JP2004125992A - モード変換機能付きガラス導波路及びその製造方法並びに光デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】所定の屈折率を有する下部クラッド層2上に、この下部クラッド層2よりも高い屈折率を有すると共に、光ファイバのコアと端面同士が接続される略矩形断面形状のコア3を形成し、このコア3と光ファイバのコアとの接続部近傍を除去し、光導波路のコア3を覆うように下部クラッド層2上にその下部クラッド層2と等しい屈折率を有する上部クラッド層4を形成した後、光導波路のコア3の除去部分に、超短パルスレーザービームを集光、照射すると共にパワーとビームスポットサイズとを徐々に変化させながらビームスポットと光導波路とを相対移動させて、断面形状が光ファイバに近づくにつれて徐々に光ファイバのコアの断面形状に等しくなると共に、屈折率が光ファイバに近づくにつれて徐々に光ファイバのコアに等しくなるモード変換部5−1,5−2を形成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モード変換機能付きガラス導波路及びその製造方法並びに光デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガラス導波路型光デバイスは、半導体プロセスを利用することにより量産し易いことから、既に多くのものが実用化されているが、更なる小型化、低コスト化のための研究開発が進められている。
【0003】
その例として、ガラス導波路型光デバイスの高比屈折率差(高Δ)化による小型化、低コスト化が検討されており、具体例として、Δが1.5%以上、2.5%程度の光デバイスが検討されている。
【0004】
ここで、比屈折率差Δは、コアの最大屈折率をn1 、クラッドの屈折率をn2 としたとき、Δ=(n1 2−n2 2)/2n1 2で表される。
【0005】
ところが、ガラス導波路型光デバイスの高Δ化に対して、それに接続する光ファイバは、通常のシングルモード光ファイバであるため、Δは0.3%から1%の範囲内のものが用いられる。そのため、光ファイバと光デバイスとの間にモードミスマッチングが生じるという問題がある。
【0006】
これを解決するために、図6、図7に示すような2つの手段が用いられている。
【0007】
図6、図7は従来のモード変換方式を説明するための説明図である。
【0008】
第1の手段は、図6に示すように、高屈折率のコア53を低屈折率のクラッド54で覆った光導波路50に、光ファイバと接続する側にはヒータ52を配置し、それと反対側には内部に冷却水wを循環させる保持部材55を取り付け、モード変換部となる熱拡散領域51を形成する方法である(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
第2の方法は、図7に示すように、高Δのシングルモード光ファイバ58の一端を高Δの光導波路56に接続し、その光ファイバ58の他端に低Δのシングルモード光ファイバ59をTEC(Thermal Expand Core)技術を用いて接続し、そのTEC接続部57でモード変換を実現する方法である(例えば、特許文献2参照。)。
【0010】
【特許文献1】
特開平5−88038号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開平4−67106号公報(第1図)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のモード変換方式には以下に示すような課題が存在している。
【0012】
図6に示したヒータ52により加熱してモード変換部を形成する方式は、光デバイスのサイズが非常に大きくなり、低コスト化が難しいという問題がある。さらに、ヒータ52ではコアの微細加工が困難であるため、光デバイスの損失が大きくなり、実用的でない。
【0013】
また、図7に示したTEC接続部でモード変換を実現する方式は、低損失で実現できるというメリットがあるが、高Δの光ファイバを別途作らなければならないために、コスト高になる。さらに、実装コストが高くなり、低コスト化が難しい。さらにそれぞれの光ファイバ長を長くして接続しなければならないため、小型化にも制約を受ける。
【0014】
そこで、本発明の目的は、上述した従来技術の課題を解決し、小型化、低コスト化を実現できるモード変換機能付きガラス導波路及びその製造方法並びに光デバイスを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、所定の屈折率を有する略矩形断面形状のコアと、このコアを覆うように設けられそのコアよりも低い所定の屈折率を有するクラッド層とからなる光導波路を有し、光導波路のコアの端面に光ファイバのコアの端面が接続されるガラス導波路において、光導波路の光ファイバとの接続部近傍におけるコアは、このコア内に伝搬する光をモード変換すべく、断面形状が光ファイバに近づくにつれて徐々に光ファイバのコアの断面形状に等しくなると共に、屈折率が光ファイバに近づくにつれて徐々に光ファイバのコアに等しくなるように形成されているものである。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成に加え、光導波路は、コアとクラッド層との比屈折率差が光ファイバのコアとクラッドとの比屈折率差よりも大きく、かつコアの外径が光ファイバのコアの外径よりも小さいものである。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、光導波路の光ファイバとの接続部近傍におけるコアは、屈折率及び長手方向の形状が増加関数的に変化したテーパ状に形成されているものである。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加え、クラッド層はSiO2 或いはSiO2 に屈折率制御用添加物を少なくとも1種添加した材料で形成されているものである。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の構成に加え、クラッド層は基板上に形成されているものである。
【0020】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の構成に加え、光導波路のコアの端面と光ファイバのコアの端面とが融着接続又は接着剤により接続されるものである。
【0021】
請求項7の発明は、所定の屈折率を有する下部クラッド層上に、この下部クラッド層よりも高い屈折率を有すると共に、光ファイバのコアと端面同士が接続される略矩形断面形状のコアを形成し、このコアの、光ファイバのコアとの接続部近傍を除去し、光導波路のコアを覆うように下部クラッド層上にその下部クラッド層と等しい屈折率を有する上部クラッド層を形成した後、光導波路のコアの除去部分に、超短パルスレーザービームを集光、照射すると共にパワーとビームスポットサイズとを徐々に変化させながらビームスポットと光導波路とを相対移動させて、断面形状が光ファイバに近づくにつれて徐々に光ファイバのコアの断面形状に等しくなると共に、屈折率が光ファイバに近づくにつれて徐々に光ファイバのコアに等しくなるモード変換部を形成する方法である。
【0022】
請求項8の発明は、請求項7に記載の構成に加え、光導波路と光ファイバとを予め接続した状態で、光導波路のコアの除去部分に超短パルスレーザービームを集光照射する方法である。
【0023】
請求項9の発明は、請求項8に記載の構成に加え、光ファイバのコアから光導波路のコアに向けて他のレーザビームを照射し、モードフィールド整合させながら超短パルスレーザビームを照射すると共に、光ファイバのコア内部の一部にまで集光、照射させる方法である。
【0024】
請求項10の発明は、請求項8又は9に記載の構成に加え、光ファイバのコアから光導波路のコアに向けて、或いは光導波路のコアから光ファイバのコアに向けて光信号を伝搬させ、この光信号をモニタしつつ、そのモニタした光信号のパワーに応じて超短パルスレーザビームのスポットサイズ、照射エネルギー及び光導波路の相対移動速度を制御する方法である。
【0025】
請求項11の発明は、請求項10に記載の構成に加え、光導波路からの出力光又は反射光をモニタする方法である。
【0026】
請求項12の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載のモード変換機能付きガラス導波路の光導波路に、導波路格子グレーティング、方向性結合器、カプラ、フィルタ、リング共振器、Y分岐器などの光部品が形成されたものである。
【0027】
上記構成によれば、光デバイスのサイズを大きくすることなく、接続損失及び反射損失が極めて小さいモード変換機能付きガラス導波路型光デバイスを実現することができる。しかも3次元的な屈折率及び形状のテーパ状変換方式であるので偏波依存性が無い。
【0028】
また、光導波路の製造段階でΔに誤差が生じても、超短パルスレーザービーム照射で調整してモード変換機能を形成することができるので、歩留りが向上する。
【0029】
また、低Δの光ファイバを、予め或いはモード変換部を形成後に、光デバイス端面に直接結合することができるので、CO2 レーザ照射による融着接続や接着剤による接続などを行うことができる。
【0030】
ガラス導波路型光デバイスのクラッド層は、光導波路のΔが1.5%程度の場合にはSiO2 を用いるが、Δが2%前後の場合にはSiO2 に屈折率制御用添加物(例えばP2 O5 、B2 O3 )を1種添加した材料、或いはそれらの添加物を共添加した材料を用いるのが好ましい。これは、P2 O5 やB2 O3 を添加したSiO2 ガラスは超短パルスレーザービーム照射でその屈折率を大きくすることが容易にできるためである。また屈折率制御用添加物はSiO2 内に添加することにより、そのガラスの屈折率はSiO2 に対して大きく変化しないので、高Δ用光デバイスのクラッド層として好適である。
【0031】
また、光デバイスのコアが除去された領域に埋め込まれたクラッド層内の屈折率及びその形状を超短パルスレーザービーム照射で増加関数的に変化させることにより、偏波依存性の無い光デバイスを実現することができ、これにより、波長分割多重伝送用の光デバイスを高性能に実現することができる。
【0032】
また、光デバイスの実装段階、すなわち最終性能を検査及び仕上げする段階でモード変換機能の形成と光ファイバの最適接続を行うことができ、また微調整も容易にできるので、歩留り良く光デバイスを製造可能である。
【0033】
さらに、光信号をモニタしながらそのモニタ光が最大になるように超短パルスレーザービームを集光、照射するようにしてモード変換部を形成することが可能なので、より一層の高性能化を効率良く実現可能である。
【0034】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0035】
図1(a)は本発明の一実施の形態を示す光デバイスの正面断面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図であり、図1(c)は図1(b)の屈折率分布を示す図であり、図1(d)は図1(b)のコアサイズ分布を示す図である。
【0036】
図1(a)、図1(b)に示すように、この光デバイス6は、基板(例えばSi基板)1上に、低屈折率nbの下部クラッド層(例えばSiO2 ガラス層)2を有し、その下部クラッド層2上に、高屈折率ncの略断面矩形状のコア(例えばSiO2 −GeO2 )3が形成され、そのコア3及び下部クラッド層2を覆うように、低屈折率nbの上部クラッド層(例えばSiO2 層)4が形成されている構造である。
【0037】
この光デバイス6のコア3とクラッド層2(或いは上部クラッド層4)との比屈折率差Δは高い値(例えば1.5%)で作製されている。
【0038】
そしてこの光デバイス6の入力端及び出力端の近傍に、光ファイバとモードを一致させるためのモード変換部5−1,5−2が形成されている。
【0039】
それらのモード変換部5−1,5−2を介して、屈折率nf(nf<nc)のコア8−1,8−2とクラッド9−1,9−2との比屈折率差Δが低Δ(例えば0.3%)の光ファイバ7−1,7−2が光学的に結合されており、この光デバイス6と光ファイバ7−1(或いは光ファイバ7−2)との間はCO2 レーザ照射による融着接続されているか、接着剤で接続されている。
【0040】
図1(c)に示すように、モード変換部5−1,5−2のコアは、屈折率が光デバイス側から光ファイバ側に向かって、光ファイバのコアの屈折率と等しくなるまで、指数関数や対数関数など増加関数的にテーパ状に徐々に低下しており、また図1(d)に示すように、モード変換部5−1,5−2のコアは、コアサイズが光デバイス側から光ファイバ側に向かって、光ファイバのコアサイズと等しくなるまで、指数関数や対数関数など増加関数的にテーパ状に徐々に増加した構成になっている。尚、このモード変換部5−1,5−2の屈折率及びコアサイズは、増加関数的以外に、ほぼ直線的なテーパ構造でも良い。
【0041】
さらに、図示されていないが、光デバイス6のコア3は説明を簡単にするために直線パターンで示したが、実際には曲線パターンを含む光信号処理回路が形成されており、例えばこの光導波路に導波路格子グレーティング、方向性結合器、カプラ、フィルタ、リング共振器、Y分岐器などの光部品が形成されている。
【0042】
このモード変換機能付きガラス導波路型光デバイス6は、3D構造のモード変換部5−1,5−2を備えているので、偏波依存性が無く、低損失で光ファイバと接続することができる。
【0043】
具体的には、波長800nmの超短パルスレーザービーム(パルス幅:150fs、パルス繰り返し周波数200kHz、平均出力600mW)をE1(E2)点からS1(S2)点へ徐々に移動速度を速めながら、かつビームスポットサイズを3μmから10μmに徐々に大きくしながら、集光、照射することを3回繰り返すことにより、偏波依存損失0.05dB以下/1箇所、接続損失0.1dB/1箇所を波長1550nmで実現することができる。また、モード変換部5−1,5−1の長さも約200μmの長さで実現することができる。
【0044】
尚、集光、照射回数を多くするほど、モード変換部5−1,5−2のΔを高くすることができ、Δを0.3%から1.5%までテーパ状に変化させることができる。
【0045】
次に、本発明にかかるモード変換機能付きガラス導波路の製造方法を作用と共に説明する。
【0046】
まず、本発明のモード変換部を形成するための装置について述べる。
【0047】
図5は本発明のモード変換部の形成装置の概略図である。
【0048】
図5に示すように、この装置は、光デバイス6が載置され所望の方向に移動自在なXYZ移動ステージ17と、このXYZ移動ステージ17を移動させる駆動回路19と、光デバイス6に超短パルスレーザービーム13−1を照射させるレーザ光源13と、超短パルスレーザービーム13−1を集光させるレンズ14と、光ファイバ7−1内から光デバイス6内のモード変換部を形成すべき位置に向けて光信号を伝搬させる他のレーザ光源15と、その光信号またはその一部の光信号をモニタするための受光素子16と、そのモニタ出力に応じて駆動回路19を操作して、XYZ移動ステージ17を矢印r方向或いは矢印l方向に移動させる制御回路18とを備えている。
【0049】
この装置を用いて光導波路にモード変換部5−1,5−2を形成するに際しては、光ファイバ7−1を通して光信号を光デバイス6内に入力させ、光デバイス6内を伝搬してきた光信号を受光素子16でモニタすることによって、制御回路18によりXYZ移動ステージ17の移動速度を制御してモード変換部5−1,5−2を形成する。
【0050】
図2(a)から図2(e)はモード変換機能付きガラス導波路の製造方法を説明するための中間体の正面断面図であり、図2(f)から図2(j)はそれらの側面断面図である。
【0051】
モード変換機能付きガラス導波路を製造するに際しては、まず、図2(a)、図2(f)に示すように、アルコキシド系の原料ソースを用いたプラズマCVD法により、低温(例えば400℃)で、基板(Si基板)1上に下部クラッド層(SiO2 ガラス層)2を例えば厚さ20μm形成し、その下部クラッド層2上にコア層(SiO2 −GeO2 ガラス層)10を例えば4μm形成し、コア層10と下部クラッド層2との比屈折率差Δが約2%の光導波路を作製する。次に、スパッタリング法により、コア層10の上にWSi膜を約1μm形成し、そのWSi膜上にフォトレジストを塗布した後、フォトマスクを用いてフォトリソグラフィ工程により、フォトレジストパターンを形成し、ついでそのフォトレジストパターンをマスクにしてドライエッチング工程により、WSi膜をパターニングする。
【0052】
その後、図2(b)、図2(g)に示すように、WSi膜パターンをマスクにしてコア層10をほぼ断面矩形状パターンに加工してコア3のパターン(光信号処理回路)を形成する。
【0053】
ここで、コア3のパターンの両端部に、一部除去された領域11−1,11−2を設けることが本発明の第1のポイントである。その領域11−1,11−2の長さは2mm以上5mm以内が好ましい。
【0054】
そして、図2(c)、図2(h)に示すように、コア3のパターンを覆うように、下部クラッド層2上に上部クラッド層4を形成する。これにより、上述した領域11−1,11−2は、上部クラッド層4で形成された領域12−1,12−2になる。
【0055】
そして、図2(d)、図2(i)に示すように、光ファイバのコアから光導波路のコアに向けて他のレーザビームを照射し、モードフィールド整合させながら超短パルスレーザービーム13−1(13’−1)をレンズ14で集光させて領域12−1,12−2の上部クラッド層4内にレーザービーム13−2(13’−2)を照射すると共に、ビームスポットサイズを3μmから10μmに徐々に大きくしながら矢印l方向(矢印r方向)に移動させ、光ファイバのコア内部の一部にまで集光、照射させる。これを3回繰り返すことにより、図2(e)、図2(j)に示すようなテーパ状で端面の形状がその端面に接続される光ファイバのコアの形状と等しいモード変換部5−1,5−2を形成して、光デバイスが製造される。
【0056】
このようにして製造された光デバイスは、図1(c)、図1(d)に示したように、屈折率及びコアサイズが徐々に変化したモード変換部5−1,5−2を有し、このモード変換部5−1,5−2と光ファイバのコアとを接続するので、光デバイスのサイズを大きくすることなく、接続損失及び反射損失の極めて小さいモード変換機能付きガラス導波路を実現することができる。しかもモード変換部5−1,5−2は、3次元的な屈折率及び形状のテーパ状変換方式であるので偏波依存性が無い。
【0057】
また、光デバイス6の製造段階でΔがずれていても、超短パルスレーザービーム照射で調整してモード変換部5−1,5−2を形成することができる。
【0058】
また、低Δの光ファイバを、予め或いはモード変換部5−1,5−2を形成後に、光デバイス端面に直接結合することができるので、CO2 レーザ照射による融着接続や接着剤による接続などを行うことができる。
【0059】
モード変換機能付きガラス導波路型光デバイス6のクラッド層2,4は、比屈折率差Δが1.5%程度の場合にはSiO2 を用いるが、Δが2%前後の場合にはSiO2 に屈折率制御用添加物(例えばP2 O5 、B2 O3 )を1種添加した材料、或いは添加物を共添加した材料を用いるのが好ましい。これは、P2 O 5、B2 O3 を添加したSiO2ガラスは超短パルスレーザービーム照射でその屈折率を大きくすることが容易にできるためである。また添加物はSiO2 内に添加することにより、そのガラスの屈折率はSiO2 に対して大きく変化しないので、高Δ用光デバイスのクラッド層として好適である。
【0060】
また、光デバイス6のコア3の除去された領域12−1,12−2に埋め込まれたクラッド層4内の屈折率及びその形状を超短パルスレーザービーム照射で増加関数的に変化させることにより、偏波依存性の無い光デバイスを実現することができ、これにより、波長分割多重伝送用の光デバイスを高性能に実現することができる。
【0061】
光デバイス6の実装段階、すなわち、最終性能を検査及び仕上げする段階でモード変換部5−1,5−2の形成と光ファイバの最適接続を行うことができ、また微調整も容易にできるので、歩留まり良く光デバイス6を実現可能である。
【0062】
さらに、光信号をモニタしながらそのモニタ光が最大になるように超短パルスレーザービームを集光、照射するようにしてモード変換部5−1,5−2を作製することが可能なので、より一層の高性能化を効率良く実現可能である。
【0063】
モード変換部の形成方法の変形例としては、例えば、光デバイス6の一定速度での移動に伴い、超短パルスレーザービーム13−1のビームスポット径を連続的に増大(或いは減少)しつつ、超短パルスレーザービーム13−1のパワーも連続的に減少(或いは増大)して屈折率及び形状が連続的に3次元的に変化するようにモード変換部5−1,5−2を形成しても良い。
【0064】
また、光デバイス6の移動速度を連続的に速く(或いは遅く)なるようにしつつ、超短パルスレーザービーム13−1のレーザースポット径を連続的に増大(或いは減少)しつつ、超短パルスレーザービーム13−1のパワーも連続的に減少(或いは増大)して屈折率及び形状が連続的に3次元的に変化するようにモード変換部5−1,5−2を形成しても良い。
【0065】
また、上述した光信号のモニタには、出力光以外に、モード変換部5−1,5−2が形成される領域から反射光を検出し、そのモニタ光に応じて超短パルスレーザービーム13−1の集光、照射条件、及び光デバイス6の伝搬方向への移動条件を制御するようにしても良い。
【0066】
次に、本発明の他の実施の形態について詳述する。
【0067】
図3は本発明の他の実施の形態を示すモード変換機能付きガラス導波路型光デバイスの正面断面図である。
【0068】
図3に示すように、この光デバイス26は、基本的な構成は図1に示した光デバイスと同じであるが、基板21にSiO2 基板を用い、下部クラッド層はこのSiO2 基板で代用したものである。
【0069】
また、上部クラッド層24は、屈折率がほぼSiO2 の屈折率と同じになるようにP2 O5 とB2 O3 の配合比を定め、SiO2 にP2 O5 とB2 O3 を共添加して形成されたものである。
【0070】
このように上部クラッド層24にP2 O5 とB2 O3 を共添加することにより、モード変換部25−1,25−2の屈折率を超短パルスレーザービーム照射により、より大きく変化させることができる。特に、コア23とクラッド層24との比屈折率差Δが2%よりも大きい値(この例ではΔ:2.5%)の場合に有効である。
【0071】
すなわち、上部クラッド層24が図1のようにSiO2 の場合には超短パルスレーザービーム照射により変えられる屈折率の値は大きくないが、上部クラッド層24内にP2 O5 及びB2 O3 を添加することにより、超短パルスレーザービーム照射で屈折率を大きく変えることができる。
【0072】
図4は本発明の他の実施の形態を示すモード変換機能付きガラス導波路型光デバイスの側面断面図である。
【0073】
図4に示すように、この光デバイス37は、基本的な構成は図1に示した光デバイスと同じであるが、基板31にSiO2 基板を用い、下部クラッド層32と上部クラッド層34にSiO2 −P2 O5 ガラス薄膜を用い、モード変換部35−1,35−2の比屈折率差Δを2%から0.3%まで変えられるように構成したものである。すなわち、SiO2 −P2 O5 ガラス薄膜は、SiO2 ガラスに比して比屈折率差Δが0.5%になるようにP2 O5 が添加されている。
【0074】
また、コア33にはSiO2 −GeO2 ガラス薄膜を用い、下部クラッド層32(或いは上部クラッド層34)に対して比屈折率差Δが約2%になるようにGeO2 が添加されている。
【0075】
上部クラッド層34の上には、P2 O5 の湿度による劣化を防ぐために、SiO2 の保護層36が形成されている。
【0076】
このようにモード変換部35−1,35−2にはSiO2 にP2 O5 が添加されているので、超短パルスレーザービーム照射でコア33の屈折率にまで高くすること、或いは光ファイバのコアの屈折率にまで低くすることができる。具体的には、Δを2%から0.3%まで変えることができる。
【0077】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、小型化、低コスト化を実現できるモード変換機能付きガラス導波路及びその製造方法並びに光デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施の形態を示す光デバイスの正面断面図であり、(b)は(a)のA−A線断面図であり、(c)は(b)の屈折率分布を示す図であり、(d)は(b)のコアサイズ分布を示す図である。
【図2】(a)から(e)はモード変換機能付きガラス導波路の中間体の正面断面図であり、(f)から(j)はそれらの側面断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態を示す光デバイスの正面断面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態を示す光デバイスの側面断面図である。
【図5】本発明のモード変換部の形成装置の概略図である。
【図6】従来のモード変換方式を説明するための説明図である。
【図7】従来のモード変換方式を説明するための説明図である。
【符号の説明】
2 下部クラッド層
3 コア
4 上部クラッド層
5−1,5−2 モード変換部
Claims (12)
- 所定の屈折率を有する略矩形断面形状のコアと、該コアを覆うように設けられそのコアよりも低い所定の屈折率を有するクラッド層とからなる光導波路を有し、上記光導波路のコアの端面に光ファイバのコアの端面が接続されるガラス導波路において、上記光導波路の上記光ファイバとの接続部近傍におけるコアは、該コア内に伝搬する光をモード変換すべく、断面形状が上記光ファイバに近づくにつれて徐々に上記光ファイバのコアの断面形状に等しくなると共に、屈折率が上記光ファイバに近づくにつれて徐々に上記光ファイバのコアに等しくなるように形成されていることを特徴とするモード変換機能付きガラス導波路。
- 上記光導波路は、コアとクラッド層との比屈折率差が上記光ファイバのコアとクラッドとの比屈折率差よりも大きく、かつコアの外径が上記光ファイバのコアの外径よりも小さい請求項1に記載のモード変換機能付きガラス導波路。
- 上記光導波路の上記光ファイバとの接続部近傍におけるコアは、屈折率及び長手方向の形状が増加関数的に変化したテーパ状に形成されている請求項1又は2に記載のモード変換機能付きガラス導波路。
- 上記クラッド層は、SiO2 或いはSiO2 に屈折率制御用添加物を少なくとも1種添加した材料で形成されている請求項1〜3のいずれかに記載のモード変換機能付きガラス導波路。
- 上記クラッド層は、基板上に形成されている請求項1〜4のいずれかに記載のモード変換機能付きガラス導波路。
- 上記光導波路のコアの端面と上記光ファイバのコアの端面とが融着接続又は接着剤により接続される請求項1〜5のいずれかに記載のモード変換機能付きガラス導波路。
- 所定の屈折率を有する下部クラッド層上に、該下部クラッド層よりも高い屈折率を有すると共に、光ファイバのコアと端面同士が接続される略矩形断面形状のコアを形成し、該コアの、上記光ファイバのコアとの接続部近傍を除去し、上記光導波路のコアを覆うように上記下部クラッド層上にその下部クラッド層と等しい屈折率を有する上部クラッド層を形成した後、上記光導波路のコアの除去部分に、超短パルスレーザービームを集光、照射すると共にパワーとビームスポットサイズとを徐々に変化させながら上記ビームスポットと上記光導波路とを相対移動させて、断面形状が上記光ファイバに近づくにつれて徐々に上記光ファイバのコアの断面形状に等しくなると共に、屈折率が上記光ファイバに近づくにつれて徐々に上記光ファイバのコアに等しくなるモード変換部を形成することを特徴とするモード変換機能付きガラス導波路の製造方法。
- 上記光導波路と上記光ファイバとを接続した状態で、上記光導波路のコアの除去部分に上記超短パルスレーザービームを集光照射する請求項7に記載のモード変換機能付きガラス導波路の製造方法。
- 上記光ファイバのコアから上記光導波路のコアに向けて他のレーザビームを照射し、モードフィールド整合させながら上記超短パルスレーザビームを照射すると共に、上記光ファイバのコア内部の一部にまで集光、照射させる請求項8に記載のモード変換機能付きガラス導波路の製造方法。
- 上記光ファイバのコアから上記光導波路のコアに向けて、或いは上記光導波路のコアから上記光ファイバのコアに向けて光信号を伝搬させ、該光信号をモニタしつつ、そのモニタした光信号のパワーに応じて上記超短パルスレーザビームのスポットサイズ、照射エネルギー及び光導波路の相対移動速度を制御する請求項8又は9に記載のモード変換機能付きガラス導波路の製造方法。
- 上記光導波路からの出力光又は反射光をモニタする請求項10に記載のモード変換機能付きガラス導波路の製造方法。
- 上記請求項1〜6のいずれかに記載のモード変換機能付きガラス導波路の上記光導波路に、導波路格子グレーティング、方向性結合器、カプラ、フィルタ、リング共振器、Y分岐器などの光部品が形成された光デバイス。
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WO2008152727A1 (ja) * | 2007-06-15 | 2008-12-18 | Fujitsu Limited | 光結合素子、及び磁気記録装置 |
JP2012128460A (ja) * | 2005-08-16 | 2012-07-05 | Ohara Inc | 構造体及びその製造方法 |
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