JP2004113924A - 二酸化炭素の浅海投入システム - Google Patents
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Abstract
【課題】スラリー塊に丈夫な氷層を生成して界面不安定による分裂を防止するとともに、二酸化炭素をドライアイスが混在する3重点近傍の低温かつ低飽和圧力に保つことにより、タンカー輸送を容易にすることができる二酸化炭素の浅海投入システムを提供すること。
【解決手段】低温二酸化炭素を浅海に放出し、所定の深度まで自由沈降させる二酸化炭素の浅海投入システムにおいて、二酸化炭素を、ドライアイスを混合した低温スラリー塊1として浅海に放出する。
【選択図】 図1
【解決手段】低温二酸化炭素を浅海に放出し、所定の深度まで自由沈降させる二酸化炭素の浅海投入システムにおいて、二酸化炭素を、ドライアイスを混合した低温スラリー塊1として浅海に放出する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火力発電所等の集中発生源から分離・回収した二酸化炭素を海洋処理する二酸化炭素の浅海投入システムに関し、特に、スラリー塊に丈夫な氷層を生成せしめ、界面不安定による分裂を防止するとともに、二酸化炭素をドライアイスが混在する3重点近傍の低温かつ低飽和圧力に保つことによりタンカー輸送を容易にすることができる二酸化炭素の浅海投入システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有望な地球温暖化対策技術として注目されている二酸化炭素の海洋処理法として、深度1000〜2000mの中層海域に液体二酸化炭素を溶解・拡散させる「溶解法」と、密度的に安定となる3500m以深の深海底窪地に液体二酸化炭素を溜める「貯留法」とが考えられている。
【0003】
液体二酸化炭素は、熱膨張率と圧縮率が海水の10倍以上と大きいため、熱平衡状態(海水と同温度)では、深度2750m以浅で海水より軽く、それ以深で重くなる。
深海貯留法では、液体二酸化炭素が二酸化炭素飽和溶解海水より重くなることが求められることから、貯留法の適用深度3500m以深に液体二酸化炭素を送り込むためには、少なくとも深度2750mまでパイプで送り込む必要があると考えられてきた。
【0004】
また、二酸化炭素は、海水中では深度450〜900m(深度の違いは海域によって海水温度が数度異なるため)以深で、海水と反応しハイドレートを生成することが知られている。
従来のハイドレート研究は、溶解しにくい天然ガスハイドレートを対象としてきたため、二酸化炭素ハイドレートも非溶解との期待が強く、二酸化炭素ハイドレートを二酸化炭素固定化のエースと考えられた時期もあったが、水によく解ける二酸化炭素はハイドレートとなっても海水によく溶けることが本願の発明者らの実験から明らかにされた。
また、ハイドレートは液体二酸化炭素と海水との界面に厚さ数ミクロンの膜状として生成されるため、塊としての二酸化炭素ハイドレートを製造することは容易ではなく、ハイドレート化による二酸化炭素の深海貯留は現実的でない。
【0005】
一方、二酸化炭素の固体であるドライアイスは、全ての深度で海水より十分重いため、ドライアイスの塊を海上から投げ込むと、一部は昇華又は溶解するが、残りは深海底まで沈降し、やがて海水からの熱により液体となる。
このドライアイスによる二酸化炭素の投入法も考えられるが、ドライアイスの製造時に大きな熱損失があり二酸化炭素の排出が増えるとともに、処理がバッチ式となることから二酸化炭素の海洋処理に求められる迅速な大量処理ができないという問題を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これらの問題を解決するために、本願出願人により、特許公報第2896399号にて二酸化炭素の浅海投入システムが提案されている。
この二酸化炭素の浅海投入システムは、−26℃以下の低温二酸化炭素を限界直径0.7m以上の大液泡として深度500〜750mの浅海に放出し、液体二酸化炭素が熱平衡状態で海水と等密度となる深度2750mを通過するまで、二酸化炭素液泡の熱的非平衡性を保持させることにより、二酸化炭素を深海貯留が可能となる3500m以深まで自由沈降させるというものである。
【0007】
しかしながら、上記従来の二酸化炭素の浅海投入システムは、高圧タンクによる陸上実験及び実海域実験から、−50〜−40℃の低温二酸化炭素の大液泡は比較的丈夫な氷層を生成するだけの冷熱を有するとしても、界面不安定によって氷層が十分発達する前に小液泡に分裂する傾向が強いという問題が明らかになった。
さらに、液体二酸化炭素を最小圧力(0.518MPa)となる3重点でタンカー輸送するには、液体二酸化炭素を3重点温度の−56.6℃に保つ必要があるが、輸送中の受熱により液体二酸化炭素の温度が上昇し圧力が上昇するという問題がある。このため、タンカーの許容タンク圧力を3重点圧力以上にしなければならず、二酸化炭素積載用のタンカーを設計する上で望ましくない条件が加わることになる。
【0008】
本発明は、上記従来の二酸化炭素の浅海投入システムが有する問題点に鑑み、スラリー塊に丈夫な氷層を生成して界面不安定による分裂を防止するとともに、二酸化炭素をドライアイスが混在する3重点近傍の低温かつ低飽和圧力に保つことにより、タンカー輸送を容易にすることができる二酸化炭素の浅海投入システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の二酸化炭素の浅海投入システムは、低温二酸化炭素を浅海に放出し、所定の深度まで自由沈降させる二酸化炭素の浅海投入システムにおいて、前記二酸化炭素を、ドライアイスを混合した低温スラリー塊として浅海に放出することを特徴とする。
ここで、「浅海」とは、深度500m未満の浅海を意味し、好ましくは、深度200m程度の浅海を意味する。
【0010】
この二酸化炭素の浅海投入システムは、二酸化炭素を、ドライアイスを混合した低温スラリー塊として浅海に放出することから、スラリー塊に丈夫な氷層を生成して界面不安定による分裂を防止するとともに、二酸化炭素を温度が上昇しにくい形態として、タンク圧力を最小圧力に保つことによりタンカー輸送を容易にすることができる。
そして、この二酸化炭素の浅海投入システムは、放出時の二酸化炭素の塊径を従来の2分の1程度にするとともに、放出深度を従来よりも浅くすることができ、これにより、浅海投入システムの開発に伴う技術的課題を大幅に軽減することができる。
さらに、この二酸化炭素の浅海投入システムは、二酸化炭素スラリーが流体の性質を持つために連続投入をすることができ、ドライアイスをそのままバッチ投入する方法に比較し、海洋処理に求められる二酸化炭素の迅速な大量処理を行うことができ、また、低温二酸化炭素の一部をドライアイスで構成するため、消費エネルギーの増加を極力抑えることができる。
【0011】
この場合において、二酸化炭素スラリー塊を所定の塊径以上の塊として放出することができる。
【0012】
これにより、二酸化炭素スラリー塊を熱平衡状態で海水と等密度となる深度2750mを通過するまで熱的非平衡性を保持させることができ、深海貯留が可能となる3500m以深の貯留深度まで確実に自由沈降させることができる。
【0013】
また、二酸化炭素スラリー塊を所定の塊径未満の塊として放出することができる。
【0014】
これにより、任意の深度でスラリー塊を下降から上昇に転じさせることができ、2000m以浅に液体として放出する溶解法への適用が可能であり、その際、深海底から深度400mの相変化深度までの全深度を二酸化炭素の溶解に利用することができ、溶解後の海水の二酸化炭素濃度を低く抑え、海洋生態系への影響を大きく緩和することができる。
【0015】
さらに、二酸化炭素スラリー塊の塊径に対応して、二酸化炭素スラリーをドライアイスを80重量%未満の任意の混入率として放出することができる。
【0016】
これにより、スラリー塊の下降及び上昇動作を簡易に制御することが可能となり、例えば、任意の深度でスラリー塊を下降から上昇に転じさせることができ、2000m以浅に液体として放出する溶解法への適用が可能であり、その際、深海底から深度400mの相変化深度までの全深度を二酸化炭素の溶解に利用することができ、溶解後の海水の二酸化炭素濃度を低く抑え、海洋生態系への影響を大きく緩和することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の二酸化炭素の浅海投入システムの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1〜図2に、本発明の二酸化炭素の浅海投入システムの一実施例を示す。
この二酸化炭素の浅海投入システムは、低温二酸化炭素を浅海に放出し、所定の深度まで自由沈降させるもので、前記二酸化炭素を、ドライアイスを混合した低温スラリー塊(通常、約−55℃を呈する。)として浅海に放出する。
ここで、「浅海」とは、深度500m未満の浅海を意味し、好ましくは、深度200m程度の浅海を意味する。
【0019】
そして、本実施例の二酸化炭素の浅海投入システムは、二酸化炭素スラリー塊1を所定の塊径、特に限定されるものではないが、例えば、40cm程度以上の塊として放出するようにしており、これにより、二酸化炭素スラリー塊1を熱平衡状態で海水と等密度となる深度2750mを通過するまで熱的非平衡性を保持させるようにして、深海貯留が可能となる3500m以深の貯留深度まで自由沈降させるようにしている。
3500m以深の貯留深度まで自由沈降した二酸化炭素11は、図1に示すように、海底2に滞留し、その上部にはハイドレート膜3が形成される。
また、この二酸化炭素の浅海投入システムは、放出時の二酸化炭素の塊径を従来の2分の1程度にするとともに、放出深度を従来よりも浅くすることができ、これにより、浅海投入システムの開発に伴う技術的な課題を大幅に軽減している。
【0020】
二酸化炭素スラリーの具体的な投入方法は、図1〜図2に示すように、例えば、二酸化炭素スラリーを積載したタンカー4から二酸化炭素スラリーの放出管5を深度200m程度の海中に垂らし、該放出管5の先端から二酸化炭素を所定塊径のスラリー塊として放出する。
放出管5は、ジャケットにより被覆されており、内部を通る二酸化炭素スラリーの冷熱が海水中に放出されにくい構造となっている。
また、二酸化炭素スラリーは、液体二酸化炭素と粒状のドライアイスを混合することにより製造することができ、その混合率は適宜に調節することができる。この二酸化炭素スラリーは、船上で製造することも可能であるが、陸上のプラントで製造しておいてタンカー4に積み込むことも可能である。
二酸化炭素スラリー(約−55℃)は、海水より十分重いため、放出管5内を無動力で沈降し、放出深度200mに自動的に達し、放出ノズルのフード51で所要寸法に達した二酸化炭素スラリー塊1が次々に海中で自由沈降を繰り返す。
【0021】
【実施例】
ドライアイスの比重は1.5程度と大きく、このドライアイスを混入した液体二酸化炭素をスラリーとして放出すると、低温液体のまま放出する従来の場合と同様に自由沈降する。
ドライアイスが溶け切るまでは、二酸化炭素スラリーの温度は−55℃に保たれるため、放出深度を二酸化炭素の相変化深度(海域の温度に若干依存するが概ね400m)より大幅に浅く設定することができる。
数値シミュレーション結果によると、深度100mからの放出も可能であるが、本発明では、相変化に対する十分な安全性を確保する意味から、放出深度を200mとしている。
この200mという深度は、従来の二酸化炭素の浅海投入システムが求める500mに比較して、単に浅いことによるコストダウンだけでなく、想定される20万トンクラスの二酸化炭素タンカー4の長さ以下であり、実際の放出時に、放出管を洋上で継ぎ足すという面倒な作業がなくなるという大きなメリットがある。
【0022】
また、ドライアイスの比重が低温二酸化炭素より大きいことと、ドライアイスの潜熱が二酸化炭素スラリーの温度を長く低温に保つこととにより、二酸化炭素スラリーの沈降速度を速くすることができる。
これにより、深海に到達する最小スラリー径が、従来の二酸化炭素の浅海投入システムより小さくて済むことになる。
図3に示すシミュレーション結果から、ドライアイスの混入率が50重量%の場合、最小深海底到達径は40cmであることが分かる。従来の浅海投入システムが求める最小深海底到達径0.7mに比べると、半分近くの大きさであり、これにより、投入設備のコンパクト化による大きなコストダウンを実現することが可能となる。
【0023】
一方、二酸化炭素スラリーを深度200mの海中に放出する際に、二酸化炭素タンカー4の主機関はほとんど休止状態となる。
このとき、タンカー4の3万馬力の主機関6を、スラリー放出時のドライアイスの混合率調整用の補助エネルギー源として利用することにより、20万トンの二酸化炭素(100万kW火力発電所から排出される11.6日分の二酸化炭素)を、僅か2日以内に任意のドライアイスの混合率を持ったスラリーとして放出することが可能となる。
図2は、主機関6を補助的なドライアイスの混合率調整用エネルギー源として利用した場合の本実施例の二酸化炭素の浅海投入システムの概念を示している。ここで、主機関6を、スラリー放出時のドライアイスの混合率調整用の補助エネルギー源として利用する機構60としては、特に限定されるものではないが、主機関6によって駆動されるコンプレッサ61と、海水との間で熱交換を行うコンデンサ62と、タンカー4に積載された二酸化炭素(液体及び固体)を冷却する冷却器63とから構成することができる。
【0024】
次に、本実施例の二酸化炭素の浅海投入システムの実験結果及び想定される作用効果を記載する。
図1に示すような実海域実験と陸上タンク実験によれば、二酸化炭素をスラリー放出すると、上述の界面不安定が抑制され、厚い氷層に保護された二酸化炭素スラリー塊1が、分裂することなく自由沈降することが確認された。
なお、二酸化炭素をドライアイスと低温液体二酸化炭素の混合物であるスラリー状態とし、この二酸化炭素スラリーをタンカー輸送することにより、輸送中の温度を3重点温度にし、タンク圧力を最小圧力に保つことができるものと考えられる。
また、スラリーは流体の性質を持つため、連続投入が可能となり、ドライアイスをそのままバッチ投入する従来の方法に比較し、海洋処理に求められる二酸化炭素の迅速な大量処理を行うことができるものと考えられる。
さらに、低温二酸化炭素の一部をドライアイスで構成するため、消費エネルギーの増加を極力抑えることができるものと考えられる。
【0025】
次に、本発明の二酸化炭素の浅海投入システムの第2実施例を説明する。
この二酸化炭素の浅海投入システムは、低温二酸化炭素を浅海に放出し、所定の深度まで自由沈降させるもので、前記二酸化炭素を、ドライアイスを混合した約−55℃の低温スラリー塊として深度約200mの浅海に放出する。
そして、この二酸化炭素の浅海投入システムは、二酸化炭素スラリー塊1を所定の塊径未満、特に限定されるものではないが、例えば、40cm程度未満の塊として放出するようにする。
さらに、二酸化炭素スラリー塊の塊径に対応して、二酸化炭素スラリーをドライアイスを80重量%未満の任意の混入率として放出するようにする。
【0026】
このように、二酸化炭素スラリー塊の塊径に対応して、二酸化炭素スラリーをドライアイスの混入率を80重量%未満の任意の値に設定して放出することにより、スラリー塊の下降及び上昇動作を簡易に制御することが可能となり、例えば、任意の深度でスラリー塊を下降から上昇に転じさせることができ、2000m以浅に液体として放出する溶解法への適用が可能であり、その際、深海底から深度400mの相変化深度までの全深度を二酸化炭素の溶解に利用することができ、溶解後の海水の二酸化炭素濃度を低く抑え、海洋生態系への影響を大きく緩和することができる。
【0027】
海水と同温度の二酸化炭素は深度2700m以浅では海水より軽い。従来の溶解法は、放出二酸化炭素が海水より十分軽くなる深度2000m以浅の海中に二酸化炭素を無数の液泡として放出し、それが相変化深度に達するまでに完全に溶解させるというものである。この場合、溶解に預かる深度は、最大で1600(=2000−400)mである。
一方、本発明の二酸化炭素のスラリー放出では、上記のように、ドライアイスの混合率とスラリー径を適当に組み合わせることにより、例えば、図3に示すように、スラリー塊の下降から上昇に転じさせる深度を自由に設定することができる。
このことは、本発明の二酸化炭素のスラリー放出を溶解法に適用した場合、溶解過程に利用できる深度は、4000m以深の深海底から相変化深度までの3600(=4000−400)mとなる。
溶解過程に利用できる深度の幅が大きいことは、それだけ溶解後の二酸化炭素濃度、即ち酸性度(pH)の低下を抑制し、もって海洋生態系への影響を最小限にすることができる。
【0028】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明の二酸化炭素の浅海投入システムは、本実施例の記載に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することが可能である。
【0029】
【発明の効果】
本発明の二酸化炭素の浅海投入システムによれば、二酸化炭素を、ドライアイスを混合した低温スラリー塊として浅海に放出することから、スラリー塊に丈夫な氷層を生成して界面不安定による分裂を防止するとともに、二酸化炭素を温度が上昇しにくい形態として、タンク圧力を最小圧力に保つことによりタンカー輸送を容易にすることができる。
そして、この二酸化炭素の浅海投入システムは、放出時の二酸化炭素の塊径を従来の2分の1程度にするとともに、放出深度を従来よりも浅くすることができ、これにより、浅海投入システムの開発に伴う技術的課題を大幅に軽減することができる。
さらに、この二酸化炭素の浅海投入システムは、二酸化炭素スラリーが流体の性質を持つために連続投入をすることができ、ドライアイスをそのままバッチ投入する方法に比較し、海洋処理に求められる二酸化炭素の迅速な大量処理を行うことができ、また、低温二酸化炭素の一部をドライアイスで構成するため、消費エネルギーの増加を極力抑えることができる。
【0030】
そして、二酸化炭素スラリー塊を所定の塊径以上の塊として放出することにより、二酸化炭素スラリー塊を熱平衡状態で海水と等密度となる深度を通過するまで熱的非平衡性を保持させることができ、深海貯留が可能となる3500m以深の貯留深度まで確実に自由沈降させることができる。
【0031】
また、二酸化炭素スラリー塊を所定の塊径未満の塊として放出することにより、任意の深度でスラリー塊を下降から上昇に転じさせることができ、2000m以浅に液体として放出する溶解法への適用が可能であり、その際、深海底から深度400mの相変化深度までの全深度を二酸化炭素の溶解に利用することができ、溶解後の海水の二酸化炭素濃度を低く抑え、海洋生態系への影響を大きく緩和することができる。
【0032】
さらに、二酸化炭素スラリー塊の塊径に対応して、二酸化炭素スラリーをドライアイスを80重量%未満の任意の混入率として放出することにより、スラリー塊の下降及び上昇動作を簡易に制御することが可能となり、例えば、任意の深度でスラリー塊を下降から上昇に転じさせることができ、2000m以浅に液体として放出する溶解法への適用が可能であり、その際、深海底から深度400mの相変化深度までの全深度を二酸化炭素の溶解に利用することができ、溶解後の海水の二酸化炭素濃度を低く抑え、海洋生態系への影響を大きく緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二酸化炭素の浅海投入システムの一実施例を示す説明図である。
【図2】同実施例の投入装置を示す説明図である。
【図3】二酸化炭素スラリーの塊径と沈降動作の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 二酸化炭素スラリー塊
11 液体二酸化炭素
2 海底
3 二酸化炭素ハイドレート膜
4 二酸化炭素輸送用タンカー
5 放出管
51 放出ノズルのフード
6 タンカーの主機関
60 ドライアイス混合率調整機構
61 コンプレッサ
62 コンデンサ
63 冷却器
【発明の属する技術分野】
本発明は、火力発電所等の集中発生源から分離・回収した二酸化炭素を海洋処理する二酸化炭素の浅海投入システムに関し、特に、スラリー塊に丈夫な氷層を生成せしめ、界面不安定による分裂を防止するとともに、二酸化炭素をドライアイスが混在する3重点近傍の低温かつ低飽和圧力に保つことによりタンカー輸送を容易にすることができる二酸化炭素の浅海投入システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有望な地球温暖化対策技術として注目されている二酸化炭素の海洋処理法として、深度1000〜2000mの中層海域に液体二酸化炭素を溶解・拡散させる「溶解法」と、密度的に安定となる3500m以深の深海底窪地に液体二酸化炭素を溜める「貯留法」とが考えられている。
【0003】
液体二酸化炭素は、熱膨張率と圧縮率が海水の10倍以上と大きいため、熱平衡状態(海水と同温度)では、深度2750m以浅で海水より軽く、それ以深で重くなる。
深海貯留法では、液体二酸化炭素が二酸化炭素飽和溶解海水より重くなることが求められることから、貯留法の適用深度3500m以深に液体二酸化炭素を送り込むためには、少なくとも深度2750mまでパイプで送り込む必要があると考えられてきた。
【0004】
また、二酸化炭素は、海水中では深度450〜900m(深度の違いは海域によって海水温度が数度異なるため)以深で、海水と反応しハイドレートを生成することが知られている。
従来のハイドレート研究は、溶解しにくい天然ガスハイドレートを対象としてきたため、二酸化炭素ハイドレートも非溶解との期待が強く、二酸化炭素ハイドレートを二酸化炭素固定化のエースと考えられた時期もあったが、水によく解ける二酸化炭素はハイドレートとなっても海水によく溶けることが本願の発明者らの実験から明らかにされた。
また、ハイドレートは液体二酸化炭素と海水との界面に厚さ数ミクロンの膜状として生成されるため、塊としての二酸化炭素ハイドレートを製造することは容易ではなく、ハイドレート化による二酸化炭素の深海貯留は現実的でない。
【0005】
一方、二酸化炭素の固体であるドライアイスは、全ての深度で海水より十分重いため、ドライアイスの塊を海上から投げ込むと、一部は昇華又は溶解するが、残りは深海底まで沈降し、やがて海水からの熱により液体となる。
このドライアイスによる二酸化炭素の投入法も考えられるが、ドライアイスの製造時に大きな熱損失があり二酸化炭素の排出が増えるとともに、処理がバッチ式となることから二酸化炭素の海洋処理に求められる迅速な大量処理ができないという問題を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これらの問題を解決するために、本願出願人により、特許公報第2896399号にて二酸化炭素の浅海投入システムが提案されている。
この二酸化炭素の浅海投入システムは、−26℃以下の低温二酸化炭素を限界直径0.7m以上の大液泡として深度500〜750mの浅海に放出し、液体二酸化炭素が熱平衡状態で海水と等密度となる深度2750mを通過するまで、二酸化炭素液泡の熱的非平衡性を保持させることにより、二酸化炭素を深海貯留が可能となる3500m以深まで自由沈降させるというものである。
【0007】
しかしながら、上記従来の二酸化炭素の浅海投入システムは、高圧タンクによる陸上実験及び実海域実験から、−50〜−40℃の低温二酸化炭素の大液泡は比較的丈夫な氷層を生成するだけの冷熱を有するとしても、界面不安定によって氷層が十分発達する前に小液泡に分裂する傾向が強いという問題が明らかになった。
さらに、液体二酸化炭素を最小圧力(0.518MPa)となる3重点でタンカー輸送するには、液体二酸化炭素を3重点温度の−56.6℃に保つ必要があるが、輸送中の受熱により液体二酸化炭素の温度が上昇し圧力が上昇するという問題がある。このため、タンカーの許容タンク圧力を3重点圧力以上にしなければならず、二酸化炭素積載用のタンカーを設計する上で望ましくない条件が加わることになる。
【0008】
本発明は、上記従来の二酸化炭素の浅海投入システムが有する問題点に鑑み、スラリー塊に丈夫な氷層を生成して界面不安定による分裂を防止するとともに、二酸化炭素をドライアイスが混在する3重点近傍の低温かつ低飽和圧力に保つことにより、タンカー輸送を容易にすることができる二酸化炭素の浅海投入システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の二酸化炭素の浅海投入システムは、低温二酸化炭素を浅海に放出し、所定の深度まで自由沈降させる二酸化炭素の浅海投入システムにおいて、前記二酸化炭素を、ドライアイスを混合した低温スラリー塊として浅海に放出することを特徴とする。
ここで、「浅海」とは、深度500m未満の浅海を意味し、好ましくは、深度200m程度の浅海を意味する。
【0010】
この二酸化炭素の浅海投入システムは、二酸化炭素を、ドライアイスを混合した低温スラリー塊として浅海に放出することから、スラリー塊に丈夫な氷層を生成して界面不安定による分裂を防止するとともに、二酸化炭素を温度が上昇しにくい形態として、タンク圧力を最小圧力に保つことによりタンカー輸送を容易にすることができる。
そして、この二酸化炭素の浅海投入システムは、放出時の二酸化炭素の塊径を従来の2分の1程度にするとともに、放出深度を従来よりも浅くすることができ、これにより、浅海投入システムの開発に伴う技術的課題を大幅に軽減することができる。
さらに、この二酸化炭素の浅海投入システムは、二酸化炭素スラリーが流体の性質を持つために連続投入をすることができ、ドライアイスをそのままバッチ投入する方法に比較し、海洋処理に求められる二酸化炭素の迅速な大量処理を行うことができ、また、低温二酸化炭素の一部をドライアイスで構成するため、消費エネルギーの増加を極力抑えることができる。
【0011】
この場合において、二酸化炭素スラリー塊を所定の塊径以上の塊として放出することができる。
【0012】
これにより、二酸化炭素スラリー塊を熱平衡状態で海水と等密度となる深度2750mを通過するまで熱的非平衡性を保持させることができ、深海貯留が可能となる3500m以深の貯留深度まで確実に自由沈降させることができる。
【0013】
また、二酸化炭素スラリー塊を所定の塊径未満の塊として放出することができる。
【0014】
これにより、任意の深度でスラリー塊を下降から上昇に転じさせることができ、2000m以浅に液体として放出する溶解法への適用が可能であり、その際、深海底から深度400mの相変化深度までの全深度を二酸化炭素の溶解に利用することができ、溶解後の海水の二酸化炭素濃度を低く抑え、海洋生態系への影響を大きく緩和することができる。
【0015】
さらに、二酸化炭素スラリー塊の塊径に対応して、二酸化炭素スラリーをドライアイスを80重量%未満の任意の混入率として放出することができる。
【0016】
これにより、スラリー塊の下降及び上昇動作を簡易に制御することが可能となり、例えば、任意の深度でスラリー塊を下降から上昇に転じさせることができ、2000m以浅に液体として放出する溶解法への適用が可能であり、その際、深海底から深度400mの相変化深度までの全深度を二酸化炭素の溶解に利用することができ、溶解後の海水の二酸化炭素濃度を低く抑え、海洋生態系への影響を大きく緩和することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の二酸化炭素の浅海投入システムの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1〜図2に、本発明の二酸化炭素の浅海投入システムの一実施例を示す。
この二酸化炭素の浅海投入システムは、低温二酸化炭素を浅海に放出し、所定の深度まで自由沈降させるもので、前記二酸化炭素を、ドライアイスを混合した低温スラリー塊(通常、約−55℃を呈する。)として浅海に放出する。
ここで、「浅海」とは、深度500m未満の浅海を意味し、好ましくは、深度200m程度の浅海を意味する。
【0019】
そして、本実施例の二酸化炭素の浅海投入システムは、二酸化炭素スラリー塊1を所定の塊径、特に限定されるものではないが、例えば、40cm程度以上の塊として放出するようにしており、これにより、二酸化炭素スラリー塊1を熱平衡状態で海水と等密度となる深度2750mを通過するまで熱的非平衡性を保持させるようにして、深海貯留が可能となる3500m以深の貯留深度まで自由沈降させるようにしている。
3500m以深の貯留深度まで自由沈降した二酸化炭素11は、図1に示すように、海底2に滞留し、その上部にはハイドレート膜3が形成される。
また、この二酸化炭素の浅海投入システムは、放出時の二酸化炭素の塊径を従来の2分の1程度にするとともに、放出深度を従来よりも浅くすることができ、これにより、浅海投入システムの開発に伴う技術的な課題を大幅に軽減している。
【0020】
二酸化炭素スラリーの具体的な投入方法は、図1〜図2に示すように、例えば、二酸化炭素スラリーを積載したタンカー4から二酸化炭素スラリーの放出管5を深度200m程度の海中に垂らし、該放出管5の先端から二酸化炭素を所定塊径のスラリー塊として放出する。
放出管5は、ジャケットにより被覆されており、内部を通る二酸化炭素スラリーの冷熱が海水中に放出されにくい構造となっている。
また、二酸化炭素スラリーは、液体二酸化炭素と粒状のドライアイスを混合することにより製造することができ、その混合率は適宜に調節することができる。この二酸化炭素スラリーは、船上で製造することも可能であるが、陸上のプラントで製造しておいてタンカー4に積み込むことも可能である。
二酸化炭素スラリー(約−55℃)は、海水より十分重いため、放出管5内を無動力で沈降し、放出深度200mに自動的に達し、放出ノズルのフード51で所要寸法に達した二酸化炭素スラリー塊1が次々に海中で自由沈降を繰り返す。
【0021】
【実施例】
ドライアイスの比重は1.5程度と大きく、このドライアイスを混入した液体二酸化炭素をスラリーとして放出すると、低温液体のまま放出する従来の場合と同様に自由沈降する。
ドライアイスが溶け切るまでは、二酸化炭素スラリーの温度は−55℃に保たれるため、放出深度を二酸化炭素の相変化深度(海域の温度に若干依存するが概ね400m)より大幅に浅く設定することができる。
数値シミュレーション結果によると、深度100mからの放出も可能であるが、本発明では、相変化に対する十分な安全性を確保する意味から、放出深度を200mとしている。
この200mという深度は、従来の二酸化炭素の浅海投入システムが求める500mに比較して、単に浅いことによるコストダウンだけでなく、想定される20万トンクラスの二酸化炭素タンカー4の長さ以下であり、実際の放出時に、放出管を洋上で継ぎ足すという面倒な作業がなくなるという大きなメリットがある。
【0022】
また、ドライアイスの比重が低温二酸化炭素より大きいことと、ドライアイスの潜熱が二酸化炭素スラリーの温度を長く低温に保つこととにより、二酸化炭素スラリーの沈降速度を速くすることができる。
これにより、深海に到達する最小スラリー径が、従来の二酸化炭素の浅海投入システムより小さくて済むことになる。
図3に示すシミュレーション結果から、ドライアイスの混入率が50重量%の場合、最小深海底到達径は40cmであることが分かる。従来の浅海投入システムが求める最小深海底到達径0.7mに比べると、半分近くの大きさであり、これにより、投入設備のコンパクト化による大きなコストダウンを実現することが可能となる。
【0023】
一方、二酸化炭素スラリーを深度200mの海中に放出する際に、二酸化炭素タンカー4の主機関はほとんど休止状態となる。
このとき、タンカー4の3万馬力の主機関6を、スラリー放出時のドライアイスの混合率調整用の補助エネルギー源として利用することにより、20万トンの二酸化炭素(100万kW火力発電所から排出される11.6日分の二酸化炭素)を、僅か2日以内に任意のドライアイスの混合率を持ったスラリーとして放出することが可能となる。
図2は、主機関6を補助的なドライアイスの混合率調整用エネルギー源として利用した場合の本実施例の二酸化炭素の浅海投入システムの概念を示している。ここで、主機関6を、スラリー放出時のドライアイスの混合率調整用の補助エネルギー源として利用する機構60としては、特に限定されるものではないが、主機関6によって駆動されるコンプレッサ61と、海水との間で熱交換を行うコンデンサ62と、タンカー4に積載された二酸化炭素(液体及び固体)を冷却する冷却器63とから構成することができる。
【0024】
次に、本実施例の二酸化炭素の浅海投入システムの実験結果及び想定される作用効果を記載する。
図1に示すような実海域実験と陸上タンク実験によれば、二酸化炭素をスラリー放出すると、上述の界面不安定が抑制され、厚い氷層に保護された二酸化炭素スラリー塊1が、分裂することなく自由沈降することが確認された。
なお、二酸化炭素をドライアイスと低温液体二酸化炭素の混合物であるスラリー状態とし、この二酸化炭素スラリーをタンカー輸送することにより、輸送中の温度を3重点温度にし、タンク圧力を最小圧力に保つことができるものと考えられる。
また、スラリーは流体の性質を持つため、連続投入が可能となり、ドライアイスをそのままバッチ投入する従来の方法に比較し、海洋処理に求められる二酸化炭素の迅速な大量処理を行うことができるものと考えられる。
さらに、低温二酸化炭素の一部をドライアイスで構成するため、消費エネルギーの増加を極力抑えることができるものと考えられる。
【0025】
次に、本発明の二酸化炭素の浅海投入システムの第2実施例を説明する。
この二酸化炭素の浅海投入システムは、低温二酸化炭素を浅海に放出し、所定の深度まで自由沈降させるもので、前記二酸化炭素を、ドライアイスを混合した約−55℃の低温スラリー塊として深度約200mの浅海に放出する。
そして、この二酸化炭素の浅海投入システムは、二酸化炭素スラリー塊1を所定の塊径未満、特に限定されるものではないが、例えば、40cm程度未満の塊として放出するようにする。
さらに、二酸化炭素スラリー塊の塊径に対応して、二酸化炭素スラリーをドライアイスを80重量%未満の任意の混入率として放出するようにする。
【0026】
このように、二酸化炭素スラリー塊の塊径に対応して、二酸化炭素スラリーをドライアイスの混入率を80重量%未満の任意の値に設定して放出することにより、スラリー塊の下降及び上昇動作を簡易に制御することが可能となり、例えば、任意の深度でスラリー塊を下降から上昇に転じさせることができ、2000m以浅に液体として放出する溶解法への適用が可能であり、その際、深海底から深度400mの相変化深度までの全深度を二酸化炭素の溶解に利用することができ、溶解後の海水の二酸化炭素濃度を低く抑え、海洋生態系への影響を大きく緩和することができる。
【0027】
海水と同温度の二酸化炭素は深度2700m以浅では海水より軽い。従来の溶解法は、放出二酸化炭素が海水より十分軽くなる深度2000m以浅の海中に二酸化炭素を無数の液泡として放出し、それが相変化深度に達するまでに完全に溶解させるというものである。この場合、溶解に預かる深度は、最大で1600(=2000−400)mである。
一方、本発明の二酸化炭素のスラリー放出では、上記のように、ドライアイスの混合率とスラリー径を適当に組み合わせることにより、例えば、図3に示すように、スラリー塊の下降から上昇に転じさせる深度を自由に設定することができる。
このことは、本発明の二酸化炭素のスラリー放出を溶解法に適用した場合、溶解過程に利用できる深度は、4000m以深の深海底から相変化深度までの3600(=4000−400)mとなる。
溶解過程に利用できる深度の幅が大きいことは、それだけ溶解後の二酸化炭素濃度、即ち酸性度(pH)の低下を抑制し、もって海洋生態系への影響を最小限にすることができる。
【0028】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明の二酸化炭素の浅海投入システムは、本実施例の記載に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することが可能である。
【0029】
【発明の効果】
本発明の二酸化炭素の浅海投入システムによれば、二酸化炭素を、ドライアイスを混合した低温スラリー塊として浅海に放出することから、スラリー塊に丈夫な氷層を生成して界面不安定による分裂を防止するとともに、二酸化炭素を温度が上昇しにくい形態として、タンク圧力を最小圧力に保つことによりタンカー輸送を容易にすることができる。
そして、この二酸化炭素の浅海投入システムは、放出時の二酸化炭素の塊径を従来の2分の1程度にするとともに、放出深度を従来よりも浅くすることができ、これにより、浅海投入システムの開発に伴う技術的課題を大幅に軽減することができる。
さらに、この二酸化炭素の浅海投入システムは、二酸化炭素スラリーが流体の性質を持つために連続投入をすることができ、ドライアイスをそのままバッチ投入する方法に比較し、海洋処理に求められる二酸化炭素の迅速な大量処理を行うことができ、また、低温二酸化炭素の一部をドライアイスで構成するため、消費エネルギーの増加を極力抑えることができる。
【0030】
そして、二酸化炭素スラリー塊を所定の塊径以上の塊として放出することにより、二酸化炭素スラリー塊を熱平衡状態で海水と等密度となる深度を通過するまで熱的非平衡性を保持させることができ、深海貯留が可能となる3500m以深の貯留深度まで確実に自由沈降させることができる。
【0031】
また、二酸化炭素スラリー塊を所定の塊径未満の塊として放出することにより、任意の深度でスラリー塊を下降から上昇に転じさせることができ、2000m以浅に液体として放出する溶解法への適用が可能であり、その際、深海底から深度400mの相変化深度までの全深度を二酸化炭素の溶解に利用することができ、溶解後の海水の二酸化炭素濃度を低く抑え、海洋生態系への影響を大きく緩和することができる。
【0032】
さらに、二酸化炭素スラリー塊の塊径に対応して、二酸化炭素スラリーをドライアイスを80重量%未満の任意の混入率として放出することにより、スラリー塊の下降及び上昇動作を簡易に制御することが可能となり、例えば、任意の深度でスラリー塊を下降から上昇に転じさせることができ、2000m以浅に液体として放出する溶解法への適用が可能であり、その際、深海底から深度400mの相変化深度までの全深度を二酸化炭素の溶解に利用することができ、溶解後の海水の二酸化炭素濃度を低く抑え、海洋生態系への影響を大きく緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二酸化炭素の浅海投入システムの一実施例を示す説明図である。
【図2】同実施例の投入装置を示す説明図である。
【図3】二酸化炭素スラリーの塊径と沈降動作の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 二酸化炭素スラリー塊
11 液体二酸化炭素
2 海底
3 二酸化炭素ハイドレート膜
4 二酸化炭素輸送用タンカー
5 放出管
51 放出ノズルのフード
6 タンカーの主機関
60 ドライアイス混合率調整機構
61 コンプレッサ
62 コンデンサ
63 冷却器
Claims (4)
- 低温二酸化炭素を浅海に放出し、所定の深度まで自由沈降させる二酸化炭素の浅海投入システムにおいて、前記二酸化炭素を、ドライアイスを混合した低温スラリー塊として浅海に放出することを特徴とする二酸化炭素の浅海投入システム。
- 二酸化炭素スラリー塊を所定の塊径以上の塊として放出することを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素の浅海投入システム。
- 二酸化炭素スラリー塊を所定の塊径未満の塊として放出することを特徴とする請求項1記載の二酸化炭素の浅海投入システム。
- 二酸化炭素スラリー塊の塊径に対応して、二酸化炭素スラリーをドライアイスを80重量%未満の任意の混入率として放出することを特徴とする請求項2又は3記載の二酸化炭素の浅海投入システム。
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JP2009078228A (ja) * | 2007-09-26 | 2009-04-16 | National Maritime Research Institute | 二酸化炭素深海投入方法及び装置 |
JP2014122563A (ja) * | 2012-12-20 | 2014-07-03 | Toshiba Corp | 浮体式発電プラント |
JP2016016348A (ja) * | 2014-07-07 | 2016-02-01 | 鹿島建設株式会社 | 二酸化炭素貯留用地中構造体 |
-
2002
- 2002-09-26 JP JP2002280426A patent/JP2004113924A/ja active Pending
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