JP2007284919A - 取付金物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ブレースを使用する木造構造物において、力の伝達性に優れ、構造物の耐力および強度を向上させるとともに、木製の構造部材への負担を軽減し、かつ、設置が容易なため、施工性に優れており、なおかつ、意匠設計の自由度の妨げとなることのない取付金物を提案する。
【解決手段】木材からなる柱1と木材からなる梁2との接合部に配置され、ブレース3の取り付けが可能に構成された取付部材11であって、柱1と梁2との当接面に介在される基部12と、この基部12を挟んで対向するように基部12の周縁に形成される少なくとも一対の羽根部13,13と、を備えている。
【選択図】図2
【解決手段】木材からなる柱1と木材からなる梁2との接合部に配置され、ブレース3の取り付けが可能に構成された取付部材11であって、柱1と梁2との当接面に介在される基部12と、この基部12を挟んで対向するように基部12の周縁に形成される少なくとも一対の羽根部13,13と、を備えている。
【選択図】図2
Description
本発明は、木造構造物の接合部に使用される取付金物に関する。
木造の構造物について、構造物の強度および耐力の増加を目的として、梁および柱により形成された架構面内の対角線上にブレース(筋交)を配置する場合がある。
従来、ブレースは、木製の板材を、梁と柱の接合部に、釘やボルトにより固定することで、配設されていた。ところが、引張力を負担するブレースが木材により構成されていると、ブレースの端部が破損する場合があることや、釘やボルトが抜け落ちることなどがあった。そのため、構造物が所望の耐力を有していないことにより、地震等により倒壊するおそれがあった。また、木材からなるブレースが圧縮力を負担する場合は、地震等の強い水平力が構造物に加わることにより、座屈破壊が生じる場合があった。
そのため、ブレースの破損を防止することを目的として、鉄筋または鉄棒による鋼製ブレースを使用する場合がある。従来、このような、鋼製ブレースは、ボルトにより直接木材に固定することにより使用されていたが、力の伝達性が悪く、ブレースとしての機能を果たさない場合があった。
そのため、特許文献1には、ブレース103の取付金物110として、図11に示すように、柱101と梁102との当接面に介在される基部111と、ブレース103の固定部である羽根部112とが、くの字状に連結された鋼製の板材からなるものが開示されている。この取付金物110は、基部111にだぼ孔が形成されており、柱101と梁102とを連結するだぼ104を挿通した状態で、柱101と梁102との間に配置される。また、羽根部112には、ブレース103を取り付けるためのボルト孔が形成されている。
また、特許文献2には、ブレース203の取付金物210として、図12(a)および(b)に示すように、柱201と梁(土台)202との接合部において、この接合部の室内側と室外側とのそれぞれに配設された鋼板211,211であって、柱201または梁202を貫通するボルトとナット212,212,…により、固定されるものが開示されている。そして、ブレース203は、この鋼板211,211にボルト204により固定されることで配置される。
しかしながら、特許文献1に記載の取付金物110は、だぼ104に作用する応力が大きいという問題点を有していた。つまり、ブレース103は、だぼ104によって固定されているため、ブレース103から伝達される応力は、全てだぼ104に作用する。そのため、梁102と柱101の係止部材として使用されるだぼ104に、構造部材としての強度が要求され、だぼ104として、直径の太いものを使用したり、強度の強いものを使用することで、不経済となる場合があった。また、だぼ104として、大口径のものを使用することで、梁102および柱101の欠損部が大きくなり、梁102および柱101の強度が低下するおそれもあった。さらに、ブレース103をボルトにより梁102や柱101に固定する場合と同様に、だぼ104を介して伝達された応力により、梁102や柱101の接合部に破損が生じるおそれがあった。
また、特許文献2に記載の取付金物210は、梁202または柱201を貫通するボルト212により固定されるため、ブレース203からの応力がボルト212を介して木製の梁202または柱201に伝達し、ボルト212の周囲において、破損が生じる場合があるという問題点を有していた。また、複数のボルト212,212,…を介して固定されるため、施工に手間がかかるという問題点も有していた。
さらに、鋼板211が、接合部の内面および外面に露出されるため、意匠設計の自由度を妨げる場合があった。
さらに、鋼板211が、接合部の内面および外面に露出されるため、意匠設計の自由度を妨げる場合があった。
本発明は、前記の問題点を解決するものであり、鋼製ブレースを使用する木造構造物において、力の伝達性に優れ、構造物の耐力および強度を向上させるとともに、木製の構造部材への負担を軽減し、かつ、設置が容易なため、施工性に優れており、なおかつ、意匠設計の自由度の妨げとなることのない取付金物を提案することを課題とする。
前記の課題を解決するために、本発明は、木材からなる柱と梁との接合部に配置され、ブレースの取り付けが可能に構成された取付金物であって、前記柱と前記梁との当接面に介在される基部と、前記基部を挟んで対向するように該基部の周縁に形成される一対の羽根部と、を備えることを特徴としている。
かかる取付金物によれば、取付部が互いに対向するように配置されているため、ブレースに作用する引張力により一方向に引っ張られることがない。そして、ブレースから伝達される応力は、基部に当接する梁または柱の軸方向に作用する圧縮力として伝達される。つまり、当該取付金物によれば、接合部の引張力が弱く、圧縮力が強い木材である梁や柱に引張力が作用することを防止し、引張力はブレース、圧縮力は梁柱により受け持つ構造を構成し、耐力の優れた構造物を構築することを可能としている。
前記取付金物が、前記一対の羽根部を二組有し、平面視が十字状に形成されていれば、四方向からのブレースの接続が可能なため、管柱等の接合部において、個々に取付金物を要することなく、簡易に四方向のブレースを取り付けることが可能となり、好適である。
前記基部が、前記柱または前記梁の側面に当接する前記梁または前記柱の端面の形状に応じて、矩形または正方形に形成されていてもよい。これにより、梁または柱の端面に、基部の一方の面が当接するように配置した状態で、この梁または柱を、それぞれ柱または梁に固定することで、取付金物の設置が完了するため、作業が容易である。また、取付金物は直接梁または柱に固定されているものではないため、梁または柱への負担が小さい。
前記柱に対して前記梁の先端が当接する場合において、前記基部が、筒状に形成されていてもよい。これにより、通し柱と梁との接合部において、柱および梁への負担を軽減した状態でブレースを取り付けることが可能となるため、好適である。
また、本発明は、木材からなる柱と梁との接合部に配置され、ブレースの取り付けが可能に構成された取付金物であって、前記柱と前記梁との当接面に介在される基部と、前記基部の縁の一部に形成される羽根部と、前記基部の縁であって、前記柱または前記梁を挟んで前記羽根部と対向する位置に形成される反力受部と、を備えることを特徴としている。
かかる取付金物によれば、ブレースから伝達される応力は、基部または反力受部に当接する梁または柱に作用する圧縮力として伝達される。つまり、当該取付金物によれば、接合部の引張力が弱く、圧縮力が強い木材である梁や柱に引張力が作用することを防止し、引張力はブレース、圧縮力は梁柱により受け持つ構造を構成し、耐力の優れた構造物を構築することを可能としている。
本発明の取付金物によれば、鋼製ブレースを使用する木造構造物において、力の伝達性に優れ、構造物の耐力および強度を向上させるとともに、木製の構造部材への負担を軽減し、かつ、設置が容易なため、構造物の施工性に優れており、なおかつ、構造物の意匠設計の妨げとなることがない。
本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
ここで、図1は、第一の実施の形態および第二の実施の形態に係る取付金物が設置された木造構造物の一例を示す斜視図である。図2は、第一の実施の形態に係る取付金物の設置状況を示す斜視図である。また、図3は、図2に示す取付金物の詳細を示す分解斜視図である。また、図4(a)および(b)は、第一の実施の形態に係る取付金物の変形例を示す図である。さらに、図5は、第一の実施の形態に係る取付金物のその他の変形例を示す図である。
また、図6は、第二の実施の形態に係る取付金物を示す図であって、(a)は全体斜視図、(b)は設置方法を示す斜視図である。さらに、図7(a)および(b)は、第二の実施の形態に係る取付金物の変形例を示す斜視図である。図8は、図7(b)に示す取付金物の使用例を示す斜視図である。さらに、図9(a)および(b)は、第二の実施の形態に係る取付金物の変形例を示す図である。
さらに、図10は、本発明に係る取付金物が設置された木造構造物の応力の作用状況を示す概略図である。
ここで、図1は、第一の実施の形態および第二の実施の形態に係る取付金物が設置された木造構造物の一例を示す斜視図である。図2は、第一の実施の形態に係る取付金物の設置状況を示す斜視図である。また、図3は、図2に示す取付金物の詳細を示す分解斜視図である。また、図4(a)および(b)は、第一の実施の形態に係る取付金物の変形例を示す図である。さらに、図5は、第一の実施の形態に係る取付金物のその他の変形例を示す図である。
また、図6は、第二の実施の形態に係る取付金物を示す図であって、(a)は全体斜視図、(b)は設置方法を示す斜視図である。さらに、図7(a)および(b)は、第二の実施の形態に係る取付金物の変形例を示す斜視図である。図8は、図7(b)に示す取付金物の使用例を示す斜視図である。さらに、図9(a)および(b)は、第二の実施の形態に係る取付金物の変形例を示す図である。
さらに、図10は、本発明に係る取付金物が設置された木造構造物の応力の作用状況を示す概略図である。
本発明に係る取付金物は、図1に示すように、所定の間隔を有して配置された柱1,1と、この柱1,1に横設された梁2,2とにより構成された木造構造体Aであって、この柱1,1と梁2,2とにより形成された矩形状(正方形を含む)の空間にブレース3を配置する場合において、ブレース3を係止するために、柱1と梁2との接合部に配置されるものである。ここで、木造構造物Aは、通し柱1aと管柱1bとの2種類の柱を備えている。
<第一の実施の形態>
第一の実施の形態では、図1に示すように、通し柱1aの側面に梁2の先端が当接する第一の接合部10において配置される第一取付金物11について説明する。
第一の実施の形態では、図1に示すように、通し柱1aの側面に梁2の先端が当接する第一の接合部10において配置される第一取付金物11について説明する。
第一の実施の形態に係る通し柱1aは、図3に示すよう、断面矩形の集成材により構成されている。なお、通し柱1aを構成する材料の形状寸法等は、限定されるものではなく、木造構造物Aの使用目的や規模や木造構造物Aに作用する応力等に応じて適宜設定すればよい。また、材質も木材であれば限定されるものではなく、無垢材等、適宜公知の材料を使用すればよい。
本実施形態に係る通し柱1aの上下の端部には、図3に示すように、梁受け金物30を固定するためのボルト孔1cが、梁2の接合面に2箇所ずつ形成されている。なお、ボルト孔1cの数や形状は限定されるものではなく、梁受け金物30の固定(梁2の固定)に必要な強度から設定されるボルトBの本数や形状に応じて適宜設定すればよい。
ここで、通し柱1aは、予めプレカットにより加工が施されたものを搬入することで、現地での加工の手間を省き、工期を短縮するものとする。
ここで、通し柱1aは、予めプレカットにより加工が施されたものを搬入することで、現地での加工の手間を省き、工期を短縮するものとする。
梁2は、図1または図2に示すように、先端が通し柱1aの側面に当接するように配置されており、断面矩形の集成材により構成されている。なお、梁2を構成する材料の形状寸法等は、限定されるものではなく、木造構造物Aの使用目的や規模や木造構造物Aに作用する応力等に応じて適宜設定すればよい。また、材質も木材であれば限定されるものではなく、無垢材等、適宜公知の材料を使用すればよい。
梁2の通し柱1a側の端部には、図2に示すように、通し柱1aの側面に固定された梁受け金物30と嵌合するための2本のスリット2a,2aと、この梁受け金物30の固定ピンを挿入するためのピン孔2b,2bが形成されている。また、2本のスリット2a,2aとの間の先端部は切り欠かれていて、梁受け金物30を締着しているボルトBの頭と接することにより梁と通し柱1aとの間に隙間が形成されること防止している。ここで、スリット2aおよびピン孔2bは、通し柱1aとの接合方法に応じて形成されるものであって、必ずしも形成されるものではないことはいうまでもない。また、スリット2a,2a間の切り欠きは、梁受け金物30の固定方法に応じて形成されるものであって、必ずしも形成しなくてもよく、また、その形状も限定されるものではない。
第一取付金物11は、図2に示すように、通し柱1aの梁2に対応する側面に配置されている。この第一取付金物11は、内空断面が通し柱1aの断面形状と同等に形成された筒状部材からなる基部12と、基部の上端または下端の周縁であって、通し柱1aを挟んで対向する2辺から延設された一対の羽根部13と、から構成されている。そして、基部12に通し柱1aを挿通させた状態で、梁2に対応する位置に配置されており、通し柱1aへの梁2の接合は、通し柱1aの側面と梁2の端面との間に、基部12が介在された状態で行われる。なお、基部12の梁2側の側面には、梁2と通し柱1aとを接合するための梁受け金物30が固定されている。
基部12は、図3に示すように、鋼製部材からなる断面矩形の筒状部材であって、高さ(長さ)は、梁2の高さと同等または梁2の高さよりも高く(長く)に形成されている。また、梁2が当接する側の面には、梁受け金物30を固定するためのボルト孔15が上下に2つ形成されている。なお、基部12の断面形状は、例えば、円筒等、通し柱1aの形状に応じて決定するものであって、矩形に限定されるものではない。また、ボルト孔15は、梁受け金物30の固定方法に応じて形成されるものであって、その数、形状、配置等は、限定されるものではない。
羽根部13は、ブレース3が配置される方向に応じて形成されており、図2または図3に示すように、基部12の上端または下端の辺から延設された板状の部材であって、略台形状に形成されている。羽根部11に形成される羽根部13の枚数は、2枚に限定されるものではなく、例えば十字状に4枚形成されていてもよい。
各羽根部13には、基部12側と反対側の端部に、ブレース3の係止するための係止孔14が形成されている。なお、係止孔14の形状は限定されるものではなく、ブレース3の係止部3aの形状に応じて適宜設定すればよい。また、羽根部13の形状は、ブレース3の係止(固定)が可能であれば、必ずしも前記の形状に限定されるものではなく、例えば係止孔14を省略するなど、ブレース3の固定方法に応じて適宜変更可能である。
第一取付金物11の製造方法は限定されるものではなく、適宜公知の方法により行えばよい。例えば、所定形状(筒状)の基部12に略台形状の羽根部13を必要枚数溶接接合することにより形成してもよい。
ブレース3,3は、図1に示すように、柱1,1と梁2,2とにより形成される四角形空間に対角線上に沿ってX字状に配置される部材であって、本実施形態では、ブレース3として、ターンバックル付鉄筋ブレースを使用するものとする。なお、ブレース3は、ブレース3に作用する引張力に対して十分な耐力を有するものであれば限定されるものではなく、適宜公知のブレースから選定して使用すればよい。
そして、ブレース3は、図2に示すように、第一取付金物11の羽根部13に形成された係止孔14に、ブレース3の端部に形成された係止部3aを係止することにより設置されている。なお、ブレース3の取り付け方法は限定されるものではなく、適宜公知の手段により行えばよい。
梁受け金物30は、図3に示すように、略長方形状の金板をコの字状に折り曲げることにより締着部31と2枚の羽根部32,32とから構成されている。締着部31には、梁受け金物30を通し柱1a(第一取付金物11)へ締着するためのボルトB,Bを挿通するボルト孔30aが、上下に2箇所形成されている。また、羽根部32,32には、それぞれ梁2との固定に使用する固定ピンP(図2参照)を挿通するピン孔30bと、固定ピンPを係止する係止溝30cが互いに対向する位置に形成されている。
なお、ボルト孔30a、ピン孔30bおよび係止溝30cの数や位置は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。また、ルト孔30a、ピン孔30bおよび係止溝30cは、梁受け金物30の固定方法に応じて形成されるものであって、必ずしも形成しなくてもよいことはいうまでもない。
なお、ボルト孔30a、ピン孔30bおよび係止溝30cの数や位置は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。また、ルト孔30a、ピン孔30bおよび係止溝30cは、梁受け金物30の固定方法に応じて形成されるものであって、必ずしも形成しなくてもよいことはいうまでもない。
第一取付金物11の通し柱1aへの固定は、図2および図3に示すように、通し柱1aを基部12に挿入し、梁2が接合される位置に配置した後、梁受け金物30を固定するボルトBにより締着することにより行う。通し柱1aの第一の接合部10に対応する箇所には、梁受け金物30を固定するためのボルト孔1cが予め形成されており、第一取付金物11の配置は、第一取付金物11のボルト孔15が、通し柱1aのボルト孔1cにあわせることにより行う。そして、梁受け金物30を第一取付金物11の梁2側の側面に当接させた状態で、梁受け金物30のボルト孔30a,30aと取付金物のボルト孔15,15を挿通させたボルトB,B、を通し柱1aのボルト孔1cに螺合することにより、梁受け金物30と第一取付金物11とが、通し柱1aに固定される。
梁2は、図2に示すように、第一取付金物11の側面に締着された梁受け金物30と嵌合させた状態で、固定ピンPをピン孔2bに挿入することにより行われる。これにより、第一の接合部10において、通し柱1aの側面と梁2との間には、第一取付金物11の基部12が介在されている。
そして、ブレース3を柱1と梁2とにより形成された空間に配置することにより、木造構造物Aが形成される。
ここで、本実施形態では、第一取付金物11として、羽根部13を一対備える構成としたが、第一取付金物11は、図4(a)に示すように、一対の羽根部13,13を二組、つまり、4枚の羽根部13,13,…を備え、平面視が十字状に形成されていてもよい。これにより、4方向から梁2が接合される場合において、それぞれブレース3を配置する場合でも、適用が可能となる。
また、図4(b)に示すように、第一取付金物11の基部12の上下端にそれぞれ羽根部13を備える構成としてもよい。これにより、複数階を貫いて配置される通し柱1aと梁2との接合部において、梁2の上下にブレース3,3を配置することが可能となり、好適である。
また、第一取付金物11からブレース3が縦斜め方向と水平方向とに設置される場合には、図5に示すように、羽根部13として、縦斜め方向のブレース3に対応する羽根部13,13,…と、基部12の角を含むように基部12の側面に溶接接合されることにより形成されて、水平方向のブレース3に対応する羽根部材13,13,…と、の2段形成し
てもよい。
てもよい。
さらに、木造構造物Aの端部の接合部に配置さえる第一取付金物11は、羽根部13が柱1を挟んで対向するように形成されるのではなく、ブレース3が設置される方向にのみ形成されていればよい。この場合、筒状に形成された基部12の羽根部13が形成された反対側の部分が、反力受部として機能する。
<第二の実施の形態>
第二の実施の形態では、図1に示すように、管柱1bの先端を、梁2の上面または下面に当接させる第二の接合部20において配置される第二取付金物21について説明する。
第二の実施の形態では、図1に示すように、管柱1bの先端を、梁2の上面または下面に当接させる第二の接合部20において配置される第二取付金物21について説明する。
第二の実施の形態に係る管柱1bは、図1および図3に示すよう、断面矩形の集成材により構成されている。なお、管柱1bを構成する材料の形状寸法等は、限定されるものではなく、木造構造物Aの使用目的や規模や木造構造物Aに作用する応力等に応じて適宜設定すればよい。また、材質も木材であれば限定されるものではなく、無垢材等、適宜公知の材料を使用すればよい。
管柱1bには、図6(b)に示すように、上端および下端の中央に、ほぞパイプ40を挿入するためのパイプ孔1dが管柱1bの軸方向に沿って形成されている。そして、管柱1bの上下の端部側面からパイプ孔1dを貫通するように、2本のピン孔1e,1eが管柱1bを貫通している。なお、管柱1bの長さ(高さ)は、上下に配置された梁2,2の間隔と同じである。
ここで、管柱1bは、予めプレカットにより加工が施されたものを搬入することで、現地での加工の手間を省き、工期を短縮するものとする。
ここで、管柱1bは、予めプレカットにより加工が施されたものを搬入することで、現地での加工の手間を省き、工期を短縮するものとする。
梁2の第二の接合部20に対応する箇所には、図6(b)に示すように、ほぞパイプ40が管柱1b側(上面または下面)に突出するように、挿入されている。このほぞパイプ40は、梁2に内部において、梁2の側面から挿入された固定ピン41が貫通することにより固定されている。なお、第二の接合部20における管柱1bと梁2との接合方法は、ほぞパイプ40を利用した方法に限定されないことはいうまでもなく、適宜公知の方法の中から選定して行えばよい。また、管柱1bおよび梁2の接合部に対応する加工は、その接合方法に応じて適宜行われることはいうまでもない。
梁2のその他の構成は、第一の実施の形態で説明した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
第二取付金物21は、図6(a)に示すように、鋼製の板材であって、管柱1bの断面形状に応じて形成された矩形状の基部22とこの基部22の対向する一対の辺からそれぞれ延設された2枚の略台形状に形成された羽根部23,23とから構成されている。
この取付金物2は、図1または図6(b)に示すように、管柱1bの先端と梁2の側面との間に、基部22介在された状態で配置される。
この取付金物2は、図1または図6(b)に示すように、管柱1bの先端と梁2の側面との間に、基部22介在された状態で配置される。
図6(a)に示すように、第二取付金物21の基部22の中央には、ほぞパイプ40を挿通するためのパイプ孔25が一つ形成されている。なお、パイプ孔25の数や形状は、ほぞパイプ40の形状や本数に応じて適宜設定されることはいうまでもない。また、基部22の形状は、矩形に限定されるものではなく、例えば、正方形でもよく、管柱1bの断面形状に応じて適宜設定すればよい。
羽根部23は、ブレース3が配置される方向に応じて、基部22を挟んで対向するように形成されている。また、羽根部23には、基部22側と反対側の端部に、ブレース3を係止するための係止孔24が形成されている。なお、係止孔24の形状は限定されるものではなく、ブレース3の係止部3a(図6(b)参照)の形状に応じて適宜設定すればよい。また、羽根部23の形状は、ブレース3の係止(固定)が可能であれば、必ずしも前記の形状に限定されるものではなく、例えば係止孔24を省略するなど、ブレース3の固定方法に応じて適宜変更可能である。
第二取付金物21の製造方法は限定されるものではなく、適宜公知の方法により形成すればよいが、第二の実施の形態では、鋼板を所定の形状に打ち抜くことにより形成されたものを使用する。
ブレース3は、図1および図6(b)に示すように、第二取付金物21の羽根部23に形成された係止孔24に、ブレース3の端部に形成された係止部3aを係止することにより設置されている。なお、ブレース3の取り付け方法は限定されるものではなく、適宜公知の手段により行えばよい。
この他のブレース3の構成は、第一の実施の形態で説明した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
この他のブレース3の構成は、第一の実施の形態で説明した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
ほぞパイプ40は、図6(b)に示すように、鋼製のパイプ部材であって、管柱1bと梁2とに跨って内挿されることで、管柱1bと梁2とを接合するものである。
ほぞパイプ40には、梁2を貫通する固定ピン41を挿通するためのピン孔(図示省略)が、梁2に内挿される部分に2箇所形成されている。また、管柱1bに挿入される部分には、管柱1bの端部に形成されたピン孔1e,1eに対応して、2つのピン孔42,42がそれぞれ直交する方向に形成されている。
なお、ほぞパイプ40を構成する材料や形状等は限定されるものではなく、適宜公知のものを使用すればよい。また、ほぞパイプ40に形成されるピン孔42の数量や形状も限定されるものではない。さらに、ほぞパイプ40の固定方法は、固定ピン41による方法に限定されるものではなく、例えばボルトにより螺合するなど、適宜公知の方法により行えばよい。
なお、ほぞパイプ40を構成する材料や形状等は限定されるものではなく、適宜公知のものを使用すればよい。また、ほぞパイプ40に形成されるピン孔42の数量や形状も限定されるものではない。さらに、ほぞパイプ40の固定方法は、固定ピン41による方法に限定されるものではなく、例えばボルトにより螺合するなど、適宜公知の方法により行えばよい。
第二取付金物21の第二の接合部20への固定は、図6(b)に示すように、梁2の上面または下面から突出するように固定されたほぞパイプ40を、パイプ孔25に挿通させた状態で、基部22を梁2の上面または下面に当接させた後、管柱1bをほぞパイプ40を介して梁2に接合することにより行う。これにより、第二の接合部20において、管柱1bの端面と梁2との間には、第二取付金物21の基部22が介在されている。
そして、ブレース3を柱1と梁2とにより形成された空間に配置することにより、木造構造物Aが形成される。
ここで、本実施形態では、第二取付金物21として、羽根部23を一対備える構成としたが、第二取付金物21は、図7(a)に示すように、一対の羽根部23,23を二組、つまり、4枚の羽根部23,23,…を備え、平面視が十字状(またはX字状)に形成されていてもよい。これにより、4方向から梁2が接合される場合において、それぞれの方向にブレース3を配置することが可能となる。
また、第二取付金物21として、図7(b)に示すように、基部22に梁受け金物30(図3参照)を固定するためのボルト孔26,26を備えた構成としてもよい。これにより、図8に示すように、複数階を貫いて配置される通し柱1aと梁2との接合部において、一対の羽根部23,23が、通し柱1aに接合する梁2の上下に配置されるように、通し柱の軸方向に沿って第二取付金物21を配置すれば、梁2の上下にブレース3,3を配置することが可能となり、好適である。
また、木造構造物Aの端部に設置される取付金物21’は、図9に示すように、基部22と、基部22の一方の端部に形成された羽根部23と、基部22の羽根部23が形成された端部と反対側の端部、に形成された反力板(反力受部)27と、から構成されている。つまり、反力板27は、羽根部23に対して柱1を挟んで反対側に形成されている。この構成によれば、ブレース3から羽根部23を介して伝達された引張力を、反力板27を介して柱1または梁2に圧縮力として伝達するため、ほぞパイプ40への負担が少ない。そのため、柱1と梁2の接合構造(ほぞパイプ40の形状等)を簡易にすることが可能となる。
ここで、反力板27は、基部22の一方の端部であって、羽根部23と基部22を挟んで対向する位置に、基部22に対して直行するように溶接により固定されている。また、反力板27を構成する材料や形状は、ブレース3から伝達された応力の伝達が可能であれば、限定されるものではないが、本実施形態では、基部22と同じ材質の鋼板であって、その形状が梁2を上下に2段並べた場合の断面形状と同じ形状のものを使用する。なお、基部22および羽根部23の構成は、第二取付金物21の基部22および羽根部23と同様なため、詳細な説明は省略する。
図1に示す木造構造物Aは、第一の接合部10および第二の接合部20(以下、「第一の接合部10」と「第二の接合部20」を区別しない場合は、単に「接合部10,20」と称する)を介して、柱1および梁2とを矩形状に組み立てており、この柱1と梁2により形成された矩形状の空間の対角線に沿って、第一取付金物11または第二取付金物21(以下、「第一取付金物11」と「第二取付金物21」を区別しない場合は、単に、「取付金物11,21」と称する場合がある)を介してブレース3をX字状に配置する。この時、ブレース3は、ターバックルにより引張力が作用された状態で配置されている。
これにより、引張力をブレース3で負担し、圧縮力を柱1および梁2で負担する木造構造物Aが形成される。
これにより、引張力をブレース3で負担し、圧縮力を柱1および梁2で負担する木造構造物Aが形成される。
以上のように構成された木造構造物Aは、斜めに配置されたブレース3により、柱1と梁2との各接合部10,20(第一の接合部10、第二の接合部20)に配置された各取付金物11,21(第一取付金物11、第二取付金物21)を縦方向または横方向に引張るように構成されている。これにより、柱1は、横方向に引っ張られることで、柱1同士の間に配設された梁2を圧縮し、梁2は、縦方向に引っ張られることで梁2同士の間に配設された柱1を圧縮しているため、これらの柱1および梁2が、互いに圧縮しあう状態で接合されている。このため、木造構造物Aにおける柱1と梁2の接合を、簡易な接合金物のみで行うことが可能となる。
つまり、本実施形態に係る木造構造物Aは、第一取付金物11または第二取付金物21を使用していることにより、図10に示すように、ブレース3による引張力Sが、水平力S1と鉛直力S2として、各取付金物11,21を引張るため、水平力S1により柱1を水平方向に引張ることで梁2に圧縮力Cを付与し、鉛直力S2により梁2を上下方向に引張ることで柱1に圧縮力を付与する。これにより柱1と梁2とが強固に密着し、接合力が増加するように構成されている。
また、本発明の取付金物11,21を使用することにより、柱1と梁2との接合を簡易な接合金物4のみを利用して行うことが可能となるため、柱1および梁2には、接合に伴う端部の欠損部がほとんど無く、柱1および梁2が有する強度を維持することを可能としている。故に、柱1および梁2を構成する材料の強度を最大限に生かすことが可能となり、各部材の小断面化や木造構造物の耐力の向上を可能としている。故に、建築物の費用を削減することが可能となるとともに、設計の自由度も向上する。
さらに、本発明に係る取付金物11,21は、ボルト等を介して柱1または梁2に固定されるのではなく、柱1と梁2との間に介在されることで配置されているため、柱1または梁2に取付金物11,21の配置に伴う欠損部が形成されることがない。そのため、取付金物11,21を配置しても、柱1または梁2が有する強度は維持されている。また、取付金物11,21を、柱1と梁2との間に介在させることで、ブレース3の引張力Sを柱1または梁2への圧縮力Cへと変換することを可能としている。
木造構造物Aに作用した曲げ応力は、引張力Sに対してはブレース3により抵抗することで、圧縮力Cに対しては木材からなる柱1および梁2により抵抗する構成のため、各部材の有する能力に応じた構造に構成されている。
以上、本発明について、好適な実施形態の一例を説明した。しかし、本発明は、前記実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能である。
例えば、ブレースは、ターンバックル付鉄筋ブレースに限定されるものではなく、適宜公知のブレース材が使用可能である。
例えば、ブレースは、ターンバックル付鉄筋ブレースに限定されるものではなく、適宜公知のブレース材が使用可能である。
また、柱、梁は、工場などにおいてプレカットにより加工が施された集成材を搬入して使用するものとしたが、現地において必要な加工を施してもよいことはいうまでもない。
また、柱と梁の接合に使用する接合金物は、適宜公知のものを使用することが可能であり、前記実施形態で説明したものに限定されないことはいうまでもない。
また、柱と梁の接合に使用する接合金物は、適宜公知のものを使用することが可能であり、前記実施形態で説明したものに限定されないことはいうまでもない。
1 柱
1a 通し柱
1b 管柱
2 梁
3 ブレース
10 第一の接合部(接合部)
11 第一取付金物(取付金物)
12 基部
13 羽根部
14 係止孔
20 第二の接合部(接合部)
21 第二取付金物(取付金物)
22 基部
23 羽根部
24 係止孔
27 反力板(反力受部)
1a 通し柱
1b 管柱
2 梁
3 ブレース
10 第一の接合部(接合部)
11 第一取付金物(取付金物)
12 基部
13 羽根部
14 係止孔
20 第二の接合部(接合部)
21 第二取付金物(取付金物)
22 基部
23 羽根部
24 係止孔
27 反力板(反力受部)
Claims (5)
- 木材からなる柱と梁との接合部に配置され、ブレースの取り付けが可能に構成された取付金物であって、
前記柱と前記梁との当接面に介在される基部と、
前記基部を挟んで対向するように該基部の周縁に形成される一対の羽根部と、を備えることを特徴とする、取付金物。 - 前記一対の羽根部を二組有し、平面視が十字状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の取付金物。
- 前記基部が、前記柱または前記梁の側面に当接する前記梁または前記柱の端面の形状に応じて、矩形または正方形に形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の取付金物。
- 前記柱に対して前記梁の先端が当接する場合において、前記基部が、筒状に形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の取付金物。
- 木材からなる柱と梁との接合部に配置され、ブレースの取り付けが可能に構成された取付金物であって、
前記柱と前記梁との当接面に介在される基部と、
前記基部の縁の一部に形成される羽根部と、
前記基部の縁であって、前記柱または前記梁を挟んで前記羽根部と対向する位置に形成される反力受部と、を備えることを特徴とする、取付金物。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006111007A JP2007284919A (ja) | 2006-04-13 | 2006-04-13 | 取付金物 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015218486A (ja) * | 2014-05-16 | 2015-12-07 | 大和ハウス工業株式会社 | ブレース構造 |
JP2016003437A (ja) * | 2014-06-13 | 2016-01-12 | 株式会社コーヨークリエイト | ブレース引き留め構造とブレース取り付け金具 |
JP2017172318A (ja) * | 2016-03-22 | 2017-09-28 | 株式会社ティ・カトウ | 筋交い接合プレート及びそれを用いた筋交い接合ユニット |
-
2006
- 2006-04-13 JP JP2006111007A patent/JP2007284919A/ja active Pending
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