JP2004123608A - フィトステロールエステル及びこれを含有する化粧料 - Google Patents
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Abstract
【課題】通気性が良好で皮膚呼吸を妨げず、水分の蒸散抑制効果や抱水力が良好であるためエモリエント性に優れ、また使用性に優れた油性原料であるフィトステロールエステルを発明し、これを使用して使用感の良好な化粧料を提供すること。
【解決手段】フィトステロールと、イソステアリン酸、エルカ酸、リシノレイン酸で構成する混合脂肪酸でエステル化したフィトステロールエステルを用い、これを油性原料として配合した化粧料とする。
【解決手段】フィトステロールと、イソステアリン酸、エルカ酸、リシノレイン酸で構成する混合脂肪酸でエステル化したフィトステロールエステルを用い、これを油性原料として配合した化粧料とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、通気性が良好で皮膚呼吸を妨げず、水分の蒸散抑制効果や抱水力が良好であるためエモリエント性に優れ、また使用性に優れた油性原料であるフィトステロールエステル及びこれを含有する化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油性原料は化粧品の主要原料として広範囲に使われている。クリームや乳液の重要な成分であり、皮膚からの水分の蒸散を抑制したり、使用感触を向上させる等の目的で使用される。油性原料には植物油、動物油等の天然油性成分、これらの油脂、ロウ類から精製分離された高級アルコールや高級脂肪酸、石油の原油を分留精製して得る炭化水素油類、あるいは合成されたエステルオイルがある。その中でも、ラノリンやコレステロール脂肪酸エステルは抱水性が良好で、皮膚に対する親和性、無刺激性等化粧料用、外用剤の油剤として適しているが、中でもコレステロールの原料由来は牛の脳又は牛脂から得たものである。こうした牛由来原料は、昨今の狂牛病問題より安全性の面や法的規制が厳しくなり、専ら化粧品業界から敬遠される原料となっている。また、それらが原因でラノリン等を含め、動物由来原料が敬遠される傾向が強まっている。
【0003】
一方、植物由来原料であるフィトステロールないし、フィトステロール脂肪酸エステルを化粧料に配合する内容(特許文献1参照)が公開されているが、その効果としては、単に皮膚刺激がほとんど無く使用感に優れたものであるとの内容だけであり、通気性、水蒸気蒸散抑制効果や抱水力等の性能面については、全く記載されていない。実際特許文献1に記載のフィトステロール脂肪酸エステルは、単一脂肪酸のエステルであり、抱水力が低く、エモリエント性及び通気性、水蒸気蒸散抑制効果の性能が不十分なものであった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭52−79030号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は、上記の事情に鑑み、通気性が良好で皮膚呼吸を妨げず、水分の蒸散抑制効果や抱水力が良好であるためエモリエント性に優れ、また使用性に優れたフィトステロールエステル及びこれを含有する化粧料を得ることを目的とした。
【0006】
【問題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討の結果、フィトステロールと特定の混合脂肪酸とをエステル化してなるフィトステロールエステルが、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、フィトステロールとイソステアリン酸、エルカ酸、リシノレイン酸で構成する混合脂肪酸でエステル化したフィトステロールエステル及びこれを含有する化粧料に関するものである。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。フィトステロールは植物界に広く分布するステロイドアルコールに属し、植物油脂中では遊離状に存在する他、エステルやグルコシドとして存在しており、本発明で使用するフィトステロールは大豆、ナタネ、シアーバター、人参等から、分離、精製されたものが使用出来る。
【0009】
本発明におけるフィトステロールエステルのフィトステロールに対する混合脂肪酸のエステル化率は80〜100重量%、好ましくは90〜100重量%である。80重量%未満のエステル化率のフィトステロールエステルを配合した化粧料は、抱水力が低く、エモリエント性及び通気性、水蒸気蒸散抑制効果の性能を満足することが出来ず、また油性感が強くベタツキ感が出て、使用性の面で問題が生じる。
【0010】
本発明におけるフィトステロールエステルの製造方法は以下の方法で行なうことが出来る。フィトステロールに対し、混合脂肪酸全体のエステル化率が80〜100重量%となるように、所定量の混合脂肪酸(混合組成:イソステアリン酸が0〜30重量%、エルカ酸が20〜70重量%、リシノレイン酸が20〜70重量%)を仕込む。次に水酸化ナトリウム等アルカリ触媒を加えた後、常圧もしくは減圧下において常法に従ってエステル化反応を行なう。
【0011】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0012】実施例1
フィトステロールエステルは以下のように合成した。
フィトステロール100gとイソステアリン酸14g、エルカ酸42g、リシノレイン酸22gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、0.09gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において250℃、4時間の条件下で反応を行い、エステル化率95%のフィトステロールエステル166gを得た。
【0013】実施例2
フィトステロール100gとイソステアリン酸7g、エルカ酸25g、リシノレイン酸45gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、エステル化率98%のフィトステロールエステル167gを得た。
【0014】比較例1
フィトステロールエステルは以下のように合成した。
フィトステロール100gとイソステアリン酸28g、エルカ酸8g、リシノレイン酸37gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、エステル化率96%のフィトステロールエステル162gを得た。
【0015】比較例2
フィトステロール100gとイソステアリン酸7g、エルカ酸68g、リシノレイン酸7gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、エステル化率98%のフィトステロールエステル171gを得た。
【0016】比較例3
フィトステロール100gとイソステアリン酸14g、エルカ酸42g、リシノレイン酸22gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、エステル化率64%のフィトステロールエステル167gを得た。
【0017】比較例4
フィトステロール100gとエルカ酸85gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、エステル化率97%のフィトステロールエステル173gを得た。
【0018】比較例5
フィトステロール100gとイソステアリン酸14g、オレイン酸35g、ミリスチン酸17gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、エステル化率94%のフィトステロールエステル154gを得た。
【0019】通気性試験
飽和石灰水を入れた瓶にセロハン膜で蓋をし、実施例及び比較例で得られたフィトステロールエステルをセロハン膜に塗布した。それを炭酸ガスに暴露し、飽和石灰水が白濁するまでの時間を測定した。また、通気性が良好なラノリンを対象品とした。その測定結果を表1に示す。実施例1〜2のフィトステロールエステルは通気性が良好(ラノリンと同等)であったが、比較例1〜5のフィトステロールエステルは通気性の面において不十分な(ラノリンより悪い)結果であった。
【表1】
【0020】水蒸気蒸散抑制試験
精製水を入れた瓶にセロハン膜で蓋をし、実施例及び比較例で得られたフィトステロールエステルをセロハン膜に塗布した。その後、40℃で20時間放置し、精製水の減少量を測定した。また、水蒸気蒸散抑制が良好なラノリンを対象品とした。その測定結果を表2に示す。実施例1〜2のフィトステロールエステルは水蒸気蒸散抑制が良好(ラノリンと同等)であったが、比較例1〜5のフィトステロールエステルは水蒸気蒸散抑制の面において不十分な(ラノリンより悪い)結果であった。
【表2】
【0021】抱水率試験
実施例及び比較例で得られたフィトステロールエステルを1gとワセリン9gを撹拌しながら、徐々に水を滴下し、離水するまで抱水させ、試料(10g)に対して抱水された水の量を百分率で示した。また、抱水率が良好なラノリンを対象品とした。その測定結果を表3に示す。実施例1〜2のフィトステロールエステルは抱水率が良好(ラノリンと同等以上)であったが、比較例1〜5のフィトステロールエステルは抱水率の面において不十分な(ラノリンより悪い)結果であった。
【表3】
【0022】化粧料の調製
前記実施例及び比較例のフィトステロールエステルを配合して、各種化粧料を調製した。配合実施例1〜6の評価を行なったが、いずれもベタツキ等の油性感が少なく、さらっとした使用感であり、またエモリエント性(しっとり感)が良好なものであった。一方、配合比較例1〜3は、ベタツキ感等の油性感の面や、エモリエント性(しっとり感)の面、いずれかにおいて不十分な評価結果であった。
(1)配合実施例1 エモリエントクリーム
A相 (重量%)
実施例1のフィトステロールエステル 3.00
スクワラン 7.50
モノミリスチン酸デカグリセリル 2.00
ステアリン酸 3.50
モノステアリン酸グリセリン 2.00
トリ−2エチルヘキサン酸グリセリル 5.00
B相
グリセリン 7.00
10%−水酸化カリウム水溶液 1.00
精製水 69.00
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してエモリエントクリームを得た。
(2)配合実施例2 ミルキーローション
A相 (重量%)
実施例1のフィトステロールエステル 0.50
モノオレイン酸デカグリセリル 1.00
B相
1%−カルボキシビニルポリマー 5.00
10%−水酸化カリウム水溶液 1.00
1,3−ブチレングリコール 5.00
グリセリン 2.00
精製水 85.50
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してミルキーローションを得た。
(3)配合実施例3 口紅
A相 (重量%)
実施例1のフィトステロールエステル 15.00
セレシン 28.50
ヒマシ油 27.00
流動パラフィン 15.00
カルナウバロウ 7.00
キャンデリラロウ 5.00
B相
酸化チタン 2.00
赤色系色素 0.50
A相を80℃にて加温して均一溶解した後、冷却しロールミルで均一に練る。これにB相を均一に溶解させて添加し、脱泡後、型に流し込み急冷して口紅
を得た。
全成分を80℃にて加温して均一溶解し、35℃まで冷却してシャンプーを
得た。
(5)配合実施例5 ヘアコンディショナー
A相 (重量%)
実施例2のフィトステロールエステル 3.00
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(63%) 0.70
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(80%) 0.60
ステアリルアルコール 2.50
親油型モノステアリン酸グリセリン 0.50
B相
ヒドロキシエチルセルロース 0.50
精製水 85.90
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してヘアコンディショナーを得た。
(6)配合実施例6 軟膏基剤
A相 (重量%)
実施例1のフィトステロールエステル 5.00
流動パラフィン 18.00
ワセリン 10.00
セチルアルコール 10.00
モノイソステアリン酸デカグリセリル 3.00
B相
ラウリル硫酸ナトリウム 1.00
精製水 53.00
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却して軟膏基剤を得た。
(1)配合比較例1 エモリエントクリーム
A相 (重量%)
比較例1のフィトステロールエステル 3.00
スクワラン 7.50
モノミリスチン酸デカグリセリル 2.00
ステアリン酸 3.50
モノステアリン酸グリセリン 2.00
トリ−2エチルヘキサン酸グリセリル 5.00
B相
グリセリン 7.00
10%−水酸化カリウム水溶液 1.00
精製水 69.00
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してエモリエントクリームを得た。
(2)配合比較例2 ミルキーローション
A相 (重量%)
比較例3のフィトステロールエステル 0.50
モノオレイン酸デカグリセリル 1.00
B相
1%−カルボキシビニルポリマー 5.00
10%−水酸化カリウム水溶液 1.00
1,3−ブチレングリコール 5.00
グリセリン 2.00
精製水 85.50
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してミルキーローションを得た。
(3)配合比較例3 ヘアコンディショナー
A相 (重量%)
比較例3のフィトステロールエステル 3.00
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(63%) 0.70
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(80%) 0.60
ステアリルアルコール 2.50
親油型モノステアリン酸グリセリン 0.50
B相
ヒドロキシエチルセルロース 0.50
精製水 85.90
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してヘアコンディショナーを得た。
【0023】
【発明の効果】
本発明のフィトステロールエステルは、通気性が良好で皮膚呼吸を妨げず、水分の蒸散抑制効果や抱水力が良好であるため、エモリエント性に優れ、また使用性に優れた油性原料である。また本発明のフィトステロールエステルを含有する化粧料は、ベタツキ等の油性感が少なく、さらっとした使用感であり、エモリエント性(しっとり感)が良好なものとなる。
【産業上の利用分野】
本発明は、通気性が良好で皮膚呼吸を妨げず、水分の蒸散抑制効果や抱水力が良好であるためエモリエント性に優れ、また使用性に優れた油性原料であるフィトステロールエステル及びこれを含有する化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油性原料は化粧品の主要原料として広範囲に使われている。クリームや乳液の重要な成分であり、皮膚からの水分の蒸散を抑制したり、使用感触を向上させる等の目的で使用される。油性原料には植物油、動物油等の天然油性成分、これらの油脂、ロウ類から精製分離された高級アルコールや高級脂肪酸、石油の原油を分留精製して得る炭化水素油類、あるいは合成されたエステルオイルがある。その中でも、ラノリンやコレステロール脂肪酸エステルは抱水性が良好で、皮膚に対する親和性、無刺激性等化粧料用、外用剤の油剤として適しているが、中でもコレステロールの原料由来は牛の脳又は牛脂から得たものである。こうした牛由来原料は、昨今の狂牛病問題より安全性の面や法的規制が厳しくなり、専ら化粧品業界から敬遠される原料となっている。また、それらが原因でラノリン等を含め、動物由来原料が敬遠される傾向が強まっている。
【0003】
一方、植物由来原料であるフィトステロールないし、フィトステロール脂肪酸エステルを化粧料に配合する内容(特許文献1参照)が公開されているが、その効果としては、単に皮膚刺激がほとんど無く使用感に優れたものであるとの内容だけであり、通気性、水蒸気蒸散抑制効果や抱水力等の性能面については、全く記載されていない。実際特許文献1に記載のフィトステロール脂肪酸エステルは、単一脂肪酸のエステルであり、抱水力が低く、エモリエント性及び通気性、水蒸気蒸散抑制効果の性能が不十分なものであった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭52−79030号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は、上記の事情に鑑み、通気性が良好で皮膚呼吸を妨げず、水分の蒸散抑制効果や抱水力が良好であるためエモリエント性に優れ、また使用性に優れたフィトステロールエステル及びこれを含有する化粧料を得ることを目的とした。
【0006】
【問題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討の結果、フィトステロールと特定の混合脂肪酸とをエステル化してなるフィトステロールエステルが、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、フィトステロールとイソステアリン酸、エルカ酸、リシノレイン酸で構成する混合脂肪酸でエステル化したフィトステロールエステル及びこれを含有する化粧料に関するものである。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。フィトステロールは植物界に広く分布するステロイドアルコールに属し、植物油脂中では遊離状に存在する他、エステルやグルコシドとして存在しており、本発明で使用するフィトステロールは大豆、ナタネ、シアーバター、人参等から、分離、精製されたものが使用出来る。
【0009】
本発明におけるフィトステロールエステルのフィトステロールに対する混合脂肪酸のエステル化率は80〜100重量%、好ましくは90〜100重量%である。80重量%未満のエステル化率のフィトステロールエステルを配合した化粧料は、抱水力が低く、エモリエント性及び通気性、水蒸気蒸散抑制効果の性能を満足することが出来ず、また油性感が強くベタツキ感が出て、使用性の面で問題が生じる。
【0010】
本発明におけるフィトステロールエステルの製造方法は以下の方法で行なうことが出来る。フィトステロールに対し、混合脂肪酸全体のエステル化率が80〜100重量%となるように、所定量の混合脂肪酸(混合組成:イソステアリン酸が0〜30重量%、エルカ酸が20〜70重量%、リシノレイン酸が20〜70重量%)を仕込む。次に水酸化ナトリウム等アルカリ触媒を加えた後、常圧もしくは減圧下において常法に従ってエステル化反応を行なう。
【0011】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0012】実施例1
フィトステロールエステルは以下のように合成した。
フィトステロール100gとイソステアリン酸14g、エルカ酸42g、リシノレイン酸22gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、0.09gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において250℃、4時間の条件下で反応を行い、エステル化率95%のフィトステロールエステル166gを得た。
【0013】実施例2
フィトステロール100gとイソステアリン酸7g、エルカ酸25g、リシノレイン酸45gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、エステル化率98%のフィトステロールエステル167gを得た。
【0014】比較例1
フィトステロールエステルは以下のように合成した。
フィトステロール100gとイソステアリン酸28g、エルカ酸8g、リシノレイン酸37gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、エステル化率96%のフィトステロールエステル162gを得た。
【0015】比較例2
フィトステロール100gとイソステアリン酸7g、エルカ酸68g、リシノレイン酸7gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、エステル化率98%のフィトステロールエステル171gを得た。
【0016】比較例3
フィトステロール100gとイソステアリン酸14g、エルカ酸42g、リシノレイン酸22gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、エステル化率64%のフィトステロールエステル167gを得た。
【0017】比較例4
フィトステロール100gとエルカ酸85gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、エステル化率97%のフィトステロールエステル173gを得た。
【0018】比較例5
フィトステロール100gとイソステアリン酸14g、オレイン酸35g、ミリスチン酸17gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、実施例1と同様の条件で反応を行い、エステル化率94%のフィトステロールエステル154gを得た。
【0019】通気性試験
飽和石灰水を入れた瓶にセロハン膜で蓋をし、実施例及び比較例で得られたフィトステロールエステルをセロハン膜に塗布した。それを炭酸ガスに暴露し、飽和石灰水が白濁するまでの時間を測定した。また、通気性が良好なラノリンを対象品とした。その測定結果を表1に示す。実施例1〜2のフィトステロールエステルは通気性が良好(ラノリンと同等)であったが、比較例1〜5のフィトステロールエステルは通気性の面において不十分な(ラノリンより悪い)結果であった。
【表1】
【0020】水蒸気蒸散抑制試験
精製水を入れた瓶にセロハン膜で蓋をし、実施例及び比較例で得られたフィトステロールエステルをセロハン膜に塗布した。その後、40℃で20時間放置し、精製水の減少量を測定した。また、水蒸気蒸散抑制が良好なラノリンを対象品とした。その測定結果を表2に示す。実施例1〜2のフィトステロールエステルは水蒸気蒸散抑制が良好(ラノリンと同等)であったが、比較例1〜5のフィトステロールエステルは水蒸気蒸散抑制の面において不十分な(ラノリンより悪い)結果であった。
【表2】
【0021】抱水率試験
実施例及び比較例で得られたフィトステロールエステルを1gとワセリン9gを撹拌しながら、徐々に水を滴下し、離水するまで抱水させ、試料(10g)に対して抱水された水の量を百分率で示した。また、抱水率が良好なラノリンを対象品とした。その測定結果を表3に示す。実施例1〜2のフィトステロールエステルは抱水率が良好(ラノリンと同等以上)であったが、比較例1〜5のフィトステロールエステルは抱水率の面において不十分な(ラノリンより悪い)結果であった。
【表3】
【0022】化粧料の調製
前記実施例及び比較例のフィトステロールエステルを配合して、各種化粧料を調製した。配合実施例1〜6の評価を行なったが、いずれもベタツキ等の油性感が少なく、さらっとした使用感であり、またエモリエント性(しっとり感)が良好なものであった。一方、配合比較例1〜3は、ベタツキ感等の油性感の面や、エモリエント性(しっとり感)の面、いずれかにおいて不十分な評価結果であった。
(1)配合実施例1 エモリエントクリーム
A相 (重量%)
実施例1のフィトステロールエステル 3.00
スクワラン 7.50
モノミリスチン酸デカグリセリル 2.00
ステアリン酸 3.50
モノステアリン酸グリセリン 2.00
トリ−2エチルヘキサン酸グリセリル 5.00
B相
グリセリン 7.00
10%−水酸化カリウム水溶液 1.00
精製水 69.00
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してエモリエントクリームを得た。
(2)配合実施例2 ミルキーローション
A相 (重量%)
実施例1のフィトステロールエステル 0.50
モノオレイン酸デカグリセリル 1.00
B相
1%−カルボキシビニルポリマー 5.00
10%−水酸化カリウム水溶液 1.00
1,3−ブチレングリコール 5.00
グリセリン 2.00
精製水 85.50
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してミルキーローションを得た。
(3)配合実施例3 口紅
A相 (重量%)
実施例1のフィトステロールエステル 15.00
セレシン 28.50
ヒマシ油 27.00
流動パラフィン 15.00
カルナウバロウ 7.00
キャンデリラロウ 5.00
B相
酸化チタン 2.00
赤色系色素 0.50
A相を80℃にて加温して均一溶解した後、冷却しロールミルで均一に練る。これにB相を均一に溶解させて添加し、脱泡後、型に流し込み急冷して口紅
を得た。
全成分を80℃にて加温して均一溶解し、35℃まで冷却してシャンプーを
得た。
(5)配合実施例5 ヘアコンディショナー
A相 (重量%)
実施例2のフィトステロールエステル 3.00
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(63%) 0.70
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(80%) 0.60
ステアリルアルコール 2.50
親油型モノステアリン酸グリセリン 0.50
B相
ヒドロキシエチルセルロース 0.50
精製水 85.90
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してヘアコンディショナーを得た。
(6)配合実施例6 軟膏基剤
A相 (重量%)
実施例1のフィトステロールエステル 5.00
流動パラフィン 18.00
ワセリン 10.00
セチルアルコール 10.00
モノイソステアリン酸デカグリセリル 3.00
B相
ラウリル硫酸ナトリウム 1.00
精製水 53.00
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却して軟膏基剤を得た。
(1)配合比較例1 エモリエントクリーム
A相 (重量%)
比較例1のフィトステロールエステル 3.00
スクワラン 7.50
モノミリスチン酸デカグリセリル 2.00
ステアリン酸 3.50
モノステアリン酸グリセリン 2.00
トリ−2エチルヘキサン酸グリセリル 5.00
B相
グリセリン 7.00
10%−水酸化カリウム水溶液 1.00
精製水 69.00
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してエモリエントクリームを得た。
(2)配合比較例2 ミルキーローション
A相 (重量%)
比較例3のフィトステロールエステル 0.50
モノオレイン酸デカグリセリル 1.00
B相
1%−カルボキシビニルポリマー 5.00
10%−水酸化カリウム水溶液 1.00
1,3−ブチレングリコール 5.00
グリセリン 2.00
精製水 85.50
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してミルキーローションを得た。
(3)配合比較例3 ヘアコンディショナー
A相 (重量%)
比較例3のフィトステロールエステル 3.00
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(63%) 0.70
塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(80%) 0.60
ステアリルアルコール 2.50
親油型モノステアリン酸グリセリン 0.50
B相
ヒドロキシエチルセルロース 0.50
精製水 85.90
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してヘアコンディショナーを得た。
【0023】
【発明の効果】
本発明のフィトステロールエステルは、通気性が良好で皮膚呼吸を妨げず、水分の蒸散抑制効果や抱水力が良好であるため、エモリエント性に優れ、また使用性に優れた油性原料である。また本発明のフィトステロールエステルを含有する化粧料は、ベタツキ等の油性感が少なく、さらっとした使用感であり、エモリエント性(しっとり感)が良好なものとなる。
Claims (3)
- フィトステロールをイソステアリン酸、エルカ酸、リシノレイン酸で構成する混合脂肪酸でエステル化したフィトステロールエステル。
- イソステアリン酸、エルカ酸、リシノレイン酸で構成する混合脂肪酸の組成が、以下の成分(1)〜(3)の組成である請求項1記載のフィトステロールエステル。
成分(1)イソステアリン酸が0〜30重量%
成分(2)エルカ酸が20〜70重量%
成分(3)リシノレイン酸が20〜70重量% - 請求項1〜2記載のフィトステロールエステルを含有してなる化粧料。
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---|---|---|---|---|
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JP2016183135A (ja) * | 2015-03-26 | 2016-10-20 | 日清オイリオグループ株式会社 | 洗浄料 |
CN111888276A (zh) * | 2019-05-06 | 2020-11-06 | 太和康美(北京)中医研究院有限公司 | 含有新型植物甾醇添加剂的护唇组合物及其制备方法 |
-
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- 2002-10-02 JP JP2002290343A patent/JP2004123608A/ja active Pending
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