JP2004124645A - 自動車用ドアのロアサッシュ構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】昇降動作中にドアガラスがロアサッシュの一部に強く押し付けられることによる異音の発生を防ぐ。
【解決手段】サッシュ本体3のうち室内側の側壁部8がドアガラスG内面の下端の昇降軌跡と平行となるように、室外側の側壁部9が全開時のドアガラスG外面と平行となるようにそれぞれ設定する。各側壁部8,9には長手方向に沿って複数のガイド突起10をそれぞれに形成する。室内側の側壁部8では少なくとも昇降動作するドアガラスGが該当するガイド突起10を通過する際にそのドアガラスGの下端部内面に当接するようにそれぞれのガイド突起10の突出量を設定する。室外側の側壁部9では各ガイド突起10が全開時のドアガラスGの外面と当接するようにそれぞれのガイド突起10の突出量を設定する。
【選択図】 図2
【解決手段】サッシュ本体3のうち室内側の側壁部8がドアガラスG内面の下端の昇降軌跡と平行となるように、室外側の側壁部9が全開時のドアガラスG外面と平行となるようにそれぞれ設定する。各側壁部8,9には長手方向に沿って複数のガイド突起10をそれぞれに形成する。室内側の側壁部8では少なくとも昇降動作するドアガラスGが該当するガイド突起10を通過する際にそのドアガラスGの下端部内面に当接するようにそれぞれのガイド突起10の突出量を設定する。室外側の側壁部9では各ガイド突起10が全開時のドアガラスGの外面と当接するようにそれぞれのガイド突起10の突出量を設定する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ドアにおけるロアサッシュの構造に関し、特に自動車用ドアの内部に配設されてドアガラスを昇降可能に案内支持するべく、樹脂材料をもって一体成形タイプのもとして形成されたロアサッシュの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の樹脂一体成形タイプのロアサッシュの構造として例えば特許文献1に記載のものが知られている。従来のロアサッシュは、断面略チャンネル状に形成されたサッシュ本体の側壁部の対向内面にドアガラスと直接摺接することになるガイド突起を一体に形成したものであり、金属製のグラスランチャンネルにいわゆるグラスランラバーを装着したタイプ(以下、これを便宜上金属タイプという)のものと比べて軽量化や製造コストの低減の上で有利であるとされている。その一方、ドアガラスと直接摺接することになるガイド突起の表面がグラスランラバーに比べて硬質であることから、ドアガラスの昇降動作に伴う摺動音対策を確実に行う必要があり、特にドアガラスの昇降過程においてたとえ一時的であってもガイド突起にドアガラスが強く押し付けられること(いわゆる強摺動状態)がないように十分に考慮されていなければならない。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−100676号公報 (第2頁、図1〜図4)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に代表されるような従来の樹脂製のロアサッシュにおいては、その基本形状はなおも金属タイプのものときわめて類似した形状となっており、特に断面略チャンネル状をなすサッシュ本体の開口幅は長手方向を通して一定したものとなっている。そのため、Xアーム式やシングルアーム式等のウインドレギュレータ機構を採用した場合に、そのウインドレギュレータ機構はドアガラスとの連結部を直線的に昇降移動させるにすぎないものであるから、そのレギュレータ軌跡とドアガラス自体の曲率とが必ずしも一致せず、ドアガラス昇降時にロアサッシュがドアガラスの昇降軌跡に対応しきれずに、ロアサッシュ側の側壁部にドアガラスが強く押し付けられるかたちとなり、その結果として耳障りな異音が発生することとなって好ましくない。なお、多くの場合、ウインドレギュレータ機構とドアガラスとの連結部はドアガラスよりも室内側に位置していて、ドアガラスの昇降時にそのドアガラスがロアサッシュの室内側の側壁部に強く押し付けられる傾向にある。
【0005】
より詳しくは、図13はドアDとドアガラスGおよびロアサッシュSとの相対位置関係を示す概略説明図で、符号S1,S2はロアサッシュSの室内側および室外側の側壁部を、G11はドアガラスGの下端での昇降軌跡(以下、ドアガラス軌跡と略称する)を、G12はドアガラス全開時におけるドアガラスGの曲率を、R1は図示外のウインドレギュレータ機構による軌跡すなわちドアガラス最上昇時におけるドアガラス下端とドアガラス最下降時におけるドアガラス下端とを結んだ直線(以下、レギュレータ軌跡と略称する))をそれぞれ示す。また、Wはドアウエスト開口部のウエストシールである。なお、ここで、室内側および室外側の側壁部S1,S2はドアガラス全開時におけるドアガラスGの曲率G12と平行となっている。
【0006】
同図において、ドアガラスGを開動作する場合、ドアガラスGの昇降ストロークのうちストロークSt1の範囲内では、ドアガラス軌跡G11はレギュレータ軌跡R1の影響で室内側にオフセットするものの、ドアガラスGのうち上部サッシュ(図13では図示省略しているが、ロアサッシュの上端部に接続される)に案内支持されている部分の影響で図14に示すようにドアガラスG自体の曲率とほぼ同じ曲率の軌跡を描くことになる。その一方、ストロークSt2の範囲内では、ドアガラスGのうち上部サッシュに案内支持される部分が少ないために、レギュレータ軌跡R1により近い直線的な軌跡を描くことになり、最終的に図15の状態をもって全開状態となる。
【0007】
そして、図14に示すようなドアガラスGの半開状態すなわち昇降ストロークSt1の途中において、ドアガラス全開時におけるドアガラスGの曲率G12とレギュレータ軌跡R1とのオフセット量が特に大きくなるために、ドアガラスGがレギュレータ軌跡R1側に引き寄せられて、図14の部位Qにおいて室内側の側壁部S1にドアガラスGが強く押し付けられるいわゆる強摺動状態が発生することになる(なお、上記のようなドアガラスGの昇降軌跡とドアガラスG自体の曲率との不一致による異音の発生原因は例えば実公平5−28086号公報にも詳しい)。
【0008】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、特にウインドレギュレータ機構よるドアガラスの昇降軌跡とドアガラス自体の曲率とが一致しない場合であっても、ロアサッシュ側にドアガラスが強く押し付けられることがないようにし、もって異音の発生を未然に防止できるようにした樹脂製ロアサッシュの構造を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、自動車用ドアの内部に配設されるとともに、断面略チャンネル状をなすサッシュ本体の内部対向面にドアガラスと摺接してこれを昇降可能に案内支持するガイド突起を形成した樹脂製のロアサッシュであって、サッシュ本体のうち一方の内部対向面を形成することになる室内側の側壁部がドアガラス内面の下端の昇降軌跡と平行となるように設定するとともに、他方の内部対向面を形成することになる室外側の側壁部が全開時のドアガラス外面と平行となるように設定したことを特徴とする。なお、ここではドアガラスは室外側が凸となるように所定の曲率で湾曲していることを前提としている。
【0010】
この場合において、請求項2に記載のように、サッシュ本体のうち室内側および室外側の側壁部にはその長手方向に沿って複数のガイド突起をそれぞれに形成し、室内側の側壁部では、少なくとも昇降動作するドアガラスが該当するガイド突起を通過する際にそのドアガラス内面の下端部に当接するようにそれぞれのガイド突起の突出量を設定するとともに、室外側の側壁部では、各ガイド突起が全開時のドアガラス外面と当接するようにそれぞれのガイド突起の突出量を設定することがより望ましい。
【0011】
したがって、請求項1に記載の発明では、サッシュ本体の室内側の側壁部がドアガラス内面下端の昇降軌跡と平行となっていることによって、ドアガラスの昇降時にドアガラスが室内側の側壁部や同側壁部側のガイド突起に強く押し付けられるような事態の発生が回避される。特に請求項2に記載の発明では、各側壁部における複数のガイド突起が確実にドアガラスに当接するように各ガイド突起の突出量が考慮されているため、ドアガラスの昇降動作がより円滑なものとなるとともに、ドアガラスの全開状態では、室内側のガイド突起と室外側のガイド突起によりドアガラスの内面と外面をそれぞれ個別に保持できることになり、ドアガラス全開時のガラスのばたつきを防止する上でも有効に作用する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1の記載を前提とした上で請求項2に記載のものと条件を逆にして、サッシュ本体のうち室内側および室外側の側壁部にはその長手方向に沿って複数のガイド突起がそれぞれに形成し、室内側の側壁部では、各ガイド突起が全開時のドアガラス内面と当接するようにそれぞれのガイド突起の突出量を設定するとともに、室外側の側壁部では、少なくとも昇降動作するドアガラスが該当するガイド突起を通過する際にそのドアガラス外面の下端部に当接するようにそれぞれのガイド突起の突出量を設定したことを特徴とする。
【0013】
したがって、この請求項3に記載の発明では、ガラス昇降方向のどの位置においても常にドアガラスの内外面を室内側および室外側のガイド突起で個別に保持できるようになり、ドアガラスのばたつきをより確実に防止できるようになる。
【0014】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、サッシュ本体の室内側の側壁部がドアガラス内面下端の昇降軌跡と平行となるように、且つ室外側の側壁部が全開時のドアガラス外面と平行となるようにそれぞれ設定したものであるから、ドアガラスの昇降時にそのドアガラスがガイド突起に強く押し付けられることがなくなり、ドアガラスの昇降性が向上するとともに異音の発生を防止でき、またロアサッシュに無理な力が加わらないためにロアサッシュ自体の耐久性も向上する効果がある。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、各側壁部における複数のガイド突起が確実にドアガラスに当接するように各ガイド突起の突出量が考慮されているため、ドアガラスの昇降性が一段と向上する効果がある。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載のものとは逆に、室内側の側壁部では各ガイド突起が全開時のドアガラス内面と当接するようにそれぞれのガイド突起の突出量を設定し、且つ室外側の側壁部では昇降動作するドアガラスが該当するガイド突起を通過する際にそのドアガラス外面の下端部に当接するようにそれぞれのガイド突起の突出量を設定したものであるから、ガラス昇降方向のどの位置においても常にドアガラスの内外面を室内側および室外側のガイド突起で個別に保持でき、ドアガラスのばたつきをより確実に防止できる効果がある。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1〜8は本発明の好ましい第1の実施の形態を示す図であり、図1に示すように自動車のフロントドア1の内部であって且つそのリア側に配設されるロアサッシュ2の例を示している。
【0018】
図1のほか図2,3に示すように、ロアサッシュ2は、断面略チャンネル状をなすサッシュ本体3とその上端のボックス状のソケット部4および下端部の取付ブラケット部5とを含む全体形状を例えばポリアセタール(POM)等の樹脂材料をもって一体成形したものである。そして、ロアサッシュ2は図1に示すような後傾姿勢をもってフロントドア1に対する正規組付状態とされ、上端のソケット部4が上部サッシュ部6側のグラスランチャンネル部6aの下端に嵌合固定されるとともに取付ブラケット部5が例えばドアインナパネルにねじ締め固定される。そして、図示外のフロント側のロアサッシュとともにドアガラスG(P1は最上昇位置(上死点位置)を、P2は最下降位置(下死点位置)をそれぞれ示す)を昇降可能に案内支持するようになっている。なお、図13にも示したようにドアガラスGは室外側が凸形状となるように所定の曲率を有しており、ロアサッシュ2もまたドアガラスGを受容し得る曲率でわずかに湾曲した形状となっている。また、ドアガラスGは周知のように図示しないウインドレギュレータ機構の操作により昇降駆動される。
【0019】
サッシュ本体3はその断面形状が略チャンネル状のものとなるように板状の底壁部7をもって左右の側壁部8,9同士を連結したものであり、図1のようなフロントドア1への正規組付状態においては一方の側壁部8が室内側に位置し、他方の側壁部9が室外側に位置するように設定されている。そして、双方の側壁部8,9同士は互いに平行ではなく、底壁部7と双方の側壁部8,9とをもって構成されるチャンネル状空間の開口幅はその長手方向で不均一のものとなっている。なお、双方の側壁部8,9同士の非平行の関係については後述する。
【0020】
双方の側壁部8,9には、図4〜6にも示すように内側に向かって屈曲しつつ鋭角形状をもって突出するガイド突起10,10…が比較的幅広の窓状のスリット11とともに長手方向に沿って複数個形成されている。これらのガイド突起10,10…とスリット11,11…の配置位置は一方の側壁部8側と他方の側壁部9側とでその長手方向で互い違いの関係となっていて、各ガイド突起10,10…にドアガラスGの内外面が当接することでそのドアガラスGを昇降可能に案内支持するようになっている。
【0021】
より詳しくは、図4〜6に示すように、各ガイド突起10は、側壁部8または9と面一の連接片部12から曲折基部13をもって折り曲げるように直立させた直立片部14と同じくもう一方の連接片部15から曲折基部16をもって斜めに折り曲げた斜状片部17とにより略ウエッジ状に形成したもので、斜状片部17は下方に向かってその突出量(高さ)が漸増するように設定してある。そして、ガイド突起10に隣接して各側壁部8または9の根元部側にスリット11が開口形成されていて、しかも直立片部14や斜状片部17および連接片部12,15が側壁部8,9の一般部に比べて相対的に薄肉状のものとして形成されていることにより、ガイド突起10としての反力を低減しながらガイド突起10自体に自己弾性力による適度な可撓性を具備させてある。
【0022】
また、直立片部14とともにガイド突起10を形成している斜状片部17に所定の捻れを持たせることによりその斜状片部17と直立片部14とのなす先端の稜線部18が曲折基部13,16に対して非平行となっているとともに、その稜線部18のうちでもスリット11寄りの鋭利な頂部19が最も内側に突出していて、その頂部19にドアガラスGが当接するように設定されている。これにより、ドアガラスGに対するガイド突起10の接触面積の低減化が図られているとともに、仮に経年変化によりガイド突起10が摩耗したとしてもその接触面積が増大しないように配慮されている。
【0023】
ここで、図3は上記ロアサッシュ2が適用されるフロントドア1のドアガラスGの全閉状態を、図7は同じくドアガラスGの半開状態を、また図8はドアガラスGの全開状態をそれぞれ示しており、さらに、G1はドアガラスGの内面(室内側の面)下端での昇降軌跡(以下、ドアガラス下端軌跡と略称する)を、R1は図示外のウインドレギュレータ機構による軌跡すなわちドアガラス最上昇時におけるドアガラス内面下端とドアガラス最下降時におけるドアガラス内面下端とを結んだ直線(以下、レギュレータ軌跡と略称する))をそれぞれ示している。
【0024】
そして、ドアガラスGはウインドレギュレータ機構(手動式であるか電動式であるかは問わない)の操作に応じて昇降動作するものであることは周知のとおりであるが、そのウインドレギュレータ機構の可動部がレギュレータ軌跡R1と平行に直線的に昇降動作したとしても、ドアガラスG自体はロアサッシュ2だけでなくその上方側の上部サッシュ部6によっても拘束されるようにして案内支持されていることから、ドアガラスGはその内面下端に着目した場合にドアガラス下端軌跡G1に沿って昇降動作することになる。
【0025】
そこで、本実施の形態では、先にも述べたようにロアサッシュ2のサッシュ本体3のうち互いに対向している室内側の側壁部8と室外側の側壁部9とを積極的に非平行な関係とするべく、室内側の側壁部8についてはドアガラスGの内面下端の軌跡G1と平行となるように設定してあるとともに、室内側の側壁部8と対向することになる室外側の側壁部9については、図8に示すようにドアガラス全開時におけるドアガラスG自体の外面(室外側の面)と平行となるように設定してある。これにより、双方の側壁部8,9同士は非平行であって且つその側壁部8,9同士のなす開口幅はロアサッシュ2の長手方向で微妙に変化していて、全体としては不均一なものとなっている。
【0026】
さらに、双方の側壁部8,9同士の非平行の度合いと併せて各側壁部8,9におけるガイド突起10の突出量(突出高さ)も考慮するものとし、室内側の側壁部8では、少なくとも昇降動作するドアガラスGが該当するガイド突起を通過する際にそのドアガラスGの内面下端にガイド突起10が当接するようにそれぞれのガイド突起10の突出量が設定されていて、同時に室外側の側壁部9では、図8に示すように各ガイド突起10が全開時のドアガラスGの外面と当接するようにそれぞれのガイド突起10の突出量が設定されている。
【0027】
したがって、本実施の形態によれば、例えば図3に示すドアガラス全閉状態から図7のドアガラス半開状態を経て図8に示すドアガラス全開状態に至る過程を想定した場合に、そのドアガラスGの内面下端はドアガラス下端軌跡G1に沿って下降し、特に図7に示す半開状態に至るまでの下降動作の前中期過程では、ドアガラスGが室内側の側壁部8寄りにオフセットした状態で下降する。そして、図7の状態から図8に示す全開状態に至る下降後半過程では、ドアガラスGはなおもその内面下端がドアガラス下端軌跡G1に沿うように下降するものの、下降動作の末期に至るとドアガラスGは図8に示すように徐々に室外側の側壁部9寄りにオフセットして、最終的には図8の状態をもって最下降位置P2に位置決めされる。なお、図8の状態からドアガラスGを上昇させる場合には、上記の挙動も逆になる。
【0028】
このようなドアガラスGの下降過程では、ドアガラスGとの当接により各ガイド突起10,10…が撓み変形してその下降動作をスムーズに案内する一方、下降動作中もしくは下降動作後のドアガラスGの無用なばたつきが防止される。その上、室内側の側壁部8では、昇降動作するドアガラスGが該当するガイド突起10を通過する際にそのドアガラスGの内面下端に当接するようにそれぞれのガイド突起10,10…の突出量が設定されているとともに、室外側の側壁部9では、各ガイド突起10,10…が全開時のドアガラスGの外面と当接するようにそれぞれのガイド突起10,10…の突出量が設定されているため、ドアガラス昇降ストロークのどの位置においてもドアガラスGが側壁部8または9側に極度に強く押し付けられることがなくなり、ドアガラス昇降性の悪化や異音の発生を未然に防止できることになる。
【0029】
図9,10は本発明の第2の実施の形態を示し、先の第1の実施の形態のもの(図2,3参照)と共通する部分には同一符号を付してある。
【0030】
この第2の実施の形態のロアサッシュ22では、サッシュ本体23における室内側の側壁部8の最下端のガイド突起を廃止し、それに代えて側壁部8の内面にブロック状のストッパー24を突設して、そのストッパー24自体ではドアガラスGとの当接による撓み代が生じないように設定してある。
【0031】
したがって、この第2の実施の形態によれば、図10に示すドアガラスGの最下降状態において、そのドアガラスGの上部側が上部サッシュ6側のグラスランチャンネル部6aで拘束される一方でドアガラスGの下端は撓み代を有しないストッパー24によって拘束されることになるので、ドアガラスGの最下降状態でのそのドアガラスGのばたつきをより確実に防止できることになる。
【0032】
図11,22は本発明の第3の実施の形態を示し、この第3の実施の形態においても第1の実施の形態と共通する部分には同一符号を付してある。
【0033】
この第3の実施の形態におけるロアサッシュ32は、サッシュ本体33における双方の側壁部8,9におけるガイド突起40の突出量の条件を第1,2の実施の形態のものと比べて逆にし、室内側の側壁部8では、図12に示すように各ガイド突起40が全開時のドアガラスGの内面と当接するようにそれぞれのガイド突起40の突出量を設定する一方、室外側の側壁部9では、図11に示すように昇降動作するドアガラスGが該当するガイド突起40を通過する際にそのガイド突起40がそのドアガラスGの外面下端部に当接するようにそれぞれのガイド突起40の突出量を設定してある。
【0034】
この第3の実施の形態によれば、ドアガラスGの昇降ストロークのどの位置においても常に双方の側壁部8,9のガイド突起40がドアガラスGの内外面に必ず当接することになるので、ドアガラスGのばたつきを防止する上でより望ましいものとなる。
【0035】
ここで、上記の各実施の形態においては、双方の側壁部8,9におけるガイド突起10,40としていずれも図4〜6に示したものを採用しているが、ガイド突起10,40そのものの形状は一例にすぎず、必要に応じて任意の形状のものを採用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロアサッシュが適用される自動車用フロントドアの説明図。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示すロアサッシュ単独での斜視図。
【図3】ドアガラス全閉時における図2のロアサッシュとドアガラスとの関係を示す説明図。
【図4】図2に示すロアサッシュの要部拡大斜視図。
【図5】図4のA−A線に沿う断面図。
【図6】図4のB−B線に沿う断面図。
【図7】ドアガラス半開時における図2のロアサッシュとドアガラスとの関係を示す説明図。
【図8】ドアガラス全開時における図2のロアサッシュとドアガラスとの関係を示す説明図。
【図9】本発明の第2の実施の形態を示すロアサッシュ単独での斜視図。
【図10】ドアガラス全開時における図9のロアサッシュとドアガラスとの関係を示す説明図。
【図11】本発明の第3の実施の形態を示す図で、ドアガラス半開時におけるロアサッシュとドアガラスとの関係を示す説明図。
【図12】ドアガラス全開時における図11のロアサッシュとドアガラスとの関係を示す説明図。
【図13】従来のロアサッシュにおけるドアガラス全閉状態での昇降軌跡の説明図。
【図14】同じく従来のロアサッシュにおけるドアガラス半開状態での昇降軌跡の説明図。
【図15】同じく従来のロアサッシュにおけるドアガラス全開状態での昇降軌跡の説明図。
【符号の説明】
1…フロントドア
2…ロアサッシュ
3…サッシュ本体
8…室内側の側壁部
9…室外側の側壁部
10…ガイド突起
22…ロアサッシュ
23…サッシュ本体
32…ロアサッシュ
33…サッシュ本体
40…ガイド突起
G…ドアガラス
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ドアにおけるロアサッシュの構造に関し、特に自動車用ドアの内部に配設されてドアガラスを昇降可能に案内支持するべく、樹脂材料をもって一体成形タイプのもとして形成されたロアサッシュの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の樹脂一体成形タイプのロアサッシュの構造として例えば特許文献1に記載のものが知られている。従来のロアサッシュは、断面略チャンネル状に形成されたサッシュ本体の側壁部の対向内面にドアガラスと直接摺接することになるガイド突起を一体に形成したものであり、金属製のグラスランチャンネルにいわゆるグラスランラバーを装着したタイプ(以下、これを便宜上金属タイプという)のものと比べて軽量化や製造コストの低減の上で有利であるとされている。その一方、ドアガラスと直接摺接することになるガイド突起の表面がグラスランラバーに比べて硬質であることから、ドアガラスの昇降動作に伴う摺動音対策を確実に行う必要があり、特にドアガラスの昇降過程においてたとえ一時的であってもガイド突起にドアガラスが強く押し付けられること(いわゆる強摺動状態)がないように十分に考慮されていなければならない。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−100676号公報 (第2頁、図1〜図4)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に代表されるような従来の樹脂製のロアサッシュにおいては、その基本形状はなおも金属タイプのものときわめて類似した形状となっており、特に断面略チャンネル状をなすサッシュ本体の開口幅は長手方向を通して一定したものとなっている。そのため、Xアーム式やシングルアーム式等のウインドレギュレータ機構を採用した場合に、そのウインドレギュレータ機構はドアガラスとの連結部を直線的に昇降移動させるにすぎないものであるから、そのレギュレータ軌跡とドアガラス自体の曲率とが必ずしも一致せず、ドアガラス昇降時にロアサッシュがドアガラスの昇降軌跡に対応しきれずに、ロアサッシュ側の側壁部にドアガラスが強く押し付けられるかたちとなり、その結果として耳障りな異音が発生することとなって好ましくない。なお、多くの場合、ウインドレギュレータ機構とドアガラスとの連結部はドアガラスよりも室内側に位置していて、ドアガラスの昇降時にそのドアガラスがロアサッシュの室内側の側壁部に強く押し付けられる傾向にある。
【0005】
より詳しくは、図13はドアDとドアガラスGおよびロアサッシュSとの相対位置関係を示す概略説明図で、符号S1,S2はロアサッシュSの室内側および室外側の側壁部を、G11はドアガラスGの下端での昇降軌跡(以下、ドアガラス軌跡と略称する)を、G12はドアガラス全開時におけるドアガラスGの曲率を、R1は図示外のウインドレギュレータ機構による軌跡すなわちドアガラス最上昇時におけるドアガラス下端とドアガラス最下降時におけるドアガラス下端とを結んだ直線(以下、レギュレータ軌跡と略称する))をそれぞれ示す。また、Wはドアウエスト開口部のウエストシールである。なお、ここで、室内側および室外側の側壁部S1,S2はドアガラス全開時におけるドアガラスGの曲率G12と平行となっている。
【0006】
同図において、ドアガラスGを開動作する場合、ドアガラスGの昇降ストロークのうちストロークSt1の範囲内では、ドアガラス軌跡G11はレギュレータ軌跡R1の影響で室内側にオフセットするものの、ドアガラスGのうち上部サッシュ(図13では図示省略しているが、ロアサッシュの上端部に接続される)に案内支持されている部分の影響で図14に示すようにドアガラスG自体の曲率とほぼ同じ曲率の軌跡を描くことになる。その一方、ストロークSt2の範囲内では、ドアガラスGのうち上部サッシュに案内支持される部分が少ないために、レギュレータ軌跡R1により近い直線的な軌跡を描くことになり、最終的に図15の状態をもって全開状態となる。
【0007】
そして、図14に示すようなドアガラスGの半開状態すなわち昇降ストロークSt1の途中において、ドアガラス全開時におけるドアガラスGの曲率G12とレギュレータ軌跡R1とのオフセット量が特に大きくなるために、ドアガラスGがレギュレータ軌跡R1側に引き寄せられて、図14の部位Qにおいて室内側の側壁部S1にドアガラスGが強く押し付けられるいわゆる強摺動状態が発生することになる(なお、上記のようなドアガラスGの昇降軌跡とドアガラスG自体の曲率との不一致による異音の発生原因は例えば実公平5−28086号公報にも詳しい)。
【0008】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、特にウインドレギュレータ機構よるドアガラスの昇降軌跡とドアガラス自体の曲率とが一致しない場合であっても、ロアサッシュ側にドアガラスが強く押し付けられることがないようにし、もって異音の発生を未然に防止できるようにした樹脂製ロアサッシュの構造を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、自動車用ドアの内部に配設されるとともに、断面略チャンネル状をなすサッシュ本体の内部対向面にドアガラスと摺接してこれを昇降可能に案内支持するガイド突起を形成した樹脂製のロアサッシュであって、サッシュ本体のうち一方の内部対向面を形成することになる室内側の側壁部がドアガラス内面の下端の昇降軌跡と平行となるように設定するとともに、他方の内部対向面を形成することになる室外側の側壁部が全開時のドアガラス外面と平行となるように設定したことを特徴とする。なお、ここではドアガラスは室外側が凸となるように所定の曲率で湾曲していることを前提としている。
【0010】
この場合において、請求項2に記載のように、サッシュ本体のうち室内側および室外側の側壁部にはその長手方向に沿って複数のガイド突起をそれぞれに形成し、室内側の側壁部では、少なくとも昇降動作するドアガラスが該当するガイド突起を通過する際にそのドアガラス内面の下端部に当接するようにそれぞれのガイド突起の突出量を設定するとともに、室外側の側壁部では、各ガイド突起が全開時のドアガラス外面と当接するようにそれぞれのガイド突起の突出量を設定することがより望ましい。
【0011】
したがって、請求項1に記載の発明では、サッシュ本体の室内側の側壁部がドアガラス内面下端の昇降軌跡と平行となっていることによって、ドアガラスの昇降時にドアガラスが室内側の側壁部や同側壁部側のガイド突起に強く押し付けられるような事態の発生が回避される。特に請求項2に記載の発明では、各側壁部における複数のガイド突起が確実にドアガラスに当接するように各ガイド突起の突出量が考慮されているため、ドアガラスの昇降動作がより円滑なものとなるとともに、ドアガラスの全開状態では、室内側のガイド突起と室外側のガイド突起によりドアガラスの内面と外面をそれぞれ個別に保持できることになり、ドアガラス全開時のガラスのばたつきを防止する上でも有効に作用する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1の記載を前提とした上で請求項2に記載のものと条件を逆にして、サッシュ本体のうち室内側および室外側の側壁部にはその長手方向に沿って複数のガイド突起がそれぞれに形成し、室内側の側壁部では、各ガイド突起が全開時のドアガラス内面と当接するようにそれぞれのガイド突起の突出量を設定するとともに、室外側の側壁部では、少なくとも昇降動作するドアガラスが該当するガイド突起を通過する際にそのドアガラス外面の下端部に当接するようにそれぞれのガイド突起の突出量を設定したことを特徴とする。
【0013】
したがって、この請求項3に記載の発明では、ガラス昇降方向のどの位置においても常にドアガラスの内外面を室内側および室外側のガイド突起で個別に保持できるようになり、ドアガラスのばたつきをより確実に防止できるようになる。
【0014】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、サッシュ本体の室内側の側壁部がドアガラス内面下端の昇降軌跡と平行となるように、且つ室外側の側壁部が全開時のドアガラス外面と平行となるようにそれぞれ設定したものであるから、ドアガラスの昇降時にそのドアガラスがガイド突起に強く押し付けられることがなくなり、ドアガラスの昇降性が向上するとともに異音の発生を防止でき、またロアサッシュに無理な力が加わらないためにロアサッシュ自体の耐久性も向上する効果がある。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、各側壁部における複数のガイド突起が確実にドアガラスに当接するように各ガイド突起の突出量が考慮されているため、ドアガラスの昇降性が一段と向上する効果がある。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載のものとは逆に、室内側の側壁部では各ガイド突起が全開時のドアガラス内面と当接するようにそれぞれのガイド突起の突出量を設定し、且つ室外側の側壁部では昇降動作するドアガラスが該当するガイド突起を通過する際にそのドアガラス外面の下端部に当接するようにそれぞれのガイド突起の突出量を設定したものであるから、ガラス昇降方向のどの位置においても常にドアガラスの内外面を室内側および室外側のガイド突起で個別に保持でき、ドアガラスのばたつきをより確実に防止できる効果がある。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1〜8は本発明の好ましい第1の実施の形態を示す図であり、図1に示すように自動車のフロントドア1の内部であって且つそのリア側に配設されるロアサッシュ2の例を示している。
【0018】
図1のほか図2,3に示すように、ロアサッシュ2は、断面略チャンネル状をなすサッシュ本体3とその上端のボックス状のソケット部4および下端部の取付ブラケット部5とを含む全体形状を例えばポリアセタール(POM)等の樹脂材料をもって一体成形したものである。そして、ロアサッシュ2は図1に示すような後傾姿勢をもってフロントドア1に対する正規組付状態とされ、上端のソケット部4が上部サッシュ部6側のグラスランチャンネル部6aの下端に嵌合固定されるとともに取付ブラケット部5が例えばドアインナパネルにねじ締め固定される。そして、図示外のフロント側のロアサッシュとともにドアガラスG(P1は最上昇位置(上死点位置)を、P2は最下降位置(下死点位置)をそれぞれ示す)を昇降可能に案内支持するようになっている。なお、図13にも示したようにドアガラスGは室外側が凸形状となるように所定の曲率を有しており、ロアサッシュ2もまたドアガラスGを受容し得る曲率でわずかに湾曲した形状となっている。また、ドアガラスGは周知のように図示しないウインドレギュレータ機構の操作により昇降駆動される。
【0019】
サッシュ本体3はその断面形状が略チャンネル状のものとなるように板状の底壁部7をもって左右の側壁部8,9同士を連結したものであり、図1のようなフロントドア1への正規組付状態においては一方の側壁部8が室内側に位置し、他方の側壁部9が室外側に位置するように設定されている。そして、双方の側壁部8,9同士は互いに平行ではなく、底壁部7と双方の側壁部8,9とをもって構成されるチャンネル状空間の開口幅はその長手方向で不均一のものとなっている。なお、双方の側壁部8,9同士の非平行の関係については後述する。
【0020】
双方の側壁部8,9には、図4〜6にも示すように内側に向かって屈曲しつつ鋭角形状をもって突出するガイド突起10,10…が比較的幅広の窓状のスリット11とともに長手方向に沿って複数個形成されている。これらのガイド突起10,10…とスリット11,11…の配置位置は一方の側壁部8側と他方の側壁部9側とでその長手方向で互い違いの関係となっていて、各ガイド突起10,10…にドアガラスGの内外面が当接することでそのドアガラスGを昇降可能に案内支持するようになっている。
【0021】
より詳しくは、図4〜6に示すように、各ガイド突起10は、側壁部8または9と面一の連接片部12から曲折基部13をもって折り曲げるように直立させた直立片部14と同じくもう一方の連接片部15から曲折基部16をもって斜めに折り曲げた斜状片部17とにより略ウエッジ状に形成したもので、斜状片部17は下方に向かってその突出量(高さ)が漸増するように設定してある。そして、ガイド突起10に隣接して各側壁部8または9の根元部側にスリット11が開口形成されていて、しかも直立片部14や斜状片部17および連接片部12,15が側壁部8,9の一般部に比べて相対的に薄肉状のものとして形成されていることにより、ガイド突起10としての反力を低減しながらガイド突起10自体に自己弾性力による適度な可撓性を具備させてある。
【0022】
また、直立片部14とともにガイド突起10を形成している斜状片部17に所定の捻れを持たせることによりその斜状片部17と直立片部14とのなす先端の稜線部18が曲折基部13,16に対して非平行となっているとともに、その稜線部18のうちでもスリット11寄りの鋭利な頂部19が最も内側に突出していて、その頂部19にドアガラスGが当接するように設定されている。これにより、ドアガラスGに対するガイド突起10の接触面積の低減化が図られているとともに、仮に経年変化によりガイド突起10が摩耗したとしてもその接触面積が増大しないように配慮されている。
【0023】
ここで、図3は上記ロアサッシュ2が適用されるフロントドア1のドアガラスGの全閉状態を、図7は同じくドアガラスGの半開状態を、また図8はドアガラスGの全開状態をそれぞれ示しており、さらに、G1はドアガラスGの内面(室内側の面)下端での昇降軌跡(以下、ドアガラス下端軌跡と略称する)を、R1は図示外のウインドレギュレータ機構による軌跡すなわちドアガラス最上昇時におけるドアガラス内面下端とドアガラス最下降時におけるドアガラス内面下端とを結んだ直線(以下、レギュレータ軌跡と略称する))をそれぞれ示している。
【0024】
そして、ドアガラスGはウインドレギュレータ機構(手動式であるか電動式であるかは問わない)の操作に応じて昇降動作するものであることは周知のとおりであるが、そのウインドレギュレータ機構の可動部がレギュレータ軌跡R1と平行に直線的に昇降動作したとしても、ドアガラスG自体はロアサッシュ2だけでなくその上方側の上部サッシュ部6によっても拘束されるようにして案内支持されていることから、ドアガラスGはその内面下端に着目した場合にドアガラス下端軌跡G1に沿って昇降動作することになる。
【0025】
そこで、本実施の形態では、先にも述べたようにロアサッシュ2のサッシュ本体3のうち互いに対向している室内側の側壁部8と室外側の側壁部9とを積極的に非平行な関係とするべく、室内側の側壁部8についてはドアガラスGの内面下端の軌跡G1と平行となるように設定してあるとともに、室内側の側壁部8と対向することになる室外側の側壁部9については、図8に示すようにドアガラス全開時におけるドアガラスG自体の外面(室外側の面)と平行となるように設定してある。これにより、双方の側壁部8,9同士は非平行であって且つその側壁部8,9同士のなす開口幅はロアサッシュ2の長手方向で微妙に変化していて、全体としては不均一なものとなっている。
【0026】
さらに、双方の側壁部8,9同士の非平行の度合いと併せて各側壁部8,9におけるガイド突起10の突出量(突出高さ)も考慮するものとし、室内側の側壁部8では、少なくとも昇降動作するドアガラスGが該当するガイド突起を通過する際にそのドアガラスGの内面下端にガイド突起10が当接するようにそれぞれのガイド突起10の突出量が設定されていて、同時に室外側の側壁部9では、図8に示すように各ガイド突起10が全開時のドアガラスGの外面と当接するようにそれぞれのガイド突起10の突出量が設定されている。
【0027】
したがって、本実施の形態によれば、例えば図3に示すドアガラス全閉状態から図7のドアガラス半開状態を経て図8に示すドアガラス全開状態に至る過程を想定した場合に、そのドアガラスGの内面下端はドアガラス下端軌跡G1に沿って下降し、特に図7に示す半開状態に至るまでの下降動作の前中期過程では、ドアガラスGが室内側の側壁部8寄りにオフセットした状態で下降する。そして、図7の状態から図8に示す全開状態に至る下降後半過程では、ドアガラスGはなおもその内面下端がドアガラス下端軌跡G1に沿うように下降するものの、下降動作の末期に至るとドアガラスGは図8に示すように徐々に室外側の側壁部9寄りにオフセットして、最終的には図8の状態をもって最下降位置P2に位置決めされる。なお、図8の状態からドアガラスGを上昇させる場合には、上記の挙動も逆になる。
【0028】
このようなドアガラスGの下降過程では、ドアガラスGとの当接により各ガイド突起10,10…が撓み変形してその下降動作をスムーズに案内する一方、下降動作中もしくは下降動作後のドアガラスGの無用なばたつきが防止される。その上、室内側の側壁部8では、昇降動作するドアガラスGが該当するガイド突起10を通過する際にそのドアガラスGの内面下端に当接するようにそれぞれのガイド突起10,10…の突出量が設定されているとともに、室外側の側壁部9では、各ガイド突起10,10…が全開時のドアガラスGの外面と当接するようにそれぞれのガイド突起10,10…の突出量が設定されているため、ドアガラス昇降ストロークのどの位置においてもドアガラスGが側壁部8または9側に極度に強く押し付けられることがなくなり、ドアガラス昇降性の悪化や異音の発生を未然に防止できることになる。
【0029】
図9,10は本発明の第2の実施の形態を示し、先の第1の実施の形態のもの(図2,3参照)と共通する部分には同一符号を付してある。
【0030】
この第2の実施の形態のロアサッシュ22では、サッシュ本体23における室内側の側壁部8の最下端のガイド突起を廃止し、それに代えて側壁部8の内面にブロック状のストッパー24を突設して、そのストッパー24自体ではドアガラスGとの当接による撓み代が生じないように設定してある。
【0031】
したがって、この第2の実施の形態によれば、図10に示すドアガラスGの最下降状態において、そのドアガラスGの上部側が上部サッシュ6側のグラスランチャンネル部6aで拘束される一方でドアガラスGの下端は撓み代を有しないストッパー24によって拘束されることになるので、ドアガラスGの最下降状態でのそのドアガラスGのばたつきをより確実に防止できることになる。
【0032】
図11,22は本発明の第3の実施の形態を示し、この第3の実施の形態においても第1の実施の形態と共通する部分には同一符号を付してある。
【0033】
この第3の実施の形態におけるロアサッシュ32は、サッシュ本体33における双方の側壁部8,9におけるガイド突起40の突出量の条件を第1,2の実施の形態のものと比べて逆にし、室内側の側壁部8では、図12に示すように各ガイド突起40が全開時のドアガラスGの内面と当接するようにそれぞれのガイド突起40の突出量を設定する一方、室外側の側壁部9では、図11に示すように昇降動作するドアガラスGが該当するガイド突起40を通過する際にそのガイド突起40がそのドアガラスGの外面下端部に当接するようにそれぞれのガイド突起40の突出量を設定してある。
【0034】
この第3の実施の形態によれば、ドアガラスGの昇降ストロークのどの位置においても常に双方の側壁部8,9のガイド突起40がドアガラスGの内外面に必ず当接することになるので、ドアガラスGのばたつきを防止する上でより望ましいものとなる。
【0035】
ここで、上記の各実施の形態においては、双方の側壁部8,9におけるガイド突起10,40としていずれも図4〜6に示したものを採用しているが、ガイド突起10,40そのものの形状は一例にすぎず、必要に応じて任意の形状のものを採用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロアサッシュが適用される自動車用フロントドアの説明図。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示すロアサッシュ単独での斜視図。
【図3】ドアガラス全閉時における図2のロアサッシュとドアガラスとの関係を示す説明図。
【図4】図2に示すロアサッシュの要部拡大斜視図。
【図5】図4のA−A線に沿う断面図。
【図6】図4のB−B線に沿う断面図。
【図7】ドアガラス半開時における図2のロアサッシュとドアガラスとの関係を示す説明図。
【図8】ドアガラス全開時における図2のロアサッシュとドアガラスとの関係を示す説明図。
【図9】本発明の第2の実施の形態を示すロアサッシュ単独での斜視図。
【図10】ドアガラス全開時における図9のロアサッシュとドアガラスとの関係を示す説明図。
【図11】本発明の第3の実施の形態を示す図で、ドアガラス半開時におけるロアサッシュとドアガラスとの関係を示す説明図。
【図12】ドアガラス全開時における図11のロアサッシュとドアガラスとの関係を示す説明図。
【図13】従来のロアサッシュにおけるドアガラス全閉状態での昇降軌跡の説明図。
【図14】同じく従来のロアサッシュにおけるドアガラス半開状態での昇降軌跡の説明図。
【図15】同じく従来のロアサッシュにおけるドアガラス全開状態での昇降軌跡の説明図。
【符号の説明】
1…フロントドア
2…ロアサッシュ
3…サッシュ本体
8…室内側の側壁部
9…室外側の側壁部
10…ガイド突起
22…ロアサッシュ
23…サッシュ本体
32…ロアサッシュ
33…サッシュ本体
40…ガイド突起
G…ドアガラス
Claims (3)
- 自動車用ドアの内部に配設されるとともに、断面略チャンネル状をなすサッシュ本体の内部対向面にドアガラスと摺接してこれを昇降可能に案内支持するガイド突起を形成した樹脂製のロアサッシュであって、
サッシュ本体のうち一方の内部対向面を形成することになる室内側の側壁部がドアガラス内面の下端の昇降軌跡と平行となるように設定するとともに、
他方の内部対向面を形成することになる室外側の側壁部が全開時のドアガラス外面と平行となるように設定したことを特徴とする自動車用ドアのロアサッシュ構造。 - サッシュ本体のうち室内側および室外側の側壁部にはその長手方向に沿って複数のガイド突起をそれぞれに形成し、
室内側の側壁部では、少なくとも昇降動作するドアガラスが該当するガイド突起を通過する際にそのドアガラス内面の下端部に当接するようにそれぞれのガイド突起の突出量を設定するとともに、
室外側の側壁部では、各ガイド突起が全開時のドアガラス外面と当接するようにそれぞれのガイド突起の突出量を設定したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ドアのロアサッシュ構造。 - サッシュ本体のうち室内側および室外側の側壁部にはその長手方向に沿って複数のガイド突起をそれぞれに形成し、
室内側の側壁部では、各ガイド突起が全開時のドアガラス内面と当接するようにそれぞれのガイド突起の突出量を設定するとともに、
室外側の側壁部では、少なくとも昇降動作するドアガラスが該当するガイド突起を通過する際にそのドアガラス外面の下端部に当接するようにそれぞれのガイド突起の突出量を設定したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用ドアのロアサッシュ構造。
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