JP2004134544A - 電子機器の放熱構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】自然対流によって十分な放熱効果が得られる電子機器の放熱構造の提供。
【解決手段】電子機器の放熱構造は、発熱体2と放熱部材3とを備える。放熱部材3は、内壁10と外壁11と複数の隔壁12とを有する。内壁10は、発熱体3から熱伝達を受ける。外壁11は、内壁10から離間して対向する。隔壁12は、内壁10と外壁11とを連結し、内壁10又は外壁11に沿って略等間隔に並ぶ略同形状の複数の貫通孔13を内壁10及び外壁11と共に区画形成する。貫通孔13は、重力の影響を最も有効に利用可能な鉛直方向と略平行に配置され、その上下端で外部へ開口する。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子機器の放熱構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子機器の放熱構造として、いわゆる煙突効果による自然対流を利用したものがある(例えば、特許文献1参照)。この構造では、煙突通路の上下端をそれぞれ外部に開放させて、下方から上方へ煙突通路を自然に流れる空気を利用して放熱を行う。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−212258号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の構造は、必ずしも煙突効果に適切な構造とは言えず、十分な放熱効果が得られなかった。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、自然対流によって十分な放熱効果が得られる電子機器の放熱構造を提供することにある。
【0006】
【発明を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る電子機器の放熱構造は、発熱体と放熱部材とを備える。放熱部材は、内壁と外壁と複数の隔壁とを有する。内壁は、発熱体から直接又は間接的に熱伝達を受ける。外壁は、内壁から離間して対向する。隔壁は、内壁と外壁とを連結し、内壁又は外壁に沿って配置された複数の貫通孔を内壁及び外壁と共に区画形成する。貫通孔は、重力の影響を利用可能な傾きの範囲内で上下方向に延びると共にその上下端で外部へ開口する。
【0007】
鉛直方向に対する貫通孔の傾きは、60°以内が好ましく、30°以内がより好ましい。
【0008】
貫通孔は、略直線状に並んでいても良く、円形状に並んでいても良い。
【0009】
上記構成では、発熱体からの熱は、直接又は間接的に放熱部材の内壁へ伝わり、複数の隔壁を介して、放熱部材の外壁へ伝わり、内壁と隔壁と外壁とに区画された貫通孔内の空気が暖められる。貫通孔は、重力の影響を利用可能な傾きの範囲内で上下方向に延びると共にその上下端で外部へ開口している。このため、貫通孔内の空気の温度が上昇すると、下方から上方への自然対流が発生し、いわゆる煙突効果による放熱が行われる。
【0010】
ここで、隔壁は、内壁又は外壁に沿って複数配置されているため、内壁又は外壁に沿った方向において、内壁から外壁への熱伝達のバラツキが抑えられ、その結果、内壁、隔壁、及び外壁間の温度差が小さく抑えられる。すなわち、煙突通路として機能する貫通孔の周囲温度の均一化が図られるので、貫通孔内での空気の流れが円滑に行われ、良好な煙突効果が得られる。従って、自然対流による放熱効果を効率的に得ることができる。
【0011】
また、放熱部材は、複数の隔壁によって連結された内壁と外壁とを有するため、機械的な強度が高く、強度メンバとして機能させることができる。
【0012】
複数の貫通孔は、略同形状を有しても良く、また、内壁又は外壁に沿って略等間隔に並んでも良い。
【0013】
上記構成では、隔壁は、内壁又は外壁に沿って等間隔に複数並んでいるため、内壁又は外壁に沿った方向において、内壁から外壁への熱伝達が同等に行われ、その結果、内壁、隔壁、及び外壁間の温度差がさらに小さく抑えられる。すなわち、煙突通路として機能する貫通孔の周囲温度の均一化が一段と図られるので、貫通孔内での空気の流れが円滑に行われ、極めて良好な煙突効果が得られる。また、各貫通孔は略同形状であるため、各貫通孔において、同等の煙突効果が得られる。従って、自然対流による放熱効果をさらに効率的に得ることができる。
【0014】
上下方向と直交する貫通孔の断面形状は、上下方向の任意位置において略同一であっても良い。
【0015】
上記構成では、下方から上方への空気の流れがより円滑に行われるため、自然対流による放熱効果が向上する。
【0016】
隣接する2つの隔壁の内面同士の最適距離を、貫通孔の上下方向の長さの線形関数に従って設定し、隣接する2つの隔壁の内面間の距離を、最適距離に基づいて設定しても良い。
【0017】
例えば、隣接する2つの隔壁の内面同士の最適距離をwopt 、貫通孔の上下方向の長さをL、隣接する2つの隔壁の内面間の距離をwとした場合、wopt を、次式
opt =0.01×L+0.005
により設定し、wを、
0.95×wopt ≦w≦1.2×wopt
の範囲に設定しても良い。
【0018】
上記構成では、隣接する2つの隔壁の内面間の距離が貫通孔の上下方向の長さに応じて適切に設定されるため、自然対流による放熱効果がより向上する。
【0019】
発熱体と放熱部材の内壁との間に、発熱体及び内壁の外面と接する熱拡散部材を設けても良い。また、放熱部材の内壁を、熱拡散機能を有するように構成し、発熱体に接するように配置しても良い。
【0020】
上記構成では、熱拡散部材又は内壁の熱拡散機能により、内壁のうち発熱体に近接する部分と遠く離れた部分との間の温度差がより低減され、煙突通路として機能する貫通孔の周囲温度の均一化が一段と図られるため、放熱効果がより向上する。
【0021】
貫通孔の上下方向と直交する断面は、略四角形状が好ましく、貫通孔の断面の四つの辺の長さは、ほぼ等しく設定されている方がより好ましい。すなわち、貫通孔の断面形状は、正方形に近い方が好ましい。
【0022】
上記構成では、貫通孔の上下方向と直交する断面が略四角形状であり、隔壁の幅がほぼ等しく形成されるため、内壁から外壁への熱伝達がより良好に行われ、煙突通路として機能する貫通孔の周囲温度の均一化が一段と図られるため、放熱効果がより向上する。また、四角形状の中では正方形に近い方が、下方から上方への空気の流れがより円滑に行われるため、自然対流による放熱効果がより向上する。
【0023】
発熱体と放熱部材とをケースに収容し、放熱部材の外壁の外面をケースの内面に面接触させても良く、また、放熱部材の内壁によって閉空間を区画し、発熱体をその閉空間内に収容しても良い。
【0024】
上記構成では、放熱部材の外壁からケースを介して又は直接に放熱が行われるため、全体としての放熱効果が向上する。
【0025】
放熱部材の外壁の外面は、冷却フィンを有しても良い。
【0026】
上記構成では、放熱部材の外壁からの放熱量が増大し、全体としての放熱効果が一段と向上する。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る電子機器の放熱構造の要部斜視図、図2は、図1の放熱構造の全体断面図である。
【0029】
図2に示すように、本実施形態に係る電子機器の放熱構造は、ケース1と発熱体2と放熱部材3と熱拡散部材としてのスプレッタ4とを備える。
【0030】
ケース1は、矩形筒状の周壁5と、周壁5の上下に固定されるカバー6とを備え、電子機器は、周壁5が略鉛直方向に沿うように設置された状態で使用される。周壁5及びカバー6は、共に合成樹脂(例えばABS樹脂)により形成されている。ケース1内には、発熱体2や放熱部材3やスプレッタ4に加えて、種々の電子部品7,8,9が収容され固定されている。例えば、電子機器がパーソナルコンピュータの場合、CPUやハードディスクドライブやメインメモリやAC電源アダプタ等が発熱体2に該当する。
【0031】
放熱部材3は、内壁10と外壁11と複数の隔壁12とを有する。内壁10と外壁11とは、共に略平板形状を有し、相互に離間して略平行に相対向する。外壁11の外面は、ケース1の周壁5内面に面接触した状態で固定されている。隔壁12は、略鉛直方向に延び、内壁10及び外壁11に沿って等間隔に略平行に複数配置され、内壁10と外壁11とを連結する。これにより、内壁10、外壁11及び隔壁12は、鉛直方向と略直交する方向に沿って略等間隔に略直線状に並ぶ略同形状の複数の貫通孔13を区画形成する。
【0032】
貫通孔13は、電子機器の使用時において、重力の影響を利用可能な傾きの範囲内で上下方向に略直線状に延びるように設定されている。具体的には、鉛直方向に対する貫通孔13の傾きは、60°以内が好ましく、30°以内がより好ましいが、本実施形態では、最も好ましい略鉛直方向(重力加速度gと略平行な方向)に設定されている。カバー6は、ケース1の周壁5の上端及び下端に囲まれる領域のうち貫通孔13を除く部分を塞ぎ、貫通孔13の上下端は、ケース1の外へ開口する。
【0033】
スプレッタ4は、板状に形成され、発熱体2と放熱部材3の内壁10との間に配置されている。スプレッタ4の表裏面は、それぞれ発熱体2と内壁10の外面のほぼ全域とに接しており、内壁10は、発熱体2からスプレッタ4を介して間接的に熱伝達を受ける。スプレッタ4は、熱伝導率の高い金属(例えば、マグネシウム、アルミニウム、銅、銀、金など)により形成され、発熱体2から接触によって受けた熱を内壁10へ拡散して伝達する。熱拡散部材としては、薄型の二層熱輸送機構(Vapor ChamberやClosed loop Heat Pipeなど)を内蔵するスプレッタを設けることもできる。また、熱拡散部材を別途設けず、内壁10を熱伝導率の高い金属で形成することにより、内壁10に熱拡散機能を持たせることもでき、この場合、放熱部材は発熱体に接するように配置される。
【0034】
貫通孔13の上下方向(鉛直方向)と直交する断面は、正方形に近い四角形状(縦横の長さの差の小さい四角形状)に設定されている。また、上下方向(鉛直方向)と直交する貫通孔13の断面形状は、上下方向(鉛直方向)の任意位置において略同一に設定されている。
【0035】
図1に示すように、隔壁12の厚さtは、隣接する2つの隔壁12の内面間の距離w(以下、隔壁13の間隔と称する)に比して小さく設定されている。この隔壁13の間隔wは、その最適距離wopt (最適間隔)に基づいて設定され、最適間隔wopt は、貫通孔13の上下方向の長さLの線形関数に従って設定される。具体的には、隔壁13の最適間隔をwopt (m)、貫通孔13の長さをL(m)、隔壁12の間隔をw(m)とした場合、最適間隔wopt は、次式(1)により設定される。
【0036】
opt =0.01×L+0.005 …(1)
そして、距離wは、次式(2)の範囲内に設定される。
【0037】
0.95×wopt ≦w≦1.2×wopt  …(2)
次に、上記式(1)及び式(2)の根拠について説明する。
【0038】
式(1)及び式(2)は、図1に示す放熱構造をモデルとし、放熱部材3の高さ(貫通孔13の上下方向の長さL)を0.02m〜1.0mの範囲に想定し、ケース1の周囲の環境温度に対する放熱部材11の内壁10の温度上昇を20℃〜50℃の範囲に限定する場合に、以下の式より得られた結果から導き出したものである。
【0039】
貫通孔13の周面(内壁10と外壁11と隔壁12の内面)の温度が均一であると想定した場合の放熱量Qは、次式(3)によって算出される。
【0040】
Q=h・S・(Tw−Ta)…(3)
Twは貫通孔13の周面の温度、Taは周囲の環境温度であり、S及びhは次式(4)及び(5)によって算出される値である。
【0041】
S=2・(w+d)・L…(4)
【0042】
【数1】
Figure 2004134544
【0043】
w及びLは上述のように隔壁12の間隔(m)及び貫通孔13の上下方向の長さ(m)、dは内壁10と外壁11の対向内面間の距離(m)(以下、貫通孔13の幅と称する)、k は空気の熱伝導率(W/mK)である。Nuは、はヌセルト数(無次元化した熱伝達率)であり、次式(6)で示される。
【0044】
【数2】
Figure 2004134544
【0045】
このElは、Elenbaas数で、自然対流の起こる強さを表しており、本実施形態では次式(7)で定義している。
【0046】
【数3】
Figure 2004134544
【0047】
式(6)の第一項はFully developed limitと呼ばれている項で、2つの壁が近いところで空気の流れが一本化する現象を示し、第2項はIsolated plate limitと呼ばれ、離れた壁同士の空気の流れを示す。いすれも隙間が大きくなるに従って熱伝達が大きくなることを示している。式が示すように、空気の物性値に依存することがわかるが、これらは、温度に関するWeak Functionである。式(7)のgは重力加速度、ρは密度、βは体積膨張率(=絶対温度の逆数)、Cpは定容積比熱、μは空気の粘性係数である。
【0048】
式(5)及び(7)のzは、隔壁12の間隔wと幅dとがElenbaas数に与える影響を決定する近似関数であり、本実施形態では次式(8)で定義している。
【0049】
【数4】
Figure 2004134544
【0050】
図3は、所定の条件下において、上述の理論式(3)〜(8)に従って算出した放熱量と間隔wとの関係と、有限体積法に従って算出した放熱量と間隔wとの関係とを比較して示した図である。設定条件は、Tw=60℃、Ta=40℃、L=0.26m、放熱部材3全体の幅Wa=0.2mであり、dについては、7mm(0.007m)、9mm(0.009m)、12mm(0.012m)、及び18mm(0.018m)の4つの場合を算出している。また、上述の式(3)〜(8)に従って算出した結果を、図中「Ane」の語を付して示した線図で示し、有限体積法に従って算出した結果を、図中「Num」の語を付してプロットした点で示している。図3から、式(3)〜(8)に従って算出した結果と、有限体積法に従って算出した結果とは、近似していることが分かる。この結果は、理論式(3)〜(8)に従って算出される放熱量(理論放熱量)が実際の放熱量と近似していることを証明していると言える。
【0051】
貫通孔13の最適間隔wopt を決定する長さLの線形関数は、以下の方法によって求める。
【0052】
まず、様々な条件下における理論放熱量と間隔wとの関係を求め、その条件下においてピークとなるwの値を求め、このピークとなるwと長さLとの関係を、全条件について一つの図内にプロットし、それらのプロットされた点の近似直線を求める。その結果として得られた関数が、上述の式(1)である。また、式(2)の範囲は、近似直線に対するバラツキの範囲のうちより有効と考えられる範囲を示したものである。
【0053】
図4は、所定の条件下において求めた理論放熱量と間隔wとの関係の一例を示図である。設定条件は、Tw=60℃、Ta=40℃、放熱部材3全体の幅Wa=0.2m、d=0.012mであり、Lについては、0.3m、0.2m、0.1m、0.05m、及び0.02mの5つの場合を算出している。図4より、間隔wが増大するに従って放熱量も増加し、その増加量は、長さLが長くなるほど大きいことが分かる。また、w=d(=0.012)となる付近では、Lによらず放熱量が大きいことが分かる。
【0054】
このように構成された本実施形態の放熱構造によれば、発熱体2からの熱は、拡散放熱部材4を介して放熱部材3の内壁10へ伝わり、複数の隔壁12を介して外壁11へ伝わり、内壁10と隔壁12と外壁11とに区画された貫通孔13内の空気が暖められる。貫通孔13は、重力の影響を最も有効に利用可能な鉛直方向と略平行に延びると共にその上下端でケース1の外へ開口している。このため、貫通孔13内の空気の温度が上昇すると、下方から上方への自然対流が発生し、いわゆる煙突効果による放熱が行われる。
【0055】
ここで、隔壁12は、内壁10及び外壁11に沿って等間隔に複数並んでいるため、内壁10及び外壁11に沿った方向において、内壁10から外壁11への熱伝達が同等に行われ、その結果、内壁10、隔壁12、及び外壁11間の温度差が小さく抑えられる。特に、スプレッタ4の熱拡散機能により、内壁10のうち発熱体2に近接する部分と遠く離れた部分との間の温度差がより低減される。従って、煙突通路として機能する貫通孔13の周囲温度が均一化され、貫通孔13内での空気の流れが円滑に行われて、良好な煙突効果が得られる。また、貫通孔13は略同形状であるため、各貫通孔13において、同等の煙突効果が得られる。従って、自然対流による放熱効果を効率的に得ることができる。
【0056】
鉛直方向と直交する貫通孔13の断面形状は、鉛直方向の任意位置において略同一であるため、下方から上方への空気の流れがより円滑に行われ、自然対流による放熱効果が向上する。
【0057】
貫通孔13の鉛直方向と直交する断面が略四角形状であり、隔壁12の幅がほぼ等しく形成されるため、内壁10から外壁11への熱伝達に際していわゆるボトルネックとなる部分が生じ難く、熱伝達がより良好に行われる。従って、煙突通路として機能する貫通孔の周囲温度の均一化が一段と図られ、放熱効果がより向上する。さらに、四角形状の中では正方形に近い方が下方から上方への空気の流れがより円滑に行われるため、自然対流による放熱効果がより向上する。
【0058】
隔壁12の間隔wは、放熱性能上の最適値を算出可能な式(1)に従って設定されるため、自然対流による放熱効果がより向上する。
【0059】
放熱部材3の外壁11はケース1の周壁5の内面と面接触しており、外壁11からケース1を介して放熱が行われるため、全体としての放熱効果が向上する。
【0060】
以上のように、本実施形態の放熱構造では、自然対流による十分な放熱効果を得ることができるので、ファン等による強制冷却を用いなくとも電子機器の放熱を行うことができる。従って、ファン等を設けることに起因するコストの上昇や騒音の発生を抑えることができる。また、ファン等の故障により放熱効果が低減することもないので、長期間信頼性が確保される。また、ファン等を設ける必要がないので、ケース1内のスペース効率を高めると共に軽量化を図ることができ、電子機器の小型軽量化に寄与する。さらに、ファン等を設けた強制冷却に本実施形態の放熱構造を適用することにより、ファン等への負荷の低減、ランニングコストの低減、及び騒音の低減を図ることができる。
【0061】
また、放熱部材3は、内壁10と外壁11とが複数の隔壁12によって連結された構造を有するため、機械的な強度が高く、強度メンバとして機能させることができる。従って、放熱部材を備えた装置全体の強度上の信頼性が向上すると共に、強度メンバを別途設けることに起因するコストの上昇を抑えることができる。
【0062】
図5は、上記実施形態の第1の変形例を示す断面図であり、上記実施形態と同様の構成部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
この変形例は、ケース1内に、2組の発熱体2と放熱部材3とスプレッタ4とを設けたものである。2つの放熱部材3の外壁11は、ケース1の周壁5の相対向する内面にそれぞれ面接触する状態で固定されている。
【0064】
このような構成によれば、ケース1の周壁5の複数の内面を有効に活用しているので、発熱体2が複数設けられている場合であっても、上記実施形態の場合と同様に、自然対流による放熱を効果的に行うことができる。
【0065】
図6は、上記実施形態の第2の変形例を示す断面図であり、上記実施形態と同様の構成部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0066】
この変形例では、ケース及びスプレッタを別途設けず、放熱部材20の内壁21を略円筒状に形成し、外壁22を内壁21よりも大きな半径を有する略円筒状に形成し、内壁21によって区画される閉空間内に発熱体2を収容し、内壁21と外壁22とを同心状に配置し、内壁21と外壁22の間を放射状に配置された複数の隔壁23によって連結したものである。隔壁23は、内壁21と外壁22と隔壁23とによって略同一形状の複数の貫通孔24が円形状に略等間隔に並ぶように配置されている。発熱体2は、内壁21の内面に面接触した状態で固定されており、内壁21は熱拡散機能を発揮する金属によって形成されている。外壁22の外面からは、放射状に複数の冷却フィン25が延びている。カバー26は、内壁21により区画される閉空間の上下を塞ぐ。
【0067】
このような構成によれば、上記実施形態と同様の効果に加えて、さらに以下の効果を奏する。
【0068】
すなわち、ケース及びスプレッタを設けていないので、部品点数の削減を図ることができる。また、煙突通路として機能する貫通孔24を、発熱体2の周囲全域という広い領域に配置することができるので、自然対流による放熱効果がより向上する。また、冷却フィン25により、外壁22からの放熱量が増大し、全体としての放熱効果が一段と向上する。
【0069】
なお、本発明は、一例として説明した上記実施形態及びその変形例に限定されることはない。すなわち、上記実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0070】
例えば、上記実施形態において放熱部材の外壁の外面をケースの外部に露出させ、上記第2の変形例で設けた冷却フィンをその外壁の外面に設けても良い。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、自然対流による十分な放熱効果を得ることができるので、ファン等による強制冷却を要することなく電子機器の放熱を行うことができる。従って、ファン等を設けることに起因するコストの上昇や騒音の発生を抑えることができる。また、ファン等の故障により放熱効果が低減することもないので、長期間信頼性が確保される。また、ファン等を設ける必要がないので、ケース内のスペース効率を高めると共に軽量化を図ることができ、電子機器の小型軽量化に寄与する。また、放熱部材は、機械的な強度が高いため、強度メンバとして機能させることができ、強度上の信頼性が向上すると共に、強度メンバを別途設けることに起因するコストの上昇を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子機器の放熱構造の要部斜視図である。
【図2】図1の放熱構造の全体断面図である。
【図3】所定の条件下において、本実施形態に係る理論放熱量と間隔wとの関係と、有限体積法に従って算出した放熱量と間隔wとの関係とを比較して示した図である。
【図4】所定の条件下において求めた理論放熱量と間隔wとの関係の一例を示図である。
【図5】第1の変形例を示す断面図である。
【図6】第2の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…ケース、2…発熱体、3…放熱部材、4…スプレッタ(熱拡散部材)、5…ケースの周壁、6…カバー、7,8,9…電子部品、10…内壁、11…外壁、12…隔壁、13…貫通孔、20…放熱部材、21…内壁、22…外壁、23…隔壁、24…貫通孔、25…冷却フィン、26…カバー

Claims (6)

  1. 発熱体と、
    前記発熱体から直接又は間接的に熱伝達を受ける内壁と、該内壁から離間して対向する外壁と、前記内壁と外壁とを連結し前記内壁又は外壁に沿って配置された複数の貫通孔を前記内壁及び外壁と共に区画形成する複数の隔壁と、を有する放熱部材と、を備え、
    前記貫通孔は、重力の影響を利用可能な傾きの範囲内で上下方向に延びると共にその上下端で外部へ開口する
    ことを特徴とする電子機器の放熱構造。
  2. 請求項1に記載の電子機器の放熱構造であって、
    前記複数の貫通孔は、略同形状を有し、前記内壁又は外壁に沿って略等間隔に並ぶ
    ことを特徴とする電子機器の放熱構造。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電子機器の放熱構造であって、
    隣接する2つの隔壁の内面同士の最適距離は、前記貫通孔の上下方向の長さの線形関数に従って設定され、
    隣接する2つの隔壁の内面間の距離は、前記最適距離に基づいて設定される
    ことを特徴とする電子機器の放熱構造。
  4. 請求項3に記載の電子機器の放熱構造であって、
    隣接する2つの隔壁の内面同士の最適距離をwopt 、前記貫通孔の上下方向の長さをL、隣接する2つの隔壁の内面間の距離をwとすると、wopt は、次式
    opt =0.01×L+0.005
    により設定され、wは、
    0.95×wopt ≦w≦1.2×wopt
    の範囲に設定されている
    ことを特徴とする電子機器の放熱構造。
  5. 請求項1〜請求項4の何れかに記載の電子機器の放熱構造であって、
    前記貫通孔の前記上下方向と直交する断面は、略四角形状であり、
    前記貫通孔の断面の四つの辺の長さは、ほぼ等しく設定されている
    ことを特徴とする電子機器の放熱構造。
  6. 請求項1〜請求項5の何れかに記載の電子機器の放熱構造であって、
    前記放熱部材の外壁の外面は、冷却フィンを有する
    ことを特徴とする電子機器の放熱構造。
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