JPH0726244A - 増粘ゲル化剤及び増粘ゲル状組成物 - Google Patents

増粘ゲル化剤及び増粘ゲル状組成物

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JPH0726244A
JPH0726244A JP19390893A JP19390893A JPH0726244A JP H0726244 A JPH0726244 A JP H0726244A JP 19390893 A JP19390893 A JP 19390893A JP 19390893 A JP19390893 A JP 19390893A JP H0726244 A JPH0726244 A JP H0726244A
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JP
Japan
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fatty acid
sucrose
diester
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acid diester
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Application number
JP19390893A
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English (en)
Inventor
Kazuhiro Yamaguchi
和弘 山口
Toshihiro Tanaka
俊宏 田中
Shigenori Kumagai
重則 熊谷
Shinichi Anzai
伸一 安斎
Hideo Nakajima
英夫 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shiseido Co Ltd
Original Assignee
Shiseido Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ショ糖脂肪酸ジエステルと、高級脂肪酸アル
コール及び/又は高級脂肪酸と、イオン性界面活性物質
とを含有する増粘ゲル化剤。また、ショ糖脂肪酸ジエス
テルと高級脂肪酸アルコール及び/又は高級脂肪酸が水
相中でモル比1:2の会合体を形成する増粘ゲル化剤又
は増粘ゲル状組成物。 【効果】 優れた安全性、安定性、使用性を有する増粘
ゲル化剤又は増粘ゲル状組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は増粘ゲル化剤及び増粘ゲ
ル状組成物、特に界面活性剤を用いた増粘ゲル化剤及び
増粘ゲル状組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】医薬品、化粧品等の分野においてその剤
型保持の為に種々の水性の増粘ゲル化剤が用いられてい
る。例えば、有機化合物としては多糖類、カゼイン等の
天然高分子、ポリオキシエチレン、アクリル酸ポリマ−
等の合成高分子が、また、無機化合物としては、モンモ
リロナイトをはじめとする各種粘土鉱物やシリカなど
が、増粘ゲル化剤の目的・効果に応じて適宣選択使用さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような増粘ゲル化
剤を医薬品や化粧品に利用する場合、これらは人体に使
用するために高い安全性を要求されることは当然なが
ら、同時に外用として皮膚に対して使用されるものの場
合には使用したときの感触、すなわち使用性のよさなど
が要求される。このため、上記の目的で使用される増粘
ゲル化剤は高い安全性と好ましい使用性、そして良好な
増粘ゲル化能をあわせ持つことが要求されるが、従来の
増粘ゲル化剤には上記3点を充分に満たすものは知られ
ていなかった。
【0004】例えば、高分子系のものは安全性も比較的
高く、少量の添加で良好な増粘ゲル化能を発揮するが、
皮膚に使用した場合は高分子特有の「ぬめり感」を生
じ、好ましくない使用感を有する。また、粘土鉱物はチ
キソロピ−性が高くてさっぱりとした使用感であり使用
性の点では好ましいが、離液が起こりやすく不安定であ
る。このため、安全性、使用性及び増粘ゲル化能に優れ
た増粘ゲル化剤の開発が望まれていた。本発明は前記従
来技術の課題に鑑み成されたものであり、その目的は安
全性、使用性に優れ、しかも良好な増粘ゲル化を行うこ
とができる水性増粘ゲル化剤及び増粘ゲル状組成物を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、食品添加物、化
粧品などに広く利用され、安全性も良好であるショ糖脂
肪酸エステルを溶媒分別で精製して得られたショ糖脂肪
酸ジエステルと、高級脂肪族アルコール及び/又は高級
脂肪酸を用いると優れた増粘ゲル化能を発揮することを
見出した。そして、ショ糖脂肪酸ジエステルと、高級脂
肪族アルコール及び/又は高級脂肪酸は水相中で特定構
造の会合体を形成し、この会合体が水相中に存在するこ
とによって、系が増粘ゲル化することが明らかとなっ
た。
【0006】また、カラムクロマト精製によって得られ
た純粋なショ糖脂肪酸ジエステルを用いて詳細に検討を
行った結果、純粋なショ糖脂肪酸ジエステルでは水への
分散が困難で増粘ゲル化するのに長時間を要するが、少
量のイオン性界面活性物質を含有するショ糖脂肪酸ジエ
ステルを用いると容易に均一に分散することが明らかと
なった。すなわち、本出願の請求項1記載の増粘ゲル化
剤は、ショ糖脂肪酸ジエステルと、高級脂肪族アルコー
ル及び/又は高級脂肪酸と、イオン性界面活性物質から
なることを特徴とする。
【0007】そして、本出願の請求項2記載の増粘ゲル
化剤は、請求項1に記載の増粘ゲル化剤において、ショ
糖脂肪酸ジエステルと、高級脂肪族アルコール及び/又
は高級脂肪酸のモル比が1:1〜1:5であり、これら
の混合物全量に対してイオン性界面活性物質を0.4〜
20モル%含有することを特徴とする。また、本発明の
請求項3記載の増粘ゲル状組成物は、請求項1又は2に
記載の増粘ゲル化剤を水相中に含有していることを特徴
とする。請求項4記載の増粘ゲル状組成物は、ショ糖脂
肪酸ジエステルと高級脂肪族アルコール及び/又は高級
脂肪酸が水相中でモル比1:2の会合体を形成している
ことを特徴とする。
【0008】請求項5記載の増粘ゲル状組成物は、請求
項3又は4に記載の増粘ゲル状組成物において、ショ糖
脂肪酸ジエステルと高級脂肪族アルコール及び/又は高
級脂肪酸のモル比を1:2とした場合にDSC(示唆走
査型熱量測定)において観測される、前記ショ糖脂肪酸
ジエステルでもなく、前記高級脂肪族アルコール及び/
又は前記高級脂肪酸でもなく、また、その他の成分でも
ない吸熱ピークと同じ位置に吸熱ピークを有することを
特徴とする。
【0009】請求項6記載の増粘ゲル状組成物は、請求
項3〜5に記載の増粘ゲル状組成物において、ショ糖脂
肪酸ジエステルと高級脂肪族アルコール及び/又は高級
脂肪酸が水相中で会合し、ラメラ構造を形成しているこ
とを特徴とする。請求項7記載の増粘ゲル状組成物は、
請求項3〜6に記載の増粘ゲル化組成物において、ショ
糖脂肪酸ジエステルと高級脂肪族アルコール及び/又は
高級脂肪酸が水相中で会合し、そのサブセル構造が六方
晶形であるラメラ構造を形成していることを特徴とす
る。
【0010】以下に本発明の構成を詳細に説明する。本
発明に係る増粘ゲル化剤又は増粘ゲル状組成物は、通常
非イオン性界面活性剤として用いられているショ糖脂肪
酸ジエステルと、高級脂肪族アルコール及び/又は高級
脂肪酸が水相中で会合体を形成することによって増粘ゲ
ル化するものである。よって、本発明の増粘ゲル状組成
物の必須成分は、ショ糖脂肪酸ジエステル、高級脂肪族
アルコール及び/又は高級脂肪酸の2種である。
【0011】本発明において用いるショ糖脂肪酸ジエス
テルは、その脂肪酸が炭素数12〜22の飽和あるいは
不飽和の、直鎖あるいは分岐を持つものであり、二つの
脂肪酸は異なってもよい。ショ糖脂肪酸ジエステル中に
他のショ糖脂肪酸エステル、例えばショ糖脂肪酸モノエ
ステルやショ糖脂肪酸トリエステルが不純物として含有
されていても本発明に係る増粘ゲル化剤又は増粘ゲル状
組成物が得られるが、不純物の含有率は最大で50%で
あり、好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以
下である。但し、不純物としてモノエステルとトリエス
テルが共存する場合で、モノエステルとトリエステルと
の比が1:3〜1:20の範囲内にあれば、ジエステル
の含有率が50%より少なくても良く、この場合のジエ
ステルの含有率は35%以上、好ましくは40%以上で
ある。
【0012】一般に市販されているショ糖脂肪酸エステ
ルはモノエステル、ジエステル、トリエステル、及びそ
の他の不純物の混合物であり、本発明で用いるような純
度の高いショ糖脂肪酸ジエステルを得るためには、溶媒
分別やカラムクロマトグラフィーによって精製する必要
がある。カラムクロマトグラフィーにて精製すればジエ
ステル純度99%以上の高純度品を得ることができる。
ショ糖脂肪酸ジエステルは単独では水に非常に分散しに
くい。このため、本発明の増粘ゲル化剤では、ショ糖脂
肪酸ジエステルを水相に良好に分散させるためにイオン
性界面活性物質も必須成分である。
【0013】イオン性界面活性物質としては、脂肪酸石
鹸、エーテルカルボン酸およびその塩、アルカンスルホ
ン酸塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、ジアルキ
ルスルホコハク酸塩、高級脂肪酸アミドのスルホン酸
塩、アルキルアリルスルホン酸塩、高級アルコール硫酸
エステル塩、二級高級アルコール硫酸エステル塩、アル
キルおよびアルキルアリルエーテル硫酸エステル塩、グ
リセリン脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸
アルキロールアミドの硫酸エステル塩、硫酸化油、リン
酸エステル塩、アミノ酸、コラーゲン加水分解物と高級
脂肪酸縮合物、コラーゲン加水分解物誘導体等のアニオ
ン性界面活性剤、およびアルキルアミン塩、ポリアミン
またはアルカノールアミン脂肪酸誘導体、アルキルトリ
メチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウ
ム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アル
キルピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジ
アルキルモルホリニウム塩等のカチオン界面活性剤等を
用いることができ、好ましくは親油基の炭素数が12〜
22のイオン性界面活性剤であり、特に好ましいものは
親油基の炭素数12〜22のアニオン性あるいはカチオ
ン性界面活性剤である。
【0014】そして、前記イオン性界面活性物質の好適
な配合量は、ショ糖脂肪酸ジエステルと高級脂肪族アル
コール及び/又は高級脂肪酸の混合物全量に対して、
0.4モル%以上20モル%以下であり、更に好ましく
は1モル%以上8モル%以下である。本発明で用いられ
る高級脂肪族アルコール及び/又は高級脂肪酸として
は、その脂肪鎖が炭素数12以上の飽和あるいは不飽和
の、直鎖あるいは分岐をもつものであり、これらを一種
又は二種以上を用いてもよい。例えば、セタノール、ス
テアリルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアル
コール、ステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。
【0015】本発明の増粘ゲル状組成物において、ショ
糖脂肪酸ジエステルと高級脂肪族アルコール及び/又は
高級脂肪酸が水相中で会合体を形成し増粘ゲル化するの
であれば前記必須成分の配合比率は特に限定されない
が、好ましくはショ糖脂肪酸ジエステルが10モル%以
上50モル%以下、高級脂肪族アルコール及び/又は高
級脂肪酸が50モル%以上90モル%以下、さらに好ま
しくは、ショ糖脂肪酸ジエステルが25モル%以上45
モル%以下、高級脂肪族アルコール及び/又は高級脂肪
酸が55モル%以上75モル%以下である。そして、シ
ョ糖脂肪酸ジエステルと、高級脂肪族アルコール及び/
又は高級脂肪酸の配合モル比としては好ましくは1:1
〜1:5、さらに好ましくは1:1.5〜1:3であ
る。
【0016】本発明の増粘ゲル状組成物をDSC(走査
型熱量測定機)で測定すれば、用いたショ糖脂肪酸ジエ
ステルに由来する吸熱ピーク(以下このピークをPsと
する)、又は高級脂肪族アルコール及び/又は高級脂肪
酸に由来する吸熱ピーク(Pa)のTc(固液転移温
度)における吸熱ピークの他に、それらよりも高温部に
新たな吸熱ピーク(Pcとする)が観察される。ショ糖
脂肪酸ジエステルが前記モル比1:2よりも多い時には
Psと、Pcが観測され、モル比が1:2に近づくに伴
ってPsは小さくなり、Pcが大きくなる。そして、前
記配合モル比が1:2付近ではPs、又はPaは消失
し、Pcのみとなり、高級脂肪族アルコール及び/又は
高級脂肪酸がモル比1:2よりも多い時にはPsの他に
Paが観察されるようになる。
【0017】従って、このPcは、ショ糖脂肪酸ジエス
テルと高級脂肪族アルコール及び/又は高級脂肪酸のモ
ル比1:2で形成される会合体の吸熱ピークである。本
発明者らは前記会合体の構造を明らかにするために、小
角X線回折法にて構造解析を行った。その結果、ショ糖
脂肪酸ジエステル:高級脂肪族アルコール及び/又は高
級脂肪酸のモル比が1:2のゲル状組成物では、六方晶
(α構造)のサブセルから成るラメラ構造を形成してい
ることが確認された。
【0018】従って、本発明の増粘ゲル化剤及び増粘ゲ
ル状組成物が水相中において形成している会合体につい
て、次のような構造を有していることが理解される。す
なわち、水相中では図1に示すように、ショ糖脂肪酸ジ
エステル分子と、高級脂肪族アルコール及び/又は高級
脂肪酸分子がモル比1:2で配列し、このような配列に
おいて六方晶形のサブセル構造を有している。各分子の
親水基及び疎水基はその親和性により同じ方向性を持っ
て隣り合っており、このような配列が連なって層を成
し、親水基を水相側に、疎水基を互に向け合ったラメラ
構造を形成するものである。
【0019】前記ショ糖脂肪酸ジエステル:高級脂肪族
アルコール及び/又は高級脂肪酸のモル比が1:2の会
合体は、少なくともショ糖脂肪酸ジエステル:高級脂肪
族アルコールの配合モル比が1:1以上で形成され、こ
れが水相中に分散していることによって水相の流動性が
制限され、系が増粘ゲル化される。しかし、ショ糖脂肪
酸ジエステルが前記モル比より多いと過剰のショ糖脂肪
酸ジエステルが存在し、また、高級脂肪族アルコール及
び/又は高級脂肪酸が前記モル比1:2よりも多くなる
と、過剰の高級脂肪族アルコール及び/又は高級脂肪酸
が存在して、増粘ゲル化能は低下する傾向にある。
【0020】本発明に係る増粘ゲル化剤を得る方法につ
いては、ショ糖脂肪酸ジエステル、高級脂肪族アルコー
ル及び/又は高級脂肪酸、イオン性界面活性物質をクロ
ロホルム等の溶媒に混合溶解後、溶媒を留去して均一な
増粘ゲル化剤を得ることができる。前記必須成分は予め
均一にしておく必要は特にないが、増粘ゲル状組成物を
調製する時の調製時間を短縮するためには予め均一にし
ておくと良い。
【0021】本発明の増粘ゲル状組成物は、前記増粘ゲ
ル化剤を水又は水性溶媒等の水相に溶解して得ることが
できる。このような水性溶媒としては、例えば、エチル
アルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル、メチルアルコ−
ル、プロピレングリコ−ル、1,3−ブチレングリコ−
ル、グリセリン、エチレングリコ−ル、ポリエチレング
リコ−ル、又はこれらの水溶液等が挙げられる。
【0022】また、この増粘ゲル状組成物に他の成分を
配合して、化粧料や医薬品等とすることも可能である。
例えば、水溶性薬剤等の成分を添加して、ゲル剤、ロー
ション、美容液等を調製することができる。あるいは、
前記増粘ゲル状組成物を予め調製した乳化物や可溶化物
に添加・混合して、クリ−ム、乳液、ローション等を調
製してもよい。これらもまた、本発明の増粘ゲル状組成
物である。
【0023】本発明の増粘ゲル状組成物はまた、化粧料
や医薬品等の増粘ゲル状組成物の製造課程において、前
記必須成分を会合体を形成する配合比で適宜配合して得
ることができる。例えば、油相に高級脂肪族アルコール
及び/又は高級脂肪酸を加えておき、水相と乳化後、シ
ョ糖脂肪酸ジエステルを混合する方法が挙げられる。こ
のような場合にもイオン性界面活性物質をショ糖脂肪酸
ジエステルと併用すれば、ショ糖脂肪酸ジエステルが容
易に溶解分散できる。ショ糖脂肪酸ジエステルを予め水
相に添加した後で乳化してもよいが、その場合には、乳
化中に増粘する等の問題が起こりやすくなる。また、乳
化課程でショ糖脂肪酸ジエステルが界面活性剤として消
費されてしまい、水相中で会合体を形成するのに要する
ショ糖脂肪酸ジエステル量が不足するので、所望の増粘
ゲル状組成物を得るためには、乳化後に会合体を形成す
る為のショ糖脂肪酸ジエステルを追加しなければならな
い。
【0024】本発明の増粘ゲル化剤又は増粘ゲル状組成
物を前記のように乳化剤組成物に適用した場合にも前記
ショ糖脂肪酸ジエステル:高級脂肪族アルコール及び/
又は高級脂肪酸のモル比が1:2の会合体が形成され、
DSCにおいて会合体のピークが確認される。本発明の
増粘ゲル状組成物は、その硬度が変化したり、分離した
りするようなことがなく、経時的に非常に安定な増粘ゲ
ル状組成物である。
【0025】そして、本発明の増粘ゲル状組成物には用
途、目的に応じて他の物質を配合することも可能であ
り、たとえば化粧品に応用するならば香料類、防腐剤
類、ビタミン類、粉体、顔料等を配合できる。無機粉末
としては、例えばタルク、酸化チタン、カオリン、無水
ケイ酸、ケイ酸塩、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、ベンガラ、黄酸化鉄、酸化クロム、カーボ
ンブラック、群青、雲母、セリサイト、ナイロンパウダ
ー、ポリエチレン末、セルロースパウダー、アクリル系
樹脂、二酸化チタン、酸化鉄等が挙げられる。
【0026】無機顔料としては、例えばタルク、カオリ
ン、炭酸カルシウム、亜鉛華、二酸化チタン、赤酸化
鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、チタンコーティッドマ
イカ、オキシ塩化ビスマス、ベンガラ、粘結顔料、グン
ジョウピンク、水酸化クロム、雲母チタン、黄酸化鉄、
酸化クロム、酸化アルミニウムコバルト、紺青、黒酸化
鉄、カーボンブラック、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウ
ム、ベントナイト、マイカ、酸化ジルコニウム、酸化マ
グネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、軽質炭酸カルシウ
ム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸マグネシウム、重質
炭酸マグネシウム、ニラミン等が挙げられ、これらの無
機粉末、無機顔料はそのまま配合してもよいが、シリコ
ーン処理、フッ素処理、金属石鹸処理、活性剤処理等に
より疎水化したものを配合してもよい。
【0027】また、油分としては、ジメチルポリシロキ
サン、メチルポリシロキサン、環状シロキサン、トリメ
チルケイ酸等のシリコン油、パルミチン酸、ステアリン
酸、ベヘニン酸等の高級脂肪酸、コレステロ−ル等のス
テロ−ル類、流動パラフィン、オゾケライト、セレシン
ロウ、パラフィンロウ、ミクロクリスタルロウ、ワセリ
ン、スクワラン等の炭化水素、牛脂、豚油、アーモンド
油、アボガド油、オリーブ油、カカオ油、胡麻油、綿実
油、ヒマシ油、パーム核油、椰子油、パーム油、木ロ
ウ、落花生油等の油脂類、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリ
ン、キャンデリラロウ、カルバナロウ等のロウ類、ジエ
チルフタレート、ジブチルフタレート、コレステロ−ル
イソステアレ−ト等のエステル類が挙げられる。
【0028】これら油相には油溶性薬剤、酸化防止剤、
オクチルメトキシシンナメート等の紫外線吸収剤、親油
性の界面活性剤を配合することもできる。尚、本発明の
増粘ゲル状組成物に前記のような油分が配合されている
場合には、従来の増粘剤を用いた増粘ゲル状組成物の場
合に比して、皮膚に塗布後の撥水性が向上し、効果が持
続する傾向が認められた。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
する。なお、本発明は実施例に限定されるものではな
い。また、配合量は特に指定がない限り重量%で示す。
まず、本発明において用いるショ糖脂肪酸ジエステルの
製造例について説明する。製造例1 ショ糖ステアリン酸ジエステルの精製 1Lビ−カ−に、モノエステルを約30%含むとさ
れる市販ショ糖ステアリン酸エステル100gを秤取
し、メタノ−ル855mlと水45mlの混合液を加えて溶
媒の沸点近傍の温度で一度試料を溶解する。その後溶液
を44℃に保温し二相に分離させた後、上層(溶液相)
を分取する。なお、下層(固体相)の主成分はトリエス
テルであり、上層には、モノエステル及びジエステルが
主に含まれる。 この上層に水をエタノ−ル濃度が約
80v/v%になるように加え60℃にした後、25℃に
て沈殿物を生成させ、該沈殿物を分取する。この上層は
モノエステルを主成分とし、沈殿はジエスエテルを主成
分とする。 で得られた沈殿物をメタノ−ル720mlに溶解
し、その溶液に水を180ml加えて撹拌し、25℃にて
保温・静置して沈殿物を生成させ、その沈殿物を分取す
る。 の操作を再度行い、ショ糖ステアリン酸ジエステ
ルを約80%以上含む組成物を得ることができた。ショ
糖ステアリン酸ジエステル以外に存在する含有物として
は、ショ糖ステアリン酸モノエステル、トリエステル、
ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウムなどであった。
なお、原料ショ糖脂肪酸エステルに対する収率は約33
%であった。
【0030】製造例2 ショ糖オレイン酸モノ及びジエ
ステルの精製 1Lビ−カ−に、モノエステルを約70%含むとさ
れる市販ショ糖オレイン酸エステル50gを秤取し、メ
タノ−ル760ml、水190mlの混合液を加えて溶解し
−20℃で静置し、二相分離させた後沈殿部分(下層)
を分取する。ここで、上層はモノエステル、沈殿(下
層)はジエステル及びトリエステルの混合物を主成分と
する。 分取した沈殿部分にメタノ−ル760ml、水190
mlの混合液を加えて溶解し、−20℃で静置して再度二
相に分離させて沈殿部分を分取する。この操作を2回繰
り返す。ここで、上層はモノエステル、沈殿(下層)は
ジエステル及びトリエステルを主成分とする。 及びで得られた上層を濃縮してショ糖オレイン
酸モノエステルを得た。ショ糖オレイン酸モノエステル
の純度は約95%、収率は、原料ショ糖オレイン酸エス
テルに対して約65%であった。 及びで得られた下層をメタノ−ル97%溶液に
溶解し、室温で静置し上層を分取する。 で得られた上層を濃縮、乾燥してショ糖オレイン
酸ジエステルを得た。ショ糖オレイン酸ジエステルの純
度は65%以上、原料ショ糖オレイン酸エステルに対す
る収率は約25%であった。
【0031】製造例3 ショ糖ステアリン酸ジエステル
のカラムクロマトグラフィ−による精製 クロロホルム400mlを溶媒として市販品のカラム
クロマトグラフィ−用のシリカゲル200gを膨潤さ
せ、カラムクロマト管に充填し、製造法1によって得ら
れたショ糖ステアリン酸エステルを約10g付加した。 以下の溶媒を順次用いて段階溶離を行った。 i)メタノール:クロロホルム=8:92(体積比)1L ii)メタノ−ル:クロロホルム=15:85(体積比)
1L iii)メタノ−ル:クロロホルム=25:75(体積
比)1L 溶離液を70mlずつ分画し、各分画についてガスクロマ
トグラフィーとTLCでショ糖ステアリン酸ジエステル
を確認した。ジエステル分画を濃縮したところ、約4g
のショ糖ステアリン酸ジエステル(純度98%以上)が
分取できた。
【0032】製造例4 ショ糖オレイン酸ジエステルの
カラムクロマトグラフィ−による精製 クロロホルム400mlを溶媒として市販品のカラム
クロマトグラフィ−用のシリカゲル200gを膨潤さ
せ、カラムクロマト管に充填し、製造法2によって得ら
れたショ糖オレイン酸エステルを約10g付加した。 以下の溶媒を順次用いて段階溶離を行った。 i)メタノ−ル:クロロホルム=6:94(体積比)1L ii)メタノ−ル:クロロホルム=12:88(体積比)
1L iii)メタノ−ル:クロロホルム=20:80(体積
比)1L 溶離液を70mlずつ分画し、各分画についてガスクロマ
トグラフィーとTLCでショ糖オレイン酸ジエステルを
確認した。ジエステル分画を濃縮したところ、約2.5
gのショ糖オレイン酸ジエステル(純度98%以上)が
分取できた。
【0033】製造例5 ショ糖ステアリン酸ジエステル
の精製 1Lビーカーに、モノエステルを約30%含むとさ
れる市販ショ糖ステアリン酸エステル100gを秤取
し、メタノール800mlと水100ml混合液を加え
て溶媒の沸点近傍の温度で一度試料を溶解する。その
後、35℃にて沈殿物を生成させ、該沈殿物を分取し、
ショ糖ステアリン酸ジエステルを約40%、ショ糖ステ
アリン酸トリエステルを50%含む組成物を得ることが
できた。ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステア
リン酸トリエステル以外に存在する含有物としては、シ
ョ糖ステアリン酸モノエステル、ステアリン酸、ステア
リン酸ナトリウムであった。尚、原料ショ糖脂肪酸エス
テルに対する収率は約75%であった。
【0034】次に、以上のように製造されたショ糖脂肪
酸ジエステルと、高級脂肪族アルコール及び/又は高級
脂肪酸を用いた増粘ゲル化剤及びゲル状組成物の例につ
いて説明する。実施例1 ゲル硬度、DSC測定及びX線解析 <増粘ゲル状組成物の調製>ショ糖脂肪酸ジエステルと
して製造例3で得られたショ糖ステアリン酸ジエステル
(イオン性界面活性物質としてステアリン酸ナトリウム
を1モル%含有する)と、高級脂肪族アルコールとして
ステアリルアルコールを種々の配合比で混合し、クロロ
ホルムで一旦溶解してから、濃縮してクロロホルムを留
去し、均一な増粘ゲル化剤を得た。得られた増粘ゲル化
剤を5%、精製水を95%の比率で混合して溶解し、5
%ゲル状組成物を製造した。
【0035】<ゲル硬度>前記5%ゲル状組成物の25
℃におけるゲル硬度をカードテンションメーターにて測
定し、配合モル比とゲル硬度との関係を調べた。結果を
図2に示す。図2から、本発明の増粘ゲル化剤又は増粘
ゲル状組成物において、増粘ゲル化能を示す範囲として
は、高級脂肪族アルコールのモル分率が約0.5〜0.
83、すなわち、ショ糖脂肪酸ジエステル:高級脂肪族
アルコールのモル比が1:1〜1:5の範囲であり、好
ましくは前記モル分率が約0.6〜0.75、すなわ
ち、前記モル比が1:1.5〜1:3であり、この範囲
においてはショ糖脂肪酸ジエステル:高級脂肪族アルコ
ール及び/又は高級脂肪酸のモル比1:2の会合体を形
成していると考えられる。そして、増粘ゲル化能が最大
となるのは前記モル比が約0.67、すなわち、前記モ
ル比1:2の時であった。
【0036】尚、高級脂肪族アルコールの代りに高級脂
肪酸またはこれらの混合物を用いても同様の結果が得ら
れた。 <DSC測定>前記5%ゲル状組成物について、DSC
(走査型熱量測定機)による測定を行った。結果を図3
に示す。図3から明らかなように、ショ糖脂肪酸ジエス
テル:高級脂肪族アルコールのモル比が1:2でショ糖
脂肪酸ジエステルの吸熱ピーク(49℃)及び高級脂肪
族アルコールの吸熱ピーク(45℃及び60℃)は完全
に消失し、高温部(69℃)に前記モル比1:2の会合
体の吸熱ピークのみが観察された。尚、高級脂肪族アル
コールの代りに高級脂肪酸またはこれらの混合物を用い
ても同様の結果が得られた。以上のことから、本発明の
増粘ゲル化剤又は増粘ゲル状組成物は水相中でショ糖脂
肪酸ジエステル:高級脂肪族アルコール及び/又は高級
脂肪酸のモル比が1:2の会合体を形成し、この会合体
が存在することによって系が増粘ゲル化し、また、その
増粘ゲル状組成物は熱安定性に優れることが明らかとな
った。
【0037】<X線解析>前記DSC測定で観察された
会合体の構造を調べるために、ショ糖ステアリン酸ジエ
ステル:ステアリルアルコールのモル比が1:2のゲル
状組成物について小角X線回折法で構造解析を行った。
その結果、図4に示すように、21.5度付近に面間隔
4.1Åのピークが観測された。このことは、ゲル状組
成物中にサブセル構造が六方晶(α構造)の会合体が形
成されていることを示すものである。尚、高級脂肪族ア
ルコールの代りに高級脂肪酸またはこれらの混合物を用
いても同様の結果が得られた。
【0038】従って、本発明の増粘ゲル化剤又は増粘ゲ
ル状組成物においてショ糖脂肪酸ジエステルと高級脂肪
族アルコール及び/又は高級脂肪酸が水相中で形成する
会合体は、前記図1に示すような構造を有することが理
解される。すなわち、水相中ではショ糖脂肪酸ジエステ
ル分子と、高級脂肪族アルコール及び/又は高級脂肪酸
分子がモル比1:2で配列し、このような配列において
六方晶形のサブセル構造を有している。各分子の親水基
及び疎水基はその親和性により同じ方向性を持って隣り
合っており、このような配列が連なって層を成し、親水
基を水相側に、疎水基を互に向け合ったラメラ構造を形
成するものである。
【0039】以上の結果から、前記モル比1:2の会合
体が水相中に分散していることによって系が増粘ゲル化
されることが明かとなった。但し、ショ糖脂肪酸ジエス
テルが1:2より多いと過剰のショ糖脂肪酸ジエステル
が存在し、また、高級脂肪族アルコール及び/又は高級
脂肪酸が1:2よりも多くなると、過剰の高級脂肪族ア
ルコール及び/又は高級脂肪酸が存在して、増粘ゲル化
能は低下する傾向にが認められた。
【0040】実施例2 増粘ゲル化剤の製造 製造例5によって得られたショ糖ステアリン酸ジエステ
ル(イオン性界面活性物質としてステアリン酸ナトリウ
ムを1%程度含有する)40g、高級脂肪族アルコール
としてベヘニルアルコール40g及びステアリルアルコ
ール20gを用い、これらをクロロホルム200mlに
溶解し、濃縮して溶媒を除き、ショ糖ステアリン酸ジエ
ステル、ステアリン酸ナトリウム、ベヘニルアルコール
ステアリルアルコールからなる増粘ゲル化剤を得た。
【0041】実施例3〜8、比較例a 増粘ゲル状組成
下記表1の処方で実施例2に準じて増粘ゲル化剤を製造
し、前記増粘ゲル化剤5%、精製水95%の配合比率で
混合溶解して増粘ゲル状組成物を調製した。25℃にお
ける各増粘ゲル状組成物の硬度をカ−ドテンションメ−
タ−にて測定し、また、増粘ゲル状組成物の安定性につ
いて下記の基準に従って評価した。 ○・・・経時的に安定 △・・・経時的に僅かに分離が認められる ×・・・経時的に完全に分離する 結果を表1に示す。
【表1】 ──────────────────────────────────── 比較例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 実施例 a 3 4 5 6 7 8 ────────────────────────────────────ヘ゛ヘニルアルコール (A) 100% 50 44 40 25 14 10ショ 糖ステアリン酸シ゛エステル(B) 0% 50 56 60 75 86 90 モル比[(A)/(B)] − 3 2.3 2 1 0.5 0.3 ──────────────────────────────────── ゲル硬度 0 8 14 11 2 6 6 安定性 × ○ ○ ○ △ △ △ ────────────────────────────────────
【0042】実施例9〜11 増粘ゲル状組成物 製造例3で得られたショ糖ステアリン酸ジエステルと、
高級脂肪族アルコールとしてベヘニルアルコールと、イ
オン性界面活性物質としてステアリン酸ナトリウムを用
いて、下記表2のような組成でゲル状組成物を製造し
た。製法は、精製水、ステアリン酸カリウムおよびベヘ
ニルアルコールを70℃で乳化し、ショ糖ステアリン酸
ジエステルを加えて攪拌混合して増粘ゲル状組成物を得
た。前記実施例3〜8と同様にして調製直後及び1カ月
経過後のゲル硬度を測定し、また、安定性も評価した。
結果を表2に示す。
【表2】 ──────────────────────────────────── 実施例 実施例 実施例 9 10 11 ──────────────────────────────────── ステアリルアルコール 0.5 % 1.5 2.5 ショ糖ステアリン酸ジエステル 0.45% 1.35 2.25 ステアリン酸カリウム 0.05% 0.15 0.25 精製水 99.0 % 97.0 95.0 ──────────────────────────────────── ゲル硬度(調製直後) 1.0 6.0 11.0 (1カ月後) 1.0 7.0 13.0 安定性 ○ ○ ○ ──────────────────────────────────── 以上のように、何れの実施例においても、製造直後およ
び一カ月経過後とも硬度の変化が殆どなく、分離もしな
い非常に安定な増粘ゲル状組成物が得られた。
【0043】実施例12 ゲル状美容液 1)ショ糖ステアリン酸ジエステル 3.0wt% 2)ステアリン酸ナトリウム 0.25 3)ステアリルアルコール 1.0 ここで、ショ糖ステアリン酸ジエステルは、製造例5に
よって得られたものであり、少量のステアリン酸ナトリ
ウムを含有する。1)〜3)をクロロホルムに溶解した
後、蒸発乾固させる。乾固させた試料にグリセリン5
%、精製水90.75%を添加し均一にした後、各種水
溶性薬剤を加えて、ゲル状美容液を得た。このゲル状美
容液は経時的にゲル硬度が変化したり、分離したりする
ことのない安定なゲル状組成物であり、さっぱりとして
いて、良好な使用性を有していた。また、DSC測定に
おいて、前記モル比1:2の会合体を形成していること
が確認された。
【0044】実施例13、比較例f ゲル状乳化組成物 1)トリメチルシロキシケイ酸 20.0wt% 2)ベヘニルアルコール 1.0 3)ステアリルアルコール 1.0 4)香料 0.1 5)精製水 残 量 6)プロピレングリール 10.0 7)ショ糖ステアリン酸ジエステル 0.5 8)ショ糖ステアリン酸ジエステル 2.5 ここで、ショ糖ステアリン酸ジエステルは、製造例5に
よって得られたものである。
【0045】1)〜4)と5)〜7)を別々に70℃に
加熱攪拌し、5)〜7)に1)〜4)を攪拌しながら加
えて乳化後、8)を加えて混合攪拌し、冷却してゲル状
乳化組成物(実施例13)を得た。また、2)及び3)
の高級脂肪族アルコールの代りに8)のショ糖ステアリ
ン酸ジエステルを4.5%に増量して同様に製造した乳
化組成物(比較例f)も製造した。実施例13のゲル硬
度は比較例fに比べて高く、増粘ゲル化していた。実施
例13及び比較例fの乳化組成物についてDSC測定を
行ったところ、実施例13では前記実施例1で観察され
たショ糖脂肪酸ジエステル:高級脂肪族アルコールのモ
ル比1:2の会合体の吸熱ピークと同じピークが認めら
れたのに対し、比較例fでは前記会合体に由来する吸熱
ピークは認められなかった。以上のことから、本発明の
増粘ゲル化剤又は増粘ゲル状組成物を乳化物に適用した
場合にも、ショ糖脂肪酸ジエステルと高級脂肪族アルコ
ール及び/又は高級脂肪酸は水相中でモル比1:2の会
合体を形成し、増粘ゲル化能が発揮されることが明らか
となった。
【0046】実施例14 栄養クリ−ム 1)流動パラフィン 30.0wt% 2)プルロニック 4.0 3)ビタミンEアセテート 0.2 4)パラベン 0.2 5)香料 0.1 6)ステアリン酸 1.5 7)精製水 残 量 8)グリセリン 30.0 9)ショ糖オレイン酸ジエステル 2.5 ここで、ショ糖オレイン酸ジエステルは、製造例4によ
って得られたものであり、少量のオレイン酸ナトリウム
を含有する。
【0047】1)〜6)と7)〜8)を別々に70℃に
加熱し、7)〜8)に1)〜6)を攪拌しながら加えて
乳化後、9)を加えて混合攪拌し、冷却して栄養クリー
ムを得た。この栄養クリームは、経時的にゲル硬度が変
化したり、分離したりすることのない安定な増粘ゲル状
組成物であり、さっぱりとしていて、良好な使用性を有
していた。また、DSC測定によって、前記モル比1:
2の会合体を形成していることが確認された。
【0048】実施例15 ハンドクリーム 1)スクワラン 20.0wt% 2)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル 4.0 3)ワセリン 15.0 4)ビタミンEアセテート 0.2 5)パラベン 0.2 6)香料 0.1 7)ステアリルアルコール 0.75 8)ベヘニルアルコール 0.75 9)精製水 残 量 10)プロピレングリコール 10.0 11)ショ糖ステアリン酸ジエステル 3.0 ここで、ショ糖ステアリン酸ジエステルは、製造例5に
よって得られたものであり、少量のステアリン酸ナトリ
ウムを含有する。
【0049】1)〜8)と9)〜10)を別々に70℃
に加熱し、9)〜10)に1)〜8)を攪拌しながら加
えて乳化後、11)を加えて混合攪拌し、冷却してハン
ドクリームを得た。このハンドクリームは経時的にゲル
硬度が変化したり、分離したりすることのない安定なゲ
ル状組成物であり、さっぱりとしていて、良好な使用性
を有していた。また、DSC測定において、前記モル比
1:2の会合体を形成していることが確認された。
【0050】実施例16 ゲル状美白化粧料 <ゲル処方> 1)ステアリン酸 0.5wt% 2)トリエタノールアミン 0.3 3)ベヘニルアルコール 2.0 4)精製水 残 量 5)ショ糖ステアリン酸ジエステル 3.0 ここで、ショ糖ステアリン酸ジエステルは、製造例5に
よって得られたものである。1)〜4)を60℃に加熱
溶解した後、5)を加えて混合攪拌し、冷却してゲルを
得た。
【0051】 <乳化処方> 1)スクワラン 40.0wt% 2)ステアリン酸 0.5 3)パラベン 0.1 4)香料 0.1 5)トリエタノールアミン 0.3 6)プロピレングリコール 20.0 7)アルブチン 3.0 8)精製水 残 量
【0052】以上の組成で常法により乳化物を調製し、
上記のゲル70gと乳化物30gを混合し、25℃に冷
却して、ゲル状美白化粧料を得た。このゲル状美白化粧
料は経時的にゲル硬度が変化したり、分離したりするこ
とのない安定なゲル状組成物であり、さっぱりとしてい
て、良好な使用性を有していた。また、DSC測定にお
いて、前記モル比1:2の会合体を形成していることが
確認された。
【0053】実施例17 サンスクリーンクリーム 1)ビースワックス 2.0wt% 2)ショートニング 2.0 3)セトステアリルアルコール 2.0 4)オリーブ油 14.8 5)pージメチルアミノ安息香酸2ーエチルヘキシルエステル 4.0 6)2ーヒドロキシー4ーメトキシベンゾフェノン 1.0 7)香料 0.1 8)パラベン 0.1 9)エタノール 5.0 10)精製水 残 量 11)プルロニック 0.4 12)プロピレングリコール 5.0 13)ショ糖オレイン酸ジエステル 2.0 ここで、ショ糖オレイン酸ジエステルは、製造例4によ
って得られたものであり、少量のオレイン酸ナトリウム
を含有する。
【0054】1)〜8)と9)〜12)を別々に70℃
に加熱攪拌し、1)〜8)に9)〜12)を攪拌しなが
ら加えて乳化後、13)を加えて混合攪拌し、冷却して
O/Wのサンスクリーンクリームを得た。このクリーム
は経時的にゲル硬度が変化したり、分離したりすること
のない安定なゲル状組成物であり、さっぱりとしてい
て、良好な使用性を有していた。また、DSC測定にお
いて、前記モル比1:2の会合体を形成していることが
確認された。
【0055】実施例18 サンスクリーンローション 1)ワセリン 10.0wt% 2)オリーブオイル 15.0 3)オレイン酸 2.0 4)オクチルメトキシシンナメート 3.0 5)パラベン 0.1 6)香料 0.1 7)精製水 残 量 8)オレイン酸カリウム 0.5 9)シリコン処理酸化チタン 6.0 10)プロピレングリコール 5.0 11)ショ糖ステアリン酸ジエステル 3.0 ここで、ショ糖ステアリン酸ジエステルは、製造例5に
よって得られたものである。
【0056】1)〜6)と7)〜10)を別々に70℃
に加熱攪拌し、1)〜6)に7)〜10)を攪拌しなが
ら加えて乳化後、11)を加えて混合攪拌し、冷却して
O/Wのサンスクリーンローションを得た。このローシ
ョンは経時的にゲル硬度が変化したり、分離したりする
ことのない安定なゲル状組成物であり、良好な使用性を
有していた。また、DSC測定において、前記モル比
1:2の会合体を形成していることが確認された。
【0057】実施例19 プレメークローション 1)流動パラフィン 10.0wt% 2)トリメチルシロキシケイ酸 3.0 3)ベヘニルアルコール 0.5 4)ステアリルアルコール 0.5 5)香料 0.1 6)パラベン 0.1 7)精製水 残 量 8)ステアリン酸カリウム 0.4 9)ポリエチレングリコール 3.0 10)球状セルロース粉末 1.0 11)プロピレングリコール 8.0 12)ショ糖オレイン酸ジエステル 1.5 ここで、ショ糖オレイン酸ジエステルは、製造例4によ
って得られたものである。
【0058】1)〜6)と7)〜11)を別々に70℃
に加熱攪拌し、7)〜11)に1)〜6)を攪拌しなが
ら加えて乳化した後、12)を加えて混合攪拌し、冷却
してプレメークローションを製造した。このローション
は37℃、25℃、0℃でそれぞれ1カ月以上安定であ
り、さっぱりとしていて、良好な使用性を有していた。
また、DSC測定において、前記モル比1:2の会合体
を形成していることが確認された。
【0059】実施例20 ファンデーション 1 1)環状ポリシロキサン 10.0wt% 2)トリメチルシロキシケイ酸 3.0 3)ステアリルアルコール 1.0 4)香料 0.1 5)パラベン 0.1 6)精製水 残 量 7)ステアリン酸ナトリウム 0.2 8)二酸化チタン 5.8 9)タルク 4.2 10)酸化鉄 2.1 11)プロピレングリコール 8.0 12)ショ糖オレイン酸ジエステル 1.5 ここで、ショ糖オレイン酸ジエステルは、製造例4によ
って得られたものである。
【0060】1)〜5)と6)〜11)を別々に70℃
に加熱攪拌し、6)〜11)に1)〜5)を攪拌しなが
ら加えて乳化した後、12)を加えて混合攪拌し、冷却
してファンデーションを製造した。このローションは3
7℃、25℃、0℃でそれぞれ1カ月以上安定であり、
さっぱりとしていて、良好な使用性を有していた。ま
た、DSC測定において、前記モル比1:2の会合体を
形成していることが確認された。
【0061】実施例21 ファンデーション2 1)ジメチルポリシロキサン 7.0wt% 2)メチルフェニルシロキサン 5.0 3)スクワラン 5.0 4)ベヘニルアルコール 1.0 5)香料 0.1 6)パラベン 0.1 7)精製水 残 量 8)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル 4.0 9)シリコン処理二酸化チタン 5.8 10)シリコン処理セイサイト 4.2 11)シリコン処理酸化鉄 2.1 12)ブチレングリコール 5.0 13)ショ糖ステアリン酸ジエステル 2.5 ここで、ショ糖ステアリン酸ジエステルは、製造例5に
よって得られたものであり、少量のステアリン酸ナトリ
ウムを含有する。
【0062】1)〜6)と7)〜12)を別々に加熱攪
拌して均一にし、7)〜12)に1)〜6)を攪拌しな
がら加えて乳化した後、13)を加えて混合攪拌し、冷
却してファンデーションを製造した。このローションは
37℃、25℃、0℃でそれぞれ1カ月以上安定であ
り、さっぱりとしていて、良好な使用性を有していた。
また、DSC測定において、前記モル比1:2の会合体
を形成していることが確認された。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る増粘
ゲル化剤又は増粘ゲル状組成物において、ショ糖脂肪酸
ジエステル及び高級脂肪族アルコール及び/又は高級脂
肪酸が水相中でモル比1:2の特定構造の会合体を形成
することにより、優れた増粘ゲル化能を発揮することを
特徴とし、良好な安全性、安定性、使用性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るショ糖ステアリン酸ジ
エステルとステアリルアルコールを含有する増粘ゲル状
組成物において、それらが水相中で形成する会合体の説
明図である。
【図2】本発明の一実施例に係るショ糖ステアリン酸ジ
エステルとステアリルアルコールを含有する増粘ゲル状
組成物において、その配合モル分率とゲル硬度の関係を
示す図である。
【図3】本発明の一実施例に係るショ糖ステアリン酸ジ
エステルとステアリルアルコールを含有する増粘ゲル状
組成物において、種々の配合比の増粘ゲル状組成物のD
SCチャート図である。
【図4】本発明の一実施例に係るショ糖ステアリン酸ジ
エステルとステアリルアルコールを含有する増粘ゲル状
組成物について、小角X線回折法にて測定したチャート
図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年8月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/10 F 47/12 47/14 F (72)発明者 安斎 伸一 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂第一リサーチセンター内 (72)発明者 中島 英夫 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂第一リサーチセンター内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ショ糖脂肪酸ジエステルと、高級脂肪族
    アルコール及び/又は高級脂肪酸と、イオン性界面活性
    物質とを含有することを特徴とする増粘ゲル化剤。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の増粘ゲル化剤におい
    て、ショ糖脂肪酸ジエステルと、高級脂肪族アルコール
    及び/又は高級脂肪酸のモル比が1:1〜1:5であ
    り、これらの混合物全量に対してイオン性界面活性物質
    を0.4〜20モル%含有することを特徴とする増粘ゲ
    ル化剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の増粘ゲル化剤を
    水相中に含有していることを特徴とする増粘ゲル状組成
    物。
  4. 【請求項4】 イオン性界面活性物質の存在下で、ショ
    糖脂肪酸ジエステルと高級脂肪酸アルコール及び/又は
    高級脂肪酸が水相中でモル比1:2の会合体を形成して
    いることを特徴とする増粘ゲル状組成物。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4に記載の増粘ゲル状組成
    物において、ショ糖脂肪酸ジエステルと高級脂肪族アル
    コール及び/又は高級脂肪酸のモル比を1:2とした場
    合にDSC(示唆走査型熱量測定)において観測され
    る、前記ショ糖脂肪酸ジエステルでもなく、前記高級脂
    肪族アルコール及び/又は前記高級脂肪酸でもなく、ま
    た、その他の成分でもない吸熱ピークと同じ位置に吸熱
    ピークを有することを特徴とする増粘ゲル状組成物。
  6. 【請求項6】 請求項3〜5に記載の増粘ゲル状組成物
    において、ショ糖脂肪酸ジエステルと高級脂肪族アルコ
    ール及び/又は高級脂肪酸が水相中で会合し、ラメラ構
    造を形成して会合していることを特徴とする増粘ゲル状
    組成物。
  7. 【請求項7】 請求項3〜6に記載の増粘ゲル化組成物
    において、ショ糖脂肪酸ジエステルと高級脂肪族アルコ
    ール及び/又は高級脂肪酸が水相中で会合し、そのサブ
    セル構造が六方晶であるラメラ構造を形成していること
    を特徴とする増粘ゲル状組成物。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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