JP3839172B2 - 自動車用内装材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用内装材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用の内装材、例えば自動車の天井を構成する芯材或いは内装品のカバー等は一般に合成樹脂の単材で形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
自動車用内装材として要求される品質は、軽量、高強度、高弾性、低線膨脹係数であるが、前記従来の合成樹脂の単材では前記の要求は満たされない。
【0004】
そこで本発明は、前記の要求される品質を満たすために、カーボン繊維を主成分とし、これをニードリングして内装材を製造するものであるが、このようにカーボン繊維をニードリングするには、ニードル(針)が繊維を良好に持ち込む最適形状であることが要求され、更に、カーボン繊維は繊維表面が滑りやすく、折れやすい特性があるため、この特性も考慮しなければならない。
【0005】
本発明は、自動車の内装材として要求される品質の内装材を、その使用するカーボン繊維に適した最適な条件のニードルで製造できる自動車用内装材の製造方法を提供すること目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の第1の発明は、カーボン繊維と樹脂を混合し、この混合したものをニードル加工するとともに、前記ニードルにより加工されたものを加熱してその樹脂を溶融し、この加熱状態において所定の厚みに圧縮する自動車用内装材の製造方法であって、
前記ニードルとして、そのバーブ深さが0.11〜0.18mmでキックアップが無いものを使用し、前記ニードルが1枚のプレートに多数本植設されているとともに、その内の上流側に位置するニードルを太径のものとし、下流側に位置するニードルを細径としたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2記載の第2の発明は、前記第1の発明において、前記樹脂は樹脂繊維であることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3記載の第3の発明は、前記第1又は第2の発明において、ガラス繊維を混合したものである
【0009】
請求項記載の第の発明は、前記第1〜のいずれか1つの発明において、前記1枚のプレートに多数本植設されたニードル群を、加工されるものの表面側と裏面側に設け、表面側のニードルと裏面側のニードルの打ち込み深度を同等にするか又は裏面側を浅くしたものである。
【0010】
請求項記載の第の発明は、前記第の発明において、前記表面側のニードルの打ち込み深度を13mmとし、裏面側のニードルの打ち込み深度を13mmに設定したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図に示す実施例により本発明の実施の形態を説明する。
図1乃至図3は第1実施例を示すもので、図1は製造工程を示す。図1において、Aは第1工程を示し、その1Aはニードル加工前のマット状態のものを示す。この工程Aではカーボン繊維2と樹脂繊維である熱可塑性樹脂繊維3とを所望の比率で混合する。この混合されたマット1Aは図2の符号1Aで示される部分である。
【0012】
前記の熱可塑性樹脂繊維としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等、熱により溶融が容易なものを使用する.
次で、図1のBの工程で、前記の混合されたマット1Aをニードル4によりニードル加工(ニードリング)して押さえる。
【0013】
この工程Bで使用するニードル4は図3に示すように、その凹状のバーブ5の深さが0.11〜0.18mmのものを使用し、図4で示すニードル6のような突起からなるキックアップ7はカーボン繊維が折損しやすいので形成されていない。また、ニードル4は、一般に太径のものは強靱な柱構造を形成する反面、繊維を折損したり切断するため、所望の径のものを使用するが、前記のようにカーボン繊維や樹脂繊維を使用することから、使用するニードル4は番手♯36(断面積0.19mm2 )〜♯25(断面積0.42mm2 )が望ましい。
【0014】
また、バーブ5の深さは、深い程、繊維の絡みが多くなる反面、繊維を折損しやすい。そのため、0.11〜0.18mmのものが望ましい。
以上のことから、実施例では、図2に示すように、ニードル4が、プレート8に多数本植設されているとともにこのニードル群として上流側に位置して太径のニードル4Aを配列し、下流側に位置して細径のニードル4Bを配置し、更に具体的には、上流側に♯25の太径のニードル4Aをマット1Aの流れ方向に8列配置し、下流側に♯36の細径のニードル4Bを14列配置している。このように配置することにより、太径のニードル4Aで打ち込みを行った後に小径のニードル4Bで打ち込むことになり、繊維を折損することなく所望の厚みにニードル加工することができる。
【0015】
更に、前記2種の番手からなるニードル装置9は図2に示すように、マット1Aの流れの上流側の表面側と、マット1Aの流れの下流側の裏面側とに配置されている。裏面側のニードル装置を9aとして示す。
【0016】
更に、ニードル4の打ち込み深度は、深い程強靱な柱構造を形成でき、浅い程マットの反発力を増大し表面の平滑性を維持することから、製品の要求品質に応じて打ち込み深度を所望に設定するが、前記のようにニードル装置を2個設けた場合には、表面側のニードル装置9を裏面側のニードル装置9aより深くすることが望ましく、具体的には、前記のように♯25と♯36のニードルを使用した混合系では打ち込み深度を、表面側の装置9においては約13mmとし、裏面側の装置9aは約9〜13mmとすることが望ましい。また、表面側と裏面側を同等の打ち込み深度としてもよい。
【0017】
なお、前記表面側のニードル装置9と裏面側のニードル装置9aの全てのニードルとも♯25のニードルを使用して、柱構造を強靱に形成してもよい。
上記のニードル4によりニードルリングされたマットを1Bとして示す。
次で、上記のマット1Bを、加熱工程Cにおいて、適宜な加熱装置10により所定温度に加熱する。この加熱温度は、使用する熱可塑性樹脂繊維相互が溶融接着する温度にするもので、使用材料により設定される。この加熱されたマットを1Cとして示す。
【0018】
次で、上記のように加熱されたマット1Cを加圧工程Dにおいて、プレス機や加工ローラ等の適宜な加圧装置11により加圧し、所定の厚みの板状体1Dに圧縮する。この加圧による圧縮により、上記加熱工程Cで溶融した熱可塑性樹脂繊維3相互が接着する。
【0019】
そして、冷却工程Eにより、所望厚の板状の内装材12が成形される。
このように成形された内装材12は、混繊状態の熱可塑性樹脂繊維3相互がカーボン繊維2に絡んだ状態で接着しているため、そのカーボン繊維2が強固に保持され、ほつれ離脱することが防止される。
【0020】
上記のように成形された内装材12を、使用目的に応じて所望の形状に切断して使用する。この切断時においても、カーボン繊維2が熱可塑性樹脂繊維3で強固に挟持されているので、ほつれることなく所望の形状の切断が容易である。
【0021】
更に、上記の板状の内装材12を所望の形状に切断してそのまま使用してもよいが、上記の内装材12を所定形状に切断してこれを再度加熱して軟化させ、成形型等により使用目的に合った異形形状に屈曲或いは折曲し、その後冷却して熱塑性変形させて使用してもよい。
【0022】
図5は本発明の第2実施例を示すもので、上記第1実施例の加熱前のマット1Aを、樹脂繊維3の代わりに樹脂パウダー13を使用し、カーボン繊維2と樹脂パウダー13を混合して作ったものである。このマット1Aを後工程でニードリング、加熱、加圧することは上記第1実施例と同様である。
【0023】
この樹脂パウダー13としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を使用する。このように、樹脂パウダー13を使用しても、これが溶融接着することにより、カーボン繊維2が保持され、上記と同様の内装材12を形成できる。また、熱可塑性樹脂パウダーを使用すれば、上記と同様にその加圧成形された内装材12を再加熱によって異形形状に容易に屈曲或いは折曲することができる。
【0024】
図6は本発明の第3実施例を示すもので、上記第1実施例の加熱前のマット1Aを、カーボン繊維2と樹脂繊維3と更にガラス繊維14を混合して作ったものである。このマット1Aを後工程でニードリング、加熱、加圧することは上記第1実施例と同様である。この実施例の樹脂繊維として例えば熱可塑性樹脂繊維を使用する。
【0025】
本第3実施例においては、上記の効果に更に、ガラス繊維14によって断熱性を高めることができる。
また、上記第3実施例における樹脂繊維の代わりに上記の樹脂パウダー13を混合してもよい。このものにおいても、ガラス繊維14によって断熱性を高めることができる。
【0026】
上記の各製造工程において、マット1Cを加熱する際及びその内装材12を再加熱により異形成形する際には、熱伝導性の高いカーボン繊維2の存在によって、ガラス繊維等の断熱性の高い材料に比べて、そのマット1Cや内装材12の中心部まで加熱することが短時間で可能となり、その熱分布が平均的に安定する。そのため、上記マット1Cや内装材12の加熱成形時の成形効率が高くなる。
【0027】
更に、カーボン繊維の比重は1.77でガラス繊維の比重2.54に比べて軽く、また、カーボン繊維の引張強度は370(kgf/mm2 )でガラス繊維の引張強度150(kgf/mm2 )に比べて強いため、上記のように製造された内装材12は、仮にガラス繊維のみで形成したものに比べて超軽量で高強度のものになる。
【0028】
上記各実施例において成形された内装材12は、例えばそのまま自動車の天井を構成する芯材として使用したり、その内装材12を再加熱して自動車の内装品のカバー形状に熱塑性変形させて内装品用カバーとして使用する。また、本発明の製造方法は、これら天井の芯材や内装品用カバーを製造するものに限定するものではなく、これら以外の自動車用内装材を製造する場合にも適用できるものである。
【0029】
【発明の効果】
以上のようであるから、本発明によれば、カーボン繊維を混合しているため、超軽量、高強度、高弾性、低線膨脹係数の自動車用内装材を提供でき、特に軽量でかつ高強度を要求される自動車の天井構成材(芯材)等の自動車用内装材の製造方法として有効である。
【0030】
更に、カーボン繊維が樹脂相互の接着によりほつれることなく確保され、耐久性が向上する。
更に、ニードルのバーブ深さを0.11〜0.18mmに設定したので、前記のカーボン繊維の絡みが良好に行え、かつキックアップを形成しないのでカーボン繊維の折損がなく、カーボン繊維のニードリングが良好なニードル条件で行える。
【0031】
請求項3記載の発明のように、ガラス繊維を混合したものにおいては、断熱性が要求される内装材に適用して有効であり、汎用性を高めることができる。
請求項4及び5記載の発明においては、カーボン繊維をより一層良好にニードリングして最適な内装材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造工程を示す図。
【図2】本発明におけるニードル工程の概略を示す斜視図。
【図3】本発明のニードルを示す側面図。
【図4】本発明に適さないニードルの例を示す側面図。
【図5】本発明の第2実施例を示すもので、カーボン繊維と樹脂パウダーを混合したニードル加工前のマットを示す図。
【図6】本発明の第3実施例を示すもので、カーボン繊維とガラス繊維を混合したニードル加工前のマットを示す図。
【符号の説明】
1A,1B…マット
2…カーボン繊維
3…樹脂繊維
4…ニードル
5…バーブ
8…プレート
9,9a…ニードル装置
12…内装材
13…樹脂パウダー
14…ガラス繊維

Claims (5)

  1. カーボン繊維と樹脂を混合し、この混合したものをニードル加工するとともに、前記ニードルにより加工されたものを加熱してその樹脂を溶融し、この加熱状態において所定の厚みに圧縮する自動車用内装材の製造方法であって、
    前記ニードルとして、そのバーブ深さが0.11〜0.18mmでキックアップが無いものを使用し、前記ニードルが1枚のプレートに多数本植設されているとともに、その内の上流側に位置するニードルを太径のものとし、下流側に位置するニードルを細径としたことを特徴とする自動車用内装材の製造方法。
  2. 前記樹脂は樹脂繊維であることを特徴とする請求項1記載の自動車用内装材の製造方法。
  3. ガラス繊維を混合した請求項1又は2記載の自動車用内装材の製造方法。
  4. 前記1枚のプレートに多数本植設されたニードル群を、加工されるものの表面側と裏面側に設け、表面側のニードルと裏面側のニードルの打ち込み深度を同等にするか又は裏面側を浅くした請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車用内装材の製造方法。
  5. 前記表面側のニードルの打ち込み深度を13mmとし、裏面側のニードルの打ち込み深度を13mmに設定した請求項記載の自動車用内装材の製造方法。
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