JP2004114240A - 片面平面研磨機 - Google Patents

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Yukio Yamamoto
山本 雪雄
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M & S Fine Tec Kk
SAAFU SYSTEM KK
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Abstract

【課題】従来の平面研磨機に比べて、飛躍的に小型の機械で片面平面研磨を可能となし得、高精度の両面加工精度を出すことができる研磨機を提供すること。
【解決手段】駆動歯車(4)により回転駆動され得る公転用歯車(2)上に上定盤(1A、1B)をこの公転用歯車(2)の回転中心(O2)からずれた位置に駆動源(1A−M、1B−M)と連結した状態で設け、公転用歯車(2)と上定盤(1A、1B)とを同時に回転させつつ、ワーク(WK)を固定した下定盤(3)を往復動させながら、該ワーク(WK)の上面に、自転しつつ公転する上定盤(1A、1B)を押し付けて研磨する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、板状をしたワークの片面を高精度に研磨する片面平面研磨機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年になって、1500mm×1800mm(厚さ0.7mm)という大矩形かつ薄板状の液晶用基板ガラスに対する片面研磨、例えば、カラーフィルタの微細凸凹修正研磨加工など超大型薄板からなるワークを対象とした片面研磨の要請が急速に高まってきつつある。
【0003】
従来、小片状のマイクロチップを高精度に平面研磨するのに適した研磨機として、ワークの片面ずつを研磨するオスカー方式、ラップマスター方式、遊星キャリアテーブルでワークを挾んで両面を同時に研磨するホップマン方式などの各種の方式の機械が知られている。
【0004】
しかし、小片材料の平面研磨に適したこれら従来方式にかかる研磨機の原理を利用して超大型矩形薄板材料の片面平面研磨機を製作した場合には、機械の大きさが極めて大型化してしまうため、工場からユーザーへの機械の運搬や、据え付け場所などについて大きな制約を伴なうという不便があった。
【0005】
一例として、従来使用されているオスカー型平面研磨機の機構の概要を説明する。図28において、上定盤1’に研磨されるワークWKを貼り付け保持させた上で、上定盤1’を下定盤3’にエアシリンダ4’で押し付け、この状態のもとで、ワークWKと上定盤1’に研磨剤を浴びせながら、下定盤3’を回転駆動させつつ、上定盤1’を揺動させる。上定盤1’はワークWKと共に下定盤3’に連れ回りさせられる。
【0006】
これら、上定盤1’、下定盤3’の運動の組み合わせにより、ワークWKの片面が研磨される。なお、液体研磨剤はオイルパン状の受け容器5’で受けられて循環する。
【0007】
上定盤1’は揺動する第1アーム6’に支持されているので、下定盤3’上で揺動する。上定盤1’の揺動にはクランク機構の原理を利用しており、第1アーム6’の基端部と一体化された揺動支柱7’から第2アーム8’を延出させ、この第2アーム8’にクランクアーム9’の一端側を枢着し、該クランクアーム9’の他端側を、モータM’の回転軸に設けられた回転板の偏心位置に枢着した構成としている。
【0008】
かかる構成により、モータM’の回転駆動に応じてワークWKと共に上定盤1’が揺動し、下定盤3’と共回りしつつ下定盤3’上をずれるので、ワークWKの下面側が平面研磨される。
【0009】
しかし、かかる従来のオスカー型平面研磨機では、上下の定盤が共に回転し、しかも一方が揺動する構成であり、また、円盤形状をしているので、矩形のワークに対して外側にはみ出る部分が大きくなり、研磨機の占有面積も大きくならざるを得ない。
【0010】
また、ワークWKが大きくなることに伴ない、上下の定盤の大きさも大きくなるので、これら定盤の中心部と周辺部の各回転量(周速)の差が非常に大きくなってしまい、従って、ワークの中心部と周辺部の研磨量の差が大きくなり過ぎるという致命的な欠点を有している。
【0011】
この致命的な欠点を避けるためには、ワークの中心部と周辺部での周速差が極力少なくなるように、上定盤1’に保持させたワークWKをできるだけ下定盤3’の端にセットする方法があるが、下定盤3’の直径が巨大になり過ぎて実用的ではなくなってしまう。同時に、巨大な定盤重量のために、非常にデリケートな上定盤1’による加圧力のコントロールが困難になり、精密な研磨も不可能になってしまう。
【0012】
その他の平面研磨機として、特開平5−208362号公報、特開平7−88760号公報、特開平8−174408号公報等に開示されたものがあるが、何れも両面平面研磨機であるし、しかもワークWKの大きさが大きくなると、研磨機の占有床面積が飛躍的に大きくなる傾向を示す。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ワークの大型化に応じて、大規模化する片面平面研磨機を可能な限り大型化させずに高精度の片面研磨を行いたいという市場の要求を満足することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、以下の構成とした。
(1).ワークを固定してその盤面と平行な平面内で揺動運動する下定盤上の該ワーク上面に、自転しつつ公転する上定盤を押し付けて研磨することとした(請求項1)。
(2).(1)記載の片面平面研磨機において、前記下定盤の揺動運動は直線往復運動であり、該下定盤は回転運動を行わず直線往復運動を行うこととした(請求項2)。
(3).(1)又は(2)記載の片面平面研磨機において、前記上定盤を自公転させる手段として、回転駆動される公転用歯車と、この公転用歯車の回転中心からずれた位置に配置した上定盤に連結した駆動源を具備した構成とした(請求項3)。
(4).(1)乃至(3)の何れか一つに記載の片面平面研磨機において、前記上定盤は同径の2つの定盤からなり、それぞれの回転中心間の中点位置を中心に公転するように構成した(請求項4)。
(5).ワークを保持する下定盤と、この下定盤に対向配置されていて自転しつつ前記下定盤の上面と垂直に交わる軸線のまわりを公転しながら前記下定盤上に保持された前記ワークに摺接し得る上定盤と、前記下定盤をこれら定盤の面と平行に往復動させる第1往復動手段を具備した(請求項5)。
(6).(5)記載の片面平面研磨機において、当該片面平面研磨機の一部を構成する下定盤支持構造体に支持された下定盤が前記第1往復動手段により往復動可能であることした(請求項6)。
(7).(5)又は(6)の何れかに記載の片面平面研磨機において、前記第1往復動手段は、前記下定盤を所定の方向に案内する第1案内手段と、前記下定盤支持体に設けたスクリュー及びこのスクリューを駆動するモータと、前記下定盤に設けられ前記スクリューに螺合するナット部材からなることとした(請求項7)。
(8).(5)乃至(7)の何れか一つに記載の片面平面研磨機において、前記上定盤は当該片面研磨機本体の一部を構成する上部構造体に支持された回転体に設けられていて、前記上部構造体は第2往復動手段により前記上定盤及び前記下定盤の面と平行に往復動可能であることとした(請求項8)。
(9).(8)記載の片面平面研磨機において、前記第2往復動手段は前記上部構造体を所定の方向に案内する第2案内手段と、当該片面研磨機本体の一部を構成する下部構造体に設けたラックと、前記上部構造体に設けられ前記ラックに噛み合うピニオンと、このピニオンを駆動するモータからなることとした(請求項9)。
(10).(5)乃至(9)の何れか一つに記載の片面平面研磨機において、前記上定盤は、回転駆動させられる回転体の回転中心から外れた当該回転体上に、駆動源と共に設けられていることとした(請求項10)。
(11).(10)記載の片面平面研磨機において、前記回転体に前記上定盤を複数個設ける場合には、前記回転体の回転中心のまわりに、等分に振り分けられた位置に配置することとした(請求項11)。
(12).(10)又は(11)記載の片面平面研磨機において、前記回転体は当該片面平面研磨機本体の一部を構成する上部構造体に、上下動可能及び回転可能に設けられていることとした(請求項12)。
(13).(10)乃至(12)の何れか一つに記載の片面平面研磨機において、前記回転体の下部は、前記上部構造体に設けた駆動歯車と噛み合う公転用歯車からなり、該回転体の上部は、前記上部構造体に形成されたシリンダに回転自在かつ上下動自在に嵌合された上で、前記上部構造体に設けた上下駆動手段に連結されていて、前記回転体は前記上定盤を支持した状態で上下方向に移動自在であることとした(請求項13)。
(14).(13)記載の片面平面研磨機において、前記上下駆動手段は空圧若しくは油圧により作動するピストンを用い、このピストンは、前記回転体と一体的に回転することとした(請求項14)。
【0015】
【発明の実施の形態】
[1]請求項1乃至4に対応する実施の形態
本例では、図1に示すように、下定盤3にワークWKを固定するようにしている。この下定盤3は、その盤面と平行な平面内、つまり、直交座標軸の左右方向と前後方向とを共通に含む平面内で揺動運動する。
【0016】
この揺動運動は、円弧状の揺動でもよいし、直線往復運動でもよい。本例では、機械的な駆動機構が比較的容易な直線往復運動を採用し、前後方向に直線往復運動するようにしている。
【0017】
下定盤3と平行に対面するようにして、2つの同径の上定盤1A、1Bを配置している。これら上定盤1A、1Bは自転しつつ公転して下定盤3上のワークWKの上面に押し付けられてワークWKの上面を研磨する。
【0018】
これら上定盤の自転のための手段について説明すると、上定盤1Aは自転用の駆動源としてのモータ1A−Mに連結されていて公転用歯車2の回転中心(軸心O2)からずれた位置に取り付けられている。同様に、上定盤1Bは自転用の駆動源としてのモータ1B−Mと共に、公転用歯車2の回転中心からずれた位置に取り付けられている。このように公転用歯車2の回転中心からずれた位置に取り付けることにより、公転用歯車2の回転に伴なって上定盤1A、1Bが公転することとなる。
【0019】
モータ1A−Mを駆動することにより、上定盤1Aは矢印で示す時計回りの向きに自転し、モータ1A−Mを駆動することにより、上定盤1Bは矢印で示す時計回りの向きに自転する。
【0020】
公転用歯車2の回転中心を通る軸線O2及び上定盤1A、1Bの各回転中心を通る軸線O1A、O1Bは下定盤3の盤面や上定盤1A、1Bの盤面と垂直に交わる関係にある。軸線O1A、O1Bは軸線O2から等間隔ずれた位置にあり、公転用歯車2は、軸線O2を中心に回転駆動されて上定盤1A、1Bを公転させる。また、上定盤1A、1Bは駆動源としてのモータ1A−M、1B−Mにより自転する。各回転方向は図1に矢印で示すように時計回りの向きとする。
【0021】
上定盤1A、1Bが自転、公転するので、小さい上定盤を用いても広い面積を研磨することが可能となる。また、上定盤1A、1Bが自転と公転の組み合わせによる回転運動をするので、下定盤3は回転させる必要がなくただ、揺動運動させるだけで足る。下定盤3はその中心が軸線O2を通過して往復動するように構成されている。
【0022】
軸線O1A、O1Bは軸線O2を中心とする円の直径上に対向して位置していて回転バランスがとられている。公転用歯車2は、外周に形成された歯に噛み合うように設けられた駆動歯車4の回転により回転駆動される。この回転により、上定盤1A、1Bは軸線O2のまわりを公転する。かかる公転により、上定盤1A、1Bの外縁が描く軸線O2を中心とする円の軌跡の内側にワークWKの対角線が収まる関係になっていれば、ワークWKの全面の研磨がなされる。
【0023】
上定盤1A、1Bの大きさは等しいものとし、これらの上定盤1A、1BをワークWKの対角線上に並べたときに、互いが干渉することなく、かつ、該ワークWKの対角線を覆うことができる最小の大きさのものを目安として定めれば、そのワークWKの研磨が可能である。上定盤として、下定盤3の対角線を覆うことができる最小の大きさのものを備えるようにすれば、下定盤3上に載置できる任意の形状大きさのワークについて研磨が可能となる。
【0024】
下定盤3の前後方向での直線往復運動での移動ストロークは、各上定盤1A、1Bの軸線(O1A、O1B)がワークWKの前後方向の端部を越えた程度の位置でよい。研磨に際して下定盤3は回転させる必要がなく、直線往復運動で済むので、その形状を従来のように円形にしなくてもよく、これにより、多様なワークに合わせた専用の研磨機を構成することが可能となる。本例の場合には、矩形のワーク形状に合わせて、矩形の下定盤とすることができ、円形の下定盤を用いる場合に比べて、研磨機の占有面積を減少させることができる。
【0025】
モータ1A−M及びモータ1A−Bを駆動し、かつ、駆動歯車4を駆動することにより、上定盤1A、1Bは自転しつつ公転する。その上で、これら上定盤1A、1BをワークWKに押し付けた状態で下定盤3を前後動させることにより、上定盤1A、1BはワークWKの上面全体を掃引する形となり、研磨がなされる。
【0026】
本例では、上定盤は同径の2つの定盤1A、1Bからなり、それぞれの回転中心間の中点位置である軸線O2を中心に公転するように構成されており、これら上定盤1A、1Bの大きさ形状、重量が等しいので回転バランスよく自転、公転して研磨が行われる。その研磨の態様を、段階的に説明する。
【0027】
状態1(図2参照):
図1に示すように、軸線O2とワークWKの中心とが一致した状態を仮に、最初の状態の位置として説明する。図1に示した状態を、上定盤1A、1BとワークWKとの関係だけに模式化して示したのが図2である。図2において、ワークWKの中心をO3とすると、この中心O3と軸線O2とが合致している。この状態では、上定盤1A、1BはワークWKの対角線をカバーできる大きさであることからワークWKの左右方向の各端部からそれぞれ少しはみ出ているが、上定盤1A、1Bの公転軌跡を示す2転鎖線の円はワークWKの全面をその範囲内に収めている。
【0028】
上定盤1A、1Bの公転速度は一定であり、下定盤3の直線往復動速度も一定である。上定盤1A、1Bの公転速度と、下定盤3の直線往復動速度の関係は、両者の同期をとらずに中心O3と軸線O2とが合致した瞬間に、上定盤1A、1Bが少なくとも1回は公転するように設定して、上定盤の中心がワークWKの前後方向の端部近傍若しくは端部を越えた位置で折り返すように任意の速度で往復動させることもできるが、本例では、同期をとるようにしている。つまり、以下の状態変化図で示す関係位置をとる瞬間があるように上定盤と下定盤とは一定の関係を維持しつつ変位する。
状態1では、図2に示したように中心O3と軸線O2とが合致しており、このときに上定盤1A、1Bが左右方向に並ぶ関係位置をとるようにしてある。
【0029】
状態2(図3参照):
状態1より、下定盤3が前側に移動することにより、図3に示す状態2となる。この状態2では、軸線O2よりもワークWKの中心O3が前側にずれており、上定盤1BはワークWKの左かつ後の角部と重なる位置まで公転が進み、上定盤1AはワークWKの右・前の角部の手前位置まで公転が進んでいる。
【0030】
状態3(図4参照):
状態2より、下定盤3が前側に移動することにより、図4に示す状態3となる。この状態3では、軸線O2よりもワークWKの中心O3がさらに前側にずれており、上定盤1BはワークWKの後側の端部に上定盤1Bの軸線O1Bが略重なる位置にあり、上定盤1AはワークWKの右・前の角部の手前の位置にある。この位置を境界として下定盤3は折り返しの矢印で示すようにその移動方向がそれまでの前側への移動から後側への移動に変わる。
【0031】
状態4(図5参照):
状態3より、下定盤3が後側に移動することにより、図5に示す状態4となる。この状態4では、軸線O2よりもワークWKの中心O3が前側にずれているがそのずれ量は状態3よりも小さくなっている。上定盤1Bは公転が進むものの、下定盤3が後側に移動したことにより、ワークWKの後側の端部に上定盤1Bの軸線O1Bが略重なる位置にあり、上定盤1AはワークWKの右・前の角部を通過しようとしている。
【0032】
状態5(図6参照):
状態4より、下定盤3が後側に移動することにより、図6に示す状態5となる。この状態5では、中心O3が軸線O2と合致しており、上定盤1A、1Bが前後方向に並んでいる。
【0033】
状態6(図7参照):
状態5より、下定盤3が後側に移動することにより、図7に示す状態6となる。この状態6では、中心O3が軸線O2の後側に位置しており、上定盤1A、1Bは、軸線O1A、O1Bを結ぶ線が前後方向に対して僅かに傾いた状態で対向する関係位置をとる。
【0034】
状態7(図8参照):
状態6より、下定盤3が後側に移動することにより、図8に示す状態7となる。この状態7では、中心O3が軸線O2よりも後側に位置しており、上定盤1BはワークWKの右・後の角部に位置し、上定盤1Aはその軸線O1AがワークWKの左・前の角部の直前であって、該ワークWKの前側の端部を越えて外側に位置している。この位置を境界として下定盤3はその移動方向が折り返しの矢印で示すように、それまでの後側への移動から前側への移動に変わる。
【0035】
状態8(図9参照):
下定盤3が前側に移動することにより、図9に示す状態8となる。この状態8では、下定盤3の移動方向が前側になったので中心O3と軸線O2の間隔が状態7よりも小さくなっており、また、公転が進むことにより、上定盤1AがワークWKの左・前の角部に位置し、上定盤1BがワークWKの右・後の角部にそれぞれ位置している。
【0036】
状態9(図10参照):
下定盤3が前側に移動することにより、図10に示す状態9となる。この状態9では、中心O3と軸線O2が合致し、また、公転が進むことにより、上定盤1AがワークWKの左側、上定盤1BがワークWKの右側にそれぞれ位置して左右方向に並ぶ状態となっていて、下定盤3の1サイクルに対応して上定盤1A、1Bが1/2回転公転したことになる。以上のサイクルを繰返すことにより、下定盤が2サイクルするのに応じて上定盤は1回公転することになる。以上のサイクルを適宜の回数繰返すことにより、ワークWKの上面が上定盤の外形付近の高速の等しい周速部により均等に研磨される。
【0037】
[2]請求項5乃至14に対応する実施の形態
(2.1) 請求項13、14に対応する例
前記したように、上定盤1A、1Bは公転用歯車2に駆動源としてのモータ1A−M、1B−Mと共に取り付けられているが、これら上定盤1A、1Bは研磨量の調節やワークWKの着脱、その他作業用の便宜のため、下定盤3に対して接離自在の構成となっている。具体的には、上下方向や前後方向に移動可能の構成としている。そのための構成を説明する。
【0038】
図1で説明したように、上定盤1A、1Bは駆動歯車4と噛み合う公転用歯車2に、駆動源と共に設けられているが、これら上定盤1A、1Bの上下動を可能にするため、駆動歯車4を円筒体5と一体的に構成している。これら駆動歯車4と円筒体5とで一体化された全体を回転体6と称する。
【0039】
図1に示した回転体6の下部に、駆動歯車4と噛み合う公転用歯車2が位置し、上部に円筒体5が一体的に構成されている。この円筒体5は、図11、図12、図13などに示す当該片面平面研磨機の上部構造体7(図13、図14、図15参照)に形成されたシリンダ8に回転自在かつ上下動自在に嵌合されている。上部構造体7は箱状の構造体からなり、下部構造体16上に可動に支持されている。
【0040】
下部構造体16は、図13、図14、図15に示す4本の支柱11A、11B、11C、11Dと、これらの支柱同士を連結固定する固定部材などからなり固定連鎖状に構成された構造体である。
【0041】
支柱11A、11Bは後側で左右方向に並んでいる支柱であり、支柱11D、11Cは前側で左右方向に並んでいる支柱である。支柱11Aと支柱11Bとはこれらの各上部において固定部材12uで連結固定され、下部で固定部材12dで連結固定されている。また、支柱11Dと支柱11Cとはこれらの上部で固定部材13uで連結固定され、下部で固定部材13dで連結固定されている。
【0042】
同様に、支柱11Dと支柱11Aとはこれらの各上部において固定部材14uで連結固定され、下部で固定部材14dで連結固定されている。また、支柱11Cと支柱11Bとはこれらの上部で固定部材15uで連結固定され、下部で固定部材15dで連結固定されている。これら各支柱11A、11B、11C、11Dの各下端部はレベリングブロック17により水平出しができるようにしてある。
【0043】
下定盤3は図14、図15に示す下定盤支持構造体20に可動に支持されている。下定盤支持構造体20は、下部構造体16の内側の右側よりの位置で、4本の支柱21A、21B、21C、21Dと、これらの支柱同士を連結固定する固定部材などからなり固定連鎖状に構成された構造体である。
【0044】
支柱21A、21Bは後側で左右方向に並んでいる支柱であり、支柱21D、21Cは前側で左右方向に並んでいる支柱である。支柱21Aと支柱21Bとはこれらの各上部において固定部材22uで連結固定され、下部で固定部材22dで連結固定されている。また、支柱21Dと支柱21Cとはこれらの上部で固定部材23uで連結固定され、下部で固定部材23dで連結固定されている。
【0045】
同様に、支柱21Dと支柱21Aとはこれらの各上部において固定部材24uで連結固定され、下部で固定部材24dで連結固定されている。また、支柱21Cと支柱21Bとはこれらの上部で固定部材25uで連結固定され、下部で固定部材25dで連結固定されている。これら各支柱21A、21B、21C、21Dの各下端部はレベリングブロック17により水平出しができるようにしてある。
【0046】
図11、図12、図13において、シリンダ8の天板の外側中心部には、エアシリンダ9が固定されていて、そのピストンロッド9aの先端部はシリンダ8内に嵌合している円筒体5の天板の中心部に固定されている。エアシリンダ9に送る空気圧を公知のエアレギュレータにより調節することで、回転体6を上下方向に移動調節することができる。エアシリンダ9は回転体6の上下駆動手段の一例であり、油圧シリンダでもよいし、ねじ手段でもよいし、その他適宜の移動手段を適用することができる。
【0047】
ねじ手段の場合には、図12において、エアシリンダを正逆転モータに、ピストンロッド9aをおねじにそれぞれ置き換え、該おねじのシリンダ8の貫通部で螺合するようにする。また、おねじの下端部であって円筒体5との連結部は該おねじに対して回転自在の構成とする。
【0048】
上下駆動手段をエアシリンダや油圧シリンダで構成した場合には、ピストンロッド及びピストンは上定盤1A、1Bを所定の研磨位置に保持した状態のもとで、これらエアシリンダや油圧シリンダ内で円筒体5と一体的に回転するものとする。上下駆動手段がねじ手段の場合には、上記おねじに対して円筒体5が回転できるようにする。
【0049】
このように、上定盤1A、1Bは上下駆動手段により、回転体6と共に調節可能に上下動させてワークWKに上定盤を押しつけて所望の研磨量を調節しつつ研磨したり、必要に応じて上定盤をワークWKから退避させたりすることができる。
【0050】
上下駆動手段を設けたことにより、研磨量の調節や、メンテナンスなどが容易となり作業性が向上する。
【0051】
本例では、ピストンロッド9a及びピストンはこれらエアシリンダ9や、油圧シリンダの場合には該油圧シリンダ内で円筒体5と一体的に回転する構成であるから、市販のものを使用することができ、簡単に上下動及び回転の動作を含む円筒体5の動きを実現することができる。
【0052】
(2.2) 請求項8、9に対応する例
研磨時においては、上定盤1A、1Bは下定盤3と対向する位置関係にあるが、この状態のもとでは、ワークWKの着脱上、上定盤が干渉するので作業できない。上下駆動手段により回転体6を上昇させることで対処できない場合もある。
【0053】
そこで、ワーク着脱性及び、上定盤の交換メンテナンスの便を考慮して、回転体6を保持した状態の上部構造体7そのものを可動にした。上部構造体7を上定盤1A、1B及び下定盤3の面と平行に往復動可能にし、その手段として第2往復動手段を用いることとした。
【0054】
具体例で説明すると、図11、図12、図14において第2往復動手段は符号26で示してある。この第2往復手段26は、上部構造体7を所定の方向、本例では前後方向に案内する第2案内手段としての公知のLMガイド10と、下部構造体16の一部をなす固定部材14uに設けたラック27と、上部構造体7に設けられ前記ラック27に噛み合うピニオン28と、このピニオン28を駆動するモータ29Mからなる。ピニオン28はモータ29Mの回転軸に取り付けられており、モータ29Mは上部構造体7の側部に固定されたブラケット30に固定されている。
【0055】
LMガイド10は下ガイド10dと上ガイド10uとからなり、固定部材14u、15uと上部構造体7間にそれぞれ設けられている。固定部材14u、15uと一体的に設けられた下ガイド10dは長尺のレール状をなしており、また、これら下ガイドに摺動可能に嵌合している上ガイド10uは上部構造体7に固定されている。
【0056】
かかる構成により、モータ29Mを正、逆転することに応じて、上部構造体7と共に、上定盤1A、1Bを前後方向に往復動させることができる。本例では、下定盤3は下部構造体20の前側寄りの位置に設けられていて、この位置で所定の範囲で前後方向に直線往復動するようになっている。
【0057】
非研磨時であって、例えばワークの着脱、或いは、上定盤1A、1B等のメンテナンスに際しては、図15において上構造体7を図示の位置よりも、第2往復動手段26により下部構造体20の後側寄りの位置に移動する。研磨時には、図15に示すように上構造体7は第2往復動手段26により下部構造体20の前側寄りの位置に定置する。
【0058】
(2.3) 請求項10乃至12に対応する例
回転体6の一部をなす公転用歯車2は駆動歯車4により回転駆動されることは既に述べた通りであるが、この駆動歯車4の回転動力は図13乃至図15に示すように上部構造体7に固定されたモータ31Mによりなされる。
【0059】
上定盤1A、1Bは、回転駆動させられる回転体6の回転中心(軸線O2)から外れた当該回転体6上に、駆動源たるモータ1A−M、1B−Mと共に設けられている。このように構成することにより、上定盤1A、1Bを自転、公転させることができ、小さい上定盤を用いて広い面積を研磨することが可能となり研磨機の小型化を図ることができる。
【0060】
本例では、上定盤は、符号1A、1Bで示すように2つ設けているが、自転、公転することにより研磨する原理からいえば、1つでもよい。しかし、1つでは回転バランスがうまくとれないし、また、研磨能率も低い。尤も、上定盤1つの場合には、2つの定盤の位置出しは容易である。
【0061】
本例のように、2つに限らず、3つ以上、上定盤を設けることも勿論可能である。上限値は一概には定められないが、各定盤の位置出しの便などを考慮すると、数個程度が現実的であろう。複数個設ける場合には、回転体6の中心(軸線O2)のまわりに等分に振り分けて配置するのが回転バランスの上からは好ましい。異なる同心円上にそれぞれ複数、等分に振り分けて配置することも考えられる。複数の上定盤を等分に振り分けて配置することにより、研磨能率が向上し、また、回転バランスも得られる。
【0062】
図1、図11、図12、図13などに示すように、回転体6は当該片面平面研磨機本体の一部を構成する上部構造体7に構成されたシリンダ8に上下動可能及び回転可能に設けられている。これにより、上部構造体7と共に2つの上定盤1A、1Bを一体的に上下動及び前後動させて研磨を行うことができ、研磨機の構成が簡易化される。
【0063】
なお、回転体6の上下動ストロークを確保するため、回転体6の回転停止位置は上定盤1A、1Bが左右方向に並ぶ図1、図11乃至図15に示す定位置となるようにし、この定位置において回転体6を上昇させたときにモータ1A−M、1B−Mが上部構造体7と干渉しないように、上部構造体7にはこれらモータ1A−M、1B−Mの嵌入を許す円形の開口32、33を形成している。
【0064】
回転体6の上記定位置での回転停止の手段としては、例えば、エンコーダを使用してモータ31の停止位置を制御する。また、安全を図るため、回転体6を図12に実線で示した位置から下降させる際には、モータ1A−M、1B−Mが上部構造体7と干渉しない位置まで下降したことが確認されたときのみ、モータ1A−M、1B−Mの起動が可能となるようにしている。
【0065】
かかるモータ1A−M、1B−Mの起動が禁止される上部構造体7の上下方向での位置は上部構造体7の位置検知センサ、例えば、所定の下降位置を検知するリミットスイッチにより検知することができる。リミットスイッチがオンされている間はモータ1A−M、1B−Mのスイッチがオンされないようにすることにする。回転体6に設けられて該回転体6と共に回転するモータ1A−M、1B−Mに対する通電は、周知のブラシ手段を用いて行う。
【0066】
(2.4) 請求項5乃至7に対応する例
この発明にかかる片面平面研磨機では、ワークWKは下定盤3に保持され、ワークWKを保持する下定盤3と、この下定盤3に対向配置されていて自転しつつ下定盤3の上面と垂直に交わる軸線O2のまわりを公転しながら下定盤3上に保持されたワークWKに摺接し得る上定盤1A、1Bと、下定盤3をこれら定盤(上定盤1A、1B、下定盤3)の面と平行に往復動させる第1往復動手段を具備している。
【0067】
自転しつつ公転する上定盤1A、1Bという構成とし、ワークWKを固定する下定盤3を回転させることなくその盤面と平行な平面内で揺動運動する運動を組み合わせる構成とすることで、ワークWKの上面を研磨するようにしている。
【0068】
下定盤3の上記揺動運動を可能するため、これら上定盤1A、1B及び下定盤3の各対向する面と平行に下定盤3を往復動させる第1往復動手段を具備した。本例では、かかる第1往復動手段による往復動の方向は前後方向である。
【0069】
この第1往復動手段による下定盤3のストロークは、上定盤1A、1Bの自転、及び公転の領域内にワークWKが収まる程度の最小範囲を目安としている。
【0070】
具体例で説明すると、図14、図15、図16において第1往復動手段は符号34で示してある。この第1往復手段34は、下定盤3を所定の方向、本例では前後方向に案内する第1案内手段としてのLMガイド40と、下定盤支持構造体である固定部材22d、23dに設けたスクリュー35及びこのスクリュー35を駆動するモータ36Mと、下定盤3に設けられ前記スクリュー36Mに螺合するナット部材37からなる。
【0071】
第1案内手段としてのLMガイド40は、前記したLMガイド10と同様の構成からなり、下定盤3と一体的な上ガイド40uと、固定部材24u、25uに設けられていて上ガイド40uと摺動可能に嵌合しているレール上の下ガイド40dからなる。
【0072】
図16に示したように、スクリュー35はその前側端部を固定部材23d上でブラケット41で、後側端部を固定部材22d上でブラケット42によりそれぞれ軸支されている。また、後側端部については、固定部材22d上に固定されたモータ支持板43により支持されている。モータ36Mは正逆転可能なモータであり、スクリュー36はボールスクリューを使用している。ナット部材37は下端部がナットとなし、このナットの上側部分が板状に上方に延出していて下定盤3と一体化されている。
【0073】
かかる構成により、モータ36Mを正逆転させるのに応じて、下定盤3を前後方向に往復動することができる。この往復動の運動を図15、図16に符号44で示す。下定盤3の往復動のストロークは、モータ36Mの回転方向の切換えのタイミングを制御することにより可能である。
【0074】
上記の例では、ねじとナットの組み合わせにより第1往復動段を構成したが、これに代えて、第1往復動手段をリニアモータ或いは、カム機構などで構成することもできる。
【0075】
本例では、下定盤3は下定盤支持構造体に支持されて前後動するのであり、上部構造体7に支持されていないので、上部構造体とは別箇に移動させることができる。なお、図13、図15において、符号45で示したのは、液体研磨剤を受けるためのオイルパン状の受け容器であり、下定盤3の周りを前後左右方向で囲むように構成されていて、研磨液を受ける。
【0076】
[3]動作の概要
上定盤と下定盤との動作の組み合わせの概要については、既に、図2乃至図10により状態1乃至状態9の態様で説明した。ここでは、上記の状態を含め、その前後における当該片面平面研磨機の各部材の動作とも関連させて説明する。状態1に至る前の段階として、次の動作が実行される。
【0077】
前動作1(ワークの装着):
モータ1A―M、1B−M及びモータ31Mの回転を停止した状態で、エアシリンダ9の動作により上定盤1A、1Bを上昇させ(図12、図13、図15参照)、この状態のもとで、モータ29Mを駆動(例えば正転)させて、上部構造体7と共に上定盤1A、1Bを後側に寄せて、下定盤3上方を空けて、ワークWKを下定盤3上に載置、保持する。
【0078】
前動作2(上定盤の前後方向の位置決め):
モータ29Mを駆動(例えば逆転)させて、上部構造体7と共に上定盤1A、1Bを図15に示すように下定盤3の前後方向の中央位置に位置させる。次いで、エアシリンダ9を駆動させて、回転体6を下降させる。この下降により、モータ1A−M、1B−Mが上部構造体7の開口32、33から脱した状態であることが前記位置検知センサ或いはリミットスイッチなどにより検知されたら、下降を一旦、止めるようにして、モータ1A−M、1B−M、モータ31Mを回転駆動を開始させて上定盤1A、1Bを自転、公転させる。
【0079】
前動作3(下定盤の駆動):
上定盤1A、1Bを自転、公転させた状態のもとで、モータ36を駆動させて下定盤3を前後方向に揺動を開始させる。
【0080】
前動作4(上定盤の研磨位置までの下降):
上定盤1A、1B及び下定盤3が運動した状態のもとで、研磨液をかけつつ、再度、エアシリンダ9を駆動させて上定盤1A、1BによりワークWKの上面を所定の研磨代を加工できる位置まで下降させる。このときの、上定盤1A、1B及び下定盤3の関係位置を例示したのが前記図2に示した状態1であり、この図2に示した状態のもとでの当該片面平面研磨機の要部平面図に相当するのが図17である。
【0081】
以下、上定盤1A、1Bの公転動作と、下定盤3の前後動作とが相互に関連付けられた動作が実行され、上定盤1A、1Bの公転位置と下定盤3の前後位置との関係が前記状態2乃至状態9をとるように、モータ31Mと、モータ36Mの回転速度が制御される。或いは、これらモータ31M、36Mの回転速度が一定の場合には、公転用歯車2と駆動歯車との歯数比、スクリュー35の送り量(ねじピッチ、リード、条数など)の関係が予め前記状態2乃至状態9をとり得るように設定される。
【0082】
これにより、状態1乃至状態9までの工程が行わる。図2に示した上定盤と下定盤の状態1は図17に示した機械の状態に相当し、同様に、図3は図18(状態2)、図4は図19(状態3)、図5は図20(状態4)、図6は図21(状態5)、図7は図22(状態6)、図8は図23(状態7)、図9は図24(状態8)、図10は図25(状態9)にそれぞれ対応する。
【0083】
これら一連の状態をとる動作を行うことにより、状態9までで下定盤3は状態1と略同じ位置に復帰し、上定盤1A、1Bは回転体6と共に1/2回転したことになる。さらに、これに続く回転体6の残りの1/2回転と下定盤3の前側への往復動により1サイクルが終了して、上定盤1A、1B及び下定盤3共、状態1に復帰する。
【0084】
かかるサイクルを任意回数繰返すことにより、研磨が行われる。研磨が終了したら、研磨液の放出を止め、上定盤1A、1Bの回転を停止し、また、下定盤3の動作を停止させてから、上定盤1A、1Bを上昇させ、上部構造体7と共に、後側へ移動させてワークWKを下定盤3上から取外す。
なお、本例では、状態1におけるスタート位置を、ワークWKの前後方向での中央位置としたが、これに限定されるものではない。
【0085】
上定盤(1A、1B)の回転速度はワークWKの種類に応じ適宜設定するものとする。回転方向についても本例で示したのは一例であり、特に限定されるものではない。公転速度は前記したように下定盤の往復動の動作を同期しているので、一方が定まれば、自ずと決定される。研磨に直接寄与する速度ではないので、比較的遅い速度で十分である。
【0086】
[4]占有面積の比較
ワークWKの大きさを例えば、3200mm×4000mmとし、この大きさのワークWKを研磨するための研磨機の占有面積を、従来技術にかかるオスカー型平面研磨機の場合と、これまで説明した本発明の片面平面研磨機とで比較してみる。
【0087】
図26に示すように、オスカー型平面研磨機の場合、3200mm×4000mmの大きさのワークWKを研磨できる下定盤3’の直径を試算すると3200mmであり、この下定盤3’を収容することができる機械本体の最大外形寸法は、4000mm×3200mmとなる。
【0088】
図27に示すように、本例の片面平面研磨機の場合、3200mm×4000mmの大きさのワークWKを研磨できる機械本体の最大外形寸法は、3200mm×3200mmとなる。
【0089】
このように、本発明にかかる片面平面研磨機では、同じ大きさのワークWKを研磨する場合の比較で、従来のオスカー型平面研磨機と比べて、大幅に占有面積を減少させることが可能である。
【0090】
かかる占有面積の減少は、工場における占有面積を減らすことができることは勿論であるが、メーカーからユーザーへの機械の輸送に際しても、機械の幅寸法を3500mm以下とすることで、道路交通法の規制を受けることがないなどの利点もある。
【0091】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、小さい上定盤を用いて広い面積を等しい速度で研磨可能としつつ研磨機の小型化を図ることができる。また、下定盤はその形状を従来のように円形にしなくてもよいので、多様なワークに合わせた専用の研磨機を構成することが可能となり、円形の下定盤を用いる場合に比べて、研磨機の占有面積を減少させることができる。
【0092】
請求項2記載の発明によれば、下定盤は回転させる必要がなく、直線往復運動で済むので、その形状を従来のように円形にしなくてもよく、これにより、多様なワークに合わせた専用の研磨機を構成することが可能となり、円形の下定盤を用いる場合に比べて、研磨機の占有面積を減少させることができる。請求項3記載の発明によれば、上定盤は自転、公転し、研磨機の小型化を可能にする。
【0093】
請求項4記載の発明では、これら上定盤は同径でそれぞれの回転中心間の中点位置を中心に公転するので回転バランスよく回転して研磨が行われる。請求項5記載の発明では、下定盤は移動機構が単純な第1往復動手段により往復動させる構成であり、上定盤の公転位置は移動させずに、上定盤と下定盤との相対移動により平面研磨が可能である。
【0094】
請求項6記載の発明では、下定盤を該下定盤を支持している下定盤支持構造体に摺動自在としたので、上定盤に対しても単独で往復動が可能であり、所定ストロークでの高精度の移動機構を以って構成することができる。
【0095】
請求項7記載の発明では、第1往復動手段の具体的な構成を提供できる。請求項8、9記載の発明では、ワーク着脱性及び、上定盤の交換メンテナンス性が向上する。請求項10記載の発明では、上定盤を自転、公転させることが可能となり、小さい上定盤を用いて広い面積を研磨することが可能となり研磨機の小型化を図ることができる。
【0096】
請求項11記載の発明では、複数の上定盤を回転体の中心のまわりに等分に振り分けて配置することにより、研磨能率が向上し、また、回転バランスも得られる。
【0097】
請求項12記載の発明では、上部構造体共に上定盤を一体的に上下動及び前後動させて研磨を行うことができ、研磨機の構成が簡易化される。
【0098】
請求項13記載の発明では、上下駆動手段により所望の研磨量を調節することが可能である。また作業性が向上する。
【0099】
請求項14記載の発明では、簡易な構成により簡単に回転体の上下及び回転の動作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる片面平面研磨機の要部を示した斜視図である。
【図2】本発明にかかる上定盤とワークとの関係位置を説明した模視的な説明図である。
【図3】本発明にかかる上定盤とワークとの関係位置を説明した模視的な説明図である。
【図4】本発明にかかる上定盤とワークとの関係位置を説明した模視的な説明図である。
【図5】本発明にかかる上定盤とワークとの関係位置を説明した模視的な説明図である。
【図6】本発明にかかる上定盤とワークとの関係位置を説明した模視的な説明図である。
【図7】本発明にかかる上定盤とワークとの関係位置を説明した模視的な説明図である。
【図8】本発明にかかる上定盤とワークとの関係位置を説明した模視的な説明図である。
【図9】本発明にかかる上定盤とワークとの関係位置を説明した模視的な説明図である。
【図10】本発明にかかる上定盤とワークとの関係位置を説明した模視的な説明図である。
【図11】本発明にかかる上部構造体及び第2往復動手段の構成を説明した斜視図である。
【図12】図11におけるJ―J断面図である。
【図13】本発明にかかる片面平面研磨機を非研磨時の状態で後側から見たときの正面図である。
【図14】本発明にかかる片面平面研磨機を研磨時の状態で後側から見たときの正面図である。
【図15】本発明にかかる片面平面研磨機を非研磨時の状態で右側から見たときの側面図である。
【図16】本発明にかかる第1往復動手段の要部斜視図である。
【図17】本発明にかかる片面平面研磨機の平面図である。
【図18】本発明にかかる片面平面研磨機の平面図である。
【図19】本発明にかかる片面平面研磨機の平面図である。
【図20】本発明にかかる片面平面研磨機の平面図である。
【図21】本発明にかかる片面平面研磨機の平面図である。
【図22】本発明にかかる片面平面研磨機の平面図である。
【図23】本発明にかかる片面平面研磨機の平面図である。
【図24】本発明にかかる片面平面研磨機の平面図である。
【図25】本発明にかかる片面平面研磨機の平面図である。
【図26】オスカー型平面研磨機の概略平面図である。
【図27】本発明にかかる片面平面研磨機の概略平面図である。
【図28】オスカー型平面研磨機の概略構成を説明した斜視図である。
【符号の説明】
1A 上定盤
1B 上定盤
3 下定盤
O1A、O1B、O2 軸線

Claims (14)

  1. ワークを固定してその盤面と平行な平面内で揺動運動する下定盤上の該ワーク上面に、自転しつつ公転する上定盤を押し付けて研磨することを特徴とする片面平面研磨機。
  2. 請求項1記載の片面平面研磨機において、
    前記下定盤の揺動運動は直線往復運動であり、該下定盤は回転運動を行わず直線往復運動を行うことを特徴とする片面平面研磨機。
  3. 請求項1又は2記載の片面平面研磨機において、
    前記上定盤を自公転させる手段として、回転駆動される公転用歯車と、この公転用歯車の回転中心からずれた位置に配置した上定盤に連結した駆動源を具備した構成としたことを特徴とする片面平面研磨機。
  4. 請求項1乃至3の何れか一つに記載の片面平面研磨機において、
    前記上定盤は同径の2つの定盤からなり、それぞれの回転中心間の中点位置を中心に公転するように構成したことを特徴とする片面平面研磨機。
  5. ワークを保持する下定盤と、この下定盤に対向配置されていて自転しつつ前記下定盤の上面と垂直に交わる軸線のまわりを公転しながら前記下定盤上に保持された前記ワークに摺接し得る上定盤と、前記下定盤をこれら定盤の面と平行に往復動させる第1往復動手段を具備したことを特徴とする片面平面研磨機。
  6. 請求項5記載の片面平面研磨機において、
    当該片面平面研磨機の一部を構成する下定盤支持構造体に支持された下定盤が前記第1往復動手段により往復動可能であることを特徴とする片面平面研磨機。
  7. 請求項5又は6の何れかに記載の片面平面研磨機において、
    前記第1往復動手段は、前記下定盤を所定の方向に案内する第1案内手段と、前記下定盤支持構造体に設けたスクリュー及びこのスクリューを駆動するモータと、前記下定盤に設けられ前記スクリューに螺合するナット部材からなることを特徴とする片面平面研磨機。
  8. 請求項5乃至7の何れか一つに記載の片面平面研磨機において、
    前記上定盤は当該片面研磨機本体の一部を構成する上部構造体に支持された回転体に設けられていて、前記上部構造体は第2往復動手段により前記上定盤及び前記下定盤の面と平行に往復動可能であることを特徴とする片面平面研磨機。
  9. 請求項8記載の片面平面研磨機において、前記第2往復動手段は前記上部構造体を所定の方向に案内する第2案内手段と、当該片面研磨機本体の一部を構成する下部構造体に設けたラックと、前記上部構造体に設けられ前記ラックに噛み合うピニオンと、このピニオンを駆動するモータからなることを特徴とする片面平面研磨機。
  10. 請求項5乃至9の何れか一つに記載の片面平面研磨機において、
    前記上定盤は、回転駆動させられる回転体の回転中心から外れた当該回転体上に、駆動源と共に設けられていることを特徴とする片面平面研磨機。
  11. 請求項10記載の片面平面研磨機において、
    前記回転体に前記上定盤を複数個設ける場合には、前記回転体の回転中心のまわりに、等分に振り分けられた位置に配置することを特徴とする片面平面研磨機。
  12. 請求項10又は11記載の片面平面研磨機において、
    前記回転体は当該片面平面研磨機本体の一部を構成する上部構造体に、上下動可能及び回転可能に設けられていることを特徴とする片面平面研磨機。
  13. 請求項10乃至12の何れか一つに記載の片面平面研磨機において、
    前記回転体の下部は、前記上部構造体に設けた駆動歯車と噛み合う公転用歯車からなり、該回転体の上部は、前記上部構造体に形成されたシリンダに回転自在かつ上下動自在に嵌合された上で、前記上部構造体に設けた上下駆動手段に連結されていて、前記回転体は前記上定盤を支持した状態で上下方向に移動自在であることを特徴とする片面平面研磨機。
  14. 請求項13記載の片面平面研磨機において、
    前記上下駆動手段は空圧若しくは油圧により作動するピストンを用い、このピストンは、前記回転体と一体的に回転することを特徴とする片面平面研磨機。
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