JP2004127340A - 磁気テープの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値の全てを十分に小さくでき、高品質な磁気テープを製造することができる。
【解決手段】巻き戻しリール11に巻回された幅広な磁気テープ原反20を連続的に引き出して搬送させながら、スリッタ14で裁断することにより、複数の幅狭な磁気テープ26を製造する際に、磁気テープ原反20の幅方向端部から裁断する耳部20Aの裁断幅を8mm以上にする。
【選択図】 図1
【解決手段】巻き戻しリール11に巻回された幅広な磁気テープ原反20を連続的に引き出して搬送させながら、スリッタ14で裁断することにより、複数の幅狭な磁気テープ26を製造する際に、磁気テープ原反20の幅方向端部から裁断する耳部20Aの裁断幅を8mm以上にする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気テープの製造方法に係り、特に、カセットテープやビデオテープをはじめとして、コンピュータのデータバックアップ用の磁気テープの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カセットテープやビデオテープをはじめとして、コンピュータのデータバックアップ用にも使用されている各種の磁気テープの製造においては、リールにロール状に巻回された幅広で帯状な磁気テープ原反を複数のガイドローラ等を介して連続的に引き出してスリッタに搬送し、スリッタで複数本の幅狭な磁気テープに裁断する裁断工程を行う。
【0003】
ところで、磁気テープ原反は、通常、非磁性支持体上に強磁性微粒子を含む磁性層を塗布により形成し、その磁性層に配向処理、乾燥処理、表面処理等の各種の処理工程を経て製造されるが、製造されるまでにはリールに一旦巻き取ってから次の処理工程へいくための巻取操作が行なわれる。また、裁断工程においてもリールにロール状に巻回された磁気テープ原反を連続的に引き出してスリッタで裁断する。従って、図8に示すように、リールのハブ(巻き軸)に巻き取る際に巻きズレやツレ皺(縦皺)が生じないように、ロール厚みがロール2の両端部よりも中央部の方が厚い中高ロール形状になるように巻き取る。これにより、リールのハブ1に巻き取られる巻取り張力は磁気テープ原反の幅方向両端部において中央部よりも強く作用すると共に、中央部から両端部に向かって引き伸ばす力が作用するので、巻きズレやツレ皺を防止できる。中高ロール形状を形成するためには、塗布工程において支持体上に塗布される塗布液が、支持体幅方向の端部から中央部にいくに従って厚く塗布されるようにしている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
しかし、中高ロール形状は、巻きズレやツレ皺の防止には有効である反面、裁断工程で一定幅を有する複数の磁気テープに裁断しようとする際に、磁気テープ原反の幅方向テンションが不均一になり易く、裁断された磁気テープごとの裁断幅が均一にならないという問題がある。
【0005】
かかる問題を解決するために、磁気テープ原反のロール断面形状を測定し、測定したロール断面形状に対応させて形状吸収体の断面形状を複数のシリンダで変化させることにより磁気テープ原反の幅方向に均一なテンションをかけて裁断するようにしている(例えば特許文献2参照)。また、裁断される磁気テープの幅と同等かそれよりも狭い複数のテンショナー、例えば押圧ローラを磁気テープ原反の幅方向に裁断される磁気テープの数だけ配置し、エアシリンダからのエア圧を押圧源として押圧ローラで磁気テープ原反を押圧することにより磁気テープ原反の幅方向に均一なテンションをかけて裁断するようにしている(例えば特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61−293577号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2000−322735
【0008】
【特許文献3】
特開平9−7170号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、品質の高い磁気テープの条件として、基準裁断幅に対して実際に裁断された磁気テープの裁断幅の偏差を示す裁断幅偏差値が小さいこと、磁気テープの長さ方向における幅変動が小さいこと、及び磁気テープの長さ方向の湾曲値が小さいことが重要である。例えば、通称1/2インチテープ幅(基準裁断幅12.65mm)の磁気テープの場合には、裁断幅偏差値が基準裁断幅12.65mmに対して±10μm以内、幅変動が6μm以内、湾曲値が±3mm以内であることが望ましいと言われている。
【0010】
しかしながら、特許文献2及び3は、磁気テープの裁断幅偏差値を小さくする効果はあるが、幅変動や湾曲値を小さくする効果がなく、裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値の3つの条件の全てを十分に小さくできる磁気テープの製造方法が要望されている。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値の全てを十分に小さくでき、高品質な磁気テープを製造することができる磁気テープの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
発明者は、磁気テープ原反から裁断された全ての磁気テープについて裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値を調べたところ、スリッタの刃が等間隔で配列されているにも係わらず、磁気テープ原反の幅方向端部から裁断された磁気テープは、幅方向中央部から裁断された磁気テープに比べて、裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値の全てが最も悪く、内側テープほど良化傾向にある。また、磁気テープ原反は塗布工程において支持体上に磁性液等の塗布液が塗布されるが、支持体の両端は塗布液が塗布されない未塗布部分が形成されるため、磁気テープ原反を裁断する場合には、磁気テープ原反の端部における未塗布部分を含む所定幅を製品にはならない『耳部』として裁断する。従って、磁気テープ原反の幅方向最端部から得られる磁気テープ即ち耳部に隣接する磁気テープ(以下「最端磁気テープ」という)の裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値を小さくすることが、磁気テープ原反から裁断される全ての磁気テープの品質を上げることになる。
【0013】
発明者は、かかる知見を基に、耳部の裁断幅と最端磁気テープの裁断幅偏差値との関係、耳部の裁断幅と最端磁気テープの幅変動との関係、耳部の裁断幅と最端磁気テープの湾曲値との関係をそれぞれ調べたところ、磁気テープ原反の幅及び裁断される磁気テープの幅に関係なく耳部の裁断幅を8mm以上にすることで、裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値を同時に小さくできることが分かり、本発明は係る知見に基づいて成されたものである。
【0014】
本発明は前記目的を達成するために、リールに巻回された幅広な磁気テープ原反を連続的に引き出して搬送させながら、複数の刃を等間隔で配列したスリッタで裁断することにより、複数の幅狭な磁気テープを製造する磁気テープの製造方法において、前記磁気テープ原反の幅方向端部から裁断する耳部の裁断幅を8mm以上にすることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、耳部の裁断幅を8mm以上にしたので、磁気テープ原反から裁断される全ての磁気テープについて、裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値の全てを同時に小さくでき、常に高品質な磁気テープを製造することができる。更に好ましい耳部の裁断幅は10mm以上、特に好ましい耳部の裁断幅は15mm以上である。ちなみに、従来は、耳部の裁断幅を小さくして製品歩留りを上げる方向である。
【0016】
また、本発明における耳部の裁断幅は、磁気テープ原反の幅や裁断される磁気テープの幅に関係なく適用することが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る磁気テープの製造方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0018】
図1は、本発明の磁気テープの製造方法を適用する裁断装置の一例を示す構成図であり、図2はスリッタの側面図である。
【0019】
図1に示すように裁断装置10は、主として、巻き戻しリール11、スリッタ14、複数の巻取リール17で構成される。
【0020】
巻き戻しリール11のハブ12には、中高ロール形状に巻回された磁気テープ原反20のバルクが装着される。磁気テープ原反20は、通常、非磁性支持体上に強磁性微粒子を含む磁性層を塗布法や真空蒸着法等により形成し、その磁性層に配向処理、乾燥処理、表面処理等を行うことによって製造される。
【0021】
スリッタ14は、幅広で帯状の磁気テープ原反20を上下一対の回転刃30、32とから成る刃により複数本の磁気テープ26、26、…と耳部20Aに裁断する装置であり、図2に示す如く、受け刃としてローラ状に形成された複数の回転下刃30、30…と、回転下刃30との間で磁気テープ原反20に剪断力を与えて裁断する薄円盤状の複数の回転上刃32、32…とで構成される。回転下刃30は、下側シャフト34にスペーサ36を介して嵌合固定され、回転上刃32は、下側シャフト34と平行な上側シャフト38にスペーサ40を介して嵌合固定され、回転上刃32と回転下刃30との刃先部分が互いに重なり合うように配置されている。このスペーサ40により、回転刃30、32から成る刃は、等間隔に配列される。そして、回転上刃32は図示しないバネにより図2の軸方向右側に付勢され、回転上刃32の刃先部分が回転下刃30の刃先部分に当接した状態で位置決めされる。上側シャフト38と下側シャフト34はそれぞれ回転速度を自由に可変可能なモータ41、43に接続され、回転上刃32と回転下刃30の周速度を個別に可変できるようになっている。
【0022】
図1に示すように、巻き戻しリール11とスリッタ14との間には、磁気テープ原反20の搬送路を形成する複数のガイドローラ22、22、…と、磁気テープ原反20の搬送速度を規制するフィードローラ24が設けられる。
【0023】
フィードローラ24は、回転速度を自由に可変可能なモータ(図示せず)によって回転駆動される。そして、巻取リール17のハブ18の回転速度は、このフィードローラ24の周速度を基準として制御される。フィードローラ24としては、ピンチローラ或いはグランドサクションドラムを好適に使用することができ、図1ではピンチローラの例で示してある。ピンチローラは、駆動ローラ24Aと従動押圧ローラ24Bとで成る一対のローラで磁気テープ原反20を挟持搬送することにより磁気テープ原反20の搬送速度を制御すると共に、搬送路における磁気テープ原反20搬送方向におけるピンチローラ前後のテンションをカットする。グランドサクションドラムは、その周面に磁気テープ原反20を吸着して回転することにより、磁気テープ原反20の搬送速度を制御すると共に、搬送路における磁気テープ原反20搬送方向におけるグランドサクションドラム前後のテンションをカットする。
【0024】
スリッタ14とそれぞれの巻取リール17との間にはテンションローラ28が設けられ、裁断時における磁気テープ原反20の搬送方向のテンションが調整される。
【0025】
上記の如く構成された裁断装置10を用いて本発明の磁気テープの製造方法を行うには、巻き戻しリール11に巻回された幅広な磁気テープ原反20を連続的に引き出して搬送させながらスリッタ14で裁断する際に、磁気テープ原反20の幅方向端部から裁断する耳部20aの裁断幅L(図2参照)を8mm以上にする。耳部20Aの裁断幅Lの好ましい数値としては10mm以上であり、特に好ましい数値としては15mm以上である。また、かかる耳部20Aの裁断幅Lは磁気テープ原反20の幅や裁断される磁気テープ26の幅に関係なく適用することが好ましい。
【0026】
次に、耳部20Aの裁断幅Lと最端磁気テープ26A(磁気テープ原反20の幅方向最端部から得られる磁気テープ26)の裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値との関係を説明することにより、耳部20Aの裁断幅Lを8mm以上にする理由を説明する。尚、ここでは1/2インチ磁気テープ26の基準裁断幅である12.65mm幅に裁断するようにスリッタ14を設定した一例で説明する。
【0027】
図3は、耳部20Aの裁断幅Lと最端磁気テープ26Aの裁断幅偏差値との関係を示したものである。
【0028】
図3の曲線Aに示すように、耳部20Aの裁断幅Lを大きくしていくと、裁断幅偏差値は急激に減少し、耳部20Aの裁断幅8mm近傍を境としてその後は略横ばいになる。この曲線Aの傾向は、磁気テープ原反20の幅や裁断される磁気テープ26の幅に関係なく、耳部20Aの裁断幅8mm近傍を境として裁断幅偏差値が急激な減少から横ばいに変化する。また、耳部20Aの裁断幅Lが8mmのときの裁断幅偏差値は1.5μm程度であり、1/2インチ磁気テープに要望されている裁断幅偏差値の±10μmを十分に満足する。このように、耳部20Aの裁断幅Lの8mm近傍が、最端磁気テープ26Aの裁断幅偏差値を小さくするための臨界点となっている。これにより、耳部20Aの裁断幅Lを8mm以上にすることで、磁気テープ原反20から裁断された全ての磁気テープ26のうち、裁断幅偏差値が最も大きな最端磁気テープ26Aの裁断幅偏差値を小さくすることができる。従って、磁気テープ原反20から裁断される全ての磁気テープ26(最端磁気テープも含む)の裁断幅偏差値を十分に小さくすることができる。
【0029】
また、曲線Aから分かるように、耳部20Aの裁断幅Lを10mm以上にすることで、裁断幅偏差値を更に小さくでき、15mm以上にすることで基準裁断幅12.65mmと略同一になる。従って、耳部20Aの裁断幅Lは8mm以上であることが必要であるが、10mm以上、15mm以上にすれば更に良い。尚、耳部20Aの裁断幅Lは製品歩留りの点から小さい方が良いので上限は設定しなかったが、曲線Aから耳部20Aの裁断幅Lを20mm以上にしても裁断幅偏差値を小さくする効果は殆どないので、裁断幅偏差値に関して耳部20Aの裁断幅Lの上限を設けるならば20mmといえる。
【0030】
図4は、耳部20Aの裁断幅Lと最端磁気テープ26Aの幅変動との関係を示したものである。図4の曲線Bに示すように、耳部20Aの裁断幅Lを大きくしていくと、幅変動は急激に減少し、耳部の裁断幅8mm近傍を境としてその後は略横ばいになる。この曲線Bの変化は、磁気テープ原反20の幅や裁断される磁気テープ26の幅に関係なく、耳部20Aの裁断幅8mm近傍を境として幅変動は急激な減少から横ばいに変曲する。また、耳部20Aの裁断幅Lが8mmのときの幅変動は2.5μm程度であり、1/2インチ磁気テープに要望されている幅変動6μm以内を十分に満足する。このように、耳部20Aの裁断幅Lの8mm近傍が、最端磁気テープ26Aの幅変動を小さくするための臨界点となっている。これにより、耳部20Aの裁断幅Lを8mm以上にすることで、磁気テープ原反20から裁断された全ての磁気テープ26のうち、幅変動が最も大きな最端磁気テープ26Aの幅変動を小さくすることができる。従って、磁気テープ原反20から裁断される全ての磁気テープ26(最端磁気テープも含む)の幅変動を十分に小さくすることができる。
【0031】
また、曲線Bから分かるように、耳部20Aの裁断幅Lを10mm以上にすることで、幅変動を更に小さくでき、15mm以上にすることで上記裁断装置10の限界である2μmに近似する。従って、耳部20Aの裁断幅Lは8mm以上であることが必要であるが、10mm以上、15mm以上にすれば更に良い。尚、耳部20Aの裁断幅Lは製品歩留りの点から小さい方が良いので上限は設定しなかったが、曲線Bから耳部20Aの裁断幅Lを15mm以上にしても幅変動を小さくする効果は殆どないので、幅変動に関して耳部20Aの裁断幅Lの上限を設けるならば15mmといえる。
【0032】
ここで、磁気テープ26の幅変動とは磁気テープ26の長手方向における幅が変動することを言い、図6に示したように、裁断された幅寸法の最も大きい部分をX1 、幅寸法の最も大きい部分をX2 としたときにX1 −X2 で示される。
【0033】
図5は、耳部の裁断幅Lと最端磁気テープ26Aの湾曲値との関係を示したものである。図5の曲線Cに示すように、耳部20Aの裁断幅Lを大きくしていくと、湾曲値は急激に減少し、耳部20Aの裁断幅8mm近傍を境としてその後は略横ばいになる。この曲線Cの変化は、磁気テープ原反20の幅や裁断される磁気テープ26の幅に関係なく、耳部20Aの裁断幅8mm近傍を境として湾曲値は急激な減少から横ばいに変曲する。また、耳部20Aの裁断幅Lが8mmのときの湾曲値は1mm程度であり、1/2インチ磁気テープに要望されている湾曲値±3mm以内を十分に満足する。このように、耳部20Aの裁断幅Lの8mm近傍が、最端磁気テープ26Aの湾曲値を小さくするための臨界点となっている。これにより、耳部20Aの裁断幅Lを8mm以上にすることで、磁気テープ原反20から裁断された全ての磁気テープ26のうち、湾曲値が最も大きな最端磁気テープ26Aの湾曲値を小さくすることができる。従って、磁気テープ原反20から裁断される全ての磁気テープ(最端磁気テープも含む)の湾曲値を十分に小さくすることができる。
【0034】
また、曲線Cから分かるように、耳部20Aの裁断幅Lを10mm以上にすることで、湾曲値を更に小さくでき、15mm以上にすることで上記裁断装置10の限界である0.5mm程度に近似する。従って、耳部20Aの裁断幅Lは8mm以上であることが必要であるが、10mm以上、15mm以上にすれば更に良い。尚、耳部20Aの裁断幅Lは製品歩留りの点から小さい方が良いので上限は設定しなかったが、曲線Cから耳部20Aの裁断幅Lを15mm以上にしても幅変動を小さくする効果は殆どないので、湾曲値に関して耳部20Aの裁断幅Lの上限を設けるならば15mmといえる。
【0035】
ここで、磁気テープ26の湾曲値の測定方法を説明すると、図7に示すように、裁断後の長さ(W)1mの磁気テープ26をサンプリングして、精度良く平行線の書かれた平坦状の架台の上に載せ、両端位置を決めたときの中央部におけるエッジの湾曲値(D)を測定する。
【0036】
以上説明したように、耳部20Aの裁断幅Lを、磁気テープ原反20の幅や裁断された磁気テープ26の幅に関係なく、8mm以上、好ましくは10mm以上、更に好ましくは15mm以上にすることで、裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値の全てを同時に且つ十分に小さくでき、高品質な磁気テープを製造することができる。従って、耳部20Aの裁断幅Lを8mm以上にすることで、磁気テープ原反20から裁断される磁気テープ26の裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値の全ての課題を同時に解決することができる。また、耳部20Aの裁断幅Lの上限としては、裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値の全てを考慮すると20mmが好ましい。
【0037】
尚、本発明は磁気テープに適用したが、磁気テープと同様に、裁断幅L偏差値、幅変動、湾曲値が問題となる帯状物の全てに応用することが可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の磁気テープの製造方法によれば、裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値の全てを十分に小さくでき、高品質な磁気テープを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気テープの裁断方法を適用する裁断装置の構成図
【図2】本発明の磁気テープの裁断方法を適用する裁断装置のスリッタ構造を説明する説明図
【図3】耳部の裁断幅Lと最端磁気テープの裁断幅偏差値との関係を説明する説明図
【図4】耳部の裁断幅Lと最端磁気テープの幅変動との関係を説明する説明図
【図5】耳部の裁断幅Lと最端磁気テープの湾曲値との関係を説明する説明図
【図6】磁気テープの幅変動を説明する説明図
【図7】磁気テープの湾曲値を説明する説明図
【図8】中高ロール形状を説明する説明図
【符号の説明】
10…裁断装置、11…巻き戻しリール、12…ハブ、13…クラウンローラ、14…スリッタ、15…移動手段、17…巻取リール、18…ハブ、20…磁気テープ原反、20A…耳部、22…ガイドローラ、24…フィードローラ、26…磁気テープ、26A…最端磁気テープ、28…テンションローラ、30…回転下刃、32…回転上刃
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気テープの製造方法に係り、特に、カセットテープやビデオテープをはじめとして、コンピュータのデータバックアップ用の磁気テープの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カセットテープやビデオテープをはじめとして、コンピュータのデータバックアップ用にも使用されている各種の磁気テープの製造においては、リールにロール状に巻回された幅広で帯状な磁気テープ原反を複数のガイドローラ等を介して連続的に引き出してスリッタに搬送し、スリッタで複数本の幅狭な磁気テープに裁断する裁断工程を行う。
【0003】
ところで、磁気テープ原反は、通常、非磁性支持体上に強磁性微粒子を含む磁性層を塗布により形成し、その磁性層に配向処理、乾燥処理、表面処理等の各種の処理工程を経て製造されるが、製造されるまでにはリールに一旦巻き取ってから次の処理工程へいくための巻取操作が行なわれる。また、裁断工程においてもリールにロール状に巻回された磁気テープ原反を連続的に引き出してスリッタで裁断する。従って、図8に示すように、リールのハブ(巻き軸)に巻き取る際に巻きズレやツレ皺(縦皺)が生じないように、ロール厚みがロール2の両端部よりも中央部の方が厚い中高ロール形状になるように巻き取る。これにより、リールのハブ1に巻き取られる巻取り張力は磁気テープ原反の幅方向両端部において中央部よりも強く作用すると共に、中央部から両端部に向かって引き伸ばす力が作用するので、巻きズレやツレ皺を防止できる。中高ロール形状を形成するためには、塗布工程において支持体上に塗布される塗布液が、支持体幅方向の端部から中央部にいくに従って厚く塗布されるようにしている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
しかし、中高ロール形状は、巻きズレやツレ皺の防止には有効である反面、裁断工程で一定幅を有する複数の磁気テープに裁断しようとする際に、磁気テープ原反の幅方向テンションが不均一になり易く、裁断された磁気テープごとの裁断幅が均一にならないという問題がある。
【0005】
かかる問題を解決するために、磁気テープ原反のロール断面形状を測定し、測定したロール断面形状に対応させて形状吸収体の断面形状を複数のシリンダで変化させることにより磁気テープ原反の幅方向に均一なテンションをかけて裁断するようにしている(例えば特許文献2参照)。また、裁断される磁気テープの幅と同等かそれよりも狭い複数のテンショナー、例えば押圧ローラを磁気テープ原反の幅方向に裁断される磁気テープの数だけ配置し、エアシリンダからのエア圧を押圧源として押圧ローラで磁気テープ原反を押圧することにより磁気テープ原反の幅方向に均一なテンションをかけて裁断するようにしている(例えば特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61−293577号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2000−322735
【0008】
【特許文献3】
特開平9−7170号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、品質の高い磁気テープの条件として、基準裁断幅に対して実際に裁断された磁気テープの裁断幅の偏差を示す裁断幅偏差値が小さいこと、磁気テープの長さ方向における幅変動が小さいこと、及び磁気テープの長さ方向の湾曲値が小さいことが重要である。例えば、通称1/2インチテープ幅(基準裁断幅12.65mm)の磁気テープの場合には、裁断幅偏差値が基準裁断幅12.65mmに対して±10μm以内、幅変動が6μm以内、湾曲値が±3mm以内であることが望ましいと言われている。
【0010】
しかしながら、特許文献2及び3は、磁気テープの裁断幅偏差値を小さくする効果はあるが、幅変動や湾曲値を小さくする効果がなく、裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値の3つの条件の全てを十分に小さくできる磁気テープの製造方法が要望されている。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値の全てを十分に小さくでき、高品質な磁気テープを製造することができる磁気テープの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
発明者は、磁気テープ原反から裁断された全ての磁気テープについて裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値を調べたところ、スリッタの刃が等間隔で配列されているにも係わらず、磁気テープ原反の幅方向端部から裁断された磁気テープは、幅方向中央部から裁断された磁気テープに比べて、裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値の全てが最も悪く、内側テープほど良化傾向にある。また、磁気テープ原反は塗布工程において支持体上に磁性液等の塗布液が塗布されるが、支持体の両端は塗布液が塗布されない未塗布部分が形成されるため、磁気テープ原反を裁断する場合には、磁気テープ原反の端部における未塗布部分を含む所定幅を製品にはならない『耳部』として裁断する。従って、磁気テープ原反の幅方向最端部から得られる磁気テープ即ち耳部に隣接する磁気テープ(以下「最端磁気テープ」という)の裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値を小さくすることが、磁気テープ原反から裁断される全ての磁気テープの品質を上げることになる。
【0013】
発明者は、かかる知見を基に、耳部の裁断幅と最端磁気テープの裁断幅偏差値との関係、耳部の裁断幅と最端磁気テープの幅変動との関係、耳部の裁断幅と最端磁気テープの湾曲値との関係をそれぞれ調べたところ、磁気テープ原反の幅及び裁断される磁気テープの幅に関係なく耳部の裁断幅を8mm以上にすることで、裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値を同時に小さくできることが分かり、本発明は係る知見に基づいて成されたものである。
【0014】
本発明は前記目的を達成するために、リールに巻回された幅広な磁気テープ原反を連続的に引き出して搬送させながら、複数の刃を等間隔で配列したスリッタで裁断することにより、複数の幅狭な磁気テープを製造する磁気テープの製造方法において、前記磁気テープ原反の幅方向端部から裁断する耳部の裁断幅を8mm以上にすることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、耳部の裁断幅を8mm以上にしたので、磁気テープ原反から裁断される全ての磁気テープについて、裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値の全てを同時に小さくでき、常に高品質な磁気テープを製造することができる。更に好ましい耳部の裁断幅は10mm以上、特に好ましい耳部の裁断幅は15mm以上である。ちなみに、従来は、耳部の裁断幅を小さくして製品歩留りを上げる方向である。
【0016】
また、本発明における耳部の裁断幅は、磁気テープ原反の幅や裁断される磁気テープの幅に関係なく適用することが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る磁気テープの製造方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0018】
図1は、本発明の磁気テープの製造方法を適用する裁断装置の一例を示す構成図であり、図2はスリッタの側面図である。
【0019】
図1に示すように裁断装置10は、主として、巻き戻しリール11、スリッタ14、複数の巻取リール17で構成される。
【0020】
巻き戻しリール11のハブ12には、中高ロール形状に巻回された磁気テープ原反20のバルクが装着される。磁気テープ原反20は、通常、非磁性支持体上に強磁性微粒子を含む磁性層を塗布法や真空蒸着法等により形成し、その磁性層に配向処理、乾燥処理、表面処理等を行うことによって製造される。
【0021】
スリッタ14は、幅広で帯状の磁気テープ原反20を上下一対の回転刃30、32とから成る刃により複数本の磁気テープ26、26、…と耳部20Aに裁断する装置であり、図2に示す如く、受け刃としてローラ状に形成された複数の回転下刃30、30…と、回転下刃30との間で磁気テープ原反20に剪断力を与えて裁断する薄円盤状の複数の回転上刃32、32…とで構成される。回転下刃30は、下側シャフト34にスペーサ36を介して嵌合固定され、回転上刃32は、下側シャフト34と平行な上側シャフト38にスペーサ40を介して嵌合固定され、回転上刃32と回転下刃30との刃先部分が互いに重なり合うように配置されている。このスペーサ40により、回転刃30、32から成る刃は、等間隔に配列される。そして、回転上刃32は図示しないバネにより図2の軸方向右側に付勢され、回転上刃32の刃先部分が回転下刃30の刃先部分に当接した状態で位置決めされる。上側シャフト38と下側シャフト34はそれぞれ回転速度を自由に可変可能なモータ41、43に接続され、回転上刃32と回転下刃30の周速度を個別に可変できるようになっている。
【0022】
図1に示すように、巻き戻しリール11とスリッタ14との間には、磁気テープ原反20の搬送路を形成する複数のガイドローラ22、22、…と、磁気テープ原反20の搬送速度を規制するフィードローラ24が設けられる。
【0023】
フィードローラ24は、回転速度を自由に可変可能なモータ(図示せず)によって回転駆動される。そして、巻取リール17のハブ18の回転速度は、このフィードローラ24の周速度を基準として制御される。フィードローラ24としては、ピンチローラ或いはグランドサクションドラムを好適に使用することができ、図1ではピンチローラの例で示してある。ピンチローラは、駆動ローラ24Aと従動押圧ローラ24Bとで成る一対のローラで磁気テープ原反20を挟持搬送することにより磁気テープ原反20の搬送速度を制御すると共に、搬送路における磁気テープ原反20搬送方向におけるピンチローラ前後のテンションをカットする。グランドサクションドラムは、その周面に磁気テープ原反20を吸着して回転することにより、磁気テープ原反20の搬送速度を制御すると共に、搬送路における磁気テープ原反20搬送方向におけるグランドサクションドラム前後のテンションをカットする。
【0024】
スリッタ14とそれぞれの巻取リール17との間にはテンションローラ28が設けられ、裁断時における磁気テープ原反20の搬送方向のテンションが調整される。
【0025】
上記の如く構成された裁断装置10を用いて本発明の磁気テープの製造方法を行うには、巻き戻しリール11に巻回された幅広な磁気テープ原反20を連続的に引き出して搬送させながらスリッタ14で裁断する際に、磁気テープ原反20の幅方向端部から裁断する耳部20aの裁断幅L(図2参照)を8mm以上にする。耳部20Aの裁断幅Lの好ましい数値としては10mm以上であり、特に好ましい数値としては15mm以上である。また、かかる耳部20Aの裁断幅Lは磁気テープ原反20の幅や裁断される磁気テープ26の幅に関係なく適用することが好ましい。
【0026】
次に、耳部20Aの裁断幅Lと最端磁気テープ26A(磁気テープ原反20の幅方向最端部から得られる磁気テープ26)の裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値との関係を説明することにより、耳部20Aの裁断幅Lを8mm以上にする理由を説明する。尚、ここでは1/2インチ磁気テープ26の基準裁断幅である12.65mm幅に裁断するようにスリッタ14を設定した一例で説明する。
【0027】
図3は、耳部20Aの裁断幅Lと最端磁気テープ26Aの裁断幅偏差値との関係を示したものである。
【0028】
図3の曲線Aに示すように、耳部20Aの裁断幅Lを大きくしていくと、裁断幅偏差値は急激に減少し、耳部20Aの裁断幅8mm近傍を境としてその後は略横ばいになる。この曲線Aの傾向は、磁気テープ原反20の幅や裁断される磁気テープ26の幅に関係なく、耳部20Aの裁断幅8mm近傍を境として裁断幅偏差値が急激な減少から横ばいに変化する。また、耳部20Aの裁断幅Lが8mmのときの裁断幅偏差値は1.5μm程度であり、1/2インチ磁気テープに要望されている裁断幅偏差値の±10μmを十分に満足する。このように、耳部20Aの裁断幅Lの8mm近傍が、最端磁気テープ26Aの裁断幅偏差値を小さくするための臨界点となっている。これにより、耳部20Aの裁断幅Lを8mm以上にすることで、磁気テープ原反20から裁断された全ての磁気テープ26のうち、裁断幅偏差値が最も大きな最端磁気テープ26Aの裁断幅偏差値を小さくすることができる。従って、磁気テープ原反20から裁断される全ての磁気テープ26(最端磁気テープも含む)の裁断幅偏差値を十分に小さくすることができる。
【0029】
また、曲線Aから分かるように、耳部20Aの裁断幅Lを10mm以上にすることで、裁断幅偏差値を更に小さくでき、15mm以上にすることで基準裁断幅12.65mmと略同一になる。従って、耳部20Aの裁断幅Lは8mm以上であることが必要であるが、10mm以上、15mm以上にすれば更に良い。尚、耳部20Aの裁断幅Lは製品歩留りの点から小さい方が良いので上限は設定しなかったが、曲線Aから耳部20Aの裁断幅Lを20mm以上にしても裁断幅偏差値を小さくする効果は殆どないので、裁断幅偏差値に関して耳部20Aの裁断幅Lの上限を設けるならば20mmといえる。
【0030】
図4は、耳部20Aの裁断幅Lと最端磁気テープ26Aの幅変動との関係を示したものである。図4の曲線Bに示すように、耳部20Aの裁断幅Lを大きくしていくと、幅変動は急激に減少し、耳部の裁断幅8mm近傍を境としてその後は略横ばいになる。この曲線Bの変化は、磁気テープ原反20の幅や裁断される磁気テープ26の幅に関係なく、耳部20Aの裁断幅8mm近傍を境として幅変動は急激な減少から横ばいに変曲する。また、耳部20Aの裁断幅Lが8mmのときの幅変動は2.5μm程度であり、1/2インチ磁気テープに要望されている幅変動6μm以内を十分に満足する。このように、耳部20Aの裁断幅Lの8mm近傍が、最端磁気テープ26Aの幅変動を小さくするための臨界点となっている。これにより、耳部20Aの裁断幅Lを8mm以上にすることで、磁気テープ原反20から裁断された全ての磁気テープ26のうち、幅変動が最も大きな最端磁気テープ26Aの幅変動を小さくすることができる。従って、磁気テープ原反20から裁断される全ての磁気テープ26(最端磁気テープも含む)の幅変動を十分に小さくすることができる。
【0031】
また、曲線Bから分かるように、耳部20Aの裁断幅Lを10mm以上にすることで、幅変動を更に小さくでき、15mm以上にすることで上記裁断装置10の限界である2μmに近似する。従って、耳部20Aの裁断幅Lは8mm以上であることが必要であるが、10mm以上、15mm以上にすれば更に良い。尚、耳部20Aの裁断幅Lは製品歩留りの点から小さい方が良いので上限は設定しなかったが、曲線Bから耳部20Aの裁断幅Lを15mm以上にしても幅変動を小さくする効果は殆どないので、幅変動に関して耳部20Aの裁断幅Lの上限を設けるならば15mmといえる。
【0032】
ここで、磁気テープ26の幅変動とは磁気テープ26の長手方向における幅が変動することを言い、図6に示したように、裁断された幅寸法の最も大きい部分をX1 、幅寸法の最も大きい部分をX2 としたときにX1 −X2 で示される。
【0033】
図5は、耳部の裁断幅Lと最端磁気テープ26Aの湾曲値との関係を示したものである。図5の曲線Cに示すように、耳部20Aの裁断幅Lを大きくしていくと、湾曲値は急激に減少し、耳部20Aの裁断幅8mm近傍を境としてその後は略横ばいになる。この曲線Cの変化は、磁気テープ原反20の幅や裁断される磁気テープ26の幅に関係なく、耳部20Aの裁断幅8mm近傍を境として湾曲値は急激な減少から横ばいに変曲する。また、耳部20Aの裁断幅Lが8mmのときの湾曲値は1mm程度であり、1/2インチ磁気テープに要望されている湾曲値±3mm以内を十分に満足する。このように、耳部20Aの裁断幅Lの8mm近傍が、最端磁気テープ26Aの湾曲値を小さくするための臨界点となっている。これにより、耳部20Aの裁断幅Lを8mm以上にすることで、磁気テープ原反20から裁断された全ての磁気テープ26のうち、湾曲値が最も大きな最端磁気テープ26Aの湾曲値を小さくすることができる。従って、磁気テープ原反20から裁断される全ての磁気テープ(最端磁気テープも含む)の湾曲値を十分に小さくすることができる。
【0034】
また、曲線Cから分かるように、耳部20Aの裁断幅Lを10mm以上にすることで、湾曲値を更に小さくでき、15mm以上にすることで上記裁断装置10の限界である0.5mm程度に近似する。従って、耳部20Aの裁断幅Lは8mm以上であることが必要であるが、10mm以上、15mm以上にすれば更に良い。尚、耳部20Aの裁断幅Lは製品歩留りの点から小さい方が良いので上限は設定しなかったが、曲線Cから耳部20Aの裁断幅Lを15mm以上にしても幅変動を小さくする効果は殆どないので、湾曲値に関して耳部20Aの裁断幅Lの上限を設けるならば15mmといえる。
【0035】
ここで、磁気テープ26の湾曲値の測定方法を説明すると、図7に示すように、裁断後の長さ(W)1mの磁気テープ26をサンプリングして、精度良く平行線の書かれた平坦状の架台の上に載せ、両端位置を決めたときの中央部におけるエッジの湾曲値(D)を測定する。
【0036】
以上説明したように、耳部20Aの裁断幅Lを、磁気テープ原反20の幅や裁断された磁気テープ26の幅に関係なく、8mm以上、好ましくは10mm以上、更に好ましくは15mm以上にすることで、裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値の全てを同時に且つ十分に小さくでき、高品質な磁気テープを製造することができる。従って、耳部20Aの裁断幅Lを8mm以上にすることで、磁気テープ原反20から裁断される磁気テープ26の裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値の全ての課題を同時に解決することができる。また、耳部20Aの裁断幅Lの上限としては、裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値の全てを考慮すると20mmが好ましい。
【0037】
尚、本発明は磁気テープに適用したが、磁気テープと同様に、裁断幅L偏差値、幅変動、湾曲値が問題となる帯状物の全てに応用することが可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の磁気テープの製造方法によれば、裁断幅偏差値、幅変動、湾曲値の全てを十分に小さくでき、高品質な磁気テープを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気テープの裁断方法を適用する裁断装置の構成図
【図2】本発明の磁気テープの裁断方法を適用する裁断装置のスリッタ構造を説明する説明図
【図3】耳部の裁断幅Lと最端磁気テープの裁断幅偏差値との関係を説明する説明図
【図4】耳部の裁断幅Lと最端磁気テープの幅変動との関係を説明する説明図
【図5】耳部の裁断幅Lと最端磁気テープの湾曲値との関係を説明する説明図
【図6】磁気テープの幅変動を説明する説明図
【図7】磁気テープの湾曲値を説明する説明図
【図8】中高ロール形状を説明する説明図
【符号の説明】
10…裁断装置、11…巻き戻しリール、12…ハブ、13…クラウンローラ、14…スリッタ、15…移動手段、17…巻取リール、18…ハブ、20…磁気テープ原反、20A…耳部、22…ガイドローラ、24…フィードローラ、26…磁気テープ、26A…最端磁気テープ、28…テンションローラ、30…回転下刃、32…回転上刃
Claims (4)
- リールに巻回された幅広な磁気テープ原反を連続的に引き出して搬送させながら、複数の刃を等間隔で配列したスリッタで裁断することにより、複数の幅狭な磁気テープを製造する磁気テープの製造方法において、
前記磁気テープ原反の幅方向端部から裁断する耳部の裁断幅を8mm以上にすることを特徴とする磁気テープの製造方法。 - 前記耳部の裁断幅を10mm以上にすることを特徴とする請求項1の磁気テープの製造方法。
- 前記耳部の裁断幅を15mm以上にすることを特徴とする請求項1の磁気テープの製造方法。
- 前記耳部の裁断幅は、前記磁気テープ原反の幅や前記裁断される磁気テープの幅に関係なく適用されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1の磁気テープの製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2002285965A JP2004127340A (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | 磁気テープの製造方法 |
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Cited By (1)
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JP2015051477A (ja) * | 2013-09-06 | 2015-03-19 | 株式会社 テクニカルサポート | プリント基板切断装置 |
-
2002
- 2002-09-30 JP JP2002285965A patent/JP2004127340A/ja active Pending
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