JP2007098820A - 液体噴射装置、及び、その制御方法 - Google Patents

液体噴射装置、及び、その制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】吐出パルスの間隔が不均等間隔となる場合においても、吐出する液滴の飛翔速度や液量の変動を抑制することが可能な、液体噴射装置、及び、その制御方法を提供する。
【解決手段】ノズル開口に連通する圧力室および圧力室内のインクに圧力変動を生じさせ得る圧電素子を有し、当該圧電素子の作動によって圧力室内のインクをノズル開口から液滴として吐出する記録ヘッドと、液滴を吐出させる吐出パルスを複数含む一連の駆動信号を発生する駆動信号発生回路と、を備えるプリンタにおいて、記駆動信号発生回路は、駆動信号中の各吐出パルスを規定間隔Drで均等に配置する一方、吐出パルスの間隔が規定間隔Drとは異なる不均等間隔Dsとなる場合、この不均等間隔Dsを、圧力室内におけるインクの固有振動周期Tcの整数倍を規定間隔Drに加算した間隔に設定する。
【選択図】図12

Description

本発明は、インクジェット式プリンタ等の液体噴射装置、及び、その制御方法に関するものであり、特に、一吐出周期内に複数種類の吐出パルスを含む駆動信号を用いて圧力発生手段を駆動することにより、吐出対象物上に異なる大きさのドットを形成可能な液体噴射装置に関するものである。
液体噴射装置は、液体を液滴として吐出可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を吐出する装置である。この液体噴射装置の代表的なものとして、例えば、液体噴射ヘッドとしてのインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズル開口から液体状のインクをインク滴として記録紙等の吐出対象物に対して吐出・着弾させてドットを形成することで記録を行うインクジェット式プリンタ等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造装置等、各種の製造装置にも液体噴射装置が応用されている。
上記インクジェット式プリンタ(以下、単にプリンタという)では、例えば、複数の吐出パルスを一連に含む駆動信号を発生させ、この駆動信号の中から吐出パルスを選択的に圧電素子等の圧力発生手段に供給してこの圧力発生手段を駆動することにより、圧力室内のインクに圧力変動を生じさせ、この圧力変動を制御することでインク滴を吐出している。そして、この種のプリンタには、圧力発生手段に供給する吐出パルスの数に応じて、記録紙に形成するドットの大きさを変えることにより、多階調記録を行うように構成されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このプリンタは、インク滴を吐出させるための同一形状の吐出パルスを複数含んだ一連の駆動信号を発生し、この駆動信号からパルスを選択して圧力発生手段に供給する。
例えば、所定間隔で発生される吐出パルスを一記録周期(一吐出周期)内に複数含ませて一連の駆動信号を構成する。そして、大ドットを形成する場合は記録周期内の3つの吐出パルスを圧力発生手段に供給する。また、中ドットを形成する場合は2つの吐出パルスを圧力発生手段に供給する。さらに、小ドットを形成する場合は1つの吐出パルスを圧力発生手段に供給する。これにより、「大ドット」、「中ドット」、「小ドット」、「非記録」の4階調での記録を行う。
ところで、圧力発生手段に吐出パルスを供給してインク滴を吐出した直後において、ノズル開口に露出したインクの自由表面(メニスカス)には残留振動が生じる。この残留振動は、ノズル開口のメニスカスの固有振動周期Tmの振動に、圧力室内のインクの固有振動周期Tcの振動が重畳したものである。周期Tmの振動は数十〜数百μsの比較的長い周期で緩やかにメニスカスを変位させるのに対し、周期Tcの振動は周期Tmの振動と比較して数μsという非常に短い周期でメニスカスを変位させる。この周期Tcの振動は、次のインク滴の吐出に影響を及ぼす虞がある。具体的には、吐出時における周期Tc振動の位相に応じて吐出インク滴の飛翔速度が変化したり液量(重量・体積)が変動したりする。このような吐出インク滴の飛翔速度や液量の変動は、記録紙における着弾位置のずれやドット大きさのばらつきの原因となり、結果として記録画像の品質低下を招く。
したがって、記録紙に対してインク滴を精度良く着弾させて高品位の画像を記録するためには、吐出するインク滴の飛翔速度や液量を一定に揃えることが肝要である。特に、高速印字を行う場合には、吐出パルスを短い周期で連続的に圧力発生手段に供給してインク滴を吐出しなければならないが、この場合には、先の吐出に伴う周期Tcの振動が収束しないうちに次の吐出が行われることがあるため、何れの吐出タイミングにおいても周期Tcの振動の位相が同程度に揃うように、駆動信号中の各吐出パルスの配置を定める必要がある。理想的には、駆動信号中の各吐出パルスを一定の間隔(規定間隔)で均等に配置することが望ましい。なお、「吐出パルスの間隔」とは、先の吐出パルスの吐出要素の終点(又は始点)から、次の吐出パルス信号の吐出要素の終点(又は始点)までの間隔を意味する。
特開2002−103619号公報(第7図等)
ところが、吐出パルスの間隔を不均等にせざるを得ない場合が生じることがある。
例えば、駆動信号の発生タイミングを規定するタイミングパルスPTSは、記録ヘッドを搭載したキャリッジの移動に伴って出力されるエンコーダパルスEPから生成される。したがって、キャリッジの移動速度が変動すると、タイミングパルスPTSの発生周期も変動する。例えば、キャリッジの移動速度が基準速度よりも増加したときには、タイミングパルスPTSの発生周期が短くなり、その結果、先の記録周期Tの最後の吐出パルスと、次の記録周期Tn+1の最初の吐出パルスとの間隔が詰まる。ここで、従来のプリンタでは、近年のものよりもヘッドの駆動周波数が低かったため、駆動信号中の各吐出パルスの間隔には、マージンを特別に設けなくてもタイミングパルスPTSの周期変動に対応できる程度の余裕があった。しかしながら、近年では、記録速度の向上の要請からヘッドの駆動周波数がより高くなり、これに伴って駆動信号中の吐出パルスの間隔がより短くなってきている。そのため、キャリッジの移動速度が増加した場合には、記録周期Tの最後の吐出パルスの発生期間と記録周期Tn+1の最初の吐出パルスの発生期間とが重なり、異常印字となる虞がある。このような不具合を防止するべく、タイミングパルスPTSの発生周期の変動分を考慮して、記録周期Tの最後の吐出パルスから記録周期Tn+1の最初の吐出パルスまでの間隔を、規定間隔よりも長い間隔(以下、不均等間隔)に設定する必要が生じる。
また、インク滴を吐出させない程度にメニスカスを微振動させる微振動パルスを駆動信号中に配置する場合にも不均等間隔となることがある。即ち、この場合、微振動パルスを配置した分、この微振動パルスを間に挟んで隣り合う吐出パルス同士の間隔が広がることにより、これらの吐出パルスの間が不均等間隔となることがある。
このように吐出パルスの間隔が不均等となると、不均等間隔に設定された吐出パルス間において、先の吐出の後における次の吐出のタイミングが理想的なタイミングからずれてしまい、その結果、インク滴の飛翔速度が変化したり液量が変動したりする虞があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、吐出パルスの間隔が不均等間隔となる場合においても、吐出する液滴の飛翔速度や液量の変動を抑制することが可能な、液体噴射装置、及び、その制御方法を提供することにある。
本発明の液体噴射装置は、上記目的を達成するために提案されたものであり、ノズル開口に連通する圧力室および当該圧力室内の液体に圧力変動を生じさせ得る圧力発生源を有し、当該圧力発生源の作動によって圧力室内の液体をノズル開口から液滴として吐出する液体噴射ヘッドと、液滴を吐出させる吐出パルスを複数含む一連の駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、を備える液体噴射装置であって、
前記駆動信号発生手段は、駆動信号中の各吐出パルスを規定間隔で均等に配置する一方、吐出パルスの配置間隔が前記規定間隔とは異なる不均等間隔となる場合、当該不均等間隔を、圧力室内における液体の固有振動周期Tcの整数倍を前記規定間隔に加算した間隔に設定することを特徴とする。
なお、「規定間隔」とは、液滴の飛翔速度や液量について設計上の値が得られるタイミングで各吐出パルスによる吐出が行われるように定められた吐出パルスの間隔である。
また、本発明の液体噴射装置の制御方法は、ノズル開口に連通する圧力室および当該圧力室内の液体に圧力変動を生じさせ得る圧力発生源を有し、当該圧力発生源の作動によって圧力室内の液体をノズル開口から液滴として吐出する液体噴射ヘッドと、液滴を吐出させる吐出パルスを複数含む一連の駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、を備える液体噴射装置の制御方法であって、
駆動信号中の各吐出パルスを規定間隔で均等に配置する一方、吐出パルスの配置間隔が前記規定間隔とは異なる不均等間隔となる場合、当該不均等間隔を、圧力室内における液体の固有振動周期Tcの整数倍を前記規定間隔に加算した間隔に設定することを特徴とする。
これらの構成によれば、駆動信号中の各吐出パルスを規定間隔で均等に配置する一方、吐出パルスの間隔が規定間隔とは異なる不均等間隔を、圧力室内における液体の固有振動周期Tcの整数倍(n倍)を規定間隔に加算した間隔に設定するので、各吐出パルスによる吐出時のメニスカスの状態を、規定間隔で均等配置した場合と同程度に揃えることができる。即ち、例えば、先の吐出パルスによる吐出の後、次の吐出パルスによる吐出が固有振動周期Tcの振動の所定の位相のタイミング(規定タイミング)で行われるように規定間隔が定められている場合には、不均等間隔に設定されたパルス間では、先の吐出パルスによる吐出の後、次の吐出パルスによる吐出が、上記規定タイミングよりも周期Tcの整数倍だけ後のタイミングで行われることになる。このタイミングでは、メニスカスの状態、即ち、メニスカスの変位方向と変位速度等が、規定タイミングの場合と同程度となる。このため、吐出パルスの間隔が不均等間隔となる場合においても、吐出する液滴の飛翔速度や液量の変動を抑制することが可能となる。その結果、吐出対象物に対して規定位置に規定量の液滴を精度良く着弾させることが可能となる。
なお、上記構成において、前記不均等間隔を、駆動信号の発生タイミングを規定するタイミング信号の発生間隔の変動に対する調整代として設定する構成を採用することができる。
この構成によれば、タイミング信号の発生間隔の変動に起因する不具合、例えば、タイミング信号の発生間隔が縮まることによって先の記録周期の最後の吐出パルスの発生期間と次の記録周期の最初の吐出パルスの発生期間とが重なって異常吐出となる不具合を防止しつつ、吐出対象物に対して規定位置に規定量の液滴を精度良く着弾させることが可能となる。
また、前記不均等間隔に設定された吐出パルス同士の間に、液滴を吐出しない程度に液体を微振動させる微振動パルスを配置する構成を採用することも可能である。
この構成によれば、吐出時の液滴の飛翔速度や液量の変動を招くことなく、微振動パルスを駆動信号に含ませることができる。
また、前記不均等間隔を、前記規定間隔に前記固有振動周期Tcを加算した間隔に設定することが望ましい。
この構成によれば、先の吐出パルスによる吐出の後、次の吐出パルスによる吐出が、上記規定タイミングよりも周期Tcだけ後のタイミングで行われることになるので、圧力室内における液体の固有振動周期Tcの振動の位相の違いに起因する吐出液量と飛翔速度の違いを最小限に留めることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、図1に示すインクジェット式プリンタ(以下、プリンタと略記する)を例示する。
図1に示すように、このプリンタ1は、液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッド2が取り付けられると共に、インクカートリッジ3が着脱可能に取り付けられるキャリッジ4と、記録ヘッド2の下方に配設されたプラテン5と、キャリッジ4(記録ヘッド2)を記録紙の紙幅方向に移動させるキャリッジ移動機構6と、キャリッジ4の移動に伴ってエンコーダパルスを出力するリニアエンコーダ7と、記録紙8を紙送り方向に移動させる紙送り機構9(図6参照)とを備えている。
上記のキャリッジ移動機構6は、プリンタ1における主走査方向(紙幅方向)に架設されたガイド軸11と、主走査方向の一側に配設されたキャリッジ移動モータ12と、このキャリッジ移動モータ12の回転軸に接続され、キャリッジ移動モータ12によって回転駆動される駆動プーリー13と、駆動プーリー13とは反対側の主走査方向他側に配設された遊転プーリー14と、駆動プーリー13と遊転プーリー14との間に掛け渡され、キャリッジ4に接続されたタイミングベルト15とから構成される。キャリッジ移動モータ12は、キャリッジ移動機構6における駆動源として機能し、例えば、パルスモータやDCモータが用いられる。このキャリッジ移動モータ12は、制御手段として機能する制御部16(図6参照)により、その回転速度や回転方向等が制御される。そして、キャリッジ移動モータ12が回転すると、駆動プーリー13及びタイミングベルト15が回転し、キャリッジ4がガイド軸11に沿って記録紙8の幅方向に移動する。つまり、キャリッジ4は、制御部16による制御の下で主走査方向に往復移動される。
上記のリニアエンコーダ7は、記録ヘッド2の走査位置に応じたエンコーダパルスを、主走査方向における位置情報として出力する。本実施形態におけるリニアエンコーダ7は、図2及び図3に示すように、プリンタ1の筐体側に主走査方向へ張設されたスケール17(エンコーダフィルム)と、キャリッジ4の背面に取り付けられたフォトインタラプタ18とを備えている。スケール17は透明な樹脂製フィルムによって作製された帯状(バンド状)部材であり、例えば、図4(a)に示すように、透明なベースフィルム19の表面に帯幅方向に横断するストライプ20が複数形成されたものである。各ストライプ20は、同じ幅とされ、帯長手方向に一定ピッチ、例えば360dpiに相当するピッチで形成されている。また、フォトインタラプタ18は、互いに対向配置された一対の発光素子21と受光素子22とによって構成されている。
上記のスケール17は、発光素子21と受光素子22との間に配置されている。このため、受光素子22からの検出信号(エンコーダ出力)は、発光素子21からの光がスケール17を透過した状態と、ストライプ20が発光素子21からの光を遮った状態とで出力レベルが異なる。本実施形態では、図4(b)に示すように、ストライプ20が発光素子21からの光を遮っている遮光状態で受光素子22からの出力がHレベルになる。また、発光素子21からの光がベースフィルム19(透明部分)に照射されている状態では、この光はベースフィルム19を透過して受光素子22に受光される。このため、この状態では受光素子22からの出力がLレベルになる。従って、キャリッジ4の主走査方向への移動に伴って、受光素子22からはパルス状の信号、即ち、エンコーダパルスEPが出力される。ここで、ストライプ20は同じ幅のものが一定ピッチで形成されているため、キャリッジ4の移動速度が一定であれば、図4(b)に示すように、エンコーダパルスEPは一定周期で出力されることになる。そして、このエンコーダパルスEPは制御部16に入力されている。このため、制御部16は、受信したエンコーダパルスEPに基づいてキャリッジ4(記録ヘッド2)の走査位置を認識できる。即ち、例えば、受信したエンコーダパルスEPをカウントすることで、キャリッジ4の位置を認識することができる。
上記の紙送り機構9は、紙送り駆動源としての紙送りモータ25と、この紙送りモータ25によって回転駆動される紙送りローラ26とから構成される。本実施形態の紙送りローラ26は、上下一対のローラで構成されている。即ち、下側に位置する駆動ローラと上側に位置する従動ローラ(ピンチローラ:図示せず)によって構成されている。駆動ローラは上端部分をプラテン5の上面から露出させた状態でプラテン5内に配設されており、この露出した部分の上に従動ローラが配置される。そして、従動ローラによって記録紙8を駆動ローラに当接させ、この当接状態で駆動ローラを回転することで記録紙8を紙送り方向に移動させる。
上記の記録ヘッド2は、本発明の液体噴射ヘッドの一種であり、液体状のインクを液滴の状態にしてノズル開口38から吐出させる。この記録ヘッド2の一例を、図5に基づいて簡単に説明する。本実施形態における記録ヘッド2は、ノズル形成基板29、圧力室形成基板30、リザーバ形成基板31、及び、コンプライアンス基板32からなるキャビティユニット33と、圧電素子34(本発明における圧力発生手段の一種)と、駆動IC35とを積層し、これらをユニットケース36に取り付けて構成されている。
上記ノズル形成基板29は、ドット形成密度に対応したピッチで複数のノズル開口38を列状に開設したステンレス鋼製のプレートである。本実施形態におけるノズル形成基板29には、360dpiのピッチで360個のノズル開口38を列設することで2本のノズル列が構成されている。圧力室形成基板30は、本実施形態においてはシリコン単結晶基板(シリコンウェハー)によって作製され、その表面から異方性エッチングすることによって複数の隔壁で区画された圧力室39が各ノズル開口38に対応して複数形成されている。また、この圧力室形成基板30には、各圧力室39の共通のインク室(本発明における共通液体室に相当)としてのリザーバ40の一部を区画する連通空部41が形成されている。この連通空部41は、インク供給路42を介して各圧力室39と連通している。
圧力室形成基板30の上面(ノズル形成基板29側とは反対側の面)には、予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる弾性膜43が形成されており、この弾性膜43上に下電極膜と、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる圧電体層と、上電極膜と(何れも図示せず)を順次積層することで形成された圧電素子34が圧力室39毎に形成されている。この圧電素子34は、所謂撓みモードの圧電素子であり、圧力室39の上部を覆い隠すように配置されている。そして、この圧電素子34は、充電により収縮して圧力室39を収縮させ、放電により伸長して圧力室39を膨張させる。この圧電素子34の電位レベルを変えることで、対応する圧力室39の容積が変化し、圧力室39が加圧されたり減圧されたりする。つまり、圧力室内のインクに圧力変動が生じる。このインク圧力を制御することで、ノズル開口38からインク滴を吐出させたり、或いは、メニスカス(ノズル開口38に露出したインクの自由表面)を微振動させたりすることができる。
また、圧力室形成基板30上には、基板厚さ方向に貫通したリザーバ部44を有するリザーバ形成基板31が配置される。このリザーバ形成基板31は、圧力室形成基板30と同様にシリコン単結晶基板を用いて作製されている。また、このリザーバ形成基板31におけるリザーバ部44は、圧力室形成基板30の連通空部41と連通してリザーバ40を区画する。リザーバ形成基板31の上面(圧力室形成基板30とは反対側の面)には、プリンタ本体側からの駆動信号を受け、この駆動信号によって各圧電素子34を駆動するための駆動IC35が設けられている。この駆動IC35の各端子は、図示しないボンディングワイヤ等を介して各圧電素子34の個別電極からの引き出し配線と接続されている。そして、駆動IC35の各端子は、TCP(テープキャリアパッケージ)等の配線部材(図示せず)を介してプリンタ本体側のプリンタコントローラ51(図6参照)と電気的に接続され、この配線部材を介してプリンタコントローラ51側から駆動信号等の各種信号が供給されるようになっている。
また、リザーバ形成基板31の上面側には、コンプライアンス基板32が配置される。このコンプライアンス基板32は、例えばステンレス鋼等の金属製の支持板32aの表面にPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂フィルムを弾性薄膜部32bとしてラミネートした複合板材によって構成されている。このコンプライアンス基板32には、リザーバ40の開口面を封止するコンプライアンス部32cが設けられている。このコンプライアンス部32cは、リザーバ40の開口面に対向する領域の支持板32aを例えばエッチング加工等によって除去することにより、弾性薄膜部32bのみとしている。そして、このコンプライアンス部32cは、圧電素子34の駆動時のリザーバ40内のインクの圧力変動を吸収するダンパーとして機能する。
ユニットケース36は、図示しないインク供給針側からのインクをリザーバ40側に供給するためのインク導入路45が形成されると共に、コンプライアンス部32cに対向する領域にこのコンプライアンス部32cの変形を許容する凹部36′が形成された部材である。このユニットケース36の中心部、具体的には、リザーバ形成基板31上に設けられた駆動IC35に対向する領域には、厚さ方向に貫通した空部46が開設されており、配線部材がこの空部46を挿通して駆動IC35と接続されるようになっている。
以上のように構成された各ヘッドユニット30では、インク供給針から導入されたインクが、ユニットケース36のインク導入路45を通じてリザーバ40に取り込まれ、リザーバ40からノズル開口38に至るインク流路がインクで満たされる。そして、駆動IC35からの駆動信号を圧電素子34に供給してこの圧電素子34を撓み変形させることで、対応する圧力室39内のインクに圧力変動が生じ、このインクの圧力変動によってノズル開口38からインク滴が吐出する。
次に、図6のブロック図に基づき、プリンタ1の電気的構成について説明する。本実施形態におけるプリンタ1は、プリンタコントローラ51と、プリントエンジン52とを備えている。プリンタコントローラ51は、図示しないホストコンピュータ等からの印刷データ等を受信するインターフェース(外部I/F)53と、各種データの記憶等を行うRAM54と、各種データ処理のためのプログラム等を記憶したROM55と、各部の電気的制御を行う制御部16と、クロック信号(CK)を発生する発振回路56と、記録ヘッド2へ供給するための駆動信号(COM)を発生する駆動信号発生回路58と、階調データ及び駆動信号等をプリントエンジン52に送信するためのインターフェース(内部I/F)59とを備える。
外部I/F53は、例えばキャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータのいずれか1つのデータ又は複数のデータからなる印刷データをホストコンピュータ等から受信する。また、外部I/F53は、ホストコンピュータに対してビジー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)等を出力する。RAM54は、受信バッファ、中間バッファ、出力バッファ等として利用されるものである。受信バッファには、外部I/F53が受信したホストコンピュータからの印刷データが一時的に記憶される。中間バッファには、制御部16によって変換された中間コードデータが記憶される。出力バッファには、記録ヘッド2にシリアル伝送される階調データが展開される。ROM55は、制御部16によって実行される各種制御プログラム、フォントデータ及びグラフィック関数、各種手続き等を記憶している。
制御部16は、制御手段としても機能し、駆動信号の圧電素子34への供給制御を行う。例えば、制御部16は、ホストコンピュータ等から送信された印刷データをドットパターンに対応した階調データに展開して記録ヘッド2に送信する。この場合において、制御部16は、受信バッファ内の印刷データを読み出して中間コードデータに変換し、この中間コードデータを中間バッファに記憶する。そして、制御部16は、中間バッファから読み出した中間コードデータを解析し、ROM55内のフォントデータやグラフィック関数等を参照して中間コードデータをドット毎の階調データに展開する。この階調データは、2ビットのデータで構成され、4つの階調を表す。即ち、図7に示すように、階調データ(11)は、大ドットに対応する階調であり、階調データ(10)は、中ドットに対応する階調である。また、階調データ(01)は、小ドットに対応する階調であり、階調データ(00)は、ドットを記録しない非記録に対応する階調である。
展開された階調データは出力バッファに一旦記憶される。一回の主走査に相当する1行分の階調データが得られると、この1行分の階調データ(SI)は内部I/F59を通じて記録ヘッド2にシリアル伝送される。出力バッファから1行分の階調データが送信されると、中間バッファの内容が消去されて次の中間コードデータに対する変換が行われる。そして、記録ヘッド2では、受信した階調データに基づき、インク滴の吐出やメニスカスの微振動動作が行われる。
また、制御部16は、上記エンコーダパルスEPからタイミングパルスPTS(本発明におけるタイミング信号の一種)を生成するタイミングパルス生成手段としても機能する。このタイミングパルスPTSは、駆動信号発生回路58が発生する駆動信号の発生開始タイミングを規定する信号である。つまり、駆動信号発生回路58は、このタイミングパルスPTSを受信する毎に単位周期の駆動信号を出力する。例えば、タイミングパルスPTSを2880dpiに対応する間隔で出力する場合、エンコーダパルスEPが360dpiに対応する間隔で発生されるため、制御部16は、エンコーダパルスEPの周波数を8逓倍することでタイミングパルスPTSを生成する。また、制御部16は、タイミングパルスPTSに同期して、ラッチ信号LATやチャンネル信号CHを記録ヘッド2に出力する。図7に示すように、ラッチ信号LATは、記録周期Tの開始タイミングを規定する信号であり、チャンネル信号CHは、駆動信号COMを構成する各駆動パルス(第1吐出パルスP1〜第4吐出パルスP4)の供給開始タイミングを規定する。
上記の駆動信号発生回路58は、本発明における駆動信号発生手段の一種であり、複数の吐出パルス(吐出波形)を含んだ一連の駆動信号を発生する。この吐出パルスは、規定量のインク滴を記録ヘッド2のノズル開口38から吐出させ得るパルスであり、図7に例示した駆動信号COMは、一記録周期T内に4つの吐出パルス(第1吐出パルスP1,第2吐出パルスP2,第3吐出パルスP3,第4吐出パルスP4)を含んでいる。そして、駆動信号発生回路58は、この駆動信号COMを記録周期T毎に繰り返し発生する。なお、この駆動信号COMについての詳細は後述する。
上記のプリントエンジン52は、キャリッジ移動機構6の電気駆動系と、紙送り機構9の電気駆動系と、記録ヘッド2の電気駆動系と、リニアエンコーダ7等から構成される。キャリッジ移動機構6の電気駆動系には上記のキャリッジ移動モータ12が含まれ、紙送り機構9の電気駆動系には上記の紙送りモータ25が含まれる。これらのキャリッジ移動機構6の電気駆動系、及び、紙送り機構9の電気駆動系は制御部16によって制御され、互いに連係して動作する。
記録ヘッド2の電気駆動系は、第1シフトレジスタ61及び第2シフトレジスタ62からなるシフトレジスタ回路と、第1ラッチ回路63と第2ラッチ回路64とからなるラッチ回路と、デコーダ65と、制御ロジック66と、レベルシフタ67と、スイッチ回路68と、圧電素子34とから構成される。各シフトレジスタ61,62、各ラッチ回路63,64、デコーダ65、スイッチ回路68、及び、圧電素子34は、それぞれ記録ヘッド2の各ノズル開口38に対応して複数設けられる。この記録ヘッド2の電気駆動系は、プリンタコントローラ51からの階調データSIに応じて圧電素子34に駆動信号中の駆動パルスを選択的に供給するものである。換言すれば、記録ヘッド2の電気駆動系は駆動パルスを供給するパルス供給手段として機能し、制御部16(制御手段)による制御の下、駆動信号に含まれるパルスを圧電素子34に対して選択的に供給する。
第1シフトレジスタ61には第1ラッチ回路63が電気的に接続され、第2シフトレジスタ62には第2ラッチ回路64が電気的に接続されている。そして、プリンタコントローラ51からのラッチ信号LATが各ラッチ回路63,64に入力されると、第1ラッチ回路63は階調データの下位ビットのデータをラッチし、第2ラッチ回路64は階調データの上位ビットをラッチする。このような動作をする第1シフトレジスタ61及び第1ラッチ回路63と、第2シフトレジスタ62及び第2ラッチ回路64の組は、それぞれが記憶回路を構成し、デコーダ65に入力される前の階調データを一時記憶する。
各ラッチ回路63,64でラッチされた階調データは、デコーダ65に入力される。このデコーダ65は、2ビットの階調データを翻訳して4ビットの印字データ(デコード値:図7参照)を生成する。そして、このデコーダ65、上記の制御部16、シフトレジスタ61,62、及び、ラッチ回路63,64は、印字データ生成手段として機能し、階調データから印字データを生成する。この印字データの各ビットは、図7に示すように、駆動信号COMを構成する第1吐出パルスP1〜第4吐出パルスP4にそれぞれ対応しており、各吐出パルスの選択情報として機能する。デコーダ65によって翻訳された4ビットの印字データは、制御ロジック66からのタイミング信号によって規定されるタイミングで上位ビット側から順次レベルシフタ67に入力される。このレベルシフタ67は、電圧増幅器として機能し、印字データが「1」の場合には、スイッチ回路68を駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の電圧に昇圧された電気信号を出力する。
レベルシフタ67で昇圧された「1」の印字データは、スイッチ手段として機能するスイッチ回路68に供給される。このスイッチ回路68の入力側には、駆動信号発生回路58からの駆動信号COMが供給されており、スイッチ回路68の出力側には圧電素子34が接続されている。印字データは、スイッチ回路68の作動を制御する。例えば、スイッチ回路68に加わる印字データが「1」である期間中は、駆動信号が圧電素子34に供給され、この駆動信号に応じて圧電素子34は変形する。一方、スイッチ回路68に加わる印字データが「0」の期間中は、レベルシフタ67からはスイッチ回路68を作動させる電気信号が出力されないので、圧電素子34へは駆動信号が供給されない。要するに、印字データ「1」が設定された第1吐出パルスP1〜第4吐出パルスP4が選択的に圧電素子34に供給される。
次に、駆動信号COMと、この駆動信号COMに基づくインク吐出制御について説明する。
まず、駆動信号COMについて説明する。図7に示すように、本実施形態における駆動信号発生回路58が発生する駆動信号COMは、一記録周期T内に4つの吐出パルス(第1吐出パルスP1〜P4)を含んで構成され、記録周期T毎に繰り返し発生される。これらの第1吐出パルスP1〜第4吐出パルスP4は、何れも同じ波形の信号によって構成されており、中間電位VMから最低電位VLまでインク滴を吐出させない程度の一定勾配で電位を降下させる膨張要素p1と、最低電位VLを所定時間保持する膨張ホールド要素p2と、最低電位VLから最高電位VHまで急勾配で電位を上昇させる吐出要素p3と、最高電位VHを所定時間保持する収縮ホールド要素p4と、最高電位VHから中間電位VMまで電位を下降させる制振要素p5とを含んで構成されている。
そして、これらの第1吐出パルスP1〜第4吐出パルスP4を圧電素子34に供給すると、各吐出パルスP1〜P4が供給される毎に数ピコリットルの小インク滴がノズル開口38から吐出される。従って、一記録周期T内に供給する吐出パルス信号の数を変えることで、記録されるドットの大きさを異ならせることができる。このため、パルス供給手段(制御部16、シフトレジスタ61,62、ラッチ回路63,64、デコーダ65、制御ロジック66、レベルシフタ67、及び、スイッチ回路68、以下同様。)は、記録するドットの大きさに応じて、一記録周期T内の吐出パルス(第1吐出パルスP1〜第4吐出パルスP4)の選択数を変える。
本実施形態では、図8に示すように、階調データ(11)の場合には、一記録周期T内の計4つの吐出パルスP1〜P4を圧電素子34に供給することで大ドットを記録する。階調データ(10)の場合には、一記録周期T内の第2吐出パルスP2と第4吐出パルスP4との計2つの吐出パルスを圧電素子34に供給することで中ドットを記録する。階調データ(01)の場合には、一記録周期T内の第2吐出パルスP2を圧電素子34に供給することで小ドットを記録する。そして、階調データ(00)の場合には、吐出パルスを圧電素子34に供給しない(非記録)。
このため、デコーダ65は、階調データを翻訳することで4ビットの印字データ(D1,D2,D3,D4)を生成し、この印字データを構成する各ビットD1〜D4のデータを制御ロジック66からのタイミング信号に同期させて出力する。この印字データを構成するビットD1〜D4は、それぞれ第1吐出パルスP1〜第4吐出パルスP4に対応している。そして、デコーダ65は、ビットD1のチャンネル信号CH1のタイミングでレベルシフタ67に出力し、ビットD2のデータをチャンネル信号CH2のタイミングでレベルシフタ67に出力する。また、ビットD3のデータをチャンネル信号CH3のタイミングでレベルシフタ67に出力し、ビットD4のデータをチャンネル信号CH4のタイミングでレベルシフタ67に出力する。
ここで、上記構成のプリンタ1では、駆動信号COMにおける吐出パルスの配置を工夫することで、各吐出パルスによるインク滴の吐出時にインク滴の飛翔速度や液量が可及的に揃うようにしている。以下、この点について説明する。
まず、インク滴の吐出に伴って生じるメニスカスの残留振動と、このメニスカスの残留振動による次のインク滴吐出に対する影響について説明する。
図9(a)は、インク滴吐出時のメニスカスの状態の時間推移を示す図である。また、図9(b)は、吐出パルスであり、メニスカスの変化タイミングとパルス要素の供給タイミングとの比較のために示したものである。さらに、図10は、図9(a)におけるXの拡大図である。なお、図9(a)において、「定常」は、メニスカスが振動していない(振動が収束した)定常状態のメニスカスの位置を示している。定常状態のメニスカスの表面の位置は、ノズル開口の吐出側の一番先端の位置(ノズル形成基板29の吐出側の面に揃った位置)とは限られず、ノズル開口から少し圧力室側に引き込まれた位置が定常状態となる場合もある。また、「吐出側」は、メニスカスが定常位置よりもノズル面の外側(記録紙側)に盛り上がった状態であり、これとは反対の「圧力室側」は、メニスカスが定常位置よりも圧力室側に窪んだ状態を示す。
図9に示すように、吐出パルスの吐出要素p3を圧電素子34に供給してインク滴を吐出した後(図9(a)においてDで示す吐出タイミングの後)には、ノズル開口38のメニスカスに残留振動が生じる。この残留振動は、ノズル開口38に露出したメニスカス自体の固有振動周期Tmの振動に、圧力室内のインクの固有振動周期Tcの振動が重畳したものである。同図から分かるように、周期Tmの振動は比較的長い周期で緩やかにメニスカスを変位させるのに対し、周期Tcの振動は周期Tmの振動と比較して非常に短い期間にメニスカスを激しく変位させる。この周期Tcの振動は、次のインク滴の吐出に影響を及ぼす虞がある。具体的には、吐出時における周期Tc振動の位相に応じて吐出インク滴の飛翔速度が変化したり液量(重量・体積)が変動したりする。
図11は、図10に示す周期Tc振動の位相(タイミング)A〜Hにおけるメニスカスの状態と、各タイミングでインク滴を吐出した場合のインク滴の飛翔速度および液量を示す図である。なお、分かりやすくするため、メニスカス全体の周期Tmの振動に対し、周期Tcの振動をメニスカス中央部分の振動として表している。同図に示すように、周期Tmの振動のみを観察した場合、その変位方向は何れのタイミングA〜Hでも吐出側である。一方、周期Tcの振動を見ると、A,Eのタイミングでは、吐出側から引き込み側(圧力室側)へ変位方向を反転する状態で変位速度は0となっている。これらのタイミングA,Eでは、図10においてLで示す周期Tmの振動のみの場合と比較してメニスカスが吐出側に盛り上がっているので、このA,Eのタイミングでインク滴を吐出した場合には、液量が増加する一方、飛翔速度に関しては、周期Tc振動の変位速度が0なので、周期Tmの振動のみと比較して変化がない。B,Fのタイミングでは、周期Tcの振動の向きは圧力室側で、変位速度は最大となっている。このB,Fのタイミングでインク滴を吐出すると、周期Tmの振動のみ場合と比較してメニスカスの中央部分の凹凸が無いので液量に変化は見られないが、インク滴の飛翔速度は低下する。
また、C,Gのタイミングでは、周期Tcの振動は引き込み側から吐出側に反転する状態で、変位速度は0である。このC,Gのタイミングでインク滴を吐出すると、周期Tmの振動のみの場合と比較してメニスカスの中央部分が圧力室側に引き込まれているので液量は減少する一方、飛翔速度は変わらない。そして、D,Hのタイミングでは、周期Tcの振動の変位方向は吐出側で、その変位速度は最大となっている。このD,Hのタイミングでインク滴を吐出すると、周期Tmの振動のみ場合と比較して液量は変わらないが、飛翔速度は増加する。尚、上記でペアとなっているタイミング同士では、正確には、周期Tcの振動の振幅の大きさや、周期Tmの振動によるメニスカスの位置が異なるため、吐出液量又は飛翔速度についての実質的な増減の割合は異なる。しかし、周期Tmのみの振動の場合と比して吐出液量又は飛翔速度が増加又は減少する(或いは変化が無い)といった性質については互いに共通する。従って、周期Tmのみの振動の場合に対する吐出液量又はインク飛翔速度の増減の観点において、ペアとなっているタイミング同士を同様の性質を有するタイミングとして扱う。
このような吐出インク滴の飛翔速度や液量の変動は、記録紙における着弾位置のずれやドット大きさのばらつきの原因となり、結果として記録画像の品質低下を招く。したがって、記録紙に対してインク滴を精度良く着弾させて高品位の画像を記録するためには、吐出するインク滴の飛翔速度や液量を一定に揃えることが肝要である。特に、本実施形態における大ドットを記録する場合のように、吐出パルスを短い周期で連続的に圧電素子34に供給してインク滴を吐出する際には、先の吐出に伴う周期Tcの振動が集束しないうちに次の吐出が行われるため、何れの吐出タイミングにおいても周期Tcの振動の位相が同程度に揃うように、駆動信号中の各吐出パルスの間隔を定める必要がある。理想的には、駆動信号中の各吐出パルスを可及的に規定間隔で均等に配置することが望ましい。ここで「吐出パルスの間隔」とは、先の吐出パルスの吐出要素p3の終点(又は始点)から、次の吐出パルス信号の吐出要素p3の終点(又は始点)までの間隔である。また、「規定間隔」とは、インク滴の飛翔速度や液量について設計上の値が得られるタイミング(周期Tcの振動の位相)で各吐出パルスによる吐出が行われるように定められた吐出パルスの間隔である。
本実施形態における駆動信号COMでは、図12に示すように、第1吐出パルスP1〜第4吐出パルスP4を規定間隔Drで均等に配置している。ところが、この駆動信号COMでは、先の記録周期Tの第4吐出パルスP4から次の記録周期Tn+1の第1吐出パルスP1までの間隔が、規定間隔Drとは異なる不均等間隔Dsとなっている。この不均等間隔Dsは、タイミングパルスPTSの発生周期の変動に対する調整代として設けられたものである。即ち、タイミングパルスPTSの発生周期の変動分を考慮して、今回記録周期Tの第4吐出パルスP4から次回記録周期Tn+1の第1吐出パルスP1までの間隔を、規定間隔Drよりも長い不均等間隔Dsに設定している。
本実施形態の場合、例えば、先の吐出パルスによる吐出の後、次の吐出パルスによる吐出が図10におけるDのタイミングで行われるように規定間隔Drが定められているものとすると、不均等間隔Dsに設定されたパルス間(即ち、先の記録周期Tの第4吐出パルスP4と次の記録周期Tn+1の第1吐出パルスP1との間)では、先の吐出の後における次の吐出のタイミングがDからずれてしまうことになる。そこで、本実施形態における駆動信号発生回路58は、不均等間隔Dsを、固有振動周期Tcの整数倍を上記の規定間隔に加算した間隔に設定する。即ち、不均等間隔Dsは、以下の式(1)によって表される。なお、nは整数である。
Ds=Dr+nTc …(1)
不均等間隔Dsをこのように設定することにより、各吐出パルスによる吐出時のメニスカスの状態を、規定間隔Drで均等配置した場合と同程度に揃えることができる。即ち、例えば、上記のように先の吐出パルスによる吐出の後、次の吐出パルスによる吐出がDのタイミング(規定タイミング)で行われるように規定間隔Drが定められている場合において、n=1に設定したときには、不均等間隔Dsに設定されたパルス間では、先の吐出パルスによる吐出の後、次の吐出パルスによる吐出が、Dよりも周期Tcだけ後のHのタイミングで行われることになる。このHのタイミングでは、図11に示すように、メニスカスの状態、即ち、メニスカスの変位方向と変位速度等が、Dのタイミングと同程度となる。同様に、Aが規定タイミングの場合にはEのタイミング、Bが規定タイミングの場合にはFのタイミング、Cが規定タイミングの場合にはGのタイミングで、不均等間隔Dsにおける次の吐出パルスによる吐出が行われる。このため、吐出パルスの間隔が不均等間隔Dsとなる場合においても、吐出するインク滴の飛翔速度や液量の変動を抑制することが可能となる。その結果、吐出対象物である記録紙に対して規定位置に規定量のインク滴を精度良く着弾させることができ、記録画像の高品質化を図ることが可能となる。尚、本実施形態で例示したn=1に限られず、nは整数であれば本願の作用効果を奏することができるが、例えば、周期Tmのみの振動に対する吐出液量やインク飛翔速度の増減等の性質が図10におけるAのタイミングと同様であって、且つ、Aに一番近いタイミングは、n=1であるEのタイミングとなる。即ち、n=1に設定した場合には、周期Tcの振動の位相の違いによる吐出液量や飛翔速度の差を最小限に留めることができるという作用効果を奏する。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図13は、本実施形態における駆動信号COMの構成を説明する図である。同図に示すように、本実施形態においては、一記録周期中に第1吐出パルスP1〜第6吐出パルスP6の合計6つの吐出パルスと、1つの微振動パルスVPとを含んで構成されている。なお、各吐出パルスの構成は、上記第1実施形態における吐出パルスと同様である。上記微振動パルスVPは、中間電位VMから微振動電位VHVまで電位を比較的緩やかに上昇させる微振動膨張要素v1と、微振動電位VHVを極く短時間維持する微振動ホールド要素v2と、微振動電位VHVから中間電位VMまで比較的緩やかな勾配で電位を復帰させる微振動収縮要素v3とにより構成されている。この微振動パルスVPが圧電素子34に供給されると、圧力室39内には比較的緩やかな圧力変動が生じ、この圧力変動によってメニスカスが微振動する。このメニスカスの微振動によってノズル38付近の増粘インクが分散され、その結果、印字中のインクの増粘を防止することができる。
本実施形態では、図14に示すように、階調データ(11)の場合には、一記録周期T内の6つの吐出パルスP1〜P6を圧電素子34に供給することで大ドットを記録し、階調データ(10)の場合には、一記録周期T内の第2吐出パルスP2と第5吐出パルスP5の2つの吐出パルスを圧電素子34に供給することで中ドットを記録する。また、階調データ(01)の場合には、一記録周期T内の第3吐出パルスP3を圧電素子34に供給することで小ドットを記録する。そして、階調データ(00)の場合には、ドットの記録は行われず、微振動パルスVPを供給することで印字内微振動動作が行われる。
上記微振動パルスVPは、駆動信号COMにおいて、第4吐出パルスP4と第5吐出パルスP5との間に配置されている。そのため、第1吐出パルスP1〜P4の各パルス同士の間隔、及び、第5吐出パルスP5と第6吐出パルスP6との間隔は、上記第1実施形態と同様に規定間隔Drに設定されているのに対し、第4吐出パルスP4と第5吐出パルスP5との間隔は、微振動パルスVPを配置した分だけ規定間隔Drよりも長い不均等間隔Ds′となっている。したがって、大ドットを記録する際には、第4吐出パルスP4による吐出の後の第5吐出パルスP5による吐出のタイミングが、規定間隔Drに設定された他の吐出パルスの吐出タイミング(規定タイミング)と異なる。しかしながら、本実施形態においても、この不均等間隔Ds′を上記式(1)に基づいて定めることにより、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。即ち、吐出パルスの間隔が不均等間隔Ds′となる場合においても、各吐出パルスによる吐出時のメニスカスの状態を、規定間隔Drで均等配置した場合と同程度に揃えることができ、その結果、吐出するインク滴の飛翔速度や液量が変動することを抑制することが可能となる。
また、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。例えば、吐出パルスの波形に関し、上記実施形態で例示したものには限らない。要は、圧力室を収縮させて液滴を吐出する吐出要素に相当する波形要素を含むものであればよい。
また、上記実施形態では、本発明の圧力発生手段として所謂撓み振動モードの圧電素子34を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、所謂縦振動モードの圧電素子や磁歪素子、発熱素子などの他の圧力発生手段を用いることもできる。
また、本発明は、上記プリンタ以外の液体噴射装置にも適用できる。例えば、ディスプレー製造装置、電極製造装置、チップ製造装置等にも適用することができる。
プリンタの構成を説明する斜視図である。 リニアエンコーダを説明する部分拡大図である。 キャリッジの側面図である。 (a)はリニアエンコーダのスケールを説明する図、(b)は受光素子からの出力を説明する図である。 記録ヘッドの構成を説明する要部断面図である。 プリンタの電気的構成を説明するブロック図である。 駆動信号と階調値等との関係を説明する図である。 吐出パルスの選択パターンを示すタイムチャートである。 (a)はインク滴を吐出させた際のメニスカスの状態変化を説明する図、(b)はメニスカスの状態変化タイミングに対応させた吐出パルスである。 図9(a)における領域Xの拡大図である。 図10に示す各タイミングにおけるメニスカスの状態と、各タイミングでインク滴を吐出した場合のインク滴の飛翔速度および液量を示す図である。 駆動信号のタイムチャートである。 第2実施形態における駆動信号の構成を説明する図である。 第2実施形態における吐出パルスの選択パターンを示すタイムチャートである。
符号の説明
1 プリンタ,2 記録ヘッド,3 インクカートリッジ,4 キャリッジ,7 リニアエンコーダ,8 記録紙,9 紙送り機構,16 制御部,29 ノズル形成基板,30 圧力室形成基板,31 リザーバ形成基板,32 コンプライアンス基板,33 キャビティユニット,34 圧電素子,38 ノズル開口,39 圧力室,51 プリンタコントローラ,52 プリントエンジン,58 駆動信号発生回路

Claims (5)

  1. ノズル開口に連通する圧力室および当該圧力室内の液体に圧力変動を生じさせ得る圧力発生手段を有し、当該圧力発生手段の作動によって圧力室内の液体をノズル開口から液滴として吐出する液体噴射ヘッドと、液滴を吐出させる吐出パルスを複数含む一連の駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、を備える液体噴射装置であって、
    前記駆動信号発生手段は、駆動信号中の各吐出パルスを規定間隔で均等に配置する一方、吐出パルスの間隔が前記規定間隔とは異なる不均等間隔となる場合、当該不均等間隔を、圧力室内における液体の固有振動周期Tcの整数倍を前記規定間隔に加算した間隔に設定することを特徴とする液体噴射装置。
  2. 前記不均等間隔は、駆動信号の発生タイミングを規定するタイミング信号の発生間隔の変動に対する調整代として設定されたことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
  3. 前記不均等間隔に設定された吐出パルス同士の間に、液滴を吐出しない程度に液体を微振動させる微振動パルスを配置したことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
  4. 不均等間隔を、前記規定間隔に前記固有振動周期Tcを加算した間隔に設定したことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の液体噴射装置。
  5. ノズル開口に連通する圧力室および当該圧力室内の液体に圧力変動を生じさせ得る圧力発生手段を有し、当該圧力発生手段の作動によって圧力室内の液体をノズル開口から液滴として吐出する液体噴射ヘッドと、液滴を吐出させる吐出パルスを複数含む一連の駆動信号を発生する駆動信号発生手段と、を備える液体噴射装置の制御方法であって、
    駆動信号中の各吐出パルスを規定間隔で均等に配置する一方、吐出パルスの間隔が前記規定間隔とは異なる不均等間隔となる場合、当該不均等間隔を、圧力室内における液体の固有振動周期Tcの整数倍を前記規定間隔に加算した間隔に設定することを特徴とする液体噴射装置の制御方法。
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