JP2004112627A - 画像形成装置、情報処理装置、画像形成装置や情報処理装置に使用される接続デバイス - Google Patents

画像形成装置、情報処理装置、画像形成装置や情報処理装置に使用される接続デバイス Download PDF

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水橋 悟志
Hirohisa Mizuta
水田 裕久
Sadao Kootani
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Abstract

【課題】画像を記録媒体に形成する画像形成装置において、デバイスを交換自在に構成するとともに、確実かつ効率のよい偽造防止対策ができるようにする。
【解決手段】本体側のコントローラ部100 の周辺に、画像形成に関わる画像取込部210 、画像処理部220 、および画像記録部230 の他、外部入力系統に対応する種々のアドオンボード250 などのデバイスを交換自在に設ける。コントローラ部100 と画像取込部210 などの主要デバイス間の電気信号伝送をピーシーアイエクスプレスでとる。不正デバイス監視処理部180は、デバイスの偽造防止機構の有無や種類に関する情報に基づき、各デバイスが備える偽造防止機構を選択的に作動させて、各部の偽造検知性能の違いに起因した効率の悪い偽造防止処理を防止する。また、何れのデバイスも偽造防止機構を備えていない場合は、コントローラ部100に組み込んでおいたソフトウェアの偽造防止機能を作動させる。
【選択図】    図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえばプリンタ装置、ファクシミリ装置、複写装置、あるいはそれらの機能を複合的に有する複合機(multi−function device )など、画像を所定の記録媒体に形成する画像形成装置並びに画像形成装置に使用される接続デバイスに関する。また、クライアントより指示された情報処理をする情報処理装置並びに情報処理装置に使用される接続デバイスに関する。より詳細には、偽造防止や不正デバイスの使用禁止など、画像形成装置や情報処理装置の不正使用排除機能に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ装置、ファクシミリ装置、複写装置、あるいはそれらの機能を複合的に有する複合機などの画像形成装置が様々な分野で使用されている。また、今日では、画像形成装置がカラー化され、ユーザの様々な表現手段として利用されるようになってきている。たとえば、電子写真プロセス(ゼログラフィ)を用いたカラーページプリンタ装置は、高品質な画質あるいは高速プリンティングの点で注目されている。
【0003】
また今日では、プリンタ装置や複写装置あるいは複合機などの画像形成装置において、画像をデジタル的に取り扱う仕組みが種々提案されている。たとえば、デジタル複写装置は、画像を走査して得たアナログ画像信号をデジタル化してデジタル画像データをメモリに記憶し、さらにそのデジタル画像データに基づいて印刷するようになっている。
【0004】
一方、印刷機能という点では、家庭内での個人ユースやオフィスでのビジネスユースといった比較的小規模(たとえば1ジョブが数枚〜数十枚程度)の印刷出力を要求されるものと、製本などの印刷業界で使用される比較的大規模(たとえば1ジョブが数千枚以上)の印刷出力を要求されるものとに大別される。前者の比較的小規模の印刷出力を要求されるものにおいては、その多くが(たとえば孔版印刷を除いて)、印刷データを受け取り版下を生成せずに印刷物を出力する。一方、後者の比較的大規模の印刷出力を要求されるものにおいては、従来は、印刷データに基づいて版下を生成し、この生成した版下を使用して印刷物を出力していた。
【0005】
ところが、今日では、DTP(DeskTop Publishing/Prepress)の普及による印刷工程の変化、いわゆる「印刷のデジタル革命」により、DTPデータから直接印刷する「ダイレクト印刷」もしくは「オンデマンド印刷」(以下オンデマンドプリンティングという)が着目されている。このオンデマンドプリンティングでは、従来の印刷(たとえばオフセット印刷)における写植などの紙焼き(印画紙)、版下、網ネガ、網ポジ、PS版などの中間成果物を生成せずに、プリプレス工程を完全にデジタル化することで電子データだけに基づいて印刷物を出力する仕組み(CTP;Computer To Print or Paper)が取られている。そして、このオンデマンドプリンティングの要求に対して、電子写真プロセスを用いた印刷機能が着目されている。
【0006】
ところで、今日では、画像形成処理(プリント処理)のさらなる高速化・高性能化・多機能化の要求がある。たとえば、印刷指示からプリント出力までトータルの生産性をサポートした高速フルカラープリント、たとえば、50枚以上/分のカラー印刷に対応するシステムを可能とするものの要求がある。
【0007】
従来のデジタル方式の画像形成装置における重要な目標は、設計の時点において大量のデータを処理するために必要な性能を有した最も手ごろなシステムを構築することとされていた。このような設計プロセスおよび思考プロセスの結果として、可能な限り低価格でデジタル方式の画像形成装置を生産することはできたが、そのデジタル方式の画像形成装置を簡単に変更したり、拡張したりすることは難しかった。
【0008】
たとえば、画像形成装置を構成する回路の大部分が、1つの回路基板上に収容されるようになっており、処理制御機構がほぼ1ユニットで構成されている。この構成において、高速化・高性能化・多機能化への対応をとる場合、変更がたとえ一部の回路に対するものであっても、その都度、その回路基板全体の交換や、その回路基板の設計変更(パターンレイアウトの変更)が必要となり、結果として、開発費用と開発期間を必要とするという問題がある。
【0009】
図11は、従来の画像形成装置を備えた画像処理システムの一構成例を示す図である。ここでは、画像形成装置として複写装置を例に説明する。
【0010】
複写装置は、原稿の画像を光学的に読み取ることで画像情報を取得するスキャナ部と、スキャナ部で取り込んだ画像情報に対して所定の画像処理を施す画像処理部と、画像処理部により画像処理が施された処理済画像情報に基づいて画像を所定の記録媒体(たとえば印刷用紙)上に形成する画像記録部と、スキャナ部、画像処理部、および画像記録部の各機能部分の動作を制御するコントローラ(制御部)とを備えて構成される。画像処理部における所定の画像処理としては、たとえば、画像記録部の特性に合わせた色調合わせなどの処理がある。
【0011】
ここで、従来の複写装置は、コントローラから、画像処理部などの各機能部分に対し制御用のコマンド信号を、コントロールライン(通信インタフェース)を介してそれぞれに分配して各機能部分(デバイス)を制御していた。コントロールラインは、たとえばシリアル通信方式を用いた装置ごとに独自のものが使用される。コントローラは、複写装置のハードウェア、とりわけ入出力系の相互接続に関して、各デバイス間を同時に流れる大量のデータを絶え間なく管理するとともに、複写装置の機能を果たすよう各デバイスを制御する。
【0012】
また、画像データは、各機能部分間で専用の一方向性のパラレルバス(バス;部品間を繋ぐデータの通り道)が使用されていた。パラレルにデータを転送する場合、信号線同士でのデータのずれや不揃い(データの不整合)が発生し、また信号線同士が電圧の影響を与え合うクロストーク現象が起きるので、高速のデータ転送に適していない。すなわち、パラレル方式では、一度にたくさんのデータを送受信できるが、タイミングを合わせてデータを送出しなければならず、送出する速度(回数)を上げるのが難しい。
【0013】
CPU(Central Processing Unit )クロックの向上に合わせてデータのずれなどを補償する回路を追加するなどの手段を講じることも考えられるが非常にコストがかかるので、パラレルバスのクロックを上げていくというアプローチには限界がある。このため、バスの速度を簡易に上げることは困難であり、また、機種ごとに専用バスが設計されることが多く設計効率も悪いという問題がある。したがって、装置のさらなる高速化・高性能化・多機能化に柔軟に応えることが難しい。
【0014】
一方、近年では、この複写装置を外部からの画像データに基づいて印刷出力する複合機として使用する要求もある。たとえば、複写装置とパソコンなどの外部の画像入力端末との間で画像データの受渡しを行なう場合である。この場合、従来の複写装置は、複写装置本体が1つの専用システムとして構成されているため、たとえば図11(A)に示すように、パソコンなどとの間で画像データの受け渡しを行なうための専用回路(たとえばビデオセレクタ)と専用インタフェースを設けなければならない。また、画像受渡しのための制御および専用回路を機種ごとに作り込む必要があり、開発には多大な開発費用と開発期間を必要とした。
【0015】
加えて、従来の複写装置における画像データの流れは、スキャナ部から画像記録部側への一方向性であるため、スキャナ系の画像データ(つまり原稿を読み取ったもの)は画像処理部で処理されるが、画像入力端末など外部からの画像データは画像処理部を経由しない。このため、予め外部で画像記録部の特性に合わせた色調合わせなどの処理を事前に施してから、画像記録部にデータを渡さなければならず、その取り扱いが簡易でなかった。つまり、装置の高性能化・多機能化に応えるのは、必ずしも容易でなかった。
【0016】
一方、複写装置を構成する場合の新たなアプローチとして、たとえば図11(B)に示すように、パソコンなどのコンピュータシステムと同様に、PCI(Peripheral Component Interconnect )バスを使用したアーキテクチャを採用することも考えられている(たとえば特開2000−151878号参照)。
【0017】
この場合、コントローラと各機能部分との間をPCIバスで接続することになる。たとえば、図11(B)に示すように、画像処理部と画像記録部とコントローラとの間をPCIバスで接続する。必要に応じて、インタフェース部を介して、それぞれをPCIバスで接続する。また、特開2000−151878号に記載のように、プロセッサ(コントローラに相当)およびメモリシステムを主要部として、複写装置を構成する種々の機能部分を配置し、それらとプロセッサとの間をPCIバスで接続する構成もある。
【0018】
PCIバス(その変形規格であるmini−PCIやPCI−Eなども含む)を利用することで、制御コマンドや画像データをPCIバスという共通の伝送ライン上に乗せ、このPCIバスを介して双方向に伝送できるようになり、また機能モジュールの変更や追加も可能となるので、装置の高性能化や多機能化に応えるのが容易になると考えられる。
【0019】
しかしながら、PCIバスは、パラレルでデータ(制御コマンドや画像データなど)を転送するので、配線数が多くインタフェースコストが掛かる。またパソコンなどのアーキテクチャで分かるように、プロセッサ(コントローラに相当)やメモリシステムなどを搭載したマザーボード上において、PCIバスを利用する個々の機能モジュールを一箇所に集中して配置する必要があるので、レイアウトの自由度がなく、実際には、多機能化に柔軟に応えるのが難しい。
【0020】
加えて、PCIバスは、高速化の要求に応えることが難しい。前述のように、パラレルにデータを転送する場合、信号線同士でのデータのずれや不揃いが発生し、また信号線同士が電圧の影響を与え合うクロストーク現象が起きるので、高速のデータ転送に適していないからである。
【0021】
また、複数のモジュールをPCIバスに接続すると、他のモジュールと競合しないように、入出力(I/O)アドレスやIRQ(Interrupt ReQuest )を割り当てて1つのPCIバスを共用しなければならない。つまり、モジュール間を時分割でデータ転送しなければならないので、高速のデータ転送が難しくなる。
【0022】
このように、従来の画像形成装置の構成では、装置の高速化・高性能化・多機能化の要求に対して、低コストで、あるいは短期間に、あるいは柔軟に、応えるということが難しかった。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、上述のような問題点を解消するため、本願出願人は、特願2002−272855号にて、たとえば(ピーシーアイエクスプレス(PCI Express(商標);以下PCI−EXともいう)のように、コントローラと画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部(デバイス)とを着脱自在とし、双方向性かつシリアル通信方式あるいは双方向性かつピアツーピアという特徴を持つ接続インタフェースを用いて、コントローラとデバイス間の電気信号の伝送を採る新規なアーキテクチャを提案した。
【0024】
この特願2002−272855号にて提案した新規なアーキテクチャにより、多数の信号線を利用するパラレルバスが持つ上述のような問題から解消され、たとえば信号線同士でのデータのずれやスキューがなく、また信号のクロストークも起こらない。このため、高速・長距離のデータ転送が可能となり、また、機能モジュールの変更や追加が容易となる。これにより、ハードウェア設計上の制約から解放され、画像形成装置の高機能化や高速化を図る際の自由度が増し、従来のパラレルバスの延長上では不可能であった高機能化、高性能化あるいは高速化を、容易かつ低コストで実現することができるようになった。
【0025】
しかしながら、特願2002−272855号で提案したアーキテクチャを採用すると、機能モジュールや周辺デバイス(オプション機器)の変更や追加が容易となることに起因した新たな問題の発生が懸念される。たとえば、従来の画像形成装置では、画像取込部、画像処理部、画像記録部、あるいは必要に応じて追加するオプション機器といった一義的に決まった複数デバイスの組合せ構成の装置をメーカサイドで提供しているので、不正なデバイス(クラム;Crumb )が組み合わされるのは、たとえばトナーカートリッジや感光体ユニットなどの消耗部材に限られていた。
【0026】
また、今日のデジタル方式の複写装置は、紙幣や公文書あるいは機密文書などに対する偽造防止機能を備えているものが多い。従来の画像形成装置では、前述のように一義的に決まった複数デバイスの組合せ構成の装置をメーカサイドで提供しているので、一義的に決まったシステムにより偽造防止を効率よく行なうことが可能であった。
【0027】
しかし、特願2002−272855号で提案したアーキテクチャでは、各機能モジュールやオプション機器が任意に変更可能なので、ユーザ側にて自由に、機能モジュールやオプション機器の組合せを選択することができ、不正なデバイス(クラム品)の組み合わされるケースが増えてしまう。このような場合において、高性能化や高速化に対応できないクラム品が使用されると、クラム品を使用できないだけでなく、画像形成装置を壊してしまう危険性もある。
【0028】
また、たとえば、偽造防止機構を備えた画像取込部にて装置を構成してユーザに提供した後に、ユーザ側にて偽造防止機構を備えていない画像取込部に交換されてしまうと、偽造防止機能を全く備えていない装置になってしまい、不都合を生じる。つまり、このケースでは、ユーザ側にて交換した画像取込部は、本来は不正品ではないものの、偽造防止機構という観点では適正なデバイスでないことになる。
【0029】
また、たとえば偽造防止機構を備えた画像取込部にて装置を構成してユーザに提供した後に、ユーザ側にて偽造防止機構を備えた画像処理部や画像記録部に交換されてしまうと、偽造防止機能が重複して備えられた装置になる。この場合、一見不都合が無いようにも思えるが、実際には、各部の偽造検知性能の違いに起因して、効率の悪い偽造防止処理になってしまう。つまり、このケースでも、ユーザ側にて交換した画像処理部や画像記録部は、本来は不正品ではないものの、偽造防止機構という観点では適正なデバイスでないことになる。
【0030】
このような問題は、画像形成装置に限らず、双方向性かつシリアル通信方式あるいは双方向性かつピアツーピアという特徴を持つ接続インタフェースを採用してデバイス間を着脱自在にした情報処理装置一般に起こり得る問題である。
【0031】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、システムの高速化、高性能化、あるいは多機能化の要求に対して容易に対応することができるとともに、不正使用排除機能を合理的、効率的に構築し、装置機能上適正なデバイスの組合せを確実に構成することのできる画像形成装置や情報処理装置を提供することを目的とする。
【0032】
また本発明は、本発明の画像形成装置や情報処理装置に使用される接続デバイスを提供することを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明に係る画像形成装置は、画像形成に関わる機能部分であり装置本体に対して着脱可能な画像形成機能部と、装置本体に装着されている画像形成機能部の動作を制御する動作制御部とを備えた画像形成装置であって、画像形成機能部に入出力される画像データと制御部が画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せるとともに、画像データおよび制御コマンドの伝送を双方向かつシリアル通信方式、または双方向かつ1対1(Peer to Peer)の接続形態で採る接続インタフェース部を備えたものとした。
【0034】
なお、接続インタフェース部は、ある一定の規格を満足する標準インタフェースであることが望ましい。この標準インタフェースは、ホットプラグ(Hot−Plug)接続可能であるもの、あるいはシリアル通信方式によるインタフェースを複数纏めることで帯域幅を切替可能であるものが好ましく、このような特徴を持つ好適なものとして、たとえばPCI−EX(ピーシーアイエクスプレス)を用いるのがよい。
【0035】
また、本発明に係る画像形成装置は、画像形成機能部を含む装置本体に装着されている接続デバイスが備える不正使用排除機能に関する情報を取得する不正使用排除機能情報取得部と、不正使用排除機能情報取得部が取得した不正使用排除機能に関する情報に基づいて、一方の前記接続デバイスが他方の前記接続デバイスとの関わりで装置全体として適当なものであるか否かを判断し、その判断結果に基づいて不正な使用を制限するよう、前記一方および他方の接続デバイスの内の少なくとも1つ(つまり何れかの接続デバイス)を制御する不正デバイス監視処理部とを備えるものとした。
【0036】
なお、接続デバイスが備える不正使用排除機能に関する情報を取得する際には、画像データや制御コマンドの伝送に使用される接続インタフェース部を利用して取得してもよいし、接続インタフェース部とは独立に設けられた専用の通信ラインを利用して取得してもよい。
【0037】
本発明に係る画像形成装置において、不正使用排除機能情報取得部を、不正使用排除機能に関する情報として偽造防止機構に関する情報を取得するものとするとともに、不正デバイス監視処理部を、不正使用排除機能情報取得部が取得した偽造防止機構に関する情報に基づいて、画像形成装置全体として適正な偽造防止機能が実現されるよう制御を行なうものとすることで、効率的かつ合理的(システム全体として最適)な偽造防止機能が実現される装置とすることができる。
【0038】
この偽造防止機能が実現される装置とする場合、不正デバイス監視処理部は、複数の接続デバイスの1つにより検知した不正使用行為の情報に基づいて、偽造防止機能が実現されるよう他の接続デバイスと連携させて制御を行なうものとすることが望ましい。たとえば、あるデバイスにて複写禁止物(紙幣など)に関する情報を検知した場合、システム全体を停止すると同時にユーザインタフェースによりその旨を表示したり、画像を高濃度の単色で塗りつぶすなど、各デバイスが備える偽造防止機構を選択的に制御することが望ましい。
【0039】
また、本発明に係る画像形成装置において、不正使用排除機能情報取得部を、不正使用排除機能に関する情報としてクラム品使用防止機構に関する情報を取得するものとするとともに、不正デバイス監視処理部を、不正使用排除機能情報取得部が取得したクラム品使用防止機構に関する情報に基づいて、画像形成装置全体として適正なクラム品使用防止機能が実現されるよう制御を行なうものとすることで、効率的かつ合理的(システム全体として最適)なクラム品使用防止機能が実現される装置とすることができる。
【0040】
このクラム品使用防止機能が実現される装置とする場合、不正デバイス監視処理部は、複数の接続デバイスの1つによるクラム品検知結果が適正なデバイスである旨を示している際には、他のデバイスと連携させて適正なクラム品使用防止機能が実現されるよう制御を行なうことが望ましい。たとえば、単体の判断としては正常なデバイスであっても、他のデバイスとの関わりで適切に使用可能であるか否かを判断し、不適切なデバイスの場合には使用を制限(実質的に禁止)し、また、画像形成装置の全体の規定消費電力が所定の範囲内に収まるように接続デバイスに供給する電源電力を制御するなど、不都合のない範囲でその接続デバイスの使用を許可することが望ましい。
【0041】
また、本発明に係る画像形成装置において、不正デバイス監視処理部は、上述のような制御により不正な使用を制限した際には、制限した旨を示す情報を音声もしくは画像にてユーザに提示することが望ましい。
【0042】
また、本発明に係る画像形成装置において、動作制御部には、オペレーティングシステムと、画像形成機能部を制御するためのアプリケーションソフトウェアが組み込まれることが望ましい。また、動作制御部が不正デバイス監視処理部を兼ねる構成の場合には、動作制御部には、不正な使用を制限するための制御ソフトウェアが組み込まれることが望ましい。なお、ソフトウェアは、コンピュータ読取り可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよいし、有線あるいは無線による通信手段を介して配信されてもよい。
【0043】
なお、動作制御部に組み込まれた制御ソフトウェアを利用するに際しては、上述の全て機能を制御ソフトウェアにて実現してもよいし、不正使用排除機能情報取得部から取得した不正使用排除機能に関する情報が、何れの接続デバイスも不正使用排除機能を備えていない旨を示していることを条件として、制御ソフトウェアに基づいて制御を行なうようにしてもよい。
【0044】
本発明に係る接続デバイス(モジュール基板や機能ユニットなどの機能モジュールや周辺デバイスなど)は、画像を所定の記録媒体に形成する画像形成装置に使用される接続デバイスであって、画像形成装置に搭載されている動作制御部が接続デバイスの動作を制御するための制御コマンドの伝送を双方向かつシリアル通信方式、または双方向かつ1対1(Peer to Peer)の接続形態で採る接続インタフェース部と、接続デバイスの属性を示す情報であって接続デバイスが備える不正使用排除機能に関する情報を画像形成装置に通知するデバイス情報通知部とを備えたものとした。
【0045】
なお、接続デバイスが、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部を備えるものである場合、接続インタフェース部は、画像形成機能部に入出力される画像データと動作制御部が画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せてとるものであるのがよい。画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部を複数備えた構成とする場合には、動作制御部を介した複数の画像形成機能部間においても、双方向かつシリアル通信、あるいは双方向かつ1対1の接続形態とすることが好ましい。
【0046】
また上記において、画像形成に関わる機能部分とは、画像もしくは画像データに対して何らかの処理を施す機能部分を意味する。一方の機能部分から受け取った画像データに対して何らの処理を加えることなく他方の機能部分へ転送するだけのものや、電子的にデータ保存する記録メディアに他の機能部分から受け取った画像データを記録する(書き込む、格納する)ものは、本願の画像形成に関わる機能部分には含まない。
【0047】
たとえば、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部は、原稿上に形成された画像を光学的に読み取ることで画像情報を取得する画像取込部、所定の(たとえば画像取込部で取り込んだ)画像情報に対して所定の画像処理を施す画像処理部、および所定の(たとえば画像処理部により画像処理が施された処理済の)画像情報に基づいて画像を所定の記録媒体上に形成する画像記録部のうちの少なくとも1つを含むものであればよい。
【0048】
これに対して、たとえば、通信網を介して取得した画像データを他の機能部分に転送する通信インタフェース部(通信ドライバ)や、受け取った画像データを半導体メモリやCD−R(Compact Disc−Recordable)のような追記型光ディスクあるいはCD−RW(−ReWritable )のような書き換え可能型光ディスクなどの書込み可能なメディアに記録するドライブ装置は、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部には含まない。
【0049】
本発明に係る情報処理装置は、クライアントより指示された情報処理をする機能部分であって装置本体に対して着脱可能な情報処理機能部と、装置本体に装着されている情報処理機能部の動作を制御する動作制御部とを備えた情報処理装置であって、情報処理機能部に入出力される処理対象データと動作制御部が情報処理機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せるとともに、処理対象データおよび制御コマンドの伝送を双方向かつシリアル通信方式、または双方向かつ1対1(Peer to Peer)の接続形態で採る接続インタフェース部と、情報処理機能部を含む装置本体に装着されている接続デバイスが備える不正使用排除機能に関する情報を取得する不正使用排除機能情報取得部と、不正使用排除機能情報取得部が取得した不正使用排除機能に関する情報に基づいて、一方の接続デバイスが他方の接続デバイスとの関わりで装置全体として適当なものであるか否かを判断し、その判断結果に基づいて不正な使用を制限するよう、一方および他方の接続デバイスの内の少なくとも1つ(つまり何れかの接続デバイス)を制御する不正デバイス監視処理部とを備えたものとした。
【0050】
本発明に係る情報処理装置に使用される接続デバイスは、情報処理装置に搭載されている動作制御部が接続デバイスの動作を制御するための制御コマンドの伝送を双方向かつシリアル通信方式、または双方向かつ1対1(Peer to Peer)の接続形態で採る接続インタフェース部と、接続デバイスの属性を示す情報であって接続デバイスが備える不正使用排除機能に関する情報を情報処理装置に通知するデバイス情報通知部とを備えたものとした。
【0051】
画像形成装置やそれ用の接続デバイスにおいての従属請求項に記載の発明要素を、情報処理装置やそれ用の接続デバイスにおいても、同様に発明要素として適用し得るものである。
【0052】
【作用】
上記構成においては、画像形成機能部や情報処理機能部と動作制御部との間で伝送インタフェースを採るに際して、先ず、画像データや処理対象データと制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せることとした。そして、これら画像データや処理対象データと制御コマンドの伝送を双方向かつシリアル通信方式で採る、および/または双方向かつピアツーピア接続形態で採る接続インタフェース部を設けた。
【0053】
双方向性の通信方式で接続インタフェースを採り、画像データや処理対象データを複数の画像形成機能部や情報処理機能部の間で自由にハンドリングすることを可能とすることで、高性能化や多機能化の要求に応える。
【0054】
また、シリアル通信方式とすることで、信号線同士でのデータのずれや不ぞろい、あるいはクロストーク現象を防止する。また、ピアツーピア接続とすることで、機能部間(複数の画像形成機能部や情報処理機能部の相互間や、それらと動作制御部との間)あるいはボード間でのデータ転送を専用化する。何れも、高性能化や高速化の要求に応えるものである。
【0055】
また、不正使用排除機能情報取得部は、接続デバイスが備える不正使用排除機能に関する情報を取得して不正デバイス監視処理部に通知する。不正デバイス監視処理部は、この通知に基づいて、一方の接続デバイスが他方の接続デバイスとの関わりで装置全体として適当なものであるか否かを判断し、その判断結果に基づいて不正な使用を制限するよう、何れかの接続デバイスを制御する。
【0056】
たとえば、複数のデバイスの偽造防止機能を同時に作動させると不正使用有無の検知に不都合が生じる虞れのある場合には、先ず一方のみを作動させて不正使用の有無を検知する。そして、不正使用が検知されると、複数のデバイスを連携させて、偽造防止処理を実行する。
【0057】
また、デバイス単品の判断では不正なデバイスでない場合であっても、他のデバイスとの組合せ使用にて不都合の生じる場合には、不都合のない範囲でその接続デバイスの使用を許可する、あるいは使用を禁止するなどする。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0059】
図1は、本発明に係る画像形成装置を備えた画像処理システムを示す概略図である。この画像処理システム1は、画像入力端末3および画像出力端末7を備える。
【0060】
画像入力端末3は、デジタルドキュメント(以下単にドキュメントという)DOCを作成したり編集などの処理をする、たとえばパソコン(パーソナルコンピュータ)3a、カラースキャナ3b、デジタルカメラ3c、またはハードディスク装置や光磁気ディスク装置あるいは光ディスク装置などのデータ格納装置3d、さらにはFAX装置3eなど、任意数の画像入力ソースを含み得る。
【0061】
画像出力端末7は、本発明に係る画像形成装置の一例であって、たとえば複写装置能、ページプリンタ機能、およびファクシミリ送受信機能を備えたいわゆる複合機(マルチファンクション機)で、デジタルプリント装置として構成されている。
【0062】
画像入力端末3のそれぞれには、ドキュメントDOC作成用のアプリケーションプログラムなどが組み込まれる。たとえば、画像入力端末3側にて用意されるドキュメントDOCを表す電子データは、画像出力端末7で処理可能な画像フォーマット(たとえば、JPEG、BMP、PNGなど)で記述される。またたとえば、パソコン3aで作成された文書ファイルは、たとえばプリンタなどで印刷出力するために、図形、文字などの拡大、回転、変形などが自由に制御できるページ記述言語(PDL:Page Description Language )で記載されたデータとして画像出力端末7に送られる。
【0063】
PDLで作成されているデータ(PDLデータ)は、ページ内の任意位置の画像、図形、文字を表現する描画命令およびデータを任意の順で配置した命令およびデータ列で構成されている。このPDLデータを受け取った画像出力端末7は、印字前に出力単位ごと(1ページごと)に画像データをレンダリング(描画展開)してからプリンタエンジン部にそのラスタデータを出力する。
【0064】
画像出力端末7は、大まかに、画像読取装置10、画像形成装置30、および給紙装置80から構成されている。また画像出力端末7は、接続ケーブル90を介してネットワークに接続可能になっている。たとえば、接続ケーブル90は、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)型LAN(Local Area Network;たとえばIEEE802.3)やギガビット(Giga Bit)ベースのLAN(以下纏めて有線LAN8という)によりパソコン3aなどの画像入力端末3に接続される。
【0065】
あるいは一般加入電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network )9を介してFAX装置3eなどの画像入力端末3に接続される。なお、一般加入電話網PSTNに代えて、ISDN(Integrated Switched Digital Network )またはインターネットを含む他の通信媒体を利用してファクシミリをやり取りするようにしてもよい。
【0066】
また、画像出力端末7は、たとえばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc. ;米国電気電子学会)1394規格のデバイス3fやUSB(Universal Serial Bus)2.0規格のデバイス3gなどとも接続可能となっており、これらのデバイス3f,3gからデジタル画像データを受け付けることもできる。あるいは、これらデバイス3f,3gを介してリモートで画像出力端末7を制御することもできるようになっている。
【0067】
このように、画像出力端末7は、装置外の画像入力端末3からデータを受け取って印刷出力するため、画像入力端末3のそれぞれとの間で通信する回路部材を搭載したインタフェース基板を装置内部に装着可能となっている。このインタフェース基板は常に本体に搭載されている必要はなく、必要に応じて取り付け得るよう着脱自在な構成となっている。
【0068】
また、インタフェース基板に限らず、画像読取装置10や画像形成装置30、あるいは画像形成ユニット37は、他のユニット(接続デバイス)と交換自在に構成されている。また、たとえば画像形成装置30内の回路モジュールも所定ブロックごとの基板単位で他の回路モジュールと交換自在に構成されている。性能向上や機能変更に柔軟に対応するためである。
【0069】
前述のインタフェース基板や回路モジュール基板は、それらが接続される本体側との間の電気信号の電送が共通のインタフェースで接続されるようになっている。またインタフェース基板や回路モジュール基板は、装置本体側が動作時(電源投入時)であっても着脱可能なホットプラグ対応となっている。このような構成とするための具体的仕組みについては、後述する。
【0070】
画像読取装置10は、原稿を図示しない読取台(プラテンガラス)上の読取位置まで搬送し排紙するドキュメントフィーダ12と、表示機能も備えた操作パネル(ユーザインタフェース)14と、装置に対する種々の設定をする操作キー16とを含む。なお、操作パネル14や操作キー16に代えて、あるいはこれらとともに使用される大型ユーザインタフェースあるいはメンテナンス画面を備えたユーザインタフェース装置15を設けてもよい。
【0071】
画像形成装置30は、画像形成ユニット32と、両面複写ユニット34と、排紙ユニット36と、1枚もしくは複数枚(図は複数枚で例示)の処理基板38とを含む。画像形成ユニット32は、画像読取装置10にて得られた画像信号により表される画像を、電子写真式、感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいは同様な従来の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙上に可視画像を形成する(印刷する)すなわち複写する。このため、画像形成ユニット32は、たとえば画像処理システム1をデジタル印刷システムとして稼働させるためのラスタ出力スキャン(ROS)ベースのプリントエンジンを備える。
【0072】
処理基板38には、画像形成装置30用の処理部(特に画像処理部)だけでなく、画像出力端末7全体の種々の処理をするための回路が搭載される。たとえば、画像出力端末7内に構築された資源であるドキュメントフィーダ12、操作パネル14、図示しない画像読取ユニット(スキャナ部)、画像形成ユニット32、両面複写ユニット34、排紙ユニット36、あるいは給紙トレイ82など制御する回路が搭載される。この処理基板38には、半導体製の記憶媒体が搭載され、たとえば、複写アプリケーション、プリンタアプリケーション、ファクシミリ(FAX)アプリケーション、あるいは他のアプリケーション用の処理プログラムが格納される。
【0073】
たとえば、画像読取装置10は、画像入力端末の機能を備えており、たとえばCCD固体撮像素子の全幅アレイを使用して、読取位置へ送られた原稿に光を照射することで、原稿上の画像を読み取り、この読み取った画像を表すアナログビデオ信号をデジタル信号へ変換し、画像形成装置30へ送る。この画像読取装置10の読み取りに同期して、用紙が複数(A4,B4,A3)の給紙トレイ82の内の何れかから画像形成装置30へ給紙されると、画像形成装置30の画像形成ユニット32は、その用紙の一方の面に画像読取装置10が読み取った画像を形成する。両面複写ユニット34は、一方の面に画像が形成された用紙を裏返し、再び画像形成ユニット32にその用紙を給紙する。これにより、画像読取装置10が読み取った画像が用紙の他方の面に形成され、両面複写が完了される。画像形成ユニット32から排出される用紙あるいは両面複写済み用紙は、排紙ユニット36により、ページ順に連続的に、あるいは1ページごとにソートされる。
【0074】
なお、画像出力端末7は、画像読取装置10にて読み取った画像の印刷機能すなわち複写装置能に限らず、接続ケーブル90を介してパソコン3aなどの画像入力端末3から取得した文書データや画像ファイルなどに基づいて画像を印刷するいわゆるプリント機能や、電話回線9および接続ケーブル90を介して受信したFAXデータに基づいて印刷出力するFAX機能も備える。
【0075】
図2は、画像出力端末7における画像処理機能を示すブロック図である。画像読取装置10は、スキャナ部20と読取信号処理部22とを有する。
【0076】
スキャナ部20は、たとえばCCD(電荷転送型の固体撮像素子)からなるラインセンサ(イメージセンサ)で読取台上に載置された原稿を読み取り、この読み取った入力画像を赤R、緑G、青Bの各色成分のデジタル画像データに変換し読取信号処理部22に送る。
【0077】
読取信号処理部22は、たとえばシェーディング補正部24や入力階調補正部26、あるいは図示しない増幅部やA/D変換部などを有している。ラインセンサからの赤、緑、青のアナログ画像信号は増幅部で所定のレベルまで増幅され、A/D変換回路でデジタル画像データに変換される。シェーディング補正部24は、このデジタル画像データに対し、ラインセンサの画素感度バラツキの補正や光学系の光量分布特性に対応したシェーディング補正を施す。入力階調補正部26は、シェーディング補正されたデジタル画像データに対し階調特性を調整した後画像形成装置30の前段色信号処理部40に入力する。
【0078】
画像形成装置30は、プリント出力信号処理系統として、前段色信号処理部40と、イメージ圧縮伸張処理部(イメージ圧縮伸長プロセッサ)50と、後段色信号処理部60と、画像形成ユニット32の主要部であるプリントエンジン70とを有する。前段色信号処理部40と、イメージ圧縮伸張処理部50と、後段色信号処理部60とが処理基板38(図1参照)上に電気回路として構成される。
【0079】
前段色信号処理部40は、たとえば入力色変換部42、画像受取部の一例である外部インタフェース部43、画像情報領域分離部44、出力色変換部46、および下色除去部48を有する。この前段色信号処理部40においては、先ず画像読取装置10の読取信号処理部22からの赤、緑、青のデジタル画像データ(色信号)を一旦図示しないページメモリに記憶する。そして、画像形成ユニット32にて使用する色材の分光特性に対する色補正処理(これを特に前段階の色補正処理という)を施すことで、色濁りを防止する。入力色変換部42は、デジタル画像データを、外部機器との色情報交換に適した色信号、たとえば均等色空間の明度信号L並びに彩度および色相を表す色度信号a,b(以下纏めてLab信号ともいう)に変換する。
【0080】
画像出力端末7をプリンタとして使う場合には、外部インタフェース部43は、画像入力端末3側にて用意されたドキュメントDOCを表すPDLデータを、出力単位ごと(1ページごと)にLab信号でレンダリング(描画展開)する。同様に、画像出力端末7をカラーFAX装置として使用する場合には、外部インタフェース部43は、FAX装置3eからFAXデータを受信し、FAX画像をLab信号にてラスタライズする。次いで、このLab信号に基づいて、たとえば画像情報領域分離部44は画像領域(絵文字)分離処理を施し、編集処理部45は色編集処理やモアレを除去したり中間調データを平滑化する平滑化処理あるいは画像拡大や画像縮小などの画像編集処理を施す。
【0081】
その後、出力色変換部46は、Lab信号を、減法混色用に適した色信号に変換する。たとえば、出力色変換部46は、Lab信号で表されるLab表色系から、たとえばイエロ(Y)、マゼンタ(M)、およびシアン(C)の各色信号で表されるYMC表色系、あるいはこれにブラック(K)を加えたCMYK表色系へのマッピング処理をし、プリント出力用に色分解されたラスタデータを生成する。また、下色除去部48は、このようなラスタデータ化の処理に際して、カラー画像のCMY成分を減色するアンダーカラー除去処理(UCR;Under Color Removal )をする。なお、下色除去部48は、さらに減色されたCMY成分を部分的にK成分と交換するグレー成分交換(墨生成)処理(GCR;Gray Component Replacement)をする。また、下色除去部48は、入力画像の下地濃度に応じて、YMCKの各色の画像データのうちの所定の下地濃度以下の画像データをカット(無効化)する下地除去処理を施す。そして、これら一連の処理(前段色信号処理)が施されたデジタル画像データは、イメージ圧縮伸張処理部50に入力される。
【0082】
イメージ圧縮伸張処理部50は、印刷イメージをたとえばJPEGなどの圧縮画像フォーマットで圧縮し、不揮発性の記憶媒体の一例であるハードディスク装置(HDD;Hard Disc Device)54に一時的に格納(圧縮保存)したり、圧縮保存された印刷イメージを伸長するために使用する。このため、イメージ圧縮伸張処理部50は、たとえば、符号化部52および復号化部56を備える。
【0083】
符号化部52は、図示しないパラメータ設定部により設定された符号化パラメータを用い、たとえばDCT(Discrete Cosine Transform )などの直行変換符号化やベクトル量子化などの方法により符号化して非可逆圧縮して符号化画像データ(符号化色信号)を生成する。符号化部52により非可逆圧縮されたY,M,C,Kの各色の符号化画像データは、画像格納部の一例であるハードディスク装置54に略同時に書き込まれる。
【0084】
次いで、プリントエンジン70の図示しない先端検出器からの先端検出信号(副走査方向の印字始点を示す信号)に同期して、ハードディスク装置54からY,M,C,Kの各色の符号化画像データが順次一定間隔をおいて読み出され復号化部56に入力される。復号化部56は、このY,M,C,Kの各色の符号化画像データを、図示しないパラメータ設定部により設定された符号化パラメータを用い、符号化部52における符号化に対応する復号化をして、元の画像データ(復号化色信号)に戻す。
【0085】
後段色信号処理部60は、イメージ圧縮伸張処理部50からのデジタル画像データに対して印刷出力用の色補正処理を施し(これを特に後段の色補正処理という)、この色補正処理が施されたデジタル画像データに基づいて、印刷用の2値化データを生成し画像形成ユニット32に渡す。このため、後段色信号処理部60は、画像編集部62、MTF補正部64、出力階調補正部66、および中間調生成部68を有する。
【0086】
画像編集部62は、イメージ圧縮伸張処理部50からのデジタル画像データ(CMYKなど)に応答して作成される出力画像のトナー像を調整するために、色分解の直線化または同様の処理をする。また、画像編集部62は、エッジ強調用空間フィルタを用いて、復号化部56から順次一定間隔をおいて読み出されたY,M,C,Kの各色の復号化画像データを、エッジ強調処理することで、画像のシャープネスを調整する。
【0087】
MTF補正部64は、画像の空間周波数特性を補正する。出力階調補正部66は、エッジ強調およびMTF補正されたY,M,C,Kの各色のデジタル画像データを、たとえばルックアップテーブルを参照しガンマ補正する。また、出力階調補正部66は、プリント出力信号処理系統の内部の特性値である濃度あるいは明度を表す各色の画像データY,M,C,Kを、プリントエンジン70の特性値の面積率に応じて、色補正処理(TRC処理;Tone Reproduction Correction)する。
【0088】
中間調生成部68は、前述の各処理が施されたデジタル画像データに基づいて、ハーフトーニング処理をして疑似中間調画像を表す2値化データを得、この2値化データを画像形成ユニット32に渡す。なお、この中間調生成部68は、画像形成ユニット32に組み込まれることもある。この場合、外部入力系統の画像データが、前段色信号処理部40、イメージ圧縮伸張処理部50、および後段色信号処理部60を介さずに、図示しないビデオセレクタなどを介してプリントエンジン70すなわち画像形成ユニットに入力される構成となる。この場合、従来であれば、予め外部で画像形成ユニット32(詳しくはプリントエンジン70)の特性に合わせた色調合わせなどの処理を事前に処理してから、画像形成ユニット32に画像データを渡さなければならなかった。
【0089】
画像形成ユニット32は、その主要部であるプリントエンジン70と、このプリントエンジン70の主にメカニカルな動作を制御するためのIOTコントローラ72とを有する。プリントエンジン70は、たとえば電子写真プロセスを利用するものであるのがよい。なお、プリントエンジン70は、前述のように、電子写真方式のものに限らず、たとえば感熱式プリンタやインクジェットプリンタまたは粒子線写真プリンタなどで実施することもできる。
【0090】
電子写真プロセスを利用するものの場合、プリントエンジン70は、光走査装置を備える。たとえばプリントエンジン70は、光ビームを発するレーザ光源74と、後段色信号処理部60から出力された印刷用の2値化データに従ってレーザ光源74を制御すなわち変調するレーザ駆動部76と、レーザ光源74から発せられた光ビームを感光性部材(たとえば感光体ドラム)79に向けて反射させるポリゴンミラー(回転多面鏡)78とを有する。
【0091】
この構成により、プリントエンジン70は、レーザ光源74が発生する光ビームをポリゴンミラー78上の複数の面で反射させて感光性部材79を露光し、スキャン走査によって感光性部材79上に潜像を形成する。潜像が形成されると、当該技術分野で公知の多数の方法のうち任意の方法に従って像を現像し、さらに所定の印刷媒体に転写してカラー画像を可視像として出力する。得られた印刷物は、図示しない定着器により定着され、印刷用紙は両面複写のために両面複写ユニット34(図1参照)により裏返されるか、または直ぐに排紙ユニット36(図1参照)へ引き渡され排紙される。
【0092】
なお、この図2では示していないが、画像取込部210や画像記録部230などには、デバイスの組合せによっては、不正品対策処理機構(たとえば偽造防止機構やクラム品使用防止機構)が搭載される。この点については、後で詳しく説明する。
【0093】
図3は、図1に示した画像出力端末7における回路構成のシステムアーキテクチャの一例を示す図である。なお、図示する画像出力端末7は、デジタル複写装置や複合機として利用する場合の形態を示している。
【0094】
画像出力端末7の処理基板38(1枚とは限らない)上には、先ず本発明に係る動作制御部の一例であるコントローラ部100が配されている。コントローラ部100は、中央演算処理部の一例であるCPU(プロセッサ)110、メモリブリッジ部(Memory Bridge )120、および電源供給時にのみ記憶内容を保持する揮発性の記憶媒体の一例であるメインメモリ(主記憶部)130を備える。
【0095】
なお、図示しないが、コントローラ部100には、オペレーティングシステムOSや、後述する画像形成に関わる各機能部分あるいは周辺デバイスを制御するためのアプリケーションソフトウェアが組み込まれる不揮発性の記憶媒体(ROM)が設けられる。
【0096】
CPU110は、画像出力端末7全体の動作制御およびデータ処理を実行するメインコントローラであり、オペレーティングシステムOSの制御下で、各種プログラムを実行するようになっている。
【0097】
メインメモリ130は、CPU110が実行するプログラムをロードしたり、作業領域として使用するためのRAM(random access memory)などの揮発性の半導体メモリである。メインメモリ130内にプログラムコードやデータが収まりきらなくなった場合には、仮想メモリシステムとファイルシステムとの協調動作によって、ハードディスク装置(HDD)54などの補助記憶装置との間で入れ替え(スワッピング)が行なわれるようになっている。
【0098】
メモリブリッジ部120には、CPU110と協働してCPU110とメインメモリ130との間のデータの入出力を制御するメモリコントローラが組み込まれている。そして、メインメモリ130は、メモリブリッジ部120を介してCPU110と接続されるようになっている。CPU110とメインメモリ130との間は、DMA(Direct memory Access )オペレーションにより、たとえば32バイトのブロック単位でデータが転送される。
【0099】
たとえば、メインメモリ130として、“RDRAM;Rambus Dynamic RAM”や“DDR SDRAM;Double Data Rate Synchronous DRAM ”を使用し、またメモリのバス帯域幅も広げることで、データ転送速度を向上させる。なお、このDMA転送のサイズは、32バイトに限らず、32バイトより大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0100】
また、コントローラ部100は、I/Oブリッジ部(Input/Output Bridge )140、および周辺デバイスとの間の通信インタフェースを切り替える切替部の一例であるスイッチ部(Switch)150を備える。I/Oブリッジ部140には、CPU110と協働して機能するI/O(入出力)コントローラが組み込まれる。スイッチ部150には、周辺のデバイスとの間のインタフェースを採る入出力インタフェースドライバが組み込まれた種々のアドオンボード(ドライバ基板)250が追加接続(アドオン)されるようになっている。
【0101】
たとえば、ギガビット(Giga Bit)ベースのLAN8(図1参照)との間のインタフェースを採るLANボード252、IEEE1394規格のデバイス3f(図1参照)との間のインタフェースを採る1394ボード254が、スイッチ部150に接続可能となっている。スイッチ部150に組み込まれる入出力インタフェースドライバは、周辺デバイスとの間に介在する個々のアドオンボード250(LANボード252や1394ボード254など)との間で、1対1(Peer to Peer)で接続するように構成される。
【0102】
なお、I/Oブリッジ部140は、スイッチ部150を経由することなく、USB(Universal Serial Bus)2.0規格のデバイス3gとの間のインタフェースを採るUSBボード256が、直接に接続されるようになっている。LANボード252や1394ボード254についても、スイッチ部150を経由することなく接続してもかまわない。この場合、I/Oブリッジ部140に、LANボード252などとの間でのピアツーピア接続の仕組みを設ける。
【0103】
また、コントローラ部100は、処理基板38上には配されていないが、ハードディスク装置54を備える(図2参照)。このハードディスク装置54は、ハードディスクインタフェースの一例である“Serial ATA”規格によりI/Oブリッジ部140と接続される。
【0104】
なお、本実施形態において“Serial ATA”規格は、基本である“Serial ATA 1.0”の規格の上位規格である“Serial ATA II ”あるいは今後規格化されるであろうさらなる上位規格をも含む。
【0105】
I/Oブリッジ部140は、図1に示した操作パネル14や操作キー16などからなるユーザインタフェース装置と直接に接続されるようになっている。なお、コントローラ部100には、図中点線で示すように、ユーザインタフェースドライバの一例であるグラフィックスドライバ部(Graphics)160をオプションとして設けてもよい。この場合、図1に示した大型ユーザインタフェースあるいはメンテナンス画面を備えたユーザインタフェース装置15が、このグラフィックスドライバ部160を介してメモリブリッジ部120に接続される。
【0106】
また、I/Oブリッジ部140は、複合機などとして機能する画像出力端末7を構成する機能部分として、図示しないスキャナ装置により画像を光学的に走査することでデジタル画像データを得る画像取込部(Image Input Terminal)210と、画像取込部210により取得したデジタル画像データあるいはLAN(Local Area Network)や他の周辺デバイスから得たデジタル画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理部(Image Processing System )220、並びに画像処理部220により所定の画像処理が施されたデジタル画像データに基づいて、所定の記録媒体に画像を形成する画像記録部(Image Output Terminal )230と接続される。この接続間の電気信号伝送ライン上に、画像取込部210などの画像形成機能部に入出力される画像データとコントローラ部100がこれら画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとが、共通に乗せられる。
【0107】
なお、フラッシュメモリなどの半導体メモリを読み取り対象とする記録メディア読取部(メモリリーダ)、CD−RやCD−RWなどを記録媒体とする記録メディア書込部、あるいは他の画像記録部などを拡張ユニット240としてI/Oブリッジ部140と接続してもかまわない。
【0108】
画像取込部210は、図2に示した読取信号処理部22に対応し、画像処理部220は、図2に示した前段色信号処理部40、イメージ圧縮伸張処理部50、および後段色信号処理部60に対応する。また、画像記録部230は、図2に示した 画像形成ユニット32に対応する。
【0109】
画像取込部210、画像処理部220、あるいは画像記録部230などの画像形成に関わる機能部分(デバイス)の電気回路は、コントローラ部100の電気回路が搭載されるプリント基板(マザーボード)とは各別のプリント基板(モジュール基板)に、マザーボードに対して着脱自在に搭載されている。そして、これら各デバイスの電気回路を搭載したモジュール基板は、コントローラ部100の電気回路が搭載されているマザーボードから離れたところに、物理的にはケーブルを介して接続されて、分散配置される。あるいは、オンボード型の基板コネクタを介して、モジュール基板がマザーボード上に装着接続される構成としてもよい。ケーブル接続とする場合、プリント基板間の電気信号の伝送を、メタリックワイヤ(たとえば銅線)やプラスチック光ファイバPOFなどの光伝送媒体を用いて採る。
【0110】
なお、画像取込部210、画像処理部220、あるいは画像記録部230などの、画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部は、前述のように、画像形成装置を構成するために使用されるボードレベルのもの(モジュール基板)として提供されてもよいし、このモジュール基板を筐体内に収容した機能ユニットとして提供されてもよい。本明細書においては、このモジュール基板と機能ユニットとを纏めて、機能モジュールという。
【0111】
ここで、ケーブル接続とする場合において、機能モジュール(デバイス)間を銅線などの金属線(メタリックワイヤ)で接続すると、金属線から不要信号が送出されることで、EMI(ElectroMagnetic Interference;電磁界干渉)やEME(ElectroMagnetic Emission;電磁放射)あるいはEMC(ElectroMagnetic Compatibility ;電磁環境適合性)の問題が生じ得る。また、信号線を延ばすことで負荷容量が増え波形鈍りが生じることも懸念される。これに対して、光伝送媒体を機能モジュール間の信号伝送インタフェースに利用することで、電磁界干渉EMIや電磁環境適合性EMCの問題あるいは波形鈍りに起因する問題を解消しつつ配線長の長距離化を実現することができる。
【0112】
画像形成装置の一例である画像出力端末7は、画像取込部210などの画像形成機能部、周辺デバイス用のドライバ回路、あるいはユーザインタフェース装置など、画像出力端末7の本体に対して着脱自在な周辺デバイスが、装置機能上、適正なデバイスであるか否かを監視し所定の処理をする不正デバイス監視処理部180を備えている。つまり、動作制御部の一例であるコントローラ部100が、不正デバイス監視処理部180を兼ねる構成となっている。なお、このような構成に限らず、不正デバイス監視処理部180をコントローラ部100から外して、独立した構成としてもよい。
【0113】
不正デバイス監視処理部180は、各接続デバイスから、デバイスの属性を示すデバイスコンフィギュレーションJ0を取得し、このデバイスコンフィギュレーションJ0を参照して各デバイスの不正品対策モードを制御することで、複数デバイスが任意に組み合わされる構成においても、効率のよい偽造防止システムを構築したり、クラム品の使用を禁止したり、あるいはデバイスの故障の有無を判定することで、装置機能上適正なデバイスの組合せをより確実に補償することができるようにする。
【0114】
不正デバイス監視処理部180は、たとえばI/Oブリッジ部140と通信接続されている接続デバイスからはI/Oブリッジ部140を介して、I/Oブリッジ部140と通信接続されていない接続デバイスはたとえばメモリブリッジ部120を介してというように、標準インタフェースによる接続インタフェースを利用して、各接続デバイスのデバイスコンフィギュレーションJ0を取得する。
【0115】
また、不正デバイス監視処理部180は、各接続デバイスのデバイスコンフィギュレーションJ0に基づいて各デバイスの不正品対策モードを制御する際、制御コマンドCT3も、標準インタフェースによる接続インタフェースを利用して、各接続デバイスに通知する。このような構成により、特段の照合手法を採らなくても、不正品対策モードを制御する対象の接続デバイス(詳しくはその内部の機能部)と、デバイスコンフィギュレーションJ0や制御コマンドCT3に基づく各デバイスの不正品対策処理機能(たとえば偽造防止機能)とが1対1に対応付けられる。
【0116】
コントローラ部100における各機能部分を接続する接続インタフェースとしては、主に、双方向性でかつシリアル通信方式(Serial Interface)あるいはピアツーピアを採用した標準インタフェースが使用される。ここで、標準インタフェースは、IEEEやJIS(日本工業規格)などの非商業的組織または政府組織(公的な規格団体)によって認められた正当な(法律上の)技術的ガイドライン(de jure technical guideline )に従った、ハードウェア開発またはソフトウェア開発の領域において均一性を確立するために使用される公的なインタフェースであるのがよい。
【0117】
また、このような公的なインタフェースに限らず、民間団体や単一の会社にて取り纏められた私的な標準インタフェース、いわゆる業界標準インタフェース(工業標準インタフェース)であってもかまわない。何れにしても、標準インタフェースは、ある一定の規格を満足する接続インタフェースであればよい。
【0118】
たとえば、ある会社によって製品または理念が開発され、成功と模倣を通じて標準からの逸脱が互換性の問題を引き起こすか、または市場性を制限する程広く使用されるようになる場合に生じるハードウェア開発またはソフトウェア開発に関する事実上の(de facto)技術的ガイドライン(非公式な規格)が、本実施形態の標準インタフェースとして採用されてもよい。
【0119】
本実施形態において、標準インタフェースは、具体的には、PCI規格の一例である“PCI Express(商標)”(ピーシーアイエクスプレス;以下PCI−EXという)であることが好ましい。ここで「PCI−EX」とは、米国のIntel (インテル)社が提唱し、今日、PCI小研究グループ(PCI−SIG/SIG;Special Interest Group ;PCIの普及に向けて集まった企業による非営利団体)が仕様策定を進めているもので、当初は“3GIO(3rd Generation I/Oの略)”と称されていたシリアル転送インタフェースである。
【0120】
なお、シリアルインタフェース(Serial Interface)は、単一の信号線を用いて1ビットずつ順次データを送る伝送インタフェースである。このシリアルインタフェースの通信方式としては、多くのパソコンや携帯情報端末あるいは周辺機器で採用されているものとして、たとえばRS−232C,RS−422,IrDA,USB,IEEE1394,ファイバ・チャネルなどがあるが、PCI−EXは、これらよりも通信速度が各段に高速である。
【0121】
画像形成装置の一例である画像出力端末7において、コントローラ部100は、複写機能や印刷機能などのハードウェア部分、たとえば画像取込部210、画像処理部220、あるいは画像記録部230といった各デバイス間の画像データの入出力系の相互接続に関して、各デバイス間を同時に流れる大量のデータを絶え間なく管理するとともに、複写装置などの機能を果たすよう、各デバイスを制御しなければならない。
【0122】
高速処理が要求される場合、そのマシンサイクルを高めなければならない。この場合、CPU110やメインメモリ130などの高速化、大量の計算を必要とするアプリケーション、コネクティビティ(接続性)の向上などに適応するには、画像データや制御コマンドなどの種々のデータの流れの速度(内部バンド幅)も高速化していく必要がある。従来技術で述べたように、この高速化対応は、パラレルバスを用いた場合、難しかった。
【0123】
これに対して、シリアルインタフェースは、複数の信号線を利用するパラレルインタフェースに比べ、配線数が減りインタフェースコストを低減することができ、また信号線同士でのデータのずれや不ぞろい(スキュー)がなく、また信号線同士が電圧の影響を与え合うクロストーク現象も起こらない。また、ピアツーピア接続とすることで、伝送ラインを、時分割ではなく専用してデータ転送することができる。このため、シリアルインタフェースやピアツーピア接続は高速かつ長距離のデータ転送に適しており、画像データや制御コマンドなどの種々のデータの流れの速度を高速化していくことが、低コストかつ簡易に実現できるようになる。
【0124】
なお、本明細書において、PCI−EXの定義は、本明細書の作成時点にPCI−SIGで検討されているPCI−EX規格案(2002年7月23日に第1次規格案がグループメンバーに配布済み)を含んでおり、また、後に正式承認されるPCI−EXやその改訂版、あるいはさらにその後に拡張規格や上位規格として承認されるであろうものをも含んでいる。また、PCI−EX互換カードまたはインタフェースに対応する何れのバスも、PCI−EXとみなし得る。
【0125】
現在の規格案としては、たとえば、最大通信速度は2.5Gbps(現在のPCIは1.06Gbps)である。ただし、束ねての利用が可能(スケーラブル可能)なため、PCI−EXを2本(2レーンという)束ねて5Gbpsの通信速度を実現することなどもできる。また、PCI−EXは、ホットプラグ(Hot−Plug;ホットスワップともいう)接続に対応しており、活性挿脱が可能である。これにより、PCI−EXを画像出力端末7に適用することで、たとえばスロットインタイプの基板コネクタを介することで、カセット型のハードウェアユニットを画像出力端末7に差し込んでそのまま使うといった利用形態が実現できる。
【0126】
なお、周辺デバイスを接続するだけでシステムの設定が自動的に行なわれるのがプラグ・アンド・プレイ(Plug and Play )であるが、このプラグ・アンド・プレイを装置本体(たとえばコンピュータ)や周辺デバイスの電源を入れたままで可能としたのがホットプラグである。また、プラグ・アンド・プレイとは、周辺機器や拡張カードなどを装置本体(たとえばコンピュータなど)に接続した際に、デバイスドライバの組み込みと設定を自動的に行なう機能であり、“PnP”と略すこともある。
【0127】
ホットプラグ接続可能とすれば、装置を再起動せずに周辺デバイスのホットスワップを行なうことができ、たとえば複数のPCI−EXインタフェース部を持つシステム構成とする場合には(本実施形態もそうである)、アップグレード作業がより簡単になる。また、PCI−EXのスイッチコンポーネントをドッキングステーション(本体内に設けてもよいし外部に取り出してもよい)内部で利用することにより、PCI−EXのポート数を増やし、システム全体の入出力コネクティビティ(Input/Output Connectivity )を高めることもできる。
【0128】
本実施形態において、PCI−EXを適用するに好ましい接続インタフェース部は、図3に太い実線で示すように、メモリブリッジ部120とI/Oブリッジ部140との間、I/Oブリッジ部140とスイッチ部150との間、スイッチ部150とアドオンボード250(たとえばLANボード152や1394ボード254)との間、I/Oブリッジ部140と画像取込部210、画像処理部220、あるいは画像記録部230との間である。
【0129】
また、I/Oブリッジ部140と図1に示した操作パネル14や操作キー16などからなるユーザインタフェース装置との間や、メモリブリッジ部120とグラフィックスドライバ部160との間に適用するのもよい。また、拡張ユニット240をコントローラ部100(たとえばI/Oブリッジ部140)に接続する場合には、この拡張ユニット240との間に関しても、PCI−EXを適用するとよい。勿論、図3に示した例は一例であって、他の接続インタフェースについてもPCI−EXを適用するとよい。
【0130】
なお、操作パネル14や操作キー16などからなるユーザインタフェース装置とI/Oブリッジ部140との間に、図中点線で示すユーザインタフェースドライバ162を配してもよい。この場合、ユーザインタフェース(U/I)ドライバ162とI/Oブリッジ部140との間およびグラフィックスドライバ部160と操作パネル14や操作キー16などのユーザインタフェース装置との間の内の少なくとも一方(一方の場合はI/Oブリッジ部140側が好ましい)を、PCI−EXにて接続してもよい。
【0131】
このように、PCI−EXを適用して画像形成装置の一例である画像出力端末7を構成することで、コンピュータアーキテクチャでいうところの、グラフィックスやノース/サウス・ブリッジ、ローカルI/O、あるいは拡張バスなどに対応する部分を、すべてPCI−EXで実装することが可能となる。
【0132】
コントローラ部100(詳しくはI/Oブリッジ部140)と、画像取込部210、画像処理部220、あるいは画像記録部230などの各デバイスの間を、PCI−EXで接続し、かつ画像取込部210などの各デバイスをホットプラグ接続対応可能なものとすれば、画像取込部210などの各デバイスを装置(詳しくはI/Oブリッジ部140)に装着することで、コントローラ部100は、自動的に各デバイスの基本情報を取得して、所用の設定(たとえばデバイスドライバの設定)をすることができる。
【0133】
なお、上述のように、双方向性を有するとともにシリアル通信方式あるいはピアツーピア方式の接続インタフェース部を適用したことで、従来から広く知られているPCIバス(mini−PCIやPCI−Eなども含む)など、パラレル通信方式の接続インタフェース部を適用した場合に対して、著しいメッリトが得られる。
【0134】
すなわち、双方向性でかつシリアルやピアツーピアの接続インタフェース部を適用すれば、多数の信号線を利用するパラレルバスが持つ問題から解消され、たとえば信号線同士でのデータのずれやスキューがなく、また信号のクロストークも起こらない。このため、高速・長距離のデータ転送が可能となり、画像形成装置の高機能化や高速化を図る際の自由度が増すので、すなわち、ハードウェアの面では、マザーボード・チャンネルをはじめとする電気設計の制約がなくなる。よって、ハードウェア設計上の制約から解放され、従来のパラレルバスの延長線上では不可能であった高機能化や高速化を、容易かつ低コストで実現することができる。
【0135】
図4は、双方向性、シリアル、およびピアツーピアの特徴を持つ接続インタフェース部の好適な一例であるPCI−EXを説明する図である。
【0136】
本実施形態が採用するPCI−EXは、パソコン内部の部品や周辺機器を接続するための新しい規格であって、CPUやメモリの速度向上のペース対応するよう、主にI/O(Input/Output)の帯域幅向上のために開発されたものである。今日、米国Compaq社,米国Dell社,米国Hewlett−Packard社,米国IBM社,米国Intel社,米国Microsoft社などを中心とするPCI−SIGが規格の策定を行なっている。
【0137】
このPCI−EXのアーキテクチャは、図4(A)に示すように、コンフィグ層(Config/OS)、ソフトウェア層(Soft/Ware)、トランザクション層(Transaction )、データリンク層(Data Link )、および物理層(Physical)、の計5つの層に分けて通信を行なうように構成されている。
【0138】
シリアル方式のPCI−EXは、物理的な技術レベルでは、現在(従来)のパラレル方式のPCIとの間に繋がり(互換性)はない。しかし通信プロトコルなどは共通としており、PCI−EXは、従来(現在)のパラレル方式のPCIバスのアドレッシングモデルと互換性(ソフトウェア互換性)を持たせている(図4(A)参照)。これにより、現在のオペレーティングシステムOS、アプリケーションソフトウェア、ドライバなどをそのまま動作させることができるという利点がある。
【0139】
たとえば、コンフィグ層やソフトウェア層は、既存のパラレル方式のPCIとの関わりでは、既存のオペレーティングシステムOSに影響を与えないように考慮されている(No OS Impact)。また将来において、データ転送やエンコーディング方式に変更があっても、物理層のみに影響され、他の層には影響がないように考えられている(Future speeds and encoding techniques only impact the Physical Layer)。また、トランザクション層において、パケットフォーマットは、32ビットメモリアドレッシングをサポートし、64ビットメモリアドレッシングにも拡張対応可能となっている。
【0140】
このPCI−EXは、物理的には、図4(B)に示すように、シリアルの接続で、それぞれのデバイスの間は1対1で接続されている。すなわち、1つのレーン(通信チャネル)のルーティングは、他のルーティングから独立している。ルート計算処理の負荷は、パラレルバスの場合と比べて緩和されている。各デバイス(機能モジュール)には、接続インタフェース部をなす送受信回路が組み込まれる。また、PCI−EXは、従来のPCIに対して、QoS(Quality of Service)やホットプラグ、ホットスワップ、パワーマネージメントなどの拡張が行なわれている。
【0141】
また、双方向性とするための送信と受信は別々のリンクを使い、符号化(エンコーディング)方式としては8b/10b方式を採用している。このため、クロックはデータ信号に埋め込まれている。それぞれのリンクは、低電圧の差動信号となり、データ転送速度の基本性能は、片方向(すなわち1リンク)が2.5Gbps(Giga bit per sec)である。すなわち、1レーン当たり1ビット幅でデータ転送速度は2.5Gビット/秒である。これをバイトに直すと、レーン当たり250MB/Secの帯域幅が実現される。PCI−EXでは、上り下り双方向にレーンが用意されるため、標準のPCI−EX(1レーン;1×)では500MB/Secの帯域幅が実現される。
【0142】
また、PCI−EXは、レーンの幅をスケーラブルに変更でき、転送能力が必要な場合には、ペアの信号(リンク)をたとえば2,4,8,12,16,32と束ねることができ、32リンクまで拡張可能となっている。すなわち、PCI−EXは、一本の導線でどんどんデータを送るシリアル方式を採用しつつ、送信用と受信用の導線をワンセットにして、それを何組も使うことで、さらに高速化することができる。
【0143】
このPCI−EXを適用して画像形成装置を構成する場合、コントローラ部100と画像取込部210やその他の各デバイスとの間の接続は、必要となる転送能力に応じてリンクの数を変えるとよい。つまり、基本クロックを高くするといったことを必要とせず、リンクの数を変えるだけで、所用の転送能力を満たすことができる。
【0144】
上述のように、シリアル通信形式あるいはピアツーピアでかつ双方向性を有する接続インタフェース部として、PCI−EXなどの標準インタフェースを適用して画像出力端末7を構成することで、画像出力端末7を実質的に1つのコンピュータとすることができる。シリアル通信方式を採用したことで、パラレル通信方式の場合に必須であったデータの同期をとる必要がなくなり、コントローラを構成するCPUのクロックの向上に合わせて、画像形成に関わる機能部分の処理を高速化することができる。また、シリアル通信方式であるので、信号線数が減り、加えてデータ整合のための同期処理が不要であるから、低コストで高速化を実現することができる。また、PCI−EXのようにホットアンドプラグ接続が可能なアドオンボードを接続することで、画像形成装置の一例である画像出力端末7の機能を拡張することも容易になる。
【0145】
たとえば、画像形成に関わる機能部分が高速処理可能となるから、システムスループットの向上した画像出力端末7を実現することができる。また、コントローラ部を、パソコンのマザーボードと同様の構成にすることができるので、パソコン市場の安価な部品を流用して画像出力端末7を構成することができる。つまり、PCI−EXなどの標準インタフェースを画像出力端末7の基本アーキテクチャに採用すると、容易に入手可能なコンピュータのアクセサリや周辺機器をデジタル複写装置などにおいて簡単にかつ安価に利用することが可能となる。
【0146】
また、各機能ブロック間の接続を汎用規格(標準インタフェース)のPCI−EXとすることで、インタフェースコストの削減と配線のシンプル化、データ転送の高速化、あるいは開発工数の削減ができる。また、各機能ブロックをPCI−EXなどの標準インタフェースで接続することで、ハードウェアH/W(電気回路)レイアウトの自由度や独立性が高くなる。たとえば、画像取込部、画像処理部、あるいは画像記録部などの画像形成に関わる機能部分(デバイス)をコントローラ部が搭載されるプリント基板とは各別のプリント基板に搭載すれば、各デバイスをコントローラ部100から離れたところに分散配置することも容易である。たとえば、PCI−EXは、周辺機器インタフェースのためのアドオンボード250のようなホットアンドプラグ接続可能なインタフェースおよびカードが、容易に利用可能で安価なオフザシェルフ(off−the−shelf )製品とすることが可能となるので、デジタル複写装置などの画像形成装置のコストを削減可能にし、柔軟性およびスケーラビリティ(Scalability )を与える。
【0147】
また、従来の複写装置では、パソコンなどのクライアント端末へのデータ受渡しに独自回路を必要とし、また、その回路へデータを渡すためのデータ分配用基板を必要としたが、上記実施形態のように、双方向性、シリアル、およびピアツーピアの特徴を持つPCI−EXなどの標準インタフェースを利用した構成とすることで、複写装置とクライアント端末間のデータ受渡し用のインタフェースを有線LANやIEEE1394などの汎用規格とすることができ、開発工数を削減することができる。
【0148】
また、上記実施形態で示したようなアーキテクチャとすることで、複写装置などの画像形成装置が実質的に1つのコンピュータとなるので、ネットワーク化が容易となる。
【0149】
また、PCI−EXなどの、双方向性を有するとともにシリアルもしくはピアツーピアの方式を利用した接続インタフェースにて、コントローラ部と、画像取込部、画像処理部、あるいは画像記録部などの画像形成に関わる機能部分とを接続することで、画像形成装置を実質的に1つのコンピュータとし、コントローラ部にオペレーティングシステムOSや画像形成に関わる各機能部分あるいは周辺デバイスを制御するためのアプリケーションソフトウェアを組み込むようしたので、機能モジュールの汎用性、適用性の向上、拡張性の向上、あるいは資源の共有を図ることができる。
【0150】
また、これらのことから、装置の製造メーカにとっては作り易く、ユーザにとっては使い勝手のよいものとなる。たとえば、機能モジュールのバージョンアップや機能モジュールの組合せを変えることで高性能化、多機能化、あるいは高速化を図る場合に、それらの変更に応じて、コントローラ部にインストールするアプリケーションソフトウェアを変更するだけで、変更後の機能モジュールを適切に制御して使用することができる。バージョンアップをしたり機能モジュールの組合せを変えたりしても、コントローラ部に対する機能モジュールの接続構成は変わらないので、それらの変更に応じたアプリケーションソフトウェアの更新設計は容易である。
【0151】
一方、上述のようなアーキテクチャを採ると、機能モジュールあるいは周辺デバイスなどのオプション機器を含む接続デバイスの変更や追加が容易となることに起因した新たな問題が生じ得る。たとえば、従来の画像形成装置では、画像取込部、画像処理部、画像記録部、あるいは必要に応じて追加するオプション機器の一義的に決まった組合せの元に、偽造防止やクラム対策の機構を設けている。
【0152】
しかし、上述のようなアーキテクチャを採ると、各機能モジュールや周辺デバイスなどを任意に取り替えて装着することができるので、接続される機能モジュールや周辺デバイスの組合せ次第では、偽造防止やクラム対策が全く実施されないか、あるいはこれらの機能が複数デバイスで重複し却って不都合が生じる事態が起こり得る。そこで、この対策のために、図3に示したように、本実施形態の画像出力端末7は、本体に接続されているデバイスが、他の接続デバイスとの関わりで装置全体として適当なデバイスであるか否かを判断し、その判断結果に基づいて不正な使用を制限するよう制御する不正デバイス監視処理部180を備えている。以下、不正デバイス監視処理部180の機能について詳しく説明する。
【0153】
図5は、不正デバイス監視処理部180の作用の第1実施形態を説明する図である。この第1実施形態は、デバイスが任意に交換可能な構成において偽造防止機能を効率的に行なう仕組みのものである。ここで、図5(A)は、PCI−EXの接続インタフェースを利用して各接続デバイスのデバイスコンフィギュレーションJ0を取得するとともに所用のデバイスに偽造防止機能を作動させる制御系統を示す図、図5(B)は、接続デバイスごとに設けられる電源回路系および偽造防止機構の制御に着目した機能ブロック図である。
【0154】
図5(A)に示すように、不正デバイス監視処理部180は、各接続デバイスからデバイスコンフィギュレーションJ0を取得するデバイス情報取得部182と、デバイス情報取得部182が取得した個々の接続デバイスのデバイスコンフィギュレーションJ0に基づいて、各接続デバイスに設けられている偽造防止機能をオンオフ制御することで、画像出力端末7の全体の偽造防止機能が効率的に作動するようにする偽造防止制御部184とを備える。デバイス情報取得部182は、装置本体に装着されている接続デバイスが備える不正使用排除機能に関する情報を取得する不正使用排除機能情報取得部の一例である。
【0155】
デバイス情報取得部182は、CPU110の制御の元で、画像取込部210などの画像形成機能部、周辺デバイス用のドライバ回路、あるいはユーザインタフェース装置14,15,16など、画像出力端末7の本体に任意に着脱される各接続デバイスから、これら接続デバイスとI/Oブリッジ部140あるいはメモリブリッジ部120との接続インタフェースをなすPCI−EXを利用して、各デバイスのデバイスコンフィギュレーションJ0を取得する。偽造防止制御部184は、デバイス情報取得部182が取得したデバイスコンフィギュレーションJ0に記述されている偽造防止機能の有無や種類を参照して、偽造防止制御コマンドCT3aにより個々の接続デバイスの偽造防止機能を制御したり、コントローラ部100に組み込まれているソフトウェアによる偽造防止機能を作動させることにより、装置全体の偽造防止機能が効率的に作動するようにする。
【0156】
図5(B)に示すように、各接続デバイスには、不正デバイス監視処理部180の制御の元で接続デバイスのデバイスコンフィギュレーションJ0を不正デバイス監視処理部180に通知する機構が設けられる。たとえば、電源回路400は、画像出力端末7のメイン電源が投入されることでシステム電源部(図3では図示しない)から所定電圧の電源(UNSW)の供給を受けて、システムのメイン電源がオンされている限り常に稼働する機能部分である常時稼働部402と、システム電源部から所定電圧の電源(UNSW)の供給を受けて安定化した2次電圧を生成するスイッチング電源404と、スイッチング電源404からの電力供給を受けて稼働する機能部分であるスイッチ稼働部406とを備える。
【0157】
なお、接続デバイス内の機能部を常時稼働部402とスイッチ稼働部406とに分けているのは、活性挿脱(ホットプラグ)にしていることへの対応である。すなわち、本体側が動作時に接続デバイスが装着されることが起こり得るが、このとき新規に接続されたデバイス(新規デバイス)の全機能部に対して全電力を直ちに供給すると、装置全体の消費電力が最大定格を越えることも起きるため、常時稼働部402を作動させてデバイス確認をしてから、問題のない場合に限ってスイッチ稼働部406に電力を供給するためである。なお、図示する例では、スイッチ稼働部406は、スイッチング電源404の電源出力であるSW系統PW1〜PW5のうち、PW1〜PW3の供給を受けて動作する機能部分の他に、PW4,PW5というパワーセーブ系統からの供給を受けて動作するパワーセーブ部407を有する。
【0158】
常時稼働部402には、たとえば、その接続デバイス内の各部を制御するデバイスシステム制御部やPCI−EXを利用した接続インタフェース部をなす送受信回路などが設けられる。また、本体側の不正デバイス監視処理部180からの要求を受け、電源コンフィギュレーションJ1や偽造防止コンフィギュレーションJ2を含むデバイスコンフィギュレーションJ0を通知するデバイス情報通知部の機能も設けられる。たとえば、デバイスシステム制御部には不揮発性のメモリが設けられ、このメモリの所定の格納部(コンフィグレーションレジスタ)には、各接続デバイスの属性を示す情報であって画像形成装置との関わりでその接続デバイスが適正な動作を可能であるか否かを示すデバイスコンフィギュレーション(接続デバイスに固有のシステム情報)J0が記録される。
【0159】
たとえば、接続デバイスがスキャナ(画像取込部210)である場合、読取解像度や有効画像サイズあるいは各種原稿検知機能の判定結果算出時間、プロセス速度、スキャン開始命令から実際にデータが送出されるまでの時間などの機種ごとの詳細動作仕様が記録される。また、デバイスコンフィギュレーション(システム情報)J0の中には、接続デバイスの消費電力(定格値や最大値の何れでもよい)に関する情報である電源コンフィギュレーションJ1も記録される。接続デバイスの消費電力が、その接続デバイスの動作状態によって異なる場合には、動作状態ごとのデバイスコンフィギュレーションJ0が記録される。さらに、デバイスコンフィギュレーション(システム情報)J0の中には、偽造防止機構の有無や種類に関する情報である偽造防止コンフィギュレーションJ2も記録される。
【0160】
ここで、図5(B)の表(図中左側)に示すように、スイッチング電源404は、不正デバイス監視処理部180からのSW系統制御信号CT1がオフを示しているときには、パワーセーブ制御信号CT2の状態に拘わらず、SW系統の電源出力(図ではPW1〜PW5)の全てをオフすることで、スイッチ稼働部406への電力供給を停止する。一方、不正デバイス監視処理部180からのSW系統制御信号CT1がオンで、かつパワーセーブ制御信号CT2がオフを示しているときには、SW系統の電源出力(図ではPW1〜PW5)の全てをオンすることで、スイッチ稼働部406に電力を供給する。また、不正デバイス監視処理部180からのSW系統制御信号CT1がオンで、かつパワーセーブ制御信号CT2がオンを示しているときには、SW系統の電源出力(図ではPW1〜PW5)のうち、パワーセーブ系統PW4,PW5のみをオンすることで、スイッチ稼働部406内のパワーセーブ部407にのみ電力を供給する。
【0161】
また、各接続デバイスのスイッチ稼働部406には、専用のハードウェア回路による偽造防止機能部410が設けられる。ハードウェア回路で構成するのは、偽造防止のための処理により、本来の機能(たとえば読取処理や印刷処理など)が遅く(低速に)ならないようにするためである。この偽造防止機能部410は、必ずしも全ての接続デバイスに設けられていなくてもよい。この偽造防止機能部410の機能は、図5(B)の表(図中右側)に示すように、不正デバイス監視処理部180からの偽造防止制御コマンドCT3aにより、オンオフすることが可能になっている。
【0162】
各接続デバイスに設けられるハードウェア回路構成の偽造防止機構は、各デバイスの処理特性に応じたものが設けられる。たとえば、接続デバイスが画像取込部210である場合には、紙幣認識処理機能部が設けられる。この画像取込部210における紙幣認識処理機能部の構成については、周知の技術のものを採用すればよい(たとえば特開平06−225134号などを参照)。
【0163】
また、接続デバイスが画像記録部230である場合には、紙幣認識処理機能部や禁複写などのページ管理機能部が設けられる。この画像取込部210における紙幣認識処理機能部の構成については、周知の技術のものを採用すればよい(たとえば特開2001−313812号などを参照)。さらに、この画像取込部210における禁複写などのページ管理機能部の構成については、周知の技術のものを採用すればよい(たとえば特開2000−127572号などに記載のものに、「禁複写」というフォントをページごとにアノテーションすればよい)。
【0164】
また、コントローラ部100には、偽造防止用のアプリケーションソフトウェアが組み込まれ、必要に応じて、ソフトウェアによる偽造防止機能が作動するように構成されている。このアプリケーションソフトウェアは、画像データと事前に登録されている複製を許可すべきでない画像(たとえば紙幣や禁複写マーク(潜像でもよい)のある画像)を示すパターン画像とを照合することで、複製を許可すべきでない画像の場合には、読取処理を中断させたり、印刷処理を禁止したり、あるいは一部もしくは全部を塗り潰したり、禁複写マークを顕在化させるなどの制御をするものであればよい。
【0165】
図6は、接続デバイスの組合せとの関係における装置全体としての偽造防止機能を説明する図である。不正デバイス監視処理部180は、複数デバイスが任意に組み合わされる構成においても、他の接続デバイスとの関わりで装置全体として効率のよい偽造防止システムが構築されるよう、偽造防止制御コマンドCT3aにより、各接続デバイスに備えられている偽造防止機構をオンオフする。
【0166】
たとえば、画像取込部210および画像記録部230に紙幣認識処理機能が備えられている場合、装置の動作モードが複写モードの場合には、装置全体の偽造防止という観点では、画像記録部230は画像取込部210との関わりで適当なデバイスでないと判断し、画像取込部210の紙幣認識処理機能のみを有効とし、画像記録部230での紙幣認識処理機能機能は実施しない。これにより、複数のデバイスにより紙幣認識処理機能が重複して備えられることになっても、一方の紙幣認識処理機能のみを作動させることで重複動作を避けることができ、各部の紙幣認識処理性能の違いに起因した効率の悪い偽造防止処理を防止することができる。これにより、紙幣認識処理機能を作動させる一方のデバイスだけでなく、紙幣認識処理機能を停止させた他方のデバイスについても、適正なデバイスとして取り扱うことができる。
【0167】
また、たとえばネットワークを介した外部入力系統からの出力要求(印刷要求)があった場合には、画像データは画像取込部210を経由しないことになり画像取込部210が備える紙幣認識処理機能を利用することができないので、装置全体の偽造防止という観点では、画像取込部210は画像記録部230との関わりで適当なデバイスでないと判断し、画像記録部230が備える紙幣認識処理機能を有効とする。この場合、画像取込部210の紙幣認識処理機能を有効としておいても事実上無意味であるが、作動させておくことで不具合が生じる虞れもあるので、画像取込部210の紙幣認識処理機能を停止させておくのが好ましい。また、紙幣認識処理機能を備えていない画像取込部210に交換された場合には、画像記録部230に備えられている紙幣認識処理機能を作動させる。
【0168】
ここで、上記の各態様の場合、画像取込部210および画像記録部230の何れか一方に備えられているハードウェア回路構成の紙幣認識処理機能を作動させることができるので、コントローラ部100に組み込まれているソフトウェアによる偽造防止機能を停止させておく。何れの動作モードでも、ハードウェア回路による紙幣認識処理機能を作動させることができるので、各デバイスの持つ最大速度で作動させることができる。一方、装置本体に接続されているデバイスの何れもが偽造防止機能(紙幣認識処理機能)を備えていない場合には、コントローラ部100に備えられているソフトウェアによる偽造防止機能を作動させる。この場合、ソフトウェアによる紙幣認識処理機能を作動させることになるため、全体の処理速度(スループット/FCOT;First Copy Out Time )が低下する。
【0169】
図7は、第1実施形態における偽造防止処理手順の一例を示すフローチャートである。接続デバイスが画像出力端末7の本体に装着された状態でメイン電源がオンされると、不正デバイス監視処理部180は、各接続デバイスのデバイスコンフィギュレーションJ0を参照して、またユーザから指定された動作モードに応じて、画像出力端末7の全体の偽造防止機能が効率的かつ確実に作動するように偽造防止制御コマンドCT3aを制御して、接続デバイスに備えられている偽造防止機能をオンオフ制御する。
【0170】
たとえば、コントローラ部100に画像取込部210、画像処理部220、画像記録部230などの各デバイスが接続された状態でメインスイッチがオンされると(S100−YES)、図3には示さないシステム電源部が画像出力端末7の各部(コントローラ部100や各デバイス)に所定電圧の電源(UNSW)を共通に供給する(S102)。これを受けて、先ずコントローラ部100のパワーマネージト機能部はSW系統制御信号CT1およびパワーセーブ制御信号CT2をオフに設定する(S104)。よって、各接続デバイスは、常時稼働部402のみが動作するようになる。
【0171】
次に、コントローラ部100のCPU110は、各接続デバイスのコンフィグレーションレジスタの値を読み込む(S110,S111)。なお、電源が入れられたままでデバイス接続が変更されても(ホットアンドプラグ)、各デバイスのコンフィギュレーションレジスタの値を再取得する。これにより、コントローラ部100には、各デバイスのドライバおよびユーティリティが用意(登録)される。たとえば、スキャナからのコンフィグレーションレジスタの値を読み込むと、スキャナのユーティリティとして、読取解像度、有効画像サイズ、各種原稿検知機能の判定結果算出時間、プロセス速度、スキャン開始命令から実際にデータが送出されるまでの時間、プロセススピードによる消費電力(スタンバイ時の値や動作最大値など)、偽造防止機構の有無や種類が登録される。
【0172】
なお、一端取り込んだデバイスコンフィギュレーションJ0は、コントローラ部100に設けられた不揮発性のメモリに保持しておくとよい。ステップS111にてデバイスコンフィギュレーションJ0を接続デバイスから読み込む前にデバイス認証をした際、既にメモリに登録済みデバイスであれば、デバイスコンフィギュレーションJ0を再度読み込む必要がなくなる。
【0173】
CPU110は、このような個々のデバイスのユーティリティ情報の中から、偽造防止機構の有無や種類に関する偽造防止コンフィギュレーションJ2を不正デバイス監視処理部180に通知する(S112)。これを受けて、不正デバイス監視処理部180は、システムに接続されている全てのデバイスの偽造防止機構の有無や種類と装置の動作モードとを参照して、たとえば図6に示したような、装置全体の偽造防止機能が最も効率的かつ確実となる組合せを決定する。
【0174】
そして、装置の最大消費電力が最大定格の範囲内にある限り、通常のように、全ての接続デバイスについて、SW系統制御信号CT1をオンに設定するとともに、パワーセーブ制御信号CT2をオフに設定することで全ての接続デバイスのSW系統の電源をオンさせる(S116,S117)。また、ステップS114で偽造防止機能を作動させると決定した接続デバイスについては偽造防止制御コマンドCT3aをオンに設定して、接続デバイスに備えられている偽造防止機能を作動させる(S118)。
【0175】
これにより、偽造防止制御コマンドCT3aがオンに設定された接続デバイスは、それぞれの持つ偽造防止機能により、複写禁止物に関する情報検知(紙幣や禁複写マークの検知)を作動させる(S120)。そして、複写禁止物を検知すると、その接続デバイスは、読取処理や印刷処理を中断したり、あるいは一部もしくは全部を塗り潰した印刷物を出力したり、禁複写マークを顕在化させた印刷物を出力したりするなど、各デバイスが備える偽造防止処理を作動する(S122−YES、S124)。
【0176】
また、接続デバイスは、複写禁止物を検知すると、その旨を不正デバイス監視処理部180に通知する(S122−YES,S125)。この通知を受けた不正デバイス監視処理部180は、残りのデバイスを停止させる(つまり装置全体を停止させる)と同時に、ユーザインタフェース装置14,15やネットワークで接続されたクライアント端末にて、音声メッセージやメッセージ画像でユーザにその旨(禁複写物であること)を告知する(S126)。
【0177】
また、他の各デバイスが備える偽造防止機構を選択的に制御して、複写禁止物を検知した接続デバイスと他の接続デバイスとが連携した偽造防止処理を作動させる(S128)。たとえば、画像取込部210にて複写禁止物を検知した場合、画像取込部210が読取処理(後段への読取データの送出停止を含む)を自動停止するとともに、画像記録部230が、一部もしくは全部を高濃度の特定色で塗り潰した印刷物を出力したり、禁複写マークを顕在化させた印刷物を出力したりするようにする。
【0178】
なお、図では示さないが、全体の最大消費電力が最大定格を超える場合は、コントローラ部100のパワーマネージト機能部は、全ての接続デバイスのSW系統の電源をオンさせるが、先ず、全ての接続デバイスを消費電力が小さいスタンバイ状態に維持し、その後、最大定格を超えないように、各接続デバイスの動作モードを切り替える、あるいは動作のシーケンスを制御する。
【0179】
このようにして、所用の接続デバイスにUNSW系統の電源を供給し各接続デバイス側にて個々の電源回路400(詳しくはスイッチング電源404)を制御コマンドCT1,CT2で制御し、動作モードに応じた所用デバイスの偽造防止機能を作動させた後には、不正デバイス監視処理部180は、動作モードが変更される、パワーセーブモードに設定される、あるいはメイン電源がオフされるまで、偽造防止制御処理を待機状態にする(S130)。
【0180】
たとえば、メイン電源がオフされると、システム電源部は、常時オン系統を除いて、全ての電源供給(UNSW)を停止すし、メイン電源が再投入されるのを待つ(S130−メインSW)。また、パワーセーブモードが設定されると、コントローラ部100のパワーマネージメント機能部は、全ての接続デバイスについて、SW系統制御信号CT1をオンに設定するとともに、パワーセーブ制御信号CT2をオンに設定する。これにより、全ての接続デバイスのスイッチング電源404は、パワーセーブ系統のみの電源(図5の例ではPW4,PW5)をオンさせる。パワーマネージメント機能部は、パワーセーブモードが解除されるまで待機する。
【0181】
コントローラ部100のCPU110は、パワーセーブモード時に、たとえばユーザインタフェース装置14,15,16からの入力、画像記録部230への用紙の補給、ネットワークからの出力指示などを受け付けると復旧指示があったと判断し、通常モードへの復旧を不正デバイス監視処理部180に指示する。不正デバイス監視処理部180は、通常モードへ復旧する際も、ユーティリティの情報に基づいて、装置全体の偽造防止機能が効率的かつ確実に作動するように制御する(S130−復帰,S114〜S119)。
【0182】
また、動作モードが変更された場合にも、ユーティリティの情報に基づいて、新規な動作モードの元においても、装置全体の偽造防止機能が効率的かつ確実に作動するように制御する(S130−YES,S114〜S119)。
【0183】
以上のように、第1実施形態の偽造防止制御手法によれば、いかなる接続デバイスが装置に組み合わされた場合であっても、各デバイスの偽造防止機構の有無や種類に関する情報に基づいて装置全体として最良な偽造防止機能が実現するように、各デバイスが備える偽造防止機構を選択的に作動させることで、各部の偽造検知性能の違いに起因した効率の悪い偽造防止処理を防止することができる。また、何れのデバイスも偽造防止機構を備えていないケースでは、装置本体側にソフトウェアで組み込んでおいた偽造防止機能を作動させることができる。
【0184】
このように、上記第1実施形態によれば、如何なる接続デバイスが本体に装着されても、あるいは何れのデバイスも偽造防止機構を備えていない場合でも、デバイスごとの偽造防止機構を効率よく制御するため、過不足なく確実に偽造防止機能を作動させることができる。つまり、装置全体として、合理的な偽造防止対策を講じることができる。加えて、何れかのデバイス(コントローラ部100側のソフトウェア検知も含む)にて偽造防止対象画像を検知した後には、他の接続デバイスと連携して偽造防止処理を実行するなど、多重(2重や3重)に偽造防止処理を実施することで、単一の偽造防止処理よりも強い防犯システムを作ることもできる。また、接続デバイス変更によりデバイスコンフィギュレーションが変更されても、その都度制御ソフトを変更する必要がなく、開発工数や費用を大幅に削減することができる。
【0185】
図8は、不正デバイス監視処理部180の作用の第2実施形態を説明する図である。この第2実施形態は、デバイスが任意に交換可能な構成において不正な接続デバイス(クラム品)の使用を制限する仕組みのものである。ここで、図8(A)は、本体側の電源系を示すブロック図、図8(B)は、接続デバイスごとに設けられる電源入力側を示すブロック図である。
【0186】
この第2実施形態は、本体側のシステム電源にて、個々の接続デバイス用のオンオフが制御された電源電圧を生成し電源管理専用のインタフェースコネクタ(電源コネクタ)を利用して各接続デバイスにその電源を供給するとともに、電源管理やクラム対策のための通信専用のインタフェースコネクタ(通信コネクタ)を介してデバイスコンフィギュレーションJ0を取得する態様のものである。ATX仕様のパソコンのアーキテクチャにおけるAC電源と同様に、個々のデバイス用にワイヤハーネス形式の電源コネクタが用意される。
【0187】
図8(A)に示すように、電源コネクタと通信コネクタとは実質的に同一のコネクタとなるようにする。ここで、実質的に同一のコネクタとは、両コネクタを本体側に装着するとき、ほぼ同時に装着されるようにすることを意味する。たとえば、オンボード形式で個々のデバイスを装着する形式の場合、この電源コネクタや通信コネクタも、PCI−EX用のコネクタと略同時に着脱されるようなコネクタ配置にする。たとえば、電源コネクタと通信コネクタとPCI−EX用のコネクタとを一体的なコネクタとするとよい。あるいは、一体的であるか否かを問わず、基板の同一の辺縁に電源コネクタと通信コネクタとを設けるカードエッジ形式のコネクタとするとよい。
【0188】
通信コネクタを介して取得した個々の接続デバイスのデバイスコンフィギュレーションJ0のうちの、クラム品使用防止機構の有無や種類に関する情報であるクラム対策コンフィギュレーションJ3が不正デバイス監視処理部180に入力され、残りのものはCPU110に入力されるようにする。なお、第1実施形態と同様に、全てのデバイスコンフィギュレーションJ0を一旦CPU110に入力し、CPU110を経由してクラム対策コンフィギュレーションJ3を不正デバイス監視処理部180に通知するようにしてもよい。
【0189】
システム電源部102は、パワーマネージメント機能部からのSW系統制御信号CT1やパワーセーブ制御信号CT2に基づいて、個々の接続デバイス用の電源出力をオンオフする。
【0190】
この第2実施形態の構成によれば、個々の接続デバイス側にはスイッチング電源404を設ける必要がない。また、PCI−EX用とは別の専用の通信コネクタを使用して電源コンフィギュレーションJ1およびクラム対策コンフィギュレーションJ3を取得するようにしたので、PCI−EX用の通信制御から切り離して電源管理やクラム対策処理をすることができ、本体側での管理処理が楽になる。ただし、電源コンフィギュレーションJ1や接続デバイスへの電源出力とが、電源供給を受ける接続デバイスと1対1に対応するような手段が必要となる。電源コネクタと通信コネクタとを実質的に同一のコネクタとしたのは、この対応付けを採るためである。
【0191】
個々の接続デバイスにおいては、図8(B)に示すように、電源コネクタを介して供給された各電源電圧を所用の部位に入力するだけでよい。また、常時稼働部402は、通信コネクタを介して、電源コンフィギュレーションJ1やクラム対策コンフィギュレーションJ3を含むデバイスコンフィギュレーションJ0を本体側に通知する。
【0192】
各接続デバイスには、第1実施形態と同様に、不正デバイス監視処理部180の制御の元で接続デバイスのデバイスコンフィギュレーションJ0を不正デバイス監視処理部180に通知するための常時稼働部402が設けられる。たとえば、図示しない不揮発性メモリには、電源コンフィギュレーションJ1やクラム対策コンフィギュレーションJ3を含むデバイスコンフィギュレーションJ0が記録されている。また、接続デバイスには、クラム品使用防止機構が設けられる。たとえば、接続デバイスのスイッチ稼働部406には、専用のハードウェア回路によるクラム防止機能部412が設けられる。クラム対策コンフィギュレーションJ3のデバイスコンフィギュレーションJ0への記録およびクラム防止機能部412は、全ての接続デバイスに設けられていることが望ましい。
【0193】
各接続デバイスに設けられるクラム防止機能部412のクラム対策手法としては、トナーカートリッジや感光体ユニットなどの消耗部材に実装されているものを同様に適用すればよい。たとえば、専用の機構的な接続手段(メカニカルなコネクタ)を利用して電気信号の伝送を採る第1の方法がある。この第1の方法は、物理的寸法の適合したものでなければ正規品として使用することができないというメカ勘合を利用したものである。
【0194】
また、第1の方法に加えて、EE−PROM(電気的書換可能な読出専用メモリ)などの記憶媒体を接続デバイスに搭載して、本体との間で認証処理を経た後に使用可能とする第2の方法がある。また、第1の方法に加えて、CPU(中央演算処理装置)をトナーカートリッジなどに搭載して、本体との間で高度な認証処理を経た後に使用可能とする第3の方法がある。
【0195】
また、第3の方法のようにCPUを接続デバイスに搭載するとともに、無線電信(Wireless)を利用して非接触(detachably connecting )で本体側と接続する第4の方法がある(たとえば米国特許第6,181,885号)。
【0196】
前述の第1から第4に至るほど複雑かつ高機能であり、適用するのが困難になる。また、第1から第4に至るほど、コストが掛かり、クラム品が出回るケースが減るともいえる。
【0197】
第2〜第4の方法は、本体側に設けられる不正デバイス監視処理部180と接続デバイスに設けられるクラム防止機能部412との間で認証処理をし、認証が成功したものでなければ正規品でないので使用を認めないとする仕組みを利用したものである。
【0198】
図9は、第2実施形態におけるクラム対策処理手順の一例を示すフローチャートである。不正デバイス監視処理部180は、本体に装着されている接続デバイスが他のデバイスとの関わりで適切に使用可能であるか否かを判断し、デバイス単独の判断にて不適切なデバイスの場合には使用を制限(実質的に禁止)する。また、デバイス単品の判断では不正デバイスでない場合であっても、他のデバイスとの組合せ使用にて不都合の生じる場合には、不都合のない範囲でその接続デバイスの使用を許可したり、場合によっては、そのデバイスの使用を禁止したりする。
【0199】
たとえば、コントローラ部100に画像取込部210、画像処理部220、画像記録部230などの各デバイスが接続された状態でメインスイッチがオンされると(S200−YES)、図3には示さないシステム電源部が画像出力端末7の各部(コントローラ部100や各デバイス)に所定電圧の電源(UNSW)を共通に供給する(S202)。これを受けて、先ずコントローラ部100のパワーマネージト機能部はSW系統制御信号CT1およびパワーセーブ制御信号CT2をオフに設定する(S204)。よって、各接続デバイスは、常時稼働部402のみが動作するようになる。
【0200】
次に、コントローラ部100のCPU110は、各接続デバイスのコンフィグレーションレジスタの値を読み込む(S210,S211)。これにより、コントローラ部100には、各デバイスのドライバおよびユーティリティが用意(登録)される。たとえば、スキャナからのコンフィグレーションレジスタの値を読み込むと、スキャナのユーティリティとして、読取解像度、有効画像サイズ、各種原稿検知機能の判定結果算出時間、プロセス速度、スキャン開始命令から実際にデータが送出されるまでの時間、プロセススピードによる消費電力(スタンバイ時の値や動作最大値など)、偽造防止機構の有無や種類が登録される。
【0201】
なお、一端取り込んだデバイスコンフィギュレーションJ0は、コントローラ部100に設けられた不揮発性のメモリに保持しておくとよい。ステップS211にてデバイスコンフィギュレーションJ0を接続デバイスから読み込む前にデバイス認証をした際、既にメモリに登録済みデバイスであれば、デバイスコンフィギュレーションJ0を再度読み込む必要がなくなる。
【0202】
また、不正デバイス監視処理部180は、接続デバイスからクラム対策コンフィギュレーションJ3の通知を受ける(S214)。なお、図中点線で示すように、CPU110は、個々のデバイスのユーティリティ情報の中から、クラム対策処理機構の有無や種類に関するクラム対策コンフィギュレーションJ3を抽出し、抽出できた場合は不正デバイス監視処理部180に通知してもよい(S212)。
【0203】
不正デバイス監視処理部180は、メイン電源起動後所定時間内に、クラム対策コンフィギュレーションJ3を取得できた場合、クラム対策コンフィギュレーションJ3に基づいて接続デバイスが利用しているクラム対策手法(照合方法)を確認する(S216−YES,S218)。ここでは、先に述べた第1〜第4のクラム対策手法の何れであるかを確認するものとする。
【0204】
第2〜第4のクラム対策手法の場合、不正デバイス監視処理部180は、引き続き接続デバイスとの間で公知の認証技術を利用した認証処理を実行する(S218−第2〜第4,S220)。たとえば、接続デバイスは、常時稼働部用の電源供給を受けて、自身のデバイス認証番号を不正デバイス監視処理部180に通知する。デバイス認証番号が本体側に登録済みであるなど認証に成功した場合および第1のクラム対策手法の場合には、不正デバイス監視処理部180は、電気信号の接続確認をする(S222−YES,S218−第1,S224)。
【0205】
電気信号の接続に問題がなければ、不正デバイス監視処理部180は、デバイスコンフィギュレーションJ0に記述された、その接続デバイスが対応可能な動作モードや処理速度などに関する情報を参照して、他の接続デバイスとの関わりで装置全体として適当なデバイスであるか否か、つまり他のデバイスとの組合せ使用において不都合がないか否かを判断する(S226)。そして、不都合がない場合には、不正デバイス監視処理部180は、その接続デバイスは適切に使用可能なデバイスであるとして、他の接続デバイスとの関わりで装置全体として不都合のない範囲でその接続デバイスの使用を許可する(S226−YES)。これにより、その接続デバイスは、ある一定の範囲で正常に動作するようになる(S300)。その具体的内容については後述する。
【0206】
一方、メイン電源起動後所定時間内にクラム対策コンフィギュレーションJ3を取得できない場合(S216−NO)、認証に失敗した場合(S222−NO)、電気信号の接続に問題がある場合(S224−NO)にはデバイス単品の判断で不正なデバイスであると判断する。また、他の接続デバイスとの関わりで装置全体としては不都合がある場合にも(S226−NO)、そのデバイスを不正なデバイスであると判断する。そして、不正デバイス監視処理部180は、その接続デバイスは使用可能なデバイスでないとして、その接続デバイスの使用を許可せず、使用禁止処理を実行する(S230)。
【0207】
たとえば、コントローラ部100に通知し、その接続デバイスへの電源供給を停止したままとする。あるいは、本体側にロック機構が設けられている場合には、そのロック機構を作動させる。これにより、その接続デバイスは動作を停止したままとなる(S232)。また、不正デバイス監視処理部180は、その接続デバイスが正常に使用できないものである旨(つまりクラム品であること)を、ユーザインタフェース装置14,15やネットワークで接続されたクライアント端末にて、音声メッセージやメッセージ画像でユーザに告知する(S234)。
【0208】
図10は、第2実施形態の上記ステップS300における処理(一定範囲で使用を許可する処理)を説明する図である。ここで、図10(A)はその手順の一例を示すフローチャート、図10(B)は、全体の最大消費電力ΣPが最大定格THmxを超える場合におけるパワーマネージメント処理(S320〜S324)の一例を説明する図である。
【0209】
図10(A)に示すように、コントローラ部100は、不正デバイス監視処理部180から、接続デバイスについて使用許可を受信する(S313)。これを受けて、コントローラ部100のパワーマネージメント機能部は、システムに接続されている全てのデバイスの通常動作時の消費電力を積算して全体の最大消費電力ΣPを求める(S314)。たとえば、ユーザインタフェース装置14,16、コントローラ部100、画像取込部210、画像処理部220、画像記録部230、アドオンボード250として接続されているもの、拡張ユニット240など、その時点において装置を構成する全ての接続デバイスの通常動作状態の消費電力を積算する。
【0210】
そして、たとえば、一般的な宅内コンセントから電源を画像出力端末7に供給する場合には、100V/15Aが最大定格THmxであるので、先に求めた全体の最大消費電力ΣPが最大定格THmxの範囲内にあるか否かを先ず判定する(S316)。そして、最大定格THmx内であれば、通常のように、全ての接続デバイスについて、SW系統制御信号CT1をオンに設定するとともに、パワーセーブ制御信号CT2をオフに設定することで、全ての接続デバイスのSW系統の電源をオンさせる(S316−YES,S318)。そしてパワーマネージメント機能部は、各接続デバイスの持つ最大の処理能力で所定の処理(たとえば複写動作)をするよう、各部を制御する(S319)。
【0211】
一方、全体の最大消費電力ΣPが最大定格THmxを超える場合は、パワーマネージメント機能部は、全ての接続デバイスに同時に電源を供給する、すなわち全ての接続デバイスのSW系統の電源をオンさせるが、先ず、全ての接続デバイスを消費電力が小さいスタンバイ状態に維持する(S316−YES、S320)。その後、最大定格THmxを超えないように、各接続デバイスの動作モードを切り替える、あるいは動作のシーケンスを制御する(S322)。各接続デバイスは、パワーマネージメント機能部により指示された動作状態の元で、所定の動作(たとえば複写処理を実行する(S324)。その一例については、図10(B)で説明する。
【0212】
この後、パワーマネージメント機能部は、メイン電源がオフされるかまたはパワーセーブモードが設定されるまで、パワーマネージメント処理を待機状態にする(S330)。メイン電源がオフされると、システム電源部102は、常時オン系統を除いて、全ての電源供給(UNSW)を停止する(S332)。また、パワーセーブモードが設定されると、パワーマネージメント機能部は、全ての接続デバイスについて、SW系統制御信号CT1をオンに設定するとともに、パワーセーブ制御信号CT2をオンに設定する(S334)。これにより、全ての接続デバイスには、パワーセーブ系統のみの電源が供給される。パワーマネージメント機能部は、パワーセーブモードが解除されるまで待機する(S336−NO)。
【0213】
コントローラ部100のCPU110は、パワーセーブモード時に、たとえばユーザインタフェース装置14,15,16からの入力、画像記録部230への用紙の補給、ネットワークからの出力指示などを受け付けると復旧指示があったと判断し、通常モードへの復旧をパワーマネージメント機能部に指示する(S336−YES)。パワーマネージメント機能部は、通常モードへ復旧する際も、ユーティリティの情報に基づいて、全体の最大消費電力ΣPが最大定格THmxを超えないように電源をオンさせた後の動作モード(たとえば処理速度)を制御したり動作シーケンスを制御する(S316〜S320)。つまり、個々の接続デバイスの動作モード(たとえば処理速度)を制御することで、それらに供給される最大電力(本例では最大電流と等価)を一定範囲に抑え、これにより装置全体の消費電力は最大定格内に収まるようにする。
【0214】
ここで、図10(B)を参照する。電源コンフィギュレーションJ1として、画像取込部210からは、70dpm/8A,35dpm/4A、画像処理部220からは70dpm/3A,35dpm/3A、画像記録部230からは70cpm/8A,35cpm/4Aという情報が得られている場合で説明する。
【0215】
たとえば、複写モードが設定されている場合において、動作時の最大消費電力ΣPが最大定格THmxを超える場合において、たとえば、読取速度優先モードが選択されている場合、コントローラ部100は、画像取込部210が70dpm/8A、画像処理部220が70dpm/3A、画像記録部230が35cpm/4Aというように、それぞれの動作速度で各部が同時並行的に動作するよう制御する。また、出力速度優先モードが選択されている場合、コントローラ部100は、画像取込部210が35dpm/4A、画像処理部220が70dpm/3A、画像記録部230が70cpm/8Aというように、それぞれの動作速度で各部が同時並行的に動作するよう制御する。何れの場合も、最大定格THmxを超えない範囲で、画像取込部210、画像処理部220、画像記録部230が並行処理することができるので、装置の持つ最大速度ではないものの、比較的高速な処理となる。
【0216】
また、各接続デバイスを同時並行的に動作させるのではなく、たとえば、画像取込部210、画像処理部220、画像記録部230が同時に動作しないように、動作シーケンスを制御してもよい。たとえば、画像取込部210にて複写すべき全ての原稿を最大速度(70dpm/8A)で読み取った後に画像処理部220へ送り、以後は、画像処理部220と画像記録部230とが最大処理速度で同時並行処理するよう制御してもよい。
【0217】
以上のように、第2実施形態のクラム対策制御手法によれば、いかなる接続デバイスが装置に組み合わされた場合であっても、各デバイスのクラム対策機構の有無や種類に関する情報に基づいて、各接続デバイスが適切に使用可能なものであるのか否かを判断し、不適切なデバイスの場合には、確実に使用を制限(実質的に禁止)することができる。また、単純にクラム対策機構が備えられかつ認証が成功しただけでなく、本体に装着されている接続デバイスが他のデバイスとの関わりで適切に使用可能であるか否かも判断し、不適切なデバイスの場合には使用を制限(実質的に禁止)し、また不都合のない範囲で使用を許可するようにしたので、装置全体として、合理的なクラム対策を講じることができる。
【0218】
なお、上記第2実施形態における一定範囲で使用を許可する処理(S300)の具体例として、装置全体の消費電力と動作モードやデバイスの処理速度との関わりで、デバイスの使用を制限する仕組みについて説明したが、これに限らず、たとえば、第1実施形態の構成(偽造防止制御処理)と組み合わせてもよい。
【0219】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0220】
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0221】
たとえば、上記第1実施形態では、PCI−EXを利用してデバイスコンフィギュレーションJ0を取得するようにしていたが、第2実施形態のように専用の通信ラインにて取得してもよい。また、第2実施形態では、専用の通信ラインにてデバイスコンフィギュレーションJ0を取得するようにしていたが、第1実施形態のようにPCI−EXを利用して取得してもよい。
【0222】
また、上記実施形態では、不正デバイス監視処理部180をコントローラ部100の一部に組み込んでいたが、不正デバイス監視処理部180をコントローラ部100から外してもよい。また、上記実施形態では、不正デバイス監視処理部180を独立したハードウェア要素として設ける例で説明したが、この不正デバイス監視処理部180の機能部分を、コントローラ部100に組み込まれるソフトウェアで構成してもよい。こうすることで、不正デバイスの管理処理ルーティンも柔軟に変更可能となる。
【0223】
また、上記実施形態では、コントローラ部と画像形成機能部の間の接続インタフェースとして、PCI−EXなどの標準インタフェースを用いたが、これに限らず、設計者またはユーザの要求事項を満足する、他のあらゆる双方向性かつシリアルもしくはピアツーピアの接続インタフェース部を適用してもかまわない。
【0224】
また、上記実施形態では、画像取込部210は図2に示した読取信号処理部22に対応し、画像処理部220は図2に示した前段色信号処理部40、イメージ圧縮伸張処理部50、および後段色信号処理部60に対応し、また、画像記録部230は図2に示した画像形成ユニット32に対応するものとして説明したが、画像形成に関わる機能部分である画像処理部220などは、図2に示した一部の機能要素を含むものとして取り扱ってもかまわない。
【0225】
たとえば、画像処理部220などを構成する図2に示した個別の機能要素を個別のプリント基板に搭載して接続デバイスとして取り扱い、たとえばスロットインタイプの基板コネクタを介してコントローラ部100が搭載されているマザーボードに装着する構成としてもよい。この場合にも、各基板(つまり接続デバイス)が正常に使用可能なものであるか否かを判断し不適切なデバイスの使用を制限する不正デバイスの管理手法に関しては、上記実施形態で説明したことと同様の手法を講じればよい。なおこの場合にも、各機能部分が搭載されているプリント基板とコントローラ部100(たとえばメモリブリッジ部120やI/Oブリッジ部140)との間は、PCI−EXなどの、双方向性を有しかつシリアルあるいはピアツーピアのインタフェースにて接続するのがよい。
【0226】
このように、画像形成装置を構成する回路を所用部分で分けて機能モジュール(接続デバイス)として取り扱うとともに、不適切なデバイスの使用を制限し、加えて、双方向性を有しかつシリアルあるいはピアツーピアの接続インタフェースで機能モジュール間の電気信号の伝送を採ることで、所用部分の機能モジュールを変更もしくは追加するとともに、それに応じたアプリケーションソフトウェアの更新をするという簡易な手法により、高性能化、高機能化、あるいは高速化の要求に対して、柔軟に対応を採ることができる。また、従来のアーキテクチャでは考えられなかった新たな商品バリエーションに展開することも可能となる。
【0227】
また、上記実施形態では、記録媒体上に可視画像を形成する主要部であるプリントエンジンとして電子写真プロセスを利用するものに対して、本発明を適用した事例を説明したが、本発明の適用範囲は、これに限定されない。たとえば感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいはその他の同様な従来の画像形成機構を備えたエンジンにより普通紙や感熱紙上に可視画像を形成する構成の画像形成装置に本発明を適用し得る。
【0228】
また、上記実施形態では、画像形成装置として、電子写真プロセスを利用したプリントエンジンを備える複写装置あるいは複合機を例に説明したが、画像形成装置は、これに限らず、カラープリンタやファクシミリなど、記録媒体上に画像を形成するいわゆる印刷機能を有するものであればよい。
【0229】
また、画像取込部、画像処理部、および画像記録部の全てを備えている必要はなく、これらのうちの少なくとも1つを備えたものであればよい。また、これらのうちの少なくとも1つを備えている限りにおいて、その他の周辺デバイスを備えたものであってもかまわない。たとえば、スキャナなどを備えた画像取込部により取り込んだ画像を電子データとして、半導体メモリ、CD−R、あるいはCD−RWに書き込む装置としてもよい。また、デジタルカメラにて撮像した画像を記録している半導体メモリ(たとえばフラッシュメモリ)から画像を読み出して印刷出力する装置とすることもできる。
【0230】
これらのデバイス間をPCI−EXなどの双方向性を有しかつシリアルあるいはピアツーピアのインタフェースにて接続することで着脱自在な構成とすれば、不正デバイスの管理手法は上記実施形態と同様の手法を用いることができ、またメモリリーダやCDドライブなどのデバイス間で画像データを自由に伝送でき、さらにメモリリーダやCDドライブなどのデバイス交換が簡易になるとともに、交換した場合においても同じコントローラで制御できる。つまり、不正デバイスの使用を確実に制限しつつ、目的に応じて画像形成装置の構成要素を自由に組み替えることができるので、使い勝手が増し、非常に便利である。
【0231】
また、上記実施形態は、画像を所定の記録媒体に形成する画像形成装置における、デバイス間の接続インタフェースの仕組みと不正デバイスの使用制限の手法について説明したが、これらの適用は、画像形成装置に限るものではない。たとえば、クライアントより指示された情報処理をする情報処理装置において、双方向性かつシリアル通信方式あるいは双方向性かつピアツーピアという特徴を持つ接続インタフェースを採用してデバイス間を着脱自在に構成する場合には、上記実施形態で説明した不正デバイスの使用制限の手法を同様に適用することができる。
【0232】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、ピーシーアイエクスプレス(PCI−EX)などの、双方向性を有するとともにシリアルもしくはピアツーピアの方式を利用した接続インタフェース部にて、本体側と接続デバイスとを接続する新規なアーキテクチャを採用した。
【0233】
これにより、装置を実質的に1つのコンピュータとすることができ、パラレル方式の場合に必須であったデータの同期をとる必要がなくなり、コントローラを構成するCPUのクロックの向上に合わせて、接続デバイスを用いた画像形成処理などを高速化することができるようになった。すなわち、信号線同士でのデータのずれやスキューがなく、また信号のクロストークも起こらないので、高速・長距離のデータ転送が可能となり、パラレルバスの延長上では不可能である高機能化や多機能化あるいは高速化を容易に実現することができる。
【0234】
また、配線をシンプルにすることができ、ハードウェアレイアウトの自由度が高まり、機能ボードを本体の外部に配設することも可能となる。加えて、同期処理が不要であるから、低コストで高速化を実現することができる。よって、パソコン市場の安価な部品を流用することができ、高機能、多機能、あるいは高速処理可能な画像形成装置などを、簡易にまた低コストで実現することができる。
【0235】
また、本体に接続されている接続デバイスが他のデバイスとの関わりで適切に使用可能であるか否かを判断し、不都合がない場合には他の接続デバイスとの関わりで装置全体として不都合のない範囲で許可する一方、不都合の生じるデバイスの場合には使用を制限(実質的に禁止)するようにしたので、装置全体として、効率的かつ合理的な偽造防止対策やクラム対策が実現できるなど、不正使用排除機能を合理的かつ効率的に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置を備えた画像処理システムを示す概略図である。
【図2】画像出力端末における画像処理機能を示すブロック図である。
【図3】画像出力端末における回路構成のシステムアーキテクチャの一例を示す図である。
【図4】双方向性、シリアル、およびピアツーピアの特徴を持つの接続インタフェース部の好適な一例であるPCI−EXを説明する図である。
【図5】不正デバイス監視処理部の作用の第1実施形態を説明する図である。
【図6】接続デバイスの組合せとの関係における装置全体としての偽造防止機能を説明する図である。
【図7】第1実施形態における偽造防止処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】不正デバイス監視処理部の作用の第2実施形態を説明する図である。
【図9】第2実施形態におけるクラム対策処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態のステップS300における処理(一定範囲で使用を許可する処理)を説明する図である。
【図11】従来の画像形成装置を備えた画像処理システムの一構成例を示す図である。
【符号の説明】
1…画像処理システム、3…画像入力端末、7…画像出力端末(画像形成装置)、10…画像読取装置、20…スキャナ部、22…読取信号処理部、32…画像形成ユニット、40…前段色信号処理部、50…イメージ圧縮伸張処理部、60…後段色信号処理部、100…コントローラ部、102…システム電源部、110…CPU、120…メモリブリッジ部、130…メインメモリ、140…I/Oブリッジ部、150…スイッチ部、160…グラフィックスドライバ部、180…不正デバイス監視処理部、210…画像取込部、220…画像処理部、230…画像記録部、240…拡張ユニット、250…アドオンボード、252…LANボード、254…1394ボード、256…USBボード

Claims (15)

  1. 画像形成に関わる機能部分であって装置本体に対して着脱可能な画像形成機能部と、前記装置本体に装着されている前記画像形成機能部の動作を制御する動作制御部とを備えた画像形成装置であって、
    前記画像形成機能部に入出力される画像データと前記動作制御部が前記画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せるとともに、前記画像データおよび前記制御コマンドの伝送を双方向かつシリアル通信方式、または双方向かつ1対1(Peer to Peer)の接続形態で採る接続インタフェース部と、
    前記画像形成機能部を含む前記装置本体に装着されている接続デバイスが備える不正使用排除機能に関する情報を取得する不正使用排除機能情報取得部と、
    前記不正使用排除機能情報取得部が取得した前記不正使用排除機能に関する情報に基づいて、一方の前記接続デバイスが他方の前記接続デバイスとの関わりで装置全体として適当なものであるか否かを判断し、その判断結果に基づいて不正な使用を制限するよう、前記一方および他方の接続デバイスの内の少なくとも1つを制御する不正デバイス監視処理部と
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記不正使用排除機能情報取得部は、前記不正使用排除機能に関する情報として、偽造防止機構に関する情報を取得し、
    前記不正デバイス監視処理部は、前記不正使用排除機能情報取得部が取得した前記偽造防止機構に関する情報に基づいて、前記画像形成装置全体として、適正な偽造防止機能が実現されるよう前記制御を行なう
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記不正デバイス監視処理部は、複数の前記接続デバイスの1つにより検知した不正使用行為の情報に基づいて、前記偽造防止機能が実現されるよう、他の前記接続デバイスと連携させて前記制御を行なうことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記不正使用排除機能情報取得部は、前記不正使用排除機能に関する情報として、クラム品使用防止機構に関する情報を取得し、
    前記不正デバイス監視処理部は、前記不正使用排除機能情報取得部が取得した前記クラム品使用防止機構に関する情報に基づいて、前記画像形成装置全体として、適正なクラム品使用防止機能が実現されるよう前記制御を行なう
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記不正デバイス監視処理部は、複数の前記接続デバイスの1つによるクラム品検知結果が適正なデバイスである旨を示している際には、他のデバイスと連携させて前記適正なクラム品使用防止機能が実現されるよう前記制御を行なうことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記不正デバイス監視処理部は、前記制御により不正な使用を制限した際には、当該制限した旨を示す情報をユーザに提示することを特徴とする請求項2から4のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記接続インタフェース部は、ある一定の規格を満足する標準インタフェースであることを特徴とする請求項1から6のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記標準インタフェースは、ピーシーアイエクスプレスであることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 前記動作制御部には、オペレーティングシステムと、前記画像形成機能部を制御するためのアプリケーションソフトウェアとが組み込まれることを特徴とする請求項1から8のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記動作制御部は、前記不正デバイス監視処理部を兼ねるものであり、前記不正な使用を制限するための制御ソフトウェアが組み込まれることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 前記不正デバイス監視処理部は、前記不正使用排除機能情報取得部から取得した前記不正使用排除機能に関する情報が、何れの前記接続デバイスも前記不正使用排除機能を備えていない旨を示していることを条件として、前記不正な使用を制限するための制御ソフトウェアに基づいて前記制御を行なうことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 画像を所定の記録媒体に形成する画像形成装置に使用される接続デバイスであって、
    前記画像形成装置に搭載されている動作制御部が前記接続デバイスの動作を制御するための制御コマンドの伝送を双方向かつシリアル通信方式、または双方向かつ1対1(Peer to Peer)の接続形態で採る接続インタフェース部と、
    前記接続デバイスの属性を示す情報であって前記接続デバイスが備える不正使用排除機能に関する情報を前記画像形成装置に通知するデバイス情報通知部と
    を備えていることを特徴とする接続デバイス。
  13. 画像形成に関わる機能部分である画像形成機能部を備え、
    前記接続インタフェース部は、前記画像形成機能部に入出力される画像データと前記動作制御部が前記画像形成機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せてとることを特徴とする請求項12に記載の接続デバイス。
  14. クライアントより指示された情報処理をする機能部分であって装置本体に対して着脱可能な情報処理機能部と、前記装置本体に装着されている前記情報処理機能部の動作を制御する動作制御部とを備えた情報処理装置であって、
    前記情報処理機能部に入出力される処理対象データと前記動作制御部が前記情報処理機能部の動作を制御するための制御コマンドとを共通の伝送ライン上に乗せるとともに、前記処理対象データおよび前記制御コマンドの伝送を双方向かつシリアル通信方式、または双方向かつ1対1(Peer to Peer)の接続形態で採る接続インタフェース部と、
    前記情報処理機能部を含む前記装置本体に装着されている接続デバイスが備える不正使用排除機能に関する情報を取得する不正使用排除機能情報取得部と、
    前記不正使用排除機能情報取得部が取得した前記不正使用排除機能に関する情報に基づいて、一方の前記接続デバイスが他方の前記接続デバイスとの関わりで装置全体として適当なものであるか否かを判断し、その判断結果に基づいて不正な使用を制限するよう、前記一方および他方の接続デバイスの内の少なくとも1つを制御する不正デバイス監視処理部と
    を備えたことを特徴とする情報処理装置。
  15. クライアントより指示された情報処理をする情報処理装置に使用される接続デバイスであって、
    前記情報処理装置に搭載されている動作制御部が前記接続デバイスの動作を制御するための制御コマンドの伝送を双方向かつシリアル通信方式、または双方向かつ1対1(Peer to Peer)の接続形態で採る接続インタフェース部と、
    前記接続デバイスの属性を示す情報であって前記接続デバイスが備える不正使用排除機能に関する情報を前記情報処理装置に通知するデバイス情報通知部と
    を備えていることを特徴とする接続デバイス。
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WO2023187867A1 (ja) 2022-03-28 2023-10-05 富士通フロンテック株式会社 データ変換装置、データ変換方法及びデータ変換プログラム

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