JP2004112410A - 画像形成装置、画像形成装置に使用される機能モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】画像を記録媒体に形成する画像形成装置において、インタフェースコストの削減、データ転送の高速化、開発工数の削減を実現できるようにする。
【解決手段】CPU110 、メモリブリッジ部120 、メインメモリ130 、I/Oブリッジ部140 、スイッチ部150 、およびグラフィックスドライバ部160 をコントローラ部100 に設ける。コントローラ部100 の周辺に、画像取込部210 、画像処理部220 、画像記録部230 の他、外部入力系統用のLANボード252 、1394ボード254 、USBボード256 を交換自在に設ける。メモリブリッジ部120 とI/Oブリッジ部140 との間、I/Oブリッジ部140 とスイッチ部150 、画像取込部210 、画像処理部220 、および画像記録部230 との間、スイッチ部150 とLANボード252 など、主要機能部の間を、ピーシーアイエクスプレスなどの、双方向性、シリアル、ピアツーピアの特徴を持つインタフェースで電気信号の伝送をとる。
【選択図】 図3
【解決手段】CPU110 、メモリブリッジ部120 、メインメモリ130 、I/Oブリッジ部140 、スイッチ部150 、およびグラフィックスドライバ部160 をコントローラ部100 に設ける。コントローラ部100 の周辺に、画像取込部210 、画像処理部220 、画像記録部230 の他、外部入力系統用のLANボード252 、1394ボード254 、USBボード256 を交換自在に設ける。メモリブリッジ部120 とI/Oブリッジ部140 との間、I/Oブリッジ部140 とスイッチ部150 、画像取込部210 、画像処理部220 、および画像記録部230 との間、スイッチ部150 とLANボード252 など、主要機能部の間を、ピーシーアイエクスプレスなどの、双方向性、シリアル、ピアツーピアの特徴を持つインタフェースで電気信号の伝送をとる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばプリンタ装置、ファクシミリ装置、複写装置、あるいはそれらの機能を複合的に有する複合機(multi−function device )など、画像を所定の記録媒体に形成する画像形成装置並びに画像形成装置に使用される機能モジュールに関する。より詳細には、画像形成装置のシステムアーキテクチャ(システム構成)に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ装置、ファクシミリ装置、複写装置、あるいはそれらの機能を複合的に有する複合機などの画像形成装置が様々な分野で使用されている。また、今日では、画像形成装置がカラー化され、ユーザの様々な表現手段として利用されるようになってきている。たとえば、電子写真プロセス(ゼログラフィ)を用いたカラーページプリンタ装置は、高品質な画質あるいは高速プリンティングの点で注目されている。
【0003】
また今日では、プリンタ装置や複写装置あるいは複合機などの画像形成装置において、画像をデジタル的に取り扱う仕組みが種々提案されている。たとえば、デジタル複写装置は、画像を走査して得たアナログ画像信号をデジタル化してデジタル画像データをメモリに記憶し、さらにそのデジタル画像データに基づいて印刷するようになっている。
【0004】
一方、印刷機能という点では、家庭内での個人ユースやオフィスでのビジネスユースといった比較的小規模(たとえば1ジョブが数枚〜数十枚程度)の印刷出力を要求されるものと、製本などの印刷業界で使用される比較的大規模(たとえば1ジョブが数千枚以上)の印刷出力を要求されるものとに大別される。前者の比較的小規模の印刷出力を要求されるものにおいては、その多くが(たとえば孔版印刷を除いて)、印刷データを受け取り版下を生成せずに印刷物を出力する。一方、後者の比較的大規模の印刷出力を要求されるものにおいては、従来は、印刷データに基づいて版下を生成し、この生成した版下を使用して印刷物を出力していた。
【0005】
ところが、今日では、DTP(DeskTop Publishing/Prepress)の普及による印刷工程の変化、いわゆる「印刷のデジタル革命」により、DTPデータから直接印刷する「ダイレクト印刷」もしくは「オンデマンド印刷」(以下オンデマンドプリンティングという)が着目されている。このオンデマンドプリンティングでは、従来の印刷(たとえばオフセット印刷)における写植などの紙焼き(印画紙)、版下、網ネガ、網ポジ、PS版などの中間成果物を生成せずに、プリプレス工程を完全にデジタル化することで電子データだけに基づいて印刷物を出力する仕組み(CTP;Computer To Print or Paper)が取られている。そして、このオンデマンドプリンティングの要求に対して、電子写真プロセスを用いた印刷機能が着目されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、今日では、画像形成処理(プリント処理)のさらなる高速化・高性能化・多機能化の要求がある。たとえば、印刷指示からプリント出力までトータルの生産性をサポートした高速フルカラープリント、たとえば、50枚以上/分のカラー印刷に対応するシステムを可能とするものの要求がある。
【0007】
従来のデジタル方式の画像形成装置における重要な目標は、設計の時点において大量のデータを処理するために必要な性能を有した最も手ごろなシステムを構築することとされていた。このような設計プロセスおよび思考プロセスの結果として、可能な限り低価格でデジタル方式の画像形成装置を生産することはできたが、そのデジタル方式の画像形成装置を簡単に変更したり、拡張したりすることは難しかった。
【0008】
たとえば、画像形成装置を構成する回路の大部分が、1つの回路基板上に収容されるようになっており、処理制御機構がほぼ1ユニットで構成されている。この構成において、高速化・高性能化・多機能化への対応をとる場合、変更がたとえ一部の回路に対するものであっても、その都度、その回路基板全体の交換や、その回路基板の設計変更(パターンレイアウトの変更)が必要となり、結果として、開発費用と開発期間を必要とするという問題がある。
【0009】
図8は、従来の画像形成装置を備えた画像処理システムの一構成例を示す図である。ここでは、画像形成装置として複写装置を例に説明する。
【0010】
複写装置は、原稿の画像を光学的に読み取ることで画像情報を取得するスキャナ部と、スキャナ部で取り込んだ画像情報に対して所定の画像処理を施す画像処理部と、画像処理部により画像処理が施された処理済画像情報に基づいて画像を所定の記録媒体(たとえば印刷用紙)上に形成する画像記録部と、スキャナ部、画像処理部、および画像記録部の各機能部分の動作を制御するコントローラ(制御部)とを備えて構成される。画像処理部における所定の画像処理としては、たとえば、画像記録部の特性に合わせた色調合わせなどの処理がある。
【0011】
ここで、従来の複写装置は、コントローラから、画像処理部などの各機能部分に対し制御用のコマンド信号を、コントロールライン(通信インタフェース)を介してそれぞれに分配して各機能部分を制御していた。コントロールラインは、たとえばシリアル通信方式を用いた装置ごとに独自のものが使用される。コントローラは、複写装置のハードウェア、とりわけ入出力系の相互接続に関して、各デバイス間を同時に流れる大量のデータを絶え間なく管理するとともに、複写装置の機能を果たすよう各デバイスを制御する。
【0012】
また、画像データは、各機能部分間で専用の一方向性のパラレルバス(バス;部品間を繋ぐデータの通り道)が使用されていた。パラレルにデータを転送する場合、信号線同士でのデータのずれや不揃い(データの不整合)が発生し、また信号線同士が電圧の影響を与え合うクロストーク現象が起きるので、高速のデータ転送に適していない。すなわち、パラレル方式では、一度にたくさんのデータを送受信できるが、タイミングを合わせてデータを送出しなければならず、送出する速度(回数)を上げるのが難しい。
【0013】
CPU(Central Processing Unit )クロックの向上に合わせてデータのずれなどを補償する回路を追加するなどの手段を講じることも考えられるが非常にコストがかかるので、パラレルバスのクロックを上げていくというアプローチには限界がある。このため、バスの速度を簡易に上げることは困難であり、また、機種ごとに専用バスが設計されることが多く設計効率も悪いという問題がある。したがって、装置のさらなる高速化・高性能化・多機能化に柔軟に応えることが難しい。
【0014】
一方、近年では、この複写装置を外部からの画像データに基づいて印刷出力する複合機として使用する要求もある。たとえば、複写装置とパソコンなどの外部の画像入力端末との間で画像データの受渡しを行なう場合である。この場合、従来の複写装置は、複写装置本体が1つの専用システムとして構成されているため、たとえば図8(A)に示すように、パソコンなどとの間で画像データの受け渡しを行なうための専用回路(たとえばビデオセレクタ)と専用インタフェースを設けなければならない。また、画像受渡しのための制御および専用回路を機種ごとに作り込む必要があり、開発には多大な開発費用と開発期間を必要とした。
【0015】
加えて、従来の複写装置における画像データの流れは、スキャナ部から画像記録部側への一方向性であるため、スキャナ系の画像データ(つまり原稿を読み取ったもの)は画像処理部で処理されるが、画像入力端末など外部からの画像データは画像処理部を経由しない。このため、予め外部で画像記録部の特性に合わせた色調合わせなどの処理を事前に処理してから、画像記録部にデータを渡さなければならず、その取り扱いが簡易でなかった。つまり、装置の高性能化・多機能化に応えるのは、必ずしも容易でなかった。
【0016】
一方、複写装置を構成する場合の新たなアプローチとして、たとえば図8(B)に示すように、パソコンなどのコンピュータシステムと同様に、PCI(Peripheral Component Interconnect )バスを使用したアーキテキチャを採用することも考えられている(たとえば特開2000−151878号参照)。
【0017】
この場合、コントローラと各機能部分との間をPCIバスで接続することになる。たとえば、図8(B)に示すように、画像処理部と画像記録部とコントローラとの間をPCIバスで接続する。必要に応じて、インタフェース部を介して、それぞれをPCIバスで接続する。また、特開2000−151878号に記載のように、プロセッサ(コントローラに相当)およびメモリシステムを主要部として、複写装置を構成する種々の機能部分を配置し、それらとプロセッサとの間をPCIバスで接続する構成もある。
【0018】
PCIバス(その変形規格であるmini−PCIやPCI−Eなども含む)を利用することで、制御コマンドや画像データをPCIバスという共通の伝送ライン上に乗せ、このPCIバスを介して双方向に伝送できるようになり、また機能モジュールの変更や追加も可能となるので、装置の高性能化や多機能化に応えるのが容易になると考えられる。
【0019】
しかしながら、PCIバスは、パラレルでデータ(制御コマンドや画像データなど)を転送するので、配線数が多くインタフェースコストが掛かる。またパソコンなどのアーキテキチャで分かるように、プロセッサ(コントローラに相当)やメモリシステムなどを搭載したマザーボード上において、PCIバスを利用する個々の機能モジュールを一箇所に集中して配置する必要があるので、レイアウトの自由度がなく、実際には、多機能化に柔軟に応えるのが難しい。
【0020】
加えて、PCIバスは、高速化の要求に応えることが難しい。前述のように、パラレルにデータを転送する場合、信号線同士でのデータのずれや不揃いが発生し、また信号線同士が電圧の影響を与え合うクロストーク現象が起きるので、高速のデータ転送に適していないからである。
【0021】
また、複数のモジュールをPCIバスに接続すると、他のモジュールと競合しないように、入出力(I/O)アドレスやIRQ(Interrupt ReQuest )を割り当てて1つのPCIバスを共用しなければならない。つまり、モジュール間を時分割でデータ転送しなければならないので、高速のデータ転送が難しくなる。
【0022】
このように、従来の画像形成装置の構成では、装置の高速化・高性能化・多機能化の要求に対して、低コストで、あるいは短期間に、あるいは柔軟に、応えるということが難しかった。
【0023】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、システムの高速化、高性能化、あるいは多機能化の要求に対して容易に対応することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。たとえば、デジタル複写装置や複合機などの画像形成装置のための、より自由度の高い新規なアーキテクチャを提供することで、インタフェースコストの削減、データ転送の高速化、あるいは開発工数の削減を可能とする画像形成装置を実現する。
【0024】
また本発明は、本発明の画像形成装置に使用される機能モジュールであって、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部を備えた機能モジュールを提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る第1の画像形成装置は、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部と画像形成機能部の動作を制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、画像形成機能部に入出力される画像データと制御部が画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せるとともに、画像データおよび制御コマンドの伝送を双方向かつシリアル通信方式で採る接続インタフェース部を備るものとした。
【0026】
また、本発明に係る第2の画像形成装置は、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部と画像形成機能部の動作を制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、画像形成機能部に入出力される画像データと制御部が画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せるとともに、画像データおよび制御コマンドの伝送を双方向かつ1対1(Peer to Peer;ピアツーピア/ポイントツーポイント;Point to Pointともいう)の接続形態で採る接続インタフェース部を備えるものとした。
【0027】
なお、本発明に係る第2の画像形成装置においては、接続インタフェース部を、第1の画像形成装置と同様に、画像データおよび制御コマンドの伝送をシリアル通信方式で採るものとするとよりよい。
【0028】
画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部を複数備えた構成とする場合には、これら複数の画像形成機能部間においても、双方向かつシリアル通信、あるいは双方向かつ1対1の接続形態とすることが好ましい。
【0029】
上記において、制御部は、一般的なコンピュータシステムと同様に、中央演算処理部(CPU)、記憶媒体、および中央演算処理部と記憶媒体の間のデータ(画像データや制御コマンド)の入出力を制御するメモリコントローラを備えているものであることが好ましい。また、制御部は、さらに、それぞれ接続インタフェース部により、メモリコントローラと接続されるとともに画像形成機能部と接続される入出力コントローラを備えているものであることが好ましい。
【0030】
また上記において、画像形成に関わる機能部分とは、画像もしくは画像データに対して何らかの処理を施す機能部分を意味する。一方の機能部分から受け取った画像データに対して何らの処理を加えることなく他方の機能部分へ転送するだけのものや、電子的にデータ保存する記録メディアに他の機能部分から受け取った画像データを記録する(書き込む、格納する)ものは、本願の画像形成に関わる機能部分には含まない。
【0031】
たとえば、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部は、原稿上に形成された画像を光学的に読み取ることで画像情報を取得する画像取込部、所定の(たとえば画像取込部で取り込んだ)画像情報画像情報に対して所定の画像処理を施す画像処理部、および所定の(たとえば画像処理部により画像処理が施された処理済の)画像情報に基づいて画像を所定の記録媒体上に形成する画像記録部のうちの少なくとも1つを含むものであればよい。
【0032】
これに対して、たとえば、通信網を介して取得した画像データを他の機能部分に転送する通信インタフェース部(通信ドライバ)や、受け取った画像データを半導体メモリやCD−R(Compact Disc−Recordable)のような追記型光ディスクあるいはCD−RW(−ReWritable )のような書き換え可能型光ディスクなどの書込み可能なメディアに記録するドライブ装置は、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部には含まない。
【0033】
従属項に記載された発明は、本発明に係る画像形成装置のさらなる有利な具体例を規定する。たとえば、本発明に係る第1および第2の画像形成装置において、画像形成機能部は、制御部が配されるプリント基板(マザーボード)とは各別に設けられたプリント基板(モジュール基板)上に配されているものであることが望ましい。この場合、画像形成機能部が配されたモジュール基板と制御部が配されたマザーボードとが、オンボード型の基板コネクタを介して物理的に接続されるものとしてもよい。あるいは、画像形成機能部が配されたモジュール基板と制御部が配されたマザーボードとが、ケーブルを介して物理的に接続されるものとしてもよい。
【0034】
また、制御部を、接続インタフェース部により、メモリコントローラと接続されるとともに画像形成機能部と接続される入出力コントローラを備えたものとするとともに、入出力コントローラを、この入出力コントローラを除く制御部を構成する他の機能分を配したプリント基板とは各別に設けられたプリント基板上に配し、さらに、画像形成機能部が配されたプリント基板と入出力コントローラが配されたプリント基板とが、オンボード型の基板コネクタを介して物理的に接続されるとともに、入出力コントローラが配されたプリント基板と入出力コントローラを除く制御部を構成する他の機能分を配したプリント基板とが、ケーブルを介して物理的に接続されるものとしてもよい。
【0035】
要するに、制御部の入出力コントローラ以外の要素が配されるマザーボード(メイン基板)とは別に、入出力コントローラが配されるサブ基板を設け、このサブ基板とマザーボードとをケーブル接続するとともに、サブ基板上にオンボード型の基板コネクタを介して画像形成機能部が配されたプリント基板(モジュール基板)を物理的に接続するということである。
【0036】
なお、ケーブル接続とする場合、プリント基板間の電気信号の伝送をメタリックワイヤ(たとえば銅線)を利用して採ってもよいし、プラスチック光ファイバPOF(Plastic Optical Fiber )やシート状の光伝送バス(以下光シートバスという)などの光伝送媒体を用いて採ってもよい。
【0037】
本発明に係る第1および第2の画像形成装置においては、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部だけでなく、それ以外の機能部分である周辺デバイス(前述の通信ドライバや記録メディア用のドライブ装置など)を含む構成としてもよい。
【0038】
この場合、周辺デバイスとの間のインタフェース機能をなす入出力インタフェースドライバを備えた構成とするとともに、この入出力インタフェースドライバと制御部とが接続インタフェース部により接続するようにするとよい。また、入出力インタフェースドライバと制御部との間に周辺デバイスとの間の通信インタフェースを切り替える切替部を配設し(介在させ)、この切替部と制御部との間あるいは切替部と入出力インタフェース部との間のうちの少なくとも一方について、前述の接続インタフェース部により接続する構成としてもよい。
【0039】
切替部を配設する場合、制御部を、接続インタフェース部によりメモリコントローラと接続されるとともに画像形成機能部と接続される入出力コントローラを備えた構成とするとともに、切替部と入出力コントローラとの間を前述の接続インタフェース部により接続されるものとするとよい。
【0040】
また、本発明に係る第1および第2の画像形成装置においては、制御部を、所定のユーザインタフェース装置との間で接続インタフェース部により接続されるユーザインタフェースドライバを備えたものとすることが望ましい。たとえば画像を提示するCRTや液晶などのモニタ(表示デバイス)をユーザインタフェース装置として使用する場合には、グラフィックスドライバを設ける。また、ユーザの指定する情報を取り込むキーボードやマウスなどの入力デバイスをユーザインタフェース装置として使用する場合には、キーボードドライバやマウスドライバを設ける。なお、それぞれのドライバは、ハードウェア的に構成されるもの、およびソフトウェア的に構成されるものの、何れであってもかまわない。
【0041】
本発明に係る第1および第2の画像形成装置において、接続インタフェース部は、ホットプラグ(Hot−Plug)接続可能、すなわち活性挿脱可能なものであることが好ましい。
【0042】
また、この接続インタフェース部は、シリアル通信方式によるインタフェースを複数纏めることで帯域幅を切替可能(スケーラブル可能ともいう)であることが望ましい。
【0043】
また、この接続インタフェース部は、ある一定の規格を満足する標準インタフェース、たとえばピーシーアイエクスプレス(PCI Express(商標))であることが望ましい。
【0044】
また、本発明に係る第1および第2の画像形成装置において、制御部には、オペレーティングシステムと、画像形成機能部を制御するためのアプリケーションソフトウェアが組み込まれることが望ましい。なお、ソフトウェアは、コンピュータ読取り可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよいし、有線あるいは無線による通信手段を介して配信されてもよい。
【0045】
本発明に係る第1の機能モジュール(モジュール基板や機能ユニット)は、画像を所定の記録媒体に形成する画像形成装置に使用される機能モジュールであって、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部と、画像形成機能部に入出力される画像データと画像形成装置に搭載されている制御部が画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せるとともに、画像データおよび制御コマンドの伝送を双方向かつシリアル通信方式で採る接続インタフェース部とを備えるものとした。
【0046】
また、本発明に係る第2の機能モジュールは、画像を所定の記録媒体に形成する画像形成装置に使用される機能モジュールであって、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部と、画像形成機能部に入出力される画像データと画像形成装置に搭載されている制御部が画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せるとともに、画像データおよび制御コマンドの伝送を双方向かつ1対1(ピアツーピア)の接続形態で採る接続インタフェース部とを備えるものとした。
【0047】
なお、本発明に係る第2の機能モジュールにおいては、接続インタフェース部を、第1の機能モジュールと同様に、画像データおよび制御コマンドの伝送をシリアル通信方式で採るものとするとよりよい。
【0048】
また第1および第2の機能モジュールにおいて、画像形成に関わる機能部分の意味は、画像形成装置の場合と同様である。よって、たとえば、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部は、原稿上に形成された画像を光学的に読み取ることで画像情報を取得する画像取込部、所定の(たとえば画像取込部で取り込んだ)画像情報に対して所定の画像処理を施す画像処理部、および所定の(たとえば画像処理部により画像処理が施された処理済の)画像情報に基づいて画像を所定の記録媒体上に形成する画像記録部のうちの何れかであることが望ましい。
【0049】
【作用】
上記構成においては、画像形成機能部と制御部との間で伝送インタフェースを採るに際して、先ず、画像データと制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せることとした。そして、これら画像データおよび制御コマンドの伝送を双方向かつシリアル通信方式で採る、および/または双方向かつピアツーピア接続形態で採る、接続インタフェース部を設けた。
【0050】
双方向性の通信方式で接続インタフェースを採り、画像データを複数の画像形成機能部の間で自由にハンドリングすることを可能とすることで、高性能化や多機能化の要求に応える。
【0051】
また、シリアル通信方式とすることで、信号線同士でのデータのずれや不ぞろい、あるいはクロストーク現象を防止する。また、ピアツーピア接続とすることで、機能部間(複数の画像形成機能部の相互間や、それらと制御部との間)あるいはボード間でのデータ転送を専用化する。何れも、高性能化や高速化の要求に応えるものである。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0053】
図1は、本発明に係る画像形成装置を備えた画像処理システムを示す概略図である。この画像処理システム1は、画像入力端末3および画像出力端末7を備える。
【0054】
画像入力端末3は、デジタルドキュメント(以下単にドキュメントという)DOCを作成したり編集などの処理をする、たとえばパソコン(パーソナルコンピュータ)3a、カラースキャナ3b、デジタルカメラ3c、またはハードディスク装置や光磁気ディスク装置あるいは光ディスク装置などのデータ格納装置3d、さらにはFAX装置3eなど、任意数の画像入力ソースを含み得る。画像入力端末3は、これらに限らず、たとえば、図示しない通信網を介して画像を電子データとして取得する通信機能を備えた端末装置であってもよい。これらの各端末装置には、ドキュメントDOC作成用のアプリケーションプログラムなどが組み込まれる。画像入力端末3は、ドキュメントDOCを、画像形成装置1の一部を構成する画像出力端末7に入力する。
【0055】
画像出力端末7は、本発明に係る画像形成装置の一例であって、たとえば複写装置機能、ページプリンタ機能、およびファクシミリ送受信機能を備えたいわゆる複合機(マルチファンクション機)で、デジタルプリント装置として構成されている。
【0056】
画像入力端末3側にて用意されるドキュメントDOCを表す電子データは、画像出力端末7で処理可能な画像フォーマット(たとえば、JPEG、BMP、PNGなど)で記述される。またたとえば、パソコン3aで作成された文書ファイルは、たとえばプリンタなどで印刷出力するために、図形、文字などの拡大、回転、変形などが自由に制御できるページ記述言語(PDL:Page Description Language )で記載されたデータとして画像出力端末7に送られる。
【0057】
PDLで作成されているデータ(PDLデータ)は、ページ内の任意位置の画像、図形、文字を表現する描画命令およびデータを任意の順で配置した命令およびデータ列で構成されている。このPDLデータを受け取った画像出力端末7は、印字前に出力単位ごと(1ページごと)に画像データをレンダリング(描画展開)してからプリンタエンジン部にそのラスタデータを出力する。
【0058】
画像出力端末7は、大まかに、画像読取装置10、画像形成装置30、および給紙装置80から構成されている。また画像出力端末7は、接続ケーブル90を介してネットワークに接続可能になっている。たとえば、接続ケーブル90は、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)型LAN(Local Area Network;たとえばIEEE802.3)やギガビット(Giga Bit)ベースのLAN(以下纏めて有線LAN8という)によりパソコン3aなどの画像入力端末3に接続される。
【0059】
あるいは一般加入電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network)9を介してFAX装置3eなどの画像入力端末3に接続される。なお、一般加入電話網PSTNに代えて、ISDN(Integrated Switched Digital Network )またはインターネットを含む他の通信媒体を利用してファクシミリをやり取りするようにしてもよい。
【0060】
また、画像出力端末7は、たとえばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc. ;米国電気電子学会)1394規格のデバイス3fやUSB(Universal Serial Bus)2.0規格のデバイス3gなどとも接続可能となっており、これらのデバイス3f,3gからデジタル画像データを受け付けることもできる。あるいは、これらデバイス3f,3gを介してリモートで画像出力端末7を制御することもできるようになっている。
【0061】
画像読取装置10は、原稿を図示しない読取台(プラテンガラス)上の読取位置まで搬送し排紙するドキュメントフィーダ12と、表示機能も備えた操作パネル(ユーザインタフェース)14と、装置に対する種々の設定をする操作キー16とを含む。
【0062】
操作パネル14には、印刷枚数や用紙サイズなどの装置の使用条件が表示されるようになっており、ユーザはその表示を見ながら操作キー16により使用条件を変更することができる。好ましい条件が操作パネル14や操作キー16で入力された後、操作キー16のスタートキー(図示せず)が押下されると、ドキュメントフィーダ12は、原稿を画像読取装置10上の予め定められた読取位置へ原稿をフィードし、その原稿が読み取られた後に読取位置からその原稿をドキュメントフィーダ12の所定位置まで移動させる。
【0063】
なお、操作パネル14や操作キー16に代えて、あるいはこれらとともに使用される大型ユーザインタフェースあるいはメンテナンス画面を備えたユーザインタフェース装置15を設けてもよい。
【0064】
画像読取装置10は、画像入力端末の機能を備えており、たとえばCCD固体撮像素子の全幅アレイを使用して、読取位置へ送られた原稿に光を照射することで、原稿上の画像を読み取り、この読み取った画像を表すアナログビデオ信号をデジタル信号へ変換し、画像形成装置30へ送る。
【0065】
画像形成装置30は、画像形成ユニット32と、両面複写ユニット34と、排紙ユニット36と、1枚もしくは複数枚(図は複数枚で例示)の処理基板38とを含む。画像形成ユニット32は、画像読取装置10にて得られた画像信号により表される画像を、電子写真式、感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいは同様な従来の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙上に可視画像を形成する(印刷する)すなわち複写する。このため、画像形成ユニット32は、たとえば画像処理システム1をデジタル印刷システムとして稼働させるためのラスタ出力スキャン(ROS)ベースのプリントエンジンを備える。
【0066】
両面複写ユニット34は、たとえば、用紙を即時に、あるいは一方の面に画像が形成されスタックされた複数の用紙を底の用紙から上部の用紙の順に連続的に、画像形成ユニット32側に再給紙するように構成される。
【0067】
処理基板38には、画像形成装置30用の処理部(特に画像処理部)だけでなく、画像出力端末7全体の種々の処理をするための回路が搭載される。たとえば、画像出力端末7内に構築された資源であるドキュメントフィーダ12、操作パネル14、図示しない画像読取ユニット、画像形成ユニット32、両面複写ユニット34、排紙ユニット36、あるいは給紙トレイ82など制御する回路が搭載される。
【0068】
この処理基板38には、半導体製の記憶媒体が搭載され、たとえば、複写アプリケーション、プリンタアプリケーション、ファクシミリ(FAX)アプリケーション、あるいは他のアプリケーション用の処理プログラムが格納される。
【0069】
給紙装置80は、給紙トレイ82を含む。図示した例では、A4,B4,A3の3種類の用紙サイズに対応した3つの給紙トレイ82が用意されている。
【0070】
用紙が複数の給紙トレイ82の内の何れかから画像形成装置30へ給紙されると、画像形成装置30の画像形成ユニット32は、その用紙の一方の面に画像を形成する。両面複写ユニット34は、一方の面に画像が形成された用紙を裏返し、再び画像形成ユニット32にその用紙を給紙するように構成されている。これにより、画像が用紙の他方の面に形成され、両面複写が完了される。
【0071】
画像形成ユニット32から排出される用紙、あるいは両面複写済み用紙は、排紙ユニット36により、ページ順に連続的に、あるいは1ページごとにソートされる。
【0072】
なお、画像出力端末7は、画像読取装置10にて読み取った画像の印刷機能すなわち複写装置能に限らず、LAN8および接続ケーブル90を介してパソコン3aなどの画像入力端末3から取得した文書データや画像ファイルなどに基づいて画像を印刷するいわゆるプリント機能や、電話回線9および接続ケーブル90を介して受信したFAXデータに基づいて印刷出力するFAX機能も備える。
【0073】
図2は、画像出力端末7における画像処理機能を示すブロック図である。画像読取装置10は、スキャナ部20と読取信号処理部22とを有する。
【0074】
スキャナ部20は、読取台上に載置された原稿を読み取って得た入力画像を赤R、緑G、青Bの各色成分のデジタル画像データに変換する。たとえばハロゲンランプを有する光源からの光が読取台上に載置された原稿を照射し、反対光が光学系を介して赤、緑、青の各色に分光される。そして各色光が、各色光用に分けられた、たとえばCCD(電荷転送型の固体撮像素子)からなるラインセンサ(イメージセンサ)に入射し、入力画像が所定解像度で読み取られることによって、赤、緑、青の各色成分のアナログの画像信号が得られ、読取信号処理部22に送られる。
【0075】
読取信号処理部22は、たとえばシェーディング補正部24や入力階調補正部26を有する。なお、読取信号処理部22は、これらの他に、たとえば図示しない増幅部やA/D変換部などを有する。
【0076】
この読取信号処理部22においては、図示しない増幅部がラインセンサからの赤、緑、青のアナログの各画像信号を所定のレベルまで増幅し、さらに図示しないA/D変換回路がアナログの各画像信号をデジタル画像データに変換する。そして、シェーディング補正部24は、A/D変換回路から出力されたデジタル画像データに対し、ラインセンサの画素感度バラツキの補正や、光学系の光量分布特性に対応したシェーディング補正を施す。入力階調補正部26は、シェーディング補正されたデジタル画像データに対して階調特性を調整し、処理済の画像データを、画像形成装置30の前段色信号処理部40に入力する。
【0077】
画像形成装置30は、プリント出力信号処理系統として、前段色信号処理部40と、イメージ圧縮伸張処理部(イメージ圧縮伸長プロセッサ)50と、後段色信号処理部60と、画像形成ユニット32の主要部であるプリントエンジン70とを有する。前段色信号処理部40と、イメージ圧縮伸張処理部50と、後段色信号処理部60とが処理基板38(図1参照)上に電気回路として構成される。
【0078】
前段色信号処理部40は、たとえば入力色変換部42、画像受取部の一例である外部インタフェース部43、画像情報領域分離部44、出力色変換部46、および下色除去部48を有する。
【0079】
この前段色信号処理部40においては、先ず画像読取装置10の読取信号処理部22からの赤、緑、青のデジタル画像データ(色信号)を一旦図示しないページメモリに記憶する。そして、画像形成ユニット32にて使用する色材の分光特性に対する色補正処理(これを特に前段階の色補正処理という)を施すことで、色濁りを防止する。
【0080】
入力色変換部42は、デジタル画像データを、外部機器との色情報交換に適した色信号、たとえば均等色空間の明度信号L*並びに彩度および色相を表す色度信号a*,b*(以下纏めてLab信号ともいう)に変換する。
【0081】
画像出力端末7をプリンタとして使う場合には、外部インタフェース部43は、画像入力端末3側にて用意されたドキュメントDOCを表すPDLデータを、出力単位ごと(1ページごと)にLab信号でレンダリング(描画展開)する。同様に、画像出力端末7をカラーFAX装置として使用する場合には、外部インタフェース部43は、FAX装置3eからFAXデータを受信し、FAX画像をLab信号にてラスタライズする。次いで、このLab信号に基づいて、たとえば画像情報領域分離部44は画像領域(絵文字)分離処理を施し、編集処理部45は色編集処理やモアレを除去したり中間調データを平滑化する平滑化処理あるいは画像拡大や画像縮小などの画像編集処理を施す。
【0082】
その後、出力色変換部46は、Lab信号を、減法混色用に適した色信号に変換する。たとえば、出力色変換部46は、Lab信号で表されるLab表色系から、最低3つ(好ましくは4つ)、たとえばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、およびシアン(C)の各色信号で表されるYMC表色系、あるいはこれにブラック(K)を加えたCMYK表色系へのマッピング処理をし、プリント出力用に色分解されたラスタデータを生成する。
【0083】
また、下色除去部48は、このようなラスタデータ化の処理に際して、カラー画像のCMY成分を減色するアンダーカラー除去処理(UCR;Under Color Removal )をする。なお、下色除去部48は、さらに減色されたCMY成分を部分的にK成分と交換するグレー成分交換(墨生成)処理(GCR;Gray ComponentReplacement)をする。また、下色除去部48は、入力画像の下地濃度に応じて、YMCKの各色の画像データのうちの所定の下地濃度以下の画像データをカット(無効化)する下地除去処理を施す。なお、このグレー成分交換処理を含めてアンダーカラー除去処理ということもある。
【0084】
そして、これら一連の処理(前段色信号処理)が施されたデジタル画像データは、イメージ圧縮伸張処理部50に入力される。
【0085】
イメージ圧縮伸張処理部50は、印刷イメージをたとえばJPEGなどの圧縮画像フォーマットで圧縮し、不揮発性の記憶媒体の一例であるハードディスク装置(HDD;Hard Disc Device)54に一時的に格納(圧縮保存)したり、圧縮保存された印刷イメージを伸長するために使用する。このため、イメージ圧縮伸張処理部50は、たとえば、符号化部52および復号化部56を備える。
【0086】
符号化部52は、図示しないパラメータ設定部により設定された符号化パラメータを用い、たとえばDCT(Discrete Cosine Transform )などの直行変換符号化やベクトル量子化などの方法により符号化して非可逆圧縮して符号化画像データ(符号化色信号)を生成する。符号化部52により非可逆圧縮されたY,M,C,Kの各色の符号化画像データは、画像格納部の一例であるハードディスク装置54に略同時に書き込まれる。
【0087】
次いで、プリントエンジン70の図示しない先端検出器からの先端検出信号(副走査方向の印字始点を示す信号)に同期して、ハードディスク装置54からY,M,C,Kの各色の符号化画像データが順次一定間隔をおいて読み出され復号化部56に入力される。復号化部56は、このY,M,C,Kの各色の符号化画像データを、図示しないパラメータ設定部により設定された符号化パラメータを用い、符号化部52における符号化に対応する復号化をして、元の画像データ(復号化色信号)に戻す。
【0088】
後段色信号処理部60は、イメージ圧縮伸張処理部50からのデジタル画像データに対して印刷出力用の色補正処理を施し(これを特に後段の色補正処理という)、この色補正処理が施されたデジタル画像データに基づいて、印刷用の2値化データを生成し画像形成ユニット32に渡す。このため、後段色信号処理部60は、画像編集部62、MTF補正部64、出力階調補正部66、および中間調生成部68を有する。
【0089】
画像編集部62は、イメージ圧縮伸張処理部50からのデジタル画像データ(CMYKなど)に応答して作成される出力画像のトナー像を調整するために、色分解の直線化または同様の処理をする。また、画像編集部62は、エッジ強調用空間フィルタを用いて、復号化部56から順次一定間隔をおいて読み出されたY,M,C,Kの各色の復号化画像データを、エッジ強調処理することで、画像のシャープネスを調整する。
【0090】
MTF補正部64は、画像の空間周波数特性を補正する。出力階調補正部66は、エッジ強調およびMTF補正されたY,M,C,Kの各色のデジタル画像データを、たとえばルックアップテーブルを参照しガンマ補正する。また、出力階調補正部66は、プリント出力信号処理系統の内部の特性値である濃度あるいは明度を表す各色の画像データY,M,C,Kを、プリントエンジン70の特性値の面積率に応じて、色補正処理(TRC処理;Tone Reproduction Correction)する。
【0091】
中間調生成部68は、前述の各処理が施されたデジタル画像データに基づいて、ハーフトーニング処理をして疑似中間調画像を表す2値化データを得、この2値化データを画像形成ユニット32に渡す。なお、この中間調生成部68は、画像形成ユニット32に組み込まれることもある。この場合、外部入力系統の画像データが、前段色信号処理部40、イメージ圧縮伸張処理部50、および後段色信号処理部60を介さずに、図示しないビデオセレクタなどを介してプリントエンジン70すなわち画像形成ユニットに入力される構成となる。この場合、従来であれば、予め外部で画像形成ユニット32(詳しくはプリントエンジン70)の特性に合わせた色調合わせなどの処理を事前に処理してから、画像形成ユニット32に画像データを渡さなければならなかった。
【0092】
画像形成ユニット32は、その主要部であるプリントエンジン70と、このプリントエンジン70の主にメカニカルな動作を制御するためのIOTコントローラ72とを有する。
【0093】
画像形成ユニット32の主要部であるプリントエンジン70は、たとえば電子写真プロセスを利用するものであるのがよい。電子写真プロセスを利用するものの場合、プリントエンジン70は、光走査装置を備える。たとえばプリントエンジン70は、光ビームを発するレーザ光源74と、後段色信号処理部60から出力された印刷用の2値化データに従ってレーザ光源74を制御すなわち変調するレーザ駆動部76と、レーザ光源74から発せられた光ビームを感光性部材(たとえば感光体ドラム)79に向けて反射させるポリゴンミラー(回転多面鏡)78とを有する。
【0094】
この構成により、プリントエンジン70は、レーザ光源74が発生する光ビームをポリゴンミラー78上の複数の面で反射させて感光性部材79を露光し、スキャン走査によって感光性部材79上に潜像を形成する。潜像が形成されると、当該技術分野で公知の多数の方法のうち任意の方法に従って像を現像し、さらに所定の印刷媒体に転写してカラー画像を可視像として出力する。
【0095】
得られた印刷物は、図示しない定着器により定着され、印刷用紙は両面複写のために両面複写ユニット34(図1参照)により裏返されるか、または直ぐに排紙ユニット36(図1参照)へ引き渡され排紙される。
【0096】
なお、プリントエンジン70は、前述のように、電子写真方式のものに限らず、たとえば感熱式プリンタやインクジェットプリンタまたは粒子線写真プリンタなどで実施することもできる。
【0097】
図3は、図1に示した画像出力端末7における回路構成のシステムアーキテクチャの一例を示す図である。なお、図示する画像出力端末7は、デジタル複写装置や複合機として利用する場合の形態を示している。
【0098】
画像出力端末7の処理基板38(1枚とは限らない)上には、先ず本発明に係る制御部の一例であるコントローラ部100が配されている。コントローラ部100は、中央演算処理部の一例であるCPU(プロセッサ)110、メモリブリッジ部(Memory Bridge )120、および電源供給時にのみ記憶内容を保持する揮発性の記憶媒体の一例であるメインメモリ(主記憶部)130を備える。
【0099】
なお、図示しないが、コントローラ部100には、オペレーティングシステムOSや、後述する画像形成に関わる各機能部分あるいは周辺デバイスを制御するためのアプリケーションソフトウェアが組み込まれる不揮発性の記憶媒体(ROM)が設けられる。
【0100】
CPU110は、画像出力端末7全体の動作制御およびデータ処理を実行するメインコントローラであり、オペレーティングシステムOSの制御下で、各種プログラムを実行するようになっている。
【0101】
メインメモリ130は、CPU110が実行するプログラムをロードしたり、作業領域として使用するためのRAM(random access memory)などの揮発性の半導体メモリである。メインメモリ130内にプログラムコードやデータが収まりきらなくなった場合には、仮想メモリシステムとファイルシステムとの協調動作によって、ハードディスク装置(HDD)54などの補助記憶装置との間で入れ替え(スワッピング)が行なわれるようになっている。
【0102】
メモリブリッジ部120には、CPU110と協働してCPU110とメインメモリ130との間のデータの入出力を制御するメモリコントローラが組み込まれている。そして、メインメモリ130は、メモリブリッジ部120を介してCPU110と接続されるようになっている。CPU110とメインメモリ130との間は、DMA(Direct memory Access )オペレーションにより、たとえば32バイトのブロック単位でデータが転送される。
【0103】
たとえば、メインメモリ130として、“RDRAM;Rambus Dynamic RAM”や“DDR SDRAM;Double Data Rate Synchronous DRAM ”を使用し、またメモリのバス帯域幅も広げることで、データ転送速度を向上させる。なお、このDMA転送のサイズは、32バイトに限らず、32バイトより大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0104】
また、コントローラ部100は、I/Oブリッジ部(Input/Output Bridge )140、および周辺デバイスとの間の通信インタフェースを切り替える切替部の一例であるスイッチ部(Switch)150を備える。I/Oブリッジ部140には、CPU110と協働して機能するI/O(入出力)コントローラが組み込まれる。スイッチ部150には、周辺のデバイスとの間のインタフェースを採る入出力インタフェースドライバが組み込まれた種々のアドオンボード(ドライバ基板)250が追加接続(アドオン)されるようになっている。
【0105】
たとえば、ギガビット(Giga Bit)ベースのLAN8(図1参照)との間のインタフェースを採るLANボード252、IEEE1394規格のデバイス3f(図1参照)との間のインタフェースを採る1394ボード254が、スイッチ部150に接続可能となっている。スイッチ部150に組み込まれる入出力インタフェースドライバは、周辺デバイスとの間に介在する個々のアドオンボード250(LANボード252や1394ボード254など)との間で、1対1(Peer to Peer)で接続するように構成される。
【0106】
なお、I/Oブリッジ部140は、スイッチ部150を経由することなく、USB(Universal Serial Bus)2.0規格のデバイス3gとの間のインタフェースを採るUSBボード256が、直接に接続されるようになっている。LANボード252や1394ボード254についても、スイッチ部150を経由することなく接続してもかまわない。この場合、I/Oブリッジ部140に、LANボード252などとの間でのピアツーピア接続の仕組みを設ける。
【0107】
また、コントローラ部100は、処理基板38上には配されていないが、ハードディスク装置54を備える(図2参照)。このハードディスク装置54は、ハードディスクインタフェースの一例である“Serial ATA”規格によりI/Oブリッジ部140と接続される。
【0108】
なお、“Serial ATA”規格は、従来のパラレルATAインタフェースが将来的に限界に達するであろうことを受けて策定された新たな高速バス規格である。パフォーマンスを上げにくくなっている問題やノイズの問題、パラレルバスの複雑な回路設計、5Vの供給電源がそぐわなくなってきていることなどが理由として挙げられている。これを受けて、現在のパラレルATA バス(たとえば“ATA−2 ”,“ATA−3 ”,“ATA−4/ATAPI−4 (UltraATA)”,“ATA−5 ”など)とドライバソフトウェアを完全に互換としたまま、シンプルなシリアルインタフェースを採用し、コネクタ形状を小さくしたり、供給電圧を下げるなどの対策を取り入れている。ソフトウェア互換であるため、オペレーティングシステムOSなどについては、基本的には従来のPCIからPCI−EX対応へのアップデートが不要である。
【0109】
なお、本実施形態において“Serial ATA”規格は、基本である“Serial ATA 1.0”の規格の上位規格である“Serial ATA II ”あるいは今後規格化されるであろうさらなる上位規格をも含む。
【0110】
I/Oブリッジ部140は、図1に示した操作パネル14や操作キー16などからなるユーザインタフェース装置と直接に接続されるようになっている。なお、コントローラ部100には、図中点線で示すように、ユーザインタフェースドライバの一例であるグラフィックスドライバ部(Graphics)160をオプションとして設けてもよい。この場合、図1に示した大型ユーザインタフェースあるいはメンテナンス画面を備えたユーザインタフェース装置15が、このグラフィックスドライバ部160を介してメモリブリッジ部120に接続される。
【0111】
また、I/Oブリッジ部140は、複合機などとして機能する画像出力端末7を構成する機能部分として、図示しないスキャナ装置により画像を光学的に走査することでデジタル画像データを得る画像取込部(Image Input Terminal)210と、画像取込部210により取得したデジタル画像データあるいはLAN(Local Area Network)や他の周辺デバイスから得たデジタル画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理部(Image Processing System )220、並びに画像処理部220により所定の画像処理が施されたデジタル画像データに基づいて、所定の記録媒体に画像を形成する画像記録部(Image Output Terminal )230と接続される。この接続間の電気信号伝送ライン上に、画像取込部210などの画像形成機能部に入出力される画像データとコントローラ部100がこれら画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとが、共通に乗せられる。
【0112】
なお、フラッシュメモリなどの半導体メモリを読み取り対象とする記録メディア読取部(メモリリーダ)、CD−RやCD−RWなどを記録媒体とする記録メディア書込部、あるいは他の画像記録部などを拡張ユニット240としてI/Oブリッジ部140と接続してもかまわない。
【0113】
画像取込部210は、図2に示した読取信号処理部22に対応し、画像処理部220は、図2に示した前段色信号処理部40、イメージ圧縮伸張処理部50、および後段色信号処理部60に対応する。また、画像記録部230は、図2に示した 画像形成ユニット32に対応する。
【0114】
画像取込部210、画像処理部220、あるいは画像記録部230などの画像形成に関わる機能部分(デバイス)の電気回路は、コントローラ部100の電気回路が搭載されるプリント基板(マザーボード)とは各別のプリント基板(モジュール基板)に、マザーボードに対して着脱自在に搭載されている。そして、これら各デバイスの電気回路を搭載したモジュール基板は、コントローラ部100の電気回路が搭載されているマザーボードから離れたところに、物理的にはケーブルを介して接続されて、分散配置される。あるいは、オンボード型の基板コネクタを介して、モジュール基板がマザーボード上に装着接続される構成としてもよい。ケーブル接続とする場合、プリント基板間の電気信号の伝送を、メタリックワイヤ(たとえば銅線)やプラスチック光ファイバPOFなどの光伝送媒体を用いて採る。
【0115】
なお、画像取込部210、画像処理部220、あるいは画像記録部230などの、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部は、前述のように、画像形成装置を構成するために使用されるボードレベルのもの(モジュール基板)として提供されてもよいし、このモジュール基板を筐体内に収容した機能ユニットとして提供されてもよい。本明細書においては、このモジュール基板と機能ユニットとを纏めて、機能モジュールという。
【0116】
コントローラ部100における各機能部分を接続する接続インタフェースとしては、主に、双方向性でかつシリアル通信方式(Serial Interface)あるいはピアツーピアを採用した標準インタフェースが使用される。ここで、標準インタフェースは、IEEEやJIS(日本工業規格)などの非商業的組織または政府組織(公的な規格団体)によって認められた正当な(法律上の)技術的ガイドライン(de jure technical guideline )に従った、ハードウェア開発またはソフトウェア開発の領域において均一性を確立するために使用される公的なインタフェースであるのがよい。
【0117】
また、このような公的なインタフェースに限らず、民間団体や単一の会社にて取り纏められた私的な標準インタフェース、いわゆる業界標準インタフェース(工業標準インタフェース)であってもかまわない。何れにしても、標準インタフェースは、ある一定の規格を満足する接続インタフェースであればよい。
【0118】
たとえば、ある会社によって製品または理念が開発され、成功と模倣を通じて標準からの逸脱が互換性の問題を引き起こすか、または市場性を制限する程広く使用されるようになる場合に生じるハードウェア開発またはソフトウェア開発に関する事実上の(de facto)技術的ガイドライン(非公式な規格)が、本実施形態の標準インタフェースとして採用されてもよい。
【0119】
本実施形態において、標準インタフェースは、具体的には、PCI規格の一例である“PCI Express(商標)”(ピーシーアイエクスプレス;以下PCI−EXという)であることが好ましい。ここで「PCI−EX」とは、米国のIntel (インテル)社が提唱し、今日、PCI小研究グループ(PCI−SIG/SIG;Special Interest Group ;PCIの普及に向けて集まった企業による非営利団体)が仕様策定を進めているもので、当初は“3GIO(3rd Generation I/Oの略)”と称されていたシリアル転送インタフェースである。
【0120】
なお、シリアルインタフェース(Serial Interface)は、単一の信号線を用いて1ビットずつ順次データを送る伝送インタフェースである。このシリアルインタフェースの通信方式としては、多くのパソコンや携帯情報端末あるいは周辺機器で採用されているものとして、たとえばRS−232C,RS−422,IrDA,USB,IEEE1394,ファイバ・チャネルなどがあるが、PCI−EXは、これらよりも通信速度が格段に高速である。
【0121】
画像形成装置の一例である画像出力端末7において、コントローラ部100は、複写機能や印刷機能などのハードウェア部分、たとえば画像取込部210、画像処理部220、あるいは画像記録部230といった各デバイス間の画像データの入出力系の相互接続に関して、各デバイス間を同時に流れる大量のデータを絶え間なく管理するとともに、複写装置などの機能を果たすよう、各デバイスを制御しなければならない。
【0122】
高速処理が要求される場合、そのマシンサイクルを高めなければならない。この場合、CPU110やメインメモリ130などの高速化、大量の計算を必要とするアプリケーション、コネクティビティ(接続性)の向上などに適応するには、画像データや制御コマンドなどの種々のデータの流れの速度(内部バンド幅)も高速化していく必要がある。従来技術で述べたように、この高速化対応は、パラレルバスを用いた場合、難しかった。
【0123】
これに対して、シリアルインタフェースは、複数の信号線を利用するパラレルインタフェースに比べ、配線数が減りインタフェースコストを低減することができ、また信号線同士でのデータのずれや不ぞろい(スキュー)がなく、また信号線同士が電圧の影響を与え合うクロストーク現象も起こらない。また、ピアツーピア接続とすることで、伝送ラインを、時分割ではなく専用してデータ転送することができる。このため、シリアルインタフェースやピアツーピア接続は高速かつ長距離のデータ転送に適しており、画像データや制御コマンドなどの種々のデータの流れの速度を高速化していくことが、低コストかつ簡易に実現できるようになる。
【0124】
なお、本明細書において、PCI−EXの定義は、本明細書の作成時点にPCI−SIGで検討されているPCI−EX規格案(2002年7月23日に第1次規格案がグループメンバーに配布済み)を含んでおり、また、後に正式承認されるPCI−EXやその改訂版、あるいはさらにその後に拡張規格や上位規格として承認されるであろうものをも含んでいる。また、PCI−EX互換カードまたはインタフェースに対応する何れのバスも、PCI−EXとみなし得る。
【0125】
現在の規格案としては、たとえば、最大通信速度は2.5Gbps(現在のPCIは1.06Gbps)である。ただし、束ねての利用が可能(スケーラブル可能)なため、PCI−EXを2本(2レーンという)束ねて5Gbpsの通信速度を実現することなどもできる。また、PCI−EXは、ホットプラグ(Hot−Plug;ホットスワップともいう)接続に対応しており、活性挿脱が可能である。これにより、PCI−EXを画像出力端末7に適用することで、たとえばスロットインタイプの基板コネクタを介することで、カセット型のハードウェアユニットを画像出力端末7に差し込んでそのまま使うといった利用形態が実現できる。
【0126】
なお、周辺デバイスを接続するだけでシステムの設定が自動的に行なわれるのがプラグ・アンド・プレイ(Plug and Play )であるが、このプラグ・アンド・プレイを装置本体(たとえばコンピュータ)や周辺デバイスの電源を入れたままで可能としたのがホットプラグである。また、プラグ・アンド・プレイとは、周辺機器や拡張カードなどを装置本体(たとえばコンピュータなど)に接続した際に、デバイスドライバの組み込みと設定を自動的に行なう機能であり、“PnP”と略すこともある。
【0127】
この機能は、たとえばオペレーティングシステムOSが起動時に接続されている機器をチェックし、割り込み番号IRQ(Interrupt ReQuest )やI/O(入出力)アドレスなどが他のボードと競合しないように、入出力(I/O)アドレスやIRQを割り当てると同時に、対応するデバイスドライバを組み込むことで実現される。また、オペレーティングシステムOSが自分のライブラリにその機器のデバイスドライバを持っていない場合は、ユーザにデバイスドライバを求め、必要であれば装置(たとえばコンピュータ)の再起動も自動で行なう。なお、ピアツーピア接続とする場合には、伝送ラインを専用できるので、IRQの割り当ては不要である。
【0128】
ホットプラグ接続可能とすれば、装置を再起動せずに周辺デバイスのホットスワップを行なうことができ、たとえば複数のPCI−EXスロットを持つシステム構成とする場合には(本実施形態もそうである)、アップグレード作業がより簡単になる。また、PCI−EXのスイッチコンポーネントをドッキングステーション(本体内に設けてもよいし外部に取り出してもよい)内部で利用することにより、PCI−EXのポート数を増やし、システム全体の入出力コネクティビティ(Input/Output Connectivity )を高めることもできる。
【0129】
本実施形態において、PCI−EXを適用するに好ましい接続インタフェース部は、図3に太い実線で示すように、メモリブリッジ部120とI/Oブリッジ部140との間、I/Oブリッジ部140とスイッチ部150との間、スイッチ部150とアドオンボード250(たとえばLANボード152や1394ボード254)との間、I/Oブリッジ部140と画像取込部210、画像処理部220、あるいは画像記録部230との間である。
【0130】
また、I/Oブリッジ部140と図1に示した操作パネル14や操作キー16などからなるユーザインタフェース装置との間や、メモリブリッジ部120とグラフィックスドライバ部160との間に適用するのもよい。また、拡張ユニット240をコントローラ部100(たとえばI/Oブリッジ部140)に接続する場合には、この拡張ユニット240との間に関しても、PCI−EXを適用するとよい。勿論、図3に示した例は一例であって、他の接続インタフェースについてもPCI−EXを適用するとよい。
【0131】
なお、操作パネル14や操作キー16などからなるユーザインタフェース装置とI/Oブリッジ部140との間に、図中点線で示すユーザインタフェースドライバ162を配してもよい。この場合、ユーザインタフェース(U/I)ドライバ162とI/Oブリッジ部140との間およびグラフィックスドライバ部160と操作パネル14や操作キー16などのユーザインタフェース装置との間の内の少なくとも一方(一方の場合はI/Oブリッジ部140側が好ましい)を、PCI−EXにて接続してもよい。
【0132】
このように、PCI−EXを適用して画像形成装置の一例である画像出力端末7を構成することで、コンピュータアーキテクチャでいうところの、グラフィックスやノース/サウス・ブリッジ、ローカルI/O、あるいは拡張バスなどに対応する部分を、すべてPCI−EXで実装することが可能となる。
【0133】
コントローラ部100(詳しくはI/Oブリッジ部140)と、画像取込部210、画像処理部220、あるいは画像記録部230などの各デバイスの間を、PCI−EXで接続し、かつ画像取込部210などの各デバイスをホットプラグ接続対応可能なものとすれば、画像取込部210などの各デバイスを装置(詳しくはI/Oブリッジ部140)に装着することで、コントローラ部100は、自動的に各デバイスの基本情報を取得して、所用の設定をすることができる。
【0134】
なお、上述のように、双方向性を有するとともにシリアル通信方式あるいはピアツーピア方式の接続インタフェース部を適用したことで、従来から広く知られているPCI(Peripheral Component Interconnect )バス(mini−PCIやPCI−Eなども含む)など、パラレル通信方式の接続インタフェース部を適用した場合に対して、著しいメッリトが得られる。すなわち、従来のPCIバスを考慮して、そのパラレルを基本として高速化を図る場合、既存のPCIアークテクチャ(レガシーアーキテクチャ)との互換性においては有利ではあるものの、32本または64本の信号線でパラレルにデータを転送していることで、種々の制約が出てくる。
【0135】
これは、パラレルの信号線間においてデータの同期をとる必要があるが、それが困難となるからである。すなわち、パラレルバスのクロックを上げていくというアプローチにより現在のPCIバスの帯域幅を上げていくことも不可能ではないが、パラレルバスでは上げられるクロックに限界がある。また、32本または64本の信号線が必要であり、インタフェースコストがかかり、またこのパラレル状態を維持したままで装置外へボードを引き出すのは難しく、自ずとハードウェア(電気回路)レイアウトに制限ができてしまう。すなわち、従来のパラレルバスの延長線上では、デジタル複写装置や複合機などの画像形成装置の高機能化や高速化を図ろうとした場合、自由度がないので、その実現が難しい。
【0136】
これに対して、双方向性でかつシリアルやピアツーピアの接続インタフェース部を適用すれば、多数の信号線を利用するパラレルバスが持つ上述のような問題から解消され、たとえば信号線同士でのデータのずれやスキューがなく、また信号のクロストークも起こらない。このため、高速・長距離のデータ転送が可能となり、画像形成装置の高機能化や高速化を図る際の自由度が増すので、ハードウェアの面では、マザーボード・チャンネルをはじめとする電気設計の制約がなくなる。よって、ハードウェア設計上の制約から解放され、従来のパラレルバスの延長上では不可能であった高機能化や高速化を、容易かつ低コストで実現することができる。
【0137】
図4および図5は、双方向性、シリアル、およびピアツーピアの特徴を持つ接続インタフェース部の好適な一例であるPCI−EXを説明する図である。
【0138】
本実施形態が採用するPCI−EXは、パソコン内部の部品や周辺機器を接続するための新しい規格であって、CPUやメモリの速度向上のペース対応するよう、主にI/O(Input/Output)の帯域幅向上のために開発されたものである。今日、米国Compaq社,米国Dell社,米国Hewlett−Packard社,米国IBM社,米国Intel社,米国Microsoft社などを中心とするPCI−SIGが規格の策定を行なっている。
【0139】
このPCI−EXのアーキテクチャは、図4(A)に示すように、コンフィグ層(Config/OS)、ソフトウェア層(Soft/Ware)、トランザクション層(Transaction )、データリンク層(Data Link )、および物理層(Physical)、の計5つの層に分けて通信を行なうように構成されている。
【0140】
コンフィグ層やソフトウェア層は、既存のパラレル方式のPCIとの関わりでは、既存のオペレーティングシステムOSに影響を与えないように考慮されている(No OS Impact)。また将来において、データ転送やエンコーディング方式に変更があっても、物理層のみに影響され、他の層には影響がないように考えられている(Future speeds and encoding techniques only impact the PhysicalLayer)。
【0141】
また、トランザクション層において、パケットフォーマットは、32ビットメモリアドレッシングをサポートし、64ビットメモリアドレッシングにも拡張対応可能となっている。
【0142】
このPCI−EXは、物理的には、図4(B)に示すように、シリアルの接続で、それぞれのデバイスの間は1対1で接続されている。すなわち、1つのレーン(通信チャネル)のルーティングは、他のルーティングから独立している。ルート計算処理の負荷は、パラレルバスの場合と比べて緩和されている。各デバイス(機能モジュール)には、接続インタフェース部をなす送受信回路が組み込まれる。
【0143】
また、双方向性とするための送信と受信は別々のリンクを使い、符号化(エンコーディング)方式としては8b/10b方式を採用している。このため、クロックはデータ信号に埋め込まれている。それぞれのリンクは、低電圧の差動信号となり、データ転送速度の基本性能は、片方向(すなわち1リンク)が2.5Gbps(Giga bit per sec)である。すなわち、1レーン当たり1ビット幅でデータ転送速度は2.5Gビット/秒である。これをバイトに直すと、レーン当たり250MB/Secの帯域幅が実現される。PCI−EXでは、上り下り双方向にレーンが用意されるため、標準のPCI−EX(1レーン;1×)では500MB/Secの帯域幅が実現される。
【0144】
また、PCI−EXは、レーンの幅をスケーラブルに変更でき(スケーラブル可能であり)、転送能力が必要な場合には、図5(A)に示すように、ペアの信号(リンク)をたとえば2,4,8,12,16,32と束ねることができ、32リンクまで拡張可能となっている。すなわち、PCI−EXは、一本の導線でどんどんデータを送るシリアル方式を採用しつつ、送信用と受信用の導線をワンセットにして、それを何組も使うことで、さらに高速化することができる。
【0145】
たとえば、図5(B)に示すように、1×ではI/Oピンが4ピンとなっているが、2×のPCI−EXではI/Oピンが倍の8ピンとなり、帯域幅は1GB/Secとなる。同様に、3×,4×,…と増やしていき、最終的には16×(64ピン)まで上げていくことができる。16×では8GB/Secの帯域幅を実現することになる。また、32リンク束ねた場合は、リンクが1つのときと比べて32倍の速度によるデータ転送が可能となる。
【0146】
このPCI−EXを適用して画像形成装置を構成する場合、コントローラ部100と画像取込部210やその他の各デバイスとの間の接続は、必要となる転送能力に応じてリンクの数を変えるとよい。つまり、基本クロックを高くするといったことを必要とせず、リンクの数を変えるだけで、所用の転送能力を満たすことができる。
【0147】
なお、レーンあたりの帯域幅は、たとえば5〜6Gbpsに引き上げることも検討されている。この場合、8b/10bエンコードが行なわれたとすると、レーンあたり500〜600MB/Sec、1×モードでも1〜1.2GB/Secと、前例の倍以上の帯域幅が実現されることになる。
【0148】
なお、物理的な技術レベルでは、現在(従来)のパラレル方式のPCIとシリアル方式のPCI−EXとの間に繋がり(互換性)はない。しかし通信プロトコルなどは共通としており、PCI−EXは、従来(現在)のパラレル方式のPCIバスのアドレッシングモデルと互換性(ソフトウェア互換性)を持たせている(図4(A)参照)。これにより、現在のオペレーティングシステムOS、アプリケーションソフトウェア、ドライバなどをそのまま動作させることができるという利点がある。また、PCI−EXは、従来のPCIに対して、QoS(Quality of Service)やホットプラグ、ホットスワップ、パワーマネージメントなどの拡張が行なわれている。
【0149】
また、従来(現在)のパラレル方式のPCIバスでは80ピン以上のコネクタが必要なので、装置の外部にバスを出すことが困難であったが、PCI−EXではシリアル通信方式を採用したことで、コネクタが数ピンとなるので、レイアウトの自由度が向上し、容易に装置外部にバスを引き出すことができる。これにより、PCI−EXを用いると、パラレル方式のPCIバスでは実現が難しかった形状の装置なども実現することができる。
【0150】
図6および図7は、PCI−EXのように、双方向性、シリアル、およびピアツーピアの特徴を持つ接続インタフェース部を適用して画像形成装置を構成する場合におけるボードレベルのアーキテクチャ(基板レイアウト構成)例を示す図である。
【0151】
図6に示す第1例のボードアーキテクチャは、画像取込部210などの画像形成に関わるデバイス(画像形成機能部)が配されたプリント基板を備える機能モジュールを、コントローラ部100が配されたプリント基板であるマザーボードに、スロットインタイプなどオンボード型の基板コネクタを介して物理的に接続するようにしたものである。
【0152】
たとえば、CPU110、メモリブリッジ部120、メインメモリ130、I/Oブリッジ部140、スイッチ部150、およびグラフィックスドライバ部160などのコントローラ部100を構成する各回路部材をマザーボードに搭載する。そして、画像取込部210、画像処理部220、画像記録部230、LANボード252、1394ボード254、あるいはUSBボード256などのアドオンボード250を搭載した機能モジュールを、オンボードコネクタを介して装着する構成とする。この方式は、従来のパラレル方式のPCIバスにおけるボードアーキテクチャと同じである。
【0153】
一方、図7に示す第2例のボードアーキテクチャは、画像取込部210などの画像形成に関わるデバイス(画像形成機能部)が配されたプリント基板を備える機能モジュールを、コントローラ部100が配されたプリント基板であるマザーボードに、メタリックワイヤやプラスチック光ファイバPOFなどのケーブルを介して物理的に接続するようにしたものである。
【0154】
なお、この図7に示す例では、コントローラ部100の全体と画像取込部210などの画像形成に関わるデバイス(画像形成機能部)とをケーブル接続するのではなく、コントローラ部100のI/Oブリッジ部140(入出力コントローラが組み込まれている)との間でケーブル接続している。
【0155】
つまり、コントローラ部100の入出力コントローラ以外の要素が配されるマザーボード(メイン基板)とは別に、入出力コントローラ(すなわちI/Oブリッジ部140)が配されるサブ基板を設け、このサブ基板とマザーボードとをケーブル接続するとともに、サブ基板上にオンボード型の基板コネクタを介して画像取込部210などの画像形成に関わるデバイスが配されたプリント基板(モジュール基板)を物理的に接続している。I/Oブリッジ部140が配されるサブ基板をドッキングステーションとして本体外部に取り出すことも可能である。
【0156】
ケーブル接続とする場合において、回路基板を銅線などの金属線(メタリックワイヤ)で接続すると、金属線から不要信号が送出されることで、EMI(ElectroMagnetic Interference;電磁界干渉)やEMC(ElectroMagnetic Compatibility ;電磁環境適合性)の問題が生じ得る。また、信号線を延ばすことで負荷容量が増え波形鈍りが生じることも懸念される。これに対して、光伝送媒体を基板間の信号伝送インタフェースに利用することで、電磁界干渉EMIや電磁環境適合性EMCの問題あるいは波形鈍りに起因する問題を解消しつつ配線長の長距離化を実現することができる。
【0157】
上述のように、シリアル通信形式あるいはピアツーピアでかつ双方向性を有する接続インタフェース部として、PCI−EXなどの標準インタフェースを適用して画像出力端末7を構成することで、画像出力端末7を実質的に1つのコンピュータとすることができる。シリアル通信方式を採用したことで、パラレル通信方式の場合に必須であったデータの同期をとる必要がなくなり、コントローラを構成するCPUのクロックの向上に合わせて、画像形成に関わる機能部分の処理を高速化することができる。
【0158】
また、シリアル通信方式であるので、信号線数が減り、加えてデータ整合のための同期処理が不要であるから、低コストで高速化を実現することができる。また、PCI−EXのようにホットアンドプラグ接続が可能なアドオンボードを接続することで、画像形成装置の一例である画像出力端末7の機能を拡張することも容易になる。
【0159】
たとえば、画像形成に関わる機能部分が高速処理可能となるから、システムスループットの向上した画像出力端末7を実現することができる。また、コントローラ部を、パソコンのマザーボードと同様の構成にすることができるので、パソコン市場の安価な部品を流用して画像出力端末7を構成することができる。つまり、PCI−EXなどの標準インタフェースを画像出力端末7の基本アーキテクチャに採用すると、容易に入手可能なコンピュータのアクセサリや周辺機器をデジタル複写装置などにおいて簡単にかつ安価に利用することが可能となる。
【0160】
また、各機能ブロック間の接続を汎用規格(標準インタフェース)のPCI−EXとすることで、インタフェースコストの削減と配線のシンプル化、データ転送の高速化、あるいは開発工数の削減ができる。また、各機能ブロックをPCI−EXなどの標準インタフェースで接続することで、ハードウェアH/W(電気回路)レイアウトの自由度や独立性が高くなる。たとえば、画像取込部、画像処理部、あるいは画像記録部などの画像形成に関わる機能部分(デバイス)をコントローラ部が搭載されるプリント基板とは各別のプリント基板に搭載すれば、各デバイスをコントローラ部100から離れたところに分散配置することも容易である。
【0161】
たとえば、PCI−EXは、周辺機器インタフェースのためのアドオンボード250のようなホットアンドプラグ接続可能なインタフェースおよびカードが、容易に利用可能で安価なオフザシェルフ(off−the−shelf )製品とすることが可能となるので、デジタル複写装置などの画像形成装置のコストを削減可能にし、柔軟性およびスケーラビリティ(Scalability )を与える。
【0162】
また、従来の複写装置では、パソコンなどのクライアント端末へのデータ受渡しに独自回路を必要とし、また、その回路へデータを渡すためのデータ分配用基板を必要としたが、上記実施形態のように、双方向性、シリアル、およびピアツーピアの特徴を持つPCI−EXなどの標準インタフェースを利用した構成とすることで、複写装置とクライアント端末間のデータ受渡し用のインタフェースを有線LANやIEEE1394などの汎用規格とすることができ、開発工数を削減することができる。
【0163】
また、上記実施形態で示したようなアーキテクチャとすることで、複写装置などの画像形成装置が実質的に1つのコンピュータとなるので、ネットワーク化が容易となる。
【0164】
また、PCI−EXなどの、双方向性を有するとともにシリアルもしくはピアツーピアの方式を利用した接続インタフェースにて、コントローラ部と、画像取込部、画像処理部、あるいは画像記録部などの画像形成に関わる機能部分とを接続することで、画像形成装置を実質的に1つのコンピュータとし、コントローラ部にオペレーティングシステムOSや画像形成に関わる各機能部分あるいは周辺デバイスを制御するためのアプリケーションソフトウェアを組み込むようしたので、機能モジュールの汎用性、適用性の向上、拡張性の向上、あるいは資源の共有を図ることができる。
【0165】
また、これらのことから、装置の製造メーカにとっては作り易く、ユーザにとっては使い勝手のよいものとなる。たとえば、機能モジュールのバージョンアップや機能モジュールの組合せを変えることで高性能化、多機能化、あるいは高速化を図る場合に、それらの変更に応じて、コントローラ部にインストールするアプリケーションソフトウェアを変更するだけで、変更後の機能モジュールを適切に制御して使用することができる。バージョンアップをしたり機能モジュールの組合せを変えたりしても、コントローラ部に対する機能モジュールの接続構成は変わらないので、それらの変更に応じたアプリケーションソフトウェアの更新設計は容易である。
【0166】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0167】
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0168】
たとえば、上記実施形態では、コントローラ部と画像形成機能部との間の接続インタフェースとして、PCI−EXなどの標準インタフェースを用いたが、これに限らず、設計者またはユーザの要求事項を満足する、他のあらゆる双方向性かつシリアルもしくはピアツーピアの接続インタフェース部を適用してもかまわない。
【0169】
また、上記実施形態では、画像取込部210は図2に示した読取信号処理部22に対応し、画像処理部220は図2に示した前段色信号処理部40、イメージ圧縮伸張処理部50、および後段色信号処理部60に対応し、また、画像記録部230は図2に示した画像形成ユニット32に対応するものとして説明したが、画像形成に関わる機能部分である画像処理部220などは、図2に示した一部の機能要素を含むものとして取り扱ってもかまわない。
【0170】
たとえば、画像処理部220などを構成する図2に示した個別の機能要素を個別のプリント基板に搭載して、たとえばスロットインタイプの基板コネクタを介してコントローラ部100が搭載されているマザーボードに装着する構成としてもよい。この場合にも、各機能部分が搭載されているプリント基板とコントローラ部100(たとえばメモリブリッジ部120やI/Oブリッジ部140)との間は、PCI−EXなどの、双方向性を有しかつシリアルあるいはピアツーピアのインタフェースにて接続する。
【0171】
このように、画像形成装置を構成する回路を所用部分で分けて機能モジュールとして取り扱うとともに、双方向性を有しかつシリアルあるいはピアツーピアの接続インタフェースで機能モジュール間の電気信号の伝送を採ることで、所用部分の機能モジュールを変更もしくは追加するとともに、それに応じたアプリケーションソフトウェアの更新をするという簡易な手法により、高性能化、高機能化、あるいは高速化の要求に対して、柔軟に対応を採ることができる。また、従来のアーキテクチャでは考えられなかった新たな商品バリエーションに展開することも可能となる。
【0172】
また、上記実施形態では、記録媒体上に可視画像を形成する主要部であるプリントエンジンとして電子写真プロセスを利用するものに対して、本発明を適用した事例を説明したが、本発明の適用範囲は、これに限定されない。たとえば感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいはその他の同様な従来の画像形成機構を備えたエンジンにより普通紙や感熱紙上に可視画像を形成する構成の画像形成装置に本発明を適用し得る。
【0173】
また、上記実施形態では、画像形成装置として、電子写真プロセスを利用したプリントエンジンを備える複写装置あるいは複合機を例に説明したが、画像形成装置は、これに限らず、カラープリンタやファクシミリなど、記録媒体上に画像を形成するいわゆる印刷機能を有するものであればよい。
【0174】
また、画像取込部、画像処理部、および画像記録部の全てを備えている必要はなく、これらのうちの少なくとも1つを備えたものであればよい。また、これらのうちの少なくとも1つを備えている限りにおいて、その他の周辺デバイスを備えたものであってもかまわない。たとえば、スキャナなどを備えた画像取込部により取り込んだ画像を電子データとして、半導体メモリ、CD−R、あるいはCD−RWに書き込む装置としてもよい。また、デジタルカメラにて撮像した画像を記録している半導体メモリ(たとえばフラッシュメモリ)から画像を読み出して印刷出力する装置とすることもできる。
【0175】
これらのデバイス間をPCI−EXなどの双方向性を有しかつシリアルあるいはピアツーピアのインタフェースにて接続することで、メモリリーダやCDドライブなどのデバイス間で画像データを自由に伝送でき、またメモリリーダやCDドライブなどのデバイス交換が簡易になるとともに、交換した場合においても同じコントローラで制御できる。つまり、使用目的に応じて画像形成装置の構成要素を組み替えることができ、使い勝手が増し、非常に便利である。
【0176】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ピーシーアイエクスプレス(PCI−EX)などの、双方向性を有するとともにシリアルもしくはピアツーピアの方式を利用した接続インタフェース部にて、コントローラ部と、画像取込部、画像処理部、あるいは画像記録部などの画像形成に関わる機能部分とを着脱自在に接続する新規なアーキテクチャを採用したので、画像形成装置を実質的に1つのコンピュータとすることができる。
【0177】
そして、このような接続インタフェースを採用したことで、パラレル方式の場合に必須であったデータの同期をとる必要がなくなり、コントローラを構成するCPUのクロックの向上に合わせて、画像形成に関わる機能部分の処理を高速化することができる。すなわち、信号線同士でのデータのずれやスキューがなく、また信号のクロストークも起こらないので、高速・長距離のデータ転送が可能となり、パラレルバスの延長上では不可能である高機能化や多機能化あるいは高速化を容易に実現することができる。
【0178】
また、配線をシンプルにすることができ、ハードウェアレイアウトの自由度が高まり、機能ボードを本体の外部に配設することも可能となる。加えて、同期処理が不要であるから、低コストで高速化を実現することができる。よって、パソコン市場の安価な部品を流用することができ、高機能、多機能、あるいは高速処理可能な画像形成装置を、簡易に、また低コストで、実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置を備えた画像処理システムを示す概略図である。
【図2】画像出力端末における画像処理機能を示すブロック図である。
【図3】画像出力端末における回路構成のシステムアーキテクチャの一例を示す図である。
【図4】シリアル通信方式の接続インタフェース部の好適な一例であるPCI−EXを説明する図である。(その1)
【図5】シリアル通信方式の接続インタフェース部の好適な一例であるPCI−EXを説明する図である。(その2)
【図6】シリアル通信方式の接続インタフェース部を適用して画像形成装置を構成する場合のボードアーキテクチャの第1例を示す図である。
【図7】シリアル通信方式の接続インタフェース部を適用して画像形成装置を構成する場合のボードアーキテクチャの第2例を示す図である。
【図8】従来の画像形成装置を備えた画像処理システムの一構成例を示す図である。
【符号の説明】
1…画像処理システム、3…画像入力端末、7…画像出力端末(画像形成装置)、10…画像読取装置、20…スキャナ部、22…読取信号処理部、32…画像形成ユニット、40…前段色信号処理部、50…イメージ圧縮伸張処理部、60…後段色信号処理部、100…コントローラ部、110…CPU、120…メモリブリッジ部、130…メインメモリ、140…I/Oブリッジ部、150…スイッチ部、160…グラフィックスドライバ部、210…画像取込部、220…画像処理部、230…画像記録部、240…拡張ユニット、250…アドオンボード、252…LANボード、254…1394ボード、256…USBボード
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばプリンタ装置、ファクシミリ装置、複写装置、あるいはそれらの機能を複合的に有する複合機(multi−function device )など、画像を所定の記録媒体に形成する画像形成装置並びに画像形成装置に使用される機能モジュールに関する。より詳細には、画像形成装置のシステムアーキテクチャ(システム構成)に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ装置、ファクシミリ装置、複写装置、あるいはそれらの機能を複合的に有する複合機などの画像形成装置が様々な分野で使用されている。また、今日では、画像形成装置がカラー化され、ユーザの様々な表現手段として利用されるようになってきている。たとえば、電子写真プロセス(ゼログラフィ)を用いたカラーページプリンタ装置は、高品質な画質あるいは高速プリンティングの点で注目されている。
【0003】
また今日では、プリンタ装置や複写装置あるいは複合機などの画像形成装置において、画像をデジタル的に取り扱う仕組みが種々提案されている。たとえば、デジタル複写装置は、画像を走査して得たアナログ画像信号をデジタル化してデジタル画像データをメモリに記憶し、さらにそのデジタル画像データに基づいて印刷するようになっている。
【0004】
一方、印刷機能という点では、家庭内での個人ユースやオフィスでのビジネスユースといった比較的小規模(たとえば1ジョブが数枚〜数十枚程度)の印刷出力を要求されるものと、製本などの印刷業界で使用される比較的大規模(たとえば1ジョブが数千枚以上)の印刷出力を要求されるものとに大別される。前者の比較的小規模の印刷出力を要求されるものにおいては、その多くが(たとえば孔版印刷を除いて)、印刷データを受け取り版下を生成せずに印刷物を出力する。一方、後者の比較的大規模の印刷出力を要求されるものにおいては、従来は、印刷データに基づいて版下を生成し、この生成した版下を使用して印刷物を出力していた。
【0005】
ところが、今日では、DTP(DeskTop Publishing/Prepress)の普及による印刷工程の変化、いわゆる「印刷のデジタル革命」により、DTPデータから直接印刷する「ダイレクト印刷」もしくは「オンデマンド印刷」(以下オンデマンドプリンティングという)が着目されている。このオンデマンドプリンティングでは、従来の印刷(たとえばオフセット印刷)における写植などの紙焼き(印画紙)、版下、網ネガ、網ポジ、PS版などの中間成果物を生成せずに、プリプレス工程を完全にデジタル化することで電子データだけに基づいて印刷物を出力する仕組み(CTP;Computer To Print or Paper)が取られている。そして、このオンデマンドプリンティングの要求に対して、電子写真プロセスを用いた印刷機能が着目されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、今日では、画像形成処理(プリント処理)のさらなる高速化・高性能化・多機能化の要求がある。たとえば、印刷指示からプリント出力までトータルの生産性をサポートした高速フルカラープリント、たとえば、50枚以上/分のカラー印刷に対応するシステムを可能とするものの要求がある。
【0007】
従来のデジタル方式の画像形成装置における重要な目標は、設計の時点において大量のデータを処理するために必要な性能を有した最も手ごろなシステムを構築することとされていた。このような設計プロセスおよび思考プロセスの結果として、可能な限り低価格でデジタル方式の画像形成装置を生産することはできたが、そのデジタル方式の画像形成装置を簡単に変更したり、拡張したりすることは難しかった。
【0008】
たとえば、画像形成装置を構成する回路の大部分が、1つの回路基板上に収容されるようになっており、処理制御機構がほぼ1ユニットで構成されている。この構成において、高速化・高性能化・多機能化への対応をとる場合、変更がたとえ一部の回路に対するものであっても、その都度、その回路基板全体の交換や、その回路基板の設計変更(パターンレイアウトの変更)が必要となり、結果として、開発費用と開発期間を必要とするという問題がある。
【0009】
図8は、従来の画像形成装置を備えた画像処理システムの一構成例を示す図である。ここでは、画像形成装置として複写装置を例に説明する。
【0010】
複写装置は、原稿の画像を光学的に読み取ることで画像情報を取得するスキャナ部と、スキャナ部で取り込んだ画像情報に対して所定の画像処理を施す画像処理部と、画像処理部により画像処理が施された処理済画像情報に基づいて画像を所定の記録媒体(たとえば印刷用紙)上に形成する画像記録部と、スキャナ部、画像処理部、および画像記録部の各機能部分の動作を制御するコントローラ(制御部)とを備えて構成される。画像処理部における所定の画像処理としては、たとえば、画像記録部の特性に合わせた色調合わせなどの処理がある。
【0011】
ここで、従来の複写装置は、コントローラから、画像処理部などの各機能部分に対し制御用のコマンド信号を、コントロールライン(通信インタフェース)を介してそれぞれに分配して各機能部分を制御していた。コントロールラインは、たとえばシリアル通信方式を用いた装置ごとに独自のものが使用される。コントローラは、複写装置のハードウェア、とりわけ入出力系の相互接続に関して、各デバイス間を同時に流れる大量のデータを絶え間なく管理するとともに、複写装置の機能を果たすよう各デバイスを制御する。
【0012】
また、画像データは、各機能部分間で専用の一方向性のパラレルバス(バス;部品間を繋ぐデータの通り道)が使用されていた。パラレルにデータを転送する場合、信号線同士でのデータのずれや不揃い(データの不整合)が発生し、また信号線同士が電圧の影響を与え合うクロストーク現象が起きるので、高速のデータ転送に適していない。すなわち、パラレル方式では、一度にたくさんのデータを送受信できるが、タイミングを合わせてデータを送出しなければならず、送出する速度(回数)を上げるのが難しい。
【0013】
CPU(Central Processing Unit )クロックの向上に合わせてデータのずれなどを補償する回路を追加するなどの手段を講じることも考えられるが非常にコストがかかるので、パラレルバスのクロックを上げていくというアプローチには限界がある。このため、バスの速度を簡易に上げることは困難であり、また、機種ごとに専用バスが設計されることが多く設計効率も悪いという問題がある。したがって、装置のさらなる高速化・高性能化・多機能化に柔軟に応えることが難しい。
【0014】
一方、近年では、この複写装置を外部からの画像データに基づいて印刷出力する複合機として使用する要求もある。たとえば、複写装置とパソコンなどの外部の画像入力端末との間で画像データの受渡しを行なう場合である。この場合、従来の複写装置は、複写装置本体が1つの専用システムとして構成されているため、たとえば図8(A)に示すように、パソコンなどとの間で画像データの受け渡しを行なうための専用回路(たとえばビデオセレクタ)と専用インタフェースを設けなければならない。また、画像受渡しのための制御および専用回路を機種ごとに作り込む必要があり、開発には多大な開発費用と開発期間を必要とした。
【0015】
加えて、従来の複写装置における画像データの流れは、スキャナ部から画像記録部側への一方向性であるため、スキャナ系の画像データ(つまり原稿を読み取ったもの)は画像処理部で処理されるが、画像入力端末など外部からの画像データは画像処理部を経由しない。このため、予め外部で画像記録部の特性に合わせた色調合わせなどの処理を事前に処理してから、画像記録部にデータを渡さなければならず、その取り扱いが簡易でなかった。つまり、装置の高性能化・多機能化に応えるのは、必ずしも容易でなかった。
【0016】
一方、複写装置を構成する場合の新たなアプローチとして、たとえば図8(B)に示すように、パソコンなどのコンピュータシステムと同様に、PCI(Peripheral Component Interconnect )バスを使用したアーキテキチャを採用することも考えられている(たとえば特開2000−151878号参照)。
【0017】
この場合、コントローラと各機能部分との間をPCIバスで接続することになる。たとえば、図8(B)に示すように、画像処理部と画像記録部とコントローラとの間をPCIバスで接続する。必要に応じて、インタフェース部を介して、それぞれをPCIバスで接続する。また、特開2000−151878号に記載のように、プロセッサ(コントローラに相当)およびメモリシステムを主要部として、複写装置を構成する種々の機能部分を配置し、それらとプロセッサとの間をPCIバスで接続する構成もある。
【0018】
PCIバス(その変形規格であるmini−PCIやPCI−Eなども含む)を利用することで、制御コマンドや画像データをPCIバスという共通の伝送ライン上に乗せ、このPCIバスを介して双方向に伝送できるようになり、また機能モジュールの変更や追加も可能となるので、装置の高性能化や多機能化に応えるのが容易になると考えられる。
【0019】
しかしながら、PCIバスは、パラレルでデータ(制御コマンドや画像データなど)を転送するので、配線数が多くインタフェースコストが掛かる。またパソコンなどのアーキテキチャで分かるように、プロセッサ(コントローラに相当)やメモリシステムなどを搭載したマザーボード上において、PCIバスを利用する個々の機能モジュールを一箇所に集中して配置する必要があるので、レイアウトの自由度がなく、実際には、多機能化に柔軟に応えるのが難しい。
【0020】
加えて、PCIバスは、高速化の要求に応えることが難しい。前述のように、パラレルにデータを転送する場合、信号線同士でのデータのずれや不揃いが発生し、また信号線同士が電圧の影響を与え合うクロストーク現象が起きるので、高速のデータ転送に適していないからである。
【0021】
また、複数のモジュールをPCIバスに接続すると、他のモジュールと競合しないように、入出力(I/O)アドレスやIRQ(Interrupt ReQuest )を割り当てて1つのPCIバスを共用しなければならない。つまり、モジュール間を時分割でデータ転送しなければならないので、高速のデータ転送が難しくなる。
【0022】
このように、従来の画像形成装置の構成では、装置の高速化・高性能化・多機能化の要求に対して、低コストで、あるいは短期間に、あるいは柔軟に、応えるということが難しかった。
【0023】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、システムの高速化、高性能化、あるいは多機能化の要求に対して容易に対応することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。たとえば、デジタル複写装置や複合機などの画像形成装置のための、より自由度の高い新規なアーキテクチャを提供することで、インタフェースコストの削減、データ転送の高速化、あるいは開発工数の削減を可能とする画像形成装置を実現する。
【0024】
また本発明は、本発明の画像形成装置に使用される機能モジュールであって、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部を備えた機能モジュールを提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る第1の画像形成装置は、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部と画像形成機能部の動作を制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、画像形成機能部に入出力される画像データと制御部が画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せるとともに、画像データおよび制御コマンドの伝送を双方向かつシリアル通信方式で採る接続インタフェース部を備るものとした。
【0026】
また、本発明に係る第2の画像形成装置は、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部と画像形成機能部の動作を制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、画像形成機能部に入出力される画像データと制御部が画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せるとともに、画像データおよび制御コマンドの伝送を双方向かつ1対1(Peer to Peer;ピアツーピア/ポイントツーポイント;Point to Pointともいう)の接続形態で採る接続インタフェース部を備えるものとした。
【0027】
なお、本発明に係る第2の画像形成装置においては、接続インタフェース部を、第1の画像形成装置と同様に、画像データおよび制御コマンドの伝送をシリアル通信方式で採るものとするとよりよい。
【0028】
画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部を複数備えた構成とする場合には、これら複数の画像形成機能部間においても、双方向かつシリアル通信、あるいは双方向かつ1対1の接続形態とすることが好ましい。
【0029】
上記において、制御部は、一般的なコンピュータシステムと同様に、中央演算処理部(CPU)、記憶媒体、および中央演算処理部と記憶媒体の間のデータ(画像データや制御コマンド)の入出力を制御するメモリコントローラを備えているものであることが好ましい。また、制御部は、さらに、それぞれ接続インタフェース部により、メモリコントローラと接続されるとともに画像形成機能部と接続される入出力コントローラを備えているものであることが好ましい。
【0030】
また上記において、画像形成に関わる機能部分とは、画像もしくは画像データに対して何らかの処理を施す機能部分を意味する。一方の機能部分から受け取った画像データに対して何らの処理を加えることなく他方の機能部分へ転送するだけのものや、電子的にデータ保存する記録メディアに他の機能部分から受け取った画像データを記録する(書き込む、格納する)ものは、本願の画像形成に関わる機能部分には含まない。
【0031】
たとえば、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部は、原稿上に形成された画像を光学的に読み取ることで画像情報を取得する画像取込部、所定の(たとえば画像取込部で取り込んだ)画像情報画像情報に対して所定の画像処理を施す画像処理部、および所定の(たとえば画像処理部により画像処理が施された処理済の)画像情報に基づいて画像を所定の記録媒体上に形成する画像記録部のうちの少なくとも1つを含むものであればよい。
【0032】
これに対して、たとえば、通信網を介して取得した画像データを他の機能部分に転送する通信インタフェース部(通信ドライバ)や、受け取った画像データを半導体メモリやCD−R(Compact Disc−Recordable)のような追記型光ディスクあるいはCD−RW(−ReWritable )のような書き換え可能型光ディスクなどの書込み可能なメディアに記録するドライブ装置は、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部には含まない。
【0033】
従属項に記載された発明は、本発明に係る画像形成装置のさらなる有利な具体例を規定する。たとえば、本発明に係る第1および第2の画像形成装置において、画像形成機能部は、制御部が配されるプリント基板(マザーボード)とは各別に設けられたプリント基板(モジュール基板)上に配されているものであることが望ましい。この場合、画像形成機能部が配されたモジュール基板と制御部が配されたマザーボードとが、オンボード型の基板コネクタを介して物理的に接続されるものとしてもよい。あるいは、画像形成機能部が配されたモジュール基板と制御部が配されたマザーボードとが、ケーブルを介して物理的に接続されるものとしてもよい。
【0034】
また、制御部を、接続インタフェース部により、メモリコントローラと接続されるとともに画像形成機能部と接続される入出力コントローラを備えたものとするとともに、入出力コントローラを、この入出力コントローラを除く制御部を構成する他の機能分を配したプリント基板とは各別に設けられたプリント基板上に配し、さらに、画像形成機能部が配されたプリント基板と入出力コントローラが配されたプリント基板とが、オンボード型の基板コネクタを介して物理的に接続されるとともに、入出力コントローラが配されたプリント基板と入出力コントローラを除く制御部を構成する他の機能分を配したプリント基板とが、ケーブルを介して物理的に接続されるものとしてもよい。
【0035】
要するに、制御部の入出力コントローラ以外の要素が配されるマザーボード(メイン基板)とは別に、入出力コントローラが配されるサブ基板を設け、このサブ基板とマザーボードとをケーブル接続するとともに、サブ基板上にオンボード型の基板コネクタを介して画像形成機能部が配されたプリント基板(モジュール基板)を物理的に接続するということである。
【0036】
なお、ケーブル接続とする場合、プリント基板間の電気信号の伝送をメタリックワイヤ(たとえば銅線)を利用して採ってもよいし、プラスチック光ファイバPOF(Plastic Optical Fiber )やシート状の光伝送バス(以下光シートバスという)などの光伝送媒体を用いて採ってもよい。
【0037】
本発明に係る第1および第2の画像形成装置においては、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部だけでなく、それ以外の機能部分である周辺デバイス(前述の通信ドライバや記録メディア用のドライブ装置など)を含む構成としてもよい。
【0038】
この場合、周辺デバイスとの間のインタフェース機能をなす入出力インタフェースドライバを備えた構成とするとともに、この入出力インタフェースドライバと制御部とが接続インタフェース部により接続するようにするとよい。また、入出力インタフェースドライバと制御部との間に周辺デバイスとの間の通信インタフェースを切り替える切替部を配設し(介在させ)、この切替部と制御部との間あるいは切替部と入出力インタフェース部との間のうちの少なくとも一方について、前述の接続インタフェース部により接続する構成としてもよい。
【0039】
切替部を配設する場合、制御部を、接続インタフェース部によりメモリコントローラと接続されるとともに画像形成機能部と接続される入出力コントローラを備えた構成とするとともに、切替部と入出力コントローラとの間を前述の接続インタフェース部により接続されるものとするとよい。
【0040】
また、本発明に係る第1および第2の画像形成装置においては、制御部を、所定のユーザインタフェース装置との間で接続インタフェース部により接続されるユーザインタフェースドライバを備えたものとすることが望ましい。たとえば画像を提示するCRTや液晶などのモニタ(表示デバイス)をユーザインタフェース装置として使用する場合には、グラフィックスドライバを設ける。また、ユーザの指定する情報を取り込むキーボードやマウスなどの入力デバイスをユーザインタフェース装置として使用する場合には、キーボードドライバやマウスドライバを設ける。なお、それぞれのドライバは、ハードウェア的に構成されるもの、およびソフトウェア的に構成されるものの、何れであってもかまわない。
【0041】
本発明に係る第1および第2の画像形成装置において、接続インタフェース部は、ホットプラグ(Hot−Plug)接続可能、すなわち活性挿脱可能なものであることが好ましい。
【0042】
また、この接続インタフェース部は、シリアル通信方式によるインタフェースを複数纏めることで帯域幅を切替可能(スケーラブル可能ともいう)であることが望ましい。
【0043】
また、この接続インタフェース部は、ある一定の規格を満足する標準インタフェース、たとえばピーシーアイエクスプレス(PCI Express(商標))であることが望ましい。
【0044】
また、本発明に係る第1および第2の画像形成装置において、制御部には、オペレーティングシステムと、画像形成機能部を制御するためのアプリケーションソフトウェアが組み込まれることが望ましい。なお、ソフトウェアは、コンピュータ読取り可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよいし、有線あるいは無線による通信手段を介して配信されてもよい。
【0045】
本発明に係る第1の機能モジュール(モジュール基板や機能ユニット)は、画像を所定の記録媒体に形成する画像形成装置に使用される機能モジュールであって、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部と、画像形成機能部に入出力される画像データと画像形成装置に搭載されている制御部が画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せるとともに、画像データおよび制御コマンドの伝送を双方向かつシリアル通信方式で採る接続インタフェース部とを備えるものとした。
【0046】
また、本発明に係る第2の機能モジュールは、画像を所定の記録媒体に形成する画像形成装置に使用される機能モジュールであって、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部と、画像形成機能部に入出力される画像データと画像形成装置に搭載されている制御部が画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せるとともに、画像データおよび制御コマンドの伝送を双方向かつ1対1(ピアツーピア)の接続形態で採る接続インタフェース部とを備えるものとした。
【0047】
なお、本発明に係る第2の機能モジュールにおいては、接続インタフェース部を、第1の機能モジュールと同様に、画像データおよび制御コマンドの伝送をシリアル通信方式で採るものとするとよりよい。
【0048】
また第1および第2の機能モジュールにおいて、画像形成に関わる機能部分の意味は、画像形成装置の場合と同様である。よって、たとえば、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部は、原稿上に形成された画像を光学的に読み取ることで画像情報を取得する画像取込部、所定の(たとえば画像取込部で取り込んだ)画像情報に対して所定の画像処理を施す画像処理部、および所定の(たとえば画像処理部により画像処理が施された処理済の)画像情報に基づいて画像を所定の記録媒体上に形成する画像記録部のうちの何れかであることが望ましい。
【0049】
【作用】
上記構成においては、画像形成機能部と制御部との間で伝送インタフェースを採るに際して、先ず、画像データと制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せることとした。そして、これら画像データおよび制御コマンドの伝送を双方向かつシリアル通信方式で採る、および/または双方向かつピアツーピア接続形態で採る、接続インタフェース部を設けた。
【0050】
双方向性の通信方式で接続インタフェースを採り、画像データを複数の画像形成機能部の間で自由にハンドリングすることを可能とすることで、高性能化や多機能化の要求に応える。
【0051】
また、シリアル通信方式とすることで、信号線同士でのデータのずれや不ぞろい、あるいはクロストーク現象を防止する。また、ピアツーピア接続とすることで、機能部間(複数の画像形成機能部の相互間や、それらと制御部との間)あるいはボード間でのデータ転送を専用化する。何れも、高性能化や高速化の要求に応えるものである。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0053】
図1は、本発明に係る画像形成装置を備えた画像処理システムを示す概略図である。この画像処理システム1は、画像入力端末3および画像出力端末7を備える。
【0054】
画像入力端末3は、デジタルドキュメント(以下単にドキュメントという)DOCを作成したり編集などの処理をする、たとえばパソコン(パーソナルコンピュータ)3a、カラースキャナ3b、デジタルカメラ3c、またはハードディスク装置や光磁気ディスク装置あるいは光ディスク装置などのデータ格納装置3d、さらにはFAX装置3eなど、任意数の画像入力ソースを含み得る。画像入力端末3は、これらに限らず、たとえば、図示しない通信網を介して画像を電子データとして取得する通信機能を備えた端末装置であってもよい。これらの各端末装置には、ドキュメントDOC作成用のアプリケーションプログラムなどが組み込まれる。画像入力端末3は、ドキュメントDOCを、画像形成装置1の一部を構成する画像出力端末7に入力する。
【0055】
画像出力端末7は、本発明に係る画像形成装置の一例であって、たとえば複写装置機能、ページプリンタ機能、およびファクシミリ送受信機能を備えたいわゆる複合機(マルチファンクション機)で、デジタルプリント装置として構成されている。
【0056】
画像入力端末3側にて用意されるドキュメントDOCを表す電子データは、画像出力端末7で処理可能な画像フォーマット(たとえば、JPEG、BMP、PNGなど)で記述される。またたとえば、パソコン3aで作成された文書ファイルは、たとえばプリンタなどで印刷出力するために、図形、文字などの拡大、回転、変形などが自由に制御できるページ記述言語(PDL:Page Description Language )で記載されたデータとして画像出力端末7に送られる。
【0057】
PDLで作成されているデータ(PDLデータ)は、ページ内の任意位置の画像、図形、文字を表現する描画命令およびデータを任意の順で配置した命令およびデータ列で構成されている。このPDLデータを受け取った画像出力端末7は、印字前に出力単位ごと(1ページごと)に画像データをレンダリング(描画展開)してからプリンタエンジン部にそのラスタデータを出力する。
【0058】
画像出力端末7は、大まかに、画像読取装置10、画像形成装置30、および給紙装置80から構成されている。また画像出力端末7は、接続ケーブル90を介してネットワークに接続可能になっている。たとえば、接続ケーブル90は、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)型LAN(Local Area Network;たとえばIEEE802.3)やギガビット(Giga Bit)ベースのLAN(以下纏めて有線LAN8という)によりパソコン3aなどの画像入力端末3に接続される。
【0059】
あるいは一般加入電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network)9を介してFAX装置3eなどの画像入力端末3に接続される。なお、一般加入電話網PSTNに代えて、ISDN(Integrated Switched Digital Network )またはインターネットを含む他の通信媒体を利用してファクシミリをやり取りするようにしてもよい。
【0060】
また、画像出力端末7は、たとえばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc. ;米国電気電子学会)1394規格のデバイス3fやUSB(Universal Serial Bus)2.0規格のデバイス3gなどとも接続可能となっており、これらのデバイス3f,3gからデジタル画像データを受け付けることもできる。あるいは、これらデバイス3f,3gを介してリモートで画像出力端末7を制御することもできるようになっている。
【0061】
画像読取装置10は、原稿を図示しない読取台(プラテンガラス)上の読取位置まで搬送し排紙するドキュメントフィーダ12と、表示機能も備えた操作パネル(ユーザインタフェース)14と、装置に対する種々の設定をする操作キー16とを含む。
【0062】
操作パネル14には、印刷枚数や用紙サイズなどの装置の使用条件が表示されるようになっており、ユーザはその表示を見ながら操作キー16により使用条件を変更することができる。好ましい条件が操作パネル14や操作キー16で入力された後、操作キー16のスタートキー(図示せず)が押下されると、ドキュメントフィーダ12は、原稿を画像読取装置10上の予め定められた読取位置へ原稿をフィードし、その原稿が読み取られた後に読取位置からその原稿をドキュメントフィーダ12の所定位置まで移動させる。
【0063】
なお、操作パネル14や操作キー16に代えて、あるいはこれらとともに使用される大型ユーザインタフェースあるいはメンテナンス画面を備えたユーザインタフェース装置15を設けてもよい。
【0064】
画像読取装置10は、画像入力端末の機能を備えており、たとえばCCD固体撮像素子の全幅アレイを使用して、読取位置へ送られた原稿に光を照射することで、原稿上の画像を読み取り、この読み取った画像を表すアナログビデオ信号をデジタル信号へ変換し、画像形成装置30へ送る。
【0065】
画像形成装置30は、画像形成ユニット32と、両面複写ユニット34と、排紙ユニット36と、1枚もしくは複数枚(図は複数枚で例示)の処理基板38とを含む。画像形成ユニット32は、画像読取装置10にて得られた画像信号により表される画像を、電子写真式、感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいは同様な従来の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙上に可視画像を形成する(印刷する)すなわち複写する。このため、画像形成ユニット32は、たとえば画像処理システム1をデジタル印刷システムとして稼働させるためのラスタ出力スキャン(ROS)ベースのプリントエンジンを備える。
【0066】
両面複写ユニット34は、たとえば、用紙を即時に、あるいは一方の面に画像が形成されスタックされた複数の用紙を底の用紙から上部の用紙の順に連続的に、画像形成ユニット32側に再給紙するように構成される。
【0067】
処理基板38には、画像形成装置30用の処理部(特に画像処理部)だけでなく、画像出力端末7全体の種々の処理をするための回路が搭載される。たとえば、画像出力端末7内に構築された資源であるドキュメントフィーダ12、操作パネル14、図示しない画像読取ユニット、画像形成ユニット32、両面複写ユニット34、排紙ユニット36、あるいは給紙トレイ82など制御する回路が搭載される。
【0068】
この処理基板38には、半導体製の記憶媒体が搭載され、たとえば、複写アプリケーション、プリンタアプリケーション、ファクシミリ(FAX)アプリケーション、あるいは他のアプリケーション用の処理プログラムが格納される。
【0069】
給紙装置80は、給紙トレイ82を含む。図示した例では、A4,B4,A3の3種類の用紙サイズに対応した3つの給紙トレイ82が用意されている。
【0070】
用紙が複数の給紙トレイ82の内の何れかから画像形成装置30へ給紙されると、画像形成装置30の画像形成ユニット32は、その用紙の一方の面に画像を形成する。両面複写ユニット34は、一方の面に画像が形成された用紙を裏返し、再び画像形成ユニット32にその用紙を給紙するように構成されている。これにより、画像が用紙の他方の面に形成され、両面複写が完了される。
【0071】
画像形成ユニット32から排出される用紙、あるいは両面複写済み用紙は、排紙ユニット36により、ページ順に連続的に、あるいは1ページごとにソートされる。
【0072】
なお、画像出力端末7は、画像読取装置10にて読み取った画像の印刷機能すなわち複写装置能に限らず、LAN8および接続ケーブル90を介してパソコン3aなどの画像入力端末3から取得した文書データや画像ファイルなどに基づいて画像を印刷するいわゆるプリント機能や、電話回線9および接続ケーブル90を介して受信したFAXデータに基づいて印刷出力するFAX機能も備える。
【0073】
図2は、画像出力端末7における画像処理機能を示すブロック図である。画像読取装置10は、スキャナ部20と読取信号処理部22とを有する。
【0074】
スキャナ部20は、読取台上に載置された原稿を読み取って得た入力画像を赤R、緑G、青Bの各色成分のデジタル画像データに変換する。たとえばハロゲンランプを有する光源からの光が読取台上に載置された原稿を照射し、反対光が光学系を介して赤、緑、青の各色に分光される。そして各色光が、各色光用に分けられた、たとえばCCD(電荷転送型の固体撮像素子)からなるラインセンサ(イメージセンサ)に入射し、入力画像が所定解像度で読み取られることによって、赤、緑、青の各色成分のアナログの画像信号が得られ、読取信号処理部22に送られる。
【0075】
読取信号処理部22は、たとえばシェーディング補正部24や入力階調補正部26を有する。なお、読取信号処理部22は、これらの他に、たとえば図示しない増幅部やA/D変換部などを有する。
【0076】
この読取信号処理部22においては、図示しない増幅部がラインセンサからの赤、緑、青のアナログの各画像信号を所定のレベルまで増幅し、さらに図示しないA/D変換回路がアナログの各画像信号をデジタル画像データに変換する。そして、シェーディング補正部24は、A/D変換回路から出力されたデジタル画像データに対し、ラインセンサの画素感度バラツキの補正や、光学系の光量分布特性に対応したシェーディング補正を施す。入力階調補正部26は、シェーディング補正されたデジタル画像データに対して階調特性を調整し、処理済の画像データを、画像形成装置30の前段色信号処理部40に入力する。
【0077】
画像形成装置30は、プリント出力信号処理系統として、前段色信号処理部40と、イメージ圧縮伸張処理部(イメージ圧縮伸長プロセッサ)50と、後段色信号処理部60と、画像形成ユニット32の主要部であるプリントエンジン70とを有する。前段色信号処理部40と、イメージ圧縮伸張処理部50と、後段色信号処理部60とが処理基板38(図1参照)上に電気回路として構成される。
【0078】
前段色信号処理部40は、たとえば入力色変換部42、画像受取部の一例である外部インタフェース部43、画像情報領域分離部44、出力色変換部46、および下色除去部48を有する。
【0079】
この前段色信号処理部40においては、先ず画像読取装置10の読取信号処理部22からの赤、緑、青のデジタル画像データ(色信号)を一旦図示しないページメモリに記憶する。そして、画像形成ユニット32にて使用する色材の分光特性に対する色補正処理(これを特に前段階の色補正処理という)を施すことで、色濁りを防止する。
【0080】
入力色変換部42は、デジタル画像データを、外部機器との色情報交換に適した色信号、たとえば均等色空間の明度信号L*並びに彩度および色相を表す色度信号a*,b*(以下纏めてLab信号ともいう)に変換する。
【0081】
画像出力端末7をプリンタとして使う場合には、外部インタフェース部43は、画像入力端末3側にて用意されたドキュメントDOCを表すPDLデータを、出力単位ごと(1ページごと)にLab信号でレンダリング(描画展開)する。同様に、画像出力端末7をカラーFAX装置として使用する場合には、外部インタフェース部43は、FAX装置3eからFAXデータを受信し、FAX画像をLab信号にてラスタライズする。次いで、このLab信号に基づいて、たとえば画像情報領域分離部44は画像領域(絵文字)分離処理を施し、編集処理部45は色編集処理やモアレを除去したり中間調データを平滑化する平滑化処理あるいは画像拡大や画像縮小などの画像編集処理を施す。
【0082】
その後、出力色変換部46は、Lab信号を、減法混色用に適した色信号に変換する。たとえば、出力色変換部46は、Lab信号で表されるLab表色系から、最低3つ(好ましくは4つ)、たとえばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、およびシアン(C)の各色信号で表されるYMC表色系、あるいはこれにブラック(K)を加えたCMYK表色系へのマッピング処理をし、プリント出力用に色分解されたラスタデータを生成する。
【0083】
また、下色除去部48は、このようなラスタデータ化の処理に際して、カラー画像のCMY成分を減色するアンダーカラー除去処理(UCR;Under Color Removal )をする。なお、下色除去部48は、さらに減色されたCMY成分を部分的にK成分と交換するグレー成分交換(墨生成)処理(GCR;Gray ComponentReplacement)をする。また、下色除去部48は、入力画像の下地濃度に応じて、YMCKの各色の画像データのうちの所定の下地濃度以下の画像データをカット(無効化)する下地除去処理を施す。なお、このグレー成分交換処理を含めてアンダーカラー除去処理ということもある。
【0084】
そして、これら一連の処理(前段色信号処理)が施されたデジタル画像データは、イメージ圧縮伸張処理部50に入力される。
【0085】
イメージ圧縮伸張処理部50は、印刷イメージをたとえばJPEGなどの圧縮画像フォーマットで圧縮し、不揮発性の記憶媒体の一例であるハードディスク装置(HDD;Hard Disc Device)54に一時的に格納(圧縮保存)したり、圧縮保存された印刷イメージを伸長するために使用する。このため、イメージ圧縮伸張処理部50は、たとえば、符号化部52および復号化部56を備える。
【0086】
符号化部52は、図示しないパラメータ設定部により設定された符号化パラメータを用い、たとえばDCT(Discrete Cosine Transform )などの直行変換符号化やベクトル量子化などの方法により符号化して非可逆圧縮して符号化画像データ(符号化色信号)を生成する。符号化部52により非可逆圧縮されたY,M,C,Kの各色の符号化画像データは、画像格納部の一例であるハードディスク装置54に略同時に書き込まれる。
【0087】
次いで、プリントエンジン70の図示しない先端検出器からの先端検出信号(副走査方向の印字始点を示す信号)に同期して、ハードディスク装置54からY,M,C,Kの各色の符号化画像データが順次一定間隔をおいて読み出され復号化部56に入力される。復号化部56は、このY,M,C,Kの各色の符号化画像データを、図示しないパラメータ設定部により設定された符号化パラメータを用い、符号化部52における符号化に対応する復号化をして、元の画像データ(復号化色信号)に戻す。
【0088】
後段色信号処理部60は、イメージ圧縮伸張処理部50からのデジタル画像データに対して印刷出力用の色補正処理を施し(これを特に後段の色補正処理という)、この色補正処理が施されたデジタル画像データに基づいて、印刷用の2値化データを生成し画像形成ユニット32に渡す。このため、後段色信号処理部60は、画像編集部62、MTF補正部64、出力階調補正部66、および中間調生成部68を有する。
【0089】
画像編集部62は、イメージ圧縮伸張処理部50からのデジタル画像データ(CMYKなど)に応答して作成される出力画像のトナー像を調整するために、色分解の直線化または同様の処理をする。また、画像編集部62は、エッジ強調用空間フィルタを用いて、復号化部56から順次一定間隔をおいて読み出されたY,M,C,Kの各色の復号化画像データを、エッジ強調処理することで、画像のシャープネスを調整する。
【0090】
MTF補正部64は、画像の空間周波数特性を補正する。出力階調補正部66は、エッジ強調およびMTF補正されたY,M,C,Kの各色のデジタル画像データを、たとえばルックアップテーブルを参照しガンマ補正する。また、出力階調補正部66は、プリント出力信号処理系統の内部の特性値である濃度あるいは明度を表す各色の画像データY,M,C,Kを、プリントエンジン70の特性値の面積率に応じて、色補正処理(TRC処理;Tone Reproduction Correction)する。
【0091】
中間調生成部68は、前述の各処理が施されたデジタル画像データに基づいて、ハーフトーニング処理をして疑似中間調画像を表す2値化データを得、この2値化データを画像形成ユニット32に渡す。なお、この中間調生成部68は、画像形成ユニット32に組み込まれることもある。この場合、外部入力系統の画像データが、前段色信号処理部40、イメージ圧縮伸張処理部50、および後段色信号処理部60を介さずに、図示しないビデオセレクタなどを介してプリントエンジン70すなわち画像形成ユニットに入力される構成となる。この場合、従来であれば、予め外部で画像形成ユニット32(詳しくはプリントエンジン70)の特性に合わせた色調合わせなどの処理を事前に処理してから、画像形成ユニット32に画像データを渡さなければならなかった。
【0092】
画像形成ユニット32は、その主要部であるプリントエンジン70と、このプリントエンジン70の主にメカニカルな動作を制御するためのIOTコントローラ72とを有する。
【0093】
画像形成ユニット32の主要部であるプリントエンジン70は、たとえば電子写真プロセスを利用するものであるのがよい。電子写真プロセスを利用するものの場合、プリントエンジン70は、光走査装置を備える。たとえばプリントエンジン70は、光ビームを発するレーザ光源74と、後段色信号処理部60から出力された印刷用の2値化データに従ってレーザ光源74を制御すなわち変調するレーザ駆動部76と、レーザ光源74から発せられた光ビームを感光性部材(たとえば感光体ドラム)79に向けて反射させるポリゴンミラー(回転多面鏡)78とを有する。
【0094】
この構成により、プリントエンジン70は、レーザ光源74が発生する光ビームをポリゴンミラー78上の複数の面で反射させて感光性部材79を露光し、スキャン走査によって感光性部材79上に潜像を形成する。潜像が形成されると、当該技術分野で公知の多数の方法のうち任意の方法に従って像を現像し、さらに所定の印刷媒体に転写してカラー画像を可視像として出力する。
【0095】
得られた印刷物は、図示しない定着器により定着され、印刷用紙は両面複写のために両面複写ユニット34(図1参照)により裏返されるか、または直ぐに排紙ユニット36(図1参照)へ引き渡され排紙される。
【0096】
なお、プリントエンジン70は、前述のように、電子写真方式のものに限らず、たとえば感熱式プリンタやインクジェットプリンタまたは粒子線写真プリンタなどで実施することもできる。
【0097】
図3は、図1に示した画像出力端末7における回路構成のシステムアーキテクチャの一例を示す図である。なお、図示する画像出力端末7は、デジタル複写装置や複合機として利用する場合の形態を示している。
【0098】
画像出力端末7の処理基板38(1枚とは限らない)上には、先ず本発明に係る制御部の一例であるコントローラ部100が配されている。コントローラ部100は、中央演算処理部の一例であるCPU(プロセッサ)110、メモリブリッジ部(Memory Bridge )120、および電源供給時にのみ記憶内容を保持する揮発性の記憶媒体の一例であるメインメモリ(主記憶部)130を備える。
【0099】
なお、図示しないが、コントローラ部100には、オペレーティングシステムOSや、後述する画像形成に関わる各機能部分あるいは周辺デバイスを制御するためのアプリケーションソフトウェアが組み込まれる不揮発性の記憶媒体(ROM)が設けられる。
【0100】
CPU110は、画像出力端末7全体の動作制御およびデータ処理を実行するメインコントローラであり、オペレーティングシステムOSの制御下で、各種プログラムを実行するようになっている。
【0101】
メインメモリ130は、CPU110が実行するプログラムをロードしたり、作業領域として使用するためのRAM(random access memory)などの揮発性の半導体メモリである。メインメモリ130内にプログラムコードやデータが収まりきらなくなった場合には、仮想メモリシステムとファイルシステムとの協調動作によって、ハードディスク装置(HDD)54などの補助記憶装置との間で入れ替え(スワッピング)が行なわれるようになっている。
【0102】
メモリブリッジ部120には、CPU110と協働してCPU110とメインメモリ130との間のデータの入出力を制御するメモリコントローラが組み込まれている。そして、メインメモリ130は、メモリブリッジ部120を介してCPU110と接続されるようになっている。CPU110とメインメモリ130との間は、DMA(Direct memory Access )オペレーションにより、たとえば32バイトのブロック単位でデータが転送される。
【0103】
たとえば、メインメモリ130として、“RDRAM;Rambus Dynamic RAM”や“DDR SDRAM;Double Data Rate Synchronous DRAM ”を使用し、またメモリのバス帯域幅も広げることで、データ転送速度を向上させる。なお、このDMA転送のサイズは、32バイトに限らず、32バイトより大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0104】
また、コントローラ部100は、I/Oブリッジ部(Input/Output Bridge )140、および周辺デバイスとの間の通信インタフェースを切り替える切替部の一例であるスイッチ部(Switch)150を備える。I/Oブリッジ部140には、CPU110と協働して機能するI/O(入出力)コントローラが組み込まれる。スイッチ部150には、周辺のデバイスとの間のインタフェースを採る入出力インタフェースドライバが組み込まれた種々のアドオンボード(ドライバ基板)250が追加接続(アドオン)されるようになっている。
【0105】
たとえば、ギガビット(Giga Bit)ベースのLAN8(図1参照)との間のインタフェースを採るLANボード252、IEEE1394規格のデバイス3f(図1参照)との間のインタフェースを採る1394ボード254が、スイッチ部150に接続可能となっている。スイッチ部150に組み込まれる入出力インタフェースドライバは、周辺デバイスとの間に介在する個々のアドオンボード250(LANボード252や1394ボード254など)との間で、1対1(Peer to Peer)で接続するように構成される。
【0106】
なお、I/Oブリッジ部140は、スイッチ部150を経由することなく、USB(Universal Serial Bus)2.0規格のデバイス3gとの間のインタフェースを採るUSBボード256が、直接に接続されるようになっている。LANボード252や1394ボード254についても、スイッチ部150を経由することなく接続してもかまわない。この場合、I/Oブリッジ部140に、LANボード252などとの間でのピアツーピア接続の仕組みを設ける。
【0107】
また、コントローラ部100は、処理基板38上には配されていないが、ハードディスク装置54を備える(図2参照)。このハードディスク装置54は、ハードディスクインタフェースの一例である“Serial ATA”規格によりI/Oブリッジ部140と接続される。
【0108】
なお、“Serial ATA”規格は、従来のパラレルATAインタフェースが将来的に限界に達するであろうことを受けて策定された新たな高速バス規格である。パフォーマンスを上げにくくなっている問題やノイズの問題、パラレルバスの複雑な回路設計、5Vの供給電源がそぐわなくなってきていることなどが理由として挙げられている。これを受けて、現在のパラレルATA バス(たとえば“ATA−2 ”,“ATA−3 ”,“ATA−4/ATAPI−4 (UltraATA)”,“ATA−5 ”など)とドライバソフトウェアを完全に互換としたまま、シンプルなシリアルインタフェースを採用し、コネクタ形状を小さくしたり、供給電圧を下げるなどの対策を取り入れている。ソフトウェア互換であるため、オペレーティングシステムOSなどについては、基本的には従来のPCIからPCI−EX対応へのアップデートが不要である。
【0109】
なお、本実施形態において“Serial ATA”規格は、基本である“Serial ATA 1.0”の規格の上位規格である“Serial ATA II ”あるいは今後規格化されるであろうさらなる上位規格をも含む。
【0110】
I/Oブリッジ部140は、図1に示した操作パネル14や操作キー16などからなるユーザインタフェース装置と直接に接続されるようになっている。なお、コントローラ部100には、図中点線で示すように、ユーザインタフェースドライバの一例であるグラフィックスドライバ部(Graphics)160をオプションとして設けてもよい。この場合、図1に示した大型ユーザインタフェースあるいはメンテナンス画面を備えたユーザインタフェース装置15が、このグラフィックスドライバ部160を介してメモリブリッジ部120に接続される。
【0111】
また、I/Oブリッジ部140は、複合機などとして機能する画像出力端末7を構成する機能部分として、図示しないスキャナ装置により画像を光学的に走査することでデジタル画像データを得る画像取込部(Image Input Terminal)210と、画像取込部210により取得したデジタル画像データあるいはLAN(Local Area Network)や他の周辺デバイスから得たデジタル画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理部(Image Processing System )220、並びに画像処理部220により所定の画像処理が施されたデジタル画像データに基づいて、所定の記録媒体に画像を形成する画像記録部(Image Output Terminal )230と接続される。この接続間の電気信号伝送ライン上に、画像取込部210などの画像形成機能部に入出力される画像データとコントローラ部100がこれら画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとが、共通に乗せられる。
【0112】
なお、フラッシュメモリなどの半導体メモリを読み取り対象とする記録メディア読取部(メモリリーダ)、CD−RやCD−RWなどを記録媒体とする記録メディア書込部、あるいは他の画像記録部などを拡張ユニット240としてI/Oブリッジ部140と接続してもかまわない。
【0113】
画像取込部210は、図2に示した読取信号処理部22に対応し、画像処理部220は、図2に示した前段色信号処理部40、イメージ圧縮伸張処理部50、および後段色信号処理部60に対応する。また、画像記録部230は、図2に示した 画像形成ユニット32に対応する。
【0114】
画像取込部210、画像処理部220、あるいは画像記録部230などの画像形成に関わる機能部分(デバイス)の電気回路は、コントローラ部100の電気回路が搭載されるプリント基板(マザーボード)とは各別のプリント基板(モジュール基板)に、マザーボードに対して着脱自在に搭載されている。そして、これら各デバイスの電気回路を搭載したモジュール基板は、コントローラ部100の電気回路が搭載されているマザーボードから離れたところに、物理的にはケーブルを介して接続されて、分散配置される。あるいは、オンボード型の基板コネクタを介して、モジュール基板がマザーボード上に装着接続される構成としてもよい。ケーブル接続とする場合、プリント基板間の電気信号の伝送を、メタリックワイヤ(たとえば銅線)やプラスチック光ファイバPOFなどの光伝送媒体を用いて採る。
【0115】
なお、画像取込部210、画像処理部220、あるいは画像記録部230などの、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部は、前述のように、画像形成装置を構成するために使用されるボードレベルのもの(モジュール基板)として提供されてもよいし、このモジュール基板を筐体内に収容した機能ユニットとして提供されてもよい。本明細書においては、このモジュール基板と機能ユニットとを纏めて、機能モジュールという。
【0116】
コントローラ部100における各機能部分を接続する接続インタフェースとしては、主に、双方向性でかつシリアル通信方式(Serial Interface)あるいはピアツーピアを採用した標準インタフェースが使用される。ここで、標準インタフェースは、IEEEやJIS(日本工業規格)などの非商業的組織または政府組織(公的な規格団体)によって認められた正当な(法律上の)技術的ガイドライン(de jure technical guideline )に従った、ハードウェア開発またはソフトウェア開発の領域において均一性を確立するために使用される公的なインタフェースであるのがよい。
【0117】
また、このような公的なインタフェースに限らず、民間団体や単一の会社にて取り纏められた私的な標準インタフェース、いわゆる業界標準インタフェース(工業標準インタフェース)であってもかまわない。何れにしても、標準インタフェースは、ある一定の規格を満足する接続インタフェースであればよい。
【0118】
たとえば、ある会社によって製品または理念が開発され、成功と模倣を通じて標準からの逸脱が互換性の問題を引き起こすか、または市場性を制限する程広く使用されるようになる場合に生じるハードウェア開発またはソフトウェア開発に関する事実上の(de facto)技術的ガイドライン(非公式な規格)が、本実施形態の標準インタフェースとして採用されてもよい。
【0119】
本実施形態において、標準インタフェースは、具体的には、PCI規格の一例である“PCI Express(商標)”(ピーシーアイエクスプレス;以下PCI−EXという)であることが好ましい。ここで「PCI−EX」とは、米国のIntel (インテル)社が提唱し、今日、PCI小研究グループ(PCI−SIG/SIG;Special Interest Group ;PCIの普及に向けて集まった企業による非営利団体)が仕様策定を進めているもので、当初は“3GIO(3rd Generation I/Oの略)”と称されていたシリアル転送インタフェースである。
【0120】
なお、シリアルインタフェース(Serial Interface)は、単一の信号線を用いて1ビットずつ順次データを送る伝送インタフェースである。このシリアルインタフェースの通信方式としては、多くのパソコンや携帯情報端末あるいは周辺機器で採用されているものとして、たとえばRS−232C,RS−422,IrDA,USB,IEEE1394,ファイバ・チャネルなどがあるが、PCI−EXは、これらよりも通信速度が格段に高速である。
【0121】
画像形成装置の一例である画像出力端末7において、コントローラ部100は、複写機能や印刷機能などのハードウェア部分、たとえば画像取込部210、画像処理部220、あるいは画像記録部230といった各デバイス間の画像データの入出力系の相互接続に関して、各デバイス間を同時に流れる大量のデータを絶え間なく管理するとともに、複写装置などの機能を果たすよう、各デバイスを制御しなければならない。
【0122】
高速処理が要求される場合、そのマシンサイクルを高めなければならない。この場合、CPU110やメインメモリ130などの高速化、大量の計算を必要とするアプリケーション、コネクティビティ(接続性)の向上などに適応するには、画像データや制御コマンドなどの種々のデータの流れの速度(内部バンド幅)も高速化していく必要がある。従来技術で述べたように、この高速化対応は、パラレルバスを用いた場合、難しかった。
【0123】
これに対して、シリアルインタフェースは、複数の信号線を利用するパラレルインタフェースに比べ、配線数が減りインタフェースコストを低減することができ、また信号線同士でのデータのずれや不ぞろい(スキュー)がなく、また信号線同士が電圧の影響を与え合うクロストーク現象も起こらない。また、ピアツーピア接続とすることで、伝送ラインを、時分割ではなく専用してデータ転送することができる。このため、シリアルインタフェースやピアツーピア接続は高速かつ長距離のデータ転送に適しており、画像データや制御コマンドなどの種々のデータの流れの速度を高速化していくことが、低コストかつ簡易に実現できるようになる。
【0124】
なお、本明細書において、PCI−EXの定義は、本明細書の作成時点にPCI−SIGで検討されているPCI−EX規格案(2002年7月23日に第1次規格案がグループメンバーに配布済み)を含んでおり、また、後に正式承認されるPCI−EXやその改訂版、あるいはさらにその後に拡張規格や上位規格として承認されるであろうものをも含んでいる。また、PCI−EX互換カードまたはインタフェースに対応する何れのバスも、PCI−EXとみなし得る。
【0125】
現在の規格案としては、たとえば、最大通信速度は2.5Gbps(現在のPCIは1.06Gbps)である。ただし、束ねての利用が可能(スケーラブル可能)なため、PCI−EXを2本(2レーンという)束ねて5Gbpsの通信速度を実現することなどもできる。また、PCI−EXは、ホットプラグ(Hot−Plug;ホットスワップともいう)接続に対応しており、活性挿脱が可能である。これにより、PCI−EXを画像出力端末7に適用することで、たとえばスロットインタイプの基板コネクタを介することで、カセット型のハードウェアユニットを画像出力端末7に差し込んでそのまま使うといった利用形態が実現できる。
【0126】
なお、周辺デバイスを接続するだけでシステムの設定が自動的に行なわれるのがプラグ・アンド・プレイ(Plug and Play )であるが、このプラグ・アンド・プレイを装置本体(たとえばコンピュータ)や周辺デバイスの電源を入れたままで可能としたのがホットプラグである。また、プラグ・アンド・プレイとは、周辺機器や拡張カードなどを装置本体(たとえばコンピュータなど)に接続した際に、デバイスドライバの組み込みと設定を自動的に行なう機能であり、“PnP”と略すこともある。
【0127】
この機能は、たとえばオペレーティングシステムOSが起動時に接続されている機器をチェックし、割り込み番号IRQ(Interrupt ReQuest )やI/O(入出力)アドレスなどが他のボードと競合しないように、入出力(I/O)アドレスやIRQを割り当てると同時に、対応するデバイスドライバを組み込むことで実現される。また、オペレーティングシステムOSが自分のライブラリにその機器のデバイスドライバを持っていない場合は、ユーザにデバイスドライバを求め、必要であれば装置(たとえばコンピュータ)の再起動も自動で行なう。なお、ピアツーピア接続とする場合には、伝送ラインを専用できるので、IRQの割り当ては不要である。
【0128】
ホットプラグ接続可能とすれば、装置を再起動せずに周辺デバイスのホットスワップを行なうことができ、たとえば複数のPCI−EXスロットを持つシステム構成とする場合には(本実施形態もそうである)、アップグレード作業がより簡単になる。また、PCI−EXのスイッチコンポーネントをドッキングステーション(本体内に設けてもよいし外部に取り出してもよい)内部で利用することにより、PCI−EXのポート数を増やし、システム全体の入出力コネクティビティ(Input/Output Connectivity )を高めることもできる。
【0129】
本実施形態において、PCI−EXを適用するに好ましい接続インタフェース部は、図3に太い実線で示すように、メモリブリッジ部120とI/Oブリッジ部140との間、I/Oブリッジ部140とスイッチ部150との間、スイッチ部150とアドオンボード250(たとえばLANボード152や1394ボード254)との間、I/Oブリッジ部140と画像取込部210、画像処理部220、あるいは画像記録部230との間である。
【0130】
また、I/Oブリッジ部140と図1に示した操作パネル14や操作キー16などからなるユーザインタフェース装置との間や、メモリブリッジ部120とグラフィックスドライバ部160との間に適用するのもよい。また、拡張ユニット240をコントローラ部100(たとえばI/Oブリッジ部140)に接続する場合には、この拡張ユニット240との間に関しても、PCI−EXを適用するとよい。勿論、図3に示した例は一例であって、他の接続インタフェースについてもPCI−EXを適用するとよい。
【0131】
なお、操作パネル14や操作キー16などからなるユーザインタフェース装置とI/Oブリッジ部140との間に、図中点線で示すユーザインタフェースドライバ162を配してもよい。この場合、ユーザインタフェース(U/I)ドライバ162とI/Oブリッジ部140との間およびグラフィックスドライバ部160と操作パネル14や操作キー16などのユーザインタフェース装置との間の内の少なくとも一方(一方の場合はI/Oブリッジ部140側が好ましい)を、PCI−EXにて接続してもよい。
【0132】
このように、PCI−EXを適用して画像形成装置の一例である画像出力端末7を構成することで、コンピュータアーキテクチャでいうところの、グラフィックスやノース/サウス・ブリッジ、ローカルI/O、あるいは拡張バスなどに対応する部分を、すべてPCI−EXで実装することが可能となる。
【0133】
コントローラ部100(詳しくはI/Oブリッジ部140)と、画像取込部210、画像処理部220、あるいは画像記録部230などの各デバイスの間を、PCI−EXで接続し、かつ画像取込部210などの各デバイスをホットプラグ接続対応可能なものとすれば、画像取込部210などの各デバイスを装置(詳しくはI/Oブリッジ部140)に装着することで、コントローラ部100は、自動的に各デバイスの基本情報を取得して、所用の設定をすることができる。
【0134】
なお、上述のように、双方向性を有するとともにシリアル通信方式あるいはピアツーピア方式の接続インタフェース部を適用したことで、従来から広く知られているPCI(Peripheral Component Interconnect )バス(mini−PCIやPCI−Eなども含む)など、パラレル通信方式の接続インタフェース部を適用した場合に対して、著しいメッリトが得られる。すなわち、従来のPCIバスを考慮して、そのパラレルを基本として高速化を図る場合、既存のPCIアークテクチャ(レガシーアーキテクチャ)との互換性においては有利ではあるものの、32本または64本の信号線でパラレルにデータを転送していることで、種々の制約が出てくる。
【0135】
これは、パラレルの信号線間においてデータの同期をとる必要があるが、それが困難となるからである。すなわち、パラレルバスのクロックを上げていくというアプローチにより現在のPCIバスの帯域幅を上げていくことも不可能ではないが、パラレルバスでは上げられるクロックに限界がある。また、32本または64本の信号線が必要であり、インタフェースコストがかかり、またこのパラレル状態を維持したままで装置外へボードを引き出すのは難しく、自ずとハードウェア(電気回路)レイアウトに制限ができてしまう。すなわち、従来のパラレルバスの延長線上では、デジタル複写装置や複合機などの画像形成装置の高機能化や高速化を図ろうとした場合、自由度がないので、その実現が難しい。
【0136】
これに対して、双方向性でかつシリアルやピアツーピアの接続インタフェース部を適用すれば、多数の信号線を利用するパラレルバスが持つ上述のような問題から解消され、たとえば信号線同士でのデータのずれやスキューがなく、また信号のクロストークも起こらない。このため、高速・長距離のデータ転送が可能となり、画像形成装置の高機能化や高速化を図る際の自由度が増すので、ハードウェアの面では、マザーボード・チャンネルをはじめとする電気設計の制約がなくなる。よって、ハードウェア設計上の制約から解放され、従来のパラレルバスの延長上では不可能であった高機能化や高速化を、容易かつ低コストで実現することができる。
【0137】
図4および図5は、双方向性、シリアル、およびピアツーピアの特徴を持つ接続インタフェース部の好適な一例であるPCI−EXを説明する図である。
【0138】
本実施形態が採用するPCI−EXは、パソコン内部の部品や周辺機器を接続するための新しい規格であって、CPUやメモリの速度向上のペース対応するよう、主にI/O(Input/Output)の帯域幅向上のために開発されたものである。今日、米国Compaq社,米国Dell社,米国Hewlett−Packard社,米国IBM社,米国Intel社,米国Microsoft社などを中心とするPCI−SIGが規格の策定を行なっている。
【0139】
このPCI−EXのアーキテクチャは、図4(A)に示すように、コンフィグ層(Config/OS)、ソフトウェア層(Soft/Ware)、トランザクション層(Transaction )、データリンク層(Data Link )、および物理層(Physical)、の計5つの層に分けて通信を行なうように構成されている。
【0140】
コンフィグ層やソフトウェア層は、既存のパラレル方式のPCIとの関わりでは、既存のオペレーティングシステムOSに影響を与えないように考慮されている(No OS Impact)。また将来において、データ転送やエンコーディング方式に変更があっても、物理層のみに影響され、他の層には影響がないように考えられている(Future speeds and encoding techniques only impact the PhysicalLayer)。
【0141】
また、トランザクション層において、パケットフォーマットは、32ビットメモリアドレッシングをサポートし、64ビットメモリアドレッシングにも拡張対応可能となっている。
【0142】
このPCI−EXは、物理的には、図4(B)に示すように、シリアルの接続で、それぞれのデバイスの間は1対1で接続されている。すなわち、1つのレーン(通信チャネル)のルーティングは、他のルーティングから独立している。ルート計算処理の負荷は、パラレルバスの場合と比べて緩和されている。各デバイス(機能モジュール)には、接続インタフェース部をなす送受信回路が組み込まれる。
【0143】
また、双方向性とするための送信と受信は別々のリンクを使い、符号化(エンコーディング)方式としては8b/10b方式を採用している。このため、クロックはデータ信号に埋め込まれている。それぞれのリンクは、低電圧の差動信号となり、データ転送速度の基本性能は、片方向(すなわち1リンク)が2.5Gbps(Giga bit per sec)である。すなわち、1レーン当たり1ビット幅でデータ転送速度は2.5Gビット/秒である。これをバイトに直すと、レーン当たり250MB/Secの帯域幅が実現される。PCI−EXでは、上り下り双方向にレーンが用意されるため、標準のPCI−EX(1レーン;1×)では500MB/Secの帯域幅が実現される。
【0144】
また、PCI−EXは、レーンの幅をスケーラブルに変更でき(スケーラブル可能であり)、転送能力が必要な場合には、図5(A)に示すように、ペアの信号(リンク)をたとえば2,4,8,12,16,32と束ねることができ、32リンクまで拡張可能となっている。すなわち、PCI−EXは、一本の導線でどんどんデータを送るシリアル方式を採用しつつ、送信用と受信用の導線をワンセットにして、それを何組も使うことで、さらに高速化することができる。
【0145】
たとえば、図5(B)に示すように、1×ではI/Oピンが4ピンとなっているが、2×のPCI−EXではI/Oピンが倍の8ピンとなり、帯域幅は1GB/Secとなる。同様に、3×,4×,…と増やしていき、最終的には16×(64ピン)まで上げていくことができる。16×では8GB/Secの帯域幅を実現することになる。また、32リンク束ねた場合は、リンクが1つのときと比べて32倍の速度によるデータ転送が可能となる。
【0146】
このPCI−EXを適用して画像形成装置を構成する場合、コントローラ部100と画像取込部210やその他の各デバイスとの間の接続は、必要となる転送能力に応じてリンクの数を変えるとよい。つまり、基本クロックを高くするといったことを必要とせず、リンクの数を変えるだけで、所用の転送能力を満たすことができる。
【0147】
なお、レーンあたりの帯域幅は、たとえば5〜6Gbpsに引き上げることも検討されている。この場合、8b/10bエンコードが行なわれたとすると、レーンあたり500〜600MB/Sec、1×モードでも1〜1.2GB/Secと、前例の倍以上の帯域幅が実現されることになる。
【0148】
なお、物理的な技術レベルでは、現在(従来)のパラレル方式のPCIとシリアル方式のPCI−EXとの間に繋がり(互換性)はない。しかし通信プロトコルなどは共通としており、PCI−EXは、従来(現在)のパラレル方式のPCIバスのアドレッシングモデルと互換性(ソフトウェア互換性)を持たせている(図4(A)参照)。これにより、現在のオペレーティングシステムOS、アプリケーションソフトウェア、ドライバなどをそのまま動作させることができるという利点がある。また、PCI−EXは、従来のPCIに対して、QoS(Quality of Service)やホットプラグ、ホットスワップ、パワーマネージメントなどの拡張が行なわれている。
【0149】
また、従来(現在)のパラレル方式のPCIバスでは80ピン以上のコネクタが必要なので、装置の外部にバスを出すことが困難であったが、PCI−EXではシリアル通信方式を採用したことで、コネクタが数ピンとなるので、レイアウトの自由度が向上し、容易に装置外部にバスを引き出すことができる。これにより、PCI−EXを用いると、パラレル方式のPCIバスでは実現が難しかった形状の装置なども実現することができる。
【0150】
図6および図7は、PCI−EXのように、双方向性、シリアル、およびピアツーピアの特徴を持つ接続インタフェース部を適用して画像形成装置を構成する場合におけるボードレベルのアーキテクチャ(基板レイアウト構成)例を示す図である。
【0151】
図6に示す第1例のボードアーキテクチャは、画像取込部210などの画像形成に関わるデバイス(画像形成機能部)が配されたプリント基板を備える機能モジュールを、コントローラ部100が配されたプリント基板であるマザーボードに、スロットインタイプなどオンボード型の基板コネクタを介して物理的に接続するようにしたものである。
【0152】
たとえば、CPU110、メモリブリッジ部120、メインメモリ130、I/Oブリッジ部140、スイッチ部150、およびグラフィックスドライバ部160などのコントローラ部100を構成する各回路部材をマザーボードに搭載する。そして、画像取込部210、画像処理部220、画像記録部230、LANボード252、1394ボード254、あるいはUSBボード256などのアドオンボード250を搭載した機能モジュールを、オンボードコネクタを介して装着する構成とする。この方式は、従来のパラレル方式のPCIバスにおけるボードアーキテクチャと同じである。
【0153】
一方、図7に示す第2例のボードアーキテクチャは、画像取込部210などの画像形成に関わるデバイス(画像形成機能部)が配されたプリント基板を備える機能モジュールを、コントローラ部100が配されたプリント基板であるマザーボードに、メタリックワイヤやプラスチック光ファイバPOFなどのケーブルを介して物理的に接続するようにしたものである。
【0154】
なお、この図7に示す例では、コントローラ部100の全体と画像取込部210などの画像形成に関わるデバイス(画像形成機能部)とをケーブル接続するのではなく、コントローラ部100のI/Oブリッジ部140(入出力コントローラが組み込まれている)との間でケーブル接続している。
【0155】
つまり、コントローラ部100の入出力コントローラ以外の要素が配されるマザーボード(メイン基板)とは別に、入出力コントローラ(すなわちI/Oブリッジ部140)が配されるサブ基板を設け、このサブ基板とマザーボードとをケーブル接続するとともに、サブ基板上にオンボード型の基板コネクタを介して画像取込部210などの画像形成に関わるデバイスが配されたプリント基板(モジュール基板)を物理的に接続している。I/Oブリッジ部140が配されるサブ基板をドッキングステーションとして本体外部に取り出すことも可能である。
【0156】
ケーブル接続とする場合において、回路基板を銅線などの金属線(メタリックワイヤ)で接続すると、金属線から不要信号が送出されることで、EMI(ElectroMagnetic Interference;電磁界干渉)やEMC(ElectroMagnetic Compatibility ;電磁環境適合性)の問題が生じ得る。また、信号線を延ばすことで負荷容量が増え波形鈍りが生じることも懸念される。これに対して、光伝送媒体を基板間の信号伝送インタフェースに利用することで、電磁界干渉EMIや電磁環境適合性EMCの問題あるいは波形鈍りに起因する問題を解消しつつ配線長の長距離化を実現することができる。
【0157】
上述のように、シリアル通信形式あるいはピアツーピアでかつ双方向性を有する接続インタフェース部として、PCI−EXなどの標準インタフェースを適用して画像出力端末7を構成することで、画像出力端末7を実質的に1つのコンピュータとすることができる。シリアル通信方式を採用したことで、パラレル通信方式の場合に必須であったデータの同期をとる必要がなくなり、コントローラを構成するCPUのクロックの向上に合わせて、画像形成に関わる機能部分の処理を高速化することができる。
【0158】
また、シリアル通信方式であるので、信号線数が減り、加えてデータ整合のための同期処理が不要であるから、低コストで高速化を実現することができる。また、PCI−EXのようにホットアンドプラグ接続が可能なアドオンボードを接続することで、画像形成装置の一例である画像出力端末7の機能を拡張することも容易になる。
【0159】
たとえば、画像形成に関わる機能部分が高速処理可能となるから、システムスループットの向上した画像出力端末7を実現することができる。また、コントローラ部を、パソコンのマザーボードと同様の構成にすることができるので、パソコン市場の安価な部品を流用して画像出力端末7を構成することができる。つまり、PCI−EXなどの標準インタフェースを画像出力端末7の基本アーキテクチャに採用すると、容易に入手可能なコンピュータのアクセサリや周辺機器をデジタル複写装置などにおいて簡単にかつ安価に利用することが可能となる。
【0160】
また、各機能ブロック間の接続を汎用規格(標準インタフェース)のPCI−EXとすることで、インタフェースコストの削減と配線のシンプル化、データ転送の高速化、あるいは開発工数の削減ができる。また、各機能ブロックをPCI−EXなどの標準インタフェースで接続することで、ハードウェアH/W(電気回路)レイアウトの自由度や独立性が高くなる。たとえば、画像取込部、画像処理部、あるいは画像記録部などの画像形成に関わる機能部分(デバイス)をコントローラ部が搭載されるプリント基板とは各別のプリント基板に搭載すれば、各デバイスをコントローラ部100から離れたところに分散配置することも容易である。
【0161】
たとえば、PCI−EXは、周辺機器インタフェースのためのアドオンボード250のようなホットアンドプラグ接続可能なインタフェースおよびカードが、容易に利用可能で安価なオフザシェルフ(off−the−shelf )製品とすることが可能となるので、デジタル複写装置などの画像形成装置のコストを削減可能にし、柔軟性およびスケーラビリティ(Scalability )を与える。
【0162】
また、従来の複写装置では、パソコンなどのクライアント端末へのデータ受渡しに独自回路を必要とし、また、その回路へデータを渡すためのデータ分配用基板を必要としたが、上記実施形態のように、双方向性、シリアル、およびピアツーピアの特徴を持つPCI−EXなどの標準インタフェースを利用した構成とすることで、複写装置とクライアント端末間のデータ受渡し用のインタフェースを有線LANやIEEE1394などの汎用規格とすることができ、開発工数を削減することができる。
【0163】
また、上記実施形態で示したようなアーキテクチャとすることで、複写装置などの画像形成装置が実質的に1つのコンピュータとなるので、ネットワーク化が容易となる。
【0164】
また、PCI−EXなどの、双方向性を有するとともにシリアルもしくはピアツーピアの方式を利用した接続インタフェースにて、コントローラ部と、画像取込部、画像処理部、あるいは画像記録部などの画像形成に関わる機能部分とを接続することで、画像形成装置を実質的に1つのコンピュータとし、コントローラ部にオペレーティングシステムOSや画像形成に関わる各機能部分あるいは周辺デバイスを制御するためのアプリケーションソフトウェアを組み込むようしたので、機能モジュールの汎用性、適用性の向上、拡張性の向上、あるいは資源の共有を図ることができる。
【0165】
また、これらのことから、装置の製造メーカにとっては作り易く、ユーザにとっては使い勝手のよいものとなる。たとえば、機能モジュールのバージョンアップや機能モジュールの組合せを変えることで高性能化、多機能化、あるいは高速化を図る場合に、それらの変更に応じて、コントローラ部にインストールするアプリケーションソフトウェアを変更するだけで、変更後の機能モジュールを適切に制御して使用することができる。バージョンアップをしたり機能モジュールの組合せを変えたりしても、コントローラ部に対する機能モジュールの接続構成は変わらないので、それらの変更に応じたアプリケーションソフトウェアの更新設計は容易である。
【0166】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0167】
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0168】
たとえば、上記実施形態では、コントローラ部と画像形成機能部との間の接続インタフェースとして、PCI−EXなどの標準インタフェースを用いたが、これに限らず、設計者またはユーザの要求事項を満足する、他のあらゆる双方向性かつシリアルもしくはピアツーピアの接続インタフェース部を適用してもかまわない。
【0169】
また、上記実施形態では、画像取込部210は図2に示した読取信号処理部22に対応し、画像処理部220は図2に示した前段色信号処理部40、イメージ圧縮伸張処理部50、および後段色信号処理部60に対応し、また、画像記録部230は図2に示した画像形成ユニット32に対応するものとして説明したが、画像形成に関わる機能部分である画像処理部220などは、図2に示した一部の機能要素を含むものとして取り扱ってもかまわない。
【0170】
たとえば、画像処理部220などを構成する図2に示した個別の機能要素を個別のプリント基板に搭載して、たとえばスロットインタイプの基板コネクタを介してコントローラ部100が搭載されているマザーボードに装着する構成としてもよい。この場合にも、各機能部分が搭載されているプリント基板とコントローラ部100(たとえばメモリブリッジ部120やI/Oブリッジ部140)との間は、PCI−EXなどの、双方向性を有しかつシリアルあるいはピアツーピアのインタフェースにて接続する。
【0171】
このように、画像形成装置を構成する回路を所用部分で分けて機能モジュールとして取り扱うとともに、双方向性を有しかつシリアルあるいはピアツーピアの接続インタフェースで機能モジュール間の電気信号の伝送を採ることで、所用部分の機能モジュールを変更もしくは追加するとともに、それに応じたアプリケーションソフトウェアの更新をするという簡易な手法により、高性能化、高機能化、あるいは高速化の要求に対して、柔軟に対応を採ることができる。また、従来のアーキテクチャでは考えられなかった新たな商品バリエーションに展開することも可能となる。
【0172】
また、上記実施形態では、記録媒体上に可視画像を形成する主要部であるプリントエンジンとして電子写真プロセスを利用するものに対して、本発明を適用した事例を説明したが、本発明の適用範囲は、これに限定されない。たとえば感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいはその他の同様な従来の画像形成機構を備えたエンジンにより普通紙や感熱紙上に可視画像を形成する構成の画像形成装置に本発明を適用し得る。
【0173】
また、上記実施形態では、画像形成装置として、電子写真プロセスを利用したプリントエンジンを備える複写装置あるいは複合機を例に説明したが、画像形成装置は、これに限らず、カラープリンタやファクシミリなど、記録媒体上に画像を形成するいわゆる印刷機能を有するものであればよい。
【0174】
また、画像取込部、画像処理部、および画像記録部の全てを備えている必要はなく、これらのうちの少なくとも1つを備えたものであればよい。また、これらのうちの少なくとも1つを備えている限りにおいて、その他の周辺デバイスを備えたものであってもかまわない。たとえば、スキャナなどを備えた画像取込部により取り込んだ画像を電子データとして、半導体メモリ、CD−R、あるいはCD−RWに書き込む装置としてもよい。また、デジタルカメラにて撮像した画像を記録している半導体メモリ(たとえばフラッシュメモリ)から画像を読み出して印刷出力する装置とすることもできる。
【0175】
これらのデバイス間をPCI−EXなどの双方向性を有しかつシリアルあるいはピアツーピアのインタフェースにて接続することで、メモリリーダやCDドライブなどのデバイス間で画像データを自由に伝送でき、またメモリリーダやCDドライブなどのデバイス交換が簡易になるとともに、交換した場合においても同じコントローラで制御できる。つまり、使用目的に応じて画像形成装置の構成要素を組み替えることができ、使い勝手が増し、非常に便利である。
【0176】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ピーシーアイエクスプレス(PCI−EX)などの、双方向性を有するとともにシリアルもしくはピアツーピアの方式を利用した接続インタフェース部にて、コントローラ部と、画像取込部、画像処理部、あるいは画像記録部などの画像形成に関わる機能部分とを着脱自在に接続する新規なアーキテクチャを採用したので、画像形成装置を実質的に1つのコンピュータとすることができる。
【0177】
そして、このような接続インタフェースを採用したことで、パラレル方式の場合に必須であったデータの同期をとる必要がなくなり、コントローラを構成するCPUのクロックの向上に合わせて、画像形成に関わる機能部分の処理を高速化することができる。すなわち、信号線同士でのデータのずれやスキューがなく、また信号のクロストークも起こらないので、高速・長距離のデータ転送が可能となり、パラレルバスの延長上では不可能である高機能化や多機能化あるいは高速化を容易に実現することができる。
【0178】
また、配線をシンプルにすることができ、ハードウェアレイアウトの自由度が高まり、機能ボードを本体の外部に配設することも可能となる。加えて、同期処理が不要であるから、低コストで高速化を実現することができる。よって、パソコン市場の安価な部品を流用することができ、高機能、多機能、あるいは高速処理可能な画像形成装置を、簡易に、また低コストで、実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置を備えた画像処理システムを示す概略図である。
【図2】画像出力端末における画像処理機能を示すブロック図である。
【図3】画像出力端末における回路構成のシステムアーキテクチャの一例を示す図である。
【図4】シリアル通信方式の接続インタフェース部の好適な一例であるPCI−EXを説明する図である。(その1)
【図5】シリアル通信方式の接続インタフェース部の好適な一例であるPCI−EXを説明する図である。(その2)
【図6】シリアル通信方式の接続インタフェース部を適用して画像形成装置を構成する場合のボードアーキテクチャの第1例を示す図である。
【図7】シリアル通信方式の接続インタフェース部を適用して画像形成装置を構成する場合のボードアーキテクチャの第2例を示す図である。
【図8】従来の画像形成装置を備えた画像処理システムの一構成例を示す図である。
【符号の説明】
1…画像処理システム、3…画像入力端末、7…画像出力端末(画像形成装置)、10…画像読取装置、20…スキャナ部、22…読取信号処理部、32…画像形成ユニット、40…前段色信号処理部、50…イメージ圧縮伸張処理部、60…後段色信号処理部、100…コントローラ部、110…CPU、120…メモリブリッジ部、130…メインメモリ、140…I/Oブリッジ部、150…スイッチ部、160…グラフィックスドライバ部、210…画像取込部、220…画像処理部、230…画像記録部、240…拡張ユニット、250…アドオンボード、252…LANボード、254…1394ボード、256…USBボード
Claims (24)
- 画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部と、前記画像形成機能部の動作を制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、
前記画像形成機能部に入出力される画像データと前記制御部が前記画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せるとともに、前記画像データおよび前記制御コマンドの伝送を双方向かつシリアル通信方式で採る接続インタフェース部を備えていることを特徴とする画像形成装置。 - 画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部と、前記画像形成機能部の動作を制御する制御部とを備えた画像形成装置であって、
前記画像形成機能部に入出力される画像データと前記制御部が前記画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せるとともに、前記画像データおよび前記制御コマンドの伝送を双方向かつ1対1(Peerto Peer)の接続形態で採る接続インタフェース部を備えていることを特徴とする画像形成装置。 - 前記接続インタフェース部は、前記画像データおよび前記制御コマンドの伝送をシリアル通信方式で採ることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、中央演算処理部、記憶媒体、および前記中央演算処理部と前記記憶媒体との間のデータの入出力を制御するメモリコントローラを備えていることを特徴とする請求項1から3のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、それぞれ前記接続インタフェース部により、前記メモリコントローラと接続されるとともに前記画像形成機能部と接続される入出力コントローラを備えていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成機能部は、原稿上に形成された画像を光学的に読み取ることで画像情報を取得する画像取込部、所定の画像情報に対して所定の画像処理を施す画像処理部、および所定の画像情報に基づいて画像を所定の記録媒体上に形成する画像記録部のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から5のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成機能部は、前記制御部が配されるプリント基板とは各別に設けられたプリント基板上に配されていることを特徴とする請求項1から6のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成機能部が配された前記プリント基板と前記制御部が配されたプリント基板とが、オンボード型の基板コネクタを介して物理的に接続されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成機能部が配された前記プリント基板と前記制御部が配されたプリント基板とが、ケーブルを介して物理的に接続されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記接続インタフェース部により前記メモリコントローラと接続されるとともに前記画像形成機能部と接続される入出力コントローラを備えており、
前記入出力コントローラは、当該入出力コントローラを除く前記制御部を構成する他の機能分を配した前記プリント基板とは各別に設けられたプリント基板上に配されており、
前記画像形成機能部が配された前記プリント基板と前記入出力コントローラが配されたプリント基板とが、オンボード型の基板コネクタを介して物理的に接続されるとともに、前記入出力コントローラが配されたプリント基板と当該入出力コントローラを除く前記制御部を構成する他の機能分を配した前記プリント基板とが、ケーブルを介して物理的に接続されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。 - 前記ケーブルは、前記プリント基板間の電気信号の伝送を、光伝送媒体を用いて採るものであることを特徴とする請求項9または10に記載の画像形成装置。
- 周辺デバイスとの間のインタフェース機能をなす入出力インタフェースドライバを備え、当該入出力インタフェースドライバと前記制御部とが前記接続インタフェース部により接続されていることを特徴とする請求項1から11のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記入出力インタフェースドライバと前記制御部との間に配された前記周辺デバイスとの間の通信インタフェースを切り替える切替部を備え、当該切替部と前記制御部との間および当該切替部と前記入出力インタフェース部との間のうちの少なくとも一方が、前記接続インタフェース部により接続されていることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記接続インタフェース部により、前記メモリコントローラと接続されるとともに前記画像形成機能部と接続される入出力コントローラを備え、前記切替部と前記入出力コントローラとの間が前記接続インタフェース部により接続されていることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、所定のユーザインタフェース装置との間で前記接続インタフェース部により接続されるユーザインタフェースドライバを備えていることを特徴とする請求項1から14のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記接続インタフェース部は、ホットプラグ(Hot−Plug)接続可能であることを特徴とする請求項1から15のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記接続インタフェース部は、それぞれの前記シリアル通信方式によるインタフェースを複数纏めることで帯域幅を切替可能であることを特徴とする請求項1、3から16、のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記接続インタフェース部は、ある一定の規格を満足する標準インタフェースであることを特徴とする請求項1から17のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
- 前記標準インタフェースは、ピーシーアイエクスプレスであることを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置。
- 前記制御部には、オペレーティングシステムと、前記画像形成機能部を制御するためのアプリケーションソフトウェアが組み込まれることを特徴とする請求項1から19のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
- 画像を所定の記録媒体に形成する画像形成装置に使用される機能モジュールであって、
画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部と、
前記画像形成機能部に入出力される画像データと前記画像形成装置に搭載されている制御部が前記画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せるとともに、前記画像データおよび前記制御コマンドの伝送を双方向かつシリアル通信方式で採る接続インタフェース部と
を備えていることを特徴とする機能モジュール。 - 画像を所定の記録媒体に形成する画像形成装置に使用される機能モジュールであって、
画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部と、
前記画像形成機能部に入出力される画像データと前記画像形成装置に搭載されている制御部が前記画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せるとともに、前記画像データおよび前記制御コマンドの伝送を双方向かつ1対1(Peer to Peer)の接続形態で採る接続インタフェース部と
を備えていることを特徴とする機能モジュール。 - 前記接続インタフェース部は、前記画像データおよび前記制御コマンドの伝送をシリアル通信方式で採ることを特徴とする請求項21に記載の機能モジュール。
- 前記画像形成機能部は、原稿上に形成された画像を光学的に読み取ることで画像情報を取得する画像取込部、所定の画像情報に対して所定の画像処理を施す画像処理部、および所定の画像情報に基づいて画像を所定の記録媒体上に形成する画像記録部のうちの何れかであることを特徴とする請求項21から23のうちの何れか1項に記載の機能モジュール。
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