JP2004164867A - 非水電解質電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極集電体8上に正極合剤層9が形成された正極5と、負極集電体13上に負極合剤層14が形成された負極6とが、セパレータ7を介して積層され、長手方向に捲回された電池素子2を有し、正極6が正極集電体露出部11を有し、正極集電体露出部11と負極6との間に樹脂層12が配設されていることにより、樹脂層12が、内部短絡が起こった際の正極集電体露出部12と負極6との接触を防ぐことから、正極集電体露出部12と負極6とが接触して大電流が流れることで起こる大きな発熱を防止できる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極と負極とがセパレータを介して捲回された電池素子を備え、電池特性が大幅に改良された非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、例えばノート型パーソナルコンピュータ、携帯型電話機、カメラ一体型VTR(video tape recorder)、PDA(Personal Digital Assistants)等の電子機器の電源として、軽量で高エネルギー密度な二次電池の開発が進められている。この高いエネルギー密度を有する二次電池としては、例えば鉛電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池等といった水系電解液電池よりも大きなエネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池がある。
【0003】
このリチウムイオン二次電池は、例えば化学式LiM2(式中MはCo、Ni、Mn、Fe等の遷移金属である。)で示されるリチウム遷移金属複合酸化物等を正極活物質として用い、リチウムイオンをドープ/脱ドープすることが可能な炭素質材料等を負極活物質として用い、これらの活物質を結着剤等で押し固めた合剤層を導電性金属等からなる帯状の集電体上にそれぞれ形成させた帯状の正極及び負極を備えている。そして、リチウムイオン二次電池は、上述した帯状の正極及び負極が、セパレータを介して互いに対向するように積層され、長手方向に捲回された電池素子を発電要素とし、非水電解液等と一緒に外装缶等に封入された構成となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、リチウムイオン二次電池においては、近年の電子機器の高性能化に伴い更なる高容量化が要求されている。このため、リチウムイオン二次電池は、より安全性が高められた電池設計に基づいた構成になってきている。
【0005】
具体的には、例えば特許第3204040号公報等に、正極又は負極のうちのどちらか一方を、非金属の集電体、非金属の活物質にすることで、正極及び負極の集電体同士の接触による内部短絡を防止して安全性を高めることが提案されている。
【0006】
しかしながら、この場合、電極形成が非常に困難であり、且つ非金属の集電体を用いた電極の電子伝導性が低く、大電流を流した際の電池特性、いわゆる負荷特性や、温度特性等が低下してしまうといった問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、負荷特性や温度特性といった電池特性の低下を抑え、安全性が高められた非水電解質電池を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明に係る非水電解質電池は、帯状の正極集電体上に正極活物質層が形成された正極と、帯状の負極集電体上に負極活物質層が形成された負極とが、セパレータを介して互いに対向するように積層され、長手方向に捲回された電池素子を有し、正極が正極集電体を露出する正極集電体露出部を有し、正極集電体露出部と負極との間に、絶縁体又は温度上昇に伴い電気抵抗が大きくなる正温度係数抵抗体からなる樹脂層が配設されていることを特徴としている。
【0009】
この非水電解質電池では、正極集電体露出部と負極との間に、絶縁体又は温度上昇に伴い電気抵抗が大きくなる正温度係数抵抗体からなる樹脂層が配設されていることより、例えば高温に熱せられる等の異常事態に陥って内部短絡が起こった際に、樹脂層が正極集電体露出部と負極との接触を防ぐことから、正極集電体露出部と負極とが接触して大電流が流れることで起こる大きな発熱を防止できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した非水電解質電池について、図1に示す円筒形のリチウムイオン二次電池(以下、電池と記す。)1を参照にして説明する。この電池1は、発電要素となる電池素子2が外装缶3内部に非水電解液4と一緒に封入された構造となっている。
【0011】
電池素子2は、図2に示すように、帯状の正極5と、帯状の負極6とが、帯状のセパレータ7を介して密着状態で長手方向に巻回された構成となっている。
【0012】
正極5は、図3に示すように、正極活物質と結着剤とを含有する正極合剤塗液を正極集電体8の両主面に塗布、乾燥、加圧することにより、正極集電体8の両主面上に正極合剤層9が圧縮形成された構造となっている。正極4には、正極端子10が正極集電体8の所定の位置に接続されている。この正極端子10には、例えばアルミニウム等の導電性金属からなる短冊状金属片等を用いる。
【0013】
また、この正極5には、長手方向の両端部に、例えば正極端子10を接続させる場所として、正極集電体8の両主面とも正極合剤層9が形成されずに正極集電体8が露出している正極集電体露出部11が設けられている。
【0014】
この正極集電体露出部11は、正極5が捲回されて電池素子2となったときに、外周側になった方が電池素子2の外周を少なくとも一周以上覆うような長さになっている。すなわち、正極5の長手方向の両端部に設けられた正極集電体露出部11のうちの電池素子2の外周側になった方の捲回方向の長さをL1とし、電池素子2の外径をdとしたとき、L1≧dπとなる。なお、正極集電体露出部11において、電池素子2の内周側になった方には、正極端子10が正極5の短手方向に沿うように所定の位置に取り付けられる。
【0015】
さらに、この正極5には、正極集電体露出部11を覆うように、例えば絶縁性樹脂又は温度上昇に伴い電気抵抗が大きくなる正温度係数抵抗体等からなる樹脂層12が配設されている。
【0016】
樹脂層12に用いられる絶縁性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。そして、絶縁性樹脂からなる樹脂層12は、上述した絶縁性樹脂をフィルム状にして正極集電体露出部11に貼り付けることや、上述した絶縁性樹脂を溶剤に溶解した塗液を正極集電体露出部11に塗布、乾燥して塗膜を形成することで配設される。
【0017】
樹脂層12においては、正極集電体露出部11に塗膜として配設させた場合、数μm程度の厚みで形成可能であり、例えば絶縁性樹脂をフィルム状にするよりも薄くできることから電池1を軽量化できる。
【0018】
この絶縁性樹脂からなる樹脂層12は、例えば電池1の内部短絡等が起こった際に、正極集電体露出部11と負極6とを適切に絶縁させることから、正極集電体露出部11と負極6とが接触して大電流が流れることで起こる大きな発熱を防ぐように作用する。
【0019】
また、絶縁性樹脂からなる樹脂層12は、体積抵抗率が200Ωcm以上にされている。樹脂層12の体積抵抗率が200Ωcmより小さいと、例えば電池1で内部短絡が起こった際に、正極集電体露出部11と負極6とを適切に絶縁させることができず、正極集電体露出部11と負極6とが接触して起こる大きな発熱を防ぐことが困難になる。したがって、絶縁性樹脂からなる樹脂層12においては、体積抵抗率を200Ωcm以上にすることにより、例えば電池1で内部短絡が起こった際に、正極集電体露出部11と負極6とを適切に絶縁できる。
【0020】
一方、樹脂層12において、正温度係数抵抗体は、例えばアセチレンブラック等のカーボンブラックや、グラファイト等の炭素系導電材と、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリペンテン樹脂等の結晶性熱可塑ポリオレフィン樹脂と、ポリフッ化ビニリデン等の結着剤とによって構成されている。そして、正温度係数抵抗体からなる樹脂層12は、炭素系導電材と結晶性熱可塑性ポリオレフィン樹脂と結着剤とを例えばN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤に分散させた塗液を、正極集電体露出部11に塗布、乾燥して塗膜を形成することで配設される。
【0021】
正温度係数抵抗体からなる樹脂層12は、結着剤が骨格を形成する層内に炭素系導電材及び結晶性熱可塑性ポリオレフィン樹脂が均一に分散され、炭素質導電材により導電ネットワークが形成されている。
【0022】
この正温度係数抵抗体からなる樹脂層12は、例えば電池1の内部短絡等により電池温度が上昇して結晶性熱可塑性ポリオレフィン樹脂の融点を超えると、結晶性熱可塑性ポリオレフィン樹脂が急激に膨張し、層内の炭素質導電材による導電ネットワークが分断されることから、電気抵抗が大きくなって正極集電体露出部11と負極6とを適切に絶縁させることになる。
【0023】
これにより、正温度係数抵抗体からなる樹脂層12でも、例えば電池1の内部短絡等が起こって電池温度が所定の温度になった際に、正極集電体露出部11と負極6とを適切に絶縁させることから、正極集電体露出部11と負極6とが接触して大電流が流れることで起こる大きな発熱を防ぐように作用する。
【0024】
正温度係数抵抗体からなる樹脂層12においては、融点が120℃以下の結晶性熱可塑性ポリオレフィン樹脂を用いている。結晶性熱可塑性ポリオレフィン樹脂の融点が120℃より高い場合、樹脂層12の電気抵抗が大きくなる電池温度が120℃より高くなり、120℃以下で正極集電体露出部11と負極6とが接触して起こる発熱を防止することが困難になる。
【0025】
したがって、正温度係数抵抗体からなる樹脂層12においては、融点が120℃以下の結晶性熱可塑性ポリオレフィン樹脂を用いることにより、例えば電池1の内部短絡等により電池温度が上昇した際に、120℃以下で正極集電体露出部11と負極6とを適切に絶縁できる。具体的には、結晶性熱可塑性ポリオレフィン樹脂として、例えば融点が100℃〜120℃の範囲にあるポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等を一種又は混合して用いることが好ましい。
【0026】
また、正温度係数抵抗体からなる樹脂層12は、結晶性熱可塑性ポリオレフィン樹脂の融点を超えると体積抵抗率が200Ωcm以上になるようにされている。結晶性熱可塑性ポリオレフィン樹脂の融点を超えた際の樹脂層12の体積抵抗率が200Ωcmより小さい場合、例えば電池1の内部短絡等により電池温度が上昇して樹脂層12の電気抵抗が大きくなっても、正極集電体露出部11と負極6とを適切に絶縁させることができず、正極集電体露出部11と負極6とが接触して起こる大きな発熱を防ぐことが困難になる。
【0027】
したがって、正温度係数抵抗体からなる樹脂層12においては、結晶性熱可塑性ポリオレフィン樹脂の融点を超えた際に、体積抵抗率が200Ωcm以上になるようにすることで、例えば電池1で内部短絡が起こって電池温度が結晶性熱可塑性ポリオレフィン樹脂の融点を超えた際に、正極集電体露出部11と負極6とを適切に絶縁できる。
【0028】
絶縁性樹脂又は正温度係数抵抗体からなる樹脂層12は、電池素子2において、少なくとも正極集電体露出部11と負極6との間に配設されていれば良く、例えば正極集電体露出部と負極6との間に介在しているセパレータ7の主面上や、負極6の正極集電体露出部11と対向する部分等に配設されていても、上述した作用効果が得られる。
【0029】
正極5において、正極合剤層9に含有される正極活物質には、リチウムイオンをドープ/脱ドープすることが可能な材料を用いる。具体的には、例えば化学式LixMO2(xは0.5以上、1.1以下の範囲であり、Mは遷移金属のうちの何れか一種又は複数種の化合物である。)等で示されるリチウム複合酸化物、TiS2、MoS2、NbSe2、V2O5等のリチウムを含有しない金属硫化物、金属酸化物、或いは特定のポリマー等を用いる。これらのうち、リチウム複合酸化物としては、例えばLiCoO2、LiNiO2、LixNiyCo1−yO2(x、yは電池の充放電状態によって異なり、通常0<x<1、0.7<y<1.02である。)や、LiMn2O4等で示されるスピネル型リチウム・マンガン複合酸化物等が挙げられる。そして、正極2では、正極活物質として、上述した金属硫化物、金属酸化物、リチウム複合酸化物等のうちの何れか一種又は複数種を混合して用いることも可能である。
【0030】
正極5では、正極合剤層9の結着剤として、非水電解質電池の正極合剤に用いられる例えばポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等といった結着剤を用いることができる他に、正極合剤層9に例えば導電材として炭素質材料等を添加したり、公知の添加剤等を添加したりすることができる。正極5では、正極集電体8に、例えばアルミニウム等、導電性金属からなる箔状金属や網状金属等を用いる。
【0031】
負極6は、負極活物質と結着剤とを含有する負極合剤塗液を負極集電体13の両主面に塗布、乾燥、加圧することにより、負極集電体13の両主面上に負極合剤層14が圧縮形成された構造となっている。負極6には、負極端子15が負極集電体13の所定の位置に接続されている。この負極端子15には、例えば銅、ニッケル等の導電性金属からなる短冊状金属片等を用いる。
【0032】
この負極6には、長手方向の両端部のうちの一端部に、縁端から順に、両主面で負極集電体13が露出している負極集電体露出部16と、負極集電体13の一主面だけに負極合剤層14が形成された負極合剤片面形成部17とが設けられている。また、負極6には、長手方向の両端部のうちの他端部に、負極集電体露出部16だけが設けられている。この負極集電体露出部16は、例えば負極端子15を接続させるための場所として負極6に設けられる。
【0033】
負極6の長手方向の両端部のうち、一端部側の負極集電体露出部16は、負極6が捲回されて電池素子2となったときに、外周側に配置されて電池素子2の外周を少なくとも一周以上覆うような長さになっている。すなわち、負極6の一端部側に設けられた負極集電体露出部16の捲回方向の長さをL2とし、電池素子2の外径をdとしたとき、L2≧dπとなる。なお、一端部側の負極集電体露出部16には、負極端子15が負極6の短手方向に沿うように所定の位置に取り付けられている。
【0034】
また、負極6の一端部側に設けられた負極合剤片面形成部17は、正極合剤層9と対向する側の負極集電体13の一主面に負極合剤層14が形成され、正極合剤層9と対向しない側の負極集電体13の他主面が露出した構成となっている。
また、負極合剤片面形成部17は、正極合剤層9と負極合剤層14とを適切に対向させるために、電池素子2の外周を一周以上覆うような長さになっている。
【0035】
負極6において、負極合剤層14に含有される負極活物質には、リチウム、リチウム合金、又はリチウムイオンをドープ/脱ドープできる炭素質材料等が用いられる。リチウムイオンをドープ/脱ドープできる炭素質材料としては、例えば2000℃以下の比較的低い温度で焼成して得られる低結晶性炭素材料、結晶化しやすい原材料を3000℃付近の高温で焼成した人造黒鉛等の高結晶性炭素材料等を用いることが可能である。具体的には、熱分解炭素類、コークス類、黒鉛類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭等の炭素質材料を用いることが可能である。コークス類としては、例えばピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等がある。なお、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したものである。
これらの炭素質材料は、電池1を充放電した際に、負極6側にリチウムが析出することを抑制させることが可能である。
【0036】
また、上述した炭素質材料の他には、負極活物質として例えばリチウムと化合可能な金属、合金、元素、及びこれらの化合物等が挙げられる。負極活物質としては、例えばリチウムと化合可能な元素をMとしたときにMxM’yLiz(M’はLi元素及びM元素以外の金属元素であり、xは0より大きな数値であり、y及びzは0以上の数値である。)の化学式で示される化合物である。この化学式においては、例えば半導体元素であるB、Si、As等も金属元素として挙げられる。具体的には、例えばMg、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Cd、Ag、Zn、Hf、Zr、Y、B、Si、As等の元素及びこれらの元素を含有する化合物、Li−Al、Li−Al−M(Mは2A族、3B族、4B族の遷移金属元素のうち何れか一種又は複数種である。)、AlSb、CuMgSb等が挙げられる。
【0037】
特に、リチウムと化合可能な元素には、3B族典型元素が好ましく、これらの中でもSi、Snが好ましく、更にはSiを用いることが好ましい。具体的には、MxSi、MxSn(MはSi、Sn以外の一種以上の元素であり、xは0以上の数値である。)の化学式で示されるSi化合物、Sn化合物として、例えばSiB4、SiB6、Mg2Si、Mg2Sn、Ni2Si、TiSi2、MoSi2、NiSi2、CaSi2、CrSi2、Cu5Si、FeSi2、MnSi2、NbSi2、TaSi2、VSi2、WSi2、ZnSi2等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。
【0038】
さらに、負極活物質としては、一つ以上の非金属元素を含有する炭素以外の4B族の元素化合物も利用できる。この化合物には、複数種の4B族の元素を含有していても良い。具体的には、例えばSiC、Si3N4、Si2N2O、Ge2N2O、SiOx(0<x≦2)、SnOx(0<x≦2)、LiSiO、LiSnO等が挙げられ、これらのうちの何れか一種又は複数種を混合して用いる。
【0039】
負極6では、負極合剤層14の結着剤として、非水電解質電池の負極合剤に用いられる例えばポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等といった結着剤を用いることができる。負極6では、負極集電体13に、例えば銅等といった導電性金属からなる箔状金属や網状金属等を用いる。
【0040】
セパレータ7は、正極5と負極6とを離間させるものであり、この種の非水電解質電池の絶縁性微多孔膜として通常用いられている公知の材料を用いることができる。具体的には、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等の高分子フィルムが用いられる。また、リチウムイオン伝導度とエネルギー密度との関係から、セパレータ7の厚みはできるだけ薄い方が好ましく、その厚みを30μm以下にして用いる。
【0041】
以上のような構成の電池素子2では、負極合剤片面形成部17が設けられていることで、電池内部で正極合剤層9と対向しない負極合剤層14が低減され、その分互いに対向する正極合剤層9及び負極合剤層14を増加させることができ、電池1のエネルギー密度を向上できる。
【0042】
外装缶3は、例えば有底筒状容器であり、底面が円状等の形状を有している。
外装缶3は、図1において底面が円状となっているが、このことに限定されることはなく、例えば矩形状、扁平円状等の底面を有する有底筒状容器も適用可能である。また、外装缶3は、正極5と導通する場合、例えばアルミニウム、チタン等といった導電性金属で形成される。一方、外装缶3は、負極6と導通する場合、例えば鉄、ステンレス、ニッケル等といった導電性金属で形成される。外装缶3は、例えば鉄等で形成された場合、その表面にはニッケルめっき等が施される。
【0043】
非水電解液4は、例えば非水溶媒に電解質塩を溶解させた非水溶液である。非水電解液4において、非水溶媒としては、例えば環状の炭酸エステル化合物、水素をハロゲン基やハロゲン化アクリル基で置換した環状炭酸エステル化合物や鎖状炭酸エステル化合物等を用いる。具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4メチル1,3ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステル等が挙げられ、これらのうちの一種以上を用いる。特に、非水溶媒としては、電圧安定性の点からプロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを使用することが好ましい。
【0044】
また、電解質塩としては、例えばLiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiCl、LiBr等が挙げられ、これらのうちの一種以上を用いる。
【0045】
以上のような構成の電池1は、次のようにして製造される。先ず、正極5を作製する。正極5を作製する際は、正極活物質と、導電材と、結着剤とを例えばボールミル、サンドミル、二軸混練機等の分散装置で均一に分散させた正極合剤塗液を調製する。そして、この正極合剤塗液を正極集電体8の両主面に未塗工部を設けながら例えばスライドコーティング、エクストルージョン型のダイコーティング、リバースロール、グラビア、ナイフコーター、キスコーター、マイクログラビア、ロッドコーター、ブレードコーター等の塗工装置で均一に塗布し、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱乾燥機等を用いて乾燥した後に、圧縮することで正極合剤層9を形成し、帯状に裁断して所定の位置に正極端子10を例えば超音波溶接等で取り付ける。このようにして、長手方向の両端部に、正極集電体8が露出している正極集電体露出部11が設けられた正極5が作製される。
【0046】
次に、正極集電体露出部11を覆うように樹脂層12を形成させる。ここでは、正温度係数抵抗体からなる樹脂層12を形成する場合について説明する。樹脂層12を形成する際は、炭素系導電材と結晶性熱可塑性ポリオレフィン樹脂と結着剤とを例えばN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤に分散させた塗液を、正極集電体露出部11に塗布、乾燥して塗膜を形成させる。これにより、樹脂層12が形成される。
【0047】
次に、負極6を作製する。負極6を作製する際は、負極活物質と、結着剤とを含有する負極合剤塗液を上述した分散装置等を用いて調製する。そして、この負極合剤塗液を負極集電体13の両主面に未塗工部や片面塗工部を設けながら上述した塗工装置等を用いて均一に塗布し、乾燥した後に、圧縮することで負極合剤層14を形成し、帯状に裁断して所定の位置に負極端子15を例えば超音波溶接等で取り付ける。このようにして、長手方向の一端部に、負極集電体13が露出している負極集電体露出部16と、片面だけ負極集電体13が露出している負極合剤片面形成部17とが設けられ、長手方向の他端部に、負極集電体露出部16だけが設けられた負極6が作製される。
【0048】
次に、正極5と負極6とを、帯状のセパレータ7を介して積層し、多数回捲回することにより電池素子2を作製する。
【0049】
このとき、電池素子2には、正極端子10が内周側の正極集電体露出部11に取り付けられ、負極端子15が外周側の負極集電体露出部16に取り付けられている。
【0050】
次に、図1に示すように、電池素子2の両端面に絶縁板18a、18bを設置し、さらに電池素子2を外装缶3に収納する。そして、負極6の集電をとるために、負極端子15の電池素子2より突出している部分を外装缶3の底部等に溶接する。これにより、外装缶3は、負極6と導通することとなり、電池1の外部負極となる。また、正極5の集電をとるために、正極端子10の電池素子2より突出している部分を電流遮断用薄板19に溶接することでこの電流遮断用薄板19を介して電池蓋20と電気的に接続する。この電流遮断用薄板19は、電池内圧に応じて電流を遮断するものである。これにより、電池蓋20は、正極5と導通することとなり、電池1の外部正極となる。
【0051】
次に、電池素子2が収納されている外装缶3の中に非水電解液4を注入する。
この非水電解液4は、電解質塩を、非水溶媒に溶解させて調製される。次に、アスファルト等からなるシール剤を塗布したガスケット21を介して外装缶3の開口部をかしめることにより電池蓋20が固定され、電池1が作製される。
【0052】
なお、この電池1においては、電池内部の圧力が所定値よりも高くなったときに内部の気体を抜くための安全弁22、電池内部の温度上昇を防止するためのPTC(positive temperature coefficient)素子23、電池素子2を捲回するときの軸になるセンターピン24等が設けられている。
【0053】
このようにして製造される電池1では、正極集電体露出部11を覆うように絶縁層12が設けられていることにより、例えば高温に熱せられる等の異常事態に陥って内部短絡が起こった際に、樹脂層12が正極集電体露出部11と負極6との接触を防ぐことから、正極集電体露出部11と負極6とが接触して大電流が流れることで起こる大きな発熱が防止されて安全性を向上できる。
【0054】
また、この電池1では、従来のような非金属の集電体、非金属の活物質等を用いて安全性を高める手段に頼ることなく、樹脂層12を用いることで安全性の向上が図れることより、電極に導電性金属からなる集電体を使用できることから、電極の電子伝導性を低下させることなく優れた負荷特性が得られる。
【0055】
したがって、この電池1は、負荷特性に優れ、且つ安全性が高められた電源として、例えば携帯型の電子機器等に幅広く用いることが可能である。
【0056】
以上の例では、非水電解液4を用いた電池1について説明しているが、このことに限定されることはなく、非水電解液4の代わりに例えば無機固体電解質、高分子固体電解質、ゲル状電解質等を用いた場合も適用可能である。無機固体電解質としては、例えば窒化リチウム、ヨウ化リチウム等が挙げられる。
【0057】
高分子固体電解質は、例えば上述した電解質塩と、電解質塩を含有することでイオン導電性が賦与される高分子化合物とからなる。高分子固体電解質に用いる高分子化合物としては、例えばシリコン、ポリエーテル変性シロキサン、ポリアクリル、ポリアクリロニトリル、ポリフォスファゼン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、及びこれらの複合ポリマー、架橋ポリマー、変性ポリマー等、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリアクリロニトリル−ブタジエンスチレンゴム、アクリロニトリル−塩化ポリエチレン−プロピレン−ジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル−メタアクリレート樹脂、アクリロニトリル−アクリレート樹脂、ポリエチレンオキサイドの架橋体といったエーテル系高分子等が挙げられ、これのうち何れか一種又は複数種を混合して用いる。
【0058】
また、高分子固体電解質に用いる高分子化合物としては、例えばアクリロニトリルと、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、イタコン酸、水酸化メチルアクリレート、水酸化エチルアクリレート、アクリルアミド、塩化ビニル、フッ化ビニリデン等のうちの何れか一種以上とを共重合させた共重合体、ポリ(ビニリデンフルオロライド)、ポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(ビニリデンフルオロライド−co−テトラフルオロエチレン)、ポリ(ビニリデンフルオロライド−co−トリフルオロエチレン)といったフッ素系ポリマー等も挙げられ、これらのうち何れか一種又は複数種を混合して用いる。
【0059】
ゲル状電解質は、上述した非水電解液4と、この非水電解液4を吸収してゲル化するマトリックス高分子とからなる。ゲル状電解質に用いるマトリックス高分子としては、例えば上述した高分子化合物のうちで非水電解液4を吸収してゲル化するものであれば用いることが可能である。具体的に、マトリックス高分子としては、例えばポリ(ビニリデンフルオロライド)やポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)等のフッ素系高分子、ポリ(エチレンオキサイド)やこれの架橋体等のエーテル系高分子、ポリ(アクリロニトリル)等が挙げられ、これらのうち何れか一種又は複数種を混合して用いる。特に、マトリックス高分子には、酸化還元安定性が良好なフッ素系高分子を用いることが好ましい。
【0060】
また、上述した実施の形態においては、円筒形の電池1を例に挙げて説明しているが、このことに限定されることはなく、捲回構造の電池素子を備えていれば、例えば角型等、外装材に金属製容器等を用いた電池、薄型等、外装材にラミネートフィルム等を用いた電池等、様々な大きさ、形状の非水電解質電池に適用可能である。
【0061】
【実施例】
以下、本発明を適用した非水電解質電池としてリチウムイオン二次電池を実際に作製した実施例及び比較例について説明する。
【0062】
〈実施例1〉
実施例1では、先ず、正極を作製した。正極を作製する際は、正極活物質としてLiCoO2を96重量部と、導電材としてケッチェンブラックを1重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3重量部と、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)とを加えて混練して分散を行い、正極合剤塗液を作製した。次に、正極合剤塗液を正極集電体となる厚みが20μmのアルミニウム箔の両主面に未塗工部を設けながら均一に塗布し、乾燥した後に、ローラプレス機で圧縮成形することで正極合剤層を形成し、帯状に裁断した。このようにして、長手方向の両端部に正極集電体露出部が設けられた正極を作製した。具体的に、厚み160μm、正極合剤層の体積密度が3.5g/cm3となる正極を作製した。
【0063】
次に、正極集電体露出部の所定の位置に、正極の短手方向と略平行となるように正極端子を取り付けた。
【0064】
次に、正極集電体露出部を覆う樹脂層としてポリイミドテープを正極集電体露出部全面に貼り付けた。
【0065】
次に、負極を作製した。負極を作製する際は、負極活物質としてグラファイトを94重量部と、結着剤としてPVdFを6重量部と、溶媒としてNMPとを加えて混練して分散を行い、負極合剤塗液を作製した。次に、この負極合剤塗液を負極集電体となる厚みが15μmの銅箔の両主面に未塗工部や片面塗工部を設けながら均一に塗布し、乾燥した後に、ローラプレス機で圧縮成形することで負極合剤層を形成し、帯状に裁断した。このようにして、長手方向の一端部に負極集電体露出部や負極合剤片面形成部が設けられ、長手方向の他端部に負極集電体露出部だけが設けられた負極を作製した。具体的に、厚み160μm、極合剤層の体積密度が1.66g/cm3となる負極を作製した。
【0066】
次に、負極の長手方向の一端部側の負極集電体露出部に、負極の短手方向と略平行となるように負極端子を取り付けた。
【0067】
次に、正極と負極とを、ポリエチレンからなる微多孔性フィルムからなる帯状のセパレータを介して積層し、電極の長手方向に多数回捲回することにより直径18mmの電池素子を作製した。このとき、電池素子において、正極端子は内周側の正極集電体露出部に配置され、負極端子は外周側の負極集電体露出部に配置されるようにした。
【0068】
次に、以上のようにして作製した電池素子の捲回端面から導出している正極端子を電池蓋に、負極端子を鉄にニッケルメッキを施した外装缶にそれぞれ溶接すると共に、電池素子を外装缶に収納した。
【0069】
次に、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの体積混合比が1対1の混合溶媒に対してLiPF6が1モル/リットルとなるように溶解させた非水電解液を作製した。次に、この非水電解液を外装缶内に注入し、アスファルトを塗布したガスケットを介して外装缶の開口部に電池蓋を圧入して外装缶の開口部をかしめることによりで電池蓋を強固に固定した。
【0070】
以上のようにして直径18mm、高さ65mmの円筒形のリチウムイオン二次池を作製した。なお、以下の説明では、便宜上、リチウムイオン二次電池のことを単に電池を称する。
【0071】
〈実施例2〉
実施例2では、樹脂層となるポリイミドテープを、負極における正極集電体露出部と対向する範囲全体を覆うように貼り付けたこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
【0072】
〈実施例3〉
実施例3では、樹脂層となるポリイミドテープを、セパレータの正極集電体露出部と対向する範囲全体を覆うように、正極と相対する一主面に貼り付けたこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
【0073】
〈実施例4〉
実施例4では、樹脂層となるポリイミドテープを、セパレータの正極集電体露出部と対向する範囲全体を覆うように、正極と相対する一主面とは反対側の他主面に貼り付けたこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
【0074】
〈実施例5〉
実施例5では、ポリイミドテープの代わりに、PVdFをNMPに溶解させた塗液を正極集電体露出部全面に塗布、乾燥して形成されるPVdFからなる塗膜を樹脂層として配設させたこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
【0075】
〈実施例6〉
実施例6では、ポリイミドテープの代わりに、融点が110℃の低密度ポリエチレン粉末を35重量部と、PVdFを35重量部と、アセチレンブラックを30重量部とをNMPに分散させた塗液を、正極集電体露出部全面に塗布、乾燥して形成される正温度係数抵抗体からなる塗膜を樹脂層として配設させたこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
【0076】
〈実施例7〉
実施例7では、樹脂層となる正温度係数抵抗体からなる塗膜を、負極における正極集電体露出部と対向する範囲全体を覆うように配設させたこと以外は、実施例6と同様にして電池を作製した。
【0077】
〈実施例8〉
実施例8では、樹脂層となる正温度係数抵抗体からなる塗膜を、セパレータの正極集電体露出部と対向する範囲全体を覆うように、正極と相対する一主面に配設させたこと以外は、実施例6と同様にして電池を作製した。
【0078】
〈実施例9〉
実施例9では、樹脂層となる正温度係数抵抗体からなる塗膜を、セパレータの正極集電体露出部と対向する範囲全体を覆うように、正極と相対する一主面とは反対側の他主面に配設させたこと以外は、実施例6と同様にして電池を作製した。
【0079】
〈比較例1〉
比較例1では、樹脂層を配設させなかったこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。
【0080】
そして、以上のように作製した実施例1〜実施例9、及び比較例1の電池について、充電電流1000mA、4.2V迄の定電流定電圧充電を3時間行った後に、昇温速度5℃/分で140℃迄昇温する高温炉に入れて、140℃雰囲気になった時点から1時間保存した際の最高到達温度を測定した。
【0081】
以下、各実施例及び比較例1おける、140℃雰囲気保存の評価結果を表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
なお、各実施例及び比較例1においては、140℃で1時間保存した際に、最高到達温度が142℃以下であったものを○印で示し、142℃より高温になったものを×印で示している。
【0084】
表1に示す評価結果から、樹脂層を電極又はセパレータに配設させた実施例1〜実施例9では、樹脂層がどこにも配設されていない比較例1に比べ、最高到達温度が142℃以下であり、電池自身に発熱が無かったことがわかる。
【0085】
比較例1では、140℃雰囲気に保存された際に、セパレータの溶融により正極集電体露出部と負極とが接触して大電流が流れてしまい、大きな発熱が起こって142℃を越えてしまった。具体的に、比較例1では、最高到達温度が167℃になった。
【0086】
一方、実施例1〜実施例9では、少なくとも正極集電体露出部と負極との間に樹脂層が配設されていることから、140℃雰囲気に保存されてセパレータが溶融しても、正極集電体露出部と負極とが接触することが防止される。これにより、実施例1〜実施例9では、正極集電体露出部と負極とが接触して大電流が流れることで起こる大きな発熱が防止されることから、高温雰囲気下で保存されても自己発熱することが無く、比較例1に比べて最高到達温度を大幅に低くできる。
【0087】
以上のことから、電池を作製する際に、少なくとの正極集電体露出部と負極との間に樹脂層を配設させることは、内部短絡による大きな発熱が抑制されることから安全性が向上された電池を作製する上で大変有効であることがわかる。
【0088】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る非水電解質電池では、正極集電体露出部と負極との間に樹脂層が配設されていることより、例えば高温に熱せられる等の異常事態に陥って内部短絡が起こった際に、樹脂層が正極集電体露出部と負極との接触を防ぐことから、正極集電体露出部と負極とが接触して大電流が流れることで起こる大きな発熱が防止されて安全性を向上できる。
【0089】
また、本発明に係る非水電解質電池では、従来のような非金属の集電体、非金属の活物質等を用いて安全性を高める手段に頼ることなく、樹脂層を用いることで安全性が向上されることにより、電極に導電性金属からなる集電体を使用できることから、電極の電子伝導性を低下させることなく優れた負荷特性が得られる。
【0090】
したがって、本発明に係る非水電解質電池は、負荷特性に優れ、且つ安全性が高められた電源として、例えば携帯型の電子機器等に幅広く用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したリチウムイオン二次電池の内部構造を示す縦断面図である。
【図2】同リチウムイオン二次電池の内部構造を横断面から示す模式図である。
【図3】同リチウムイオン二次電池の正極を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 リチウムイオン二次電池、2 電池素子、3 外装缶、4 非水電解液、5 正極、6 負極、7 セパレータ、8 正極集電体、9 正極合剤層、10正極端子、11 正極集電体露出部、12 樹脂層、13 負極集電体、14負極合剤層、15 負極端子、16 負極集電体露出部、17 負極合剤片面形成部
Claims (3)
- 帯状の正極集電体上に正極活物質層が形成された正極と、帯状の負極集電体上に負極活物質層が形成された負極とが、セパレータを介して互いに対向するように積層され、長手方向に捲回された電池素子を有し、
上記正極は、上記正極集電体を露出する正極集電体露出部を有し、
上記正極集電体露出部と上記負極との間に、絶縁体又は温度上昇に伴い電気抵抗が大きくなる正温度係数抵抗体からなる樹脂層が配設されていることを特徴とする非水電解質電池。 - 上記樹脂層は、体積抵抗率が200Ωcm以上の絶縁体であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
- 上記樹脂層は、融点が100℃以上、120℃以下の範囲にあるポリオレフィン樹脂を含有し、所定の温度を超えると体積抵抗率が200Ωcm以上になる正温度係数抵抗体であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
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