JP2004117886A - 画像形成方法および画像形成装置 - Google Patents

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大脇 弘憲
Satoshi Furushima
古島 聡
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Abstract

【課題】ゴースト現象の発生を防止し、高画質の画像を提供することのできる画像形成装置および画像形成装置を提供する。
【選択手段】ケイ素を母体とし、少なくとも水素原子またはハロゲン原子を含有する非単結晶材料からなる光導電層を有する感光体を用いた画像形成方法であって、潜像形成工程における露光方式が、非画像部(背景部)を露光するバックグラウンド露光法であり、該転写部材の周長が、該感光体の周長の整数倍であり、光導電層は、少なくとも水素原子またはハロゲン原子の含有量が異なる、少なくとも第1の層領域と第2の層領域とが該導電性基体上にこの順で積層されたものであり、第1の層領域における水素原子またはハロゲン原子の含有量が、15〜30原子%の範囲であり、第2の層領域における水素原子またはハロゲン原子の含有量が、10〜25原子%の範囲であり、且つ、第1の層領域に比べて少ないことを特徴とする画像形成方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケイ素を母体とする非単結晶材料からなる光導電層を有する感光体(a−Si感光体と表すことがある)を用い、少なくとも、該感光体の表面を帯電させる帯電工程と、該帯電工程で帯電された表面に画像パターンにしたがって複数行、複数列の画素マトリクスの各画素ごとにレーザーまたはLED等を光源とする光ビームを照射して静電潜像を形成する潜像形成工程と、該潜像形成工程で静電潜像が形成された表面上にトナーを付着させることによりトナー像を形成する現像工程と、該現像工程で形成された該トナー像を転写部材上に転写する転写工程とを有し、該帯電工程と該潜像形成工程と該現像工程と該転写工程とを複数回繰り返して該転写体上に複数の該トナー像を重ねて形成する、電子写真方式の画像形成方法および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来技術の説明】
電子写真プロセスを利用した画像形成装置としては、カラー画像情報や多色画像情報を複数の色成分に分解し、各色成分の画像に対応して感光体表面に形成した静電潜像上にその色成分のトナー像を形成し、この色成分のトナー像を一旦中間転写体に転写し、この中間転写体に転写したこの色成分のトナー像の上に、さらに他の色成分のトナー像を重畳転写して合成カラー画像を形成する画像形成装置が知られている。
【0003】
このような中間転写体を用いた画像形成装置は、カラー画像形成装置や多色画像形成装置、またはカラー画像形成機能や多色画像形成機能を具備した画像形成装置として有効であり、各成分色画像の重ね合わせのズレ(色ズレ)が非常に小さい画像を得ることが可能である。そこで、このような画像形成装置を用いたカラー複写機、カラープリンターなどが、すでに市場に供給され始めている。
【0004】
また、転写ベルトに保持され搬送される記録材上に、カラー画像情報や多色画像情報の複数の成分色画像を順次直接積層転写することにより、カラー画像や多色画像が合成再現された画像形成物を出力する画像形成装置が知られている。このような転写ベルトを使用した画像形成装置は、カラー画像形成装置や多色画像形成装置として有効である。また、転写ベルトを使用した画像形成装置は、画像を高速で形成する画像形成装置として有効である。
【0005】
中間転写体または転写ベルトを用いた画像形成装置は、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3などに開示されている。
【0006】
また、感光体としてa−Si感光体を用いる場合は、前周の露光履歴が翌周に現れる現象(ゴーストと表すことがある)が発生する場合があることが知られている。そこで、例えば、特許文献4や特許文献5に開示されているような前露光の照射条件を最適化する等のさまざまな技術を盛り込む事が提案されている。
【0007】
一方、上記の画像形成装置には、複写原稿から反射した光の強度をそのまま感光体の表面電位に変換して現像するアナログ方式と、原稿をスキャナで読み取り、適切な画像処理を施した画像パターンに変換し感光体上に光ビーム照射するデジタル方式という、大きく分けて2つの方式がある。近年では、複写画像に対する要求の高まりから、デジタル方式が、高画質、高安定性という点で注目されている。
【0008】
デジタル方式の画像形成方式には、画像情報と露光部との関係で、大きく分けて2つの方式がある。1つは画像部を露光するイメージ露光法(IAEと表すことがある)、もう1つは非画像部(背景部)を露光するバックグラウンド露光法(BAEと表すことがある)である。
【0009】
BAEは、非露光部の電荷が残っている部分に現像を行うため、通常、感光体の帯電極性と逆極性の現像剤が用いられる。この関係はアナログ方式の画像形成装置と同じであることから、BAEは、現像機構、クリーニング機構、現像剤等をアナログ方式の画像形成装置と共通化できるというメリットが有る。
IAEは、露光により電荷量が減少した部分に現像を行うため、感光体の帯電極性とは同極性の現像剤を用い、反転現像を行わなければならない。
【0010】
両方式とも実用化されているが、それぞれ使用する感光体・現像剤等の制約で決定されることが多い。
【0011】
【特許文献1】
特開平8−320591号公報(第1図、第5図)
【特許文献2】
特開平8−211757号公報(第1図、第5図)
【特許文献3】
特開平8−160759号公報(第1図、第5図)
【特許文献4】
特開2000−231246号公報(請求項1)
【特許文献5】
特開2002−108032号公報(請求項1)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述の中間転写体や転写ベルトに保持されて搬送される記録材上に色成分のトナー像を重畳して合成カラー画像を形成する画像形成装置では、通常、それら転写部材の回転方向のホームポジション検知機構を有している。そして、その検出結果により転写部材の回転周期に合わせて画像情報の書込みタイミングが制御される。
【0013】
また、感光体の回転周期に関しては、必ずしも転写部材の周期に同期させる必要はないが、感光体周期でムラが存在し、且つ、記録材上で各色毎にムラの位相が異なるとそのムラがより強調されて目立ちやすくなる場合がある。ここで言う感光体周期でのムラには、感光体自身の持つ静電気的特性ムラだけでなく、真円度、フランジ等の組付け精度、モーターやギア等のメカ的な精度によって発生するムラまでも含んだものであり、完全にゼロにすることはきわめて難しい。このため、転写部材の周期を感光体の回転周期の整数倍とし、感光体の周期と転写部材の周期とを同期させる構成が好ましい。従って、実質的に感光体の回転周期と、潜像形成シーケンスが同期することになる。
【0014】
このような構成の画像形成装置では、ページ間やページの先端・後端の余白部分など(以下、紙間と表すことがある。)の非画像部が感光体の常に同じ部分にくることになる。このため、露光方式にBAEを用いる場合、感光体のうち、紙間部分に相当する部分は、常に露光を受けることになり、その影響が蓄積されていく。
【0015】
特に、a−Si感光体を用いる場合は、上述したように、ゴーストが発生する場合があることが知られており、前露光の照射条件を最適化する等のさまざまな技術を盛り込む事によって、実用化されてきた。しかしながら、上述したような構成のカラー機にa−Si感光体を搭載する為にはなお改善の余地が残されている。
【0016】
また、一本の感光体の外周に、複数の現像器を配備してカラー画像を得る構成の場合、すべての現像器の位置においてゴーストが現れないようにしなければならない。そこで、潜像工程からの経過時間とゴースト現象の良し悪しとの相関について、鋭意検討を重ねた結果、a−Si感光体の場合はおおよそ潜像工程からの時間経過とともにゴースト現象も悪くなる傾向にあることがわかった。複数の現像器を配備したカラー機は、最下流に配備される現像器と帯電器や露光装置とのプロセス角度が、モノクロ機に比べて大きくなりやすいために、ゴーストに対してはより厳しい構成であり、a−Si感光体をそのようなカラー機に搭載する為にさらに改善することが要望されている。
【0017】
さらに、カラー機の場合は、ゴーストに対する要求そのものがモノクロ機に比べて厳しくなる場合が多い。その背景としては、先ず、カラー機の場合は、写真画像のような原稿をプリントアウトする機会が多い点が挙げられる。その他にも、電子写真方式のカラー機では、各色成分のトナーを重ね合わせる事でさまざまな色を再現しているため、ゴーストが現れると、その部分に関しては各色成分の割合が画像情報から得られるものと変わってしまい、よりゴーストが目立ちやすくなる傾向がみられることがわかった。従って、このような観点からも、a−Si感光体をそのようなカラー機に搭載する為にさらに改善することが望まれている。
【0018】
上記従来技術の状況に鑑み、本発明は、上記先行技術にみられる問題点を解決し、高画質の画像を提供することのできるゴースト現象等の発生することのない画像形成方法および画像形成装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する為に、本発明の画像形成装置および方法は、次のような構成から成る。
【0020】
すなわち、本発明の画像形成方法は、
第1に、ケイ素を母体とし、少なくとも水素原子またはハロゲン原子を含有する非単結晶材料からなる光導電層を有する感光体と、該感光体と表面同士が当接するように配置されている転写部材とを有し、
該感光体と該転写部材とを定常状態において実質的に一定の相対速度で駆動する画像形成装置を用い、
少なくとも、該感光体の表面を帯電させる帯電工程と、該帯電工程で帯電された表面に画像パターンにしたがって複数行、複数列の画素マトリクスの各画素ごとにレーザーまたはLEDを光源とする光ビームを照射して静電潜像を形成する潜像形成工程と、該潜像形成工程で静電潜像が形成された表面上にトナーを付着させることによりトナー像を形成する現像工程と、該現像工程で形成された該トナー像を該転写部材に転写する転写工程とを有し、
該帯電工程と該潜像形成工程と該現像工程と該転写工程とを複数回繰り返して該転写部材上に複数の該トナー像を重ねて形成する、電子写真方式の画像形成方法であって、
該潜像形成工程における露光方式が、非画像部(背景部)を露光するバックグラウンド露光法であり、
該転写部材の周長が、該感光体の周長の整数倍であり、
該光導電層は、少なくとも水素原子またはハロゲン原子の含有量が異なる、少なくとも第1の層領域と第2の層領域とが該導電性基体上にこの順で積層されたものであり、
第1の層領域における水素原子またはハロゲン原子の含有量が、15〜30原子%の範囲であり、
第2の層領域における水素原子またはハロゲン原子の含有量が、10〜25原子%の範囲であり、且つ、第1の層領域に比べて少ないこと
を特徴とする。
【0021】
さらに、本発明の画像形成方法は、
第2に、該光導電層の第1の層領域または第2の層領域に、伝導型制御元素をさらに含有し、該伝導型制御元素が、周期律表第13族または第15族元素であること、
第3に、該光導電層の第1の層領域における伝導型制御元素の含有量が、シリコン原子に対して0.2〜30ppmの範囲であり、該光導電層の第2の層領域における伝導型制御元素の含有量が、シリコン原子に対して0.01〜10ppmの範囲であり、且つ、第1の層領域に比べて同じか、より少ないこと、
第4に、該第1における層領域の伝導型制御元素の含有量が、導電性基体側から表面側に向かって減少していくこと、
第5に、該光導電層の第1の層領域における光学的バンドギャップが、1.75〜1.85eVの範囲であり、光吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エネルギーが、55〜65meVの範囲であること、
第6に、該光導電層の第2の層領域における光学的バンドギャップが、1.70〜1.80eVの範囲であり、光吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エネルギーが、50〜60meVの範囲であり、且つ、伝導型制御元素の含有量が第1の層領域に比べて同じか、より少ないこと、
第7に、該潜像形成工程における画像の書き出し位置が、該感光体の外周面上において実質的に同じ位置になること、
第8に、該感光体の回転方向におけるホームポジションを検出すること、
を特徴とする。
【0022】
また、本発明の画像形成装置は、
第1に、ケイ素を母体とし、少なくとも水素原子またはハロゲン原子を含有する非単結晶材料からなる光導電層を有する感光体と、該感光体と表面同士が当接するように配置されている転写部材とを有し、
該感光体と該転写部材とを定常状態において実質的に一定の相対速度で駆動する画像形成装置であって、
少なくとも、該感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された表面に画像パターンにしたがって複数行、複数列の画素マトリクスの各画素ごとにレーザーまたはLEDを光源とする光ビームを照射して静電潜像を形成する潜像形成手段と、静電潜像が形成された表面上にトナーを付着させることによりトナー像を形成する現像手段と、現像された該トナー像を該転写体上に転写する転写手段とを有し、
帯電、潜像形成、現像、転写とを複数回繰り返して該転写部材上に複数の該トナー像を重ねて形成する、電子写真方式の画像形成装置であって、
該潜像形成手段における露光方式が、非画像部(背景部)を露光するバックグラウンド露光法であり、
該転写部材の周長が、該感光体の周長の整数倍であり、
該光導電層は、少なくとも水素原子またはハロゲン原子の含有量が異なる、少なくとも第1の層領域と第2の層領域とが該導電性基体上にこの順で積層したものとし、
第1の層領域における水素原子またはハロゲン原子の含有量が、15〜30原子%の範囲であり、
第2の層領域における水素原子またはハロゲン原子の含有量が、10〜25原子%の範囲であり、且つ、第1の層領域に比べて少ないこと
を特徴とする。
【0023】
さらに、本発明の画像形成装置は、
第2に、該光導電層の第1の層領域または第2の層領域に、伝導型制御元素をさらに含有し、該伝導型制御元素が、周期律表第13族または第15族元素であること、
第3に、該光導電層の第1の層領域における伝導型制御元素の含有量が、シリコン原子に対して0.2〜30ppmの範囲であり、
該光導電層の第2の層領域における伝導型制御元素の含有量が、シリコン原子に対して0.01〜10ppmの範囲であり、且つ、第1の層領域に比べて同じか、より少ないこと、
第4に、該第1の層領域における伝導型制御元素の含有量が、導電性基体側から表面側に向かって減少していくこと、
第5に、該光導電層の第1の層領域における光学的バンドギャップが、1.75〜1.85eVの範囲であり、光吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エネルギーが、55〜65meVの範囲であること、
第6に、該光導電層の第2の層領域における光学的バンドギャップが、1.70〜1.80eVの範囲であり、光吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エネルギーが、50〜60meVの範囲であり、且つ、伝導型制御元素の含有量が第1の層領域に比べて同じか、より少ないこと、
第7に、該潜像形成工程における画像の書き出し位置が、該感光体の外周面上において実質的に同じ位置になること、
第8に、該感光体の回転方向におけるホームポジションを検出する手段を有すること、
を特徴とする。
【0024】
ここで、本発明における転写部材とは、合成カラー画像を得るために色成分毎のトナー像を重畳する際の媒体部材のことを表しており、より具体的には、その表面に直接トナー像を重畳する、例えば、中間転写体や中間転写ベルトなどの部材や、記録材を保持して搬送し、記録材上にトナー像を重畳する、例えば、転写ドラムや転写ベルトなどの部材などのことを表している。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、図に従って本発明についてより詳しく説明する。
(転写ドラムを用いた画像形成装置)
円筒状に張設された誘電体の記録材担持シートからなる転写ドラム105を有する電子写真プロセスを使用したカラー画像形成装置(複写機またはレーザービームプリンター)の一例の模式図を図1に示す。
【0026】
この画像形成装置は、表面に静電潜像が形成され、この静電潜像上にトナーが付着されてトナー像が形成される第1の画像担持体である、繰り返し使用される電子写真感光体からなる、回転ドラム型の感光体ドラム101を有している。感光体ドラム101の周りには、感光体ドラム101の表面を所定の極性・電位に一様に帯電させる1次帯電器102と、帯電された感光体ドラム101の表面に画像露光103を行って静電潜像を形成する、不図示の画像露光装置とが配置されている。また、形成された静電潜像上にトナーを付着させて現像する現像器として、ブラックトナーBを付着させる現像器とイエロートナーYを付着させる現像器とマゼンタトナーMを付着させる現像器とシアントナーCを付着させる現像器とを内蔵した回転型の現像器104が配置されている。さらに、転写ドラム105にトナー像を転写した後、感光体ドラム101上をクリーニングする感光体クリーナ106および感光体ドラム101の除電を行う除電露光107が設けられている。
【0027】
転写ドラム105は、感光体ドラム101に当接して回転可能なように配置されており、内側には、感光体ドラム101上に形成されたトナー像を転写ドラム105に静電吸着された記録材113に転写するための転写帯電器108が配備されている。転写帯電器108には感光体ドラム101上のトナー像を転写するための転写バイアスを印加するバイアス電源(不図示)が接続されている。また、記録材113を転写ドラム105に静電吸着させるための吸着帯電器111a、吸着ローラ111bが、転写ドラム105の内側および外側にそれぞれ配置される。また、所望のトナー像を転写ドラム105に静電吸着された記録材113に転写が終了した後、記録材113を転写ドラム105から分離するための分離帯電器112a、分離爪112bが配置されている。
【0028】
また、この画像形成装置は、画像が形成される複数の記録材113を保持する給紙カセット114と、記録材113を給紙カセット114から転写ドラム105を介して搬送する搬送機構とが設けられている。記録材113の搬送経路上には、記録材113上に転写されたトナー像を記録材113上に定着させる定着器115が配置されている。
一次帯電器102としてはコロナ放電器などが用いられる。
【0029】
画像露光装置としては、カラー原稿画像の色分解・結像露光光学系や、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームを出力するレーザースキャナによる走査露光系などが用いられる。このような露光系により、画像パターンに従って、複数行、複数列の画素マトリックスの各画素ごとに、レーザーまたはLED等を光源とする光ビームを照射して静電潜像を感光体の表面に形成することができる。
【0030】
次に、この画像形成装置の動作について説明する。
まず、図1に矢印で示すように、感光体ドラム101が、時計方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動され、転写ドラム105が、反時計方向に、感光体ドラム101と同じ周速度で回転駆動される。
【0031】
感光体ドラム101は、回転過程で、一次帯電器102により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで、画像露光103を受け、これにより感光体ドラム101の表面上には、目的のカラー画像の第1の色成分像(例えばマゼンタ成分像)に対応した静電潜像が形成される。次いで、現像器が回転し、マゼンタトナーMを付着させる現像器が所定の位置にセットされ、その静電潜像が第1色であるマゼンタトナーMにより現像される。
【0032】
一方、所定のタイミングで給紙カセット114から記録材113が給送され、吸着帯電器111a、吸着ローラ111bによって転写ドラム105の外周に記録材113が静電吸着される。
【0033】
そして、感光体ドラム101上に形成担持された第1色のマゼンタトナー像は、感光体ドラム101と転写ドラム105の外周に静電吸着された記録材113との当接ニップ部を通過する過程で、転写帯電器108に印加された電界により記録材113に順次転写される。
【0034】
記録材113に第1色のマゼンタトナー像を転写し終えた感光体ドラム101の表面は、感光体クリーナ106によりクリーニングされる。次に、感光体ドラム101の清掃された表面上に、第1色のトナー像の形成と同様に、第2色のトナー像(例えばシアントナー像)が形成され、この第2色のトナー像が、第1色のトナー像が転写された記録材113の表面上に重畳転写される。以下同様に、第3色のトナー像(例えばイエロートナー像)、第4色のトナー像(例えばブラックトナー像)が記録材113上に順次重畳転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー像が形成される。
【0035】
次に、合成カラートナー像が転写された記録材113は、分離帯電器112aおよび分離爪112bによって、転写ドラム105から分離され、定着器115へと搬送されて、ここで記録材113上にトナー像が加熱定着される。
【0036】
本画像形成装置の動作において、感光体ドラム101から転写ドラム105上に静電吸着された記録材113への第1〜第4色のトナー像の順次転写実行時には、吸着ローラ111bおよび分離爪112bは転写ドラム105から離間させるようにしてもよい。
【0037】
(中間転写体を用いた画像形成装置)
中程度の抵抗の弾性ローラである中間転写体205を有する電子写真プロセスを使用したカラー画像形成装置(複写機またはレーザービームプリンター)の一例の模式図を図2に示す。
【0038】
この画像形成装置は、表面に静電潜像が形成され、この静電潜像上にトナーが付着されてトナー像が形成される第1の画像担持体である、繰り返し使用される電子写真感光体からなる、回転ドラム型の感光体ドラム201を有している。感光体ドラム201の周りには、感光体ドラム201の表面を所定の極性・電位に一様に帯電させる一次帯電器202と、帯電された感光体ドラム201の表面に画像露光203を行って静電潜像を形成する、不図示の画像露光装置とが配置されている。また、形成された静電潜像上にトナーを付着させて現像する現像器として、マゼンタトナーMを付着させる第1現像器204aと、シアントナーCを付着させる第2現像器204bと、イエロートナーYを付着させる第3現像器204cと、ブラックトナーBを付着させる第4現像器204dとが配置されている。さらに、中間転写体205にトナー像を転写した後、感光体ドラム201上をクリーニングする感光体クリーナ206および感光体ドラム201の除電を行う除電露光207が設けられている。
【0039】
中間転写体205は、感光体ドラム201に当接して回転可能なように配置されており、パイプ状の芯金205aと、芯金205aの外周面に形成された弾性層205bとを有している。芯金205aには、感光体ドラム201上に形成されたトナー像を中間転写体に転写するための一次転写バイアスを印加するバイアス電源が接続されている。中間転写体205の周りには、中間転写体205に転写されたトナー像を記録材213にさらに二次転写するための二次転写ローラ209が、中間転写体205の回転軸に平行に軸支されて中間転写体205の下面部に接触するように設けられている。二次転写ローラ209には、中間転写体205上のトナー像を記録材213に転写するための二次転写バイアスを印加するバイアス電源が接続されている。また、中間転写体205上のトナー像を記録材213に転写した後、中間転写体205の表面上に残留した転写残トナーをクリーニングするための中間転写体クリーナ210が設けられている。
【0040】
また、この画像形成装置は、画像が形成される複数の記録材213を保持する給紙カセット214と、記録材213を給紙カセット214から中間転写体205と二次転写ローラ209との当接ニップ部を介して搬送する搬送機構とが設けられている。記録材213の搬送経路上には、記録材213上に転写されたトナー像を記録材213上に定着させる定着器215が配置されている。
一次帯電器202としてはコロナ放電器などが用いられる。
【0041】
画像露光装置としては、カラー原稿画像の色分解・結像露光光学系や、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームを出力するレーザースキャナによる走査露光系などが用いられる。このような露光系により、画像パターンに従って、複数行、複数列の画素マトリックスの各画素ごとに、レーザーまたはLED等を光源とする光ビームを照射して静電潜像を感光体の表面に形成することができる。
バイアス電源からは、トナーとは逆極性(+)の、例えば+2kV〜+5kVの範囲の電圧が印加される。
【0042】
次に、この画像形成装置の動作について説明する。
まず、図2に矢印で示すように、感光体ドラム201が、時計方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動され、中間転写体205が、反時計方向に、感光体ドラム201と同じ周速度で回転駆動される。
【0043】
感光体ドラム201は、回転過程で、一次帯電器202により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで、画像露光203を受け、これにより感光体ドラム201の表面上には、目的のカラー画像の第1の色成分像(例えばマゼンタ成分像)に対応した静電潜像が形成される。次いで、その静電潜像が第1現像器204aにより第1色であるマゼンタトナーMにより現像される。この時、第2現像器204b、第3現像器204c、第4現像器204dは、作動オフになっていて感光体ドラム201には作用せず、第1色のマゼンタトナー像に影響を与えることはない。
【0044】
このようにして、感光体ドラム201上に形成担持された第1色のマゼンタトナー像は、感光体ドラム201と中間転写体205とのニップ部を通過する過程で、バイアス電源から印加される一次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写体205外周面に順次中間転写される。
【0045】
中間転写体205に第1色のマゼンタトナー像を転写し終えた感光体ドラム201の表面は、感光体クリーナ206によりクリーニングされる。次に、感光体ドラム201の清掃された表面上に、第1色のトナー像の形成と同様に、第2色のトナー像(例えばシアントナー像)が形成され、この第2色のトナー像が、第1色のトナー像が転写された中間転写体205の表面上に重畳転写される。以下同様に、第3色のトナー像(例えばイエロートナー像)、第4色のトナー像(例えばブラックトナー像)が中間転写体205上に順次重畳転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー像が形成される。
【0046】
次に、給紙カセット214から中間転写体205と二次転写ローラ209との当接ニップ部に所定のタイミングで記録材213が給送され、二次転写ローラ209が中間転写体205に当接されると共に、二次転写バイアスがバイアス電源から二次転写ローラ209に印加されることにより、中間転写体205上に重畳転写された合成カラートナー像が、第2の画像担持体である記録材213に転写される。記録材213へのトナー像の転写終了後、中間転写体205上の転写残トナーは中間転写体クリーナ210によりクリーニングされる。トナー像が転写された記録材213は定着器215に導かれ、ここで記録材213上にトナー像が加熱定着される。
【0047】
本画像形成装置の動作において、感光体ドラム201から中間転写体205への第1〜第4色のトナー像の順次転写実行時には、二次転写ローラ209および中間転写体クリーナ210は中間転写体205から離間させるようにしてもよい。
【0048】
このような中間転写体を用いた電子写真によるカラー画像形成装置は、以下に示す特徴を有している。
【0049】
第一に、重ね合わせ時に各色のトナー像の形成位置がずれる色ズレが少ない。また、図2に示すように、記録材213をなんら加工、制御(例えばグリッパーに把持する、吸着する、曲率を持たせるなど)する必要なしに、中間転写体205からトナー像を転写させることができ、記録材213として多種多様なものを用いることができる。例えば、薄い紙(40g/m紙)から厚い紙(200g/m紙)までの種々の厚みのものを選択して記録材213として使用可能である。また、幅の広狭または長さの長短によらず種々の大きさのものを記録材213として使用可能である。さらには、封筒、ハガキ、ラベル紙などを記録材213として使用可能である。
【0050】
また、中間転写体205に剛性が優れたものを用いることができ、こうすることにより、繰り返し使用によるへこみ、ひずみ、変形などを抑えて、寸法精度の狂いの発生を抑制でき、さらに、中間転写体205の交換頻度を少なくすることができる。
このように、中間転写体205を用いた画像形成装置には種々の利点がある。
【0051】
(中間転写ベルトを用いた画像形成装置)
フィルム状の誘電体ベルトからなる中間転写ベルト305を有する電子写真プロセスを使用したカラー画像形成装置(複写機またはレーザービームプリンター)の一例の模式図を図3に示す。
【0052】
この画像形成装置は、表面に静電潜像が形成され、この静電潜像上にトナーが付着されてトナー像が形成される第1の画像担持体である、繰り返し使用される電子写真感光体からなる、回転ドラム型の感光体ドラム301を有している。感光体ドラム301の周りには、感光体ドラム301の表面を所定の極性・電位に一様に帯電させる1次帯電器302と、帯電された感光体ドラム301の表面に画像露光303を行って静電潜像を形成する、不図示の画像露光装置とが配置されている。また、形成された静電潜像上にトナーを付着させて現像する現像器として、ブラックトナーBを付着させる第1現像器304aと、イエロートナーYを付着させる現像器とマゼンタトナーMを付着させる現像器とシアントナーCを付着させる現像器とを内蔵した回転型の第2の現像器304bとが配置されている。さらに、中間転写ベルト305にトナー像を転写した後、感光体ドラム301上をクリーニングする感光体クリーナ306および感光体ドラム301の除電を行う除電露光307が設けられている。
【0053】
中間転写ベルト305は、感光体ドラム301に当接ニップ部を介して駆動するように配置されており、内側には感光体ドラム301上に形成されたトナー像を中間転写ベルト305に転写するための一次転写ローラ308が配備されている。一次転写ローラ308には、感光体ドラム301上のトナー像を中間転写ベルト305に転写するための一次転写バイアスを印加するバイアス電源(不図示)が接続されている。中間転写ベルト305の周りには、中間転写ベルト305に転写されたトナー像を記録材313にさらに転写するための二次転写ローラ309が、中間転写ベルト305の下面部に接触するように設けられている。二次転写ローラ309には、中間転写ベルト305上のトナー像を記録材313に転写するための二次転写バイアスを印加するバイアス電源が接続されている。また、中間転写ベルト305上のトナー像を記録材313に転写した後、中間転写ベルト305の表面上に残留した転写残トナーをクリーニングするための中間転写ベルトクリーナ310が設けられている。
【0054】
また、この画像形成装置は、画像が形成される複数の記録材313を保持する給紙カセット314と、記録材313を給紙カセット314から中間転写ベルト305と二次転写ローラ309との当接ニップ部を介して搬送する搬送機構とが設けられている。記録材313の搬送経路上には、記録材313上に転写されたトナー像を記録材313上に定着させる定着器315が配置されている。
一次帯電器302としてはコロナ放電器などが用いられる。
【0055】
画像露光装置としては、カラー原稿画像の色分解・結像露光光学系や、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームを出力するレーザースキャナによる走査露光系などが用いられる。このような露光系により、画像パターンに従って、複数行、複数列の画素マトリックスの各画素ごとに、レーザーまたはLED等を光源とする光ビームを照射して静電潜像を感光体の表面に形成することができる。
【0056】
次に、この画像形成装置の動作について説明する。
まず、図3に矢印で示すように、感光体ドラム301が、時計方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動され、中間転写ベルト305が、反時計方向に、感光体ドラム301と同じ周速度で回転駆動される。
【0057】
感光体ドラム301は、回転過程で、一次帯電器302により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで、画像露光303を受け、これにより感光体ドラム301の表面上には、目的のカラー画像の第1の色成分像(例えばマゼンタ成分像)に対応した静電潜像が形成される。次いで、第2現像器が回転し、マゼンタトナーMを付着させる現像器が所定の位置にセットされ、その静電潜像が第1色であるマゼンタトナーMにより現像される。この時、第1現像器304aは、作動オフになっていて感光体ドラム301には作用せず、第1色のマゼンタトナー像に影響を与えることはない。
【0058】
このようにして、感光体ドラム301上に形成担持された第1色のマゼンタトナー像は、感光体ドラム301と中間転写ベルト305とのニップ部を通過する過程で、一次転写バイアスがバイアス電源(不図示)から一次転写ローラ308に印加されることによって形成される電界により、中間転写ベルト305外周面に順次中間転写される。
【0059】
中間転写ベルト305に第1色のマゼンタトナー像を転写し終えた感光体ドラム301の表面は、感光体クリーナ306によりクリーニングされる。次に、感光体ドラム301の清掃された表面上に、第1色のトナー像の形成と同様に、第2色のトナー像(例えばシアントナー像)が形成され、この第2色のトナー像が、第1色のトナー像が転写された中間転写ベルト305の表面上に重畳転写される。以下同様に、第3色のトナー像(例えばイエロートナー像)、第4色のトナー像(例えばブラックトナー像)が中間転写ベルト305上に順次重畳転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー像が形成される。
【0060】
次に、給紙カセット314から中間転写ベルト305と二次転写ローラ309との当接ニップ部に所定のタイミングで記録材313が給送され、二次転写ローラ309が中間転写ベルト305に当接されると共に、二次転写バイアスがバイアス電源から二次転写ローラ309に印加されることにより、中間転写ベルト305上に重畳転写された合成カラートナー像が、第2の画像担持体である記録材313に転写される。記録材313へのトナー像の転写終了後、中間転写ベルト305上の転写残トナーは中間転写ベルトクリーナ310によりクリーニングされる。トナー像が転写された記録材313は定着器315に導かれ、ここで記録材313上にトナー像が加熱定着される。
【0061】
本画像形成装置の動作において、感光体ドラム301から中間転写ベルト305への第1〜第4色のトナー像の順次転写実行時には、二次転写ローラ309および中間転写ベルトクリーナ310は中間転写ベルト305から離間させるようにしてもよい。
【0062】
このような中間転写ベルトを用いた電子写真によるカラー画像形成装置は、以下に示す特徴を有している。
【0063】
第一に、重ね合わせ時に各色のトナー像の形成位置がずれる色ズレが少ない。また、図3に示すように、記録材313をなんら加工、制御(例えばグリッパーに把持する、吸着する、曲率を持たせるなど)する必要なしに、中間転写ベルト305からトナー像を転写させることができ、記録材313として多種多様なものを用いることができる。例えば、薄い紙(40g/m紙)から厚い紙(200g/m紙)までの種々の厚みのものを選択して記録材313として使用可能である。また、幅の広狭または長さの長短によらず種々の大きさのものを記録材313として使用可能である。さらには、封筒、ハガキ、ラベル紙などを記録材313として使用可能である。
【0064】
また、中間転写ベルト305は、柔軟性に優れており、感光体ドラム301や記録材313とのニップを自由に設定することができるため、設計の自由度が高く、転写効率などを最適化しやすいといった特徴がある。
このように、中間転写ベルト305を用いた画像形成装置には種々の利点がある。
【0065】
(a−Si感光体)
次に、図面に基づいて本発明の電子写真感光体(感光体と表すことがある)の詳細を説明する。図4は、本発明の電子写真感光体の層構成を説明するための模式的構成図である。
【0066】
図4(a)に示す感光体400は、感光体用の導電性の支持体(基体と表すことがある)401の上に、光受容層402が設けられたものである。光受容層402は、水素原子(H)またはハロゲン原子(X)を含む非単結晶材料、たとえば、アモルファスシリコン(「a−Si:H,X」と表すことがある)等からなり光導電性を有する光導電層403で構成され、光導電層403は支持体401側から順に第一の層領域411と第二の層領域412とからなっている。
【0067】
図4(b)に示す感光体400は、感光体用の支持体401の上に、光受容層402が設けられたものである。光受容層402はa−Si:H,Xからなる光導電性を有する光導電層403と、表面層(アモルファスシリコン系)404とから構成されている。また、光導電層403は支持体401側から順に第一の層領域411と第二の層領域412とからなっている。
【0068】
図4(c)に示す感光体400は、感光体用の支持体401の上に、光受容層402が設けられたものである。光受容層402は、支持体401側から順に、電荷注入阻止層(アモルファスシリコン系)405と、a−Si:H,Xとからなる光導電性を有する光導電層403と、表面層(アモルファスシリコン系)404とから構成されている。また、光導電層403は電荷注入阻止層405側から順に第一の層領域411と第二の層領域412とからなっている。
【0069】
(支持体)
本発明において使用される支持体としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導電性支持体としては、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Fe等の金属、およびこれらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルムまたはシードガラス、セラミック等の電気絶縁性支持体の少なくとも感光層を形成する側の表面を導電処理した支持体も用いることができる。
【0070】
本発明において使用される支持体401の形状は平滑表面あるいは凹凸表面の円筒状または無端ベルト状であることができ、その厚さは、所望通りの感光体400を形成し得るように適宜決定するが、感光体400としての可撓性が要求される場合には、支持体401としての機能が充分発揮できる範囲内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、支持体401は製造上および取り扱い上、機械的強度等の点から通常は10μm以上とされる。
【0071】
(光導電層)
本発明において、その目的を効果的に達成するために支持体401上に形成され、光受容層402の一部を構成する光導電層403は真空堆積膜形成方法によって、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件が設定されて作成される。具体的には、例えば、グロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成することができる。
【0072】
これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作製される感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、所望の特性を有する感光体を製造するに当たっての条件の制御が比較的容易であることからグロー放電法、特にRF帯の電源周波数を用いた高周波グロー放電法が好適である。
【0073】
グロー放電法によって光導電層403を形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスまたは/およびハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部が減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置されてある所定の支持体401上にa−Si:H,Xからなる層を形成すればよい。
【0074】
また、本発明において光導電層403中に水素原子または/およびハロゲン原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠であるからである。よって水素原子またはハロゲン原子の含有量、または水素原子とハロゲン原子の和の量は、第1の層領域は15〜30原子%、第2の層領域は10〜25原子%とされるのが望ましい。
【0075】
本発明において、使用されるSi供給用ガスとなり得る物質としては、SiH、Si、Si、Si10等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、さらに層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH、Siが好ましいものとして挙げられる。
【0076】
そして、形成される光導電層403中に水素原子を構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるように図り、本発明の目的を達成する膜特性を得るために、これらのガスにさらにHおよび/またはHeあるいは水素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成することが必要である。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0077】
また本発明において使用されるハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、例えばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。
【0078】
本発明において好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F),BrF、ClF、ClF、BrF、BrF、IF、IF等のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、例えばSiF、Si等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0079】
光導電層403中に含有される水素原子または/およびハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持体401の温度、水素原子または/およびハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0080】
本発明において、光導電層403には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、光導電層中のそれぞれの層411、412中に万偏なく均一に分布した状態で含有されてもよいし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。しかし、412の濃度は411の濃度よりも低いことが必要である。
【0081】
前記伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える周期律表第13族に属する原子(以降、「第13族原子」と表すことがある)またはn型伝導特性を与える周期律表第15族に属する原子(以降、「第15族原子」と表すことがある)を用いることができる。
【0082】
第13族原子としては、具体的には硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Gaが好適である。第15族原子としては、具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適である。
【0083】
第一の層領域411に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、好ましくは0.2〜100原子ppm、より好ましくは0.2〜50原子ppm、最適には0.2〜30原子ppmとするのが望ましい。また、第二の層領域に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、好ましくは0.01〜30原子ppm、より好ましくは0.01〜20原子ppm、最適には0.01〜10原子ppmとするのが望ましい。
【0084】
本発明において伝導型制御元素を第二の層領域412において第一の層領域411よりも少なくなるように含有させると、より光メモリーの改善が顕著になるが、これは光導電層のEgやEuといった物性から得られるキャリアの走行性を調整して走行性を高次でバランスさせることによると考えられる。
【0085】
そして、より光メモリーの改善を行う場合、正孔電子対が主に生成する部分である第二の層領域412は露光波長のピーク波長光を80〜95%吸収する領域とし、周期律表第13族に属する元素の含有量は、第一の層領域411にはシリコン原子に対して0.2〜30ppmに制御するのが望ましく、そして第二の層領域412には0.01〜10ppmに制御するのが望ましい。
【0086】
伝導性を制御する原子、例えば、第13族原子あるいは第15族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第13族原子導入用の原料物質あるいは第15族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、光導電層403を形成するための他のガスとともに導入してやればよい。第13族原子導入用の原料物質あるいは第15族原子導入用の原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状の、または、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望ましい。
【0087】
そのような第13族原子導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用としては、B、B10、B、B11、B10、B12、B14等の水素化硼素、BF、BCl、BBr等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl、GaCl、Ga(CH、InCl、TlCl等も挙げることができる。
【0088】
第15族原子導入用の原料物質として有効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH、P等の水素化燐、PHI、PF、PF、PCl、PCl、PBr、PBr、PI等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、AsH、AsF、AsCl、AsBr、AsF、SbH、SbF、SbF、SbCl、SbCl、BiH、BiCl、BiBr等も第13族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることができる。
【0089】
また、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてHおよび/またはHeにより希釈して使用してもよい。
【0090】
さらに本発明においては、光導電層403に炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子を含有させることも有効である。炭素原子および/または酸素原子/およびまたは窒素原子の含有量はシリコン原子、炭素原子、酸素原子および窒素原子の和に対して好ましくは1×10−5〜10原子%、より好ましくは1×10−4〜8原子%、最適には1×10−3〜5原子%が望ましい。炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子は、光導電層中に万遍なく均一に含有されてもよいし、光導電層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分があってもよい。
【0091】
本発明において、光導電層403の層厚は所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、好ましくは20〜50μm、より好ましくは23〜45μm、最適には25〜40μmとされるのが望ましい。層厚を20μm以上とすると、帯電能や感度等の電子写真特性が向上し、50μm以下とすると、光導電層の作製時間が短縮され製造コストを低減することができる。
【0092】
また、本発明において、光導電層における表面側に配設された第2の層領域412は、露光波長のピーク波長光を80〜95%を吸収する領域とすることが好ましい。上記範囲とすると、除電露光や像露光の吸収領域と生成するキャリアの走光性のバランスから、帯電能、帯電能の温度特性、感度の温度特性、感度の直線性、感度ムラ、光メモリーの改善の効果を充分に発揮することができる。
【0093】
本発明の目的を達成し、所望の膜特性を有する光導電層403を形成するには、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体温度を適宜設定することが必要である。
【0094】
希釈ガスとして使用するHおよび/またはHeの流量は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、第1の層領域の場合、Si供給用ガスに対しHおよび/またはHeの流量を、通常の場合3〜20倍、好ましくは4〜15倍、最適には5〜10倍の範囲に制御することが望ましく、第2の層領域の場合、Si供給用ガスに対しHおよび/主たはHeの流量を、通常の場合2〜12倍、好ましくは3〜10倍、最適には4〜8倍の範囲に制御することが望ましい。
【0095】
反応容器内のガス圧も、同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合1×10−2〜1×10Pa、好ましくは5×10−2〜5×10Pa、より好ましくは1×10−1〜2×10Paである。
【0096】
放電電力もまた同様に層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用のガスの流量に対する放電電力の比を、第1の層領域においては2〜8、好ましくは1〜6の範囲に設定することが望ましい。また、第2の層領域においては第1の層領域に比べて小さく、0.5〜4の範囲に設定することが望ましい。
【0097】
さらに、支持体401の温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは200〜350℃、より好ましくは210〜340℃、最適には220〜330℃とするのが望ましい。
【0098】
本発明においては、光導電層を形成するための支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する感光体を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0099】
(表面層)
本発明においては、上述のようにして支持体401上に形成された光導電層403の上に、さらに表面層404を形成することが好ましい。この表面層404は自由表面を有し、主に耐湿性、連続繰り返し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、耐久性において本発明の目的を達成するために設けられる。
【0100】
また、本発明においては、光受容層402を構成する光導電層403と表面層404とを形成する非晶質材料の各々がシリコン原子という共通の構成要素を有しているので、積層界面において化学的な安定性の確保が十分成されている。
【0101】
表面層404は、アモルファスシリコン系の材料であればいずれの材質でも可能であるが、例えば、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、さらに炭素原子を含有するアモルファスシリコン(以下、a−SiC:H,Xと表すことがある)、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、さらに酸素原子を含有するアモルファスシリコン(以下、a−SiO:H,Xと表すことがある)、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、さらに窒素原子を含有するアモルファスシリコン(以下、a−SiN:H,Xと表すことがある)、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、さらに炭素原子、酸素原子、窒素原子の少なくとも一つを含有するアモルファスシリコン(以下、a−SiCON:H,Xと表すことがある)等の材料が好適に用いられる。
【0102】
本発明において、その目的を効果的に達成するために、表面層404は真空堆積膜形成方法によって、所望特性が得られるように適宜成膜パラメーターの数値条件が設定されて作成される。具体的には、例えばグロー放電法(低周波CVD法、高周波CVD法またはマイクロ波CVD法等の交流放電CVD法、あるいは直流放電CVD法等)、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、光CVD法、熱CVD法などの数々の薄膜堆積法によって形成することができる。
【0103】
これらの薄膜堆積法は、製造条件、設備資本投資下の負荷程度、製造規模、作成される感光体に所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用されるが、感光体の生産性から光導電層と同等の堆積法によることが好ましい。
【0104】
例えば、グロー放電法によってa−SiC:H,Xよりなる表面層404を形成するには、基本的にはシリコン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガスと、炭素原子(C)を供給し得るC供給用の原料ガスと、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスまたは/およびハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入して、該反応容器内にグロー放電を生起させ、あらかじめ所定の位置に設置された光導電層403を形成した支持体401上にa−SiC:H,Xからなる層を形成すればよい。
【0105】
本発明において用いる表面層の材質としてはシリコンを含有するアモルファス材料ならば何れでもよいが、炭素、窒素、酸素より選ばれた元素を少なくとも1つ含むシリコン原子との化合物が好ましく、特にa−SiCを主成分としたものが好ましい。
【0106】
表面層をa−SiCを主成分として構成する場合の炭素量は、シリコン原子と炭素原子の和に対して30〜90%の範囲が好ましい。
【0107】
また、本発明において表面層404中に水素原子または/およびハロゲン原子が含有されることが必要であるが、これはシリコン原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させるために必須不可欠である。
【0108】
水素含有量は、構成原子の総量に対して通常の場合30〜70原子%、好適には35〜65原子%、最適には40〜60原子%とするのが望ましい。また、ハロゲン原子の含有量として、通常の場合は0.01〜15原子%、好適には0.1〜10原子%、最適には0.6〜4原子%とされるのが望ましい。
【0109】
これらの水素および/またはハロゲン原子含有量の範囲内で形成される感光体は、実際面において従来にない格段に優れたものとして充分適用させ得るものである。すなわち、表面層内に存在する欠陥(主にシリコン原子や炭素原子のダングリングボンド)は電子写真感光体としての特性に悪影響を及ぼすことが知られている。例えば自由表面から電荷の注入による帯電特性の劣化、使用環境、例えば高い湿度のもとで表面構造が変化することによる帯電特性の変動、さらにコロナ帯電時や光照射時に光導電層より表面層に電荷が注入され、前記表面層内の欠陥に電荷がトラップされることにより繰り返し使用時の残像現象の発生等がこの悪影響として挙げられる。
【0110】
しかしながら表面層内の水素含有量を30原子%以上に制御することで表面層内の欠陥が大幅に減少し、その結果、従来に比べて電気的特性面および高速連続使用性において飛躍的な向上を図ることができる。
【0111】
一方、前記表面層中の水素含有量を70原子%以下とすると表面層の硬度が高く、繰り返し使用に対する耐久性が向上する。従って、表面層中の水素含有量を前記の範囲内に制御することが格段に優れた所望の電子写真特性を得る上で非常に好ましい。表面層中の水素含有量は、原料ガスの流量(比)、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0112】
また、表面層中のハロゲン原子含有量を0.01原子%以上の範囲に制御することで表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合の発生をより効果的に達成することが可能となる。さらに、表面層中のハロゲン原子の働きとして、コロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子の結合の切断を効果的に防止することができる。
【0113】
一方、表面層中のハロゲン原子含有量を15原子%以下とすると表面層内のシリコン原子と炭素原子の結合の発生の効果およびコロナ等のダメージによるシリコン原子と炭素原子の結合の切断を防止する効果大きくなり好ましい。さらに、ハロゲン原子が表面層中のキャリアの走行性を阻害することもなく、残留電位や画像メモリーも認みられない。従って、表面層中のハロゲン原子含有量を前記範囲内に制御することは所望の電子写真特性を得る上で非常に好ましい。表面層中のハロゲン原子含有量は、水素含有量と同様に原料ガスの流量(比)、支持体温度、放電パワー、ガス圧等によって制御し得る。
【0114】
本発明の表面層の形成において使用されるシリコン(Si)供給用ガスとなり得る物質としては、SiH、Si、Si、Si10等のガス状態の、またはガス化し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとして挙げられ、さらに層作成時の取り扱い易さ、Si供給効率の良さ等の点でSiH、Siが好ましいものとして挙げられる。また、これらのSi供給用の原料ガスを必要に応じてHかHe、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0115】
炭素供給用ガスとなり得る物質としては、CH、C、C、C、C10等のガス状態の、またはガス化し得る炭化水素が有効に使用されるものとして挙げられ、さらに層作成時の取り扱い易さ、C供給効率の良さ等の点でCH、C、Cが好ましいものとして挙げられる。また、これらのC供給用の原料ガスを必要に応じてH、He、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0116】
窒素または酸素供給用ガスとなり得る物質としては、NH、NO、NO、NO、O、CO、CO、N等のガス状態の、またはガス化し得る化合物が有効に使用されるものとして挙げられる。また、これらの窒素、酸素供給用の原料ガスを必要に応じてHかHe、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0117】
また、形成される表面層404中に導入される水素原子の導入割合の制御をいっそう容易になるように図るために、これらのガスにさらに水素ガスまたは水素原子を含む珪素化合物のガスも所望量混合して層形成することが好ましい。また、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種混合しても差し支えないものである。
【0118】
ハロゲン原子供給用の原料ガスとして有効なのは、例えばハロゲンガス、ハロゲン化物、ハロゲンをふくむハロゲン間化合物、ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたはガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。また、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることができる。本発明において好適に使用し得るハロゲン化合物としては、具体的には弗素ガス(F)、BrF、ClF、ClF、BrF、BrF、IF、IF等のハロゲン間化合物を挙げることができる。
【0119】
ハロゲン原子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、具体的には、例えばSiF、Si等の弗化珪素が好ましいものとして挙げることができる。
【0120】
表面層404中に含有される水素原子または/およびハロゲン原子の量を制御するには、例えば支持体401の温度、水素原子または/およびハロゲン原子を含有させるために使用される原料物質の反応容器内へ導入する量、放電電力等を制御すればよい。
【0121】
炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子は、表面層中に万遍なく均一に含有されてもよいし、表面層の層厚方向に含有量が変化するような不均一な分布をもたせた部分があってもよい。
【0122】
さらに本発明においては、表面層404には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、表面層404中に万偏なく均一に分布した状態で含有されてもよいし、あるいは層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。
【0123】
前記の伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える第13族原子、または、n型伝導特性を与える第15族原子を用いることができる。
【0124】
第13族原子としては、具体的には、硼素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Gaが好適である。第15族原子としては、具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、Asが好適である。
【0125】
表面層404に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、好ましくは1×10−3〜1×10原子ppm、より好ましくは1×10−2〜5×10原子、ppm最適には1×10−1〜1×10原子ppmとされるのが望ましい。伝導性を制御する原子、例えば、第13族原子あるいは第15族原子を構造的に導入するには、層形成の際に、第13族原子導入用の原料物質あるいは第15族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器中に、表面層404を形成するための他のガスとともに導入してやればよい。
【0126】
第13族原子導入用の原料物質あるいは第15族原子導入用の原料物質となり得るものとしては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成条件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望ましい。そのような第13族原子導入用の原料物質として具体的には、硼素原子導入用としては、B、B10、B、B11、B10、B12、B14等の水素化硼素、BF、BCl、BBr等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl、GaCl、Ga(CH、InCl、TlCl等も挙げることができる。
【0127】
第15族原子導入用の原料物質として、有効に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH、P等の水素化燐、PHI、PF、PF、PCl、PCl、PBr、PBr、PI等のハロゲン化燐が挙げられる。この他、AsH、AsF、AsCl、AsBr、AsF、SbH、SbF、SbF、SbCl、SbCl、BiH、BiCl、BiBr等も第15族原子導入用の出発物質の有効なものとして挙げることができる。
【0128】
また、これらの伝導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてHかHe、Ar、Ne等のガスにより希釈して使用してもよい。
【0129】
本発明における表面層404の層厚としては、通常0.01〜3μm、好適には0.05〜2μm、最適には0.1〜1μmとされるのが望ましいものである。層厚を0.01μm以上とすると耐磨耗性が向上し感光体の使用中に表面層が失われることがない。また3μm以下とすると残留電位の増加等の電子写真特性の低下が起こらず好ましい。
【0130】
本発明による表面層404は、その要求される特性が所望通りに与えられるように注意深く形成される。すなわち、Si,Cおよび/またはNおよび/またはO,Hおよび/またはXを構成要素とする物質はその形成条件によって構造的には結晶からアモルファスまでの形態を取り、電気物性的には導電性から半導体性、絶縁性までの間の性質を、また、光導電的性質から非光導電的性質までの間の性質を各々示すので、本発明においては、目的に応じた所望の特性を有する化合物が形成されるように、所望に従ってその形成条件の選択が厳密になされる。例えば、表面層404を耐圧性の向上を主な日的として設けるには、使用環境において電気絶縁性的挙動の顕著な非単結晶材料として作成される。
【0131】
また、連続繰り返し使用特性や使用環境特性の向上を主たる目的として表面層404が設けられる場合には、上記の電気絶縁性の度合はある程度緩和され、照射される光に対して有る程度の感度を有する非単結晶材料として形成される。
【0132】
本発明の目的を達成し得る特性を有する表面層404を形成するには、ガスの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに支持体温度を適宜設定することが必要であるが、これらの層作成ファクターは通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する電荷注入阻止層を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0133】
さらに本発明においては、光導電層と表面層の間に、炭素原子、酸素原子、窒素原子の含有量を表面層より減らしたブロッキング層(下部表面層)を設けることも帯電能等の特性をさらに向上させるためには有効である。
【0134】
また表面層404と光導電層403との間に炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子の含有量が光導電層403に向かって減少するように変化する領域を設けてもよい。これにより表面層と光導電層の密着性を向上させ、光キャリアの表面ヘの移動がスムーズになるとともに光導電層と表面層の界面での光の反射による千渉の影響をより少なくすることができる。
【0135】
(電荷注入阻止層)
本発明の感光体においては、導電性支持体と光導電層との間に、導電性支持体側からの電荷の注入を阻止する働きのある電荷注入阻止層を設けるのがいつそう効果的である。
【0136】
すなわち、電荷注入阻止層は感光層が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、支持体側より光導電層側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有し、逆の極性の帯電処理を受けた際にはそのような機能は発揮されない、いわゆる極性依存性を有している。そのような機能を付与するために、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を光導電層に比ベ比較的多く含有させる。
【0137】
該層に含有される伝導性を制御する原子は、該層中に万偏なく均一に分布されてもよいし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。分布濃度が不均一な場合には、支持体側に多く分布するように含有させるのが好適である。しかしながら、いずれの場合にも支持体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化をはかる点からも好ましい。
【0138】
電荷注入阻止層に含有される伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、p型伝導特性を与える第13族原子、または、n型伝導特性を与える第15族原子を用いることができる。
【0139】
第13族原子としては、具体的には、B(ほう素)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)、Ta(タリウム)等があり、特にB、Al、Gaが好適である。第15族原子としては、具体的にはP(リン)、As(批素)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)等があり、特にP、Asが好適である。
【0140】
本発明において電荷注入阻止層中に含有される伝導性を制御する原子の含有量としては、本発明の目的が効果的に達成できるように所望にしたがって適宜決定されるが、好ましくは10〜1x10原子ppm、より好適には50〜5x10原子ppm、最適には1x10〜3×10原子ppmとされるのが望ましい。
【0141】
さらに、電荷注入阻止層には、炭素原子、窒素原子および酸素原子の少なくとも一種を含有させることによって、該電荷注入阻止層に直接接触して設けられる他の層との間の密着性の向上をよりいっそう図ることができる。該層に含有される炭素原子または窒素原子または酸素原子は該層中に万偏なく均一に分布されてもよいし、あるいは層厚方向には万偏なく含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。
【0142】
しかしながら、いずれの場合にも支持体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが面内方向における特性の均一化をはかる点からも好ましい。
【0143】
本発明における電荷注入阻止層の全層領域に含有される炭素原子および/または窒素原子および/または酸素原子の含有量は、本発明の目的が効果的に達成されるように適宜決定されるが、一種の場合はその量として、二種以上の場合はその総和として、好ましくは1×10−3〜30原子%、より好適には5×10−3〜20原子%、最適には1×10−2〜10原子%とされるのが望ましい。
【0144】
また、本発明における電荷注入阻止層に含有される水素原子および/またはハロゲン原子は層内に存在する未結合手を補償し膜質の向上に効果を奏する。電荷注入阻止層中の水素原子またはハロゲン原子あるいは水素原子とハロゲン原子の和の含有量は、好適には1〜50原子%、より好適には5〜40原子%、最適には10〜30原子%とするのが望ましい。
【0145】
本発明において、電荷注入阻止層の層厚は、所望の電子写真特性が得られること、および経済的効果等の点から好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.3〜4μm、最適には0.5〜3μmとされるのが望ましい。層厚を0.1μm以上とすると、支持体からの電荷の注入阻止能が高く充分な帯電能を得ることができる。5μm以下とすると、作製時間が短縮され製造コストを低減することができ好ましい。
【0146】
本発明において電荷注入阻止層を形成するには、前述の光導電層を形成する方法と同様の真空堆積法が採用される。本発明の目的を達成し得る特性を有する電荷注入阻止層405を形成するには、ガスの混合比、反応容器内のガス圧放電電力ならびに支持体温度を適宜設定することが必要であるが、これらの層作成ファクターは通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する電荷注入阻止層を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0147】
このほかに、本発明の感光体においては、光受容層402の前記支持体401側に、少なくともアルミニウム原子、シリコン原子、水素原子または/およびハロゲン原子が層厚方向に不均一な分布状態で含有する層領域を有することが望ましい。
【0148】
また、本発明の感光体においては、支持体401と光導電層403あるいは電荷注入阻止層405との間の密着性の一層の向上を図る目的で、例えばSi、SiO、SiO、あるいはシリコン原子を母体とし、水素原子および/またはハロゲン原子と、炭素原子および/または酸素原子および/または窒素原子とを含む非晶質材料等で構成される密着層を設けてもよい。さらに、支持体からの反射光による干渉模様の発生を防止するための光吸収層を設けてもよい。
【0149】
(本発明に用いた感光体の製造方法)
本発明では、感光体ドラムに、a−Si感光層を高周波プラズマCVD(PCVD)法により成膜したa−Si感光体を用いた。図5に、本発明に用いた電子写真感光体の製造に使用することが可能なプラズマCVD法による堆積装置の好適な構成の一例を模式的に示した図を示す。
【0150】
この装置は大別すると、堆積装置5100、原料ガス供給装置5200、反応容器5110内を減圧するための排気装置(図示せず)から構成されている。堆積装置5100中の反応容器5110内には円筒状支持体5112、支持体加熱用ヒーター5113、原料ガス導入管5114が設置され、更に高周波マッチングボックス(マッチングボックスと表すことがある)5115を介して高周波電源5120が反応容器を兼ねるカソード電極5111に接続されている。
【0151】
原料ガス供給装置5200は、SiH、GeH、H、CH、B、PH等の原料ガスのボンベ5221〜5226と原料ガスボンベバルブ5231〜5236、ガス流入バルブ5241〜5246、ガス流出バルブ5251〜5256およびマスフローコントローラー5211〜5216から構成され、各原料ガスのボンベはバルブ5260を介して反応容器5110内の原料ガス導入管5114に接続されている。
【0152】
図5に示した装置を用いた堆積膜の形成は、概略以下のような手順によって行われる。
【0153】
まず、反応容器5110内に円筒状支持体5112を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器5110内を排気する。続いて、支持体加熱用ヒーター5113により円筒状支持体5112の温度を200℃〜350℃の所定の温度に制御する。
【0154】
次に、堆積膜形成用の原料ガスを、原料ガス供給装置5200により流量制御し、反応容器5110内に導入する。そして、排気速度を調整することにより所定の圧力に設定する。
以上のようにして堆積の準備が完了した後、以下に示す手順で各層の形成を行う。
内圧が安定したところで、高周波電源5120を所望の電力に設定して、高周波マッチングボックス5115を通じてカソード電極5111に供給し高周波グロー放電を生起させる。放電に用いる周波数は1〜30MHzのRF帯が好適に使用出来る。また、装置形態が異なるが、光導電層の形成には2.45GHzに代表されるマイクロ波を用いても構わない。
【0155】
この放電エネルギーによって反応容器5110内に導入された各原料ガスが分解され、円筒状支持体5112上に所定のシリコン原子を主成分とする堆積膜が形成される。所望の膜厚の形成が行われた後、高周波電力の供給を止め、ガス供給装置の各バルブを閉じて反応容器5110への各原料ガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0156】
同様の操作を複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0157】
また、膜形成の均一化を図るために、層形成を行っている間は、円筒状支持体5112を駆動装置(不図示)によって所定の速度で回転させることも有効である。
【0158】
さらに、上述のガス種およびバルブ操作は各々の層の作製条件にしたがって変更が加えられることは言うまでもない。
【0159】
図6に、本発明に用いた電子写真感光体の製造に使用することが可能なプラズマCVD法による堆積装置の好適な構成の他の一例を模式的に示した図を示す。
【0160】
反応容器601は円筒状のものであり、図6(a)は、反応容器601の中心軸に沿って反応容器601を断面にした図であり、図6(b)は、図6(a)のA−A’線断面図である。
【0161】
この装置は大別すると、ガス供給装置(図示せず)、円筒状基体609が設置される反応容器601および反応容器601内を減圧するための排気装置(図示せず)から構成されている。
【0162】
反応容器601には、その容器内の気体を反応容器601の外部に排出するための排気管602が一体的に形成されている。排気管602はガス排気バルブ619およびガス排気接続部620を介してガス排気部(図示せず)に接続されている。反応容器601の上部には開口部が形成されており、その開口部が蓋614によって密閉されている。反応容器601内は、その容器と同心の円筒状の隔壁607によって区分けされている。隔壁607の少なくとも一部は誘電体部材で構成されており、円筒状の隔壁607の内側の空間がプラズマ処理空間606となっている。反応容器601内における隔壁607の外側の空間には、反応容器601内に高周波電力を導入するための電極603が複数設置されている。複数の電極603は、反応容器601と同心の円周上に所定の間隔をおいて並んでいる。高周波電源604より高周波電力が出力され、出力された高周波電力がマッチングボックス605およびコンデンサ616を経てそれぞれの電極603よりプラズマ処理空間606内に供給される。放電に用いる周波数は50〜450MHzのVHF帯が好適に使用出来る。
【0163】
プラズマ処理空間606内には、円筒状基体609が複数配置されている。それらの円筒状基体609は反応容器601と同心の円周上に所定のピッチで等間隔に並べられており、それぞれの円筒状基体609上に堆積膜が形成される。各々の円筒状基体609は、その基体の中心軸と平行な方向に延びる軸610によって保持されている。また、各々の円筒状基体609の内側には、必要に応じて発熱体611が配置され、発熱体611によって円筒状基体609が加熱されるようになっている。
【0164】
さらに、それぞれの円筒状基体609を回転させる機構を必要に応じて設けても良い。図6に示される装置では、円筒状基体609を支持する軸610の下端部は反応容器601の底面608より反応容器601の外部に突出しており、その軸610の下端部が、反応容器601の外部にある減速ギア613を介してモーター612の回転軸に繋がっている。モーター612を駆動することにより、減速ギア613を介して軸610が回転し、軸610の回転に伴って円筒状基体609がその中心軸のまわりで回転する。
【0165】
反応容器601のほぼ中央部にはガス供給管615の一端部が配置され、ガス供給管615の他端部は反応容器601の外部でガス供給バルブ617およびガス供給接続部618を介してガス供給部(図示せず)に接続されている。そのガス供給部より、ガス供給管615を通してプラズマ処理空間606内に所望のプラズマ処理用ガスが供給される。
【0166】
図6に示した装置を用いた堆積膜の形成は、概略以下のような手順によって行われる。
【0167】
まず、反応容器601内に円筒状基体609を設置し、不図示の排気装置により排気管602を通して反応容器601内を排気する。続いて、発熱体611により円筒状基体609を200〜300℃程度の所定の温度に加熱・制御する。
【0168】
円筒状基体609が所定の温度となったところで、不図示のガス供給装置から供給される原料ガスを、ガス供給管615を介して反応容器601内に導入する。原料ガスの流量が設定流量となり、また、反応容器601内の圧力が安定したのを確認した後、高周波電源604からマッチングボックス605を介して電極603へ所定のVHF電力を供給する。これにより、VHF電力が反応容器601に導入され、プラズマ処理空間606にグロー放電が生起し、原料ガスは励起・解離して円筒状基体609上に堆積膜が形成される。
【0169】
所望の膜厚の形成が行なわれた後、VHF電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して堆積膜の形成を終える。同様の操作を複数回繰り返すことによって、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0170】
本発明は、上述のように、転写部材に色成分のトナー像を重畳して合成カラー画像を形成する画像形成装置に関するものであり、感光体上に形成される静電潜像の形成プロセス条件と、感光体の膜特性との関係を適切にする事を主要な特徴とする。そこで、以下の実験例により、潜像形成プロセス条件と感光体の膜特性との相関に関する検討結果について説明する。
【0171】
[実験例1]
図7に、潜像形成シーケンスと感光体および転写部材の周期との関係を模式的に表した図を示す。
【0172】
図7(a)は、転写部材を有し、それらの上で各色成分のトナー像が順次重畳転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー像が形成される図1〜3に示したような構成の画像形成装置における、潜像形成シーケンスを表している。各色成分のトナー像を重ね合せるために、色ズレが起こらないよう転写部材のタイミングに同期した潜像形成シーケンスとなる。また、感光体の回転周期に関しては、必ずしも転写部材の周期に同期させる必要はないが、感光体周期でムラが存在し、且つ、記録材上で各色毎にムラの位相が異なると、そのムラがより強調されて目立ちやすくなる場合がある。ここで言う感光体周期でのムラには、感光体自身の持つ静電気的特性ムラだけでなく、真円度、フランジ等の組付け精度、モーターやギア等のメカ的な精度によって発生するムラまでも含んだものであり、完全にゼロにすることはきわめて難しい。このため、図7(a)に示したように転写部材の周期を感光体の回転周期の整数倍とし、感光体の周期と転写部材の周期とを同期させる構成が好ましい。従って、実質的に感光体の回転周期と、潜像形成シーケンスが同期することになる。
【0173】
一方、図7(b)は、転写部材を有さないモノクロ機や、各色毎に感光体を有するタンデム型のカラー機などにおける、潜像形成シーケンスを表している。基本的に、記録材が搬送されるタイミングに同期した潜像形成シーケンスとなり、記録材の長さと紙間部の長さによって、潜像形成シーケンスの周期が決定される。このため、感光体の回転周期と潜像形成シーケンスとは非同期となる。
【0174】
次に、本実験例に用いた感光体の製造条件について説明する。
図5に示したプラズマCVD装置を用い、直径80mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、表1に示す条件により電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる堆積膜を順次積層し、感光体を作製した。この際、光導電層は、電荷注入阻止層側から第一の層領域、第二の層領域を構成した。
【0175】
【表1】
Figure 2004117886
【0176】
このようにして作製した感光体を用い、画像形成装置(電子写真装置 iR−6000(キヤノン(株)製;商品名)を実験用に改造した機械)を使って以下のような実験を行った。
【0177】
先ず、図7(b)に示した潜像形成シーケンスの場合におけるゴーストについて調べた。実験に用いた画像形成装置(iR−6000)の画像露光方式はBAE方式であり、また、モノクロの画像形成装置であるため、改造なしの状態における潜像形成シーケンスは、図7(b)に示したようになる。この装置に表1に示した条件で作製した感光体をセットし、通常の電子写真プロセスを行った場合の感光体の表面電位プロファイルを、装置の現像器の位置にセットした表面電位計 Model 344(Trek社製;商品名)にて測定し、その電位プロファイルからゴースト電位を計算した。表面電位プロファイルからゴースト電位を計算する方法は、図8に模式的に示したとおりであり、前周が紙間であった部分と非紙間であった部分との電位差を紙間ゴースト電位と定義した。それらの結果を図9に示す。図9のグラフでは、1枚目のゴースト電位を1としたときの相対値で示している。
【0178】
次に、図7(a)に示した潜像形成シーケンスになるよう、感光体の周期に合わせて潜像形成を行うように改造した機械を使って、上記と同じ実験を行った。その結果も、図9に合わせて示す。
【0179】
図9に示す結果から明らかなように、図7(a)に示す潜像形成シーケンスでは、プリント枚数が進むとともにに少しずつ、ゴースト電位が大きくなることがわかる。これは、潜像形成シーケンスが感光体の回転周期と同期しているため、紙間の露光部は必ず感光体の周方向の同じ位置にくるためであると考えられる。即ち、プリント枚数が進むとともに紙間露光による光メモリーが蓄積されてゆき、紙間部と非紙間部での電位特性に差が生じやすくなるためであると考えられる。
【0180】
これに対し、図7(b)に示した潜像形成シーケンスの場合は、感光体のある特定部分にのみ紙間露光が集中することは無く、紙間部は感光体の周方向において徐々にずれてゆくため、プリント枚数が進んでも、ゴースト電位が大きくなる傾向は観測されない。
【0181】
以上の結果より、画像露光方式にBAE方式を用いた場合、図7(a)に示した潜像形成シーケンスの構成は、図7(b)に示した潜像形成シーケンスの構成の場合と比較して、ゴーストに対しては厳しい構成であることがわかった。
【0182】
[実験例2]
潜像形成からの時間とゴースト電位との相関について以下に示すような実験を行った。
【0183】
実験例1で示したものと同様の条件において作製した感光体を、実験例1で用いた画像形成装置(電子写真装置 iR−6000(キヤノン(株)製;商品名)を実験用に改造した機械)にセットし、通常の電子写真プロセスを行った場合の感光体の表面電位プロファイルを測定した。潜像形成シーケンスに関しては、改造前のiR−6000の状態、即ち、図7(b)に示すシーケンスパターンとした。これは、光メモリーが蓄積する影響を排除して考察を行うためである。また、本実験では、現像器位置の表面電位に加えて、その上流側や下流側などにも表面電位計 Model 344(Trek社製;商品名)を取付けできるように改造を行い、さまざまな位置において、表面電位プロファイルの測定を行った。測定した電位プロファイルは、実験例1と同様の方法でゴースト電位を計算した。それらの結果を図10に示す。図10のグラフでは、現像から55msec後におけるゴースト電位を1としたときの相対値で示している。
【0184】
図10に示す結果から明らかなように、潜像形成からの経過時間とともにゴースト電位は大きくなっていくことが確認される。この結果より、1本の感光体の外周に複数の現像器を配備してカラー画像を得る構成においては、下流側の現像器位置の方が上流側の現像器位置よりも、ゴーストに対しては厳しい条件であることがわかった。
【0185】
[実験例3]
図5に示したプラズマCVD装置を用い、膜特性を調べるために、アルミニウムシリンダーに代えて、サンプル基板を設置するための溝加工を施した円筒形のサンプルホルダーを用い、Siウエハーならびにガラス基板 7059(コーニング社製;商品名)上に、光導電層の各層領域の作成条件にて、膜厚約1μmのa−Si膜を堆積した。ガラス基板上の堆積膜は、まず、光学的バンドギャップ(Eg)を測定した。測定には紫外可視分光光度計V−570(日本分光(株)製;商品名)を用い、波長範囲を250〜2500nmとした。得られた各波長における吸収係数αを元に、通常のTaucプロット(hνと(αhν)1/2との関係を求め、hν軸の切片の値をEgと定義する)を用いてEgを得た。その後、櫛型にCr電極を蒸着し、CPM(Constant Photocurrent Method、一定電流法)により、a−Si:Hの局在準位に基づくサブギャップ光吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エネルギー(Eu)を測定した。また、Siウエハー上の堆積膜はフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)により水素含有量(Ch)を測定した。このような実験を、SiHガス流量、SiHガスとHガスとの混合比、SiHガス流量と放電電力との比率ならびに支持体温度を様々に変え、Ch、Eu、Egの異なるサンプルに対して行った。そして、上述の実験から得たデータを元に、電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる層構成の感光体を製作した。光導電層は、電荷注入阻止層側から第1の層領域、第2の層領域から構成した。
【0186】
続いて、作製した感光体を画像形成装置(電子写真装置 iR−6000(キヤノン(株)製;商品名)を実験用に改造した機械)にセットして、実験例1に示した方法と同様の方法で、通常の電子写真プロセスを行った場合の現像器位置における表面電位プロファイルを測定し、ゴースト電位を測定した。
【0187】
それらの結果を、光導電層の第1の領域におけるChをパラメータとし、第1の層領域のChが20%、25%、30%となった場合におけるゴースト電位を、第2の領域のChに対してプロットしたグラフを図11に示す。また、図11のグラフは、光導電層を全て第1の層領域の成膜条件で成膜した場合を1としたときの相対値で示している。
【0188】
図11に示した結果から明らかなように、第2の層領域における水素含有量(Ch)を10〜25原子%の範囲内とし、且つ、第1の層領域に比べて少なくする場合において、良好なゴースト特性が得られることがわかった。また、Chが前述の範囲になるときのEg、Euの値は、Egがl.70〜1.80eV、Euが50〜60meVであった。
【0189】
[実験例4]
次に、第1の層領域の特性を変化させるために、実験例3と同様に、SiHガス流量、SiHガスとHガスとの混合比、SiHガス流量と放電電力との比率ならびに支持体温度を種々変え、Ch、Eg、Euの異なるサンプルを作成して特性を求め、それを元に種々の感光体を作製した。
【0190】
そして、作製した感光体を画像形成装置(電子写真装置 iR−6000(キヤノン(株)製;商品名)を実験用に改造した機械)にセットして、電位特性の評価を行った。その結果、帯電特性に関して明らかな差が観測された。その結果を図12に示す。図12は、帯電能と第1の層領域におけるChとの関係を表しており、第2の層領域のChをパラメータとして、Chが15%、20%、25%となった場合における帯電能を、第1の層領域のChに対してプロットしたグラフである。また、ここで言う帯電能とは、前露光の照射条件および一次帯電の条件を一定とした場合における暗部表面電位を帯電能とした。また、図12のグラフでは、光導電層を全て第2の層領域の成膜条件で成膜した場合を1としたときの相対値で示している。
【0191】
図12に示した結果から明らかなように、第1の層領域における水素含有量(Ch)には、好適な範囲があり、15〜30原子%の範囲内とすることで、十分な帯電特性が得られることがわかった。この結果は、EgやEuに加え、膜の誘電率などが、様々に絡み合って引き起こされた結果であると推測される。即ち、Chが多くなりすぎると、膜中の欠陥密度が多くなりやすく、電荷保持能力が低下しやすくなるためと考えられる。逆に、Chが少なすぎると、膜の誘電率が大きくなりやすく、従って、感光体の静電容量が大きくなり、帯電能は低下しやすくなるためと考えられる。また、Chが前述の範囲になるときのEg、Euの値は、Egがl.75〜1.85eV、Euが55〜65meVであった。
【0192】
【実施例】
以上の実験例から導き出された前述のような好適な条件を満たす画像形成装置について、さらに具体的な実施例を示して説明する。
【0193】
(第1の実施例)
図5に示したプラズマCVD装置を用い、直径108mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、表2および表3に示す条件により電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる堆積膜を順次積層し、A、Bの2種類の層設計に基づく感光体を作製した。表2には共通条件として電荷注入阻止層と表面層の成膜条件を、表3にはそれぞれ異なる光導電層の成膜条件を示した。表3において、光導電層を第1の層領域と第2の層領域に分割しているものに関しては、電荷注入阻止層側から第1の層領域、第2の層領域の順に積層した。
【0194】
それらの各光導電層における伝導型制御元素の含有量は、二次イオン質量分析法(SIMS)により測定した。また、Ch、Eg、Euの値は、実験例3および実験例4と同様の方法で測定した。これらの結果を表4にまとめて示す。
【0195】
一方、画像形成装置としては、図2に示した中間転写体を有し、YMCB4色のトナー毎に4つの現像器を有し、画像露光方式にBAE方式を用いた構成の画像形成装置(電子写真装置GP−605(キヤノン(株)製;商品名)をベースに、実験用として上述の構成のカラー機に改造した機械)を用意した。また、この画像形成装置に用いた中間転写体の周長は、感光体の周長である339.5mmの2倍となる679mmとした。即ち、この画像形成装置における潜像形成シーケンスは図7(a)に示したように、実質的に感光体の回転周期に同期した潜像形成シーケンスとなる。
【0196】
この画像形成装置に、上述したA、Bの2種類の層設計に基づいて作製した感光体を順次セットし、電位特性、画像特性、耐久特性などの評価を行った。
【0197】
電位特性に関しては、2種類の感光体に対して、帯電特性、感光特性とも十分に良好な特性が得られた。画像特性における画質に関しては、2種類の感光体に対して、文字に中抜けが生じることもなく、細線も良好に出力することができ、塗りつぶし画像についても均一な画質の画像が得られ、また、10万枚を通紙しての耐久試験を行った後においても、初期と同様の良好な画質が得られた。また、ゴースト特性の結果に関しては、表4に示す。
【0198】
(第1の比較例)
第1の実施例に示した方法と同様の方法において、表2および表3に示す条件により電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる堆積膜を順次積層し、C、Dの2種類の層設計に基づく感光体を作製した。表2には共通条件として電荷注入阻止層と表面層の成膜条件を、表3にはそれぞれ異なる光導電層の成膜条件を示した。表3において、光導電層を第1の層領域と第2の層領域に分割しているものに関しては、電荷注入阻止層側から第1の層領域、第2の層領域の順に積層した。
【0199】
それらの各光導電層における伝導型制御元素の含有量は実施例1と同様の方法で、Ch、Eg、Euの値は、実験例3および実験例4と同様の方法で測定した。これらの結果を表4にまとめて示す。
【0200】
そして、第1の実施例で使用した画像形成装置に、上述したC、Dの2種類の層設計に基づいて作製した感光体を順次セットし、第1の実施例と同様の方法において、電位特性、画像特性、耐久特性などの評価を行った。
【0201】
電位特性に関しては、2種類の感光体に対して、帯電特性、感光特性とも十分に良好な特性が得られた。画像特性における画質に関しては、2種類の感光体に対して、文字に中抜けが生じることもなく、細線も良好に出力することができ、塗りつぶし画像についても均一な画質の画像が得られ、また、10万枚を通紙しての耐久試験を行った後においても、初期と同様の良好な画質が得られた。また、ゴースト特性の結果に関しては、表4に示す。
【0202】
【表2】
Figure 2004117886
【0203】
【表3】
Figure 2004117886
【0204】
【表4】
Figure 2004117886
【0205】
画像特性(ゴースト)の判定基準
☆・・・ゴースト現象がまったく現れず、極めて良好
◎・・・ゴースト現象がほとんど現れず、非常に良好
○・・・ゴースト現象がかすかに現れるレベルであり、良好
△・・・ゴースト現象が現れるが、実用上は問題なし
×・・・ゴースト現象が現れて、実用上問題となる場合あり
【0206】
第1の実施例と第1の比較例の結果をあわせて示した表4から明らかなように、感光体の光導電層を電荷注入阻止層から第1の層領域と第2の層領域の順で積層した2層構成とし、光導電層の第1の層領域におけるChを15〜30原子%とし、光導電層の第2の層領域におけるChを10〜25原子%、且つ、第1の層領域より少なくすることによって、ゴーストにとって非常に厳しい条件が重なった構成の図2に示した装置構成の画像形成装置においても、画像上でゴーストがほとんど見えない非常に良好な画像が得られることがわかる。
【0207】
(第2の実施例)
図5に示したプラズマCVD装置を用い、直径84mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、表5および表6に示す条件により電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる堆積膜を順次積層し、E、Fの2種類の層設計に基づく感光体を作製した。表5には共通条件として電荷注入阻止層と表面層の成膜条件を、表6にはそれぞれ異なる光導電層の成膜条件を示した。表6において、光導電層を第1の層領域と第2の層領域に分割しているものに関しては、電荷注入阻止層側から第1の層領域、第2の層領域の順に積層した。本実施例においては、光導電層の第1の層領域における伝導型制御元素の含有量を電荷注入阻止層側から表面層側に向かって、おおよそ直線的に減少させた。
【0208】
それらの各光導電層における伝導型制御元素の含有量は実施例1と同様にして、Ch、Eg、Euの値は、実験例3および実験例4と同様の方法で測定した。本実施例においては、光導電層の第1の層領域における伝導型制御元素の含有量を電荷注入阻止層側から表面層側に向かって減少させたため、その中央値になる成膜条件においてサンプルを作成して、Ch、Eg、Euの値を測定した。これらの結果を表7にまとめて示す。
【0209】
一方、画像形成装置としては、図3に示した中間転写ベルトを有し、ブラックトナーを付着させる現像器とYMC3色のトナーを付着させる現像器を内蔵したローターリー式の現像器からなる2つの現像器を有し、画像露光方式にBAE方式を用いた構成の画像形成装置(電子写真装置iR−5000(キヤノン(株)製;商品名)をベースに、実験用として上述の構成のカラー機に改造した機械)を用意した。また、この画像形成装置に用いた中間転写体の周長は、感光体の周長である264mmの2倍となる528mmとした。即ち、この画像形成装置における潜像形成シーケンスは図7(a)に示したように、実質的に感光体の回転周期に同期した潜像形成シーケンスとなる。
【0210】
この画像形成装置に、上述したE、Fの2種類の層設計に基づいて作製した感光体を順次セットし、電位特性、画像特性、耐久特性などの評価を行った。
【0211】
電位特性に関しては、2種類の感光体に対して、帯電特性、感光特性とも十分に良好な特性が得られた。画像特性における画質に関しては、2種類の感光体に対して、文字に中抜けが生じることもなく、細線も良好に出力することができ、塗りつぶし画像についても均一な画質の画像が得られ、また、10万枚を通紙しての耐久試験を行った後においても、初期と同様の良好な画質が得られた。また、ゴースト特性の評価結果に関しては、表7に示す。
【0212】
(第2の比較例)
第2の実施例に示した方法と同様の方法において、表5および表6に示す条件により電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる堆積膜を順次積層し、G、Hの2種類の層設計に基づく感光体を作製した。表5には共通条件として電荷注入阻止層と表面層の成膜条件を、表6にはそれぞれ異なる4種類の光導電層の成膜条件を示した。表6において、光導電層を第1の層領域と第2の層領域に分割しているものに関しては、電荷注入阻止層側から第1の層領域、第2の層領域の順に積層した。本比較例においては、光導電層の第1の層領域における伝導型制御元素の含有量を電荷注入阻止層側から表面層側に向かって、おおよそ直線的に減少させた。
【0213】
それらの各光導電層における伝導型制御元素の含有量は実施例1と同様にして、Ch、Eg、Euの値は、実験例3および実験例4と同様の方法で測定した。本実施例においては、光導電層の第1の層領域における伝導型制御元素の含有量を電荷注入阻止層側から表面層側に向かって減少させたため、その中央値になる成膜条件においてサンプルを作成して、Ch、Eg、Euの値を測定した。これらの結果を表7にまとめて示す。
【0214】
そして、第2の実施例で使用した画像形成装置に、上述したG、Hの2種類の層設計に基づいて作製した感光体を順次セットし、第2の実施例と同様の方法において、電位特性、画像特性、耐久特性などの評価を行った。
【0215】
電位特性に関しては、2種類の感光体に対して、帯電特性、感光特性とも十分に良好な特性が得られた。画像特性における画質に関しては、2種類の感光体に対して、文字に中抜けが生じることもなく、細線も良好に出力することができ、塗りつぶし画像についても均一な画質の画像が得られ、また、10万枚を通紙しての耐久試験を行った後においても、初期と同様の良好な画質が得られた。また、ゴースト特性の評価結果に関しては、表7に示す。
【0216】
【表5】
Figure 2004117886
【0217】
【表6】
Figure 2004117886
【0218】
【表7】
Figure 2004117886
【0219】
画像特性(ゴースト)の判定基準
☆・・・ゴースト現象がまったく現れず、極めて良好
◎・・・ゴースト現象がほとんど現れず、非常に良好
○・・・ゴースト現象がかすかに現れるレベルであり、良好
△・・・ゴースト現象が現れるが、実用上は問題なし
×・・・ゴースト現象が現れて、実用上問題となる場合あり
【0220】
第2の実施例と第2の比較例の結果をあわせて示した表7から明らかなように、感光体の光導電層を電荷注入阻止層から第1の層領域と第2の層領域の順で積層した2層構成とし、光導電層の第1の層領域におけるChを15〜30原子%とし、光導電層の第1における層領域の伝導型制御元素の含有量を導電性基体側から表面側に向かって減少するような分布とし、光導電層の第2の層領域におけるChを10〜25原子%、且つ、第1の層領域より少なくすることによって、ゴーストにとって非常に厳しい条件が重なった構成の図3に示した装置構成の画像形成装置においても、画像上でゴーストがほとんど見えない非常に良好な画像が得られることがわかる。
【0221】
(第3の実施例)
図6に示したVHF帯の高周波によるプラズマCVD装置を用い、直径60mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)上に、表8および表9に示す条件により電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる堆積膜を順次積層し、I、Jの2種類の層設計に基づく感光体を作製した。表8には共通条件として電荷注入阻止層と表面層の成膜条件を、表9にはそれぞれ異なる光導電層の成膜条件を示した。表9において、光導電層を第1の層領域と第2の層領域に分割しているものに関しては、電荷注入阻止層側から第1の層領域、第2の層領域の順に積層した。
【0222】
それらの各光導電層における伝導型制御元素の含有量は実施例1と同様にして、Ch、Eg、Euの値は、実験例3および実験例4と同様の方法で測定した。これらの結果を表10にまとめて示す。
【0223】
一方、画像形成装置としては、図1に示した記録材を静電吸着させて保持する転写ドラムを有し、YMCB4色のトナーを付着させる現像器を内蔵したローターリー式の現像器を有し、画像露光方式にBAE方式を用いた構成の画像形成装置(電子写真装置GP−605(キヤノン(株)製;商品名)をベースに、実験用として上述の構成のカラー機に改造した機械)を用意した。また、この画像形成装置に用いた中間転写体の周長は、感光体の周長である188.5mmの2倍となる377mmとした。即ち、この画像形成装置における潜像形成シーケンスは図7(a)に示したように、実質的に感光体の回転周期に同期した潜像形成シーケンスとなる。
【0224】
この画像形成装置に、上述したI、Jの2種類の層設計に基づいて作製した感光体を順次セットし、電位特性、画像特性、耐久特性などの評価を行った。
【0225】
電位特性に関しては、2種類の感光体に対して、帯電特性、感光特性とも十分に良好な特性が得られた。画像特性における画質に関しては、2種類の感光体に対して、文字に中抜けが生じることもなく、細線も良好に出力することができ、塗りつぶし画像についても均一な画質の画像が得られ、また、10万枚を通紙しての耐久試験を行った後においても、初期と同様の良好な画質が得られた。また、ゴースト特性の評価結果に関しては、表10に示す。
【0226】
(第3の比較例)
第3の実施例に示した方法と同様の方法において、表8および表9に示す条件により電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる堆積膜を順次積層し、K、Lの2種類の層設計に基づく感光体を作製した。表8には共通条件として電荷注入阻止層と表面層の成膜条件を、表9にはそれぞれ異なる光導電層の成膜条件を示した。表9において、光導電層を第1の層領域と第2の層領域に分割しているものに関しては、電荷注入阻止層側から第1の層領域、第2の層領域の順に積層した。
【0227】
それらの各光導電層における伝導型制御元素の含有量は実施例1と同様にして、Ch、Eg、Euの値は、実験例3および実験例4と同様の方法で測定した。これらの結果を表10にまとめて示す。
【0228】
そして、第3の実施例で使用した画像形成装置に、上述したK、Lの2種類の層設計に基づいて作製した感光体を順次セットし、第3の実施例と同様の方法において、電位特性、画像特性、耐久特性などの評価を行った。
【0229】
電位特性に関しては、2種類の感光体に対して、帯電特性、感光特性とも十分に良好な特性が得られた。画像特性における画質に関しては、2種類の感光体に対して、文字に中抜けが生じることもなく、細線も良好に出力することができ、塗りつぶし画像についても均一な画質の画像が得られ、また、10万枚を通紙しての耐久試験を行った後においても、初期と同様の良好な画質が得られた。また、ゴースト特性の評価結果に関しては、表10に示す。
【0230】
【表8】
Figure 2004117886
【0231】
【表9】
Figure 2004117886
【0232】
【表10】
Figure 2004117886
【0233】
画像特性(ゴースト)の判定基準
☆・・・ゴースト現象がまったく現れず、極めて良好
◎・・・ゴースト現象がほとんど現れず、非常に良好
○・・・ゴースト現象がかすかに現れるレベルであり、良好
△・・・ゴースト現象が現れるが、実用上は問題なし
×・・・ゴースト現象が現れて、実用上問題となる場合あり
【0234】
第3の実施例と第3の比較例の結果をあわせて示した表10から明らかなように、感光体の光導電層を電荷注入阻止層から第1の層領域と第2の層領域の順で積層した2層構成とし、光導電層の第1の層領域におけるChを15〜30原子%とし、光導電層の第2の層領域におけるChを10〜25原子%、且つ、第1の層領域より少なくすることによって、ゴーストにとって非常に厳しい条件が重なった構成の図1に示した装置構成の画像形成装置においても、画像上でゴーストがほとんど見えない非常に良好な画像が得られることがわかる。
【0235】
(第4の実施例)
直径84mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)を用いた以外は、第1の実施例で示した条件と同じ成膜条件において、M、Nの2種類の層設計に基づいた感光体を製作した。
【0236】
また、画像形成装置としては、図3に示した中間転写ベルトを有し、ブラックトナーを付着させる現像器とYMC3色のトナーを付着させる現像器を内蔵したローターリー式の現像器からなる2つの現像器を有し、画像露光方式にBAE方式を用いた構成とし、更に、感光体の回転方向におけるホームポジションを検出するセンサーを追加した構成の画像形成装置(電子写真装置iR−5000(キヤノン(株)製;商品名)をベースに、実験用として上述の構成のカラー機に改造した機械)を用意した。この画像形成装置に用いた中間転写体の周長は、感光体の周長である264mmの2倍となる528mmとし、潜像形成シーケンスは、感光体の回転方向におけるホームポジションセンサーによるタイミングに同期させ、感光体の回転周期と完全に同期した潜像形成シーケンスとした。
【0237】
感光体の回転方向にホームポジションを検出することで、感光体周期の電位ムラの傾向を正しく把握できるようになる。このため、画像処理によるデータ補正や画像露光条件(露光量や露光時間など)の補正といったムラ補正手段と組み合わせると更に有効である。
【0238】
この画像形成装置に、上述したM、Nの2種類の層設計に基づいて作製した感光体を順次セットし、電位特性、画像特性、耐久特性などの評価を行った。
【0239】
電位特性に関しては、2種類の感光体に対して、帯電特性、感光特性とも十分に良好な特性が得られた。画像特性における画質に関しては、2種類の感光体に対して、文字に中抜けが生じることもなく、細線も良好に出力することができ、また、10万枚を通紙しての耐久試験を行った後においても、初期と同様の良好な画質が得られた。また、ゴースト特性の評価結果に関しては、表11に示す。また、塗りつぶし画像については、ムラ補正の有効性を確認するために、感光体の電位ムラに合わせて画像露光時間を補正するムラ補正手段を入れた場合と入れない場合において画像評価を行った。その結果も表11にあわせて示す。
【0240】
(第4の比較例)
第4の実施例に示した方法と同様に、直径84mmの鏡面加工を施したアルミニウムシリンダー(支持体)を用いた以外は、第1の比較例で示した条件と同じ成膜条件において、O、Pの2種類の層設計に基づいた感光体を製作した。
【0241】
そして、第4の実施例で使用した画像形成装置に、上述したO、Pの2種類の層設計に基づいて製作した感光体を順次セットし、第4の実施例と同様の方法において、電位特性、画像特性、耐久特性などの評価を行った。
【0242】
電位特性に関しては、2種類の感光体に対して、帯電特性、感光特性とも十分に良好な特性が得られた。画像特性における画質に関しては、2種類の感光体に対して、文字に中抜けが生じることもなく、細線も良好に出力することができ、また、10万枚を通紙しての耐久試験を行った後においても、初期と同様の良好な画質が得られた。また、ゴースト特性の評価結果に関しては、表11に示す。また、塗りつぶし画像については、第4の実施例と同様に、感光体の電位ムラに合わせて画像露光時間を補正するムラ補正手段を入れた場合と入れない場合において画像評価を行った。その結果も表11にあわせて示す。
【0243】
【表11】
Figure 2004117886
【0244】
画像特性(ゴースト)の判定基準
☆・・・ゴースト現象がまったく現れず、極めて良好
◎・・・ゴースト現象がほとんど現れず、非常に良好
○・・・ゴースト現象がかすかに現れるレベルであり、良好
△・・・ゴースト現象が現れるが、実用上は問題なし
×・・・ゴースト現象が現れて、実用上問題となる場合あり
【0245】
画像特性(塗りつぶし画像の均一性)の判定基準
☆・・・濃度ムラがまったく現れず、極めて良好
◎・・・濃度ムラがほとんど現れず、非常に良好
○・・・濃度ムラがかすかに現れるレベルであり、良好
△・・・濃度ムラが現れるが、実用上は問題なし
×・・・濃度ムラが現れて、実用上問題となる場合あり
【0246】
第4の実施例と第4の比較例の結果をあわせて示した表11から明らかなように、感光体の光導電層を電荷注入阻止層から第1の層領域と第2の層領域の順で積層した2層構成とし、光導電層の第1の層領域におけるChを15〜30原子%とし、光導電層の第2の層領域におけるChを10〜25原子%、且つ、第1の層領域より少なくすることによって、ゴーストにとって非常に厳しい条件が重なった構成の図3に示した装置構成の画像形成装置においても、画像上でゴーストがほとんど見えない非常に良好な画像が得られることがわかる。
【0247】
更に、ムラ補正手段を組み合わせることにより、塗りつぶし画像の均一性に対しても濃度ムラがまったく現れず、極めて良好な画像が得られることがわかる。
【0248】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、紙間部の露光が感光体上のある特定部分に集中し、ゴーストが蓄積されやすい構成のカラー機においても、画像上では、ゴーストがほとんど見えない非常に良好な画像が得られる画像形成装置を提供できるといった効果を有する。
【0249】
さらに、本発明によれば、a−Si感光体を上述の構成のカラー機に搭載することが可能となるため、a−Si感光体の持つ、高画質、高耐久、高安定性といった特徴をカラー機の分野に展開させることが可能となり、高速で、高寿命で、且つ、高画質が得られるカラー画像形性装置を提供できるというすばらしい効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の、転写ドラムを有する電子写真プロセスを使用したカラー画像形成装置の一例の構成を表す模式図である。
【図2】本発明の実施形態の、中間転写体を有する電子写真プロセスを使用したカラー画像形成装置の一例の構成を表す模式図である。
【図3】本発明の実施形態の、中間転写ベルトを有する電子写真プロセスを使用したカラー画像形成装置の一例の構成を表す模式図である。
【図4】本発明に用いる電子写真感光体の層構成を表す模式図である。
【図5】本発明に用いる電子写真感光体の製造に使用することが可能なRF帯の高周波電源を用いたプラズマCVD法による堆積装置の模式図である。
【図6】本発明に用いる電子写真感光体の製造に使用することが可能なVHF帯の高周波電源を用いたプラズマCVD法による堆積装置の模式図である。
【図7】電子写真プロセスにおける潜像形成シーケンスと感光体および中間転写体等の周期との関係を模式的に表した図である。
【図8】表面電位プロファイルからゴースト電位を計算する方法を説明するための模式図である。
【図9】プリント枚数と紙間ゴースト電位との関係を測定した結果を示す図である。
【図10】潜像形成からの経過時間と紙間ゴースト電位との関係を測定した結果を示す図である。
【図11】a−Si感光体における光導電層の第2の層領域の水素含有量(Ch)と紙間ゴースト電位との関係を示す図である。
【図12】a−Si感光体における光導電層の第1の層領域の水素含有量(Ch)と帯電能との関係を示す図である。
【符号の説明】
101、201、301 感光体ドラム
102、202、302 一次帯電器
103、203、303 画像露光
104         現像器
204a〜204d   第1〜第4現像器
304a、304b   第1、および、第2現像器
105         転写ドラム
205         中間転写体
205a                芯金
205b        弾性層
305         中間転写ベルト
106、206、306 感光体クリーナ
107、207、307 除電露光
108         転写帯電器
308         一次転写ローラ
209、309     二次転写ローラ
210         中間転写体クリーナ
310         中間転写ベルトクリーナ
111a        吸着帯電器
111b        吸着ローラ
112a        分離帯電器
112b        分離爪
113、213、313 記録材
114、214、314 給紙カセット
115、215、315 定着器
400         電子写真感光体
401         支持体
402         光受容層
403         光導電層
404         表面層
405         電荷注入阻止層
411         第1の層領域
412         第2の層領域
5100        堆積装置
5110        反応容器
5111        カソード電極
5112        円筒状支持体
5113        支持体加熱用ヒーター
5114        原料ガス導入管
5115        マッチングボックス
5116        原料ガス配管
5117        反応容器リークバルブ
5118        メイン排気バルブ
5119        真空計
5120        高周波電源
5200        原料ガス供給装置
5211〜5216   マスフローコントローラー
5221〜5226   原料ガスボンベ
5231〜5236   原料ガスボンベバルブ
5241〜5246   ガス流入バルブ
5251〜5256   ガス流出バルブ
5261〜5266   圧力調整器
601         反応容器
602         排気管
603         電極
604         高周波電源
605         マッチングボックス
606         プラズマ処理空間
607         隔壁
608         底面
609         円筒状基体
610         軸
611         発熱体
612         モーター
613         減速ギア
614         蓋
615         ガス供給管
616         コンデンサ
617         ガス供給バルブ
618         ガス供給接続部
619         ガス排気バルブ
620         ガス排気接続部

Claims (16)

  1. ケイ素を母体とし、少なくとも水素原子またはハロゲン原子を含有する非単結晶材料からなる光導電層を有する感光体と、該感光体と表面同士が当接するように配置されている転写部材とを有し、
    該感光体と該転写部材とを定常状態において実質的に一定の相対速度で駆動する画像形成装置を用い、
    少なくとも、該感光体の表面を帯電させる帯電工程と、該帯電工程で帯電された表面に画像パターンにしたがって複数行、複数列の画素マトリクスの各画素ごとにレーザーまたはLEDを光源とする光ビームを照射して静電潜像を形成する潜像形成工程と、該潜像形成工程で静電潜像が形成された表面上にトナーを付着させることによりトナー像を形成する現像工程と、該現像工程で形成された該トナー像を該転写部材に転写する転写工程とを有し、
    該帯電工程と該潜像形成工程と該現像工程と該転写工程とを複数回繰り返して該転写部材上に複数の該トナー像を重ねて形成する、電子写真方式の画像形成方法であって、
    該潜像形成工程における露光方式が、非画像部(背景部)を露光するバックグラウンド露光法であり、
    該転写部材の周長が、該感光体の周長の整数倍であり、
    該光導電層は、少なくとも水素原子またはハロゲン原子の含有量が異なる、少なくとも第1の層領域と第2の層領域とが該導電性基体上にこの順で積層されたものであり、
    第1の層領域における水素原子またはハロゲン原子の含有量が、15〜30原子%の範囲であり、
    第2の層領域における水素原子またはハロゲン原子の含有量が、10〜25原子%の範囲であり、且つ、第1の層領域に比べて少ないこと
    を特徴とする画像形成方法。
  2. 該光導電層の第1の層領域または第2の層領域に、伝導型制御元素をさらに含有し、該伝導型制御元素が、周期律表第13族または第15族元素であること
    を特徴とする、請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 該光導電層の第1の層領域における伝導型制御元素の含有量が、シリコン原子に対して0.2〜30ppmの範囲であり、
    該光導電層の第2の層領域における伝導型制御元素の含有量が、シリコン原子に対して0.01〜10ppmの範囲であり、且つ、第1の層領域に比べて同じか、より少ないこと
    を特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 該第1における層領域の伝導型制御元素の含有量が、導電性基体側から表面側に向かって減少していくこと
    を特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. 該光導電層の第1の層領域における光学的バンドギャップが、1.75〜1.85eVの範囲であり、光吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エネルギーが、55〜65meVの範囲であること
    を特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成方法。
  6. 該光導電層の第2の層領域における光学的バンドギャップが、1.70〜1.80eVの範囲であり、光吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エネルギーが、50〜60meVの範囲であり、且つ、伝導型制御元素の含有量が第1の層領域に比べて同じか、より少ないこと
    を特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成方法。
  7. 該潜像形成工程における画像の書き出し位置が、該感光体の外周面上において実質的に同じ位置になること
    を特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成方法。
  8. 該感光体の回転方向におけるホームポジションを検出すること
    を特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成方法。
  9. ケイ素を母体とし、少なくとも水素原子またはハロゲン原子を含有する非単結晶材料からなる光導電層を有する感光体と、該感光体と表面同士が当接するように配置されている転写部材とを有し、
    該感光体と該転写部材とを定常状態において実質的に一定の相対速度で駆動する画像形成装置であって、
    少なくとも、該感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された表面に画像パターンにしたがって複数行、複数列の画素マトリクスの各画素ごとにレーザーまたはLEDを光源とする光ビームを照射して静電潜像を形成する潜像形成手段と、静電潜像が形成された表面上にトナーを付着させることによりトナー像を形成する現像手段と、現像された該トナー像を該転写体上に転写する転写手段とを有し、
    帯電、潜像形成、現像、転写とを複数回繰り返して該転写部材上に複数の該トナー像を重ねて形成する、電子写真方式の画像形成装置であって、
    該潜像形成手段における露光方式が、非画像部(背景部)を露光するバックグラウンド露光法であり、
    該転写部材の周長が、該感光体の周長の整数倍であり、
    該光導電層は、少なくとも水素原子またはハロゲン原子の含有量が異なる、少なくとも第1の層領域と第2の層領域とが該導電性基体上にこの順で積層したものとし、
    第1の層領域における水素原子またはハロゲン原子の含有量が、15〜30原子%の範囲であり、
    第2の層領域における水素原子またはハロゲン原子の含有量が、10〜25原子%の範囲であり、且つ、第1の層領域に比べて少ないこと
    を特徴とする画像形成装置。
  10. 該光導電層の第1の層領域または第2の層領域に、伝導型制御元素をさらに含有し、該伝導型制御元素が、周期律表第13族または第15族元素であること
    を特徴とする、請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 該光導電層の第1の層領域における伝導型制御元素の含有量が、シリコン原子に対して0.2〜30ppmの範囲であり、
    該光導電層の第2の層領域における伝導型制御元素の含有量が、シリコン原子に対して0.01〜10ppmの範囲であり、且つ、第1の層領域に比べて同じか、より少ないこと
    を特徴とする、請求項9または10に記載の画像形成装置。
  12. 該第1の層領域における伝導型制御元素の含有量が、導電性基体側から表面側に向かって減少していくこと
    を特徴とする、請求項9ないし11のいずれかに記載の画像形成装置。
  13. 該光導電層の第1の層領域における光学的バンドギャップが、1.75〜1.85eVの範囲であり、光吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エネルギーが、55〜65meVの範囲であること
    を特徴とする、請求項9ないし12のいずれかに記載の画像形成装置。
  14. 該光導電層の第2の層領域における光学的バンドギャップが、1.70〜1.80eVの範囲であり、光吸収スペクトルから得られる指数関数裾の特性エネルギーが、50〜60meVの範囲であり、且つ、伝導型制御元素の含有量が第1の層領域に比べて同じか、より少ないこと
    を特徴とする、請求項9ないし13のいずれかに記載の画像形成装置。
  15. 該潜像形成工程における画像の書き出し位置が、該感光体の外周面上において実質的に同じ位置になること
    を特徴とする、請求項9ないし14のいずれかに記載の画像形成装置。
  16. 該感光体の回転方向におけるホームポジションを検出する手段を有すること
    を特徴とする、請求項9ないし15のいずれかに記載の画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015179109A (ja) * 2014-03-18 2015-10-08 富士ゼロックス株式会社 画像形成装置及びプロセスカートリッジ

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