JP2004121249A - 農作物の鮮度維持用複合吸着剤 - Google Patents

農作物の鮮度維持用複合吸着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 水を多く吸着するが農作物の生理活動に必要な水は維持でき、エチレンを多く吸着して熟成を遅延し、微生物またはかびの繁殖を抑制することで、収穫した果物、または野菜の鮮度を長時間維持でき、切花の寿命を大きく伸ばすことができる複合吸着剤を提供すること。
【解決手段】 銀を担持したシリケイト系担体、塩化カルシウムを担持したシリケイト系担体及び活性炭を配合し、製造する。銀を担持したシリケイト系担体及び活性炭によるエチレン吸着作用と、塩化カルシウムを担持したシリケイト系担体による制湿作用との協同作用により鮮度維持機能が大きく向上する。
【選択図】  図5

Description

 本発明は、農作物の鮮度を維持させるための複合吸着剤に関し、もっと詳しく言うと、焼成したシリケイト系担体、銀を担持したシリケイト系担体、塩化カルシウムを担持したシリケイト系担体及び活性炭を混合し、製造した複合吸着剤複合吸着剤に関する。
 母体についたままの状態で十分に熟成した果物と野菜が味と栄養面でもっとも優れているが、大部分の農作物は生産地から消費者までの移動に要する時間を考慮して完全に熟成する前の段階で収穫する。切化も同様に消費者に渡る際に満開するように未成熟の状態で収穫する。従って、収穫した農作物は保管と移動中に熟成するだけではなく変質と腐敗も同時に進行し、状態は悪くなる。特に、母体から分離されたストレスにより農作物の抵抗力が弱くなり、分離した部位または移動中に生じた傷の部位から生成するエチレンが熟成と変質を促進するので、周辺環境を制御し熟成、変質、腐敗による状態変化を最小化する。それに、空気中にまたは収穫した農作物に付いているかび及び微生物の繁殖も農作物の腐敗を加速させるため、抗菌性雰囲気で農作物を保管することで、新鮮度を望む期間を維持することができる。
 農産物を新鮮な状態で消費者に提供するためには、収穫後、熟成または変質をできる限り押さえる必要がある。農作物の熟成または変質を促進させるものとしては、新陳代謝に必要な酸素、水分、そして成長ホルモンであるエチレンがある。他に、二酸化炭素も農作物の変質を促進するという説もあるが、検証されていない。また微生物やかび等も農作物の腐敗と変質に大きく影響する。これらの物質または生物以外にも温度、湿度等も農作物の新陳代謝または腐敗に与える影響が大きい。熟成または腐敗も生物の生理活動であるので、適切な温度と湿度の条件下で早く進行する。前に述べた物質または因子は単独にも熟成または腐敗に影響を与えるが、これらの因子の間に交互作用があるため農作物の熟成と変質及び腐敗に与える影響を定量的に調べることは非常に難しい。
 これらの因子を適切に制御すれば農作物の状態変化を抑制することができる。即ち、農作物の熟成と腐敗を抑制し新鮮度を維持するためには、これらの変化を促進する物質を除去し、生命体として基本活動ができるように温度、湿度を適切に維持する必要がある。新陳代謝に必要な酸素を除去して熟成または腐敗を根本的に抑制するためには、窒素またはアルゴンを農作物の包装容器に注入し、酸素を排除する方法を用いる。水分を除去すると農作物の新陳代謝が遅くれると同時に、微生物やかびの繁殖も抑制されるため、農作物の鮮度を長く維持することができる。低い温度では農作物の生理活動が低下し、熟成や変質が遅くなるため低温保管方法を農作物の鮮度維持目的に広く活用している。他には農作物の成長ホルモンであるエチレンを除去することで熟成を遅くし、鮮度を維持することもできる。エチレンの発生速度とエチレンに対する感受性は農作物の種類により異なるが、甘い柿、みかん、梨、等ではエチレンが多く発生し、また感受性も高いため、エチレン除去がこれらの農作物の鮮度維持に効果的であることが知られている。二酸化炭素の除去も農作物の鮮度維持に寄与するという説もあるが、確かではない。
 色々な方法の中で低温で収穫した農作物を保管する方法が鮮度維持目的にもっとも広く使われている。生理活動を抑制し、熟成や変質を遅くするだけではなく、微生物やかびの繁殖も抑制し状態変化を遅延する。また、低温保管方法は農作物の種類に関係なく広く使用することができる。しかし、あんまり低い温度で農作物を保管すると非可逆的な損傷を与える場合もあり、冷却だけで鮮度を維持するには限界がある。また、低温を維持するには費用が多くかかるため経費負担が大きい。従って、低温保管方法は施設に必要な投資費が大きいため、少量の農作物を短期間貯蔵する方法としては適当ではないが、大量の農作物を長期間保管するには適切な方法として多く使われている。
 農作物を入れる容器または保管設備の空気を窒素またはアルゴンに置換し、酸素を除去する方法も鮮度維持に効果的である。この方法は大規模の施設だけではなく、小規模に包装した農作物にも適用が可能であるが、効果は確かではない。さらに、密閉状態では農作物から蒸発した水分により容器の内が飽和し、微生物の繁殖が早くなり、腐敗と変質が激しくなることから実際に多くは使用されない。
 農作物入れ保管容器または施設から水分を除去する方法も農作物の鮮度維持に効果的である。水分を適当に除去すると農作物の生理活動が抑制され微生物とかびの繁殖が遅くなる。しかし、過渡に水分を除去すると農作物の味と香りが落ち、表面状態の変化を伴い、商品価値が低下するため、水分の過渡な除去よりは適切に湿度を維持するのが効果的である。
 植物の成熟ホルモンであるエチレンを除去する方法も農作物の鮮度維持に効果的であり、貯蔵中または移送中の農作物から発生するエチレンを除去する色々な方法が提案され、応用されている。小規模の密封包装した農作物に過マンガン酸カリウムを含む除去剤を入れ、活性化した酸素を与えることにより、エチレンを完全酸化し二酸化炭素と水に分解する。過マンガン酸カリウムはエチレンの除去効果は優れているが、強力な酸化剤である過マンガン酸カリウムは毒性が非常に強いため農作物との接触が厳しく規制されている。有機物を選択的に吸着する活性炭を農作物と一緒に入れエチレンを吸着し除去することもできる。湿度が低い条件下では活性炭にエチレンは大量に吸着するのでエチレンを安全に除去できる。しかし、大部分の農作物から出る水の蒸発により密封包装容器の内部が水蒸気に飽和され、この状態では活性炭に水が優先的に吸着し、活性炭はエチレンを脱着するので活性炭のエチレン除去能力はなくなる。他には光触媒を利用してエチレンを酸化して除去する方法もある。光源に使われる電力費用以外には他の費用がかからないことと、長時間安定に使うことができるので非常に効果的である。しかし、ある程度の設備費用が掛かるので小規模に包装した農作物よりは大型の貯蔵施設への適用が適切である。燃焼触媒を利用して低温で低い濃度のエチレンを完全に燃焼し、除去することもできる。エチレンを素早く確実に除去することが可能であるが、燃料費用と安定性が問題となる。
 鮮度維持のためには微生物またはかびの繁殖を抑制することも重要であるが、農薬を用いると残留農薬の毒性が心配され、貯蔵農作物への農薬の使用も厳しく規制している。抗菌性を持つ包装剤に農作物を包装する場合もあるが、鮮度維持に寄与する効果はまだ定量的に検証されていない。
 このように、収穫した農作物の鮮度を維持するためには色々な方法が使われているが、鮮度維持効果を定量的に検証するのは難しい。同じ種類の農作物であっても収穫の場所、時期により農作物の状態が大きく異なる。見た目には同じく見えても、個体ごとに熟成または変質程度が大きく違うので、鮮度維持剤の機能を定量的に推定するのは難しい。
 このような不確実性にも関わらず、農作物の保管または移送中の鮮度維持は農作物の価値を保つのに絶対的であるため、色々な鮮度維持方法が一緒に使われている。大規模の施設では収穫した農作物の新陳代謝を遅延すること、微生物またはかびの繁殖を押さえるため、低温での保管と同時に吸着剤と光触媒を用いてエチレンと水を除去する。小規模に包装した農作物には制湿とエチレン除去のため合成ゼオライトAと活性炭を混合した吸着剤を使う場合もある。エチレンと水は農作物の熟成と変質を促進するため、この様な鮮度維持剤は包装した農作物の鮮度維持には効果的である。しかし、密封包装状態では農作物から水分が蒸発し、内部湿度が高くなり飽和状態の場合、活性炭に水が吸着することにより先に吸着したエチレンが全て脱着し、エチレンを除去する目的を満たせない。
 農作物は流通過程で栄養と味の損失を最少化した新鮮な状態で消費者に提供する必要がある。従って農作物の鮮度維持は農家の所得増大という1次的な効果以外にも生産した農作物を廃棄する損失も押さえることで国家的にも重要である。しかし、農作物の種類と状態により熟成または腐敗速度が大きく異なること、周辺環境に対する感受性も差が大きいことから全ての農作物に適用可能な鮮度維持方法を開発するのは難しい。さらに、保管対象の農作物の規模または期間により適切な鮮度維持方法が異なることも全ての条件に合う開発は簡単ではない。
 農作物の熟成または腐敗も生物学的反応であり、低温保管または酸素除去が効果的である。しかし、流通過程で農作物を連続的に低温に保管するには限界がある。さらに、酸素除去のため密封状態で保管すると湿度の上昇により腐敗を促進する可能性もあるので酸素除去の効果は確かではない。この場合は水とエチレンを同時に除去出来る吸着剤を農作物と一緒に入れ農作物の腐敗と変質を抑制することが望ましい。低湿条件下ではエチレンを多く吸着すること、多湿条件下ではエチレンを非可逆的に吸着し、水蒸気が飽和してもエチレンの一部が脱着されずに残っている吸着剤が望ましい。
 このためには、少量の吸着剤を用い、水分は多く吸着する一方、農作物の最小限の生理活動が行われる水準の湿度を保つことができる吸着剤が必要である。この吸着剤はエチレンも多く吸着できることが条件である。特に湿度が高い状態でもエチレンをなるべく多く吸着できると効果的である。しかし、甘柿等完全密封状態で保管する小数の農作物を除いて、大部分の農作物は空気が通る条件で包装されているので、梅雨時期または特殊な条件以外には飽和湿度にはならない。したがって、水を適当量吸着しながらエチレン除去機能も一緒に発現する複合吸着剤を設計する必要がある。水を多く除去し、包装した農作物が飽和湿度にならないように水の除去機能と、同時にエチレンを一定濃度以下に除去できる機能が農作物の鮮度維持に非常に重要である。
 いちごのように微生物またはかびにより容易に腐敗される農作物もある。これらの農作物は制湿方法だけでは鮮度維持が難しい。さらに、外部から入って来る微生物またはかびによる腐敗と変質が農作物の状態変化を促進する主原因であるため、これらの繁殖を押さえないと鮮度は維持できない。吸着剤に微生物またはかびに対する抗菌機能が加わると農作物の鮮度維持剤としての性能が大きく向上する。
 本発明は、以上に述べた問題点を鑑みてなされたものであり、水を多く吸着するが農作物の生理活動に必要な水は維持でき、エチレンを多く吸着して熟成を遅延し、微生物またはかびの繁殖を抑制することで、収穫した果物、または野菜の鮮度を長時間維持でき、切花の寿命を大きく伸ばすことができる複合吸着剤を提供することを目的とする。
 請求項1に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤は、上記課題を解決するために、銀を担持したシリケイト系担体、塩化カルシウムを担持したシリケイト系担体及び活性炭を配合し、製造したことを特徴とする。
 請求項2に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤は、請求項1に記載のものにおいて、シリケイト系担体として天然ゼオライト、合成A型ゼオライト、合成X型ゼオライト、合成P型ゼオライトのうちより選ばれた1つを使用することを特徴とするものである。
 請求項3に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤は、請求項2に記載のものにおいて、シリケイト系担体に用いる合成A型ゼオライトまたは合成X型ゼオライトを粒状に成型したカオリンを焼成した後、30%〜80%ゼオライトを含有するようにアルカリ溶液と反応させ製造した粒状合成ゼオライトを用いることを特徴とするものである。
 請求項4に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤は、請求項1に記載のものにおいて、銀を担持したシリケイト系担体は、窒酸銀0.5〜2.0重量%溶液をシリケイト系担体に噴霧して担持した後、200〜400℃で焼成して、0.2〜2.0重量%銀を担持したものである。
 請求項5に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤は、請求項1に記載のものにおいて、前記塩化カルシウムを担持したシリケイト系担体は、塩化カルシウムの飽和溶液をシリケイト系担体に噴霧して担持した後、250〜450℃で焼成して、5〜30重量%塩化カルシウムを担持したものである。
 請求項6に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤は、請求項1に記載のものにおいて、前記活性炭は、窒酸銀0.5〜2.0重量%溶液を活性炭に噴霧し、80℃で焼成して窒素雰囲気下で200〜400℃で焼成し、0.2〜2.0重量%銀を担持したものである。
 請求項7に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤は、請求項1に記載のものにおいて、前記活性炭は、水が飽和した窒素雰囲気下で200〜600℃で前処理した後、用いることを特徴とするものである。
 請求項8に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤は、請求項1に記載のものにおいて、前記シリケイト系坦体に、銀を担持した吸着剤、塩化カルシウムを担持したシリケイト系担体及び活性炭を20〜40:30〜50:20〜40の重量比に混合したことを特徴とするものである。
 請求項9に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤は、請求項1に記載のものにおいて、吸着剤の中で、塩化カルシウムを担持したシリケイト系吸着剤、銀を担持したシリケイト系吸着剤を30〜70%と40〜50%との重量比に混合して製造することを特徴とするものである。
 請求項10に記載の農作物の鮮度維持方法は、請求項1ないし請求項9に記載の、複合吸着剤を農作物に対して、重量比で500:1〜5:1の範囲内で容器内に一緒に入れ、保管することを特徴とする。また、請求項11に記載の農作物の鮮度維持方法は、請求項1乃至請求項9に記載の複合吸着剤をトマト、プッチトマト、いちご、ピーマン、玉ねぎ、ねぎ、梨、リンゴ、きのこ、なすから選ばれた農作物と一緒に容器に入れ、保管することを特徴とする。
 請求項12に記載の切花の鮮度維持方法は、請求項1乃至請求項9に記載の複合吸着剤を切花と一緒に保管するか、切花が入っている水に入れることを特徴とする。また、請求項13に記載の花の鮮度維持方法は、請求項1乃至請求項9に記載の複合吸着剤を菊、薔薇から選ばれた花と共に保管することを特徴とする。
 請求項1に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤によれば、銀を担持したシリケイト系担体、塩化カルシウムを担持したシリケイト系担体及び活性炭を配合し、製造したので、
銀を担持したシリケイト系担体及び活性炭によるエチレン吸着作用と、塩化カルシウムを担持したシリケイト系担体による制湿作用との協同作用により鮮度維持機能が大きく向上し、水を多く吸着するが農作物の生理活動に必要な水は維持でき、エチレンを多く吸着して熟成を遅延し、さらに銀の抗菌作用により、微生物またはかびの繁殖を抑制することで、収穫した果物、または野菜の鮮度を長時間維持でき、切花の寿命を大きく伸ばすことができる。
 請求項3に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤によれば、粉塵が生成しないので、粒状の大きさを適切に制御できることで鮮度維持剤として機能がもっと向上できる。
 請求項10に記載の農作物の鮮度維持方法によれば、収穫した果物、または野菜の鮮度を長時間維持できる。また、請求項11に記載の農作物の鮮度維持方法によれば、トマト、プッチトマト、いちご、ピーマン、玉ねぎ、ねぎ、梨、リンゴ、きのこ、なすの鮮度を長時間維持できる。請求項12に記載の切花の鮮度維持方法によれば、切花の寿命を大きく伸ばすことができる。
 以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。エチレンを多く吸着しながら抗菌性が強い銀または銅を担持した天然または合成ゼオライト、水分を多く吸着できる塩化カルシウムを担持した天然ゼオライト、エチレンの吸着量を増大させながら水によるエチレンの脱着を遅延させるために中和処理、または抗菌機能付与のため銀を担持した活性炭を一定比率で混合し製造した複合吸着剤が農作物の鮮度維持剤として効果が優れる。
 天然ゼオライトを200℃で排気し、水分を除去した後にエチレンを吸着させてもほとんど吸着しない。しかし、銀を担持するとエチレンの吸着量が顕著に増加する。銀の担持によりエチレン吸着の増加現象は粘土に銀を担持した時もはっきり現れる。水蒸気と接触するとゼオライトは親水性であるため、水を吸着しエチレンを相当量脱着するが、相対湿度が70%以下では吸着したエチレンの40%が脱着せずに残っている。相対湿度が90%付近に到達すると吸着したエチレンの15%程度が残っている程銀の担持によりエチレンの吸着は強くなる。
 ゼオライトはそれ自身が水を大量に吸着するが、塩化カルシウムを担持すると制湿能力が大きく向上する。しかし、塩化カルシウムがゼオライトの細孔内部に担持した場合のみ、湿度が非常に高い状態でも表面が濡れないので農作物を汚染しないで安全に使うことができる。塩化カルシウム担持で制湿能力が高まると、水を除去するため必要なゼオライトの消費量が少なくなり、鮮度維持剤の使用量を少なくすることができる。
 天然ゼオライト以外にも水を強く多く吸着する合成A型ゼオライト、合成X型ゼオライト、合成P型ゼオライトも鮮度維持剤のシリケイト系の担体として用いることができる、天然ゼオライトより価額は高いが、使用量を少なくすると同時に色々な形態に成型ができるので効果的である。特に粉が生じると困る農作物の鮮度維持のための、複合吸着剤としては天然ゼオライトよりもっと効果的である。合成ゼオライトの製造原料であるカオリン及び黄土も吸着性能は若干落ちるが、複合吸着剤のシリケイト系の担体として用いることができる。活性炭と混合して成型するには形を作りやすいのと固いので良い面もある。
 銀は抗菌性がある物質として知られている。銀は強力な殺菌機能がありながら人体には全く害がないため、いろいろな目的の抗菌剤として使われている。ゼオライトと活性炭に銀粒子を10−1000nmの大きさに担持すると、外部から入って来る微生物またはかびを押さえることができ、鮮度維持に寄与する。銀の抗菌効果は銀粒子の大きさによって異なり、上記した大きさよりも小さい場合または大きい場合は抗菌能力は相対的に低い。
 以下、本発明の具体的な実施例について説明する。韓国慶北地方で採掘した天然ゼオライトには、ゼオライト成分が40〜60%程度含まれ、表面積30m/g、粒子大きさ1.7〜2.8mmで、200℃で4時間程度焼成すると水が大部分除去され吸着能力が大きく増進する。
 焼成した後、冷却した天然ゼオライトに塩化カルシウムを担持し、天然ゼオライトの制湿能力を画期的に増進させた。塩化カルシウム100gを水1L(リットル)に溶かした溶液1Lを焼成した天然ゼオライト1kgにスプレーした後、100℃で2時間乾燥させた。その後、200〜400℃で2〜4時間焼成し、塩化カルシウム担持天然ゼオライトを製造した。
 図1に、塩化カルシウム担持による天然ゼオライトの制湿能力の向上効果を示す。25℃飽和塩化カルシウム溶液の平衡水蒸気圧で水が吸着させることに従い、質量が増加する程度を測定した結果である。2日間水蒸気に接触させても天然ゼオライト1g当たり水の吸着量は0.08gに過ぎないが、塩化カルシウムを10重量%担持した天然ゼオライトの水吸着量は0.2gに大きく増加した。塩化カルシウムを担持した後、200℃で焼成した天然ゼオライトは0.35gの水の吸着量を示すが、表面が濡れ、塩化カルシウムが溶出される可能性があるので、農作物の鮮度維持剤としては使用し難い。一方、温度を上げ400℃で焼成すると吸着量は少し減るが、表面は濡れない。塩化カルシウムの担持量が非常に多い場合、また焼成温度が低い場合は表面の濡れる現象が酷い。特に塩化カルシウムがゼオライトの細孔ではなく外の表面に多く担持すると、水の吸着速度が早く吸着量は多いが、表面の濡れる現象が非常に激しい。従って、塩化カルシウムの担持量と焼成温度は制湿能力増進と共に使用の際の安定性を考慮し決める必要がある。表面の濡れる現象が現れないように天然ゼオライトに対する塩化カルシウムの重量比を10重量%程度担持し、300℃以上で焼成すると、水の吸着量が3倍程度増加しながら濡れる現象も現れないので、制湿に必要な天然ゼオライトの使用量は1/3に節約しながら安全に農作物の鮮度維持剤として用いることができる。
 合成ゼオライトは、それ自身だけでも水を相当多く、また強く吸着する。特に非常に低い圧力では水を多すぎるほど吸着するので、鮮度維持剤としては適切ではない。しかし、天然ゼオライトに塩化カルシウムを担持するように、合成ゼオライトに塩化カルシウムを担持すると、水の分圧が高い条件では水の吸着量が多いが、水の分圧が低い条件では水の吸着量が減り、鮮度維持剤としての特性はもっと良くなる。
 低湿条件でエチレンは活性炭に良く吸着する。しかし、湿度が高くなると活性炭の極性吸着点に水が吸着し、先に吸着したエチレンは脱着する。従って、活性炭のエチレン除去機能を向上させるためには、活性炭の極性吸着点をなくす必要がある。活性炭を製造する際、活性化させるために添加するアルカリ物質が活性化後にも残っているか、活性炭の表面積増大のために添加した水酸化カリウムの残留物が極性活性点として作用する。意外にも、活性炭原料に含まれている無機成分が活性化と洗浄過程で除去されずに表面に極性点として残っている。従って、活性炭に対する水の吸着を抑制するため、活性炭を塩酸で中和処理し、極性活性点をなくしたり、活性炭に銀を胆持し、極性活性点を遮蔽した。銀は極性吸着点に選択的に担持され、水の吸着を抑制すると共に抗菌性の機能点として作用する。濃い塩酸30mlを水1Lに溶かした溶液1Lに活性炭1kgを入れ、2〜4時間攪拌した後、塩酸溶液から出した活性炭を暖かいお湯で洗浄し、中和処理した活性炭を製造した。この際、洗浄水が中性になるまで活性炭を充分に洗浄する。その後、80℃で1時間乾燥する。
 窒酸銀8gを水1Lに溶かした溶液1Lを噴霧器を用いて活性炭にスプレーする。活性炭を良く混ぜながら窒酸銀溶液を均一にスプレーした後、80℃で2〜4時間1次乾燥する。窒素雰囲気下300℃で焼成し酸化窒素を除去し、自己還元反応を通して銀を還元した。窒素を流しながら冷却した後、室温で非常にゆっくり空気と接触させ安定化し、銀を重量比で0.5重量%担持した活性炭を製造した。
 図2に、石英スプリングを備えた重量式吸着装置で測定した活性炭の水の吸着性質を示す。未処理の活性炭では水の相対圧力が0.5に達すると水の吸着量が急激に多くなる。これに対して、塩酸を用いて中和処理すると、水の吸着量が急激に増加する相対圧力が0.6に高くなり水の吸着が抑制される。さらに、銀を担持した活性炭では相対圧力0.6で水を吸着するだけではなく水の吸着量も減少し、銀の担持は水の吸着を押さえるのに効果的である。水の吸着が抑制されるとエチレンの脱着が遅延するので鮮度維持剤としての機能は向上する。
 エチレンの吸着は水の吸着と密接な関係があるため、鮮度維持剤として機能評価のためには水蒸気が存在する条件でエチレンの吸着性質を調べる必要がある。このため、相対湿度を変えながらエチレンの吸着性能を比較した。湿度変化に伴うエチレン濃度の変化を測定し、実際の条件でエチレン除去効果も予測できる。吸着剤充填管に製造した吸着剤を2〜10g入れ、200℃の加熱器で2時間排気し、水または二酸化炭素を除去した。加熱器を外した後、循環恒温槽を備えた容器を設置し、吸着剤の温度を一定に保つ。一定な初期条件になると窒素で希釈したエチレンガスを吸着剤に入れ、吸着する現象を調べる。温度またはエチレンの分圧を調節して、エチレンの濃度変化を測定し、エチレンの吸着量を計算する。吸着平衡に達した後、注射器で水を注入し湿度を調節する。水の注入によるエチレンの脱着を直接繋いだガスクロマトグラフでエチレンの濃度変化を測定して調べる。
 図3乃至図5に、活性炭、天然ゼオライト及び銀を担持した天然ゼオライトにエチレンを吸着させ、水によりエチレンが脱着する過程を示す。エチレンを25℃で活性炭に吸着させると、エチレンの濃度が55ppmから25ppmになる。この濃度変化は、活性炭1g当たり0.025mgのエチレンが吸着するのを意味する。この容器に水を注入すると相対湿度が増加しながらエチレンが脱着し始める。しかし、相対湿度が100%になってもエチレン濃度は45ppmに止まり、ある程度は脱着しないことがわかる。
 天然ゼオライト本体に対するエチレンの吸着量は、ある程あるが、銀を担持することでエチレンの吸着力が増加する。銀を重量比で0.5%担持した天然ゼオライトにはエチレンが多く吸着し、25℃で入れたエチレンが全て吸着し、濃度が0ppmになる。この濃度変化は銀を担持した天然ゼオライト1gにエチレンが0.055mg以上吸着することを意味する。水を加えるとエチレンが45ppmまで脱着するが、吸着したエチレンの一部が相対湿度100%の条件でも脱着しないで残っている。即ち、飽和湿度の条件下でも活性炭と銀を担持した天然ゼオライトはエチレン除去剤として作用する。
 一方、銀を担持していない天然ゼオライトは異なる挙動を示す。100℃で排気した天然ゼオライト自身もある程度エチレンを吸着する。しかし、水を注入するとエチレンはほぼ全部脱着し、初期濃度と同じとなる。即ち、銀を担持しない天然ゼオライトは水が存在する条件下で、エチレンを吸着しないのでエチレン除去剤として使えない。銀の担持により、水が存在する条件でもエチレンを吸着するので、鮮度維持剤として機能を発揮する。
 活性炭、銀を0.5重量%担持した天然ゼオライト、塩化カルシウムを10重量%担持した天然ゼオライトを30:30:40の重量比で混合した複合吸着剤を製造した。これは、物理的に混合したもので、材料各々の性能、即ち、制湿性能及びエチレン除去性能が保たれ鮮度維持剤として機能する。
 いちごは、含水率が高く、皮が弱いので新鮮に保管が難しい農作物である。いちご畑から直ぐ採取、大きさを基準に選別し、プラスチック容器に入っているいちごを購入して鮮度維持剤としての複合吸着剤の機能を評価した。比較のため、活性炭、未処理天然ゼオライト、塩化カルシウムを10重量%担持した天然ゼオライトに対しても同じ試験を行った。
 しっかり密封したガラス容器に6個のいちごを入れ、評価する吸着剤を各々2g濾過紙の皿に入れ、容器の真ん中に置いた。試験の客観性を見るため、いちごが6個入っている容器を2つ用意した。これらの容器を25℃を保つ大きな容器に入れ保管しながら、毎日いちごの状態の変化を調べた。いちご外皮に黒い斑点が生じるか、白いかびができると損傷したと判定した。図6に5日後の結果を比較した。
 いちごの状態によって腐敗または変質の速度に差は見られたが、活性炭または制湿の能力が優秀な塩化カルシウムを担持した天然ゼオライトを1種類だけ入れても鮮度維持機能は現れない。何も入れてない状態よりは良い結果であるが、5日後大部分のいちごが損傷し、汁が出た。一方、制湿能力、エチレン除去能力、抗菌能力を持つ複合吸着剤では鮮度を保つ期間が相対的に長い。5日後、一部のいちごの表面に黒い斑点が生じるものもあったが、大部分のいちごの状態に変化はなかった。
 いちごとは異なり外側に皮を持つので1週間程度は低温保存が可能なプッチトマトを対象にして、鮮度維持剤の性能を評価した。シリカ、活性炭、銀を担持した活性炭、天然ゼオライト等とプッチトマトを一緒に入れ、吸着剤がプッチトマトの腐敗に与える影響を調べた。いちごと同じ方法で密封ガラス容器に収穫した直後のプッチトマトを12個と鮮度維持2gを入れ、状態の変化を調べた。
 プッチトマトはいちごと比べ容易には腐敗しない。外皮があるのでもし中身が腐敗しても観察し難い。鮮度維持剤を使わなくても4日程度は外観上で変化はない。しかし、5〜7日経過すると、鮮度維持剤の種類により保管したプッチトマトの状態に変化が見られる。図7に6日と13日に調べたプッチトマトの状態を整理した。
 時間の経過と共にプッチトマトはかびが生え、腐敗した。汁が生じるとか黒い斑点が出ることはないが、鮮度維持剤を入れなかったもの及びシリカと活性炭を単独に入れたもので相対的に腐敗が早かった。一方、制湿能力が優れるまたは抗菌能力がある銀を担持した天然ゼオライトでは鮮度維持能力を確認することができた。
 プッチトマトの腐敗では水分の影響が大きく、相対湿度が高い場合は水を多く吸着するが、相対湿度が低い場合は水を少ししか吸着しないシリカよりは、相対湿度が非常に低い条件でも水を多く吸着する天然ゼオライトの方が鮮度維持剤として優れている。プッチトマトは外皮が厚く、付近でかびが先に発生するため、内部から進行する腐敗状況を観察し難い。しかし、制湿能力または抗菌能力がプッチトマトの鮮度維持に寄与することは確かであり、活性炭の効果は確実なものではない。
 実施例1と2で述べた方法に従い、塩化カルシウム10重量%担持した合成X型ゼオライト(13X)、銀を0.5重量%担持した合成X型ゼオライト、活性炭を40:30:30の比率で混合し製造した複合吸着剤の鮮度維持機能をプッチトマトを対象にして調べた。比較のため、合成X型ゼオライト、塩化カルシウムだけ担持した合成X型ゼオライト、銀を担持した合成X型ゼオライトを別々に入れ、吸着剤各々の鮮度維持機能を評価した。収穫した直後のプッチトマトを10個づつ密封容器に入れ、真ん中には濾過紙で作った皿を置きその中に吸着剤を入れ、状態変化を観察した。図8に10日後に調べたプッチトマトの状態を整理した。
 吸着剤を入れない容器のプッチトマトは激しく腐敗したが、合成X型ゼオライト及び塩化カルシウムまたは銀を担持した合成ゼオライトを入れると、プッチトマトの状態は相対的に良い。その中でも複合吸着剤を一緒に入れたプッチトマトの状態は非常に良かった。10個の中で1個の蔕にかびが若干生えたが、残りの状態は非常に優れていることから、鮮度維持機能の優秀性が説明できる。
 実施例6で説明した方法により製造した複合吸着剤のみかん、ぶどうに対する鮮度維持機能を評価した。25℃で10日間保管した後の状態変化を図9に示す。複合吸着剤を入れない状態ではみかん3つのうち、1つは激しく腐敗し、残り2つもかびが生えた。一方、複合吸着剤と一緒に入れたみかんの状態は鮮度を良く保つ。ぶどうの場合は複合吸着剤を入れないものではぶどう玉が落ちるが、入れると状態を保つ。複合吸着剤は農作物の種類により鮮度維持機能に差はあるが、大部分の農作物に入れることで農作物の鮮度維持に効果があることがわかる。
 ぶどう、いちごのように水分が多いため、かびまたは微生物により腐敗が主に生じる農作物では活性炭を入れずに、塩化カルシウムを担持した合成ゼオライトと銀を担持した合成ゼオライトの2種類を60:40の比率で混合した複合吸着剤が鮮度維持にもっと効果的である。活性炭が微生物またはかびの繁殖を促進するためであると考えられる。しかし、塩化カルシウムまたは銀の担持のため、シリケイト系担体として合成X型ゼオライトの代わりに合成4A型ゼオライトを使用してもほぼ同じ結果が得られ、ゼオライトの吸湿機能と広い表面積を利用する面ではゼオライトの種類による影響はない。
 天然ゼオライトまたは合成ゼオライトは全て粉末状態であり、農作物と一緒に入れ保管する時、問題が生じる場合もある。一般的に粉塵が生成しない粒状に加工するためにカオリンまたはセルロース系の結合剤を入れ、成型した後、焼成して用いるが、製造工程が複雑で費用がかかり、農作物の鮮度維持剤に適用するのは良い方法ではない。従って、この発明では鮮度維持剤として複合吸着剤をカオリンから効果的に製造する方法を開発した。
 カオリン100gに水を20mlは入れ、よく混ぜてから、これを粒状成型機に入れ、20rpmで攪拌しながら直径20〜50mmの小さい玉を作った。100℃の乾燥機に入れ、4時間乾燥した後、550℃の電気炉で2時間焼成した。焼成した粒状カオリン100gに4N水酸化ナトリウム水溶液を200ml加え、90℃で2時間反応させた。
 図10にはカオリン自体、焼成したカオリン、水酸化ナトリウム溶液を加え、一部を合成A型ゼオライトに転換した生成物のX−線回折パタンを示す。カオリンの特性回折ピークが12.4°と24.9°に現れる。焼成すると構造が壊れ、メタカオリンに転換し、回折ピークが全てなくなる。一方、水酸化ナトリウム溶液を加え、ゼオライトに転換させると図10のように、新しいピークが現れる。純粋な合成A型ゼオライトは回折ピークを比較して結晶化したA型ゼオライトの含量は40%程度である。粉塵がまったく出ない程度の硬くて均一な球型に製造でき、天然ゼオライトまたは粉末状態の合成ゼオライトの問題点が解決できる。黄土はカオリンと同じ方法で焼成した後、水酸化ナトリウム溶液で処理してもX−線回折パタンが全く変わらないことは、黄土の結晶構造が安定であることを示す。ゼオライトまたは水酸化ナトリウムと反応させ製造した合成A型ゼオライトに比べ、水の吸着容量は少ないが、複合吸着剤の製造原料である塩化カルシウムと銀を担持するシリケイト系担体としての使い方は充分可能である。
 カオリンから製造した合成A型ゼオライトに塩化カルシウムまたは銀を担持した。塩化カルシウムを重量比で20%、銀を重量比で0.5%担持した合成A型ゼオライトを製造し、これらを混合した複合吸着剤も農作物の鮮度維持に効果的であった。図11にトマトと玉ねぎを対象にした鮮度維持実験の結果を示す。トマトの場合、複合吸着剤を入れないものでは腐敗が著しく進行するが、複合吸着剤を入れたものの状態は優れている。玉ねぎの場合でも複合吸着剤を入ってないものではかびが生えるが、複合吸着剤を入れると10日経過しても外観がそのままの状態を保つ。この方法で製造した複合吸着剤の鮮度維持機能も効果的である。
 ゼオライトと活性炭は溶液の中でも物質を吸着する。特にゼオライトはカチオンを交換する能力があり、活性炭は水に溶けっている有機物を選択的に吸着することができる。切花は飾りのため、水が入っている容器に保管する。時間が経過すると共に花の色と形が変わる。花の種類によって異なるが、早く散る花は2日以内にも新鮮な模様を失う。花が散る過程に関与する因子として、温度、大気の組成、水の量と組成等、また切花の状態と履歴によっても異なるので、定量的に確認することは容易ではない。他の因子が適当であれば切花が入っている水の状態を調節して切花を長く新鮮に維持出来る。
 図12には菊2輪をガラスの花瓶に入れ、状態変化を調べた結果を示す。6日後の複合吸着剤を入れた方は初期とほぼ変わらないが、複合吸着剤が入ってない方は花が小さく一部萎びた状態になる。このような現象は、11日後にはもっとはっきり現れる。即ち、複合吸着剤を入れた容器の菊は新鮮度を相対的に長く保つ。
 菊を入れた水の成分を調べた。菊を2輪入れた50mlの純水の中に色々な吸着剤を入れてから、時間の経過に伴う水の中の電解質の濃度変化をイオンクロマトグラフで測定した。10日経過後、水に溶けているナトリウムイオンの濃度を測定して図13に整理した。菊の新鮮度が相対的に長く維持した合成X型ゼオライト、塩化カルシウムを担持した合成X型ゼオライト、銀を担持した合成X型ゼオライトと塩化カルシウムを担持したものを混合した吸着剤を入れた花瓶にはナトリウムイオンの濃度が非常に高い。ゼオライトのカチオンと塩化カルシウムの一部が溶出したためであると思われるが、電解質の濃度が非常に高いため、腐敗を抑制したと説明できる。まだ電解質の濃度が切花の新鮮度維持に及ぼす影響は明確ではないが、複合吸着剤を加えて切花の新鮮度が維持できることは確実である。
 以上に述べたように、活性炭または天然ゼオライトは、エチレンと水を吸着するため、農作物の鮮度維持に寄与するが、ある程度多く量を使わないと単独では効果がわずかである。制湿剤とエチレン除去剤を同時に入れても湿度が非常に低い条件下でのみ、エチレンの除去機能が発現することから、活性炭と天然ゼオライトに塩化カルシウムと銀を担持し、これを複合的に使用する時、鮮度維持機能が顕著に向上する。特に、塩化カルシウムを天然ゼオライトに担持することにより制湿能力が増大し、銀を担持して天然ゼオライトのエチレン吸着除去能力が向上するため、これらの協同作用により鮮度維持機能が大きく向上した。活性炭に銀を担持するか、塩酸溶液に中和処理する場合は極性吸着点が減り、エチレンの脱着が遅延され、エチレンの除去機能が向上し、農作物の鮮度維持剤として効果的である。これらを混合して製造した複合吸着剤は、容易に腐敗するいちごやプッチトマト等の一定期間変質を遅延し、鮮度が維持できる。合成ゼオライトを用いて使用量を対象農作物ことに減らすことができ、またカオリンを成型した後、アルカリ溶液と反応させ製造した合成A型またはX型ゼオライトは粉塵が生成しない、粒状の大きさを適切に制御出来ることで鮮度維持剤として機能がもっと向上できる。
塩化カルシウム担持した天然ゼオライトの水吸着性室を示すグラフ 石英スプリングを用いる重量式吸着装置で測定した銀を担持した活性炭の水吸着性を示すグラフ 活性炭におけるエチレンの吸着と、水によりエチレンが脱着する過程を示すグラフ 天然ゼオライトにおけるエチレンの吸着と、水によりエチレンが脱着する過程を示すグラフ 銀を担持した天然ゼオライトにおけるエチレンの吸着と、水によりエチレンが脱着する過程を示すグラフ いちごに対する鮮度維持剤適用試験結果を表形式で示す図 プッチトマトに対する色々な吸着剤の鮮度維持機能評価を表形式で示す図 プッチトマトに対する色々な吸着剤の鮮度維持機能評価を表形式で示す図 複合吸着剤の効果に対するみかんとぶどうの保管状態比較を示す図 カオリン、焼成したカオリン及び水酸化ナトリウム処理カオリンのX−線回折パタンを示す図 複合吸着剤の効果に対するトマトと玉ねぎの保管状態を比較した図 複合吸着剤の効果に対する花瓶の中の菊の状態を比較した図 菊と複数種類の吸着剤を入れた水のナトリウムイオンの濃度変化を表形式で示す図

Claims (13)

  1.  銀を担持したシリケイト系担体、塩化カルシウムを担持したシリケイト系担体及び活性炭を配合し、製造したことを特徴とする農作物の鮮度維持用複合吸着剤。
  2.  シリケイト系担体として天然ゼオライト、合成A型ゼオライト、合成X型ゼオライト、合成P型ゼオライトのうちより選ばれた1つを使用することを特徴とする請求項1に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤。
  3.  シリケイト系担体に用いる合成A型ゼオライトまたは合成X型ゼオライトを粒状に成型したカオリンを焼成した後、30%〜80%ゼオライトを含有するようにアルカリ溶液と反応させ製造した粒状合成ゼオライトを用いることを特徴とする請求項2に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤。
  4.  前記銀を担持したシリケイト系担体は、窒酸銀0.5〜2.0重量%溶液をシリケイト系担体に噴霧して担持した後、200〜400℃で焼成して、0.2〜2.0重量%銀を担持したものであることを特徴とする請求項1に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤。
  5.  前記塩化カルシウムを担持したシリケイト系担体は、塩化カルシウムの飽和溶液をシリケイト系担体に噴霧して担持した後、250〜450℃で焼成して、5〜30重量%塩化カルシウムを担持したものであることを特徴とする請求項1に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤。
  6.  前記活性炭は、窒酸銀0.5〜2.0重量%溶液を活性炭に噴霧し、80℃で焼成して窒素雰囲気下で200〜400℃で焼成し、0.2〜2.0重量%銀を担持したものであることを特徴とする請求項1に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤。
  7.  前記活性炭は、水が飽和した窒素雰囲気下で200〜600℃で前処理した後、用いることを特徴とする請求項1に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤。
  8.  前記シリケイト系坦体に、銀を担持した吸着剤、塩化カルシウムを担持したシリケイト系担体及び活性炭を20〜40:30〜50:20〜40の重量比に混合したことを特徴とする請求項1に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤。
  9.  吸着剤の中で、塩化カルシウムを担持したシリケイト系吸着剤、銀を担持したシリケイト系吸着剤を30〜70%と40〜50%との重量比に混合して製造することを特徴とする請求項1に記載の農作物の鮮度維持用複合吸着剤。
  10.  請求項1乃至請求項9に記載の複合吸着剤を農作物に対して、重量比で500:1〜5:1の範囲内で容器内に一緒に入れ、保管することを特徴とする農作物の鮮度維持方法。
  11.  請求項1乃至請求項9に記載の複合吸着剤をトマト、プッチトマト、いちご、ピーマン、玉ねぎ、ねぎ、梨、リンゴ、きのこ、なすから選ばれた農作物と一緒に容器に入れ、保管することを特徴とする農作物の鮮度維持方法。
  12.  請求項1乃至請求項9に記載の複合吸着剤を切花と一緒に保管するか、切花が入っている水に入れることを特徴とする切花の鮮度維持方法。
  13.  請求項1乃至請求項9に記載の複合吸着剤を菊、薔薇から選ばれた花と共に保管する花の鮮度維持方法。
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