JP2004119067A - 非水電解質電池及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池の気密性を向上させる。
【解決手段】負極2、正極3を有する電極体5と、非水電解質とを収納する外装容器7と、この外装容器7をガスケット9を介して閉蓋する蓋体8とを備え、ガスケット9の材料としてガラス転移温度が60℃以上の樹脂材料を用いることによって、常温や温度変化のある環境下において、樹脂材料の軟化せず、劣化が抑制されるため、電池性能の低下が抑えられる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極、負極及び非水電解質を備え、高い気密性を有した非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯型電話やノート型パーソナルコンピュータ等の携帯用電子機器の電源として、軽量、高電位、高容量、高性能、長寿命といった利点を有する非水電解質電池二次電池の開発が進められている。また、非水電解質二次電池は、高性能電気自動車用・ハイブリッド自動車用・電動自転車用・電動工具用の供給電源やバックアップ電源としても実用化が期待されている。
【0003】
非水電解質二次電池は、正極、負極及び非水電解質等が収納される外装容器と、この外装容器の開口部を閉蓋する蓋体とを有する。非水電解質二次電池は、外装容器と蓋体との間に形成される隙間にガスケット嵌め込み、外装容器の開口部をかしめることで、電池内部が密閉された密閉構造を有する。このような密閉構造を有する非水電解質二次電池としては、円筒型のリチウムイオン二次電池やコイン型のリチウムイオン二次電池がある。
【0004】
リチウムイオン二次電池では、図5に示すような円環状からなるガスケット50を用いる。ガスケット50は、例えばポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系汎用樹脂からなり、第1の筒部51と、この第1の筒部51より内周が大きい第2の筒部52とが段差部53によって接続された構造を有する。ガスケット50は、外装容器と蓋体との間に形成される隙間に嵌め込められ、外装容器の開口部がかしめられることによって、圧縮され、外装容器と蓋体との間の隙間を塞いでいる。ガスケット50は、サイドゲート方式やサブマリンゲート方式により、所定の形状に射出成形されて形成される。
【0005】
したがって、このような構成の非水電解質二次電池では、正極、負極及び非水電解質が収納されている外装容器の内部がガスケット50を介して蓋体で密閉された構造を有するため、組み立て後に、温度環境が−10℃から60℃の温度範囲であっても、上述した電池機器で用いて電池特性の劣化が少ないことが望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したガスケット50では、材料として用いられるポリオレフィン系汎用樹脂の圧縮永久歪み率が極めて高く、例えば80℃の高温や−40℃の低温環境下で電池を長時間使用及び保存した場合、樹脂が収縮変化を起こし、外装容器と蓋体との間の隙間の封止する封止性が低下してしまう。
【0007】
また、ガスケット50は、ポリオレフィン系汎用樹脂のガラス転移温度が−20℃から−10℃程度であることから、常温環境下で樹脂の分子運動が活発となり、樹脂の弾性が低下し軟化してしまう。このため、ガスケット50は、長時間、常温環境下で使用及び保存した場合、時間が経つにつれて外装容器と蓋体との間から樹脂材料が押し出されてしまうため、電池の気密性を低下させてしまう。更に、ガスケット50は、例えば−40℃の低温から80℃の高温の広範囲で、温度変化させた場合、温度変化により樹脂が劣化してしまうため、脆くなり、ひび割れ等が生じ、封止性が低下してしまう。
【0008】
ガスケット50は、サイドゲート方式やサブマリンゲート方式で射出成形した場合、成形金型内での樹脂材料の流れが不均一となり、ガスケットの周壁の肉厚が均等に形成されることが困難である。このため、外装容器の開口部をかしめた際に、圧縮されたガスケット50の表面にひだ状のしわが発生し、ガスケット50の封止性が損なわれ、電池内部の気密性が低下してしまう。このため、リチウムイオン二次電池では、電池内部に空気が侵入して、空気中の水分と、内部に収納されている負極や非水電解質とが反応し、電池性能が低下してしまう。
【0009】
更に、リチウムイオン二次電池では、非水電解質として非水溶媒と電解質塩とを有する非水電解液が用いられており、外装容器の内部に正極及び負極とともに注液されている。このため、リチウムイオン二次電池では、上述したようなガスケットの封止性の低下等により、外装容器内に注液した非水電解液が漏液して、周辺機器へ被害を与えたり、非水電解液の液量不足等が生させ、電池性能が低下してしまう。
【0010】
リチウムイオン二次電池では、非水溶媒にプロピレンカーボネート(以下、PCと記す。)やエチレンカーボネート(以下、ECと記す。)等の環状カーボネートが含有されている。環状カーボネートは、高誘電率を有するが、例えばPCは高粘度を有し、ECは常温で固体となってしまう。このため、非水溶媒には、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを混合して、粘度や融点を適切に調整した混合溶媒が用いられている。
【0011】
リチウムイオン二次電池では、非水溶媒に含有されている鎖状カーボネートが低沸点であるため、高温環境下で電池を使用及び保存した場合、鎖状カーボネートが気化して内圧が上昇し、非水電解液の漏液が促進されてしまう。また、リチウムイオン二次電池では、負極活物質に用いられる炭素材料により、PCが分解されてガスを発生し、内圧が上昇してしまうため、同様に非水電解液の漏液が促進されてしまう。したがって、リチウムイオン二次電池では、電池性能が著しく低下してしまう。
【0012】
以上のような問題を解決する方法としては、ガスケットの表面にシール剤を塗布する方法があるが、このような方法でも電池内部の密閉性の低下を防止することが困難である。
【0013】
したがって、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、外装容器の気密性を高める非水電解質電池及び非水電解質電池の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明に係る非水電解質電池は、正極と、負極と、正極と負極との間に介在されるセパレータとを有する電極体と、電解質塩と非水溶媒とを含有する非水電解質と、電極体と非水電解質とを収納する外装容器と、電極体と接続される凸部を有する遮断弁と、電極体と遮断弁との間に配置されて凸部が挿入される孔を有する遮断板と、遮断弁と遮断板とを絶縁する絶縁体とを有する蓋体と、外装容器の開口部を蓋体が閉蓋した際に、外装容器の内周面と蓋体の外周面との間にできる隙間に嵌め込まれることで隙間を封止するガスケットとを備え、ガスケットは、ガラス転移温度が60℃以上の樹脂材料からなり、遮断板を支持する支持部と、蓋体の外周面と相対する内周面を一周するように内側に突出する突起部とを有し、フィルムゲート方式によって形成されていることを特徴とする。
【0015】
この非水電解質電池によれば、ガスケットの材料として、ガラス転移温度が60℃以上の樹脂材料を用いることによって、常温で長時間、使用及び保存された場合でも、樹脂材料の軟化が抑えられるため、外装容器と蓋体との間の隙間を常温で長時間、塞ぐことができる。
【0016】
また、この非水電解質電池によれば、支持部が遮断板を位置決めし、支持することにより、振動や衝撃により遮断板がはずれ、正極と遮断弁との接続を切断してしまうことを防止する。更に、この非水電解質電池では、蓋体の外周面と相対する内周面を一周する突起部によって、外装容器と蓋体との隙間が適切に密閉される。
【0017】
上述した目的を達成する本発明に係る非水電解質電池の製造方法は、正極と、負極と、正極と負極との間に介在されるセパレータとを有する電極体を作製する工程と、電解質塩と非水溶媒とを有する非水電解質を作製する工程と、ガラス転移温度が60℃以上の樹脂材料を軟化させた状態で、フィルムゲート方式により成形金型に注入し、樹脂材料を固化させて、成形金型より取り出すことでガスケットを形成する工程と、電極体と接続される凸部を有する遮断弁と、電極体と遮断弁との間に配置されて上記凸部が挿入される孔を有する遮断板と、遮断弁と遮断板とを絶縁する絶縁体とを有する蓋体を作製する工程と、外装容器の開口部を蓋体で閉蓋した際に、外装容器の内周面と蓋体の外周面との間にできる隙間に、ガスケットを嵌め込むことで隙間を封止する工程とを有し、ガスケットを形成する工程において、ガスケットに遮断板を支持する支持部と、蓋体の外周面と相対する内周面を一周するように内側に突出する突起部とを形成し、樹脂材料を、支持部及び/又は突起部となる位置より成形型に注入することを特徴とする。
【0018】
この非水電解質電池の製造方法では、ガスケットの材料として、ガラス転移温度が60℃以上の樹脂材料を用いることによって、常温で長時間、使用及び保存された場合でも、樹脂材料の軟化が抑えられるため、外装容器と蓋体との間の隙間を常温で長時間、塞ぐことが可能なガスケットを有する非水電解質電池が得らえる。
【0019】
また、この非水電解質電池の製造方法によれば、ガスケットの支持部が遮断板を位置決めし、支持することにより、振動や衝撃により遮断板がはずれて、正極と遮断弁との接続を切断してしまうことが防止される。更に、この非水電解質二次電池の製造方法では、蓋体の外周面と相対する内周面を一周する突起部によって、外装容器と蓋体との隙間が適切に封止された非水電解質電池が得られる。
【0020】
更にまた、この非水電解質電池の製造方法によれば、ガスケットをフィルムゲート方式により射出成形することによって、肉厚が均等に形成されるため、かしめ圧がガスケットに均等にかかるようになり、高い密閉性を有する非水電解質電池が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した非水電解質電池及びその製造方法について、図1に示す円筒型のリチウムイオン二次電池1(以下、電池1と記す。)を参照して説明する。
【0022】
電池1は、帯状の負極2と、帯状の正極3とがセパレータ4を介して密着状態で捲回された電極体5と、非水電解液6と、電極体5及び非水電解液6を収容する外装容器7と、外装容器7の開口部に閉蓋する蓋体8と、外装容器7と蓋体8との間に嵌め込まれるガスケット9とを備える。電池1は、電極体5を外装容器7に収納し、外装容器7に非水電解液6を注入して、外装容器7の開口部にガスケット9を介して蓋体8を閉蓋して、外装容器7の開口部をかしめることにより電池内部が密閉された構造を有する。
【0023】
負極2は、負極集電体10上に所定領域に負極活物質を含有する負極合剤層11が形成されており、所定領域以外の負極合剤層11が形成されていない負極集電体10上に負極リード12が溶接されている。負極活物質には、リチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能な炭素質材料等が用いられる。具体的に、炭素質材料としては、例えば難黒鉛化炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解性炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物、焼成体、炭素繊維或いは活性炭等がある。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークス、或いは石油コークス等がある。有機高分子化合物とは、フェノール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものであり、一部には難黒鉛化炭素又は易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。これらの炭素質材料は、上述した化合物等に混合させて用いることも可能であり、このように用いた場合、導電材としても機能する。
【0024】
負極2において、負極集電体10としては、例えば網状や箔状の銅等を用いる。また、負極2において、負極合剤層11には、上述した負極活物質の他に、例えばポリテトラフルフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデン等の結着剤が含有されている。負極リード12には、ニッケル片等の金属片を用いる。
【0025】
正極3は、正極集電体13上の所定領域に正極活物質を含有する正極合剤層14が形成されており、所定領域以外の正極合剤層14が形成されていない正極集電体13上に正極リード15が溶接されている。正極活物質には、リチウムイオンをドープ・脱ドープすることが可能なリチウム複合酸化物等のリチウム含有化合物が用いられる。リチウム複合酸化物は、化学式Li(1+x)M′(1−x−y)(式中、Mは、Co又はNiであり、M′がCoの場合には、MはNi、Mn、Mg、Al、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Mo、Sn、Ca、Sr、Wから選ばれる少なくとも一種以上の元素を示し、xは、−0.1≦x≦0.1であり、yは、y=0又は0.005≦y≦0.5である。)で示される。具体的には、六方晶構造を有するリチウム・コバルト複合酸化物やリチウム・ニッケル複合酸化物、或いはスピネル構造を有するリチウム・マンガン複合酸化物等がある。
【0026】
正極3において、正極集電体には、例えば網状や箔状のアルミニウム等を用いる。正極3において、正極合剤層14には、上述した正極活物質の他に、結合剤としてポリテトラフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデンを、導電材として人工黒鉛やカーボンブラック等が含有されている。正極リード15には、アルミニウム片等の金属片を用いる。
【0027】
セパレータ4は、負極2と正極3とを隔離して、両極の接触による内部短絡を防止すると共に、非水電解液6中のリチウムイオンを通過させるものである。セパレータ4は、孔の平均粒径が5μm以下程度の微小な孔を多数有する樹脂からなる微多孔性膜である。樹脂としては、例えば、オレフィン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ナイロン等があり、その他にもガラス繊維、アルミナ繊維等を用いることが可能である。中でも、ポリプロピレンやポリオレフィンは、短絡防止効果に優れ、シャットダウン効果により電池1の安全性を向上させることから、セパレータ4として好ましい樹脂である。
【0028】
非水電解液6は、非水溶媒に電解質塩を溶解させることで調製される。非水溶媒には、電気伝導率の高いプロピレンカーボネート(以下、PCと記す。)やエチレンカーボネート(以下、ECと記す。)等の環状カーボネートと、鎖状カーボネートとを混合した溶媒を用いる。この非水溶媒に溶解させる電解質塩としては、上述したLiPFの他に、例えば、LiClO、LiAsF、LiBF、LiB(C、CHSOLi、CFSOLi、LiCl、LiBr等が挙げられ、これらのうち一種以上を混合させて用いることも可能である。
【0029】
外装容器7は、内面にニッケルめっき処理が施された鉄製からなり、有底円筒型に形成されており、開口部に後述する蓋体が嵌め込まれるくびれ状のビードが形成されている。外装容器7は、内部に収納されている電極体5の負極2から導出している負極リード12と電気的に接続されて、外部負極となる。
【0030】
蓋体9は、外部正極となる蓋部16と、この蓋部16の下方に設けられるPTC(positive temperature coefficient)素子17と、PTC素子17を介して蓋部16と導通している遮断弁18と、遮断弁18と電気的に接続されている電流遮断用薄板19と、遮断弁18と電流遮断用薄板19との間に設けられている遮断板20と、遮断弁18と遮断板20との間を絶縁する絶縁体21とを有する。
【0031】
蓋部16は、電池1の外部に向かって突出した皿状に形成されており、外部正極となる。蓋部16には、外装容器7内部で発生したガスを外部に排気するためのガス抜け孔22が形成されている。
【0032】
PTC素子17は、電池1内部の温度上昇とともに抵抗が増大して電流を制限するように作用する。
【0033】
遮断弁18は、円盤状を呈する導電性金属からなり、例えばプレス成形により皿状に形成されている。遮断弁18は、中央部に、厚み方向に突出する凸部23が形成されており、この凸部23に電流遮断用薄板19が接続されることになる。遮断弁18は、例えば電池1が過充電状態になった場合、電池1の内部でガスが発生し電池1の内圧が上昇することによって、蓋部16側に向かって膨らみ、変形する。
【0034】
蓋体8では、電池1の内圧による遮断弁18の変形によって、遮断弁18の凸部23と電流遮断用薄板19との接続をはずし、電池1に電流が流れないようにし、これ以上過充電状態等が進まないようにすることができる。
【0035】
電流遮断用薄板19には、電極体5の正極3から導出している正極リード15が溶接されている。電流遮断用薄板19は、遮断弁18の凸部23とが接続されており、電極体5と蓋体8と電気的に接続されるようになる。
【0036】
遮断板20は、遮断弁18の凸部23が挿入される孔24を有する。遮断板20は、遮断弁18が蓋部16側に向かって膨らみ、変形して、電池1の電流を遮断する際に、遮断弁18と共に、電流遮断用薄板19が蓋部16側へ移動してしまうことを防止する。
【0037】
絶縁体21は、遮断弁18が蓋部16側に向かって膨らみ、変形して、電池1の電流を遮断した際に、電流遮断用薄板19と接続されている遮断板20と、遮断弁18とが確実に絶縁されるようにするため設けられている。
【0038】
ガスケット9は、上述した外装容器7と蓋体8との間に形成される隙間に埋め込まれ、取り付けられることによって、外装容器7と蓋体8との間の隙間を封止すると共に、外装容器7の内部を密閉する。また、ガスケット9は、外装容器7内に注液されている非水電解液6の漏液や外装容器7内への空気の侵入を防止するように機能する。
【0039】
ガスケット9は、ガラス転移温度が60℃以上の樹脂材料からなり、フィルムゲート方式によって形成される。ガラス転移温度が60℃以上の樹脂材料としては、例えば四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(以下、PFAと記す。)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(以下、ETFEと記す。)等のフッ素樹脂や、ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと記す。)等の耐電解液性を有する樹脂等が用いられる。
【0040】
ガスケット9は、上述したようなガラス転移温度が60℃以上の樹脂材料を用いることによって、常温環境下で電池1を使用及び保存した場合であっても、樹脂材料の分子運動が活発とならず、軟化が抑えられるため、外装容器のかしめ圧によって、外装容器7と蓋体8との間から樹脂材料が押し出されることが防止される。また、ガスケット9は、ガラス転移温度が60℃以上の樹脂材料を用いることによって、例えば−10℃から60℃の広範囲に温度変化がある環境下においても、樹脂の劣化が抑えられるため、ひび割れ等の発生が防止される。
【0041】
一方、ガスケットの材料に、ガラス転移温度が60℃より低い樹脂材料を用いた場合では、ガラス転移温度が低いため、電池1を使用及び保存する温度環境下が例えば−10℃から60℃では長時間、使用及び保存すると封止性が低下してしまう。このため、電池1では、電池内部の密閉性が維持されなくなってしまい、電池性能が低下してしまう。
【0042】
したがって、ガスケット9によれば、常温や広範囲の温度環境下で電池1を使用及び保存した場合であっても、外装容器7を蓋部16で密閉した状態を維持することができ、非水電解液6の漏液や外装容器7内部への空気侵入が防止される。これにより、非水電解質二次電池では、非水電解液6の液量不足等が抑えられるため、電池性能の低下が抑制される。
【0043】
次に、ガスケット9の具体的な形状について説明する。ガスケット9は、図2に示すように、円環状に呈しており、第1の筒部25と、第2の筒部26とを有し、第1の筒部25の上部と第2の筒部26の下部とが段差部27で接続されている。第1の筒部25は、内周の径が第2の筒部26よりも小さく、内周面の中心部に向かって突出している支持部28が内周の全周に亘って設けられている。第1の筒部25には、蓋部16の遮断板20と絶縁体21とが嵌合され、支持部28により蓋部16の遮断板20が支持されている。
【0044】
これにより、ガスケット9は、第1の筒部25に設けられている支持部28が、蓋部16の遮断板20を位置決めし、支持するため、振動等の衝撃により遮断弁18がはずれ、移動してしまうことを防止する。このため、ガスケット9は、遮断弁18の凸部23と、正極3との電気的接続を維持している。また、ガスケット9は、蓋部16と遮断弁18との接続を維持しているため、蓋部16と遮断弁18との接触抵抗の増加が抑えられ、出力低下等の電池性能の低下を抑制する。
【0045】
また、支持部28は、ガスケット9をフィルムゲート方式で形成する際に、樹脂材料を注入する注入口となる。これにより、ガスケット9は、注入口が広くなることから、一度に多量の樹脂材料が成形金型内に注入され、成形金型内の全周にわたって円滑に樹脂材料が流動するようになり、斑のない肉厚に形成される。
【0046】
第2の筒部26は、内周の径が第1の筒部25よりも大きく、蓋部16の外周面と相対する内周面に、中心部に向かって突出している突起部29が全周に亘って設けられている。第2の筒部26には、蓋体8の蓋部16と、PTC素子17と、遮断弁18とが嵌合される。突起部29は、縮径方向にかしめられる際に、外装容器7と蓋部16との間に嵌め込まれた部分の肉厚が厚くし、外装容器7と蓋体8との間の気密性を高める。なお、突起部29は、支持部28と同様に、ガスケット9をフィルムゲート方式で形成する際の樹脂材料を注入する注入口として利用してもよい。
【0047】
以上のような構成の電池1は、次のようにして製造される。先ず、負極2を作製する。負極2を作製する際は、上述したような炭素質材料からなる負極活物質に、結着剤を所定の割合で混合し負極合剤塗液を調製する。次に、得られた負極合剤塗液を負極集電体10の両面に不塗工部を設けるように均一に塗布し、乾燥することで負極合剤層11を形成し、乾燥後、所定の形状に裁断する。次に、負極集電体10が露出している不塗工部に負極リード12、例えば超音波溶接や、スポット溶接等により溶接する。このようにして、帯状の負極2が作製される。
【0048】
次に、正極3を作製する。正極3を作製する際は、上述したリチウム含有化合物からなる正極活物質と、導電剤と、結着剤とを有機溶媒に分散させて正極合剤塗液を作製する。この正極合剤塗液を正極集電体13の両面上に、不塗工部を設けるように均一に塗布し、乾燥することで正極合剤層14を形成し、所定の寸法に裁断する。
【0049】
次に、以上のようにして作製された負極2と正極3とを多孔性ポリオレフィンフィルム等からなるセパレータ4を介して多数回捲回して、渦巻き型の電極体5を作製した後、この電極体5を絶縁板30と共に外装容器7内に収納する。そして、負極2の集電をとるために、負極2から導出される負極リード12を外装容器7の底面に溶接する。これにより、外装容器7は、電池1における外部負極となる。
【0050】
次に、ガスケット9をフィルムゲート方式で作製する。ガスケット9は、ガラス転移温度が60℃以上の樹脂材料を射出成形して形成される。ガスケット9を形成する際は、ガスケット9の形状に形成した成形金型の支持部28部分に周状に注入口を設け、この注入口から軟化させた樹脂材料をフィルムゲート方式で注入する。その後、所定の温度で、軟化させた樹脂材料を固化させて射出成形する。射出成形する際に、固化した樹脂材料を成形金型から取り出す前に、図3に示すように、注入口に形成されたフィルムゲート31をプレス抜きによって除去する。なお、フィルムゲート31の除去は、射出成形後に、成形金型を成形物から取り外し、射出成形機内から取り出した後に、プレス抜きでフィルムゲート31を除去するようにしてもよい。
【0051】
したがって、ガスケット9は、成形金型の支持部28部分に設けた周状の注入口から樹脂材料を注入するため、一度に多量の樹脂材料が成形金型内に円滑に注入され、成形金型に十分に充填されるようになり、この樹脂材料を射出成形して形成されることによって、肉厚が均等に形成される。これにより、ガスケット9は、外装容器7の開口部をかしめた際にひだ状のしわを生じず、電池の気密性が向上する。また、ガスケット9を作製する際に、フィルムゲート31を射出成形機内で除去することにより、製作コストが削減される。
【0052】
次に、蓋体8をガスケット9に嵌合させる。射出成形して得られたガスケット9の第1の筒部25に、電流遮断用薄板24が溶接された遮断板20を支持部28に支持されるように嵌合し、その遮断板20の外周部と重なるように、遮断板20上に絶縁体21を嵌合して積層させる。第2の筒部26には、遮断弁18を段差部27に支持されるように嵌合し、その遮断弁18の外周部と重なるように、遮断弁18上にPTC素子17及び蓋部16を順に嵌合して、積層させる。したがって、ガスケット9には、支持部28に遮断板20支持された状態で蓋体8が嵌合されている。
【0053】
次に、正極リード15と蓋体8の電流遮断用薄板24とを溶接し、電極体5が収納された外装容器7内に、調製した非水電解液6を注液して、図4に示すように、外装容器7の開口部の内周にガスケット9に嵌合された蓋体8を嵌め込む。次に、外装容器7の開口部を内側にかしめることにより、突起部29を有するガスケット9が外装容器7と蓋体8によって圧縮され、外装容器7を密閉する。これにより、密閉構造を有し、蓋部16と正極リード15が電気的に接続され、蓋部16が外部正極となった電池1が製造される。
【0054】
以上のようにして製造される電池1では、ガスケット9の材料にガラス転移温度が60℃以上の樹脂材料を用いることによって、常温環境下、及びPTC素子17により過電流加熱防止の安全機構が働いた場合のPTC素子17がトリップする際の熱等により、樹脂材料の分子運動が活発とならず、軟化が抑えられる。また、この電池1では、ガスケット9に、ガラス転移温度が60℃以上の樹脂材料を用いることによって、広範囲の温度変化がある環境下においても樹脂材料が劣化しないため、びび割れ等が防止される。
【0055】
したがって、電池1では、このようなガスケット9を外装容器7と蓋体8との間に嵌め込み、外装容器7の開口部をかしめることによって密閉されているため、外装容器7内に注液されている非水電解液6の漏液や外装容器7内への空気侵入が防止され、電池性能の低下を抑制されている。
【0056】
更に、電池1では、ガスケット9に形成された支持部28により、蓋部16の遮断板20が位置決めされ、支持されるため、振動等の衝撃により遮断弁18がはずれ、移動してしまうことが防止され、遮断弁18と遮断板20との接続信頼性が得られる。電池1では、突起部29により、外装容器7がかしめられる際に、外装容器7と蓋部16との間に嵌め込まれた部分の肉厚が厚くなるため、外装容器7内部の密閉性が高くなる。
【0057】
したがって、電池1では、支持部28及び突起部29が形成されたガスケット9を用いることにより、非水電解液6の漏液等が防止され、周辺機器への被害や非水電解液6の液量不足による電池性能の低下が抑えられる。また、電池1では、ガスケット9により、蓋部16と遮断弁18との良好な接続信頼性が得られるため、蓋部16と遮断弁18との接触抵抗の増加が抑えられ、出力低下等の電池性能の低下が抑制される。
【0058】
更にまた、電池1では、ガスケット9をフィルムゲート方式で成形する際に、支持部28に周状に設けられた注入口から樹脂材料を注入することによって、注入口が広くなるため、成形金型全体に樹脂材料が均一に充填されるようになり、成形されたガスケット9の肉厚が均等に形成される。したがって、電池1では、外装容器7をかしめた際に発生するひだ状のしわが発生するのが防止され、外装容器7の高い気密性が得られるため、非水電解液6の漏液や内部への空気侵入が防止される。
【0059】
なお、以上の例では、円筒型の電池1を用いて説明したが、このことに限定されることなく、例えば、コイン型、角型、ボタン型の電池等、種々の形状や大きさの非水電解質電池にも適用可能である。また、以上の例では、二次電池である電池を用いて説明したが、このことに限定されず、非水電解質電池であれば一次電池にも適用可能である。
【0060】
【実施例】
以下、本発明を適用した非水電解質電池として円筒型非水電解質二次電池を作製した実施例及び比較例について説明する。
【0061】
実施例1
実施例1では、先ず、負極を作製した。負極を作製する際は、炭素質材料からなる負極活物質に、ポリビニリデンフルオライド(以下、PVdF記す。)等の結着剤と、有機溶媒とを加え、プラネタリーミキサーを用いて混練、分散を行い、負極合剤塗液を作製した。次に、得られた負極合剤塗液を塗工装置としてダイコータを用いて負極集電体となる帯状の銅箔の両面上に均一に塗布して、乾燥させた後に、ロールプレス機で圧縮成形し、負極集電体の両主面上に負極合剤層を形成した。次に、両主面上に負極合剤層が形成された負極集電体を所定の寸法に裁断し、この負極集電体の所定の位置に、負極集電体の幅方向の一端から突出するように負極リードとして短冊状のニッケル片を接続した。以上のようにして、長尺状の負極を50個作製した。
【0062】
次に、正極を作製した。正極を作製する際は、リチウム複合酸化物等の正極活物質に、PVdF等の結着剤と、グラファイト等の導電剤とを混合し、有機溶媒を加えて、プラネタリーミキサーによって混練、分散を行い、正極合剤塗液を作製した。次に、得られた正極合剤塗液をダイコータで、正極集電体となる帯状のアルミニウム箔の両主面に均一に塗布して、乾燥させた後に、ロールプレス機で圧縮成形し、負極集電体の両主面上に正極合剤層を形成した。次に、両主面上に正極合剤層が形成された正極集電体を所定の寸法に裁断し、この正極集電体の所定の位置に、正極集電体の幅方向の一端から突出するように正極リードとして短冊状のアルミニウム片を接続した。以上のようにして、長尺状の負極を50個作製した。
【0063】
次に、負極と正極との間に、セパレータとして長尺状の微多孔性のポリオレフィンフィルムを介在させて積層体を形成し、この積層体を巻回装置を用いて扁平状に巻回し、この巻回体の外周に臨むセパレータの端部を巻止めテープで固定して電極体を作製した。この電極体は、セパレータの幅方向の一端面から負極リード及び正極リードが突出する扁平巻回構造とされた。
【0064】
次に、作製された電極体から導出している鉄にニッケルめっきを施した外装容器に溶接すると共に、電極体を外装缶に収納した。
【0065】
次に、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを所定の割合で混合した混合溶媒に、電解質塩を溶解させて非水電解液を調製し、この非水電解液を外装容器内に注入した。
【0066】
次に、ガスケットを次のようにして作製した。ガスケットは、樹脂材料に四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(以下、PEAと記す。)を用い、フィルムゲート方式により射出成形で作製した。
【0067】
次に、作製されたガスケットに、蓋体を嵌合させ、蓋部の遮断弁に電極体から導出している正極リードを溶接した。次に、ガスケットの嵌合された蓋部を外装容器の開口部に嵌め込み、外装容器の開口部をかしめることにより外装容器を閉蓋して、円筒型非水電解質二次電池を50個作製した。
【0068】
実施例2
実施例2では、ガスケットの樹脂材料にエチレン・四フッ化エチレン共重合体(以下、ETFEと記す。)用いて、ガスケットを作製したこと以外は、実施例1と同様にして円筒型非水電解質二次電池を50個作製した。
【0069】
実施例3
実施例3では、ガスケットの樹脂材料にポリフィニレンサルファイド(以下、PPSと記す。)を用いて、ガスケットを作製したこと以外は、実施例1と同様にして円筒型非水電解質二次電池を50個作製した。
【0070】
比較例1
比較例1では、ガスケットの樹脂材料にポリプロピレン(以下、PPと記す。)を用いて、ガスケットを作製し、得られたガスケットの表面にシール剤としてアスファルトのシール剤をコーティングしたこと以外は、実施例1と同様にして円筒型非水電解質二次電池を50個作製した。
【0071】
比較例2
比較例2では、ガスケットの表面にアスファルトのシール剤をコーティングしないでガスケットを作製したこと以外は、比較例1と同様にして円筒型非水電解質電池を50個作製した。
【0072】
次に、以上のようにして作製した実施例1乃至実施例3、及び比較例1に対して、耐漏液性を温度環境が異なった条件で試験1及び試験2を行った。以下に、実施例1乃至実施例3、及び比較例1の試験1の結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
Figure 2004119067
【0074】
表1において、試験1では、実施例1乃至実施例3、及び比較例1の耐漏液性を次のようにして評価した。各実施例1乃至実施例3、及び比較例1の50個の円筒型非水電解質二次電池に対して、−10℃の温度環境下で2時間保存した後に、2時間で60℃まで温度を上昇させ、60℃の温度環境下で2時間保存した。その後、2時間で−10℃まで冷却して、−10℃の温度環境下で2時間保存した。これを1サイクルとして、100サイクル行った後の各電池の漏液を調べた。
【0075】
表1に示す結果から、ガラス転移温度が80℃から110℃程度の樹脂材料であるPFA、ETFE、PPSを用いた実施例1乃至実施例3、及びガラス転移温度が−10℃から−20℃の樹脂材料であるPPを用い、ガスケットの表面にアスファルトコーティングしている比較例1では、共に漏液が確認されなかった。これらに対して、PPを用い、ガスケットの表面にアスファルトのシール剤をコーティングしていない比較例2では、50個のサンプルすべてに漏液が確認された。
【0076】
したがって、実施例1乃至実施例3では、ガラス転移温度が80℃から110℃程度の樹脂材料からなるガスケットと用いたことによって、60℃の高温環境下において保存した場合でも、ガスケットの樹脂材料が軟化せず、外装容器の開口部のかしめ圧によって、外装容器と蓋体との間から押し出されることがなく、電池の気密性が維持されている。
【0077】
また、実施例1乃至実施例3では、上述した樹脂材料を用いることによって、−10℃から60℃までの広範囲に温度変化がある環境下においても、樹脂材料の劣化が抑えられるため、ガスケットにひび割れ等の発生が抑制されている。
【0078】
比較例1では、ガスケットの樹脂材料にガラス転移温度が−10℃から−20℃のポリプロピレンを用いたが、ガスケットの表面にシール剤としてアスファルトのシール剤をコーティングしていることから、60℃の高温環境下や、−10℃から65℃の広範囲で温度変化がある環境下において、保存した場合であっても、ガスケットの気密性が維持されている。
【0079】
これらに対して、比較例2では、ガスケットの樹脂材料にガラス転移温度が−10℃から−20℃のPPを用い、ガスケットの表面にシール剤としてアスファルトのシール材をコーティングしていないため、PPが軟化して、外装容器の開口部のかしめ圧によって、外装容器と蓋体との間から押し出されてしまう。したがって、比較例2では、ガスケットの気密性が維持されず、50個のサンプル全て、非水電解質が漏液してしまう。
【0080】
次に、試験2では、実施例1乃至実施例3、及び比較例1及び比較例2の試験2の結果を表1に示す。各実施例1乃至実施例3、及び比較例1及び比較例2の50個の円筒型非水電解質二次電池に対して、−40℃の温度環境下で2時間保存した後に、2時間で80℃まで温度を上昇させ、80℃の温度環境下で2時間保存した。その後、2時間で−40℃まで冷却し、−40℃の温度環境下で2時間保存した。これを1サイクルとして、100サイクル行った後の各電池の漏液を調べた。
【0081】
表1に示す結果から、実施例1乃至実施例3では、漏液は確認されなかったが、比較例1では50個の円筒型非水電解質二次電池のすべてに漏液が確認された。実施例1乃至実施例3では、ガスケットの材料にガラス転移温度が80℃から110℃前後ある樹脂材料を用いたため、80℃の高温環境下において保存した場合でも、ガスケットの樹脂材料が軟化せず、外装容器の開口部のかしめ圧によって、外装容器と蓋体との間から押し出されることがないため、電池の気密性が維持されている。
【0082】
また、実施例1乃至実施例3では、上述した樹脂材料を用いることによって、−40℃から80℃までの広範囲に温度変化がある環境下においても、樹脂材料の劣化が抑えられるため、ガスケットにひび割れ等の発生が抑制されている。
【0083】
したがって、実施例1乃至実施例3では、外装容器と蓋体との間をガスケットが良好な状態で封止しているため、非水電解液の漏液が抑えられている。
【0084】
実施例1乃至実施例3に対して、比較例1では、ガスケットの材料であるPPのガラス転移温度が−10℃から−20℃と低いため、アスファルトのシール剤をコーティングしていても、ガラス転移温度より高い高温環境下ではPPが軟化して、外装容器と蓋体との間から樹脂材料が流出してしまう。また、実施例1乃至実施例3に対して、比較例2では、ガスケットの材料であるPPのガラス転移温度が−10℃から−20℃と低く、アスファルトのシール剤をコーティングしていないため、ガラス転移温度より高い高温環境下ではPPが軟化して、外装容器と蓋体との間から樹脂材料が流出してしまう。したがって、比較例1及び比較例2では、封止する能力が低下したガスケットにより、外装容器と蓋体との間から、内部に注液された非水電解質が漏液してしまう。
【0085】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明によれば、ガスケットの材料にガラス転移温度が60℃以上の樹脂材料を用いることによって、常温で、樹脂材料が軟化することが抑制され、例えば−10℃から60℃の温度範囲で使用及び保存された場合でも、電池内部の密閉性が高い非水電解質電池が得られる。
【0086】
また、本発明によれば、ガスケットに設けられた支持部により、遮断板が固定されるため、例えば振動等により、正極と遮断弁との接続がはずれ、切断されてしまうことが防止された非水電解質電池が得られる。更に、この非水電解質電池によれば、ガスケットに設けられた突起部により、外装容器と蓋体との間に嵌め込まれるガスケットの肉厚を厚くすることができることから、電池内部の密閉性が高い非水電解質電池が得られる。したがって、本発明によれば、密閉性及び接続信頼性に優れ、電子機器等の電源として幅広く用いられる非水電解質電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる非水電解質電池の断面図である。
【図2】ガスケットの断面図である。
【図3】ガスケットにフィルムゲートが形成されている状態の断面図である。
【図4】同非水電解質電池の外装容器をかしめる前の状態の断面図である。
【図5】従来のガスケットの断面図である。
【符号の説明】
1 電池、2 負極、3 正極、4 セパレータ、5 電極体、6 非水電解液、7 外装容器、8 蓋体、9 ガスケット、10 負極集電体、11 負極合剤層、12 負極リード、13 正極集電体、14 正極合剤層、15 正極リード、16 蓋部、17 PTC素子、18 遮断弁、19 電流遮断用薄板、20 遮断板、21 絶縁体、22 ガス抜け孔、23 凸部、24 孔、30 絶縁板

Claims (5)

  1. 正極と、負極と、上記正極と上記負極との間に介在されるセパレータとを有する電極体と、
    電解質塩と非水溶媒とを含有する非水電解質と、
    上記電極体と上記非水電解質とを収納する外装容器と、
    上記電極体と接続される凸部を有する遮断弁と、上記電極体と上記遮断弁との間に配置されて上記凸部が挿入される孔を有する遮断板と、上記遮断弁と上記遮断板とを絶縁する絶縁体とを有する蓋体と、
    上記外装容器の開口部を上記蓋体が閉蓋した際に、上記外装容器の内周面と上記蓋体の外周面との間にできる隙間に嵌め込まれることで上記隙間を封止するガスケットとを備え、
    上記ガスケットは、ガラス転移温度が60℃以上の樹脂材料からなり、上記遮断板を支持する支持部と、上記蓋体の外周面と相対する内周面を一周するように内側に突出する突起部とを有し、フィルムゲート方式によって形成されていることを特徴とする非水電解質電池。
  2. 上記樹脂材料は、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、又はエチレン・四フッ化エチレン共重合体、又はポリフェニレンサルファイドであることを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
  3. 正極と、負極と、上記正極と上記負極との間に介在されるセパレータとを有する電極体を作製する工程と、
    電解質塩と非水溶媒とを有する非水電解質を作製する工程と、
    ガラス転移温度が60℃以上の樹脂材料を軟化させた状態で、フィルムゲート方式により成形金型に注入し、上記樹脂材料を固化させて、上記成形金型より取り出すことでガスケットを形成する工程と、
    上記電極体と接続される凸部を有する遮断弁と、上記電極体と上記遮断弁との間に配置されて上記凸部が挿入される孔を有する遮断板と、上記遮断弁と上記遮断板とを絶縁する絶縁体とを有する蓋体を作製する工程と、
    上記外装容器の開口部を上記蓋体で閉蓋した際に、上記外装容器の内周面と上記蓋体の外周面との間にできる隙間に、上記ガスケットを嵌め込むことで上記隙間を封止する工程とを有し、
    上記ガスケットを形成する工程において、上記ガスケットに上記遮断板を支持する支持部と、上記蓋体の外周面と相対する内周面を一周するように内側に突起する突起部とを形成し、
    上記樹脂材料を、上記支持部及び/又は上記突起部となる位置より上記成形金型に注入することを特徴とする非水電解質電池の製造方法。
  4. 上記樹脂材料は、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、又はエチレン・四フッ化エチレン共重合体、又はポリフェニレンサルファイドであることを特徴とする請求項3記載の非水電解質電池の製造方法。
  5. 上記ガスケットを形成する工程では、固化させた上記樹脂材料の上記支持部及び/又は上記突起部に残留したフィルムゲートを上記成形金型より取り出す前、又は上記成形金型より取り出した後に除去することを特徴とする請求項3記載の非水電解質電池の製造方法。
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