JP2004130639A - 加飾付成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】セリウム系紫外線吸収剤を用いなくても、染料インクの三原色であるシアン染料とイエロー染料とを混合させることなく、長期間保存した場合でも退色や変色を防止することができる加飾付成形体を提供する。
【解決手段】シート状基材2の片面若しくは両面に加飾部3を有する加飾シートSを三次元形状に成形した加飾付成形体1であって、加飾部3は、染料インクの三原色のうちシアンを含まない染料を印刷した第1受容層4と、染料インクの三原色のうちイエローを含まない染料を印刷した第2受容層5とを有し、第1受容層4と第2受容層5とは、染料の印刷面同士が接触することなく積層されている。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、携帯電話、自動車電話等の移動通信機器、電子手帳、計測機器類、リモコン、自動車のメータパネル、家電製品のボディー、机、椅子、ドア等の家具のボディー、OA機器のボディー、カメラ等の精密機器のボディー、衣装ケース等に用いられる加飾付成形体に関するものである。
【0002】
より詳しくは、加飾を形成する染料の受容層を二層形成して、加飾の色をフルカラーに表現し、さらに退色や変色を防ぐことができる加飾付成形体に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
一般に携帯電話、自動車電話等の移動通信機器、電子手帳、計測機器類、リモコン、自動車のメータパネル等に用いられている成形体には、それら成形体のデザイン性を高めたり、機能を表示するために様々な加飾が印刷表示され、加飾付成形体としているものが多い。
【0004】
この印刷表示された加飾付成形体は、予めシート状基材の表面に、スクリーン印刷、パッド印刷、ホットスタンプ印刷又はカラープリンターであるインクジェットプリンター、溶融型熱転写プリンター、昇華型熱転写プリンター等を用いて文字、記号、絵柄等の加飾を印刷して加飾シートとし、この加飾シートを三次元形状に成形した状態で使用する場合や、この三次元形状に成形された状態を保持するために樹脂等を充填して使用していた。
【0005】
そして、最近では、この加飾付成形体に印刷表示されている加飾のデザインが多様化し、フルカラー化はもちろんのこと、高画質な写真調の加飾が要求されている。
【0006】
ところが、スクリーン印刷、パッド印刷、ホットスタンプ印刷等の印刷方法では、高画質な写真調の加飾はもちろんのこと、フルカラーを表現することも困難であった。また、カラープリンターである溶融型熱転写プリンターを用いて印刷をした場合には、インクに顔料系化合物が用いられているので、印刷した色の保存安定性に優れ、フルカラーに加飾を表現することは可能であるが、顔料系化合物の粒子が大きく、加飾の階調性を表現しにくいため、高画質な写真調の加飾を印刷することは困難であった。さらにまた、インクジェットプリンターは、インクを微少に噴霧して印刷するため精細な印刷部分ににじみが生じる場合等の問題があった。
【0007】
そこで、フルカラーや高画質な写真調等の加飾を印刷するのには、粒子が小さく、加飾の階調性が表現しやすい染料系化合物のインクを用いて、熱転写して印刷する昇華型熱転写プリンターで印刷するのが適していた。
【0008】
しかし、昇華型熱転写プリンターにおいては、染料系化合物のインクを使用しているので、加飾された加飾付成形体の表面に、紫外線や可視光線が照射された場合、染料インクの三原色であるシアン染料と、イエロー染料が反応して、退色や変色しやすい物質を生成すると思われる。この結果、加飾付成形体を長期間保存した場合に、加飾部の染料インクが退色又は、変色してしまう問題があった。
【0009】
このため、染料インクの退色や変色を防ぐ方法として、加飾が形成された加飾部の染料が印刷される受容層、加飾部が形成される基材又は、加飾部を保護する保護層にセリウム系紫外線吸収剤を含有することにより、受容層、基材又は保護層に紫外線吸収効果をもたせて加飾部の退色を防ぐ方法もある(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−237363号公報(第4頁 段落番号0018,0019、第5頁 段落番号0025)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、受容層中にセリウム系紫外線吸収剤を含有する加飾付成形体を屋内外で長期間使用した場合、紫外線はカットするが、可視光線はカットすることができない問題や、受容層中の有機化合物が金属キレート錯体化合物を生成し、紫外線吸収剤としての効果の低下を招き、本来の機能性を発揮しないため、色の退色や変色を防ぐに不十分であった。
【0012】
また、セリウム金属元素は高価であると共に、同物質を含むインクリボンや印刷物等を廃棄する場合に、公害問題を引き起こす等の問題等があり、使用上の制約が多くあった。
【0013】
そこで、この発明は、以上のような従来の技術の問題点を解消するためになされたもので、セリウム系紫外線吸収剤を用いなくても、染料インクの三原色であるシアン染料とイエロー染料とを混合させることなく、長期間保存した場合でも色の退色を防止することができる加飾付成形体を提供することを課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を達成するため、請求項1に記載の発明は、シート状基材の少なくとも片面に加飾部を有する加飾シートを三次元形状に成形した加飾付成形体であって、前記加飾部は、染料インクの三原色のうちシアンを含まない染料を印刷した第1受容層と、染料インクの三原色のうちイエローを含まない染料を印刷した第2受容層とを有し、前記第1受容層と前記第2受容層とは、前記染料の印刷面同士が接触することなく積層されていることを特徴としている。
【0015】
印刷面同士が接触することなく積層されているとは、後述する昇華型熱転写プリンター等の熱転写により、染料インクの三原色のうち何れかの染料が受容された片側表面同士が直接接触することなく積層されていることである。
【0016】
請求項2に記載の発明は、シート状基材に加飾部を有する加飾シートを三次元形状に成形した加飾付成形体であって、前記加飾部は、前記シート状基材の一方の面に染料インクの三原色のうちシアンを含まない染料を印刷した第1受容層を有し、他方の面に染料インクの三原色のうちイエローを含まない染料を印刷した第2受容層とを有し、前記第1受容層と第2受容層とは、前記シート状基材を介して積層されていることを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記第1受容層と前記第2受容層とが接触する面に接着剤層が形成されていることを特徴としている。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、前記第1受容層と前記第2受容層とは、分離層を介して積層されていることを特徴としている。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明に加えて、前記第1の受容層と前記第2の受容層とには、前記分離層と接触する面に接着剤層が形成されていることを特徴としている。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか1つに記載の構成に加えて、前記第1受容層と前記第2受容層とには、前記シート状基材と接触する面に接着剤層が形成されていることを特徴としている。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れか1つに記載の構成に加えて、前記加飾部には、該加飾部が他の部材と直接接触しないように前記加飾部の表面全体を覆う保護層が形成されていることを特徴としている。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0023】
[発明の実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1に係る加飾シートの要部拡大断面図であり、図2及び図3は、この発明の実施の形態1を示す断面図である。
【0024】
まず構成を説明すると、図1中符号Sは加飾シートで、この加飾シートSは、シート状基材2と、このシート状基材2の片側表面に形成され、加飾が印刷された加飾部3とで構成されている。
【0025】
シート状基材2の材質は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂シートであれば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ABS系樹脂、ポリスチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリアレート系樹脂、ポリオキシベンジレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリメチルアクリレート系樹脂、ナイロン系樹脂、非結晶ポリエチレンテレフタレート系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が例示される。
【0026】
また、熱硬化性樹脂シートであれば、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、エポキシ系ハイブリット樹脂、フェノール系樹脂、アラミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂等が例示される。このシート状基材2の厚みは10〜500μm程度が好ましい。
【0027】
そして、このシート状基材2の表面に形成された加飾部3は、染料インクの三原色のうちシアンを含まない染料を受容層に印刷して形成された第1受容層4と、染料インクの三原色のうちイエローを含まない染料を受容層に印刷して形成された第2受容層5とを積層して形成されている。第1受容層4と第2受容層5との染料インクの三原色を組合せることで、加飾部3の加飾の色をフルカラーで表現している。
【0028】
具体的には、シート状基材2の表面に接着剤層7を介して、染料が印刷されていない面が接着剤層7に接触するようにして第1受容層4が形成されている。さらに、第1受容層4の表面には、後述する転写フィルムからシート状基材2に受容層を熱転写する際に、転写フィルムから受容層が剥がれ易くするための剥離層6が形成されている。そして、この第1受容層4の剥離層6の表面に、接着剤層8を介して染料が印刷されていない面が接着剤層8に接触するように第2受容層5が形成され、さらに、第2受容層5の表面に剥離層6が形成されている。このように形成することで、第1受容層4と第2受容層5とが積層した状態となる。
【0029】
第1受容層4と第2受容層5とを形成する受容層の材質は、従来から昇華型熱転写方式により染料が印刷される受容層と同一の主成分であれば特に限定されるものではないが、例えば、塩化ビニル系樹脂と酢酸ビニル系樹脂の単量体又は共重合体、ビニルアルコール系樹脂、プロピオン酸ビニル系樹脂等のビニルアルコール誘導体系樹脂、アクリル酸、メタクリル酸、それらのメチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルキキシルエステル等のアクリル酸系樹脂及びメタクリル酸誘導体系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂が使用される。また必要に応じて、第1受容層4と第2受容層5との補助成分として、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物等の紫外線吸収剤、カーボンブラック、アルミニウム、インジウム、鉄、酸化鉄、酸化マグネシウム等の紫外線遮断剤、フェノール系又はホスファイト系等の酸化防止剤、芳香族アミン系化合物、フェノール系化合物等のラジカル禁止剤等を適宜選択して配合することができる。この第1受容層4と第2受容層5との厚みは、それぞれ3〜50μm程度が好ましい。
【0030】
剥離層6は、従来から昇華型熱転写方式により転写フィルムと受容層との間に形成される剥離層と同一の主成分であれば特に限定されるものではないが、例えば、シリコーン系樹脂、シリコーン系ワックス、フッ素系樹脂、高級アルコール系樹脂、高級脂肪酸エステル系ワックス樹脂等の剥離性に優れたもの、又は、昇華型熱転写プリンターのサーマルヘッドの熱により溶解しない比較的高軟化点の樹脂、例えば、セルロース系系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、或いは、これらの樹脂にワックス等の熱剥離剤を含有させた樹脂が使用される。剥離層6の厚さは0.01〜5μm程度が好ましい。
【0031】
接着剤層7,8は、接着性や作業性を考慮して選択されるが、透明性を有する感熱接着剤或いは粘着剤が用いられる。例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂、ブチラール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂等が使用される。しかし、低分子量のモノマー、オリゴマー、また、芳香族有機溶剤として、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン等を含む接着剤或いは粘着剤は、第1受容層4と第2受容層5とに印刷した加飾を滲ませる原因となるので、接着剤或いは粘着剤として用いるのは好ましくない。この接着剤層8の厚みは0.5〜10μm程度が好ましい。
【0032】
そして、シート状基材2に、シアン染料を含まない第1受容層4及び、第1受容層4の表面に形成された剥離層6と接着剤層7とを形成する方法としては、例えば、昇華型熱転写プリンターを用いて、第1授与層、剥離層6及び接着剤層7を同時に形成する方法が簡単である。
【0033】
昇華型熱転写プリンターで形成する方法を具体的に説明すると、従来から昇華型熱転写プリンターに使用される耐熱性と強度とを有する転写フィルム基材の表面に、剥離層6、染料インクの三原色が印刷される受容層、接着剤層7の順で形成された熱転写フィルムと、染料インクを有する昇華型染料インクリボンとを昇華型熱転写プリンターにセットする。そして、昇華型熱転写プリンターのサーマルヘッドを介すことにより、転写フィルムに形成された接着剤層7、受容層、剥離層6がシート状基材2の表面に接着剤層7、受容層、剥離層6の順で熱転写される。次いで、サーマルヘッドの熱量に応じて、昇華型染料インクリボンからシアンを含まない染料がシート状基材2に形成された受容層に染み込み印刷され、第1受容層4が形成される。このようにして、シート状基材2に接着剤層7、第1受容層4、剥離層6が形成される。なお、染料インクにより表現される色の濃淡は、サーマルヘッドの熱量により表現できる。
【0034】
また、第1受容層4の剥離層6の上側に積層された、イエロー染料を含まない第2受容層5、第2受容層5の剥離層6及び接着剤層8を形成する方法としては、上述した昇華型熱転写プリンターを用いて熱転写させるものと同じ方法が例示できる。この場合、受容層には、イエローを含まない染料を印刷することにより第2受容層5が形成される。
【0035】
そして、第2受容層5の剥離層6の表面には、加飾部3の耐摩耗性や耐擦傷性を向上させるために、表面全体を覆う保護層9が形成されている。
【0036】
保護層9は、例えば、アクルリ系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂等の耐熱性の高いポリエステル系樹脂、ポリプロヒレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ポリエチレン誘導体系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂等が使用できる。また必要に応じて、第1受容層4と第2受容層5との補助成分として用いた、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、酸化防止剤、ラジカル禁止剤等を適宜選択して配合することや、塗工等することができる。また、保護層9の厚みは、それぞれ0.5〜10μm程度が好ましい。また、保護層9は、上述した昇華型熱転写プリンターで熱転写する方法が例示できるが、この限りではない。
【0037】
そして、シート状基材2に加飾部3が形成された加飾シートSを、図2に示すように、三次元形状に形成することで加飾付成形体1が得られる。
【0038】
なお、加飾シートSに複数の凹部10を有する三次元形状に形成し、この凹部10に直接又は接着剤を介して充填物を充填することで凸状キートップ付押釦スイッチ用部材とすることも可能である。この場合、凸状キートップを形成するために凹部10に充填される充填物としては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS樹脂、ウレタン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂等から選択すればよい。また、これら樹脂は、液体状としてディスペンサー等で凹部10に充填して、液状樹脂を硬化又は固化すればよい。
【0039】
また、加飾付成形体1の製造方法及び成形方法は、特に限定されるものではないが、例えば、加飾付成形体1の製造方法及び成形方法は本出願人が先に出願した、特開2001−148214号公報に記載されたものが例示できる。これは、加飾部が印刷された樹脂シートの加飾部を実質的に引き延ばさないように、加飾部以外の部分を引き延ばして加飾部の印刷形状や位置ずれが生じないように成形するものである。
【0040】
なお、この発明の実施の形態1では、図2に示すように、加飾部3がシート状基材2の上側表面にのみ形成されているが、これに限定されず、図3に示すように、シート状基材2の下側表面にのみ加飾部3を形成することも可能である。さらに、シート状基材2の両面に第1受容層4と第2受容層5とを有する加飾部3を形成することも可能である。
【0041】
また、加飾部3は、シート状基材2から順に第1受容層4、第2受容層5の状態で積層され形成しているが、この積層する順序を変更して、第2受容層5、第1受容層4の順に積層して加飾の色をフルカラーに表現することも可能である。
【0042】
さらに、加飾部3には、剥離層6と接着剤層7,8と保護層9とが形成されているが、これに限定されず、加飾部3には、剥離層6、接着剤層7,8又は保護層9を形成しなくてもよい。しかし、第1受容層4と第2受容層5との間に接着剤層8を形成しない場合は、第1の受容層4と第2の受容層5との染料を印刷した印刷面同士が接触すると、イエローとシアンとの染料が混合して色の退色や変色の原因となるため、印刷面同士が接触しないように積層状態を形成する。
【0043】
このように形成された加飾付成形体1は、加飾部3が染料インクの三原色のうちシアンを含まない染料を印刷した第1受容層4と、染料インクの三原色のうちイエローを含まない染料を印刷した第2受容層5とを有し、第1受容層4と第2受容層5とは、染料の印刷面同士が接触することなく積層されているので、セリウム系紫外線吸収剤を用いなくても、退色や変色の原因となるシアン染料とイエロー染料とが混合し難いため、長期間保存した場合でも退色や変色を防止することができる。
【0044】
また、第1受容層4と第2受容層5との間に接着剤層8が形成されているので、第1受容層4と第2受容層5との色の組合せで表現される加飾の位置ずれを起こすことがないため、加飾の形状を正確に表現することができる。さらに、第1受容層4と第2受容層5との間には、第1受容層4の剥離層6も形成されているため、この剥離層6と接着剤層8とで各々受容層に印刷された染料が移行し難くなるため、より染料インクの退色や変色を防ぐことが可能となる。
【0045】
さらにまた、第1受容層と第2受容層とのシート状基材2と接触する面に接着剤層7が形成されているので、加飾シートSを三次元形状に成形したとき等に、加飾が位置ずれを起こすことがない。
【0046】
さらに、加飾部3が他の部材と直接接触しないように表面全体を覆う保護層9が形成されているので、加飾付成形体1を成形するとき、機器等に組み付けるとき又は、使用するときに、加飾部3の耐摩耗性や耐擦傷性を向上させることができる。
【0047】
[発明の実施の形態2]
図4は、この発明の実施の形態2を示すものである。
【0048】
この実施の形態2は、第1受容層4が形成されたシート状基材2と、第2受容層5が形成され、シート状基材2と同様な材質で形成された上側シート状基材12とが接着剤層14を介して、シート状基材2の第1授与層4が形成された面と上側シート状基材12の第2受容層5が形成された面とが向かい合うように固着されている。
【0049】
具体的には、シート状基材2には、接着剤層7を介して第1受容層4が形成され、第1受容層4の表面に剥離層6が形成されている。また、上側シート状基材12には、紫外線吸収効果を有する紫外線保護層13が形成されている。さらに、紫外線保護層13に接着剤層8を介して第2受容層5が形成され、第2受容層5の表面に剥離層6が形成されている。
【0050】
そして、シート状基材2に形成された剥離層6と上側シート状基材12に形成された剥離層6とが接着剤層14を介して固着されていることにより、図4に示すように、三次元形状に成形されたシート状基材2の表面から順に接着剤層7、第1受容層4、剥離層6が形成され、剥離層6の表面に形成された接着剤層14を介して剥離層6、第2受容層5、接着剤層8の順に形成されている。さらに、接着剤層8を介して紫外線保護層13が形成され、紫外線保護層13を介して耐摩耗性や耐擦傷性を向上させる上側シート状基材12が形成されている。このようにして、シアンを含まない染料を印刷した第1受容層4とイエローを含まない染料を印刷した第2受容層5とを積層することにより、加飾部3の加飾の色をフルカラーで表現している。
【0051】
紫外線保護層13は、紫外線吸収効果があれば特に限定されるものではないが、実施の形態1の保護層9と同様で紫外線吸収効果があるものが例示できる。
【0052】
接着剤層14は、前述したような接着剤層7,8と同様なものが例示できる。
【0053】
そして、上側シート状基材12に、紫外線保護層13、接着剤層8、第2受容層5、剥離層6を形成する方法としては、実施の形態1と同様で昇華型熱転写プリンターを用いる方法が簡単である。
【0054】
なお、この実施の形態2では、シート状基材2に第1受容層4を形成して、上側シート状基材12に第2受容層5を形成して加飾部3の加飾をフルカラーに表現しているが、これに限定されず、シート状基材2に第2受容層5を形成し、上側シート状基材12に第1受容層4を形成してもよい。
【0055】
このように形成された加飾付成形体1は、第1受容層4と第2受容層5との間に接着剤層14が形成されているので、実施の形態1と同様に装飾の位置ずれを起こすことなく、各々受容層に印刷された染料が移行し難くなるため、より染料インクの退色や変色を防ぐことが可能となる。
【0056】
また、紫外線保護層13が形成されているため、より染料インクの退色や変色を防ぐことができる。
【0057】
さらに、上側シート状基材12が加飾部3を覆うように形成されているので、実施の形態1の保護層9と同じように、加飾付成形体1を成形するとき、機器等に組み付けるとき又は、使用するときに、加飾部3の耐摩耗性や耐擦傷性を向上させることができる。
【0058】
その他の構成及び作用は、発明の実施の形態1と同様であるので同一の構成には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0059】
[発明の実施の形態3]
図5は、この発明の実施の形態3を示すものである。
【0060】
この実施の形態3は、実施の形態1の第1受容層4と第2受容層5との間に、接着剤層16と分離層17とが形成されたものである。
【0061】
具体的には、図5に示すように、三次元形状に成形されたシート状基材2の表面に実施の形態1と同様に接着剤層7を介して第1受容層4が形成され、第1受容層4の表面に剥離層6が形成されている。そして、第1受容層4の剥離層6の表面に、接着剤層16を介して透明の分離層17が接着されている。そして、分離層17の表面に、接着剤層8を介して第2受容層5が形成され、第2受容層5の表面に剥離層6が形成されている。さらに、第2受容層5の剥離層6の表面には、加飾部3の表面全体を覆うように保護層9が形成されている。このようにして、シアンを含まない染料を印刷した第1受容層4とイエローを含まない染料を印刷した第2受容層5とを分離層17を介して積層することにより、加飾部3の加飾の色をフルカラーで表現している。
【0062】
接着剤層16の材質は、前述したような接着剤層7,8と同様なものが例示できる。
【0063】
透明の分離層17の材質は、例えば、ゼラチン、熱可塑性樹脂であれば、メチルセルロース系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、アセチルセルロース系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が例示できる。また、熱硬化性樹脂であれば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ウレタン変性シリコーン系樹脂、イミド系樹脂、ポリパラフェニレンテレフタルアミド系等が使用される。また、生分解性発泡樹脂は、印刷時の熱に発泡してしまうため分離層17として適さない。
【0064】
なお、この実施の形態3では、分離層17と保護層9とは、別々に形成されているが、これに限定されず、分離層17と保護層9とを同一の材質で一体に形成することも可能である。このように、分離層17と保護層9とを一体に形成する場合の材質は、分離層17に例示した材質を使用する。しかし、ポリビニルアルコール系樹脂は空気中の水分を吸湿した場合に溶解してしまうので保護層9としては適さない。
【0065】
このように形成された加飾付成形体1は、加飾部3が染料インクの三原色のうちシアンを含まない染料を印刷した第1受容層4と、染料インクの三原色のうちイエローを含まない染料を印刷した第2受容層5とを有し、第1受容層4と第2受容層5とは、分離層17を介して積層されているので、色の退色の原因となるシアン染料とイエロー染料とが分離層17で遮断され、混合することがないため、長期間保存した場合でも染料インクの退色や変色をより防止することができる。
【0066】
また、第1受容層4と第2受容層5とには、分離層17と接触する面に接着剤層8,16が形成されているので、第1受容層4と第2受容層5との色の組合せで表現される加飾の位置ずれを起こすことがないため、加飾の形状を正確に表現することができる。
【0067】
その他の構成及び作用は、発明の実施の形態1と同様であるので同一の構成には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0068】
[発明の実施の形態4]
図6は、この発明の実施の形態4を示すものである。
【0069】
この実施の形態4は、図6に示すように、三次元形状に成形された透明なシート状基材2の表面に実施の形態1と同様に接着剤層7を介して、第1受容層4が形成され、第1受容層4の表面に剥離層6が形成されている。さらに、第1受容層4の剥離層6の表面には、第1受容層4の表面全体を覆う保護層9が形成されている。そして、シート状基材2の裏面には、実施の形態1と同様な方法で、接着剤層8を介して、第2受容層5が形成され、第2受容層5の表面に剥離層6が形成されている。さらに、第2受容層5の剥離層6の表面には、第2受容層5の表面全体を覆う保護層9が形成されている。このようにして、シアンを含まない染料を印刷した第1受容層4とイエローを含まない染料を印刷した第2受容層5とを、シート状基材2を介して積層することにより加飾部3の加飾の色をフルカラーで表現している。
【0070】
シート基材2の材質は、透明でなければ、第1受容層4と第2受容層5との組合せで加飾部3の加飾の色をフルカラーに表示することができないため、透明で実施の形態1と同一の構成の樹脂が例示される。
【0071】
なお、この実施の形態3では、三次元形状に形成されたシート状基材2の表面側に第1受容層4が形成され、裏面側に第2受容層5が形成されているが、これに限定されず、表面側に第2受容層5を形成し、裏面側に第1受容層4を形成して加飾の色をフルカラーに表現することも可能である。
【0072】
このように形成された加飾付成形体1は、透明のシート状基材2の一方の面に染料インクの三原色のうちシアンを含まない染料を印刷した第1受容層4を有し、他方の面に染料インクのイエローを含まない染料を印刷した第2受容層5とを有しているので、シート基材2に透明の樹脂シートを用いた場合には、染料インクの退色や変色の原因となるシアン染料とイエロー染料とがシート基材2で遮断され、混合することがないため、染料インクの退色や変色をより防止することができる。
【0073】
その他の構成及び作用は、発明の実施の形態1と同様であるので同一の構成には同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0074】
【実施例】
以下、この発明の実施例について説明する。
【0075】
[実施例1]
実施例1は、実施の形態1に対応するものであって、第1受容層4にイエローの染料を印刷し、第2受容層5にシアンとマゼンダの染料を印刷した加飾付成形体1を製作した。
【0076】
具体的には、シート状基材2として、厚さ100μmのポリカーボネート系樹脂フィルム(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:ユーピロン)を用いて、このシート状基材2と転写フィルムとをプリンター(日本ビクター(株)製、商品名:カラープリンターTrueprint3500)に設置する。
【0077】
転写フィルムは、厚さ12μmのPET(東レ(株)製、商品名:ルミラーS10)の表面に、表1に示した組成物の剥離層塗工液を乾燥時に1μmとなるようにグラビア印刷により塗工し、乾燥させて剥離層6を形成した。さらに、剥離層6の表面に、表2に示した組成物の受容層溶液を乾燥時に5μmとなるようにグラビア印刷により塗工し、乾燥させて受容層を形成した。また、受容層の表面に、表3に示した組成物の接着剤層塗工液を乾燥時に3μmとなるようにでグラビア印刷により塗工し、乾燥させて接着剤層7,8を形成したものである。
【0078】
【表1】
Figure 2004130639
【0079】
【表2】
Figure 2004130639
【0080】
【表3】
Figure 2004130639
【0081】
次いで、プリンターによりシート状基材2の表面に、転写フィルムに形成した接着剤層7、受容層、剥離層6を熱転写した。さらに、受容層にプリンターと昇華型染料インクリボン(日本ビクター(株)製、商品名:昇華型カラーインクリボンJP−D304I)を用いてイエロー染料を熱転写し、イエロー染料が印刷された第1受容層4を形成した。
【0082】
次いで、第1受容層4の上面に、プリンターと転写フィルムを用いて転写フィルムの接着剤層8、受容層、剥離層6を熱転写して積層した。さらに、第1受容層4の上面に形成された受容層に、プリンターと昇華型染料インクリボンを用いてシアン染料及びマゼンダ染料を順次熱転写して、シアン染料とマゼンダ染料とが印刷された第2受容層5を形成した。このように、第1受容層4と第2受容層5とを積層することでフルカラーに表現できる加飾部3を形成した。
【0083】
次いで、加飾部3の表面全体を覆うように、保護層9(日本ビクター(株)製、商品名:昇華型熱転写オーバーコートインクリボンJP−T304I)をプリンターで熱転写することで加飾シートSを得た。
【0084】
そして、この加飾シートSを特開2001−148214号公報に記載された成形方法を用いて三次元形状に成形して所望の加飾付成形体1を得た。この成形方法は、加飾部が印刷された樹脂シートの加飾部を実質的に引き延ばさないように、加飾部以外の部分を引き延ばして、加飾部の印刷形状や位置ずれが生じないように三次元形状に成形するものである。
【0085】
このようにして得られた加飾付成形体1は、成形後に耐候試験として、サンシャイン・ウエザオメーター(スガ試験機(株)製、商品名:WEL−SUN−DC型)で試験(JIS A−1415準拠、温度63℃、カーボンアーク灯で300時間照射)を行い、試験終了後に、分光測色計(ミノルタ(株)製、商品名:CM−3700d型)を用いて加飾部3の耐候試験前後の色差ΔE(JIS Z−8729準拠)を反射法にて測定した。
【0086】
その結果、色差ΔEは2.0であり、さらに、目視においても加飾の色が変化したことが殆ど分からなく、この加飾付成形体1は耐候性に優れていることが確認できた。
【0087】
なお、一般的には、色差ΔEが5.0以上の場合、目視でも色差の変化を確認することができると言われている。
【0088】
[実施例2]
実施例2は、実施の形態3に対応するものであって、第1受容層4にイエローの染料を印刷し、第2受容層5にシアンとマゼンダの染料を印刷した加飾付成形体1を製作した。
【0089】
具体的には、シート状基材2として、厚さ125μmのアクリル樹脂フィルム(住友化学工業(株)製、商品名:テクノロイS001)を用いて、実施例1と同じプリンターと転写フィルムとで、シート状基材2の表面に、接着剤層7、受容層、剥離層6を熱転写した。さらに、受容層に、プリンターと実施例1と同じ昇華型染料インクリボンを用いてイエロー染料を熱転写し、イエロー染料が印刷された第1受容層4を形成した第1基材を得た。
【0090】
次いで、分離層17は、厚さ60μmのポリプロピレンフィルム(東レ(株)製、商品名:トレファン2500)であり、実施例1と同じプリンターと転写フィルムとを用いて、分離層17の表面に接着剤層8、受容層、剥離層6を熱転写した。さらに、受容層に、プリンターと実施例1と同じ昇華型染料インクリボンを用いてシアン染料及びマゼンダ染料を熱転写し、シアン染料及びマゼンダ染料が印刷された第2受容層5を形成した第2基材を得た。
【0091】
次いで、第1基材の剥離層6の表面に、厚さ110μmのシリコーン系両面粘着テープ((株)寺岡製作所製、商品名:765H)を貼付けして粘着剤層(以下、接着剤層16という。)を形成した。そして、この接着剤層16の表面に、第2基材の第2受容層5が形成されていない面を粘着させ、第1基材と第2基材とを積層させた。このように、第1受容層4と第2受容層5とを積層することでフルカラーに表現できる加飾部3を形成した。
【0092】
次いで、加飾部3の表面全体を覆うように、実施例1と同様な保護層9をプリンターで熱転写することで加飾シートSを得た。
【0093】
そして、この加飾シートSを実施例1と同じ成形方法により三次元形状に成形して所望の加飾付成形体1を得た。
【0094】
このようにして得られた加飾付成形体1は、成形後に実施例1と同じ耐候試験及び色差を測定した。
【0095】
その結果、色差ΔEは1.3であり、さらに、目視においても加飾の色が変化したことが殆ど分からなく、この加飾付成形体1は耐候性に優れていることが確認できた。
【0096】
その他の構成及び作用は実施例1と同様であるので重複した説明は省略する。
【0097】
【比較例】
比較例として、染料インクの三原色であるシアン、マゼンダ、イエローの染料を印刷する受容層をシート状基材2に一層だけ形成した加飾付成形体1を製作した。
【0098】
この比較例は、実施例1のシート状基材2の表面に、実施例1と同様な転写フィルムとプリンターを用いて接着剤層7、受容層、剥離層6を熱転写した。
【0099】
そして、同プリンターを用いて、受容層の表面にイエロー、シアン、マゼンダの染料を順に熱転写して、一層にシアン、マゼンダ、イエローの染料が印刷された加飾部3を形成した。
【0100】
次いで加飾部3の外表面全体を覆うように、実施例1と同様な保護層9を同プリンターで熱転写することで加飾シートSを得た。
【0101】
そして、この加飾シートSを実施例1と同じ成形方法により三次元形状に成形して所望の加飾付成形体1を得た。
【0102】
このようにして得られた加飾付成形体1は、成形後に実施例1と同じ耐候試験及び色差を測定した。
【0103】
その結果、色差ΔEは33であり、さらに、目視でも加飾の色が著しく変化していることが確認できた。
【0104】
その他の構成及び作用は実施例1と同様であるので重複した説明は省略する。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の説明によれば、シート状基材の少なくとも片面に加飾部を有する加飾シートを三次元形状に成形した加飾付成形体であって、加飾部は、染料インクの三原色のうちシアンを含まない染料を印刷した第1受容層と、染料インクの三原色のうちイエローを含まない染料を印刷した第2受容層とを有し、第1受容層と前記第2受容層とは、染料の印刷面同士が接触することなく積層されているので、セリウム系紫外線吸収剤を用いなくても、退色や変色の原因となる染料インクの三原色であるシアン染料とイエロー染料とが混合し難いため、長期間保存した場合でも退色や変色を防止することができる。
【0106】
請求項2に記載の発明によれば、シート状基材に加飾部を有する加飾シートを三次元形状に成形した加飾付成形体であって、加飾部は、前記シート状基材の一方の面に染料インクの三原色のうちシアンを含まない染料を印刷した第1受容層を有し、他方の面に染料インクの三原色のうちイエローを含まない染料を印刷した第2受容層とを有し、第1受容層と第2受容層とは、シート状基材を介して積層されているので、シート状基材に透明の樹脂シートを用いた場合には、退色や変色の原因となる染料インクの三原色であるシアン染料とイエロー染料とがシート状基材で遮断され混合することがないため、退色や変色をより防止することができる。
【0107】
請求項3に記載の発明によれば、第1受容層と第2受容層とが接触する面に接着剤層が形成されているので、請求項1の効果に加え、第1受容層と第2受容層との色の組合せで表現される加飾の位置ずれを起こすことがないため、加飾の形状を正確に表現することができる。また、第1受容層4と第2受容層5との間に設けられているため各々受容層に印刷された染料が移行し難くなるため、退色や変色をより防ぐことが可能となる。
【0108】
請求項4に記載の発明によれば、第1受容層と第2受容層とは、分離層を介して積層されているので、請求項1の効果に加え、退色や変色の原因となる染料インクの三原色であるシアン染料とイエロー染料とが分離層で遮断され混合することがないため、長期間保存した場合でも退色や変色をより防止することができる。
【0109】
請求項5に記載の発明によれば、第1の受容層と第2の受容層とには、分離層と接触する面に接着剤層が形成されているので、請求項4の効果に加え、第1受容層と第2受容層との色の組合せで表現される加飾の位置ずれを起こすことがないため、加飾の形状を正確に表現することができる。
【0110】
請求項6に記載の発明によれば、第1受容層と第2受容層とには、シート状基材と接触する面に接着剤層が形成されているので、請求項1乃至5の何れか1つの効果に加え、加飾シートを三次元形状に成形したとき等に、加飾が位置ずれを起こすことがない。
【0111】
請求項7に記載の発明によれば、加飾部には、該加飾部が他の部材と直接接触しないように加飾部の表面全体を覆う保護層が形成されているので、請求項1乃至6の何れか1つの効果に加え、加飾付成形体を成形するとき、機器等に組み付けるとき又は使用しているときに、加飾部の耐摩耗性や耐擦傷性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る加飾シートの要部縦断面拡大図である。
【図2】同実施の形態1に係る加飾付成形体の要部縦断面図である。
【図3】同実施の形態1に係るシート状基材の裏面に加飾部を形成した加飾付成形体の要部断面図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る加飾付成形体の要部樹断面図である。
【図5】この発明の実施の形態3に係る加飾付成形体の要部縦断面図である。
【図6】この発明の実施の形態4に係る加飾付成形体の要部縦断面図である。
【符号の説明】
1 加飾付成形体
2 シート状基材
3 加飾部
4 第1受容層
5 第2受容層
7,8,14,16 接着剤層
9 保護層
12 上側樹脂シート(保護層)
17 分離層
S 加飾シート

Claims (7)

  1. シート状基材の少なくとも片面に加飾部を有する加飾シートを三次元形状に成形した加飾付成形体であって、
    前記加飾部は、染料インクの三原色のうちシアンを含まない染料を印刷した第1受容層と、染料インクの三原色のうちイエローを含まない染料を印刷した第2受容層とを有し、
    前記第1受容層と前記第2受容層とは、前記染料の印刷面同士が接触することなく積層されていることを特徴とする加飾付成形体。
  2. シート状基材に加飾部を有する加飾シートを三次元形状に成形した加飾付成形体であって、
    前記加飾部は、前記シート状基材の一方の面に染料インクの三原色のうちシアンを含まない染料を印刷した第1受容層を有し、他方の面に染料インクの三原色のうちイエローを含まない染料を印刷した第2受容層とを有し、
    前記第1受容層と第2受容層とは、前記シート状基材を介して積層されていることを特徴とする加飾付成形体。
  3. 前記第1受容層と前記第2受容層とが接触する面に接着剤層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の加飾付成形体。
  4. 前記第1受容層と前記第2受容層とは、分離層を介して積層されていることを特徴とする請求項1に記載の加飾付成形体。
  5. 前記第1の受容層と前記第2の受容層とには、前記分離層と接触する面に接着剤層が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の加飾付成形体。
  6. 前記第1受容層と前記第2受容層とには、前記シート状基材と接触する面に接着剤層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1つに記載の加飾付成形体。
  7. 前記加飾部には、該加飾部が他の部材と直接接触しないように前記加飾部の表面全体を覆う保護層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1つに記載の加飾付成形体。
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