JP2004114526A - 液体噴射装置 - Google Patents

液体噴射装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004114526A
JP2004114526A JP2002281611A JP2002281611A JP2004114526A JP 2004114526 A JP2004114526 A JP 2004114526A JP 2002281611 A JP2002281611 A JP 2002281611A JP 2002281611 A JP2002281611 A JP 2002281611A JP 2004114526 A JP2004114526 A JP 2004114526A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
factor
drive pulse
potential
pulse
standard
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002281611A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3988130B2 (ja
Inventor
Tomohiro Sayama
狭 山 朋 裕
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2002281611A priority Critical patent/JP3988130B2/ja
Publication of JP2004114526A publication Critical patent/JP2004114526A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3988130B2 publication Critical patent/JP3988130B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】インク(液体)の吐出特性に対する吐出影響因子の影響を考慮して、所望状態のインク滴(液体滴)をより確実にノズル開口から吐出させることができるインクジェット式記録装置、広くは液体噴射装置を提供すること。
【解決手段】吐出影響因子が標準状態にある場合に対応する標準駆動信号と、吐出影響因子の影響と、に基づいて、因子対応駆動信号が因子対応駆動信号生成手段51によって生成される。当該因子対応駆動信号の各駆動パルスの状態が電位状態検知手段52によって検知され、当該検知結果と、駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく前記圧力変動手段の駆動状態との関係と、が考慮されて、因子対応駆動信号の駆動パルスの波形形状が波形補正手段54によって補正される。圧力変動手段15は、このように補正された前記因子対応駆動信号に基づいて駆動される。
【選択図】 図10

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノズル開口から液体滴を吐出させる液体噴射装置に係り、とりわけ、1以上の駆動パルスを有する駆動信号に基づいて液体滴を吐出させることができる液体噴射装置に対して好適に利用することができるものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット式プリンタやインクジェット式プロッタ等のインクジェット式記録装置(液体噴射装置の一種)は、記録ヘッド(ヘッド部材)を主走査方向に沿って移動させると共に記録紙(液体被噴射媒体の一種)を副走査方向に沿って移動させ、この移動に連動して記録ヘッドのノズル開口からインク滴を吐出させることにより、記録紙上に画像(文字等を含む)を記録するようになっている。このインク滴の吐出は、例えば、ノズル開口に連通する圧力発生室を膨張・収縮させることによって行われるようになっている。
【0003】
インク滴を吐出させる際の圧力発生室の膨張・収縮は、例えば、圧電振動子の変形を利用して行われる。すなわち、記録ヘッドでは、供給される駆動パルスに応じて圧電振動子が変形し、これに伴って圧力発生室の容積が膨張・収縮する。そして、この容積変化によって圧力発生室内のインクに圧力変動が生じ、圧力発生室に連通するノズル開口からインク滴が吐出されるようになっている。
【0004】
ところで、上述のインクジェット式記録装置では、当該装置が設置される環境の温度(環境温度)等の様々な因子(吐出影響因子)が、インク滴の吐出特性に影響を及ぼす。例えば、環境温度が上昇すると、インクは粘度が低くなって流動性が増大するので、ノズル開口からインク滴が吐出されやすくなる。このため、圧電振動子に同一の駆動パルスが供給されたとしても、環境温度が標準状態(例えば25℃)よりも高い場合(例えば40℃)には、標準状態における場合よりも多量のインク滴がノズル開口から吐出されてしまう。
【0005】
このように、インクジェット式記録装置では、吐出影響因子の影響によってインク滴の吐出特性が変動してしまい、所望のインク滴をノズル開口から適切に吐出させることができない場合がある。このため、吐出影響因子の影響を考慮して駆動パルスを生成することにより、インク滴の吐出状態(インク滴の吐出量、吐出速度、等)の安定化が図られている。
【0006】
例えば、吐出影響因子が標準状態となっている場合に、第1駆動パルス(第1標準駆動パルス)と第2駆動パルス(第2標準駆動パルス)とが一連に接続して成る図15(a)に示す駆動信号(標準駆動信号)PAが生成されるようなインクジェット式記録装置について説明する。
【0007】
図15(a)に示された駆動信号の第1駆動パルスは、その電位が、中間電位Vcからスタートし(P11)、中間電位Vcから所定の勾配θDSで第1最低電位VLSまで下降し(P12)、第1最低電位VLSを所定時間保持する(P13)。次に、第1駆動パルスの電位は、第1最低電位VLSから所定の電圧勾配θCSをもって第1最高電位VHSまで上昇し(P14)、第1最高電位VHSを所定時間保持する(P15)。そして、第1最高電位VHSから再び所定の電圧勾配θBSをもって中間電位Vcまで下降する(P16)。
【0008】
一方、第2駆動パルスは、その電位が、第1駆動パルスと同様に中間電位Vcからスタートし(P21)、所定の電圧勾配θDLで第2最低電位VLLまで下降し(P22)、第2最低電位VLLを所定時間保持する(P23)。次に、第1駆動パルスの電位は、第2最低電位VLLから所定の電圧勾配θCLをもって第2最高電位VHLまで上昇し(P24)、第2最高電位VHLを所定時間保持する(P25)。そして、第2最高電位VHLから所定の電圧勾配θBLをもって再び中間電位Vcまで下降する(P26)。
【0009】
より詳細には、図15(a)に示された第1駆動パルスは、(中間電位Vcと第1最低電位VLSとの電位差):(中間電位Vcと第1最高電位VHSとの電位差)=7:3、となるように設定され、且つ、第1最高電位VHSと第1最低電位VLSとの電位差が16Vとなるように設定されている。このため、第1駆動パルスでは、中間電位Vcと第1最低電位VLSとの電位差である引き電圧VcSが11.20Vとなっている。一方、第2駆動パルスは、(中間電位Vcと第2最低電位VLLとの電位差):(中間電位Vcと第2最高電位VHLとの電位差)=4:6、となるように設定され、且つ、第2最高電位VHLと第2最低電位VLLとの電位差が27Vとなるように設定されている。このため、第2駆動パルスでは、中間電位Vcと第2最低電位VLLとの電位差である引き電圧VcLが10.80Vとなっている。
【0010】
このような駆動信号PAが生成されるインクジェット式記録装置において、環境温度が標準状態(例えば25℃)から40℃まで上昇した場合には、第1駆動パルスに対して0.9の補正係数が与えられると共に第2駆動パルスに対して0.8の補正係数が与えられる。
【0011】
これにより、環境温度が40℃となっている場合に生成される第1駆動パルス(第1因子対応駆動パルス)の電位は、標準状態における場合の0.9倍となり(図15(b)参照)、例えば標準状態では11.20Vであった引き電圧(電位差)は10.08Vとなる。また、環境温度が40℃となっている場合に生成される第2駆動パルス(第2因子対応駆動パルス)の電位は、標準状態における場合の0.8倍となり(図15(b)参照)、例えば標準状態では10.80Vであった引き電圧は、8.64Vとなる。
【0012】
このように、吐出影響因子の影響を考慮した駆動信号(因子対応駆動信号)を生成することによって、インク滴の吐出特性に対する吐出影響因子の影響を最小限に抑えることができ、インク滴の吐出状態の安定化が図られている。なお、環境温度等の吐出影響因子がインク滴吐出状態に対して及ぼす影響を抑制するために、様々な方法が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
【特許文献1】
特開平6−182997号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、環境温度等の吐出影響因子の影響を考慮して駆動信号を生成することにより、インク滴の吐出状態の安定化が図られている。
【0015】
しかしながら、吐出影響因子の影響を考慮して駆動信号を生成した場合であっても、当該駆動信号を構成する駆動パルス(因子対応駆動パルス)の電位状態が、標準状態における場合の駆動パルス(標準駆動パルス)の電位状態と少なからず異なるものとなってしまった場合には、標準状態における場合と略同一のインク滴吐出状態を確保することが難しい場合がある。
【0016】
図9は、圧電振動子に供給される駆動電位と圧電振動子の変位量との関係(変位特性)の一例を示したグラフであり、標準駆動パルスの引き電圧の一例(図中(A))と、吐出影響因子の影響を考慮して生成した駆動パルスの引き電圧の一例(図中(B))とが表されている。図9において、X軸は駆動電位を示し、Y軸は圧電振動子の変位量を示しており、圧電振動子の変位量は、駆動電位が0Vの場合における圧電振動子の大きさが基準とされている。
【0017】
図9に図示された例では、駆動電位が増大するほど圧電振動子の変位量の変化率は減少しており、圧電振動子の駆動電位と変位量とは非線形な関係を有している。このため、標準駆動パルスの電位状態と、吐出影響因子の影響を考慮して生成された駆動パルスの電位状態と、が異なる場合には、各々に対応する圧電振動子の変位量が変わってしまうことがある(例えば、図9のδ及びδ参照)。従って、吐出影響因子の影響を考慮して生成した駆動パルスであっても、圧電振動子の変位量の変動のために、標準状態における場合と略同一のインク吐出状態でインク滴を吐出させることができない場合がある。
【0018】
このような非線形な関係を有する圧電振動子の変位特性の影響を抑制するために、圧電振動子の変位特性に応じて駆動パルスの中間電位を調整することによって、インク滴の吐出状態の安定化が図られることがある(例えば、特開2001−138551参照)。この方法によれば、吐出影響因子の影響を考慮して生成した駆動パルスの電位状態が当該駆動パルスについて、中間電位を調整して当該駆動パルス全体の電位を上下動させることにより、インク滴の吐出特性に対する圧電振動子の変位特性の影響を抑制することが可能である。
【0019】
しかしながら、このような中間電位を調整する方法を用いても、非線形な関係を有する圧電振動子の変位特性に対して、十分に対応することができない場合がある。特に、2種類以上の駆動パルスが組み合わされて1つの駆動信号が形成される場合には、上述の中間電位を調整する方法では、非線形な関係を有する圧電振動子の変位特性に対して、十分に対応することができない場合がある。
【0020】
例えば、図15(a)に示されている駆動信号は、上述したように、標準状態(環境温度が25℃)において、第1駆動パルスの引き電圧が11.20Vとなっており、第2駆動パルスの引き電圧が10.80Vとなっている。従って、環境温度が標準状態にある場合には、第1駆動パルスの最低電位のほうが第2駆動パルスの最低電位よりも小さくなり、第1駆動パルスの最低電位のほうが第2駆動パルスの最低電位よりもグランド電位(例えば、0V)に近接している(図15(a)参照)。
【0021】
このような駆動信号PAに対して、環境温度が標準状態(25℃)から40℃まで上昇すると、上述したように、第1駆動パルスに対して0.9の補正係数が与えられると共に第2駆動パルスに対して0.8の補正係数が与えられ、引き電圧が10.08Vの第1駆動パルスが生成されると共に引き電圧が8.64Vの第2駆動パルスが生成される(図15(b)参照)。従って、駆動信号は、環境温度が40℃まで上昇した場合であっても、第1駆動パルスの最低電位のほうが第2駆動パルスの最低電位よりも小さく、第1駆動パルスの最低電位のほうが第2駆動パルスの最低電位よりもグランド電位に近接している。従って、グランド電位に対する第1駆動パルス及び第2駆動パルスの相対的近接関係は、標準状態における場合と同様といえる。このため、吐出影響因子の影響を考慮して駆動信号を生成した場合であっても、当該駆動信号を構成する駆動パルスの中間電位を調整することによって、グランド電位と第1駆動パルス及び第2駆動パルスとの関係を、比較的正確に、標準状態における場合と同様の関係に是正することが可能である。従って、環境温度が40℃となっていることの影響を考慮して駆動パルスを生成した場合であっても、中間電位を適宜調整することにより、圧電振動子の変位特性の影響を最小限に抑制することが可能である。
【0022】
ところが、環境温度が標準状態(25℃)から10℃まで下降すると、第1駆動パルスに対して1.1の補正係数が与えられると共に第2駆動パルスに対して1.3の補正係数が与えられる。これにより、引き電圧が12.32Vの第1駆動パルスが生成されると共に引き電圧が14.04Vの第2駆動パルスが生成される(図15(c)参照)。従って、環境温度が10℃まで下降した場合には、第2駆動パルスの最低電位のほうが第1駆動パルスの最低電位よりも小さくなり、第2駆動パルスの最低電位のほうが第1駆動パルスの最低電位よりもグランド電位に近接している。従って、グランド電位に対する第1駆動パルス及び第2駆動パルスの相対的近接関係は、標準状態における場合と異なってしまう。このような場合には、駆動信号の駆動パルスの中間電位を調整しても、グランド電位と第1駆動パルス及び第2駆動パルスとの関係を、標準状態における場合と同様の関係に是正することはできない。
【0023】
すなわち、環境温度(吐出影響因子)を考慮して図15(c)に示す駆動信号を生成した場合において、当該駆動信号を構成する駆動パルスの中間電位を調整して、第1駆動パルスの最低電位を、標準状態における場合と同程度にグランド電位に対して近接させた場合には、第2駆動パルスの最低電位がグランド電位よりも小さくなってしまうことがあり好ましくない。一方、第2駆動パルスの最低電位がグランド電位以上となる範囲おいて、第1駆動パルスの最低電位をグランド電位に対して近接させた場合には、グランド電位と第1駆動パルスの最低電位との関係は、依然として標準状態における場合と大きく異なる。このため、非線形な関係を有する圧電振動子の変位特性の影響を十分に抑制することができず、インク滴の吐出状態が不安定になってしまうことがある。
【0024】
このように、中間電位を調整する方法を用いた場合であっても、圧電振動子の駆動電位と変位量とに関する変位特性の影響を十分に抑制できず、ノズル開口からインク滴を安定に吐出させることが難しい場合がある。
【0025】
本発明は上述の内容を考慮してなされたものであり、インク滴(液体滴)の吐出特性に対する吐出影響因子の影響を考慮して、所望状態のインク滴(液体滴)をより確実にノズル開口から吐出させることができるインクジェット式記録装置、広くは液体噴射装置を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ノズル開口を有するヘッド部材と、前記ノズル開口の液体の圧力を変動させる圧力変動手段と、前記ノズル開口からの液体吐出特性に影響を及ぼす吐出影響因子の状態を検知する因子検知手段と、吐出影響因子が標準状態にある場合に対応する1以上の標準駆動パルスを有する標準駆動信号と、前記因子検知手段の検知結果と、に基づいて、1以上の因子対応駆動パルスを有する因子対応駆動信号を生成する因子対応駆動信号生成手段と、前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの電位状態を検知する電位状態検知手段と、駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく前記圧力変動手段の駆動状態との関係と、前記電位状態検知手段の検知結果と、を考慮して、前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの波形形状を補正する波形補正手段と、前記波形補正手段により補正された前記因子対応駆動信号に基づいて、前記圧力変動手段を駆動する圧力変動駆動手段と、を備えたこと特徴とする液体噴射装置である。
【0027】
本発明によれば、吐出影響因子の状態が考慮されて因子対応駆動信号が生成され、駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく前記圧力変動手段の駆動状態との関係と、前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの電位状態と、が考慮されて因子対応駆動信号が補正される。
【0028】
この場合、前記電位状態検知手段が検知する前記因子対応駆動パルスの電位状態、及び、前記圧力変動手段の駆動状態と関係づけられている駆動パルスの電位状態は、グランド電位を基準とした電位状態であることが好ましい。グランド電位を基準とすることで、各電位状態を検知したり考慮したりする場合の扱いが容易、明確なものとなり得る。
【0029】
また、駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく前記圧力変動手段の駆動状態との関係は、非線形な関係であることが好ましい。このような非線形な関係にある場合に、波形補正手段による因子対応駆動信号の補正が極めて効果的なものとなりうる。
【0030】
また、前記波形補正手段は、吐出影響因子が標準状態にある場合に前記標準駆動信号によって実現される液体吐出特性と略同一の液体吐出特性を実現するように、前記因子対応駆動信号を補正することが好ましい。このような補正を行って、吐出影響因子が標準状態にある場合と略同一の液体吐出特性で液体滴を吐出することができるようにすることで、吐出影響因子が標準状態から外れている状態であっても、より確実に所望の液体滴をノズル開口から吐出させることが可能となる。
【0031】
また、前記波形補正手段は、駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく前記圧力変動手段の駆動状態との関係を考慮して作成された、因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの電位状態と当該電位状態に基づいて補正されるべき補正後の因子対応駆動パルスの波形形状に関するデータとを対応付ける補正テーブルを有し、当該補正テーブルに基づいて前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの波形形状を補正することが好ましい。当該補正テーブルを用いることにより、波形補正手段による因子対応駆動信号の補正が簡素化されうる。
【0032】
また、前記波形補正手段は、前記因子対応駆動パルスの始端電位および終端電位を変えないで、前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの波形形状を補正することが好ましい。当該補正によれば、様々な因子対応駆動信号に対して柔軟に対応することができる。
【0033】
また、前記ヘッド部材は、前記ノズル開口に連通する圧力発生室と、前記圧力発生室の少なくとも一部を区画形成する振動板と、を有し、前記圧力変動手段は、供給される駆動パルスの電位に応じて変形して前記振動板を歪ませるアクチュエータを有しており、前記圧力変動駆動手段は、前記波形補正手段により補正された前記因子対応駆動信号に基づいて前記アクチュエータを駆動し、前記振動板を歪ませて前記ノズル開口の液体の圧力を変動させることが好ましい。
【0034】
この場合、前記アクチュエータは、圧電振動子であることが好ましい。また、圧電振動子以外のアクチュエータを用いることも可能であり、供給される駆動パルスの電位に応じて変形して前記振動板を歪ませるアクチュエータであればよい。
【0035】
また、前記吐出影響因子は、液体噴射装置が設置される環境の温度であることが好ましい。当該環境の温度が、前記ノズル開口からの液体吐出特性に対して特に影響を及ぼしうるからである。
【0036】
また、前記因子対応駆動信号生成手段に接続され、前記波形補正手段を制御する波形補正制御手段を更に備え、前記標準駆動信号は、最低電位が相対的に小さい第1標準駆動パルスと、最低電位が相対的に大きい第2標準駆動パルスと、を含み、前記因子対応駆動信号生成手段は、前記第1標準駆動パルスと前記因子検知手段の検知結果とに基づいて第1因子対応駆動パルスを生成すると共に、前記第2標準駆動パルスと前記因子検知手段の検知結果とに基づいて第2因子対応駆動パルスを生成し、前記波形補正制御手段は、前記第1因子対応駆動パルスの最低電位が前記第2因子対応駆動パルスの最低電位よりも大きい場合に、前記波形補正手段をして前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの波形形状を補正させることが好ましい。このようにして波形補正手段を制御することにより、特に補正が必要とされる因子対応駆動信号について補正することができ、効率的である。
【0037】
また、前記第1標準駆動パルス及び前記第1因子対応駆動パルスは、前記ノズル開口から小液体滴を吐出させるマイクロパルス波形に対応し、前記第2標準駆動パルス及び前記因子対応マイクロ駆動パルスは、前記ノズル開口から大液体滴を吐出させるラージパルス波形に対応することが好ましい。このような波形を有する標準駆動信号及び因子対応駆動信号が、広く用いられるので、効果的である。
【0038】
また、前記第1標準駆動パルス、前記第2標準駆動パルス、前記第1因子対応駆動パルス及び前記第2因子対応駆動パルスの各々の波形形状は、連続する第1傾斜部、電位維持部及び第2傾斜部を有することが好ましい。前記第1標準駆動パルス、前記第2標準駆動パルス、前記第1因子対応駆動パルス及び前記第2因子対応駆動パルスの各々の波形形状の一部乃至全部に連続する第1傾斜部、電位維持部及び第2傾斜部を有している場合に本発明を好適に適用しうる。
【0039】
また、前記第1標準駆動パルス、前記第2標準駆動パルス、前記第1因子対応駆動パルス及び前記第2因子対応駆動パルスの各々の波形形状は、連続する第1傾斜部、第1電位維持部、第2傾斜部、第2電位維持部及び第3傾斜部を有することが好ましい。このような連続する各傾斜部及び各電維持部を有している場合も本発明を好適に適用しうる。
【0040】
また、本発明は、ノズル開口を有するヘッド部材と、前記ノズル開口の液体の圧力を変動させる圧力変動手段と、前記ノズル開口からの液体吐出特性に影響を及ぼす吐出影響因子の状態を検知する因子検知手段と、を備えた液体噴射装置を制御する制御装置であって、吐出影響因子が標準状態にある場合に対応する1以上の標準駆動パルスを有する標準駆動信号と、前記因子検知手段の検知結果と、に基づいて、1以上の因子対応駆動パルスを有する因子対応駆動信号を生成する因子対応駆動信号生成手段と、前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの電位状態を検知する電位状態検知手段と、駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく前記圧力変動手段の駆動状態との関係と、前記電位状態検知手段の検知結果と、を考慮して、前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの波形形状を補正する波形補正手段と、前記波形補正手段により補正された前記因子対応駆動信号に基づいて、前記圧力変動手段を駆動する圧力変動駆動手段と、を備えたこと特徴とする制御装置である。
【0041】
前記の制御装置あるいは制御装置の各要素手段は、コンピュータシステムによって実現され得る。
【0042】
また、コンピュータシステムに各装置または各手段を実現させるためのプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体も、本件の保護対象である。
【0043】
ここで、記録媒体とは、フロッピーディスク等の単体として認識できるものの他、各種信号を伝搬させるネットワークをも含む概念である。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0045】
第1の実施の形態
図1乃至図9は、本発明の第1の実施の形態を示す図である。図1は、インクジェット式プリンタ(インクジェット式記録装置)の全体構成を示す概略図である。図2は、たわみ振動モードの圧電振動子を具備するインクジェット式記録ヘッドの構成を示す概略図である。図3は、インクジェット式プリンタの電気的構成を説明するための概略図である。図4は、インクジェット式記録ヘッドの電気駆動系を説明するための概略図である。図5は、駆動信号生成回路の構成を示す概略図である。図6は、標準駆動信号の有する駆動パルス(標準駆動パルス)の波形を示す図である。図7は、因子対応駆動信号の有する駆動パルス(因子対応駆動パルス)の波形を示す図である。図8は、波形補正手段の有する補正テーブルをグラフによって示した図である。図9は、駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく圧電振動子の変位量とを示す図である。
【0046】
本実施の形態のインクジェット式記録装置(液体噴射装置)は、インクジェット式プリンタ1であって、キャリッジ機構16と、紙送り機構17と、インクジェット式記録ヘッド10(ヘッド部材)と、を備えている(図3参照)。
【0047】
キャリッジ機構16は、図1に示すように、ガイド部材3に対して移動自在に取り付けられると共にインクジェット式記録ヘッド10及びインクカートリッジ11を搭載可能なキャリッジ2と、駆動プーリ4と遊転プーリ5との間に架け渡されると共にキャリッジ2に接続されたタイミングベルト6と、駆動プーリ4を回転させるパルスモータ7と、を備えている。
【0048】
このような構成を有するキャリッジ機構16によれば、パルスモータ7の作動により、キャリッジ2がガイド部材3に沿って主走査方向(記録紙8の幅方向)へ往復移動し、これに伴って、キャリッジ2に搭載されたインクジェット式記録ヘッド10も主走査方向へ往復移動するようになっている。
【0049】
紙送り機構17は、図1に示すように、記録紙8を副走査方向(記録紙8の長手方向)へ送り出すプラテン(紙送りローラー)34と、当該プラテン34を駆動する紙送りモータ35と、を備えている。このような構成を有する紙送り機構17は、インクジェット式記録ヘッド10の記録動作に連動させて、記録紙8を副走査方向へ順次送り出すことができるようになっている。
【0050】
インクジェット式記録ヘッド10は、図2に示すように、いわゆるたわみ振動モードの圧電振動子(アクチュエータ)15を具備する構造を有している。
【0051】
当該インクジェット式記録ヘッド10は、アクチュエータユニット60と、流路ユニット61と、アクチュエータユニット60と流路ユニット61との間に設けられた接着層62と、を備えており、アクチュエータユニット60と流路ユニット61とが接着層62によって一体化されて、形成されている。
【0052】
アクチュエータユニット60は、スペーサ部材63と、スペーサ部材63の裏面(上面)に配置された第1の蓋部材64と、スペーサ部材63の前面(下面)に配置された第2の蓋部材66と、第1の蓋部材64の裏面(上面)に共通電極67を介して配置された圧電振動子15と、を有している。
【0053】
スペーサ部材63は、圧力発生室73となる通孔を有するセラミック板であり、本実施の形態では、厚さが100マイクロメートル程度の板状のジルコニアによって構成されている。
【0054】
第1の蓋部材64は、弾性を有するセラミックの薄板が一般的に用いられており、本実施の形態では、厚さが6マイクロメートル程度のジルコニア(ZrO2)によって構成されている。
【0055】
第2の蓋部材66は、セラミック材であって、図2の左側において供給側連通孔68としての通孔を有すると共に、図2の右側において第1ノズル連通孔69としての通孔を有している。本実施の形態における第2の蓋部材66は、例えば、板状のジルコニアによって形成されている。
【0056】
なお、これらのスペーサ部材63と第1の蓋部材64と第2の蓋部材66とは、粘土状のセラミックス材料を所定の形状に成型した後に積層して焼成することによって、一体化した態様で形成されるようになっている。
【0057】
第1の蓋部材64の裏面(上面)には、圧電振動子15の共通電極67が形成され、この共通電極67には圧電振動子15が積層されている。圧電振動子15の裏面(上面)には、圧電振動子15の駆動電極70が設けられている。圧電振動子15には、1以上の駆動パルスを有する駆動信号が駆動電極70を介して供給されるようになっている。そして、圧電振動子15は、供給される駆動パルスの電位に応じて変形し、第1の蓋部材64を歪ませるようになっている。なお、圧電振動子15は、充電されることにより電界と直交する方向へ収縮し、放電されることにより電界と直交する方向へ伸長するようになっている。
【0058】
一方、流路ユニット61は、インク室形成基板71と、インク室形成基板71の前面側(下面側)に配置されたノズルプレート72と、インク室形成基板71の裏面側(上面側)に配置されたインク供給口形成基板74と、を有している。
【0059】
インク供給口形成基板74は、板状部材であって、図2の左側においてインク供給口75としての通孔を有すると共に、図2の右側において第1ノズル連通孔69としての通孔を有している。
【0060】
インク室形成基板71は、板状部材であって、インク室76としての通孔を有すると共に、図2の右側において第2ノズル連通孔77としての通孔を有している。
【0061】
ノズルプレート72は、薄い板状部材であって、図2の右側において多数(例えば、48個)のノズル開口65が副走査方向に沿って開設されている。本実施の形態におけるノズルプレート72は、例えばステンレス板によって形成されている。なお、ノズル開口65は、ドット形成密度に対応した所定ピッチで開設されている。
【0062】
インク室形成基板71とノズルプレート72との間、及び、インク室形成基板71とインク供給口形成基板74との間には、それぞれ、接着層62が設けられており、インク供給口形成基板74とインク室形成基板71とノズルプレート72とは、接着層62によって一体化されて形成されている。
【0063】
上述のような構成を有するインクジェット式記録ヘッド10では、流路ユニット61のインク室76とアクチュエータユニット60の供給側連通孔68とが、インク供給口75を介して連通している。また、供給側連通孔68と第1ノズル連通孔69とが、圧力発生室73を介して連通している。更に、ノズル開口65と第1ノズル連通孔69とが、第2ノズル連通孔77を介して連通している。このため、インクジェット式記録ヘッド10では、インク室76から圧力発生室73を経てノズル開口65に至る一連のインク流路が形成されている。なお、インク室76には、インクカートリッジからのインクが図示しないインク供給通路を介して供給されるようになっている。
【0064】
このようなインクジェット式記録ヘッド10において、圧電振動子15が充電され収縮すると、第1の蓋部材64が変形して、圧力発生室73は収縮させられるようになっている。一方、圧電振動子15が放電され伸長すると、第1蓋部材が戻り方向に変形して、圧力発生室73は膨張させられるようになっている。このため、圧電振動子15の充電・放電を調整して、例えば、圧力発生室73を一旦膨張させた後に収縮させることにより、圧力発生室73の室内の圧力は変動して上昇する。そして、この圧力発生室73の室内の圧力変動に伴ってノズル開口65の液体の圧力も変動し、ノズル開口65からインク滴が吐出されるようになっている。
【0065】
なお、ノズル開口65から吐出されるインク滴の吐出速度や吐出量等の吐出状態は、圧電振動子15に印加する駆動パルスの電位や波形に応じて変動する。このため、圧電振動子15に印加する駆動パルスを適宜選択して、圧電振動子15の圧電振動を調節することにより、ノズル開口65からのインク滴の吐出状態を調整することが可能である。また、同様にして、ノズル開口65からインク滴を吐出させない状態でメニスカス近傍のインクを微振動させることも可能である。
【0066】
更に、本実施の形態のインクジェット式プリンタ1には、当該インクジェット式プリンタ1が設置される環境の温度(環境温度)(吐出影響因子)の状態を検知する温度検知装置(因子検知手段)20が設けられている(図3参照)。当該温度検知装置20の検知結果は、後述されるプリントコントローラ23の外部インターフェース25を介して駆動信号生成回路(駆動信号生成手段)30に送られるようになっている。
【0067】
そして、印刷(記録)が行われていない状態が長時間に亘る場合等にキャリッジ2を待機させるホームポジション近傍には、キャリッジ2に搭載されたインクジェット式記録ヘッド10のノズル形成面66aを封止することができるキャッピング機構9が設けられている。
【0068】
次に、インクジェット式プリンタ1の電気的構成について図3を用いて説明する。
【0069】
本実施の形態のインクジェット式プリンタ1は、図3に示すように、プリンタコントローラ23と、プリントエンジン24と、を備えている。なお、プリンタコントローラ23およびプリントエンジン24の各々は、コンピュータシステムによって構成されている。
【0070】
プリンタコントローラ23は、外部インターフェース(外部I/F)25と、各種データを一時的に記憶するRAM26と、制御プログラム等を記憶したROM27と、CPU等を含んで構成された制御部28と、クロック信号(CK)を生成する発振回路29と、インクジェット式記録ヘッド10の電気駆動系46に供給するための駆動信号(COM)を生成する駆動信号生成回路30と、印刷データ(記録データ)に基づいて展開されたドットパターンデータ(ビットマップデータ)・駆動信号(COM)等をプリントエンジン24に送信する内部インターフェース(内部I/F)31と、を備えている。
【0071】
外部I/F25は、例えば、キャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータ等によって構成される印刷データを、図示しないホストコンピュータ等から受信するようになっている。また、ビシー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)が、外部I/F25を介して、ホストコンピュータ等に対して出力されるようになっている。更に、外部I/F25は、温度検知装置20の検知結果を受信して駆動信号生成回路30に送るようになっている。
【0072】
RAM26は、受信バッファ、中間バッファ、出力バッファ及びワークメモリ(図示せず)を有している。そして、受信バッファは、外部I/F25を介して受信した印刷データを一時的に記憶し、中間バッファは、制御部28により変換された中間コードデータを記憶し、出力バッファは、ドットパターンデータを記憶するようになっている。ここで、ドットパターンデータとは、中間コードデータ(例えば、階調データ)をデコード(翻訳)することにより得られる印字データである。
【0073】
ROM27には、各種データ処理を行わせるための制御プログラム(制御ルーチン)の他に、フォントデータ、グラフィック関数、等が記憶されている。
【0074】
制御部28は、ROM27に記憶された制御プログラムに従って各種の制御を行うようになっている。例えば、受信バッファ内の印刷データを読み出すと共にこの印刷データを変換して中間コードデータとし、当該中間コードデータを中間バッファに記憶させるようになっている。また、制御部28は、中間バッファから読み出した中間コードデータを解析し、ROM27に記憶されているフォントデータ及びグラフィック関数等を参照して、ドットパターンデータに展開(デコード)するようになっている。そして、制御部28は、必要な装飾処理を施した後に、このドットパターンデータを出力バッファに記憶させるようになっている。各ドットパターンデータは、階調情報として、この場合2ビットのデータからなる。すなわち、制御部28は、階調データ設定手段として機能する。
【0075】
インクジェット式記録ヘッド10の1回の主走査により記録可能な1行分のドットパターンデータが得られた場合、当該1行分のドットパターンデータが、順次、出力バッファから内部I/F31を介してインクジェット式記録ヘッド10に出力されるようになっている。出力バッファから1行分のドットパターンデータが出力されると、展開済みの中間コードデータが中間バッファから消去され、次の中間コードデータについての展開処理が行われるようになっている。
【0076】
さらに、制御部28は、タイミング信号発生手段の一部を構成し、内部I/F31を通じてインクジェット式記録ヘッド10にラッチ信号(LAT)やチャンネル信号(CH)を供給するようになっている。これらのラッチ信号やチャンネル信号は、駆動信号(COM)を構成するパルス信号の供給開始タイミングを規定する。
【0077】
一方、プリンタエンジン24は、キャリッジ機構16と、紙送り機構17と、インクジェット式記録ヘッド10と、を含んで構成されている。
【0078】
インクジェット式記録ヘッド10の電気駆動系46は、図3に示すように、第1シフトレジスタ36及び第2シフトレジスタ37からなるシフトレジスタ回路と、第1ラッチ回路39及び第2ラッチ回路40からなるラッチ回路と、デコーダ42と、制御ロジック43と、レベルシフタ44と、スイッチ回路45と、を有しており、駆動信号発生部から内部I/F31を介して送られてくる駆動信号に基づいて圧電振動子15を駆動するようになっている。
【0079】
これらの各シフトレジスタ、各ラッチ回路、デコーダ、スイッチ回路及び圧電振動子15は、それぞれ、図4に示すように、インクジェット式記録ヘッド10の各ノズル開口65毎に設けた第1シフトレジスタ36A〜36N、第2シフトレジスタ37A〜37N、第1ラッチ回路39A〜39N、第2ラッチ回路40A〜40N、テコーダ42A〜42N、スイッチ回路45A〜45N及び圧電振動子15A〜15Nから構成されている。
【0080】
インクジェット式記録ヘッド10は、このような電気駆動系46によって、プリンタコントローラ23からの印字データ(階調情報)に基づいてインク滴を吐出するようになっている。プリントコントローラ23からの印字データ(SI)は、発振回路29からのクロック信号(CK)に同期して、内部I/F31から第1シフトレジスタ36及び第2シフトレジスタ37にシリアル伝送される。
【0081】
プリンタコントローラ23からの印字データは、上記したように2ビットのデータである。具体的には、非記録、小ドット、中ドット、大ドットからなる4階調について、非記録が(00)であり、小ドットが(01)であり、中ドットが(10)であり、大ドットが(11)で表されている。
【0082】
このような印字データは、各ドット毎、即ち、各ノズル開口65毎に設定されるようになっている。そして、全てのノズル開口65に関して下位ビットのデータが第1シフトレジスタ36(36A〜36N)に入力され、全てのノズル開口65に関して上位ビットのデータが第2シフトレジスタ37(37A〜37N)に入力されるようになっている。
【0083】
図3及び図4に示すように、第1シフトレジスタ36には、第1ラッチ回路39が電気的に接続されている。同様に、第2シフトレジスタ37には、第2ラッチ回路40が電気的に接続されている。そして、プリントコントローラ23からのラッチ信号(LAT)が各ラッチ回路39,40に入力されると、第1ラッチ回路39は印字データの下位ビットのデータをラッチし、第2ラッチ回路40は印字データの上位ビットをラッチするようになっている。
【0084】
このように、第1シフトレジスタ36及び第1ラッチ回路39からなる回路ユニットと、第2シフトレジスタ37及び第2ラッチ回路40からなる回路ユニットは、それぞれが記憶回路として機能する。すなわち、これらの回路ユニットは、デコーダ42に入力される前の印字データ(階調情報)を一時的に記憶するようになっている。
【0085】
各ラッチ回路39、40でラッチされた印字データは、デコーダ42A〜42Nに入力される。デコーダ42は、2ビットの印字データ(階調データ)を翻訳してパルス選択データ(パルス選択情報)を生成する。パルス選択データは、階調データに等しいかそれよりも多い複数ビットで構成され、各ビットは駆動信号(COM)を構成する各駆動パルスに対応している。そして、各ビットの内容(例えば、(0),(1))に応じて、圧電振動子15に対する駆動パルスの供給/非供給が選択されるようになっている。なお、駆動信号(COM)についての詳細は後述される。
【0086】
一方、デコーダ42には、制御ロジック43からのタイミング信号も入力される。制御ロジック43は、制御部28と共にタイミング信号発生手段として機能し、ラッチ信号(LAT)やチャンネル信号(CH)に基づいてタイミング信号を生成する。
【0087】
デコーダ42によって翻訳されたパルス選択データは、上位ビット側から順に、タイミング信号によって規定されるタイミングが到来する毎にレベルシフタ44に入力される。例えば、記録周期における最初のタイミングではパルス選択データの最上位ビットのデータがレベルシフタ44に入力され、2番目のタイミングではパルス選択データにおける2番目のビットのデータがレベルシフタ44に入力される。
【0088】
レベルシフタ44は、電圧増幅器として機能し、パルス選択データが「1」の場合には、スイッチ回路45を駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の電圧に昇圧された電気信号を出力する。
【0089】
レベルシフタ44で昇圧された「1」のパルス選択データは、駆動パルス生成手段及び制御本体部として機能するスイッチ回路45に供給される。このスイッチ回路45は、印字データの翻訳により生成されたパルス選択データに基づき、駆動信号(COM)に含まれる駆動パルスを選択し、当該駆動パルスを圧電振動子15に供給するものである。従って、スイッチ回路45の入力側には、駆動信号生成回路30からの駆動信号(COM)が供給されるようになっており、その出力側には圧電振動子15が接続されている。
【0090】
パルス選択データは、スイッチ回路45の作動を制御する。例えば、スイッチ回路45に加わるパルス選択データが「1」である期間中は、スイッチ回路45が接続状態になり、駆動信号の駆動パルスが圧電振動子15に供給される。この結果、圧電振動子15の電位レベルが変化する。
【0091】
一方、スイッチ回路45に加わるパルス選択データが「0」の期間中は、レベルシフタ44からスイッチ回路45を作動させる電気信号が出力されない。このため、スイッチ回路45が切断状態になり、駆動信号の駆動パルスが圧電振動子15に供給されない。パルス選択データが「0」の期間においては、圧電振動子15は、パルス選択データが「0」に切り換わる直前の電位レベルを維持する。
【0092】
次に、駆動信号(COM)を生成する駆動信号生成回路30について図5を用いて説明する。
【0093】
駆動信号生成回路30は、図5に示すように、送られてくる温度検知装置20の検知結果を受信する因子対応駆動信号生成手段51と、因子対応駆動信号生成手段51に接続された電位状態検知手段52と、因子対応駆動信号生成手段51及び電位状態検知手段52に接続された波形補正制御手段53と、電位状態検知手段52及び波形補正制御手段53に接続された波形補正手段54と、を有している。
【0094】
本実施の形態の因子対応駆動信号生成手段51は、環境温度が標準状態(例えば25℃)にある場合に対応する2つの標準駆動パルスを有する標準駆動信号と、温度検知装置20の検知結果(例えば「環境温度=10℃」という結果)と、に基づいて、2つの因子対応駆動パルスを有する因子対応駆動信号を生成するようになっている。例えば、本実施の形態の因子対応駆動信号生成手段51は、図6に示すような標準駆動信号と温度検知装置20の検知結果とに基づいて、図7に示すような因子対応駆動信号を生成するようになっている。
【0095】
図6に示す標準駆動信号は、最低電位が相対的に小さい第1標準駆動パルスと、最低電位が相対的に大きい第2標準駆動パルスとを有し、図7に示す因子対応駆動信号は、第1標準駆動パルスと温度検知装置20の検知結果とに基づいて生成された第1因子対応駆動パルスと、第2標準駆動パルスと温度検知装置20の検知結果とに基づいて生成された第2因子対応駆動パルスとを有している。
【0096】
詳細には、第1標準駆動パルスは、図6に示すように、その電位が、中間電位Vcからスタートし(P11)、中間電位Vcから所定の勾配θDSで第1最低電位VLSまで下降し(P12)(第1傾斜部)、第1最低電位VLSを所定時間保持する(P13)(第1電位維持部)。次に、第1標準駆動パルスの電位は、第1最低電位VLSから所定の電圧勾配θCSをもって第1最高電位VHSまで上昇し(P14)(第2傾斜部)、第1最高電位VHSを所定時間保持する(P15)(第2電位維持部)。そして、第1最高電位VHSから所定の電圧勾配θBSをもって再び中間電位Vcまで下降する(P16)(第3傾斜部)。
【0097】
また、図6に示された第1標準駆動パルスは、(中間電位Vcと第1最低電位VLSとの電位差):(中間電位Vcと第1最高電位VHSとの電位差)=7:3、となるように設定され、且つ、第1最高電位VHSと第1最低電位VLSとの電位差が16Vとなるように設定されている。このため、第1標準駆動パルスでは、中間電位Vcと第1最低電位VLSとの電位差である引き電圧VcSが11.20Vとなっている。
【0098】
一方、第2標準駆動パルスは、その電位が、第1標準駆動パルスと同様に中間電位Vcからスタートし(P21)、所定の電圧勾配θDLで第2最低電位VLLまで下降し(P22)(第1傾斜部)、第2最低電位VLLを所定時間保持する(P23)(第1電位維持部)。次に、第2標準駆動パルスの電位は、第2最低電位VLLから所定の電圧勾配θCLをもって第2最高電位VHLまで上昇し(P24)(第2傾斜部)、第2最高電位VHLを所定時間保持する(P25)(第2電位維持部)。そして、第2最高電位VHLから所定の電圧勾配θBLをもって再び中間電位Vcまで下降する(P26)(第3傾斜部)。
【0099】
また、図6に示された第2標準駆動パルスは、(中間電位Vcと第2最低電位VLLとの電位差):(中間電位Vcと第2最高電位VHLとの電位差)=4:6、となるように設定され、且つ、第2最高電位VHLと第2最低電位VLLとの電位差が27Vとなるように設定されている。このため、第2標準駆動パルスでは、中間電位Vcと最低電位VLLとの電位差である引き電圧VcLが10.80Vとなっている。
【0100】
一方、「環境温度=10℃」の場合における第1因子対応駆動パルスは、第1標準駆動パルスに対して1.1の補正係数が与えられ、図7に示すように、第1標準駆動パルスの有する電位の1.1倍の電位を有することとなる。従って、第1因子対応駆動パルスは、第1最高電位VHS’と第1最低電位VLS’との電位差が17.6Vとなるように設定されると共に、引き電圧VcS’が12.32Vとなるように設定される。
【0101】
また、「環境温度=10℃」の場合における第2因子対応駆動パルスは、第2標準駆動パルスに対して1.3の補正係数が与えられ、図7に示すように、第2標準駆動パルスの有する電位の1.3倍の電位を有することとなる。従って、第2因子対応駆動パルスは、第2最高電位VHL’と第2最低電位VLL’との電位差が35.1Vとなるように設定されると共に、引き電圧VcL’が14.04Vとなるように設定される。
【0102】
そして、各因子対応駆動パルスの波形全体の形状を維持しながら、第1因子対応駆動パルスの始端電位及び終端電位と、第2因子対応駆動パルスの始端電位及び終端電位と、が同一の中間電位Vc’となるように調整することによって、因子対応駆動信号が生成される。本実施の形態では、各標準駆動パルスに対し補正係数が与えられて得られる、第1因子対応駆動パルスの始端電位及び終端電位、及び、第2因子対応駆動パルスの始端電位及び終端電位、のうち最も低い電位に、第1因子対応駆動パルス及び第2因子対応駆動パルスの始端電位及び終端電位を調整するようになっている。なお、各因子対応駆動パルスの始端電位及び終端電位を調整する方法は、いくつかの手法が考えられ、上記の手法に限定されるものではない。
【0103】
このように、第1標準駆動パルス、第2標準駆動パルス、第1因子対応駆動パルス及び第2因子対応駆動パルスの各々の波形形状は、連続する第1傾斜部、第1電位維持部、第2傾斜部、第2電位維持部及び第3傾斜部を有している。
【0104】
なお、第1標準駆動パルス及び第1因子対応駆動パルスは、ノズル開口65から小インク滴(小液体滴)を吐出させるマイクロパルス波形に対応し、第2標準駆動パルス及び第2因子対応駆動パルスは、ノズル開口65から大インク滴(大液体滴)を吐出させるラージパルス波形に対応している。
【0105】
さて、電位状態検知手段52は、因子対応駆動信号生成手段51が生成した因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスについての電位状態を検知するようになっている。電位状態検知手段52は、例えば、因子対応駆動パルスの最低電位、最高電位、引き電圧、傾斜部の角度等を検知することができるようになっている。なお、電位状態検知手段52によって検知される因子対応駆動パルスの電位状態は、グランド電位を基準とした電位状態である。
【0106】
波形補正手段54は、グランド電位を基準とした駆動パルスの電位状態と、当該駆動パルスに基づく圧電振動子15の変位量と、の関係を考慮して作成された補正テーブル55を有している。
【0107】
当該補正テーブル55は、因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの電位状態と、当該電位状態に基づいて補正されるべき補正後の因子対応駆動パルスの波形形状に関するデータと、を対応付けるものである。本実施の形態では、第1因子対応駆動パルスの最低電位と第2因子対応駆動パルスの最低電位との電位差ΔVLHと、第1因子対応駆動パルスの引き電圧の変化量ΔVと、が対応付けられた図8に示す補正テーブル55が与えられる。
【0108】
なお、本実施の形態では、駆動パルスの電位(駆動電位)と当該駆動電位に基づく圧電振動子15の変位量(駆動状態)とは、図9に示すような非線形な関係を有している。図9において、X軸は駆動電位を示し、Y軸は圧電振動子の変位量を示しており、当該圧電振動子の変位量は、駆動電位が0Vの場合における圧電振動子の大きさを基準にしている。図9に示されているように、本実施の形態で用いられる圧電振動子15は、駆動電位が増大するほど変位量の変化率が減少する。このため、波形補正手段54の有する補正テーブル55も、図9に示す圧電振動子15の駆動電位と変位量との非線形関係が考慮されて、作成されている。
【0109】
上述のような補正テーブル55を有する波形補正手段54は、当該補正テーブル55に基づいて因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの波形形状を補正するようになっている。
【0110】
波形補正制御手段53は、波形補正手段54を制御するようになっている。すなわち、第1因子対応駆動パルスの最低電位が第2因子対応駆動パルスの最低電位よりも大きい場合に、波形補正制御手段53は、波形補正手段54をして因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの波形形状を補正させる。そして、波形補正制御手段53は波形補正手段54を更に制御して、当該補正後の因子対応駆動信号を、駆動信号(COM)として内部I/F31に送らさせるようになっている。一方、第1因子対応駆動パルスの最低電位が第2因子対応駆動パルスの最低電位よりも小さい場合には、波形補正制御手段53は、波形補正手段54をして因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの波形形状を補正させない。そして、波形補正制御手段53は波形補正手段54を更に制御して、補正が加えられていない因子対応駆動信号を、駆動信号(COM)として内部I/F31に送らさせるようになっている。
【0111】
次に、このような構成を有する本実施の形態のインクジェット式プリンタ1の作用について説明する。
【0112】
本実施の形態のインクジェット式プリンタ1によって記録紙8に印刷(記録)を行う際には、各種の制御信号(例えば、SI、CK、LAT、CH、COM、等)が、プリントコントローラ23からプリントエンジン24を構成する各種機器類に送信される。そして、ノズル開口65からのインク滴の吐出と、キャリッジ機構16によるインクジェット式記録ヘッド10の主走査方向への移動と、紙送り機構17による記録紙8の副走査方向への送り出しと、を相互に連動させることにより、文字等の所望画像が記録紙8に印刷(記録)される。
【0113】
このような印刷動作において、例えばノズル開口65からのインク滴の吐出動作は、インクジェット式記録ヘッド10の電気駆動系46によって圧電振動子15を駆動制御することにより行われる。インクジェット式記録ヘッド10の電気駆動系46の各部は、プリントコントローラ23から送られてくるクロック信号(CK)、印字データ(SI)、ラッチ信号(LAT)、チャンネル信号(CH)及び駆動信号(COM)等の各種信号に基づいて作動し、駆動信号(COM)の有する駆動パルスのうち印刷に必要な駆動パルスのみを選択して、各圧電振動子15に供給する。各圧電振動子15は、供給される駆動パルスに応じて伸長・収縮し、第1の蓋部材64を歪ませて圧力発生室73の容積を変化させる。そして、ノズル開口65のインクは、このような圧力発生室73の容積変化に応じて圧力が変動し、ノズル開口65からインク滴として吐出される。
【0114】
このようにして行われるインク滴の吐出動作は、駆動信号生成回路30において生成される駆動信号(COM)を以下のようにして調節することにより、調整される。
【0115】
まず、環境温度(吐出影響因子)が温度検知装置20によって検知される。当該検知結果は、外部I/F25を介して駆動信号生成回路30に送られ、駆動信号生成回路30の因子対応駆動信号生成手段51によって受信される。
【0116】
そして、駆動信号生成回路30の因子対応駆動信号生成手段51が、環境温度(吐出影響因子)が標準状態にある場合に対応する2つの標準駆動パルスを有する標準駆動信号と、温度検知装置20の検知結果と、に基づいて、2つの因子対応駆動パルスを有する因子対応駆動信号を生成する。本実施の形態では、環境温度が標準状態(25℃)である場合に対応する図6に示す標準駆動信号と、温度検知装置20の検知結果、この場合「環境温度=10℃」と、に基づいて、図7に示す因子対応駆動信号が生成される。
【0117】
そして、因子対応駆動信号生成手段51で生成された図7に示す因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの電位状態が、電位状態検知手段52によって検知される。
【0118】
図7に示す因子対応駆動信号の場合、第1因子対応駆動パルスの最低電位が第2因子対応駆動パルスの最低電位よりも大きいので、波形補正制御手段53は、波形補正手段54をして因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの波形形状を補正させる。波形補正手段54は、電位状態検知手段52の検知結果と補正テーブル55とに基づいて、因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの波形形状を補正する。そして、当該補正後の因子対応駆動信号は、駆動信号(COM)として内部I/F31に送られ、その後、内部I/F31からインクジェット式記録ヘッド10の電気駆動系46に送られる。
【0119】
このようにして行われる波形補正手段54による因子対応駆動信号の補正は、環境温度(吐出影響因子)が標準状態にある場合に標準駆動信号によって実現されるインク吐出特性と略同一のインク吐出特性を、標準状態から外れた各々の状態においても実現することができるように、行われる。これにより、環境温度等が標準状態から外れた状態にある場合であっても、標準状態における場合と略同一の吐出特性で、ノズル開口65からインク滴を吐出させることができる。
【0120】
また、波形補正手段54は、因子対応駆動信号の有する各因子対応駆動パルスの始端電位及び終端電位を変えないで、因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの波形形状を補正する。このため、様々な因子対応駆動信号に柔軟に対応することが可能であり、上述した従来技術の「中間電位を調整する方法によって圧電振動子15の変位特性の影響を抑制する方式」では十分に対応することができない因子対応駆動信号に対しても、本実施の形態のインクジェット式プリンタ1は十分に対応しうる。
【0121】
更に、波形補正手段54による因子対応駆動信号の補正は、駆動電位に基づく圧電振動子15の変位量(駆動状態)と、第1因子対応駆動パルスの最低電位と第2因子対応駆動パルスの最低電位との電位差(電位状態)と、に基づいて、第1因子対応駆動パルスの引き電圧を変えることにより行われる。具体的には、本実施の形態では第1因子対応駆動パルスの最低電位と第2因子対応駆動パルスの最低電位との電位差が1.72Vとなっている(図7参照)。このため、波形補正手段54は、図8に示されている補正テーブル55に基づき、第1因子対応駆動パルスの引き電圧を1.50Vだけ増加させる。これにより、第1因子対応駆動パルスの波形形状は図7に示すP’(図7における一点鎖線部)のように補正され、第1因子対応駆動パルス及び第2因子対応駆動パルスの始端電位及び終端電位を維持した状態で、第1因子対応駆動パルスの引き電圧を13.82Vに補正する。
【0122】
このようにして補正された図7に示す因子対応駆動信号を駆動信号(COM)として用いることにより、圧電振動子15の圧電振動を調節し、ひいてはノズル開口65からのインク滴の吐出状態を調整することができる。
【0123】
なお、第1因子対応駆動パルスの最低電位が第2因子対応駆動パルスの最低電位よりも小さい場合には、波形補正制御手段53は、波形補正手段54を制御して因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの波形形状に補正を加えさせない。そして、補正が加えられていない当該因子対応駆動信号が、駆動信号(COM)として内部I/F31に送られ、その後、内部I/F31からインクジェット式記録ヘッド10の電気駆動系46に送られる。
【0124】
以上説明したように、本実施の形態のインクジェット式プリンタ1では、インク(液体)の吐出特性に対する環境温度(吐出影響因子)の影響を考慮した因子対応駆動信号が、当該因子対応駆動信号の有する因子対応駆動パルスの電位状態に基づいて補正され、駆動信号(COM)が生成される。従って、駆動信号(COM)は、環境温度(吐出影響因子)の影響、及び、駆動信号の駆動パルスの電位状態の影響、の両者が考慮されて生成されることとなる。このため、当該駆動信号(COM)に基づいて圧電振動子15を駆動することにより、インク(液体)の吐出特性に対する環境温度の影響や駆動パルスの電位状態の影響を最小限に抑えることができ、所望状態のインク滴(液体滴)をより確実にノズル開口65から吐出させることができる。
【0125】
特に、本発明によれば、因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの電位状態が電位状態検知手段52によって検知され、当該検知結果と、駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく圧電振動子15(圧力変動手段)の変位量(駆動状態)と、が考慮されて、因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの波形形状の補正が行われる。従って、このような駆動信号(COM)に基づいて圧電振動子15を駆動することにより、圧電振動子15の駆動電位と圧電振動子15の変位量とが非線形な関係(図9参照)を有する場合であっても、環境温度が標準状態にある場合と略同一の吐出状態で、ノズル開口65からインク滴を吐出させることができる。
【0126】
なお、標準駆動信号の有する標準駆動パルスは、2つ(第1標準駆動パルス、第2標準駆動パルス)に限定されるものではない。すなわち、標準駆動信号が3つ以上の標準駆動パルスを有していてもよい。また、因子対応駆動信号の有する因子対応駆動パルスも、2つ(第1因子対応駆動パルス、第2因子対応駆動パルス)に限定されるものではなく、各因子対応駆動パルスが標準駆動信号の各標準駆動パルスに対応するものであれば、因子対応駆動信号が3つ以上の因子対応駆動パルスを有していてもよい。
【0127】
第2の実施の形態
図10乃至図13は、本発明の第2の実施の形態を示す図である。図10は、駆動信号生成回路の構成を示す概略図である。図11は、標準駆動信号の有する駆動パルス(標準駆動パルス)の波形を示す図である。図12は、因子対応駆動信号の有する駆動パルス(因子対応駆動パルス)の波形を示す図である。図13は、波形補正手段の有する補正テーブルをグラフによって示した図である。
【0128】
第2の実施の形態のインクジェット式プリンタ1において、駆動信号生成回路30は、図10に示すように、送られてくる温度検知装置20の検知結果を受信する因子対応駆動信号生成手段51と、因子対応駆動信号生成手段51に接続された電位状態検知手段52と、電位状態検知手段52に接続された波形補正手段54と、を有しており、第1の実施の形態における波形補正制御手段53を有していない。
【0129】
また、因子対応駆動信号生成手段51は、環境温度が標準状態(例えば25℃)にある場合に対応する1つの標準駆動パルス(第1標準駆動パルス)を有する標準駆動信号と、温度検知装置20の検知結果(例えば「環境温度=10℃」という検知結果)と、に基づいて、1つの因子対応駆動パルス(第1因子対応駆動パルス)を有する因子対応駆動信号を生成するようになっている。
【0130】
すなわち、標準駆動信号は、図11に示すように、第1標準駆動パルスのみを有している。また、因子対応駆動信号は、図12に示すように、第1標準駆動パルスと温度検知装置20の検知結果とに基づいて生成された第1因子対応駆動パルスのみを有している。なお、本実施の形態における第1標準駆動パルスおよび第1因子対応駆動パルスの状態は、第1の実施の形態における第1標準駆動パルスおよび第1因子対応駆動パルスの状態と同一である(図6,7,11,12参照)。
【0131】
また、波形補正手段54は、グランド電位を基準とした駆動パルスの電位状態と、当該駆動パルスに基づく圧電振動子15の変位量と、の関係を考慮して作成された補正テーブル55を有している。
【0132】
当該補正テーブル55は、因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの電位状態と、当該電位状態に基づいて補正されるべき補正後の因子対応駆動パルスの波形形状に関するデータと、を対応付けるものである。本実施の形態では、標準駆動パルスの最低電位と当該標準駆動パルスに対応する因子対応駆動パルスの最低電位との電位差(電位状態)ΔVLH’と、第1因子対応駆動パルスの引き電圧の変化量ΔV’と、が対応付けられた図13に示す補正テーブル55が与えられている。
【0133】
他の構成は図1乃至図9に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0134】
図10乃至図13において、図1乃至図9に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0135】
本実施の形態のインクジェット式プリンタ1において、インク滴の吐出動作は、図10に示す駆動信号生成回路30において生成される駆動信号(COM)を以下のようにして調節することにより、調整される。
【0136】
まず、駆動信号生成回路30の因子対応駆動信号生成手段51が、環境温度が標準状態(25℃)にある場合に対応する1つの駆動パルス(第1標準駆動パルス)のみを有する標準駆動信号(図11参照)と、温度検知装置20の検知結果(例えば、「環境温度=10℃」である場合)と、に基づいて、1つの因子対応駆動パルス(第1因子対応駆動パルス)のみを有する因子対応駆動信号(図12参照)を生成する。
【0137】
そして、因子対応駆動信号生成手段51で生成された図12に示す因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの電位状態が、電位状態検知手段52により検知される。
【0138】
そして、波形補正手段54が、電位状態検知手段52の検知結果と補正テーブル55とに基づいて、因子対応駆動信号の第1因子対応駆動パルスの波形形状を補正する。この時、波形補正手段54は、このようにして行われる波形補正手段54による因子対応駆動信号の補正は、環境温度(吐出影響因子)が標準状態にある場合に標準駆動信号によって実現されるインク吐出特性と略同一のインク吐出特性が、標準状態から外れた各々の状態においても実現されるように行われる。
【0139】
ここで、波形補正手段54は、因子対応駆動信号の有する因子対応駆動パルスの始端電位及び終端電位を変えないで、因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの波形形状を補正する。
【0140】
更に、本実施の形態では、第1標準駆動パルスの電位状態と第1因子対応駆動パルスの電位状態との差異に基づいて、当該第1因子対応駆動パルスの引き電圧を変えることにより、因子対応駆動信号の補正が行われる。具体的には、本実施の形態では第1標準駆動パルスの最低電位と第1因子対応駆動パルスとの電位差が1.72Vとなっている(図11,12参照)。このため、波形補正手段54は、図13に示されている補正テーブル55に基づき、第1因子対応駆動パルスの引き電圧を1.50Vだけ増加させる。これにより、第1因子対応駆動パルスの波形形状は図12に示されるP’(図12における一点鎖線部)のように補正され、第1因子対応駆動パルスの始端電位及び終端電位を維持した状態で、第1因子対応駆動パルスの引き電圧を13.82Vに補正する。
【0141】
以上説明したように、本実施の形態のインクジェット式プリンタ1においても、環境温度(吐出影響因子)の影響を考慮した因子対応駆動信号が、当該因子対応駆動信号の有する因子対応駆動パルスの電位状態に基づいて補正され、駆動信号(COM)が生成される。このため、当該駆動信号(COM)に基づいて圧電振動子15を駆動することにより、環境温度や駆動パルスの電位状態による影響を最小限に抑えることができ、所望状態のインク滴(液体滴)をより確実にノズル開口65から吐出させることができる。
【0142】
なお、標準駆動信号を構成する標準駆動パルスは、1つ(第1標準駆動パルス)に限定されるものではなく、標準駆動信号が2つ以上の標準駆動パルスを有している場合であってもよい。また、因子対応駆動信号の有する因子対応駆動パルスは、1つ(第1因子対応駆動パルス)に限定されるものではなく、因子対応駆動信号が2つ以上の因子対応駆動パルスを有している場合であってもよい。
【0143】
なお、上述した各実施の形態では、たわみ振動モードの圧電振動子15を具備するインクジェット式記録ヘッド10ついて説明したが、いわゆる縦振動モードの圧電振動子を具備するインクジェット式記録ヘッドを用いてもよい。当該縦振動モードの圧電振動子とは、例えば特開2002−178541において説明されているようなものを指す。また、他の圧力変動手段を用いてノズル開口65におけるインクの圧力を変動させることも可能であり、圧電振動子15の代わりに他のアクチュエータを用いることもできる。例えば、圧力変動手段として磁歪素子を用いることができ、この磁歪素子により圧力発生室73を膨張・収縮させて、ノズル開口65のインクの圧力を変動させることが可能である。また、発熱素子を圧力変動手段として用いることもでき、この発熱素子からの熱で膨張・収縮する気泡によって、ノズル開口65のインクの圧力を変動させることも可能である。
【0144】
また、吐出影響因子は、上述した環境温度に限定されるものではなく、ノズル開口65からのインク(液体)の吐出特性に影響を及ぼす様々な因子が含まれる。例えば、インクジェット式プリンタ1(液体噴射装置)が設置される環境の湿度、供給される駆動信号(COM)に対する各圧電振動子15の応答特性のバラツキ(応答誤差)、各ノズル開口の形状、等の他に、インク滴(液体滴)の吐出速度や吐出量等の吐出状態に影響を及ぼす様々な因子が吐出影響因子に含まれうる。従って、これらの各吐出影響因子の状態を検知する因子検知手段を設置して、因子対応駆動信号生成手段51が、標準駆動信号と因子検知手段の検知結果とに基づいて1以上の因子対応駆動パルスを有する因子対応駆動信号を生成するような場合であっても、本発明を適用することができ、上述と同様の作用・効果を奏しうる。
【0145】
なお、因子検知手段の検知結果が因子検知手段(例えば温度検知装置20)から駆動信号生成回路30に送られる方式は、当該検知結果が因子検知手段から外部I/F25を介して駆動信号生成回路30へ自動的に送られる方式(自動方式)であってもよく、或いは、外部I/F25に接続されたコンピュータ等(図示せず)に当該検知結果が手動で入力され当該コンピュータ等から外部I/F25を介して駆動信号生成回路30へ送られる方式(手動方式)であってもよい。
【0146】
また、「吐出影響因子の標準状態」は適宜設定することが可能である。例えば、上述の各実施の形態では環境温度を吐出影響因子として、環境温度が25℃の場合を標準状態としたが、環境温度が30℃の場合を標準状態とすることも可能である。
【0147】
また、本発明を適用することができる標準駆動パルス及び因子対応駆動パルスの波形は、図6、図7、図11、図12に示された波形に限定されるものではない。標準駆動信号の各標準駆動パルス及び因子対応駆動信号の各因子対応駆動パルスの波形形状の一部乃至全部が、連続する第1傾斜部、電位維持部及び第2傾斜部を有するものであったり、連続する第1傾斜部、第1電位維持部、第2傾斜部、第2電位維持部及び第3傾斜部を有するものであれば、本発明を好適に適用することができる。例えば、図14(a)(b)に示すように、連続する第1傾斜部、電位維持部及び第2傾斜部を一部乃至全部に有する標準駆動パルスを含む標準駆動標準駆動信号についても本発明を好適に適用することができる。
【0148】
また、上述した本発明に基づく「因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの波形形状を補正する方式」と、従来技術に基づく「中間電位を調整する方法によって圧電振動子15の変位特性の影響を抑制する方式」と、を組み合わせて駆動信号(COM)を生成することも可能である。
【0149】
また、補正テーブル55を作成する際に考慮される「駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく前記圧力変動手段の駆動状態との関係」は、実験的に獲得されたものであってもよく、或いは、理論的に獲得されたものであってもよい。
【0150】
また、駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく前記圧力変動手段の駆動状態との関係が、図9に示される非線形関係以外の非線形関係にある場合にも、本発明を好適に適用することができる。
【0151】
なお、前述のように、プリンタコントローラ23はコンピュータシステムによって構成され得るが、プリントコントローラ23の各要素、或いは少なくとも駆動信号生成回路30の各要素、或いはこれらの各要素及び因子検知手段(例えば温度検知装置20)、をコンピュータシステムによって実現させるためのプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体201も、本件の保護対象である。
【0152】
さらに、プリントコントローラ23の各要素、或いは少なくとも駆動信号生成回路30の各要素、或いはこれらの各要素及び因子検知手段(例えば温度検知装置20)、がコンピュータシステム上で動作するOS等のプログラムによって実現される場合、当該OS等のプログラムを制御する各種命令を含むプログラム及び当該プログラムを記録した記録媒体202も、本件の保護対象である。
【0153】
ここで、記録媒体201、202とは、フロッピーディスク等の単体として認識できるものの他、各種信号を伝搬させるネットワークをも含む。
【0154】
なお、以上の説明はインクジェット式記録装置に関してなされているが、本発明は、広く液体噴射装置全般を対象としたものである。液体の例としては、インクの他に、グルー、マニキュア等が用いられ得る。
【0155】
【発明の効果】
本発明によれば、駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく前記圧力変動手段の駆動状態との関係と、因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの電位状態と、が考慮されて、吐出影響因子を考慮して生成された因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの波形形状が補正され、圧力変動手段は、補正がされた因子対応駆動信号に基づいて駆動される。従って、本発明によれば、圧力変動手段は、吐出影響因子による液体の吐出特性への影響が考慮されると共に、駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく前記圧力変動手段の駆動状態との関係が考慮されて駆動されることとなるので、所望状態の液体滴をより確実にノズル開口から吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット式プリンタ(インクジェット式記録装置)の全体構成を示す概略図である。
【図2】たわみ振動モードの圧電振動子を具備するインクジェット式記録ヘッドの構成を示す概略図である。
【図3】インクジェット式プリンタの電気的構成を説明するための概略図である。
【図4】インクジェット式記録ヘッドの電気駆動系を説明するための概略図である。
【図5】駆動信号生成回路の構成を示す概略図である。
【図6】標準駆動信号の有する駆動パルス(標準駆動パルス)の波形を示す図である。
【図7】因子対応駆動信号の有する駆動パルス(因子対応駆動パルス)の波形を示す図である。
【図8】波形補正手段の有する補正テーブルをグラフによって示した図である。
【図9】駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく圧電振動子の変位量とを示す図である。
【図10】駆動信号生成回路の構成を示す概略図である。
【図11】標準駆動信号の有する駆動パルス(標準駆動パルス)の波形を示す図である。
【図12】因子対応駆動信号の有する駆動パルス(因子対応駆動パルス)の波形を示す図である。
【図13】波形補正手段の有する補正テーブルをグラフによって示した図である。
【図14】本発明を適用することができる標準駆動信号の一例を示す図である。
【図15】従来技術を説明するための駆動パルスの波形を示す図である。
【符号の説明】
1 インクジェット式プリンタ
2 キャリッジ
3 ガイド部材
4 駆動プーリ
5 遊転プーリ
6 タイミングベルト
7 パルスモータ
8 記録紙
9 キャッピング機構
10 インクジェット式記録ヘッド
11 インクカートリッジ
15 圧電振動子(アクチュエータ)
16 キャリッジ機構
17 紙送り機構
20 温度検知装置(因子検知手段)
23 プリンタコントローラ
24 プリントエンジン
25 外部インターフェース
26 RAM
27 ROM
28 制御部
29 発振回路
30 駆動信号生成回路
31 内部インターフェース
34 プラテン
35 紙送りモータ
36 第1シフトレジスタ
37 第2シフトレジスタ
39 第1ラッチ回路
40 第2ラッチ回路
42 デコーダ
43 制御ロジック
44 レベルシフタ
45 スイッチ回路
46 インクジェット式記録ヘッドの電気駆動系
51 因子対応駆動信号生成手段
52 電位状態検知手段
53 波形補正制御手段
54 波形補正手段
55 補正テーブル
60 アクチュエータユニット
61 流路ユニット
62 接着層
63 スペーサ部材
64 第1の蓋部材
65 ノズル開口
66 第2の蓋部材
67 共通電極
68 供給側連通孔
69 第1ノズル連通孔
70 駆動電極
71 インク室形成基板
72 ノズルプレート
73 圧力発生室
74 インク供給口形成基板
75 インク供給口
76 インク室
77 第2ノズル連通孔
201 記録媒体
202 記録媒体

Claims (24)

  1. ノズル開口を有するヘッド部材と、
    前記ノズル開口の液体の圧力を変動させる圧力変動手段と、
    前記ノズル開口からの液体吐出特性に影響を及ぼす吐出影響因子の状態を検知する因子検知手段と、
    吐出影響因子が標準状態にある場合に対応する1以上の標準駆動パルスを有する標準駆動信号と、前記因子検知手段の検知結果と、に基づいて、1以上の因子対応駆動パルスを有する因子対応駆動信号を生成する因子対応駆動信号生成手段と、
    前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの電位状態を検知する電位状態検知手段と、
    駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく前記圧力変動手段の駆動状態との関係と、前記電位状態検知手段の検知結果と、を考慮して、前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの波形形状を補正する波形補正手段と、
    前記波形補正手段により補正された前記因子対応駆動信号に基づいて、前記圧力変動手段を駆動する圧力変動駆動手段と、
    を備えたこと特徴とする液体噴射装置。
  2. 前記電位状態検知手段が検知する前記因子対応駆動パルスの電位状態、及び、前記圧力変動手段の駆動状態と関係づけられている駆動パルスの電位状態は、グランド電位を基準とした電位状態である
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
  3. 駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく前記圧力変動手段の駆動状態との関係は、非線形な関係であり、
    前記波形補正手段は、吐出影響因子が標準状態にある場合に前記標準駆動信号によって実現される液体吐出特性と略同一の液体吐出特性を実現するように、前記因子対応駆動信号を補正する
    ことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の液体噴射装置。
  4. 前記波形補正手段は、駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく前記圧力変動手段の駆動状態との関係を考慮して作成された、因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの電位状態と当該電位状態に基づいて補正されるべき補正後の因子対応駆動パルスの波形形状に関するデータとを対応付ける補正テーブルを有し、当該補正テーブルに基づいて前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの波形形状を補正する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液体噴射装置。
  5. 前記波形補正手段は、前記因子対応駆動パルスの始端電位および終端電位を変えないで、前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの波形形状を補正する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の液体噴射装置。
  6. 前記ヘッド部材は、前記ノズル開口に連通する圧力発生室と、前記圧力発生室の少なくとも一部を区画形成する振動板と、を有し、
    前記圧力変動手段は、供給される駆動パルスの電位に応じて変形して前記振動板を歪ませるアクチュエータを有しており、
    前記圧力変動駆動手段は、前記波形補正手段により補正された前記因子対応駆動信号に基づいて前記アクチュエータを駆動し、前記振動板を歪ませて前記ノズル開口の液体の圧力を変動させる
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液体噴射装置。
  7. 前記アクチュエータは、圧電振動子であることを特徴とする請求項6に記載の液体噴射装置。
  8. 前記吐出影響因子は、液体噴射装置が設置される環境の温度であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の液体噴射装置。
  9. 前記因子対応駆動信号生成手段に接続され、前記波形補正手段を制御する波形補正制御手段を更に備え、
    前記標準駆動信号は、最低電位が相対的に小さい第1標準駆動パルスと、最低電位が相対的に大きい第2標準駆動パルスと、を含み、
    前記因子対応駆動信号生成手段は、前記第1標準駆動パルスと前記因子検知手段の検知結果とに基づいて第1因子対応駆動パルスを生成すると共に、前記第2標準駆動パルスと前記因子検知手段の検知結果とに基づいて第2因子対応駆動パルスを生成し、
    前記波形補正制御手段は、前記第1因子対応駆動パルスの最低電位が前記第2因子対応駆動パルスの最低電位よりも大きい場合に、前記波形補正手段をして前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの波形形状を補正させる
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の液体噴射装置。
  10. 前記第1標準駆動パルス及び前記第1因子対応駆動パルスは、前記ノズル開口から小液体滴を吐出させるマイクロパルス波形に対応し、
    前記第2標準駆動パルス及び前記因子対応マイクロ駆動パルスは、前記ノズル開口から大液体滴を吐出させるラージパルス波形に対応する
    ことを特徴とする請求項9に記載の液体噴射装置。
  11. 前記第1標準駆動パルス、前記第2標準駆動パルス、前記第1因子対応駆動パルス及び前記第2因子対応駆動パルスの各々の波形形状は、連続する第1傾斜部、電位維持部及び第2傾斜部を有する
    ことを特徴とする請求項9又は10のいずれかに記載の液体噴射装置。
  12. 前記第1標準駆動パルス、前記第2標準駆動パルス、前記第1因子対応駆動パルス及び前記第2因子対応駆動パルスの各々の波形形状は、連続する第1傾斜部、第1電位維持部、第2傾斜部、第2電位維持部及び第3傾斜部を有する
    ことを特徴とする請求項9又は10のいずれかに記載の液体噴射装置。
  13. ノズル開口を有するヘッド部材と、前記ノズル開口の液体の圧力を変動させる圧力変動手段と、前記ノズル開口からの液体吐出特性に影響を及ぼす吐出影響因子の状態を検知する因子検知手段と、を備えた液体噴射装置を制御する制御装置であって、
    吐出影響因子が標準状態にある場合に対応する1以上の標準駆動パルスを有する標準駆動信号と、前記因子検知手段の検知結果と、に基づいて、1以上の因子対応駆動パルスを有する因子対応駆動信号を生成する因子対応駆動信号生成手段と、
    前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの電位状態を検知する電位状態検知手段と、
    駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく前記圧力変動手段の駆動状態との関係と、前記電位状態検知手段の検知結果と、を考慮して、前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの波形形状を補正する波形補正手段と、
    前記波形補正手段により補正された前記因子対応駆動信号に基づいて、前記圧力変動手段を駆動する圧力変動駆動手段と、
    を備えたこと特徴とする制御装置。
  14. 前記電位状態検知手段が検知する前記因子対応駆動パルスの電位状態、及び、
    前記圧力変動手段の駆動状態と関係づけられている駆動パルスの電位状態は、波形補正手段が考慮する駆動パルスの電位状態は、グランド電位を基準とした電位状態である
    ことを特徴とする請求項13に記載の制御装置。
  15. 駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく前記圧力変動手段の駆動状態との関係は、非線形な関係であり、
    前記波形補正手段は、吐出影響因子が標準状態にある場合に前記標準駆動信号によって実現される液体吐出特性と略同一の液体吐出特性を実現するように、前記因子対応駆動信号を補正する
    ことを特徴とする請求項13又は14のいずれかに記載の制御装置。
  16. 前記波形補正手段は、駆動パルスの電位状態と当該駆動パルスに基づく前記圧力変動手段の駆動状態との関係を考慮して作成された、因子対応駆動信号の因子対応駆動パルスの電位状態と当該電位状態に基づいて補正されるべき補正後の因子対応駆動パルスの波形形状に関するデータとを対応付ける補正テーブルを有し、当該補正テーブルに基づいて前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの波形形状を補正する
    ことを特徴とする請求項13乃至15のいずれかに記載の制御装置。
  17. 前記波形補正手段は、前記因子対応駆動パルスの始端電位および終端電位を変えないで、前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの波形形状を補正する
    ことを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載の制御装置。
  18. 前記吐出影響因子は、液体噴射装置が設置される環境の温度であることを特徴とする請求項13乃至17のいずれかに記載の制御装置。
  19. 前記因子対応駆動信号生成手段に接続され、前記波形補正手段を制御する波形補正制御手段を更に備え、
    前記標準駆動信号は、最低電位が相対的に小さい第1標準駆動パルスと、最低電位が相対的に大きい第2標準駆動パルスと、を含み、
    前記因子対応駆動信号生成手段は、前記第1標準駆動パルスと前記因子検知手段の検知結果とに基づいて第1因子対応駆動パルスを生成すると共に、前記第2標準駆動パルスと前記因子検知手段の検知結果とに基づいて第2因子対応駆動パルスを生成し、
    前記波形補正制御手段は、前記第1因子対応駆動パルスの最低電位が前記第2因子対応駆動パルスの最低電位よりも大きい場合に、前記波形補正手段をして前記因子対応駆動信号の前記因子対応駆動パルスの波形形状を補正させる
    ことを特徴とする請求項13乃至18のいずれかに記載の制御装置。
  20. 前記第1標準駆動パルス及び前記第1因子対応駆動パルスは、前記ノズル開口から大液体滴を吐出させるパルス波形に対応し、
    前記第2標準駆動パルス及び前記第2因子対応駆動パルスは、前記ノズル開口から小液体滴を吐出させるパルス波形に対応する
    ことを特徴とする請求項19に記載の制御装置。
  21. 前記第1標準駆動パルス、前記第2標準駆動パルス、前記第1因子対応駆動パルス及び前記第2因子対応駆動パルスの各々の波形形状は、連続する第1傾斜部、電位維持部及び第2傾斜部を有する
    ことを特徴とする請求項19又は20のいずれかに記載の制御装置。
  22. 前記第1標準駆動パルス、前記第2標準駆動パルス、前記第1因子対応駆動パルス及び前記第2因子対応駆動パルスの各々の波形形状は、連続する第1傾斜部、第1電位維持部、第2傾斜部、第2電位維持部及び第3傾斜部を有する
    ことを特徴とする請求項19又は20のいずれかに記載の制御装置。
  23. 少なくとも1台のコンピュータを含むコンピュータシステムによって実行されて、前記コンピュータシステムに請求項13乃至22のいずれかに記載の制御装置を実現させることを特徴とするプログラム。
  24. 少なくとも1台のコンピュータを含むコンピュータシステム上で動作する第2のプログラムを制御する命令が含まれており、
    前記コンピュータシステムによって実行されて、前記第2のプログラムを制御して、前記コンピュータシステムに請求項13乃至22のいずれかに記載の制御装置を実現させることを特徴とするプログラム。
JP2002281611A 2002-09-26 2002-09-26 液体噴射装置 Expired - Fee Related JP3988130B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002281611A JP3988130B2 (ja) 2002-09-26 2002-09-26 液体噴射装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002281611A JP3988130B2 (ja) 2002-09-26 2002-09-26 液体噴射装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004114526A true JP2004114526A (ja) 2004-04-15
JP3988130B2 JP3988130B2 (ja) 2007-10-10

Family

ID=32276016

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002281611A Expired - Fee Related JP3988130B2 (ja) 2002-09-26 2002-09-26 液体噴射装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3988130B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006069105A (ja) * 2004-09-03 2006-03-16 Fuji Xerox Co Ltd 液滴吐出ヘッドの駆動方法、液滴吐出ヘッド、及び液滴吐出装置
JP2006123524A (ja) * 2004-09-29 2006-05-18 Seiko Epson Corp 印刷システム、印刷方法及びプログラム
JP2008302652A (ja) * 2007-06-11 2008-12-18 Seiko Epson Corp 圧電素子の特性情報付与方法、及び、液体噴射装置
JP2012056298A (ja) * 2010-09-13 2012-03-22 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2012125998A (ja) * 2010-12-15 2012-07-05 Ricoh Co Ltd 画像形成装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006069105A (ja) * 2004-09-03 2006-03-16 Fuji Xerox Co Ltd 液滴吐出ヘッドの駆動方法、液滴吐出ヘッド、及び液滴吐出装置
JP4678158B2 (ja) * 2004-09-03 2011-04-27 富士ゼロックス株式会社 液滴吐出ヘッドの駆動方法、液滴吐出ヘッド、及び液滴吐出装置
JP2006123524A (ja) * 2004-09-29 2006-05-18 Seiko Epson Corp 印刷システム、印刷方法及びプログラム
JP2008302652A (ja) * 2007-06-11 2008-12-18 Seiko Epson Corp 圧電素子の特性情報付与方法、及び、液体噴射装置
JP2012056298A (ja) * 2010-09-13 2012-03-22 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
JP2012125998A (ja) * 2010-12-15 2012-07-05 Ricoh Co Ltd 画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3988130B2 (ja) 2007-10-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5309808B2 (ja) 液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法
US6598950B1 (en) Ink jet recording apparatus and method of driving ink jet recording head incorporated in the same
JP4257547B2 (ja) 液体噴射ヘッドの製造方法及び駆動方法
JP2000052560A (ja) インクジェット式記録ヘッドの駆動方法
JP3438727B2 (ja) インクジェット式記録装置、及び、その駆動方法
US7753464B2 (en) Liquid-jet apparatus
KR100841416B1 (ko) 헤드 제어 장치와 화상 기록 장치
JP4374551B2 (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出装置、及び液体吐出ヘッドの駆動方法
JP2008062548A (ja) 液体噴射装置、及び、その制御方法
JP2007098820A (ja) 液体噴射装置、及び、その制御方法
JPWO2003022582A1 (ja) 液体吐出ヘッド駆動方法及び液体吐出装置
JP2008302652A (ja) 圧電素子の特性情報付与方法、及び、液体噴射装置
JP2002337333A (ja) インクジェット式記録装置およびそれに用いるインクジェット式記録ヘッドの駆動方法
JP2000263818A (ja) インクジェット式記録装置
JP3988130B2 (ja) 液体噴射装置
JP4296796B2 (ja) 液体噴射装置、及び、その液滴吐出制御方法
JP2002240273A (ja) インクジェット式プリンタ
JP2000218786A (ja) インクジェット式記録装置及びその駆動方法
JP2003118113A (ja) インクジェット式記録装置、及び、その駆動方法
JP2001179949A (ja) インクジェット式記録装置
JP4102511B2 (ja) インクジェット式記録ヘッドの駆動方法及びインクジェット式記録装置
JP2002254625A (ja) インクジェット記録装置
JPH11268266A (ja) インクジェット記録装置の駆動方法
JP2001270092A (ja) アクチュエータ装置及びインクジェット式記録装置、およびそれらを駆動させるためのプログラムが格納された記録媒体
JP3885812B2 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録装置の駆動方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040301

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050829

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051014

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070622

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070705

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100727

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110727

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110727

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120727

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees