JP2004134688A - 圧電トランス - Google Patents
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Abstract
【課題】圧電トランスの基板への搭載を自動化及び容易化することにより、手作業による半田付けを回避し、半田付け作業工程の時間短縮とコストダウンを図ることを目的とする。
【解決手段】圧電トランス素子と該圧電トランス素子を搭載する保持基板とを備える圧電トランスにおいて、前記保持基板が前記圧電トランスを実装する回路基板と同じ材料又は前記回路基板の熱膨張率とほぼ同等の材料からなる保持基板であることを特徴とする圧電トランス。
【選択図】 図1
【解決手段】圧電トランス素子と該圧電トランス素子を搭載する保持基板とを備える圧電トランスにおいて、前記保持基板が前記圧電トランスを実装する回路基板と同じ材料又は前記回路基板の熱膨張率とほぼ同等の材料からなる保持基板であることを特徴とする圧電トランス。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電トランスの回路基板への実装の自動化を可能にする圧電トランスの構造及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、圧電トランスの回路基板への実装は、圧電トランスのサイズが大きく、熱膨張率も異なるため圧電トランスを他の電子部品と同時に回路基板に搭載し、ハンダリフロー炉で一度に半田付けすることができず、他の電子部品を回路基板に実装し、ハンダリフロー炉に流し、他の電子部品を半田付けした後、圧電トランスを別途手作業により半田付けしていた。すなわち、圧電トランスを回路基板に実装し、ハンダリフロー炉で半田を溶融し、その後冷却すると、回路基板と圧電トランスの熱膨張率の差により又は、圧電トランス素子を搭載した保持基板と回路基板との熱膨張率の差により回路基板に反りが生じていた。したがって、圧電トランスは他の電子部品と同時に半田付けできず、別途手作業により半田付けを行っていた。しかしながら、このような作業は手作業のため手間と時間がかかり、コストアップの原因にもなっていた。さらに、ハンダリフロー炉の高温により圧電性が劣化する問題が生じていた。この問題を解決するため耐熱性の良好な組成を持つ圧電セラミックスの開発が行われている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、新規な材料の開発は容易でなく、時間と開発費を要する。また開発した新規な材料が十分な圧電特性を有するかどうかも不明である。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−17218号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、圧電トランスの回路基板への実装を自動化及び容易化することにより、手作業による半田付けを回避し、半田付け作業工程の時間短縮とコストダウンを図ることを目的とする。さらに、ハンダリフロー炉の高温によっても圧電性の劣化しない圧電トランスを提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、圧電トランス素子と該圧電トランス素子を搭載する保持基板とを備える圧電トランスにおいて、前記保持基板が前記圧電トランスを実装する回路基板と同じ材料又は前記回路基板の熱膨張率とほぼ同等の材料からなる保持基板であることを特徴とする圧電トランスを提供する。
【0006】
本発明において、圧電トランスは、保持基板に搭載されてユニット化され、さらにこのユニット化された圧電トランスがインバーター回路等の回路パターンが形成された回路基板に実装される。保持基板は、回路基板と同じ材質のものを使用するか又は回路基板と同等の熱膨張率を有する材料からなる基板を使用する。ほぼ同等の熱膨張率とは、その熱膨張率の差が10%以内のものである。保持基板を回路基板と同じ材質又はほぼ同等の熱膨張率からなる材料のものを使用すると、高温のハンダリフロー炉での熱膨張による保持基板の長さ変化量と回路基板の熱膨張による長さ変化量の差が小さくまた、冷却時の保持基板の長さ変化量と回路基板の長さ変化量の差も小さくなる。したがって保持基板は、ハンダリフロー炉での高温による回路基板の膨張とその後の冷却による収縮に追随してその長さが変化し、半田の硬化により回路基板と保持基板が強固に接合されても回路基板と保持基板間に応力が働かず、回路基板が反ったりねじれが生じることなく回路基板と保持基板が接合される。
【0007】
また、本発明によれば、前記圧電トランス素子を耐熱性ケースで覆うことが望ましい。
【0008】
圧電トランスを回路基板に搭載し、ハンダリフロー炉に通して自動的に半田付けする場合には、ハンダリフロー炉の最高温度が260℃程度であるため、圧電トランス素子の分極が劣化して圧電性が低下するため、圧電トランス素子を耐熱性ケースで覆い、圧電トランス素子が過度の高温にさらされないことが望ましい。圧電トランス素子は圧電セラミックスからなり、圧電セラミックスは高温で焼き固めた多結晶の強誘電体で、このままでは圧電性を示さない。多くの結晶により粒が構成されているが、その内部では分域ごとに内部の電気双極子が任意の方向を向いているので全体として双極子モーメントは0になるからである。そこで圧電性を持たせるために、温度を加えながら分極処理(直流強電界を加え、内部の電気双極子を一定方向にそろえる)を行う。強誘電性の性質により、電界を取り去った後も双極子モーメントが残るので、大きな圧電性を持つことになる。しかし、高温にさらされると一定方向にそろっていた双極子モーメントの一部が崩れ、双極子モーメントが任意の方向にむき、圧電性が弱まることになり、圧電トランス素子の昇圧能力が減少する。このような現象を避けるため、圧電トランス素子が高温にさらされるのを防止する必要があり、耐熱性ケースで覆い、圧電トランス素子が高温にさらされないようにすることが望ましい。
【0009】
さらに本発明によれば、前記保持基板に、前記圧電トランス素子の振動の節に相当する位置に一箇所以上の貫通孔を設けることが望ましい。
【0010】
前記保持基板に、前記圧電トランス素子の振動の節に相当する位置に一箇所以上の貫通孔を設けると、保持基板の裏面から貫通孔を通して容易に弾性接着剤を注入でき、前記圧電トランスと前記保持基板を弾性的に接着することができる。
【0011】
また本発明によれば、前記保持基板に、弾性材料からなる突起を設けることが望ましい。
【0012】
圧電トランス素子と保持基板は圧電トランス素子の振動の節近傍において1箇所以上弾性接着剤で接合されるが、輸送時又は使用時に振動、衝撃等の外的要因により、圧電トランス素子が一方向に傾斜し、前記保持基板又は前記耐熱性ケースと接触し、振動が阻害される可能性がある。このような圧電トランス素子が一方に傾斜し、保持基板又は耐熱性ケースに接触し、圧電トランス素子の振動が阻害されるのを防止するため、保持基板上の適当な位置に圧電トランスと接触しない程度の高さの弾性突起物を形成することにより、圧電トランス素子と保持基板又は耐熱性ケースとの接触を回避できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態を説明するための図であり、図1(a)は本発明の圧電トランスを上から見た透過図、図1(b)は本発明の圧電トランスの断面図、図1(c)は本発明の圧電トランスを裏面より見た図である。図1において1は圧電トランス素子であり、2は前記圧電トランス素子1を搭載する保持基板である。5は圧電トランス素子1を覆う耐熱性ケースである。圧電トランス素子1は保持基板2に搭載され、耐熱性ケース5で覆われた状態で図示しないインバータ回路等が印刷された回路基板に実装される。保持基板2の材質は回路基板と同じものがよく、例えばガラス布エポキシ樹脂、ガラス布テフロン樹脂、ガラス布ポリイミド樹脂、ガラスコンポジット、紙エポキシ、紙フェノール等が利用できる。回路基板と同じ材料を使用することが望ましいが、回路基板とほぼ同等の熱膨張率を有する材料であれば他の材料でもよい。3は前記保持基板に設けられた貫通孔である。貫通孔3は保持基板2に圧電トランス素子1が搭載された時、圧電トランス素子1の振動の節に当たる位置に設けられる。この貫通孔3から弾性接着剤7を注入し、圧電トランス素子1の振動の節に相当する位置で保持基板2と圧電トランス素子1が弾性的に接着される。このように圧電トランス素子1の振動の節で接着するので、圧電トランス素子1の振動を阻害することなく高い出力電圧を取り出すことができる。この時、保持基板2の厚みが0.4mm以下であれば、保持基板2が透過性を持ち、弾性接着剤7の注入量を確認できるのでより好ましい。
【0015】
弾性接着剤7としてはシリコーン系弾性接着剤等が好適に使用される。さらに、弾性接着剤7は、貫通孔3から注入し易く、且つ圧電トランス素子1の振動を阻害しないために粘度30〜150Pa・sで、硬さ(デュロメータ)50以下が望ましい。
【0016】
貫通孔3の直径は特に限定されないが、保持基板2と圧電トランス素子1の接合面積を大きくするため1.5mm以下が望ましい。また、保持基板2上に予め、配線やシルク印刷により貫通孔3の中心を中心とする円又は環状等を形成すると、弾性接着剤7注入時、接着剤があまり拡がらず、山状に盛り上がるので望ましい。
【0017】
また、保持基板2の圧電トランス素子1搭載面に予め弾性突起物4を適当な位置に形成しておくことが望ましい。圧電トランス素子1は、振動の節の数箇所で弾性接着剤7により保持基板2と所定の隙間を空けて離間した状態で接合される。いわば、圧電トランス素子1は保持基板2から所定高さ浮いた状態で接合される。このように接合すると圧電トランス素子1は保持基板2と接触することなく自由に振動でき、振動を阻害されない。しかし、圧電トランス素子1は保持基板2より浮いた状態でしかも振動の節のみで弾性接着剤7により接合されているので、輸送時又は使用時の外的振動や衝撃により、圧電トランス素子1が傾斜して保持基板2又は耐熱性ケース5と接触し、圧電トランス素子1の振動が阻害される場合がある。このような場合、弾性突起物4が圧電トランス素子1の下に設けられていると、圧電トランス素子1が振動や衝撃等外的要因により傾斜せず、保持基板2又は耐熱性ケース5に接触して圧電トランス素子1の振動が阻害されることを防止できる。なお、突起物4は圧電トランス素子1と接触しても、圧電トランス1の振動を阻害しない弾性体が望ましい。例えばシリコーン系弾性接着剤等で弾性突起物4を形成できる。
【0018】
保持基板2には電極パッドが印刷され、圧電トランス素子1を保持基板2に搭載し、弾性接着剤7で圧電トランス素子1と保持基板2を接着後、圧電トランス素子1の入力電極及び出力電極が保持基板2の電極パッドとリード線により接続される。
【0019】
リード線の接続後、圧電トランス素子1を覆う耐熱性ケース5を保持基板2に取り付ける。このような耐熱性ケース5としては液晶ポリマ、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ABS(アクロルニトリル、ブタジレン、スチレンの共重合体)等の耐熱性プラスチックケースが好ましい。
【0020】
前記耐熱性ケース5は、先端に係止爪6を有し、保持基板2の対応する位置に切り欠きを設け、前記係止爪6を前記切り欠きに嵌めることにより、圧電トランス素子1を覆って前記耐熱性ケース5を保持基板2に取り付ける。係止爪6は耐熱性ケース5の長さ方向に2箇所以上設け、2箇所以上で係止するのが望ましいが、この場合、前記切り欠きを前記係止爪6より圧電トランス素子1の長さ方向に若干大きく形成することが望ましい。このように切り欠き部を大きく形成すると、前記耐熱性ケース5が前後に移動でき、保持基板2に拘束されないので、保持基板2が膨張又は収縮しても、耐熱性ケース5に応力がかからず、回路基板の反りやねじれを防止できる。また、耐熱性ケース5の保持基板2への係止方法は他の手段を用いてもよい。
【0021】
図2は耐熱性ケース5の保持基板2への別の係止手段を示す第2実施の形態を説明する図である。図2(a)本発明の第2の実施の形態に係る圧電トランスを上から見た透過図、図2(b)は本発明の第2の実施の形態に係る圧電トランスの断面図、図2(c)は本発明の第2の実施の形態に係る圧電トランスを裏面より見た図である。第1の実施の形態との違いは耐熱性ケース5の保持基板2への係止方法だけであり、他の部分は第1の実施の形態と同一であるので、符号1〜7は図1と同一のものを表す。第1の実施の形態と同じ部分は説明を省略し、相違する部分のみ説明する。符号8は耐熱性ケース5の長さ方向両端面先端に形成された突起である。また、保持基板2にも突起に対応する位置に貫通孔9、10が形成される。このとき、突起8の一方に対応する貫通孔9は突起8とぴったり嵌合する大きさとするが他方の貫通孔10は、保持基板2が熱膨張により伸縮することを考慮し、耐熱性ケース5の長さ方向に長くし、突起8が自由に移動できる大きさとすることが望ましい。このように貫通孔10を耐熱性ケース5の長さ方向に長くすると、保持基板2と耐熱性ケース5の熱膨張の差による応力がかからず、圧電トランスを図示しない回路基板に実装し、ハンダリフロー炉により半田付けしても、回路基板と圧電トランスの間に応力が加わらず、回路基板の反りやゆがみを防止できる。
【0022】
さらに、前記耐熱性ケース5は、該ケース5の上面又は底面に金属等の反射板を取り付けるとハンダリフロー炉から放出される赤外線を反射し、圧電トランス素子1が高温になるのを防止でき、より望ましい。
【0023】
このような圧電トランスは他の電子部品同様回路基板に実装され、同時にハンダリフロー炉により半田付けが可能である。
【0024】
【発明の効果】
本願発明による圧電トランスの構造によれば、熱膨張による回路基板の反りやねじれがなく、他の電子部品と一緒に回路基板に搭載し、ハンダリフロー炉で同時に半田付けできる。したがって、別途手作業による半田付けを必要とせず、半田付けを自動化及び容易化でき、作業時間の短縮とコストダウンを図ることができる。また、圧電トランスを耐熱性ケースで覆うことにより、ハンダリフロー炉の高温にさらされても、圧電トランスの圧電性が劣化することなく半田付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図である。
(a)は本発明の圧電トランスを上から見た透過図、(b)は本発明の圧電トランスの断面図、(c)は本発明の圧電トランスを裏面より見た図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示す図である。
(a)圧電トランスを上から見た透過図、(b)は圧電トランスの断面図、(c)は圧電トランスを裏面より見た図である。
【符号の説明】
1 圧電トランス素子
2 保持基板
3 貫通孔
4 弾性突起物
5 耐熱性ケース
6 係止爪
7 弾性接着剤
8 突起
9 貫通孔
10 貫通孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電トランスの回路基板への実装の自動化を可能にする圧電トランスの構造及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、圧電トランスの回路基板への実装は、圧電トランスのサイズが大きく、熱膨張率も異なるため圧電トランスを他の電子部品と同時に回路基板に搭載し、ハンダリフロー炉で一度に半田付けすることができず、他の電子部品を回路基板に実装し、ハンダリフロー炉に流し、他の電子部品を半田付けした後、圧電トランスを別途手作業により半田付けしていた。すなわち、圧電トランスを回路基板に実装し、ハンダリフロー炉で半田を溶融し、その後冷却すると、回路基板と圧電トランスの熱膨張率の差により又は、圧電トランス素子を搭載した保持基板と回路基板との熱膨張率の差により回路基板に反りが生じていた。したがって、圧電トランスは他の電子部品と同時に半田付けできず、別途手作業により半田付けを行っていた。しかしながら、このような作業は手作業のため手間と時間がかかり、コストアップの原因にもなっていた。さらに、ハンダリフロー炉の高温により圧電性が劣化する問題が生じていた。この問題を解決するため耐熱性の良好な組成を持つ圧電セラミックスの開発が行われている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、新規な材料の開発は容易でなく、時間と開発費を要する。また開発した新規な材料が十分な圧電特性を有するかどうかも不明である。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−17218号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、圧電トランスの回路基板への実装を自動化及び容易化することにより、手作業による半田付けを回避し、半田付け作業工程の時間短縮とコストダウンを図ることを目的とする。さらに、ハンダリフロー炉の高温によっても圧電性の劣化しない圧電トランスを提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、圧電トランス素子と該圧電トランス素子を搭載する保持基板とを備える圧電トランスにおいて、前記保持基板が前記圧電トランスを実装する回路基板と同じ材料又は前記回路基板の熱膨張率とほぼ同等の材料からなる保持基板であることを特徴とする圧電トランスを提供する。
【0006】
本発明において、圧電トランスは、保持基板に搭載されてユニット化され、さらにこのユニット化された圧電トランスがインバーター回路等の回路パターンが形成された回路基板に実装される。保持基板は、回路基板と同じ材質のものを使用するか又は回路基板と同等の熱膨張率を有する材料からなる基板を使用する。ほぼ同等の熱膨張率とは、その熱膨張率の差が10%以内のものである。保持基板を回路基板と同じ材質又はほぼ同等の熱膨張率からなる材料のものを使用すると、高温のハンダリフロー炉での熱膨張による保持基板の長さ変化量と回路基板の熱膨張による長さ変化量の差が小さくまた、冷却時の保持基板の長さ変化量と回路基板の長さ変化量の差も小さくなる。したがって保持基板は、ハンダリフロー炉での高温による回路基板の膨張とその後の冷却による収縮に追随してその長さが変化し、半田の硬化により回路基板と保持基板が強固に接合されても回路基板と保持基板間に応力が働かず、回路基板が反ったりねじれが生じることなく回路基板と保持基板が接合される。
【0007】
また、本発明によれば、前記圧電トランス素子を耐熱性ケースで覆うことが望ましい。
【0008】
圧電トランスを回路基板に搭載し、ハンダリフロー炉に通して自動的に半田付けする場合には、ハンダリフロー炉の最高温度が260℃程度であるため、圧電トランス素子の分極が劣化して圧電性が低下するため、圧電トランス素子を耐熱性ケースで覆い、圧電トランス素子が過度の高温にさらされないことが望ましい。圧電トランス素子は圧電セラミックスからなり、圧電セラミックスは高温で焼き固めた多結晶の強誘電体で、このままでは圧電性を示さない。多くの結晶により粒が構成されているが、その内部では分域ごとに内部の電気双極子が任意の方向を向いているので全体として双極子モーメントは0になるからである。そこで圧電性を持たせるために、温度を加えながら分極処理(直流強電界を加え、内部の電気双極子を一定方向にそろえる)を行う。強誘電性の性質により、電界を取り去った後も双極子モーメントが残るので、大きな圧電性を持つことになる。しかし、高温にさらされると一定方向にそろっていた双極子モーメントの一部が崩れ、双極子モーメントが任意の方向にむき、圧電性が弱まることになり、圧電トランス素子の昇圧能力が減少する。このような現象を避けるため、圧電トランス素子が高温にさらされるのを防止する必要があり、耐熱性ケースで覆い、圧電トランス素子が高温にさらされないようにすることが望ましい。
【0009】
さらに本発明によれば、前記保持基板に、前記圧電トランス素子の振動の節に相当する位置に一箇所以上の貫通孔を設けることが望ましい。
【0010】
前記保持基板に、前記圧電トランス素子の振動の節に相当する位置に一箇所以上の貫通孔を設けると、保持基板の裏面から貫通孔を通して容易に弾性接着剤を注入でき、前記圧電トランスと前記保持基板を弾性的に接着することができる。
【0011】
また本発明によれば、前記保持基板に、弾性材料からなる突起を設けることが望ましい。
【0012】
圧電トランス素子と保持基板は圧電トランス素子の振動の節近傍において1箇所以上弾性接着剤で接合されるが、輸送時又は使用時に振動、衝撃等の外的要因により、圧電トランス素子が一方向に傾斜し、前記保持基板又は前記耐熱性ケースと接触し、振動が阻害される可能性がある。このような圧電トランス素子が一方に傾斜し、保持基板又は耐熱性ケースに接触し、圧電トランス素子の振動が阻害されるのを防止するため、保持基板上の適当な位置に圧電トランスと接触しない程度の高さの弾性突起物を形成することにより、圧電トランス素子と保持基板又は耐熱性ケースとの接触を回避できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施の形態を説明するための図であり、図1(a)は本発明の圧電トランスを上から見た透過図、図1(b)は本発明の圧電トランスの断面図、図1(c)は本発明の圧電トランスを裏面より見た図である。図1において1は圧電トランス素子であり、2は前記圧電トランス素子1を搭載する保持基板である。5は圧電トランス素子1を覆う耐熱性ケースである。圧電トランス素子1は保持基板2に搭載され、耐熱性ケース5で覆われた状態で図示しないインバータ回路等が印刷された回路基板に実装される。保持基板2の材質は回路基板と同じものがよく、例えばガラス布エポキシ樹脂、ガラス布テフロン樹脂、ガラス布ポリイミド樹脂、ガラスコンポジット、紙エポキシ、紙フェノール等が利用できる。回路基板と同じ材料を使用することが望ましいが、回路基板とほぼ同等の熱膨張率を有する材料であれば他の材料でもよい。3は前記保持基板に設けられた貫通孔である。貫通孔3は保持基板2に圧電トランス素子1が搭載された時、圧電トランス素子1の振動の節に当たる位置に設けられる。この貫通孔3から弾性接着剤7を注入し、圧電トランス素子1の振動の節に相当する位置で保持基板2と圧電トランス素子1が弾性的に接着される。このように圧電トランス素子1の振動の節で接着するので、圧電トランス素子1の振動を阻害することなく高い出力電圧を取り出すことができる。この時、保持基板2の厚みが0.4mm以下であれば、保持基板2が透過性を持ち、弾性接着剤7の注入量を確認できるのでより好ましい。
【0015】
弾性接着剤7としてはシリコーン系弾性接着剤等が好適に使用される。さらに、弾性接着剤7は、貫通孔3から注入し易く、且つ圧電トランス素子1の振動を阻害しないために粘度30〜150Pa・sで、硬さ(デュロメータ)50以下が望ましい。
【0016】
貫通孔3の直径は特に限定されないが、保持基板2と圧電トランス素子1の接合面積を大きくするため1.5mm以下が望ましい。また、保持基板2上に予め、配線やシルク印刷により貫通孔3の中心を中心とする円又は環状等を形成すると、弾性接着剤7注入時、接着剤があまり拡がらず、山状に盛り上がるので望ましい。
【0017】
また、保持基板2の圧電トランス素子1搭載面に予め弾性突起物4を適当な位置に形成しておくことが望ましい。圧電トランス素子1は、振動の節の数箇所で弾性接着剤7により保持基板2と所定の隙間を空けて離間した状態で接合される。いわば、圧電トランス素子1は保持基板2から所定高さ浮いた状態で接合される。このように接合すると圧電トランス素子1は保持基板2と接触することなく自由に振動でき、振動を阻害されない。しかし、圧電トランス素子1は保持基板2より浮いた状態でしかも振動の節のみで弾性接着剤7により接合されているので、輸送時又は使用時の外的振動や衝撃により、圧電トランス素子1が傾斜して保持基板2又は耐熱性ケース5と接触し、圧電トランス素子1の振動が阻害される場合がある。このような場合、弾性突起物4が圧電トランス素子1の下に設けられていると、圧電トランス素子1が振動や衝撃等外的要因により傾斜せず、保持基板2又は耐熱性ケース5に接触して圧電トランス素子1の振動が阻害されることを防止できる。なお、突起物4は圧電トランス素子1と接触しても、圧電トランス1の振動を阻害しない弾性体が望ましい。例えばシリコーン系弾性接着剤等で弾性突起物4を形成できる。
【0018】
保持基板2には電極パッドが印刷され、圧電トランス素子1を保持基板2に搭載し、弾性接着剤7で圧電トランス素子1と保持基板2を接着後、圧電トランス素子1の入力電極及び出力電極が保持基板2の電極パッドとリード線により接続される。
【0019】
リード線の接続後、圧電トランス素子1を覆う耐熱性ケース5を保持基板2に取り付ける。このような耐熱性ケース5としては液晶ポリマ、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ABS(アクロルニトリル、ブタジレン、スチレンの共重合体)等の耐熱性プラスチックケースが好ましい。
【0020】
前記耐熱性ケース5は、先端に係止爪6を有し、保持基板2の対応する位置に切り欠きを設け、前記係止爪6を前記切り欠きに嵌めることにより、圧電トランス素子1を覆って前記耐熱性ケース5を保持基板2に取り付ける。係止爪6は耐熱性ケース5の長さ方向に2箇所以上設け、2箇所以上で係止するのが望ましいが、この場合、前記切り欠きを前記係止爪6より圧電トランス素子1の長さ方向に若干大きく形成することが望ましい。このように切り欠き部を大きく形成すると、前記耐熱性ケース5が前後に移動でき、保持基板2に拘束されないので、保持基板2が膨張又は収縮しても、耐熱性ケース5に応力がかからず、回路基板の反りやねじれを防止できる。また、耐熱性ケース5の保持基板2への係止方法は他の手段を用いてもよい。
【0021】
図2は耐熱性ケース5の保持基板2への別の係止手段を示す第2実施の形態を説明する図である。図2(a)本発明の第2の実施の形態に係る圧電トランスを上から見た透過図、図2(b)は本発明の第2の実施の形態に係る圧電トランスの断面図、図2(c)は本発明の第2の実施の形態に係る圧電トランスを裏面より見た図である。第1の実施の形態との違いは耐熱性ケース5の保持基板2への係止方法だけであり、他の部分は第1の実施の形態と同一であるので、符号1〜7は図1と同一のものを表す。第1の実施の形態と同じ部分は説明を省略し、相違する部分のみ説明する。符号8は耐熱性ケース5の長さ方向両端面先端に形成された突起である。また、保持基板2にも突起に対応する位置に貫通孔9、10が形成される。このとき、突起8の一方に対応する貫通孔9は突起8とぴったり嵌合する大きさとするが他方の貫通孔10は、保持基板2が熱膨張により伸縮することを考慮し、耐熱性ケース5の長さ方向に長くし、突起8が自由に移動できる大きさとすることが望ましい。このように貫通孔10を耐熱性ケース5の長さ方向に長くすると、保持基板2と耐熱性ケース5の熱膨張の差による応力がかからず、圧電トランスを図示しない回路基板に実装し、ハンダリフロー炉により半田付けしても、回路基板と圧電トランスの間に応力が加わらず、回路基板の反りやゆがみを防止できる。
【0022】
さらに、前記耐熱性ケース5は、該ケース5の上面又は底面に金属等の反射板を取り付けるとハンダリフロー炉から放出される赤外線を反射し、圧電トランス素子1が高温になるのを防止でき、より望ましい。
【0023】
このような圧電トランスは他の電子部品同様回路基板に実装され、同時にハンダリフロー炉により半田付けが可能である。
【0024】
【発明の効果】
本願発明による圧電トランスの構造によれば、熱膨張による回路基板の反りやねじれがなく、他の電子部品と一緒に回路基板に搭載し、ハンダリフロー炉で同時に半田付けできる。したがって、別途手作業による半田付けを必要とせず、半田付けを自動化及び容易化でき、作業時間の短縮とコストダウンを図ることができる。また、圧電トランスを耐熱性ケースで覆うことにより、ハンダリフロー炉の高温にさらされても、圧電トランスの圧電性が劣化することなく半田付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す図である。
(a)は本発明の圧電トランスを上から見た透過図、(b)は本発明の圧電トランスの断面図、(c)は本発明の圧電トランスを裏面より見た図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示す図である。
(a)圧電トランスを上から見た透過図、(b)は圧電トランスの断面図、(c)は圧電トランスを裏面より見た図である。
【符号の説明】
1 圧電トランス素子
2 保持基板
3 貫通孔
4 弾性突起物
5 耐熱性ケース
6 係止爪
7 弾性接着剤
8 突起
9 貫通孔
10 貫通孔
Claims (4)
- 圧電トランス素子と該圧電トランス素子を搭載する保持基板とを備える圧電トランスにおいて、前記保持基板が前記圧電トランスを実装する回路基板と同じ材料又は前記回路基板の熱膨張率とほぼ同等の材料からなる保持基板であることを特徴とする圧電トランス。
- 前記圧電トランス素子をさらに耐熱性ケースで覆うことを特徴とする請求項1記載の圧電トランス
- 前記保持基板に、前記圧電トランス素子の振動の節に相当する位置に一箇所以上の貫通孔を設けることを特徴とする請求項1又は2記載の圧電トランス。
- 前記保持基板に、弾性材料からなる突起を設けることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の圧電トランス。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2009072474A1 (ja) * | 2007-12-05 | 2009-06-11 | Tamura Corporation | 圧電トランス装置の製造方法及び圧電トランス装置 |
JP2009171832A (ja) * | 2007-12-19 | 2009-07-30 | Canon Inc | 高電圧電源装置及び前記電源装置を有する画像形成装置及びその回路基板 |
-
2002
- 2002-10-15 JP JP2002299921A patent/JP2004134688A/ja active Pending
Cited By (3)
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