JP2004108303A - 可変動弁機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の駆動系を大きく変えることなく、1本のカムシャフトを回転させて、バルブのリフト量及び作用角を連続的又は段階的に変化させる。
【解決手段】ロッカアーム1の近傍に介在アーム10を設け、介在アーム10にシーソアーム20を設けるとともに該シーソアーム20の一端部に第二ローラ21を設け、他端部に第三ローラ22を設け、シーソアーム20の小角度回転方向を規制する制御カム40を設け、第二ローラ21を押圧することで、シーソアーム20と介在アーム10とをその順に介してロッカアーム1を押圧しバルブ6をリフトさせる回転カム30を設け、制御カム40の配向角を変えることにより、回転カム30によるバルブ6のリフト量及び作用角を変化させるリフト制御装置を設けた。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の運転状況に応じてバルブのリフト量及び作用角を連続的に又は段階的に変化させる可変動弁機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の出力、トルク、燃費、排気ガスのクリーン度等の諸特性を両立させるため、内燃機関の運転状況に応じてバルブのリフト量又は作用角を連続的に又は段階的に変化させる可変動弁機構が種々考えられている。その一つの代表例として二本のカムシャフトを回転させてロッカアームを揺動させると共に2本のカムシャフトの位相を相対的に変えることによりロッカアームの揺動角を変えて、バルブのリフト量又は作用角を連続的に変化させるようにしたものが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
【非特許文献1】
「自動車工学・1999年12月号」株式会社鉄道日本社、平成11年、第86−87頁
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記代表例のように2本のカムシャフトを回転させるには、1本のカムシャフトを回転させてきた従来の駆動系を大きく変えることになると共に、駆動上難しいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、従来の駆動系を大きく変えることなく、1本のカムシャフトを回転させて、バルブのリフト量及び作用角を連続的又は段階的に変化させることができる可変動弁機構を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の可変動弁機構は、ロッカアームのカム対応部の近傍に該カム対応部を押圧する押圧面を備えた介在アームを揺動可能に設け、介在アームにシーソアームを小角度回転可能に設けるとともに該シーソアームの一端部に回転カム摺接部を設け、他端部に制御カム摺接部を設け、制御カム摺接部に当接して、シーソアームの小角度回転方向の一方向を規制する制御カムを、介在アームとは別に回動可能に設け、回転カム摺接部をシーソアームの小角度回転方向の一方向に押圧することで、シーソアームと介在アームとをその順に介してロッカアームを押圧しバルブをリフトさせる回転カムを回転可能に設け、制御カムの配向角を1回転以内の範囲で内燃機関の運転状況に応じ連続的に又は段階的に変えることにより、シーソアームを小角度回転させて回転カム摺接部を回転カムに近づく方向に変位させ、回転カム摺接部と回転カムとの当接位置を移動させると同時に、介在アームの揺動開始角を変え、もってカム対応部に対する介在アームの押圧面の当接位置を介在アームの長さ方向に変えることにより、回転カムによるバルブのリフト量及び作用角を変化させるリフト制御装置を設けたことを特徴としている。なお、カム対応部とは、回転カムにシーソアーム及び介在アームを介して対応し押圧される部位という意味である。
【0007】
カム対応部は、固定された硬質チップでも回転可能なローラでもよい。但し、摺動抵抗や摩耗を考慮すると、カム対応部はロッカアームに回転可能に軸着されたローラが好ましい。
【0008】
回転カム摺接部又は制御カム摺接部は、固定された硬質チップでも回転可能なローラでもよい。但し、摺動抵抗や摩耗を考慮すると、回転カム摺接部又は制御カム摺接部の少なくとも一方(好ましくは両方)は、シーソアームに回転可能に軸着されたローラが好ましい。
【0009】
ロッカアーム、介在アーム及びシーソアームは、別の面内で揺動又は小角度回転してもよいが、スペース効率上、同一面内で揺動又は小角度回転することが好ましい。
【0010】
ここで、ロッカアームは、次のいずれのタイプでもよい。
(1)ロッカアームの一端部に揺動中心部があり、中央部にカム対応部があり、他端端にバルブ押圧部があるタイプ。(いわゆるスイングアーム)
(2)ロッカアームの中央部に揺動中心部があり、一端部にカム対応部があり、他端端にバルブ押圧部があるタイプ。
【0011】
揺動中心部としては、次の二態様を例示できる。
(a)揺動中心部はピボットに支持された凹球面部である態様。
(b)揺動中心部はロッカアームが回動可能に軸支された軸穴部である態様。
【0012】
上記(a)の態様では、揺動中心部にタペットクリアランス調整機構が設けられることが好ましい。例えば、ピボットに設けた雄ネジをピボット支持材に設けた雌ネジに螺入量調節可能に螺入するようにしたタペットクリアランス調整機構や、ピボットをピボット支持材に対して摺動可能に設けて、油圧でタペットクリアランスを自動調整するようにしたもの等を例示できる。
【0013】
回転カムと制御カムとに回転カム摺接部と制御カム摺接部とがそれぞれ常に摺接するように、介在アームとシーソアームとを付勢する付勢手段が設けられていることが好ましい。付勢手段としては、特に限定されないが、介在アームをその揺動方向に沿って付勢することでシーソアームの回転カム摺接部と制御カム摺接部とが回転カムと制御カムとから離間しないように介在アームを付勢するバネ部材が好ましい。
具体的には、介在アームのアーム部又はアーム部とは別に設けられた突起とシリンダヘッドとの間に押し縮めたバネ部材を設けたもの等を例示できる。
【0014】
リフト制御装置としては、特に限定されないが、ヘリカルスプライン機構と、油圧を用いた駆動部と、マイクロコンピュータ等の制御装置とを備えたものを例示できる。
【0015】
なお、本発明の可変動弁機構は、吸気バルブ又は排気バルブの何れか一方に適用することもできるが、両方に適用することが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施した可変動弁機構の第一実施形態例について、図1〜図5を参照して説明する。この可変動弁機構にはスイングアームタイプのロッカアーム1が使用され、ロッカアーム1の一端部は同部に形成された凹球面部2がピボット3に支持されてなる揺動中心部となっている。ピボット3はネジによるタペットクリアランス調整機構を内蔵している。ロッカアーム1の他端部は二股状に分かれて、それぞれの先端下部にバルブ押圧部5が凹設され、バルブ6の基端部をバルブ押圧部5が押圧するようになっている。
【0017】
ロッカアーム1の中央部に形成されたローラ配置穴7には、カム対応部としての第一ローラ8が、ロッカアーム1の上面からやや突出するように配され、該第一ローラ8はアーム側壁と直交する軸の周りに回転可能に軸着されている。
【0018】
ピボット3の軸下部に設けられた雄ネジは、ピボット支持材4に設けられた雌ネジに螺入量調節可能に螺入されて、タペットクリアランス調整機構が構成されている。なお、タペットクリアランス調整機構は、ピボット3をピボット支持材4に対して摺動可能な構成にして、油圧でタペットクリアランスが自動調整されるものに変更してもよい。
【0019】
第一ローラ8の上方近傍には、第一ローラ8を押圧する押圧面14を備えた介在アーム10が揺動可能に設けられている。介在アーム10は、その基端の円筒部11がアームシャフト12に揺動可能に軸着され、該円筒部11からロッカアーム1のバルブ押圧部側へ向かって延びるアーム部13の下面は、第一ローラ8を押圧するための押圧面14となっている。押圧面14は第一ローラ8の半径よりも大きい曲率半径の凹曲面に形成され、後述するように第一ローラ8に対する押圧面14の当接位置が介在アーム10の長さ方向に変わっても、押圧面14はその略垂線方向に第一ローラ8を押圧するようになっている。
【0020】
また、介在アーム10の円筒部11から上方に向かって延びるように形成されたフォーク内には、シーソアーム20の中央部が配され、該シーソアーム20はフォーク側壁と直交する軸の周りに小角度回転可能に軸着されている。
【0021】
また、介在アーム10には、図4(a)の位置を揺動上限としてそれ以上は揺動できないように構成された付勢手段(図示略)が設けられ、アーム部13は常に第一ローラ8から遠ざかる方向に付勢されるようになっている。
【0022】
シーソアーム20の一端部(ロッカアーム1でいうとバルブ押圧部側)に形成されたフォーク内には、回転カム摺接部としての第二ローラ21が配され、該第二ローラ21はフォーク側壁と直交する軸の回りに回転可能に軸着されている。また、シーソアーム20の他端部(ロッカアーム1でいうと揺動中心部側)に形成されたフォーク内には、制御カム摺接部としての第三ローラ22が配され、該第三ローラ22はフォーク側壁と直交する軸の回りに回転可能に軸支されている。
【0023】
第三ローラ22の上方には、第三ローラ22に当接して、シーソアーム20の小角度回転方向の一方向(図2でいう右回転方向)を規制する制御カム40が、介在アーム10とは別に回動可能に設けられている。制御カム40は、ベース円40aと、ノーズが漸増するノーズ漸増部40bとからなり、第三ローラ22と略同一幅に形成されている。
【0024】
第二ローラ21の上方には、第二ローラ21をシーソアームの小角度回転方向の一方向(図2でいう右回転方向)に押圧することで、シーソアーム20と介在アーム10とをその順に介してロッカアーム1を押圧しバルブ6をリフトさせる回転カム30が回転可能に設けられている。回転カム30は、ベース円30aと、突出量が漸増するノーズ漸増部30bと、最大突出量となるノーズ30cと、突出量が漸減するノーズ漸減部30dとからなり、回転可能に支持されたカムシャフト31に形成されている。また、回転カム30は、第二ローラ21と略同一幅に形成されている。
【0025】
制御シャフト41には、制御カム40の配向角を1回転以内の範囲で内燃機関の運転状況に応じ連続的に又は段階的(好ましくは三段階以上、さらに好ましくは四段階以上の多段階)に変えることにより、シーソアーム20を小角度回転させて第二ローラ21を回転カム30に近づく方向に変位させ、第二ローラ21と回転カム30との当接位置を移動させると同時に、介在アームの揺動開始角(回転カム30のベース円30aが第二ローラ21に当接しているときの介在アーム10の角度であって、制御カム40と第三ローラ22との当接位置によって変化する)を変え、もって第一ローラ8に対する介在アーム10の押圧面14の当接位置を介在アーム10の長さ方向に変えることにより、回転カム30によるバルブ6のリフト量及び作用角を変化させるリフト制御装置(図示略)が接続されている。
【0026】
リフト制御装置は、例えば、ヘリカルスプラインを設けたピストンが油圧により所定角の回転を伴いながら軸方向に移動し、該回転が制御シャフト41を回転させることにより制御カム40の配向角を1回転以内の範囲で変える構造となっており、内燃機関の回転センサやアクセル開度センサ等からの検知値に基づいてマイクロコンピュータ等の制御装置により制御されるようになっている。
【0027】
上記の構成により、制御カム40が第三ローラ22に当接してシーソアーム20が右回転方向に小角度回転するのを規制した状態で、回転カム30がシーソアーム20を右回転方向に小角度回転させる向きに第二ローラ21を下方へ押圧し、シーソアーム20と介在アーム10とをその順に介してロッカアーム1が押圧されることによりバルブ6がリフトされるようになっている。このとき、回転カム30により第二ローラ21を押圧されたシーソアーム20は第三ローラ22と制御カム40との当接位置を突出量の小さい側に移動させながら下方へ変位し、該シーソアーム20を介して下方へ押圧された介在アーム10は所定の角度範囲で揺動する。
【0028】
またこのとき、制御カム40の配向角を変えて、第三ローラ22を押圧する位置をベース円40aにしたりノーズ漸増部40bの各所にしたりすることにより、シーソアーム20が小角度回転して姿勢が変化し、第二ローラ21が回転カム30に近づく方向に変位させられて、介在アーム10の揺動開始角も変わることになる。すると、第一ローラ8に対する介在アーム10の押圧面14の当接位置が介在アーム10の長さ方向に変わり、具体的には、介在アーム10の揺動開始角が高いときには押圧面14の当接位置はアーム部13基端側となり、介在アーム10の揺動開始角が低いときには押圧面14の当接位置はアーム部13先端側となる。
【0029】
以上のように構成された可変動弁機構は、次のように作用する。
まず、図2(a)→(b)は、最大リフト量・最大作用角が必要な運転状況下における制御カム40の配向角度とそれによる作用を示している。
図2(a)に示すように、最大リフト量・最大作用角が必要な運転状況下で、回転カム30の第二ローラ21に対する当接位置がベース円30aの位置であるとき、制御カム40はノーズ漸増部40bの中間突出部付近が第二ローラ21に当接するように配向制御される。このとき、第三ローラ22が当接している制御カム40の当接位置が大きな突出量を持っているので、シーソアーム20は介在アーム10に対して左回転方向に小角度回転する。しかしこの時、シーソアーム20の小角度回転に伴って第二ローラ21が回転カム30に近づく方向に変位させられるが、第二ローラ21が回転カム30のベース円30a中央部に当接してシーソアーム20が左回転方向に小角度回転できない状態になっているため、結果的にシーソアーム20は下方へ変位する。このシーソアーム20の変位に伴って、介在アーム10が下方へやや傾き、その位置が最大リフト量・最大作用角が必要な運転状況下における介在アーム10の揺動開始角となる。このときの介在アーム10の揺動開始角は、下方へやや傾いた所といっても依然として高いため、第一ローラ8に対する介在アーム10の押圧面14の当接位置は、アーム部13基端側(詳しくは、円筒部11)であり、まだバルブ6のリフトは発生しない。
【0030】
次に、図2(a)から図2(b)までの間、すなわち回転カム30の第二ローラ21に対する当接位置がベース円30aからノーズ漸増部30bに変位するときには、第二ローラ21が回転カム30により下方に押圧を受け、シーソアーム20が下方へ変位するとともにシーソアーム20を軸支した介在アーム10は付勢手段による付勢に抗して揺動し下方に傾きを増してゆく。このとき、第三ローラ22と制御カム40との当接位置は、ノーズ漸増部40bの突出量の小さい側へやや移動するとともに、第二ローラ21と回転カム30との当接位置は大きく下方へ移動する。また、このとき介在アーム10の押圧面14が、第一ローラ8に対する当接位置を円筒部11から押圧面14側に変位させながら第一ローラ8を下方へ押圧し始める。すると、ロッカアーム1は、第一ローラ8が押圧され始めるのに対応して各ピボット3を中心として下方へ揺動を開始し、バルブ押圧部5がバルブ6を下方に押圧して各バルブ6がリフトされ始める。
【0031】
次に、図2(b)に示すように、回転カム30のノーズ漸増部30bを経てノーズ30cが第二ローラ21に摺接するとき、第二ローラ21は回転カム30により最大押圧を受ける。このとき、第三ローラ22が制御カム40により上方から規制を受けているため、シーソアーム20は全体として右側に傾きながら下方へ最大変位する。このシーソアーム20の変位により、介在アーム10は付勢手段による付勢に抗して下方へ最大揺動し、その位置が最大リフト量・最大作用角が必要な運転状況下における介在アーム10の揺動終了角となる。このとき、介在アーム10の押圧面14が第一ローラ8に対する当接位置を押圧面14の先端側に変位させながら第一ローラ8を下方へ最大押圧する。すると、ロッカアーム1は、第一ローラ8が最大押圧されるのに対応して各ピボット3を中心として下方へ最大揺動し、バルブ6のリフト量Lは発生・増加して最大値Lmaxに達し、作用角も最大となる。
なお、前記の通り、前記当接位置が変わっても、凹曲面に形成された押圧面14はその略垂線方向に第一ローラ8を押圧するので、介在アーム10にその長さ方向の応力成分がほとんど生じず、円筒部11とアームシャフト12との間に負担がかからない。
【0032】
次に、図3(a)→(b)は、微小リフト量・微小作用角が必要な運転状況下における制御カム40の配向角度とそれによる作用を示している。
図3(a)に示すように、微小リフト量・微小作用角が必要な運転状況下で、回転カム30の第二ローラ21に対する当接位置がベース円30aの位置であるとき、制御カム40はノーズ漸増部40bの図2(a)の時よりも突出量のやや小さい位置に第三ローラ22が当接するように配向制御される。このとき、第三ローラ22が当接している制御カム40の当接位置が、図2(a)よりも突出量の小さい位置に移動しているので、シーソアーム20は介在アーム10に対して図2(a)の時に比べて右回転方向に小角度回転しながら左上方へ変位する。このシーソアーム20の変位に伴って、第三ローラ22と制御カム40との当接位置が図2(a)に比べて左上方に移動し、第二ローラ21と回転カム30との当接位置が図2(a)に比べてやや左側に移動するとともに、介在アーム10が揺動して、やや起き上がり、その位置が微小リフト量・微小作用角が必要な運転状況下における介在アーム10の揺動開始角となる。このとき、第一ローラ8に対する介在アーム10の押圧面14の当接位置は、アーム部13基端側(円筒部11ともいえる)であり、まだバルブ6のリフトは発生しない。
【0033】
次に、図3(a)から図3(b)までの間、すなわち回転カム30の第二ローラ21に対する当接位置がベース円30aからノーズ漸増部30bに変位するときには、第二ローラ21が回転カム30により下方に押圧を受け、シーソアーム20が下方へ変位するとともにシーソアーム20を軸支した介在アーム10は付勢手段による付勢に抗して揺動し下方に傾きを増してゆく。このとき、第三ローラ22と制御カム40との当接位置は、ノーズ漸増部40bの突出量の小さい側へやや移動するとともに、第二ローラ21と回転カム30との当接位置は大きく下方へ移動する。また、このとき介在アーム10の押圧面14が、第一ローラ8に対する当接位置を円筒部11から押圧面14側に変位させながら第一ローラ8を下方へ押圧し始める。すると、ロッカアーム1は、第一ローラ8が押圧され始めるのに対応して各ピボット3を中心として下方へ揺動を開始し、バルブ押圧部5がバルブ6を下方に押圧して各バルブ6がリフトされ始める。
【0034】
次に、図3(b)に示すように、回転カム30のノーズ漸増部30bを経てノーズ30cが第二ローラ21に摺接するとき、第二ローラ21は回転カム30により最大押圧を受ける。このとき、第三ローラ22が制御カム40により上方から規制を受けているため、シーソアーム20は全体として右側に傾きながら下方へ変位する。このシーソアーム20の変位により、介在アーム10は付勢手段による付勢に抗して下方へ揺動し、その位置が微小リフト量・微小作用角が必要な運転状況下における介在アーム10の揺動終了角となる。このとき、介在アーム10の押圧面14が第一ローラ8に対する当接位置を押圧面14の基端部に変位させながら第一ローラ8を下方へ押圧する。すると、ロッカアーム1は、第一ローラ8が押圧されるのに対応して各ピボット3を中心として下方へ揺動するが、ロッカアーム1の揺動量が僅かとなるためバルブ6のリフト量Lは微小となる。また、介在アーム10の揺動開始角が図2(a)の時よりも上方に傾いた所であり、バルブ6がリフトされるのが揺動終了角付近に限られるので作用角も微小となる(図5参照)。
【0035】
なお、図2と図3との中間的なリフト量・作用角が必要な運転状況下では、図2と図3との中間的な制御カム40の配向角度をリフト制御装置により連続的に又は段階的に作ることで、図5に示すように中間的なリフト量・作用角が連続的に又は段階的に得られる。
【0036】
次に、図4(a)→(b)は、リフト休止が必要な運転状況下における制御カム40の配向角度とそれによる作用を示している。
図4(a)に示すように、リフト休止が必要な運転状況下で、回転カム30の第二ローラ21に対する当接位置がベース円30aの位置である時、制御カム40はベース円40aが第三ローラ22に当接するように配向制御される。このとき、第三ローラ22が当接している制御カム40の当接位置が、図3(a)よりも突出量の小さい位置に移動しているので、シーソアーム20は介在アーム10に対して図3(a)の時に比べて右回転方向に小角度回転しながら左上方へ変位する。このシーソアーム20の変位に伴って、第三ローラ22と制御カム40との当接位置が図3(a)に比べて左上方へ移動し、第二ローラ21と回転カム30との当接位置が図3(a)に比べてやや左側に移動するとともに、介在アーム10が揺動して、最も起き上り、その位置がリフト休止が必要な運転状況下における介在アーム10の揺動開始角となる。このとき、第一ローラ8に対する介在アーム10の押圧面14の当接位置は、アーム部13基端側の円筒部11であり、バルブ6のリフトは発生しない。
【0037】
次に、図4(a)から図4(b)までの間、すなわち回転カム30の第二ローラ21に対する当接位置がベース円30aからノーズ漸増部30bに変位するときには、第二ローラ21が回転カム30により下方に押圧を受け、シーソアーム20が下方へ変位するとともにシーソアーム20を軸支した介在アーム10は付勢手段による付勢に抗して揺動し下方に傾きを増してゆく。このとき、第三ローラ22と制御カム40との当接位置は、ベース円40aから右側のノーズ漸増部40bへ移動するとともに、第二ローラ21と回転カム30との当接位置は大きく下方へ移動する。また、このとき介在アーム10の押圧面14が、第一ローラ8に対する当接位置を円筒部11から押圧面14側に向かって変位させ始める。
【0038】
次に、図4(b)に示すように、回転カム30のノーズ漸増部30bを経てノーズ30cが第二ローラ21に摺接するとき、第二ローラ21は回転カム30により最大押圧を受ける。このとき、第三ローラ22が制御カム40により上方から規制を受けているため、シーソアーム20は全体として右側に傾きながら下方へ変位する。このシーソアーム20の変位により、介在アーム10は付勢手段による付勢に抗して下方へ揺動し、その位置がリフト休止が必要な運転状況下における介在アーム10の揺動終了角となる。このとき、介在アーム10の押圧面14が第一ローラ8に対する当接位置を円筒部11から押圧面14に向かって変位させるが円筒部11に留まるので第一ローラ8は下方へ押圧されない。従って、このときロッカアーム1は揺動することなく、バルブ6はリフト休止状態となる。
【0039】
以上のように構成された本実施形態の可変動弁機構によれば、従来の駆動系を大きく変えることなく、1本のカムシャフトを回転させるだけで、バルブのリフト量及び作用角を連続的又は段階的に変化させることができる。
【0040】
なお、本発明は前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば次のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で変更して具体化することもできる。
(1)リフト制御装置の構成や制御の仕方を適宜変更すること。
(2)中央部に揺動中心部があるロッカアームとすること。
(3)シーソアーム20の形状、制御カム40の形状、又は介在アーム10の形状を適宜変更すること。
(4)バルブ6毎にロッカアーム1、第一ローラ8、ピボット3及びピボット支持材4を二つずつ設けるとともに、介在アーム10の押圧面14が二つの第一ローラ8を押圧して二つのバルブ6をリフトするように構成すること。
【0041】
【発明の効果】
本発明の可変動弁機構は、上記の通り構成されているので、従来の駆動系を大きく変えることなく、一本のカムシャフトを回転させて、バルブのリフト量及び作用角を連続的又は段階的に変化させることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る可変動弁機構を示す斜視図である。
【図2】図1の最大リフト量・作用角が必要なときの同機構の作用を示す断面図である。
【図3】図1の微小リフト量・作用角が必要なときの同機構の作用を示す断面図である。
【図4】図1のリフト休止が必要なときの同機構の作用を示す断面図である。
【図5】本実施形態に係る可変動弁機構により得られるバルブのリフト量及び作用角を示すグラフである。
【符号の説明】
1  ロッカアーム
6  バルブ
8  カム対応部としての第一ローラ
10  介在アーム
14  押圧面
20  シーソアーム
21  回転カム摺接部としての第二ローラ
22  制御カム摺接部としての第三ローラ
30  回転カム
31  カムシャフト
40  制御カム
41  制御シャフト

Claims (3)

  1. ロッカアームのカム対応部の近傍に該カム対応部を押圧する押圧面を備えた介在アームを揺動可能に設け、
    前記介在アームにシーソアームを小角度回転可能に設けるとともに該シーソアームの一端部に回転カム摺接部を設け、他端部に制御カム摺接部を設け、
    前記制御カム摺接部に当接して、前記シーソアームの小角度回転方向の一方向を規制する制御カムを、前記介在アームとは別に回動可能に設け、
    前記回転カム摺接部を前記シーソアームの小角度回転方向の前記一方向に押圧することで、前記シーソアームと前記介在アームとをその順に介してロッカアームを押圧しバルブをリフトさせる回転カムを回転可能に設け、
    前記制御カムの配向角を1回転以内の範囲で内燃機関の運転状況に応じ連続的に又は段階的に変えることにより、前記シーソアームを小角度回転させて前記回転カム摺接部を前記回転カムに近づく方向に変位させ、前記回転カム摺接部と前記回転カムとの当接位置を移動させると同時に、前記介在アームの揺動開始角を変え、もって前記カム対応部に対する前記介在アームの前記押圧面の当接位置を前記介在アームの長さ方向に変えることにより、前記回転カムによる前記バルブのリフト量及び作用角を変化させるリフト制御装置を設けた可変動弁機構。
  2. 前記カム対応部が、前記ロッカアームに回転可能に軸着されたローラである請求項1記載の可変動弁機構。
  3. 前記回転カム摺接部又は制御カム摺接部の少なくとも一方が、前記シーソアームに回転可能に軸着されたローラである請求項1〜2のいずれか一項に記載の可変動弁機構。
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