JP2004116536A - 無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】急減速時のLow戻りを迅速に行い、再発進性を向上させることができる無段変速機を提供する。
【解決手段】変速用モータ40によって変速を行なう無段変速機であって、この変速用モータは回転方向により回転特性の異なる電動モータであり、変速比を大きくする方向への変速速度が、変速比を小さくする方向への変速速度に比べて大きくなるように、変速用モータの回転方向を設定した。
【選択図】 図1
【解決手段】変速用モータ40によって変速を行なう無段変速機であって、この変速用モータは回転方向により回転特性の異なる電動モータであり、変速比を大きくする方向への変速速度が、変速比を小さくする方向への変速速度に比べて大きくなるように、変速用モータの回転方向を設定した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は無段変速機、特に車両用のVベルト式無段変速機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特許第2548259号公報
特許文献1には、駆動プーリと、従動プーリと、駆動プーリと従動プーリとの間に巻きかけられた金属ベルトと、少なくとも一方のプーリ(例えば駆動プーリ)に設けられ、伝達トルクに対応した軸力を付与する調圧機構と、駆動プーリおよび従動プーリのそれぞれに設けられ、回転力により可動シーブを軸方向に移動させるストローク機構と、変速操作時にストローク機構を作動させる変速操作装置とを備えた無段変速機が開示されている。
【0003】
上記変速操作装置は、変速用モータと、駆動プーリおよび従動プーリの各ストローク機構に連結される一対のギヤを有する操作軸と、モータと操作軸とを連結する可逆伝動可能なギヤ列からなる減速装置とを備えたものであり、変速用モータの回転力を減速装置から操作軸を介してストローク機構に伝達することで、変速比を自在に可変することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
Vベルト式無段変速機の場合、高速走行状態からブレーキを操作して急減速した時、車両停止までに再発進可能な最低速比(Low)付近まで戻す必要がある。変速用モータは、変速比を大きく場合(Low方向)と変速比を小さくする場合(High方向)とで互いに逆方向に回転させることになる。モータの特性は正転・逆転とも同じ特性であることが望ましいが、一般的にブラシ付きDCモータは正転のみで使用されることが多く、正転時と逆転時とで回転特性、つまり回転数/電流の特性が異なるものが多い。
しかるに、特許文献1における変速操作装置では、変速用モータの回転特性と変速方向とを考慮して設計されていないため、急減速時の低速比方向への戻りが遅く、再発進性が悪いという問題が発生することがあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、急減速時のLow戻りを迅速に行い、再発進性を向上させることができる無段変速機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、固定シーブと固定シーブに対し軸方向移動可能に設けられた可動シーブとを有する駆動プーリと、固定シーブと固定シーブに対し軸方向移動可能に設けられた可動シーブとを有する従動プーリと、駆動プーリと従動プーリとの間に巻きかけられた無端状のVベルトと、ベルト推力を発生する推力発生手段と、駆動プーリおよび従動プーリにそれぞれ設けられ、回転力を上記可動シーブの軸方向移動に変換するストローク機構と、変速用モータと、この変速用モータの回転力を上記両プーリのストローク機構へ伝達する伝達機構とを備えた無段変速機において、上記変速用モータは、回転方向により回転特性の異なる電動モータであり、変速比を大きくする方向への変速速度が、変速比を小さくする方向への変速速度に比べて大きくなるように、上記変速用モータの回転方向を設定したことを特徴とする無段変速機を提供する。
【0007】
変速用モータの回転力は、伝達機構を介して両プーリのストローク機構に伝達され、両プーリのプーリ溝幅を相反方向に変化させる。変速用モータの回転量はストローク機構を介して可動シーブの軸方向移動量に変換されるので、所望の変速比へ高精度に制御できる。
例えばブレーキを操作して急減速を行った場合には、変速用モータに変速比を大きくするよう指令が出されるが、上記のように変速用モータは回転方向により回転特性が異なるモータであり、しかも回転特性が良好な回転方向を変速比が大きくなる方向に合わせてあるので、低速比側への変速が迅速に行なわれる。その結果、急減速時にいち早く低速比まで到達でき、再発進性が向上する。
一方、高速比方向への変速は低速比方向への変速に比べて遅くなるが、高速比方向への変速を速やかに行なう必要性がないので、問題がない。
【0008】
本発明で使用される変速用モータとしては、一般のブラシ付きDCモータを用いてもよいし、他のモータを用いてもよい。一般のブラシ付きDCモータの場合、正転方向が効率よく回る方向であり、逆転方向に比べて回転特性、つまり回転数/電流が大きい。そのため、正転方向が低速比方向となるように設定すればよい。
また、低速比方向へのモータ回転方向がより高効率となるようにモータを設計してもよい。例えば、モータのブラシをマグネットの磁界の中性面から所定角度ずらして設けたり、マグネットの位置を所定角度ずらして設け、正転時と逆転時とで電磁力に差を与えてもよい。
【0009】
本発明は、Vベルトとして乾式Vベルトを用い、推力発生手段として駆動プーリと従動プーリの中間部に配置され、ベルトの緩み側を押圧してベルト推力(ベルト張力)を得るテンション装置を用いた場合に好適である。
Vベルトには金属ベルト(湿式ベルト)の他に、プーリとの接触面に樹脂、ゴムなどの摩擦面を持つ乾式ベルトがある。金属ベルトの場合には、油で潤滑されるので、プーリとの摩擦係数μが低く、所定の伝達効率を得るためにプーリでベルトを軸方向に強く挟圧する必要がある。これに対し、乾式ベルトでは油で潤滑されないので、プーリとの摩擦係数μが高く、プーリによってベルトを強く挟圧しなくても高い伝達効率を得ることができる。
このような乾式Vベルトを用いた無段変速機の場合、ベルトとプーリとの摩擦係数が高いので、伝達効率が向上する反面、プーリが停止した状態で変速を行うことは不可能となる。そのため、車両停止までの間に再発進可能な低速比まで確実に戻す必要性が生じる。
一方、ベルト推力を得る手段として、プーリに軸方向の挟圧力を与える加圧装置を用いたものが知られているが、ストローク機構に過大な軸力が作用するので、変速用モータからストローク機構を介して可動シーブに伝達される力に摩擦ロスが発生しやすく、ストローク機構に摩耗も発生しやすい。これに対し、推力発生手段として、テンション装置を用いてベルトの緩み側を押圧した場合には、ストローク機構に余分な軸力が作用せず、変速用モータの回転力はストローク機構を介して可動シーブの軸方向移動に効率よく変換されるとともに、ストローク機構の寿命が向上する。
そのため、低速比への変速が一層速くなり、乾式ベルトであっても急停止時に再発進可能な低速比まで確実に戻すことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1,図2は本発明にかかる無段変速機の一例の骨格構造を示す。
この無段変速機はFF横置き式の変速機であり、大略、エンジン出力軸1により発進機構2を介して駆動される入力軸3、カウンタ軸4、駆動プーリ11を支持する駆動軸10、従動プーリ21を支持する従動軸20、駆動プーリ11と従動プーリ21に巻き掛けられた乾式のVベルト15、減速軸30、車輪と連結された出力軸32、変速用モータ40、テンション装置50などで構成されている。入力軸3,カウンタ軸4,駆動軸10,従動軸20,減速軸30および出力軸32はいずれも非同軸で、かつ平行に配置されている。
【0011】
この実施例の発進機構2はクラッチやトルクコンバータなどで構成される。入力軸3は軸受を介して変速機ケース(図示せず)によって回転自在に支持され、入力軸3には相対回転する前進用ギヤ3aと一体回転する後進用ギヤ3bとが設けられ、前進用ギヤ3aはシンクロ式の前進切替機構5によって入力軸3に固定されたクラッチハブ3cに対して選択的に連結される。この前進切替機構5は、フォーク7によって前進位置Dと中立位置Nと後退位置Rの3位置に切替可能である。
【0012】
カウンタ軸4には、前進用ギヤ3aと噛み合うギヤ4aと、駆動軸10のエンジン側端部に固定されたギヤ10aと噛み合うギヤ4bとが一体回転可能に設けられている。カウンタ軸4のギヤ4a,4bの減速比を適切に設定することで、入力軸3から駆動軸10へ駆動力をベルト駆動に適した減速比で伝達している。
【0013】
駆動プーリ11は、駆動軸10上に固定された固定シーブ11aと、駆動軸10上に軸方向移動自在に支持された可動シーブ11bと、可動シーブ11bの背後に設けられたストローク機構14とを備え、ストローク機構14はVベルト15よりエンジン側に配置されている。この実施例のストローク機構14は、変速用モータ40によって可動シーブ11bを軸方向に移動させるボールネジ機構であり、可動シーブ11bに軸受12を介して相対回転自在に支持された雌ねじ部材14bと、変速機ケースに固定された雄ねじ部材14cと、その間に配置されたボール14aとを備え、雌ねじ部材14bの外周部に変速ギヤ14dが固定されている。変速ギヤ14dは駆動プーリ11を構成する可動シーブ11bより大径で、かつ薄肉なギヤである。また、駆動軸10は軸受13を介して変速機ケースに回転自在に支持されており、軸受13の外輪に変速機ケースと雄ねじ部材14cとが固定されている。
【0014】
従動プーリ21は、従動軸20上に固定された固定シーブ21aと、従動軸20上に軸方向移動自在に支持された可動シーブ21bと、可動シーブ21bの背後に設けられたストローク機構22とを備え、ストローク機構22はVベルト15より反エンジン側に配置されている。このストローク機構22も駆動プーリ11のストローク機構14と同様の構成を有するボールネジ機構であり、可動シーブ21bに軸受22aを介して相対回転自在に支持された雌ねじ部材22bと、変速機ケースに固定された雄ねじ部材22cと、その間に配置されたボール22aとを備え、雌ねじ部材22bの外周部に変速ギヤ22dが固定されている。この変速ギヤ22dも従動プーリ21を構成する可動シーブ21bより大径で、かつ薄肉なギヤである。従動軸20は軸受19を介して変速機ケースに回転自在に支持されており、軸受19の外輪に変速機ケースと雄ねじ部材22cとが固定されている。
【0015】
従動軸20の従動プーリ21よりエンジン側の部位には、後進用ギヤ24が回転自在に支持されており、このギヤ24は入力軸3に固定された後進用ギヤ3bと噛み合っている。ギヤ24は後進切替機構25によって従動軸20に固定されたクラッチハブ26に対して選択的に連結される。後進切替機構25には、上述の前進切替機構5を操作するフォーク7が係合しており、フォーク7を操作することで両方の切替機構5,25を同時に切り替えることができる。
例えば、フォーク7を図1の右側にシフトすると、前進切替機構5がクラッチハブ3cと前進用ギヤ3aとを連結し、後進切替機構25は後進用ギヤ24から離れており、D位置となる。中間位置では、前進切替機構5および後進切替機構25がそれぞれ前進用ギヤ3a、後進用ギヤ24と離れており、N状態となる。フォーク7を図1の左側にシフトすると、後進切替機構25がクラッチハブ26と後進用ギヤ24とを連結し、前進切替機構5は前進用ギヤ3aと離れているため、R位置となる。
このように、1本のフォーク7で前進切替機構5および後進切替機構25を操作するので、前進切替機構5がD位置の時に後進切替機構25がR位置になるといった不具合を解消できる。
【0016】
従動軸20のエンジン側端部には減速ギヤ27が固定されており、この減速ギヤ27は減速軸30に固定されたギヤ30aと噛み合い、さらに減速軸30に固定されたギヤ30bを介して差動装置31のリングギヤ31aに噛み合っている。そして、差動装置31に設けられた出力軸32を介して左右の車輪33が駆動される。
【0017】
上記構成よりなる無段変速機の前進時および後進時の動力伝達経路は次の通りである。
前進時には、フォーク7を操作して前進切替機構5を前進位置Dへ切り替える。発進機構2から入力軸3に入力されたエンジン動力は、前進用ギヤ3a、カウンタ軸4、駆動軸10、駆動プーリ11、Vベルト15、従動プーリ21、従動軸20、減速軸30、差動装置31を介して出力軸32に伝達される。
一方、後進時には、フォーク7を操作して後進切替機構25を後進位置Rへ切り替える。発進機構2から入力軸3に入力されたエンジン動力は、後進用ギヤ3b,24、従動軸20、減速軸30、差動装置31を介して出力軸32に伝達される。つまり、後退時にはVベルト15を経由せずに動力が伝達される。
【0018】
後述するように、Vベルト15の緩み側を押し付けてベルト張力を与えるテンション装置50が設けられているが、後進時にVベルト15が逆回転すると緩み側も逆転するので、テンション装置50が緊張側を押しつけることになり、Vベルト15に過大な負荷がかかる。しかしながら、この実施例では、前進時のみVベルト15にトルクが伝達され、後退時にはVベルト15にトルクが伝達されないので、テンション装置50は常にVベルト15の緩み側を押し付けることになり、Vベルト15の負担を軽減し、ベルトの寿命向上を実現できる。
【0019】
次に、この無段変速機における変速比可変機構について説明する。
変速機ケースには変速用モータ40が取り付けられている。変速用モータ40はブレーキ41付きのブラシ付きDCモータであり、その出力ギヤ42は第1変速軸45の一端に設けられた減速ギヤ45aに噛み合っている。第1変速軸45の他端部に設けられたギヤ45bは駆動プーリ11の可動シーブ11bの移動ストローク分の長さを有する平歯車またははすば歯車であり、駆動プーリ11に設けられた変速ギヤ14dと噛み合っている。第1変速軸45のギヤ45bを回転させると、変速ギヤ14dが追随回転することでボールネジ機構(ストローク機構)14の作用により、可動シーブ11bを軸方向へ移動させることができる。つまり、駆動プーリ11のプーリ溝幅(ベルト巻き掛け径)を連続的に変化させることができる。
【0020】
駆動プーリ11の変速ギヤ14dは、変速機ケースに架け渡して設けられた第2変速軸46の第1アイドラギヤ46aとも噛み合い、さらに第2変速軸46の第2アイドラギヤ46bは従動プーリ21の変速ギヤ22dと噛み合っている。これらアイドラギヤ46a,46bも、第1変速軸45のギヤ45bと同様に、可動シーブ11b,21bの移動ストローク分の長さを有する平歯車またははすば歯車で構成されている。変速用モータ40の回転力は、第1変速軸45,駆動プーリ11の変速ギヤ14d,第2変速軸46を介して従動プーリ21の変速ギヤ22dへと伝達される。そのため、駆動プーリ11の可動シーブ11aと従動プーリ21の可動シーブ21aは互いに同期し、かつ互いにプーリ溝幅(ベルト巻き掛け径)を逆方向に変化させながら軸方向へ移動することができる。
また、変速用モータ40の回転力をストローク機構14,22に伝達し、かつ駆動プーリ11と従動プーリ21の両ストローク機構14,22を機械的に連結する伝達ギヤ機構(42,45a,45b,14d,46a,46b,22d)が設けられているので、可動シーブ11b,21bの位置、つまり変速比は機械的に決まる。そのため、変速用モータ40のみで変速比を高精度に制御できる。
【0021】
上記変速用モータ40は、低速比方向へのモータ回転方向が、高速比方向へのモータ回転方向に比べて高効率となるように設計されている。すなわち、図3に示すように、N極のマグネット40aと、S極のマグネット40bとが対向して配置され、その間に巻線40dを有する回転子40cが配置されている。また、ブラシ40eがマグネット40a,40bの磁界の中性面Mに対して角度θだけずれた位置に配置されている。そのため、図4に示すように、モータ40が正転方向(図3の矢印A方向)に回転する時の回転特性(回転数/電流)が、逆転方向に回転する時の回転特性に比べて高い。図4から明らかなように、同じ負荷トルクの時に正転時の方が逆転時に比べて回転数が高いことがわかる。そして、モータ40の正転方向が低速比方向への変速方向となるように、モータ40の向きが設定されている。そのため、低速比方向への変速速度が、高速比方向方向への変速速度に比べて大きく、急減速時でもいち早く低速比まで到達できる。
なお、上記実施例では、ブラシ40eの向きを磁界の中性面に対して傾けたが、マグネットの位置をブラシに対して所定角度ずらしても同様の効果を得ることができる。
【0022】
なお、ギヤ機構(42,45a,45b,14d,46a,46b,22d)がすべて伝達効率のよい円形の可逆ギヤ(平歯車、はずば歯車など)で構成されている関係で、変速用モータ40の非通電時、ベルト張力による可動シーブの反力によってギヤ列が回転して変速比が変化する恐れがある。しかし、乾式ベルト15を用いているので、可動シーブの反力が小さく、非通電時、変速用モータ40に内蔵されたマグネットの起動抵抗のみでギヤ列の回転を防止することが可能である。なお、上記実施例では安全のために、変速用モータ40の非通電時に出力ギヤ42の回転を停止させるブレーキ41を設けたが、このブレーキ41を省略することも可能である。
【0023】
この無段変速機には、図2に示すように、Vベルト15にトルク伝達に必要なベルト張力を与える機構、すなわちテンション装置50が設けられている。
上記のようにプーリ11,21のプーリ溝幅(ベルト巻き掛け径)は変速用モータ40によって可変されるが、それだけでは伝達トルクによってVベルト15とプーリ11,21との間に滑りが発生してしまう。そこで、Vベルト15に滑りを生じさせないベルト張力を与えるため、テンション装置50が設けられている。テンション装置50はテンションローラ51を備え、このテンションローラ51はリンク52を介してテンションアーム53によって揺動可能に支持されている。
【0024】
テンションアーム53の回動軸53aは駆動プーリ11の近傍に設けられ、引張スプリング54によってVベルト15方向に付勢されている。そのため、テンションローラ51は所定の荷重でVベルト15の緩み側を内側に向かって押し付けている。このように外側から内側に向かってVベルト15を押圧することで、所定のベルト推力を得るとともに、プーリ11,21に対するVベルト15の巻き付け長さを長くし、伝達効率を高めている。
なお、テンションローラ51はVベルト15を外側から内側に向かって押圧するものに限らず、内側から外側に向かって押圧してもよい。
また、テンションローラ51をリンク52を介してアーム53に取り付けたが、テンションローラ51をアーム53に直接回転自在に取り付けてもよい。
【0025】
上記実施例のテンション装置50は引張スプリング54を用いたものであるが、特開2001−330097号公報のように、引張スプリングの他にアシストモータを備えたものであってもよいし、特開2002−213549号公報のように、引張スプリングと圧縮スプリングとを併用したものであってもよい。また、アシストモータに代えて油圧シリンダを用いてもよい。
【0026】
本発明は上記実施例に限定されるものではない。
上記実施例では、変速用モータ40として、図3のように低速比方向への回転方向(正転方向)が高効率となるように特別に設計されたモータを用いたが、一般のブラシ付きDCモータを用いてもよい。この場合も、低速比方向への回転が高速比方向への回転に比べて高効率となる向きにモータを設定すればよい。
上記実施例では、ストローク機構をボールネジ機構で構成したが、雄ねじ部材と雌ねじ部材とが直接螺合する通常のネジ機構で構成してもよい。
また、本発明の推力発生装置は実施例のようなテンション装置に限るものではなく、従来と同様にプーリを軸方向に押圧してベルト推力を得る加圧手段であってもよい。
さらに、本発明のVベルトは、実施例のような乾式ベルトに限るものではなく、公知の金属ベルトを用いてもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、請求項1に係る発明によれば、低速比方向への変速速度が高速比方向への変速速度に比べて大きくなるように、変速用モータの回転方向を設定したので、急減速時にいち早く低速比まで到達でき、再発進性が向上する。
また、変速用モータの向きを設定するだけでよいので、格別な追加機構を必要とせず、低コストで再発進性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる無段変速機の一例のスケルトン図である。
【図2】最低速比におけるテンション装置を示す図である。
【図3】変速用モータの正転時の断面図である。
【図4】変速用モータの正転時と逆転時との回転特性図である。
【符号の説明】
11 駆動プーリ
11a 固定シーブ
11b 可動シーブ
14 ストローク機構
15 Vベルト
21 従動プーリ
21a 固定シーブ
21b 可動シーブ
22 ストローク機構
40 変速用モータ
45,46 変速軸
50 テンション装置(推力発生装置)
【発明の属する技術分野】
本発明は無段変速機、特に車両用のVベルト式無段変速機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特許第2548259号公報
特許文献1には、駆動プーリと、従動プーリと、駆動プーリと従動プーリとの間に巻きかけられた金属ベルトと、少なくとも一方のプーリ(例えば駆動プーリ)に設けられ、伝達トルクに対応した軸力を付与する調圧機構と、駆動プーリおよび従動プーリのそれぞれに設けられ、回転力により可動シーブを軸方向に移動させるストローク機構と、変速操作時にストローク機構を作動させる変速操作装置とを備えた無段変速機が開示されている。
【0003】
上記変速操作装置は、変速用モータと、駆動プーリおよび従動プーリの各ストローク機構に連結される一対のギヤを有する操作軸と、モータと操作軸とを連結する可逆伝動可能なギヤ列からなる減速装置とを備えたものであり、変速用モータの回転力を減速装置から操作軸を介してストローク機構に伝達することで、変速比を自在に可変することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
Vベルト式無段変速機の場合、高速走行状態からブレーキを操作して急減速した時、車両停止までに再発進可能な最低速比(Low)付近まで戻す必要がある。変速用モータは、変速比を大きく場合(Low方向)と変速比を小さくする場合(High方向)とで互いに逆方向に回転させることになる。モータの特性は正転・逆転とも同じ特性であることが望ましいが、一般的にブラシ付きDCモータは正転のみで使用されることが多く、正転時と逆転時とで回転特性、つまり回転数/電流の特性が異なるものが多い。
しかるに、特許文献1における変速操作装置では、変速用モータの回転特性と変速方向とを考慮して設計されていないため、急減速時の低速比方向への戻りが遅く、再発進性が悪いという問題が発生することがあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、急減速時のLow戻りを迅速に行い、再発進性を向上させることができる無段変速機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、固定シーブと固定シーブに対し軸方向移動可能に設けられた可動シーブとを有する駆動プーリと、固定シーブと固定シーブに対し軸方向移動可能に設けられた可動シーブとを有する従動プーリと、駆動プーリと従動プーリとの間に巻きかけられた無端状のVベルトと、ベルト推力を発生する推力発生手段と、駆動プーリおよび従動プーリにそれぞれ設けられ、回転力を上記可動シーブの軸方向移動に変換するストローク機構と、変速用モータと、この変速用モータの回転力を上記両プーリのストローク機構へ伝達する伝達機構とを備えた無段変速機において、上記変速用モータは、回転方向により回転特性の異なる電動モータであり、変速比を大きくする方向への変速速度が、変速比を小さくする方向への変速速度に比べて大きくなるように、上記変速用モータの回転方向を設定したことを特徴とする無段変速機を提供する。
【0007】
変速用モータの回転力は、伝達機構を介して両プーリのストローク機構に伝達され、両プーリのプーリ溝幅を相反方向に変化させる。変速用モータの回転量はストローク機構を介して可動シーブの軸方向移動量に変換されるので、所望の変速比へ高精度に制御できる。
例えばブレーキを操作して急減速を行った場合には、変速用モータに変速比を大きくするよう指令が出されるが、上記のように変速用モータは回転方向により回転特性が異なるモータであり、しかも回転特性が良好な回転方向を変速比が大きくなる方向に合わせてあるので、低速比側への変速が迅速に行なわれる。その結果、急減速時にいち早く低速比まで到達でき、再発進性が向上する。
一方、高速比方向への変速は低速比方向への変速に比べて遅くなるが、高速比方向への変速を速やかに行なう必要性がないので、問題がない。
【0008】
本発明で使用される変速用モータとしては、一般のブラシ付きDCモータを用いてもよいし、他のモータを用いてもよい。一般のブラシ付きDCモータの場合、正転方向が効率よく回る方向であり、逆転方向に比べて回転特性、つまり回転数/電流が大きい。そのため、正転方向が低速比方向となるように設定すればよい。
また、低速比方向へのモータ回転方向がより高効率となるようにモータを設計してもよい。例えば、モータのブラシをマグネットの磁界の中性面から所定角度ずらして設けたり、マグネットの位置を所定角度ずらして設け、正転時と逆転時とで電磁力に差を与えてもよい。
【0009】
本発明は、Vベルトとして乾式Vベルトを用い、推力発生手段として駆動プーリと従動プーリの中間部に配置され、ベルトの緩み側を押圧してベルト推力(ベルト張力)を得るテンション装置を用いた場合に好適である。
Vベルトには金属ベルト(湿式ベルト)の他に、プーリとの接触面に樹脂、ゴムなどの摩擦面を持つ乾式ベルトがある。金属ベルトの場合には、油で潤滑されるので、プーリとの摩擦係数μが低く、所定の伝達効率を得るためにプーリでベルトを軸方向に強く挟圧する必要がある。これに対し、乾式ベルトでは油で潤滑されないので、プーリとの摩擦係数μが高く、プーリによってベルトを強く挟圧しなくても高い伝達効率を得ることができる。
このような乾式Vベルトを用いた無段変速機の場合、ベルトとプーリとの摩擦係数が高いので、伝達効率が向上する反面、プーリが停止した状態で変速を行うことは不可能となる。そのため、車両停止までの間に再発進可能な低速比まで確実に戻す必要性が生じる。
一方、ベルト推力を得る手段として、プーリに軸方向の挟圧力を与える加圧装置を用いたものが知られているが、ストローク機構に過大な軸力が作用するので、変速用モータからストローク機構を介して可動シーブに伝達される力に摩擦ロスが発生しやすく、ストローク機構に摩耗も発生しやすい。これに対し、推力発生手段として、テンション装置を用いてベルトの緩み側を押圧した場合には、ストローク機構に余分な軸力が作用せず、変速用モータの回転力はストローク機構を介して可動シーブの軸方向移動に効率よく変換されるとともに、ストローク機構の寿命が向上する。
そのため、低速比への変速が一層速くなり、乾式ベルトであっても急停止時に再発進可能な低速比まで確実に戻すことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1,図2は本発明にかかる無段変速機の一例の骨格構造を示す。
この無段変速機はFF横置き式の変速機であり、大略、エンジン出力軸1により発進機構2を介して駆動される入力軸3、カウンタ軸4、駆動プーリ11を支持する駆動軸10、従動プーリ21を支持する従動軸20、駆動プーリ11と従動プーリ21に巻き掛けられた乾式のVベルト15、減速軸30、車輪と連結された出力軸32、変速用モータ40、テンション装置50などで構成されている。入力軸3,カウンタ軸4,駆動軸10,従動軸20,減速軸30および出力軸32はいずれも非同軸で、かつ平行に配置されている。
【0011】
この実施例の発進機構2はクラッチやトルクコンバータなどで構成される。入力軸3は軸受を介して変速機ケース(図示せず)によって回転自在に支持され、入力軸3には相対回転する前進用ギヤ3aと一体回転する後進用ギヤ3bとが設けられ、前進用ギヤ3aはシンクロ式の前進切替機構5によって入力軸3に固定されたクラッチハブ3cに対して選択的に連結される。この前進切替機構5は、フォーク7によって前進位置Dと中立位置Nと後退位置Rの3位置に切替可能である。
【0012】
カウンタ軸4には、前進用ギヤ3aと噛み合うギヤ4aと、駆動軸10のエンジン側端部に固定されたギヤ10aと噛み合うギヤ4bとが一体回転可能に設けられている。カウンタ軸4のギヤ4a,4bの減速比を適切に設定することで、入力軸3から駆動軸10へ駆動力をベルト駆動に適した減速比で伝達している。
【0013】
駆動プーリ11は、駆動軸10上に固定された固定シーブ11aと、駆動軸10上に軸方向移動自在に支持された可動シーブ11bと、可動シーブ11bの背後に設けられたストローク機構14とを備え、ストローク機構14はVベルト15よりエンジン側に配置されている。この実施例のストローク機構14は、変速用モータ40によって可動シーブ11bを軸方向に移動させるボールネジ機構であり、可動シーブ11bに軸受12を介して相対回転自在に支持された雌ねじ部材14bと、変速機ケースに固定された雄ねじ部材14cと、その間に配置されたボール14aとを備え、雌ねじ部材14bの外周部に変速ギヤ14dが固定されている。変速ギヤ14dは駆動プーリ11を構成する可動シーブ11bより大径で、かつ薄肉なギヤである。また、駆動軸10は軸受13を介して変速機ケースに回転自在に支持されており、軸受13の外輪に変速機ケースと雄ねじ部材14cとが固定されている。
【0014】
従動プーリ21は、従動軸20上に固定された固定シーブ21aと、従動軸20上に軸方向移動自在に支持された可動シーブ21bと、可動シーブ21bの背後に設けられたストローク機構22とを備え、ストローク機構22はVベルト15より反エンジン側に配置されている。このストローク機構22も駆動プーリ11のストローク機構14と同様の構成を有するボールネジ機構であり、可動シーブ21bに軸受22aを介して相対回転自在に支持された雌ねじ部材22bと、変速機ケースに固定された雄ねじ部材22cと、その間に配置されたボール22aとを備え、雌ねじ部材22bの外周部に変速ギヤ22dが固定されている。この変速ギヤ22dも従動プーリ21を構成する可動シーブ21bより大径で、かつ薄肉なギヤである。従動軸20は軸受19を介して変速機ケースに回転自在に支持されており、軸受19の外輪に変速機ケースと雄ねじ部材22cとが固定されている。
【0015】
従動軸20の従動プーリ21よりエンジン側の部位には、後進用ギヤ24が回転自在に支持されており、このギヤ24は入力軸3に固定された後進用ギヤ3bと噛み合っている。ギヤ24は後進切替機構25によって従動軸20に固定されたクラッチハブ26に対して選択的に連結される。後進切替機構25には、上述の前進切替機構5を操作するフォーク7が係合しており、フォーク7を操作することで両方の切替機構5,25を同時に切り替えることができる。
例えば、フォーク7を図1の右側にシフトすると、前進切替機構5がクラッチハブ3cと前進用ギヤ3aとを連結し、後進切替機構25は後進用ギヤ24から離れており、D位置となる。中間位置では、前進切替機構5および後進切替機構25がそれぞれ前進用ギヤ3a、後進用ギヤ24と離れており、N状態となる。フォーク7を図1の左側にシフトすると、後進切替機構25がクラッチハブ26と後進用ギヤ24とを連結し、前進切替機構5は前進用ギヤ3aと離れているため、R位置となる。
このように、1本のフォーク7で前進切替機構5および後進切替機構25を操作するので、前進切替機構5がD位置の時に後進切替機構25がR位置になるといった不具合を解消できる。
【0016】
従動軸20のエンジン側端部には減速ギヤ27が固定されており、この減速ギヤ27は減速軸30に固定されたギヤ30aと噛み合い、さらに減速軸30に固定されたギヤ30bを介して差動装置31のリングギヤ31aに噛み合っている。そして、差動装置31に設けられた出力軸32を介して左右の車輪33が駆動される。
【0017】
上記構成よりなる無段変速機の前進時および後進時の動力伝達経路は次の通りである。
前進時には、フォーク7を操作して前進切替機構5を前進位置Dへ切り替える。発進機構2から入力軸3に入力されたエンジン動力は、前進用ギヤ3a、カウンタ軸4、駆動軸10、駆動プーリ11、Vベルト15、従動プーリ21、従動軸20、減速軸30、差動装置31を介して出力軸32に伝達される。
一方、後進時には、フォーク7を操作して後進切替機構25を後進位置Rへ切り替える。発進機構2から入力軸3に入力されたエンジン動力は、後進用ギヤ3b,24、従動軸20、減速軸30、差動装置31を介して出力軸32に伝達される。つまり、後退時にはVベルト15を経由せずに動力が伝達される。
【0018】
後述するように、Vベルト15の緩み側を押し付けてベルト張力を与えるテンション装置50が設けられているが、後進時にVベルト15が逆回転すると緩み側も逆転するので、テンション装置50が緊張側を押しつけることになり、Vベルト15に過大な負荷がかかる。しかしながら、この実施例では、前進時のみVベルト15にトルクが伝達され、後退時にはVベルト15にトルクが伝達されないので、テンション装置50は常にVベルト15の緩み側を押し付けることになり、Vベルト15の負担を軽減し、ベルトの寿命向上を実現できる。
【0019】
次に、この無段変速機における変速比可変機構について説明する。
変速機ケースには変速用モータ40が取り付けられている。変速用モータ40はブレーキ41付きのブラシ付きDCモータであり、その出力ギヤ42は第1変速軸45の一端に設けられた減速ギヤ45aに噛み合っている。第1変速軸45の他端部に設けられたギヤ45bは駆動プーリ11の可動シーブ11bの移動ストローク分の長さを有する平歯車またははすば歯車であり、駆動プーリ11に設けられた変速ギヤ14dと噛み合っている。第1変速軸45のギヤ45bを回転させると、変速ギヤ14dが追随回転することでボールネジ機構(ストローク機構)14の作用により、可動シーブ11bを軸方向へ移動させることができる。つまり、駆動プーリ11のプーリ溝幅(ベルト巻き掛け径)を連続的に変化させることができる。
【0020】
駆動プーリ11の変速ギヤ14dは、変速機ケースに架け渡して設けられた第2変速軸46の第1アイドラギヤ46aとも噛み合い、さらに第2変速軸46の第2アイドラギヤ46bは従動プーリ21の変速ギヤ22dと噛み合っている。これらアイドラギヤ46a,46bも、第1変速軸45のギヤ45bと同様に、可動シーブ11b,21bの移動ストローク分の長さを有する平歯車またははすば歯車で構成されている。変速用モータ40の回転力は、第1変速軸45,駆動プーリ11の変速ギヤ14d,第2変速軸46を介して従動プーリ21の変速ギヤ22dへと伝達される。そのため、駆動プーリ11の可動シーブ11aと従動プーリ21の可動シーブ21aは互いに同期し、かつ互いにプーリ溝幅(ベルト巻き掛け径)を逆方向に変化させながら軸方向へ移動することができる。
また、変速用モータ40の回転力をストローク機構14,22に伝達し、かつ駆動プーリ11と従動プーリ21の両ストローク機構14,22を機械的に連結する伝達ギヤ機構(42,45a,45b,14d,46a,46b,22d)が設けられているので、可動シーブ11b,21bの位置、つまり変速比は機械的に決まる。そのため、変速用モータ40のみで変速比を高精度に制御できる。
【0021】
上記変速用モータ40は、低速比方向へのモータ回転方向が、高速比方向へのモータ回転方向に比べて高効率となるように設計されている。すなわち、図3に示すように、N極のマグネット40aと、S極のマグネット40bとが対向して配置され、その間に巻線40dを有する回転子40cが配置されている。また、ブラシ40eがマグネット40a,40bの磁界の中性面Mに対して角度θだけずれた位置に配置されている。そのため、図4に示すように、モータ40が正転方向(図3の矢印A方向)に回転する時の回転特性(回転数/電流)が、逆転方向に回転する時の回転特性に比べて高い。図4から明らかなように、同じ負荷トルクの時に正転時の方が逆転時に比べて回転数が高いことがわかる。そして、モータ40の正転方向が低速比方向への変速方向となるように、モータ40の向きが設定されている。そのため、低速比方向への変速速度が、高速比方向方向への変速速度に比べて大きく、急減速時でもいち早く低速比まで到達できる。
なお、上記実施例では、ブラシ40eの向きを磁界の中性面に対して傾けたが、マグネットの位置をブラシに対して所定角度ずらしても同様の効果を得ることができる。
【0022】
なお、ギヤ機構(42,45a,45b,14d,46a,46b,22d)がすべて伝達効率のよい円形の可逆ギヤ(平歯車、はずば歯車など)で構成されている関係で、変速用モータ40の非通電時、ベルト張力による可動シーブの反力によってギヤ列が回転して変速比が変化する恐れがある。しかし、乾式ベルト15を用いているので、可動シーブの反力が小さく、非通電時、変速用モータ40に内蔵されたマグネットの起動抵抗のみでギヤ列の回転を防止することが可能である。なお、上記実施例では安全のために、変速用モータ40の非通電時に出力ギヤ42の回転を停止させるブレーキ41を設けたが、このブレーキ41を省略することも可能である。
【0023】
この無段変速機には、図2に示すように、Vベルト15にトルク伝達に必要なベルト張力を与える機構、すなわちテンション装置50が設けられている。
上記のようにプーリ11,21のプーリ溝幅(ベルト巻き掛け径)は変速用モータ40によって可変されるが、それだけでは伝達トルクによってVベルト15とプーリ11,21との間に滑りが発生してしまう。そこで、Vベルト15に滑りを生じさせないベルト張力を与えるため、テンション装置50が設けられている。テンション装置50はテンションローラ51を備え、このテンションローラ51はリンク52を介してテンションアーム53によって揺動可能に支持されている。
【0024】
テンションアーム53の回動軸53aは駆動プーリ11の近傍に設けられ、引張スプリング54によってVベルト15方向に付勢されている。そのため、テンションローラ51は所定の荷重でVベルト15の緩み側を内側に向かって押し付けている。このように外側から内側に向かってVベルト15を押圧することで、所定のベルト推力を得るとともに、プーリ11,21に対するVベルト15の巻き付け長さを長くし、伝達効率を高めている。
なお、テンションローラ51はVベルト15を外側から内側に向かって押圧するものに限らず、内側から外側に向かって押圧してもよい。
また、テンションローラ51をリンク52を介してアーム53に取り付けたが、テンションローラ51をアーム53に直接回転自在に取り付けてもよい。
【0025】
上記実施例のテンション装置50は引張スプリング54を用いたものであるが、特開2001−330097号公報のように、引張スプリングの他にアシストモータを備えたものであってもよいし、特開2002−213549号公報のように、引張スプリングと圧縮スプリングとを併用したものであってもよい。また、アシストモータに代えて油圧シリンダを用いてもよい。
【0026】
本発明は上記実施例に限定されるものではない。
上記実施例では、変速用モータ40として、図3のように低速比方向への回転方向(正転方向)が高効率となるように特別に設計されたモータを用いたが、一般のブラシ付きDCモータを用いてもよい。この場合も、低速比方向への回転が高速比方向への回転に比べて高効率となる向きにモータを設定すればよい。
上記実施例では、ストローク機構をボールネジ機構で構成したが、雄ねじ部材と雌ねじ部材とが直接螺合する通常のネジ機構で構成してもよい。
また、本発明の推力発生装置は実施例のようなテンション装置に限るものではなく、従来と同様にプーリを軸方向に押圧してベルト推力を得る加圧手段であってもよい。
さらに、本発明のVベルトは、実施例のような乾式ベルトに限るものではなく、公知の金属ベルトを用いてもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、請求項1に係る発明によれば、低速比方向への変速速度が高速比方向への変速速度に比べて大きくなるように、変速用モータの回転方向を設定したので、急減速時にいち早く低速比まで到達でき、再発進性が向上する。
また、変速用モータの向きを設定するだけでよいので、格別な追加機構を必要とせず、低コストで再発進性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる無段変速機の一例のスケルトン図である。
【図2】最低速比におけるテンション装置を示す図である。
【図3】変速用モータの正転時の断面図である。
【図4】変速用モータの正転時と逆転時との回転特性図である。
【符号の説明】
11 駆動プーリ
11a 固定シーブ
11b 可動シーブ
14 ストローク機構
15 Vベルト
21 従動プーリ
21a 固定シーブ
21b 可動シーブ
22 ストローク機構
40 変速用モータ
45,46 変速軸
50 テンション装置(推力発生装置)
Claims (1)
- 固定シーブと固定シーブに対し軸方向移動可能に設けられた可動シーブとを有する駆動プーリと、
固定シーブと固定シーブに対し軸方向移動可能に設けられた可動シーブとを有する従動プーリと、
駆動プーリと従動プーリとの間に巻きかけられた無端状のVベルトと、
ベルト推力を発生する推力発生手段と、
駆動プーリおよび従動プーリにそれぞれ設けられ、回転力を上記可動シーブの軸方向移動に変換するストローク機構と、
変速用モータと、
この変速用モータの回転力を上記両プーリのストローク機構へ伝達する伝達機構とを備えた無段変速機において、
上記変速用モータは、回転方向により回転特性の異なる電動モータであり、
変速比を大きくする方向への変速速度が、変速比を小さくする方向への変速速度に比べて大きくなるように、上記変速用モータの回転方向を設定したことを特徴とする無段変速機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002276604A JP2004116536A (ja) | 2002-09-24 | 2002-09-24 | 無段変速機 |
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JP2002276604A JP2004116536A (ja) | 2002-09-24 | 2002-09-24 | 無段変速機 |
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JP (1) | JP2004116536A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007232080A (ja) * | 2006-02-28 | 2007-09-13 | Iseki & Co Ltd | トラクタ |
CN100356045C (zh) * | 2004-07-12 | 2007-12-19 | 雅马哈发动机株式会社 | 动力单元及安装有该动力单元的车辆 |
CN112663639A (zh) * | 2020-12-30 | 2021-04-16 | 中国建筑第四工程局有限公司 | 一种主动型边坡支护系统 |
-
2002
- 2002-09-24 JP JP2002276604A patent/JP2004116536A/ja active Pending
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JP2007232080A (ja) * | 2006-02-28 | 2007-09-13 | Iseki & Co Ltd | トラクタ |
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