JP2004115499A - 1,3−ブタジエンとアクリル酸とからなるシクロヘキシルフェニルケトンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶媒の存在下または非存在下で1,3−ブタジエンとアクリル酸との[2+4]ディールス−アルダー反応を行い、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸を製造する段階と、前記3−シクロヘキセン−1−カルボン酸を水素化反応させてシクロヘキサンカルボン酸を製造する段階と、シクロヘキサンカルボン酸溶液中のシクロヘキサンカルボン酸を、分離精製過程を経ずに塩素化反応を行い、塩化シクロヘキサンカルボニルを製造する段階と、中間体及び副生成物の分離精製過程を経ずに同一反応器で塩化シクロヘキサンカルボニルのフリーデル−クラフツ反応によりシクロヘキシルフェニルケトンを製造する段階と、からなる。
【選択図】 なし
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、1,3−ブタジエンとアクリル酸とから分離精製過程を経ることなくシクロヘキシルフェニルケトンを製造する方法に関する。詳しくは、ベンゼンまたは非芳香族有機溶媒の存在、若しくは非存在下で1,3−ブタジエンとアクリル酸との[2+4]ディールス−アルダー(Diels−Alder)反応により3−シクロヘキセン−1−カルボン酸を製造した後、水素化反応によりシクロヘキサンカルボン酸を生成させた後、更に塩素化反応を行い、塩化シクロヘキサンカルボニルを生成させた後、分離精製過程を経ることなく同一反応器でフリーデル−クラフツ(Friedel−Crafts)反応を行い、高収率でシクロヘキシルフェニルケトンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シクロへキシルフェニルケトンは、不飽和炭化水素化合物の光重合反応及びポリオレフィンの光化学的架橋反応の光開始剤として用いられる1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの中間体として使用されている。
【0003】
光開始剤は、紫外線を用いて液状の原料を、固状の樹脂に瞬間的に変化させる硬化剤であり、紫外線塗料、紫外線インクなどに応用され、特殊な高光沢家具、包装紙の印刷、高光沢プラスチック床材の製造に用いられている。
【0004】
シクロヘキシルフェニルケトンを製造する従来の方法を説明する。安息香酸(ベンゾ酸)を高温、高圧の下で水素添加反応させた後、反応副生成物を除去する分離精製過程を経て、シクロヘキサンカルボン酸を製造し、精製されたシクロヘキサンカルボン酸を塩化シクロヘキサンカルボニルに転換させた後(非特許文献1参照)、無水三塩化アルミニウムの存在下でベンゼンとのフリーデル−クラフツ反応により製造する方法がある。この方法は高収率でシクロヘキシルフェニルケトンを製造できる方法ではあるが、安息香酸の水素化反応が高温、高圧を求めるため、生産設備の完備が困難であり、また水素化反応による副生成物が生成するために必ず分離精製過程を経なければならないという問題点があった。
【0005】
他の方法としては、シクロヘキサンカルボン酸と安息香酸とを炭酸マンガン(MnCO3)のようなマンガン塩触媒の存在下で高温(280℃から450℃)で反応させ、シクロへキシルフェニルケトンを製造する方法(特許文献1、特許文献2参照)が示されているが、反応温度が非常に高いため、生産設備の完備が困難である。
【0006】
また、シクロヘキサンカルボン酸と安息香酸とを、アルカリ酸化物を含む酸化チタン触媒を使用する反応でシクロへキシルフェニルケトンを製造する方法(特許文献3参照)も提示されたが、選択率が劣るという問題点があった。又、シクロヘキサンカルボン酸と安息香酸とでシクロへキシルフェニルケトンを製造する別の方法(特許文献4参照)が開示された。この方法はコバルト触媒存在下で200℃未満の低い温度条件でシクロヘキシルフェニルケトンを製造しているが、その転換率は低い。
【0007】
他の方法としては、ポリリン酸の存在下でシクロヘキサンカルボン酸をベンゼンと反応させてシクロヘキシルフェニルケトンを製造する方法(特許文献5参照)が提示されたが、その収率は非常に低い。
【0008】
【非特許文献1】
Organic Synthesis,col.vol.IV,339−342
【特許文献1】
英国特許第1,030,003号
【特許文献2】
英国特許第1,063,268号
【特許文献3】
米国特許第4,950,763号
【特許文献4】
米国特許第3,660,491号
【特許文献5】
英国特許第1,066,542号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは高選択率と高収率でシクロヘキシルフェニルケトンを製造する方法を模索した結果、出発物質として1,3−ブタジエンとアクリル酸を用いて[2+4]ディールス−アルダー反応を行い、同一反応器で水素化反応、塩素化反応、及びフリーデル−クラフツ反応の順に行うことによって、反応途中の中間体及び副生成物の分離精製過程を経ることなくかつ、高収率と高い選択率で製造することが可能な産業的に非常に有用なシクロヘキシルフェニルケトンの製造方法を開発するに至った。
【0010】
本発明の目的は、副生成物の生成を抑制して中間体の分離精製を行わずに、また、用いられる触媒に影響されずに高収率かつ高選択率でシクロヘキシルフェニルケトンを製造する方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するため本発明のシクロヘキシルフェニルケトンの製造方法は、溶媒の存在下または非存在下で1,3−ブタジエンとアクリル酸との[2+4]ディールス−アルダー反応を行い、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸を製造する段階と、前記3−シクロヘキセン−1−カルボン酸を水素化反応させてシクロヘキサンカルボン酸を製造する段階と、前記シクロヘキサンカルボン酸溶液からシクロヘキサンカルボン酸を分離精製せずに塩素化反応により塩化シクロヘキサンカルボニルを製造する段階と、中間体及び副生成物の分離精製を行わずに、同一反応器で連続的に塩化シクロヘキサンカルボニルとのフリーデル−クラフツ反応でシクロヘキシルフェニルケトンを製造する段階と、からなることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳しく説明する。
【0013】
本発明はシクロヘキシルフェニルケトンを1,3−ブタジエンとアクリル酸から同一反応器で中間体及び副生成物の分離精製を行わず製造する方法に関する。
【0014】
本発明による製造方法の反応メカニズムは、以下の化学式で示される。
【0015】
【化1】
【0016】
化学式1より、本発明のシクロヘキシルフェニルケトンの製造方法は、まず、1,3−ブタジエンとアクリル酸を用いて溶媒の存在下または、非存在下で副反応が起こらない条件で[2+4]ディールス−アルダー反応を実施して3−シクロヘキセン−1−カルボン酸を製造し、水素を用いた水素化反応を行い、シクロヘキサンカルボン酸を非常に高い転換率で製造する。その後、シクロヘキサンカルボン酸反応液から生成物を分離精製せずに塩化チオニル等の塩化物を添加して、比較的低い温度で反応させて塩化シクロヘキサンカルボニルを製造し、この溶液に直接無水三塩化アルミニウムを添加してフリーデル−クラフツ反応でシクロヘキシルフェニルケトンを製造する。即ち、中間段階で中間体及び副生成物を分離せず、最終生成物のシクロヘキシルフェニルケトンだけを分離する製造方法であり、各段階における生成物の分離精製過程を必要としないため全体工程が短縮されるという効果があり、高収率でシクロヘキシルフェニルケトンを製造できる。
【0017】
最初の反応である1,3−ブタジエンとアクリル酸の[2+4]ディールス−アルダー反応では、溶媒を使用しても使用しなくてもよいが、溶媒を使用する場合には、最終生成物の製造段階を考慮した溶媒のベンゼンを用いるか、あるいはフリーデル−クラフツ反応に影響しない非芳香族有機溶媒を選択して最終段階での副反応を遮断させることが好ましい。このような溶媒系は、水素化反応と塩素化反応及びフリーデル−クラフツ反応時に副生成物の問題を発生させない。
【0018】
ここで、非芳香族有機溶媒としては脂肪族炭化水素類、即ち、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどとテトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エーテル類などを単独または、混合溶媒として使用できる。
【0019】
反応条件は1,3−ブタジエン及びアクリル酸の重合禁止剤を添加して副反応を抑制し、反応温度と反応物の比率を調節してアクリル酸の反応転換率を99%以上に調節するのが好ましい。具体的には反応温度を80℃から200℃、好ましくは、120℃から150℃の範囲に設定して反応を行う。
【0020】
ここで、重合禁止剤としては4−t−ブチルカテコールが好ましい。反応物の1,3−ブタジエンは、アクリル酸とのモル比が1:1.1から1:2の範囲で用いる。好ましくは、1:1.2から1:1.5モル比が適切である。
【0021】
反応が完結した後、反応液に不均一水素化触媒類を一定量投入し、反応温度80から120℃、水素圧力80psiから120psiの条件で水素化反応を行いシクロヘキサンカルボン酸を製造する。このとき、使用可能な不均一水素化触媒類は白金(Pt/C)及びパラジウム(Pd/C)などが好ましい。
【0022】
次に、水素化反応により製造されたシクロヘキサンカルボン酸溶液に塩化チオニルまたは、三塩化リンのような塩化物を添加する。この時のシクロヘキサンカルボン酸1モルに対し、1−3モル比、好ましくは1−2モル比で添加して塩素化反応を行い、塩化シクロヘキサンカルボニルを定量的に製造する。
【0023】
この反応液中の塩化物を除去せずに反応液中に、無水三塩化アルミニウムを塩化シクロヘキサンカルボニルに対し、1−3モル比で添加し、反応溶媒がベンゼンではない場合には、ベンゼンを塩化シクロヘキサンカルボニル対比1−3モル比で添加してフリーデル−クラフツ反応で最終生成物のシクロヘキシルフェニルケトンを製造する。
【0024】
本発明の特徴は、最終生成物の製造における反応中間段階で、中間体及び副生成物の分離精製過程を経ないことである。これにより、高選択率及び高収率でシクロヘキシルフェニルケトンを製造することができる。
【0025】
本発明の[2+4]ディールス−アルダー反応と水素化反応は圧力反応器で行い、塩素化反応とフリーデル−クラフツ反応は常圧下で行う。
【0026】
反応物の分析は核磁気共鳴(NMR)スペクトルとガスクロマトグラフィー質量分析検出器(GC−MSD)を用いて確認し、ガスクロマトグラフィーを用いて定量分析値を確認するために以下のような条件で分析し、内部標準物質はn−ドデカンを用い、成分比は面積比を換算して用いた。ガスクロマトグラフィーのカラムには、キャピラリーカラム(Capillary column−ULTRA 1、長さ50m、内径0.22mm、液膜の厚さ0.33μm)を用い、キャリアーガスに窒素ガス(圧力18psi、流速38ml/min)を用いた。試料を、分割注入法(分割比50:1)にて注入し、測定温度150℃から280℃(昇温速度は150℃から200℃は5℃/min、200℃から280℃は10℃/min)で測定を行った。なお、検出は、水素炎イオン化検出器(FID)を用いて検出を行った。
【0027】
【実施例】
本発明の実施例を詳しく説明すると以下のようであるが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
[実施例1]
1L圧力反応器にアクリル酸72g(1mol)、4−t−ブチルカテコール0.35g、ベンゼン288gを入れ、1,3−ブタジエン70g(1.3mol)、を注入した後、温度を120℃に上げて2時間反応させ、NMRを用いて3−シクロヘキセン−1−カルボン酸を確認した。ガスクロマトグラフィーの分析結果より、生成物である3−シクロヘキセン−1−カルボン酸の収率は、99%以上であった。なお、NMRのプロトンのピークの帰属は以下の通りである。
【0029】
1H NMR(CDCl3):δ1.70−1.82(m,1H)、1.94−2.35(m,5H)、2.49−2.75(m,1H)、5.59−5.79(m,2H)
【0030】
(1)得られた3−シクロヘキセン−1−カルボン酸溶液に、3%の不均一水素化触媒(Pd/C)3.2g(3−シクロヘキセン−1−カルボン酸の2.5wt%)を入れた後、水素圧120psi、温度100℃で水素化反応を行った。ガスクロマトグラフィーの分析結果より、生成物であるシクロヘキサンカルボン酸への転換率は、99%以上であった。なお、NMRのプロトンのピークの帰属は以下の通りである。
【0031】
1H NMR(CDCl3):δ1.18−2.34(m,10H)、2.35−2.40(m,1H)
【0032】
(2)得られたシクロヘキサンカルボン酸溶液(20.0g:シクロヘキサンカルボン酸6.95g,0.054mol)と内部標準物質のn−ドデカン(1.0g)とを、コンデンサーと水分分離機(Dean−Stark Waterseparator)とが設置された反応器に入れ、ベンゼン90mlを添加した後、窒素雰囲気で約25mlのベンゼンを蒸留して内部溶液を無水状態にした。反応溶液の温度を常温まで冷却した後、塩化チオニル6.0ml(9.8g,0.082mol)を入れ、1時間還流を行った。
【0033】
反応の後、塩化シクロヘキサンカルボニルの生成を確認するために反応液の一部を採り、少量のトリエチルアミンを含んだメタノールと反応させた。生成したシクロヘキサンカルボン酸メチルの生成量をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンカルボン酸からの転換率は99%以上であり又、選択率も99%以上であったことが示された。
【0034】
(3)得られた塩化シクロヘキサンカルボニル溶液を、水/氷湯煎器を用いて内部温度を3℃以下で無水三塩化アルミニウム10.86g(0.081mol)を入れ20分間撹拌した。水/氷湯煎器を除去してから温度を徐々に上げて1時間還流を行った。ガスクロマトグラフィーの分析結果より、生成物であるシクロヘキシルフェニルケトンの選択率は、99%以上であり、塩化シクロヘキサンカルボニルからの転換率は99%であった。NMRのプロトンのピークの帰属は以下の通りである。
【0035】
1H NMR(CDCl3):δ1.22−1.59(m,4H)、1.71−1.92(m,6H)、3.19−3.32(m,1H)、7.41−7.58(m,3H)、7.92−7.97(m,2H)
【0036】
[実施例2]
前記実施例1の(1)において、溶媒を使用せずに実施していることを除いては実施例1と同様に実施した結果、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸を99%の収率で得た。水素化反応、塩素化反応、フリーデル−クラフツ反応は実施例1と同様に実施した結果、ガスクロマトグラフィーの分析結果より、シクロヘキシルフェニルケトンの選択率は99%であった。なお、塩化シクロヘキサンカルボニルからの転換率は99%であった。
【0037】
[実施例3]
前記実施例1の(2)において同一の反応で、シクロヘキサンカルボン酸に対する塩化チオニルのモル比を変化させながら前記実施例1と同様の方法で反応を行った。得られた塩化シクロヘキサンカルボニルは以下の表1のような結果が得られた。
【0038】
【表1】
【0039】
その後、フリーデル−クラフツ反応を前記実施例1と同様の方法で行った。ガスクロマトグラフィーの分析結果より、得られたシクロヘキシルフェニルケトンの選択率は99%であり、塩化シクロヘキサンカルボニルからの転換率は99%であった。
【0040】
[実施例4]
前記実施例1の(2)において、塩化化合物として塩化チオニルの代わりに三塩化リンを用いた。具体的には、シクロヘキサンカルボン酸溶液20.0g(シクロヘキサンカルボン酸6.95g,0.054mol)に、内部標準物質のn−ドデカン(1.0g)を、コンデンサーと水分分離機とが設置された反応器に入れ、ベンゼン90mlを添加した後、窒素雰囲気下で約25mlのベンゼンを蒸留して内部溶液を無水状態にした。反応溶液の温度を常温まで冷却した後、三塩化リン2.4ml(3.77g,0.027mol)を加え、1時間還流を行った。その後、塩化シクロヘキサンカルボニルの生成を確認するために反応液の一部を採り少量のトリエチルアミンを含んだメタノールと反応させた。前記反応で生成したシクロヘキサンカルボン酸メチルの生成量をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンカルボン酸からの転換率は99%以上であり又、選択率も99%以上で塩化シクロヘキサンカルボニルが生成されたことが示された。
【0041】
その後、同一反応容器でフリーデル−クラフツ反応を前記実施例1と同様の方法で行った。ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、得られたシクロヘキシルフェニルケトンの選択率は99%であり、塩化シクロヘキサンカルボニルからの転換率は99%であった。
【0042】
[実施例5]
前記実施例1の(3)において、同一の反応で、塩化シクロヘキサンカルボン酸に対する無水三塩化アルミニウムのモル比を変化させながら前記実施例1と同様の方法で反応を行った。得られたシクロヘキサンフェニルケトンを以下の表2のように得た。
【0043】
【表2】
【0044】
[実施例6]
前記実施例1において溶媒のベンゼンの代わりにn−ヘキサンを用いた。具体的には、1L圧力反応器にアクリル酸72g(1.0mol)、4−t−ブチルカテコール0.35g、n−ヘキサン288gを入れ、1,3−ブタジエン70g(1.3mol)を注入した後、温度を120℃に上げて2時間反応させた後、ガスクロマトグラフィーで分析した結果より、得られた3−シクロヘキセン−1−カルボン酸の収率は99%であった。
【0045】
生成した3−シクロヘキセン−1−カルボン酸溶液に3%の不均一水素化触媒(Pd/C)3.2g(3−シクロヘキセン−1−カルボン酸の2.5wt%)を入れた後に、水素圧120psi、温度100℃で水素化反応を行った。ガスクロマトグラフィーの分析結果より、生成物であるシクロヘキサンカルボン酸への転換率は99%以上であった。
【0046】
得られたシクロヘキサンカルボン酸溶液25ml(シクロヘキサンカルボン酸6.0g,0.047mol)と、内部標準物質のn−ドデカン(1.0g)とを、コンデンサーと水分分離機とが設置された反応器に入れ、ベンゼン30mlとn−ヘキサン60mlとを添加した後に、窒素雰囲気で約25mlのn−ヘキサンを蒸留して内部溶液を無水状態にした。反応溶液を常温まで冷却した後に、塩化チオニル3.4ml(5.55g,0.047mol)を入れ、1時間還流を行った。その後、塩化シクロヘキサンカルボニルの生成を確認するために反応液の一部を採り、少量のトリエチルアミンを含んだメタノールと反応させた。前記反応で生成したシクロヘキサンカルボン酸メチルの生成量をガスクロマトグラフィーで分析した結果、シクロヘキサンカルボン酸からの転換率は99%以上であり又、選択率も99%以上で塩化シクロヘキサンカルボニルが生成したことが示された。
【0047】
得られた塩化シクロヘキサンカルボニル溶液を水/氷湯煎器を用いて内部温度3℃以下で無水三塩化アルミニウム9.36g(0.070mol)を入れ20分間攪拌し、水/氷湯煎器を除去した後に、温度を徐々に上げて1時間還流を行った。ガスクロマトグラフィーの分析結果より、生成物であるシクロヘキシルフェニルケトンの収率は、99%以上であり、塩化シクロヘキサンカルボニルからの転換率は99%であった。
【0048】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明は、ベンゼンまたは、非芳香族有機溶媒存在下、若しくは、非存在下で1,3−ブタジエンとアクリル酸との[2+4]ディールス−アルダー反応で3−シクロヘキセン−1−カルボン酸を製造した後、水素化反応を行ってシクロヘキサンカルボン酸を生成させ、塩素化反応を実施して塩化シクロヘキサンカルボニルを製造し、分離精製過程を経ずに同一反応器でフリーデル−クラフツ反応を行うことにより、高選択率と高収率で産業的に有用なシクロヘキシルフェニルケトンを製造することができるという効果がある。
Claims (8)
- 溶媒の存在下または非存在下で1,3−ブタジエンとアクリル酸との[2+4]ディールス−アルダー反応を行い、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸を製造する段階と、
前記3−シクロヘキセン−1−カルボン酸を水素化反応させシクロヘキサンカルボン酸を製造する段階と、
前記シクロヘキサンカルボン酸溶液中のシクロヘキサンカルボン酸を、分離精製過程を経ずに塩素化反応を行い、塩化シクロヘキサンカルボニルを製造する段階と、
中間体及び副生成物の分離精製過程を経ずに同一反応器で塩化シクロヘキサンカルボニルをフリーデル−クラフツ反応によりシクロヘキシルフェニルケトンを製造する段階と、
からなることを特徴とする1,3−ブタジエンとアクリル酸とからなるシクロヘキシルフェニルケトンの製造方法。 - [2+4]ディールス−アルダー反応の溶媒には、ベンゼンまたは非芳香族有機溶媒を用いることを特徴とする請求項1に記載の1,3−ブタジエンとアクリル酸とからなるシクロヘキシルフェニルケトンの製造方法。
- 非芳香族有機溶媒は、シクロヘキサン、ヘキサン、へプタン、オクタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン及びエーテルからなる群から選択される1種または2種以上のものであることを特徴とする請求項2に記載の1,3−ブタジエンとアクリル酸とからなるシクロヘキシルフェニルケトンの製造方法。
- [2+4]ディールス−アルダー反応は、重合禁止剤の存在下で80℃から200℃の反応温度範囲で行われ、水素化反応は、80℃から120℃の反応温度範囲及び、水素圧力80psiから120psi(1psi=1.45×10− 4Pa)の範囲で行われることを特徴とする請求項1に記載の1,3−ブタジエンとアクリル酸とからなるシクロヘキシルフェニルケトンの製造方法。
- 塩素化反応は、塩化チオニルまたは三塩化リンを用いて行われることを特徴とする請求項1に記載の1,3−ブタジエンとアクリル酸とからなるシクロヘキシルフェニルケトンの製造方法。
- 塩素化反応は、塩化チオニルまたは三塩化リンをシクロヘキサンカルボン酸に対し、当量比に1−2モル比だけ用いて行われることを特徴とする請求項1または4に記載の1,3−ブタジエンとアクリルと酸からなるシクロヘキシルフェニルケトンの製造方法。
- フリーデル−クラフツ反応は、無水三塩化アルミニウム触媒存在下で行われることを特徴とする請求項1に記載の1,3−ブタジエンとアクリルと酸からなるシクロヘキシルフェニルケトンの製造方法。
- フリーデル−クラフツ反応は、無水三塩化アルミニウムと塩化シクロヘキサンカルボニルに対し、1−3モル比だけ用いて行われることを特徴とする請求項1または7に記載の1,3−ブタジエンとアクリルと酸からなるシクロヘキシルフェニルケトンの製造方法。
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