JP2004119961A - チップオンフィルム用、プラズマディスプレイ用、または高周波プリント配線板用銅箔 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明は、銅箔を圧延し、理想平滑面の1.30倍以下の表面積を持つよう表面を平滑化したチップオンフィルム用、プラズマディスプレイ用、または高周波波持つよう表面を平滑化したチップオンフィルム用、プラズマディスプレイ用、または高周波プリント配線板用銅箔である。
【選択図】 なし
Description
しかし、このスパッター銅層はフィルムとの密着力が弱く、回路作製加工時にエッチング液やメッキ液が銅箔とフィルムとの間を侵食するいわゆるアンダーカット現象を引き起こし、また、この密着力が弱いことから、製品として使用中に銅箔が基板から剥れる事故が発生する危険性をはらんでいた。
また、PDP電磁波シールド板に用いられる銅箔に対しても表面粗さの小さい銅箔が求められている。PDPは「放電による発光を利用したディスプレイ」であり、真空にしたガラス管の中に水銀ガス等を入れ、電圧をかけて放電させ、この時に発生した紫外線が、あらかじめガラス管の内側に塗られた蛍光塗料に当たって、可視光を発光させるものである。PDPはこれまで主として、駅や公共施設、あるいは展示会やファミリーレストラン等におけるディスプレイ用途として使用されてきたが、近年、家庭用大型テレビ向けの需要が増加してきている。
しかし、家庭向けのテレビでは発生する電磁波を更に少なくすることが求められ、従来のシールド板では対応が困難となっている。このため、ポリエステルフィルムのような透明フィルムに銅箔を貼り、エッチングによって、メッシュ状の銅をフィルム上に残したタイプのものが使用されるようになってきた。このシールド板は、ディスプレイの前面に配置され、視聴者はこのメッシュ銅のない部分を通過した光を見ることになる。良好な画質を得るためには光の透過性が良いメッシュであることが必要であり、メッシュ銅箔幅10μm、間隔200μmのものが現在量産されている。
また、電子機器は小型化、軽量化だけでなく、情報伝達量の増加に伴い高周波化が進む傾向にある。従来、1GHz以上の高周波信号は航空機や衛星通信などの限られた無線用途に使用されてきたが、携帯電話や無線LANなどの身近な電子機器にも使用されるようになってきている。この高周波用プリント配線板には、高周波特性に優れた樹脂を使用することが必要であるが、銅箔についても高周波伝送ロスの少ないものを選定する必要がある。即ち、高周波になるほど、信号は導体層の表面部分に集中して流れるいわゆる表皮効果の現象が顕著になるため、従来の凹凸の大きい銅箔では高周波伝送ロスが大きく、この用途向けには対応できなくなってきている。
銅箔のマット面粗さに影響する要因は大きく分けて二つある。一つは未処理銅箔のマット面の表面粗さであり、二つは粗化処理の粒状銅の付きかたである。未処理銅箔のマット面の表面粗さが粗いと、粗化処理後の銅箔の表面粗さは粗くなる。粗化処理時の粒状銅の付着量は、粗化処理時に流す電流により調節が可能であるが、未処理銅箔の表面粗さは、前述した図1のドラム状のカソード2に銅を析出させる時の電解条件、電解液3に加える添加剤によって決まるところが大きい。
このように樹脂基板と接着する銅箔接着面が比較的大きな表面粗度であると、銅箔の粗化面にあった銅粒子や樹枝状に析出した銅箔の一部が樹脂基板に深く食い込み大きな接着力が得られる反面、プリント回路を形成するためのエッチングにおいて、樹脂基板に入りこんだ銅粒子や樹枝状に析出した銅を完全に溶解するのに時間がかかり、いわゆる「根残り」という現象が発生する。
その結果、銅箔と樹脂基板のボトムラインの直線性が乏しくなり、回路間隔を狭くすると、隣接する回路間の絶縁が悪くなり、著しい場合には回路が完全には作製できず、隣接する回路がブリッジしてしまうという現象を生じる。
これは、当初のドラム表面は研磨された平滑な状態で製造をスタートするが、電解銅箔の製造を続けるうちに電解液が強酸であるため、ドラム表面が溶解されて次第に荒れてくるためである。ある一定の時間電解銅箔の製造を行った後、ドラム表面が荒れてくると再度研磨して平滑にするが、平均してみると、その粗さは1.5〜2.0μm位になる。
以上は電解銅箔につき、その表面粗さの重要性につき述べたが、圧延銅箔についても同様の問題点を含んでいることは勿論である。
本発明は、銅箔(特に言及しない限り、以下銅箔とは電解銅箔、圧延銅箔を総称する)を圧延することにより、レーザー顕微鏡(キーエンス社製 型番:VK−8510)で測定した場合の表面積を、理想平滑面の1.30倍以下、好ましくは1.20倍以下に平滑化させたことを特徴とする。
1.COFでの視認性を決めるファクターはフィルム自体の透明性だけでなく、銅箔の表面積(表面の凹凸)にもあり、表面が理想平滑面に近いほど視認性は良く、実用上許容できる表面積が理想平滑面の1.30倍以下であることを見出した。
2.PDPでのより理想に近いファインパターン化のポイントは銅箔の表面積(表面の凹凸)にあり、表面が理想平滑面に近いほどファインパターン化は良くなるが、接着性との兼ね合いで表面積が理想平滑面の1.30倍〜1.1倍であることが好ましいことを見出した。
3.高周波プリント配線板用銅箔で要求される通信の高速化、通信速度差は表面積(表面の凹凸)に関係し、電波が通る銅箔表面が理想平滑面に近いほど通信特性は良く、優れた通信特性を引き出すには表面積が理想平滑面の1.30倍以下であることを見出した。
銅箔表面を圧延により平滑化し、その表面にNi及びZnのうちの、少なくともひとつの金属を銅箔の平滑面にメッキすることで、密着力や耐薬品性を付与することができる。
本請求項の発明も、銅箔表面を圧延により平滑化し、その表面に金属粒子、合金粒子、或いは種々粒子の混合物を平滑面に微細粗化粒子として付着させることにより、平滑化表面に微細粗化粒子が均一に付着し、基板樹脂との接着強度を補強する。
前記請求項3に記載の微細粗化粒子を付着した銅箔において、微細粗化粒子の付着条件によっては粒子が銅箔に強固に接着せず、次工程の加工工程によっては、上記微細粗化処理の一部が工程中に剥離して設備に付着するため粉落ちし難い微細粗化処理が求められる場合がある。このような要求には微細粗化粒子の表面を本請求項の金属をメッキ処理してその表面を覆うことにより、剥離現象(粉落ち)を抑えることができる。
このように、圧延後の銅箔表面、あるいは該表面に付着した微細粗化粒子の表面を防錆処理、カップリング処理することで、銅箔の酸化、変色を防止することができる。
銅箔を接着するポリイミド樹脂は、その製造メーカにより色調や銅箔との密着力等の性能に若干の相違がある。例えば、Aメーカー製ポリイミドフィルムは色調が濃いためにフィルム自体の視認性はやや劣るが、銅箔との密着性が良く、本発明請求項1に示す粗化処理無しの銅箔でも実用上充分な接着力が確保できる。このポリイミドフィルムに対しては銅箔を圧延処理し表面積が理想平滑面の1.30倍以下の銅箔に、クロメート防錆処理とシランカップリング処理を更に施し、ポリイミドフィルムに貼り合わせ、回路作成後、ICの位置を確認する視認性及び両者の密着力等を測定した結果満足のいく結果が得られた。
更に、表面積が理想平滑面の1.30倍迄の原箔にNi或いはZn金属の少なくともひとつの金属をメッキし、その表面にクロメート防錆処理とシランカップリング処理を更に施し、視認性及び密着力等を測定したところ、満足する特性が満たされていることを確認した。
通常のリジッド配線板に使用されるFR−4等のエポキシ樹脂では、Cu粒子またはCuとMoの合金粒子で所望の密着強度が得られるが、粒子がより微細になるCOFに使用されるポリイミドの場合、Cu粒子またはCuとMoの合金粒子では密着強度が出にくくなるので、前記の粒子Iまたは粒子IIを付着させるのが効果的である。これらの粒子は、単なるアンカー効果のみでなく、ポリイミドとの化学結合を増大させるため、大きな密着強度が得られるためである。
前記の合金粒子における前記元素(I)の存在量は、Cuの存在量1mg/dm2-箔当たり0.1〜3mg/dm2-箔が好ましく、また前記の混合物における前記元素(II)の存在量は、Cuの存在量1mg/ dm2-箔当たり0.02〜0.8mg/dm2-箔が好ましい。
粒子Iにおいて、元素(I)の存在量がCuの存在量1mg/dm2-箔当たり3mg/dm2-箔より多くなるような合金組成では、回路パターンをエッチングする際に、Coを除いて溶解しにくく、樹脂基板の方に残るような問題が生じて不都合であり、逆に0.1mg/ dm2-箔より少ない合金組成では、樹脂基板、例えばBメーカー製ポリイミド樹脂基板に対して密着力向上が期待できないというような不都合を生ずるからである。
なお、粒子Iは、銅箔結晶粒界に選択的に付着するが、その場合、全ての粒界に均一に付着するのではなく、ある特定の粒界に集中的に付着するという傾向を示す。このような付着状態が支配的に進行すると、全体としての付着量は増加していても、粒子Iは粒界全体に均一に付着しているとは限らず、未付着の箇所では樹脂基材との密着力が低下するという事態が発生することがある。
その結果、粒子IIの場合は、粒子Iが単独で付着している時よりも樹脂基材との密着性が向上するという効果が得られる。
粒子IIにおいて、元素(II)の存在量が0.8 mg/mg-Cuより多い場合には、樹脂基板にプレス積層した後、引き剥がしテストを行った時に樹脂基板上に酸化物が残るような事態が生じることがあり、逆に0.02 mg/mg-Cuより少ない場合には元素(II)を添加する効果があまり見られず、0.8〜0.02 mg/mg-Cuの範囲を選定することが好ましい。
本発明者等はこの点についても検討し、微細粗化粒子中の元素組成が、Cuの存在量 1 mg/dm2-箔当たりCo 0.1〜3.0 mg/dm2-箔、Ni 0.1〜3.0mg/dm2-箔のものが適しており、更に好ましいのは、Cuの存在量1mg/dm2-箔当たりCo 1.2〜2.2mg/dm2-箔、Ni 0.1〜2.0mg/dm2-箔の組成であり、最も好ましいのはCuの存在量1mg/dm2-箔当たりCo 1.5〜1.9mg/dm2-箔、Ni 1.3〜1.7mg/dm2-箔の組成であることを見出した。
原箔1
厚さ10μm、マット面表面粗さRz 1.03μm、光沢面表面粗さRz 1.20の未処理電解銅箔を、冷間圧延にて1パス圧延し、厚さ9μmの原箔1とした。圧延は、表面粗さRa 0.03μmの平滑なワークロールを用い、4センチストークスの低粘度圧延油にて、オイルピットが発生しない範囲に抑えた速度で行った。
この圧延後マット面について、80μm×120μmの部分(理想平滑面積 9,600μm2)の表面積をレーザー顕微鏡(キーエンス社製 型番:VK-8510 )で測定した結果、表面面積11,403μm2の値を得た。この値は理想平滑面積の1.19倍である。また、圧延前のマット面についても測定し、12,871μm2(1.34倍)の値を得た
厚さ15μmの未処理電解銅箔を冷間圧延で2パス圧延し、12μm厚さの原箔2を製造した。この原箔2の表面をレーザー顕微鏡(キーエンス社製 型番:VK-8510)で測定し、表面積を計算したところ、理想平滑面の1.25倍に平滑化されていた。
厚さ18μmの未処理電解銅箔を冷間圧延で3パス圧延し、12μm厚さの原箔3を製造した。この原箔3の表面をレーザー顕微鏡(キーエンス社製 型番:VK-8510)で測定し、表面積を計算したところ、理想平滑面の1.22倍に平滑化されていた。
厚さ18μmの圧延銅箔を更に冷間圧延で3パス圧延し、12μm厚さの原箔4を製造した。この原箔4の表面をレーザー顕微鏡(キーエンス社製 型番:VK-8510)で測定し、表面積を計算したところ、理想平滑面の1.19倍に平滑化されていた。
[浴組成] 硫酸ニッケル(6水塩) : 240g/リットル
塩化ニッケル(6水塩) : 45g/リットル
硼酸 : 30g/リットル
次亜燐酸ナトリウム : 10g/リットル
[条件] 温度 : 20℃
pH : 3.5
電流密度 : 1A/dm2
処理時間 : 0.7秒間
[浴組成] 硫酸亜鉛(7水塩) : 35g/リットル
水酸化ナトリウム : 70g/リットル
[条件] 温度 : 20℃
電流密度 : 0.25A/dm2
処理時間 : 3秒間
[浴組成] 硫酸銅(5水塩) : 20g/リットル
硫酸 : 45g/リットル
砒素(As) : 140mg/リットル
[条件] 温度 : 20℃
電流密度: 11A/dm2
処理時間: 3秒間
メッキ浴1の処理に続けてメッキ浴2の処理を行う。
[メッキ浴1の組成] 硫酸銅(5水塩) : 98g/リットル
硫酸 : 100g/リットル
モリブデン酸アンモニウム : 4g/リットル
[条件] 温度 : 35℃
電流密度 : 40A/dm2
処理時間 : 3.5秒間
[メッキ浴2の組成] 硫酸銅(5水塩) : 236g/リットル
硫酸 : 100g/リットル
[条件] 温度 : 50℃
電流密度 : 20A/dm2
処理時間 : 7秒間
[浴組成] 硫酸銅(5水塩) : 20g/リットル
硫酸コバルト(7水塩) : 38g/リットル
硫酸ニッケル(6水塩) : 36g/リットル
硫酸アンモニウム : 40g/リットル
硼酸 : 20g/リットル
[条件] 温度 : 40℃
pH : 3.5
電流密度: 15 A/dm2
処理時間: 3秒間
[浴組成] 硫酸銅(5水塩) : 20g/リットル
硫酸ニッケル(6水塩) : 54g/リットル
メタバナジン酸アンモニウム : 2g/リットル
硼酸 : 20g/リットル
[条件] 温度 : 40℃
pH : 3.5
電流密度 :10A/dm2
処理時間 : 3秒間
[浴組成] 硫酸コバルト(7水塩) : 76g/リットル
硼酸 : 30g/リットル
[条件] 温度 : 40℃
pH : 3.1
電流密度 : 5.6 A/dm2
処理時間 : 5秒間
[浴組成] 三酸化クロム : 3g/リットル
[条件] 温度 : 33℃
電流密度 : 3A/dm2
処理時間 : 1秒間
[浴組成] 3-グリシドキシプロピルメトキシシラン : 1g/リットル
[条件] 温度 : 室温
処理 : 浸漬後、スキージーで絞り、加熱乾燥
2.カソード
3.電解液
4.未処理銅箔
Claims (7)
- 銅箔を圧延し、理想平滑面の1.30倍以下の表面積を持つよう表面を平滑化したチップオンフィルム用、プラズマディスプレイ用、または高周波プリント配線板用銅箔。
- Ni及びZnのうちの、少なくともひとつの金属を平滑化した銅箔表面にメッキした請求項1に記載のチップオンフィルム用、プラズマディスプレイ用、または高周波プリント配線板用銅箔。
- Cu、若しくはCuとMoの合金粒子、またはCuとNi、Co、Fe及びCrの群から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる合金粒子、若しくは該合金粒子とV、Mo、及びWの群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物との混合物である微細粗化粒子を平滑化した銅箔表面に付着させた請求項1に記載のチップオンフィルム用、プラズマディスプレイ用、または高周波プリント配線板用銅箔。
- 平滑化した表面に付着させた微細粗化粒子の上にCu、Ni、Zn、Co、V、Mo、及びWの群から選ばれる少なくとも1種の金属メッキ層を設けた請求項3に記載のチップオンフィルム用、プラズマディスプレイ用、または高周波プリント配線板用銅箔。
- 防錆処理が最外層表面に施された請求項1乃至4のいずれかに記載のチップオンフィルム用、プラズマディスプレイ用、または高周波プリント配線板用銅箔。
- シランカップリング処理が最外層表面に施された請求項1乃至4のいずれかに記載のチップオンフィルム用、プラズマディスプレイ用、または高周波プリント配線板用銅箔。
- 防錆処理及びシランカップリング処理が最外層表面に施された請求項1乃至4のいずれかに記載のチップオンフィルム用、プラズマディスプレイ用、または高周波プリント配線板用銅箔。
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