JP2004131464A - 有機金属錯体、発光色素、有機電界発光素子材料、および有機電界発光素子 - Google Patents

有機金属錯体、発光色素、有機電界発光素子材料、および有機電界発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】色純度の向上、発光の高効率化、化合物自体の耐久性の向上を同時に実現しうる、有機電界発光素子に有効な新規有機金属錯体を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表される有機金属錯体、およびこれを用いた有機電界発光素子。
Figure 2004131464

(式中、mは配位子の数を表し、1、2または3である。Lは任意の2座配位子を表し、その数を表すnは、0、1または2である。但し、m+n=(Mの価数)である。Mは中心金属を表し、YおよびZは、各々独立に炭素原子または窒素原子を示す。
Wは−CO−部分構造を含む連結基を表し、該部分構造は一方または両方でN原子と直接単結合している。環Aは芳香族環を示し、環Cは複素環を示す。)
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な燐光色素として有用な有機金属錯体に関するものであり、詳しくは、薄膜型有機ELデバイスや近赤外発光材料に用いられる有機電界発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで、有機電界発光素子には蛍光性色素が数多く用いられてきたが、フラットパネル・ディスプレイ等の表示、蛍光灯や標識灯等の光源、さらには近赤外発光材料として応用するためには、素子の発光効率をさらに改善する必要があり、新たな発光材料の開発が求められている。
【0003】
近年、素子の発光効率をあげる試みの一つとして、3重項励起状態からの発光すなわち燐光を利用した燐光色素の利用が注目を集めている。燐光を用いた場合には従来の1重項励起状態からの発光(蛍光)に比べて、約3倍の取り出し効率が可能となり、高効率化が期待されるからである。
実際、下記の構造で表される有機イリジウム錯体(4)を4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(CBP)にドープさせることにより、発光波長510nmの緑色発光を示し、その外部量子効率は13%と従来の1重項発光素子の量子効率限界値(5%)を大きく上回ることが報告されている(非特許文献1)。
【0004】
【化7】
Figure 2004131464
【0005】
さらに上記化合物に種々の置換基を導入してなる化合物(5)を使用することにより、錯体間の燐光の自己消光を制御したり(非特許文献2)、発光波長のチューニングが可能であることも報告されている。(非特許文献3および4参照)
【0006】
【化8】
Figure 2004131464
【0007】
また最近、Thompsonらは2核錯体を経由したイリジウム錯体の簡便な合成法により、種々の有機イリジウム錯体を開発し、青色から赤色までの有機電界発光素子を達成している。たとえば、下記に示す化合物(6)、(7)を用いた場合には、緑色よりも長波長に発光を有し、かつ従来の一重項発光素子に比べて高効率の電界発光素子になることが明らかにされている(非特許文献5および6、並びに特許文献1参照)。
【0008】
【化9】
Figure 2004131464
さらに、化合物8を用いることにより、青色発光も可能になることが明らかにされている(非特許文献7参照)。
【0009】
【化10】
Figure 2004131464
【0010】
しかしながら、有機EL素子などの各種電子材料への適用には、さらなる耐久性の向上、発光効率の向上、あるいは色純度の向上が不可欠であると考えられる。
フェニル基とピリジル基を縮環させた構造の2座配位子を有する有機イリジウム錯体としては、下記化合物(9)がThompsonらによりすでに報告されている(特許文献1)。
【0011】
【化11】
Figure 2004131464
【0012】
しかし、ここで用いられているベンゾ[h]キノリン配位子は、前述した化合物(4)、(5)、(8)等の配位子に用いられているフェニルピリジン骨格に比べて、剛性には優れるものの、僅かながら発光が長波長化する結果となって色純度が低下している上、色純度調節の自由度低下や、溶解性の低下など、多くの改善すべき点を残している。
【0013】
また、徒に共鳴構造をのばすことなく配位子自体の剛性を向上させて耐久性を向上させるため、配位子をメチレン鎖などで固定化した錯体についても提案されている(特許文献2および3、並びに非特許文献8参照)。
しかしながら、これらによって耐久性は向上するものの、発光効率や色純度の点で、必ずしも満足するものが得られないことが本発明者らの検討によって明らかとなった。
【0014】
また特許文献3には、電子吸引基であるカルボニル基を配位子中の固定鎖に導入した例示化合物が開示されている。しかし本発明者らの検討により、単にカルボニル基を置換基として導入した配位子や、エステル型カルボニル基を導入した配位子は、例えば塩化イリジウム等と錯体を形成する際に、カルボニル基が悪影響するため、目的とする錯体を得ることが困難であることが明らかとなっている。更に、カルボニル基を有する有機化合物は励起三重項状態になりやすいことが知られているが、一方でホール(正孔)に対する安定性が低いため、電子とホールが再結合して発光する形式の有機電界発光素子用の色素としては、耐久性の点で問題を有する。
【0015】
【特許文献1】国際公開第01/41512号パンフレット
【特許文献2】特開2001−181617号公報
【特許文献3】特開2003−7469号公報
【非特許文献1】Appl. Phys. Lett., 75巻、4項、1999年
【非特許文献2】Adv. Mater., 2001, 13, 1245
【非特許文献3】Chem. Commun., 2001, 1494
【非特許文献4】Appl. Phys. Lett., 2001, 79, 449
【非特許文献5】Inorg. Chem., 2001, 40,1074
【非特許文献6】J. Am. Chem. Soc., 2001, 123, 4304.
【非特許文献7】Appl. Phys. Lett., 2001, 79, 2082
【非特許文献8】Helvetica Cemica Acta, 1988, 71, 130
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、M−C結合(中心金属と配位子における炭素原子との結合)を成す環Aと、M−N結合(中心金属と配位子における窒素原子との結合)を成す環Cを、ある特定の基を用いて連結することにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の趣旨は、カルボニル基とN原子を直接結合させた部分構造をもつ固定鎖を有する配位子を用いた有機金属錯体に存する。
【0017】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、下記一般式(I)で表わされる有機金属錯体に存する。
【0018】
【化12】
Figure 2004131464
(式中、mは配位子の数を表し、1、2または3である。Lは任意の2座配位子を表し、その数を表すnは、0、1または2である。但し、m+n=(Mの価数)である。MはIr、Pt、AuまたはPdを表す。YおよびZは、各々独立に炭素原子または窒素原子を示す。
Wは−CO−部分構造を含む連結基を表し、該部分構造は一方または両方でN原子と直接単結合している。環Aは置換基を有していてもよい員数5または6の芳香族環を示し、環Cは置換基を有していてもよい員数5〜8の複素環を示す。
【0019】
なお、上記式中の
【0020】
【化13】
Figure 2004131464
は、各々独立に単結合または二重結合を表す。)
また、本発明の有機電界発光素子は、基板上に、陽極、陰極、およびこれら両極間に設けられた有機発光層を有し、該有機発光層が、前記一般式(I)で表される有機金属錯体を含有することを特徴とする。
なお本発明において、「芳香族環(基)」とは芳香族炭化水素環(基)および芳香族複素環(基)を意味し、「複素環」とは芳香族および非芳香族の複素環を表す。また「(ヘテロ)アリール基」等の表記は、アリール基およびヘテロアリール基を表す。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず本発明における有機金属錯体について説明する。
本発明に係る有機金属錯体は前記一般式(I)で示される構造を有するものである。詳しくは、芳香族環からなる環Aと複素環からなる環Cを、一方または両方の結合手が窒素原子に結合した−CO−からなる部分構造を含む、特定の連結基により連結してなる配位子を有する点が特徴である。
【0022】
環Aは、員数5または6の、芳香族性を有する基であり、Mとσ結合した炭素原子を有していれば特に制限なく、任意の環を適用可能である。好ましい例としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、ピリジン環などが挙げられ、さらに錯体の安定性と、錯体合成の容易性の観点から、中でも、ベンゼン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環がより好ましく、ベンゼン環またはピロール環が最も好ましい。
【0023】
環Cは、員数5〜8の含窒素複素環であり、中でも好ましくは5〜6員環である。該環は、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であっても、該窒素原子の非共有電子対にてMに配位結合していれば特に制限はなく、任意の環を適用可能である。好ましい例としては、ピリジン環、イミダゾール環、イソオキサゾール環、オキサゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピリダジン環、トリアジン環、ピリミジン環、ピラジン環、およびこれらの水添化環等が挙げられる。
【0024】
錯体合成の容易性の観点からは、環Cは非共役性非共有電子対を有する窒素原子を1つだけ環員として含む環(中でも、ピリジン環、イミダゾール環)がより好ましく、特にピリジン環が好ましい。また、錯体の安定性の観点からは、環Cは芳香族環であることが好ましく、電界発光を短波長化し、青色発光等を得る観点からは、環Cは非芳香族環であることが好ましい。
【0025】
前記一般式(I)において、YおよびZは各々独立に、炭素原子または窒素原子を表す。
前記一般式(I)において、環Aと環Cとを接合するべき−W−とは、少なくとも−CO−部分構造を含み、該部分構造は一方または両方でN原子と直接単結合している連結基を表す。これを満たす限りにおいて、任意の連結基を適用可能である。
【0026】
連結基Wとして、−CO−を含む基を有することにより、該化合物を後述するように有機電界発光素子の発光層に使用した場合、素子駆動時の電圧上昇に伴う輝度の低下が抑制され、安定な発光を長時間示す素子が得られるため好ましい。また、カルボニル基を有する有機化合物は励起三重項状態になりやすく、その結果、発光効率の向上が可能となるが、ホール(正孔)に対する安定性が低いため、電子とホールが再結合して発光する形式の有機電界発光素子用の色素として使用した場合、耐久性の点で問題を生じる。しかし、カルボニル基の一方または両方で窒素原子と直接単結合させることによって初めて、ホール(正孔)に対する不安定性を解消でき、且つ、金属塩素化物から錯体を合成する際の収率向上にも寄与するのである。
【0027】
本発明に記載のWにおいて、−CO−部分構造と結合する窒素原子は、連結基Wの途中にあるものでも良いし、後述するように、環Aおよび/または環C上の原子であり、環Aおよび/または環CのWへの連結部分であってもよい。
窒素原子が連結基Wの途中にある場合の例としては、−CONR−部分構造(但し、Rは水素原子または任意の置換基を表す)を含むものが挙げられ、具体的には、例えば−CONR−W−や−W−CONR−(但し、Wは直接単結合または−(CH)−(aは1または2であり、水素原子は任意の基で置換されていてもよい)である)で表されるものが挙げられる。中でも、より好ましくは−CONR−(即ちWが直接単結合の場合)である。
【0028】
環Aおよび環Cに対する連結基Wの結合の向きは、Wが−CONR−基である場合を例に説明すると、環A−CO−NR−環Cであっても、環A−NR−CO−環Cであってもよい。
なお、環Aと環Cに、直接的に電子吸引性基であるカルボニル基と電子供与性基であるアミノ基が別々に結合していると、いわゆる電子のプッシュ・プル効果に伴う発光波長の劇的な変化が現れ、これまで困難とされてきた純青色発光や近赤外光を発する燐光材料を得ることも可能となるという付帯効果があり、且つ、カルボニル基とアミノ基が直接結合したアミド型であることによって、カルボニル基が極めて安定化されるため好ましい。
【0029】
通常、発光波長を短波長化する目的においては、環A−CO−NR−環Bであるのが特に好ましい場合が多く、発光波長を長波長化する目的においては、環A−NR−CO−環Bであるのが特に好ましい場合が多い。
Rは水素原子または任意の置換基であるが、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子(たとえばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、置換基を有してもよいアルキル基(好ましくは炭素数1から8の直鎖または分岐のアルキル基であり、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル基などが挙げられる。)、置換基を有してもよいアルケニル基(たとえば、炭素数1から8のアルケニル基であり、たとえばビニル、アリル、1−ブテニル基などが挙げられる。)置換基を有してもよいアルキニル基(たとえば、炭素数1から8のアルキニル基であり、たとえばエチニル、プロパルギル基などが挙げられる。)、置換基を有してもよいアラルキル基(たとえば、炭素数1から8のアルキニル基であり、たとえばベンジル基などが挙げられる。)、置換基を有してもよいアミノ基
[好ましくは、置換基に炭素数1から8のアルキル基を1つ以上有するもの(たとえばメチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、
置換基を有してもよいアリールアミノ基(たとえばフェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ基などが挙げられる。)、
置換基を有してもよいヘテロアリールアミノ基(たとえばピリジルアミノ、チエニルアミノ、ジチエニルアミノ基などが含まれる。)、
置換基を有してもよいアシルアミノ基(たとえばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ基などが含まれる。)]、
置換基を有していてもよいアルコキシ基
[(好ましくは置換基を有してもよい炭素数1〜8のアルコキシ基であり、たとえばメトキシ、エトキシ、ブトキシ基などが含まれる)、
置換基を有してもよいアリールオキシ基(好ましくは芳香族炭化水素基や複素環基を有するものであり、たとえばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、ピリジルオキシ、チエニルオキシ基などが含まれる。)]、置換基を有していてもよいアシル基(好ましくは、置換基を有してもよい炭素数1〜8のアシル基であり、たとえばホルミル、アセチル、ベンゾイル基などが含まれる)、
置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基(好ましくは置換基を有してもよい炭素数2〜13のアルコキシカルボニル基であり、たとえばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基(好ましくは置換基を有してもよい炭素数2〜13のアリールオキシカルボニル基であり、たとえばアセトキシ基などが含まれる)、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、メルカプト基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜8までのアルキルチオ基であり、たとえば、メチルチオ基、エチルチオ基などが含まれる。)、置換基を有していてもよいアリールチオ基(好ましくは炭素数1〜8までのアリールチオ基であり、たとえば、フェニルチオ基、1―ナフチルチオ基などが含まれる。)、置換基を有していてもよいスルホニル基(たとえばメシル基、トシル基などが含まれる)、置換基を有してもよいシリル基(たとえばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが含まれる)、置換基を有してもよいボリル基(たとえばジメシチルボリル基などが含まれる)、置換基を有してもよいホスフィノ基(たとえばジフェニルホスフィノ基などが含まれる)、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基(好ましくは、5または6員環の、単環または2縮合環である、芳香族炭化水素環または芳香族複素環であり、例えばフェニル基、ナフチル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基などが含まれる)などが挙げられる。
【0030】
上記の各置換基が有しうる置換基、としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、水酸基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、シリル基、ボリル基、ホスフィノ基、芳香族炭化水素基、および芳香族複素環基等が挙げられる。
【0031】
中でも、徒に分子量を増大させて錯体の昇華性を損なうことがなく、かつ耐久性にも優れるものとして、メチル基、エチル基などの飽和アルキル基や、フェニル基などの芳香環基がより好ましく、錯体形成収率向上の観点からは2,6−ジメチルフェニル基、メシチル基が特に好ましい。
ところで本発明記載のWにおいて、連結基Wにおける−CO−部分構造が結合する窒素原子は、環Aおよび/または環C上の原子であっても、前述したと同様に種々の効果を発揮する。−CO−が結合する窒素原子が環C上の原子である場合の例として、例えば下記一般式(II)で表される化合物が挙げられる。
【0032】
【化14】
Figure 2004131464
(式中、m、n、L、M、Y、Z、環Aおよび環Cは、いずれも前記一般式(I)におけると同義である。Rは直接結合であるか、または−(CH)−(但し、aは1〜3の整数であり、水素原子は任意の基で置換されていてもよい)を表す。
なお、上記式中の
【0033】
【化15】
Figure 2004131464
は、各々独立に単結合または二重結合を表す。)
上記一般式(II)における環Cは、イミダゾール環などの芳香族性5員環であるとき、極めて優れた耐久性を与えるため、特に好ましい。
ここで、Rは直接結合であるか、または−(CH)−(aは1〜3の整数であり、水素原子は任意の基で置換されていてもよい)であるのが好ましく、直接結合であるか、または−(CH)−(aは1または2であり、水素原子は任意の基で置換されていてもよい)であるのがより好ましく、直接結合であるのが最も好ましい。
【0034】
aが5以上の整数であると、Rの振動・収縮自由度が大きくなり、励起三重項状態からの熱失活割合を増大させ、発光効率低下を招くため、好ましくない。生成した錯体の安定性の観点からは、Rは直接結合であるのが最も好ましい。また本発明記載のWにおいて、連結基Wにおける−CO−部分構造は、環A上の窒素原子と結合していても良く、この様な化合物例としては、例えば下記一般式(III)で表される化合物が挙げられる。
【0035】
【化16】
Figure 2004131464
(式中、m、n、L、M、Y、Z、環A、環CおよびRは、いずれも前記一般式(II)におけると同義である。
なお、上記式中の
【0036】
【化17】
Figure 2004131464
は、各々独立に単結合または二重結合を表す。)
上記一般式(III)における環Aは、ピロール環などの芳香族性5員環であるとき、極めて優れた耐久性を与えるため、特に好ましい。また上記一般式(III)における環Cは、前述した各種環構造の中でも、特にピリジン環である場合が好ましい。
【0037】
前記一般式(I)〜(III)における環A、環C、並びに連結基WにおけるWおよびRは、いずれも任意の置換基を有していても良く、また該置換基同士が結合して環を形成していても良い。
本発明の有機金属錯体の耐久性、発光量子収率、色純度の観点から、環A〜Cとして特に好ましくは、メチル基またはメトキシ基で置換されているか、隣り合う置換基同士が結合して環を形成しているか、これら両方を満たすか、あるいは無置換の化合物である。
【0038】
環Aおよび環Cが有する置換基同士、連結基WにおけるR、並びに連結基WにおけるWおよびRが有する置換基から選ばれた2以上が結合して形成する環としては、例えば員数5または6の芳香族環の単環または2縮合環が挙げられ、好ましくはベンゼン環などの芳香族単環である。
また、上述の置換基同士が結合して形成する環は、環Aにつき、或いは環Cにつき、複数個縮合していてもよい。
【0039】
なお、環A、環C、これらに縮合してなる環、および連結基Wを含む環は、錯体の溶解性を低下させないため、および色純度を低下させないためには、全体で5縮合環以下であることが好ましい。
環Aと、環Aが有する置換基同士が結合してなる環により形成される部位としては、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、インドール環、カルバゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、キノリン環、イソキノリン環などがより好ましく例示され、錯体の安定性、錯体合成の容易性、発光波長特性の観点から、ナフタレン環、インドール環、カルバゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環が特に好ましい。
【0040】
また環Cと、環Cが有する置換基同士が結合してなる環により形成される部位としては、インドール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、イミダゾピラゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環などがより好ましく例示され、錯体の安定性、錯体合成の容易性、発光波長特性の観点から、キノリン環、イソキノリン環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環が特に好ましい。
環A、環C、および連結基Wが有する置換基から選ばれた、2以上が結合してなる環は、任意の基で置換されていてもよく、該置換基としては、例えば環Aおよび環Cが有しうる基として前述した基が挙げられる。
一般式(I)で表される化合物における、配位子
【0041】
【化18】
Figure 2004131464
の好ましい例を以下に記すが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0042】
【化19】
Figure 2004131464
【0043】
【化20】
Figure 2004131464
【0044】
【化21】
Figure 2004131464
【0045】
【化22】
Figure 2004131464
【0046】
【化23】
Figure 2004131464
【0047】
【化24】
Figure 2004131464
【0048】
【化25】
Figure 2004131464
【0049】
【化26】
Figure 2004131464
【0050】
【化27】
Figure 2004131464
【0051】
【化28】
Figure 2004131464
【0052】
【化29】
Figure 2004131464
【0053】
【化30】
Figure 2004131464
【0054】
なお、上記した配位子の具体例中、Phはフェニル基を表す。また、上記具体例では記載を殆んど省略したが、前記一般式(I)における環Aおよび環Cに相当する部分、環Aまたは環Cに縮合する環部分、並びに連結基Wに相当する部分は、前述したように、いずれも任意の置換基を有していても良い。
前記一般式(I)において、中心金属MはIr、Pt、AuまたはPdを表すが、発光効率の観点から好ましくはIrまたはPtであり、中でもIrが特に好ましい。
【0055】
前記一般式(I)において、任意の2座配位子であるLに特に制限はなく、本発明化合物の性能を損なわない限り、任意の2座配位子を用いることができる。Lとしては、OO配位またはON配位するものが挙げられ、具体的には例えば下記の配位子が挙げられる。
【0056】
【化31】
Figure 2004131464
【0057】
中でも、化合物の耐久性と色純度を損なわないものとして、より好ましくは下記配位子である。
【0058】
【化32】
Figure 2004131464
前記一般式(I)において、
mは下記配位子
【0059】
【化33】
Figure 2004131464
【0060】
の数を表し、1、2または3である。また、nは任意の2座配位子Lの数を表し、n=0〜2である。但し、m+n=(Mの価数)である。有機金属錯体の色純度発光効率および耐久性の高さの点から、好ましくはnが0または1であり、更に好ましくはn=0である。
なお、n=0または1の場合、即ち前記一般式(I)で表される1化合物中に、複数の下記配位子
【0061】
【化34】
Figure 2004131464
【0062】
を含む場合、該配位子は同一であっても異なっていてもよい。また、n=2の場合、1分子中に含まれる2つの配位子Lは同一であっても異なっていてもよい。合成が容易であるという点では、1分子中に含まれる複数の前記配位子、或いは複数の配位子Lは、各々、同一である場合が好ましく、また異なる複数の機能を併せ持つ化合物を設計できるという点、あるいは色目の微調整がしやすい点では、異なる配位子を有する場合が好ましい。
【0063】
前記一般式(I)で表される化合物の分子量は、通常2000以下程度、好ましくは1500以下程度、更に好ましくは1200程度である。また分子量の下限は、通常300程度、好ましくは400程度、更に好ましくは500程度である。分子量が大きすぎると昇華性が低下し、例えば蒸着による薄膜形成が困難になり、後述するように有機電界発光素子を構成する層に使用する場合に問題となる虞がある。一方、分子量が小さすぎると、例えば昇華温度が低くなりすぎるため、やはり蒸着による薄膜形成が困難になる虞がある。
【0064】
以下に、本発明の有機金属錯体(前記一般式(I)で表される化合物)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
なお、以下の構造では記載を(殆ど)省略したが、これらの化合物はいずれも、さらに置換基を有していて良いことは前述したとおりである。
【0065】
【表1】
Figure 2004131464
【0066】
【表2】
Figure 2004131464
【0067】
【表3】
Figure 2004131464
【0068】
【表4】
Figure 2004131464
【0069】
【表5】
Figure 2004131464
【0070】
【表6】
Figure 2004131464
【0071】
【表7】
Figure 2004131464
【0072】
【表8】
Figure 2004131464
【0073】
【表9】
Figure 2004131464
【0074】
【表10】
Figure 2004131464
【0075】
【表11】
Figure 2004131464
【0076】
【表12】
Figure 2004131464
【0077】
【表13】
Figure 2004131464
【0078】
【表14】
Figure 2004131464
【0079】
【表15】
Figure 2004131464
【0080】
【表16】
Figure 2004131464
【0081】
【表17】
Figure 2004131464
【0082】
【表18】
Figure 2004131464
【0083】
【表19】
Figure 2004131464
【0084】
【表20】
Figure 2004131464
【0085】
【表21】
Figure 2004131464
【0086】
【表22】
Figure 2004131464
【0087】
【表23】
Figure 2004131464
【0088】
【表24】
Figure 2004131464
【0089】
【表25】
Figure 2004131464
【0090】
このような、本発明の有機金属錯体は、公知の方法で製造することができる。一例を挙げると、前記一般式(III)で表される有機金属錯体の場合、例えば合成例1として後述するように、まず、環AおよびWを含む環構造部分を含むジカルボン酸無水物と、ジアミンとを、適当な酸触媒または塩基性触媒を用いて脱水縮合させることにより、環Cを形成して配位子を形成する。これを、所望の金属塩と、溶剤中で反応させることにより、錯体化させればよい。
【0091】
このような本発明の有機金属錯体は、色純度が高く、発光効率および耐久性など様々な点において優れており、発光色素として樹脂、染料、インクなどの種々の材料の着色や、およびレーザー用色素、有機電界発光素子用色素、近赤外発光有機金属錯体などとして各種光学部材に有用である。
また本発明の有機金属錯体を用いることにより、後述するように、高発光効率で高堅牢性を有し、色純度に優れた有機電界発光素子が得られるため、有機電界発光素子材料として好適である。
【0092】
次に、一般式(I)で示される本発明の有機金属錯体を用いた、本発明の有機電界発光素子について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、陽極および陰極と、これらの間に設けられた有機発光層を有し、該有機発光層が一般式(I)の有機金属錯体を含有することを特徴とする。
【0093】
一般式(I)で表される有機金属錯体は、電子輸送材料および/または正孔輸送材料をホスト材料とし、該ホスト材料に対してドープされて、有機発光層(以下、単に「発光層」と称する)中に含有されることが好ましい。
次に、本発明の有機電界発光素子の構造について、図面を参照しながら説明するが、本発明の有機電界発光素子の構造は何ら図示のものに限定されるものではない。
【0094】
図1〜3は本発明の有機電界発光素子の実施の形態を模式的に示す断面図であり、1は基板、2は陽極、3は陽極バッファ層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、7は電子輸送層、8は陰極を各々表わす。以下、図1に示す素子を中心に説明する。
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリヤ性に留意する必要がある。基板のガスバリヤ性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化する虞がある。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリヤ性を確保してもよい。
【0095】
基板1上には陽極2が設けられるが、陽極2は正孔輸送層4への正孔注入の役割を果たすものである。この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。陽極2の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などの場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散し、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl. Phys. Lett., 60巻,2711頁,1992年)。
【0096】
陽極2は異なる2種類以上の物質からなる層を積層して、形成することも可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましく、この場合、厚みの下限は通常5nm、好ましくは10nm程度であり、上限は通常1000nm、好ましくは500nm程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは基板1と同程度でもよい。また、さらには上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
【0097】
図1に示す素子において、陽極2の上には正孔輸送層4が設けられる。
正孔輸送層4に用いられる正孔輸送材料に要求される条件としては、陽極からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが必要である。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。また、発光層の発光を消光するような物質を含まないことが必要とされる。上記の一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素子にはさらに耐熱性が要求される。従って、Tgとして70℃以上の値を有する材料が望ましい。
【0098】
このような正孔輸送材料としては、例えば、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J. Lumin., 72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem. Commun., 2175頁、1996年)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth. Metals, 91巻、209頁、1997年)等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても良いし、必要に応じて、各々、混合して用いても良い。
【0099】
また上記の化合物以外にも、ポリビニルカルバゾールやポリシラン(Appl. Phys. Lett. ,59巻,2760頁,1991年)、ポリフォスファゼン(特開平5−310949号公報)、ポリアミド(特開平5−310949号公報)、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953 号公報)、トリフェニルアミン骨格を有する高分子(特開平4−133065号公報)、トリフェニルアミン単位をメチレン基等で連結した高分子(Synthetic Metals,55−57 巻,4163頁,1993年)、芳香族アミンを含有するポリメタクリレート(J. Polym. Sci., Polym. Chem.Ed. ,21巻,969 頁,1983年)等の高分子材料が挙げられる。
【0100】
上記の正孔輸送材料を、塗布法あるいは真空蒸着法により前記陽極2上に積層することにより正孔輸送層4を形成する。
塗布法で形成する場合は、例えば正孔輸送材料を1種または2種以上と、必要により正孔のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤とを添加し、溶解して塗布溶液を調製し、スプレー法、印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法などの通常のコーティング法や、インクジェット法等により陽極2上に塗布し、乾燥して正孔輸送層4を薄膜形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は、添加量が多いと正孔移動度を低下させるので少ない方が望ましく、正孔輸送層4中の含有量で50重量%以下が好ましい。
【0101】
また正孔輸送層4は、フィルム、基板、ロール等の媒体に、前述の薄膜形成方法によってあらかじめ薄膜を形成しておき、媒体上の薄膜を熱転写または圧力転写することにより薄膜形成することもできる。
正孔輸送層4を真空蒸着法にて形成する場合には、正孔輸送材料を真空容器内に設置されたるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、るつぼを加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、るつぼと向き合って置かれた、陽極2が形成された基板1上に正孔輸送層4を形成させる。
【0102】
正孔輸送層4の膜厚の下限は、通常1nm、好ましくは5nm程度であり、上限は通常300nm、好ましくは100nm程度である。この様に薄い膜を一様に形成するためには、一般に真空蒸着法がよく用いられる。
正孔輸送層4の上には、発光層5が設けられる。
発光層5は、前記一般式(I)で表される有機金属錯体を含有するが、実質的に該化合物のみからなる層であってもよいし、該化合物をホストとし、これに蛍光色素や燐光色素など各種発光色素をドープしてなる層であってもよい。また、前述の正孔輸送層4または後述の電子輸送層7の材料として挙げた各種電荷輸送性材料、或いは公知の電荷輸送性材料から選択した材料をホスト材料とし、このホスト材料に対して、前記一般式(I)で表される有機金属錯体をドープすることにより形成された層であってもよい。
【0103】
ホスト材料としては、正孔輸送層4または電子輸送層7の材料と同一の材料を使用しても良く、両層のいずれとも異なる材料を使用しても良い。また、発光層5中のホスト材料は1種類でもよいが、複数種併用しても良い。さらに、該ホスト材料は、低分子材料・高分子材料のいずれであってもよく、両者を併用してもよい。なお、高分子材料を使用する場合は、例えば正孔輸送層4材料の例として挙げたような、正孔輸送性の高分子材料と、発光層には、さらに電子輸送性化合物を含有していても良い。
【0104】
前述した各種公知のホスト材料の中でも、本発明の有機金属錯体と併用されるものとして、より好ましくは4,4′−N,N′−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール誘導体(WO 00/70655号公報)、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(USP 6,303,238号公報)、2,2′,2″−(1,3,5−ベンゼントリル)トリス[1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール](Appl.Phys.Lett.,78巻,1622頁,2001)、ポリビニルカルバゾール(特開2001−257076号公報)等が挙げられる。燐光発光を示す素子を得るには、これらが好ましい。
【0105】
前記一般式(I)で表される有機金属錯体は、発光層5中に1種類のみ含まれていてもよく、複数種含まれていてもよい。また、前記一般式(I)で表される有機金属錯体は2種類以上の複数を併用してもかまわないし、他の発光色素などを併用しても良い。この場合、前記一般式(I)で表される有機金属錯体をホスト材料として他の発光色素をドーパントとして使用することもできるし、前記一般式(I)で表される有機金属錯体を、特開2000−164362号公報に記載されている様に、他のドーパントの発光を助ける励起エネルギー移動用のドーパントとして用いることもできる。
【0106】
併用しても良い他の発光色素としては、例えば、ペリレン系化合物誘導体、ピレン系化合物誘導体、アントラセン系化合物誘導体、クマリン系化合物誘導体、キナクリドン系化合物誘導体、ナフタル酸系化合物誘導体等の蛍光色素や、従来の技術の項に前述した文献等に記載した各種Ir錯体をはじめ、公知の燐光色素などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
前記一般式(I)で表される有機金属錯体がドープされる領域は、発光層5の、層全体であってもその一部分であってもよく、各層の膜厚方向において均一にドープされても、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。なお、前記一般式(I)で表される有機金属錯体のドープされる量は、ホスト材料に対して10−3重量%以上が好ましく、0.1重量%以上であればなお好ましい。また、ホスト材料に対して20重量%以下が好ましく、10重量%以下であればより好ましい。
【0108】
前記一般式(I)で表される有機金属錯体の発光層へのドープは、前述した正孔輸送層4または後述する電子輸送層7の形成方法と同様に、塗布法あるいは真空蒸着法などにて行われる発光層形成時に行われる。
塗布法の場合は、発光層形成用の塗布溶液中に、前記一般式(I)で表される有機金属錯体や、必要に応じてこれと併用される他の蛍光色素などを含有させ、前述した正孔輸送層4または後述する電子輸送層7とい同様に形成することができる。
【0109】
また真空蒸着法の場合には、例えば、ホスト材料と前記一般式(I)で表される化合物を別のるつぼに入れて、これらを共蒸着させたり、上記の材料を予め所定比で混合し、同一のるつぼを用いて蒸発させてもよい。
これらの層形成方法のうち、通常は真空蒸着法が用いられる。
発光層5の膜厚の下限は、通常1nm、好ましくは5nm程度であり、上限は通常300nm、好ましくは100nm程度である。
【0110】
図1に示す構造の有機電界発光素子において、発光層5の上には電子輸送層7が設けられる。
電子輸送層7に用いられる電子輸送材料としては、陰極8からの電子注入効率が高く、かつ、注入された電子を効率よく正孔輸送層4の方向へ輸送することができることが必要である。そのためには、電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れトラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくい化合物であることが要求される。
【0111】
このような条件を満たす材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−または5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第 5,645,948号)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛等が挙げられる。
【0112】
また、上述のような電子輸送材料に、アルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特願2000−285656号、特願2000−285657号などに記載)ことにより、電子輸送性が向上するため好ましい。
電子輸送層7の膜厚は、通常下限は1nm、好ましくは5nm程度であり、上限は通常300nm、好ましくは100nm程度である。
【0113】
電子輸送層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
陰極8は、電子輸送層7を介して発光層5に電子を注入する役割を果たす。陰極8として用いられる材料は、前記陽極2に使用される材料から選択することが可能であるが、効率よく電子注入を行うには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
【0114】
陰極8の膜厚は通常、陽極2と同様である。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子の安定性を増すため、好ましい。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
素子の発光効率をさらに向上させることを目的として、図2および図3に示す如く、電子輸送層7と発光層5との間に正孔阻止層6を設けても良い。
【0115】
正孔阻止層6は発光層5の上に、発光層5の陰極側の界面に接するように積層され、発光層5から移動してくる正孔が陰極8に到達するのを阻止し、陰極8から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送することができる化合物より形成される。また、発光層5で再結合によって生成するエキシトンを発光層内に閉じこめるために、発光層材料よりは広いバンドギャップを有することが必要である。この場合のバンドギャップは、電気化学的に決定される酸化電位−還元電位の差、または、光吸収端から求められる。正孔阻止層は電荷キャリアとエキシトンの両方を発光層内に閉じこめて、発光効率を向上させる機能を有する。
このような条件を満たす正孔阻止材料として、好ましくは、下記一般式(VI)で表わされる混合配位子錯体が挙げられる。
【0116】
【化35】
Figure 2004131464
【0117】
((VI)式中、R101〜R106は、水素原子または任意の置換基を表わす。Qはアルミニウム、ガリウム、インジウムから選ばれる金属原子を表わす。Yは以下に示す一般式(VI−1)、(VI−2)、(VI−3)のいずれかで表わされる。
【0118】
【化36】
Figure 2004131464
【0119】
(式中、Ar21〜Ar25は、置換基を有していても良い芳香族炭化水素環基または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表し、Yはシリコンまたはゲルマニウムを表わす。))
前記一般式(VI)において、R101〜R106は各々独立に水素原子または任意の置換基を表すが、好ましくは水素原子;塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;シアノ基;アミノ基;アシル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;カルボキシル基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のアルキルアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基などのアラルキルアミノ基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;水酸基;置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素環基;置換基を有していても良いチエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基を表わす。
【0120】
前記芳香族炭化水素環基および芳香族複素環基が有しうる置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアルキルアミノ基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられる。
【0121】
101〜R106としてより好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基が挙げられる。またR104としては、シアノ基が特に好ましい。
上記一般式(VI)中、Ar21〜Ar25として、具体的には、置換基を有していても良いフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素環基またはチエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基が挙げられる。中でも5員環、6員環、5員環および/または6員環が2個または3個縮合したもの、あるいはこれらが直接結合で2個または3個結合したものが好ましい。芳香族炭化水素環基と芳香族複素環基では、芳香族炭化水素環基が好ましい。
【0122】
なおAr21〜Ar25が有しうる置換基としては、例えばR101〜R106が芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基の場合に有しうる置換基として、前述したものと同様の基が挙げられる。
前記一般式(VI)で表わされる化合物の好ましい具体例を以下に示すが、これらに限定するものではない。
【0123】
【化37】
Figure 2004131464
【0124】
【化38】
Figure 2004131464
【0125】
正孔阻止材料としては、前記一般式(VI)の混合配位子錯体の他に、以下の構造式で示される1,2,4−トリアゾール環残基を少なくとも1個有する化合物も用いることができる。
【0126】
【化39】
Figure 2004131464
【0127】
上記構造式で表わされる1,2,4−トリアゾール環残基を少なくとも1個有する化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0128】
【化40】
Figure 2004131464
【0129】
なお、上記構造式中には記載していないが、これらの化合物におけるベンゼン環およびナフタレン環は、更に置換基を有していても良い。該置換基としては、例えばR101〜R106が芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基である場合に有しうる置換基として、前述したものと同様の基が挙げられる。
正孔阻止材料として、さらに、以下の構造式で示されるフェナントロリン環を少なくとも1個有する化合物も用いることができる。
【0130】
【化41】
Figure 2004131464
【0131】
上記構造式で表わされるフェナントロリン環を少なくとも1個有する化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0132】
【化42】
Figure 2004131464
【0133】
これらの化合物についても、前記1,2,4−トリアゾール環残基を有する化合物の場合と同様、構造式中に明記したもの以外にも置換基を有していても良く、この場合の置換基としては、例えばR101〜R106が芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基である場合に有しうる置換基として、前述したものと同様の基が挙げられる。
【0134】
なお、上述した各々の正孔阻止材料の化合物は正孔阻止層6中に、単独で用いても良いし、必要に応じて、2種以上を混合して用いても良い。
正孔阻止層6の膜厚の上限は通常100nm好ましくは50nmであり、下限は通常、 0.3nm好ましくは 0.5nmである。正孔阻止層6も正孔輸送層4や電子輸送層7と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
【0135】
また、正孔注入の効率をさらに向上させ、かつ、有機層全体の陽極2への付着力を改善させる目的で、図3に示す如く、正孔輸送層4と陽極2との間に陽極バッファ層3を挿入することも行われている。陽極バッファ層3を挿入することで、初期の素子の駆動電圧が下げると同時に、素子を定電流で連続駆動した時の電圧上昇も抑制される効果が得られる。
【0136】
陽極バッファ層3に用いられる材料に要求される条件としては、陽極2とのコンタクトがよく均一な薄膜が形成でき、熱的に安定、すなわち、融点及びガラス転移温度Tgが高く、融点としては 300℃以上、ガラス転移温度Tgとしては100℃以上が要求される。さらに、イオン化ポテンシャルが低く陽極2からの正孔注入が容易なこと、正孔移動度が大きいことが挙げられる。
【0137】
この目的のために、陽極バッファ層3の材料として、これまでにポルフィリン誘導体やフタロシアニン化合物(特開昭63−295695号公報)、ヒドラゾン化合物、アルコキシ置換の芳香族ジアミン誘導体、p−(9−アントリル)−N,N’−ジ−p−トリルアニリン、ポリチエニレンビニレンやポリ−p−フェニレンビニレン、ポリアニリン(Appl. Phys. Lett., 64巻、1245頁,1994年)、ポリチオフェン(Optical Materials, 9巻、125頁、1998年)、スターバスト型芳香族トリアミン(特開平4−308688号公報)等の有機化合物や、スパッタ・カーボン膜(Synth. Met., 91巻、73頁、1997年)や、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、モリブデン酸化物等の金属酸化物(J.Phys. D, 29巻、2750頁、1996年)が報告されている。
【0138】
また、正孔注入・輸送性の低分子有機化合物と電子受容性化合物を含有する層(特開平11−251067号公報、特開2000−159221号公報等に記載)や、芳香族アミノ基等を含有する非共役系高分子化合物に、必要に応じて電子受容性化合物をドープしてなる層(特開平11−135262号公報、特開平11−283750号公報、特開2000−36390号公報、特開2000−150168号公報、特開平2001−223084号公報、およびWO97/33193号公報など)、またはポリチオフェン等の導電性ポリマーを含む層(特開平10−92584号公報)なども挙げられる。
【0139】
上記陽極バッファ層材料としては、低分子・高分子いずれの化合物を用いることも可能である。
低分子化合物のうち、よく使用されるものとしては、ポルフィン化合物またはフタロシアニン化合物が挙げられる。これらの化合物は中心金属を有していてもよいし、無金属のものでもよい。これらの化合物の好ましい例としては、以下の化合物が挙げられる:ポルフィン5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンコバルト(II)5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン銅(II)5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン亜鉛(II)5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンバナジウム(IV)オキシド5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン29H,31H−フタロシアニン銅(II)フタロシアニン亜鉛(II)フタロシアニンチタンフタロシアニンオキシドマグネシウムフタロシアニン鉛フタロシアニン銅(II)4,4’4’’,4’’’−テトラアザ−29H,31H−フタロシアニン
陽極バッファ層の場合も、低分子化合物の場合は、前述の正孔輸送層と同様にして薄膜形成可能であるが、無機物の場合には、さらに、スパッタ法や電子ビーム蒸着法、プラズマCVD法が用いられる。
【0140】
以上の様にして、低分子化合物を用いて形成される陽極バッファ層3の膜厚の下限は、通常3nm、好ましくは10nm程度であり、上限は通常100nm、好ましくは50nm程度である。
高分子化合物を用いる場合は、例えば、前記高分子化合物や電子受容性化合物、さらに必要により、正孔のトラップとならない、バインダー樹脂やレベリング剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調整し、スプレー法、印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法などの通常のコーティング法や、インクジェット法等により陽極2上に塗布し、乾燥することにより陽極バッファ層3を薄膜形成することができる。
【0141】
バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は該層中の含有量が多いと正孔移動度を低下させる虞があるので、少ない方が望ましく、50重量%以下が好ましい。
また、フィルム、支持基板、ロール等の媒体に、前述の薄膜形成方法によってあらかじめ薄膜を形成しておき、媒体上の薄膜を、陽極2上に熱転写または圧力転写することにより、薄膜形成することも出来る。
【0142】
以上の様にして、高分子化合物を用いて形成される陽極バッファ層3の、膜厚の下限は通常5nm、好ましくは10nm程度であり、上限は通常1000nm、好ましくは500nm程度である。
以上、図1に示す層構成の素子を中心に説明してきたが、本発明の有機電界発光素子における陽極・陰極と発光層との間には、その性能を損なわない限り、上記説明にある層の他にも、任意の層を有していてもよく、また発光層以外の任意の層を省略してもよい。
【0143】
尚、図1とは逆の構造、すなわち、基板1上に陰極8、電子輸送層7、発光層5、正孔輸送層4、陽極2の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。同様に、図2および図3に示した前記各層構成とは逆の構造に積層することも可能である。
【0144】
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
本発明の有機電界発光素子によれば、有機層に特定の構造を有する有機金属錯体を含むために、色純度が高く、発光効率および安定性に優れた有機電界発光が得られる。
【0145】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
合成例1
【0146】
【化43】
Figure 2004131464
【0147】
窒素雰囲気下、4−ヒドロキシ―1―メチル−2−キノリノン(8.7g)、アニリン(10ml)を加熱還流下、1時間撹拌した後、1N水酸化ナトリウム水溶液(65ml)とメタノール(50ml)の混合物に注ぎ、加熱還流下、35分間撹拌した。これに水(150ml)を加えて沈殿を析出させ、固体を濾過、水(3×10ml)、メタノール(10ml)で洗浄した。得られた固体をエタノール−ヘキサンからの再結晶により精製し、目的物1(1.7g)を得た。また、洗浄濾液と再結晶濾液を濃縮後、析出した固体を水で洗浄後、エタノール−ヘキサンからの再結晶により精製し、目的物1(0.6g)を得た。
【0148】
窒素雰囲気下、氷冷条件下、撹拌しながらN,N−ジメチルホルムアミド(19.7ml)中にオキシ塩化リン(2.6ml)を加え、40分間撹拌した後、目的物1(1.7g)を投入し、90℃で2.5時間撹拌した。得られた溶液を氷水(400ml)に投入して沈殿を析出させた後、濾過し、水(3×20ml)、メタノール(2×10ml)で洗浄して精製し、目的物2(1.6g)を得た。H−NMR(270MHz, CDCl), 9.33(s, 1H), 9.10(dd, 1H), 8.26(d, 1H), 8.05(d, 1H), 7.88(td, 1H), 7.68−7.58(m, 2H), 7.44−7.38(m, 2H), 3.83(s, 3H)。
実施例1
【0149】
【化44】
Figure 2004131464
合成例1にて得られた目的物2(0.82g)、塩化イリジウム・3水和物(0.53g)、2−エトキシエタノール(11.3ml)、水(3.7ml)、モノクロロベンゼン(10ml)を窒素雰囲気下、加熱還流条件で12時間攪拌した後、室温まで冷却し、水(25ml)、2−プロパノール(25ml)を加えて撹拌した後、濾過し、2−プロパノール(3×20ml)、アセトン(3×10ml)、ヘキサン(2×5ml)で洗浄し、目的物3(1.02g)を得た。
【0150】
窒素雰囲気下、目的物3(1.02g)、アセチルアセトンナトリウム塩・水和物(0.68g)、2−エトキシエタノール(20ml)、1,2−ジクロロエタン(10ml)を加熱還流下で6時間撹拌した後、放冷し、水(50ml)、メタノール(100ml)を加えてから、濾過し、メタノールで洗浄したものをクロロホルム(40ml)で抽出し、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー及びGPCにて精製し、目的物4(4.2mg)を得た。FAB−MS測定結果により、目的物4(m/z 810(M+))であることを確認した。
【0151】
窒素雰囲気下、目的物4(0.2mg)のクロロホルム(25ml)溶液中、励起波長(464nm)での発光スペクトルは、648nmにピークを示した。
合成例2
【0152】
【化45】
Figure 2004131464
1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物(5.95g)、o−フェニレンジアミン(3.24g)を酢酸(85ml)中、窒素気流下、加熱還流条件で4時間攪拌した。室温まで冷却し、析出した結晶を濾別し、メタノール懸洗、減圧乾燥により、目的物5の黄色結晶(6.33g)を得た。H−NMR(270MHz, CDCl), 8.84(dd, 1H), 8.78(dd, 1H), 8.58−8.54(m, 1H), 8.27(dd, 1H), 8.13(dd, 1H),7.91−7.87(m, 1H), 7.84−7.77(m, 2H), 7.50−7.47(m, 2H)。
【0153】
実施例2
【0154】
【化46】
Figure 2004131464
合成例2にて得られた目的物5(811mg)と、塩化イリジウム・3水和物(529mg)とを2−エトキシエタノール(20ml)中、窒素気流下、加熱還流条件で9.5時間攪拌した後、室温まで冷却し、アセチルアセトン(0.2ml)、炭酸ナトリウム(795mg)を加え、同一条件下で更に6.2時間攪拌した。室温まで冷却後、ジクロロメタン(200ml)にて抽出し、これを塩化ナトリウム水溶液(250ml)で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮した後、カラムクロマトグラフィーで精製し、目的物6の暗赤色結晶(78mg)および目的物7の暗赤色結晶(41mg)を得た。DEI−MS測定結果により、それぞれ目的物6(m/z 830(M+)),目的物7(m/z
1000(M+))であることを確認した。
実施例3
【0155】
【化47】
Figure 2004131464
開始化合物であるビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトナート)は、J. Am. Chem. Soc., 2001, 123, 4305に記載の製法に則り、合成した。開始化合物(600mg)と目的物5(284mg)とを2−エトキシエタノール(10ml)とニトロベンゼン(4ml)の混合溶媒中に分散し、窒素気流中、加熱還流条件で24.5時間撹拌し、得られた混合物をジクロロメタンにて抽出、濃縮後、n−ヘキサンで懸洗後、カラムクロマトグラフィー、及びジクロロメタンとn−ヘキサンからの再結晶にて精製し、目的物8の茶色粉末(11mg)を得た。DEI−MS測定結果により、目的物8(m/z 770(M+))であることを確認した。
【0156】
実施例4
【0157】
【化48】
Figure 2004131464
合成例2にて得られた目的物5(0.85g)、塩化イリジウム・3水和物(0.53g)、2−エトキシエタノール(11.3ml)、水(3.8ml)、モノクロロベンゼン(10ml)を窒素雰囲気下、加熱還流条件で10時間攪拌した後、室温まで冷却し、1N塩酸水溶液(15ml)を加えて撹拌した後、濾過し、水(20ml)、メタノール(1×20ml、2×10ml)、ヘキサン(5ml)で洗浄し、目的物9(1.04g)を得た。
【0158】
窒素雰囲気下、目的物9(1.04g)、ピコリン酸ナトリウム(0.39g)、2−エトキシエタノール(20ml)を加熱還流下で7時間撹拌した後、放冷し、メタノール(30ml)を加えて撹拌した後、濾過し、メタノール(3×20ml)で洗浄したものを塩化メチレンで抽出し、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物10(31mg)を得た。また、塩化メチレンで抽出し切れなかった分は、水(300ml)、塩化メチレン−ヘキサン−エタノール混合溶媒(50ml)にて加熱懸洗して精製し、目的物10(0.50g)を得た。FAB−MS測定結果により、目的物10(m/z 853(M+))であることを確認した。
窒素雰囲気下、目的物10(0.2mg)のクロロホルム(25ml)溶液中、励起波長(480nm)での蛍光スペクトルの極大発光波長は、659nmであった。
【0159】
実施例5
図3に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
ガラス基板1の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を 150nm堆積したもの(スパッター成膜品;シート抵抗15Ω)を、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて 2mm幅のストライプにパターニングして、陽極2を形成した。このパターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
パターン形成したITO基板上に、陽極バッファ層3の材料として、下記繰り返し単位からなる芳香族アミノ基を有する非共役系高分子化合物((PB−1)。重量平均分子量Mw=25300、数平均分子量Mn=8800、Mw/Mn=2.9、Tg=171℃)
【0160】
【化49】
Figure 2004131464
を電子受容性化合物(A−1)
【0161】
【化50】
Figure 2004131464
と共に以下の条件でスピンコートし、乾燥させて陽極バッファ層3を形成した。
溶媒              シクロヘキサノン
塗布液濃度          13[mg/ml]
PB−1:A−1      10:1(重量比)
スピナ回転数          1500[rpm]
スピナ回転時間        30[秒]
乾燥条件           100℃1時間
上記工程により膜厚45nmの均一な薄膜(陽極バッファ層3)が形成された。
【0162】
次に、陽極バッファ層3を成膜した基板を真空蒸着装置内に設置した。油回転ポンプにより、上記装置の粗排気を行った後、装置内の真空度が2x10−6Torr(約2,7x10−4Pa)以下になるまで、液体窒素トラップを備えた油拡散ポンプを用いて排気した。上記装置内に配置されたセラミックるつぼに、下記に示すアリールアミン化合物(H−1)
【0163】
【化51】
Figure 2004131464
を入れ、るつぼの周囲のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。この時のるつぼの温度は、240〜243℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度1.0x10−6Torr(約1.3x10−4Pa)、蒸着速度は0.25nm/秒とし、膜厚60nmの正孔輸送層4を得た。引続き、発光層5の主成分(ホスト材料)として下記に示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(E−1)を、副成分(ドーパント)として実施例2で合成された目的物7(D−1)を別々のセラミックるつぼに設置し、2元同時蒸着法により成膜を行った。
【0164】
【化52】
Figure 2004131464
化合物(E−1)のるつぼ温度は 285〜 290℃、蒸着速度は 0.18nm/秒に、化合物(D−1)のるつぼ温度は 421〜 425℃にそれぞれ制御し、膜厚30nmで化合物(D−1)が5重量%含有された発光層5を正孔輸送層4の上に積層した。蒸着時の真空度は1.2x10−6Torr(約1.6x10−4Pa)であった。
発光層5上に、正孔阻止層6として混合配位子錯体(HB−12)
【0165】
【化53】
Figure 2004131464
を、るつぼ温度260℃、蒸着速度0.20nm/秒で蒸着し、10nmの膜厚で積層した。蒸着時の真空度は1.0x10−6Torr(約1.3x10−4Pa)であった。
正孔阻止層6の上に、電子輸送層7として下記に示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(ET−1)
【0166】
【化54】
Figure 2004131464
を同様にして蒸着、積層した。この時の、アルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体のるつぼ温度は 285〜 300℃の範囲で制御し、蒸着時の真空度は1.0x10−6Torr(約1.3x10−4Pa)、蒸着速度は0.26nm/秒で膜厚は35nmとした。
上記の正孔輸送層4、発光層5、正孔阻止層6及び電子輸送層7を真空蒸着する時の、基板温度は室温に保持した。
【0167】
ここで、電子輸送層7までの蒸着を行った素子を、一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして 2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して、有機層蒸着の場合と同様にして装置内の真空度が4.0x10−4Pa以下になるまで排気した。
【0168】
陰極8として、先ず、フッ化リチウム(LiF)をモリブデンボートを用いて、蒸着速度0.01nm/秒、真空度7.6x10−4Paで、0.5nmの膜厚で電子輸送層7の上に成膜した。次に、アルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度0.40nm/秒、真空度1.0x10−3Paで膜厚80nmのアルミニウム層を形成して、陰極8を完成させた。以上の2層型陰極8の、蒸着時の基板温度は室温に保持した。
【0169】
以上の様にして、2mmx2mm のサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性を表−1に示す。表−1において、最大発光輝度は電流密度0.25A/cmでの値、発光効率・輝度/電流・電圧は 輝度100cd/mでの値を各々示す。素子の発光スペクトルの極大波長は 647nmであり、化合物(D−1)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.0.69,0.30)で、いわゆる純赤の発光が得られた。
【0170】
比較例1
発光層の副成分(ドーパント)である目的物7(D−1)の代わりに、下記に示す白金錯体(D−2)を用いた他は、実施例7と同様にして素子を作製した。この素子の発光特性を表−1に示す。
素子の発光スペクトルの極大波長は651nmであり、白金錯体(D−2)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.71,0.29)と色純度は実施例5と同等であるが、実施例5と比較して発光効率が低い。
【0171】
【化55】
Figure 2004131464
【0172】
【表26】
Figure 2004131464
合成例3
【0173】
【化56】
Figure 2004131464
窒素雰囲気下、2−フェニルベンズイミダゾール(3.9g)、酢酸パラジウム(0.45g)、トリフェニルフォスフィン(1.0g)、炭酸セシウム(28g)、N,N−ジメチルホルムアミド(脱水、200ml)の混合物中に、2−ブロモ−1−ヨードベンゼン(2.7ml)を室温で加え、150℃で3.3時間撹拌した。得られた溶液からDMFを減圧下で留去した後、塩化メチレン(200ml)で抽出、濾過し、濾液を水(150ml)で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過、濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的物11(3.6g)を得た。EI−MS測定結果により、目的物11(m/z 268(M+))であることを確認した。
比較例2
【0174】
【化57】
Figure 2004131464
合成例3にて得られた目的物11(1.13g)、塩化イリジウム・3水和物(0.71g)、2−エトキシエタノール(15ml)、水(5ml)を窒素雰囲気下、加熱還流条件で12.5時間攪拌した後、室温まで冷却し、水(30ml)を加えて撹拌した後、濾過し、水(10ml)、アセトン(3×15ml)で洗浄し、目的物12を含んだ混合物(1.6g)を得た。
【0175】
窒素雰囲気下、目的物12(1.6g)、アセチルアセトンナトリウム塩・水和物(0.98g)、2−エトキシエタノール(30ml)を加熱還流下で6.5時間撹拌した後、放冷し、水(15ml)、エタノール(20ml)を加えてから、濾過し、水(2×10ml)で洗浄したものを減圧乾燥後、クロロホルム(30ml)で抽出し、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー及びGPCにて精製し、目的物13(20mg)を得た。FAB−MS測定結果により、目的物13(m/z 826(M+))であることを確認した。
【0176】
窒素雰囲気下、目的物13(0.3mg)のクロロホルム(25ml)溶液中、励起波長(352nm)での発光スペクトルは、503nmに僅かながらピークを示したが、極めて微弱な強度であり、発光材料としては不適であることが確認された。
比較例3
【0177】
【化58】
Figure 2004131464
開始化合物である7H−1−アザベンズ[de]アントラセン−7−オンは、J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1, 1984, 2177に記載の製法に則り、合成した。開始化合物(0.25g)、塩化イリジウム・3水和物(0.18g)、2−エトキシエタノール(20ml)、水(5ml)を窒素雰囲気下、加熱還流条件で10時間攪拌したところ、黒沈が多量に析出し、目的物14は得られなかった。故に、目的物15は得ることができなかった。
<積分球による外部量子効率の測定方法>
得られた有機電界発光素子の外部量子効率は、積分球を用いて測定可能である。
【0178】
まず、積分球の内部に有機電界発光素子を収容し、発光させる。そして、積分球内部で一様に積分された素子放出光のスペクトルを分光測光器により測定する。
次に、分光分析結果を光子1個のエネルギーで除算した上で波長に関して積分し、積分球内壁の反射率・吸収率などの補正を考慮したうえで、外部量子効率を測定する。この方法では、積分球において素子放出光全部を捕捉して、積分することができるという利点がある。この方法については、例えば特許第2823275号公報に示されている。
【0179】
実施例5で作成した2mmx2mm サイズの発光面積を有する素子を積分球内部に設置し、発光させた。測定には、Labsphere社製積分球測定システムSLMS 1011を用いて行った。(測定条件:入力電流 8mA)
得られた測定結果について、以下の式を用いて100cd/m時の量子効率算出し、これを補正外部量子効率とした。
【0180】
【数1】
Figure 2004131464
なお、Lは輝度[cd/m]、Jは電流密度[A/cm]を表し、L/Jは単位電流当たりの発光効率( [cd/A])を表す。下表に得られた結果を示す。
【0181】
【表27】
Figure 2004131464
【0182】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、特に長波長発光における色純度の向上、発光の高効率化、および素子の長寿命化が可能な新規有機金属錯体と、この有機金属錯体を使用した長寿命で高発光効率の有機電界発光素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機電界発光素子の実施の形態の一例を示した模式的断面図である。
【図2】本発明の有機電界発光素子の実施の形態の別の例を示した模式的断面図である。
【図3】本発明の有機電界発光素子の実施の形態の別の例を示した模式的断面図である。
【図4】実施例5にて得られた素子の、発光効率の電圧依存性を表すグラフである。
【符号の説明】
1 基板
2 陽極
3 陽極バッファ層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 陰極

Claims (9)

  1. 下記一般式(I)で表わされる有機金属錯体。
    Figure 2004131464
    (式中、mは配位子の数を表し、1、2または3である。Lは任意の2座配位子を表し、その数を表すnは、0、1または2である。但し、m+n=(Mの価数)である。MはIr、Pt、AuまたはPdを表す。YおよびZは、各々独立に炭素原子または窒素原子を示す。
    Wは−CO−部分構造を含む連結基を表し、該部分構造は一方または両方でN原子と直接単結合している。環Aは置換基を有していてもよい員数5または6の芳香族環を示し、環Cは置換基を有していてもよい員数5〜8の複素環を示す。
    なお、上記式中の
    Figure 2004131464
    は、各々独立に単結合または二重結合を表す。)
  2. 前記一般式(I)で表わされる有機金属錯体において、Wが−CONR−基(但し、Rは水素原子または任意の置換基を表す)である、請求項1記載の有機金属錯体。
  3. 下記一般式(II)で表わされる、請求項1記載の有機金属錯体。
    Figure 2004131464
    (式中、m、n、L、M、Y、Z、環Aおよび環Cは、いずれも前記一般式(I)におけると同義である。Rは直接結合であるか、または−(CH)−(但し、aは1〜3の整数であり、水素原子は任意の基で置換されていてもよい)を表す。
    なお、上記式中の
    Figure 2004131464
    は、各々独立に単結合または二重結合を表す。)
  4. 下記一般式(III)で表わされる、請求項1記載の有機金属錯体。
    Figure 2004131464
    (式中、m、n、L、M、Y、Z、環A、環CおよびRは、いずれも前記一般式(II)におけると同義である。
    なお、上記式中の
    Figure 2004131464
    は、各々独立に単結合または二重結合を表す。)
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の有機金属錯体からなる、発光色素。
  6. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の有機金属錯体からなる、有機電界発光素子材料。
  7. 基板上に、陽極、陰極、およびこれら両極間に設けられた有機発光層を有し、該有機発光層が、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の有機金属錯体を含有することを特徴とする、有機電界発光素子。
  8. 該有機発光層が、電子輸送材料および/または正孔輸送材料をホスト材料とし、該ホスト材料に対して、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の有機金属錯体がドープされてなる、請求項7記載の有機電界発光素子。
  9. 前記有機発光層と陰極の間に正孔阻止層を有する、請求項7または8に記載の有機電界発光素子。
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