JP2004117518A - 加熱定着装置およびそれを備えた画像形成装置 - Google Patents
加熱定着装置およびそれを備えた画像形成装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】定着に必要な条件に応じてベルトのニップ量を変更することで、定着ヒーターの電力消費を増やすことなく安定した定着を行なうことができる加熱定着装置を得ること、この加熱定着装置を適用することにより、高品質の画像形成を行なうことのできる画像形成装置を得ることができる。
【解決手段】基準定着ロ−ラと調整定着ロ−ラの可変距離に応じて無端状定着ベルトに所定の張力を与えるテンション手段を有する定着ベルトユニットと、基準加圧ロ−ラと調整加圧ロ−ラの可変距離に応じて無端状ベルトに所定の張力を与えるテンション手段を有する加圧ベルトユニットと、画像形成条件によって自動的に前記調整定着ロ−ラおよび前記調整加圧ロ−ラの位置を調整するニップ量調整手段とを備えたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】基準定着ロ−ラと調整定着ロ−ラの可変距離に応じて無端状定着ベルトに所定の張力を与えるテンション手段を有する定着ベルトユニットと、基準加圧ロ−ラと調整加圧ロ−ラの可変距離に応じて無端状ベルトに所定の張力を与えるテンション手段を有する加圧ベルトユニットと、画像形成条件によって自動的に前記調整定着ロ−ラおよび前記調整加圧ロ−ラの位置を調整するニップ量調整手段とを備えたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はビジネスカラ−を含むカラ−複写機や、カラ−プリンタ−など、電子写真技術を用いて紙などの被転写部材(以下、転写用紙、転写紙、被転写紙等と称する)上に形成された画像を該被転写部材上に定着する加熱定着装置およびそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機、プリンタ−にかかわらず、ドキュメントのアウトプットにもカラ−化の波が押し寄せ、特殊な用途のみならず、一般オフィスにおいてもカラ−指向が強くなってきた。
【0003】
このカラ−複写機、カラ−プリンタ−などの方式には大きく分けて二つの方式がある。ひとつは、一個の感光体に対し4回の露光および現像を行う方式(以後1D方式と呼ぶ)。もうひとつは4つの感光体を直列に並べた4連タンデム方式(以後 4D方式と呼ぶ)である。
【0004】
1D方式ではプリンタ−単体を小さく構成することができ、コストも4Dに比べると安くできるが、生産性の面からは黒単色が1回の露光及び現像で済むのに対し、フルカラ−画像では4回の露光及び現像を繰り返さねばならず印刷画像の出力スル−プットは黒単色画像の1/4になってしまう。
【0005】
4D方式は4つの感光体(イエロ−、シアン、マゼンタ、ブラック)を用いて、転写用紙上へほぼ一度にフルカラ−画像を得るものである。1D方式に比べ黒単色画像、フルカラ−画像に係りなく、印刷出力の高速スル−プットが得られるメリットを有するものの、4つの感光体で形成する画像の位置合わせ(色ズレ対策)やプリンタ−本体の大型化によるコストアップの要因を併せ持っている。
【0006】
また、高速化、カラ−化に対応するため、定着ユニットはより容量の大きいものが望まれるが、単純に熱容量のみを大きくしてしまえば、所定の定着温度に昇温したり維持するために莫大な電力や時間を要してしまう。
【0007】
そこで、転写用紙に熱を授受するニップ部分の拡大を図ることが見直された。しかしながらロ−ラ同士の圧接だけではニップの拡大にも限度があり、ベルトを用いたニップ幅確保の手法が発明された。
【0008】
図6に示すニップ拡大定着器は、上下のベルト5、6で転写用紙を挟み込み、挟み込んだ長さ全てをニップとして利用している。このため、逆に多くなりすぎる熱量を放出するために放熱板35を備えている(例えば特許文献1参照)。
【0009】
図7に示すニップ拡大定着器は、加圧ロ−ラ32にロ−ラ31と定着ベルト5の一部を組み合わせたもので、加圧ロ−ラ32と接しているロ−ラ31にはヒ−タが無く、定着ベルト5を支えるもう一方の定着ロ−ラ30にヒ−タ33が設けられており、暖められた定着ベルト5が予備定着効果を持ち合わせている(例えば特許文献2参照)。
【0010】
図8に示すニップ拡大定着器は、加圧ロ−ラ33に二つのロ−ラ30、31が接し、その二つのロ−ラ30、31にかけたベルト5との間にニップを形成する。ベルト同士、もしくはベルト5とロ−ラ30、31の圧接に比べ転写用紙23の入口と出口がロ−ラ30、31での圧接になっているため、より定着性を高めることができるものである(例えば特許文献3参照)。
【0011】
更に、画像を転写する用紙に対して、様々な厚みに対応した最適なニップを選択できるようにニップ量(幅、長さ等)を可変にする発明も提案されている(例えば特許文献4参照)。
【特許文献1】
特開平8−314303号公報
【特許文献2】
特開平11−258942号公報
【特許文献3】
特開平11−38807号公報
【特許文献4】
特開平5−165357号公報(図9)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
電子写真装置において、トナ−画像を定着させる定着装置の条件としては
定着温度、定着時間、加圧力の三つの要素が関係してくる。
【0013】
上記従来のニップ拡大定着器を示した特許文献1、特許文献2、特許文献3においては、ニップ量の拡大により定着時間を長くすることで定着性が改善されるものの、常に一定のニップしか持ち合わせないため、定着条件の変更は温調温度を変化させるか、定着ユニットの通過速度を変化させるか、加圧力の変更以外なかった。
【0014】
一つ目の温調温度を変化させるには、定着ユニットを発熱させるための電力消費がともない、しかも温度を上げ安定させたり、冷却手段のない定着器で温度を下げるには非常に長い時間を要した。
【0015】
二つ目の定着ユニットの通過速度を変化させることは、その通過時間を遅くすることで定着時間を長くし供給熱量を上げることも考えられる。しかし、それでは通常(普通紙)のときに比べ生産性(スル−プット)は落ちてしまい、更に電子写真装置全体の用紙搬送速度を変更するため、瞬時の変更は物理的に無理であり、搬送速度が安定するまでのタイムラグで更なる生産性低下をまねくことになる。
【0016】
三つ目の加圧力を変更することは、加圧力を変えるための強力な動力装置が必要でコストアップや装置全体の大型化をまねき、画像品位面からみても高圧力をかけられたトナ−は定着前に粉砕され、正規の画像まわりに細かな汚れとなって表れたりする。また、上記の熱量を変更する手段に比べ、定着性の変化が少なく、与える圧力変化の割に効果が少ない。
【0017】
1D方式であれ、4D方式であれ、黒単色画像およびフルカラ−画像に関係なく、ひと組の定着器しか用いられておらず、装置全体での消費電力からも画像定着に用いられる熱容量(電力量)は限られていた。そのため、黒単色画像もしくはフルカラ−画像のどちらかで、熱容量に起因する定着不足のしわ寄せが起きやすくなる。
【0018】
つまり、1D方式では、黒単色画像はフルカラ−画像の4倍の速度で生産可能なため、転写用紙も4倍の速度で搬送される。従って、転写用紙に奪われる熱量もフルカラ−画像の4倍になり熱量の供給不足がおこりやすい。
【0019】
4D方式では搬送速度こそ黒単色画像もフルカラ−画像も同じであるが、一般的に転写用紙に乗せられるトナ−量に関して、フルカラ−画像は黒単色画像よりはるかに多い。単純に黒:フルカラ−〔シアン、マゼンタ、イエロ−、黒〕=1:4 の比率以外にも、黒単色画像は文字主体が多いのに対し、フルカラ−画像は写真やグラフなど、画像面積が多いことも関係する。定着ユニットの熱量の多くはトナ−の溶融に用いられるため、必要とされる熱量はフルカラ−画像の方が多くなる。
【0020】
白黒画像がカラ−画像のスル−プットより速い場合。
【0021】
1D方式は白黒画像がカラ−画像の4倍よりも速いことを指している。この場合、カラ−画像のトナ−載り量に比べ白黒画像は少ない場合が多いことから成り立つ設定だが、必ずしも常時成り立つとは限らない。定着ユニットがまだ安定していない朝一番に高濃度の白黒画像を印刷した場合などは定着不良になりやすく、定常時でも白黒画像の方がカラ−画像よりも定着性は低いことが多い。
【0022】
また、カラ−/白黒、1D/4Dに関係なく、連続で印刷する場合は所定の枚数毎に小休止をおこなう装置もある。熱量の供給が追いつかなくなった時点で一時的に装置の被転写紙の搬送運転を止めたり、被転写紙と被転写紙の間隔を広げるなどの処置を入れることで、定着器の熱供給量が復帰するのを待つものである。
【0023】
当然、このような動きは仕様には現れないが実質的な生産性低下を招く。
特開平5−165357号公報に示された定着器であれば、転写材の種類によって与えるべき熱量は可変にできるが、連続した転写材搬送に関わる問題には対処できない。
【0024】
定着熱容量の過不足は次のような画像欠陥をもたらす。
【0025】
(定着熱量が少ないと)
定着不良:転写用紙上のトナ−が充分溶融せず、こするとポロポロと剥がれ落ちる。
【0026】
低温オフセット:転写用紙上のトナ−が充分溶融しないため粘度の高い液状になり定着ロ−ラ等に付着したものが次回転後に転写用紙の別の場所に付着すること。
などが起きる。
【0027】
(定着熱量が多すぎると)
火ぶくれ:トナ−が一瞬で溶融し気泡が発生してしまう。
【0028】
高温オフセット:転写用紙上のトナ−が溶融しすぎ、粘度の低い液状になり、転写用紙の別の場所に付着してしまうこと。
などが起きる。
【0029】
本発明は上記従来の課題を解消するためになされたもので、定着に必要な条件に応じてベルトのニップ量を変更することで、供給しなければならない熱量が変化した場合でも、定着ヒ−タ−の電力消費を増やすことなく、安定した定着を行なうことができる加熱定着装置を得ることを目的とする。また、この加熱定着装置を適用することにより、高品質の画像形成を行なうことのできる画像形成装置を得ることを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を有することを特徴とする加熱定着装置およびそれを備えた画像形成装置である。
【0031】
(1)熱と圧力を加えることで被転写部材上に未定着画像の定着を行う加熱定着装置において、
内部に加熱手段を設けた基準定着ロ−ラと、前記被転写部材の搬送方向に前記基準定着ロ−ラからの距離を可変できる調整定着ロ−ラと、前記基準定着ロ−ラと前記調整定着ロ−ラに架けられた無端状定着ベルトと、前記基準定着ロ−ラと前記調整定着ロ−ラの可変距離に応じて前記無端状定着ベルトに所定の張力を与えるテンション手段とからなる定着ベルトユニットと、
前記基準定着ロ−ラに対し法線方向に所定の圧力を加えるべく付勢手段を備えた基準加圧ロ−ラと、前記調整定着ロ−ラに対し法線方向に所定の圧力を加えるべく付勢手段を備え、かつ、被転写部材の搬送方向に前記基準加圧ロ−ラからの距離を可変できる調整加圧ロ−ラと、前記基準加圧ロ−ラと前記調整加圧ロ−ラに架けられた無端状ベルトと、前記基準加圧ロ−ラと前記調整加圧ロ−ラの可変距離に応じて前記無端状ベルトに所定の張力を与えるテンション手段からなる加圧ベルトユニットと、
転写材の搬送方向において、前記定着ベルトユニットの下流側に設けた温度検知手段と、
画像形成条件によって自動的に前記調整定着ロ−ラおよび前記調整加圧ロ−ラの位置を調整するニップ量調整手段と、
を設けたことを特徴とする加熱定着装置。
【0032】
(2)熱と圧力を加えることで被転写部材上に未定着画像の定着を行う加熱定着装置において、
内部に加熱手段を設けた基準定着ロ−ラおよび加圧ロ−ラと、前記加圧ロ−ラの円周上を移動可能な調整定着ロ−ラと、前記基準定着ロ−ラと前記調整定着ロ−ラに架けられた無端状定着ベルトと、前記基準定着ロ−ラと前記調整定着ロ−ラの可変距離に応じて前記無端状定着ベルトに所定の張力を与えるテンション手段とからなる定着ベルトユニットと、
転写材の搬送方向において、前記定着ベルトユニットの下流側に設けた温度検知手段と、
画像形成条件によって前記調整定着ロ−ラを前記加圧ロ−ラの円周上を移動させることで前記無端状定着ベルトと前記加圧ロ−ラとのニップ量を調整するニップ量調整手段と、
を設けたことを特徴とする加熱定着装置。
【0033】
(3)熱と圧力を加えることで被転写部材上に未定着画像の定着を行う加熱定着装置において、
少なくとも一方の内部に加熱手段を設けた一対の基準定着ロ−ラと、前記一対の定着ロ−ラ間に架けられた無端状定着ベルトと、前記無端状定着ベルトに所定の張力を与えるテンション手段からなる定着ベルトユニットと、
前記一対の基準定着ロ−ラに対し法線方向に所定の圧力を加えるべく付勢手段を備えた一対の加圧ロ−ラと、前記一対の加圧ロ−ラ間に架けられた無端状ベルトと、前記無端状ベルトに所定の張力を与えるテンション手段からなる加圧ベルトユニットと、
転写材の搬送方向において、前記定着ベルトユニットの下流側に設けた温度検知手段と、
前記一対の定着ロ−ラと加圧ロ−ラの間に設けられ、画像形成条件によって前記定着ベルトユニットおよび前記加圧ベルトユニットの各無端状定着ベルトを変移させるニップ量調整手段と、
を設けたことを特徴とする加熱定着装置。
【0034】
(4)前記請求項1記載の加熱定着装置において、
転写用紙搬送路の上流側加圧ロ−ラの加圧力が下流側加圧ロ−ラの加圧力より低いことを特徴とする加熱定着装置。
【0035】
(5)前記請求項1から請求項3のうちのいずれかにおいて、
転写材の搬送方向において、前記定着ベルトユニットの下流側に設けた前記温度検知手段が検知した温度変化を元に、前記ニップ量調整手段を駆動することを特徴とする加熱定着装置。
【0036】
(6)被転写部材上に未定着画像を形成する画像形成手段と、前記未定着画像を前記被転写部材に定着する加熱定着装置とを備えた画像形成装置において、前記加熱定着装置として(1)から(5)のうちのいずれかに記載された加熱定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面について説明する。
【0038】
(第1実施例)
本発明を明確にするために、まず、周知の電子写真プロセスを簡単に説明する。図3は本発明の加熱定着装置を適用したフルカラ−プリンタの本体構成図を示す。図3において、14は定着ユニット、16は中間転写ベルト、18は二次転写ロ−ラ、19はレ−ザ−スキャナユニット、23は転写用紙搬送路、36は給紙カセットを表す。
【0039】
図示していないプリントコントロ−ラは、図示していないコンピュ−タ等から送られてくる印刷デ−タを伸張、ラスタイメ−ジに展開し、図示しないイメ−ジプロセッサがラスタイメ−ジをレ−ザ−発信信号に変換する。
【0040】
レ−ザ−発信信号はイエロ−、マゼンタ、シアン、ブラックの原色に分解されており、各色を担当する図示していないレ−ザ−ユニットはレ−ザ−ビ−ムを発信し、順次ポリゴンミラ−にて感光体ドラム15上に走査露光する。
【0041】
感光体ドラム15はイエロ−、マゼンタ、シアン、ブラックの各色毎に設けられ、図示していないモ−タ−により図中反時計方向に回転し、ポリゴンミラ−による走査露光で潜像イメ−ジを形成する。
【0042】
図示していない現像ユニットにより潜像イメ−ジはトナ−による可視化現像され、中間転写ベルト16を経て、トナ−画像は図示していない転写用紙へと転写される。
【0043】
トナ−画像をのせた転写用紙は定着ユニット14を経て該トナー画像が被転写用紙上に定着される。
【0044】
図1は上記フルカラ−プリンタに適用した本発明の加熱定着装置を詳細に説明したものであり、図3の定着ユニット14の部位を拡大したものである(図3の定着ユニットとは90°回転している)。
【0045】
図1において、1は基準定着ロ−ラ、2は基準定着ロ−ラ1に所定の圧力を加える基準加圧ロ−ラ、3は基準定着ロ−ラ1との距離が可変できるよう設けられている調整定着ロ−ラ、4は調整定着ロ−ラ3に所定の圧力を加える調整加圧ロ−ラ、5は基準定着ロ−ラ1と調整定着ロ−ラ3とに架けられた無端状の定着ベルト、6は基準加圧ロ−ラ2と調整加圧ロ−ラ4とに架けられた無端状の加圧ベルト、7はメインヒ−タ、、9はテンションロ−ラ、10は第1温度センサ、11は第2温度センサ、12はリンケ−ジ、13は定着ベルト5および加圧ベルト6に張力を与えるテンションスプリングを表す。
【0046】
図2は構成機構の説明図であり、説明を簡略化するため、図1と同じ機能を示す部位は同じ番号を付けて重複説明を省略する。図2において、25はニップ調整スライダ、26はステッピングモ−タ、27はピニオンギア、28はラックギア、29は加圧バネを表す。
【0047】
基準定着ロ−ラ1は図示しないプリンタ本体に対して定位置に取り付けられている。リンケ−ジ12は基準定着ロ−ラ1と基準加圧ロ−ラ2を転写用紙の搬送方向に垂直な方向に導き、加圧バネ29により基準加圧ロ−ラ2は基準定着ロ−ラ1へ所定の力で圧接される。調整定着ロ−ラ3および調整加圧ロ−ラ4も同様である。
【0048】
ニップ調整スライダ25は基準側と調整側のリンケ−ジ12にそれぞれ接続されており、調整側のリンケ−ジ12を通じて調整定着ロ−ラ3および調整加圧ロ−ラ4を転写用紙搬送方向にスライドさせることができる。
【0049】
ニップ調整スライダ25にはラックギアが設けられており、ステッピングモ−タ26のドライブであるピニオンギア27と噛みあい、ステッピングモ−タの回転量に応じたスライド量だけ調整定着ロ−ラ3と調整加圧ロ−ラ4を転写用紙搬送方向に移動させることができる。
【0050】
調整定着ロ−ラ3と調整加圧ロ−ラ4が転写用紙の搬送方向に移動することで、それぞれのロ−ラに架けられている定着ベルト5および加圧ベルト6はテンションロ−ラ9を押し縮めながらニップ量の増減を行う。
【0051】
テンションスプリング13は定着側と加圧側それぞれのテンションロ−ラ9に作用しており双方の張力を均一にしている。
【0052】
図10でニップ量を制御するために必要な情報としての、定着ユニットの温度変化を説明する。
【0053】
図10は本実施例の定着ベルトユニット14を表し、第1温度センサ10の位置をt0とし、ベルト5の回転方向にそれぞれt1、t2、・・・t7、としt8はt0と同じ位置なのでここまでを1サイクルとする。それぞれの区間は等間隔ではないがほぼ同じ距離であり、ベルト5の周速が一定であれば時間的にもほぼ同じ間隔を示す。
【0054】
基準定着ロ−ラ1内部にあるヒ−タ−7は第1温度センサ10の検知温度を元に一定の温度に制御されている。t1では温調された所定の温度で転写材を迎えることになる。
【0055】
t1からt3にかけては条件が二通りに分かれ、転写材が通っていない場合と通っている場合である。
【0056】
転写材が通っていない場合は対向する加圧ベルトユニットや空気中に放熱するのみでt7まで進み、定着ベルト5はあまり冷えないため、t1までにヒ−タ−7が補給する熱量はわずかになる。
【0057】
転写材が通る場合は転写材およびトナ−に熱を与えるため、t1からt3にかけてはベルト5の温度は先ほどより下がり方が大きく、t3からt7まではそこから更に放熱分下がる。
【0058】
図11に64 g/m2の普通紙を転写材としたときの温度変化を示す説明図である。温調温度は180℃としている。
【0059】
転写材を通していない非通紙の時はt1からt7にかけて自然放熱でベルト表面の温度が162℃まで下がり、t7からt8=t0にかけて180℃の温度に回復している。
【0060】
転写材を通したときはt7で140℃まで下がりt8=t0では160℃まで回復し、実際に転写材と接するt1までには180℃の温調温度までもどっている。このサイクルは枚数を重ねても同じ状況を繰り返す安定した系になっている。
【0061】
図12は205g/m2の厚紙を転写材としたときの温度変化を示す説明図である。温調温度は同じく180℃である。
【0062】
この系では転写材に奪われる熱量が多く、t7からt1までの間では温調温度である180℃まで達することができず、枚数を重ねるたびに少しずつ定着ベルトの表面温度が下がっていることがわかる。
【0063】
つまり、この定着ユニットを用いる系では厚紙205g/m2を流し続けるには適していない。そのため、従来では搬送速度を落として転写材に熱をかける時間を長くせざるをえなかった。
【0064】
図13は普通紙(64g/m2)と厚紙(205g/m2)を通した温度変化を示す。図のように、温調しようとする温度は同じ180℃でもt4の位置で検出される温度に差が生じ、この差は枚数を重ねる毎に広がっていく。
【0065】
つまり、定着位置直後に測定したベルト表面の温度は、定着によって奪われた熱に相当することからt4の位置で検出した温度が温調温度(≒t0)に比べどれだけ下がっているかで不足している熱量がわかり、ニップ量を広げる(増す)ことで定着性も生産性も落とさない系を提供できる。
【0066】
本実施例では、転写用紙の搬送路が直線状態を維持したまま、定着ニップ量を調整することができるため、安定した定着性と搬送性を得られるというメリットを有する。
【0067】
基準加圧ロ−ラ2と調整加圧ロ−ラ4の加圧力については、上流側になる基準加圧ロ−ラ2の加圧力が下流側になる調整加圧ロ−ラ4よりも少なくなっている。
【0068】
未定着状態のトナ−画像に急激な熱や圧力を加えると、転写用紙搬送方向の上流側へ尾を引いたような画像欠陥がおきる。これを防止するためには、比較的低い温度で、且つまだ常温で硬いトナ−を包み込む形状が望ましい。
【0069】
本実施例では転写用紙を搬送する上流側を基準とし、下流側を調整とし変移させるようになっているが、逆に下流側が基準で上流側が変移する調整機構としてもよい。。
【0070】
また、本発明を説明するために、フルカラ−プリンタの構成を図3を用いて説明したが、本発明はフルカラ−プリンタに限定するものではなく、電子写真プロセスにより画像形成を行うもの、例えば複写機やファクシミリにおいても有効である。
【0071】
第1実施例では、普通紙と厚紙という転写材の違いから検知温度差を元に定着ニップの長さを調整することを説明したが、その他にも、環境温度によって転写材も機内も冷えていたり、逆に機内昇温によって必要以上に温度が高くなっている場合にもニップ量を変えることで常に安定した定着性をえることができる。
【0072】
(第2実施例)
図4は第2実施例を示すもので、説明を簡潔にするため、第1実施例と同じ機能を示す部位には同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0073】
第1実施例は調整定着ロ−ラ3と調整加圧ロ−ラ4の平行移動によりニップ量の増減を行ったが、本実施例は一つの加圧ロ−ラ2の円周上を調整定着ロ−ラ3が定着ベルト5を巻きつけるように移動することでニップ量の増減を行う。
【0074】
基準定着ロ−ラ1は図示していない電子写真装置本体に対して固定されており、無端ベルト状の定着ベルト5は基準定着ロ−ラ1と調整定着ロ−ラ3とテンションロ−ラ9に架け回されている。基準加圧ロ−ラ2は基準定着ロ−ラ1に向け付勢されており、調整定着ロ−ラ3は基準加圧ロ−ラ2の周りを移動可能に設けられている。調整定着ロ−ラ3は基準加圧ロ−ラ2から等距離で回動することになるが、厳密には基準加圧ロ−ラ2の中心へ向けて張力がかかっている。
【0075】
調整定着ロ−ラ3が基準加圧ロ−ラ2の回りを回動することで、定着ベルト5と基準加圧ロ−ラ2とのニップ量が可変し、定着ベルト5の張力を調整するようにテンションロ−ラ9は追従する。
【0076】
調整定着ロ−ラ3が基準位置にあるときの巻き付き角をα°とし、ニップ量を最大にすると、さらに巻き付け角β°が増える。α°=65°、β°=35°とすると、約1.5倍の調整代を確保することになる。
【0077】
本実施例では、次のようなメリットを有する。
【0078】
転写用紙の搬送路を約90度変換する構成に用いることで、別途排紙方向を変換させる機構を必要としない。ベルト対ベルトによるニップ量よりも高い加圧力を与えらるため、ニップ可変量が少なくても、定着性のコントロ−ル範囲を比較的広くとることができる。
【0079】
(第3実施例)
第5図は第3実施例を示すもので、基本構成は第1実施例と同じく、二対の定着ロ−ラ1、3と加圧ロ−ラ2、4に無端ベルト5、6を設けているが、本実施例では二対のロ−ラ1、2は双方とも動かず、ロ−ラ軸間に設けられたベルトニップ調整ロ−ラ24が転写紙搬送方向と垂直に移動し、定着ベルト5および加圧ベルト6を変移させることでニップ量調整を行う。
【0080】
図示していない電子写真装置本体に対し固定された一対の基準定着ロ−ラ1、1とテンションロ−ラ9には定着ベルト5がかけられ、それぞれの基準定着ロ−ラ1、1に対応する基準加圧ロ−ラ2、2が各々押し付けられており、一対の基準加圧ロ−ラ2、2と加圧ロ−ラ側のテンションロ−ラ9には加圧ベルト6がかけられている。
【0081】
加圧ベルト6をとりまく内側には、図中上下方向に移動可能なベルトニップ調整ロ−ラ24が配置され、基準位置では加圧ベルト6と干渉していない。所定の条件によりニップ量を広くしたい場合は、ベルトニップ量調整ロ−ラ24は図中上方向に移動を開始する。
【0082】
ベルトニップ量調整ロ−ラ24が上方に移動すると、一対の定着ロ−ラ1、1および一対の加圧ロ−ラ2、2の間で転写用紙を搬送するニップ部を中央から押し上げることになり、ベルトニップ量調整ロ−ラ24が干渉していないときに比べ、ニップとなる部分の行程が長くなる。つまり、ニップ量が増大する。
【0083】
ベルトニップ調整ロ−ラ24が上方向に移動する量は所定の条件により予め決まっており、上方に移動する量に応じてニップ量を調整することができる。
【0084】
本実施例では、転写用紙搬送方向における定着ユニットの長さが変化しないため、転写用紙の入口および出口で用紙の受け渡し形状が変化せず、安定した搬送性が得られるというメリットを有する。
【0085】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、定着ベルトユニットと、加圧ベルトユニットと、前記定着ベルトユニットの下流側に設けた温度検知手段と、画像形成条件によって自動的に前記調整定着ロ−ラおよび前記調整加圧ロ−ラの位置を調整するニップ量調整手段とを有する構成であるので、定着に必要な条件に応じて定着ベルトのニップ量を変更することで、定着ヒ−タ−の電力消費を増やすことなく、供給する熱量を制御でき、安定した定着を行なうことができるる。すなわち、以下に示す様々な条件変化に対応することができるという効果がある。特に、
◎4D方式:トナ−の乗り量に関係なく安定した定着性が得られる。白黒=短く、カラ−=長く。
【0086】
◎1D方式:紙送りの速さに関係なく安定した定着性が得られる。白黒=長く、カラ−=短く。
【0087】
◎紙の厚さに関係なく安定した定着性が得られる。薄紙、普通紙=短く、厚紙、OHT=長く。
【0088】
◎ウオ−ムアップタイムを短くできる。起動直後=長く、昇温するにしたがい短く。
【0089】
また、定着温調温度を制御していては非常に時間を要するが、メカニカルな定着ニップの制御で供給する熱量の変更が行え、電子写真装置全体の搬送系には影響を与えることなく変更できるため、非常に迅速な対応が可能となり高生産性を維持できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による加熱定着装置の構成を示す概要図である。
【図2】その第1実施例の機構説明図である。
【図3】本発明の加熱定着装置を用いたフルカラ−プリンタ−の概要図である。
【図4】本発明の第2実施例による加熱定着装置の構成を示す概要図である。
【図5】本発明の第3実施例による加熱定着装置の構成を示す概要図である。
【図6】従来のベルト定着器の概要説明図である。
【図7】特許文献1に示された従来のベルト定着器の概要説明図である。
【図8】特許文献2に示された従来のベルト定着器の概要説明図である。
【図9】特許文献3に示された従来のベルト定着器の概要説明図である。
【図10】ニップ制御の元となる定着ベルト一周の温度変化の説明図である。
【図11】通常時の定着ベルト1周の温度変化の説明図である。
【図12】厚紙通紙時の定着ベルト1周の温度変化の説明図である。
【図13】厚紙と普通紙についての通常時の定着ベルト1周の温度変化の説明図である。
【符号の説明】
1は基準定着ロ−ラ、2は基準加圧ロ−ラ、3は調整定着ロ−ラ、4は調整加圧ロ−ラ、5は定着ベルト、6は加圧ベルト、7はメインヒ−タ、9はテンションロ−ラ、10は第1温度センサ、11は第2温度センサ、12はリンケ−ジ、13はテンションスプリング、14は定着ユニット、15は感光体ドラム、16は中間転写ベルト、18は二次転写ロ−ラ、23は転写用紙搬送路、24はベルトニップ量調整ロ−ラ、25はニップ量調整スライダ、26はステッピングモ−タ、27はピニオンギア、28はラックギア、29は加圧バネ、30は加熱ロ−ラ、31は定着ロ−ラ、32は加圧ロ−ラ、33はヒ−タ−、34は用紙ガイド、35は定着ベルト冷却部、36は給紙カセット、40は加圧レバ−、41はオフセット液塗布ロ−ラ、42は上入口ガイド、43は下入口ガイド、44は出口ガイド板、45は排紙ロ−ラ、46はベアリング
【発明の属する技術分野】
本発明はビジネスカラ−を含むカラ−複写機や、カラ−プリンタ−など、電子写真技術を用いて紙などの被転写部材(以下、転写用紙、転写紙、被転写紙等と称する)上に形成された画像を該被転写部材上に定着する加熱定着装置およびそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機、プリンタ−にかかわらず、ドキュメントのアウトプットにもカラ−化の波が押し寄せ、特殊な用途のみならず、一般オフィスにおいてもカラ−指向が強くなってきた。
【0003】
このカラ−複写機、カラ−プリンタ−などの方式には大きく分けて二つの方式がある。ひとつは、一個の感光体に対し4回の露光および現像を行う方式(以後1D方式と呼ぶ)。もうひとつは4つの感光体を直列に並べた4連タンデム方式(以後 4D方式と呼ぶ)である。
【0004】
1D方式ではプリンタ−単体を小さく構成することができ、コストも4Dに比べると安くできるが、生産性の面からは黒単色が1回の露光及び現像で済むのに対し、フルカラ−画像では4回の露光及び現像を繰り返さねばならず印刷画像の出力スル−プットは黒単色画像の1/4になってしまう。
【0005】
4D方式は4つの感光体(イエロ−、シアン、マゼンタ、ブラック)を用いて、転写用紙上へほぼ一度にフルカラ−画像を得るものである。1D方式に比べ黒単色画像、フルカラ−画像に係りなく、印刷出力の高速スル−プットが得られるメリットを有するものの、4つの感光体で形成する画像の位置合わせ(色ズレ対策)やプリンタ−本体の大型化によるコストアップの要因を併せ持っている。
【0006】
また、高速化、カラ−化に対応するため、定着ユニットはより容量の大きいものが望まれるが、単純に熱容量のみを大きくしてしまえば、所定の定着温度に昇温したり維持するために莫大な電力や時間を要してしまう。
【0007】
そこで、転写用紙に熱を授受するニップ部分の拡大を図ることが見直された。しかしながらロ−ラ同士の圧接だけではニップの拡大にも限度があり、ベルトを用いたニップ幅確保の手法が発明された。
【0008】
図6に示すニップ拡大定着器は、上下のベルト5、6で転写用紙を挟み込み、挟み込んだ長さ全てをニップとして利用している。このため、逆に多くなりすぎる熱量を放出するために放熱板35を備えている(例えば特許文献1参照)。
【0009】
図7に示すニップ拡大定着器は、加圧ロ−ラ32にロ−ラ31と定着ベルト5の一部を組み合わせたもので、加圧ロ−ラ32と接しているロ−ラ31にはヒ−タが無く、定着ベルト5を支えるもう一方の定着ロ−ラ30にヒ−タ33が設けられており、暖められた定着ベルト5が予備定着効果を持ち合わせている(例えば特許文献2参照)。
【0010】
図8に示すニップ拡大定着器は、加圧ロ−ラ33に二つのロ−ラ30、31が接し、その二つのロ−ラ30、31にかけたベルト5との間にニップを形成する。ベルト同士、もしくはベルト5とロ−ラ30、31の圧接に比べ転写用紙23の入口と出口がロ−ラ30、31での圧接になっているため、より定着性を高めることができるものである(例えば特許文献3参照)。
【0011】
更に、画像を転写する用紙に対して、様々な厚みに対応した最適なニップを選択できるようにニップ量(幅、長さ等)を可変にする発明も提案されている(例えば特許文献4参照)。
【特許文献1】
特開平8−314303号公報
【特許文献2】
特開平11−258942号公報
【特許文献3】
特開平11−38807号公報
【特許文献4】
特開平5−165357号公報(図9)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
電子写真装置において、トナ−画像を定着させる定着装置の条件としては
定着温度、定着時間、加圧力の三つの要素が関係してくる。
【0013】
上記従来のニップ拡大定着器を示した特許文献1、特許文献2、特許文献3においては、ニップ量の拡大により定着時間を長くすることで定着性が改善されるものの、常に一定のニップしか持ち合わせないため、定着条件の変更は温調温度を変化させるか、定着ユニットの通過速度を変化させるか、加圧力の変更以外なかった。
【0014】
一つ目の温調温度を変化させるには、定着ユニットを発熱させるための電力消費がともない、しかも温度を上げ安定させたり、冷却手段のない定着器で温度を下げるには非常に長い時間を要した。
【0015】
二つ目の定着ユニットの通過速度を変化させることは、その通過時間を遅くすることで定着時間を長くし供給熱量を上げることも考えられる。しかし、それでは通常(普通紙)のときに比べ生産性(スル−プット)は落ちてしまい、更に電子写真装置全体の用紙搬送速度を変更するため、瞬時の変更は物理的に無理であり、搬送速度が安定するまでのタイムラグで更なる生産性低下をまねくことになる。
【0016】
三つ目の加圧力を変更することは、加圧力を変えるための強力な動力装置が必要でコストアップや装置全体の大型化をまねき、画像品位面からみても高圧力をかけられたトナ−は定着前に粉砕され、正規の画像まわりに細かな汚れとなって表れたりする。また、上記の熱量を変更する手段に比べ、定着性の変化が少なく、与える圧力変化の割に効果が少ない。
【0017】
1D方式であれ、4D方式であれ、黒単色画像およびフルカラ−画像に関係なく、ひと組の定着器しか用いられておらず、装置全体での消費電力からも画像定着に用いられる熱容量(電力量)は限られていた。そのため、黒単色画像もしくはフルカラ−画像のどちらかで、熱容量に起因する定着不足のしわ寄せが起きやすくなる。
【0018】
つまり、1D方式では、黒単色画像はフルカラ−画像の4倍の速度で生産可能なため、転写用紙も4倍の速度で搬送される。従って、転写用紙に奪われる熱量もフルカラ−画像の4倍になり熱量の供給不足がおこりやすい。
【0019】
4D方式では搬送速度こそ黒単色画像もフルカラ−画像も同じであるが、一般的に転写用紙に乗せられるトナ−量に関して、フルカラ−画像は黒単色画像よりはるかに多い。単純に黒:フルカラ−〔シアン、マゼンタ、イエロ−、黒〕=1:4 の比率以外にも、黒単色画像は文字主体が多いのに対し、フルカラ−画像は写真やグラフなど、画像面積が多いことも関係する。定着ユニットの熱量の多くはトナ−の溶融に用いられるため、必要とされる熱量はフルカラ−画像の方が多くなる。
【0020】
白黒画像がカラ−画像のスル−プットより速い場合。
【0021】
1D方式は白黒画像がカラ−画像の4倍よりも速いことを指している。この場合、カラ−画像のトナ−載り量に比べ白黒画像は少ない場合が多いことから成り立つ設定だが、必ずしも常時成り立つとは限らない。定着ユニットがまだ安定していない朝一番に高濃度の白黒画像を印刷した場合などは定着不良になりやすく、定常時でも白黒画像の方がカラ−画像よりも定着性は低いことが多い。
【0022】
また、カラ−/白黒、1D/4Dに関係なく、連続で印刷する場合は所定の枚数毎に小休止をおこなう装置もある。熱量の供給が追いつかなくなった時点で一時的に装置の被転写紙の搬送運転を止めたり、被転写紙と被転写紙の間隔を広げるなどの処置を入れることで、定着器の熱供給量が復帰するのを待つものである。
【0023】
当然、このような動きは仕様には現れないが実質的な生産性低下を招く。
特開平5−165357号公報に示された定着器であれば、転写材の種類によって与えるべき熱量は可変にできるが、連続した転写材搬送に関わる問題には対処できない。
【0024】
定着熱容量の過不足は次のような画像欠陥をもたらす。
【0025】
(定着熱量が少ないと)
定着不良:転写用紙上のトナ−が充分溶融せず、こするとポロポロと剥がれ落ちる。
【0026】
低温オフセット:転写用紙上のトナ−が充分溶融しないため粘度の高い液状になり定着ロ−ラ等に付着したものが次回転後に転写用紙の別の場所に付着すること。
などが起きる。
【0027】
(定着熱量が多すぎると)
火ぶくれ:トナ−が一瞬で溶融し気泡が発生してしまう。
【0028】
高温オフセット:転写用紙上のトナ−が溶融しすぎ、粘度の低い液状になり、転写用紙の別の場所に付着してしまうこと。
などが起きる。
【0029】
本発明は上記従来の課題を解消するためになされたもので、定着に必要な条件に応じてベルトのニップ量を変更することで、供給しなければならない熱量が変化した場合でも、定着ヒ−タ−の電力消費を増やすことなく、安定した定着を行なうことができる加熱定着装置を得ることを目的とする。また、この加熱定着装置を適用することにより、高品質の画像形成を行なうことのできる画像形成装置を得ることを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を有することを特徴とする加熱定着装置およびそれを備えた画像形成装置である。
【0031】
(1)熱と圧力を加えることで被転写部材上に未定着画像の定着を行う加熱定着装置において、
内部に加熱手段を設けた基準定着ロ−ラと、前記被転写部材の搬送方向に前記基準定着ロ−ラからの距離を可変できる調整定着ロ−ラと、前記基準定着ロ−ラと前記調整定着ロ−ラに架けられた無端状定着ベルトと、前記基準定着ロ−ラと前記調整定着ロ−ラの可変距離に応じて前記無端状定着ベルトに所定の張力を与えるテンション手段とからなる定着ベルトユニットと、
前記基準定着ロ−ラに対し法線方向に所定の圧力を加えるべく付勢手段を備えた基準加圧ロ−ラと、前記調整定着ロ−ラに対し法線方向に所定の圧力を加えるべく付勢手段を備え、かつ、被転写部材の搬送方向に前記基準加圧ロ−ラからの距離を可変できる調整加圧ロ−ラと、前記基準加圧ロ−ラと前記調整加圧ロ−ラに架けられた無端状ベルトと、前記基準加圧ロ−ラと前記調整加圧ロ−ラの可変距離に応じて前記無端状ベルトに所定の張力を与えるテンション手段からなる加圧ベルトユニットと、
転写材の搬送方向において、前記定着ベルトユニットの下流側に設けた温度検知手段と、
画像形成条件によって自動的に前記調整定着ロ−ラおよび前記調整加圧ロ−ラの位置を調整するニップ量調整手段と、
を設けたことを特徴とする加熱定着装置。
【0032】
(2)熱と圧力を加えることで被転写部材上に未定着画像の定着を行う加熱定着装置において、
内部に加熱手段を設けた基準定着ロ−ラおよび加圧ロ−ラと、前記加圧ロ−ラの円周上を移動可能な調整定着ロ−ラと、前記基準定着ロ−ラと前記調整定着ロ−ラに架けられた無端状定着ベルトと、前記基準定着ロ−ラと前記調整定着ロ−ラの可変距離に応じて前記無端状定着ベルトに所定の張力を与えるテンション手段とからなる定着ベルトユニットと、
転写材の搬送方向において、前記定着ベルトユニットの下流側に設けた温度検知手段と、
画像形成条件によって前記調整定着ロ−ラを前記加圧ロ−ラの円周上を移動させることで前記無端状定着ベルトと前記加圧ロ−ラとのニップ量を調整するニップ量調整手段と、
を設けたことを特徴とする加熱定着装置。
【0033】
(3)熱と圧力を加えることで被転写部材上に未定着画像の定着を行う加熱定着装置において、
少なくとも一方の内部に加熱手段を設けた一対の基準定着ロ−ラと、前記一対の定着ロ−ラ間に架けられた無端状定着ベルトと、前記無端状定着ベルトに所定の張力を与えるテンション手段からなる定着ベルトユニットと、
前記一対の基準定着ロ−ラに対し法線方向に所定の圧力を加えるべく付勢手段を備えた一対の加圧ロ−ラと、前記一対の加圧ロ−ラ間に架けられた無端状ベルトと、前記無端状ベルトに所定の張力を与えるテンション手段からなる加圧ベルトユニットと、
転写材の搬送方向において、前記定着ベルトユニットの下流側に設けた温度検知手段と、
前記一対の定着ロ−ラと加圧ロ−ラの間に設けられ、画像形成条件によって前記定着ベルトユニットおよび前記加圧ベルトユニットの各無端状定着ベルトを変移させるニップ量調整手段と、
を設けたことを特徴とする加熱定着装置。
【0034】
(4)前記請求項1記載の加熱定着装置において、
転写用紙搬送路の上流側加圧ロ−ラの加圧力が下流側加圧ロ−ラの加圧力より低いことを特徴とする加熱定着装置。
【0035】
(5)前記請求項1から請求項3のうちのいずれかにおいて、
転写材の搬送方向において、前記定着ベルトユニットの下流側に設けた前記温度検知手段が検知した温度変化を元に、前記ニップ量調整手段を駆動することを特徴とする加熱定着装置。
【0036】
(6)被転写部材上に未定着画像を形成する画像形成手段と、前記未定着画像を前記被転写部材に定着する加熱定着装置とを備えた画像形成装置において、前記加熱定着装置として(1)から(5)のうちのいずれかに記載された加熱定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面について説明する。
【0038】
(第1実施例)
本発明を明確にするために、まず、周知の電子写真プロセスを簡単に説明する。図3は本発明の加熱定着装置を適用したフルカラ−プリンタの本体構成図を示す。図3において、14は定着ユニット、16は中間転写ベルト、18は二次転写ロ−ラ、19はレ−ザ−スキャナユニット、23は転写用紙搬送路、36は給紙カセットを表す。
【0039】
図示していないプリントコントロ−ラは、図示していないコンピュ−タ等から送られてくる印刷デ−タを伸張、ラスタイメ−ジに展開し、図示しないイメ−ジプロセッサがラスタイメ−ジをレ−ザ−発信信号に変換する。
【0040】
レ−ザ−発信信号はイエロ−、マゼンタ、シアン、ブラックの原色に分解されており、各色を担当する図示していないレ−ザ−ユニットはレ−ザ−ビ−ムを発信し、順次ポリゴンミラ−にて感光体ドラム15上に走査露光する。
【0041】
感光体ドラム15はイエロ−、マゼンタ、シアン、ブラックの各色毎に設けられ、図示していないモ−タ−により図中反時計方向に回転し、ポリゴンミラ−による走査露光で潜像イメ−ジを形成する。
【0042】
図示していない現像ユニットにより潜像イメ−ジはトナ−による可視化現像され、中間転写ベルト16を経て、トナ−画像は図示していない転写用紙へと転写される。
【0043】
トナ−画像をのせた転写用紙は定着ユニット14を経て該トナー画像が被転写用紙上に定着される。
【0044】
図1は上記フルカラ−プリンタに適用した本発明の加熱定着装置を詳細に説明したものであり、図3の定着ユニット14の部位を拡大したものである(図3の定着ユニットとは90°回転している)。
【0045】
図1において、1は基準定着ロ−ラ、2は基準定着ロ−ラ1に所定の圧力を加える基準加圧ロ−ラ、3は基準定着ロ−ラ1との距離が可変できるよう設けられている調整定着ロ−ラ、4は調整定着ロ−ラ3に所定の圧力を加える調整加圧ロ−ラ、5は基準定着ロ−ラ1と調整定着ロ−ラ3とに架けられた無端状の定着ベルト、6は基準加圧ロ−ラ2と調整加圧ロ−ラ4とに架けられた無端状の加圧ベルト、7はメインヒ−タ、、9はテンションロ−ラ、10は第1温度センサ、11は第2温度センサ、12はリンケ−ジ、13は定着ベルト5および加圧ベルト6に張力を与えるテンションスプリングを表す。
【0046】
図2は構成機構の説明図であり、説明を簡略化するため、図1と同じ機能を示す部位は同じ番号を付けて重複説明を省略する。図2において、25はニップ調整スライダ、26はステッピングモ−タ、27はピニオンギア、28はラックギア、29は加圧バネを表す。
【0047】
基準定着ロ−ラ1は図示しないプリンタ本体に対して定位置に取り付けられている。リンケ−ジ12は基準定着ロ−ラ1と基準加圧ロ−ラ2を転写用紙の搬送方向に垂直な方向に導き、加圧バネ29により基準加圧ロ−ラ2は基準定着ロ−ラ1へ所定の力で圧接される。調整定着ロ−ラ3および調整加圧ロ−ラ4も同様である。
【0048】
ニップ調整スライダ25は基準側と調整側のリンケ−ジ12にそれぞれ接続されており、調整側のリンケ−ジ12を通じて調整定着ロ−ラ3および調整加圧ロ−ラ4を転写用紙搬送方向にスライドさせることができる。
【0049】
ニップ調整スライダ25にはラックギアが設けられており、ステッピングモ−タ26のドライブであるピニオンギア27と噛みあい、ステッピングモ−タの回転量に応じたスライド量だけ調整定着ロ−ラ3と調整加圧ロ−ラ4を転写用紙搬送方向に移動させることができる。
【0050】
調整定着ロ−ラ3と調整加圧ロ−ラ4が転写用紙の搬送方向に移動することで、それぞれのロ−ラに架けられている定着ベルト5および加圧ベルト6はテンションロ−ラ9を押し縮めながらニップ量の増減を行う。
【0051】
テンションスプリング13は定着側と加圧側それぞれのテンションロ−ラ9に作用しており双方の張力を均一にしている。
【0052】
図10でニップ量を制御するために必要な情報としての、定着ユニットの温度変化を説明する。
【0053】
図10は本実施例の定着ベルトユニット14を表し、第1温度センサ10の位置をt0とし、ベルト5の回転方向にそれぞれt1、t2、・・・t7、としt8はt0と同じ位置なのでここまでを1サイクルとする。それぞれの区間は等間隔ではないがほぼ同じ距離であり、ベルト5の周速が一定であれば時間的にもほぼ同じ間隔を示す。
【0054】
基準定着ロ−ラ1内部にあるヒ−タ−7は第1温度センサ10の検知温度を元に一定の温度に制御されている。t1では温調された所定の温度で転写材を迎えることになる。
【0055】
t1からt3にかけては条件が二通りに分かれ、転写材が通っていない場合と通っている場合である。
【0056】
転写材が通っていない場合は対向する加圧ベルトユニットや空気中に放熱するのみでt7まで進み、定着ベルト5はあまり冷えないため、t1までにヒ−タ−7が補給する熱量はわずかになる。
【0057】
転写材が通る場合は転写材およびトナ−に熱を与えるため、t1からt3にかけてはベルト5の温度は先ほどより下がり方が大きく、t3からt7まではそこから更に放熱分下がる。
【0058】
図11に64 g/m2の普通紙を転写材としたときの温度変化を示す説明図である。温調温度は180℃としている。
【0059】
転写材を通していない非通紙の時はt1からt7にかけて自然放熱でベルト表面の温度が162℃まで下がり、t7からt8=t0にかけて180℃の温度に回復している。
【0060】
転写材を通したときはt7で140℃まで下がりt8=t0では160℃まで回復し、実際に転写材と接するt1までには180℃の温調温度までもどっている。このサイクルは枚数を重ねても同じ状況を繰り返す安定した系になっている。
【0061】
図12は205g/m2の厚紙を転写材としたときの温度変化を示す説明図である。温調温度は同じく180℃である。
【0062】
この系では転写材に奪われる熱量が多く、t7からt1までの間では温調温度である180℃まで達することができず、枚数を重ねるたびに少しずつ定着ベルトの表面温度が下がっていることがわかる。
【0063】
つまり、この定着ユニットを用いる系では厚紙205g/m2を流し続けるには適していない。そのため、従来では搬送速度を落として転写材に熱をかける時間を長くせざるをえなかった。
【0064】
図13は普通紙(64g/m2)と厚紙(205g/m2)を通した温度変化を示す。図のように、温調しようとする温度は同じ180℃でもt4の位置で検出される温度に差が生じ、この差は枚数を重ねる毎に広がっていく。
【0065】
つまり、定着位置直後に測定したベルト表面の温度は、定着によって奪われた熱に相当することからt4の位置で検出した温度が温調温度(≒t0)に比べどれだけ下がっているかで不足している熱量がわかり、ニップ量を広げる(増す)ことで定着性も生産性も落とさない系を提供できる。
【0066】
本実施例では、転写用紙の搬送路が直線状態を維持したまま、定着ニップ量を調整することができるため、安定した定着性と搬送性を得られるというメリットを有する。
【0067】
基準加圧ロ−ラ2と調整加圧ロ−ラ4の加圧力については、上流側になる基準加圧ロ−ラ2の加圧力が下流側になる調整加圧ロ−ラ4よりも少なくなっている。
【0068】
未定着状態のトナ−画像に急激な熱や圧力を加えると、転写用紙搬送方向の上流側へ尾を引いたような画像欠陥がおきる。これを防止するためには、比較的低い温度で、且つまだ常温で硬いトナ−を包み込む形状が望ましい。
【0069】
本実施例では転写用紙を搬送する上流側を基準とし、下流側を調整とし変移させるようになっているが、逆に下流側が基準で上流側が変移する調整機構としてもよい。。
【0070】
また、本発明を説明するために、フルカラ−プリンタの構成を図3を用いて説明したが、本発明はフルカラ−プリンタに限定するものではなく、電子写真プロセスにより画像形成を行うもの、例えば複写機やファクシミリにおいても有効である。
【0071】
第1実施例では、普通紙と厚紙という転写材の違いから検知温度差を元に定着ニップの長さを調整することを説明したが、その他にも、環境温度によって転写材も機内も冷えていたり、逆に機内昇温によって必要以上に温度が高くなっている場合にもニップ量を変えることで常に安定した定着性をえることができる。
【0072】
(第2実施例)
図4は第2実施例を示すもので、説明を簡潔にするため、第1実施例と同じ機能を示す部位には同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0073】
第1実施例は調整定着ロ−ラ3と調整加圧ロ−ラ4の平行移動によりニップ量の増減を行ったが、本実施例は一つの加圧ロ−ラ2の円周上を調整定着ロ−ラ3が定着ベルト5を巻きつけるように移動することでニップ量の増減を行う。
【0074】
基準定着ロ−ラ1は図示していない電子写真装置本体に対して固定されており、無端ベルト状の定着ベルト5は基準定着ロ−ラ1と調整定着ロ−ラ3とテンションロ−ラ9に架け回されている。基準加圧ロ−ラ2は基準定着ロ−ラ1に向け付勢されており、調整定着ロ−ラ3は基準加圧ロ−ラ2の周りを移動可能に設けられている。調整定着ロ−ラ3は基準加圧ロ−ラ2から等距離で回動することになるが、厳密には基準加圧ロ−ラ2の中心へ向けて張力がかかっている。
【0075】
調整定着ロ−ラ3が基準加圧ロ−ラ2の回りを回動することで、定着ベルト5と基準加圧ロ−ラ2とのニップ量が可変し、定着ベルト5の張力を調整するようにテンションロ−ラ9は追従する。
【0076】
調整定着ロ−ラ3が基準位置にあるときの巻き付き角をα°とし、ニップ量を最大にすると、さらに巻き付け角β°が増える。α°=65°、β°=35°とすると、約1.5倍の調整代を確保することになる。
【0077】
本実施例では、次のようなメリットを有する。
【0078】
転写用紙の搬送路を約90度変換する構成に用いることで、別途排紙方向を変換させる機構を必要としない。ベルト対ベルトによるニップ量よりも高い加圧力を与えらるため、ニップ可変量が少なくても、定着性のコントロ−ル範囲を比較的広くとることができる。
【0079】
(第3実施例)
第5図は第3実施例を示すもので、基本構成は第1実施例と同じく、二対の定着ロ−ラ1、3と加圧ロ−ラ2、4に無端ベルト5、6を設けているが、本実施例では二対のロ−ラ1、2は双方とも動かず、ロ−ラ軸間に設けられたベルトニップ調整ロ−ラ24が転写紙搬送方向と垂直に移動し、定着ベルト5および加圧ベルト6を変移させることでニップ量調整を行う。
【0080】
図示していない電子写真装置本体に対し固定された一対の基準定着ロ−ラ1、1とテンションロ−ラ9には定着ベルト5がかけられ、それぞれの基準定着ロ−ラ1、1に対応する基準加圧ロ−ラ2、2が各々押し付けられており、一対の基準加圧ロ−ラ2、2と加圧ロ−ラ側のテンションロ−ラ9には加圧ベルト6がかけられている。
【0081】
加圧ベルト6をとりまく内側には、図中上下方向に移動可能なベルトニップ調整ロ−ラ24が配置され、基準位置では加圧ベルト6と干渉していない。所定の条件によりニップ量を広くしたい場合は、ベルトニップ量調整ロ−ラ24は図中上方向に移動を開始する。
【0082】
ベルトニップ量調整ロ−ラ24が上方に移動すると、一対の定着ロ−ラ1、1および一対の加圧ロ−ラ2、2の間で転写用紙を搬送するニップ部を中央から押し上げることになり、ベルトニップ量調整ロ−ラ24が干渉していないときに比べ、ニップとなる部分の行程が長くなる。つまり、ニップ量が増大する。
【0083】
ベルトニップ調整ロ−ラ24が上方向に移動する量は所定の条件により予め決まっており、上方に移動する量に応じてニップ量を調整することができる。
【0084】
本実施例では、転写用紙搬送方向における定着ユニットの長さが変化しないため、転写用紙の入口および出口で用紙の受け渡し形状が変化せず、安定した搬送性が得られるというメリットを有する。
【0085】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、定着ベルトユニットと、加圧ベルトユニットと、前記定着ベルトユニットの下流側に設けた温度検知手段と、画像形成条件によって自動的に前記調整定着ロ−ラおよび前記調整加圧ロ−ラの位置を調整するニップ量調整手段とを有する構成であるので、定着に必要な条件に応じて定着ベルトのニップ量を変更することで、定着ヒ−タ−の電力消費を増やすことなく、供給する熱量を制御でき、安定した定着を行なうことができるる。すなわち、以下に示す様々な条件変化に対応することができるという効果がある。特に、
◎4D方式:トナ−の乗り量に関係なく安定した定着性が得られる。白黒=短く、カラ−=長く。
【0086】
◎1D方式:紙送りの速さに関係なく安定した定着性が得られる。白黒=長く、カラ−=短く。
【0087】
◎紙の厚さに関係なく安定した定着性が得られる。薄紙、普通紙=短く、厚紙、OHT=長く。
【0088】
◎ウオ−ムアップタイムを短くできる。起動直後=長く、昇温するにしたがい短く。
【0089】
また、定着温調温度を制御していては非常に時間を要するが、メカニカルな定着ニップの制御で供給する熱量の変更が行え、電子写真装置全体の搬送系には影響を与えることなく変更できるため、非常に迅速な対応が可能となり高生産性を維持できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による加熱定着装置の構成を示す概要図である。
【図2】その第1実施例の機構説明図である。
【図3】本発明の加熱定着装置を用いたフルカラ−プリンタ−の概要図である。
【図4】本発明の第2実施例による加熱定着装置の構成を示す概要図である。
【図5】本発明の第3実施例による加熱定着装置の構成を示す概要図である。
【図6】従来のベルト定着器の概要説明図である。
【図7】特許文献1に示された従来のベルト定着器の概要説明図である。
【図8】特許文献2に示された従来のベルト定着器の概要説明図である。
【図9】特許文献3に示された従来のベルト定着器の概要説明図である。
【図10】ニップ制御の元となる定着ベルト一周の温度変化の説明図である。
【図11】通常時の定着ベルト1周の温度変化の説明図である。
【図12】厚紙通紙時の定着ベルト1周の温度変化の説明図である。
【図13】厚紙と普通紙についての通常時の定着ベルト1周の温度変化の説明図である。
【符号の説明】
1は基準定着ロ−ラ、2は基準加圧ロ−ラ、3は調整定着ロ−ラ、4は調整加圧ロ−ラ、5は定着ベルト、6は加圧ベルト、7はメインヒ−タ、9はテンションロ−ラ、10は第1温度センサ、11は第2温度センサ、12はリンケ−ジ、13はテンションスプリング、14は定着ユニット、15は感光体ドラム、16は中間転写ベルト、18は二次転写ロ−ラ、23は転写用紙搬送路、24はベルトニップ量調整ロ−ラ、25はニップ量調整スライダ、26はステッピングモ−タ、27はピニオンギア、28はラックギア、29は加圧バネ、30は加熱ロ−ラ、31は定着ロ−ラ、32は加圧ロ−ラ、33はヒ−タ−、34は用紙ガイド、35は定着ベルト冷却部、36は給紙カセット、40は加圧レバ−、41はオフセット液塗布ロ−ラ、42は上入口ガイド、43は下入口ガイド、44は出口ガイド板、45は排紙ロ−ラ、46はベアリング
Claims (6)
- 熱と圧力を加えることで被転写部材上に未定着画像の定着を行う加熱定着装置において、
内部に加熱手段を設けた基準定着ロ−ラと、前記被転写部材の搬送方向に前記基準定着ロ−ラからの距離を可変できる調整定着ロ−ラと、前記基準定着ロ−ラと前記調整定着ロ−ラに架けられた無端状定着ベルトと、前記基準定着ロ−ラと前記調整定着ロ−ラの可変距離に応じて前記無端状定着ベルトに所定の張力を与えるテンション手段とからなる定着ベルトユニットと、
前記基準定着ロ−ラに対し法線方向に所定の圧力を加えるべく付勢手段を備えた基準加圧ロ−ラと、前記調整定着ロ−ラに対し法線方向に所定の圧力を加えるべく付勢手段を備え、かつ、被転写部材の搬送方向に前記基準加圧ロ−ラからの距離を可変できる調整加圧ロ−ラと、前記基準加圧ロ−ラと前記調整加圧ロ−ラに架けられた無端状ベルトと、前記基準加圧ロ−ラと前記調整加圧ロ−ラの可変距離に応じて前記無端状ベルトに所定の張力を与えるテンション手段からなる加圧ベルトユニットと、
転写材の搬送方向において、前記定着ベルトユニットの下流側に設けた温度検知手段と、
画像形成条件によって自動的に前記調整定着ロ−ラおよび前記調整加圧ロ−ラの位置を調整するニップ量調整手段と、
を設けたことを特徴とする加熱定着装置。 - 熱と圧力を加えることで被転写部材上に未定着画像の定着を行う加熱定着装置において、
内部に加熱手段を設けた基準定着ロ−ラおよび加圧ロ−ラと、前記加圧ロ−ラの円周上を移動可能な調整定着ロ−ラと、前記基準定着ロ−ラと前記調整定着ロ−ラに架けられた無端状定着ベルトと、前記基準定着ロ−ラと前記調整定着ロ−ラの可変距離に応じて前記無端状定着ベルトに所定の張力を与えるテンション手段とからなる定着ベルトユニットと、
転写材の搬送方向において、前記定着ベルトユニットの下流側に設けた温度検知手段と、
画像形成条件によって前記調整定着ロ−ラを前記加圧ロ−ラの円周上を移動させることで前記無端状定着ベルトと前記加圧ロ−ラとのニップ量を調整するニップ量調整手段と、
を設けたことを特徴とする加熱定着装置。 - 熱と圧力を加えることで被転写部材上に未定着画像の定着を行う加熱定着装置において、
少なくとも一方の内部に加熱手段を設けた一対の基準定着ロ−ラと、前記一対の定着ロ−ラ間に架けられた無端状定着ベルトと、前記無端状定着ベルトに所定の張力を与えるテンション手段からなる定着ベルトユニットと、
前記一対の基準定着ロ−ラに対し法線方向に所定の圧力を加えるべく付勢手段を備えた一対の加圧ロ−ラと、前記一対の加圧ロ−ラ間に架けられた無端状ベルトと、前記無端状ベルトに所定の張力を与えるテンション手段からなる加圧ベルトユニットと、
転写材の搬送方向において、前記定着ベルトユニットの下流側に設けた温度検知手段と、
前記一対の定着ロ−ラと加圧ロ−ラの間に設けられ、画像形成条件によって前記定着ベルトユニットおよび前記加圧ベルトユニットの各無端状定着ベルトを変移させるニップ量調整手段と、
を設けたことを特徴とする加熱定着装置。 - 前記請求項1記載の加熱定着装置において、
転写用紙搬送路の上流側加圧ロ−ラの加圧力が下流側加圧ロ−ラの加圧力より低いことを特徴とする加熱定着装置。 - 前記請求項1から請求項3のうちのいずれかにおいて、
転写材の搬送方向において、前記定着ベルトユニットの下流側に設けた前記温度検知手段が検知した温度変化を元に、前記ニップ量調整手段を駆動することを特徴とする加熱定着装置。 - 被転写部材上に未定着画像を形成する画像形成手段と、前記未定着画像を前記被転写部材に定着する加熱定着装置とを備えた画像形成装置において、前記加熱定着装置として請求項1から請求項5のうちのいずれかに記載された加熱定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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