JP3585882B2 - 有機性廃棄物の発酵処理方法および発酵処理装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、食品工場、農業や林業から排出される植物性残渣、畜産業から排出される家畜排泄物、下水道処理場から排出される汚泥等の有機性廃棄物を、効率よく発酵分解処理して、短期間に特殊肥料化や堆肥化する有機性廃棄物の発酵処理方法および発酵処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品工場等から生じる植物性残渣や、畜産業によって生じる家畜の糞尿の処理は従来は長時間かけて堆肥化させて埋立処分や焼却処分がなされていた。しかし、これらの処分方法は生活環境を害し公衆衛生を悪化させるものとして、環境保全を考慮した廃棄物処分をすることが要求されるようになっている。
【0003】
このようなニーズの高まりから、近年各方面で有機性廃棄物の発酵処理に関する技術の開発が行われるようになった。有機性廃棄物を急速に発酵分解させるための強力な菌の開発、対象有機性廃棄物に最適な組み合わせ菌の開発、効率的な発酵装置の開発や、有機質物の成分を分析してその構成成分毎に分解したり、無害化したりする方法などが開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような有機性廃棄物の発酵処理に関する技術開発では、いまだ堆肥化処理に長時間を要する問題点を解決する有効な技術が開発されていない。
【0005】
有機性廃棄物を発酵処理してコンポスト化するための技術課題は、有機性廃棄物にいかにうまく微生物類を繁殖させ、発酵分解活動を活性化させるかである。微生物類を盛んに繁殖させ活性化させる条件は、栄養分のある有機物の存在と、微生物類の存在に加えて、適正な温度、適正な水分、酸素を含んだ新鮮な空気が必要である。しかるに、繁殖媒体の有機性廃棄物は、その種類、成分状態や気候条件、その他の環境条件により微生物類の活性化と繁殖状態が大きく変わるうえ、発酵処理の初期、中期、終期によっても逐次好適な発酵条件が変化するので、常に安定して発酵分解させ、効率的に完熟したコンポストにするのは、技術的に大変難しい。
【0006】
従来より、発酵槽に空気を供給する手段、温度調整する手段、水分を調整する手段を備えたものがあったが、上記のような発酵分解中の有機物の多様な条件に広く対応して発酵条件を調整できる施設や装置は、まだ開発されていない。
【0007】
この発明は、上述した従来技術の問題点を解消するためになされたものであり、発酵処理の対象となる有機性廃棄物の種類や成分状態に応じた発酵処理を行うので、発酵処理時間を短縮できるとともに、発酵処理により生成される有機性生成物の品質も高めることができる有機性廃棄物の発酵処理方法および発酵処理装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る有機性廃棄物の発酵処理方法は、有機性廃棄物に発酵菌を含む戻し材を混合して一次発酵槽に装入し、廃棄物に温風を供給して発酵を促進させ、次いで、前記一次発酵槽内の廃棄物を二次発酵槽内に移し替え、温風を供給して発酵を促進させ、次いで、前記二次発酵槽で発酵した有機性生成物を三次発酵槽内に移し替え、温風を供給して、前記有機性生成物を発酵させるようにした有機性廃棄物の発酵処理方法において、前記発酵槽内の温度または水分を測定し、該測定した温度または水分の経時変化とあらかじめ設定されている温度または水分の所定の変化パターンとを比較し、測定した温度または水分の経時変化が該変化パターンと異なっているときには、供給する温風の風量または温度を調整し、該変化パターンになるようにするものである。
【0009】
また、この発明に係る有機性廃棄物の発酵処理装置は、有機性廃棄物に発酵菌を含む戻し材を混合して一次発酵槽に装入し、廃棄物に温風を供給して発酵を促進させ、次いで、前記一次発酵槽内の廃棄物を二次発酵槽内に移し替え、温風を供給して発酵を促進させ、次いで、前記二次発酵槽で発酵した有機性生成物を三次発酵槽内に移し替え、温風を供給して前記有機性生成物を発酵させるようにした有機性廃棄物の発酵処理装置において、前記発酵槽内の温度または水分を測定する測定手段と、該測定した温度または水分の経時変化とあらかじめ設定されている温度または水分の所定の変化パターンとを比較する比較判定手段と、該比較判定手段からの指令に基づき温風の風量または温度を調節する温風調節手段とから構成されるものである。
【0010】
この発明に係る有機性廃棄物の発酵処理方法および発酵処理装置においては、発酵処理する有機性廃棄物の種類や成分状態に応じた発酵処理のための所定の温度または水分の変化パターンを設定し、この変化パターンに基づいて発酵が進行するようにしているので、有機性廃棄物の種類、成分状態、気象等の環境条件等の発酵に関する条件が種々の条件であっても、発酵に要する時間が長くなることがないとともに、発酵によって生成される有機性生成物の品質を高めることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、この発明の実施の形態を示す有機性廃棄物の発酵処理装置の全体構成を示す構成図である。
【0013】
この有機性廃棄物の発酵処理装置は、混合装置1と、一次発酵槽2と、二次発酵槽3および三次発酵槽4とから構成されている。混合装置1は、回収用の車両により搬入される畜糞、下水汚泥等や、食品工場から排出される植物性残渣等からなる有機性廃棄物を投入する廃棄物ホッパー5と、有機性廃棄物の発酵を行うために必要な発酵菌を含む戻し材(以下、戻し材と称する)を投入する戻し材ホッパー6とを有しており、有機性廃棄物の種類や含有される水分量に応じて、戻し材の混合比率が変えられるようになっている。なお、戻し材としては、有機性廃棄物が発酵してできた有機性生成物の一部を使用する。
【0014】
有機性廃棄物に所定の比率で戻し材が混合された混合材7は、コンベアー8により混合材置場9に一時保管された後、ショベルローダーにより一次発酵槽2に装入される。
【0015】
一次発酵槽2は、屋根を設けた発酵槽本体10と、発酵槽本体10内に装入された混合材7に、床下から温風を供給する温風供給管11と、温風供給管11に空気を供給する空気供給ブロア12と、発酵槽本体10内の臭気を含む空気を回収する臭気回収管13と、臭気回収管13で回収された空気を再度、温風供給管11に供給する脱臭装置内蔵型の吸引ユニット14と、図示していないが、混合材7から発生する蒸気が発酵槽本体10の屋根裏部分に凝集した水分(液肥という)を回収する液肥回収手段とから構成されている。
【0016】
混合材7に温風が供給されることにより、混合材7の温度が上昇するので、混合材7中の戻し材に含まれる微生物が増殖し、増殖した微生物により有機性廃棄物の発酵分解が促進され、また混合材7中の有機性廃棄物に含まれている水分が蒸発する。
【0017】
有機性廃棄物の発酵に用いられる発酵菌は高温発酵型の菌を用いるのが好ましく、発酵により有機性廃棄物は80℃以上の高温で発酵処理される。高温になることにより各種の病原体や線虫、雑菌および種子を死滅させることができる。また水分の蒸発を促進させる。
【0018】
供給された温風は混合材7を加熱した後、前述のように大部分は臭気回収管13により回収され、脱臭装置内蔵型の吸引ユニット14によって再度温風供給管11に供給され、残りは別に設けた脱臭装置(図示せず)を通過させて、大気中に放散される。このように発酵中に発生した臭気は脱臭装置により脱臭され、臭気が外部に漏れることがない。
【0019】
また、液肥回収手段は発酵槽本体10の屋根裏部分に凝集した液肥を屋根裏下部に設けた樋により回収し収集するものである。回収された液肥は、有用な成分を多く含んでおり化粧品等の原料に利用される。
【0020】
一次発酵槽2における有機性廃棄物の発酵の進行は、均等に行われるのではなく、また、温風吹込み量の多い部分が速く発酵が進む。
【0021】
そこで、ある程度発酵が進行した混合材7を一次発酵槽2より取り出し、発酵状態が均等になるように混合材7を切り返して、二次発酵槽3に装入する。
【0022】
二次発酵槽3の構成は、上述した一次発酵槽2の構成と基本的には同じであるので詳細説明は省略するが、一次発酵槽2で混合材7の水分が蒸発し、体積が小さくなっているので、二次発酵槽3の発酵槽本体は小さくなっている。
【0023】
二次発酵槽3において有機性廃棄物の発酵がほぼ完了した有機性生成物7aは、三次発酵槽4に装入される。三次発酵槽4は、有機性生成物7aを製品として出荷したり、前述した戻し材として使用したりするまでの保管場所であるが、この間に更に熟成が進行するように、一次発酵槽2や二次発酵槽3と同様に、温風供給管11や空気供給ブロア12を備えている。なお、発酵槽本体10は、臭気が発生しないため屋根は設けられていない。
【0024】
三次発酵槽4で保管される有機性生成物7aは、出荷時に取り出され、ふるい分離機(図示せず)により、一定粒度以下の粒状のものにふるい分けられて、計量された後袋詰めにされ、肥料や家畜の飼料用として出荷される。ふるい分けられた塊状のものは、必要により砕いて再度発酵槽に装入する。
【0025】
有機性生成物7aは有機分が分解されて低分子化されており、有機質肥料として有用である。また、有用な微生物を含んでいるので農業用微生物資材や水処理用微生物資材に用いられる。
【0026】
図2は、一次発酵槽2や二次発酵槽3において、この発明の有機性廃棄物の発酵処理方法を行う場合の説明図であり、(a)は発酵槽10の平面図、(b)は(a)のA−A矢視図である。
【0027】
発酵槽の床下には、前述した温風供給管11が配設された溝が複数設けられており、それぞれの温風供給管11の上方には、有機性廃棄物の温度を測定するための温度センサ16または有機性廃棄物の水分を測定するための水分率センサが配置されている。
【0028】
温風供給管11は二重管になっており、内管11aには温水供給装置(図示せず)から温水等の熱媒体が供給され、内管11aと外管11bとの間に空気が供給される構造となっている。それぞれの温風供給管11には、温風供給管11に供給する空気量を調節することのできる風量制御弁17が設けられ、各温風供給管11に空気供給ブロア12から供給される空気量が、別々に調整できるようになっている。また内管11aに供給する温水の温度を調整することにより、温風の温度を調整できるようにしてもよい。
【0029】
図2において、13は臭気回収管、14は吸引ユニット、15は脱臭装置、18は液肥回収樋である。
【0030】
図3は温度センサ16からの温度信号により、発酵槽10内の温度制御を、所定の温度変化パターンにしたがって行う場合の制御系統図である。温度センサ16からの温度信号は、温度比較判定器19に送られる。温度比較判定器19には、発酵処理開始からの経過時間と有機性廃棄物の温度との関係をあらかじめ定めた所定の温度変化パターンが、温度変化パターン設定器20により設定されており、それぞれの時点での測定温度と温度変化パターン上の温度とが比較される。温度変化パターン上の温度には、上限値と下限値が設けられており、温度センサ16から送られてきた温度が、上限値を上回ったり、下限値を下回ったりしたときには、温度比較判定器19から風量制御器21に指令が発せられる。そして、風量制御器21により、風量制御弁17の開度が、上限値を上回ったときに小さく、下限値を下回ったときには大きくなるように制御され、風量を調整する。また、温度センサ16から送られてきた温度の経時変化が、あらかじめ定めた所定の温度変化パターンに近づくように風量を制御してもよい。
【0031】
また、各温風供給管11から供給される温風が達する区画範囲毎に、個別に上記のような温度調整を行えば、発酵槽内の発酵の進行度の位置によるばらつきをなくすることができる。
【0032】
図4は上述した温度パターンの例を示すグラフである。一次発酵過程で初期には温度が急増し、高温で安定となり、有機性廃棄物を移送切り返しの後、二次発酵過程では一次発酵過程よりも低い温度で発酵が進行する。このような発酵槽内の有機性廃棄物の温度変化パターンに計測した温度の経時変化を近づけるように、温風の風量調整を行う。
【0033】
また、発酵槽内の温度制御は、温水の温度を調整して温風の温度を調整することにより行っても良い。
【0034】
さらに上記では発酵槽内の温度を測定して、温風の風量または温度を制御する場合について記載したが、発酵槽内の水分を測定して、温風の風量を調整するか、温風の温度を調整するように供給する温水の温度を制御してもよい。すなわち、水分が所定の変化パターンより高い場合は温風の風量を多くするか、温風の温度を高くし、低い場合は温風の風量を少なくするか、温風の温度を高くするようにする。
【0035】
【発明の効果】
この発明により、発酵槽内の発酵条件を細かく調整することができるので、各種の有機質物を効率よく発酵分解処理でき、短期間に高品質の発酵生成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示す有機性廃棄物の発酵処理装置の全体構成を示す構成図である。
【図2】一次発酵槽や二次発酵槽において、この発明の有機性廃棄物の発酵処理方法を行う場合の説明図であり、(a)は発酵槽の平面図、(b)は(a)のA−A矢視図である。
【図3】温度センサからの温度信号により、発酵槽の温度制御を、所定の温度変化パターンにしたがって行う場合の制御系統図である。
【図4】温度変化パターンの例を示すグラフである。
【符号の説明】
1:混合装置
2:一次発酵槽
3:二次発酵槽
4:三次発酵槽
5:廃棄物ホッパー
6:戻し材ホッパー
7:混合材
7a:有機性生成物
8:コンベアー
9:混合材置場
10:発酵槽本体
11:温風供給管
11a:内管
11b:外管
12:空気供給ブロア
13:臭気回収管
14:吸引ユニット
15:脱臭装置
16:温度センサ
17:風量制御弁
18:液肥回収樋
19:温度比較判定器
20:温度変化パターン設定器
21:風量制御器
【発明の属する技術分野】
この発明は、食品工場、農業や林業から排出される植物性残渣、畜産業から排出される家畜排泄物、下水道処理場から排出される汚泥等の有機性廃棄物を、効率よく発酵分解処理して、短期間に特殊肥料化や堆肥化する有機性廃棄物の発酵処理方法および発酵処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品工場等から生じる植物性残渣や、畜産業によって生じる家畜の糞尿の処理は従来は長時間かけて堆肥化させて埋立処分や焼却処分がなされていた。しかし、これらの処分方法は生活環境を害し公衆衛生を悪化させるものとして、環境保全を考慮した廃棄物処分をすることが要求されるようになっている。
【0003】
このようなニーズの高まりから、近年各方面で有機性廃棄物の発酵処理に関する技術の開発が行われるようになった。有機性廃棄物を急速に発酵分解させるための強力な菌の開発、対象有機性廃棄物に最適な組み合わせ菌の開発、効率的な発酵装置の開発や、有機質物の成分を分析してその構成成分毎に分解したり、無害化したりする方法などが開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような有機性廃棄物の発酵処理に関する技術開発では、いまだ堆肥化処理に長時間を要する問題点を解決する有効な技術が開発されていない。
【0005】
有機性廃棄物を発酵処理してコンポスト化するための技術課題は、有機性廃棄物にいかにうまく微生物類を繁殖させ、発酵分解活動を活性化させるかである。微生物類を盛んに繁殖させ活性化させる条件は、栄養分のある有機物の存在と、微生物類の存在に加えて、適正な温度、適正な水分、酸素を含んだ新鮮な空気が必要である。しかるに、繁殖媒体の有機性廃棄物は、その種類、成分状態や気候条件、その他の環境条件により微生物類の活性化と繁殖状態が大きく変わるうえ、発酵処理の初期、中期、終期によっても逐次好適な発酵条件が変化するので、常に安定して発酵分解させ、効率的に完熟したコンポストにするのは、技術的に大変難しい。
【0006】
従来より、発酵槽に空気を供給する手段、温度調整する手段、水分を調整する手段を備えたものがあったが、上記のような発酵分解中の有機物の多様な条件に広く対応して発酵条件を調整できる施設や装置は、まだ開発されていない。
【0007】
この発明は、上述した従来技術の問題点を解消するためになされたものであり、発酵処理の対象となる有機性廃棄物の種類や成分状態に応じた発酵処理を行うので、発酵処理時間を短縮できるとともに、発酵処理により生成される有機性生成物の品質も高めることができる有機性廃棄物の発酵処理方法および発酵処理装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る有機性廃棄物の発酵処理方法は、有機性廃棄物に発酵菌を含む戻し材を混合して一次発酵槽に装入し、廃棄物に温風を供給して発酵を促進させ、次いで、前記一次発酵槽内の廃棄物を二次発酵槽内に移し替え、温風を供給して発酵を促進させ、次いで、前記二次発酵槽で発酵した有機性生成物を三次発酵槽内に移し替え、温風を供給して、前記有機性生成物を発酵させるようにした有機性廃棄物の発酵処理方法において、前記発酵槽内の温度または水分を測定し、該測定した温度または水分の経時変化とあらかじめ設定されている温度または水分の所定の変化パターンとを比較し、測定した温度または水分の経時変化が該変化パターンと異なっているときには、供給する温風の風量または温度を調整し、該変化パターンになるようにするものである。
【0009】
また、この発明に係る有機性廃棄物の発酵処理装置は、有機性廃棄物に発酵菌を含む戻し材を混合して一次発酵槽に装入し、廃棄物に温風を供給して発酵を促進させ、次いで、前記一次発酵槽内の廃棄物を二次発酵槽内に移し替え、温風を供給して発酵を促進させ、次いで、前記二次発酵槽で発酵した有機性生成物を三次発酵槽内に移し替え、温風を供給して前記有機性生成物を発酵させるようにした有機性廃棄物の発酵処理装置において、前記発酵槽内の温度または水分を測定する測定手段と、該測定した温度または水分の経時変化とあらかじめ設定されている温度または水分の所定の変化パターンとを比較する比較判定手段と、該比較判定手段からの指令に基づき温風の風量または温度を調節する温風調節手段とから構成されるものである。
【0010】
この発明に係る有機性廃棄物の発酵処理方法および発酵処理装置においては、発酵処理する有機性廃棄物の種類や成分状態に応じた発酵処理のための所定の温度または水分の変化パターンを設定し、この変化パターンに基づいて発酵が進行するようにしているので、有機性廃棄物の種類、成分状態、気象等の環境条件等の発酵に関する条件が種々の条件であっても、発酵に要する時間が長くなることがないとともに、発酵によって生成される有機性生成物の品質を高めることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、この発明の実施の形態を示す有機性廃棄物の発酵処理装置の全体構成を示す構成図である。
【0013】
この有機性廃棄物の発酵処理装置は、混合装置1と、一次発酵槽2と、二次発酵槽3および三次発酵槽4とから構成されている。混合装置1は、回収用の車両により搬入される畜糞、下水汚泥等や、食品工場から排出される植物性残渣等からなる有機性廃棄物を投入する廃棄物ホッパー5と、有機性廃棄物の発酵を行うために必要な発酵菌を含む戻し材(以下、戻し材と称する)を投入する戻し材ホッパー6とを有しており、有機性廃棄物の種類や含有される水分量に応じて、戻し材の混合比率が変えられるようになっている。なお、戻し材としては、有機性廃棄物が発酵してできた有機性生成物の一部を使用する。
【0014】
有機性廃棄物に所定の比率で戻し材が混合された混合材7は、コンベアー8により混合材置場9に一時保管された後、ショベルローダーにより一次発酵槽2に装入される。
【0015】
一次発酵槽2は、屋根を設けた発酵槽本体10と、発酵槽本体10内に装入された混合材7に、床下から温風を供給する温風供給管11と、温風供給管11に空気を供給する空気供給ブロア12と、発酵槽本体10内の臭気を含む空気を回収する臭気回収管13と、臭気回収管13で回収された空気を再度、温風供給管11に供給する脱臭装置内蔵型の吸引ユニット14と、図示していないが、混合材7から発生する蒸気が発酵槽本体10の屋根裏部分に凝集した水分(液肥という)を回収する液肥回収手段とから構成されている。
【0016】
混合材7に温風が供給されることにより、混合材7の温度が上昇するので、混合材7中の戻し材に含まれる微生物が増殖し、増殖した微生物により有機性廃棄物の発酵分解が促進され、また混合材7中の有機性廃棄物に含まれている水分が蒸発する。
【0017】
有機性廃棄物の発酵に用いられる発酵菌は高温発酵型の菌を用いるのが好ましく、発酵により有機性廃棄物は80℃以上の高温で発酵処理される。高温になることにより各種の病原体や線虫、雑菌および種子を死滅させることができる。また水分の蒸発を促進させる。
【0018】
供給された温風は混合材7を加熱した後、前述のように大部分は臭気回収管13により回収され、脱臭装置内蔵型の吸引ユニット14によって再度温風供給管11に供給され、残りは別に設けた脱臭装置(図示せず)を通過させて、大気中に放散される。このように発酵中に発生した臭気は脱臭装置により脱臭され、臭気が外部に漏れることがない。
【0019】
また、液肥回収手段は発酵槽本体10の屋根裏部分に凝集した液肥を屋根裏下部に設けた樋により回収し収集するものである。回収された液肥は、有用な成分を多く含んでおり化粧品等の原料に利用される。
【0020】
一次発酵槽2における有機性廃棄物の発酵の進行は、均等に行われるのではなく、また、温風吹込み量の多い部分が速く発酵が進む。
【0021】
そこで、ある程度発酵が進行した混合材7を一次発酵槽2より取り出し、発酵状態が均等になるように混合材7を切り返して、二次発酵槽3に装入する。
【0022】
二次発酵槽3の構成は、上述した一次発酵槽2の構成と基本的には同じであるので詳細説明は省略するが、一次発酵槽2で混合材7の水分が蒸発し、体積が小さくなっているので、二次発酵槽3の発酵槽本体は小さくなっている。
【0023】
二次発酵槽3において有機性廃棄物の発酵がほぼ完了した有機性生成物7aは、三次発酵槽4に装入される。三次発酵槽4は、有機性生成物7aを製品として出荷したり、前述した戻し材として使用したりするまでの保管場所であるが、この間に更に熟成が進行するように、一次発酵槽2や二次発酵槽3と同様に、温風供給管11や空気供給ブロア12を備えている。なお、発酵槽本体10は、臭気が発生しないため屋根は設けられていない。
【0024】
三次発酵槽4で保管される有機性生成物7aは、出荷時に取り出され、ふるい分離機(図示せず)により、一定粒度以下の粒状のものにふるい分けられて、計量された後袋詰めにされ、肥料や家畜の飼料用として出荷される。ふるい分けられた塊状のものは、必要により砕いて再度発酵槽に装入する。
【0025】
有機性生成物7aは有機分が分解されて低分子化されており、有機質肥料として有用である。また、有用な微生物を含んでいるので農業用微生物資材や水処理用微生物資材に用いられる。
【0026】
図2は、一次発酵槽2や二次発酵槽3において、この発明の有機性廃棄物の発酵処理方法を行う場合の説明図であり、(a)は発酵槽10の平面図、(b)は(a)のA−A矢視図である。
【0027】
発酵槽の床下には、前述した温風供給管11が配設された溝が複数設けられており、それぞれの温風供給管11の上方には、有機性廃棄物の温度を測定するための温度センサ16または有機性廃棄物の水分を測定するための水分率センサが配置されている。
【0028】
温風供給管11は二重管になっており、内管11aには温水供給装置(図示せず)から温水等の熱媒体が供給され、内管11aと外管11bとの間に空気が供給される構造となっている。それぞれの温風供給管11には、温風供給管11に供給する空気量を調節することのできる風量制御弁17が設けられ、各温風供給管11に空気供給ブロア12から供給される空気量が、別々に調整できるようになっている。また内管11aに供給する温水の温度を調整することにより、温風の温度を調整できるようにしてもよい。
【0029】
図2において、13は臭気回収管、14は吸引ユニット、15は脱臭装置、18は液肥回収樋である。
【0030】
図3は温度センサ16からの温度信号により、発酵槽10内の温度制御を、所定の温度変化パターンにしたがって行う場合の制御系統図である。温度センサ16からの温度信号は、温度比較判定器19に送られる。温度比較判定器19には、発酵処理開始からの経過時間と有機性廃棄物の温度との関係をあらかじめ定めた所定の温度変化パターンが、温度変化パターン設定器20により設定されており、それぞれの時点での測定温度と温度変化パターン上の温度とが比較される。温度変化パターン上の温度には、上限値と下限値が設けられており、温度センサ16から送られてきた温度が、上限値を上回ったり、下限値を下回ったりしたときには、温度比較判定器19から風量制御器21に指令が発せられる。そして、風量制御器21により、風量制御弁17の開度が、上限値を上回ったときに小さく、下限値を下回ったときには大きくなるように制御され、風量を調整する。また、温度センサ16から送られてきた温度の経時変化が、あらかじめ定めた所定の温度変化パターンに近づくように風量を制御してもよい。
【0031】
また、各温風供給管11から供給される温風が達する区画範囲毎に、個別に上記のような温度調整を行えば、発酵槽内の発酵の進行度の位置によるばらつきをなくすることができる。
【0032】
図4は上述した温度パターンの例を示すグラフである。一次発酵過程で初期には温度が急増し、高温で安定となり、有機性廃棄物を移送切り返しの後、二次発酵過程では一次発酵過程よりも低い温度で発酵が進行する。このような発酵槽内の有機性廃棄物の温度変化パターンに計測した温度の経時変化を近づけるように、温風の風量調整を行う。
【0033】
また、発酵槽内の温度制御は、温水の温度を調整して温風の温度を調整することにより行っても良い。
【0034】
さらに上記では発酵槽内の温度を測定して、温風の風量または温度を制御する場合について記載したが、発酵槽内の水分を測定して、温風の風量を調整するか、温風の温度を調整するように供給する温水の温度を制御してもよい。すなわち、水分が所定の変化パターンより高い場合は温風の風量を多くするか、温風の温度を高くし、低い場合は温風の風量を少なくするか、温風の温度を高くするようにする。
【0035】
【発明の効果】
この発明により、発酵槽内の発酵条件を細かく調整することができるので、各種の有機質物を効率よく発酵分解処理でき、短期間に高品質の発酵生成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示す有機性廃棄物の発酵処理装置の全体構成を示す構成図である。
【図2】一次発酵槽や二次発酵槽において、この発明の有機性廃棄物の発酵処理方法を行う場合の説明図であり、(a)は発酵槽の平面図、(b)は(a)のA−A矢視図である。
【図3】温度センサからの温度信号により、発酵槽の温度制御を、所定の温度変化パターンにしたがって行う場合の制御系統図である。
【図4】温度変化パターンの例を示すグラフである。
【符号の説明】
1:混合装置
2:一次発酵槽
3:二次発酵槽
4:三次発酵槽
5:廃棄物ホッパー
6:戻し材ホッパー
7:混合材
7a:有機性生成物
8:コンベアー
9:混合材置場
10:発酵槽本体
11:温風供給管
11a:内管
11b:外管
12:空気供給ブロア
13:臭気回収管
14:吸引ユニット
15:脱臭装置
16:温度センサ
17:風量制御弁
18:液肥回収樋
19:温度比較判定器
20:温度変化パターン設定器
21:風量制御器
Claims (2)
- 有機性廃棄物に発酵菌を含む戻し材を混合して一次発酵槽に装入し、廃棄物に温風を供給して発酵を促進させ、次いで、前記一次発酵槽内の廃棄物を二次発酵槽内に移し替え、温風を供給して発酵を促進させ、次いで、前記二次発酵槽で発酵した有機性生成物を三次発酵槽内に移し替え、温風を供給して、前記有機性生成物を発酵させるようにした有機性廃棄物の発酵処理方法において、前記発酵槽内の温度または水分を測定し、該測定した温度または水分の経時変化とあらかじめ設定されている温度または水分の所定の変化パターンとを比較し、測定した温度または水分の経時変化が該変化パターンと異なっているときには、供給する温風の風量または温度を調整し、該変化パターンになるようにすることを特徴とする、有機性廃棄物の発酵処理方法。
- 有機性廃棄物に発酵菌を含む戻し材を混合して一次発酵槽に装入し、廃棄物に温風を供給して発酵を促進させ、次いで、前記一次発酵槽内の廃棄物を二次発酵槽内に移し替え、温風を供給して発酵を促進させ、次いで、前記二次発酵槽で発酵した有機性生成物を三次発酵槽内に移し替え、温風を供給して、前記有機性生成物を発酵させるようにした有機性廃棄物の発酵処理装置において、前記発酵槽内の温度または水分を測定する測定手段と、該測定した温度または水分の経時変化とあらかじめ設定されている温度または水分の所定の変化パターンとを比較する比較判定手段と、該比較判定手段からの指令に基づき温風の風量または温度を調節する温風調節手段とから構成されることを特徴とする、有機性廃棄物の発酵処理装置。
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