JP4220047B2 - 有機廃棄物のコンポスト化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚泥、生ゴミ等の有機性廃棄物を水分調整したのち醗酵させる有機廃棄物のコンポスト方法に関し、特に、製品に悪臭のないコンポスト化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、埋め立てあるいは焼却処分されていた汚泥、生ゴミ、畜糞等の有機廃棄物を、醗酵させてコンポスト化して有効利用を図ることが行われている。しかし、有機廃棄物を醗酵させたものには、アンモニア臭などの悪臭があり、その利用の妨げの一因になっている。また、完熟させて悪臭を除去しようとすると、極めて長い期間を必要とする。これらの問題を解決する方法として、特開平9−13033号が提案されている。これは、「有機性廃棄物の一部を炭化させるとともに、残りの有機性廃棄物を堆肥化させ、生成した炭化物と堆肥を混合して土壌改良剤となす」ものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者の実験によれば、上記提案は一定の効果を有するものの、なお炭化物と堆肥を混合した製品にアンモニア臭などが残留し、農家などのコンポスト品の需要者に不評であり、この傾向は、し尿汚泥・下水汚泥を原料とした場合にその傾向の強いことが判明した。
したがって、本発明の解決しようとする課題は、悪臭のしない有機廃棄物のコンポスト化方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決する手段】
発明者の実験によれば、醗酵した有機性廃棄物に残留する悪臭も、さらに水または水蒸気を加えて熱処理すれば除去できることを見出して、本発明を完成したものである。
【0005】
すなわち、請求項1記載の課題を解決する手段は、汚泥、生ゴミ、畜糞の有機性廃棄物を水分調整したのち醗酵させる有機性廃棄物のコンポスト化方法において、醗酵した有機廃棄物に炭化物および水または水蒸気を加えたのち熱処理し、さらに外気を通気して脱臭することを特徴とする。これによって、発生した悪臭ガスを炭化物に吸着させるとともに、有機性廃棄物中に残存する微生物を死滅させて、さらに外気で通気することにより、その後の悪臭ガスの発生を防止することができるので、悪臭のしない有機性廃棄物のコンポスト化方法を提供することができる。
【0006】
請求項2記載の課題を解決する手段は、請求項1記載の要件に加えて、熱処理後外気を 1 時間から2時間通気することを特徴とする。これによって、炭化物に吸着されない悪臭ガスを系外に排出することができるのでより確実に、悪臭のしない有機性廃棄物のコンポスト化方法を提供することができるとともに、製品としてのコンポストの水分調整も行うことができる。
【0007】
請求項3記載の課題を解決する手段は、請求項1または2記載の要件に加えて、炭化物が、生ゴミ、畜糞、し尿処理場・下水処理場で発生する汚泥またはし渣、これらの一部または全部の混合物を炭化したものであることを特徴とする。
これによって、廃棄物の処理をより合理的に進めながら、悪臭のしない有機性廃棄物のコンポスト化方法を提供することができる。
【0008】
請求項4記載の課題を解決する手段は、請求項1または2または3記載の要件に加えて、醗酵した有機廃棄物に加えられる炭化物が、重量で1次醗酵した有機廃棄物の固形分の1/5以上であることを特徴とする。
これによって、より確実に、悪臭のしない有機性廃棄物のコンポスト化方法を提供することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を、図1のフローシートに基づいて説明する。符号1は有機性廃棄物を醗酵処理する醗酵槽である。符号2は醗酵処理された有機廃棄物に、水または水蒸気を加えた後さらに加熱するための加熱機構を有する熱処理槽である。汚泥、生ゴミ、畜糞の有機性廃棄物は、水分調整材を混合する方法等で醗酵に適した40〜60%W.B.に水分調整した後、醗酵槽1に投入されて醗酵処理される。水分調整材としては、オガ粉等が一般的に用いられるが、装置が大型化してコストが嵩むため、脱水汚泥、蓄糞、し渣などの一部を乾燥あるいは炭化して用いることが望ましい。醗酵槽1で行われる醗酵は、好気性醗酵であってそのレベルは、易分解性有機物が主に分解される1次醗酵の段階まで行われる。1次醗酵処理された有機性廃棄物には、悪臭が残留している。たとえば、し尿汚泥を原料として1次醗酵させたものは、アンモニア臭などが強く残留していて、炭化物を混合しただけでは除去できない。
【0010】
次に醗酵処理した有機性廃棄物を熱処理槽2に投入する。熱処理槽2は温水または蒸気で加熱できるジャッケト付きのほぼ密閉できる構造のものを用いたが、電気ヒータ等で加熱するものであっても良い。この熱処理槽2に醗酵処理した有機性廃棄物、炭化物、水または水蒸気を投入し、ジャケットから加熱して脱臭する。
加える水または水蒸気の量は、醗酵処理された有機廃棄物の水分が40〜60%W.B.程度になるようにするのが望ましく、加熱温度は80〜120℃程度が望ましい。加水量を40〜60%W.B.程度とするのは、熱伝導性を高めて、有機廃棄物中の微生物を効率よく死滅させるためであり、加熱温度を80〜120℃程度とするのは、有機廃棄物中の微生物を死滅させるとともに、水分中に溶解している悪臭ガスを速やかに気化させるためである。
醗酵処理した有機性廃棄物に添加される炭化物は、その種類は問わないが、生ゴミ、畜糞、し尿処理場・下水処理場で発生する汚泥またはし渣、これらの一部または全部の混合物を炭化したものであれば、有機性廃棄物の処理をより一層効率的に行うことができるし、活性炭であればさらに効果が増す。また、その添加量は、重量で醗酵した有機廃棄物の固形分の1/5以上であることが望ましい。添加量が1/5以下であると、悪臭を吸着するのに不足する虞がある。
また、加熱処理後一定時間熱処理槽2を通気すれば、炭化物に吸着されない臭気ガスを系外に排出できるので、より確実に悪臭ガスを除去できるとともに、製品としてのコンポストの水分調整も行うことができる。通気は、外気を導入すれば足り、時間は1〜2時間程度あれば足りるが、製品であるコンポスト品の水分調整のため、さらに通気しても良い。
なお、本実施の形態では、醗酵槽1と熱処理槽2を別に設けたが、加熱可能な1つの容器で行ってももちろん良い。
【0011】
本発明による悪臭除去のメカニズムは、おおよそ次のように考えられる。
1次醗酵を終えた有機性廃棄物中には、ある種の微生物が活動していて悪臭ガスを発生させている、また、有機廃棄物中の水分に溶解している悪臭ガスが気化して悪臭を発生させる。したがって、単に炭化物を加えるだけでは、悪臭除去に限界がある。
そこで、本発明では、1次醗酵した有機性廃棄物に炭化物および水または水蒸気を加えて加熱処理したのち通気している。水または水蒸気を加えて有機性廃棄物の含水率を高めた上で加熱するので、熱伝導が良いため、効率よく廃棄物中の微生物を死滅させて悪臭ガスの発生を停止させるとともに、水分中に溶解している悪臭ガスを速やかに気化させることができる。これを添加した炭化物に吸着させて除去し、さらに通気をして悪臭ガスを系外に除去するので、醗酵処理された有機性廃棄物から悪臭を確実に除去することができるとともに、製品としてのコンポストの水分調整も行うことができる。
【0012】
【実施例】
生ゴミと水分30%W.B.の乾燥し尿汚泥を混合して水分約60%W.B.に調整し、醗酵槽1に投入して1次醗酵を行った。1次醗酵したこの廃棄物を熱処理槽2に投入し、し尿汚泥を炭化した炭化物を1次醗酵した廃棄物の固形分重量の1/2投入して攪拌混合して、水分が40%W.B.になるまで加水するとともに、熱処理槽2のジャケットに120℃の水蒸気を導入して18時間加熱処理を行った。その後ジャケットからの加熱を止め、熱処理槽2内に外気を4時間導入して通気処理を行った。これらの処理によって得られた製品は、全く無臭であった。
【0013】
【発明の効果】
本発明は、1次醗酵した有機性廃棄物に炭化物および水または水蒸気を加えて加熱処理したのち通気している。有機性廃棄物の含水率を高めた上で加熱するので、熱伝導が良いため、効率よく廃棄物中の微生物を死滅させて悪臭ガスの発生を停止させるとともに、水分中に溶解している悪臭ガスを速やかに気化させることができる。これを添加した炭化物に吸着させて除去し、さらに通気をして悪臭ガスを系外に除去するので、醗酵処理された有機性廃棄物から悪臭を確実に除去することができる。さらに、添加する炭化物に生ゴミ、畜糞、し尿処理場・下水処理場で発生する汚泥またはし渣を炭化したものを使用するので、有機廃棄物処理を効率的に行うことができる。
【0014】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すフローシートである。
【符号の説明】
1 醗酵槽
2 熱処理槽
Claims (4)
- 汚泥、生ゴミ、畜糞の有機廃棄物を水分調整したのち醗酵させる有機廃棄物のコンポスト化方法において、醗酵した有機廃棄物に炭化物および水または水蒸気を加えたのち熱処理し、さらに外気を通気して脱臭することを特徴とする有機廃棄物のコンポスト化方法。
- 熱処理後外気を 1 時間から2時間通気することを特徴とする請求項1記載の有機廃棄物のコンポスト化方法。
- 炭化物が、生ゴミ、畜糞、し尿処理場・下水処理場で発生する汚泥またはし渣、これらの一部または全部の混合物を炭化したものであることを特徴とする請求項1または2記載の有機廃棄物のコンポスト化方法。
- 醗酵した有機廃棄物に加えられる炭化物の量が、重量で醗酵した有機廃棄物の固形分の1/5以上であることを特徴とする請求項1、2または3記載の有機廃棄物のコンポスト化方法。
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