JP3975877B2 - 光伝送部品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光伝送部品及びその製造方法に係り、特に、光伝送路と光デバイスとを光学的に接続してなる光伝送部品及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガラス導波路型の光デバイスは、半導体プロセスを利用することによって量産が容易であることから、既に多くのものが実用化されている。現在、ガラス導波路型光デバイスにおいては、更なる小型化及び低コスト化のための研究開発が進められている。具体的には、コアとクラッドとの比屈折率差(以下、Δと表す)を高くすることによって小型化及び低コスト化を図ることが検討されており、例えば、Δが1.5〜2.5%程度の光デバイスが挙げられる。
【0003】
ここで、Δはコアの最大屈折率をn1、クラッドの屈折率をn2とした時、Δ=(n1 2−n2 2)/2n1 2で表される。
【0004】
このガラス導波路型光デバイスに、光伝送路(例えば光ファイバ)を光学的に接続してなる光伝送部品においては、光ファイバとして、通常、シングルモード光ファイバを用いており、コアとクラッドとのΔが0.3〜1.0%の範囲のものが用いられている。このため、ガラス導波路型光デバイスの高Δ化を図ると、光ファイバとの間に、モードミスマッチングが生じるという問題があった。
【0005】
そこで、従来は、以下に示す方法を用いて、モードフィールド整合を行い、モードミスマッチングの解消を図っていた。
【0006】
▲1▼ 図11に示すように、基板111上に下部クラッド113a、コア112、及び上部クラッド113bを順次形成した光デバイス110において、光デバイス110の一端部(図11中では右端部)を、冷却水Wが循環するホルダ115で把持すると共に、光デバイス110の他端部(図11中では左端部)を、ヒータ116で長時間、高温(例えば、1300℃)に加熱する方法。この加熱によって、コア112内の屈折率制御のためのドーパント(例えば、GeO2)が各クラッド113a,113bに拡散し(TEC(Thermally Expanded Core))、光デバイス110の他端部に熱拡散領域114が形成され、この領域114がモード変換部となる。この領域114に光ファイバ(図示せず)を光学的に接続する(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
▲2▼ 図12に示すように、高Δの光デバイス120に、同じ(又は略同じ)高Δのシングルモード光ファイバ121a,121bを光学的に接続し、これらの光ファイバ121a,121bに、低Δのシングルモード光ファイバ122a,122bを光学的に接続する方法。光ファイバ122a,122bの接続端部には、▲1▼のTEC技術により形成した熱拡散領域124が形成され、この領域124がモード変換部となる(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−88038号公報(第2頁【0009】)
【特許文献2】
特開平7−13036号公報(第5頁【0010】、第2図)
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、▲1▼の方法においては、光デバイス110の他端部のみに領域114を形成するには、ヒータ116の加熱による影響を制御するために、光デバイス110の厚さを厚く形成すると共に、コア延長方向(図11中では左右方向)長さを長く形成する必要があった。その結果、光デバイス110のサイズが非常に大きくなってしまい、低コスト化が困難になるという問題があった。また、光デバイス110の損失も大きくなってしまい、現実的ではなかった。
【0011】
一方、▲2▼の方法においては、低損失でモードフィールド整合を実現できるものの、高Δの光ファイバ121a,121bを特別に製造しなければならないため、コスト高になってしまうという問題があった。また、実装コストも高くなるため、低コスト化が困難であった。さらに、光ファイバ121a,121bの分、光ファイバ長が長くなってしまうため、小型化を図る上で制約を受けてしまうという問題があった。
【0012】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、低損失でモードフィールド整合が可能で、かつ、小型で、製造コストが安価な光伝送部品及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明に係る光伝送部品は、コア及びクラッドを有する光伝送路と、同じくコア及びクラッドを有する光デバイスとを光学的に接続してなる光伝送部品において、上記光デバイスのコアとクラッドとの比屈折率差が上記光伝送路のコアとクラッドとの比屈折率差よりも高く形成されており、その光伝送路の接続端部の光伝送路コアの内部に、屈折率が光デバイス側に向かって徐々に高くなり、かつ、断面寸法が光デバイス側に向かって徐々に小さくなる所定長さの第1モードフィールド整合領域を形成し、光デバイスの接続端部に、光デバイスコアの断面寸法が光伝送路側に向かって徐々に大きくなると同時に屈折率が光伝送路側に向かって徐々に低くなる所定長さの第2モードフィールド整合領域を形成したものである。
【0015】
ここで、請求項2に示すように、上記光デバイスの比屈折率差は1.5〜4%である。
【0016】
これによって、光伝送路の接続端部(又は光伝送路の接続端部および光デバイスの接続端部)がモードフィールド整合領域となるため、小型で、かつ、低損失でモードフィールド整合が可能な光伝送部品が得られる。
【0018】
また、コア及びクラッドを有する光伝送路と、同じくコア及びクラッドを有する光デバイスとを光学的に接続してなる光伝送部品を製造する方法において、上記光デバイスのコアとクラッドとの比屈折率差を上記光伝送路のコアとクラッドとの比屈折率差よりも高く形成し、その光伝送路の接続端部のコア内部に、超短パルスのレーザビームを集光・照射し、光伝送路コアの内部に屈折率が光デバイス側に向かって徐々に高くなり、かつ、断面寸法が光デバイス側に向かって徐々に小さくなる所定長さの第1モードフィールド整合領域を形成する工程と、光デバイスの接続端部に、超短パルスのレーザビームを集光・照射し、光デバイスコアの断面寸法が光伝送路側に向かって徐々に大きくなると同時に屈折率が光伝送路側に向かって徐々に低くなる所定長さの第2モードフィールド整合領域を形成する工程とを有するものである。
【0019】
ここで、請求項4に示すように、光伝送路及び光デバイスの各接続端部に超短パルスのレーザビームを集光、照射する前に、光伝送路及び光デバイスを予め光学的に融着接続しておくことが好ましい。
【0020】
また、請求項5に示すように、各モードフィールド整合領域を形成する際、光伝送路から光デバイスへ又は光デバイスから光伝送路へ向けて光信号を入力・伝搬させると共に、その光信号の出力光又は反射光をモニタリングし、そのモニタ出力に応じて、超短パルスのレーザビームの、集光・照射条件の制御を行うことが好ましい。
【0021】
これによって、小型で、かつ、低損失でモードフィールド整合が可能な光伝送部品を、安価に、歩留りよく製造することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基いて説明する。
【0023】
本発明に係る光伝送部品の縦断面図を図1に示す。図1(b)は図1(a)の1c−1c線の横断面図を示している。
【0024】
本発明に係る光伝送部品は、コア及びクラッドを有する光伝送路と、同じくコア及びクラッドを有する光デバイスとをモード変換部を介して光学的に接続してなるものである。具体的には、図1(a),図1(b)に示すように、光ファイバ(光伝送路)20のコア21とクラッド22とのΔより、光デバイス10のコア3とクラッド12a,12bとのΔを高く(例えば、Δ=1.8%)形成する。また、光ファイバ20の接続端部(図1(a)中では右端部)の光ファイバコア21の内部に、屈折率が光デバイス10側に向かって徐々に高くなり(図1(g)参照)、かつ、断面形状・サイズが光デバイス10側に向かって徐々に小さくなる(図1(h)参照)所定長さL1の第1モードフィールド整合領域24を形成する。光ファイバ20と光デバイス10との間で、各コア21,13の屈折率が長手方向に連続的に変移し、また、コア21の内部に形成された高屈折率化領域の断面形状・サイズが長手方向に連続的に変移する。光デバイス10におけるコア13とクラッド12a,12bとのΔは、1.5〜4%の範囲となるように形成される。ここで言う光ファイバ20の接続端部とは、接続端から所定長さL1の範囲の部分のことである。
【0025】
好ましくは、光ファイバ20の接続端部に所定長さL1の第1モードフィールド整合領域24を形成すると共に、光デバイス10の接続端部(図1(a)中では左端部)にも、光デバイスコア13の断面形状・サイズが光ファイバ20側に向かって徐々に大きくなる(図1(h)参照)所定長さL2の第2モードフィールド整合領域14を形成する。光ファイバ20と光デバイス10との間で、各コア21,13の屈折率が長手方向に連続的に変移し、また、各コア21,13の断面形状・サイズが長手方向に連続的に変移する。これによって、光ファイバ20における第1モードフィールド整合領域24の屈折率が、過剰に大きく(又は小さく)なった時、第2モードフィールド整合領域14の屈折率を調整することで、モードフィールド整合の微調整を行うことができるようになり、より高精度なモードフィールド整合が可能となる。ここで言う光デバイス10の接続端部とは、接続端から所定長さL2の範囲の部分のことである。
【0026】
光ファイバ20及び光デバイス10の長手方向の所定部分における径方向の屈折率分布を図1(c)〜図1(f)に示すように、各モードフィールド整合領域24,14において、コア21の中央部(図1(d)参照)およびコア13の周辺部(図1(e)参照)の屈折率が高くなっている。また、各コア21,13の長手方向の屈折率分布は、図1(g)に示すように、各モードフィールド整合領域24,14において、連続的に変移している。
【0027】
ここで、光ファイバ20の第1変形例の断面図を図2(a)に、その径方向屈折率分布を図2(b)に示すように、コア31とクラッド32との間に、クラッド32よりも低屈折率の低屈折率層33を設けると共に、コア31の中心部に高屈折率の高屈折率コア部34を設けた光ファイバ30であってもよい。ここで、高屈折率コア部34は、コア31に超短パルスレーザビームを照射して、その照射部分を高屈折率化することにより形成される。
【0028】
また、光ファイバ20の第2変形例の断面図を図3(a)に、その径方向屈折率分布を図3(b)に示すように、光ファイバ30とほぼ同じ構成を有し、更にクラッド32と低屈折率層33との間に中間層35を設けた光ファイバ40であってもよい。中間層35を設けることによって、光ファイバ40は、光ファイバ30と比較して分散特性や曲げ特性が向上する。
【0029】
これらの光ファイバ30,40のΔは0.3%以上であればよく、光デバイス10のΔが2.5%よりも大きい場合には、2%程度のものを用いることが望ましい。
【0030】
次に、本発明に係る光伝送部品の製造方法を、添付図面に基づいて説明する。
【0031】
モードフィールド整合領域を形成する前の光伝送部品の縦断面図を図4に示す。尚、図1と同様の部材には同じ符号を付しており、これらの部材については詳細な説明を省略する。
【0032】
本発明に係る光伝送部品の製造方法は、図4(a)〜図4(c)に示すように、先ず、断面円形状のコア21の周りにクラッド22を有する光ファイバ20を形成する。光ファイバ20の径方向の屈折率分布は、図4(d)に示すように、コア21の屈折率がクラッド22の屈折率よりも高くなっており、光ファイバ20の長手方向(図4(a)中では左右方向)に亘って一様である。一方、基板11上に、順次、下部クラッド12a、断面矩形状のコア13、及びコア13を覆う上部クラッド12bを有する光デバイス10を形成する。光デバイス10の径方向の屈折率分布は、図4(e)及び図4(f)に示すように、コア13の屈折率が基板11及び各クラッド12a,12bの屈折率よりも高くなっており、光デバイス10のコア延長方向(図4(a)中では左右方向)に亘って一様である。この時、光デバイス10のΔは光ファイバ20のΔよりも高く形成される。また、光ファイバ20と光デバイス10との接続部において、各コア21,13の屈折率及び断面形状・サイズが、不連続となっている。
【0033】
ここで、光デバイス10及び光ファイバ20のそれぞれに、後述するモードフィールド整合領域を形成するのに先立って、図5に示すように、光デバイス10と光ファイバ20とを、光軸を合わせた状態で融着接続することが好ましい。この融着接続は、光デバイス10と光ファイバ20との突き合わせ部51に、レーザビーム(例えば、CO2レーザビーム)等を照射することにより行う。
【0034】
次に、光ファイバ20の接続端部(図6(a)中では右端部)に、超短パルスのレーザビーム(図示せず)を集光・照射する。この照射によって、コア21の中心部に、コア21より高屈折率な高屈折率部61が形成される。また、レーザビームを、照射条件を変えながら、長さL1の範囲で光ファイバ20の接続端部に照射することで、高屈折率部61の屈折率及び径サイズを長手方向に亘って変移させる。その結果、光ファイバ20のコア21(実質的には高屈折率部61)の、屈折率が光デバイス10側に向かって徐々に高くなり(図6(b)参照)、かつ、コア部の径サイズが光デバイス10側に向かって徐々に小さくなる所定長さL1の第1モードフィールド整合領域24が形成される。
【0035】
また、光デバイス10の接続端部(図6(a)中では左端部)に、超短パルスのレーザビーム(図示せず)を集光・照射する。この照射によって、コア13の屈折率制御のためのドーパント(例えば、GeO2)が各クラッド12a,12bに拡散し、コア13の周囲に、コア13よりも低屈折率な低屈折率部62が形成される。また、レーザビームを、照射条件を変えながら、長さL2の範囲で光デバイス10の接続端部に照射することで、低屈折率部62の屈折率及び断面形状・サイズを長手方向に亘って変移させる。その結果、光デバイス10のコア部(コア13及び低屈折率部62)の断面形状・サイズが光ファイバ20側に向かって徐々に大きくなる(図6(c)参照)所定長さL2の第2モードフィールド整合領域14が形成される。具体的には、コア部の、断面形状は光ファイバ20側に向かって断面矩形状から断面円形状に連続的に変移し、サイズは連続的に変移しながら大きくなる。
【0036】
これらの結果、光ファイバ20と光デバイス10との間で、コア部の屈折率及び断面形状・サイズが長手方向に亘って連続的に変移する光伝送部品が得られる。
【0037】
上記した各モードフィールド整合領域24,14を形成するための具体的な方法として、図7に示す装置70を用いる。
【0038】
具体的には、先ず、コア直径が10μm、クラッド外径が125μm、Δが0.3%の光ファイバ72a,72bを作製する。また、厚みが1mmの石英ガラス基板を用い、その基板上に、下部クラッドとしてSiO2膜を低温(400℃)プラズマCVD法で5μmの厚さで形成する。その膜上に、コア用の膜としてGeO2を添加したSiO2膜を同じく低温プラズマCVD法で3μmの厚さで形成する。その後、全体を1270℃で高温熱処理した後、コア膜にフォトリソグラフィ及びドライエッチングを施して、幅が3μm、高さが3μmの略矩形状のコアパターン(コア)を形成する。最後に、上部クラッドとしてSiO2膜をコアパターンを覆うように低温プラズマCVD法で5μmの厚さで形成し、Δが約2%の光デバイス(1入力4出力の光スターカプラ)73を作製する。
【0039】
次に、光デバイス73の、入力端面(図7中では左端面)に光ファイバ72aの一端(図7中では右端)をアライメントすると共に、出力端面(図7中では右端面)に光ファイバ72bの一端(図7中では左端)をアライメントする。光ファイバ72aの他端(図7中では左端)はレーザ光源71に、光ファイバ72bの他端(図7中では右端)は受光器74に接続する。
【0040】
次に、レーザ光源71から光信号S1を発振出力すると共に、光ファイバ72aに入力する。この光信号S1は、光デバイス73を経て出力光S2となり、光ファイバ72bを介して受光器74へと導かれる。受光器74における出力光S2のパワーをモニタリングしながら、光ファイバ72aと光デバイス73との光軸合わせを行なう。その後、光軸が合った段階で、光ファイバ72aの一端と光デバイス73の入力端面との突き合わせ部81にCO2レーザを照射し、この突き合わせ部81を融着接続する。このように光ファイバ72aと光デバイス73とを融着接続しておくことによって、後述するようにレーザビームLBを複数回照射しても、光ファイバ72aと光デバイス73との各光軸がずれるおそれがない。
【0041】
次に、超短パルスレーザ光源75から発振された超短パルスレーザービーム(波長800nm、パルス幅150fs、繰り返し周波数250kHz、平均出力500mW、ビームスポット径3μm)LBを、光ファイバ72aのP1の位置に、かつ、コア中心部に集光、照射する。また、この集光、照射と同時に、光デバイス73を載置する3次元方向に移動自在なXYZ移動ステージ78を、光ファイバ72aの長手方向(図7中では左右方向)に沿って矢印B1の方向に移動させ、P1からP2に向かって照射位置を移動する。レーザービームLBとしては、波長が400nm〜980nmの範囲、パルス幅が30fs〜250fsの範囲、パルス繰り返し周波数が1kHz〜250kHzの範囲、平均出力が200mw〜800mwの範囲のものが好ましい。
【0042】
このレーザービームLBの集光、照射及び照射位置の移動と同時に、レーザ光源71から光信号S1を発振出力し、その出力光S2のパワーを受光器74でモニタリングする。
【0043】
このモニタリングによって受光器74からモニタ出力OP1が出力され、制御回路76に入力される。このモニタ出力OP1に基づいて、制御回路76が、移動ステージ78を矢印B1の方向に移動させるための駆動回路77に、駆動信号OP2を出力する。より具体的には、制御回路76は、移動ステージ78のB1方向の移動速度をほぼ指数関数的に徐々に遅くすべく、駆動信号OP2を出力し、モニタ出力OP1が徐々に大きくなるように、最終的には最大となるように制御を行う。これによって、光ファイバ72aの、レーザビームLBが照射された領域においては、コア(実質的には高屈折率部(図6(a)参照))の、屈折率がP1の位置からP2の位置に向かって徐々に高くなり、かつ、径サイズがP1の位置からP2の位置に向かって徐々に小さくなる所定長さL1の第1モードフィールド整合領域84が形成される。この整合領域84を形成するためのレーザービームLBの照射回数は、1回だけに限定するものではなく、複数回に亘って行ってもよい。
【0044】
P1からP2にかけてレーザービームLBを照射する照射工程を1回行った後では、接続損失は0.4dBであった。照射工程をもう1回繰り返した後では、接続損失は0.2dBに減少し、更にもう1回繰り返した後では、接続損失は0.1dBにまで減少した。また、偏光依存損失も0.06dBと小さい値を得ることができた。さらに、反射減衰量は−30dB以下まで低減することができた。これらの結果から、高性能なモード変換部(整合領域84)が実現されていることが確認できた。
【0045】
上述した手順、制御と同様の手順、制御を用いて、光ファイバ72bに整合領域84を形成することができる。また、光ファイバ72a,72bだけに第1モードフィールド整合領域84,84を形成するのではなく、光デバイス73にも第2モードフィールド整合領域85を形成してもよい。この場合、移動ステージ78を矢印B2の方向に移動させ、レーザービームLBの照射位置をP3からP2に亘って移動させる以外は、第1モードフィールド整合領域84の形成と同様の手順、制御を用いることで形成が可能である。これによって、更に高性能なモード変換部(整合領域84,85)を実現することができる。
【0046】
また、光信号S1の出力光S2をモニタリングする受光器74の代わりに、光信号S1の反射光S3をモニタリングする反射光測定器80を用いてもよい。具体的には、光ファイバ72aの中途に光カプラー79を設け、光信号S1の反射光S3を反射光測定器80でモニタリングする。反射光測定器80からのモニタ出力OP5が制御回路76に入力され、このモニタ出力OP5に基づいて、制御回路76が駆動回路77に、移動ステージ78を矢印B1の方向に移動させるよう駆動信号OP2を出力するようにしてもよい。より具体的には、制御回路76は、移動ステージ78のB1方向の移動速度をほぼ指数関数的に徐々に遅くすべく、駆動信号OP2を出力し、モニタ出力OP5が徐々に小さくなるように、最終的には最小となるように制御を行う。
【0047】
また、移動ステージ78の移動速度を変化させることで、整合領域84,85の屈折率、断面形状・サイズの制御を行う方法以外に、図8に示すように、移動ステージ78の移動速度は一定に保ったまま、レーザービームLBのスポット径を、P1からP2にかけて徐々に指数関数的に小さくしながら、レーザービームLBを照射するようにしてもよい。この場合、受光器74からのモニタ出力OP1を制御回路76に入力し、このモニタ出力OP1に基づいて、制御回路76がレーザ光源74に制御信号OP3を出力する。より具体的には、制御回路76は、レーザービームLBのスポット径がほぼ指数関数的に徐々に小さくなるよう、制御信号OP3を出力し、モニタ出力OP1が徐々に大きくなるように、最終的には最大となるように制御する。
【0048】
次に、本発明に係る光伝送部品の作用を説明する。
【0049】
本発明に係る光伝送部品は、光ファイバ20及び光デバイス10の接続端部に、各コア21,13の屈折率及び断面形状・サイズが長手方向に連続的に変移するように、超短パルスレーザ光源からレーザビームを照射することで、モードフィールド整合領域24,14を形成している。このため、図11に示した光デバイス110のように、光デバイス自体のサイズが大きくなるということはなく、また、図12に示した光伝送部品のように、高Δの光ファイバ121a,121bを必要としないため、超小型構造の光伝送部品を低コストで実現することが可能である。
【0050】
また、各コア21,13の屈折率及び断面形状・サイズが長手方向に連続的に変移しているため、損失増加要因が殆ど無く、その結果、低損失(0.1dB以下)の接続特性及び低反射損失特性の光伝送部品を実現可能である。
【0051】
また、光ファイバ20のコア21内に、径方向に均一なモード変換部(整合領域24)を形成しているため、偏光依存損失が0.03dB以下の低偏光依存特性の光伝送部品を実現可能である。
【0052】
また、モードフィールド整合領域を、光ファイバ20の接続端部のみでなく、光デバイス10の接続端部にも形成することで、モードフィールド整合領域が光ファイバ20の接続端部から光デバイス10の接続端部に亘って形成されることになる。その結果、光ファイバ20と光デバイス10との接続界面において、不要な反射が生じるおそれがなくなる。
【0053】
また、図5に示したように、光ファイバ20と光デバイス10とを、光軸を合わせた状態で融着接続した後に、整合領域24(又は24,14)を形成することで、整合領域24(又は24,14)の最終性能を検査し、最終仕上げを終えた段階で、高性能な光伝送部品が得られるため、生産効率が良好で、かつ、高歩留りとなる。
【0054】
また、図7に示したように光ファイバ72aから光デバイス73へ(又は光デバイス73から光ファイバ72aへ)向けて光信号S1を入力・伝搬させると共に、その光信号S1の出力光S2(又は反射光S3)をモニタリングし、そのモニタ出力OP1(又はOP5)に応じて、レーザビームLBの集光・照射条件の制御を行うことで、高性能なモード変換部を、容易に、歩留りよく、かつ、再現性よく形成することができる。この時、光信号S1の出力光S2が最大(又は反射光S3が最小)となるように、超短パルスのレーザビームLBの、集光・照射条件の制御を行うことで、モード変換部の性能を最大限に高めることができる。
【0055】
次に、本発明の他の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
【0056】
本発明に係る光伝送部品の第1の適用例の平面図を図9に示すように、光伝送部品90は、1×6型光スターカプラからなる光デバイス91の、入力側(図9中では左側)に1本の光ファイバ92を、出力側(図9中では右側)に6本の光ファイバ93a〜93fを光学的に接続し、光ファイバ92,93a〜93f及び光デバイス91の接続端部を、それぞれ図1(a)に示したモードフィールド整合領域に形成したものである。
【0057】
ここで、光デバイス91としては、1×6型光スターカプラに限定するものではなく、6チャンネル光分波器又は6チャンネル光合波器等であってもよい。また、入力側の光ファイバは1本に限定するものではなく、2本以上であってもよい。また、出力側の光ファイバは6本に限定するものではなく、少なくとも1本であればよく、数百本程度であってもよい。これによって、例えば、数百チャンネルの波長の光信号を分波又は合波可能なアレイ導波路グレーティングを、超小型に実現することができ、大幅なコストダウンを図ることができる。
【0058】
また、本発明に係る光伝送部品の第2の適用例の断面図を図10に示すように、双方向伝送用光デバイス100は、光デバイス101の基板102上に形成された2本のコア103,104の内、コア103の一端部(図10中では左端部)に光ファイバ105を、コア103の他端部(図10中では右端部)に半導体レーザ(LD)106を光学的に接続し、また、コア104の一端部(図10中では右端部)にフォトダイオード(PD)107を光学的に接続し、光ファイバ105及び光デバイス101の接続端部を、それぞれ図1(a)に示したモードフィールド整合領域に形成したものである。
【0059】
フォトダイオード107は、方向性結合器型光フィルタであり、半導体レーザ106からの光信号λ1を光ファイバ105に伝送・伝搬し、また、光ファイバ105を伝搬してきた光信号λ2はフォトダイオード107に入力する機能を有している。
【0060】
光デバイス101のコア103,104をSiONで構成すれば、Δを2〜5%程度と高く形成することができるため、光デバイス101の超小型化を図ることができる。
【0061】
以上、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
【0062】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、次のような優れた効果を発揮する。
(1) 光伝送路の接続端部(又は光伝送路の接続端部および光デバイスの接続端部)がモードフィールド整合領域となるため、小型で、かつ、低損失でモードフィールド整合が可能な光伝送部品が得られる。
(2) (1)の光伝送部品を、安価に、歩留りよく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明に係る光伝送部品の縦断面図である。図1(b)は図1(a)の1c−1c線の横断面図を示している。また、図1(c)〜図1(f)は、図1(a)の1c−1c線断面、1d−1d線断面、1e−1e線断面、及び1f−1f線断面の屈折率分布を示している。また、図1(g)及び図1(h)は、それぞれ長手方向におけるコア屈折率分布及びコア半径分布を示している。
【図2】図2(a)は図1における光ファイバの第1変形例を示す横断面図である。図2(b)は、図2(a)の径方向の屈折率分布を示している。
【図3】図3(a)は図1における光ファイバの第2変形例を示す横断面図である。図3(b)は、図3(a)の径方向の屈折率分布を示している。
【図4】図4(a)はモードフィールド整合領域を形成する前の光伝送部品の縦断面図である。図4(b)及び図4(c)は、図4(a)における光ファイバの横断面図及び光デバイスの横断面図を示している。また、図4(d)〜図4(f)は、図4(a)の4d−4d線断面、4e−4e線断面、及び4f−4f線断面の屈折率分布を示している。
【図5】図4の光伝送部品における光ファイバと光デバイスとを融着接続した縦断面図である。
【図6】図6(a)はモードフィールド整合領域を形成した後の光伝送部品の縦断面図である。図6(b)〜図6(d)は、図6(a)の6b−6b線断面、6c−6c線断面、及び6d−6d線断面の屈折率分布を示している。
【図7】本発明に係る光伝送部品を製造するための製造装置の概略図である。
【図8】 図7の製造装置における超短パルスレーザ光源から照射されるレーザビームの制御を説明するためのグラフで、レーザビームのスポット径を制御する場合を示している。
【図9】本発明に係る光伝送部品の第1の適用例の平面図である。
【図10】本発明に係る光伝送部品の第2の適用例の断面図である。
【図11】モードフィールド整合領域を備えた従来の光デバイスの概略図である。
【図12】モードフィールド整合領域を備えた従来の光伝送部品の概略図である。
【符号の説明】
10,73 光デバイス
12a,12b,22 クラッド
13,21 コア
14,85 第2モードフィールド整合領域
20,72a,72b 光ファイバ(光伝送路)
24,84 第1モードフィールド整合領域
LB 超短パルスレーザビーム
S1 光信号
S2 出力光
S3 反射光
OP1 モニタ出力
Claims (5)
- コア及びクラッドを有する光伝送路と、同じくコア及びクラッドを有する光デバイスとを光学的に接続してなる光伝送部品において、
上記光デバイスのコアとクラッドとの比屈折率差が上記光伝送路のコアとクラッドとの比屈折率差よりも高く形成されており、その光伝送路の接続端部の光伝送路コアの内部に、屈折率が光デバイス側に向かって徐々に高くなり、かつ、断面寸法が光デバイス側に向かって徐々に小さくなる所定長さの第1モードフィールド整合領域を形成し、光デバイスの接続端部に、光デバイスコアの断面寸法が光伝送路側に向かって徐々に大きくなると同時に屈折率が光伝送路側に向かって徐々に低くなる所定長さの第2モードフィールド整合領域を形成したことを特徴とする光伝送部品。 - 上記光デバイスの比屈折率差が1.5〜4%である請求項1記載の光伝送部品。
- コア及びクラッドを有する光伝送路と、同じくコア及びクラッドを有する光デバイスとを光学的に接続してなる光伝送部品を製造する方法において、
上記光デバイスのコアとクラッドとの比屈折率差を上記光伝送路のコアとクラッドとの比屈折率差よりも高く形成し、その光伝送路の接続端部のコア内部に、超短パルスのレーザビームを集光・照射し、光伝送路コアの内部に屈折率が光デバイス側に向かって徐々に高くなり、かつ、断面寸法が光デバイス側に向かって徐々に小さくなる所定長さの第1モードフィールド整合領域を形成する工程と、光デバイスの接続端部に、超短パルスのレーザビームを集光・照射し、光デバイスコアの断面寸法が光伝送路側に向かって徐々に大きくなると同時に屈折率が光伝送路側に向かって徐々に低くなる所定長さの第2モードフィールド整合領域を形成する工程とを有することを特徴とする光伝送部品の製造方法。 - 光伝送路及び光デバイスの各接続端部に超短パルスのレーザビームを集光、照射する前に、光伝送路及び光デバイスを予め光学的に融着接続しておく請求項3記載の光伝送部品の製造方法。
- 各モードフィールド整合領域を形成する際、光伝送路から光デバイスへ又は光デバイスから光伝送路へ向けて光信号を入力・伝搬させると共に、その光信号の出力光又は反射光をモニタリングし、そのモニタ出力に応じて、超短パルスのレーザビームの、集光・照射条件の制御を行う請求項3または4いずれかに記載の光伝送部品の製造方法。
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