JP2004115732A - 熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アゾジカルボンアミド及び有機過酸化物を用いた熱可塑性樹脂組成物であって、高い生産性をもって熱可塑性樹脂発泡体を製造し得る熱可塑性樹脂組成物、及びその熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂(好ましくはポリエチレン系樹脂)、並びに、有機過酸化物、アゾジカルボンアミド、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A) 及び直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B),が含有されてなり、好ましくは、熱可塑性樹脂100 重量部に対し、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A) と直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B) とが合計量で0.2−5.0 重量部配合されてなり、且つ重量比(A):(B) が1:9−9:1 の範囲である熱可塑性樹脂組成物、及び、この組成物をアゾジカルボンアミドの分解温度以上に加熱し、発泡させる熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】熱可塑性樹脂(好ましくはポリエチレン系樹脂)、並びに、有機過酸化物、アゾジカルボンアミド、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A) 及び直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B),が含有されてなり、好ましくは、熱可塑性樹脂100 重量部に対し、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A) と直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B) とが合計量で0.2−5.0 重量部配合されてなり、且つ重量比(A):(B) が1:9−9:1 の範囲である熱可塑性樹脂組成物、及び、この組成物をアゾジカルボンアミドの分解温度以上に加熱し、発泡させる熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物及びその組成物を用いた熱可塑性樹脂発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂発泡体の一般的な製造方法として、熱可塑性樹脂に有機過酸化物及び発泡剤を混合混練し、シート状とした後、加熱することにより架橋及び発泡させる方法がある。
アゾジカルボンアミドは最も一般的な発泡剤として広く用いられているが、その分解温度が、ポリエチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂の融点に比べ非常に高い200℃前後であるため、生産時にいわゆる樹脂焼けや切断等のトラブルが発生することが多く、生産速度を向上させることが困難であった。また、樹脂の熱劣化による品質低下を惹起する場合もあった。
【0003】
これらの問題を解決するためには、発泡温度を低下させる必要がある。発泡温度を低下させる方法として、活性亜鉛華を添加する方法が一般的に知られており、少量の添加で発泡温度を大きく低下させることが可能なため、電離放射線による架橋では大変有効である。
しかし、有機過酸化物の熱分解による架橋においては、発泡温度の低下が大きすぎるため、架橋不足の段階で発泡が始まり、高品質の発泡体が得られないという問題があった。この問題を回避するため、低温で分解する架橋剤を用いたり、活性亜鉛華の添加量を少なくしたりする方法が考えられるが、低温で分解する架橋剤を用いれば、溶融混練や押し出しに支障をきたし、また、活性亜鉛華の添加量を少なくすれば、安定な発泡生産性が得られなくなるという問題があった。
【0004】
架橋剤として有機過酸化物を、発泡剤としてアゾジカルボンアミドを用いる場合に、発泡助剤として、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、又はヒドロキシ炭酸マグネシウムを用いて、均一なフォーム構造を有するポリオレフィンからなるフォームを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭55−78028号公報(特許請求の範囲、第2頁〜第3頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者の検討によれば、上記特許文献1記載の化合物をポリエチレン系樹脂に添加しても、実際には必ずしも満足する発泡安定性又は高い生産速度を得ることはできなかった。
本発明は、上記従来のアゾジカルボンアミド及び有機過酸化物を用いた熱可塑性樹脂組成物から架橋発泡体を工業的に生産する場合の問題点及び上記本発明者の知見に鑑み、高い生産性をもって熱可塑性樹脂発泡体を製造し得る熱可塑性樹脂組成物を提供すること、及びその熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提供することを目的として完成されたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、熱可塑性樹脂、並びに、有機過酸化物、アゾジカルボンアミド、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)及び直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)、が含有されてなる熱可塑性樹脂組成物を提供する。
また、請求項2記載の発明は、熱可塑性樹脂がポリエチレン系樹脂である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)と直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)とが合計量で0.2〜5.0重量部配合されてなり、且つ重量比(A):(B)が1:9〜9:1の範囲である請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成物を提供する。
更に、請求項4記載の発明は、請求項1〜3何れか1項記載の熱可塑性樹脂組成物をアゾジカルボンアミドの分解温度以上に加熱し、発泡させる熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提供する。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0009】
本発明において用いる熱可塑性樹脂は、有機過酸化物の分解により生成するラジカルによって3次元的な架橋構造形成され、且つ発泡により気泡構造を形成し維持できるものであれば特に限定されない。
例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセンなどの炭素数2〜6のオレフィンの単独重合体、および炭素数が2〜10のオレフィンから選ばれる2種以上のモノマーから構成されるオレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂が挙げられる。共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。
これらのポリオレフィン系樹脂は1種のみでも、2種以上のブレンドでもよい。また、本発明の作用効果が阻害されない限り、ポリオレフィン系樹脂以外の高分子化合物をブレンドすることもできる。
【0010】
また、ポリオレフィン系樹脂以外では、ポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のアクリル系樹脂、ABS、ナイロン−6等のポリアミド系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂等を例示することができるが、有機過酸化物の分解により生成するラジカルによって架橋構造が形成されやすいという観点から、ポリエチレン系樹脂が好ましい。
【0011】
特に好ましいポリエチレン系樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等を例示することができる。
上記α−オレフィンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ブテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、オクテン等が挙げられ、好適に用いられる。これらのα−オレフィンは単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0012】
本発明で用いられる有機過酸化物としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン〔148℃〕、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン〔154℃〕、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン〔159℃〕、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート〔166℃〕、ジ−t−ブチルパーオキサイド〔186℃〕、t−ブチルクミルパーオキサイド〔176℃〕、ジクミルパーオキサイド〔171℃〕、α−α’ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン〔179℃〕、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン〔179℃〕、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3〔193℃〕、ベンゾイルパーオキサイド〔130℃〕、クミルパーオキシネオデカネート〔93.3℃〕、t−ブチルパーオキシベンゾエート〔170℃〕、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン〔162℃〕、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート〔158℃〕、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート〔172℃〕等が挙げられる。
なお、括弧内の温度は、1分間半減期温度を表す。これ等の有機過酸化物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いても良い。
【0013】
これ等の有機過酸化物の配合量は、必要とされる架橋度などに応じて決定されるが、一般に、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲で配合されるのが好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部の範囲である。有機過酸化物の配合量が少なすぎると、樹脂の架橋が起こらず、逆に有機過酸化物の配合量が多すぎると、得られる成形品の中に分解残滓が残るようになる。
【0014】
本発明において用いられるアゾジカルボンアミドは、熱分解温度が約200℃の発泡剤であり、その粒径は特に限定されないが、微細気泡が得られやすいことから粒径0.1〜50μの範囲が好ましい。また、アゾジカルボンアミドの粒子形状についても特に限定されず、無定形、球状、角状等を用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物中に含有されるアゾジカルボンアミドの量は、必要とされる発泡倍率などに応じて決定されるが、好ましくは、熱可塑性樹脂100重量部に対して2〜40重量部の範囲とされ、より好ましくは5〜30重量部の範囲である。
【0015】
本発明において用いられる直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)及び直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)の脂肪酸は直鎖状であれば炭素数や飽和、不飽和は特に限定されないが、炭素数は8〜26が好ましく、10〜24がより好ましい。炭素数が8未満では発泡時の発煙性が大きく、炭素数が26を越えると発泡安定性の効果が小さい。
直鎖状高級脂肪酸を具体的に例示すると、ラウリル酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、ベヘニン酸(C22)等の飽和脂肪酸、オレイン酸(C18)、エルシン酸(C22)等の不飽和脂肪酸を挙げることができる。これらの直鎖状高級脂肪酸は単独でも2種類以上を併用しても構わない。
【0016】
直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)と直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)とは熱可塑性樹脂100重量部に対し、合計量で0.2〜5.0重量部配合され、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)と直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)の混合比は、(A):(B)が1:9〜9:1の範囲が発泡安定性及び高速発泡性に優れるので好ましく、(A):(B)が3:7〜7:3の範囲がより好ましい。
【0017】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて架橋助剤、抗酸化剤、可塑剤、顔料、無機充填剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤等の公知の添加剤が配合されていてもよい。
【0018】
抗酸化剤としては、例えば、テトラキス〔メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)〕メタン、チオジプロピオン酸ジラウリル、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等が挙げられ、一般に、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.01〜1重量部の範囲で配合されるのが好ましい。
【0019】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、公知の方法を用いて得ることができる。例えば、バンバリーミキサー又はニーダー等の混練機や一軸もしくは二軸押し出し機を用いて、熱可塑性樹脂、有機過酸化物、アゾジカルボンアミド、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)、及び直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)を、有機過酸化物やアゾジカルボンアミドの分解温度以下の温度で混合、混練する方法が挙げられる。
【0020】
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を、通常、シート状等の成形体に成形した後、アゾジカルボンアミドの分解温度以上、例えば240℃に加熱し、発泡させるものである。但し、異型成形体を加熱・発泡させてもよく、場合によっては、加熱・発泡と成形とを略同時に行う方法を採用することも可能である。
熱可塑性樹脂組成物をシート状に成形する方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、Tダイ成形、カレンダー成形、熱プレス成形等を挙げることができる。また、加熱・発泡方法としては特に限定されず、例えば、シート状成形体に熱風を吹き付けて連続的に発泡させる方法や、金型内で加圧しながら伝熱により加熱し発泡させるバッチ発泡方法等を挙げることができる。
【0021】
(作用)
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、並びに、有機過酸化物、アゾジカルボンアミド、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)及び直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)が含有されしなるので、発泡体を製造する際に、発泡特性に優れ高い生産性を発揮できる。また、表面が白色で、気泡が均一微細な発泡体を得ることができる。
【0022】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
密度0.923g/cm3 、MFR1.5g/10分の高圧法低密度ポリエチレン100重量部に、有機過酸化物としてジクミルパーオキサイド0.7重量部、アゾジカルボンアミド(分解温度200℃、メジアン径13μm)15重量部、ステアリン酸マグネシウム0.8重量部、及びステアリン酸カルシウム0.8重量部を加え、加圧ニーダーを用いて樹脂温130℃で5分間混練し、ポリエチレン樹脂組成物を作製した。
このポリエチレン樹脂組成物を、シングル押し出し機を用いて溶融押出し、Tダイを用いて幅400mm、厚さ1.7mmのポリエチレン樹脂シートを作製した。
このポリエチレン樹脂シートを、予熱部10m、発泡炉10mを備えた熱風式発泡炉を用いて表1記載の条件下で連続的に、発泡温度240℃、250℃、260℃に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
【0023】
(実施例2)
ステアリン酸マグネシウムを1.2重量部及びステアリン酸カルシウムを0.4重量部とした以外は実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
(実施例3)
ステアリン酸マグネシウムを1.5重量部及びステアリン酸カルシウムを0.1重量部とした以外は実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
【0024】
(実施例4)
ステアリン酸マグネシウムを0.1重量部及びステアリン酸カルシウムを1.5重量部とした以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
(実施例5)
ステアリン酸マグネシウムを1.5重量部及びステアリン酸カルシウムを1.5重量部とした以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
(実施例6)
ステアリン酸マグネシウムの代りにエルカ酸マグネシウムを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
【0025】
(比較例1)
ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
(比較例2)
ステアリン酸マグネシウムを1.5重量部とし、ステアリン酸カルシウムは添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
【0026】
(比較例3)
ステアリン酸マグネシウムの代わりに12ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムの代わりに12ヒドロキシステアリン酸カルシウムを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
(比較例4)
ステアリン酸マグネシウム0.8重量部及びステアリン酸カルシウム0.8重量部の代わりに酸化マグネシウム1.6重量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
【0027】
実施例1〜6及び比較例1〜4における発泡条件と品質評価結果を、各々表1、及び表2に示した。
尚、各品質評価方法は以下に示すとおりである。
1) 発泡安定性:発泡炉における発泡体の浮揚状態を目視にて評価した。
○:発泡体がTD方向に振れることなく、安定していた。
△:発泡体がTD方向に多少振れたが、問題無く発泡出来た。
×:発泡体がTD方向に大きく振れ、巻きずれを生じた。
2) 発泡倍率:JIS K7112に従い、水中置換法による比重測定を行い、その逆数を発泡倍率とした。
【0028】
3) 黄色度:JIS K7105に従い、(有)東京電色社製の分光光度計を用いて反射法により黄色度(ΔYI)を測定した。数値が大きい程、黄色の度合いが著しいことを表す。
4) 破断強度:JIS K6767に従い、(株)オリエンテック社製の引張試験機テンシロンを用いて引張破断強度を測定した。
5) 破断伸び:JIS K6767に従い、(株)オリエンテック社製の引張試験機テンシロンを用いて引張破断伸びを測定した。
6) 圧縮強度:JIS K6767に従い、(株)オリエンテック社製の引張試験機テンシロンを用いて75%圧縮硬さを測定した。
【0029】
7) ゲル分率:ポリエチレン樹脂発泡体を120℃に調整したキシレン中に24時間浸漬した後、取り出し、80℃の真空オーブン中で6時間以上乾燥させ、次式により得られた値である。
ゲル分率=(乾燥後の発泡体重量)/(キシレン浸漬前の発泡体重量)
8) 気泡の平均断面積:ポリエチレン樹脂発泡体の長手方向に沿って切断した断面を光学顕微鏡にて観察し、厚み方向に4mm、長手方向に10mmの一定面積中の気泡数から次式に従い計算した
気泡の平均断面積(mm2)=40(厚み方向4mm×長手方向10mm)/気泡数尚、3)〜8)の評価は、発泡倍率が30倍で且つ生産性の高い条件、即ち、実施例1〜6では、発泡温度が250℃のサンプル、比較例1、2及び4では、発泡温度が240℃のサンプルについてのみ行った。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、有機過酸化物、アゾジカルボンアミド、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)、及び直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)が含有されてなるので、この熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、高い生産性をもって、外観に優れ(表面が白色で、気泡が均一微細)、又、剛性に優れている熱可塑性樹脂発泡体を提供することができる。
熱可塑性樹脂がポリエチレン系樹脂である場合は、コスト及び物性の総合的観点から、より好ましい熱可塑性樹脂発泡体を提供することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物が、熱可塑性樹脂100重量部に対し、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)と直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)とが合計量で0.2〜5.0重量部配合されてなり、且つ重量比(A):(B)が1:9〜9:1の範囲である場合は、上記効果を更に確実に奏し得る。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法は、本発明の熱可塑性樹脂組成物をアゾジカルボンアミドの分解温度以上に加熱し、発泡させるものであるので、比較的簡便な方法でありながら、外観に優れ(表面が白色で、気泡が均一微細)且つ剛性に優れた高品質の熱可塑性樹脂発泡体を、高い生産性をもって提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物及びその組成物を用いた熱可塑性樹脂発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂発泡体の一般的な製造方法として、熱可塑性樹脂に有機過酸化物及び発泡剤を混合混練し、シート状とした後、加熱することにより架橋及び発泡させる方法がある。
アゾジカルボンアミドは最も一般的な発泡剤として広く用いられているが、その分解温度が、ポリエチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂の融点に比べ非常に高い200℃前後であるため、生産時にいわゆる樹脂焼けや切断等のトラブルが発生することが多く、生産速度を向上させることが困難であった。また、樹脂の熱劣化による品質低下を惹起する場合もあった。
【0003】
これらの問題を解決するためには、発泡温度を低下させる必要がある。発泡温度を低下させる方法として、活性亜鉛華を添加する方法が一般的に知られており、少量の添加で発泡温度を大きく低下させることが可能なため、電離放射線による架橋では大変有効である。
しかし、有機過酸化物の熱分解による架橋においては、発泡温度の低下が大きすぎるため、架橋不足の段階で発泡が始まり、高品質の発泡体が得られないという問題があった。この問題を回避するため、低温で分解する架橋剤を用いたり、活性亜鉛華の添加量を少なくしたりする方法が考えられるが、低温で分解する架橋剤を用いれば、溶融混練や押し出しに支障をきたし、また、活性亜鉛華の添加量を少なくすれば、安定な発泡生産性が得られなくなるという問題があった。
【0004】
架橋剤として有機過酸化物を、発泡剤としてアゾジカルボンアミドを用いる場合に、発泡助剤として、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、又はヒドロキシ炭酸マグネシウムを用いて、均一なフォーム構造を有するポリオレフィンからなるフォームを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭55−78028号公報(特許請求の範囲、第2頁〜第3頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、本発明者の検討によれば、上記特許文献1記載の化合物をポリエチレン系樹脂に添加しても、実際には必ずしも満足する発泡安定性又は高い生産速度を得ることはできなかった。
本発明は、上記従来のアゾジカルボンアミド及び有機過酸化物を用いた熱可塑性樹脂組成物から架橋発泡体を工業的に生産する場合の問題点及び上記本発明者の知見に鑑み、高い生産性をもって熱可塑性樹脂発泡体を製造し得る熱可塑性樹脂組成物を提供すること、及びその熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提供することを目的として完成されたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、熱可塑性樹脂、並びに、有機過酸化物、アゾジカルボンアミド、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)及び直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)、が含有されてなる熱可塑性樹脂組成物を提供する。
また、請求項2記載の発明は、熱可塑性樹脂がポリエチレン系樹脂である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)と直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)とが合計量で0.2〜5.0重量部配合されてなり、且つ重量比(A):(B)が1:9〜9:1の範囲である請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成物を提供する。
更に、請求項4記載の発明は、請求項1〜3何れか1項記載の熱可塑性樹脂組成物をアゾジカルボンアミドの分解温度以上に加熱し、発泡させる熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提供する。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0009】
本発明において用いる熱可塑性樹脂は、有機過酸化物の分解により生成するラジカルによって3次元的な架橋構造形成され、且つ発泡により気泡構造を形成し維持できるものであれば特に限定されない。
例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセンなどの炭素数2〜6のオレフィンの単独重合体、および炭素数が2〜10のオレフィンから選ばれる2種以上のモノマーから構成されるオレフィン共重合体などのポリオレフィン系樹脂が挙げられる。共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。
これらのポリオレフィン系樹脂は1種のみでも、2種以上のブレンドでもよい。また、本発明の作用効果が阻害されない限り、ポリオレフィン系樹脂以外の高分子化合物をブレンドすることもできる。
【0010】
また、ポリオレフィン系樹脂以外では、ポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のアクリル系樹脂、ABS、ナイロン−6等のポリアミド系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂等を例示することができるが、有機過酸化物の分解により生成するラジカルによって架橋構造が形成されやすいという観点から、ポリエチレン系樹脂が好ましい。
【0011】
特に好ましいポリエチレン系樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等を例示することができる。
上記α−オレフィンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ブテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、オクテン等が挙げられ、好適に用いられる。これらのα−オレフィンは単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0012】
本発明で用いられる有機過酸化物としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン〔148℃〕、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン〔154℃〕、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン〔159℃〕、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート〔166℃〕、ジ−t−ブチルパーオキサイド〔186℃〕、t−ブチルクミルパーオキサイド〔176℃〕、ジクミルパーオキサイド〔171℃〕、α−α’ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン〔179℃〕、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン〔179℃〕、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3〔193℃〕、ベンゾイルパーオキサイド〔130℃〕、クミルパーオキシネオデカネート〔93.3℃〕、t−ブチルパーオキシベンゾエート〔170℃〕、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン〔162℃〕、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート〔158℃〕、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート〔172℃〕等が挙げられる。
なお、括弧内の温度は、1分間半減期温度を表す。これ等の有機過酸化物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いても良い。
【0013】
これ等の有機過酸化物の配合量は、必要とされる架橋度などに応じて決定されるが、一般に、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲で配合されるのが好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部の範囲である。有機過酸化物の配合量が少なすぎると、樹脂の架橋が起こらず、逆に有機過酸化物の配合量が多すぎると、得られる成形品の中に分解残滓が残るようになる。
【0014】
本発明において用いられるアゾジカルボンアミドは、熱分解温度が約200℃の発泡剤であり、その粒径は特に限定されないが、微細気泡が得られやすいことから粒径0.1〜50μの範囲が好ましい。また、アゾジカルボンアミドの粒子形状についても特に限定されず、無定形、球状、角状等を用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物中に含有されるアゾジカルボンアミドの量は、必要とされる発泡倍率などに応じて決定されるが、好ましくは、熱可塑性樹脂100重量部に対して2〜40重量部の範囲とされ、より好ましくは5〜30重量部の範囲である。
【0015】
本発明において用いられる直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)及び直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)の脂肪酸は直鎖状であれば炭素数や飽和、不飽和は特に限定されないが、炭素数は8〜26が好ましく、10〜24がより好ましい。炭素数が8未満では発泡時の発煙性が大きく、炭素数が26を越えると発泡安定性の効果が小さい。
直鎖状高級脂肪酸を具体的に例示すると、ラウリル酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、ベヘニン酸(C22)等の飽和脂肪酸、オレイン酸(C18)、エルシン酸(C22)等の不飽和脂肪酸を挙げることができる。これらの直鎖状高級脂肪酸は単独でも2種類以上を併用しても構わない。
【0016】
直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)と直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)とは熱可塑性樹脂100重量部に対し、合計量で0.2〜5.0重量部配合され、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)と直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)の混合比は、(A):(B)が1:9〜9:1の範囲が発泡安定性及び高速発泡性に優れるので好ましく、(A):(B)が3:7〜7:3の範囲がより好ましい。
【0017】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて架橋助剤、抗酸化剤、可塑剤、顔料、無機充填剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤等の公知の添加剤が配合されていてもよい。
【0018】
抗酸化剤としては、例えば、テトラキス〔メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)〕メタン、チオジプロピオン酸ジラウリル、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等が挙げられ、一般に、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.01〜1重量部の範囲で配合されるのが好ましい。
【0019】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、公知の方法を用いて得ることができる。例えば、バンバリーミキサー又はニーダー等の混練機や一軸もしくは二軸押し出し機を用いて、熱可塑性樹脂、有機過酸化物、アゾジカルボンアミド、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)、及び直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)を、有機過酸化物やアゾジカルボンアミドの分解温度以下の温度で混合、混練する方法が挙げられる。
【0020】
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を、通常、シート状等の成形体に成形した後、アゾジカルボンアミドの分解温度以上、例えば240℃に加熱し、発泡させるものである。但し、異型成形体を加熱・発泡させてもよく、場合によっては、加熱・発泡と成形とを略同時に行う方法を採用することも可能である。
熱可塑性樹脂組成物をシート状に成形する方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、Tダイ成形、カレンダー成形、熱プレス成形等を挙げることができる。また、加熱・発泡方法としては特に限定されず、例えば、シート状成形体に熱風を吹き付けて連続的に発泡させる方法や、金型内で加圧しながら伝熱により加熱し発泡させるバッチ発泡方法等を挙げることができる。
【0021】
(作用)
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、並びに、有機過酸化物、アゾジカルボンアミド、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)及び直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)が含有されしなるので、発泡体を製造する際に、発泡特性に優れ高い生産性を発揮できる。また、表面が白色で、気泡が均一微細な発泡体を得ることができる。
【0022】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
密度0.923g/cm3 、MFR1.5g/10分の高圧法低密度ポリエチレン100重量部に、有機過酸化物としてジクミルパーオキサイド0.7重量部、アゾジカルボンアミド(分解温度200℃、メジアン径13μm)15重量部、ステアリン酸マグネシウム0.8重量部、及びステアリン酸カルシウム0.8重量部を加え、加圧ニーダーを用いて樹脂温130℃で5分間混練し、ポリエチレン樹脂組成物を作製した。
このポリエチレン樹脂組成物を、シングル押し出し機を用いて溶融押出し、Tダイを用いて幅400mm、厚さ1.7mmのポリエチレン樹脂シートを作製した。
このポリエチレン樹脂シートを、予熱部10m、発泡炉10mを備えた熱風式発泡炉を用いて表1記載の条件下で連続的に、発泡温度240℃、250℃、260℃に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
【0023】
(実施例2)
ステアリン酸マグネシウムを1.2重量部及びステアリン酸カルシウムを0.4重量部とした以外は実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
(実施例3)
ステアリン酸マグネシウムを1.5重量部及びステアリン酸カルシウムを0.1重量部とした以外は実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
【0024】
(実施例4)
ステアリン酸マグネシウムを0.1重量部及びステアリン酸カルシウムを1.5重量部とした以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
(実施例5)
ステアリン酸マグネシウムを1.5重量部及びステアリン酸カルシウムを1.5重量部とした以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
(実施例6)
ステアリン酸マグネシウムの代りにエルカ酸マグネシウムを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
【0025】
(比較例1)
ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
(比較例2)
ステアリン酸マグネシウムを1.5重量部とし、ステアリン酸カルシウムは添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
【0026】
(比較例3)
ステアリン酸マグネシウムの代わりに12ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムの代わりに12ヒドロキシステアリン酸カルシウムを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
(比較例4)
ステアリン酸マグネシウム0.8重量部及びステアリン酸カルシウム0.8重量部の代わりに酸化マグネシウム1.6重量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリエチレン樹脂組成物を作製し、シート状とした後に加熱し、発泡させることにより、ポリエチレン樹脂発泡体を得た。
【0027】
実施例1〜6及び比較例1〜4における発泡条件と品質評価結果を、各々表1、及び表2に示した。
尚、各品質評価方法は以下に示すとおりである。
1) 発泡安定性:発泡炉における発泡体の浮揚状態を目視にて評価した。
○:発泡体がTD方向に振れることなく、安定していた。
△:発泡体がTD方向に多少振れたが、問題無く発泡出来た。
×:発泡体がTD方向に大きく振れ、巻きずれを生じた。
2) 発泡倍率:JIS K7112に従い、水中置換法による比重測定を行い、その逆数を発泡倍率とした。
【0028】
3) 黄色度:JIS K7105に従い、(有)東京電色社製の分光光度計を用いて反射法により黄色度(ΔYI)を測定した。数値が大きい程、黄色の度合いが著しいことを表す。
4) 破断強度:JIS K6767に従い、(株)オリエンテック社製の引張試験機テンシロンを用いて引張破断強度を測定した。
5) 破断伸び:JIS K6767に従い、(株)オリエンテック社製の引張試験機テンシロンを用いて引張破断伸びを測定した。
6) 圧縮強度:JIS K6767に従い、(株)オリエンテック社製の引張試験機テンシロンを用いて75%圧縮硬さを測定した。
【0029】
7) ゲル分率:ポリエチレン樹脂発泡体を120℃に調整したキシレン中に24時間浸漬した後、取り出し、80℃の真空オーブン中で6時間以上乾燥させ、次式により得られた値である。
ゲル分率=(乾燥後の発泡体重量)/(キシレン浸漬前の発泡体重量)
8) 気泡の平均断面積:ポリエチレン樹脂発泡体の長手方向に沿って切断した断面を光学顕微鏡にて観察し、厚み方向に4mm、長手方向に10mmの一定面積中の気泡数から次式に従い計算した
気泡の平均断面積(mm2)=40(厚み方向4mm×長手方向10mm)/気泡数尚、3)〜8)の評価は、発泡倍率が30倍で且つ生産性の高い条件、即ち、実施例1〜6では、発泡温度が250℃のサンプル、比較例1、2及び4では、発泡温度が240℃のサンプルについてのみ行った。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、有機過酸化物、アゾジカルボンアミド、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)、及び直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)が含有されてなるので、この熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、高い生産性をもって、外観に優れ(表面が白色で、気泡が均一微細)、又、剛性に優れている熱可塑性樹脂発泡体を提供することができる。
熱可塑性樹脂がポリエチレン系樹脂である場合は、コスト及び物性の総合的観点から、より好ましい熱可塑性樹脂発泡体を提供することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物が、熱可塑性樹脂100重量部に対し、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)と直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)とが合計量で0.2〜5.0重量部配合されてなり、且つ重量比(A):(B)が1:9〜9:1の範囲である場合は、上記効果を更に確実に奏し得る。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法は、本発明の熱可塑性樹脂組成物をアゾジカルボンアミドの分解温度以上に加熱し、発泡させるものであるので、比較的簡便な方法でありながら、外観に優れ(表面が白色で、気泡が均一微細)且つ剛性に優れた高品質の熱可塑性樹脂発泡体を、高い生産性をもって提供することができる。
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂、並びに、有機過酸化物、アゾジカルボンアミド、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)及び直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)、が含有されてなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂がポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂100重量部に対し、直鎖状高級脂肪酸マグネシウム塩(A)と直鎖状高級脂肪酸カルシウム塩(B)とが合計量で0.2〜5.0重量部配合されてなり、且つ重量比(A):(B)が1:9〜9:1の範囲であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜3何れか1項記載の熱可塑性樹脂組成物をアゾジカルボンアミドの分解温度以上に加熱し、発泡させることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
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