JP2004123895A - 易接着性フィルムおよびラミネートフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】耐ブロッキング性に優れた易接着性フィルム、およびこのフィルムを用いて得られるラミネートフィルムを提供する。
【解決手段】ポリエチレンイミンとシランカップリング剤とを含む塗布液をフィルム基材の少なくとも片面に塗布して塗膜を形成する。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリエチレンイミンとシランカップリング剤とを含む塗布液をフィルム基材の少なくとも片面に塗布して塗膜を形成する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐ブロッキング性に優れた易接着性フィルムおよびこのフィルムを用いて得られるラミネートフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロン、ポリエステルなどのフィルム基材に、例えば、ポリエチレンを加熱溶融し、フィルム状に押出し、接着させて得られるラミネートフィルムは包装材料などとして広く用いられている。このような押出ラミネート加工の目的は2種類以上のフィルムを一体化して、それぞれの特性を補足付与した新たな材料を製造することにある。
【0003】
押出ラミネート加工においては、一体化するフィルム間の接着性が最も重要な特性であり、これらフィルム間の接着性を向上させるために、フィルム基材に接着促進剤(アンカー・コート(AC)剤とも呼ばれる。)を塗布する。そして、このように接着促進剤を塗布したフィルム基材は一旦ロール状に巻き取り、その後、別の場所で巻き戻しながら押出ラミネート加工を行うことが一般に行われている。
【0004】
上記接着促進剤としては種々のものが知られており、その一つとしてポリエチレンイミンが用いられている。しかし、ポリエチレンイミンの塗膜は耐ブロッキング性が悪く、ポリエチレンイミンをフィルム基材に塗布し、乾燥したものを一旦ロール状に巻き取る場合、フィルム基材同士が貼付く(ブロッキングする)という問題が生じる。なお、ポリエチレンイミン塗膜の耐ブロッキング性が悪いのは経時中に空気中の水分を吸収してべたつきやすくなるためと一般に考えられている。
【0005】
上記のような接着促進剤としてポリエチレンイミンを用いる場合の問題を解決するために、ポリエチレンイミンにエポキシ化合物を加え、架橋させて塗膜を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、フィルム基材に先ずシランカップリング剤の硬化薄膜を形成し、その上にポリエチレンイミンを塗布することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】
特開平4−18426号公報
【特許文献2】
特開平5−200959号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平4−18426号公報記載の方法に従って得られる易接着性フィルムは、後記の比較例により示されるように、耐ブロッキング性の改善が不十分であり、実用的ではない。また、特開平5−200959号公報記載の方法の場合、シランカップリング剤とポリエチレンイミンとの2つの層を設ける必要があるため、製造工程が増加し、そのため製造コストが増加するなどの問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明は、押出ラミネート加工に際しての接着性に優れ、しかも耐ブロッキング性に優れているとの特性を有する易接着性フィルム、およびこのフィルムを用いたラミネートフィルムを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリエチレンイミンにシランカップリング剤を配合し、これをフィルム基材に塗布して塗膜を形成することにより前記課題が解決できることを知り、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、ポリエチレンイミンとシランカップリング剤とを含む塗布液をフィルム基材の少なくとも片面に塗布して塗膜を形成してなる、耐ブロッキング性に優れた易接着性フィルムである。
【0010】
シランカップリング剤をポリエチレンイミンと組み合わせ使用することにより塗膜の耐ブロッキング性が改善される理由については未だ明らかではないが、シランカップリング剤がポリエチレンイミンと一部反応することにより、ポリエチレンイミンの接着促進剤としての機能を損なうことなく、ポリエチレンイミンの吸湿性が低減されるものと考えられている。なお、本発明はこのような理論的考察により制約を受けるものではない。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるポリエチレンイミンについては特に制限はなく、一般に知られているポリエチレンイミンであればいずれも使用することができる。例えば、エチレンイミンを原料として、これを重合させて得られる1級アミン、2級アミンおよび3級アミンを含む分岐型ポリエチレンイミンであっても、あるいはアルキルオキサゾリンを原料とし、これを重合させて得られる1級アミンと2級アミンのみを含む直鎖型ポリエチレンイミンであってもよい。ポリエチレンイミンの分子量は、通常、100〜1500000であり、好ましくは500〜1000000、より好ましくは1000〜100000である。
【0012】
具体的には、市販のポリエチレンイミン、例えば、エポミンSP−003、006、012、018、103、110、200、P−1000(いずれも(株)日本触媒の製品の商品名)を使用することができる。これらのなかでは、分子量の大きなエポミンP−1000が好適に用いられる。
【0013】
さらに、エポキシ化合物、アルキルチタネート化合物、ブタジエン化合物、ハロゲン化アルキル化合物、アルキルイソシアネート化合物、脂肪酸、アクリロイル化合物などで変性した変性ポリエチレンイミンも使用することができる。
【0014】
シランカップリング剤としては、一般式:YRSi(OX)3 またはYRSi(OX)2CH3 (式中、Yはポリエチレンイミンと反応し得る有機官能基であり、Rは炭素数2〜5のアルキレン基であり、Xはメチル基またはエチル基である。)で表されるシランカップリング剤が用いられる。
【0015】
上記ポリエチレンイミンと反応し得る有機官能基とは、具体的にはポリエチレンイミン中の1級アミン、2級アミンおよび3級アミンのいずれかと反応し得る官能基を意味し、例えば、エポキシ基、クロル基、アミノ基、ビニル基、メタクリル基およびメルカプト基を挙げることができる。なかでも、エポキシ基、クロル基およびメタクリル基が好ましい。
【0016】
上記炭素数2〜5のアルキレン基としてのエチレン基、プロピレン基、ブチレン基およびペンチレン基のなかでも、エチレン基およびプロピレン基が好ましい。
【0017】
本発明において好適に用いられるシランカップリング剤の代表例としては下記のシラン化合物を挙げることができる。
3−グリシドキシエチルトリメトキシシラン
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
3−グリシドキシエチルトリエトキシシシラン
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
3−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン
3−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン
3−クロロエチルトリメトキシシラン
3−クロロプロピルトリメトキシシラン
3−クロロエチルトリエトキシシシラン
3−クロロプロピルトリエトキシシラン
3−クロロエチルメチルジメトキシシラン
3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン
3−クロロプロピルエチルジメトキシシラン
3−メタクリルエチルトリメトキシシラン
3−メタクリルプロピルトリメトキシシラン
3−メタクリルエチルトリエトキシシシラン
3−メタクリルプロピルトリエトキシシラン
3−メタクリルエチルメチルジメトキシシラン
3−メタクリルプロピルメチルジメトキシシラン
3−メタクリルプロピルエチルジメトキシシラン
これらシランカップリング剤は単独でも、あるいは2種以上を混合して使用することもできる。
【0018】
シランカップリング剤の使用量については、通常、ポリエチレンイミン100質量部に対して1〜30質量部である。シランカップリング剤の使用量が少なすぎると耐ブロッキング性の改善が不十分となり、一方多すぎるとフィルム基材の易接着性が低下する。
【0019】
本発明で用いるフィルム基材については特に制限はなく、ラミネートフィルムの製造に一般に用いられているフィルム基材であればいずれでもよい。特に、ポリエチレンイミンを塗布したときにブロッキング性の問題が生じるフィルム基材、例えば、熱可塑性樹脂フィルムおよび金属箔が好適に用いられる。
【0020】
熱可塑性樹脂フィルムの代表例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミドなどのフィルムを挙げることができる。なかでも、ポリオレフィン樹脂フィルム、特に二軸延伸プロピレンフィルム(OPP)が好適に用いられる。
【0021】
金属箔の代表例としては、アルミニウム、錫、鉄、金などの箔が挙げることができる。なかでも、アルミニウム箔が好適に用いられる。
【0022】
熱可塑性樹脂フィルムの場合、塗膜の接着性を高めるために一般に行われているコロナ放電などの前処理を行ってもよく、また表面粗さを制御するために一般に用いられているシリカなどの微粒子を含有させてもよい。
【0023】
ポリエチレンイミンとシランカップリング剤とを含む塗布液は、両者を溶解し得る溶剤を用いることにより容易に調製することができる。ポリエチレンイミンとシランカップリング剤とを溶解し得る溶剤としては水やメタノール、エタノールなどの低級アルコールが知られており、本発明ではこれら溶剤が好適に用いられる。例えば、ポリエチレンイミンとシランカップリング剤とに水を添加し、常温で十分に攪拌、混合することにより所定濃度の塗布液を調製することができる。塗布液の濃度は通常0.01〜10質量%であり、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.3〜1.5質量%である。なお、ポリエチレンイミン溶液にシランカップリング剤を添加して塗布液を調製する場合には、シランカップリング剤を一気に加えると凝集するおそれがあるので、ゆっくりと攪拌しながら添加するのがよい。
【0024】
ポリエチレンイミンとシランカップリング剤とを含む塗布液をフィルム基材の片面または両面に塗布して塗膜を形成するには、フィルム基材に接着促進剤を塗布して易接着性フィルムを製造するのに一般に用いられている方法に従って行うことができる。例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティングなどのロールコーティング法、エキストルージョン法などの公知の方法から適宜採用することができる。
【0025】
上記塗布液は、通常、フィルム基材に塗布した後、70〜110℃程度の温度で2〜10分程度の時間をかけて乾燥させる。
【0026】
上記塗布液のフィルム基材への塗布量については、乾燥後のポリエチレンイミンとシランカップリング剤との塗布量(固形分)が0.001〜1g/m2、好ましくは0.01〜0.2g/m2となるように決定すればよい。
なお、上記塗布液には、塗膜の易接着性および耐ブロッキング性を損なわない範囲において、一般にアンチブロッキング剤として知られている、シリカ、タルク、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、クレー、カオリンなどの無機微粒子、コロイダルシリカ、界面活性などを配合してもよい。
【0027】
本発明のラミネートフィルムは、易接着性フィルムとして、上記のようにポリエチレンイミンとシランカップリング剤とを含む塗布液をフィルム基材の片面または両面に塗布して塗膜を形成して得られる易接着性フィルムを用いる点を除けば、ラミネートフィルムの製造に一般に用いられている方法に従って製造することができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の易接着性フィルムは耐ブロッキング性に優れ、ラミネートフィルムの製造に好適に用いられる。
【0029】
また、本発明の耐ブロッキング性に優れた易接着性フィルムは複数の塗膜を形成することなく、単一の塗膜を形成することにより製造できるので、従来の製造装置を特段の改良もなくそのまま使用でき、さらに複数の塗膜を形成する易接着性フィルムに比べて製造コストを低減させることができる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
実施例1
ポリエチレンイミン(商品名エポミンP−1000((株)日本触媒製)、分子量約70000)100部およびシランカップリング剤(商品名サイラエースS−510(チッソ(株)製)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)5部に水を加えて1%水溶液を調製し、常温で攪拌、混合した。この配合液を、乾燥後の塗布量が10g/m2となるように、コロナ放電処理したOPPフィルムにバーコーターで塗布した後、100℃で5分間乾燥させて評価用サンプル(1)を得た。
実施例2
実施例1において、シランカップリング剤の使用量を5部から10部に変更した以外は実施例1と同様にして評価用サンプル(2)を得た。
比較例1
実施例1において、シランカップリング剤を使用しなかった以外は実施例1と同様にして評価用サンプル(3)を得た。
比較例2
実施例1において、シランカップリング剤に替えてジエポキシ化合物(商品名デナコールEX−810(ナガセ化成(株)製)、エチレングリコールジグリシジルエーテル)10部を用いた以外は実施例1と同様にして評価用サンプル(4)を得た。
【0031】
上記の評価用サンプル(1)〜(4)について下記方法により耐ブロッキング性を評価した。
<耐ブロッキング性評価方法>
易接着性フィルムのブロッキングは接着促進剤の塗膜のベタツキによるので、塗膜のベタツキを評価することにより、易接着性フィルムのブロッキングの有無を判断した。なお、ブロッキング性の差をより明確にするために、評価用サンプルの塗膜を10μmと厚くして評価を行った。
【0032】
塗膜のベタツキは、評価用サンプルを温度25±1℃、湿度60±5%の恒温恒湿室に1時間静置した後、取り出して直ちに塗膜の表面を指先で触れて、指先が汚れるかどうかで判断した(なお、この指触判定はJIS K−5400 6「塗料の塗膜形成機能に関する試験方法」の6.5の(5)評価の(a)指触乾燥に準じるものである。)。
○:指先が汚れない(ベタツキがない)。
×:指先が汚れる(ベタツキがある)。
【0033】
結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐ブロッキング性に優れた易接着性フィルムおよびこのフィルムを用いて得られるラミネートフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロン、ポリエステルなどのフィルム基材に、例えば、ポリエチレンを加熱溶融し、フィルム状に押出し、接着させて得られるラミネートフィルムは包装材料などとして広く用いられている。このような押出ラミネート加工の目的は2種類以上のフィルムを一体化して、それぞれの特性を補足付与した新たな材料を製造することにある。
【0003】
押出ラミネート加工においては、一体化するフィルム間の接着性が最も重要な特性であり、これらフィルム間の接着性を向上させるために、フィルム基材に接着促進剤(アンカー・コート(AC)剤とも呼ばれる。)を塗布する。そして、このように接着促進剤を塗布したフィルム基材は一旦ロール状に巻き取り、その後、別の場所で巻き戻しながら押出ラミネート加工を行うことが一般に行われている。
【0004】
上記接着促進剤としては種々のものが知られており、その一つとしてポリエチレンイミンが用いられている。しかし、ポリエチレンイミンの塗膜は耐ブロッキング性が悪く、ポリエチレンイミンをフィルム基材に塗布し、乾燥したものを一旦ロール状に巻き取る場合、フィルム基材同士が貼付く(ブロッキングする)という問題が生じる。なお、ポリエチレンイミン塗膜の耐ブロッキング性が悪いのは経時中に空気中の水分を吸収してべたつきやすくなるためと一般に考えられている。
【0005】
上記のような接着促進剤としてポリエチレンイミンを用いる場合の問題を解決するために、ポリエチレンイミンにエポキシ化合物を加え、架橋させて塗膜を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、フィルム基材に先ずシランカップリング剤の硬化薄膜を形成し、その上にポリエチレンイミンを塗布することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】
特開平4−18426号公報
【特許文献2】
特開平5−200959号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平4−18426号公報記載の方法に従って得られる易接着性フィルムは、後記の比較例により示されるように、耐ブロッキング性の改善が不十分であり、実用的ではない。また、特開平5−200959号公報記載の方法の場合、シランカップリング剤とポリエチレンイミンとの2つの層を設ける必要があるため、製造工程が増加し、そのため製造コストが増加するなどの問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明は、押出ラミネート加工に際しての接着性に優れ、しかも耐ブロッキング性に優れているとの特性を有する易接着性フィルム、およびこのフィルムを用いたラミネートフィルムを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリエチレンイミンにシランカップリング剤を配合し、これをフィルム基材に塗布して塗膜を形成することにより前記課題が解決できることを知り、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、ポリエチレンイミンとシランカップリング剤とを含む塗布液をフィルム基材の少なくとも片面に塗布して塗膜を形成してなる、耐ブロッキング性に優れた易接着性フィルムである。
【0010】
シランカップリング剤をポリエチレンイミンと組み合わせ使用することにより塗膜の耐ブロッキング性が改善される理由については未だ明らかではないが、シランカップリング剤がポリエチレンイミンと一部反応することにより、ポリエチレンイミンの接着促進剤としての機能を損なうことなく、ポリエチレンイミンの吸湿性が低減されるものと考えられている。なお、本発明はこのような理論的考察により制約を受けるものではない。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるポリエチレンイミンについては特に制限はなく、一般に知られているポリエチレンイミンであればいずれも使用することができる。例えば、エチレンイミンを原料として、これを重合させて得られる1級アミン、2級アミンおよび3級アミンを含む分岐型ポリエチレンイミンであっても、あるいはアルキルオキサゾリンを原料とし、これを重合させて得られる1級アミンと2級アミンのみを含む直鎖型ポリエチレンイミンであってもよい。ポリエチレンイミンの分子量は、通常、100〜1500000であり、好ましくは500〜1000000、より好ましくは1000〜100000である。
【0012】
具体的には、市販のポリエチレンイミン、例えば、エポミンSP−003、006、012、018、103、110、200、P−1000(いずれも(株)日本触媒の製品の商品名)を使用することができる。これらのなかでは、分子量の大きなエポミンP−1000が好適に用いられる。
【0013】
さらに、エポキシ化合物、アルキルチタネート化合物、ブタジエン化合物、ハロゲン化アルキル化合物、アルキルイソシアネート化合物、脂肪酸、アクリロイル化合物などで変性した変性ポリエチレンイミンも使用することができる。
【0014】
シランカップリング剤としては、一般式:YRSi(OX)3 またはYRSi(OX)2CH3 (式中、Yはポリエチレンイミンと反応し得る有機官能基であり、Rは炭素数2〜5のアルキレン基であり、Xはメチル基またはエチル基である。)で表されるシランカップリング剤が用いられる。
【0015】
上記ポリエチレンイミンと反応し得る有機官能基とは、具体的にはポリエチレンイミン中の1級アミン、2級アミンおよび3級アミンのいずれかと反応し得る官能基を意味し、例えば、エポキシ基、クロル基、アミノ基、ビニル基、メタクリル基およびメルカプト基を挙げることができる。なかでも、エポキシ基、クロル基およびメタクリル基が好ましい。
【0016】
上記炭素数2〜5のアルキレン基としてのエチレン基、プロピレン基、ブチレン基およびペンチレン基のなかでも、エチレン基およびプロピレン基が好ましい。
【0017】
本発明において好適に用いられるシランカップリング剤の代表例としては下記のシラン化合物を挙げることができる。
3−グリシドキシエチルトリメトキシシラン
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
3−グリシドキシエチルトリエトキシシシラン
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
3−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン
3−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン
3−クロロエチルトリメトキシシラン
3−クロロプロピルトリメトキシシラン
3−クロロエチルトリエトキシシシラン
3−クロロプロピルトリエトキシシラン
3−クロロエチルメチルジメトキシシラン
3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン
3−クロロプロピルエチルジメトキシシラン
3−メタクリルエチルトリメトキシシラン
3−メタクリルプロピルトリメトキシシラン
3−メタクリルエチルトリエトキシシシラン
3−メタクリルプロピルトリエトキシシラン
3−メタクリルエチルメチルジメトキシシラン
3−メタクリルプロピルメチルジメトキシシラン
3−メタクリルプロピルエチルジメトキシシラン
これらシランカップリング剤は単独でも、あるいは2種以上を混合して使用することもできる。
【0018】
シランカップリング剤の使用量については、通常、ポリエチレンイミン100質量部に対して1〜30質量部である。シランカップリング剤の使用量が少なすぎると耐ブロッキング性の改善が不十分となり、一方多すぎるとフィルム基材の易接着性が低下する。
【0019】
本発明で用いるフィルム基材については特に制限はなく、ラミネートフィルムの製造に一般に用いられているフィルム基材であればいずれでもよい。特に、ポリエチレンイミンを塗布したときにブロッキング性の問題が生じるフィルム基材、例えば、熱可塑性樹脂フィルムおよび金属箔が好適に用いられる。
【0020】
熱可塑性樹脂フィルムの代表例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミドなどのフィルムを挙げることができる。なかでも、ポリオレフィン樹脂フィルム、特に二軸延伸プロピレンフィルム(OPP)が好適に用いられる。
【0021】
金属箔の代表例としては、アルミニウム、錫、鉄、金などの箔が挙げることができる。なかでも、アルミニウム箔が好適に用いられる。
【0022】
熱可塑性樹脂フィルムの場合、塗膜の接着性を高めるために一般に行われているコロナ放電などの前処理を行ってもよく、また表面粗さを制御するために一般に用いられているシリカなどの微粒子を含有させてもよい。
【0023】
ポリエチレンイミンとシランカップリング剤とを含む塗布液は、両者を溶解し得る溶剤を用いることにより容易に調製することができる。ポリエチレンイミンとシランカップリング剤とを溶解し得る溶剤としては水やメタノール、エタノールなどの低級アルコールが知られており、本発明ではこれら溶剤が好適に用いられる。例えば、ポリエチレンイミンとシランカップリング剤とに水を添加し、常温で十分に攪拌、混合することにより所定濃度の塗布液を調製することができる。塗布液の濃度は通常0.01〜10質量%であり、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.3〜1.5質量%である。なお、ポリエチレンイミン溶液にシランカップリング剤を添加して塗布液を調製する場合には、シランカップリング剤を一気に加えると凝集するおそれがあるので、ゆっくりと攪拌しながら添加するのがよい。
【0024】
ポリエチレンイミンとシランカップリング剤とを含む塗布液をフィルム基材の片面または両面に塗布して塗膜を形成するには、フィルム基材に接着促進剤を塗布して易接着性フィルムを製造するのに一般に用いられている方法に従って行うことができる。例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティングなどのロールコーティング法、エキストルージョン法などの公知の方法から適宜採用することができる。
【0025】
上記塗布液は、通常、フィルム基材に塗布した後、70〜110℃程度の温度で2〜10分程度の時間をかけて乾燥させる。
【0026】
上記塗布液のフィルム基材への塗布量については、乾燥後のポリエチレンイミンとシランカップリング剤との塗布量(固形分)が0.001〜1g/m2、好ましくは0.01〜0.2g/m2となるように決定すればよい。
なお、上記塗布液には、塗膜の易接着性および耐ブロッキング性を損なわない範囲において、一般にアンチブロッキング剤として知られている、シリカ、タルク、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、クレー、カオリンなどの無機微粒子、コロイダルシリカ、界面活性などを配合してもよい。
【0027】
本発明のラミネートフィルムは、易接着性フィルムとして、上記のようにポリエチレンイミンとシランカップリング剤とを含む塗布液をフィルム基材の片面または両面に塗布して塗膜を形成して得られる易接着性フィルムを用いる点を除けば、ラミネートフィルムの製造に一般に用いられている方法に従って製造することができる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の易接着性フィルムは耐ブロッキング性に優れ、ラミネートフィルムの製造に好適に用いられる。
【0029】
また、本発明の耐ブロッキング性に優れた易接着性フィルムは複数の塗膜を形成することなく、単一の塗膜を形成することにより製造できるので、従来の製造装置を特段の改良もなくそのまま使用でき、さらに複数の塗膜を形成する易接着性フィルムに比べて製造コストを低減させることができる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
実施例1
ポリエチレンイミン(商品名エポミンP−1000((株)日本触媒製)、分子量約70000)100部およびシランカップリング剤(商品名サイラエースS−510(チッソ(株)製)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)5部に水を加えて1%水溶液を調製し、常温で攪拌、混合した。この配合液を、乾燥後の塗布量が10g/m2となるように、コロナ放電処理したOPPフィルムにバーコーターで塗布した後、100℃で5分間乾燥させて評価用サンプル(1)を得た。
実施例2
実施例1において、シランカップリング剤の使用量を5部から10部に変更した以外は実施例1と同様にして評価用サンプル(2)を得た。
比較例1
実施例1において、シランカップリング剤を使用しなかった以外は実施例1と同様にして評価用サンプル(3)を得た。
比較例2
実施例1において、シランカップリング剤に替えてジエポキシ化合物(商品名デナコールEX−810(ナガセ化成(株)製)、エチレングリコールジグリシジルエーテル)10部を用いた以外は実施例1と同様にして評価用サンプル(4)を得た。
【0031】
上記の評価用サンプル(1)〜(4)について下記方法により耐ブロッキング性を評価した。
<耐ブロッキング性評価方法>
易接着性フィルムのブロッキングは接着促進剤の塗膜のベタツキによるので、塗膜のベタツキを評価することにより、易接着性フィルムのブロッキングの有無を判断した。なお、ブロッキング性の差をより明確にするために、評価用サンプルの塗膜を10μmと厚くして評価を行った。
【0032】
塗膜のベタツキは、評価用サンプルを温度25±1℃、湿度60±5%の恒温恒湿室に1時間静置した後、取り出して直ちに塗膜の表面を指先で触れて、指先が汚れるかどうかで判断した(なお、この指触判定はJIS K−5400 6「塗料の塗膜形成機能に関する試験方法」の6.5の(5)評価の(a)指触乾燥に準じるものである。)。
○:指先が汚れない(ベタツキがない)。
×:指先が汚れる(ベタツキがある)。
【0033】
結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
Claims (4)
- ポリエチレンイミンとシランカップリング剤とを含む塗布液をフィルム基材の少なくとも片面に塗布して塗膜を形成してなる、耐ブロッキング性に優れた易接着性フィルム。
- シランカップリング剤が一般式:YRSi(OX)3 またはYRSi(OX)2CH3 (式中、Yはポリエチレンイミンと反応し得る有機官能基であり、Rは炭素数2〜5のアルキレン基であり、Xはメチル基またはエチル基である。)で表されるものである請求1記載の耐ブロッキング性に優れた易接着性フィルム。
- シランカップリング剤の配合量がポリエチレンイミン100質量部に対し1〜30質量部である、請求項1記載の耐ブロッキング性に優れた易接着性フィルム。
- 請求項1の耐ブロッキング性に優れた易接着性フィルムを用いて得られるラミネートフィルム。
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2002
- 2002-10-02 JP JP2002289638A patent/JP2004123895A/ja active Pending
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