JP2004128848A - 受信装置、受信プログラム、および受信方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】視聴選局時に、選局されたトラスポンダから送信される信号を短時間で復調することのできる受信装置、受信方法、および受信プログラムを提供する。
【解決手段】選局制御部21は、タイミング再生部15により再生されたシンボルレートと初期シンボルレートとの差であるオフセットシンボルレートと、キャリア再生部17により再生された周波数と初期周波数との差であるオフセット周波数とをオフセット値記憶部23に記憶する。視聴時に、トランスポンダが選局されると、選局制御部21は、初期値記憶部22およびオフセット値記憶部23内の選局されたトランポンダに対応する初期周波数、初期シンボルレート、オフセット周波数、およびオフセットシンボルレートによって、オフセット補正された周波数とオフセット補正されたシンボルレートに基づき、受信信号を選局し、復調する。
【選択図】 図1
【解決手段】選局制御部21は、タイミング再生部15により再生されたシンボルレートと初期シンボルレートとの差であるオフセットシンボルレートと、キャリア再生部17により再生された周波数と初期周波数との差であるオフセット周波数とをオフセット値記憶部23に記憶する。視聴時に、トランスポンダが選局されると、選局制御部21は、初期値記憶部22およびオフセット値記憶部23内の選局されたトランポンダに対応する初期周波数、初期シンボルレート、オフセット周波数、およびオフセットシンボルレートによって、オフセット補正された周波数とオフセット補正されたシンボルレートに基づき、受信信号を選局し、復調する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、受信装置に関し、特に、衛星放送または衛星通信のデジタル受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、衛星放送システムの構成を示す。同図を参照して、衛星99は、複数個の無線中継器(トランスポンダ)TP1、TP2、・・・、TPNを備えている。送信側の基地局では、その基地局に割り当てられたトランスポンダに対して、そのトランスポンダについて定められた周波数(アップリンク周波数)とシンボルレートの信号を送信する。トランスポンダTP1、TP2、・・・、TPNは、受信した信号の周波数をアップリンク周波数からダウンリンク周波数に変換する。
【0003】
衛星放送受信装置98では、トランスポンダごとに、その周波数(ダウンリンク周波数)とシンボルレートとを定めたテーブルを備えている。衛星放送受信装置98では、このテーブルから選択されたトランスポンダの周波数とシンボルレートを読み出して、これらに基づいて、受信した信号から所望のトランスポンダから送信された信号を取り出して復調を行なう。
【0004】
ところで、このテーブルの周波数とシンボルレートと、実際にトランスポンダからの信号を復調するために衛星放送受信装置に設定しなければならない周波数とシンボルレートが以下の理由でずれることがある。
【0005】
すなわち、衛星放送受信装置では、アンテナで受信した信号の周波数を変換するLNB(Low Noise Block Converter)が、屋外に設置されているため温度変動の影響を受けやすく、温度変動によってそのローカル発振周波数が変化する。また、衛星放送受信装置の部品や、基地局の変調器またはコンバータなどの装置にばらつきがあり設計値どおりに動作しないことがある。さらに、トランスポンダの周波数が、通知されることなく変更されることがある。
【0006】
したがって、衛星放送受信装置では、電源投入後のオートサーチ時に、このテーブルに定められた周波数とシンボルレートに基づいて、受信した信号から所望のトランスポンダから送信された信号を取り出して復調ができるか否かを調べている。衛星放送受信装置では、テーブルに定められたシンボルレートと実際の受信信号のシンボルレートのずれを補正するためにタイミング再生部でタイミング再生を行ない、テーブルに定められた周波数と実際の受信信号の周波数のずれを補正するためにキャリア再生部によりキャリア再生を行なっている。
【0007】
タイミング再生部は、テーブルで定められたシンボルレートと、受信信号のシンボルレートとのずれを検出し、帰還をかけることで、正確なシンボルレートを取得し、当該シンボルレートでシンボルをサンプリングする。タイミング再生を行なうタイミング再生回路は、たとえば、数値制御発振器(NCO)とVCO回路を含むPLL回路で構成される。
【0008】
キャリア再生部は、テーブルで定められた周波数に基づいてキャリアサーチを行ない、搬送波(キャリア)を再生する。図7に示すようにキャリア再生を行なうキャリア再生回路80は、位相比較器81と、ループフィルタ82と、数値制御発振器83と、正弦/余弦データ生成器84とからなり、複素乗算器85と接続する。
【0009】
複素乗算器85は、正弦/余弦データ生成器84の出力により、シンボルをθだけ回転させる。位相比較器81は、複素乗算器85の出力の位相差を計算する。ループフィルタ82は、位相比較器81の出力を平滑化する。数値制御発振器83は、ループフィルタ82の出力値に応じて発振する。正弦/余弦データ生成器84は、数値制御発振器83が出力する値に応じて、sinθおよびcosθのデータを生成する。これにより、キャリア再生回路80と複素乗算器85は、帰還ループを形成し、正弦/余弦データ生成器84の発振角周波数が、タイミング再生回路から出力される信号の発振各周波数に一致するように収束する。
【0010】
キャリア再生およびタイミング再生は、通常、上述のような専用のハードウエアで行なわれるが、次のような場合には、ソフトウエアとCPUを用いて行なわれることがある。
【0011】
タイミング再生では、シンボルレートが低い場合では、引き込み範囲(補正できるずれ量)が狭いため、より広い範囲で引き込みができるように、ソフトウエアとCPUを用いてタイミング再生が行なわれることがある。
【0012】
また、キャリア再生では、シンボルレートが低い場合に、引き込み範囲(補正できるずれ量)が狭いため、より広い範囲で引き込みができるようにするとともに、別のトランスポンダの周波数に擬似ロックするのを避けるために、ソフトウエアとCPUを用いてキャリア再生が行なわれることがある。
【0013】
衛星放送受信装置では、上述のようにオートサーチ時に、キャリア再生およびタイミング再生によりずれを補正することで、信号を受信し復調することができたトランスポンダを記憶しておき、視聴選局時には、これらのトランスポンダからの信号のみを選局することとしている。
【0014】
さらに参考のため付け加えると、特許文献1では、CPUからの周波数制御データにより中心周波数をオフセットする方法について記載されているが、この特許文献1では、CPUが何かに基づいて周波数制御データを生成するのではなく、予め受信信号の中心周波数を知っており、この中心周波数に対応するような周波数制御データを生成しているものと考えられる。
【0015】
【特許文献1】
特開平7−250115号公報(第4頁)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の衛星放送受信装置では、視聴選局するごとに、タイミング再生とキャリア再生がロックするまで実行する必要があり、選局されたトランスポンダから送信される信号を復調するのに時間がかかる。特に、タイミング生成とキャリア再生をソフトウエアを用いて行なうような場合には、その復調に要する時間は、相当に長時間となる。
【0017】
それゆえに、本発明の目的は、視聴選局時に、選局されたトラスポンダから送信される信号を短時間で復調することのできる受信装置、受信プログラム、および受信方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明に係わる受信装置は、アンテナより入力される受信信号よりトランスポンダからの信号を選局して、選局された信号を出力する選局手段と、前記選局手段より出力される信号に対して、キャリア再生とタイミング再生を行って、復調を行なう復調手段と、各トランスポンダに対応して周波数とシンボルレートを記憶する第1の記憶手段と、各トランポンダに対応してオフセット周波数とオフセットシンボルレートを記憶する第2の記憶手段と、オートサーチ時に、前記第1の記憶手段内の各トランスポンダに対するシンボルレートと周波数とに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に前記選局手段より出力される信号を復調させ、前記復調手段で前記キャリア再生がロックしたときのオフセット周波数と、前記タイミング再生がロックしたときのオフセットシンボルレートとを取得して前記第2の記憶手段に記憶させ、所望のトランスポンダを視聴選局時に、前記第1の記憶手段内の選局されたトランスポンダに対応する周波数とシンボルレートと、前記第2の記憶手段内の選局されたトランスポンダに対応するオフセット周波数とオフセットシンボルレートとを読出して、オフセット補正された周波数とオフセット補正されたシンボルレートに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に前記選局手段より出力される信号を復調させる制御手段とを備える。この構成を採用したことにより、視聴選局時に選局されたトラスポンダから送信される信号を短時間で復調することができる。
【0019】
好ましくは、前記制御手段は、オートサーチ時に、第1番目のトランスポンダから第N番目のトランスポンダまで順次選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、取得した前記オフセット周波数と前記オフセットシンボルレートとを前記第2の記憶手段に記憶させ、さらに、第k番目のトランスポンダを選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、それによりオフセット周波数を取得し、第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を1回目に取得した時刻がTk(1)で、取得したオフセット周波数がΔFk(1)であり、第n番目(n=1、2、・・・、N、n≠k)のトランスポンダのオフセット周波数を取得した時刻がTn(1)で、取得したオフセット周波数がΔFn(1)であり、第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を2回目に取得した時刻がTk(2)で、取得したオフセット周波数がΔFk(2)のときに、n=1、2、・・・、N(n≠k)につき、ΔFn(2)=ΔFn(1)+(ΔFk(2)−ΔFk(1))×(Tk(2)−Tn(1))/(Tk(2)−Tk(1))を算出し、m=1〜Nにつき、前記第2の記憶手段内の第m番目のトランスポンダのオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(2)に補正する。
【0020】
さらに、好ましくは、前記k番目のトランスポンダは、前記第1番目のトランスポンダである。
【0021】
好ましくは、前記制御手段は、オートサーチ時に、第1番目のトランスポンダから第N番目のトランスポンダまで順次選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、取得した前記オフセット周波数と前記オフセットシンボルレートを前記第2の記憶手段に記憶させ、さらに、第1番目のトランスポンダから第N番目のトランポンダまでを順次選択して前記選局および前記復調を行なわせる処理を1周期の処理として、当該周期の処理を繰返させ、第n番目のトランスポンダのX周期目に取得したオフセット周波数をΔFn(X)と表わしたときに、n=1〜Nにつき、ΔFn(X)=ΔFn(X−1)となったときに、m=1〜Nにつき、前記第2の記憶手段内の第m番目のトランスポンダのオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(X)に補正する。
【0022】
好ましくは、前記制御手段は、さらに、所望のトランスポンダを選局した後、前記トランスポンダの変化したオフセット周波数を取得して、前記第2の記憶手段内の前記選局されたトランスポンダのオフセット周波数を読み出して、前記読出したオフセット周波数と前記取得したオフセット周波数との差分値を算出し、前記第2の記憶手段内のすべてのトランスポンダのオフセット周波数を、前記差分値が加算された値に更新する。
【0023】
この発明に係る受信プログラムは、アンテナより入力される受信信号よりトランスポンダからの信号を選局して選局された信号を出力する選局手段と、前記選局手段より出力される信号に対して、キャリア再生とタイミング再生を行って復調を行なう復調手段とを備えた受信装置を制御するためにコンピュータを、各トランスポンダに対応して周波数とシンボルレートを記憶する第1の記憶手段と、各トランポンダに対応してオフセット周波数とオフセットシンボルレートを記憶する第2の記憶手段と、オートサーチ時に、前記第1の記憶手段内の各トランスポンダに対するシンボルレートと周波数とに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に復調させ、前記復調手段で前記キャリア再生がロックしたときのオフセット周波数と、前記タイミング再生がロックしたときのオフセットシンボルレートとを取得して前記第2の記憶手段に記憶させ、所望のトランスポンダを視聴選局時に、前記第1の記憶手段内の選局されたトランスポンダに対応する周波数とシンボルレートと、前記第2の記憶手段内の選局されたトランスポンダに対応するオフセット周波数とオフセットシンボルレートとを読出して、オフセット補正された周波数とオフセット補正されたシンボルレートに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に復調させる制御手段として機能させるオフセット設定プログラムであって、前記制御手段は、オートサーチ時に、第1番目のトランスポンダから第N番目のトランスポンダまで順次選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、取得した前記オフセット周波数と前記オフセットシンボルレートを前記第2の記憶手段に記憶させ、さらに、第k番目のトランスポンダを選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、それによりオフセット周波数を取得し、第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を1回目に取得した時刻がTk(1)で、取得したオフセット周波数がΔFk(1)であり、第n番目(n=1、2、・・・、N、n≠k)のトランスポンダのオフセット周波数を取得した時刻がTn(1)で、取得したオフセット周波数がΔFn(1)であり、第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を2回目に取得した時刻がTk(2)で、取得したオフセット周波数がΔFk(2)のときに、n=1、2、・・・、N(n≠k)につき、ΔFn(2)=ΔFn(1)+(ΔFk(2)−ΔFk(1))×(Tk(2)−Tn(1))/(Tk(2)−Tk(1))を算出し、m=1〜Nにつき、前記第2の記憶手段内の第m番目のトランスポンダのオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(2)に補正する。
【0024】
この発明に係る受信方法は、アンテナより入力される受信信号よりトランスポンダからの信号を選局して選局された信号を出力する選局手段と、前記選局手段より出力される信号に対して、キャリア再生とタイミング再生を行って復調を行なう復調手段とを備えた受信装置における受信方法であって、オートサーチ時に、各トランスポンダに対するシンボルレートと周波数とに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に復調させ、前記復調手段で前記キャリア再生がロックしたときのオフセット周波数と、前記タイミング再生がロックしたときのオフセットシンボルレートとを取得するオートサーチステップと、所望のトランスポンダを視聴選局時に、選局されたトランスポンダに対応する周波数とシンボルレートと、選局されたトランスポンダに対応するオフセット周波数とオフセットシンボルレートとによって、オフセット補正された周波数とオフセット補正されたシンボルレートに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に復調させる視聴選局ステップとを含み、前記オートサーチステップは、オートサーチ時に、第1番目のトランスポンダから第N番目のトランスポンダまで順次選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、前記オフセット周波数と前記オフセットシンボルレートを取得し、さらに、第k番目のトランスポンダを選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、それによりオフセット周波数を取得し、第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を1回目に取得した時刻がTk(1)で、取得したオフセット周波数がΔFk(1)であり、第n番目(n=1、2、・・・、N、n≠k)のトランスポンダのオフセット周波数を取得した時刻がTn(1)で、取得したオフセット周波数がΔFn(1)であり、第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を2回目に取得した時刻がTk(2)で、取得したオフセット周波数がΔFk(2)のときに、n=1、2、・・・、N(n≠k)につき、ΔFn(2)=ΔFn(1)+(ΔFk(2)−ΔFk(1))×(Tk(2)−Tn(1))/(Tk(2)−Tk(1))を算出し、m=1〜Nにつき、第m番目のトランスポンダのオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(2)に補正する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0026】
(構成)
図1は、本実施の形態に係る衛星放送受信装置の構成を示す。同図を参照して、衛星放送受信装置は、アンテナ18と、LNB1と、選局部100と、復調部110と、FEC部120と、オートサーチ制御部20と、選局制御部21と、初期値記憶部22と、オフセット値記憶部23とから構成される。
【0027】
アンテナ18は、トランスポンダから送信されるCバンド(3.6〜4.2GHzの周波数)またはKuバンド(12.2〜12.75GHzの周波数)の電波を受信する。LNB1は、アンテナで受信した電波を950〜2150MHzのRF(高周波)信号に変換する。
【0028】
選局部100は、LNB1から送られた信号から選局したトランスポンダから送信される信号を抽出してI信号とQ信号を生成するもので、コンデンサCと、RF増幅回路2と、乗算器3と、局部発振回路4と、SAW(Surface AcousticWave)フィルタ5と、IF増幅回路6と、局部発振回路7と、π/2移相器8と、乗算器9と、乗算器10と、LPF11と、LPF12とを含む。
【0029】
コンデンサCは、アンテナで受信したRF信号の直流成分をカットする。RF増幅回路2は、RF信号を増幅する。局部発振回路4は、IF信号(中間周波数信号)を生成するための信号を出力する。乗算器3は、RF信号と局部発振回路4から送出される信号とを乗算してIF(中間周波数)信号を生成する。SAWフィルタ5は、ミキサーより送信される信号よりIF信号以外の帯域の信号をカットする。IF増幅回路6は、IF信号を増幅する。局部発振回路7は、選局制御部21より指示された周波数の正弦波信号を出力する。π/2移相器8は、局部発振回路7からの正弦波信号をπ/2移相する。乗算器9は、受信信号と局部発振回路7からの正弦波信号とを乗算してI信号を生成する。乗算器10は、受信信号とπ/2移相器8からの正弦波信号とを乗算してQ信号を生成する。LPF11は、乗算器9の出力信号(I信号)の低周波成分を通過させる。LPF12は、乗算器10の出力信号(Q信号)の低周波成分を通過させる。
【0030】
復調部110は、A/D変換器13と、A/D変換器14と、タイミング再生部15と、キャリア再生部17と、複素乗算器16と、レジスタ19とを含む。
【0031】
A/D変換器13は、増幅されたアナログI信号をデジタルI信号に変換する。A/D変換器14は、増幅されたアナログQ信号をデジタルQ信号に変換する。
【0032】
タイミング再生部15は、選局制御部21で設定されたシンボルレートに基づいて、タイミング再生を行ない、タイミング再生されたIおよびQデジタル信号を出力する。また、タイミング再生部15は、ロック後のシンボルレートと初期シンボルレートとの差であるオフセットシンボルレートをレジスタ19に書込む。タイミング再生部15は、CPUがプログラムを実行することにより上記機能を実行する。
【0033】
複素乗算器16は、キャリア再生部17から出力される位相補正量に基づき、タイミング再生部15から出力されるIおよびQデジタル信号のシンボルの位相回転を補正して出力する。
【0034】
キャリア再生部17は、選局制御部21で設定された周波数に基づいて、キャリア再生を行ない、位相補正量を出力する。また、キャリア再生部17は、ロック後の周波数と設定された周波数との差であるオフセット周波数をレジスタ19に書込む。キャリア再生部17は、CPUがプログラムを実行することにより上記機能を実行する。
【0035】
レジスタ19は、オフセットシンボルレートおよびオフセット周波数を記憶する。
【0036】
FEC部120は、複素乗算器16の出力信号の誤り訂正を行なって、復調信号を出力する。
【0037】
初期値記憶部22は、図2に示すように、各トランスポンダに対応して初期周波数(Fn)と初期シンボルレート(Rn)を記憶する。
【0038】
オフセット値記憶部23は、図3に示すように、各トランスポンダに対応してオフセット周波数(ΔFn)とオフセットシンボルレート(ΔRn)を記憶する。
【0039】
オートサーチ制御部20は、選局制御部21に順次、トランスポンダTP1からトランスポンダTPNまで選局させる。
【0040】
選局制御部21は、オートサーチ時、視聴選局時において、次のような処理を行なう。
【0041】
(オートサーチ時)
選局制御部21は、オートサーチ制御部20の指示で、トランスポンダTP1、TP2、・・・、TPNを順次選局する。すなわち、選局制御部21は、初期値記憶部22より、トランスポンダTPnに対応する初期周波数と初期シンボルレートとを読出し、読み出した周波数で発振するように局部発振回路7を制御し、読み出した周波数を基にしてキャリア再生するようにキャリア再生部17を制御し、読み出したシンボルレートを基にしてタイミング再生をするようにタイミング再生部15を制御する。
【0042】
選局制御部21は、時刻T1(1)、T2(1)、・・・、TN(1)において、それぞれ、TP1のオフセット周波数ΔF1(1)およびオフセットシンボルレートΔR(1)、TP2のオフセット周波数ΔF2(1)およびオフセットシンボルレートΔR(2)、・・・、TPNのオフセット周波数ΔFN(1)およびオフセットシンボルレートΔR(N)をレジスタ19から読出してオフセット値記憶部23に記憶させる。
【0043】
衛星放送受信装置の部品は、温度に依存した動作性能を示す。特に、電源投入直後のオートサーチ時には、冷えた状態から徐々に温まるため、最初は、オフセット周波数が大きいが、次第に小さくなる。そこで、選局制御部21は、トランスポンダTPNに対しての処理が終了したら、図4に示すようにしてオフセット周波数の補正を行なう。オフセットシンボルレートについては、外部環境による変動は小さいので、補正は行なわない。
【0044】
すなわち、選局制御部21は、時刻T1(2)において、レジスタ19からオフセット周波数ΔF1(2)を読出し、また、オフセット値記憶部22に記憶されているオフセット周波数ΔF1(1)を読出し、ΔF1(2)からΔF1(1)を減算した差分値δfを算出する。
【0045】
TP1のオフセット周波数は、時刻が経過すると温度が変化するので、時間変化する。つまり、時刻T1(2)で取得したときには、時刻T1(1)で取得したときよりも、δf=ΔF1(2)−ΔF1(1)だけ変化している。TP1のオフセット周波数ΔF1を、ΔF1(1)から最新の値であるΔF1(2)に補正する。
【0046】
TPn(n=2、3、・・・、N)のオフセット周波数については、時刻Tn(1)で取得したきには、ΔFn(1)である。しかし、時間変化により、時刻Tn(1)以降で取得したときのオフセット周波数は、ΔFn(1)と異なる。TPnのオフセット周波数についても、時刻T1(2)で取得されたときに得られると予想される値に補正する。
【0047】
ここで、オフセット周波数の時間的な変動量は、すべてのTPについて、同一であり、時間とともに線形に変化すると考える。
【0048】
そうすると、時刻Tn(1)から、時刻T1(2)までのTPnのオフセット周波数の時間的な変動量は、δfn=δf×(T1(2)−Tn(1))/(T1(2)−T1(1))であると考えられる
選局制御部21は、n=2、3、・・・、Nについて、時刻T1(2)で取得したときに予想されるTPnのオフセット周波数ΔFn(2)を次式で算出する。
【0049】
ΔFn(2)=ΔFn(1)+δfn=ΔFn(1)+δf×(T1(2)−Tn(1))/(T1(2)−T1(1))
選局制御部21は、オフセット値記憶部23に記憶されているすべてのTPm(m=1、2、・・・、N)のオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(2)に補正する。
【0050】
(視聴選局時)
選局制御部21は、ユーザより、視聴時に、所望のトランスポンダTPkが選局されると、トランポンダTPkに対応する初期周波数と初期シンボルレートを初期値記憶部22から読出し、トランスポンダTPkに対応するオフセット周波数とオフセットシンボルレートとをオフセット値記憶部23から読出す。選局制御部21は、オフセット補正した周波数で発振するように局部発振回路7を制御し、オフセット補正した周波数を基にしてキャリア再生するようにキャリア再生部17を制御し、オフセット補正したシンボルレートを基にしてタイミング再生をするようにタイミング再生部15を制御する。
【0051】
衛星放送受信装置の部品は、温度に依存した動作性能を示すので、周囲の温度が変化すると、オートサーチ後の視聴選局時においても、オフセット周波数が変化する場合がある。
【0052】
そこで、選局制御部21は、視聴選局時の温度変化によるオフセット周波数の変化に対応した処理を行なう。すなわち、選局制御部21は、一定周期ごとにレジスタ19からオフセット周波数ΔFk’を読出す。選局制御部21は、このオフセット周波数ΔFk’がオフセット値記憶部23に記憶されているオフセット周波数ΔFkと相違するか否かを調べる。選局制御部21は、相違する場合には、ΔFk’からΔFkを減算した差分値α(=ΔFk’−ΔFk)を算出する。選局制御部21は、オフセット値記憶部23に記憶されているすべてのトランスポンダTPm(m=1、2、・・・、N)のオフセット周波数ΔFmに差分値αを加算して、加算された値ΔFm’(=ΔFm+α)でオフセット値記憶部23内のオフセット周波数を更新する。
【0053】
(動作)
次に、図5に示す衛星放送受信装置の動作手順を定めたフローチャートを参照して、この衛星放送受信装置の動作について説明する。
【0054】
オートサーチ制御部20からの指示により、選局制御部21は第n番目のトランスポンダ(TPn)を選局する。すなわち、選局制御部21は、初期値記憶部22より、第n番目のトランスポンダ(TPn)に対応する初期周波数と初期シンボルレートとを読出し、読み出した周波数で発振するように局部発振回路7を制御し、読み出した周波数を基にしてキャリア再生するようにキャリア再生部17を制御し、読み出したシンボルレートを基にしてタイミング再生をするようにタイミング再生部15を制御する(ステップS41)。
【0055】
選局部100では、局部発振回路7が設定された周波数に基づき信号を発信することによって、トランスポンダTPnから送信された信号より生成されたI信号とQ信号を出力する。
【0056】
復調部110では、選局部100から出力されるI信号およびQ信号に対して、タイミング再生部15でタイミング再生を行ない、キャリア再生部17でキャリア再生を行なって、複素乗算器16より復調された信号を出力する。ここで、タイミング再生部15は、選局制御部21で設定されたシンボルレートを基にしてタイミング再生を行なう。タイミング再生部15は、ロック後のシンボルレートと設定された初期シンボルレートとの差であるオフセットシンボルレートをレジスタ19に書込む。また、キャリア再生部17は、選局制御部21で設定された周波数を基にしてキャリア再生を行なう。キャリア再生部17は、ロック後の周波数と設定された初期周波数との差であるオフセット周波数ΔFn(1)をレジスタ19に書込む(ステップS42)
選局制御部21は、時刻Tn(1)において、レジスタ19からオフセットシンボルレートとオフセット周波数ΔFn(1)を読み出してオフセット値記憶部23に記憶する(ステップS43)。
【0057】
次に、選局制御部21は、すべてのトランポンダに対してのステップS41およびステップS42の処理を繰返し、最後のトランスポンダ(TPN)に対しての処理が終了したら(ステップS44)、再度、第1番目のトランポンダに対するステップS41およびステップS42の処理を行なう(ステップS45)。
【0058】
選局制御部21は、時刻T1(2)において、レジスタ19からオフセット周波数ΔF1(2)を読出し、また、オフセット値記憶部23に記憶されているオフセット周波数ΔF1(1)を読出し、ΔF1(2)からΔF1(1)を減算した差分値δfを算出する(ステップS46)。
【0059】
そして、選局制御部21は、n=2、3、・・・、Nについて、ΔFn(2)=ΔFn(1)+δf×(T1(2)−Tn(1))/(T1(2)−T1(1))を算出する(ステップS47)。
【0060】
選局制御部21は、オフセット値記憶部23に記憶されているすべてのオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(2)(m=1、2、・・・、N)に補正する(ステップS48)。
【0061】
次に、ユーザより、視聴時に、所望のトランスポンダTPkが選局されると、選局制御部21は、トランポンダTPkに対応する初期周波数と初期シンボルレートを初期値記憶部22から読出し、トランスポンダTPkに対応するオフセット周波数とオフセットシンボルレートとをオフセット値記憶部23から読出す。選局制御部21は、オフセット補正した周波数で発振するように局部発振回路7を制御し、オフセット補正した周波数を基にしてキャリア再生するようにキャリア再生部17を制御し、オフセット補正したシンボルレートを基にしてタイミング再生をするようにタイミング再生部15を制御する(ステップS49)。
【0062】
選局部100では、局部発振回路7が設定された周波数に基づき信号を発信することによって、トランスポンダTPnからの信号より生成されたI信号とQ信号を出力する。
【0063】
復調部110では、選局部100から出力されるI信号およびQ信号に対して、タイミング再生部15でタイミング再生を行ない、キャリア再生部17でキャリア再生を行なって、複素乗算器16より復調された信号を出力する。ここで、タイミング再生部15は、選局制御部21で設定されたオフセット補正されたシンボルレートを基にしてタイミング再生を行なう。また、キャリア再生部17は、選局制御部21で設定されたオフセット補正された周波数を基にしてキャリア再生を行なう。キャリア再生部17は、周波数が変化した場合に、ロック後の周波数と初期周波数との差であるオフセット周波数ΔFk’をレジスタ19に書込む(ステップS50)。
【0064】
選局制御部21は、一定周期ごとにレジスタ19からオフセット周波数ΔFk’を読出して、オフセット値記憶部23に記憶されているオフセット周波数ΔFkと相違するか否かを調べ(ステップS51)、相違する場合には、ΔFk’からΔFkを減算した差分値αを算出する(ステップS52)。
【0065】
そして、選局制御部21は、オフセット値記憶部23に記憶されているすべてのトランスポンダのオフセット周波数ΔFmに差分値αを加算して、加算された値でオフセット値記憶部23内のオフセット周波数を更新する(ステップS53)。
【0066】
以上のように本実施の形態に係る衛星放送受信装置によれば、オートサーチ時に取得したオフセット周波数とオフセットシンボルレートを記憶しておき、視聴選局時に、選局されたトランスポンダのオフセットシンボルレートとオフセット周波数を読み出して、オフセット補正された周波数とシンボルレートで受信信号を選局し復調するので、選局されたトラスポンダから送信される信号を復調するための時間を短くすることができる。
【0067】
(変形例)
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、以下の変形例も当然ながら包含する。
【0068】
(1) オートサーチ時の周波数の補正方法について
オートサーチ時に、トランスポンダTP1を2回目に選択した時刻TP1(2)において、温度変動が落ち着いていないこともある。その場合には、オフセット周波数はTP1(2)以降も変動することになる。
【0069】
そこで、温度変動が落ち着いたときに取得したオフセット周波数で、オフセット値記憶部23内のオフセット周波数を補正するようにしてもよい。すなわち、選局制御部21は、TP1〜TPNの選択を1周期として、この周期を次のようにオフセット周波数の変動がなくなるとみなすことができる状態になるまで繰返す。X周期のTPnのオフセット周波数をΔFn(X)で表わすとする。選局制御部21は、X周期において、すべてのnについて、ΔFn(X)=ΔFn(X−1)が成立するときに、温度変動による周波数の変動がなくなったものとみなして、オートサーチを終了する。選局制御部21は、すべてのトランスポンダTPm(m=1、2、・・・、N)のオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(P)に補正する。
【0070】
(2) オートサーチ時に2回目に選択するTPについて
本実施の形態では、オートサーチ時にTP1を2回選択したが、これに限定するものではない。より、一般的には、以下に説明するように、2回目に選択するTPは、TP1〜TPNのいずれであってもよい。
【0071】
すなわち、オートサーチ時には、トランスポンダTP1、TP2、・・・、TPNを順次選局する。そして、時刻T1(1)、T2(1)、・・・、TN(1)において、それぞれ、TP1のオフセット周波数ΔF1(1)、TP2のオフセット周波数ΔF2(1)、・・・、TPNのオフセット周波数ΔFN(1)を取得する。
【0072】
選局制御部21は、時刻Tk(2)において、レジスタ19からオフセット周波数ΔF1(2)を読出し、また、オフセット値記憶部23に記憶されているオフセット周波数ΔFk(1)を読出し、ΔFk(2)からΔFk(1)を減算した差分値δfを算出する。
【0073】
TPkのオフセット周波数は、時刻が経過すると温度が変化するので、時間変化する。つまり、時刻Tk(2)で取得したときには、時刻Tk(1)で取得したときよりも、δf=ΔFk(2)−ΔFk(1)だけ変化している。TPkのオフセット周波数ΔFkを、ΔFk(1)から最新の値であるΔFk(2)に補正する。
【0074】
TPn(n=1、2、・・・、N、n≠k)のオフセット周波数については、時刻Tn(1)で取得したときには、ΔFn(1)である。しかし、時間変化するので、時刻Tn(1)以降で取得したときのオフセット周波数は、ΔFn(1)と異なる。TPnのオフセット周波数についても、時刻Tk(2)で取得されたときに得られると予想される値に補正する。
【0075】
ここで、オフセット周波数の時間的な変動量は、すべてのTPについて、同一であり、時間とともに線形に変化すると考える。
【0076】
そうすると、時刻Tn(1)から、時刻Tk(2)までのTPnのオフセット周波数の時間的な変動量は、δfn=δf×(Tk(2)−Tn(1))/(Tk(2)−Tk(1))であると考えられる。
【0077】
選局制御部21は、n=1、2、・・・、N(n≠k)について、時刻Tk(2)で取得したときに予想されるTPnのオフセット周波数ΔFn(2)を次式で算出する。
【0078】
ΔFn(2)=ΔFn(1)+δfn=ΔFn(1)+δf×(Tk(2)−Tn(1))/(Tk(2)−Tk(1))
選局制御部21は、オフセット値記憶部23に記憶されているすべてのTPm(m=1、2、・・・、N)のオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(2)に補正する。
【0079】
以上のように、2回目の選択するトランスポンダTPkは、TP1〜TPNのいずれであってもよいが、2回目に選択するTPkがTP1であると、以下の利点がある。
【0080】
1回目に選択するときに、TP1は、第1番目に選択されるので、2回目にTP1を選択すると、δfは、長時間におけるオフセット周波数の変化量となるので、ノイズの影響が低減され、ΔFn(2)の予測精度は、一般的によくなる。
【0081】
また、TPk≠TP1では、TPn(1<n<k)について、δfnは、δfを外挿補間して算出されるが、TPk=TP1とすると、すべてのTPnについて、δfnは、δfを内挿補間して算出されるので、ΔFn(2)の予測精度は、一般的によくなる。
【0082】
(3) オートサーチ後のオフセット周波数の更新について
本実施の形態では、受信中のトランスポンダTPkの周波数が温度変化のため変動した場合、新たなオフセット値ΔFk’と、オフセット値記憶部23に記憶されているトランスポンダTPkのオフセット周波数ΔFkとの差分値αを算出して、オフセット値記憶部23内のすべてのトランスポンダTPm(m=1、2、・・・、N)のオフセット周波数をΔFm’=ΔFm+αに更新したが、これに限定するものではない。オフセット値記憶部23内には、オートサーチ終了後のオフセット周波数を格納しておき、上記差分値を記憶するための差分値記憶部を別途設けて、新たに差分値が得られるごとに記憶している差分値を更新するようにする。そして、トランスポンダを選局したときに、オフセット値記憶部23内のそのトランスポンダのオートサーチ終了時のオフセット周波数と差分値記憶部内の差分値とを加算して、そのトランスポンダのオフセット周波数とするようにしてもよい。
【0083】
(4) 視聴選局時のオフセット周波数の更新について
本実施の形態では、視聴選局時には、キャリア再生部17が、オートサーチ時のキャリア再生と同様な方法でキャリア再生することにより新たオフセット周波数が得られたが、これに限定するものではない。たとえば、特開2001−177586号公報に記載されているようにキャリア再生部がトラッキング回路を有し、このトラッキング回路の働きにより、オフセット周波数の時間変化に追従してキャリア再生を行なうことで、新たなオフセット周波数を取得するものとしてもよい。
【0084】
(5) キャリア再生およびタイミング再生について
本実施の形態では、キャリア再生とタイミング再生は、CPUがプログラムを実行することにより行なわれたが、専用のハードウエアで行なわれるものとしてもよい。
【0085】
(6) 本実施の形態では、すべて専用のハードウエアで行なわれる必要はなく、たとえば、コンピュータが、プログラムによって、オートサーチ制御部20と、選局制御部21と、初期値記憶部22と、オフセット値記憶部23の機能を実行するものであってもよい。
【0086】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0087】
【発明の効果】
この発明に係わるに受信装置によれば、アンテナより入力される受信信号よりトランスポンダからの信号を選局して、選局された信号を出力する選局手段と、前記選局手段より出力される信号に対して、キャリア再生とタイミング再生を行って、復調を行なう復調手段と、各トランスポンダに対応して周波数とシンボルレートを記憶する第1の記憶手段と、各トランポンダに対応してオフセット周波数とオフセットシンボルレートを記憶する第2の記憶手段と、オートサーチ時に、前記第1の記憶手段内の各トランスポンダに対するシンボルレートと周波数とに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に前記選局手段より出力される信号を復調させ、前記復調手段で前記キャリア再生がロックしたときのオフセット周波数と、前記タイミング再生がロックしたときのオフセットシンボルレートとを取得し、前記第2の記憶手段に記憶させ、所望のトランスポンダを視聴選局時に、前記第1の記憶手段内の選局されたトランスポンダに対応する周波数とシンボルレートと、前記第2の記憶手段内の選局されたトランスポンダに対応するオフセット周波数とオフセットシンボルレートとを読出して、オフセット補正された周波数とオフセット補正されたシンボルレートに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に前記選局手段より出力される信号を復調させる制御手段とを備えたので、視聴選局時に選局されたトラスポンダから送信される信号を短時間で復調することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る衛星放送受信装置の構成を示す図である。
【図2】初期値記憶部22の記憶例を示す図である。
【図3】オフセット値記憶部23の記憶例を示す図である。
【図4】オートサーチ時のオフセット周波数の補正を説明するための図である。
【図5】衛星放送受信装置の動作手順を定めたフローチャートである。
【図6】衛星放送システムの構成を示す図である。
【図7】キャリア再生回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
C コンデンサ、1 LNB、2 RF増幅回路、3,9,10 乗算器、4,7 局部発振回路、5 SAWフィルタ、6 IF増幅回路、8 π/2移相器、11,12 LPF、13,14 A/D変換器、15 タイミング再生部、16,85 複素乗算器、17 キャリア再生部、18 アンテナ、20 オートサーチ制御部、21 選局制御部、22 初期値記憶部、23 オフセット値記憶部、80 キャリア再生回路、81 位相比較器、82、ループフィルタ、83 数値制御発振器、84 正弦/余弦データ生成器、98 衛星放送受信装置、99 衛星、100 選局部、110 復調部、120 FEC部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、受信装置に関し、特に、衛星放送または衛星通信のデジタル受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、衛星放送システムの構成を示す。同図を参照して、衛星99は、複数個の無線中継器(トランスポンダ)TP1、TP2、・・・、TPNを備えている。送信側の基地局では、その基地局に割り当てられたトランスポンダに対して、そのトランスポンダについて定められた周波数(アップリンク周波数)とシンボルレートの信号を送信する。トランスポンダTP1、TP2、・・・、TPNは、受信した信号の周波数をアップリンク周波数からダウンリンク周波数に変換する。
【0003】
衛星放送受信装置98では、トランスポンダごとに、その周波数(ダウンリンク周波数)とシンボルレートとを定めたテーブルを備えている。衛星放送受信装置98では、このテーブルから選択されたトランスポンダの周波数とシンボルレートを読み出して、これらに基づいて、受信した信号から所望のトランスポンダから送信された信号を取り出して復調を行なう。
【0004】
ところで、このテーブルの周波数とシンボルレートと、実際にトランスポンダからの信号を復調するために衛星放送受信装置に設定しなければならない周波数とシンボルレートが以下の理由でずれることがある。
【0005】
すなわち、衛星放送受信装置では、アンテナで受信した信号の周波数を変換するLNB(Low Noise Block Converter)が、屋外に設置されているため温度変動の影響を受けやすく、温度変動によってそのローカル発振周波数が変化する。また、衛星放送受信装置の部品や、基地局の変調器またはコンバータなどの装置にばらつきがあり設計値どおりに動作しないことがある。さらに、トランスポンダの周波数が、通知されることなく変更されることがある。
【0006】
したがって、衛星放送受信装置では、電源投入後のオートサーチ時に、このテーブルに定められた周波数とシンボルレートに基づいて、受信した信号から所望のトランスポンダから送信された信号を取り出して復調ができるか否かを調べている。衛星放送受信装置では、テーブルに定められたシンボルレートと実際の受信信号のシンボルレートのずれを補正するためにタイミング再生部でタイミング再生を行ない、テーブルに定められた周波数と実際の受信信号の周波数のずれを補正するためにキャリア再生部によりキャリア再生を行なっている。
【0007】
タイミング再生部は、テーブルで定められたシンボルレートと、受信信号のシンボルレートとのずれを検出し、帰還をかけることで、正確なシンボルレートを取得し、当該シンボルレートでシンボルをサンプリングする。タイミング再生を行なうタイミング再生回路は、たとえば、数値制御発振器(NCO)とVCO回路を含むPLL回路で構成される。
【0008】
キャリア再生部は、テーブルで定められた周波数に基づいてキャリアサーチを行ない、搬送波(キャリア)を再生する。図7に示すようにキャリア再生を行なうキャリア再生回路80は、位相比較器81と、ループフィルタ82と、数値制御発振器83と、正弦/余弦データ生成器84とからなり、複素乗算器85と接続する。
【0009】
複素乗算器85は、正弦/余弦データ生成器84の出力により、シンボルをθだけ回転させる。位相比較器81は、複素乗算器85の出力の位相差を計算する。ループフィルタ82は、位相比較器81の出力を平滑化する。数値制御発振器83は、ループフィルタ82の出力値に応じて発振する。正弦/余弦データ生成器84は、数値制御発振器83が出力する値に応じて、sinθおよびcosθのデータを生成する。これにより、キャリア再生回路80と複素乗算器85は、帰還ループを形成し、正弦/余弦データ生成器84の発振角周波数が、タイミング再生回路から出力される信号の発振各周波数に一致するように収束する。
【0010】
キャリア再生およびタイミング再生は、通常、上述のような専用のハードウエアで行なわれるが、次のような場合には、ソフトウエアとCPUを用いて行なわれることがある。
【0011】
タイミング再生では、シンボルレートが低い場合では、引き込み範囲(補正できるずれ量)が狭いため、より広い範囲で引き込みができるように、ソフトウエアとCPUを用いてタイミング再生が行なわれることがある。
【0012】
また、キャリア再生では、シンボルレートが低い場合に、引き込み範囲(補正できるずれ量)が狭いため、より広い範囲で引き込みができるようにするとともに、別のトランスポンダの周波数に擬似ロックするのを避けるために、ソフトウエアとCPUを用いてキャリア再生が行なわれることがある。
【0013】
衛星放送受信装置では、上述のようにオートサーチ時に、キャリア再生およびタイミング再生によりずれを補正することで、信号を受信し復調することができたトランスポンダを記憶しておき、視聴選局時には、これらのトランスポンダからの信号のみを選局することとしている。
【0014】
さらに参考のため付け加えると、特許文献1では、CPUからの周波数制御データにより中心周波数をオフセットする方法について記載されているが、この特許文献1では、CPUが何かに基づいて周波数制御データを生成するのではなく、予め受信信号の中心周波数を知っており、この中心周波数に対応するような周波数制御データを生成しているものと考えられる。
【0015】
【特許文献1】
特開平7−250115号公報(第4頁)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の衛星放送受信装置では、視聴選局するごとに、タイミング再生とキャリア再生がロックするまで実行する必要があり、選局されたトランスポンダから送信される信号を復調するのに時間がかかる。特に、タイミング生成とキャリア再生をソフトウエアを用いて行なうような場合には、その復調に要する時間は、相当に長時間となる。
【0017】
それゆえに、本発明の目的は、視聴選局時に、選局されたトラスポンダから送信される信号を短時間で復調することのできる受信装置、受信プログラム、および受信方法を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明に係わる受信装置は、アンテナより入力される受信信号よりトランスポンダからの信号を選局して、選局された信号を出力する選局手段と、前記選局手段より出力される信号に対して、キャリア再生とタイミング再生を行って、復調を行なう復調手段と、各トランスポンダに対応して周波数とシンボルレートを記憶する第1の記憶手段と、各トランポンダに対応してオフセット周波数とオフセットシンボルレートを記憶する第2の記憶手段と、オートサーチ時に、前記第1の記憶手段内の各トランスポンダに対するシンボルレートと周波数とに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に前記選局手段より出力される信号を復調させ、前記復調手段で前記キャリア再生がロックしたときのオフセット周波数と、前記タイミング再生がロックしたときのオフセットシンボルレートとを取得して前記第2の記憶手段に記憶させ、所望のトランスポンダを視聴選局時に、前記第1の記憶手段内の選局されたトランスポンダに対応する周波数とシンボルレートと、前記第2の記憶手段内の選局されたトランスポンダに対応するオフセット周波数とオフセットシンボルレートとを読出して、オフセット補正された周波数とオフセット補正されたシンボルレートに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に前記選局手段より出力される信号を復調させる制御手段とを備える。この構成を採用したことにより、視聴選局時に選局されたトラスポンダから送信される信号を短時間で復調することができる。
【0019】
好ましくは、前記制御手段は、オートサーチ時に、第1番目のトランスポンダから第N番目のトランスポンダまで順次選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、取得した前記オフセット周波数と前記オフセットシンボルレートとを前記第2の記憶手段に記憶させ、さらに、第k番目のトランスポンダを選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、それによりオフセット周波数を取得し、第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を1回目に取得した時刻がTk(1)で、取得したオフセット周波数がΔFk(1)であり、第n番目(n=1、2、・・・、N、n≠k)のトランスポンダのオフセット周波数を取得した時刻がTn(1)で、取得したオフセット周波数がΔFn(1)であり、第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を2回目に取得した時刻がTk(2)で、取得したオフセット周波数がΔFk(2)のときに、n=1、2、・・・、N(n≠k)につき、ΔFn(2)=ΔFn(1)+(ΔFk(2)−ΔFk(1))×(Tk(2)−Tn(1))/(Tk(2)−Tk(1))を算出し、m=1〜Nにつき、前記第2の記憶手段内の第m番目のトランスポンダのオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(2)に補正する。
【0020】
さらに、好ましくは、前記k番目のトランスポンダは、前記第1番目のトランスポンダである。
【0021】
好ましくは、前記制御手段は、オートサーチ時に、第1番目のトランスポンダから第N番目のトランスポンダまで順次選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、取得した前記オフセット周波数と前記オフセットシンボルレートを前記第2の記憶手段に記憶させ、さらに、第1番目のトランスポンダから第N番目のトランポンダまでを順次選択して前記選局および前記復調を行なわせる処理を1周期の処理として、当該周期の処理を繰返させ、第n番目のトランスポンダのX周期目に取得したオフセット周波数をΔFn(X)と表わしたときに、n=1〜Nにつき、ΔFn(X)=ΔFn(X−1)となったときに、m=1〜Nにつき、前記第2の記憶手段内の第m番目のトランスポンダのオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(X)に補正する。
【0022】
好ましくは、前記制御手段は、さらに、所望のトランスポンダを選局した後、前記トランスポンダの変化したオフセット周波数を取得して、前記第2の記憶手段内の前記選局されたトランスポンダのオフセット周波数を読み出して、前記読出したオフセット周波数と前記取得したオフセット周波数との差分値を算出し、前記第2の記憶手段内のすべてのトランスポンダのオフセット周波数を、前記差分値が加算された値に更新する。
【0023】
この発明に係る受信プログラムは、アンテナより入力される受信信号よりトランスポンダからの信号を選局して選局された信号を出力する選局手段と、前記選局手段より出力される信号に対して、キャリア再生とタイミング再生を行って復調を行なう復調手段とを備えた受信装置を制御するためにコンピュータを、各トランスポンダに対応して周波数とシンボルレートを記憶する第1の記憶手段と、各トランポンダに対応してオフセット周波数とオフセットシンボルレートを記憶する第2の記憶手段と、オートサーチ時に、前記第1の記憶手段内の各トランスポンダに対するシンボルレートと周波数とに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に復調させ、前記復調手段で前記キャリア再生がロックしたときのオフセット周波数と、前記タイミング再生がロックしたときのオフセットシンボルレートとを取得して前記第2の記憶手段に記憶させ、所望のトランスポンダを視聴選局時に、前記第1の記憶手段内の選局されたトランスポンダに対応する周波数とシンボルレートと、前記第2の記憶手段内の選局されたトランスポンダに対応するオフセット周波数とオフセットシンボルレートとを読出して、オフセット補正された周波数とオフセット補正されたシンボルレートに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に復調させる制御手段として機能させるオフセット設定プログラムであって、前記制御手段は、オートサーチ時に、第1番目のトランスポンダから第N番目のトランスポンダまで順次選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、取得した前記オフセット周波数と前記オフセットシンボルレートを前記第2の記憶手段に記憶させ、さらに、第k番目のトランスポンダを選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、それによりオフセット周波数を取得し、第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を1回目に取得した時刻がTk(1)で、取得したオフセット周波数がΔFk(1)であり、第n番目(n=1、2、・・・、N、n≠k)のトランスポンダのオフセット周波数を取得した時刻がTn(1)で、取得したオフセット周波数がΔFn(1)であり、第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を2回目に取得した時刻がTk(2)で、取得したオフセット周波数がΔFk(2)のときに、n=1、2、・・・、N(n≠k)につき、ΔFn(2)=ΔFn(1)+(ΔFk(2)−ΔFk(1))×(Tk(2)−Tn(1))/(Tk(2)−Tk(1))を算出し、m=1〜Nにつき、前記第2の記憶手段内の第m番目のトランスポンダのオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(2)に補正する。
【0024】
この発明に係る受信方法は、アンテナより入力される受信信号よりトランスポンダからの信号を選局して選局された信号を出力する選局手段と、前記選局手段より出力される信号に対して、キャリア再生とタイミング再生を行って復調を行なう復調手段とを備えた受信装置における受信方法であって、オートサーチ時に、各トランスポンダに対するシンボルレートと周波数とに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に復調させ、前記復調手段で前記キャリア再生がロックしたときのオフセット周波数と、前記タイミング再生がロックしたときのオフセットシンボルレートとを取得するオートサーチステップと、所望のトランスポンダを視聴選局時に、選局されたトランスポンダに対応する周波数とシンボルレートと、選局されたトランスポンダに対応するオフセット周波数とオフセットシンボルレートとによって、オフセット補正された周波数とオフセット補正されたシンボルレートに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に復調させる視聴選局ステップとを含み、前記オートサーチステップは、オートサーチ時に、第1番目のトランスポンダから第N番目のトランスポンダまで順次選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、前記オフセット周波数と前記オフセットシンボルレートを取得し、さらに、第k番目のトランスポンダを選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、それによりオフセット周波数を取得し、第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を1回目に取得した時刻がTk(1)で、取得したオフセット周波数がΔFk(1)であり、第n番目(n=1、2、・・・、N、n≠k)のトランスポンダのオフセット周波数を取得した時刻がTn(1)で、取得したオフセット周波数がΔFn(1)であり、第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を2回目に取得した時刻がTk(2)で、取得したオフセット周波数がΔFk(2)のときに、n=1、2、・・・、N(n≠k)につき、ΔFn(2)=ΔFn(1)+(ΔFk(2)−ΔFk(1))×(Tk(2)−Tn(1))/(Tk(2)−Tk(1))を算出し、m=1〜Nにつき、第m番目のトランスポンダのオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(2)に補正する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0026】
(構成)
図1は、本実施の形態に係る衛星放送受信装置の構成を示す。同図を参照して、衛星放送受信装置は、アンテナ18と、LNB1と、選局部100と、復調部110と、FEC部120と、オートサーチ制御部20と、選局制御部21と、初期値記憶部22と、オフセット値記憶部23とから構成される。
【0027】
アンテナ18は、トランスポンダから送信されるCバンド(3.6〜4.2GHzの周波数)またはKuバンド(12.2〜12.75GHzの周波数)の電波を受信する。LNB1は、アンテナで受信した電波を950〜2150MHzのRF(高周波)信号に変換する。
【0028】
選局部100は、LNB1から送られた信号から選局したトランスポンダから送信される信号を抽出してI信号とQ信号を生成するもので、コンデンサCと、RF増幅回路2と、乗算器3と、局部発振回路4と、SAW(Surface AcousticWave)フィルタ5と、IF増幅回路6と、局部発振回路7と、π/2移相器8と、乗算器9と、乗算器10と、LPF11と、LPF12とを含む。
【0029】
コンデンサCは、アンテナで受信したRF信号の直流成分をカットする。RF増幅回路2は、RF信号を増幅する。局部発振回路4は、IF信号(中間周波数信号)を生成するための信号を出力する。乗算器3は、RF信号と局部発振回路4から送出される信号とを乗算してIF(中間周波数)信号を生成する。SAWフィルタ5は、ミキサーより送信される信号よりIF信号以外の帯域の信号をカットする。IF増幅回路6は、IF信号を増幅する。局部発振回路7は、選局制御部21より指示された周波数の正弦波信号を出力する。π/2移相器8は、局部発振回路7からの正弦波信号をπ/2移相する。乗算器9は、受信信号と局部発振回路7からの正弦波信号とを乗算してI信号を生成する。乗算器10は、受信信号とπ/2移相器8からの正弦波信号とを乗算してQ信号を生成する。LPF11は、乗算器9の出力信号(I信号)の低周波成分を通過させる。LPF12は、乗算器10の出力信号(Q信号)の低周波成分を通過させる。
【0030】
復調部110は、A/D変換器13と、A/D変換器14と、タイミング再生部15と、キャリア再生部17と、複素乗算器16と、レジスタ19とを含む。
【0031】
A/D変換器13は、増幅されたアナログI信号をデジタルI信号に変換する。A/D変換器14は、増幅されたアナログQ信号をデジタルQ信号に変換する。
【0032】
タイミング再生部15は、選局制御部21で設定されたシンボルレートに基づいて、タイミング再生を行ない、タイミング再生されたIおよびQデジタル信号を出力する。また、タイミング再生部15は、ロック後のシンボルレートと初期シンボルレートとの差であるオフセットシンボルレートをレジスタ19に書込む。タイミング再生部15は、CPUがプログラムを実行することにより上記機能を実行する。
【0033】
複素乗算器16は、キャリア再生部17から出力される位相補正量に基づき、タイミング再生部15から出力されるIおよびQデジタル信号のシンボルの位相回転を補正して出力する。
【0034】
キャリア再生部17は、選局制御部21で設定された周波数に基づいて、キャリア再生を行ない、位相補正量を出力する。また、キャリア再生部17は、ロック後の周波数と設定された周波数との差であるオフセット周波数をレジスタ19に書込む。キャリア再生部17は、CPUがプログラムを実行することにより上記機能を実行する。
【0035】
レジスタ19は、オフセットシンボルレートおよびオフセット周波数を記憶する。
【0036】
FEC部120は、複素乗算器16の出力信号の誤り訂正を行なって、復調信号を出力する。
【0037】
初期値記憶部22は、図2に示すように、各トランスポンダに対応して初期周波数(Fn)と初期シンボルレート(Rn)を記憶する。
【0038】
オフセット値記憶部23は、図3に示すように、各トランスポンダに対応してオフセット周波数(ΔFn)とオフセットシンボルレート(ΔRn)を記憶する。
【0039】
オートサーチ制御部20は、選局制御部21に順次、トランスポンダTP1からトランスポンダTPNまで選局させる。
【0040】
選局制御部21は、オートサーチ時、視聴選局時において、次のような処理を行なう。
【0041】
(オートサーチ時)
選局制御部21は、オートサーチ制御部20の指示で、トランスポンダTP1、TP2、・・・、TPNを順次選局する。すなわち、選局制御部21は、初期値記憶部22より、トランスポンダTPnに対応する初期周波数と初期シンボルレートとを読出し、読み出した周波数で発振するように局部発振回路7を制御し、読み出した周波数を基にしてキャリア再生するようにキャリア再生部17を制御し、読み出したシンボルレートを基にしてタイミング再生をするようにタイミング再生部15を制御する。
【0042】
選局制御部21は、時刻T1(1)、T2(1)、・・・、TN(1)において、それぞれ、TP1のオフセット周波数ΔF1(1)およびオフセットシンボルレートΔR(1)、TP2のオフセット周波数ΔF2(1)およびオフセットシンボルレートΔR(2)、・・・、TPNのオフセット周波数ΔFN(1)およびオフセットシンボルレートΔR(N)をレジスタ19から読出してオフセット値記憶部23に記憶させる。
【0043】
衛星放送受信装置の部品は、温度に依存した動作性能を示す。特に、電源投入直後のオートサーチ時には、冷えた状態から徐々に温まるため、最初は、オフセット周波数が大きいが、次第に小さくなる。そこで、選局制御部21は、トランスポンダTPNに対しての処理が終了したら、図4に示すようにしてオフセット周波数の補正を行なう。オフセットシンボルレートについては、外部環境による変動は小さいので、補正は行なわない。
【0044】
すなわち、選局制御部21は、時刻T1(2)において、レジスタ19からオフセット周波数ΔF1(2)を読出し、また、オフセット値記憶部22に記憶されているオフセット周波数ΔF1(1)を読出し、ΔF1(2)からΔF1(1)を減算した差分値δfを算出する。
【0045】
TP1のオフセット周波数は、時刻が経過すると温度が変化するので、時間変化する。つまり、時刻T1(2)で取得したときには、時刻T1(1)で取得したときよりも、δf=ΔF1(2)−ΔF1(1)だけ変化している。TP1のオフセット周波数ΔF1を、ΔF1(1)から最新の値であるΔF1(2)に補正する。
【0046】
TPn(n=2、3、・・・、N)のオフセット周波数については、時刻Tn(1)で取得したきには、ΔFn(1)である。しかし、時間変化により、時刻Tn(1)以降で取得したときのオフセット周波数は、ΔFn(1)と異なる。TPnのオフセット周波数についても、時刻T1(2)で取得されたときに得られると予想される値に補正する。
【0047】
ここで、オフセット周波数の時間的な変動量は、すべてのTPについて、同一であり、時間とともに線形に変化すると考える。
【0048】
そうすると、時刻Tn(1)から、時刻T1(2)までのTPnのオフセット周波数の時間的な変動量は、δfn=δf×(T1(2)−Tn(1))/(T1(2)−T1(1))であると考えられる
選局制御部21は、n=2、3、・・・、Nについて、時刻T1(2)で取得したときに予想されるTPnのオフセット周波数ΔFn(2)を次式で算出する。
【0049】
ΔFn(2)=ΔFn(1)+δfn=ΔFn(1)+δf×(T1(2)−Tn(1))/(T1(2)−T1(1))
選局制御部21は、オフセット値記憶部23に記憶されているすべてのTPm(m=1、2、・・・、N)のオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(2)に補正する。
【0050】
(視聴選局時)
選局制御部21は、ユーザより、視聴時に、所望のトランスポンダTPkが選局されると、トランポンダTPkに対応する初期周波数と初期シンボルレートを初期値記憶部22から読出し、トランスポンダTPkに対応するオフセット周波数とオフセットシンボルレートとをオフセット値記憶部23から読出す。選局制御部21は、オフセット補正した周波数で発振するように局部発振回路7を制御し、オフセット補正した周波数を基にしてキャリア再生するようにキャリア再生部17を制御し、オフセット補正したシンボルレートを基にしてタイミング再生をするようにタイミング再生部15を制御する。
【0051】
衛星放送受信装置の部品は、温度に依存した動作性能を示すので、周囲の温度が変化すると、オートサーチ後の視聴選局時においても、オフセット周波数が変化する場合がある。
【0052】
そこで、選局制御部21は、視聴選局時の温度変化によるオフセット周波数の変化に対応した処理を行なう。すなわち、選局制御部21は、一定周期ごとにレジスタ19からオフセット周波数ΔFk’を読出す。選局制御部21は、このオフセット周波数ΔFk’がオフセット値記憶部23に記憶されているオフセット周波数ΔFkと相違するか否かを調べる。選局制御部21は、相違する場合には、ΔFk’からΔFkを減算した差分値α(=ΔFk’−ΔFk)を算出する。選局制御部21は、オフセット値記憶部23に記憶されているすべてのトランスポンダTPm(m=1、2、・・・、N)のオフセット周波数ΔFmに差分値αを加算して、加算された値ΔFm’(=ΔFm+α)でオフセット値記憶部23内のオフセット周波数を更新する。
【0053】
(動作)
次に、図5に示す衛星放送受信装置の動作手順を定めたフローチャートを参照して、この衛星放送受信装置の動作について説明する。
【0054】
オートサーチ制御部20からの指示により、選局制御部21は第n番目のトランスポンダ(TPn)を選局する。すなわち、選局制御部21は、初期値記憶部22より、第n番目のトランスポンダ(TPn)に対応する初期周波数と初期シンボルレートとを読出し、読み出した周波数で発振するように局部発振回路7を制御し、読み出した周波数を基にしてキャリア再生するようにキャリア再生部17を制御し、読み出したシンボルレートを基にしてタイミング再生をするようにタイミング再生部15を制御する(ステップS41)。
【0055】
選局部100では、局部発振回路7が設定された周波数に基づき信号を発信することによって、トランスポンダTPnから送信された信号より生成されたI信号とQ信号を出力する。
【0056】
復調部110では、選局部100から出力されるI信号およびQ信号に対して、タイミング再生部15でタイミング再生を行ない、キャリア再生部17でキャリア再生を行なって、複素乗算器16より復調された信号を出力する。ここで、タイミング再生部15は、選局制御部21で設定されたシンボルレートを基にしてタイミング再生を行なう。タイミング再生部15は、ロック後のシンボルレートと設定された初期シンボルレートとの差であるオフセットシンボルレートをレジスタ19に書込む。また、キャリア再生部17は、選局制御部21で設定された周波数を基にしてキャリア再生を行なう。キャリア再生部17は、ロック後の周波数と設定された初期周波数との差であるオフセット周波数ΔFn(1)をレジスタ19に書込む(ステップS42)
選局制御部21は、時刻Tn(1)において、レジスタ19からオフセットシンボルレートとオフセット周波数ΔFn(1)を読み出してオフセット値記憶部23に記憶する(ステップS43)。
【0057】
次に、選局制御部21は、すべてのトランポンダに対してのステップS41およびステップS42の処理を繰返し、最後のトランスポンダ(TPN)に対しての処理が終了したら(ステップS44)、再度、第1番目のトランポンダに対するステップS41およびステップS42の処理を行なう(ステップS45)。
【0058】
選局制御部21は、時刻T1(2)において、レジスタ19からオフセット周波数ΔF1(2)を読出し、また、オフセット値記憶部23に記憶されているオフセット周波数ΔF1(1)を読出し、ΔF1(2)からΔF1(1)を減算した差分値δfを算出する(ステップS46)。
【0059】
そして、選局制御部21は、n=2、3、・・・、Nについて、ΔFn(2)=ΔFn(1)+δf×(T1(2)−Tn(1))/(T1(2)−T1(1))を算出する(ステップS47)。
【0060】
選局制御部21は、オフセット値記憶部23に記憶されているすべてのオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(2)(m=1、2、・・・、N)に補正する(ステップS48)。
【0061】
次に、ユーザより、視聴時に、所望のトランスポンダTPkが選局されると、選局制御部21は、トランポンダTPkに対応する初期周波数と初期シンボルレートを初期値記憶部22から読出し、トランスポンダTPkに対応するオフセット周波数とオフセットシンボルレートとをオフセット値記憶部23から読出す。選局制御部21は、オフセット補正した周波数で発振するように局部発振回路7を制御し、オフセット補正した周波数を基にしてキャリア再生するようにキャリア再生部17を制御し、オフセット補正したシンボルレートを基にしてタイミング再生をするようにタイミング再生部15を制御する(ステップS49)。
【0062】
選局部100では、局部発振回路7が設定された周波数に基づき信号を発信することによって、トランスポンダTPnからの信号より生成されたI信号とQ信号を出力する。
【0063】
復調部110では、選局部100から出力されるI信号およびQ信号に対して、タイミング再生部15でタイミング再生を行ない、キャリア再生部17でキャリア再生を行なって、複素乗算器16より復調された信号を出力する。ここで、タイミング再生部15は、選局制御部21で設定されたオフセット補正されたシンボルレートを基にしてタイミング再生を行なう。また、キャリア再生部17は、選局制御部21で設定されたオフセット補正された周波数を基にしてキャリア再生を行なう。キャリア再生部17は、周波数が変化した場合に、ロック後の周波数と初期周波数との差であるオフセット周波数ΔFk’をレジスタ19に書込む(ステップS50)。
【0064】
選局制御部21は、一定周期ごとにレジスタ19からオフセット周波数ΔFk’を読出して、オフセット値記憶部23に記憶されているオフセット周波数ΔFkと相違するか否かを調べ(ステップS51)、相違する場合には、ΔFk’からΔFkを減算した差分値αを算出する(ステップS52)。
【0065】
そして、選局制御部21は、オフセット値記憶部23に記憶されているすべてのトランスポンダのオフセット周波数ΔFmに差分値αを加算して、加算された値でオフセット値記憶部23内のオフセット周波数を更新する(ステップS53)。
【0066】
以上のように本実施の形態に係る衛星放送受信装置によれば、オートサーチ時に取得したオフセット周波数とオフセットシンボルレートを記憶しておき、視聴選局時に、選局されたトランスポンダのオフセットシンボルレートとオフセット周波数を読み出して、オフセット補正された周波数とシンボルレートで受信信号を選局し復調するので、選局されたトラスポンダから送信される信号を復調するための時間を短くすることができる。
【0067】
(変形例)
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、以下の変形例も当然ながら包含する。
【0068】
(1) オートサーチ時の周波数の補正方法について
オートサーチ時に、トランスポンダTP1を2回目に選択した時刻TP1(2)において、温度変動が落ち着いていないこともある。その場合には、オフセット周波数はTP1(2)以降も変動することになる。
【0069】
そこで、温度変動が落ち着いたときに取得したオフセット周波数で、オフセット値記憶部23内のオフセット周波数を補正するようにしてもよい。すなわち、選局制御部21は、TP1〜TPNの選択を1周期として、この周期を次のようにオフセット周波数の変動がなくなるとみなすことができる状態になるまで繰返す。X周期のTPnのオフセット周波数をΔFn(X)で表わすとする。選局制御部21は、X周期において、すべてのnについて、ΔFn(X)=ΔFn(X−1)が成立するときに、温度変動による周波数の変動がなくなったものとみなして、オートサーチを終了する。選局制御部21は、すべてのトランスポンダTPm(m=1、2、・・・、N)のオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(P)に補正する。
【0070】
(2) オートサーチ時に2回目に選択するTPについて
本実施の形態では、オートサーチ時にTP1を2回選択したが、これに限定するものではない。より、一般的には、以下に説明するように、2回目に選択するTPは、TP1〜TPNのいずれであってもよい。
【0071】
すなわち、オートサーチ時には、トランスポンダTP1、TP2、・・・、TPNを順次選局する。そして、時刻T1(1)、T2(1)、・・・、TN(1)において、それぞれ、TP1のオフセット周波数ΔF1(1)、TP2のオフセット周波数ΔF2(1)、・・・、TPNのオフセット周波数ΔFN(1)を取得する。
【0072】
選局制御部21は、時刻Tk(2)において、レジスタ19からオフセット周波数ΔF1(2)を読出し、また、オフセット値記憶部23に記憶されているオフセット周波数ΔFk(1)を読出し、ΔFk(2)からΔFk(1)を減算した差分値δfを算出する。
【0073】
TPkのオフセット周波数は、時刻が経過すると温度が変化するので、時間変化する。つまり、時刻Tk(2)で取得したときには、時刻Tk(1)で取得したときよりも、δf=ΔFk(2)−ΔFk(1)だけ変化している。TPkのオフセット周波数ΔFkを、ΔFk(1)から最新の値であるΔFk(2)に補正する。
【0074】
TPn(n=1、2、・・・、N、n≠k)のオフセット周波数については、時刻Tn(1)で取得したときには、ΔFn(1)である。しかし、時間変化するので、時刻Tn(1)以降で取得したときのオフセット周波数は、ΔFn(1)と異なる。TPnのオフセット周波数についても、時刻Tk(2)で取得されたときに得られると予想される値に補正する。
【0075】
ここで、オフセット周波数の時間的な変動量は、すべてのTPについて、同一であり、時間とともに線形に変化すると考える。
【0076】
そうすると、時刻Tn(1)から、時刻Tk(2)までのTPnのオフセット周波数の時間的な変動量は、δfn=δf×(Tk(2)−Tn(1))/(Tk(2)−Tk(1))であると考えられる。
【0077】
選局制御部21は、n=1、2、・・・、N(n≠k)について、時刻Tk(2)で取得したときに予想されるTPnのオフセット周波数ΔFn(2)を次式で算出する。
【0078】
ΔFn(2)=ΔFn(1)+δfn=ΔFn(1)+δf×(Tk(2)−Tn(1))/(Tk(2)−Tk(1))
選局制御部21は、オフセット値記憶部23に記憶されているすべてのTPm(m=1、2、・・・、N)のオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(2)に補正する。
【0079】
以上のように、2回目の選択するトランスポンダTPkは、TP1〜TPNのいずれであってもよいが、2回目に選択するTPkがTP1であると、以下の利点がある。
【0080】
1回目に選択するときに、TP1は、第1番目に選択されるので、2回目にTP1を選択すると、δfは、長時間におけるオフセット周波数の変化量となるので、ノイズの影響が低減され、ΔFn(2)の予測精度は、一般的によくなる。
【0081】
また、TPk≠TP1では、TPn(1<n<k)について、δfnは、δfを外挿補間して算出されるが、TPk=TP1とすると、すべてのTPnについて、δfnは、δfを内挿補間して算出されるので、ΔFn(2)の予測精度は、一般的によくなる。
【0082】
(3) オートサーチ後のオフセット周波数の更新について
本実施の形態では、受信中のトランスポンダTPkの周波数が温度変化のため変動した場合、新たなオフセット値ΔFk’と、オフセット値記憶部23に記憶されているトランスポンダTPkのオフセット周波数ΔFkとの差分値αを算出して、オフセット値記憶部23内のすべてのトランスポンダTPm(m=1、2、・・・、N)のオフセット周波数をΔFm’=ΔFm+αに更新したが、これに限定するものではない。オフセット値記憶部23内には、オートサーチ終了後のオフセット周波数を格納しておき、上記差分値を記憶するための差分値記憶部を別途設けて、新たに差分値が得られるごとに記憶している差分値を更新するようにする。そして、トランスポンダを選局したときに、オフセット値記憶部23内のそのトランスポンダのオートサーチ終了時のオフセット周波数と差分値記憶部内の差分値とを加算して、そのトランスポンダのオフセット周波数とするようにしてもよい。
【0083】
(4) 視聴選局時のオフセット周波数の更新について
本実施の形態では、視聴選局時には、キャリア再生部17が、オートサーチ時のキャリア再生と同様な方法でキャリア再生することにより新たオフセット周波数が得られたが、これに限定するものではない。たとえば、特開2001−177586号公報に記載されているようにキャリア再生部がトラッキング回路を有し、このトラッキング回路の働きにより、オフセット周波数の時間変化に追従してキャリア再生を行なうことで、新たなオフセット周波数を取得するものとしてもよい。
【0084】
(5) キャリア再生およびタイミング再生について
本実施の形態では、キャリア再生とタイミング再生は、CPUがプログラムを実行することにより行なわれたが、専用のハードウエアで行なわれるものとしてもよい。
【0085】
(6) 本実施の形態では、すべて専用のハードウエアで行なわれる必要はなく、たとえば、コンピュータが、プログラムによって、オートサーチ制御部20と、選局制御部21と、初期値記憶部22と、オフセット値記憶部23の機能を実行するものであってもよい。
【0086】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0087】
【発明の効果】
この発明に係わるに受信装置によれば、アンテナより入力される受信信号よりトランスポンダからの信号を選局して、選局された信号を出力する選局手段と、前記選局手段より出力される信号に対して、キャリア再生とタイミング再生を行って、復調を行なう復調手段と、各トランスポンダに対応して周波数とシンボルレートを記憶する第1の記憶手段と、各トランポンダに対応してオフセット周波数とオフセットシンボルレートを記憶する第2の記憶手段と、オートサーチ時に、前記第1の記憶手段内の各トランスポンダに対するシンボルレートと周波数とに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に前記選局手段より出力される信号を復調させ、前記復調手段で前記キャリア再生がロックしたときのオフセット周波数と、前記タイミング再生がロックしたときのオフセットシンボルレートとを取得し、前記第2の記憶手段に記憶させ、所望のトランスポンダを視聴選局時に、前記第1の記憶手段内の選局されたトランスポンダに対応する周波数とシンボルレートと、前記第2の記憶手段内の選局されたトランスポンダに対応するオフセット周波数とオフセットシンボルレートとを読出して、オフセット補正された周波数とオフセット補正されたシンボルレートに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に前記選局手段より出力される信号を復調させる制御手段とを備えたので、視聴選局時に選局されたトラスポンダから送信される信号を短時間で復調することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る衛星放送受信装置の構成を示す図である。
【図2】初期値記憶部22の記憶例を示す図である。
【図3】オフセット値記憶部23の記憶例を示す図である。
【図4】オートサーチ時のオフセット周波数の補正を説明するための図である。
【図5】衛星放送受信装置の動作手順を定めたフローチャートである。
【図6】衛星放送システムの構成を示す図である。
【図7】キャリア再生回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
C コンデンサ、1 LNB、2 RF増幅回路、3,9,10 乗算器、4,7 局部発振回路、5 SAWフィルタ、6 IF増幅回路、8 π/2移相器、11,12 LPF、13,14 A/D変換器、15 タイミング再生部、16,85 複素乗算器、17 キャリア再生部、18 アンテナ、20 オートサーチ制御部、21 選局制御部、22 初期値記憶部、23 オフセット値記憶部、80 キャリア再生回路、81 位相比較器、82、ループフィルタ、83 数値制御発振器、84 正弦/余弦データ生成器、98 衛星放送受信装置、99 衛星、100 選局部、110 復調部、120 FEC部。
Claims (7)
- アンテナより入力される受信信号よりトランスポンダからの信号を選局して、選局された信号を出力する選局手段と、
前記選局手段より出力される信号に対して、キャリア再生とタイミング再生を行って、復調を行なう復調手段と、
各トランスポンダに対応して周波数とシンボルレートを記憶する第1の記憶手段と、
各トランポンダに対応してオフセット周波数とオフセットシンボルレートを記憶する第2の記憶手段と、
オートサーチ時に、前記第1の記憶手段内の各トランスポンダに対するシンボルレートと周波数とに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に前記選局手段より出力される信号を復調させ、前記復調手段で前記キャリア再生がロックしたときのオフセット周波数と、前記タイミング再生がロックしたときのオフセットシンボルレートとを取得して前記第2の記憶手段に記憶させ、所望のトランスポンダを視聴選局時に、前記第1の記憶手段内の選局されたトランスポンダに対応する周波数とシンボルレートと、前記第2の記憶手段内の選局されたトランスポンダに対応するオフセット周波数とオフセットシンボルレートとを読出して、オフセット補正された周波数とオフセット補正されたシンボルレートに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に前記選局手段より出力される信号を復調させる制御手段とを備えた受信装置。 - 前記制御手段は、
オートサーチ時に、第1番目のトランスポンダから第N番目のトランスポンダまで順次選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、取得した前記オフセット周波数と前記オフセットシンボルレートとを前記第2の記憶手段に記憶させ、
さらに、第k番目のトランスポンダを選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、それによりオフセット周波数を取得し、
第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を1回目に取得した時刻がTk(1)で、取得したオフセット周波数がΔFk(1)であり、第n番目(n=1、2、・・・、N、n≠k)のトランスポンダのオフセット周波数を取得した時刻がTn(1)で、取得したオフセット周波数がΔFn(1)であり、第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を2回目に取得した時刻がTk(2)で、取得したオフセット周波数がΔFk(2)のときに、n=1、2、・・・、N(n≠k)につき、ΔFn(2)=ΔFn(1)+(ΔFk(2)−ΔFk(1))×(Tk(2)−Tn(1))/(Tk(2)−Tk(1))を算出し、
m=1〜Nにつき、前記第2の記憶手段内の第m番目のトランスポンダのオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(2)に補正する、請求項1記載の受信装置。 - 前記k番目のトランスポンダは、前記第1番目のトランスポンダである、請求項2記載の受信装置。
- 前記制御手段は、
オートサーチ時に、第1番目のトランスポンダから第N番目のトランスポンダまで順次選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、取得した前記オフセット周波数と前記オフセットシンボルレートを前記第2の記憶手段に記憶させ、
さらに、第1番目のトランスポンダから第N番目のトランポンダまでを順次選択して前記選局および前記復調を行なわせる処理を1周期の処理として、当該周期の処理を繰返させ、
第n番目のトランスポンダのX周期目に取得したオフセット周波数をΔFn(X)と表わしたときに、n=1〜Nにつき、ΔFn(X)=ΔFn(X−1)となったときに、m=1〜Nにつき、前記第2の記憶手段内の第m番目のトランスポンダのオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(X)に補正する、請求項1記載の受信装置。 - 前記制御手段は、さらに、
所望のトランスポンダを選局した後、前記トランスポンダの変化したオフセット周波数を取得して、
前記第2の記憶手段内の前記選局されたトランスポンダのオフセット周波数を読み出して、
前記読出したオフセット周波数と前記取得したオフセット周波数との差分値を算出し、
前記第2の記憶手段内のすべてのトランスポンダのオフセット周波数を前記差分値が加算された値に更新する、請求項1記載の受信装置。 - アンテナより入力される受信信号よりトランスポンダからの信号を選局して選局された信号を出力する選局手段と、前記選局手段より出力される信号に対して、キャリア再生とタイミング再生を行って復調を行なう復調手段とを備えた受信装置を制御するためにコンピュータを、
各トランスポンダに対応して周波数とシンボルレートを記憶する第1の記憶手段と、
各トランポンダに対応してオフセット周波数とオフセットシンボルレートを記憶する第2の記憶手段と、
オートサーチ時に、前記第1の記憶手段内の各トランスポンダに対するシンボルレートと周波数とに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に復調させ、前記復調手段で前記キャリア再生がロックしたときのオフセット周波数と、前記タイミング再生がロックしたときのオフセットシンボルレートとを取得して前記第2の記憶手段に記憶させ、
所望のトランスポンダを視聴選局時に、前記第1の記憶手段内の選局されたトランスポンダに対応する周波数とシンボルレートと、前記第2の記憶手段内の選局されたトランスポンダに対応するオフセット周波数とオフセットシンボルレートとを読出して、オフセット補正された周波数とオフセット補正されたシンボルレートに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に復調させる制御手段として機能させる受信プログラムであって、
前記制御手段は、
オートサーチ時に、第1番目のトランスポンダから第N番目のトランスポンダまで順次選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、取得した前記オフセット周波数と前記オフセットシンボルレートを前記第2の記憶手段に記憶させ、
さらに、第k番目のトランスポンダを選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、それによりオフセット周波数を取得し、
第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を1回目に取得した時刻がTk(1)で、取得したオフセット周波数がΔFk(1)であり、第n番目(n=1、2、・・・、N、n≠k)のトランスポンダのオフセット周波数を取得した時刻がTn(1)で、取得したオフセット周波数がΔFn(1)であり、第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を2回目に取得した時刻がTk(2)で、取得したオフセット周波数がΔFk(2)のときに、n=1、2、・・・、N(n≠k)につき、ΔFn(2)=ΔFn(1)+(ΔFk(2)−ΔFk(1))×(Tk(2)−Tn(1))/(Tk(2)−Tk(1))を算出し、
m=1〜Nにつき、前記第2の記憶手段内の第m番目のトランスポンダのオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(2)に補正する、受信プログラム。 - アンテナより入力される受信信号よりトランスポンダからの信号を選局して選局された信号を出力する選局手段と、前記選局手段より出力される信号に対して、キャリア再生とタイミング再生を行って復調を行なう復調手段とを備えた受信装置における受信方法であって、
オートサーチ時に、各トランスポンダに対するシンボルレートと周波数とに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に復調させ、前記復調手段で前記キャリア再生がロックしたときのオフセット周波数と、前記タイミング再生がロックしたときのオフセットシンボルレートとを取得するオートサーチステップと、
所望のトランスポンダを視聴選局時に、選局されたトランスポンダに対応する周波数とシンボルレートと、選局されたトランスポンダに対応するオフセット周波数とオフセットシンボルレートとによって、オフセット補正された周波数とオフセット補正されたシンボルレートに基づき、前記選局手段に受信信号を選局させ、前記復調手段に復調させる視聴選局ステップとを含み、
前記オートサーチステップは、
オートサーチ時に、第1番目のトランスポンダから第N番目のトランスポンダまで順次選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、前記オフセット周波数と前記オフセットシンボルレートを取得し、
さらに、第k番目のトランスポンダを選択して、前記選局および前記復調を行なわせ、それによりオフセット周波数を取得し、
第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を1回目に取得した時刻がTk(1)で、取得したオフセット周波数がΔFk(1)であり、第n番目(n=1、2、・・・、N、n≠k)のトランスポンダのオフセット周波数を取得した時刻がTn(1)で、取得したオフセット周波数がΔFn(1)であり、第k番目のトランスポンダのオフセット周波数を2回目に取得した時刻がTk(2)で、取得したオフセット周波数がΔFk(2)のときに、n=1、2、・・・、N(n≠k)につき、ΔFn(2)=ΔFn(1)+(ΔFk(2)−ΔFk(1))×(Tk(2)−Tn(1))/(Tk(2)−Tk(1))を算出し、
m=1〜Nにつき、第m番目のトランスポンダのオフセット周波数をΔFm(1)からΔFm(2)に補正する、受信方法。
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