたタイヤ成形用金型を用いたタイヤの成形は、通常、成形前(デザインを施される前)の重合ゴム素材等からなるタイヤ原材料(グリーンタイヤ)を、タイヤ成形用金型に押圧することによる成形(コンプレッション成形)により行われている。
【0016】このようなコンプレッション成形の成形過程においては、グリーンタイヤを金型に押圧したときに、骨やブレード等の凹凸が形成された金型の表面とグリーンタイヤとの間に閉じた空間(閉塞空間)が形成され、成形中に閉塞空間内の空気が排出されず、最終的に得られるタイヤ成形品に気泡が内包されて、いわゆる「ベア」と呼ばれる気泡欠陥が発生するという問題がある。
【0017】上述の「ベア」の発生を防止するためには、通常、金型から空気を抜く方法を講じることにより対処している。
【0018】このような空気抜きの方法としては、従来から、3種類の方法(ベントホールタイプ、スリットベントタイプ、及び開閉弁タイプ)が採用されている。
【0019】ベントホールタイプは、金型に、閉塞空間に連通する空気抜き孔(ベントホール)を設け、このベントホールを経由させて閉塞空間内の空気を外部に排出する方法で、金型そのものの製造コストが安価であるとともに、保守、点検についても、ガラスビーズ、樹脂ビーズ、ドライアイスペレット等のメディアを高圧空気で吹き付ける、簡易なブラスト法を採用することが可能であるという利点がある。しかし、ベントホールタイプを用いた場合には、空気の排出に伴って、ベントホール中にタイヤ原材料(グリーンタイヤ)も流出するため、最終的なタイヤ成形品(タイヤ製品)にスピュー(ひげ状の突起部)が形成され、タイヤ成形品としての外観や初期走行性能が損なわれるという不都合もある。
【0020】スリットベントタイプは、部分金型を全体金型に組み立てた際の、部分金型相互間に形成される隙間、又は所定箇所に設置されたスリット状の空気抜きから閉塞空間内の空気を外部に排出する方法で、タイヤ成形品としての外観性に優れ、また、初期の走行性能に支障をきたすことはないという利点がある。しかし、ノンスピュータイプ又はスリットベントタイプを用いた場合には、金型そのものの製造コストが高くなるという不都合がある。
【0021】開閉弁タイプのタイヤ成形用金型は、金型に開口したベントホールに、開閉弁機構を付与して、開状態の弁から閉塞空間内の空気を外部に排出し、排出完了とともに弁を遮断してタイヤ原材料(グリーンタイヤ)のベントホール中への侵入を防止することができる。この開閉弁タイプは、前述した、ベントホールタイプやスリットベントタイプのタイヤ成形用金型の有する問題点を克服したものであるが比較的新しい技術で広く普及するに至っていない。
【0022】上述した3種類の方法の中では、ジグソーパズルのようなタイヤ成形用金型の分割模様が、タイヤ外観に対して一種の審美性をも与えるといった固定観念もあり、現在でもノンスピュー(スピューレス)のタイヤ成形用金型としては、スリットベントタイプが一般的に用いられている。
【0023】このスリットベントタイプのタイヤ成形用金型は、ピース状の部分金型を組み立てることによって製造されるために、その製造方法としてダイキャスト法によりピース鋳物を作製し、このピース鋳物側面にスリット加工を施したり、ピース間に隙間を設けた状態で全体タイヤ金型に組み立てるのが一般的である。当然のことながら、崩壊性鋳型を用いた重力鋳造及び低圧鋳造でピース鋳物を作製し同様なことを行うことも可能である。しかし、このような方法は製造コストがかかるため、近年はダイキャスト法による鋳継ぎでスリットを形成する方法が行われている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0024】このような製造方法によれば、アルミ合金や鉄系合金から形成された母材(母相金型又はピース金型)の一部分、又は隣接するピース全体を、ダイキャスト法によりアルミ合金で鋳継ぐ方法である。鋳継いだ部分が、凝固・冷却収縮した分をスリットとして利用し、タイヤ成形用金型のエアベント機構とするものである。
【0025】
【特許文献1】
特開2001−150455公報
【特許文献2】
特開2001−232640公報
【特許文献3】
特開2001−170940公報
【特許文献4】
特開2001−232644公報
【特許文献5】
特開平11−198145号公報
【0026】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このようなダイキャスト法を用いた製造方法は、ピースの大きさに制限を有したり、アンダーカット形状やサイプ部等での鋳継ぎが難しい等、形状対応の自由度が低いという問題があった。
【0027】また、ダイキャスト法によって形成された各ピース鋳物を組む立てることで製造されたタイヤ成形用金型は、各ピース鋳物を個々に製造するため、また、製造時の溶湯の収縮率が異なる等の理由から、タイヤデザイン部に段差やデザインズレ等が生じ易いという問題があった。
【0028】さらに、ダイキャスト法においては、ピース鋳物毎に加工を行わなければならず、また、多大な設備を要することから、コスト高になるという問題があった。
【0029】本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、タイヤデザイン部での段差やデザインズレ等のないノンスピュータイプのタイヤ成形用金型を、簡易且つ効率的に低コストで製造することが可能なタイヤ成形用金型の製造方法を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するため、本発明は、以下のタイヤ成形用金型を提供するものである。
【0031】
[1] タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有する複数の部分鋳型を形成し、複数の前記部分鋳型を前記タイヤの形状となるように組み合わせた全体鋳型、又は前記部分鋳型のみを鋳枠で囲い前記全体鋳型又は前記部分鋳型と前記鋳枠との間隙に溶湯を流し込み凝固させることによって前記タイヤの反転型であるベース金型を形成し、前記ベース金型を用いて、その反転型である非粘着性の材料からなる第1の反転型を形成し、前記第1の反転型を前記ベース金型から離型させ、前記第1の反転型が離型した前記ベース金型の所定箇所に、タイヤデザイン表面から背面側表面まで貫通する一以上の貫通部を形成することによって、貫通ベース金型を形成し、前記貫通ベース金型と、前記第1の反転型とを、それぞれのタイヤデザイン表面側が対向する状態で型合わせすることによって、型合わせ体を形成し、前記型合わせ体の前記貫通ベース金型の背面側から、前記貫通ベース金型の前記貫通部に非粘着性の材料を注入して、前記貫通部内に前記貫通部の反転型である第2の反転型を形成し、前記型合わせ体から前記第1の反転型を取り外すことによって、前記貫通ベース金型の前記貫通部に前記第2の反転型が配置された配置ベース金型を形成し、前記配置ベース金型を構成する前記第2の反転型を前記貫通ベース金型の前記背面側から前記タイヤデザイン表面側に押し出して、所定量だけ移動させ、前記第2の反転型が所定量だけ移動した状態で、前記配置ベース金型の前記タイヤデザイン表面側から崩壊性鋳型材を注入して、前記配置ベース金型の前記タイヤデザイン表面側に崩壊性鋳型が配設された鋳型付配置ベース金型を形成し、前記鋳型付配置ベース金型から前記第2の反転型を取り外すことによって、鋳型付貫通ベース金型を形成し、前記鋳型付貫通ベース金型を構成する前記貫通ベース金型の前記背面側から、異種又は同種の金属又は合金を含む鋳継ぎ材を注入して、前記貫通ベース金型の前記貫通部に鋳継ぎ部が配設された鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型を形成し、前記鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型から前記崩壊性鋳型を取り除いて、鋳継ぎ部埋込ベース金型を形成し、前記鋳継ぎ部埋込ベース金型を、前記タイヤの反転型形状となるように組み合わせることを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法(以下、「第一の発明」ということがある)。
【0032】
[2] タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有する複数の部分鋳型を形成し、複数の前記部分鋳型を前記タイヤの形状となるように組み合わせた全体鋳型、又は前記部分鋳型のみを鋳枠で囲い前記全体鋳型又は前記部分鋳型と前記鋳枠との間隙に溶湯を流し込み凝固させることによって前記タイヤの反転型であるベース金型を形成し、前記ベース金型を用いて、その反転型である非粘着性の材料からなる第3の反転型を形成し、前記第3の反転型を前記ベース金型から離型させ、前記第3の反転型が離型した前記ベース金型の所定箇所に、タイヤデザイン表面から背面側表面まで貫通する一以上の貫通部を形成することによって、貫通ベース金型を形成し、前記貫通ベース金型と、前記第3の反転型とを、それぞれのタイヤデザイン表面側が対向する状態で型合わせすることによって、型合わせ体を形成し、前記型合わせ体の前記貫通ベース金型の背面側から、前記貫通ベース金型の前記貫通部に非粘着性の材料を注入して、前記貫通部内に前記貫通部の反転型である第4の反転型を形成し、前記型合わせ体から前記第3の反転型を取り外すことによって、前記貫通ベース金型の前記貫通部に前記第4の反転型が配置された配置ベース金型を形成し、前記配置ベース金型を構成する前記貫通ベース金型の前記タイヤデザイン表面側から崩壊性鋳型材を注入して、前記配置ベース金型の前記タイヤデザイン表面側に崩壊性鋳型が配設された鋳型付配置ベース金型を形成し、前記鋳型付配置ベース金型から前記第4の反転型を取り外すことによって、鋳型付貫通ベース金型を形成し、前記鋳型付貫通ベース金型を構成する前記貫通ベース金型の前記背面側に耐熱性の肉盗み部材を配設し、前記肉盗み部材を配設した状態で、前記鋳型付貫通ベース金型を構成する前記貫通ベース金型の前記背面側から、異種又は同種の金属又は合金を含む鋳継ぎ材を注入して、前記貫通ベース金型の前記貫通部に鋳継ぎ部が配設された鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型を形成し、前記鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型から前記崩壊性鋳型を取り除いて、鋳継ぎ部埋込ベース金型を形成し、前記鋳継ぎ部埋込ベース金型から前記肉盗み部材を取り除き、前記鋳継ぎ部を、前記肉盗み部材の厚さに相当する量だけ前記タイヤデザイン表面側に押し上げて、前記タイヤデザイン表面側の段差を補正し、前記段差を補正した前記鋳継ぎ部埋込ベース金型を、前記タイヤの反転型形状となるように組み合わせることを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法(以下、「第二の発明」ということがある)。
【0033】
[3] タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有する複数の部分鋳型を形成し、複数の前記部分鋳型を前記タイヤの形状となるように組み合わせた全体鋳型、又は前記部分鋳型のみを鋳枠で囲い前記全体鋳型又は前記部分鋳型と前記鋳枠との間隙に溶湯を流し込み凝固させることによって前記タイヤの反転型であるベース金型を形成し、前記ベース金型を用いて、その反転型である非粘着性の材料からなる第5の反転型を形成し、前記第5の反転型を前記ベース金型から離型させ、前記第5の反転型が離型した前記ベース金型の所定箇所に、タイヤデザイン表面から背面側表面まで貫通する一以上の貫通部を形成することによって、貫通ベース金型を形成し、前記貫通ベース金型と、前記第5の反転型とを、それぞれのタイヤデザイン表面側が対向する状態で型合わせすることによって、型合わせ体を形成し、前記型合わせ体の前記貫通ベース金型の背面側から、前記貫通ベース金型の前記貫通部に非粘着性の材料を注入して、前記貫通部内に前記貫通部の反転型である第6の反転型を形成し、前記型合わせ体から前記第5の反転型を取り外すことによって、前記貫通ベース金型の前記貫通部に前記第6の反転型が配置された配置ベース金型を形成し、前記配置ベース金型を構成する前記貫通ベース金型の前記タイヤデザイン表面側から崩壊性鋳型材を注入して、前記配置ベース金型の前記タイヤデザイン表面側に崩壊性鋳型が配設された鋳型付配置ベース金型を形成し、前記鋳型付配置ベース金型から前記第6の反転型を取り外すことによって、鋳型付貫通ベース金型を形成し、前記鋳型付貫通ベース金型を構成する前記貫通ベース金型の前記背面側から、異種又は同種の金属又は合金を含む鋳継ぎ材を注入して、前記貫通ベース金型の前記貫通部に鋳継ぎ部が配設された鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型を形成し、前記鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型から前記崩壊性鋳型を取り除いて、鋳継ぎ部埋込ベース金型を形成し、前記鋳継ぎ部埋込ベース金型を構成する前記鋳継ぎ部を、前記貫通ベース金型の前記背面側から前記タイヤデザイン表面側に押し出して、前記タイヤデザイン表面側の段差を補正し、前記段差を補正した前記鋳継ぎ部埋込ベース金型を、前記タイヤの反転型形状となるように組み合わせることを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法(以下、「第三の発明」ということがある)。
【0034】
[4] タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有する複数の部分鋳型を形成し、複数の前記部分鋳型を前記タイヤの形状となるように組み合わせた全体鋳型、又は前記部分鋳型のみを鋳枠で囲い前記全体鋳型又は前記部分鋳型と前記鋳枠との間隙に溶湯を流し込み凝固させることによって前記タイヤの反転型であるベース金型を形成し、前記ベース金型を用いて、その反転型である非粘着性の材料からなる第7の反転型を形成し、前記第7の反転型を前記ベース金型から離型させ、前記第7の反転型が離型した前記ベース金型の所定箇所に、タイヤデザイン表面から背面側表面まで貫通する一以上の貫通部を形成することによって、貫通ベース金型を形成し、前記貫通ベース金型と、前記第7の反転型とを、それぞれのタイヤデザイン表面側が対向する状態で型合わせすることによって、型合わせ体を形成し、前記型合わせ体の前記貫通ベース金型の背面側から、前記貫通ベース金型の前記貫通部に、樹脂を含む材料からなる鋳継ぎ材を注入して、鋳継ぎ材埋込型合わせ体を形成し、前記鋳継ぎ材埋込型合わせ体から前記第7の反転型を取り外すことによって、前記貫通ベース金型の前記貫通部に前記鋳継ぎ部が配置された鋳継ぎ部埋込ベース金型を形成し、前記鋳継ぎ部埋込ベース金型を構成する前記鋳継ぎ部を、前記貫通ベース金型の前記背面側から前記タイヤデザイン表面側に押し出して、前記タイヤデザイン表面側の段差を補正し、前記段差を補正した前記鋳継ぎ部埋込ベース金型を、前記タイヤの反転型形状となるように組み合わせることを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法(以下、「第四の発明」ということがある)。
【0035】
[5] 前記貫通ベース金型の、前記貫通部を構成する領域と接する表面側に、前記鋳継ぎ材に対して反応及び/又は溶損しない材料からなる、所定の厚さの板状部材を配設し、前記板状部材を配設した状態で、前記鋳継ぎ材を注入し、前記鋳継ぎ材を硬化させた後に、前記板状部材を取り除く工程を含む前記[1]〜[4]のいずれかに記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明(第一の発明〜第四の発明)のタイヤ成形用金型の製造方法の実施の形態を、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0037】まず、本発明(第一の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法について説明する。本実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法は、図1(a)に示すように、タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有する複数の部分鋳型1を形成し、図1(b)に示すように、複数の部分鋳型1をタイヤの形状となるように組み合わせた全体鋳型2を形成し、図1(c)に示すように、全体鋳型2、又は部分鋳型1のみを鋳枠3で囲い全体鋳型2又は部分鋳型1と鋳枠3との間隙に溶湯を流し込み凝固させることによって、図1(d)に示すように、タイヤの反転型であるベース金型4を形成する。図1(a)〜図1(d)に示した工程は、従来のタイヤ成形用金型の製造方法に用いられる、石膏鋳造法や精密鋳造法を用いて行うことができる。また、ベース金型4の材料としては、鉄系材料又はアルミニウム等を好適に用いることができる。
【0038】次に、図2(a)に示すように、前述したベース金型4を用いて、その反転型である非粘着性の材料からなる第1の反転型5を形成する。第1の反転型5の材料としては、シリコーンゴム、ポリサルファイドゴム、及びウレタンゴム等を好適に用いることができる。
【0039】次に、第1の反転型5をベース金型4から離型させ、第1の反転型5が離型したベース金型4の所定箇所に、図2(b)及び図2(c)に示すように、タイヤデザイン表面8から背面9側表面まで貫通する一以上の貫通部6を形成することによって、貫通ベース金型7を形成する。この貫通部6の形成された領域の外周部分が、得られるタイヤ成形用金型の、タイヤ成形時のエアー抜きのスリットとなる。
【0040】上述した貫通部6は、フライス盤等を用いてベース金型4を機械加工することで容易に形成することができる。また、貫通部6の形状は、特に限定されることはないが、機械加工の容易さから、四角形、円形、及び菱形等を好適例として挙げることができる。また、一個のベース金型4に形成する貫通部6の数は、貫通部6を形成したベース金型4の強度が、タイヤ成形用金型として用いることができるものであれば、いくつであってもよい。さらに、同一の貫通部を有する貫通ベース金型7を多数要する場合には、石膏鋳造法又はセラミックモールド法等によりあらかじめ複製しておくことも可能である。
【0041】次に、図2(d)に示すように、貫通ベース金型7と、第1の反転型5とを、それぞれのタイヤデザイン表面8側が対向する状態で型合わせすることによって、型合わせ体10を形成する。
【0042】次に、図2(e)に示すように、型合わせ体10の貫通ベース金型7の背面9側から、貫通ベース金型7の貫通部6に非粘着性の材料を注入して、貫通部6内に貫通部6の反転型である第2の反転型11を形成する。第2の反転型11は、第1の反転型5に用いた材料と同様のものを好適に用いることができる。
【0043】次に、型合わせ体10から第1の反転型5を取り外すことによって、図2(f)に示すような貫通ベース金型7の貫通部6に第2の反転型11が配置された配置ベース金型12を形成する。
【0044】次に、図2(g)に示すように、配置ベース金型12を構成する第2の反転型11を、貫通ベース金型7の背面9側からタイヤデザイン表面8側に押し出して、後述する鋳継ぎ材の収縮量に対応する分だけ移動させる。例えば、形成の際に高温に加熱されていた鋳継ぎ材が冷えることで1mm収縮するとすれば、第2の反転型11を、貫通ベース金型7の背面9側からタイヤデザイン表面8側に1mm押し出して、移動させる。このように、鋳継ぎ材の収縮量を考慮した上で第2の反転型11の位置を決定することで、得られるタイヤ成形用金型のタイヤデザイン部での段差をなくすことができる。
【0045】次に、図2(h)に示すように、第2の反転型11が所定量だけ移動した状態で、配置ベース金型12のタイヤデザイン表面8側から崩壊性鋳型材を注入して、配置ベース金型12のタイヤデザイン表面8側に崩壊性鋳型13が配設された鋳型付配置ベース金型14を形成する。崩壊性鋳型材としては、石膏及びセラミック等を好適に用いることができる。
【0046】次に、崩壊性鋳型13が十分硬化した後、鋳型付配置ベース金型14から第2の反転型11(図2(g)参照)を取り外すことによって、図2(i)に示すような鋳型付貫通ベース金型15を形成する。
【0047】次に、図3(a)に示すように、鋳型付貫通ベース金型15を構成する貫通ベース金型7の背面側から、異種又は同種の金属又は合金(例えば、鉄系合金、アルミ系合金、マグネシウム系合金等)を含む鋳継ぎ材16aを注入して、図3(b)に示すように、貫通ベース金型7の貫通部6に鋳継ぎ部16が配設された鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型17を形成する。貫通部6に注入した鋳継ぎ材16a(図3(a)参照)は、冷えて収縮するために、形成された鋳継ぎ部16は、貫通部6を形成する空間より細くなっており、このように形成された貫通部6と鋳継ぎ部16との隙間が、前述したタイヤ成形時のエアー抜きのスリットとなる。また、タイヤデザイン表面8方向に対しても、鋳継ぎ材16a(図3(a)参照)の収縮は生じているが、図2(g)に示した工程の際に、タイヤデザイン表面8方向に対し鋳継ぎ部16の収縮量を考慮し、あらかじめ、鋳継ぎ材を注入する部分を大きくしていることから、貫通ベース金型7のタイヤデザイン表面8側に鋳継ぎ部16による段差は生じていない。
【0048】次に、鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型17から崩壊性鋳型13を取り除いて、鋳継ぎ部埋込ベース金型18を形成する(図3(c)及び図3(d)参照)。この際、バックモールドに容易に組み込むことができるように、貫通ベース金型7及び鋳継ぎ部16の余剰部分を機械加工等によって除去してもよい。
【0049】このようにして形成した鋳継ぎ部埋込ベース金型18を、図4(a)及び図4(b)に示すように、タイヤの反転型形状となるように組み合わせてタイヤ成形用金型20を形成する。図4(a)は、セクショナルモールドのタイヤ成形用金型20を示し、図4(b)は、2Pモールドのタイヤ成形用金型20を示している。
【0050】本実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法において、貫通部6(図3(b)参照)は、タイヤ成形時にタイヤ成形用金型のタイヤデザイン表面とグリーンタイヤとの間に形成される閉塞空間内の空気を、貫通部6(図3(b)参照)と鋳継ぎ部16(図3(b)参照)との隙間に形成されるエアー抜きのスリットを経由して良好に排出することができる箇所に形成することが好ましく、特に限定されることはないが、例えば、図5に示すように、タイヤデザイン表面8の鋳出し骨24等に囲われた領域に閉塞空間が形成され易いことから、タイヤデザイン表面8において、貫通部6の外周の少なくとも一部が鋳出し骨24の近傍に配置されるように形成することが好ましい。この際、貫通部6は鋳出し骨24を分断するように形成してもよいし、鋳出し骨24に囲われた領域内に形成してもよい。
【0051】このように構成することによって、タイヤデザイン部での段差やデザインズレ等のないノンスピュータイプのタイヤ成形用金型を、簡易且つ効率的に低コストで製造することができる。
【0052】また、本実施の形態においては、図3(a)に示すような、鋳型付貫通ベース金型15を構成する貫通ベース金型7の背面側から鋳継ぎ材16aを注入する工程において、鋳継ぎ材16aとして、貫通ベース金型7と異種又は同種の金属又は合金を含む粉末(以下、「鋳継ぎ粉末」という)を用い、この鋳継ぎ粉末から構成された鋳継ぎ材16aを貫通ベース金型7に注入し、注入した鋳継ぎ材16aを加熱して焼結させることによって、図3(b)に示すように、貫通ベース金型7の貫通部6に鋳継ぎ部16が配設された鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型17を形成してもよい。
【0053】図3(a)及び図3(b)に示すように、鋳継ぎ材16aとして鋳継ぎ粉末を用いた場合には、鋳継ぎ粉末を構成する金属又は合金の溶融温度よりも低い温度で鋳継ぎ粉末を焼結させることができる。このため鋳型付貫通ベース金型15を加熱する温度をより低くすることができ、鋳型付貫通ベース金型15が熱によって軟化して歪み等の変形を生じることを有効に防止することができる。特に、貫通ベース金型7と同種の金属又は合金を用いる場合には、上述した変形の心配がないことから、貫通部6の大きさ等に制限を受けることがない。
【0054】また、鋳継ぎ材16aを構成する鋳継ぎ粉末として鋳造性の低い合金の粉末を用いたとしても、鋳継ぎ材16aを粉末の状態で貫通部6に注入(充填)するために、鋳造欠陥等を生じることがない。また、鋳継ぎ材16aを構成する鋳継ぎ粉末に添加元素を加え、得られる鋳継ぎ部16に特殊な性能を持たせることが容易となる。一般的に鋳造を行う場合においては、溶融した金属等に添加元素を加えると、その鋳造性が低下することがあるが、鋳継ぎ粉末においては添加元素を加えてもそのような問題を生じることはない。
【0055】また、鋳継ぎ粉末を焼結させることにより、得られる鋳継ぎ部16が多孔質状となるために、鋳継ぎ部16全体から空気を排出することができ、空気を排出する効果を増大させることができる。なお、鋳継ぎ部16が多孔質状となる場合には、その気孔率が20〜50%であることが好ましい。気孔率が20%未満であると、鋳継ぎ部16全体から空気を排出する効果を十分に得ることができないことがあり、気孔率が50%を超えると、鋳継ぎ部16の機械的強度が低下してタイヤ成形時に破損することがある。なお、気孔率は、アルキメデス法又はX線吸引係数法により、測定することができる。
【0056】また、鋳継ぎ粉末を焼結させて鋳継ぎ部16を形成する場合には、上述した金属粉末に、この金属粉末より融点の低い金属材料からなる他の金属粉末や樹脂バインダーを混合して鋳継ぎ材16a得、得られた鋳継ぎ材16aを貫通ベース金型7に注入した後に、焼結することが好ましい。このように構成された鋳継ぎ材16aを焼成することにより、融点の低い他の金属粉末を混合した場合には、その他の金属粉末が溶融し、また、樹脂バインダーを混合した場合には、その樹脂バインダーが消失して気孔となり、機械的強度に優れるとともに、その全体から空気を良好に排出することができる鋳継ぎ部16を形成することができる。
【0057】上述した鋳継ぎ粉末としては、貫通ベース金型7を構成する金属又は合金の融点よりも低い温度で焼結する材料から構成されたものであることが好ましく、例えば、貫通ベース金型が鉄系合金である場合には、鋳継ぎ粉末はアルミニウム系合金を好適例として挙げることができる。
【0058】また、鋳継ぎ粉末を焼結させる方法としては、特に限定されることはないが、例えば、真空又は不活性ガス中の炉内で焼結することができる。
【0059】また、本実施の形態においては、図6(a)に示すように、貫通ベース金型7の、貫通部6を構成する領域と接する表面側に、鋳継ぎ材に対して反応及び/又は溶損しない材料からなる、所定の厚さの板状部材19を配設し、図6(b)に示すように、板状部材19を配設した状態で、鋳継ぎ材22を注入して鋳継ぎ部を形成した後に、板状部材19を取り除く工程を含んでいてもよい。
【0060】このように構成することによって、図6(c)に示すように、得られるタイヤ成形用金型において、狙いの幅のスリット23を確実に形成することができる。特に、貫通ベース金型7の材料として鋼材を用い、鋳継ぎ材としてアルミニウムを用いた場合、タイヤ成形時の温度、例えば、180〜200℃における熱膨張率が、鋼材よりアルミニウムの方が大きいために、タイヤ成形時に熱膨張率の違いから、前述したエアー抜きのスリットが塞がってしまうことがある。このために、各部材における熱膨張率を踏まえたうえで、狙いのスリット幅となるような厚さの板状部材19を配設し、鋳継ぎ部を形成する。
【0061】また、本実施の形態においては、図1(a)〜図1(d)に示した工程に代えて、従来、タイヤの成形に使用されているタイヤ成形用金型をベース金型4として用いてもよい。
【0062】さらに、本実施の形態においては、図2(a)に示した、第1の反転型5を形成する際に、図7(a)に示すように、ベース金型4にサイプ21を配設し、図7(b)に示すように、第1の反転型5に反転させ、次に、図7(c)に示すように、第1の反転型5から第2の反転型11に反転させ、次に、図7(d)に示すように、第2の反転型11から崩壊性鋳型13に反転させ、さらに、図7(e)に示すように、崩壊性鋳型13から鋳継ぎ部16に反転させることによってタイヤ成形用金型を製造してもよい。
【0063】次に、本発明(第二の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法について説明する。本実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法は、まず、図1(a)〜図1(d)に示した工程と同様にして、タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有する複数の部分鋳型1を形成し、複数の部分鋳型1をタイヤの形状となるように組み合わせた全体鋳型形成し、全体鋳型2、又は部分鋳型1のみを鋳枠3で囲い全体鋳型2又は部分鋳型1と鋳枠3との間隙に溶湯を流し込み凝固させることによってタイヤの反転型であるベース金型4を形成する。
【0064】次に、図8(a)に示すように、前述したベース金型4を用いて、その反転型である非粘着性の材料からなる第3の反転型25を形成する。第3の反転型25の材料としては、前述した第1の反転型と同様のものを好適に用いる用いることができる。
【0065】次に、第3の反転型25をベース金型4から離型させ、第3の反転型25が離型したベース金型4の所定箇所に、図8(b)及び図8(c)に示すように、タイヤデザイン表面28から背面29側表面まで貫通する一以上の貫通部26を形成することによって、貫通ベース金型27を形成する。なお、同一の貫通部26を有する貫通ベース金型27を多数要する場合には、石膏鋳造法又はセラミックモールド法等によりあらかじめ複製しておくことも可能である。
【0066】次に、図8(d)に示すように、貫通ベース金型27と、第3の反転型25とを、それぞれのタイヤデザイン表面28側が対向する状態で型合わせすることによって、型合わせ体30を形成する。
【0067】次に、図8(e)に示すように、型合わせ体30の貫通ベース金型27の背面29側から、貫通ベース金型27の貫通部26に非粘着性の材料を注入して、貫通部26内に貫通部26の反転型である第4の反転型31を形成する。第4の反転型31は、第3の反転型25に用いた材料と同様のものを好適に用いることができる。
【0068】次に、型合わせ体30から第3の反転型25を取り外すことによって、図8(f)に示すような貫通ベース金型27の貫通部26に第4の反転型31が配置された配置ベース金型32を形成する。ここまでの工程は、図2(a)〜図2(f)に示した工程と略同一に行うことができる。
【0069】次に、図8(g)に示すように、配置ベース金型32を構成する貫通ベース金型27のタイヤデザイン表面側から崩壊性鋳型材を注入して、配置ベース金型32のタイヤデザイン表面側に崩壊性鋳型33が配設された鋳型付配置ベース金型34を形成する。
【0070】次に、崩壊性鋳型33が十分硬化した後、鋳型付配置ベース金型34から第4の反転型31を取り外すことによって、図8(h)に示すような鋳型付貫通ベース金型35を形成する。
【0071】次に、図8(i)に示すように、鋳型付貫通ベース金型35を構成する貫通ベース金型27の背面側に耐熱性の肉盗み部材41を配設する。肉盗み部材41の材料としては、セラミック及びガラス繊維等を含むテープ又はペーパー状の耐火物を好適に用いることができる。また、肉盗み部材41の厚さは、後述する鋳継ぎ材の収縮量に対応した厚さとする。例えば、形成の際に高温に加熱されていた鋳継ぎ材が冷えることで1mm収縮するとすれば、肉盗み部材41の厚さを1mmとする。このように構成することによって、得られるタイヤ成形用金型のタイヤデザイン部での段差をなくすことができる。
【0072】次に、図9(a)に示すように、肉盗み部材41を配設した状態で、鋳型付貫通ベース金型35を構成する貫通ベース金型27(図8(i)参照)の背面側から、異種又は同種の金属又は合金を含む鋳継ぎ材36aを注入して、図9(b)に示すように、貫通ベース金型27の貫通部26に鋳継ぎ部36が配設された鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型37を形成する。この鋳継ぎ材は、第一の発明の実施の形態で用いた鋳継ぎ材と同様のものを好適に用いることができる。
【0073】貫通部26に注入した鋳継ぎ材36a(図9(a)参照)は、冷えて収縮するために、形成された鋳継ぎ部36は、貫通部26を形成する空間より細くなっており、このように形成された貫通部26と鋳継ぎ部36との隙間が、前述したタイヤ成形時のエアー抜きのスリットとなる。また、タイヤデザイン表面方向に対しても、肉盗み部材41の厚さと略同量の収縮は生じている。
【0074】次に、鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型37から崩壊性鋳型33を取り除いて、図9(c)に示すように、鋳継ぎ部埋込ベース金型38を形成する。
【0075】次に、図9(d)及び図9(e)に示すように、鋳継ぎ部埋込ベース金型38から肉盗み部材41(図9(a)参照)を取り除き、鋳継ぎ部36を、肉盗み部材41(図9(a)参照)の厚さに相当する量だけタイヤデザイン表面側に押し上げて、タイヤデザイン表面側の段差を補正する。
【0076】次に、段差を補正した鋳継ぎ部埋込ベース金型38を、図10(a)及び図10(b)に示すように、タイヤの反転型形状となるように組み合わせてタイヤ成形用金型40を形成する。図10(a)は、セクショナルモールドのタイヤ成形用金型40を示し、図10(b)は、2Pモールドのタイヤ成形用金型40を示している。
【0077】このように構成することによって、前述した第一の発明の一の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態においては、図6(a)に示したような、板状部材19を配設する工程を含んでいてもよい。さらに、図7(a)に示すように、ベース金型4にサイプ21を配設する工程を含んでいてもよい。
【0078】次に、本発明(第三の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法について説明する。本実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法は、まず、図1(a)〜図1(d)に示した工程と同様にして、タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有する複数の部分鋳型1を形成し、複数の部分鋳型1をタイヤの形状となるように組み合わせた全体鋳型2を形成し、全体鋳型2、又は部分鋳型1のみを鋳枠3で囲い全体鋳型2又は部分鋳型1と鋳枠3との間隙に溶湯を流し込み凝固させることによってタイヤの反転型であるベース金型4を形成する。
【0079】次に、図11(a)に示すように、前述したベース金型4を用いて、その反転型である非粘着性の材料からなる第5の反転型45を形成する。第5の反転型45の材料としては、前述した第1の反転型と同様のものを好適に用いることができる。
【0080】次に、第5の反転型45をベース金型4から離型させ、第5の反転型45が離型したベース金型4の所定箇所に、図11(b)及び図11(c)に示すように、タイヤデザイン表面48から背面49側表面まで貫通する一以上の貫通部46を形成することによって、貫通ベース金型47を形成する。なお、同一の貫通部を有する貫通ベース金型47を多数要する場合には、石膏鋳造法又はセラミックモールド法等によりあらかじめ複製しておくことも可能である。
【0081】次に、図11(d)に示すように、貫通ベース金型47と、第5の反転型45とを、それぞれのタイヤデザイン表面48側が対向する状態で型合わせすることによって、型合わせ体50を形成する。
【0082】次に、図11(e)に示すように、型合わせ体50の貫通ベース金型47の背面49側から、貫通ベース金型47の貫通部46に非粘着性の材料を注入して、貫通部46内に貫通部46の反転型である第6の反転型51を形成する。第6の反転型51は、第5の反転型45に用いた材料と同様のものを好適に用いることができる。
【0083】次に、型合わせ体50から第5の反転型45を取り外すことによって、図11(f)に示すような貫通ベース金型47の貫通部46に第6の反転型51が配置された配置ベース金型52を形成する。
【0084】次に、図11(g)に示すように、配置ベース金型52を構成する貫通ベース金型47のタイヤデザイン表面側から崩壊性鋳型材を注入して、配置ベース金型52のタイヤデザイン表面側に崩壊性鋳型53が配設された鋳型付配置ベース金型54を形成する。
【0085】次に、崩壊性鋳型53が十分硬化した後、鋳型付配置ベース金型54から第6の反転型51を取り外すことによって、図11(h)に示すような鋳型付貫通ベース金型55を形成する。ここまでの工程は、図8(a)〜図8(h)に示した工程と略同一に行うことができる。
【0086】次に、図12(a)に示すように、鋳型付貫通ベース金型55を構成する貫通ベース金型47の背面側から、異種又は同種の金属又は合金を含む鋳継ぎ材56aを注入して、図12(b)に示すように、貫通ベース金型47の貫通部46に鋳継ぎ部56が配設された鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型57を形成する。この鋳継ぎ材は、第一の発明の実施の形態で用いた鋳継ぎ材と同様のものを好適に用いることができる。
【0087】貫通部46に注入した鋳継ぎ材56a(図12(a)参照)は、冷えて収縮するために、形成された鋳継ぎ部56は、貫通部46を形成する空間より細くなっており、このように形成された貫通部46と鋳継ぎ部56との隙間が、前述したタイヤ成形時のエアー抜きのスリットとなる。また、タイヤデザイン表面方向に対しても収縮は生じている。
【0088】次に、鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型57から崩壊性鋳型53を取り除いて、図12(c)に示すように、鋳継ぎ部埋込ベース金型58を形成する。
【0089】次に、図12(d)及び図12(e)に示すように、鋳継ぎ部埋込ベース金型58を構成する鋳継ぎ部56を、貫通ベース金型47の背面側からタイヤデザイン表面側に押し出して、タイヤデザイン表面側の段差を補正する。この際、鋳継ぎ部56を押し出し易いように、鋳継ぎ部56の背面側を機械加工等により切削し、鋳継ぎ部56を各貫通部46毎に分割してもよい。
【0090】次に、段差を補正した鋳継ぎ部埋込ベース金型58を、図13(a)及び図13(b)に示すように、タイヤの反転型形状となるように組み合わせてタイヤ成形用金型60を形成する。図13(a)は、セクショナルモールドのタイヤ成形用金型60を示し、図13(b)は、2Pモールドのタイヤ成形用金型60を示している。
【0091】このように構成することによって、前述した第一の発明の一の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態においては、図6(a)に示したような、板状部材19を配設する工程を含んでいてもよい。さらに、図7(a)に示すように、ベース金型4にサイプ21を配設する工程を含んでいてもよい。
【0092】次に、本発明(第四の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法について説明する。本実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法は、まず、図1(a)〜図1(d)に示した工程と同様にして、タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有する複数の部分鋳型1を形成し、複数の部分鋳型1をタイヤの形状となるように組み合わせた全体鋳型2を形成し、全体鋳型2、又は部分鋳型1のみを鋳枠3で囲い全体鋳型2又は部分鋳型1と鋳枠3との間隙に溶湯を流し込み凝固させることによってタイヤの反転型であるベース金型4を形成する。
【0093】次に、図14(a)に示すように、前述したベース金型4を用いて、その反転型である非粘着性の材料からなる第7の反転型65を形成する。第7の反転型65の材料としては、前述した第1の反転型と同様のものを好適に用いることができる。
【0094】次に、第7の反転型65をベース金型4から離型させ、第7の反転型45が離型したベース金型4の所定箇所に、図14(b)及び図14(c)に示すように、タイヤデザイン表面68から背面69側表面まで貫通する一以上の貫通部66を形成することによって、貫通ベース金型67を形成する。なお、同一の貫通部を有する貫通ベース金型67を多数要する場合には、石膏鋳造法又はセラミックモールド法等によりあらかじめ複製しておくことも可能である。
【0095】次に、図14(d)に示すように、貫通ベース金型67と、第7の反転型65とを、それぞれのタイヤデザイン表面68側が対向する状態で型合わせすることによって、型合わせ体70を形成する。ここまでの工程は、図8(a)〜図8(d)に示した工程と略同一に行うことができる。
【0096】次に、図14(e)に示すように、型合わせ体70の貫通ベース金型67の背面側から、貫通ベース金型67の貫通部66に、樹脂を含む材料からなる鋳継ぎ材76aを注入して、鋳継ぎ材埋込型合わせ体72を形成する。鋳継ぎ材76aとしては、例えば、タイヤ成形温度である150〜200℃に耐えうる耐熱エポキシ樹脂に、アルミニウム及び銅等の金属粉末を70〜80質量%含有させたもの等を好適例として挙げることができる。
【0097】次に、鋳継ぎ材埋込型合わせ体72から第7の反転型65を取り外すことによって、図14(f)に示すように、貫通ベース金型67の貫通部66に鋳継ぎ部76が配置された鋳継ぎ部埋込ベース金型78を形成する。
【0098】次に、鋳継ぎ部埋込ベース金型78を構成する鋳継ぎ部76を、貫通ベース金型67の背面側からタイヤデザイン表面側に押し出して、タイヤデザイン表面側の段差を補正する。この際、鋳継ぎ部76を押し出し易いように、鋳継ぎ部76の背面側を機械加工等により切削し、鋳継ぎ部76を各貫通部66毎に分割してもよい。
【0099】次に、段差を補正した鋳継ぎ部埋込ベース金型78を、図15(a)及び図15(b)に示すように、タイヤの反転型形状となるように組み合わせてタイヤ成形用金型80を形成する。図15(a)は、セクショナルモールドのタイヤ成形用金型80を示し、図15(b)は、2Pモールドのタイヤ成形用金型80を示している。
【0100】このように構成することによって、前述した第一の発明の一の実施の形態と同様の効果を得ることができるとともに、崩壊性鋳型を用いることなく、より簡便且つ低コストにタイヤ成形用金型を製造することができる。また、本実施の形態においては、図6(a)に示したような、板状部材19を配設する工程を含んでいてもよい。
【0101】これまでに説明した、各実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法によれば、アルミ合金等の収縮によって生じるタイヤデザイン表面の段差を容易に補正することが可能となる。また、タイヤデザイン表面が、各工程で連続性をなすため、デザインズレを生じることがない。また、崩壊性鋳型を用いた製造方法(第一の発明〜第三の発明)においては、タイヤデザイン表面のアンダーカットを考慮する必要がなく、形状、大きさ、場所等を自由に設定した鋳継ぎが可能となる。さらに、タイヤ成形用金型の寸法精度は、最初のベース金型にて決定されるため、各実施の形態においては考慮する必要がない。
【0102】これまでに説明した各実施の形態においては、小ピース形状から一体型のセクショナルタイプの大きさのものまで対応可能である。また、図16に示すような、テーパー状に形成した鋳継ぎ部81を形成することによって、タイヤ成形時の鋳継ぎ部81の脱型を有効に防止することができる。
【0103】また、図17に示すように、バックモールド83側から、タイヤ成形用金型82をボルト86等を用いて固定し、タイヤ成形用金型82と、バックモールド83との間にエアー逃がし隙間84を設け、さらにバックモールド83側に貫通孔85を形成したタイヤ成形用金型からのエアー逃がし機構を備えてもよい。従来のスリットベントタイプのタイヤ成形用金型に比べ、メンテナンス等が容易になる。
【0104】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によっていかなる制限も受けるものではない。
【0105】(実施例1)
本実施例においては、図18に示すような形状の、基本ピッチ種類がS、M、Lの3種類からなり、ピース数が、Sが1ヶ、Mが1ヶ、Lが1ヶのベース金型90を、精密鋳造を用いて形成した。ベース金型90の材料としては、鋼材(FCD600)を用いた。また、ベース金型90には、サイプブレード等の鋳包みはないものとした。
【0106】このようなベース金型90を用い、図2(a)〜図3(d)に示した製造方法と同様にして、貫通部の開口部の形状が一辺50mm正方形の鋳継ぎ部埋込ベース金型を、基本ピッチSについて18ヶ、基本ピッチMについて18ヶ、基本ピッチLについて14ヶ形成した。鋳継ぎ部埋込ベース金型の材質は、ベース金型90(図18参照)と同様の鋼材(FCD600)を用い、鋳継ぎ部には、アルミ合金(AC4C)を用いた。なお、アルミ合金の鋳継ぎ(流し込み)の際には、鋳型付貫通ベース金型15(図2(i)参照)を300℃で余熱し、流し込み口と反対側から真空引きを行った。
【0107】このようにして形成した鋳継ぎ部埋込ベース金型を組み合わせてタイヤ成形用金型を製造した。得られたタイヤ成形用金型は、アルミ合金の凝固・冷却収縮によるエアー抜きスリット(0.095〜0.1mm)を有し、タイヤデザイン表面における、段差やデザインズレ等のないものであった。鋼材(FCD600)の25〜180℃での熱膨張率は0.18%であり、アルミ合金(AC4C)の25〜180℃での熱膨張率は0.34%であり、タイヤ成形時は通常180℃にタイヤ成形用金型を加熱した状態で行われることから、その際の熱膨張差により、アルミ合金(AC4C)はタイヤ成形時0.16%膨張する。このため、タイヤ成形時のエアー抜きスリット幅は0.015〜0.02mmとなり、このエアー抜きスリットから、タイヤ原材料(グリーンタイヤ)をはみ出すことなく、タイヤ成形用金型内部に閉じ込められたエアーを容易に排出することができる。また、本実施例において製造されたタイヤ成形用金型は、寸法精度においても問題のないものであった。
【0108】(実施例2)
本実施例においては、図19に示すような形状の、基本ピッチ種類がS、M、Lの3種類から構成されたセクショナルタイプのベース金型92を8ヶ、石膏鋳造を用いて形成した。ベース金型92の材料としては、アルミ合金(AC4C)を用いた。
【0109】このようなベース金型92に、図20(a)及び図20(b)に示すような幅10mm、長さ20mmの貫通部93を形成し、図2(a)〜図3(d)に示した製造方法と同様にして、鋳継ぎ部埋込ベース金型形成した。鋳継ぎ部埋込ベース金型と鋳継ぎ部とはともに、ベース金型92(図19参照)と同様のアルミ合金(AC4C)を用いて形成し、アルミ合金の鋳継ぎ(流し込み)の際には、鋳型付貫通ベース金型15(図2(i)参照)を250〜300℃で余熱し、流し込み口と反対側から真空引きを行った。
【0110】このようにして形成した鋳継ぎ部埋込ベース金型を組み合わせてタイヤ成形用金型を製造した。得られたタイヤ成形用金型は、アルミ合金の凝固・冷却収縮によるエアー抜きスリット(0.02〜0.05mm)を有し、タイヤデザイン表面における、段差やデザインズレ等のないものであった。本実施例のタイヤ成形用金型においては、同一の金属を用いて形成したために、熱膨張率差を考慮する必要はない。
【0111】(実施例3)
本実施例においては、図21に示すような形状の、基本ピッチ種類がS、Mの2種類からなり、ピース数が、Sが1ヶ、Mが1ヶのベース金型94を、精密鋳造を用いて形成した。ベース金型94の材料としては、鋼材(FCD600)を用いた。また、ベース金型94には、サイプブレード等の鋳包みはないものとした。
【0112】このようなベース金型94を用い、図14(a)〜図14(f)に示した製造方法と同様にして、図22に示すような、貫通部の開口部の形状が一辺50mm正方形の鋳継ぎ部埋込ベース金型95を、基本ピッチSについて10ヶ、基本ピッチMについて62ヶ形成した。また、本実施例においては、図6(a)〜図6(c)に示したような、板厚0.1mmのSUS304製の板状部材を配設して、スリット96の幅を調整した。
【0113】鋳継ぎ部埋込ベース金型の材質は、ベース金型94(図21参照)と同様の鋼材(FCD600)を用い、鋳継ぎ部には、金属粉末/樹脂複合材(アルミニウム粉末70質量%/エポキシ樹脂30質量%)を用いた。この金属粉末/樹脂複合材は、耐熱温度が250℃以上で、引張り強さが10kgf/mm2、硬化収縮率が0.01%、熱膨張率が0.5%である。
【0114】このような性質を有する金属粉末/樹脂複合材は、硬化収縮率が0.01%(常温時のエアー抜きスリット幅は0.005mm程度)で、熱膨張率が0.5%であることから、タイヤ成形時にスリット96が塞がってしまうこととなる。このような場合は、上述したように板状部材を配設して、得られるタイヤ成形用金型のエアー抜きスリット幅を調整すればよい。そのため、板厚0.1mmの板状部材を部分的(断続的に)配設した。
【0115】このようにして形成した鋳継ぎ部埋込ベース金型を組み合わせてタイヤ成形用金型を製造した。得られたタイヤ成形用金型は、幅0.1mmのエアー抜きスリット96を有し、タイヤデザイン表面における、段差やデザインズレ等のないものであった。鋼材(FCD600)の25〜180℃での熱膨張率は0.18%であり、金属粉末/樹脂複合材の25〜180℃での熱膨張率は0.5%であり、タイヤ成形時は通常180℃にタイヤ成形用金型を加熱した状態で行われることから、その際の熱膨張差により、鋳継ぎ部97を構成する金属粉末/樹脂複合材は、見かけ上0.32%膨張することとなる。このため、タイヤ成形時のエアー抜きスリット幅は0.015〜0.02mmとなり、このエアー抜きスリットから、タイヤ原材料(グリーンタイヤ)をはみ出すことなく、タイヤ成形用金型内部に閉じ込められたエアーを容易に排出することができる。また、本実施例において製造されたタイヤ成形用金型は、寸法精度においても問題のないものであった。
【0116】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、タイヤデザイン部での段差やデザインズレ等のないノンスピュータイプのタイヤ成形用金型を、簡易且つ効率的に低コストで製造することが可能なタイヤ成形用金型の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜図1(d)は、本発明(第一の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法における工程の一部を工程順に示す説明図である。
【図2】図2(a)〜図2(i)は、本発明(第一の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法における図1(d)に続く工程の一部を工程順に示す説明図である。
【図3】図3(a)〜図3(d)は、本発明(第一の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法における図2(i)に続く工程を工程順に示す説明図である。
【図4】本発明(第一の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法によって製造されたタイヤ成形用金型を示す斜視図であって、図4(a)は、セクショナルモールドのタイヤ成形用金型を示し、図4(b)は、2Pモールドのタイヤ成形用金型を示す。
【図5】本発明(第一の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法によって製造されたタイヤ成形用金型を示す平面図である。
【図6】図6(a)〜図6(c)は、本発明(第一の発明)の他の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法における工程の一部を工程順に示す説明図である。
【図7】図7(a)〜図7(e)は、本発明(第一の発明)の他の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法における工程の一部を工程順に示す説明図である。
【図8】図8(a)〜図8(i)は、本発明(第二の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法における工程の一部を工程順に示す説明図である。
【図9】図9(a)〜図9(e)は、本発明(第二の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法における図8(i)に続く工程を工程順に示す説明図である。
【図10】本発明(第二の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法によって製造されたタイヤ成形用金型を示す斜視図であって、図10(a)は、セクショナルモールドのタイヤ成形用金型を示し、図10(b)は、2Pモールドのタイヤ成形用金型を示す。
【図11】図11(a)〜図11(h)は、本発明(第三の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法における工程の一部を工程順に示す説明図である。
【図12】図12(a)〜図12(e)は、本発明(第三の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法における図11(h)に続く工程を工程順に示す説明図である。
【図13】本発明(第三の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法によって製造されたタイヤ成形用金型を示す斜視図であって、図13(a)は、セクショナルモールドのタイヤ成形用金型を示し、図13(b)は、2Pモールドのタイヤ成形用金型を示す。
【図14】図14(a)〜図14(f)は、本発明(第四の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法における工程を工程順に示す説明図である。
【図15】本発明(第四の発明)の一の実施の形態のタイヤ成形用金型の製造方法によって製造されたタイヤ成形用金型を示す斜視図であって、図15(a)は、セクショナルモールドのタイヤ成形用金型を示し、図15(b)は、2Pモールドのタイヤ成形用金型を示す。
【図16】本発明(第一〜第四の発明)の他の実施の形態に用いられる、テーパー状に形成した鋳継ぎ部を示す断面図である。
【図17】本発明(第一〜第四の発明)の一の実施の形態により製造されたタイヤ成形用金型がバックモールドに組み込まれた状態を模式的に示す断面図である。
【図18】本発明の実施例1に用いられるベース金型を示す斜視図である。
【図19】本発明の実施例2に用いられるベース金型を示す断面図である。
【図20】本発明の実施例2に用いられる貫通部が形成されたベース金型を示す説明図であって、図20(a)は断面図、図20(b)は平面図である。
【図21】本発明の実施例3に用いられるベース金型を示す斜視図である。
【図22】本発明の実施例3に用いられる鋳継ぎ部埋込ベース金型を示す斜視図である。
【図23】図23(a)〜図23(h)は、従来の石膏鋳造法による、2Pモールドのタイヤ成形用金型を製造する工程を工程順に示す説明図である。
【図24】図24(a)〜図24(j)は、従来の石膏鋳造法による、セクショナルモールドのタイヤ成形用金型を製造する工程を工程順に示す説明図である。
【図25】図25(a)〜図25(g)は、従来の石膏鋳造法による、セクショナルモールドのタイヤ成形用金型を製造する別の工程を工程順に示す説明図である。
【図26】図26(a)〜図26(f)は、従来のダイキャスト法による、タイヤ成形用金型を製造する工程を工程順に示す説明図である。
【図27】アンダーカット形状を有するダイキャスト型と、これを用いて製造されたピース鋳物を示す断面図である。
【符号の説明】
1…部分鋳型、2…全体鋳型、3…鋳枠、4…ベース金型、5…第1の反転型、6…貫通部、7…貫通ベース金型、8…タイヤデザイン表面、9…背面、10…型合わせ体、11…第2の反転型、12…配置ベース金型、13…崩壊性鋳型、14…鋳型付配置ベース金型、15…鋳型付貫通ベース金型、16…鋳継ぎ部、16a…鋳継ぎ材、17…鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型、18…鋳継ぎ部埋込ベース金型、19…板状部材、20…タイヤ成形用金型、21…サイプ、22…鋳継ぎ材、23…スリット、24…鋳出し骨、25…第3の反転型、26…貫通部、27…貫通ベース金型、28…タイヤデザイン表面、29…背面、30…型合わせ体、31…第4の反転型、32…配置ベース金型、33…崩壊性鋳型、34…鋳型付配置ベース金型、35…鋳型付貫通ベース金型、36…鋳継ぎ部、36a…鋳継ぎ材、37…鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型、38…鋳継ぎ部埋込ベース金型、40…タイヤ成形用金型、41…肉盗み部材、45…第5の反転型、46…貫通部、47…貫通ベース金型、48…タイヤデザイン表面、49…背面、50…型合わせ体、51…第6の反転型、52…配置ベース金型、53…崩壊性鋳型、54…鋳型付配置ベース金型、55…鋳型付貫通ベース金型、56…鋳継ぎ部、56a…鋳継ぎ材、57…鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型、58…鋳継ぎ部埋込ベース金型、60…タイヤ成形用金型、65…第7の反転型、66…貫通部、67…貫通ベース金型、68…タイヤデザイン表面、69…背面、70…型合わせ体、72…鋳継ぎ材埋込型合わせ体、76…鋳継ぎ部、76a…鋳継ぎ材、78…鋳継ぎ部埋込ベース金型、80…タイヤ成形用金型、81…テーパー状に形成した鋳継ぎ部、82…タイヤ成形用金型、83…バックモールド、84…エアー逃がし隙間、85…貫通孔、86…ボルト、90…ベース金型、92…ベース金型、93…貫通部、94…ベース金型、95…鋳継ぎ部埋込ベース金型、96…スリット、97…鋳継ぎ部、101…マスターモデル、102…ゴム型、103…部分鋳型、104…全体鋳型、105…鋳枠、106…合金溶湯、108…定盤、107…タイヤ成形用金型、111…マスターモデル、112…ゴム型、113…部分鋳型、114…全体鋳型、115…ダミー鋳型、116…鋳物、118…部分金型(セクター)、119…加工代、120…定盤、121…鋳枠、122…合金溶湯、123…タイヤ成形用金型、124…部分鋳型、125…全体鋳型、126…定盤、127…鋳枠、128…合金溶湯、129…鋳物、130…部分金型(セクター)、131…タイヤ成形用金型、132…原型(ダイキャスト型)、133…鋳枠、134…溶湯、135…ピース鋳物、136…バックモールド、137…タイヤ成形用金型、138…アンダーカット形状。
Claims (5)
- タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有する複数の部分鋳型を形成し、複数の前記部分鋳型を前記タイヤの形状となるように組み合わせた全体鋳型、又は前記部分鋳型のみを鋳枠で囲い前記全体鋳型又は前記部分鋳型と前記鋳枠との間隙に溶湯を流し込み凝固させることによって前記タイヤの反転型であるベース金型を形成し、
前記ベース金型を用いて、その反転型である非粘着性の材料からなる第1の反転型を形成し、
前記第1の反転型を前記ベース金型から離型させ、前記第1の反転型が離型した前記ベース金型の所定箇所に、タイヤデザイン表面から背面側表面まで貫通する一以上の貫通部を形成することによって、貫通ベース金型を形成し、
前記貫通ベース金型と、前記第1の反転型とを、それぞれのタイヤデザイン表面側が対向する状態で型合わせすることによって、型合わせ体を形成し、
前記型合わせ体の前記貫通ベース金型の背面側から、前記貫通ベース金型の前記貫通部に非粘着性の材料を注入して、前記貫通部内に前記貫通部の反転型である第2の反転型を形成し、
前記型合わせ体から前記第1の反転型を取り外すことによって、前記貫通ベース金型の前記貫通部に前記第2の反転型が配置された配置ベース金型を形成し、
前記配置ベース金型を構成する前記第2の反転型を前記貫通ベース金型の前記背面側から前記タイヤデザイン表面側に押し出して、所定量だけ移動させ、
前記第2の反転型が所定量だけ移動した状態で、前記配置ベース金型の前記タイヤデザイン表面側から崩壊性鋳型材を注入して、前記配置ベース金型の前記タイヤデザイン表面側に崩壊性鋳型が配設された鋳型付配置ベース金型を形成し、
前記鋳型付配置ベース金型から前記第2の反転型を取り外すことによって、鋳型付貫通ベース金型を形成し、
前記鋳型付貫通ベース金型を構成する前記貫通ベース金型の前記背面側から、異種又は同種の金属又は合金を含む鋳継ぎ材を注入して、前記貫通ベース金型の前記貫通部に鋳継ぎ部が配設された鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型を形成し、
前記鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型から前記崩壊性鋳型を取り除いて、鋳継ぎ部埋込ベース金型を形成し、
前記鋳継ぎ部埋込ベース金型を、前記タイヤの反転型形状となるように組み合わせることを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法。 - タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有する複数の部分鋳型を形成し、複数の前記部分鋳型を前記タイヤの形状となるように組み合わせた全体鋳型、又は前記部分鋳型のみを鋳枠で囲い前記全体鋳型又は前記部分鋳型と前記鋳枠との間隙に溶湯を流し込み凝固させることによって前記タイヤの反転型であるベース金型を形成し、
前記ベース金型を用いて、その反転型である非粘着性の材料からなる第3の反転型を形成し、
前記第3の反転型を前記ベース金型から離型させ、前記第3の反転型が離型した前記ベース金型の所定箇所に、タイヤデザイン表面から背面側表面まで貫通する一以上の貫通部を形成することによって、貫通ベース金型を形成し、
前記貫通ベース金型と、前記第3の反転型とを、それぞれのタイヤデザイン表面側が対向する状態で型合わせすることによって、型合わせ体を形成し、
前記型合わせ体の前記貫通ベース金型の背面側から、前記貫通ベース金型の前記貫通部に非粘着性の材料を注入して、前記貫通部内に前記貫通部の反転型である第4の反転型を形成し、
前記型合わせ体から前記第3の反転型を取り外すことによって、前記貫通ベース金型の前記貫通部に前記第4の反転型が配置された配置ベース金型を形成し、
前記配置ベース金型を構成する前記貫通ベース金型の前記タイヤデザイン表面側から崩壊性鋳型材を注入して、前記配置ベース金型の前記タイヤデザイン表面側に崩壊性鋳型が配設された鋳型付配置ベース金型を形成し、
前記鋳型付配置ベース金型から前記第4の反転型を取り外すことによって、鋳型付貫通ベース金型を形成し、
前記鋳型付貫通ベース金型を構成する前記貫通ベース金型の前記背面側に耐熱性の肉盗み部材を配設し、
前記肉盗み部材を配設した状態で、前記鋳型付貫通ベース金型を構成する前記貫通ベース金型の前記背面側から、異種又は同種の金属又は合金を含む鋳継ぎ材を注入して、前記貫通ベース金型の前記貫通部に鋳継ぎ部が配設された鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型を形成し、
前記鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型から前記崩壊性鋳型を取り除いて、鋳継ぎ部埋込ベース金型を形成し、
前記鋳継ぎ部埋込ベース金型から前記肉盗み部材を取り除き、前記鋳継ぎ部を、前記肉盗み部材の厚さに相当する量だけ前記タイヤデザイン表面側に押し上げて、前記タイヤデザイン表面側の段差を補正し、
前記段差を補正した前記鋳継ぎ部埋込ベース金型を、前記タイヤの反転型形状となるように組み合わせることを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法。 - タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有する複数の部分鋳型を形成し、複数の前記部分鋳型を前記タイヤの形状となるように組み合わせた全体鋳型、又は前記部分鋳型のみを鋳枠で囲い前記全体鋳型又は前記部分鋳型と前記鋳枠との間隙に溶湯を流し込み凝固させることによって前記タイヤの反転型であるベース金型を形成し、
前記ベース金型を用いて、その反転型である非粘着性の材料からなる第5の反転型を形成し、
前記第5の反転型を前記ベース金型から離型させ、前記第5の反転型が離型した前記ベース金型の所定箇所に、タイヤデザイン表面から背面側表面まで貫通する一以上の貫通部を形成することによって、貫通ベース金型を形成し、
前記貫通ベース金型と、前記第5の反転型とを、それぞれのタイヤデザイン表面側が対向する状態で型合わせすることによって、型合わせ体を形成し、
前記型合わせ体の前記貫通ベース金型の背面側から、前記貫通ベース金型の前記貫通部に非粘着性の材料を注入して、前記貫通部内に前記貫通部の反転型である第6の反転型を形成し、
前記型合わせ体から前記第5の反転型を取り外すことによって、前記貫通ベース金型の前記貫通部に前記第6の反転型が配置された配置ベース金型を形成し、
前記配置ベース金型を構成する前記貫通ベース金型の前記タイヤデザイン表面側から崩壊性鋳型材を注入して、前記配置ベース金型の前記タイヤデザイン表面側に崩壊性鋳型が配設された鋳型付配置ベース金型を形成し、
前記鋳型付配置ベース金型から前記第6の反転型を取り外すことによって、鋳型付貫通ベース金型を形成し、
前記鋳型付貫通ベース金型を構成する前記貫通ベース金型の前記背面側から、異種又は同種の金属又は合金を含む鋳継ぎ材を注入して、前記貫通ベース金型の前記貫通部に鋳継ぎ部が配設された鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型を形成し、
前記鋳継ぎ部・鋳型付貫通ベース金型から前記崩壊性鋳型を取り除いて、鋳継ぎ部埋込ベース金型を形成し、
前記鋳継ぎ部埋込ベース金型を構成する前記鋳継ぎ部を、前記貫通ベース金型の前記背面側から前記タイヤデザイン表面側に押し出して、前記タイヤデザイン表面側の段差を補正し、
前記段差を補正した前記鋳継ぎ部埋込ベース金型を、前記タイヤの反転型形状となるように組み合わせることを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法。 - タイヤの表面形状の一部を構成する形状をその表面形状として有する複数の部分鋳型を形成し、複数の前記部分鋳型を前記タイヤの形状となるように組み合わせた全体鋳型、又は前記部分鋳型のみを鋳枠で囲い前記全体鋳型又は前記部分鋳型と前記鋳枠との間隙に溶湯を流し込み凝固させることによって前記タイヤの反転型であるベース金型を形成し、
前記ベース金型を用いて、その反転型である非粘着性の材料からなる第7の反転型を形成し、
前記第7の反転型を前記ベース金型から離型させ、前記第7の反転型が離型した前記ベース金型の所定箇所に、タイヤデザイン表面から背面側表面まで貫通する一以上の貫通部を形成することによって、貫通ベース金型を形成し、
前記貫通ベース金型と、前記第7の反転型とを、それぞれのタイヤデザイン表面側が対向する状態で型合わせすることによって、型合わせ体を形成し、
前記型合わせ体の前記貫通ベース金型の背面側から、前記貫通ベース金型の前記貫通部に、樹脂を含む材料からなる鋳継ぎ材を注入して、鋳継ぎ材埋込型合わせ体を形成し、
前記鋳継ぎ材埋込型合わせ体から前記第7の反転型を取り外すことによって、前記貫通ベース金型の前記貫通部に前記鋳継ぎ部が配置された鋳継ぎ部埋込ベース金型を形成し、
前記鋳継ぎ部埋込ベース金型を構成する前記鋳継ぎ部を、前記貫通ベース金型の前記背面側から前記タイヤデザイン表面側に押し出して、前記タイヤデザイン表面側の段差を補正し、
前記段差を補正した前記鋳継ぎ部埋込ベース金型を、前記タイヤの反転型形状となるように組み合わせることを特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法。 - 前記貫通ベース金型の、前記貫通部を構成する領域と接する表面側に、前記鋳継ぎ材に対して反応及び/又は溶損しない材料からなる、所定の厚さの板状部材を配設し、前記板状部材を配設した状態で、前記鋳継ぎ材を注入し、前記鋳継ぎ材を硬化させた後に、前記板状部材を取り除く工程を含む請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
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