JP2008143170A - ガスバリア性フィルム、包装材料、及び包装体 - Google Patents

ガスバリア性フィルム、包装材料、及び包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリアミド樹脂からなる基材フィルムに対する無機酸化物層の密着性を高める。
【解決手段】本発明の透明ガスバリア性フィルム11は、ポリアミド樹脂からなる基材フィルム111と、前記基材フィルム111の一方の主面上に形成され、窒素原子とアジピン酸とビスフェノールグリシジルエーテルとを含み、リアクティブイオンエッチングによる表面処理が施された易接着層112と、前記易接着層112上に気相堆積法によって形成された無機酸化物層113とを具備したことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性フィルム、包装材料、及び包装体に係り、特には、透明ガスバリア性フィルム、透明包装材料、及びこの透明包装材料を用いた包装体に関する。
食品、医薬品及び精密電子部品の包装には、ガスバリア性に優れた包装材料を使用することがある。例えば、高ガスバリア性包装材料で食品を包装した場合には、食品が含む油脂の酸化、その水分含量の変化、及び香味成分の散逸などを防止できる。また、高ガスバリア性包装材料で医薬品を包装した場合には、有効成分の変質及び散逸などを防止でき、高ガスバリア性包装材料で電子部品を包装した場合には、金属の腐食及び絶縁不良等を防止できる。
高ガスバリア性包装材料は、ガスバリア層を含んだ多層構造を有している。このガスバリア層としては、例えば、アルミニウム箔などの金属箔、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)層、エチレン−ビニルアルコール共重合体けん化物(EVOH)層、及びメタキシレンジアミンとアジピン酸との重縮合反応により得られるポリアミドであるナイロンMXD6からなる層が使用されている。これら高ガスバリア性包装材料は、比較的高いガスバリア性を示すものの、何らかの欠点を有している。
例えば、金属箔を含んだ高ガスバリア性包装材料は、温度及び湿度などの環境の如何に拘らず、優れたガスバリア性を示す。しかしながら、この包装材料を用いて形成した包装体には、内容物を視認できない、廃棄の際に不燃物として扱わなければならない、内容物を入れた後の異物検査に金属探知機を使用できないなどの欠点がある。また、この包装体で内容物を包装してなる包装品は、マイクロ波加熱には不向きである。
PVDC層を含んだ高ガスバリア性包装材料は、安価であり、比較的高いガスバリア性を有している。しかしながら、この包装材料は、焼却した際に有害ガスを発生する可能性がある。
EVOH層又はナイロンMXD6層を含んだ高ガスバリア性包装材料は、そのガスバリア性の環境依存度が大きい。特に、高温高湿度環境では、ガスバリア性が著しく劣化する。
特許文献1及び2には、真空蒸着やスパッタリングなどの気相堆積法により、プラスチック基材フィルム上に、酸化珪素、酸化アルミニウム、又は酸化マグネシウムからなる無機酸化物層を形成してなるガスバリア性フィルムが記載されている。このガスバリア性フィルムは、透明に形成することができると共に、ガスバリア性に優れている。したがって、このガスバリア性フィルムは、高ガスバリア性包装材料として適している。
ところで、このガスバリア性フィルムは、単独で使用されることは殆どない。通常、このガスバリア性フィルムには、他のフィルムをラミネートするか、又は、印刷層を形成する。例えば、ガスバリア性フィルムとヒートシール性樹脂層とを、プラスチック基材フィルムとヒートシール性樹脂層との間に無機酸化物層が介在するようにラミネートすることがある。本発明者は、本発明を為すに際し、例えば、このような構造を採用した包装材料は、以下の問題を生じ得ることを見出している。
例えば、この包装材料からなる包装体で食品などの内容物を包装し、これにより得られる包装品を煮沸滅菌処理に供すると、水蒸気等の浸透に起因して、包装材料の一部でデラミネーションが発生することがある。この場合、見栄えが悪くなるのに加え、デラミネーションを生じた部分でガスバリア性が低下して、内容物が早期に劣化する。
また、この包装材料からなる包装体で精密電子部品を包装し、これにより得られる包装品を高温多湿環境中に長時間放置すると、外部環境からの水蒸気等の浸透に起因して、プラスチック基材フィルムとヒートシール性樹脂層との密着性が大幅に低下することがある。
また、この包装材料からなる包装体に香味成分を含有した内容物を収容し、これにより得られる包装品を保存試験に供すると、香味成分の浸透に起因して、プラスチック基材フィルムとヒートシール性樹脂層との密着性が大幅に低下することがある。
このような問題に対し、特許文献3には、プラスチック基材フィルムの表面をプラズマ処理することが記載されている。この処理を行うと、基材フィルムに対する無機酸化物層の密着性を高めることができる。
しかしながら、プラスチック基材フィルムがポリアミド樹脂フィルムである場合、ポリアミド樹脂は水との親和性が高いため、基材フィルムに対する無機酸化物層の密着性は、例えば高湿度環境中で著しく劣化する。それゆえ、密着性を高めるべく自己バイアスを高めてプラズマ処理を行うことが考えられるが、インライン式の製造設備にプラズマ処理装置を組み入れる場合、このプラズマ処理装置で高い自己バイアスを得ることはできない。また、高い自己バイアスを得るべく直流放電方式を採用し且つ自己バイアスを高めると、放電がグロー放電からアーク放電へと変化し、それゆえ、幅広の基材フィルムに均一な処理を行うことはできない。
本発明者は、特許文献4に記載されているように、プラズマ処理としてリアクティブイオンエッチング(RIE)を利用すると、基材フィルムに対する無機酸化物層の密着性を大幅に高めることができる。但し、この方法で製造したガスバリア性フィルムであっても、液体を含有した内容物を長期保存するための包装材料に使用した場合に、基材フィルムに対する無機酸化物層の密着性に関して改善の余地がある。
米国特許第3442686号明細書 特開昭49−041469号公報 特開2001−138430号公報 特開2006−187966号公報
本発明の目的は、ポリアミド樹脂からなる基材フィルムに対する無機酸化物層の密着性を高めることにある。
本発明の第1側面によると、ポリアミド樹脂からなる基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の主面上に形成され、窒素原子とアジピン酸とビスフェノールグリシジルエーテルとを含み、リアクティブイオンエッチングによる表面処理が施された易接着層と、前記易接着層上に気相堆積法によって形成された無機酸化物層とを具備したことを特徴とする透明ガスバリア性フィルムが提供される。
本発明の第2側面によると、第1側面に係るガスバリア性フィルムと、前記ガスバリア性フィルムに貼り合わされると共に前記無機酸化物層を間に挟んで前記基材フィルムと向き合ったヒートシール性樹脂層とを具備したことを特徴とする透明包装材料が提供される。
本発明の第3側面によると、第2側面に係る包装材料を具備したことを特徴とする包装体が提供される。
本発明によると、ポリアミド樹脂からなる基材フィルムに対する無機酸化物層の密着性を高めることができる。
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一態様に係る透明包装材料を概略的に示す断面図である。
この透明包装材料10は、透明ガスバリア性フィルム11と、接着剤層12と、ヒートシール性樹脂層13とを含んでいる。
透明ガスバリア性フィルム11は、基材フィルム111と、易接着層112と、無機酸化物層113と、ガスバリア性被膜114とを含んでいる。なお、用語「フィルム」と用語「シート」とは厚さに応じて使い分けることがあるが、ここでは、厚さの大小とは無関係に用語「フィルム」を使用している。
基材フィルム111は、ポリアミド樹脂からなる透明フィルムである。ポリアミドとしては、ホモポリアミド、コポリアミド、又はそれらの混合物を使用することができる。
ホモポリアミドとしては、例えば、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリ−ω―アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4,6)、ポリヘキサメチレンジアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6,10)、ポリへキサメチレンデカミド(ナイロン6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン10,6)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン10,10)、ポリデカメチレンドデカミド(ナイロン12,12)、又はメタキシレンジアミン−6ナイロン(MXD6)を使用することができる。
コポリアミドとしては、例えば、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体、ラウリンラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体、ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/へキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体、又はカプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体を使用することができる。
基材フィルム111は、ポリアミド以外の材料をさらに含んでいてもよい。例えば、基材フィルム111は、可塑剤、低弾性率のエラストマー、ラクタム類、又はそれらの混合物をさらに含んでいてもよい。
可塑剤としては、例えば、芳香族スルホンアミド類、p−ヒドロキシ安息香酸、又はエステル類の可塑剤を使用することができる。低弾性率のエラストマーとしては、例えば、アイオノマー樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、ポリエステルブロックアミド、ポリエーテルエステルアミド系エラストマー、変性アクリルゴム、又は変性エチレンプロピレンゴムを使用することができる。
基材フィルム111の厚さに制限はないが、基材フィルム111は、基材として十分な強度を達成し得る厚さを有している必要がある。また、基材フィルム111が厚い場合、透明包装材料10又は透明ガスバリア性フィルム11の柔軟性が不十分となることがある。基材フィルム111の厚さは、例えば10μm乃至100μmの範囲内とする。
易接着層112は、基材フィルム111の一方の主面上に形成された透明層である。易接着層112は、無機酸化物層113と基材フィルム111との密着性を向上させる。そして、易接着層112は、透明包装材料10を用いて液体を含有した内容物を長期保存した場合に、基材フィルム111に対する無機酸化物層113の密着性が低下するのを抑制する。
易接着層112の飛行時間型2次イオン質量分析計(TOF−SIMS)による正及び負の2次イオン質量スペクトル分析を行ったときに、その分析結果は、窒素原子含有成分とアジピン酸成分とビスフェノールグリシジルエーテル成分との存在を示す。例えば、この易接着層112のTOF−SIMSによる正及び負の2次イオン質量スペクトルを行なったときに、窒素原子含有成分由来のピークとしてCNO-のピークと、アジピン酸成分由来のピーク群としてC672 -及びC693 -のピークと、ビスフェノールグリシジルエーテル成分由来のピーク群としてC911+、C14132 +及びC14112 -のピークとが検出される
さらに詳しくは、易接着層112は、窒素原子とアジピン酸とビスフェノールグリシジルエーテルとを含んでいる。窒素原子は、例えば、ウレタン基及び/又はアミド基に由来している。
易接着層112の材料は、例えば、アジピン酸をポリエステルの二塩基酸として含んだ水分散性ポリエステルポリウレタン、そのプレポリマー、アジピン酸をポリエステルの二塩基酸として含んだ水分散性ポリエステルポリウレタンポリ尿素樹脂、そのプレポリマー、又は、それらの2以上を含んだ混合物を主成分として含有している。密着性を向上させるために、これらポリマーの主鎖又は末端に、水酸基、カルボキシ基、又はアミノ基を導入してもよい。
易接着層112の材料は、ビスフェノールグリシジルエーテルをさらに含有している。ビスフェノールグリシジルエーテルは、先の主成分の硬化を促進する硬化剤である。ビスフェノールグリシジルエーテルを使用することにより架橋を生じさせ、これにより、耐水性、耐熱性、接着性及び被膜凝集性に優れた易接着層112が得られる。
ビスフェノールグリシジルエーテルとしては、例えば、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンとを反応させ、その反応性生物の分子末端をエポキシ化させたものを使用することができる。ビスフェノール類としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシ−フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−ジフェニル)−エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−ジフェニル)−エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−n−ブタン、又はビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシル−メタンを使用することができる。これらの中でも、一般に「ビスフェノールA」と呼ばれている2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン又は一般に「ビスフェノールF」と呼ばれている4,4’−ジヒドロキシ−フェニルメタンが好適である。
易接着層112は、例えば、基材フィルム111上に、上述した成分を含有したコーティング液を塗布し、この塗膜を乾燥させることにより得られる。なお、このコーティング液は、上述した成分に加え、添加剤をさらに含有していてもよい。この添加剤としては、例えば、帯電防止剤、滑剤、消泡剤、界面活性剤を使用することができる。また、コーティング液の塗布には、例えば、グラビアロール法、リバースグラビアコート法、ロールコート法、エアーナイフ法、マイヤーバーコート法、又はインバースロール法を利用することができる。
コーティング液の塗布に先立ち、例えば濡れ性及び/又は密着性を改善するために、基材フィルム111の被塗布面に前処理を施しておいてもよい。この前処理としては、例えば、コロナ放電処理又はプラズマ処理を挙げることができる。
基材フィルム111を延伸する場合、易接着層112を形成するためのコーティング液は、延伸した基材フィルム111にしてもよく、基材フィルム111の延伸中にこれに塗布してもよい。後者の方法は、前者の方法と比較して、生産性が高く、効率的である。また、後者の方法は、この延伸成膜工程において易接着層112が高温で熱処理されるため、前者の方法と比較して、基材フィルム111と易接着層112との密着力を強くすることができる。
延伸成膜工程中に易接着層112を形成する方法としては、例えば、以下の方法を挙げることができる。まず、ポリアミド系樹脂を押出機で加熱溶融してフィルム状に押出し、未延伸のポリアミド系樹脂フィルムを基材フィルム111として形成する。次いで、易接着層112を形成するためのコーティング液を基材フィルム111に塗布し、これを予熱後、塗膜と共に基材フィルム111を同時二軸延伸処理に供する。さらに、ヒートセット処理を行うことにより、基材フィルム111上に形成された易接着層112を得る。
延伸成膜工程中に易接着層112を形成する他の方法としては、例えば、逐次二軸延伸法を挙げることができる。この方法では、まず、ポリアミド系樹脂を押出機で加熱溶融してフィルム状に押出し、未延伸のポリアミド系樹脂フィルムを基材フィルム111として形成する。次いで、基材フィルム111を周速度が異なる加熱ローラ間に通して縦延伸を行う。続いて、易接着層112を形成するためのコーティング液を縦延伸した基材フィルム111上に塗布し、塗膜を乾燥及び予熱し、その後、塗膜と共に基材フィルム111を横延伸処理に供する。さらに、ヒートセット処理を行うことにより、基材フィルム111上に形成された易接着層112を得る。
易接着層112の厚さは、例えば、0.01μm乃至0.2μmの範囲内とする。薄い易接着層112を厚さが均一な連続膜として形成することは難しく、十分な密着性を得難い。また、易接着層112を或る程度厚くすると、その膜厚の増加に伴う密着性向上の効果が小さくなる。それゆえ、過剰に厚い易接着層112は、経済的ではない。
易接着層112には、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による表面処理を施す。このRIE処理を行うと、易接着層112の表面は、ラジカルやイオンでエッチングされる。これにより、易接着層112の表面から不純物等を飛散させると共に、易接着層112の表面を平滑化することができる。
この表面処理を行った場合、この表面処理を行わない場合と比較して、より緻密であり且つ易接着層112との密着性に優れた無機酸化物層113を形成することができる。それゆえ、より高いガスバリア性を実現できると共に、無機酸化物層113のクラックなどに起因したガスバリア性の低下を生じ難くすることができる。
図2は、巻き取り式のインライン装置でRIE処理を行う方法の一例を概略的に示す図である。図3は、巻き取り式のインライン装置でプラズマ処理を行う方法の一例を概略的に示す図である。
図2及び図3では、基材フィルム111と易接着層112との積層体110は、ガイドロール又は冷却ドラム51に巻き掛けられている。図2では、ガイドロール又は冷却ドラム51内に陰極(カソード)52を設置するか又はそれ自体を陰極としている。図3では、ガイドロール又は冷却ドラム51の外面と向き合うように陰極52を設置している。なお、図2及び図3において、53は陽イオンを示している。
図2に示すプレーナ型の構成を採用した場合、大きな自己バイアスでRIE処理を行うことができる。これに対し、図3に示す構成を採用した場合、大きな自己バイアスを得ることは難しく、ラジカルを積層体110の表面に作用させて化学反応を生じさせるだけの、所謂プラズマエッチングしか行うことができない。そのため、この場合、易接着層112との密着性に優れた無機酸化物層113を形成することはできない。
RIE処理に使用するガス種としては、例えば、アルゴン、酸素、水素、亜酸化窒素、及びヘリウムを挙げることができる。これらのガスは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また、複数の処理機を用いて、連続処理を行ってもよい。
このRIE処理では、先の自己バイアスは、例えば、200V乃至2000Vの範囲内とする。自己バイアスが小さい場合、RIE処理による密着性向上の効果が小さい。自己バイアスが過剰に大きいと、易接着層112を構成している樹脂が劣化し、密着性が低下する原因となる。
なお、このRIE処理を施した易接着層112の水接触角は、通常、55°乃至65°の範囲内にある。この水接触角は、RIE処理前の易接着層112の水接触角から大きくは変化していないことを意味している。一般的なプラズマ処理を行った場合、処理面は酸化によって親水化するため、易接着層112の水接触角は、先の範囲よりも小さな値となる。RIE処理によると、処理前後で易接着層112の水接触角に大きな変化を生じないため、易接着層112と無機酸化物層113との界面に水を呼び込み難い。それゆえ、優れた湿潤強度を長期に亘って維持することが可能となる。
このRIE処理は、次の蒸着工程の前処理として、バッチ式蒸着機内にてインラインで行うことができる。これにより、RIE処理の代わりにアンカー(プライマー)コート処理を行う場合と比較して、製造工程を簡略化することができる。それゆえ、生産性が向上し、安価で高品質な製品を得ることができる。
無機酸化物層113は、易接着層112上に気相堆積法によって形成されたガスバリア性透明層である。無機酸化物層113の材料としては、例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化マグネシウム、又はこれらの混合物を使用することができる。
無機酸化物層113の形成には、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、又はプラズマ化学気相堆積法を利用することができる。真空蒸着法を利用する場合、蒸発材料の加熱には、例えば、電子線加熱、抵抗加熱、又は誘導加熱を利用することができる。電子線加熱を利用した場合、蒸発材料の選択の自由度が大きい。蒸着にプラズマアシスト法又はイオンビームアシスト法を利用すると、より緻密な無機酸化物層113を形成することができる。また、蒸着の際に酸素などのガスを吹き込む反応蒸着を利用すると、透明性に優れた無機酸化物層113を形成することができる。
無機酸化物層113が薄い場合、無機酸化物層113を厚さが均一な連続膜として形成することは難しく、また、十分なガスバリア性が得られない。厚い無機酸化物層113は柔軟性が低く、透明ガスバリア性フィルム11を撓ませた場合や引っ張った場合に亀裂を生じる可能性がある。また、気相堆積法は、経済的観点で厚膜の形成には適していない。無機酸化物層113の厚さは、例えば5nm乃至500nmの範囲内とする。
ガスバリア性被膜114は、無機酸化物層113上に形成された透明層である。ガスバリア性被膜114は、透明樹脂と無機酸化物などの無機物とを含んだ混合物からなる。ガスバリア性被膜114は、省略することも可能であるが、ガスバリア性被膜114を設けると、より高いガスバリア性を有する透明包装材料10を得ることができる。
ガスバリア性被膜114は、例えば、無機酸化物層113上に、水溶性高分子と金属アルコキシド及び/又はその加水分解生成物と水とを含有したコーティング液を塗布し、この塗膜を加熱して乾燥させることにより得られる。なお、このコーティング液の溶媒としては、例えば、水又は水とアルコールとの混合液を使用することができる。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、又はそれらの混合物を使用することができる。特に、PVAを使用した場合、最もガスバリア性に優れたガスバリア性被膜114を形成することができる。なお、ここでいうPVAは、典型的には、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られるものである。このPVAとしては、アセチル基が数10%残存している部分けん化PVAからアセチル基が数%しか残存していない完全けん化PVAまで様々なけん化PVAを使用することができる。
金属アルコキシドは、一般式M(OR)nで表される化合物である。ここで、Mは、チタン、アルミニウム、及びジルコニウムなどの金属又は珪素を示し、Rは、CH3基及びC25基などのアルキル基を示している。また、nは、元素Mの価数を示している。
金属アルコキシドとしては、例えば、テトラエトキシシラン[Si(OC254]又はトリイソプロポキシアルミニウム[Al(OCH(CH323]を使用することができる。テトラエトキシシラン及びトリイソプロポキシアルミニウムの加水分解生成物は、水を含んだ溶液中で比較的安定に存在することができる。
金属アルコキシドとしてアルコキシシランを使用する場合、このアルコキシシランとしては、例えば、一般式Si(OR1)4又はR2Si(OR3)3で表される化合物或いはそれらの混合物を使用することができる。ここで、R1及びR3は、CH3基、C35基、及びC24OCH3基などの加水分解性基を示し、R2は、有機官能基を示している。
なお、金属アルコキシドを加水分解及び縮合させることにより得られる金属酸化物膜は、硬いため、外力や縮合時の体積縮小によるひずみに起因してクラックが生じ易い。それゆえ、クラックなどを生じることなく、この金属酸化物膜を均一な厚さに形成することは、非常に困難である。
これに対し、高分子と金属アルコキシド及び/又はその加水分解生成物と水とを含有したコーティング液を用いて形成した膜は、金属酸化物膜と比較して柔軟性が高いため、クラックを発生し難い。但し、この膜は、微視的には金属酸化物が均一に分散しておらず、高いガスバリア性が得られないことがある。
この高分子として水溶性高分子を使用した場合には、高分子の水酸基と金属アルコキシドの加水分解物の水酸基との強い水素結合を利用して、縮合の際に金属酸化物を高分子中に均一に分散させることができる。それゆえ、金属酸化物膜に近いガスバリア性を達成できる。したがって、このようなガスバリア性被膜114を無機酸化物層113上に形成すると、それらを単独で使用した場合と比較して、遥かに高いガスバリア性を達成できる。
上述した金属アルコキシド及び/又はその加水分解生成物と水酸基を有する水溶性樹脂と水とを含有したコーティング液を用いて得られるガスバリア性被膜114は、水素結合を形成しているため、苛酷な環境で使用した場合に、水の浸入により膨潤して、最終的には溶解を生じることがある。そのため、このガスバリア性被膜114は、無機酸化物層113とガスバリア性被膜114とを積層することにより高いガスバリア性を達成できたとしても、多湿環境などの苛酷な条件下では、密着性やガスバリア性が容易に劣化する可能性がある。
金属アルコキシドとして、例えば、一般式R2Si(OR3)3で示されるアルコキシシランを使用すると、水が浸入した場合でも膨潤し難い,すなわち、耐水性に優れた,ガスバリア性被膜114を得ることができる。特に、有機官能基R2が、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、ウレイド基、及びイソシアネート基などの非水溶性官能基である場合、より高い耐水性を達成できる。
有機官能基R2は、イソシアネート基が重合してなるイソシアヌレート基であってもよい。一般式R2Si(OR3)3で表されるアルコキシシランであって有機官能基R2としてイソシアヌレート基を有する化合物は、3−イソシアネートアルキルアルコキシシランが重合してヌレート体になったものであり、1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートである。1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、イソシアヌレート部に化学的反応性を有していないが、ヌレート部の極性に起因してあたかも化学的反応性を有しているかの如く振舞うことが知られている。1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、一般的には、イソシアネートアルキルアルコキシシランと同様に接着剤などに添加され、接着性向上剤として利用されている。それゆえ、1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートと一般式Si(OR1)4で表されるアルコキシシランと水酸基を有する水溶性高分子と水とを含有したコーティング液を使用することにより、水素結合に起因した膨潤を生じ難く、耐水性に優れたガスバリア性被膜114が得られる。
また、3−イソシアネートアルキルアルコキシシランは、反応性が高く、水溶液中での安定性が低い。他方、1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、ヌレート部は水溶性ではないが、その極性に起因して水系液中に分散し易く、液の粘度を安定に保つことができる。そして、1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、3−イソシアネートアルキルアルコキシシランと同等の耐水性を実現する。加えて、ヌレート部は耐水性に寄与するだけでなく、その極性に起因して、ガスバリア性被膜114にガスバリアの孔が生じるのを抑制する。
1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、3−イソシアネートアルキルアルコキシシランの熱縮合により製造することができる。1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、未反応の3−イソシアネートアルキルアルコキシシランを含有していてもよい。
1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートとして、例えば、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシシリルプロピル)イソシアヌレートなどの1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルプロピル)イソシアヌレートを使用してもよい。1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルプロピル)イソシアヌレートは、比較的安価に入手可能である。1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルプロピル)イソシアヌレートは、比較的安価に入手可能であるのに加え、加水分解速度が速い。
金属アルコキシドが一般式R2Si(OR3)3で表されるアルコキシシランであって有機官能基R2がビニル基又はメタクリロキシ基である場合、その製造過程で紫外線及び電子線などの電離放射線の照射が必要であるため、設備及び製造コストが高くなる傾向にある。有機官能基R2がウレイド基であるアルコキシシランは、特有の臭気がある。有機官能基R2がイソシアネート基であるアルコキシシランは、ポットライフが短く、他のアルコキシシランと比較してハンドリング性の観点で劣る。以上のような見地から、有機官能基R2がイソシアヌレート基であるアルコキシシランは、他のアルコキシシランと比較して優れている。
金属アルコキシドとして一般式Si(OR1)4で表されるアルコキシシランと一般式R2Si(OR3)3で表されるアルコキシシランとの混合物を使用する場合、これらアルコキシシランの比は、例えば、R2Si(OR3)3のR2Si(OH)3換算質量とSi(OR1)4のSiO2換算質量との和に対するR2Si(OR3)3のR2Si(OH)3換算質量の割合が1%乃至50%の範囲内となるように設定してもよい。この割合を小さくすると、耐水性が低くなる。また、この割合を大きくすると、有機官能基R2がガスバリアの孔となり、ガスバリア性が低下する。
一般式Si(OR1)4で表されるアルコキシシランと一般式R2Si(OR3)3で表されるアルコキシシランとの混合比は、先の割合が5質乃至30%の範囲内となるように設定してもよい。この場合、液体内容物又は水分含有内容物を多湿環境中で長期保存するのに十分な耐水性及びハイバリア性を達成できる。
Si(OR1)4のSiO2換算質量をM1とし、R2Si(OR3)3のR2Si(OH)3換算質量をM2とし、水溶性高分子の質量をM3とした場合、比M1/(M2/M3)は、例えば、100/100乃至100/30の範囲内に設定してもよい。この場合、長期保存や煮沸処理に十分なバリア性が得られるのに加え、柔軟性に優れたガスバリア性被膜114が得られる。それゆえ、柔軟性に優れた包装材料10を得るうえで有利である。
一般式Si(OR1)4で表されるアルコキシシランのうち、テトラエトキシシランは、加水分解生成物が水系溶媒中で比較的安定に存在し得る。したがって、これを使用した場合、製造条件の制御が比較的容易である。
金属アルコキシドとしてテトラエトキシシシランを使用し、水溶性高分子としてPVAを使用する場合、テトラエトキシシランのSiO2換算質量と水溶性高分子の質量との比は、例えば、100/10乃至100/100の範囲内とする。この比を大きくすると、ガスバリア性被膜114が硬くなり、ひび割れを生じ易くなる。また、この比を小さくすると、耐水性が低下する。
金属アルコキシドとして一般式Si(OR1)4で表されるアルコキシシランと一般式R2Si(OR3)3で表されるアルコキシシランとの混合物を使用する場合、これらアルコキシドと水溶性高分子とは、どのような順番で混合してもよい。例えば、一般式Si(OR1)4で表されるアルコキシシランと一般式R2Si(OR3)3で表されるアルコキシシランとを別々に加水分解し、その後、水溶性高分子を含んだ溶液中にこれらを添加してもよい。この方法は、シリコン酸化物の分散性や加水分解の効率の点で優れている。
ガスバリア性被膜114を形成するためのコーティング液には、ガスバリア性被膜114のインキ又は接着剤に対する濡れ性向上、ガスバリア性被膜114とインキ層又は接着剤層との密着性向上、ガスバリア性被膜114の収縮によるクラック発生の防止などを考慮して、添加剤を添加してもよい。この添加剤としては、例えば、イソシアネート化合物、コロイダルシリカ、スメクタイトなどの粘土鉱物、安定化剤、着色剤、レオロジー調整剤、及びそれらの混合物を使用することができる。
ガスバリア性被膜114が薄い場合、ガスバリア性被膜114を厚さが均一な連続膜として形成することは難しく、また、十分なガスバリア性が得られない。厚いガスバリア性被膜114は、亀裂を生じ易い。ガスバリア性被膜114の厚さは、例えば0.01μm乃至50μmの範囲内とする。
ガスバリア性被膜114を形成するためのコーティング液は、例えば、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、又はグラビアオフセット法により塗布することができる。このコーティング液を塗布してなる塗膜は、例えば、熱風乾燥法、熱ロール乾燥法、高周波照射法、赤外線照射法、紫外線照射法、又はそれらの組み合わせにより乾燥させることができる。
接着剤層12は、ガスバリア性被膜114を被覆した透明層である。接着剤層12の材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステルウレタン、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレンイミン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリブタジエン、ワックス、カゼイン、又はそれらの混合物を主成分として含有した、無溶剤型、溶剤型、水性型、又は熱溶融型接着剤を使用することができる。
この接着剤のガスバリア性被膜114上への塗布には、例えば、ダイレクトグラビアコート法、リバースグラビアコート法、キスコート法、ダイコート法、ロールコート法、ディップコート法、ナイフコート法、スプレーコート法、又はフォンテンコート法を利用することができる。接着剤は、例えば、乾燥状態で塗布量が0.1g/m2乃至8g/m2の範囲内となるように塗布する。
ヒートシール性樹脂層13は、接着剤層12を介して透明ガスバリア性フィルム11に貼り合わされた透明層である。ヒートシール性樹脂層13は、易接着層112と無機酸化物層113とガスバリア性被膜114と接着剤層12とを間に挟んで基材フィルム111と向き合っている。
ヒートシール性樹脂層13は、ヒートシール性を有している透明樹脂層である。ヒートシール性樹脂層13の材料としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、これらの金属架橋物、又はポリ乳酸樹脂などの生分解性樹脂を使用することができる。
ヒートシール性樹脂層13の厚さは、例えば、透明包装材料10の用途に応じて設定する。通常、ヒートシール性樹脂層13の厚さは、10μm乃至200μmの範囲内とする。
ヒートシール性樹脂層13と透明ガスバリア性フィルム11との貼り合わせには、例えば、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法、又は押出しラミネート法を利用することができる。例えば、押出しラミネート法を利用した場合には、接着剤層12は省略することができる。
透明ガスバリア性フィルム11とヒートシール性樹脂層13との間には、接着剤層12以外の層を介在させてもよい。例えば、それらの間に、印刷層及び/又は基材フィルムなどを介在させてもよい。
この透明包装材料10は、包装体の少なくとも一部として使用することができる。例えば、この透明包装材料10を用いて袋を形成することができる。或いは、この透明包装材料10を用いて、成型容器の蓋を形成することができる。なお、ヒートシール性樹脂層13は、包装体の内部空間と透明ガスバリア性フィルム11との間に位置させる。
この透明包装材料10は、プラスチック基材フィルム111とヒートシール性樹脂層13との密着性に優れている。そのため、例えば、この透明包装材料10で香味成分を含有した内容物を包装してなる包装品は、長期に保存した場合であっても、プラスチック基材フィルム111とヒートシール性樹脂層13との密着性が大幅に低下することはない。さらに、この透明包装材料10で精密電子部品等を包装してなる包装品は、高温多湿環境中に長時間放置した場合であっても、プラスチック基材フィルム111とヒートシール性樹脂層13との密着性が大幅に低下することはない。それゆえ、内容物の劣化を長期にわたって防止することができる。
このように、透明包装材料10は常態ラミネート強度に優れている。したがって、この透明包装材料10を用いて形成した四方シール袋に内容物として水を充填してなる包装品は、温度が25℃で相対湿度が80%の環境中に3ヶ月間に亘って放置した後でも、透明ガスバリア性フィルム11とヒートシール性樹脂層13との常態ラミネート強度を例えば4.0N/15mm以上に維持する。
また、この透明包装材料10は湿潤ラミネート強度に優れている。したがって、この透明包装材料10は、透明ガスバリア性フィルム11とヒートシール性樹脂層13との界面に水を浸したときの湿潤ラミネート強度を例えば1.0N/15mm以上に維持する。
以下、本発明の実施例を説明する。
<コーティング液A1の調製>
アジピン酸をポリエステルの二塩基酸成分とした水分散性ポリエステルポリウレタンとビスフェノールAグリシジルエーテルとを100:5の固形分質量比で含有した水溶液を調製した。以下、この水溶液を、「コーティング液A1」と呼ぶ。
<コーティング液A2の調製>
アジピン酸をポリエステルの二塩基酸成分とした水分散性ポリエステルポリウレタンポリ尿素樹脂とビスフェノールAグリシジルエーテルとを100:7の固形分質量比で含有した水溶液を調製した。以下、この水溶液を、「コーティング液A2」と呼ぶ。
<コーティング液A3の調製>
アジピン酸をポリエステルの二塩基酸成分とした水分散性ポリエステルポリウレタンを含有した水溶液を調製した。すなわち、ビスフェノールAグリシジルエーテルを省略したこと以外はコーティング液A1と同様の組成を有する水溶液を調製した。以下、この水溶液を、「コーティング液A3」と呼ぶ。
<コーティング液A4の調製>
フタル酸をポリエステルの二塩基酸成分とした水分散性ポリエステルポリウレタンとビスフェノールAグリシジルエーテルとを100:5の固形分質量比で含有した水溶液を調製した。すなわち、ポリエステルの二塩基酸成分がアジピン酸の代わりにフタル酸であること以外はコーティング液A1と同様の組成を有する水溶液を調製した。以下、この水溶液を、「コーティング液A4」と呼ぶ。
<コーティング液B1の調製>
10gのテトラエトキシシランに、90gの0.1N塩酸水溶液を添加した。次いで、この混合液を30分間攪拌して、テトラエトキシシランの加水分解を生じさせた。これにより、SiO2換算で固形分を3質量%の濃度で含有した加水分解溶液を得た。
PVAと水とイソプロピルアルコールとを混合して、65gのPVA溶液を調製した。水とイソプロピルアルコールとの質量比は90:10とした。また、このPVA溶液のPVA濃度は、4質量%とした。
これら加水分解溶液とPVA溶液とを混合して、コーティング液を調製した。以下、このコーティング液を、「コーティング液B1」と呼ぶ。
<コーティング液B2の調製>
17.9gのテトラエトキシシランと10gのメタノールと72.1gの0.1N塩酸水溶液とを混合した。次いで、この混合液を30分間攪拌して、テトラエトキシシランの加水分解を生じさせた。これにより、SiO2換算で固形分を5質量%の濃度で含有した加水分解溶液を得た。以下、この加水分解溶液を、「溶液S1」と呼ぶ。
PVAと水とイソプロピルアルコールとを混合して、PVA溶液を調製した。水とイソプロピルアルコールとの質量比は95:5とした。また、このPVA溶液の固形分濃度,すなわち、PVA濃度,は、5質量%とした。以下、このPVA溶液を、「溶液S2」と呼ぶ。
1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートと水とイソプロピルアルコールとを混合した。水とイソプロピルアルコールとの質量比は50:50とした。また、この混合液における1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートの濃度は、R2Si(OH)3換算濃度で5質量%とした。次いで、この混合液を30分間攪拌して、1,3,5−トリス(3−トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートの加水分解を生じさせた。これにより、R2Si(OH)3換算で固形分を5質量%の濃度で含有した加水分解溶液を得た。以下、この加水分解溶液を、「溶液S3」と呼ぶ。
その後、溶液S1と溶液S2と溶液S3とを、それらの固形分の質量比が70:20:10となるように混合した。以下、この混合液を、「コーティング液B2」と呼ぶ。
<コーティング液B3の調製>
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランのイソプロピルアルコール溶液に、1N塩酸水溶液を徐々に加えた。水とイソプロピルアルコールとの質量比は50:50とした。また、この混合液におけるγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの濃度は、R2Si(OH)3換算濃度で5質量%とした。次いで、この混合液を30分間攪拌して、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解を生じさせた。これにより、R2Si(OH)3換算で固形分を5質量%の濃度で含有した加水分解溶液を得た。以下、この加水分解溶液を、「溶液S4」と呼ぶ。
その後、溶液S1と溶液S2と溶液S4とを、それらの固形分の質量比が70:20:10となるように混合した。以下、この混合液を、「コーティング液B3」と呼ぶ。
<コーティング液B4の調製>
溶液S1と溶液S2と溶液S3とを、それらの固形分の質量比が30:20:60となるように混合した。以下、この混合液を、「コーティング液B4」と呼ぶ。
<コーティング液B5の調製>
溶液S1と溶液S2と溶液S4とを、それらの固形分の質量比が80:10:10となるように混合した。以下、この混合液を、「コーティング液B5」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF1及び透明包装材料PM1の製造>
まず、Tダイ法により、ナイロン6からなる厚さが150μmの未延伸基材フィルムを成膜した。
次に、この基材フィルムの一方の主面上に、マイヤーバーコート法によりコーティング液A1を塗布した。この塗膜を乾燥させた後、基材フィルムを、基材フィルムを縦方向に3.3倍に及び横方向に3倍に同時二軸延伸した。さらに、210℃の温度でヒートセット処理を行った。このようにして、基材フィルムの厚さを15μmとすると共に、その上に厚さが0.05μmの易接着層を形成した。
その後、図2に示す巻き取り式のインライン装置を用いて、易接着層にRIE処理を施した。電極には周波数が13.56MHzの高周波電圧を印加し、処理ガスとしてはアルゴンと酸素との混合ガスを使用した。また、このとき、自己バイアスは800Vであった。
続いて、電子線加熱方式を用いた真空蒸着装置により、インラインにて、易接着層上に、酸化アルミニウムからなる厚さが12nmの無機酸化物層を形成した。なお、RIE処理後であって無機酸化物層を形成する前において、易接着層の水接触角は60°であった。
次に、グラビアコート法により、無機酸化物層上に、コーティング液B1を塗布した。この塗膜を加熱乾燥させることにより、厚さが0.5μmのガスバリア性被膜を得た。
以上のようにして、透明ガスバリア性フィルムを完成した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF1」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1とヒートシール性樹脂層とを、ヒートシール性樹脂層がガスバリア性被膜と向き合うように、ドライラミネーション法により貼り合わせた。ヒートシール性樹脂層としては、厚さが60μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(東セロ社製、TUX−FCS)を使用し、接着剤としては、二液硬化型ポリウレタン系ラミネート用接着剤(三井化学ポリウレタン社製、A616/A65)を使用した。接着剤は、グラビアコート法により、乾燥後の塗布量が3.5g/m2となるようにガスバリア性被膜上に塗布した。
その後、この積層体を、40℃の恒温室で4日間養生した。以上のようにして、透明包装材料を完成した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM1」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF2及び透明包装材料PM2の製造>
まず、Tダイ法により、ナイロン6からなる厚さが150μmの未延伸基材フィルムを成膜した。次いで、この基材フィルムを、周速度が異なる加熱ローラ間に通して2.8倍に縦延伸した。
次に、この基材フィルムの一方の主面上に、マイヤーバーコート法によりコーティング液A1を塗布した。その後、予熱部で塗膜を乾燥させ、続いて、基材フィルムを、基材フィルムを横方向に3.7倍に延伸した。さらに、215℃の温度でヒートセット処理を行った。このようにして、基材フィルムの厚さを15μmとすると共に、その上に厚さが0.05μmの易接着層を形成した。
その後、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、易接着層へのRIE処理、無機酸化物層の形成、及びガスバリア性被膜の形成を順次行った。なお、RIE処理後であって無機酸化物層を形成する前において、易接着層の水接触角は57°であった。
以上のようにして、透明ガスバリア性フィルムを完成した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF2」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF2を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM2」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF3及び透明包装材料PM3の製造>
コーティング液A1の代わりにコーティング液A2を使用し且つ易接着層の厚さを0.10μmとしたこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF3」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF3を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM3」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF4及び透明包装材料PM4の製造>
易接着層の厚さを0.20μmとしたこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF4」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF4を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM4」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF5及び透明包装材料PM5の製造>
易接着層の厚さを0.40μmとしたこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF5」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF5を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM5」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF6及び透明包装材料PM6の製造>
厚さが0.50μmのガスバリア性被膜を形成するためにコーティング液B1の代わりにコーティング液B2を使用したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF6」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF6を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM6」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF7及び透明包装材料PM7の製造>
厚さが0.50μmのガスバリア性被膜を形成するためにコーティング液B1の代わりにコーティング液B3を使用したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF7」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF7を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM7」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF8及び透明包装材料PM8の製造>
厚さが0.50μmのガスバリア性被膜を形成するためにコーティング液B1の代わりにコーティング液B4を使用したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF8」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF8を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM8」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF9及び透明包装材料PM9の製造>
厚さが0.50μmのガスバリア性被膜を形成するためにコーティング液B1の代わりにコーティング液B5を使用したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF9」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF9を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM9」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF10及び透明包装材料PM10の製造>
電子線加熱方式を用いた真空蒸着装置により酸化アルミニウムからなる厚さが12nmの無機酸化物層を形成する代わりに、抵抗加熱方式を用いて真空蒸着装置により酸化珪素からなる厚さが50nmの無機酸化物層を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF10」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF10を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM10」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF11及び透明包装材料PM11の製造>
電子線加熱方式を用いた真空蒸着装置により酸化アルミニウムからなる厚さが12nmの無機酸化物層を形成する代わりに、電子線加熱方式を用いた真空蒸着装置により酸化マグネシウムからなる厚さが10nmの無機酸化物層を形成したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF11」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF11を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM11」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF12及び透明包装材料PM12の製造>
RIE処理において、処理ガスとしてアルゴンと酸素との混合ガスの代わりに酸素を使用し、自己バイアスを800Vとする代わりに1300Vとしたこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。なお、RIE処理後であって無機酸化物層を形成する前において、易接着層の水接触角は56°であった。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF12」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF12を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM12」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF13及び透明包装材料PM13の製造>
RIE処理において、処理ガスとしてアルゴンと酸素との混合ガスの代わりにアルゴンを使用し、自己バイアスを800Vとする代わりに2000Vとしたこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。なお、RIE処理後であって無機酸化物層を形成する前において、易接着層の水接触角は55°であった。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF13」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF12を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM13」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF14及び透明包装材料PM14の製造>
RIE処理において、処理ガスとしてアルゴンと酸素との混合ガスの代わりにアルゴンと亜酸化窒素との混合ガスを使用し、自己バイアスを800Vとする代わりに500Vとしたこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。なお、RIE処理後であって無機酸化物層を形成する前において、易接着層の水接触角は62°であった。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF14」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF14を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM14」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF15及び透明包装材料PM15の製造>
RIE処理において、処理ガスとしてアルゴンと酸素との混合ガスの代わりにアルゴンとヘリウムとの混合ガスを使用し、自己バイアスを800Vとする代わりに900Vとしたこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。なお、RIE処理後であって無機酸化物層を形成する前において、易接着層の水接触角は57°であった。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF15」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF15を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM15」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF16及び透明包装材料PM16の製造>
RIE処理において、処理ガスとしてアルゴンと酸素との混合ガスの代わりに水素を使用し、自己バイアスを800Vとする代わりに350Vとしたこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。なお、RIE処理後であって無機酸化物層を形成する前において、易接着層の水接触角は64°であった。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF16」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF16を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM16」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF17及び透明包装材料PM17の製造>
コーティング液A1の代わりにコーティング液A3を使用したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF17」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF17を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM17」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF18及び透明包装材料PM18の製造>
コーティング液A1の代わりにコーティング液A4を使用したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF18」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF18を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM18」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF19及び透明包装材料PM19の製造>
RIE処理を省略したこと以外は、コーティング液A1の代わりにコーティング液A4を使用したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。なお、無機酸化物層を形成する前において、易接着層の水接触角は65°であった。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF19」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF19を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM19」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF20及び透明包装材料PM20の製造>
易接着層にRIE処理を施す代わりに、図3に示す巻き取り式のインライン装置を用いて易接着層にプラズマ処理を施したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。なお、処理ガスとしては酸素を使用した。また、プラズマ処理後であって無機酸化物層を形成する前において、易接着層の水接触角は50°であった。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF20」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF20を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM20」と呼ぶ。
<透明ガスバリア性フィルムBF21及び透明包装材料PM21の製造>
易接着層を省略したこと以外は、透明ガスバリア性フィルムBF1について説明したのと同様の方法により、透明ガスバリア性フィルムを製造した。以下、この透明ガスバリア性フィルムを、「透明ガスバリア性フィルムBF21」と呼ぶ。
次に、透明ガスバリア性フィルムBF1の代わりに透明ガスバリア性フィルムBF21を使用したこと以外は、透明包装材料PM1について説明したのと同様の方法により、透明包装材料を製造した。以下、この透明包装材料を、「透明包装材料PM21」と呼ぶ。
<易接着層のTOF−SIMS分析>
透明ガスバリア性フィルムBF1乃至BF20の各々の易接着層について、TOF−SIMSによる分析を行なった。なお、透明ガスバリア性フィルムBF21については、易接着層を設けなかったので、TOF−SIMSによる分析は行わなかった。
TOF−SIMS分析装置としては、アルバック−ファイ社製TRIFT2を用いた。一次イオンとしては69Ga+を用い、1次イオン加速電圧は15kVとした。測定面積は150μm角とし、測定時間は3分とした。測定は帯電補正用電子銃を用いて実施し、正負2次イオン質量スペクトルにより、易接着層からのイオン種を分析した。
その結果、透明ガスバリア性フィルムBF1乃至BF16及びBF19乃至BF20の各々の易接着層には、窒素原子含有成分とアジピン酸成分とビスフェノールグリシジルエーテル成分とが存在していると判断された。これに対し、透明ガスバリア性フィルムBF17の易接着層については、窒素原子含有成分とアジピン酸成分とが存在していると判断されたが、ビスフェノールグリシジルエーテル成分は検出されなかった。さらに、透明ガスバリア性フィルムBF18の易接着層については、窒素原子含有成分とビスフェノールグリシジルエーテル成分とが存在していると判断されたが、アジピン酸成分は検出されなかった。
透明ガスバリア性フィルムBF1乃至BF16の各々の易接着層について、TOF−SIMSによる正及び負の2次イオン質量スペクトル分析によって確認された主なピークは、以下の通りであった。
(1)窒素原子含有成分由来のピーク: CNO-
(2)アジピン酸成分由来のピーク群: C672 -、C693 -
(3)ビスフェノールグリシジルエーテル成分由来のピーク群: C911+、C14132 +、C14112 -
<酸素透過度の測定>
透明ガスバリア性フィルムBF1乃至BF21の各々について、日本工業規格 JIS K7126−1987「プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法」で規定されているB法(等圧法)に従って酸素透過度を測定した。この測定は、温度が30℃であり相対湿度が70%の環境中で、Modern Control社製のOxtran2/21を使用して行った。以下の表1及び表2に、測定結果を纏める。
<湿潤ラミネート強度の測定>
透明包装材料PM1乃至PM21の各々について、日本工業規格 JIS K6854−3:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第3部:T形はく離」で規定されている試験方法に従って湿潤ラミネート強度を測定した。
すなわち、まず、透明包装材料PM1乃至PM21の各々から幅が15mmの短冊状の試験片を準備した。次いで、各試験片の一端でヒートシール性樹脂層と透明ガスバリア性フィルムとを互いから剥離し、これらをそれぞれ引張試験機のつかみ具に取り付けた。その後、それらの剥離界面を水で湿潤させながら、引張応力を加えて、ヒートシール性樹脂層と透明ガスバリア性フィルムとを互いから剥離させ、剥離長さ(つかみ移動距離)と引張応力との関係を記録した。ここでは、剥離速度は300mm/minとした。そして、最初及び最後の25mmを除いた100mm以上の剥離長さに亘って、力−つかみ移動距離曲線から平均剥離力(N)を求めた。この平均剥離力(N)を湿潤ラミネート強度とした。以下の表1及び表2に、測定結果を纏める。
<内容物保存後の常態ラミネート強度の測定>
透明包装材料PM1乃至PM21の各々を用いて、寸法が100mm×150mmの四方シール袋を作成した。各四方シール袋には、200gの水を充填した。これら包装品は、温度が25℃であり、相対湿度が80%の環境中に3ヶ月間放置した。
その後、これら包装品に使用した透明包装材料PM1乃至PM21について、日本工業規格 JIS K6854−3:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第3部:T形はく離」で規定されている試験方法に従って湿潤ラミネート強度を測定した。具体的には、剥離界面を水で湿潤させなかったこと以外は、湿潤ラミネート強度について説明したのと同様の方法により平均剥離力(N)を求め、この平均剥離力(N)を常態ラミネート強度とした。以下の表1及び表2に、測定結果を纏める。
<落下試験>
透明包装材料PM1乃至PM21の各々を用いて、寸法が100mm×150mmの四方シール袋を10個ずつ作成した。各四方シール袋には、200gの水を充填した。これら包装品は、温度が25℃であり、相対湿度が80%の環境中に3ヶ月間放置した。
次いで、これら包装品の各々を、温度が5℃の環境中に1日間放置し、その後、1.5mの高さから50回落下させた。そして、透明包装材料PM1乃至PM21の各々について、この落下試験によって破れた袋の数を求めた。以下の表1及び表2に、試験結果を纏める。
Figure 2008143170
Figure 2008143170
表1及び表2に示すように、透明ガスバリアフィルムBF1乃至BF16は、透明ガスバリアフィルムBF17乃至BF20と比較してガスバリア性に優れている。
また、透明包装材料PM1乃至PM16は、透明包装材料PM17乃至PM21と比較して湿潤ラミネート強度及び内容物保存後の常態ラミネート強度に優れている。そして、透明包装材料PM17乃至PM21を用いて製造した包装体は、内容物保存後の落下試験で一部又は全てが破損したのに対し、透明包装材料PM1乃至PM16を用いて製造した包装体は、内容物保存後の落下試験で破損を生じることはなかった。
本発明の一態様に係る透明包装材料を概略的に示す断面図。 巻き取り式のインライン装置でRIE処理を行う方法の一例を概略的に示す図。 巻き取り式のインライン装置でプラズマ処理を行う方法の一例を概略的に示す図。
符号の説明
10…透明包装材料、11…透明ガスバリア性フィルム、12…接着剤層、13…ヒートシール性樹脂層、51…ガイドロール又は冷却ドラム、52…陰極、53…陽イオン、110…積層体、111…基材フィルム、112…易接着層、113…無機酸化物層、114…ガスバリア性被膜。

Claims (13)

  1. ポリアミド樹脂からなる基材フィルムと、
    前記基材フィルムの一方の主面上に形成され、窒素原子とアジピン酸とビスフェノールグリシジルエーテルとを含み、リアクティブイオンエッチングによる表面処理が施された易接着層と、
    前記易接着層上に気相堆積法によって形成された無機酸化物層とを具備したことを特徴とする透明ガスバリア性フィルム。
  2. 前記易接着層の飛行時間型2次イオン質量分析計による正及び負の2次イオン質量スペクトル分析を行ったときに、その分析結果は、窒素原子含有成分とアジピン酸成分とビスフェノールグリシジルエーテル成分との存在を示すことを特徴とする請求項1に記載の透明ガスバリア性フィルム。
  3. 前記易接着層の飛行時間型2次イオン質量分析計による正及び負の2次イオン質量スペクトル分析を行なったときに、窒素原子含有成分由来のピークとしてCNO-のピークと、アジピン酸成分由来のピーク群としてC672 -及びC693 -のピークと、ビスフェノールグリシジルエーテル成分由来のピーク群としてC911+、C14132 +及びC14112 -のピークとが検出されることを特徴とする請求項1に記載の透明ガスバリア性フィルム。
  4. 前記易接着層は、水分散性ポリエステルポリウレタン又は水分散性ポリエステルポリウレタンポリ尿素樹脂を含有していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  5. 無延伸の前記基材フィルム上に前記易接着層の材料を塗布し、その後、前記基材フィルムを同時二軸延伸していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  6. 縦方向に一軸延伸した前記基材フィルム上に前記易接着層の材料を塗布し、その後、前記基材フィルムを横方向に延伸していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  7. 前記無機酸化物層は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、及びそれらの2以上を含んだ混合物からなる群より選択される材料からなることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  8. 前記無機酸化物層上に形成され、透明樹脂と無機物とを含んだ混合物からなるガスバリア性被膜をさらに具備したことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  9. 前記ガスバリア性被膜は、水溶性高分子と、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、及びそれらの加水分解生成物からなる群より選ばれる少なくとも1つとを含有した溶液を前記無機酸化物層上に塗布し、これにより得られた塗膜を乾燥させることにより形成されたことを特徴とする請求項8に記載のガスバリア性フィルム。
  10. 前記溶液は、非水性有機官能基を有するトリアルコキシシランを含有したことを特徴とする請求項9に記載のガスバリア性フィルム。
  11. 前記ガスバリア性被膜は、水と、水溶性高分子と、金属アルコキシド、その加水分解生成物、及び塩化錫からなる群より選択される少なくとも1つの化合物とを含有した溶液を前記無機酸化物層上に塗布し、これにより得られた塗膜を乾燥させることにより形成されたことを特徴とする請求項8に記載のガスバリア性フィルム。
  12. 請求項1乃至11の何れか1項に記載のガスバリア性フィルムと、前記ガスバリア性フィルムに貼り合わされると共に前記無機酸化物層を間に挟んで前記基材フィルムと向き合ったヒートシール性樹脂層とを具備したことを特徴とする透明包装材料。
  13. 請求項12に記載の包装材料を具備したことを特徴とする包装体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017177357A (ja) * 2016-03-28 2017-10-05 凸版印刷株式会社 ガスバリア積層体
CN109830542A (zh) * 2017-11-23 2019-05-31 张家港康得新光电材料有限公司 耐久阻隔膜及其制备方法

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