JP2004124322A - 天然繊維入り樹脂成形品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂繊維と天然繊維とをニードルパンチングにより互いの繊維を絡み合わせてなる基材マットを加熱軟化させて上記熱可塑性樹脂繊維を溶融状態としたものを冷間プレス加工することにより所望の形状に成形される天然繊維入り樹脂成形品であって、凸形状を必要とする部位に、前記基材マットと少なくとも熱可塑性樹脂繊維が同じ混合繊維からなる付加用マットを積層せしめ、これらマット中の熱可塑性樹脂繊維の流動性が高まる圧力まで加圧することにより凸形状を他の部分と同一体に突出形成してなる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボスやリブ等の凸形状を他の部分と同一体に突出形成してなる天然繊維入り樹脂成形品に関し、更に詳しくは、熱可塑性樹脂繊維と天然繊維とをニードルパンチングして絡み合わせマット状に形成してなる基材マットを加熱・加圧することにより成形される天然繊維入り樹脂成形品およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂繊維と天然繊維とをニードルパンチングして絡み合わせマット状に形成してなる基材マットを加熱・加圧することにより所定形状に成形されたシート状成形品を得る技術は、従来からいろいろな方法が提案されている(例えば、特許文献1および2参照。)。
一方、例えば自動車のドアパネル内装部材(図1を参照)のように、当該部材(樹脂成形品)Aをドア本体に設けられたファスナーFに取り付ける場合、取付け用のボスBを必要とし、またドアパネルとしての強度を上げるためには補強用リブを必要とする。これらのボスやリブ等を必要とする場合に従来では、ボスやリブ等をインサート成形するか或いは後付け加工により取り付けていた。その為、製造時のコストが高くなると共に、インサート材として樹脂成形品とは異なる材質が混入することが多いのでリサイクル性に乏しいものであった。
【0003】
【先行技術文献の開示】
【特許文献1】
特開平11−138515号公報
【特許文献2】
特開2001−1319号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、加熱・加圧成形機を用いてボスやリブ等の凸形状を他の部分と同一体に突出形成し得る方策を鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂繊維に天然繊維、取り分け竹繊維をニードルパンチングした基材マットを加熱軟化させて熱可塑性樹脂繊維の流動性が高まる圧力まで加圧しながら成形すると、ボスやリブ等の凸形状を他の部分と同一体に突出形成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
本発明の目的は、ボスやリブ等の凸形状を必要とする場合に、凸形状を必要とする部位に母材と同様な材料からなるマットを追加するだけでボスやリブ等の凸形状を他の部分と同一体に成形することを可能とし、製品の軽量化およびコストの低減化を図ることが出来ると共に、リサイクル性にも優れた天然繊維入り樹脂成形品およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成する本発明の天然繊維入り樹脂成形品は、熱可塑性樹脂繊維と天然繊維とをニードルパンチングにより互いの繊維を絡み合わせてなる基材マットを加熱軟化させて上記熱可塑性樹脂繊維を溶融状態としたものを冷間プレス加工することにより所望の形状に成形される天然繊維入り樹脂成形品であって、凸形状を必要とする部位に、前記基材マットと少なくとも熱可塑性樹脂繊維が同じ混合繊維からなる付加用マットを積層せしめ、これらマット中の熱可塑性樹脂繊維の流動性が高まる圧力まで加圧することにより凸形状を他の部分と同一体に突出形成してなる事を特徴としたものである(請求項1)。
この際、前記熱可塑性樹脂繊維としては、その太さが2〜15デニールで、MI値(溶融流動性)が20以上であるものを使用し(請求項2)、前記天然繊維としてはその繊維長が51mm以下で、繊維径が0.5mm以下の竹繊維またはジュートまたはケナフから選ばれた1種または2種以上を組合わせてなるものを使用(請求項3,4)することが好ましい。
また、本発明に係る天然繊維入り樹脂成形品の製造方法は、熱可塑性樹脂繊維と天然繊維とをニードルパンチングにより互いの繊維を絡み合わせてマット状となし、該基材マットを熱可塑性樹脂繊維の溶融温度に加熱してその上に当該樹脂成形品において凸形状を必要とする部位に前記基材マットと少なくとも熱可塑性樹脂繊維が同じ混合繊維からなる付加用マットを積層せしめ、これを前記基材および付加用マット中の熱可塑性樹脂繊維の軟化温度より40℃〜70℃高い温度で加熱して溶融状態となし、当該熱可塑性樹脂繊維が溶融した状態でもって2MPa以上の圧力で冷間プレス加工を行なうことにより凸形状を他の部分と同一体に突出形成する事を特徴としたものである(請求項5)。
この際、前記基材マット中に、当該天然繊維入り樹脂成形品のスクラップ材を加えても良いし(請求項6)、または当該天然繊維入り樹脂成形品のスクラップ材を前記基材マットとして利用するようにしても良い(請求項7)。
【0007】
熱可塑性樹脂繊維と天然繊維とをニードルパンチングして混合せしめ、マット状に形成したものを加熱溶融させた状態で加圧成形するだけで、凸形状を他の部分と同一体に突出形成し得ることは意外なことである。ボスやリブ等の凸形状を必要とする部位に基材マットと同じ混合繊維からなる付加用マットを部分的に重ね合わせて目付量を増やした状態でプレス圧力を高めることにより混合繊維の流動性が向上し、よって溶融状態の混合繊維が成形型における凸形状形成部内に容易に充満され、その結果、所望の形状をした凸形状が他の部分と同一体に形成されるものである。尚、形成しようとしている凸形状が小さい場合には、付加用マットを別個に重ね合わせずとも凸形状を他の部分と同一体に形成することが可能である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な好適実施例を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は実施例のものに限定されるものではない。
図1は樹脂成形品Aに凸形状としてボスBを形成した実施の一例を示し、図2は凸形状としてリブCを形成した実施の一例を示し、全図面を通して同様の構成部材には同じ符号を付してある。
【0009】
本発明に係る天然繊維入り樹脂成形品Aは、熱可塑性樹脂繊維と天然繊維とをニードルパンチングにより互いの繊維を絡み合わせ混合して形成された基材マット1を加熱軟化させて上記熱可塑性樹脂繊維を溶融状態としたものを冷間プレス加工することにより所望の形状に成形される。この際、樹脂成形品Aにおいて凸形状B,Cを必要とする部位aに、上記基材マット1と少なくとも熱可塑性樹脂繊維が同じ混合繊維からなる付加用マット2を積層せしめて加熱・加圧することにより、所望の凸形状B,Cが他の部分4と同一体に突出形成される。ここで、付加用マット2が基材マット1と少なくとも熱可塑性樹脂繊維が同じ混合繊維からなるとは、付加用マット2としては、基材マット1に使用している天然繊維とは異なる天然繊維を用いても良いが、熱可塑性樹脂繊維は同種の熱可塑性樹脂繊維を用いて混合繊維とすることを意味するものである。
【0010】
基材マット1及び付加用マット2を形成する熱可塑性樹脂繊維としては、天然繊維を結合させるためのマトリックス材料として作用するものであれば格別制限されるものではないが、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等の熱可塑性樹脂繊維から選ばれた1種または2種以上を混合したものが好適に用いられる。
【0011】
また、基材マット1及び付加用マット2を形成するのに使用される熱可塑性樹脂繊維としては、繊維長が51mm以下で、太さが2〜15デニールの範囲、好ましくは3〜10デニールの範囲で、且つMI値(溶融流動性)は20以上が好ましく、更には30以上であるものを用いるのが好ましい。使用する熱可塑性樹脂繊維の繊維長が51mmより長くなると、マット製造工程の中で繊維を解す工程において繊維が解れにくくなる。太さが2デニールより細いとやはり繊維が解れにくく、特殊な装置が必要になり、15デニールより太くなるとニードルパンチングの工程で針への抵抗が増え、針折れの原因となるので好ましくない。
【0012】
また、使用する熱可塑性樹脂繊維のMI値が20より小さいと、一緒に使用する天然繊維にもよるが、基材マット1および付加用マット2を加熱・加圧した時にマット中の熱可塑性樹脂繊維の流動性が不足して所望の凸形状が得にくくなる。熱可塑性樹脂繊維のMI値が20以上あれば、熱可塑性樹脂繊維の流動性が高まるので溶融状態となった混合繊維が成形型における凸形状形成部3内に容易に充満され、充実した凸形状B,Cが確実に得られるようになる。
ここでMI値(溶融流動性)とは、熱可塑性樹脂繊維が溶融したときの流動性を言い、JIS規格のK7203に準拠して測定される値である。
【0013】
そして、基材マット1及び付加用マット2を形成する天然繊維としては、竹繊維、ジュート繊維、ケナフ繊維等が好適に使用され、その他に、亜麻、木綿、わら、サイザル等からなる天然繊維を挙げることができ、これらから選ばれた1種または2種以上を組合わせたものが使用される。使用される天然繊維としては、繊維長51mm以下で、繊維径が0.5mm以下のものが好ましい。天然繊維の繊維長が51mmより長くなると解れにくくなり、繊維径が0.5mmより太くなると、熱可塑性繊維との絡まり具合が悪くなり、基材マット1の必要部位における目付量(単位面積当たりの重量)のバラツキが発生しやすくなるので好ましくない。
尚、熱可塑性樹脂繊維および天然繊維における繊維長や繊維径は、上記説明した数値に厳密に制限されるものではなく、全体として工業化される平均としての値であることは理解されるべきである。
【0014】
基材マット1及び付加用マット2を形成する時の熱可塑性樹脂繊維と天然繊維の混合比率としては50:50を基準として、より成形性を上げたい場合には熱可塑性樹脂繊維の配合割合を増やして60:40程度とし、樹脂成形品としての剛性をより上げたい場合には天然繊維の配合割合を増やして40:60程度とする。樹脂成形品の形状(成形性)と要求される強度を考慮すると、熱可塑性樹脂繊維と天然繊維の混合比率は60:40〜40:60の範囲が好ましい。この時、基材マット中に、当該天然繊維入り樹脂成形品Aのスクラップ材を加えても良い。その場合、当該スクラップ材はフレーク形状をしているためにパンチング工程までにスクラップが落ちてしまうので、その添加量は最大30%である。更には、当該スクラップ材をマット状に再生して基材マット1及び付加用マット2として利用することも可能である。
【0015】
また、基材マット1における混合繊維の目付量は、0.5〜2.5kg/m2、より好ましくは1〜1.5kg/m2の範囲が良く、かさ密度としては0.04〜0.1g/cm3であることが好ましい。混合繊維の目付量および密度をこの範囲に設定することにより、基材マット1を加熱するときに熱が内部まで均一に行き渡りやすくなる。
【0016】
而して、本樹脂成形品Aを成形する場合には、予め熱可塑性樹脂繊維と天然繊維とをニードルパンチングマシンでニードルパンチング(刺し編み)して互いの繊維を絡み合わせて所要の厚みを有するふわふわしたマット状に形成された基材マット1及び付加用マット2を予め形成しておく。所定の厚さにパンチングされた基材マット1は、必要に応じて所定の寸法に裁断されて樹脂成形品の原反として使用される。成形に際して、当該樹脂成形品Aにおいて凸形状B,Cを必要とする部位aに基材マット1と少なくとも熱可塑性樹脂繊維が同じ熱可塑性樹脂繊維と天然繊維とが絡み合った混合繊維からなる付加用マット2を並列に置いて、コンタクトヒータで加熱する。
かくして、加熱処理された基材マット1’及び2’を成形型にセットする前に積層せしめ、加圧成形機(マッチドダイ成形機)の成形型4a,4bにセットして加圧成形する。
尚、付加用マット2の形状や目付量は、目的とする凸形状B,Cの形状に応じて決定される。
【0017】
この際、溶融されたマット1,2の表面が成形型4a,4bに接触したときに急激に冷却されないようにするために、成形型4a,4bに温度調節器をセットして、成形型4a,4bの型温度を調節する。熱可塑性樹脂繊維としてポリプロピレン樹脂繊維を用いた実施例では、成形型温度を80℃前後の温度に保った時に所望形状が得られた。成形型4a,4bの型温度は、熱可塑性樹脂繊維の溶融温度に近づけるほどより効果が上がるが、成形後の冷却に時間を取られて成形サイクルが延びてしまう。
【0018】
基材マット1および付加用マット2を加熱する場合、成形型4a,4b側に備えたコンタクトヒータを用いて、両マット1,2中に含まれる熱可塑性樹脂繊維の軟化温度より40℃〜70℃高い温度で加熱して熱可塑性樹脂繊維を溶融状態とする。熱可塑性樹脂繊維を溶融状態とする場合、一般的に成形圧力が一定で樹脂温度が低いと流動長は短くなる((株)産業調査会出版 実用プラスチック事典 P−107 図7−7を参照。)ので、加熱温度が当該熱可塑性樹脂繊維の軟化温度より40℃より低いと十分なMI値(溶融流動性)が得られない。しかし、70℃より高くなると樹脂の流動性は良くなるがニードルパンチングして絡めた天然繊維が熱により炭化してしまい、成形品としての強度が低下すると共に、コゲ臭が発生するので好ましくない。具体的に、熱可塑性樹脂繊維として例えばポリプロピレン樹脂繊維を使用した場合には、その軟化温度である160℃よりも40〜70℃高い200〜230℃で加熱して溶融状態とすると、ポリプロピレン自体の流動性が向上し好ましいものであった。
尚、特に天然繊維が竹繊維である場合、竹に含まれるリグニンにより繊維自身が堅く緻密であるため、熱可塑性樹脂繊維の軟化温度溶融温度より60〜70℃高く設定しても炭化することがなく、従って成形品の強度を損なったり、コゲ臭を発生するようなことはないが、ジュート繊維やケナフ繊維等の草の繊維を使用する場合には、加熱温度の設定を溶融温度より40℃〜60℃高い範囲内の温度で成形する必要がある。60℃以上であると繊維が焼け、コゲ臭が発生し、製品の強度も低下する。
【0019】
基材マット1および付加用マット2はコンタクトヒータで均一に加熱され且つ設定した厚みをキープできるように、概ね0.1〜0.2MPa程度の圧力で加圧する。例えば、目付量が1.2kg/cm2の場合、プレス隙間の設定は、6mmで加熱時間を120秒程度とする。この際、プレス隙間を小さくすれば加熱時間を短縮することができるが、プレス隙間を小さくすると、加熱されたマット(基材マット1および付加用マット2)中の空気層が持っている熱容量が少なくなって、加熱されたマット全体が本来持っている熱容量がさらに少なくなり、しかも固体部分が多くなるので早く冷えてしまい、しかも加熱マット中に含まれている空気がプレス圧で外に押し出される時に空気量が少ないと溶融樹脂の流動性が悪くなる。従ってプレス隙間は、マットの厚みより10%程度小さ目に設定するのが好ましい。
【0020】
また、付加用マット2の加熱は熱風炉での加熱も可能である。通常熱風炉で加熱すると熱可塑性樹脂繊維が溶融して球状に変化していく際に加熱収縮し、成形前の寸法が安定しない。しかし、目付量が管理されるボス・リブ等を必要する部位に追加するマット材の加熱には問題ない。
【0021】
然る後、基材マット1および付加用マット2中に含まれる熱可塑性樹脂繊維が溶融した状態でもって2MPa以上の圧力で冷間プレス加工を行なうと、凸形状B,Cが他の部分Eと同一体に形成される。この時の圧力が2MPaより低いと、マットを押しつぶす厚み方向の変化に圧力がとられマット内部の空気が比較的容易に外部に放出されてしまうため、溶融樹脂を流動させる迄に至らなくなるので、十分に充実した凸形状B,Cが得にくくなる。天然繊維として竹繊維を使用した場合には2MPaの圧力で良好な凸形状B,Cが形成できたが、ジュート繊維やケナフ繊維等の草の繊維を使用した場合の成形温度は竹繊維より30℃から10℃低いため、熱可塑性樹脂繊維の流動性が低下するので、15MPa以上の圧力で冷間プレス加工を行なう必要がある。この点からも、天然繊維として竹繊維を用いることが好ましい。
【0022】
【実施例】
次に、具体的な実施例を説明する。
<実施例1>
熱可塑性樹脂繊維として太さが3デニール、繊維長が51mm、MI値が38のポリプロピレン樹脂繊維を使用し、天然繊維として繊維長が30mm、繊維径が0.3mm前後以上の竹繊維を用い、ニードルパンチングマシンでニードルパンチングして互いの繊維を絡み合わせて厚さ7mmのマット状となし、基材マット1を形成した。
この基材マット1を220℃で、厚み6mmに加圧しながら加熱し、混合繊維中の熱可塑性樹脂繊維を十分に軟化させた後、樹脂成形品としてボス(凸形状)Bを必要とするの部位a上に、基材マット1と同じ熱可塑性樹脂繊維と天然繊維とが絡み合った混合繊維からなる縦20mm、横60mm、厚み6mmに形成された付加用マット2を積層せしめ、これらをマッチドダイ成形機の成形型4a,4bにセットして、圧力2MPaで加圧成形した。
この時の付加用マット2の目付量は0.5kg/m2とした。その結果、厚さ2mmの天然繊維入り樹脂成形品Aに対して、目的とした場所に高さ10mm、外形5mmのリブBが他の部分Eと一体に成形された。付加用マット2を追加した部位が他の部分より密度が上がり若干の成形収縮が見られたが他に大きな変形は見られなかった。
樹脂成形品Aのボス(凸形状)Bに、図1に示すごとくファスナーFを差し込みボス(凸形状)Bの頭部を熱溶着して、ファスナーFを取り付けることができた。
【0023】
<実施例2>
実施例1で形成した基材マット1と同じものを用い、この基材マット1をコンタクトヒータで220℃に加熱すると共に、樹脂成形品としてリブ(凸形状)Cを必要とする基材マット1上に、基材マット1と同じ混合繊維からなる縦100mm、横120mm、厚みが6mmに形成された付加用マット2を積層せしめ、これをマッチドダイ成形機の成形型にセットして、圧力5MPaで加熱・加圧成形した。
尚、本実施例では図2に示すごとく樹脂成形品A全体にわたってリブC,C’を形成するようにしたので、基材マット1の上に基材マット1と同じ大きさに形成された付加用マット2を積層した。
この時の付加用マット2の目付量は700g/m2とした。
その結果、図2に示すごとく井桁状の厚さ4mm、高さ10mm、総長さ290mmのリブC,C’が他の部分Eと一体に突出形成された樹脂成形品Aが成形された。
【0024】
【発明の効果】
本発明に係る天然繊維入り樹脂成形品は斯様に、熱可塑性樹脂繊維と天然繊維とをニードルパンチングにより互いの繊維を絡み合わせてなる基材マットを加熱軟化させて上記熱可塑性樹脂繊維を溶融状態としたものを冷間プレス加工することにより所望の形状に成形する際に、凸形状を必要とする部位に、基材マットと同じ混合繊維からなる付加用マットを積層せしめ、これらマット中の熱可塑性樹脂繊維の流動性が高まる圧力まで加圧することにより凸形状を他の部分と同一体に突出形成してなるので、凸形状を必要とする部位に同じ材料を追加するだけでボスやリブ等、これまで射出成形の独壇場であった凸形状を他の部分と同一体に成形することが可能とし、製品の軽量化およびコストの低減化、後組立の容易化を図ることが出来る。
しかも、熱可塑性樹脂繊維と天然繊維のみとからなるので、リサイクル性にも優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る樹脂成形品に凸形状としてボスを形成した実施の一例を示す模式斜視図。
【図2】成形状態を説明する模式断面図。
【図3】同樹脂成形品に凸形状としてリブを形成した実施の一例を示す模式斜視図。
【符号の説明】
A:樹脂成形品 B:凸形状(ボス)
C:凸形状(リブ) E:他の部分
1:基材マット 2:付加用マット
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂繊維と天然繊維とをニードルパンチングにより互いの繊維を絡み合わせてなる基材マットを加熱軟化させて上記熱可塑性樹脂繊維を溶融状態としたものを冷間プレス加工することにより所望の形状に成形される天然繊維入り樹脂成形品であって、凸形状を必要とする部位に、前記基材マットと少なくとも熱可塑性樹脂繊維が同じ混合繊維からなる付加用マットを積層せしめ、これらマット中の熱可塑性樹脂繊維の流動性が高まる圧力まで加圧することにより凸形状を他の部分と同一体に突出形成してなる事を特徴とする天然繊維入り樹脂成形品。
- 前記熱可塑性樹脂繊維は、その太さが2〜15デニールで、MI値が20以上である請求項1に記載の天然繊維入り樹脂成形品。
- 前記天然繊維が、竹繊維またはジュートまたはケナフから選ばれた1種または2種以上を組合わせてなるものである請求項1に記載の天然繊維入り樹脂成形品。
- 前記天然繊維は、その繊維長が51mm以下で、繊維径が0.5mm以下である請求項1または3に記載の天然繊維入り樹脂成形品。
- 熱可塑性樹脂繊維と天然繊維とをニードルパンチングにより互いの繊維を絡み合わせてマット状となし、該基材マットを熱可塑性樹脂繊維の溶融温度に加熱してその上に当該樹脂成形品において凸形状を必要とする部位に前記基材マットと少なくとも熱可塑性樹脂繊維が同じ混合繊維からなる付加用マットを積層せしめ、これを前記基材および付加用マット中の熱可塑性樹脂繊維の軟化温度より40℃〜70℃高い温度に加熱して溶融状態となし、当該熱可塑性樹脂繊維が溶融した状態でもって2MPa以上の圧力で冷間プレス加工を行なうことにより凸形状を他の部分と同一体に突出形成する事を特徴とする天然繊維入り樹脂成形品の製造方法。
- 前記基材マット中に、当該天然繊維入り樹脂成形品のスクラップ材を加えてなる請求項5に記載の天然繊維入り樹脂成形品の製造方法。
- 当該天然繊維入り樹脂成形品のスクラップ材を前記基材マットとして利用する請求項5に記載の天然繊維入り樹脂成形品の製造方法。
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2002
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