JP2004108141A - 構造用接合金物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 土台または梁に取り付けられた柱の引抜きを防止するための構造用接合金物において、柱の側面から突出しない構造のものを提供する。
【解決手段】 横架材に柱を固定するための構造用接合金物であって、矩形状の基板部と、この基板部の対向する2辺からそれぞれ取り付けられる前記柱の側面に沿って垂直方向に延び、前記柱を挟持する側板部とからなる金物本体、および、前記基板部から所定の高さに前記柱の取付面を保持するための係止部からなり、前記金物本体の各側板部には前記柱に接合するための締結孔が、また、基板部には前記横架材に接合するためのボルト孔がそれぞれ形成されているもの。
【選択図】   図1

Description

 本発明は構造用接合金物に関し、さらに詳しくは、土台と柱、梁と柱の接合などに使用されるホールダウン金物として好適な構造用接合金物に関する。
 一般に、木造住宅においては、図18に示すように、コンクリートなどの基礎1上に横架材すなわち土台2が載置され、この土台2の上に柱3が垂直に取り付けられた構造となっている。
 このような木造住宅において、例えば、強い直下型地震の発生時には柱3に強い引抜き力が働き、ホゾの抜けた柱が折れて建物が倒壊する恐れがある。そのため、従来は構造用接合金物、例えば、ホールダウン金物4を使用して基礎1、土台2および柱3の接合強度を高め、この引抜き力に耐えるようにしている。
 具体的には、図18に示すように、基礎1から土台2を貫通して両者を緊結するアンカーボルト5の頭部5aをホールダウン金物4の下部の係止面4aの孔に挿通してナット6により締結する。さらに、ホールダウン金物4の側板4bは柱3の側面に複数個例えば3個のボルト7により固定されている。
 ところで、上記の木造住宅においては、上述の引抜き力に耐える構造が要求されると同時に、地震の際の横揺れなど水平方向の剛性を向上させることも必要である。そのため、従来は柱3と隣接する間柱(図示せず)との間に筋かい(図示せず)を入れることが一般的であった。
 しかし、最近では、上記の筋かいに代えて、柱と柱の間の全面にパネル8を嵌め込むことにより、横方向の剛性をさらに高めた構造、いわゆるパネル工法が提案されている。ところが、このようなパネル構造を採用した場合、上記のホールダウン金物4の、とくに係止面4aが柱3の側面から突出しているために、パネル8の施工性の自由度が著しく低下するという問題が生じる。
 本発明は上記の問題を解消し、上方向への引抜き力に十分耐える機能を有するとともに、柱の側面から突出しない形状の構造用接合金物を提供することを目的とする。
 本発明者らは、上記目的を達成するために種々検討を重ねた結果、構造用接合金物を従来のように、柱の一側面に固定されるのではなく、平板状の部材により柱の対向する2つの側面を挟持して、かつ、これらの側面に固定される構造とすれば側面から突出することがないとの着想を得た。さらに、この接合金物の下部に横架材と金物とを結合するためのボルト頭部とナットとを収容する空間を形成することより、同様に柱の側面からボルト、ナットなどが突出しない構成とした。
 すなわち、本発明によれば、横架材に柱を固定するための構造用接合金物であって、矩形状の基板部と、この基板部の対向する2辺からそれぞれ取り付けられる前記柱の側面に沿って垂直方向に延び、前記柱を挟持する側板部とよりなる金物本体、および、前記基板部から所定の高さに前記柱の取付面を保持するための係止部からなり、前記金物本体の各側板部には前記柱に接合するための締結孔が、また、基板部には前記横架材に接合するためのボルト孔がそれぞれ形成されているものが提供される。
 上記の金物は、前記側板部の幅が、取り付けられる前記柱の側面の幅より小さくされているものであってもよい。また、前記側板部の幅が、取り付けられる前記柱の側面の幅とほぼ同等であってもよい。
 上記の構成において、前記係止部は、断面略コ字状の板状体であり、前記柱の取付面を受ける受板部と、前記柱の側面に溶着される脚部とから形成されることが好ましい。また、前記係止部は、前記金物本体側板部に設けられた肩部と、この肩部に係止される突出部を有する着脱自在の受板とからなるものであってもよい。
 さらに、前記金物本体の基板部下面に下方に突出してホゾ穴用ガイドが固設されていてもよく、また、前記金物本体の側板部の少なくとも一方に、筋かいプレートが取り付けられていてもよい。
 さらに、アンカーボルトの取り付け位置が正確でない場合にも対応ができるよう、構造用接合金物基底部のアンカーボルト取り付け穴は少なくともホゾ穴用ガイドの切欠き方向及び当該切欠き方向に直交する方向に、ボルト孔径に対して十分大きいものとし、かかる穴よりも十分大である座金をボルト又はナットと構造用接合金物基底部の間に挟みこむことにより固定することとしても良い。また、アンカーボルト取り付け位置のずれがホゾ穴用ガイドの切欠き方向と反対方向である場合には、構造用接合金物全体の向きを180°かえることにより対応できる。
 なお、柱と構造用接合金物との間の接合を、柱を挟持する各側板部の締結孔に挿通させて当該柱を側板部に固定する締結部材(ボルトとナット等)による場合は、柱に引張応力が作用し、側板部に固定された締結部材が柱の木材に食い込みながら、柱に対し下側に移動することによる割れを防止するため、ボルトに直交するように接触する棒状部材(例えば、ドリフトピン)を貫入させておき、締結部材から締結部材のすぐ下側の直線状に柱に作用する応力をかかる棒状部材の下側にも分散させることにより全体として柱と構造用接合金物との接合部の引張強度を高めることもできる。
 以上説明したように、本発明の構造用接合金物は、柱と横架材とを接合した際に、強い引抜き力に十分耐える強度を有すると同時に、柱側面から突出する部分がないため、とくに、パネル工法において施工性の自由度が増大するという利点を有する。したがって、その工業的価値は極めて大である。
 以下に、添付図面を参照しながら本発明の箱型ホールダウン金物について詳述する。
 図1〜3は本発明の構造用接合金物の一実施形態であるホールダウン金物の構成の一例であり、このホールダウン金物10が取り付けられる柱14および横架材(土台)15との位置関係を同時に示したものである。
 すなわち、ホールダウン金物10は断面略コ字状に折曲されて基板部11aと側板部11b、11cとからなる箱型の金物本体11と、この本体11の基板部11aから所定の高さに係止される受板12とから構成される。この受板12は、柱14の取付面14aを保持すると共に、金物本体11の基板部11aとの間に後述するボルトの頭部を収容するための空間を形成する機能を有する。金物本体11の基板部11aには後述するボルトの頭部を挿通するためのボルト孔11dが形成されている。
 金物本体11の対向する側板部11b、11cは、基板部11aから所定の高さの位置すなわち上記受板12の係止位置で減幅されて、受板12を係止するための肩部11e、11fが形成される。したがって、この減幅部の幅は柱14の側面14b、14cの幅より小さくなっている。
 また、各側板部11b、11cには、このホールダウン金物10を柱14の側面14b、14cに固定するための締結孔が形成されている。この締結孔は具体的にはボルト孔、ネジ孔などをいう。図1には一例として、側板部11b、11cの上部にそれぞれ1個のボルト孔11kとその下に複数個すなわち8個のネジ孔11gが形成されているものを示してある。
 図1に示すように、側板面の中心線の左右に配置された4個ずつのネジ孔11gの組がこの中心線に対して左右非対称に配置されている理由は、対向する2枚の側板部11b、11cのネジ孔11gを上下方向および/または左右方向にずらした位置に配置して柱14を両面から固定するビス19が一直線上に重なることを防止するためである(図3参照)。つまり、両面から螺入されたビス19が一直線上に重なると両者の先端部付近で柱14の割れなどが生じる可能性がある。
 この金物本体11により柱14を固定するためには、ボルト孔11kにボルト(図示せず)を挿通する、ネジ孔11gにビスを螺入する、あるいは、ボルトとビスを併用するなどいずれの構成とすることもできる。また、実際に使用されるビスの個数、配置などもホールダウン金物10に要求される強度などに応じて適宜決定されることが好ましい。
 受板12は対向する2辺に上記の金物本体11の側板部11b、11cの厚みと略同等の切欠き12a、12bが形成されており、当該受板12を金物本体11の上方から落とし込んだ際に、これらの切欠き12a、12bの両側の突出部12c、12dが本体側面の肩部11e、11fにそれぞれ当接して係止される。
 このように、金物本体11の基板部11aから所定の高さに受板12を配設することにより、この基板部11aと柱14の取付面14aとの間に後述するボルト16、ワッシャ(座金)17、ナット18などを収容する適切な空間(図2、3おける符号S)を確保することができる。
 そして、受板12にはこのホールダウン金物10を土台15に取り付ける際、ボルトの長さの自由度を上げるための孔12eが形成されている。
 受板12を金物本体11に取り付けた状態で、柱14の底面14aを受板12上に載置し、柱14の側面14b、14cを金物本体11の対向する側板部11b、11cにより挟持して例えばビス19により両者を固定する。このとき柱14の側面14b、14cには、金物本体11の両側板部11b、11cの減幅部の寸法・形状に対応する凹部14d、14eを形成しておくと、金物本体11の両側板部11b、11cが柱14の側面14b、14cとほぼ面一になり、柱14の側面14b、14cから突出しない構造とすることができる。
 また、図2、図3に示したように、柱14の凹部14d、14eの深さを側板部の厚みより大きくしておくことにより、これらの側板部11b、11cを取り付けた際に、ビス19の頭部も柱14の側面14b、14cから突出しない構造とすることができる。
 また、上述したように、ホールダウン金物本体11の側板部11b、11cを柱14の凹部14d、14e内に嵌め込むことにより、側板部の柱の板面に直交する方向の揺れに対する強度に加えて、柱14の側板部の板面に平行な方向への揺れに対しても金物の強度を増大させることができる。
 一方、金物本体11の基板部11aの下面には、このホールダウン金物10を土台15に取り付ける際に土台15に形成されたホゾ穴15aに嵌め込むための位置合わせ用ガイド(以下、ホゾ穴用ガイドという)13が固設されている。具体的には、両端が折曲された断面コ字状の部材を金物本体11の底面に溶着することにより形成することができ、このホゾ穴用ガイド13の下面13aにはボルト孔13bが形成されている。
 このホゾ穴用ガイド13を横架材例えば土台15に形成されたホゾ穴15aに嵌め込むことにより容易に位置決めを行うことができる。
 上記の構成において、例えば、105mm角の柱14に対して適用されるホールダウン金物10の各部の寸法x1〜x6は概ね次のように決定されることが好ましい。すなわち、図1において、x1=52mm、x2=140.2mm、x3=36.8mm、x4=84mm、x5=30mm、x6=30mmである。また、金物本体11および受板12の厚みは3.2〜4.5mm、ホゾ穴用ガイド13の厚みは3.2〜4.5mmであることが好ましい。
 続いて図1〜3を参照しながら、上記のホールダウン金物10の取付構造について説明する。なお、図2、3において図1と同じ構成要素には同一の符号を付してある。
 まず、土台15のホゾ穴15aから突出するボルト例えばアンカーボルト16の頭部16aをホールダウン金物本体11のホゾ穴用ガイド底面13aのボルト孔13bおよび金物本体基板部11aのボルト孔11dに挿通してワッシャ(座金)17を介してナット18を螺合することにより土台15とホールダウン金物本体11とを接合する。しかるのち、金物本体11に受板12を落とし込むことにより土台15と金物本体11の肩部11e、11fの位置に係止する。
 ついで、柱14をホールダウン金物10の受板12に載置し、金物本体11の両側板部11b、11cを柱14の側面の凹部14d、14eに嵌め込んだのち、所要の数のビス19により金物本体11の両側板部11b、11cにそれぞれ固定する。なお、ビス19に替えて、あるいは、ビス19と併用して、柱14の側面14b、14cを貫通するボルトのみ、もしくはボルトとナットの組み合わせ(共に図示せず)により金物本体を固定してもよい。
 上記のホゾ穴15aおよびホゾ穴用ガイド13は金物本体10の位置合わせを容易に行えるという点で便利であるが、場合によっては省略することも可能である。
 なお、柱の側面14b、14cを貫通するボルト(締結部材)51とナット(締結部材)52との組み合わせ(図4参照)により固定しても良く、さらにその場合にはボルト51の下側に、ボルト51と略直交するようにドリフトピン(棒状部材)53を貫入させてもよい(図4)。
 地震などにより柱14に引張応力が作用し、ボルト51がその直下の木材部に食い込むことにより柱14に木割れが生じることが想定されるが、ボルト51とドリフトピン53が直交しかつ接触することで、かかる木割れの力がボルト51とドリフトピン53に分散されて木割れが防止され、結果として柱14と構造用接合金物11と柱14との接合強度が向上する。
 図5および図6は上記受板12の他の実施形態およびその取付構造を示し、各図中、図1〜図3と同一の構成要素には同一の符号を付してある。
 図5に示した受板12は中心に形成された孔12fが六角形状であり、これは図6に示したボルト161の頭部161aの寸法より僅かに大きくなるように形成されている。
 図6は図5の受板12を使用して柱14を固定した状態を示し、ボルト161の頭部161aの先端が受板12の孔12f内に収納されている。この場合、ボルト161の頭部161aと孔12f内周面との間には僅かな間隙が形成されているのみであるため、受板12がボルト161の回転止めの機能を有するという効果がある。なお、ボルト161の頭部161aが柱14の底面に当接することを防止するために、受板12の板厚をボルト頭部161aと柱14の底面のとの間に僅かな空間が形成される程度に厚くする、あるいは、柱14の底部にボルト頭部を収納するための切欠きを形成するなどの手段を講じることが好ましい。
 図7および図8は上記のホールダウン金物のホゾ穴用ガイドの他の実施形態を示している。図中、上記の図1と同一の構成要素には同一の符号を付してある。
 図7のホゾ穴用ガイド23は、図1に示したホゾ穴用ガイド13を上下逆向きに金物本体11の底面11aに溶着することにより一体化される。このホゾ穴用ガイド23の溶着面23aにはボルト孔23bが形成されている。
 図8に示したホゾ穴用ガイド24は金属板を例えば打抜き加工することにより得られる、有底円筒状の部材を上端開口縁部24aを金物本体11の底面に溶着することにより一体化される。このホゾ穴ガイド24の底面24bにはボルト孔24cが形成されている。
 このように、ホゾ穴用ガイドの形状はとくに限定されるものではないが、図1および図8に示したように、ホゾ穴内面に当接する面積が大きいものほど強度が高いため好ましい。
 図9乃至図11は、本発明の他の実施形態を示したもので、図中、図1と同一の構成要素には同一の符号を付してある。図中、受板は省略した。図11に示す金物本体11の下に溶接により接合するホゾ穴用ガイド29は、図9に示すようにホゾ穴15aの各側壁に当接する角筒状に形成され、ホゾ穴の一側壁に対向する側壁の一部が切り裂かれ横断面C字状をなしている。また、金物本体11の基底部11aのボルト穴11mは、長方形の四隅を円弧状に縁取りし、かつ一方の長辺の略中央を円弧状11に切り取った形状であるため、ホゾ穴用ガイド29の切欠方向及び切欠方向に直交する方向に、ボルト16の径より穴の大きさが大である。
 図10に示すように、本金物本体11とホゾ穴用ガイド29とは、アンカーボルト16の先端部をアンカーボルト位置を拘束しないホゾ穴ガイド29をとおし、ボルト穴11mより大きいワッシャ(座金)17を挟み込んで固定ボルト穴11mを通してナット18で締め付け、固定する。その際、ボルト穴11mの形状の効果により、アンカーボルト16が、例えば、ホゾ穴用ガイド29の切欠方向にずれた位置16aやそれに垂直方向にずれた位置16bにある場合にも金物本体11を支障なく固定することができる。また、ホゾ穴用ガイド29の切欠方向と逆の方向にずれた場合(16c)には金物本体11を180°向きをかえることにより対応できる。
 図12は本発明の他の実施形態を示したもので、図中、図1と同一の構成要素には同一の符号を付してある。なお、図中、金物本体のみを示し、受板およびホゾ穴用ガイドは省略した。この金物本体11は、両側板部11b、11cの間に補強板11h、11jを溶着して金物全体の強度をより高めたものである。
 この構成において、補強板11h、11jの上端と図示しない受板との間、すなわち、補強板11h、11jの上端と金物本体側板部11b、11cに形成された肩部11e、11fとの間には、ボルトにナットを螺合する際にスパナなどを挿入するための空隙を形成しておくことが作業性の点で好ましい。また、この金物本体11の下面にも図1と同様のホゾ穴用ガイドが固着されていることが好ましい。
 図13はホールダウン金物の他の実施形態を示したもので、図中、図1と同一の構成要素には同一の符号を付してある。なお、受板は省略してある。
 このホールダウン金物本体11は、筋かいプレートが一体に形成されたものである。図において、金物本体11の一方の側板部例えば11cに筋かいプレート30が取り付けられている。筋かいプレート30は取付部31とプレート部32とから構成されており、取付部31は本体側板部11cに例えば溶着固定されているとともに、側板部11cのネジ孔11gに対応する箇所にネジ孔31aが形成されている。また、プレート部32には筋かいを固定するためのネジ孔32aが複数個形成されている。
 図14はこの筋かいプレート付き箱型ホールダウン金物を使用して筋かいを固定した状態を示したもので、図中、図2と同一の構成要素には同一の符号を付してある。
 図14において、図2と同様に土台15にホールダウン金物本体11を介して柱14を接合してある。さらに、この土台15に直交する土台25にプレート部32を介して筋かい26を固定してある。筋かい26とプレート部32とは例えばビス27により固定することができるが、ビスに替えてボルト(図示せず)で固定することも可能である。
 このような構成は、例えば、柱14の外側(図中左側)が外壁となっている場合、柱14と外壁に沿う間柱(紙面に直交する方向に配設された柱、図示せず)の間にはパネル(図示せず)が施工されるが、土台25上は内壁(図示せず)となるために、パネルを施工する必要はなく、筋かいで足りるという状況において特に有効である。
 図15は本発明の箱型ホールダウン金物の他の態様を示し、これは図1に示したホールダウン金物10と側板部の形状および係止部の構造が異なっている。すなわち、ホールダウン金物40は断面略コ字状に形成された金物本体41と、同じく断面略コ字状に形成されてこの本体内に収納された係止部42とから構成されている。
 金物本体41は上記と同様に基板部41aと、対向する側板部41b、41cよりなり、係止部42は受板部42aと脚部42b、42cとからなる。この側板部41b、41cの幅は取り付けられる柱20の幅とほぼ同等になっている。
 金物本体41の基板部41aにはボルト挿通用のボルト孔41dが形成されており、側板部41b、41cにはこの金物本体41を柱に固定するための複数個のネジ孔41eと1個のボルト孔41fがそれぞれ形成されている。係止部42の脚部42b、42cは、金物本体41の側面41b、41cにそれぞれ溶着固定されており、その受板部42aにはボルト締結作業用の開口42dが形成されている。
 このようなホールダウン金物40を柱20に取り付ける場合は、図15に示すように、あらかじめ柱20の下部の対向する2つの側面20a、20bに金物本体41の側板部41b、41cの形状・寸法に対応する凹部20c、20dを形成しておき、係止部42の上面42aに柱20の取付面20eを載置するとともに、この凹部20c、20d内に本体側面41c、41dを嵌め込み、しかるのち、金物本体側面41c、41dを柱20にビスおよび/またはボルト(共に図示せず)により固定する。
 なお、図示は省略してあるが、このホールダウン金物40においても、金物本体41の底面41a下部にホゾ穴用ガイドを取り付けることができる。また、係止部42の開口42dを図4に示したような六角形状とし、ボルト頭部の回転防止機能を持たせることもできる。さらに、必要に応じて、金物本体の側面に、図13に示すような筋かいプレート30を取り付ける構成としてもよい。
 なお、図16は、より具体的な実施形態を示し、土台アンカーボルト16を土台パッキン56を挟んでアンカーボルト16とボルト54を接続する両引きパイプ55により接続し、かかるアンカーボルト16、両引きパイプ55及びボルト54によりホールダウン金物11を土台35に接合してもよい。このように床下の通風を確保するために基礎61との間に土台パッキン(基礎パッキン)56を介装してもよいし、アンカーボルト16が基礎61に埋込み過ぎた場合には両引パイプ55を使用してボルト54で金物11を土台35に固定するようにしても良い。
 以上の実施形態は本発明の構造用接合金物であるホールダウン金物を土台と柱との接合に使用した場合について述べたが、図12に示すように、建物の1階と2階との間に配設される横架材すなわち梁の上下に柱を固定する際にも使用することができる。
 図17はホールダウン金物として図1に示したものを使用した場合を示す。また、図中、図1と同一の構成要素には同一の符号を付してある。
 すなわち、梁28の上面および下面に形成されたホゾ穴28aに2個のホールダウン金物10のホゾ穴用ガイド13をそれぞれ嵌め込んだのち、ボルト16、ワッシャ(座金)17およびナット18により上下のホールダウン金物10を梁28に同時に固定する。続いて、受板12を金物本体11の中に落とし込み、上下の柱14を金物本体11内に収納した状態で、例えば、ビス19により柱14と金物本体の側板部11b、11cとを固定する。
 また、この状態で、柱14とホールダウン金物とを、ボルト51とナット52により固定し、ドリフトピン53を貫入させると、図4の場合と同様の効果を得ることができる。
 上記の取付構造において、ホールダウン金物10として、図13に示した筋かいプレート付きのものを使用し、梁28に筋かいを固定した構造とすることも可能である。
 以上のように、本発明の構造用接合金物例えばホールダウン金物は、もちろん在来工法にも適用することが可能であるが、柱から突出する部分がないので柱と柱との間にパネルを施工する、いわゆる、パネル工法に適用すると、従来のホールダウン金物に比べて施工性の自由度が増大するため、とくに有用である。
 また、本発明の構造用接合金物は、柱の中心軸で横架材と柱とを接合することができるため、図18に示した従来のホールダウン金物のように柱の中心軸から離れた軸で接合する構造に比べて、引抜き力に耐える力が増大する。
 さらに、箱型形状の接合金物の対向する側板部で柱を挟持する構造であるため、柱との結合強度も従来のものに比べて増大し、とくに柱が水平方向にずれることが有効に防止されるという利点を有する。
本発明の構造用接合金物の一実施形態であるホールダウン金物を土台および柱との位置関係と共に示した概念的分解斜視図である。 図1のホールダウン金物により土台と柱を接合した状態を示す概念的斜視図である。 図1のホールダウン金物の取付状態を示す概念的側面図である。 図1のホールダウン金物により土台と柱を接合した別の状態を示す概念的斜視図である。 図1のホールダウン金物の受板の他の実施形態を示す平面図である。 図5の受板を使用したホールダウン金物の取付状態を示す要部断面図である。 図1のホールダウン金物のホゾ穴用ガイドの他の実施形態を示す分解斜視図である。 図1のホールダウン金物のホゾ穴用ガイドの他の実施形態を示す分解斜視図である。 図1のホールダウン金物のホゾ穴用ガイドの他の実施形態を示す分解斜視図である。 本発明に係るホールダウン金物の取り付け方法にかかる別の実施例を示す模式図である。 図10のA−A矢視図である。 図1のホールダウン金物の本体の他の実施形態を示す要部斜視図である。 図1のホールダウン金物の本体の他の実施形態を示す要部斜視図である。 図13のホールダウン金物の取付状態を示す概念的側面図である。 本発明の構造用接合金物であるホールダウン金物の他の実施形態を柱との位置関係と共に示す概念的斜視図である。 本発明の構造用接合金物であるホールダウン金物の土台との取り付け方法にかかる他の実施形態を概念的に示す模式図である 図1の箱型ホールダウン金物を柱と梁との結合に使用した場合の取付構造を示す概念的側面図である。 従来のホールダウン金物の取付構造を示す概念的斜視図である。
符号の説明
 10、40 ホールダウン金物
 11、41 金物本体
 11a、41a 基板部
 11b、11c、41b、41c 側板部
 11d、11f、12e、41d、42d ボルト孔
 11g、41e、31a ネジ孔
 12 係止部(受板)
 13、23、24 ホゾ穴用ガイド
 14、20 柱
 15、25 横架材(土台)
 15a、28a ホゾ穴
 16 アンカーボルト
 19 ビス26 筋かい
 28 梁
 30 筋かいプレート
 42 係止部
 51 ボルト(締結部材)
 52 ナット(締結部材)
 53 ドリフトピン(棒状部材)

Claims (10)

  1.  横架材に柱を固定するための構造用接合金物であって、矩形状の基板部と、この基板部の対向する2辺からそれぞれ取り付けられる前記柱の側面に沿って垂直方向に延び、前記柱を挟持する側板部とからなる金物本体、および、前記基板部から所定の高さに前記柱の取付面を保持するための係止部からなり、前記金物本体の各側板部には前記柱に接合するための締結孔が、また、基板部には前記横架材に接合するためのボルト孔がそれぞれ形成されていることを特徴とする構造用接合金物。
  2.  前記側板部の幅が、取り付けられる前記柱の側面の幅より小さくされている請求項1記載の構造用接合金物。
  3.  前記側板部の幅が、取り付けられる前記柱の側面の幅とほぼ同等である請求項1記載の構造用接合金物。
  4.  前記係止部が、断面略コ字状の板状体であり、前記柱の取付面を受ける受板部と、前記柱の側面に溶着される脚部とから形成される請求項1乃至3のいずれかに記載の構造用接合金物。
  5.  前記係止部が、前記金物本体側板部に設けられた肩部と、この肩部に係止される突出部を有する着脱自在の受板とからなる請求項4記載の構造用接合金物。
  6.  前記金物本体の基板部下面に下方に突出し、前記横架材に形成させたホゾ穴に嵌合するホゾ穴用ガイドが固設されている請求項1乃至5のいずれか記載の構造用接合金物。
  7.  前記ホゾ穴用ガイドは、前記ホゾ穴の各側壁に当接する角筒状に形成され、ホゾ穴の一側壁に対向する側壁が切欠かれ、横断面略C字状をなすことを特徴とする、請求項6記載の構造用接合金物。
  8.  前記基板部に形成されるボルト孔は、基板部中心から、少なくとも前記ホゾ穴用ガイドの切欠き方向及び該切欠き方向に直交する方向にボルト孔断面形状が拡大されていることを特徴とする、請求項7記載の構造用接合金物。
  9.  前記金物本体の側板部の少なくとも一方に、筋かいプレートが取り付けられている請求項1乃至8のいずれか記載の構造用接合金物。
  10.  前記柱を挟持する各側板部の締結孔に挿通させて当該柱を側板部に固定する締結部材と、該締結部材と前記係止部間であって、前記締結部材に接し、該締結部材と直交する方向に柱に貫入させる棒状部材とを含んでなることを特徴とする、請求項1乃至9に記載の構造用接合金物。
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