JP2004108401A - 検出器及びセンサ付転動装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】転動装置17の状態を検出する検出器20において、振動検出素子30を搭載して検出器ケース26に収容されるプリント基板25に、プリント基板25の板厚方向の加振に対する共振周波数を高める剛性増強手段27,28を設けてため、プリント基板25の板厚方向の振動も正確に検出可能になる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり軸受装置や直動装置等の転動装置の運転状態における異常を検知するのに使用する検出器及びセンサ付転動装置に関し、機械装置などの予防保全、例えば温度変化が大きい環境下で使用される鉄道車両、自動車、搬送車などの移動体の軸受装置やギヤボックス等の予防保全に最適なものである。また、本発明は、電気情報機器用の軸受等の異常検知にも適用でき、ボールねじやリニアガイドなどの直動部品の異常検知にも適用可能な検出器及びセンサ付転動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
転がり軸受装置や直動装置等の転動装置に使用されている軸受に剥離等の異常が発生すると、転動装置の運転時における温度の異常な上昇や、異常な振動の発生等が起こる。
そこで、転動装置におけるこれらの異常の発生を早期に検知するために、温度や振動を検出する検出器を転動装置に装備したセンサ付転動装置が開発されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−200929号公報
【特許文献2】
特表2001−500597号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、鉄道車両用の軸受装置などの転動装置では、異常時には、振動に顕著な変異を示すことが少なくない。従って、転動装置の発生する振動から異常を検知する場合には、転動装置の発生する異常振動を正確に検出することが重要になる。
【0005】
ところが、プリント基板は、一般に、板厚方向の荷重に対しては撓み変形を起こしやすく、板厚方向に加えられた振れによって、共振を起こす。そのため、例えば、プリント基板に実装した振動検出素子の振動検出方向がプリント基板の板厚方向に設定されていると、プリント基板自体の共振による振動が重畳されて振動検出素子に検出されることになり、プリント基板自体の共振による振動の影響が大きいために、正確な異常検知ができない。
【0006】
そこで、プリント基板に実装する振動検出素子が、振動検出方向をプリント基板の表面に平行な方向として配置される構成が検討されている。この理由としては、プリント基板はその表面に沿う方向の荷重に対しては変形を起こしにくいからである。また別の理由としては、プリント基板の表面に平行な方向に加えられる振れに対する共振周波数が高いので共振を起こし難いからである。
【0007】
しかし、振動検出素子の振動検出方向をプリント基板の表面に平行な方向に配置するという構成では、プリント基板上での振動検出素子の実装向きや転動装置に対するプリント基板の向きが限定されてしまう。このため、検出器ケースの形状等が画一化してしまい、転動装置上の空きスペース等に応じて、検出器形状を柔軟に改良することができないという問題が生じる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、プリント基板に実装する振動検出素子の振動検出方向を、プリント基板の板厚方向に設定しても、プリント基板の共振によって振動検出の精度が低下するおそれがなく、転動装置の発生する振動を正確に検知することができる。従って、プリント基板上での振動検出素子の実装向きや転動装置に対するプリント基板の向きが限定されずに、検出器ケースの形状等の設計自由度を向上させることができ、振動検出方向に沿って大きな設置スペースを確保できない転動装置に対しても検出器の取付けを可能にし、転動装置の異常発生の早期検知を測ることのできる検出器及びセンサ付転動装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記構成により達成される。
(1) 転動装置の運転状態を検出する検出器であって、プリント基板と、該プリント基板に実装された振動検出素子とを有し、前記プリント基板に、該プリント基板の板厚方向の板厚方向の振動を防止する剛性増強手段を設けたことを特徴とする検出器。
(2) 前記剛性増強手段は、前記振動検出素子が実装された前記プリント基板の面とは反対側の面の少なくとも一部に形成された接着層であることを特徴とする前記(1)に記載の検出器。
(3) 前記剛性増強手段は金属板であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の検出器。
(4) 前記剛性増強手段はセラミックス板であることを特徴とする前記(1)に記載の検出器。
(5) 前記プリント基板上に、前記振動検出素子の出力信号を増幅する増幅回路が設けられていることを特徴とする前記(1)から(4)のいずれか1つに記載の検出器。
(6) 前記プリント基板に、速度検出素子と温度検出素子のうちの少なくとも一つが設けられていることを特徴とする前記(1)から(5)のいずれか1つに記載の検出器。
(7) 前記(1)から(6)のいずれか1つに記載の前記検出器を転動装置に備え、前記検出器により前記転動装置の運転状態を検出することを特徴とするセンサ付転動装置。
(8) 前記転動装置が転がり軸受であることを特徴とする前記(7)に記載のセンサ付転動装置。
(9) 前記転動装置がボールねじであることを特徴とする前記(7)に記載のセンサ付転動装置。
(10) 前記転動装置がリニアガイドであることを特徴とする前記(7)に記載のセンサ付転動装置。
【0010】
上記構成によれば、プリント基板は、板厚方向の加振に対する共振周波数が剛性増強手段によって高められている。そのため、プリント基板に実装する振動検出素子の振動検出方向をプリント基板の板厚方向に設定した場合、プリント基板が振動検出素子が検出する異常振動に対して共振を起こすことを防止することができる。
つまり、検出器において、プリント基板に実装する振動検出素子の振動検出方向をプリント基板の表面に沿う方向に設定した場合だけでなく、前記振動検出素子の振動検出方向をプリント基板の板厚方向に設定した場合も、プリント基板の共振による振動検出の精度の低下を防止できる。このため、本発明にかかる検出器によれば転動装置において発生した振動を正確に検知することができる。
【0011】
言い換えれば、プリント基板に実装する振動検出素子は、その振動検出方向を、プリント基板の表面に沿う方向又は板厚方向のいずれにも設定可能である。
従って、プリント基板上での振動検出素子の実装向きや転動装置に対するプリント基板の向きが限定されることなく、検出器ケースの形状等の設計自由度を向上させることができる。このため、例えば、転動装置における検出器の設置スペース等に応じて、プリント基板の向きや検出器ケースの取り付ける向きを適宜変更することができる。また、検出器の振動検出方向に沿って大きな設置スペースを確保できない転動装置に対しても検出器の取り付けることが可能である。転動装置に検出器を取り付けることで、転動装置の異常発生の早期検知を図ることができる。
【0012】
ここで、転がり軸受とは、複数の転がり軸受の外輪にハウジングが外嵌されてなる、いわゆる軸受装置も含まれる意である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1に、本発明の第1の実施の形態のセンサ付転動装置(センサ付軸受装置)10を示す。
センサ付転動装置10は、軸方向に間隔をあけて配された一対の転がり軸受(ここでは玉軸受)11と、それら転がり軸受11の外輪12に外嵌されたハウジング18とを備えた転がり軸受装置17に、センサユニット(検出器)20を取り付けた構成になっている。それぞれの転がり軸受11の内輪13には軸15が内嵌されている。
【0014】
外輪12と内輪13の間には、複数の転動体(ここでは玉)14が配されている。本実施形態の転がり軸受装置17は、軸15と内輪13が一体に回転し、外輪12及びハウジング18は静止している、いわゆる、内輪回転型のものである。
【0015】
ハウジング18は円筒形状に形成されており、一方の(図中右方の)転がり軸受11よりも軸方向に突出して延びており、その端部には、エンドカバー19が固定されている。軸15は、ハウジング18内で、エンドカバー19に至る手前で終端している。ハウジング18のセンサユニット取付部は、円筒状でも、平面状でもよい。
【0016】
センサユニット20は、上方に開放した収容部を持つケース本体21と、ケース本体21の開放部を覆うケースカバー22とで構成される検出器ケース26を備えている。ケース本体21内にセンサ本体24が収容され、センサ本体24を外部の測定器に接続するケーブル23が、ケース本体21に形成されたケーブル取出口(図示略)を挿通して装備されている。センサ本体24は、プリント基板25に、振動検出素子(加速度センサ)、温度検出素子、及び信号を処理するための電子部品などが実装されてなる。
【0017】
図2に示すように、ケース本体21は、ハウジング18の外周面上に隙間無く置かれた取付板21aと、取付板21aに立設された側板21bとを有している。また、ケース本体21は、ハウジング18の外周面上に隙間無く置かれ、取付板21aの軸方向両端側に突出したフランジ21cを有している。
取付板21aの取付面(ハウジング18外周面に対向して固定される面)は、ハウジング18外周面にならった形状にされている。取付板21aと側板21bとで囲まれた収容空間に、センサ本体24が設置されている。
【0018】
センサ本体24のプリント基板25は、その周縁部が側板21bの内側で取付板21a上に設けられた支持台21dに固定される(両持ち構造でもよいし、プリント基板25の全周が固定されてもよい)。プリント基板25は、ハウジング18の外周面と平行に固定されている。プリント基板25の支持台21d上に置かれた箇所より内側の箇所は、取付板21aとの間に隙間sをあけて位置している。プリント基板25を支持台21d上に固定するために、ここではねじ等の固定具を用いているが、接着剤等を用いてもよい。
【0019】
プリント基板25の一方の面(図では上面;ケースカバー22側の面)には振動検出素子30が実装され、プリント基板25の他方の面(図では下面;取付板21a側の面)には温度検出素子31が実装されている。
図示しないが、温度検出素子、振動検出素子の取付は、逆でもよいし、一方の面のみでもよい。
軸受装置の状態を監視するための検出素子として、その他の検出素子を設けてもよい。また、速度検出素子を設けてもよい。
【0020】
この実施形態では、プリント基板25の振動検出素子30の実装領域の裏面側を、ケース本体21の内面に接着固定する接着層27を設けている。
また、プリント基板25は、図3に示すように、多層構造で中間層に金属板28を有しているメタル・コア・プリント配線板としている。ここで、金属板28としては、鉄系金属板を使用している。また、金属板28として、アルミニウム系金属板を使用してもよい。さらに、鉄やアルミニウム合金製の板の表面を絶縁処理し、その表面に回路パターンを形成した金属基板を使用してもよい。さらに、セラミックスの板の表面に回路パターンを形成したセラミックス配線板を使用してもよい。
以上の接着層27及び金属板28は、プリント基板25の板厚方向の加振に対する共振周波数を高める剛性増強手段として装備されている。
なお、剛性増強手段は、接着層27でもよいし、金属又はセラミックスでもよく、どちらか一方でもよい。
【0021】
本実施形態において、接着層27は振動検出素子30が実装されたプリント基板の面とは反対側の面の少なくとも一部に形成されているが、プリント基板25の裏面全域をケース本体21に接着固定するようにしてもよい。
接着層27で接着する隙間sは、接着層27を構成する接着剤の特性を考慮して、2mm以下とすることが好ましい。この理由としては、隙間sが大きすぎると、塗布した接着剤が流出してしまい、部分的に接着不良が生じるからである。接着層27を構成する接着剤としては、エポキシ系のような硬質の接着剤が好ましい。しかし、隙間sが0.5mm以下の狭い隙間になる場合、隙間がスクイズフィルムダンパとして作用するので、シリコンゴム等の軟質の接着剤を使用することも可能である。
【0022】
なお、図2に示すように、隙間sを小さくする場合、プリント基板25の裏面側に配されたジャンパ線や電子部品などの突出部分と取付板21aとの干渉をさけるために取付板21aに逃げ21eを設けてもよい。
【0023】
ケース本体21は、ハウジング18の外面上に、ねじ等の機械的固定具を用いてしっかりと固定することが好ましい。こうすることで、軸受装置17にかかる振動や温度をより正確かつ迅速に検出できる。
また、ケース本体21とハウジング18の間に熱伝導を良くするペーストや接着剤を充填すると、温度の測定精度が向上するので好ましい。
【0024】
本実施形態において、振動検出素子30はプリント基板25に表面実装されている。プリント基板25上には、振動検出素子30以外に、検出信号の高周波成分を減衰除去するためのローパスフィルタ(LPF)や、上記の各検出素子の出力信号を増幅するための増幅回路、検出信号を電圧出力又は電流出力(電流ループ出力)で出力するための出力回路及びそれらの回路を構成する電子部品などが表面実装されている。
【0025】
このように、プリント基板25上に全ての素子を表面実装すると、プリント基板25をケース本体21内に組み込むだけで組立が完了するので、組立工数が少なくてすむ。
なお、検出素子や電子部品は、表面実装タイプに限らず、リードが付いているタイプでもよい。リードタイプ及び表面実装タイプの選定は、コスト、組立性などを考慮して適宜選択する。
【0026】
図2に示すように、本実施形態の振動検出素子30は、その振動検出方向がプリント基板25の板厚方向となるように構成されている。すなわち、振動検出素子30は、図中符号Vで示す方向の振動(ここではハウジング18及び軸の軸線に直交するラジアル方向の振動)を検出可能に構成されている。
振動検出素子30は、軸受装置17に作用する振動を常時検出して振動の信号(値)を出力し、その振動信号(値)をプリント基板25に実装された電子部品に供給する。電子部品は、振動検出素子30から与えられた振動信号(値)を処理し、電圧信号又は電流信号として出力する。
【0027】
振動検出素子30としては、シリコン加速度センサを用いることもできる。これは、シリコン・マイクロマシン部品(機械素子)を電子回路と同一のシリコン基板上に集積することにより、小型化、高性能化及び低コスト化を図ったものである。シリコン加速度センサは、フォトリソグラフィなどICの製造技術を利用して製造される。
しかしシリコン加速度センサに限定はされず、振動検出素子30として、圧電素子を使用したバイモルフ型の振動検出素子や、圧電素子と重錘を組合せた振動検出素子、あるいは片持ちはり構造の振動検出素子等のほか、圧電素子の代わりにひずみゲージを利用した振動検出素子などを用いてもよい。
また、表面実装タイプの振動検出素子でなく、リードタイプの振動検出素子でもよい。
【0028】
本実施形態の検出器は、振動検出素子だけでなく、温度検出素子31を設けることで軸受装置の温度も測定することも可能である。こうすれば、検出器は、転動装置の振動によって異常を検出するだけでなく、温度によっても異常を検出することが可能である。
なお、振動検出素子30と温度検出素子31とを、同一のプリント基板25に一体に設けることで、それぞれのセンサを個別に取り付ける場合に比べて取付工数を削減できる。また、取付スペースも小さくできる。
【0029】
プリント基板25から延びた配線(図示せず)は、ケース本体21又はケースカバー22に貫通形成されたケーブル取出口(図示せず)を挿通して外部に延びたケーブル23に電気的に接続されている。ケーブル23を介して外部に伝送する信号は、電圧出力でもよいし、電流出力でもよい。電流出力の場合は、電流ループ出力にすると、ノイズの影響を受けにくくなるので好ましい。電流ループ出力の場合は、ケーブル23の信号線と電源線をツイストしておくとノイズの影響をさらに受けにくくなるのでより好ましい。また、電圧出力の場合も、ケーブル23の信号線をツイストしておく方がノイズの影響を受けにくいので好ましい。なお、本実施形態では、ケーブル23で信号を取り出したが、無線などを使用しワイヤレスで信号を伝送してもよい。ワイヤレスの場合は、可動部材側(内輪13や軸15)にセンサを設けてもよい。
【0030】
ケース本体21内にプリント基板25を固定するために、ねじや接着剤を用いる他に、エポキシ樹脂などのモールド材をケース本体21内にモールドして固定してもよい。また、ねじで固定した場合、その後にエポキシ樹脂などでモールドしてもよい。また、防水のため、軟らかいシリコン樹脂やシリコンゲルなどを充填してもよい。
なお、エポキシ樹脂のような硬い樹脂でモールドする場合は、検出素子や電子部品部分をシリコン樹脂等のやわらかい樹脂で被覆した後に、モールド材でモールドすることが好ましい。このとき、発泡性の樹脂(発泡性シリコン樹脂など)をやわらかい樹脂の上に覆った後にモールド材でモールドすることがより好ましい。こうすれば、温度変化による熱膨張率差によって発生する圧力を緩和することで、圧力による検出素子や電子部品の破損を防止できる。
【0031】
以上に説明したセンサ付転動装置10において、ハウジング18に取り付けた検出器(センサユニット)20のプリント基板25は、板厚方向の加振に対する共振周波数が剛性増強手段としての接着層27及び金属板28によって高められている。このため、プリント基板25に実装する振動検出素子30の振動検出方向をプリント基板25の板厚方向に設定した場合、プリント基板25は振動検出素子が検出する異常振動に対して共振を起こすことを防止することができる。
【0032】
即ち、検出器20において、振動検出素子30の振動検出方向をプリント基板25の表面に沿う方向に設定した場合だけでなく、この振動検出方向をプリント基板25の板厚方向に設定した場合も、プリント基板25の共振によって振動検出の精度が低下することを防止する。従って、検出器20は転動装置17の発生する振動を正確に検知することができる。
言い換えれば、プリント基板25に実装する振動検出素子30は、その振動検出方向を、プリント基板25の表面に沿う方向、あるいは板厚方向のいずれにも設定可能である。
【0033】
従って、プリント基板25上での振動検出素子30の実装向きや転動装置17に対するプリント基板25の向きが限定されずに、検出器ケース26の形状等の設計自由度を向上させることができる。このため、例えば、転動装置上における検出器20を設置するスペース等に応じて、プリント基板25の向きや検出器ケース26の取付け向きを変更することができる。また、振動検出方向に沿って大きな設置スペースを確保できない転動装置に対しても検出器を取り付けることが可能である。検出器20を取り付けることで、転動装置の異常発生の早期検知を図ることができる。
【0034】
なお、剛性増強手段としての接着層27及び金属板28による共振周波数の改善について、以下に、補足説明する。
一般に、プリント基板について、板厚方向の加振に対する共振周波数は1〜4kHzに存在することが多く、測定したい周波数帯域と重複することが多い。
それに対し、プリント基板の表面に沿う方向の加振に対する共振周波数は、10kHz以上にあることが多く、測定したい周波数帯域より高くなる。
本実施形態のように、接着層27及び金属板28を装備したことで、プリント基板の板厚方向の共振周波数を、プリント基板の表面に沿う方向の共振周波数と同程度又はそれ以上に高めることができる。
そして、測定したい周波数帯域より高い周波数域で、プリント基板の共振に起因する振動成分が重畳しても、この重畳分は、ローパスフィルタを用いて減衰・除去することができ、振動の測定精度に影響しない。
【0035】
なお、ローパスフィルタが不要な場合は、ローパスフィルタを省いてもよいが、プリント基板25や振動検出素子の固有振動数成分の振動を除去するためには、ローパスフィルタを設けることが好ましい。
【0036】
また、以上のセンサユニット20では、ケース本体21内には、検出素子として、振動検出素子と温度検出素子とを装備した。しかし、装備する検出素子は上記実施の形態に限定するものではない。また、ケース本体21内に装備する検出素子は、1つ又は複数のいずれでもよい。センサユニット20は、プリント基板25上に振動検出素子30が装備されたものであって、転動装置の状態を検出可能であればよい。
【0037】
また、本発明は、以上に説明した各実施の形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良等が可能である。
例えば、上記実施形態では、ケーブル23で信号を取り出していたが、無線などを使用してワイヤレスで信号を伝送してもよい。ワイヤレスの場合は、可動輪側に(可動部材側に)センサユニットを設けてもよい。
また、軸受装置17における転がり軸受は玉軸受に限らず、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受や、各種の複列軸受でもよい。
【0038】
更に、軸受装置17に限らず、図4に示すようにボールねじ50に本発明を適用することもできる。ボールねじ50では、ナット51にセンサユニット60を取り付けることにより、ねじ軸52とナット51との係合部における剥離等の異常を検知することができる。なお、センサユニット60の取付け相手はナット51に限らず、ねじ軸52をサポートしている固定側のサポートユニット53や単純支持側のサポートユニット54に取り付けてもよい。ねじ軸52はロックナット55により固定側のサポートユニット53に軸方向に固定されており、カップリング56を介して結合された駆動モータ57によって回転する。
また、ボールねじに限らず、リニアガイドやその他の直同部品における可動部やレールにセンサユニット60を取り付けることによって、剥離等の異常を検知することもできる。
【0039】
図5は、本発明に係るセンサ付転動装置の第3の実施形態を示している。
この実施形態において、転がり軸受装置17のハウジング18に取り付けられた検出器20Aは、検出器ケース26A内に、転がり軸受11の軸線方向と直交する向きでプリント基板25を装備し、このプリント基板25に搭載した振動検出素子30の振動検出方向をプリント基板25の板厚方向VAに設定している。なお、プリント基板25の板厚方向の加振に対する共振周波数を高める剛性増強手段として、前述の接着層27及び金属板28が設けられている点は、第1の実施の形態の場合と共通である。
【0040】
以上の検出器20Aでは、転がり軸受装置17に発生するアキシアル方向の振動を検出させることもできる。
また、この図5に示した実施形態では、振動検出素子30の出力信号を増幅して出力する増幅回路29を、検出器20Aの外部に独立して装備するようにしている。このように、増幅回路29をプリント基板25から排除した構成とすることで、プリント基板25をコンパクト化し、その結果、検出器20Aのコンパクト化を図ることができる。
また、図5に示した検出器20Aでは、プリント基板25を立てた形態で収容しているため、検出器ケース26Aのハウジング18への接触面積を小さく改善でき、ハウジング18上に大きな設置スペースが確保できない場合に有効である。
【0041】
更に、以上の各実施形態では、プリント基板25上に搭載する振動検出素子30は、単一で、振動検出方向をプリント基板25の板厚方向に設定していた。
しかし、本発明に係る検出器20、20Aでは、剛性増強手段によってプリント基板25の板厚方向の加振に対する共振が防止されているため、プリント基板25の表面に沿う方向及び板厚方向のいずれも、振動検出素子30による振動検出方向に設定可能である。
そこで、プリント基板25上に、振動検出方向をプリント基板25の板厚方向に設定した振動検出素子と、振動検出方向をプリント基板25の表面に沿う方向に設定した振動検出素子とをそれぞれ搭載して、プリント基板25のラジアル方向の振動およびアキシアル方向の振動のそれぞれを同時に検出可能にすることもできる。
なお、プリント基板を軸受そのものに組み込む構造にも適用できる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る検出器及びセンサ付転動装置では、検出器に収容されるプリント基板は、板厚方向の加振に対する共振周波数が剛性増強手段によって高められている。そのため、プリント基板に実装する振動検出素子の振動検出方向をプリント基板の板厚方向に設定した場合でも、プリント基板は、振動検出素子が検出する異常振動に対して共振を起こすことがなくなる。
つまり、検出器において、プリント基板に実装する振動検出素子の振動検出方向をプリント基板の表面に沿う方向に設定する構成だけでなく、前記振動検出素子の振動検出方向をプリント基板の板厚方向に設定する構成とすることができる。こうすれば、プリント基板の共振によって振動検出の精度が低下することがなく、転動装置の発生する振動を正確に検知することができる。
言い換えれば、プリント基板に実装する振動検出素子は、その振動検出方向を、プリント基板の表面に沿う方向、あるいは板厚方向のいずれにも設定可能である。
本発明にかかる検出器によれば、プリント基板上での振動検出素子の実装向きや転動装置に対するプリント基板の向きが限定されずに、検出器ケースの形状等の設計自由度を向上させることができる。また、本発明にかかるセンサ付転動装置によれば、転動装置における検出器の設置スペース等に応じて、プリント基板の向きや検出器ケースの取付け向きを変更することができる。よって、振動検出方向に沿って大きな設置スペースを確保できない転動装置に対しても検出器の取付けを可能にし、転動装置の異常発生の早期検知を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセンサ付転動装置の第1の実施の形態の縦断面図である。
【図2】図1に示したセンサ付転動装置における検出器(センサユニット)の拡大図である。
【図3】図2の検出器のプリント基板の要部の拡大断面図である。
【図4】本発明に係るセンサ付転動装置の検出器の第2の実施形態の拡大断面図である。
【図5】本発明に係るセンサ付転動装置の検出器の第3の実施形態の拡大断面図である。
【符号の説明】
10 センサ付軸受装置(センサ付転動装置)
11 転がり軸受
12 外輪
13 内輪
15 軸
17 転がり軸受装置(転動装置)
20,20A センサユニット(検出器)
21 ケース本体
22 ケースカバー
23 ケーブル
25 プリント基板
26 検出器ケース
27 接着層
28 金属板
29 増幅回路
30 振動検出素子
50 ボールねじ
Claims (10)
- 転動装置の運転状態を検出する検出器であって、プリント基板と、該プリント基板に実装された振動検出素子とを有し、前記プリント基板に、該プリント基板の板厚方向の振動を防止する剛性増強手段を設けたことを特徴とする検出器。
- 前記剛性増強手段は、前記振動検出素子が実装された前記プリント基板の面とは反対側の面の少なくとも一部に形成された接着層であることを特徴とする請求項1に記載の検出器。
- 前記剛性増強手段は金属板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の検出器。
- 前記剛性増強手段はセラミックス板であることを特徴とする請求項1に記載の検出器。
- 前記プリント基板上に、前記振動検出素子の出力信号を増幅する増幅回路が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の検出器。
- 前記プリント基板に、速度検出素子と温度検出素子のうちの少なくとも一つが設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の検出器。
- 請求項1から6のいずれか1つに記載の前記検出器を転動装置に備え、前記検出器により前記転動装置の運転状態を検出することを特徴とするセンサ付転動装置。
- 前記転動装置が転がり軸受であることを特徴とする請求項7に記載のセンサ付転動装置。
- 前記転動装置がボールねじであることを特徴とする請求項7に記載のセンサ付転動装置。
- 前記転動装置がリニアガイドであることを特徴とする請求項7に記載のセンサ付転動装置。
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