JP3572406B2 - 繊維集合体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、繊維集合体及びその製造方法に係り、更に詳細には、軽量で、耐へたり性及び生産性に優れた繊維集合体及びその製造方法に関するもので、本繊維集合体は、例えば、自動車のシートクッション等に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車シート用クッション材、寝具用マット材及び座布団などのクッション材には、ポリウレタンフォームが使用されてきた。しかし、ポリウレタンフォームでは、製造時には弾力性付与のためにフロンガスが使用され、廃棄等の燃焼時にはウレタン結合(−NHCOO−)に由来する含窒素系のガスが発生するため、環境保護の立場からこれらの問題点が指摘され始めている。
そこで、その代替材料として熱可塑性繊維(ポリエチレンテレフタレート(PET)など)を用いた繊維クッション材が提案されている(特開昭57−35047号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる熱可塑性繊維を用いた繊維クッション材は、高温雰囲気下の圧縮に対し、へたり易いという課題があった。
これに対し、バインダ成分を高融点化して耐へたり性を向上することが行われているが、バインダ繊維の高融点化にともない成形温度を高くする必要があるため、加熱・冷却のプロセスを必要とする熱可塑性材料では、成形時間が長くなり、コスト高となるという課題もあった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、耐へたり性及び生産性に優れ、しかもリサイクル性にも優れた繊維集合体及びその製造方法、該繊維集合体を用いたクッション体を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の不織布粉砕物を所定の接着剤で接着することなどにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明の繊維集合体は、不織布粉砕物を接着剤で接着して成る繊維集合体であって、上記不織布粉砕物が賦形性を有するバインダ繊維を含有し、上記接着剤がこのバインダ繊維よりも低い固化点を有し、
上記不織布粉砕物の主要構成繊維が熱可塑性ポリエステル系の繊維であり、且つ上記接着剤がポリエステル系の水性エマルジョンであることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の繊維集合体の好適形態は、上記不織布粉砕物が、繊度1.5〜1000デニールの高軟化点合成繊維ステープル(A)と、上記バインダ繊維たる繊度1.5〜1000デニールの低軟化点合成繊維ステープル(B)とを主要構成繊維として含有し、且つこのバインダ繊維(B)が、少なくともその繊維表面において上記繊維(A)よりも30℃以上低い軟化点を有することを特徴とする。
【0008】
更に、本発明の繊維集合体の他の好適形態は、上記接着剤が、水和した熱可塑性樹脂であり、成形時に水が蒸発して当該繊維集合体を賦形可能であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の繊維集合体の製造方法は、上述の如き繊維集合体を製造するに当たり、
上記不織布粉砕物に上記接着剤を付着させ、成形型内において90〜150℃で接着固化することにより、所望形状に成形することを特徴とする。
【0010】
更に、本発明の繊維集合体の製造方法の好適形態は、上記成形型内における接着固化による成形の後、得られた成形体を離型し、更に、常温から110℃で2次成形を施すことを特徴とする。
【0011】
更にまた、本発明のクッション体は、上述の如き繊維集合体を用いて成ることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の繊維集合体について詳細に説明する。
上述の如く、この繊維集合体は、賦形性を有するバインダ繊維を含有する不織布粉砕物を相互に接着剤で接着したものであり、この接着剤としては、固化点が上記バインダ繊維より低いものが使用されている。
【0013】
ここで、不織布粉砕物としては、上述のバインダ繊維を含有すれば十分であり、その形状はいかなるものでもよく、例えば、柱体、錘体及び直方体又はこれらの任意の混合体とすることができる。
かかる不織布粉砕物は、新鮮な繊維を用いて新たに製造してもよいが、クッション廃材などを粉砕等して得ることもでき、リサイクルによる資源の有効利用という観点からは後者が好適である。
【0014】
また、不織布粉砕物の具体的構成としては、繊度が1.5〜1000デニールの高軟化点合成繊維ステープル(繊維A)と、繊度が1.5〜1000デニールで、少なくとも表面の軟化点が繊維Aよりも30℃以上低い低軟化点合成繊維ステープル(バインダ繊維B)との2種を主要構成繊維とするものを挙げることができる。
【0015】
この場合、繊維A及び繊維Bの繊度が1.5デニール未満では、繊維が細すぎて繊維自体に剛性が足りず、後述のように成形して得られる繊維集合体が十分な反発力を発揮しないことがあり、また、粉砕前の不織布を作成する際、繊維が細すぎてカード機等に絡み付かないことがあり、作成に手間がかかり生産コストが増大することがある。
一方、繊度が1000デニールを超える場合は、得られる繊維集合体内における繊維本数が著しく減少するため、繊維同士が結接する箇所が少なくなり、十分な反発力が得られないことがある。また、繊維本数が少ないことから、密度むらやカード機等への絡み不足が起こり易くなって生産性が悪くなることがある。
【0016】
また、バインダ繊維Bの軟化点を、少なくともその表面において、繊維Aよりも30℃以上低くすることが好ましいのは、粉砕前の不織布を得る際にその物性を損なうこと無しに熱融着を行い易いからである。
軟化点の差が30℃未満では、熱融着工程において、バインダ繊維Bを軟化させる温度が繊維Aの軟化点にも近くなってしまうため、繊維Aが熱分解してしまい、この繊維集合体の耐熱性を低下させることがあり、好ましくない。
【0017】
なお、バインダ繊維Bとしては、芯鞘型の断面形状を有する繊維が最も望ましいが、繊維Aとの熱融着が可能であれば特に制限はなく、例えば、サイドバイサイド型、単一成分から成る全融型の繊維を用いることも可能である。
【0018】
更に、かかるバインダ繊維Bの好適例としては、その繊維表面の一部又は全部が150℃以上の軟化点を有する結晶性熱可塑性樹脂であって、90〜150℃に結晶化速度のピークを有するものを挙げることができる。
【0019】
ここで、繊維表面の少なくとも一部における軟化点を150℃以上とするのは、自動車用シートクッションなどでは、70℃にも及ぶ高温雰囲気下での使用も想定され、この際にも優れた耐へたり性を実現しなければならないので、バインダ繊維自体の耐熱性を良好なものとしておくためである。
また、結晶性の熱可塑性樹脂としたのは、結晶性であることによっても耐へたり性が向上し、熱可塑性であれば、粉砕前の不織布原反を作成する際の熱融着が最も簡便であり、しかも均質な不織布を得ることができるからである。
【0020】
更に、90〜150℃に結晶化速度のピークを有するものとする理由は、以下の通りである。
即ち、本発明の繊維集合体の製造では、接着剤を付着させた不織布粉砕物を型内で昇温するが、この際、接着剤の硬化温度は通常150℃が上限とされる。これは、一般に繊維集合体の厚さが50mm以上であるため、型内を150℃よりも高い温度に均一に加熱することが、装置構成上及び製造タクト時間の制約からも困難だからである。一方、繊維集合体を用いたクッション体の使用環境を考慮すれば、バインダ繊維の結晶化温度を当該使用温度よりも40℃以上高くする必要があり、従って、90℃以上であることが要求される。
更に、繊維表面の少なくとも一部を構成する樹脂は実質的なバインダ成分として働くが、この樹脂は、後述する接着剤の硬化中に結晶化が進行することにより、得られる繊維集合体の耐熱性を飛躍的に向上させる機能を発揮する。従って、かかるバインダ成分である当該樹脂の結晶化速度のピークを、後述する接着剤の硬化温度範囲に位置させることが好ましく、このことからも、結晶化速度のピークを90〜150℃に存在させることが導かれる。
【0021】
また、上述した不織布粉砕物の主要構成繊維である上記繊維A及びバインダ繊維Bの材質としては、熱可塑性ポリエステル系のものを用いる。
かかるポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)の他、PETのエチレングリコール成分を他のグリコール成分で置換したもの(例えば、ポリヘキサメチレンテレフタレート(PHT))、及びPETのテレフタル酸成分を他の二塩基酸成分で置換したもの(例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN))を挙げることができ、また、これらの共重合体なども使用可能である。
なお、この不織布粉砕物における他の構成繊維は、特に限定されるものではなく、ポリエステル系以外の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂であってもよい。
【0022】
次に、本発明の繊維集合体において、不織布粉砕物の接着に用いられる接着剤について説明する。
上述の如く、かかる接着剤は、不織布粉砕物に含まれるバインダ繊維よりも低い固化点を有すれば十分であり、熱可塑性のものでもよい。
【0023】
また、接着剤の性状は、固体状でも液体状でもよく、不織布粉砕物の形態に応じて塗布又は散布等することが可能であるが、本発明においては、かかる接着剤として、成形時に水を蒸発することにより賦形性を発揮する、水和した熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0024】
ここで、水和した樹脂を用いることにより、比較的低温での賦形が可能になる。即ち、所望形状に成形するために、接着剤を塗布した不織布粉砕物を型内に充填して加熱すると、型に近接する部分のみが強固に接着されるが、中心近傍(内部)は接着完了までに時間がかかる。この際、水和した樹脂(接着剤)を使用すれば、常温での固化が可能になる。よって、成形原料を型内に留めておく時間を低減でき、生産性を向上することができる。
一方、熱可塑性樹脂とすることにより、一旦所定形状とした後であっても、再成形が可能になり、設計変更や種々の仕様に対して容易に対応できるようになる。例えば、自動車用シートクッションにおいては、ユーザの希望に沿うべく多彩なシート形状が求められるが、熱可塑性樹脂を使用すれば、同一の型を使用した後、再成形を行って所望形状を付与できるようになるので、極めて有利である。また、不織布粉砕物とともに、繊維集合体を熱可塑性樹脂で統一することができるので、再溶融によるリサイクルが容易になるという利点もある。
【0025】
以上に説明した接着剤の代表例としては、例えば、アクリル系エマルジョン及びポリエステル系エマルジョンなどの接着剤が挙げられる。このうち、アクリル系エマルジョンやポリエステル系エマルジョンの接着剤では水が蒸発しうる約90℃以上であれば十分に固化することができる。
【0026】
なお、上述のように不織布粉砕物の主要構成繊維である繊維Aとバインダ繊維Bの双方をポリエステル系とした場合には、リサイクル性を考慮して、この接着剤にも同一材料系であるポリエステル系の樹脂を用い、具体的には、ポリエステル系の水和エマルジョンとする。
なお、ポリエステル系の水和エマルジョンは、ポリエステル樹脂微粉末を乳化剤によって水に乳化させたものである。
【0027】
本発明の繊維集合体は、以上のように、不織布粉砕物を接着剤で結合させたものであるが、その平均見かけ密度が0.01〜0.2g/cmであり、構成繊維の平均カット長が20〜100mmであることが好ましい。
平均見かけ密度が0.2g/cm以下であれば、程良い柔らかさのクッション感が得られるが、0.01g/cm未満では、粉砕前の不織布を作製する際に繊維本数が少ないので繊維のまとまりがなく、これを解消するために、作製工程のスピードを低減する必要性が生ずるなど、生産性が悪くなることがあるので、好ましくない。
また、平均カット長が20mm未満では、繊維が短すぎて不織布を作製する際にカード機等に絡みつかず生産性が悪くなり、一方、100mmを超えると、繊維が長すぎてカード機等に絡みつきすぎて生産性が悪くなることがある。
【0028】
次に、本発明の繊維集合体の製造方法について説明する。
上述の如く、本発明の繊維集合体は、不織布粉砕物に接着剤を付着させ、成形型内において90〜150℃で接着固化することにより、所望形状を付与され、製造される。
【0029】
ここで、不織布粉砕物への接着剤の付着は、通常、塗布又は散布により行うことができ、かかる塗布や散布は、均質な接着を実現すべく、不織布粉砕物を型内に投入する前に実施することが好ましい。
また、90〜150℃で接着固化を行うのは、上述のように、繊維集合体の厚さが通常50mm以上であるため、型内を150℃よりも高い温度に均一に加熱することが困難であり、また、クッション体の使用環境を考慮して、バインダ繊維の結晶化温度を当該使用温度よりも40℃以上高くする必要があり、従って、90℃以上であることが要求されるからである。
【0030】
更に、本発明の製造方法においては、上述のように90〜150℃で接着固化して所定形状に成形して離型し、これを仮成形として、更に、常温〜110℃で2次成形することが好ましい。
かかる2次成形を実施することにより、繊維集合体を型内に保持しておく時間を短縮でき、生産性を向上できる。また、常温〜110℃の温度であれば、水和した接着剤を用いれば、十分に固化が完了できる。また、ポリウレタンのような熱硬化性樹脂でも、ほぼ硬化反応が完了するので有利である。
【0031】
なお、本発明のクッション体は、上述のような繊維集合体を用いて作製されたものであり、具体的には、図1に示したクッション体1を例示できる。
このクッション体1は、上述したような不織布粉砕物2を接着剤(固化後)2Aで結合してなる繊維集合体を含んで構成されている。
【0032】
また、上述の繊維集合体は、図2に示すように、不織布4を粉砕機5で粉砕して不織布粉砕物2を得、得られた粉砕物2に接着剤(固化前)3Bと混合され、成形型6に投入され、上述の条件下で成形され、所望形状を付与される。
更に、所要に応じて、成形型6から離型された後に、オーブン7に充填され、上記のような2次成形に供され、最終形状を付与される。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を、図面を参照して実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】
[不織布の製造]
(実施例1)
主体繊維(以下、「繊維A」という)としての平均繊維長が51mm、6デニールのPET短繊維と、バインダ繊維(以下、「繊維B」という)としての平均繊維長が51mm、2デニールで芯成分がPET、鞘成分がPBT/ポリカプロラクトン(以下、「PCL」と略す)共重合体(軟化点170℃)の短繊維と、を80/20重量%の割合で用い、カードレイヤー式不織布製造装置により、見かけ密度0.015g/cmの本例の不織布を得た。
【0035】
(実施例2)
見かけ密度を0.010g/cmとした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の不織布を得た。
【0036】
(実施例3)
見かけ密度を0.020g/cmとした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の不織布を得た。
【0037】
(実施例4)
繊維A及び繊維Bの繊維長をそれぞれ20mmとした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の不織布を得た。
【0038】
(実施例5)
繊維A及び繊維Bの繊維長をそれぞれ100mmとした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の不織布を得た。
【0039】
(実施例6)
繊維Bの鞘成分をPET/ポリエチレンイソフタレート(以下「PEI」と略す)共重合体(軟化点210℃)とした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の不織布を得た。
【0040】
(実施例7)
繊維Bの鞘成分をPET/PEI共重合体(軟化点150℃)とした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の不織布を得た。
【0041】
(実施例8)
繊維Aの繊度を1.5デニールとした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の不織布を得た。
【0042】
(実施例9)
繊維Aの繊度を1000デニールとした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の不織布を得た。
【0043】
(比較例1)
見かけ密度を0.008g/cmとした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、不織布を得ようと試みた。しかし、繊維本数が少なく、通常のラインスピードでは不織布としての形態を確保できず、本発明の繊維集合体に用いる不織布を得るには、不適当な密度設定であった。
【0044】
(比較例2)
見かけ密度を0.25g/cmとした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、不織布を得ようと試みた。しかし、程良いクッション感が得られず、また、接着剤で成形することを考慮すると、本発明の繊維集合体の製造に用いる不織布を得るには、不適な密度設定であった。
【0045】
(比較例3)
繊維A及び繊維Bの繊維長をそれぞれ13mmとした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、不織布を得ようと試みた。しかし、繊維が短すぎるため装置への糸がらみが少なく、通常のラインスピードでは不織布の作製が困難であり、不適な繊維長設定であった。
【0046】
(比較例4)
繊維A及び繊維Bの繊維長をそれぞれ210mmとした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、不織布を得ようと試みた。しかし、繊維が長すぎるため装置への糸がらみが強すぎ、安定した不織布の作製が困難であり、不適な繊維長設定であった。
【0047】
(比較例5)
繊維Bの鞘成分をPET/PEI共重合体(軟化点225℃)とした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、不織布を得ようと試みた。しかし、繊維Aと繊維Bとを熱融着する際、繊維Aに著しい物性低下が起こり、不適なバインダ成分の軟化点設定であった。
具体的には、PETの軟化点が245℃であることから、バインダ成分とPETとの軟化点の差が小さいためであると考えられる。
【0048】
(比較例6)
繊維Aの繊度を0.75デニールとした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、不織布を得ようと試みた。しかし、繊維本数が多くなりカード機への絡みつきが大きく、安定して製造することができなかった。また、繊維が細すぎるため、クッション材の反発力が少なく、不適な繊度設定であった。
【0049】
(比較例7)
繊維Aの繊度を2000デニールとした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、不織布を得ようと試みた。しかし、繊維本数が少なすぎカード機への絡みつきが弱く、安定して製造することができなかった。また、繊維本数が少なすぎるため、クッション材の反発力が少なく、不適な繊度設定であった。
【0050】
上記各例における不織布の構成や、不織布化の評価などを表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0003572406
【0052】
[繊維集合体の製造]
(参考例1)
実施例1の不織布を積層し、粉砕することなく、下記の実施例10〜22及び比較例8、9の場合と同一形状になるように、215℃で1時間加熱した後、熱プレスし、繊維集合体を得た。
【0053】
(実施例10)
実施例1の不織布を粉砕機にかけ、見かけ体積が1cm以下になるように粉砕した後、ポリウレタン系接着剤と混合して金属製の型内に流し込み、90℃の型内温度で5分間の熱プレスを行った。更に、型から取り出した後、110℃の大気雰囲気下で2時間放置し、見かけ密度0.025g/cmの繊維集合体を得た。
【0054】
(実施例11)
型から取り出した後の条件を、常温下で6時間とした以外は、実施例10と同様の操作を繰り返し、見かけ密度0.025g/cmの本例の繊維集合体を得た。
【0055】
(実施例12)
接着剤をアクリルの水和エマルジョンとした以外は、実施例10と同様の操作を繰り返し、見かけ密度0.025g/cmの繊維集合体を得た。
【0056】
(実施例13)
接着剤をポリエステル系(PET)の水和エマルジョンとした以外は、実施例10と同様の操作を繰り返し、見かけ密度0.025g/cmの繊維集合体を得た。
【0057】
(実施例14)
接着剤をポリエステル系(PET)の水和エマルジョンとし、熱プレス条件を型内温度120℃で4分間とした以外は、実施例10と同様の操作を繰り返し、見かけ密度0.025g/cmの繊維集合体を得た。
【0058】
(実施例15)
接着剤をポリエステル系(PET)の水和エマルジョンとし、熱プレス条件を型内温度150℃で3分間とした以外は、実施例10と同様の操作を繰り返し、見かけ密度0.025g/cmの繊維集合体を得た。
【0059】
(実施例16)
実施例2の不織布を用いた以外は、実施例10と同様の操作を繰り返し、見かけ密度0.020g/cmの繊維集合体を得た。
【0060】
(実施例17)
実施例3の不織布を用いた以外は、実施例10と同様の操作を繰り返し、見かけ密度0.210g/cmの繊維集合体を得た。
【0061】
(実施例18)
実施例4の不織布を用いた以外は、実施例10と同様の操作を繰り返し、見かけ密度0.025g/cmの繊維集合体を得た。
【0062】
(実施例19)
実施例5の不織布を用いた以外は、実施例10と同様の操作を繰り返し、見かけ密度0.025g/cmの繊維集合体を得た。
【0063】
(実施例20)
実施例6の不織布を用いた以外は、実施例10と同様の操作を繰り返し、見かけ密度0.025g/cmの繊維集合体を得た。
【0064】
(実施例21)
実施例7の不織布を用いた以外は、実施例10と同様の操作を繰り返し、見かけ密度0.025g/cmの繊維集合体を得た。
【0065】
(実施例22)
実施例8の不織布を用いた以外は、実施例10と同様の操作を繰り返し、見かけ密度0.025g/cmの繊維集合体得た。
【0066】
(比較例8)
用いる不織布に含まれるバインダ繊維Bの鞘成分をPET/PEI共重合体(軟化点130℃)とした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して不織布を得、この不織布を用いた以外は、実施例10と同様の操作を繰り返し、見かけ密度0.025g/cmの繊維集合体を得た。
しかし、圧縮残留ひずみが大きく、不適当であった。これは、バインダ繊維Bの軟化点が低すぎることによるものと思われる。
【0067】
(比較例9)
熱プレス時の型内温度を170℃とした以外は、実施例10と同様の操作を繰り返し、繊維集合体の成形を試みたが、型内温度が高すぎるため型内の温度が均一にならず、部分的に焼けが生じ、温度設定が不適当であることが分かった。
【0068】
[性能評価]
上記各例の不織布及び繊維集合体につき下記の性能評価を行い、得られた結果を表1及び表2に示す。
・「軟化点」は、JIS K 7202(熱可塑性プラスチックのビカット軟化温度試験方法に基づいて、試験荷重5Kgf、昇温速度50℃/hで測定したものである。
・「耐へたり性」は、得られた繊維クッション体について、JIS K 6401(クッション用軟質ウレタンフォーム)に基づいて、幅及び長さ:100mm、高さ:50mmの試験片に対し70℃での圧縮ひずみ率を測定したものである。
・表中の「◯、×」は、参考例1の値を基準とし、これより著しく優れたものを「○」、劣ったものを「×」として評価したものである。なお、表中の「−」は、測定ができなかったものを示している。
【0069】
【表2】
Figure 0003572406
【0070】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、特定の不織布粉砕物を所定の接着剤で接着することなどとしたため、耐へたり性及び生産性に優れ、しかもリサイクル性にも優れた繊維集合体及びその製造方法、該繊維集合体を用いたクッション体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維集合体及びクッション体の一例を示す側面図及び部分断面図である。
【図2】本発明の繊維集合体の製造工程の一例を示す製造工程図である。
【符号の説明】
1 クッション体
2 不織布粉砕物
3A 接着剤(固化後)
3B 接着剤(固化前)
4 不織布原反
5 不織布粉砕機
6 成形型
7 2次成形用オーブン

Claims (7)

  1. 不織布粉砕物を接着剤で接着して成る繊維集合体であって、上記不織布粉砕物が賦形性を有するバインダ繊維を含有し、上記接着剤がこのバインダ繊維よりも低い固化点を有し、
    上記不織布粉砕物の主要構成繊維が熱可塑性ポリエステル系の繊維であり、且つ上記接着剤がポリエステル系の水性エマルジョンであることを特徴とする繊維集合体。
  2. 上記不織布粉砕物が、繊度1.5〜1000デニールの高軟化点合成繊維ステープル(A)と、上記バインダ繊維たる繊度1.5〜1000デニールの低軟化点合成繊維ステープル(B)とを主要構成繊維として含有し、且つこのバインダ繊維(B)が、少なくともその繊維表面において上記繊維(A)よりも30℃以上低い軟化点を有することを特徴とする請求項1記載の繊維集合体。
  3. 上記バインダ繊維(B)は、その繊維表面の一部又は全部が150℃以上の軟化点を有する結晶性熱可塑性樹脂で構成され、この結晶性熱可塑性樹脂が90〜150℃に結晶化速度のピークを有することを特徴とする請求項1又は2記載の繊維集合体。
  4. 平均見かけ密度が0.01〜0.2g/cmで、構成繊維の平均カット長が20〜100mmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の繊維集合体。
  5. 請求項1〜のいずれか1つの項に記載の繊維集合体を製造するに当たり、
    上記不織布粉砕物に上記接着剤を付着させ、成形型内において90〜150℃で接着固化することにより、所望形状に成形することを特徴とする繊維集合体の製造方法。
  6. 上記成形型内における接着固化による成形の後、得られた成形体を離型し、更に、常温から110℃で2次成形を施すことを特徴とする請求項記載の繊維集合体の製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれか1つの項に記載の繊維集合体を用いて成ることを特徴とするクッション体。
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