JPH1046073A - インクジェット記録用インク組成物 - Google Patents

インクジェット記録用インク組成物

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JPH1046073A
JPH1046073A JP20400796A JP20400796A JPH1046073A JP H1046073 A JPH1046073 A JP H1046073A JP 20400796 A JP20400796 A JP 20400796A JP 20400796 A JP20400796 A JP 20400796A JP H1046073 A JPH1046073 A JP H1046073A
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道也 塚原
Hiroto Nakamura
弘人 中村
Minoru Wagi
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MIKUNI COLOR WORKS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録媒体上にインク像を形成し記録するイン
クジェット記録において、不快臭を発生させることな
く、しかも紙種等に影響されることなく高品質画像を得
ることのできるインク組成物を提供する。 【解決手段】 顔料、熱可塑性樹脂エマルジョン、高分
子分散剤及び水を含むインク組成物において、前記熱可
塑性樹脂エマルジョン又は前記高分子分散剤に含まれる
モノマーの量を、インク組成物全体の重量に対して10
00ppm以下にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用インクに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法において、印字
のにじみを抑制する手段として、特定温度以上に加熱さ
れている記録媒体に、インク滴を付着させる方法が従来
から知られている(例えば、特開昭58−188684
号公報又は特開昭62−288042号公報)。
【0003】また、例えば、特開平4−18462号公
報又は特開平5−148441号公報には、インク組成
物中に水溶性樹脂及び樹脂エマルジョンを含有させるこ
とにより、吐出安定性を確保しつつ、記録媒体への定着
性をも確保することを目的としたインク組成物が開示さ
れている。
【0004】本発明者らは、既に、前記の従来技術に更
に改良を加え、インク中に熱可塑性樹脂を含有させた独
自のインク組成物を用い、印字のにじみを防止すること
ができると共に、カラーの発色を鮮明にすることができ
るとの知見を得た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前記の
インク組成物の更なる改良を目的に鋭意研究を行ったと
ころ、インク中に含まれている樹脂成分の未反応モノマ
ーの含有量を減少させることにより、多様な環境(例え
ば、多様な温度及び/又は湿度条件や使用する印刷用
紙)下において、それらの環境変化とは無関係に、一層
高品質の画像を安定して得ることができることを見出し
た。また、未反応モノマーの含有量が少ないインク組成
物を用いて印字を行なうと、印画中の紙への不規則な浸
透を起こすことがなく、しかも印字中及び印字後に不快
臭を発生することもないことを見出した。
【0006】従って、本発明の目的は、顔料用高分子分
散剤や熱可塑性樹脂エマルジョン等の樹脂成分を含むイ
ンク組成物において、印画中の紙への不規則な浸透を起
こすことがなく、いかなる環境においても高品質画像を
安定して得ることができるインクジェット記録用インク
組成物を提供することにある。更に、印字中及び印字後
に不快臭を発生することのないインク組成物を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の目的は、本発明に
よる、顔料、熱可塑性樹脂エマルジョン、高分子分散剤
及び水を含むインクジェット記録用インク組成物におい
て、前記熱可塑性樹脂エマルジョン又は前記高分子分散
剤に含まれるモノマーの量が、インク組成物全体の重量
に対して1000ppm以下であることを特徴とする、
前記インクジェット記録用インク組成物によって達成す
ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のインク組成物において
は、顔料として、有機顔料又は無機顔料、例えば、イン
クジェット記録用インク組成物において従来から使用さ
れている有機顔料又は無機顔料を用いることができる。
黒色インク用顔料としては、例えば、ファーネスブラッ
ク、ピグメントブラック6、アセチレンブラック、チャ
ンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメ
ントブラック7)類、又は銅酸化物、鉄酸化物(C.
I.ピグメントブラック11)、若しくは酸化チタン等
の金属類、又はアニリンブラック(C.I.ピグメント
ブラック1)等の有機顔料を挙げることができる。
【0009】更に、カラーインク用顔料としては、C.
I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、
3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、1
7、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、5
3、55、81、83(ジスアゾイエローHR)、9
5、97、98、100、101、104、108、1
09、110、117、120、138、153;C.
I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブ
リリアントファーストスカーレット)、23、31、3
8、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、4
8:2(パーマネントレッド2B (Ca))、48:3
(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パー
マネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、5
3:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:
1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6
Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、10
4、105、106、108(カドミウムレッド)、1
12、114、122(キナクリドンマゼンタ)、12
3、146、149、166、168、170、17
2、177、178、179、185、190、19
3、209、219;又はC.I.ピグメントブルー
1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、
15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:
4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:
1、56、60、63;等を使用することができる。前
記の顔料を1種類で用いるか、又は2種以上を適宜組合
せて用いることができる。
【0010】前記顔料の含有量は、インク組成物全体に
対して、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましく
は1〜5重量%である。含有量を0.5重量%以上にす
ることにより、一層充分な印字濃度を確保することがで
き、含有量を5重量%以下にすることにより、インクの
粘度特性に構造粘性を生じさせずに、一層充分な吐出安
定性を確保することができる。また、前記顔料の粒経
は、特に限定されるものではないが、粒経は、好ましく
は25μm以下、より好ましくは1μm以下である。粒
径が25μm以下の顔料を用いることにより、目詰まり
の発生を抑制することができ、一層充分な吐出安定性を
実現することができる。
【0011】本発明のインク組成物は、熱可塑性樹脂エ
マルジョン及び高分子分散剤を含有する。この熱可塑性
樹脂エマルジョンは、水中でエチレン性不飽和モノマー
を乳化重合若しくは懸濁重合させて調製するか、又は水
中に熱可塑性樹脂を乳化させることによって調製したエ
マルジョンであり、前記の高分子分散剤は、前記顔料を
インク組成物内で微粒子状で分散安定化させることので
きる分散剤である。
【0012】また、本発明においては、前記の熱可塑性
樹脂エマルジョン及び高分子分散剤として、前記熱可塑
性樹脂エマルジョン又は高分子分散剤に含まれるモノマ
ーの量が、本発明によるインク組成物全体の重量に対し
て1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、
より好ましくは100ppm以下となる熱可塑性樹脂エ
マルジョン及び高分子分散剤を使用する。
【0013】ここで「熱可塑性樹脂エマルジョン含まれ
るモノマー」又は「高分子分散剤に含まれるモノマー」
は、種々の理由により、前記の熱可塑性樹脂エマルジョ
ン又は高分子分散剤内に混在しているモノマーである。
例えば、熱可塑性樹脂エマルジョン又は高分子分散剤を
調製する際に用いる原料モノマーの一部が未反応のまま
で熱可塑性樹脂エマルジョン又は高分子分散剤内に残留
した未反応モノマー、あるいは熱可塑性樹脂エマルジョ
ンの調製に用いる乳化剤に含まれているモノマー成分を
挙げることができる。
【0014】前記の熱可塑性樹脂エマルジョンにおける
熱可塑性樹脂成分としては、未反応モノマーの含有量が
低いことを除けば、インクジェット記録用インク組成物
において従来から使用されている熱可塑性樹脂エマルジ
ョンと同様の熱可塑性樹脂成分を使用することができ
る。熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリル系重
合体、例えば、ポリアクリル酸エステル若しくはその共
重合体、ポリメタクリル酸エステル若しくはその共重合
体、ポリアクリロニトリル若しくはその共重合体、ポリ
シアノアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリ
ル酸、又はポリメタクリル酸;ポリオレフィン系重合
体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテ
ン、ポリイソブチレン、ポリスチレン若しくはそれらの
共重合体、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、又はテ
ルペン樹脂;酢酸ビニル・ビニルアルコール系重合体、
例えば、ポリ酢酸ビニル若しくはその共重合体、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルアセタール、又はポリビニ
ルエーテル;含ハロゲン系重合体、例えば、ポリ塩化ビ
ニル若しくはその共重合体、ポリ塩化ビニリデン、フッ
素樹脂、又はフッ素ゴム;含窒素ビニル系重合体、例え
ば、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピロリドン若
しくはその共重合体、ポリビニルピリジン、又はポリビ
ニルイミダゾール;ジエン系重合体、例えば、ポリブタ
ジエン若しくはその共重合体、ポリクロロプレン、又は
ポリイソプレン(ブチルゴム);あるいはその他の開環
重合型樹脂、縮合重合型樹脂、又は天然高分子樹脂等を
用いることができる。
【0015】未反応モノマーの含有量が低い前記熱可塑
性樹脂エマルジョンは、そのような熱可塑性樹脂エマル
ジョンを直接に調製するか、通常の方法で得られた(未
反応モノマーを比較的多量に含む)従来の熱可塑性樹脂
エマルジョンから未反応モノマーを除去するか、あるい
はモノマー含有乳化剤を用いて調製した熱可塑性樹脂エ
マルジョンからモノマーを除去することによって調製す
ることができる。
【0016】未反応モノマーの含有量が低い前記熱可塑
性樹脂エマルジョンを直接に調製するには、例えば、乳
化重合の反応工程で、その反応工程の終了直前に更に開
始剤を追加して、未反応モノマーを重合させることによ
り、その含有量を低減させることによって直接調製する
ことができる。例えば、未反応モノマーの含有量が低い
スチレン−アクリル酸メチル共重合体エマルジョンは、
スチレンとアクリル酸メチルとの共重合反応の最終工程
で、ラジカル活性付与剤として過硫酸アンモンなどの過
酸化物を添加させることにより調製することができる。
【0017】また、モノマーを比較的多量に含む熱可塑
性樹脂エマルジョンからモノマーを除去するには、その
エマルジョンを減圧蒸留する方法を利用することができ
る。例えば、スチレン−アクリル酸メチルエマルジョン
から、モノマー(すなわち、スチレン及び/又はアクリ
ル酸メチル)を除去するには、エマルジョンを減圧蒸留
させるか、場合によっては過硫酸アンモンなどの過酸化
物を添加し、窒素雰囲気中で加熱反応させる方法を用い
ることができる。
【0018】モノマー含有乳化剤を用いて調製した熱可
塑性樹脂エマルジョンからモノマーを除去するには、上
記のモノマーを比較的多量に含む熱可塑性樹脂エマルジ
ョンからモノマーを除去する方法と同様の方法を用いる
ことができる。
【0019】こうして、未反応モノマー(すなわち、ス
チレン及び/又はアクリル酸メチル)の含有量が、50
0ppm以下、特には200ppm以下のスチレンアク
リル酸メチル共重合体エマルジョンを直接に調製するこ
とができる。
【0020】なお、モノマー含有量は、例えば、ガスク
ロマトグラフィーによって測定することができる。
【0021】前記の熱可塑性樹脂成分の含有量は、イン
ク組成物全体に対して、好ましくは0.5〜30重量
%、より好ましくは1〜20重量%である。含有量を
0.5重量%以上にすることによって、一層良好な印字
品質を確保することができ、含有量を30重量%以下に
することによって、目詰まりの発生を抑制することがで
き、一層充分な吐出安定性を実現することができる。
【0022】本発明のインク組成物において使用するこ
とのできる高分子分散剤としては、親水性部分と疎水性
部分とを分子中に有する共重合体樹脂、具体的には、ア
クリル酸系分散剤、例えば、スチレン−アクリル酸共重
合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重
合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、又はスチレン
−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、マレイ
ン酸系分散剤、例えば、スチレン−マレイン酸共重合
体、アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体、又はス
チレン−アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体、ス
ルホン酸系分散剤、例えば、アクリル酸エステル−スチ
レンスルホン酸共重合体、スチレン−メタクリルスルホ
ン酸共重合体、又はアクリル酸エステル−アリルスルホ
ン酸共重合体、あるいはこれらの塩を挙げることができ
る。重量平均分子量(以後単に分子量と称す)が160
0〜25000で、酸価が100〜250の共重合体樹
脂を用いるのが好ましい。
【0023】未反応モノマーの含有量が低い前記高分子
分散剤は、そのような高分子分散剤を直接に調製する
か、又は通常の方法で得られた(未反応モノマーを比較
的多量に含む)従来の高分子分散剤から未反応モノマー
を除去することによって調製することができる。
【0024】未反応モノマーの含有量が低い前記高分子
分散剤を直接調製するには、塊状重合若しくは溶液重合
の反応工程で、その反応工程の終了直前に更に開始剤を
追加させ、未反応モノマーを重合させ、その含有量を低
減させる方法を用いることができる。例えば、未反応モ
ノマーの含有量が低いスチレン−アクリル酸共重合体を
直接調製するには、スチレンとアクリル酸との共重合反
応の最終工程でラジカル活性付与剤として過酸化ベンゾ
イルなどの過酸化物を添加させる方法を用いることがで
きる。こうして、未反応モノマー(すなわち、スチレン
及び/又はアクリル酸)の含有量が、300ppm以
下、特には100ppm以下のスチレンアクリル酸共重
合体を直接に調製することができる。
【0025】また、未反応モノマーを比較的多量に含む
高分子分散剤から未反応モノマーを除去するには、その
高分子分散剤を減圧蒸留させ、未反応モノマーを除去す
る方法を用いることができる。例えば、スチレン−アク
リル酸共重合体から、未反応モノマー(すなわち、スチ
レン及び/又はアクリル酸)を除去するには、樹脂を減
圧蒸留させるか、場合によっては過酸化ベンゾイルなど
の過酸化物を添加し、窒素雰囲気中で加熱反応させる方
法を用いることができる。
【0026】なお、モノマー含有量は、前記と同様に、
例えばガスクロマトグラフィーによって測定することが
できる。
【0027】前記の高分子分散剤の使用量は、顔料の重
量に対して、好ましくは10〜50重量%、より好まし
くは15〜40重量%である。使用量を10重量%以上
にすることによって顔料の良好な分散を確保することが
でき、使用量を50重量%以下にすることによってノズ
ルからの吐出性を安定させ、かつ最適な粘度範囲に調整
することができる。
【0028】本発明によるインク組成物は、場合によ
り、水溶性高分子化合物を、インク組成物全体に対し
て、好ましくは15重量%以下、より好ましくは3〜1
0重量%の量で含有して、適切な粘度を確保することが
できる。
【0029】水溶性高分子化合物としては、糖類又はそ
の誘導体、例えば、サッカロース、マルチトール、マル
トース、グルコン酸、ソルビトール、マンニトール、又
はグルコースの1種又はそれ以上を組合せて用いること
ができる。また、水酸基の含有量が大きく、水溶性が大
きい化合物、例えば、ポリビニルアルコール、アルギン
酸ナトリウム、若しくはポリエチレンオキサイド等の水
溶性樹脂、及び/又はそれらの変性化合物も使用するこ
とができる。これらの水溶性高分子化合物を用いると、
インク組成物の吐出安定性を向上させることができる。
【0030】また、本発明によるインク組成物は、場合
により、水溶性の多価アルコールを、インク組成物全体
に対して、好ましくは25重量%以下、より好ましくは
6〜20重量%の量で含有することにより、吐出安定性
を確保することができる。しかし、含有量が多すぎると
乾燥不良となることがあるので注意が必要である。
【0031】水溶性多価アルコールとしては、例えば、
炭素数3〜10の2価〜3価アルコール、例えば、グリ
セリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘ
キシレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール
の1種又はそれ以上を組合せて用いることができる。
【0032】更に、本発明によるインク組成物は、場合
により、界面活性剤を、インク組成物全体に対して、好
ましくは2重量%以下、より好ましくは0.1〜1重量
%の量で含有することにより、吐出安定性を確保するこ
とができる。しかし、含有量が多すぎると起泡性が大き
くなり、吐出安定性を損なわせる危険性が生じる。
【0033】界面活性剤としては、例えば、アニオン界
面活性剤、例えば、高級脂肪酸塩、高級アルキルジカル
ボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキ
ルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アル
キルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸の
塩(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、又はカ
ルシウムとの塩)、ホルマリン重縮合物、高級脂肪酸と
アミノ酸との縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステ
ル塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフテン酸塩等、ア
ルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、α−
オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、
アルキルエーテル硫酸塩、第二級高級アルコールエトキ
シサルフェート、モノグリサルフェート、アルキルエー
テル燐酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム塩、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アン
モニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキル硫
酸モノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル燐酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル燐酸カリウム塩、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル燐酸ジエタノールアミン、アルキルナフタ
レンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等
を挙げることができる。
【0034】また、ノニオン界面活性剤としては、例え
ば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポ
リオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキ
シエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタンモノステ
アレート、アセチレングリコール、アセチレングリコー
ルのエチレンオキサイド付加物(アセチレングリコール
アルコールエチレンオキサイド)、プロピルエタノール
アミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル、等を挙げるこ
とができる。
【0035】更に、本発明によるインク組成物は、場合
により、主溶媒である水に加えて、一価アルコールを、
インク組成物全体に対して、好ましくは15重量%以
下、より好ましくは1〜10重量%の量で含有すること
により、インク組成物の乾燥性、及び浸透性を向上させ
ることができる。一価アルコールとしては、例えば、炭
素数2〜4のアルカノール、例えば、エタノール、1−
プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2
−ブタノール、iso−ブタノール、又はt−ブタノー
ルの1種又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0036】また、本発明によるインク組成物は、その
他必要に応じて、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二
ナトリウム等のpH調整剤、防カビ、防腐、防錆等の目
的で安息香酸、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、
ソルビン酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、エチレ
ンジアミン四酢酸(EDTA)、デヒドロ酢酸ナトリウ
ム、1,2−ベゾチアゾリン−3−オン(製品名:プロ
キセルXL「 (ICI製))、3,4−イソチアゾリン
−3−オン等を含むことができる。更にノズル乾燥防止
の目的で、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等を添加する
ことができる。
【0037】本発明によるインク組成物の諸物性は適宜
制御することができるが、本発明の好ましい態様によれ
ば、インク組成物の粘度は、好ましくは25mPa・秒
以下、より好ましくは10mPa・秒以下(25℃)で
ある。粘度がこの範囲内にあると、インク組成物をイン
ク吐出ヘッドから安定に吐出させることができる。ま
た、インクの表面張力は適宜制御することができるが、
30〜50mN/m(25℃)であることが好ましい。
【0038】本発明によるインク組成物は、任意のイン
クジェット記録方法に、有利に用いることができる。
【0039】
【作用】従来のインクでは、熱可塑性樹脂エマルジョン
や高分子分散剤の調製時に重合反応に参加しなかった未
反応モノマーが残留してしまう場合があった。こうした
未反応モノマーを含むインクを用いて、記録媒体への印
字を行なった場合には、未反応モノマー分子が蒸発し
て、不快臭を発生させたり有毒ガスを発生させてしま
う。また、その不快臭は、印画後も記録紙から臭ってし
まう。特に、加熱された記録媒体への印字を行なった場
合には、不快臭が著しく発生してしまう。
【0040】また、その未反応モノマー成分の混合によ
りインクの物性等が安定せず、熱可塑性樹脂エマルジョ
ンや高分子分散剤の混合量が増えた場合には、紙への浸
透性が増幅されてしまい、インクのにじみ、及び/又は
ひげ等が発生して印画品質の劣化を生じてしまう欠点が
あった。
【0041】これに対して、本発明のインク組成物で
は、熱可塑性樹脂エマルジョン及び/又は高分子分散剤
内の未反応モノマー含有量が極めて少ないので、不快臭
の発生や、印画品質の劣化が起こらない。特に、インク
組成物のインク滴を、印字ヘッドから、加熱された記録
媒体に吐出してインク像を形成するインクジェット記録
方法に用いた場合には、約80〜120℃に加熱された
記録媒体上にインクが付着した際に、加熱によってイン
ク組成物が急速に増粘し、高品質画像を得ることができ
る。
【0042】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。
【0043】<実施例1>本発明によるインクジェット
記録用インク組成物を以下の手順で調製した。
【0044】(1)顔料分散液の調製 還流管付反応容器にエチレングリコールモノブチルエー
テル70重量部を仕込み、攪拌しながら窒素雰囲気中で
70℃まで昇温した。次に、スチレン18.4重量部、
アクリル酸11.2重量部、及び過酸化ベンゾイル0.
3重量部の混合物を分液ロートで5時間にわたって滴下
した。更に、未反応モノマーの反応を完結させるため
に、過酸化ベンゾイル0.1重量部を追加して1時間攪
拌した。溶液を乾燥させ、得られた樹脂粉末を次の実施
例で使用した。
【0045】こうして得られたスチレン−アクリル酸共
重合体樹脂(重量平均分子量=25000;酸価=20
0)4重量部を、トリエタノールアミン(pH調整剤)
2.7重量部、イソプロピルアルコール0.4重量部、
及びイオン交換水72.9重量部に、70℃の加温下で
完全に溶解させた。
【0046】この樹脂溶液に、C.I.ピグメントブラ
ック7〔カーボンブラックMA−100(三菱化学株式
会社製)〕20重量部を加え、プレミクシングを行った
後、アイガーミル(アイガージャパン社製)で顔料の平
均粒子径が100nmになるまで分散を行い(ビーズ充
填率=70%;メディア径=0.7mm)、目的の顔料
分散液を得た。この分散液中のスチレン及びアクリル酸
のモノマー量をガスクロマトグラフィーで測定したとこ
ろ、60ppmであった。
【0047】(2)インク組成物の調製 次に、前記の顔料分散液を使用して、以下の組成からな
る本発明によるインク組成物を調製した。
【0048】 なお、前記のアニオン性界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム
塩を用いた。また、前記のスチレン−アクリル酸メチル
樹脂エマルジョンは、固形分40.0%の水分散液であ
り、マルチトールは固形分80%の水溶液であるため、
添加量は固形分換算した値で示した。
【0049】前記の各成分を混合した後、金属メッシュ
フィルター(真鍋工業株式会社製綾織り;2300メッ
シュ)を通過させ、本発明のインク組成物を得た。
【0050】なお、前記のスチレン−アクリル酸メチル
樹脂エマルジョンは、以下の方法で調製した。
【0051】還流管付反応容器にイオン交換水60重量
部、ラウリル硫酸ナトリウム2重量部及び過硫酸アンモ
ニウム0.3重量部を仕込み、混合攪拌しながら窒素雰
囲気中で60℃まで 昇温した。次に、スチレン24重
量部及びアクリル酸メチル13.6重量部の混合物を分
液ロートで4時間にわたって液下した。更に、未反応モ
ノマーの反応を完結させるために過硫酸アンモニウム
0.1重量部を追加して1時間攪拌した。
【0052】こうして得られたスチレン−アクリル酸メ
チル樹脂エマルジョン内の未反応モノマー(スチレン、
アクリル酸メチル)の合計量は164ppmであった。
【0053】また、こうして得られた実施例1のインク
組成物中の、未反応モノマー(スチレン、アクリル酸、
アクリル酸メチル)の合計量は50ppmであった。
【0054】<実施例2〜8>以下の表1に記載の配合
成分を使用すること以外は前記と同様の操作を繰り返す
ことにより、イエロー、マゼンタ及びシアンの各カラー
インク組成物、並びにブラックインク組成物を調製し
た。なお、表1中の数値は、モノマー成分量(ppm)
以外は、重量%である。
【0055】
【表1】
【0056】<比較例>比較用として、特開平4−18
462号公報の実施例1に開示されているインク組成物
を調製した。すなわち、スチレン−アクリル酸−アクリ
ル酸エチル共重合体(重量平均分子量=10000;酸
価=153)5重量部を、モノエタノールアミン1.5
重量部、イオン交換水68.5重量部及びエチレングリ
コール5重量部に、70℃の加温下で完全に溶解させ
た。
【0057】この樹脂溶液に、カーボンブラック15重
量部及びエタノール5重量部を加えてプレミクシングを
行った後、分散機(サンドグラインダー)により分散処
理を行い(ビーズ充填率=50%;メディア径=1m
m)、続いて遠心処理(112000rpm,20分
間)し、粗大粒子を除いて顔料分散液を得た。この分散
液中のスチレン、アクリル酸、及びアクリル酸エチル等
のモノマー量をガスクロマトグラフィーで測定したとこ
ろ、2800ppmであった。
【0058】次に、前記の顔料分散液50重量部、エチ
レングリコール10重量部、ジエチレングリコール10
重量部、エタノール10重量部、マイクロ樹脂エマルジ
ョン(PB−300)1重量部、及びイオン交換水27
重量部を混合して、比較用インク組成物を調製した。こ
のインク組成物中のスチレン、アクリル酸、及びアクリ
ル酸エチル等のモノマー量をガスクロマトグラフィーで
測定したところ、1420ppmであった。
【0059】<物性評価> (1)インクジェット記録方法 各実施例及び比較例のインクジェット記録用インク組成
物の評価には、以下のインクジェット記録装置及び記録
方法を用いた。
【0060】インクジェット記録は解像度360ドット
/インチ、及びインク吐出量0.05μg/ドットに調
整した試作48ノズルインクジェット評価機を用いて実
施した。
【0061】また、ここで使用したインクジェット評価
機は、記録媒体を、通常の非加熱状態で使用することが
できるだけでなく、記録媒体を加熱し、加熱された記録
媒体上にインク像を形成し記録するインクジェット記録
方法にも用いることができる装置であり、この加熱機構
を有する評価機において、その加熱機構を利用せずに、
及び利用して、評価を実施した。加熱機構を利用する場
合の記録媒体の加熱温度は100℃とした。
【0062】(2)評価方法 各実施例及び比較例のインク組成物を使用して再生紙と
コピー用紙にカラー印画を行い、印画直後から印画後放
置による不快臭の発生状況と画質を評価した。なお、評
価は、実施例1〜8及び比較例のインク組成物の単色で
の評価と、実施例1〜4、及び実施例5〜8の4色のイ
ンク組成物を重ね合わせて印画したフルカラー印画パタ
ーンの2種類で行った。
【0063】評価は次のようなレベル判定により行っ
た。
【0064】(a)印画中の不快臭 ◎:全く不快臭はない。 ○:気にならない程度のわずかな不快臭が発生する。 ×:不快臭が気になる。 (b)印画環境による画質変化 ◎:目立つにじみ等の画質劣化がない。 ○:紙種により、目立たない程度のにじみが発生する場
合がある。 ×:紙種により、目立つにじみが発生する場合がある。
【0065】以上の評価結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】表2に示す結果から明らかなように、本発
明によるインクジェット記録用インク組成物は、非水溶
性成分として少なくとも水中に分散された顔料と熱可塑
性樹脂エマルジョンを含有しているが、インク中に混入
してしまう樹脂成分の未反応モノマー成分を少量に抑え
ることにより、通常の(非加熱)状態及び加熱状態で印
字を行った場合に、不快臭を発生することがなく、また
印画中の紙への不規則な浸透を防止することができ、い
かなる環境においても高品質画像を得ることができる。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、水を主溶媒とし、熱可
塑性樹脂エマルジョン及び高分子分散剤を樹脂成分とし
て含むインク組成物において、前記の樹脂成分に混入し
てしまう、モノマー成分を少量に抑えることにより、通
常の(非加熱)状態及び加熱状態で印字した場合に、不
快臭が発生することがなく、また印画中の紙への不規則
な浸透を防止することができ、いかなる環境においても
高品質画像を得ることができるという効果を有する。
【0069】また、樹脂成分に混入するモノマー成分は
比較的毒性が強い場合が多いので、その発生を抑制する
ことにより毒性を軽減し、安全性を向上させるという効
果を有する。例えば、安全性から空気中の許容濃度(日
本産業衛生学会、又はACGIH等で定められた許容濃
度)が決められたモノマー成分等については、その発生
を管理濃度以下に抑えることも可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和木 稔 兵庫県姫路市御国野町国分寺138−1 御 国色素株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顔料、熱可塑性樹脂エマルジョン、高分
    子分散剤及び水を含むインクジェット記録用インク組成
    物において、前記熱可塑性樹脂エマルジョン又は前記高
    分子分散剤に含まれるモノマーの量が、インク組成物全
    体の重量に対して1000ppm以下であることを特徴
    とする、前記インクジェット記録用インク組成物。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性樹脂エマルジョン固形物と
    前記高分子分散剤との合計含有量が1重量%以上である
    請求項1に記載のインク組成物。
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