JP2004107820A - 伸縮性経編地 - Google Patents
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Abstract
【課題】経方向のみならず緯方向にも十分に伸縮して患部に負担を掛けることなく密着し、関節部に装着した場合には関節の曲げ伸ばしに追従して伸縮する風合いの良い伸縮性経編地を提供する。
【解決手段】鎖編に編成された複数の経編糸に対して弾性経糸が各経編糸毎に挿入されていると共に緯糸が経編糸を二本以上毎に連結するように挿入されている伸縮性経編地において、前記緯糸を非弾性緯糸と弾性緯糸とから構成し、当該非弾性緯糸が挿入されてなる非伸縮部と当該弾性緯糸が隣合う非伸縮部を連結するように挿入されてなる伸縮部とを緯方向に交互に形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】鎖編に編成された複数の経編糸に対して弾性経糸が各経編糸毎に挿入されていると共に緯糸が経編糸を二本以上毎に連結するように挿入されている伸縮性経編地において、前記緯糸を非弾性緯糸と弾性緯糸とから構成し、当該非弾性緯糸が挿入されてなる非伸縮部と当該弾性緯糸が隣合う非伸縮部を連結するように挿入されてなる伸縮部とを緯方向に交互に形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用の包帯や運動用のサポータなどに使用される伸縮性経編地に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知の通り、患部を保護するために使用される医療用包帯や運動時に関節部を保護するために使用される運動用サポータなどには、切断箇所がほつれ難く、かつ、弾力に富む伸縮性編地が広く利用されている。
【0003】
後出特許文献1には、経編で経方向に弾性糸と非弾性糸とを用い、少なくとも弾性糸をウェール方向に0飛びにて経方向に2コース単位でルービング編成し、さらに非弾性糸又は加工糸からなる第3糸を各ウェール方向にルービングすることなく挿入で、3ウェール飛び以上、2コース単位でジグザグ状に繰り返し編成したトリコット編の伸縮包帯が開示されている。
【0004】
また、後出特許文献2には、適宜所要の巾をもって左右に折り返しU状部を形成しながら往復編成させたナイロンテグスの如き可撓性合繊モノフィラメントの該編巾間において適宜の間隔を隔てて前記モノフィラメントの編巾方向に交叉する方向に複数列の柄部を編みつけ、各柄部間は前記モノフィラメント編成部を露出させてなり、該柄部の各々は夫々前記モノフィラメントの編巾方向に交叉する方向に挿入され、密集並列編成された複数条の捲縮加工糸及び弾性糸と、上記柄巾で該挿入糸相互間にわたり、ジグザグ状に振り捲縮加工糸及び弾性糸を互いに連結する巾方向挿入絡み糸により形成されている所要の巾の伸縮性編地を、その弾性糸編成方向を長さ方向として適宜の長さを有する帯状基体となし、かつその少なくとも一端一面に係止鈎を有する雄側布ファスナーを取り付けてなる緊締帯が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
実開平1−170220号公報(第1頁、第1図)
【特許文献2】
実開平2−116429号公報(第1頁、第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特許文献1に開示された伸縮包帯は、第3糸として非弾性糸や加工糸を採用しており、緯方向に対する十分な伸縮性がないため、装着した場合に患部と密着せず、関節部に装着した場合には関節の曲げ伸ばしに対して追従して伸縮しないという問題点があった。さらに、当該伸縮包帯はトリコット編機で編成されており、編成時に緯糸にテンションが掛かるため、緯糸として風合いは良いがテンションに弱い構造の紡績糸、特に、単糸からなる紡績糸を使用するとトリコット編機内で該紡績糸が切断されて目詰まりが発生し、編機が故障してしまうという問題点があった。
【0007】
また、前記特許文献2に開示された緊締帯は、緯糸として可撓性合繊モノフィラメントを採用しており、緯方向に対する十分な伸縮性がなく、装着した場合に患部に密着しないという問題点があった。さらに、可撓性合繊モノフィラメントは、ナイロンテグスの如き固いものであるため、風合いも悪いという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、経方向のみならず緯方向にも十分に伸縮して患部に負担を掛けることなく密着し、関節部に装着した場合には関節の曲げ伸ばしに追従して伸縮する風合いの良い伸縮性経編地を得ることを技術的課題として、その具現化をはかるべく研究・実験を重ねた結果、鎖編に編成された複数の経編糸に対して弾性経糸が各経編糸毎に挿入されていると共に緯糸が経編糸を二本以上毎に連結するように挿入されている伸縮性経編地において、前記緯糸を非弾性緯糸と弾性緯糸とし、当該非弾性緯糸を挿入してなる非伸縮部と当該弾性緯糸を隣合う非伸縮部を連結するように挿入してなる伸縮部とを緯方向に交互に形成すれば、経方向のみならず緯方向にも十分に伸縮する伸縮性経編地を得ることができ、しかも、当該非弾性緯糸に弾性を有しない各種機能性糸を使用することができるという刮目すべき知見を得、前記技術的課題を達成したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
【0010】
即ち、本発明に係る伸縮性経編地は、鎖編に編成された複数の経編糸に対して弾性経糸が各経編糸毎に挿入されていると共に緯糸が経編糸を二本以上毎に連結するように挿入されている伸縮性経編地において、前記緯糸が非弾性緯糸と弾性緯糸とからなり、当該非弾性緯糸が挿入されてなる非伸縮部と当該弾性緯糸が隣合う非伸縮部を連結するように挿入されてなる伸縮部とが緯方向に交互に形成されているものである。
【0011】
また、本発明は、前記伸縮性経編地において、経編糸の各コースに位置するループが鎖状に連結されているものである。
【0012】
また、本発明は、前記いずれかの伸縮性経編地において、非伸縮部及び/又は伸縮部がメッシュ状に形成されているものである。
【0013】
また、本発明は、前記いずれかの伸縮性経編地において、伸縮部の組織が弾性緯糸のみからなるものである。
【0014】
また、本発明は、前記いずれかの伸縮性経編地において、非弾性緯糸が紡績糸であるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0016】
実施の形態1.
【0017】
図1は本実施の形態に係る伸縮性経編地を模型的に示した部分拡大図であり、図中、弾性緯糸は点線にて示されている。図2は図1に示す伸縮性経編地における経編糸と弾性経糸との位置関係を示した説明図である。図3は図1に示す伸縮性経編地における経編糸と緯糸との位置関係を示した説明図であり、図中、非弾性緯糸を実線、弾性緯糸を点線にて示している。これらの図において、1は、鎖編に編成されてなる複数の経編糸2と、各経編糸2毎に挿入される弾性経糸3と、経編糸2を三本毎に連結するように挿入される緯糸4とからなる伸縮性経編地である。
【0018】
経編糸2は、ループ5とループ5を繋ぐ連結部6とから構成されており、Xコースに位置するループ5から編成方向(図1中、矢印A方向)側のYコースへ延伸された連結部6の一方側にXコースに位置するループ5と鎖状に連結するようにループ5が形成され、次に、Yコースに位置するループ5から編成方向側のZコースへ延伸された連結部6の一方側にYコースに位置するループ5と鎖状に連結するようにループ5が形成され、これを繰り返して鎖編に編成されたものである。従って、経編糸2は、各コースに位置するループ5が鎖状に連結された状態となっている。
【0019】
弾性経糸3は、経編糸2のXコースに位置するループ5に通され、次に、Uターン部7を介してYコースに位置するループ5に通され、続いて、Uターン部7を介してZコースに位置するループ5に通され、これを繰り返して経編糸2に対してジグザグ状に挿入される(図2参照)。
【0020】
緯糸4は、非弾性緯糸8と弾性緯糸9とからなっている。非弾性緯糸8は、連続する三本の経編糸2のXコースに位置する各ループ5に順次通され、次に、Uターン部10を介してYコースに位置する各ループ5に順次通され、続いて、Uターン部10を介してZコースに位置する各ループ5に順次通され、これを繰り返して当該三本の経編糸2に対してジグザグ状に挿入される。そして、図3に示すように、二本の非弾性緯糸8が一本の経編糸2を共有した状態でそれぞれ三本の経編糸2を連結するように挿入され、連続する五本の経編糸2が連結された非伸縮部11が形成される。
【0021】
弾性緯糸9は、隣合うそれぞれの非伸縮部11を構成する経編糸2と隣合う非伸縮部11の間に位置する経編糸2とからなる三本の経編糸2を連結するように挿入されており、当該三本の経編糸2のXコースに位置する各ループ5に順次通され、次に、Uターン部12を介してYコースに位置する各ループ5に順次通され、続いて、Uターン部12を介してZコースに位置する各ループ5に順次通され、これを繰り返して前記三本の経編糸2に対してジグザグ状に挿入される。そして、図3に示すように、一本の弾性緯糸9が前記三本の経編糸2を連結するように挿入され、隣合う非伸縮部11の間に伸縮部13が形成される。
【0022】
そして、伸縮性経編地1は、非伸縮部11と伸縮部13とが緯方向に対して交互に形成されるように編成される。
【0023】
経編糸2を編成する糸としては、ナイロンやポリエステルなどからなる糸を使用することができ、また、該糸にウーリー加工を施した糸を使用することもできる。そして、当該糸の太さは70〜300 デニール、好ましくは100 〜200 デニールのものを使用すればよい。
【0024】
弾性経糸3及び弾性緯糸9としては、ポリウレタンゴム糸や該ポリウレタンゴム糸を芯にして外側にポリエステル、アクリル又はレーヨンなどからなる紡績糸やフィラメント糸を巻き付けた被覆糸を使用すればよく、弾性経糸3又は弾性緯糸9の太さは140 〜1120デニール、好ましくは280 〜560 デニールのものを使用すればよい。なお、弾性経糸3及び/又は弾性緯糸9の番手数を減らす程強い伸縮性を有する伸縮性経編地1を得ることができる。
【0025】
非弾性緯糸8としては、吸汗性、速乾性、制菌性、消臭性、恒久性又は放湿性などの特性やマイナスイオンや遠赤外線を発生させる機能などを備えた各種機能性糸を使用することができ、例えば、アクリル繊維や綿繊維などからなる弾力性を有しない紡績糸或いはナイロン繊維やポリエステル繊維などからなる弾力性を有しないフィラメント糸などを使用すればよい。具体的には、吸汗性、速乾性、制菌性及び消臭性に優れたビオセーフ(商品名:カネボウ株式会社製)、マイナスイオンを発生させる機能を備えたイオンセーフ(商品名:カネボウ株式会社製)、遠赤外線を発生させる機能を備えたマソニック(商品名:カネボウ株式会社製)、吸汗性及び速乾性に優れたスピンエア(商品名:倉敷紡績株式会社製)やテクノファイン(商品名:旭化成株式会社)、恒久性及び放湿性に優れたキュープ(商品名:東レ株式会社製)などの機能性糸が使用できる。なお、非弾性緯糸8として異なる特性や機能を備えた複数の機能糸を引き揃えて使用してもよい。
【0026】
なお、本実施の形態においては、緯糸4が経編糸2を三本毎に連結するように挿入されているが、経編糸2を二本毎に連結するように挿入してもよく、また、経編糸2を四本以上毎に連結するように挿入してもよい。また、各緯糸4毎に連結する経編糸2の本数を変更してもよい。
【0027】
本実施の形態に係る伸縮性経編地1は、非弾性緯糸8が挿入されてなる非伸縮部11と弾性緯糸8が挿入されてなる伸縮部13とが緯方向に対して交互に形成されているため、緯方向に対して十分に伸縮し、また、鎖編に編成された経編糸2自体に僅かな伸縮性があり、経編糸2に挿入された弾性経糸3の伸縮に対して追従して伸縮するため、経方向に対しても十分に伸縮し、関節部に装着した場合にも関節の曲げ伸ばしに追従して伸縮し、患部などに負担を掛けることなく密着する。
【0028】
実施の形態2.
【0029】
本実施の形態は前記実施の形態1に係る経編糸に挿入される緯糸の変形例であり、図4は本実施の形態に係る経編糸に挿入される緯糸の一変形例を示した説明図であり、図5は本実施の形態に係る経編糸に挿入される緯糸の他の変形例を示した説明図であり、図6は本実施の形態に係る経編糸に挿入される緯糸の他の変形例を示した説明図であり、図中、非弾性緯糸を実線、弾性緯糸を点線にて示している。これらの図において、図1〜図3と同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0030】
変形例1:図4に示す非弾性緯糸14は、連続する五本の経編糸2を連結するように挿入されており、当該五本の経編糸2の内で一端側(図4中、左側)に位置する経編糸2を含む連続した三本の経編糸2における六つのコース(X1〜X6コース)にジグザグ状に挿入され、続いて、Uターン部15を介してX7コースに位置する当該五本の経編糸2全てに挿入され、次に、Uターン部15を介して当該五本の経編糸2の内で他端側(図4中、右側)に位置する経編糸2を含む連続した三本の経編糸2における六つのコース(Y1〜Y6コース)にジグザグ状に挿入され、続いて、Uターン部15を介してY7コースに位置する当該五本の経編糸2全てに挿入され、これを繰り返して当該一端側に位置する経編糸2を含む連続した三本の経編糸2を連結するように挿入された部分と当該他端側に位置する経編糸2を含む連続した三本の経編糸2を連結するように挿入された部分とが交互に形成される。そして、一本の非弾性緯糸14により連結する五本の経編糸2における非弾性緯糸14が挿入されていない部分を通気孔16としたメッシュ状の非伸縮部17が形成される。
【0031】
弾性緯糸18は、隣合うそれぞれの非伸縮部17を構成する経編糸2のみを連結するようにジグザグ状に挿入されており、隣合う非伸縮部17の間には弾性緯糸18のみからなる組織の伸縮部19が形成される。
【0032】
本変形例によれば、非伸縮部17がメッシュ状に形成されており、また、伸縮部19が弾性緯糸18のみからなる疎密な組織となっているため、患部などに装着した際に通気性が確保される。
【0033】
変形例2:図5に示す非弾性緯糸20は、連続する四本の経編糸2を連結するようにジグザグ状に挿入される。そして、二本の非弾性緯糸20が二本の経編糸2を共有した状態でそれぞれ四本の経編糸2を連結するように挿入され、連続する六本の経編糸2が連結された非伸縮部21が形成される。
【0034】
弾性緯糸22は、隣合う非伸縮部21を二本の弾性緯糸22により連結しており、一方の弾性緯糸22は、隣合う非伸縮部21の一方側の非伸縮部21を構成する二本の経編糸2と隣合う非伸縮部21の間に位置する二本の経編糸2とからなる四本の経編糸2を連結するように挿入され、他方の弾性緯糸22は、隣合う非伸縮部21の他方側の非伸縮部21を構成する二本の経編糸2と隣合う非伸縮部21の間に位置する二本の経編糸2とからなる四本の経編糸2を連結するように挿入される。従って、二本の弾性緯糸22は、隣合う非伸縮部21の間に位置する二本の経編糸2を共有した状態で挿入される。そして、隣合う非伸縮部21,21の間に伸縮部23が形成される。
【0035】
本変形例によれば、隣合う緯糸が二本の経編糸2を共有した状態で挿入されているため、伸縮性経編地1の強度が増す。
【0036】
変形例3:図6に示す非弾性緯糸14は、変形例1と同様に連続する五本の経編糸2を連結するように挿入されており、一本の非弾性緯糸14により連結する五本の経編糸2における非弾性緯糸14が挿入されていない部分を通気孔16としたメッシュ状の非伸縮部17が形成される。
【0037】
弾性緯糸24は、隣合うそれぞれの非伸縮部17を構成する経編糸2と隣合う非伸縮部17の間に位置する経編糸2とからなる三本の経編糸2を連結するように挿入されており、当該三本の経編糸2の内で他端側(図4中、右側)に位置する経編糸2を含む連続した二本の経編糸2における四つのコース(X1〜X4コース)にジグザグ状に挿入され、続いて、Uターン部25を介してX5コースに位置する当該三本の経編糸2全てに挿入され、次に、Uターン部25を介して当該三本の経編糸2の内で一端側(図4中、左側)に位置する経編糸2を含む連続した二本の経編糸2における四つのコース(Y1〜Y4コース)にジグザグ状に挿入され、続いて、Uターン部15を介してY5コースに位置する当該三本の経編糸2全てに挿入され、これを繰り返して当該他端側に位置する経編糸2を含む連続した二本の経編糸2を連結するように挿入された部分と当該一端側に位置する経編糸2を含む連続した二本の経編糸2を連結するように挿入された部分とが交互に形成される。そして、一本の弾性緯糸24により連結する三本の経編糸2における弾性緯糸24が挿入されていない部分を通気孔26としたメッシュ状の伸縮部27が形成される。
【0038】
本変形例によれば、非伸縮部17及び伸縮部27がメッシュ状に形成されているため、患部などに装着した際に通気性が確保される。
【0039】
なお、本実施の形態における各実施例に係る緯糸を使用しても前記実施の形態1と同様の作用・効果を得ることができる。
【0040】
実施の形態3.
【0041】
本実施の形態は前記実施の形態1に係る経編糸の変形例であり、図7は本実施の形態に係る伸縮性経編地を模型的に示した部分拡大図であり、図中、弾性緯糸は点線にて示されている。図7において、図1〜図3と同一符号は同一又は相当部分を示している。図中、1は、鎖編に編成されてなる複数の経編糸28と、各経編糸28毎に挿入される弾性経糸3と、経編糸28を三本毎に連結するように挿入される緯糸4とからなる伸縮性経編地であり、緯糸4は、非弾性緯糸8と弾性緯糸9とからなっている。
【0042】
図7に示す経編糸28は、ループ29とループ29を繋ぐ連結部30とから構成されており、Xコースに位置する連結部30の一方側(図中、右側)にループ29が形成され、次に、Xコースに位置するループ29から編成方向(図7中、矢印B方向)側のYコースへ延伸された連結部30の他方側(図中、左側)にXコースに位置する連結部30と鎖状に連結するようにループ29が形成され、続いて、Yコースに位置するループ29から編成方向側のZコースへ延伸された連結部30の一方側にYコースに位置する連結部30と鎖状に連結するようにループ29が形成され、これを繰り返して鎖編に編成されてなるものである。従って、経編糸28は、各コースに位置するループ29が編成方向に対して一コース手前に位置する連結部30と鎖状に連結された状態になっている。
【0043】
本実施の形態に係る経編糸を使用しても前記実施の形態1と同様の作用・効果を得ることができる。
【0044】
【実施例】
実施例1.
【0045】
経編糸を編成する糸として100/2 (100 デニールの双糸)のポリエステル糸(南亜プラスチック社製)を用意し、弾性経糸としてポリウレタンゴム糸(ライクラ:商品名;東レ・デュポン株式会社製)を芯として外側にナイロン糸(東レ株式会社製)を巻き付けた被覆糸を用意し、非弾性緯糸として吸汗性、速乾性、制菌性及び消臭性に優れた52/2(52デニールの双糸)のアクリル糸(ビオセーフ:商品名;カネボウ株式会社製)及びマイナスイオンを発生させる機能を備えた52/2(52デニールの双糸)のアクリル糸(イオンセーフ:商品名;カネボウ株式会社製)を用意し、弾性緯糸としてポリウレタンゴム糸(ライクラ:商品名;東レ・デュポン株式会社製)を芯として外側にレーヨン短繊維からなる紡績糸(オーミケンシ株式会社製)を巻き付けた被覆糸を用意した。そして、各糸を縦編み機(ラッシェリーナRD3 :商品名;ヤコブミューラー日本株式会社製)に供給した。
【0046】
縦編み機により、各コースに位置するループを鎖状に連結させた各経編糸毎に弾性経糸を挿入させ、非弾性緯糸がそれぞれ六本の経編糸を連結するように挿入させてメッシュ状の非伸縮部を形成すると共に、隣合う非伸縮部の間に位置する一本の経編糸と隣合う非伸縮部を構成する経編糸とからなる三本の経編糸を連結するように弾性緯糸を挿入させてメッシュ状の伸縮部を形成した。そして、幅15cmの伸縮性経編地を得た。
【0047】
前記伸縮性経編地を関節部に装着したところ、経方向のみならず緯方向にも伸縮して患部に密着し、関節の曲げ伸ばしに対しても追従して伸縮した。また、非弾性緯糸として吸汗性・速乾性を有する機能性糸を使用すると共に、非伸縮部及び伸縮部をメッシュ状に形成したので、長時間着用しても蒸れることがなかった。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、非弾性緯糸が挿入されてなる非伸縮部と弾性緯糸が挿入されてなる隣合う非伸縮部の間の伸縮部とが緯方向に対して交互に形成されているため、経方向のみならず緯方向にも十分に伸縮し、サポータや包帯として装着した際に患部に負担を掛けることなく密着する。また、鎖編に編成された経編糸に緯糸を挿入した組織であるため、編機を使用した場合に緯糸に張力を掛けることなく編成でき、緯糸として風合いの良い紡績糸を使用した際も該紡績糸が編機内で切断されず、編機が故障することがない。さらに、非弾性緯糸として種々の機能性糸を使用することにより、患部の状態に応じた機能又は特性を有する伸縮性経編地が得られる。
【0049】
従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る伸縮性経編地を模型的に示した部分拡大図である。
【図2】図1に示す伸縮性経編地における経編糸と弾性経糸との位置関係を示した説明図である。
【図3】図1に示す伸縮性経編地における経編糸と緯糸との位置関係を示した説明図である。
【図4】実施の形態2に係る経編糸に挿入される緯糸の一変形例を示した説明図である。
【図5】実施の形態2に係る経編糸に挿入される緯糸の他の変形例を示した説明図である。
【図6】実施の形態2に係る経編糸に挿入される緯糸の他の変形例を示した説明図である。
【図7】本実施の形態に係る伸縮性経編地を模型的に示した部分拡大図である。
【符号の説明】
1 伸縮性経編地
2,28 経編糸
3 弾性経糸
4 緯糸
5,29 ループ
6,30 連結部
7,10,12,15,25 Uターン部
8,14,20 非弾性緯糸
9,18,22,24 弾性緯糸
11,17,21 非伸縮部
13,19,23,27 伸縮部
16,26 通気孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用の包帯や運動用のサポータなどに使用される伸縮性経編地に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知の通り、患部を保護するために使用される医療用包帯や運動時に関節部を保護するために使用される運動用サポータなどには、切断箇所がほつれ難く、かつ、弾力に富む伸縮性編地が広く利用されている。
【0003】
後出特許文献1には、経編で経方向に弾性糸と非弾性糸とを用い、少なくとも弾性糸をウェール方向に0飛びにて経方向に2コース単位でルービング編成し、さらに非弾性糸又は加工糸からなる第3糸を各ウェール方向にルービングすることなく挿入で、3ウェール飛び以上、2コース単位でジグザグ状に繰り返し編成したトリコット編の伸縮包帯が開示されている。
【0004】
また、後出特許文献2には、適宜所要の巾をもって左右に折り返しU状部を形成しながら往復編成させたナイロンテグスの如き可撓性合繊モノフィラメントの該編巾間において適宜の間隔を隔てて前記モノフィラメントの編巾方向に交叉する方向に複数列の柄部を編みつけ、各柄部間は前記モノフィラメント編成部を露出させてなり、該柄部の各々は夫々前記モノフィラメントの編巾方向に交叉する方向に挿入され、密集並列編成された複数条の捲縮加工糸及び弾性糸と、上記柄巾で該挿入糸相互間にわたり、ジグザグ状に振り捲縮加工糸及び弾性糸を互いに連結する巾方向挿入絡み糸により形成されている所要の巾の伸縮性編地を、その弾性糸編成方向を長さ方向として適宜の長さを有する帯状基体となし、かつその少なくとも一端一面に係止鈎を有する雄側布ファスナーを取り付けてなる緊締帯が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
実開平1−170220号公報(第1頁、第1図)
【特許文献2】
実開平2−116429号公報(第1頁、第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記特許文献1に開示された伸縮包帯は、第3糸として非弾性糸や加工糸を採用しており、緯方向に対する十分な伸縮性がないため、装着した場合に患部と密着せず、関節部に装着した場合には関節の曲げ伸ばしに対して追従して伸縮しないという問題点があった。さらに、当該伸縮包帯はトリコット編機で編成されており、編成時に緯糸にテンションが掛かるため、緯糸として風合いは良いがテンションに弱い構造の紡績糸、特に、単糸からなる紡績糸を使用するとトリコット編機内で該紡績糸が切断されて目詰まりが発生し、編機が故障してしまうという問題点があった。
【0007】
また、前記特許文献2に開示された緊締帯は、緯糸として可撓性合繊モノフィラメントを採用しており、緯方向に対する十分な伸縮性がなく、装着した場合に患部に密着しないという問題点があった。さらに、可撓性合繊モノフィラメントは、ナイロンテグスの如き固いものであるため、風合いも悪いという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、経方向のみならず緯方向にも十分に伸縮して患部に負担を掛けることなく密着し、関節部に装着した場合には関節の曲げ伸ばしに追従して伸縮する風合いの良い伸縮性経編地を得ることを技術的課題として、その具現化をはかるべく研究・実験を重ねた結果、鎖編に編成された複数の経編糸に対して弾性経糸が各経編糸毎に挿入されていると共に緯糸が経編糸を二本以上毎に連結するように挿入されている伸縮性経編地において、前記緯糸を非弾性緯糸と弾性緯糸とし、当該非弾性緯糸を挿入してなる非伸縮部と当該弾性緯糸を隣合う非伸縮部を連結するように挿入してなる伸縮部とを緯方向に交互に形成すれば、経方向のみならず緯方向にも十分に伸縮する伸縮性経編地を得ることができ、しかも、当該非弾性緯糸に弾性を有しない各種機能性糸を使用することができるという刮目すべき知見を得、前記技術的課題を達成したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
【0010】
即ち、本発明に係る伸縮性経編地は、鎖編に編成された複数の経編糸に対して弾性経糸が各経編糸毎に挿入されていると共に緯糸が経編糸を二本以上毎に連結するように挿入されている伸縮性経編地において、前記緯糸が非弾性緯糸と弾性緯糸とからなり、当該非弾性緯糸が挿入されてなる非伸縮部と当該弾性緯糸が隣合う非伸縮部を連結するように挿入されてなる伸縮部とが緯方向に交互に形成されているものである。
【0011】
また、本発明は、前記伸縮性経編地において、経編糸の各コースに位置するループが鎖状に連結されているものである。
【0012】
また、本発明は、前記いずれかの伸縮性経編地において、非伸縮部及び/又は伸縮部がメッシュ状に形成されているものである。
【0013】
また、本発明は、前記いずれかの伸縮性経編地において、伸縮部の組織が弾性緯糸のみからなるものである。
【0014】
また、本発明は、前記いずれかの伸縮性経編地において、非弾性緯糸が紡績糸であるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0016】
実施の形態1.
【0017】
図1は本実施の形態に係る伸縮性経編地を模型的に示した部分拡大図であり、図中、弾性緯糸は点線にて示されている。図2は図1に示す伸縮性経編地における経編糸と弾性経糸との位置関係を示した説明図である。図3は図1に示す伸縮性経編地における経編糸と緯糸との位置関係を示した説明図であり、図中、非弾性緯糸を実線、弾性緯糸を点線にて示している。これらの図において、1は、鎖編に編成されてなる複数の経編糸2と、各経編糸2毎に挿入される弾性経糸3と、経編糸2を三本毎に連結するように挿入される緯糸4とからなる伸縮性経編地である。
【0018】
経編糸2は、ループ5とループ5を繋ぐ連結部6とから構成されており、Xコースに位置するループ5から編成方向(図1中、矢印A方向)側のYコースへ延伸された連結部6の一方側にXコースに位置するループ5と鎖状に連結するようにループ5が形成され、次に、Yコースに位置するループ5から編成方向側のZコースへ延伸された連結部6の一方側にYコースに位置するループ5と鎖状に連結するようにループ5が形成され、これを繰り返して鎖編に編成されたものである。従って、経編糸2は、各コースに位置するループ5が鎖状に連結された状態となっている。
【0019】
弾性経糸3は、経編糸2のXコースに位置するループ5に通され、次に、Uターン部7を介してYコースに位置するループ5に通され、続いて、Uターン部7を介してZコースに位置するループ5に通され、これを繰り返して経編糸2に対してジグザグ状に挿入される(図2参照)。
【0020】
緯糸4は、非弾性緯糸8と弾性緯糸9とからなっている。非弾性緯糸8は、連続する三本の経編糸2のXコースに位置する各ループ5に順次通され、次に、Uターン部10を介してYコースに位置する各ループ5に順次通され、続いて、Uターン部10を介してZコースに位置する各ループ5に順次通され、これを繰り返して当該三本の経編糸2に対してジグザグ状に挿入される。そして、図3に示すように、二本の非弾性緯糸8が一本の経編糸2を共有した状態でそれぞれ三本の経編糸2を連結するように挿入され、連続する五本の経編糸2が連結された非伸縮部11が形成される。
【0021】
弾性緯糸9は、隣合うそれぞれの非伸縮部11を構成する経編糸2と隣合う非伸縮部11の間に位置する経編糸2とからなる三本の経編糸2を連結するように挿入されており、当該三本の経編糸2のXコースに位置する各ループ5に順次通され、次に、Uターン部12を介してYコースに位置する各ループ5に順次通され、続いて、Uターン部12を介してZコースに位置する各ループ5に順次通され、これを繰り返して前記三本の経編糸2に対してジグザグ状に挿入される。そして、図3に示すように、一本の弾性緯糸9が前記三本の経編糸2を連結するように挿入され、隣合う非伸縮部11の間に伸縮部13が形成される。
【0022】
そして、伸縮性経編地1は、非伸縮部11と伸縮部13とが緯方向に対して交互に形成されるように編成される。
【0023】
経編糸2を編成する糸としては、ナイロンやポリエステルなどからなる糸を使用することができ、また、該糸にウーリー加工を施した糸を使用することもできる。そして、当該糸の太さは70〜300 デニール、好ましくは100 〜200 デニールのものを使用すればよい。
【0024】
弾性経糸3及び弾性緯糸9としては、ポリウレタンゴム糸や該ポリウレタンゴム糸を芯にして外側にポリエステル、アクリル又はレーヨンなどからなる紡績糸やフィラメント糸を巻き付けた被覆糸を使用すればよく、弾性経糸3又は弾性緯糸9の太さは140 〜1120デニール、好ましくは280 〜560 デニールのものを使用すればよい。なお、弾性経糸3及び/又は弾性緯糸9の番手数を減らす程強い伸縮性を有する伸縮性経編地1を得ることができる。
【0025】
非弾性緯糸8としては、吸汗性、速乾性、制菌性、消臭性、恒久性又は放湿性などの特性やマイナスイオンや遠赤外線を発生させる機能などを備えた各種機能性糸を使用することができ、例えば、アクリル繊維や綿繊維などからなる弾力性を有しない紡績糸或いはナイロン繊維やポリエステル繊維などからなる弾力性を有しないフィラメント糸などを使用すればよい。具体的には、吸汗性、速乾性、制菌性及び消臭性に優れたビオセーフ(商品名:カネボウ株式会社製)、マイナスイオンを発生させる機能を備えたイオンセーフ(商品名:カネボウ株式会社製)、遠赤外線を発生させる機能を備えたマソニック(商品名:カネボウ株式会社製)、吸汗性及び速乾性に優れたスピンエア(商品名:倉敷紡績株式会社製)やテクノファイン(商品名:旭化成株式会社)、恒久性及び放湿性に優れたキュープ(商品名:東レ株式会社製)などの機能性糸が使用できる。なお、非弾性緯糸8として異なる特性や機能を備えた複数の機能糸を引き揃えて使用してもよい。
【0026】
なお、本実施の形態においては、緯糸4が経編糸2を三本毎に連結するように挿入されているが、経編糸2を二本毎に連結するように挿入してもよく、また、経編糸2を四本以上毎に連結するように挿入してもよい。また、各緯糸4毎に連結する経編糸2の本数を変更してもよい。
【0027】
本実施の形態に係る伸縮性経編地1は、非弾性緯糸8が挿入されてなる非伸縮部11と弾性緯糸8が挿入されてなる伸縮部13とが緯方向に対して交互に形成されているため、緯方向に対して十分に伸縮し、また、鎖編に編成された経編糸2自体に僅かな伸縮性があり、経編糸2に挿入された弾性経糸3の伸縮に対して追従して伸縮するため、経方向に対しても十分に伸縮し、関節部に装着した場合にも関節の曲げ伸ばしに追従して伸縮し、患部などに負担を掛けることなく密着する。
【0028】
実施の形態2.
【0029】
本実施の形態は前記実施の形態1に係る経編糸に挿入される緯糸の変形例であり、図4は本実施の形態に係る経編糸に挿入される緯糸の一変形例を示した説明図であり、図5は本実施の形態に係る経編糸に挿入される緯糸の他の変形例を示した説明図であり、図6は本実施の形態に係る経編糸に挿入される緯糸の他の変形例を示した説明図であり、図中、非弾性緯糸を実線、弾性緯糸を点線にて示している。これらの図において、図1〜図3と同一符号は同一又は相当部分を示している。
【0030】
変形例1:図4に示す非弾性緯糸14は、連続する五本の経編糸2を連結するように挿入されており、当該五本の経編糸2の内で一端側(図4中、左側)に位置する経編糸2を含む連続した三本の経編糸2における六つのコース(X1〜X6コース)にジグザグ状に挿入され、続いて、Uターン部15を介してX7コースに位置する当該五本の経編糸2全てに挿入され、次に、Uターン部15を介して当該五本の経編糸2の内で他端側(図4中、右側)に位置する経編糸2を含む連続した三本の経編糸2における六つのコース(Y1〜Y6コース)にジグザグ状に挿入され、続いて、Uターン部15を介してY7コースに位置する当該五本の経編糸2全てに挿入され、これを繰り返して当該一端側に位置する経編糸2を含む連続した三本の経編糸2を連結するように挿入された部分と当該他端側に位置する経編糸2を含む連続した三本の経編糸2を連結するように挿入された部分とが交互に形成される。そして、一本の非弾性緯糸14により連結する五本の経編糸2における非弾性緯糸14が挿入されていない部分を通気孔16としたメッシュ状の非伸縮部17が形成される。
【0031】
弾性緯糸18は、隣合うそれぞれの非伸縮部17を構成する経編糸2のみを連結するようにジグザグ状に挿入されており、隣合う非伸縮部17の間には弾性緯糸18のみからなる組織の伸縮部19が形成される。
【0032】
本変形例によれば、非伸縮部17がメッシュ状に形成されており、また、伸縮部19が弾性緯糸18のみからなる疎密な組織となっているため、患部などに装着した際に通気性が確保される。
【0033】
変形例2:図5に示す非弾性緯糸20は、連続する四本の経編糸2を連結するようにジグザグ状に挿入される。そして、二本の非弾性緯糸20が二本の経編糸2を共有した状態でそれぞれ四本の経編糸2を連結するように挿入され、連続する六本の経編糸2が連結された非伸縮部21が形成される。
【0034】
弾性緯糸22は、隣合う非伸縮部21を二本の弾性緯糸22により連結しており、一方の弾性緯糸22は、隣合う非伸縮部21の一方側の非伸縮部21を構成する二本の経編糸2と隣合う非伸縮部21の間に位置する二本の経編糸2とからなる四本の経編糸2を連結するように挿入され、他方の弾性緯糸22は、隣合う非伸縮部21の他方側の非伸縮部21を構成する二本の経編糸2と隣合う非伸縮部21の間に位置する二本の経編糸2とからなる四本の経編糸2を連結するように挿入される。従って、二本の弾性緯糸22は、隣合う非伸縮部21の間に位置する二本の経編糸2を共有した状態で挿入される。そして、隣合う非伸縮部21,21の間に伸縮部23が形成される。
【0035】
本変形例によれば、隣合う緯糸が二本の経編糸2を共有した状態で挿入されているため、伸縮性経編地1の強度が増す。
【0036】
変形例3:図6に示す非弾性緯糸14は、変形例1と同様に連続する五本の経編糸2を連結するように挿入されており、一本の非弾性緯糸14により連結する五本の経編糸2における非弾性緯糸14が挿入されていない部分を通気孔16としたメッシュ状の非伸縮部17が形成される。
【0037】
弾性緯糸24は、隣合うそれぞれの非伸縮部17を構成する経編糸2と隣合う非伸縮部17の間に位置する経編糸2とからなる三本の経編糸2を連結するように挿入されており、当該三本の経編糸2の内で他端側(図4中、右側)に位置する経編糸2を含む連続した二本の経編糸2における四つのコース(X1〜X4コース)にジグザグ状に挿入され、続いて、Uターン部25を介してX5コースに位置する当該三本の経編糸2全てに挿入され、次に、Uターン部25を介して当該三本の経編糸2の内で一端側(図4中、左側)に位置する経編糸2を含む連続した二本の経編糸2における四つのコース(Y1〜Y4コース)にジグザグ状に挿入され、続いて、Uターン部15を介してY5コースに位置する当該三本の経編糸2全てに挿入され、これを繰り返して当該他端側に位置する経編糸2を含む連続した二本の経編糸2を連結するように挿入された部分と当該一端側に位置する経編糸2を含む連続した二本の経編糸2を連結するように挿入された部分とが交互に形成される。そして、一本の弾性緯糸24により連結する三本の経編糸2における弾性緯糸24が挿入されていない部分を通気孔26としたメッシュ状の伸縮部27が形成される。
【0038】
本変形例によれば、非伸縮部17及び伸縮部27がメッシュ状に形成されているため、患部などに装着した際に通気性が確保される。
【0039】
なお、本実施の形態における各実施例に係る緯糸を使用しても前記実施の形態1と同様の作用・効果を得ることができる。
【0040】
実施の形態3.
【0041】
本実施の形態は前記実施の形態1に係る経編糸の変形例であり、図7は本実施の形態に係る伸縮性経編地を模型的に示した部分拡大図であり、図中、弾性緯糸は点線にて示されている。図7において、図1〜図3と同一符号は同一又は相当部分を示している。図中、1は、鎖編に編成されてなる複数の経編糸28と、各経編糸28毎に挿入される弾性経糸3と、経編糸28を三本毎に連結するように挿入される緯糸4とからなる伸縮性経編地であり、緯糸4は、非弾性緯糸8と弾性緯糸9とからなっている。
【0042】
図7に示す経編糸28は、ループ29とループ29を繋ぐ連結部30とから構成されており、Xコースに位置する連結部30の一方側(図中、右側)にループ29が形成され、次に、Xコースに位置するループ29から編成方向(図7中、矢印B方向)側のYコースへ延伸された連結部30の他方側(図中、左側)にXコースに位置する連結部30と鎖状に連結するようにループ29が形成され、続いて、Yコースに位置するループ29から編成方向側のZコースへ延伸された連結部30の一方側にYコースに位置する連結部30と鎖状に連結するようにループ29が形成され、これを繰り返して鎖編に編成されてなるものである。従って、経編糸28は、各コースに位置するループ29が編成方向に対して一コース手前に位置する連結部30と鎖状に連結された状態になっている。
【0043】
本実施の形態に係る経編糸を使用しても前記実施の形態1と同様の作用・効果を得ることができる。
【0044】
【実施例】
実施例1.
【0045】
経編糸を編成する糸として100/2 (100 デニールの双糸)のポリエステル糸(南亜プラスチック社製)を用意し、弾性経糸としてポリウレタンゴム糸(ライクラ:商品名;東レ・デュポン株式会社製)を芯として外側にナイロン糸(東レ株式会社製)を巻き付けた被覆糸を用意し、非弾性緯糸として吸汗性、速乾性、制菌性及び消臭性に優れた52/2(52デニールの双糸)のアクリル糸(ビオセーフ:商品名;カネボウ株式会社製)及びマイナスイオンを発生させる機能を備えた52/2(52デニールの双糸)のアクリル糸(イオンセーフ:商品名;カネボウ株式会社製)を用意し、弾性緯糸としてポリウレタンゴム糸(ライクラ:商品名;東レ・デュポン株式会社製)を芯として外側にレーヨン短繊維からなる紡績糸(オーミケンシ株式会社製)を巻き付けた被覆糸を用意した。そして、各糸を縦編み機(ラッシェリーナRD3 :商品名;ヤコブミューラー日本株式会社製)に供給した。
【0046】
縦編み機により、各コースに位置するループを鎖状に連結させた各経編糸毎に弾性経糸を挿入させ、非弾性緯糸がそれぞれ六本の経編糸を連結するように挿入させてメッシュ状の非伸縮部を形成すると共に、隣合う非伸縮部の間に位置する一本の経編糸と隣合う非伸縮部を構成する経編糸とからなる三本の経編糸を連結するように弾性緯糸を挿入させてメッシュ状の伸縮部を形成した。そして、幅15cmの伸縮性経編地を得た。
【0047】
前記伸縮性経編地を関節部に装着したところ、経方向のみならず緯方向にも伸縮して患部に密着し、関節の曲げ伸ばしに対しても追従して伸縮した。また、非弾性緯糸として吸汗性・速乾性を有する機能性糸を使用すると共に、非伸縮部及び伸縮部をメッシュ状に形成したので、長時間着用しても蒸れることがなかった。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、非弾性緯糸が挿入されてなる非伸縮部と弾性緯糸が挿入されてなる隣合う非伸縮部の間の伸縮部とが緯方向に対して交互に形成されているため、経方向のみならず緯方向にも十分に伸縮し、サポータや包帯として装着した際に患部に負担を掛けることなく密着する。また、鎖編に編成された経編糸に緯糸を挿入した組織であるため、編機を使用した場合に緯糸に張力を掛けることなく編成でき、緯糸として風合いの良い紡績糸を使用した際も該紡績糸が編機内で切断されず、編機が故障することがない。さらに、非弾性緯糸として種々の機能性糸を使用することにより、患部の状態に応じた機能又は特性を有する伸縮性経編地が得られる。
【0049】
従って、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る伸縮性経編地を模型的に示した部分拡大図である。
【図2】図1に示す伸縮性経編地における経編糸と弾性経糸との位置関係を示した説明図である。
【図3】図1に示す伸縮性経編地における経編糸と緯糸との位置関係を示した説明図である。
【図4】実施の形態2に係る経編糸に挿入される緯糸の一変形例を示した説明図である。
【図5】実施の形態2に係る経編糸に挿入される緯糸の他の変形例を示した説明図である。
【図6】実施の形態2に係る経編糸に挿入される緯糸の他の変形例を示した説明図である。
【図7】本実施の形態に係る伸縮性経編地を模型的に示した部分拡大図である。
【符号の説明】
1 伸縮性経編地
2,28 経編糸
3 弾性経糸
4 緯糸
5,29 ループ
6,30 連結部
7,10,12,15,25 Uターン部
8,14,20 非弾性緯糸
9,18,22,24 弾性緯糸
11,17,21 非伸縮部
13,19,23,27 伸縮部
16,26 通気孔
Claims (5)
- 鎖編に編成された複数の経編糸に対して弾性経糸が各経編糸毎に挿入されていると共に緯糸が経編糸を二本以上毎に連結するように挿入されている伸縮性経編地において、前記緯糸が非弾性緯糸と弾性緯糸とからなり、当該非弾性緯糸が挿入されてなる非伸縮部と当該弾性緯糸が隣合う非伸縮部を連結するように挿入されてなる伸縮部とが緯方向に交互に形成されていることを特徴とする伸縮性経編地。
- 経編糸の各コースに位置するループが鎖状に連結されている請求項1記載の伸縮性経編地。
- 非伸縮部及び/又は伸縮部がメッシュ状に形成されている請求項1又は2記載の伸縮性経編地。
- 伸縮部の組織が弾性緯糸のみからなる請求項1乃至3記載の伸縮性経編地。
- 非弾性緯糸が紡績糸である請求項1乃至4記載の伸縮性経編地。
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JP2002271605A JP2004107820A (ja) | 2002-09-18 | 2002-09-18 | 伸縮性経編地 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009536536A (ja) * | 2006-05-11 | 2009-10-15 | カール オットー ブラウン ゲーエムベーハー ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト | 医療用の平面形成物 |
JP5174264B1 (ja) * | 2012-06-13 | 2013-04-03 | クロス工業株式会社 | 伸縮性パイル経編地、包帯、メス型面ファスナ |
JP2018111902A (ja) * | 2017-01-13 | 2018-07-19 | ウラセ株式会社 | 伸縮性導電体 |
CN110998001A (zh) * | 2017-07-31 | 2020-04-10 | 安德烈·弗拉基米罗维奇·列兹沃夫 | 经编弹性穿孔织物和弹性穿孔压迫绷带 |
-
2002
- 2002-09-18 JP JP2002271605A patent/JP2004107820A/ja not_active Withdrawn
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