JP2004113915A - 高分子吸収体を含む使用済み紙おむつ類の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高分子吸収体を含む使用済み紙おむつ1を密閉耐圧容器3中に入れ、高温高圧の飽和水蒸気を送り込んで容器3内の使用済み紙おむつ1を高温高圧下で所定の時間蒸煮処理する。蒸煮処理は、密閉耐圧容器3内の圧力を15〜25Kg/cm2の範囲、温度を150〜250°Cの範囲にして行い、密閉耐圧容器3中に、使用済み紙おむつ1とともにおがくず4を入れて蒸煮処理を行うとよい。蒸煮処理物8は、そのままで土壌材として用いることができるし、発酵させることで肥料、土壌改良材9として有効利用することができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子吸収体を含む使用済み紙おむつ類の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び課題】
高分子吸収体を含む使用済み紙おむつは、高分子吸収体を含むがゆえに、その処理の仕方が現在も含め、また将来的に向けても問題となりやすく、本発明は、これに鑑み、高分子吸収体を含む使用済み紙おむつ類を、環境を害さずに処理することができ、しかも、処理物の有効利用も図ることができる処理方法を提供することを課題とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、高分子吸収体を含む使用済み紙おむつ類を密閉耐圧容器中に入れ、高温高圧の飽和水蒸気を送り込んで容器内の使用済み紙おむつを高温高圧下で所定の時間蒸煮処理することを特徴とする、高分子吸収体を含む使用済み紙おむつ類の処理方法によって解決される。蒸煮処理は、密閉耐圧容器内の圧力を15〜25Kg/cm2の範囲、温度を150〜250°Cの範囲にして行うとよい。
【0004】
この処理方法では、高分子吸収体以外の紙類部分や糞尿等の汚物部分は、高温高圧下での蒸煮処理によって、易分解性物質が分解されると共に、無菌化され、微生物や酵素などによる発酵が短時間で行われやすい状態となり、発酵させることによってこれを肥料や土壌改良材として有効利用することができるようになる。
【0005】
また、この蒸煮処理によって、汚物に含まれる嫌気性微生物及び雑菌は殺され、悪臭も発しなくなる。しかも、紙類部分は、成分としてセルロース等を含んでいるため、蒸煮処理を行うことによって木酢液を生じ、この木酢液が消臭効果を発揮し、また紙類部分の炭化が部分的に進みポーラス状となることによってそこに臭いが吸着吸収され、汚物の悪臭をより一層効果的になくすことができる。
【0006】
特に、密閉耐圧容器中に、使用済み紙おむつ類ととともに木類を入れて高温高圧下で蒸煮処理を行う場合は、蒸煮処理によって木酢液をより多く生じさせることができ、消臭効果をより一層効果的なものにすることができる。木類としては、ナラ、カラマツ、クヌギ、ブナ、カシなどの広葉樹木、スギ、ヒノキ、マツなどの針葉樹木、その他、竹類、樹皮類、わら類など、主成分としてヘミセルロース、セルロース等が含まれるものであればよい。木類は、チップ状や粉状の細片にして用いるとよい。
【0007】
そして、高分子吸収体については、高温高圧下での蒸煮処理によって、化学変化をすることなく溶解し、蒸煮処理後に縮小固化して、処理物中に残るだけであり、蒸煮処理物を発酵させて肥料や土壌改良材にしたり、土壌材にする場合には、肥料や土壌改良材、土壌材の中に無害物として残るにすぎない。高分子吸収体は、焼かれたのではなく蒸煮処理されただけであるから、物質の状態変化をするだけで化学変化をすることはなく、蒸煮処理中に有害ガスを発生するということもなく、環境を害しないかたちに処理される。従って、蒸煮処理の温度、圧力条件は、高分子吸収体を化学変化させることなく溶解させうる程度のものに設定しておけばよい。
【0008】
このように、本発明の処理方法によれば、高分子吸収体を含む使用済み紙おむつ類を環境を害することなく容易に処理することができ、しかも、処理物から悪臭が発することもないし、処理物は土壌材として用いることができるし、処理物を発酵させる場合はその発酵を短期間で行うことができてそれを肥料や土壌改良材として有効利用することができる。
【0009】
なお、「高分子吸収体を含む使用済み紙おむつ類」は、本来の紙おむつのほか、高分子吸収体を含んだ生理用品などをも含む意味において使用している。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1実施例)
図1に示すように、高分子吸収体を含む使用済み紙おむつ1を蒸煮処理用の密閉耐圧容器3中に入れ、また、木類としてのおがくず4も入れ、内部を密閉し、ボイラー5から耐圧容器3内に高温高圧の飽和水蒸気を送り込み、耐圧容器3内を200°C、20atmにして、撹拌しながら蒸煮処理を30分から1時間程度行った。しかる後、弁6を開いて耐圧容器3内を減圧していき、その時排出される水蒸気を冷却し、液分を回収容器7に回収し、最後に、耐圧容器3から処理物8を取り出した。
【0011】
取り出した処理物8には糞尿等の汚物特有の悪臭はなく、土壌材として遜色なく用いることができるものであった。また、回収容器7に回収された液分を調べたところ、タール分の含まれない高品質の木酢液であることが判明した。
【0012】
そして、処理物8を二週間程度堆積しておくと発酵が進んで肥料、土壌改良材9が得られ、また、消滅型分解菌10を加えると、二酸化炭素と水に分解してその存在がなくなっていった。
【0013】
(第2実施例)
高分子吸収体を含む使用済み紙おむつ1を蒸煮処理用の密閉耐圧容器3中に入れ、木類は入れることなく、必要に応じて水分調整材を入れ、内部を密閉し、ボイラー5から耐圧容器3内に高温高圧の飽和水蒸気を送り込み、耐圧容器3内を200°C、20atmにして撹拌しながら蒸煮処理を30分から1時間程度行った。しかる後、弁6を開いて耐圧容器3内を減圧し、耐圧容器3から処理物8を取り出した。
【0014】
この場合も、取り出した処理物8には汚物特有の悪臭はなく、また処理物8は土壌材として遜色なく用いることができるものであった。処理物8を二週間程度堆積しておくと発酵が進んで肥料、土壌改良材9が得られ、また、消滅型分解菌10を加えると、二酸化炭素と水に分解してその存在がなくなっていったことも上記の場合と同様であった。
【0015】
【発明の効果】
本発明は、以上のとおりのものであるから、高分子吸収体を含む使用済み紙おむつ類を、環境を害さずに処理することができ、しかも、処理物の有効利用も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理方法に用いる設備の概略構成図である。
【符号の説明】
1…高分子吸収体を含む使用済み紙おむつ
3…耐圧容器
4…おがくず(木類)
5…ボイラー
8…処理物
9…肥料、土壌改良材
Claims (4)
- 高分子吸収体を含む使用済み紙おむつ類を密閉耐圧容器中に入れ、高温高圧の飽和水蒸気を送り込んで容器内の使用済み紙おむつを高温高圧下で所定の時間蒸煮処理することを特徴とする、高分子吸収体を含む使用済み紙おむつ類の処理方法。
- 前記蒸煮処理は、密閉耐圧容器内の圧力を15〜25Kg/cm2の範囲、温度を150〜250°Cの範囲にして行う請求項1に記載の処理方法。
- 前記密閉耐圧容器中に、使用済み紙おむつ類とともに木類を入れて、蒸煮処理を行う請求項1又は2に記載の処理方法。
- 蒸煮処理物を発酵させる請求項1乃至3のいずれか一に記載の処理方法。
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