JP2004123957A - インクジェット記録用水系インク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1)自己分散性顔料および2)スルホン酸基を含むポリマーを含有することを特徴とするインクジェット記録用水系インク。
【請求項2】自己分散性顔料が、表面に親水性基を有し、分散剤を含まず、水に自己分散可能な顔料であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用水系インク。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙、OHP等のメディアに対する印字品質に優れる水系インクに関するものであり、特にインクジェット記録用インクとして有用な水性インクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
紙などの基材にインクジェット方式により記録する方法は、コンピューター等のプリンターなどに採用され近年急速に普及している。インクジェット方式による記録方式はインクの微少液滴を飛翔させて紙や高分子シートなどの記録シートに付着させ、画像、文字などの記録を行うもので、高速、低騒音であり、多色化が可能であり、記録パターンの融通性が大きく、現像―定着が不要などの特徴がある。さらに、多色インクジェット記録方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得られるようになってきた。
特に普通紙に印字した場合に、印字品質、例えば、印字濃度、耐マーカー性を向上させることが望まれているが、両方を満足するものはなく、さらに優れた水系インクの登場がのぞまれていた。
【特許文献1】
特開平11−217525号公報
【特許文献2】
特開2001−262017号公報
【特許文献3】
特開2000−169769号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、印字品質、すなわち、印字濃度、光沢、耐マーカー性に優れるインクジェット記録用水系インクを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、1)自己分散性顔料2)スルホン酸基を含むポリマー を含有することを特徴とするインクジェット記録用水系インク(以下、単に「水系インク」という)を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される自己分散顔料は、表面に親水性基を有し、分散剤を含まず、水に自己分散可能な顔料を言う。
顔料表面に存在する親水性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ノニオン基などが挙げられ、これらは2種以上存在していてもよい。
親水性基が、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基などのアニオン性官能基の場合には、遊離酸の状態でも使用できるが、一部または全部が塩を形成していてもよい。塩を形成する物質としては、各種の塩基性物質が使用できるが、好ましくは、アルカリ金属、アンモニア、有機アミンである。これらは単独あるいは2種以上の組み合わせで使用される。
【0006】
親水性基が導入されている顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、蛍光顔料等の有機顔料、酸化チタン、酸化鉄系、カーボンブラック等が挙げられる。
上記顔料は1種単独でも、2種以上併用しても用いることができる。
【0007】
これらの顔料表面に親水性基を導入するには、公知の方法が使用でき、例えば、酸化剤、例えば、硝酸、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、次亜塩素酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、オゾン等による酸化処理、シラン化合物等のカップリング剤による処理、ポリマーグラフト法、プラズマ処理法などが挙げられる。親水性基量の調整は、処理濃度あるいは処理時間の制御により可能である。
親水性基の量は特に制限はないが、通常、0.1〜2mmol/g、好ましくは、0.3〜1.5mmol/gである。0.1mmol/g未満では水中での分散安定性が悪く、2mmol/gを超えると、普通紙に印字した場合の印字濃度が低下する場合があり好ましくない。
また自己分散顔料の粒子径としては、通常10〜300nm、好ましくは50〜200nmであり、10nm未満では、通紙に印字した場合の印字濃度が低下する場合があり好ましくなく、300nmを超えると、水中での分散安定性が低下し好ましくない。
【0008】
本発明に使用されるジエン系(共)重合体あるいはその水素添加物(以下「水添物」ともいう)のスルホン化物は、ジエンモノマーを必須成分とするジエン系(共)重合体(以下「ベースポリマー」ともいう)あるいはその水添物をスルホン化することによって得られる。
ベースポリマーに使用されるジエンモノマーとしては、炭素数4〜10のジエン系化合物が好ましく、より好ましくは炭素数4〜8、さらに好ましくは炭素数4〜6のジエン系化合物である。
【0009】
ジエンモノマーの具体例としては、例えば、1,3−ブタジエン、1,2−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ペンタジエン、イソプレン、1,2−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,2−ヘプタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエン、2,3−ヘプタジエン、2,5−ヘプタジエン、3,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどのほか、分岐した炭素数4〜7の各種脂肪族あるいは脂環族ジエン類が挙げられ、1種単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。特に好ましいのは1,3−ブタジエン、イソプレンである。
【0010】
これらのジエンモノマー以外に、他のモノマーを併用することもできる。他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α―メチルスチレン、o−メチルスチレン、p―メチルスチレン、m―メチルスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのモノあるいはジカルボン酸またはジカルボン酸の無水物、(メタ)アクリロニトリルなどのビニルシアン化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルメチルエチルケトン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸グリシジルなどの不飽和化合物が挙げられる。これら他のモノマーは、1種単独でまたは2種以上併用して用いることができる。これら他のモノマーのうち好ましくはスチレンである。
これら他のモノマーを併用する場合には、ジエンモノマーの使用量は、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上、特に好ましくは5重量%以上である。0.5重量%未満では、スルホン化して得られるスルホン化物中に導入されるスルホン酸(塩)基含量が低くなる場合があり好ましくない。
【0011】
ベースポリマーは、ジエンモノマーおよび必要に応じて他のモノマーを、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル重合開始剤、あるいはn−ブチルリチウム、ナトリウムナフタレン、金属ナトリウムなどのアニオン重合開始剤の存在下、必要に応じて公知の溶剤を使用して、通常、−100〜150℃、好ましくは0〜130℃で、(共)重合を行うことにより得られる。
【0012】
また、ベースポリマーとしては、ジエン系(共)重合体スルホン化物の前駆体であるベースポリマーのジエンモノマーに基づく残存二重結合の一部あるいは全部を水添して使用することもできる。この場合、公知の水添触媒が使用可能で、例えば、特開平5―222115号公報に記載されているような触媒、方法が挙げられる。ベースポリマーを水添後、後述する方法でスルホン化することもできるが、該(共)重合体をスルホン化したのち、水添してもよい。
【0013】
本発明に使用されるベースポリマーは、ランダム型でもAB型あるいはABA型などのブロック型の共重合体でも特に制限なく使用できる。好ましいベースポリマーとしては、例えば、イソプレン単独重合体、ブタジエン単独重合体、イソプレン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン三元ブロック共重合体、ブタジエン−スチレンランダム共重合体、ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ブタジエンースチレンーブタジエン三元ブロック共重合体およびこれら(共)重合体の水添物、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体などが挙げられる。
これらのうち、さらに好ましいのは、イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン三元ブロック共重合体、ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ブタジエンースチレンーブタジエン三元ブロック共重合体、およびこれらの水添物などの芳香族系重合体ユニットと共役ジエン系重合体ユニットとを有するブロック共重合体およびこれらの水添物である。
【0014】
ジエンモノマーを必須成分とするベースポリマーあるいはその水添物のポリスチレン換算の重量平均分子量(以下「Mw」という)は、好ましくは1,000〜1,000,000、さらに好ましくは3,000〜100,000、特に好ましくは5,000〜20,000である。Mwが1,000未満であると、耐マーカー性が低下し、耐水性、定着性に問題が生じる場合があり、一方、1,000,000を超えると、顔料の分散性が低下することから、インクの保存安定性および印字品質が低下し好ましくない。
【0015】
本発明のジエン系(共)重合体スルホン化物は、上記ベースポリマーを、公知の方法、例えば日本科学会編集、新実験講座(14巻 III、1773頁)あるいは、特開平2―227403号公報などに記載された方法でスルホン化して得られる。
すなわち、上記ベースポリマーは、該ポリマー中のジエンユニットの二重結合部分をスルホン化剤を用いて、スルホン化することができる。このスルホン化の際、二重結合は開環して単結合になるか、あるいは二重結合は残ったまま、水素原子がスルホン酸(塩)と置換することになる。なお、他のモノマーを使用した場合には、二重結合部分がジエンユニット部分以外にも、芳香族ユニットがスルホン化されてもよい。
この場合のスルホン化剤としては、好ましくは無水硫酸、無水硫酸と電子供与性化合物との錯体のほか、硫酸、クロルスルホン酸、発煙硫酸、亜硫酸水素塩(Na塩、K塩、Li塩など)などが使用される。
【0016】
ここで、電子供与性化合物としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;ピリジン、ピペラジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン類;ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィドなどのスルフィド類;アセトニトリル、エチルニトリル、プロピルニトリルなどのニトリル化合物などが挙げられ、このうちでもN,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサンが好ましい。
【0017】
スルホン化剤の量は、ベースポリマー中のジエンユニットと芳香族ユニットのトータル1モルに対して、通常、無水硫酸換算で0.005〜1.5モル、好ましくは0.01〜1.0モルであり、0.005モル未満では、目的とするスルホン化率のものが得られないため、種々の性能が発現できず、一方、1.5モルを超えると、未反応の無水硫酸が多くなり、アルカリで中和したのち、多量の硫酸塩を生じ、純度が低下する。
【0018】
このスルホン化の際には、無水硫酸などのスルホン化剤に不活性な溶媒を使用することもでき、この溶媒としては例えばクロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物;液体二酸化イオウ、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤が挙げられる。
これらの溶媒は、適宜、2種以上混合して使用することができる。
このスルホン化の反応温度は、通常、−70〜200℃、好ましくは−30〜50℃であり、−70℃未満ではスルホン化反応が遅くなり経済的でなく、一方200℃を超えると副反応を起こし、生成物が黒色化あるいは不溶化する場合がある。
【0019】
本発明のジエン系(共)重合体のスルホン化物は、この生成物に水または塩基性化合物を作用させることにより得られる。
この塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、アミルリチウム、プロピルナトリウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、プロピルマグネシウムアイオダイド、ジエチルマグネシウム、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機金属化合物;アンモニア水、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、アニリン、ジメチルエタノールアミン、ピペラジンなどのアミン類;ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、亜鉛などの金属化合物を挙げることができる。これらの塩基性化合物は、1種単独で使用することも、また2種以上を併用することもできる。これらの塩基性化合物の中では、アルカリ金属水酸化物、アンモニア水が好ましく、特に水酸化ナトリウム、水酸化リチウムが好ましい。
【0020】
塩基性化合物の使用量は、使用したスルホン化剤1モルに対して、2モル以下、好ましくは1.3モル以下である。
この反応の際には、上記塩基性化合物を水溶液の形で使用することもでき、あるいは塩基性化合物に不活性な有機溶媒に溶解して使用することもできる。
この有機溶媒としては、上記スルホン化に使用される各種の有機溶媒のほか、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類などが挙げられる。これらの溶媒は、適宜、2種以上混合して使用することができる。
【0021】
塩基性化合物を水溶液または有機溶媒溶液として使用する場合には、塩基性化合物濃度は、通常、1〜70重量%、好ましくは10〜50重量%程度である。また、この反応温度は、通常、−30〜150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃で行われ、また常圧、減圧あるいは加圧下のいずれでも実施することができる。さらに、こ反応時間は、通常、0.1〜24時間、好ましくは0.5〜5時間である。
【0022】
以上のようなジエン系(共)重合体のスルホン化物のスルホン酸(塩)基含量は、通常、0.1〜3.5mmol/g、好ましくは0.2〜3mmol/gである。0.1mmol/g未満では、後述するように、顔料の分散性が低下するため好ましくなく、一方、3.5mmol/gを超えると、耐水性が低下し好ましくない。
このような本発明のジエン系(共)重合体スルホン化物の構造は、赤外線吸収スペクトルによってスルホン基の吸収より確認でき、これらの組成比は元素分析などにより知ることができる。また、核磁気共鳴スペクトルにより、その構造を確認することができる。
【0023】
このようにして合成されたジエン系(共)重合体のスルホン化物は、水に再乳化させたもの(以下、「再乳化物」ともいう)を使用する。
再乳化の方法は、上記スルホン化物あるいは、中和前の生成物の有機溶剤溶液を、水あるいは前記アルカリ化合物と攪拌・混合し、乳化させたのち、水を残したまま有機溶剤を除去することにより得られる。この再乳化は、一般的な方法が採用でき、上記スルホン化物の有機溶剤溶液中に攪拌しながら水を添加する方法、攪拌しながらスルホン化物の有機溶剤溶液を水中に添加する方法、水とスルホン化物の有機溶剤溶液を同時に添加して攪拌する方法など、特に制限はない。
【0024】
ここで、再乳化に使用する有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなのエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤などが使用される。これら溶剤は、単独で使用しても、2種以上併用して使用してもよい。
【0025】
再乳化の際に用いられる上記有機溶剤の使用量は、スルホン化物100重量部に対し、好ましくは、20〜5,000重量部、さらに好ましくは50〜2,000重量部である。20重量部未満では、安定な再乳化物が得られず、一方、5,000重量部を超えると、生産性が悪くなる。
また、再乳化の際に用いられる水の使用量は、スルホン化物100重量部に対し、好ましくは、50〜10,000重量部、さらに好ましくは100〜5,000重量部である。50重量部未満では、安定な再乳化物が得られず、一方、10,000重量部を超えると、生産性が悪くなる。
【0026】
なお、再乳化に際しては、界面活性剤を併用することもできる。この界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテルなどの非イオン系界面活性剤、オレイン酸塩、ラウリン酸塩、ロジン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤、オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ドデシルピリジジニウムクロライドなどのカチオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
上記界面活性剤は、スルホン化物の有機溶剤溶液中に溶解あるいは分散させて使用しても、水中に溶解あるいは分散させて使用してもかまわない。
上記界面活性剤の使用量は、ジエン系(共)重合体スルホン化物100重量部に対し、通常、10重量部以下、好ましくは5重量部以下である。10重量部を超えると、スルホン化物エマルジョン(再乳化物)の純度が低下する。
【0027】
また、系内のpHを調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ化合物、塩酸、硫酸などの無機酸を添加することもできる。また、少量であれば、水以外の有機溶剤などを併用することもできる。
【0028】
本発明のインクは、上述した自己分散顔料とジエン系(共)重合体のスルホン化物とを混合することにより得られる。
好ましくは、自己分散顔料とジエン系(共)重合体のスルホン化物を分散機を用いて分散させることにより、ジエン系(共)重合体のスルホン化物を自己分散顔料に吸着させることであり、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機等で分散することにより達成できる。
自己分散顔料はあらかじめ水分散体としておくことが好ましく、この水分散体中の自己分散顔料の濃度は6〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。自己分散顔料100重量部に対してジエン系(共)重合体のスルホン化物は5〜500重量部、好ましくは20〜300重量部使用する。
【0029】
本発明の水系インクには湿潤剤あるいは浸透剤も使用できる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、カルビトール類などの多価アルコールエーテル類、アルコール類、アセテート類、チオジグリコール、N−メチルー2―ピロリドン、トリエタノールアミンなどの含窒素化合物類などが挙げられる。
これらの湿潤剤または浸透剤は、単独で使用しても2種以上併用しても何ら問題ない。
これらの浸透剤あるいは湿潤剤の使用量は、自己分散顔料100重量部に対して20〜300重量部である。
【0030】
本発明の水系インクには、上記スルホン化ポリマー乳化物、顔料、溶剤以外に、公知の添加剤を添加することもできる。例えば、分散剤、消泡剤、各種界面活性剤等の表面張力調整剤、キレート剤、酸素吸収剤などが添加できる。
また、分散剤としては脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩などのアニオン系界面活性剤、脂肪族アミン、4級アンモニウム塩、などのカチオン系界面活性剤、ベタイン型化合物などの両性界面活性剤、ポリオキシエチレン化合物の脂肪酸エステル型などのノニオン系界面活性剤、また、セルロース系高分子、リグニンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩、スチレンーアクリル酸共重合物塩、スチレンーマレイン酸共重合物塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0031】
本発明の水系インクは特定の物理的性質が満たされることが好ましい。例えば、インクジェット記録に使用されるインクは、適正な粘度と表面張力を有することが好ましい。
本発明のインクジェット用記録用インクの粘度は、25℃で通常0.7cpから15cp、好ましくは1cpから10cpである。また、表面張力は、25℃で通常20ダイン/cmから70ダイン/cm、好ましくは25ダイン/cmから60ダイン/cmである。
【0032】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り重量基準である。
実施例1〜5
表1に示すスルホン化ポリマーの再乳化物(固形分濃度15%)33g、自己分散顔料の水分散液(顔料濃度15%水分散液)33g、0.3mmジルコニアビーズ34gを100mLポリ容器に入れ、ペイントシェーカーで1時間分散した。分散後、ジルコニアビーズをメッシュで除去して顔料スラリーを得た。
得られた顔料スラリー30g、ジエチレングリコールモノブチルエーテル8g、水7gを混合して顔料濃度5%の水系インクを調製した。
得られた水系インクを、IJプリンターMC2000(セイコーエプソン (株)製)を用いて、普通紙(XEROX社製4024)に印字した。本発明のインクの印字安定性は良好であった。印字品質を以下のように評価した。
結果を表2に示す。本水系インクは印字品質に優れていることがわかる。
印字濃度
マクベス濃度計により印字物の光学濃度(OD値)を測定した。
耐マーカー性
印字物を水性マーカーで3回マークし、マーカーへのインクの付着状態で耐マーカー性を判断した。
:マーカーにインク全くつかない
×:マーカーにインクがつく
【0033】
【表1】
*1キャボット (株)社製自己分散カーボン
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録用水系インクは、印字品質、すなわち、印字濃度、光沢、耐マーカー性に優れる。
Claims (3)
- 1)自己分散性顔料および2)スルホン酸基を含むポリマーを含有することを特徴とするインクジェット記録用水系インク。
- 自己分散性顔料が、表面に親水性基を有し、分散剤を含まず、水に自己分散可能な顔料であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用水系インク。
- スルホン酸基を含むポリマーが、ジエン系化合物を構成ユニットとして含む重合体もしくは共重合体あるいはそれらの水素添加物を、スルホン化して得られるポリマーであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用水系インク。
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