JP2004107380A - 固体状チタン触媒成分、これを含むエチレン重合用触媒およびエチレンの重合方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エチレンを高活性で重合させ、粒子性状に優れたエチレン重合体を製造できる固体状チタン触媒成分、重合用触媒及びエチレン重合方法を提供する。
【解決手段】マグネシウム化合物と液状チタン化合物とを接触させ、20〜120℃に昇温し、この温度に保持して得られるマグネシウム、チタン、アルコール、ポリエーテル及び又は多価カルボン酸エステルを含有する触媒成分であって、マグネシウムとチタンのモル比(Mg/Ti)が1〜12の範囲であり、チタンを2〜10重量%、アルコールを3〜25重量%、ポリエーテル及び又は多価カルボン酸エステルを1〜11重量%含有することを特徴とする固体状チタン触媒成分。これを用いてエチレンを(共)重合させる。
【選択図】 なし
【解決手段】マグネシウム化合物と液状チタン化合物とを接触させ、20〜120℃に昇温し、この温度に保持して得られるマグネシウム、チタン、アルコール、ポリエーテル及び又は多価カルボン酸エステルを含有する触媒成分であって、マグネシウムとチタンのモル比(Mg/Ti)が1〜12の範囲であり、チタンを2〜10重量%、アルコールを3〜25重量%、ポリエーテル及び又は多価カルボン酸エステルを1〜11重量%含有することを特徴とする固体状チタン触媒成分。これを用いてエチレンを(共)重合させる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレンを極めて高い活性で重合させることができ、しかも粒子性状に優れたエチレン重合体を製造することができるような固体状チタン触媒成分、これを含むエチレン重合用触媒およびエチレンの重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホモポリエチレン、直鎖状低密度エチレン重合体(LLDPE)などのエチレン重合体は、透明性、機械的強度などに優れ、フィルムなどとして広く利用されている。
【0003】
このようなエチレン重合体の製造方法は従来より種々知られているが、重合用触媒として、チタン、マグネシウム、ハロゲンおよび任意成分としての電子供与体を含むチタン触媒成分を含むチーグラー型触媒を用いると、エチレン重合体を高い重合活性で製造しうることが知られている。例えばチタン触媒成分として液体状態に調製されたハロゲン含有マグネシウム化合物と、液状チタン化合物と、電子供与体とから得られる固体状チタン触媒成分を用いると、高活性を示すことが知られている。
【0004】
ところでこのようなエチレン重合体の製造においては、エチレンをより一層高い活性で重合させることができれば、生産性が向上するだけでなく、重合体当りの触媒残渣、特にハロゲン量が低減されるので、成形時の金型発錆などの問題点を解消することもできる。このためエチレンをより一層高い活性で重合させることができるようなチタン触媒成分の出現が望まれている。
【0005】
また重合直後のエチレン重合体は、スラリー法、気相法などにかかわらず、通常パウダー状で得られるが、このとき流動性に優れ、かつ微粉末などの粒子を含まず粒度分布に優れたエチレン重合体を製造することが望ましい。特に気相重合では、重合器へのファウリングや塊状物生成防止のために粒子性状に優れたエチレン重合体が所望されている。このように粒子性状に優れたエチレン重合体は、用途によってはペレタイズせずそのままで使用することができるなどの種々の利点を有している。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、エチレンを高活性で重合させることができ、しかも粒子性状に優れたエチレン重合体を製造することができるような固体状チタン触媒成分、エチレン重合用触媒およびこの触媒を用いるエチレンの重合方法を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】
本発明に係る固体状チタン触媒成分は、マグネシウム、チタン、アルコール、ポリエーテル及び/又は多価カルボン酸エステルを含む触媒成分であって、マグネシウムとチタンのモル比(Mg/Ti)が1〜12の範囲であり、チタンを2〜10重量%、アルコールを3〜25重量%、ポリエーテル及び/又は多価カルボン酸エステルを1〜11重量%を含有している。
【0008】
本発明に係るエチレン重合用触媒は、上記のような固体状チタン触媒成分と、有機金属化合物とから形成される。
【0009】
本発明に係るエチレンの重合方法では、このような触媒の存在下に、エチレンを重合させるかエチレンと炭素原子数が3〜20のα−オレフィンとを共重合させている。
【0010】
【発明の具体的説明】
以下本発明に係る固体状チタン触媒成分の製法を説明することにより、本発明を説明する。本発明はマグネシム化合物の炭化水素溶液と液状のチタン化合物とを接触させて固体生成物を接触させるか、或いはマグネシウム化合物とチタン化合物との炭化水素溶液を形成した後、固体生成物を形成させるが、この際、該固体生成物の形成を酸無水物、ポリエーテル、から選ばれた少なくとも一種の電子供与体の共存下に40℃〜60℃で処理することにより固体生成物を形成せしめる。この方法により、本願発明の効果を有する固体状チタン触媒成分を効率良く得ることができる。
【0011】
なお、本発明において「重合」という語は、単独重合のみならず共重合を包含した意味で用いられることがあり、また「重合体」という語は、単独重合体のみならず共重合体を包含した意味で用いられることがある。以下に本発明に係わる構成成分について順次説明する。
【0012】
マグネシウム化合物
マグネシウム化合物の炭化水素溶液を形成するのに使用する溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素類、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族炭化水素類、四塩化炭素やクロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類をあげることができる。このマグネシウム化合物の炭化水素溶液を形成するのに用いられるマグネシムとしては還元能を有しないマグネシウム化合物、すなわちマグネシウムー炭素結合やマグネシウムー水素結合を有しないマグネシウム化合物が好ましく用いられる。
【0013】
このような還元能を有さないマグネシウム化合物としては、具体的には、
塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、沃化マグネシウム、弗化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウム;
メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムなどのアルコキシマグネシウムハライド;
フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウムなどのアリロキシマグネシウムハライド;
エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウムなどのアルコキシマグネシウム;
フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグネシウムなどのアリロキシマグネシウム;
ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムなどのマグネシウムのカルボン酸塩;
マグネシウム金属;水素化マグネシウムなどを用いることもできる。
マグネシウム化合物は2種以上組合わせて用いることもできる。
【0014】
なお、上記のようなマグネシウム化合物は、アルミニウム、亜鉛、ホウ素、ベリリウム、ナトリウム、カリウムなどのマグネシウム以外の金属化合物、たとえば、後述する有機アルミニウム化合物との錯化合物、複化合物を形成していてもよく、あるいはこれら他の金属化合物と混合して用いることもできる。
【0015】
炭化水素に溶解したマグネシウム化合物を得るにはそれらの化合物及び溶媒の種類によっても異なるが、両者を単に混合する方法、混合し加熱する方法、該マグネシウム化合物可溶性の電子供与体、例えば、アルコール、アルデヒド、アミン、カルボン酸、エーテルなどを存在させ必要に応じて加熱する方法が挙げられる。
例えば、ハロゲン含有マグネシウム化合物をアルコールを用いて炭化水素溶媒に溶解させる場合では炭化水素溶媒の種類、使用量にもよるがハロゲン含有マグネシウム1モル当たりアルコール1モル以上、好ましくは2モル以上用いる。本件に用いるアルコールとしては、炭素数5以上のアルコール、好ましくは炭素数6以上のアルコールを用いることが好ましい。炭素数6以上のアルコールとして、例えば、2−メチルペンタノール、2−エチルブタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノールのような脂肪族アルコールが挙げられる。又、メチルシクロヘキサノールなどの脂肪族アルコール、ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコールなどの芳香族アルコールを例示することができる。この中でも特に好ましいのは2−エチルヘキシルアルコールである。又、アルコール以外であってもカルボン酸であれば、好ましいのは炭素数7以上のカルボン酸、例えば、2−エチルヘキサノイック酸、カプリル酸、ノニリック酸などが例示される。アルデヒドも炭素数7以上のアルデヒドが好適であり、カプリルアルデヒドウンデシリックアルデヒドなどを例示できる。アミンを使用する場合には好ましくは、炭素数6以上のヘプチルアミン、オクチルアミンなどを好適に用いられる。又、アルコールはアミンやアルデヒド、カルボン酸などと混合して用いることができる。又、マグネシウム化合物としてジアルキルマグネシウムやグリニャール試薬などの還元能を有するマグネシウム化合物であっても珪素、水、酸素などの還元能を消滅させる化合物で処理し還元能を有しないマグネシウム化合物として炭化水素溶媒に可溶化させることができる。
【0016】
固体生成物形成時に共存させる電子供与体の具体例としては、無水酢酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水安息香酸などの酸無水物、ポリエーテルとしては、複数の原子を介して存在する2個以上のエーテル結合を有する化合物を用いることができる。
【0017】
具体的に、このようなポリエーテルとしては、エーテル結合間に存在する原子が、炭素、ケイ素、酸素、窒素、リン、ホウ素、イオウあるいはこれらから選択される2種以上である化合物などを挙げることができる。このうちエーテル結合間の原子に比較的嵩高い置換基が結合しており、2個以上のエーテル結合間に存在する原子に複数の炭素原子が含まれた化合物が好ましく、例えば下記式で示されるポリエーテルが好ましい。
【0018】
【化1】
【0019】
(式中、nは2≦n≦10の整数であり、R1〜R26は炭素、水素、酸素、ハロゲン、窒素、イオウ、リン、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種の元素を有する置換基であり、任意のR1〜R26、好ましくはR1〜R2nは共同してベンゼン環以外の環を形成していてもよく、主鎖中に炭素以外の原子が含まれていてもよい)。上記のようなポリエーテル化合物としては、具体的に、2−(2−エチルヘキシル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−s−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−フェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2−クミル−1,3−ジメトキシプロパン、2−(2−フェニルエチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(2−シクロヘキシルエチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(p−クロロフェニル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(ジフェニルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(1−ナフチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(2−フルオロフェニル)−1,3−ジメトキシプロパン、これらのうちでも、1,3−ジエーテル類が好ましく用いられ、特に、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(シクロヘキシルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロヘキシル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−s−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジフェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロペンチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパンなどが好ましく用いられる。これらを2種以上組合わせて用いてもよい。
【0020】
マグネシウム化合物を炭化水素溶媒に溶解するには、前述のアルコール等存在下に、必要に応じて加熱する方法が一般的である。この接触は、通常0〜300℃、好ましくは20〜180℃、より好ましくは50〜150℃の温度で、15分間〜10時間程度、好ましくは30分間〜5時間程度で行なわれる。
【0021】
液状チタン化合物
本発明では、液状チタン化合物としては特に4価のチタン化合物が好ましく用いられる。このような4価のチタン化合物としては、次式で示される化合物を挙げることができる。
【0022】
Ti(OR)g X4−g
式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、0≦g≦4である。
【0023】
このような化合物としては、具体的には、
TiCl4、TiBr4、TiI4 などのテトラハロゲン化チタン、
Ti(OCH3)Cl3、
Ti(OC2H5)Cl3、
Ti(On−C4H9)Cl3、
Ti(OC2H5)Br3、
Ti(O−iso−C4H9)Br3などのトリハロゲン化アルコキシチタン、
Ti(OCH3)2Cl2、
Ti(OC2H5)2Cl2、
Ti(On−C4H9)2Cl2、
Ti(OC2H5)2Br2などのジハロゲン化ジアルコキシチタン、
Ti(OCH3)3Cl 、
Ti(OC2H5)3Cl 、
Ti(On−C4H9)3Cl 、
Ti(OC2H5)3 Br などのモノハロゲン化トリアルコキシチタン、
Ti(OCH3)4 、
Ti(OC2H5)4 、
Ti(On−C4H9)4 、
Ti(O−iso−C4H9)4 、
Ti(O−2−エチルヘキシル)4などのテトラアルコキシチタンなどが挙げられる。
【0024】
これらの中でもテトラハロゲン化チタンが好ましく、特に四塩化チタンが好ましい。これらのチタン化合物は、2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0025】
また、マグネシウム化合物を液状化する際に示したような炭化水素溶媒に希釈して用いてもよい。
【0026】
固体状チタン触媒成分の調製
本発明では、上記のような各成分から固体状チタン触媒成分を調製することができる。
【0027】
具体的には、マグネシウム化合物と液状チタン化合物とを接触させ、得られた接触物を20〜120℃の範囲内の温度に昇温し、この温度に保持することにより本発明の固体状チタン触媒成分が調製される。
【0028】
液状チタン化合物は、接触により特別な析出手段を加えなくとも固体状物を析出させうる充分な量で用いられることが好ましい。
【0029】
液状チタン化合物 の使用量は、その種類、接触条件などによっても異なるが、液状マグネシウム化合物1モルに対しては、通常約1モル以上であることが好ましく、さらには約5〜約200モル、特に約10〜約100モルであることがより好ましい。 なお、接触当初、接触温度が低すぎて接触物中に固体状物が析出しない時には、低温での接触を長時間行って固体状物を析出させることもできる。
【0030】
本発明では、上記で得られた接触物を、次いで20〜120℃、好ましくは30〜80℃、より好ましくは40〜60℃の温度まで徐々に昇温して固体状物を徐々に析出させ、この温度を保持する。
【0031】
保持時間は通常15分〜3時間、好ましくは1時間〜2時間程度である。
【0032】
また、昇温に要する時間は、反応器のスケールなどにより大きく異なる。
【0033】
このような条件で、液状マグネシウム化合物と液状チタン化合物とを接触させると、粒度分布の良好な顆粒状または球状の固体状チタン触媒成分を得ることができる。
【0034】
また、上記の接触物を有機アルミニウム化合物とチタンのモル比がAl/Ti=0.1〜12好ましくは1〜5である有機アルミニウム化合物で予備処理してもよい。
【0035】
予備処理の際の反応温度は、通常約−20〜+100℃、好ましくは約−20〜+80℃、さらに好ましくは0〜+40℃の範囲であることが望ましい。
【0036】
なお本発明に係わるエチレン重合用触媒は、オレフィン類が予備重合されていてもよい。
【0037】
予備重合は、不活性炭化水素媒体にオレフィンおよび上記の触媒成分を加え、温和な条件下に行うことができる。
【0038】
この場合、用いられる不活性炭化水素媒体としては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの 脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、あるいはこれらの混合物などを挙げることができる。
【0039】
これらの不活性炭化水素媒体のうちでは、特に脂肪族炭化水素を用いることが好ましい。このように、不活性炭化水素媒体を用いる場合、予備重合はバッチ式で行うことが好ましい。
【0040】
一方、オレフィン自体を溶媒として予備重合を行うこともできるし、また実質的に溶媒のない状態で予備重合することもできる。この場合には、予備重合を連続的に行うのが好ましい。
【0041】
予備重合で使用されるオレフィンは、後述する本重合で使用されるオレフィンと同一であっても、異なっていてもよく、具体的には、プロピレンであることが好ましい。
【0042】
予備重合の際の反応温度は、通常約−20〜+100℃、好ましくは約−20〜+80℃、さらに好ましくは0〜+40℃の範囲であることが望ましい。
【0043】
なお、予備重合においては、水素のような分子量調節剤を使用しない方が好ましい。
【0044】
予備重合は、上記のように、固体状チタン触媒成分1g当り約0.1〜1000g、好ましくは約0.3〜500g、特に好ましくは1〜200gの重合体が生成するように行うことが望ましい。
【0045】
そしてこのように粒子性状に優れた固体状チタン触媒成分を用いてエチレンをスラリー重合させると、顆粒状または球状で粒度分布に優れ、嵩密度が大きく流動性も良好なエチレン重合体を得ることができる。
【0046】
上記のように調製される本発明に係る固体状チタン触媒成分は、マグネシウム、チタン、アルコール誘導体、ポリエーテル及び/又は多価カルボン酸エステルを含有している。
【0047】
この固体状チタン触媒成分では、マグネシウム/チタン(モル比)は1〜12、好ましくは2〜4であり、チタン原子が2〜10重量%、好ましくは4〜9重量%、アルコールを3〜25重量%、好ましくは11〜20重量%、ポリエーテル及び又は多価カルボン酸エステルを1〜11重量%含有されている。
【0048】
触媒成分の組成は、固体状チタン触媒成分を大量のヘキサンで充分洗浄した後、0.1〜1Torr、室温の条件下で2時間以上乾燥した後、ICP(原子吸光分析)、ガスクロマトグラフィーなどにより測定することができる。
【0049】
本発明に係るの固体状チタン触媒成分の形状は、顆粒状またはほぼ球状であることが望ましく、その比表面積は、約10m2/g以上、好ましくは約100〜1000m2/gであることが望ましい。
【0050】
本発明では、固体状チタン触媒成分は、通常炭化水素溶媒で洗浄した後用いられる。
【0051】
エチレン重合用触媒
本発明に係る第2のエチレン重合用触媒は、上記のような固体状チタン触媒成分をアルミニウム化合物で処理することによって得られる。
【0052】
本発明で用いられるアルミニウム化合物しては、例えば、下記式で示される有機アルミニウム化合物を例示することができる。
【0053】
Ran AlX3−n
式中、Ra は炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、Xはハロゲンまたは水素であり、nは1〜3である。
【0054】
Ra は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、たとえば、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロ ペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
【0055】
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニム;
イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
【0056】
本発明で用いられるアルミニウム化合物としては、特にトリエチルアルミニウムが好ましい。
【0057】
本発明に係るエチレン重合用触媒は、オレフィン類が予備重合されていてもよい。
【0058】
なお本発明に係るエチレン重合用触媒は、上記のような各成分以外にも、エチレンの重合に有用な他の成分を含むことができる。
【0059】
エチレンの重合方法
本発明に係るエチレンの重合方法(本重合)では、上記のような固体状チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなるエチレン重合用触媒の存在下にエチレンを重合させるか、エチレンと他のオレフィン類、他の不飽和化合物などとを共重合させてもよい。
【0060】
このようなオレフィン類としては、炭素原子数が3〜20のα−オレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。
【0061】
さらにはビニル化合物、他の不飽和化合物、ポリエン化合物などを共重合させることもでき、たとえば
スチレン、置換スチレン類、アリルベンゼン、置換アリルベンゼン類、ビニルナフタレン類、置換ビニルナフタレン類、アリルナフタレン類、置換アリルナフタレン類などの芳香族ビニル化合物;
ビニルシクロペンタン、置換ビニルシクロペンタン類、ビニルシクロヘキサン、置換ビニルシクロヘキサン類、ビニルシクロヘプタン、置換ビニルシクロヘプタン類、アリルノルボルナンなどの脂環族ビニル化合物;
シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどの環状オレフィン;
アリルトリメチルシラン、アリルトリエチルシラン、4−トリメチルシリル−1−ブテン、6−トリメチルシリル−1−ヘキセン、8−トリメチルシリル−1−オクテン、10−トリメチルシリル−1−デセンなどのシラン系不飽和化合物などを共重合させることもできる。
【0062】
また上記の共重合モノマーを2種以上用いてエチレンと共重合させることもできる。
【0063】
本発明において、エチレンの重合では、固体状チタン触媒成(または予備重合触媒)は、重合容積1リットル当りチタン原子に換算して、通常は約0.0001〜1.0ミリモルの量で用いることが望ましい。有機アルミニウム化合物は、該触媒成分中の金属原子が、重合系中の固体状チタン触媒成分中のチタン原子1モルに対し、通常約1〜2000モル、好ましくは約5〜500モルとなるような量で用いることが望ましい。
【0064】
重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法あるいは気相重合法いずれにおいても実施することができる。特に気相重合法で実施することが好ましい。
【0065】
重合がスラリー重合の反応形態を採る場合には、重合溶媒として通常重合不活性な有機溶媒を用いられる。
【0066】
この有機溶媒としては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素などを用いることができる。
【0067】
これらは組み合わせて用いてもよい。また有機溶媒とともに反応温度において液状である共重合モノマーを用いることもできる。
【0068】
重合条件は重合の形態あるいは得られるエチレン重合体の種類などによっても異なるが、重合は、通常約20〜300℃、好ましくは約50〜150℃の温度で、常圧〜9.81MPa、好ましくは約0.20〜4.90MPa の圧力下に行われる。
【0069】
重合時に水素を用いて、得られる重合体の分子量を調節することができる。
【0070】
上記のような重合は、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を、反応条件を変えて2段以上に分けて行うこともできる。
【0071】
本発明では、エチレンを重合させる際に、上記したような特定の固体状チタン触媒成分を用いて触媒を形成しており、これによって粒子性状に優れたエチレン重合体を極めて高い重合活性で製造することができる。
【0072】
このため得られるエチレン重合体は、重合体単位当りの触媒含量、特にハロゲン含量が少なく、成形時に金型発錆を生じにくい。また微粉含量が少なく、粒子性状に優れたエチレン重合体が得られるので、特にペレタイズせずに使用することもできる。
【0073】
このような本発明で得られるエチレン重合体の嵩比重は、0.25〜0.47g/ml、好ましくは0.35〜0.47g/ml程度になる。また重合体の微粉量(≦100μm)が1wt%以下になる。
【0074】
上記のような本発明で得られるエチレン重合体には、必要に応じて耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、顔料、染料、無機あるいは有機充填剤などを配合することもできる。
【0075】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0076】
以下の実施例において、固体状チタン触媒成分の組成、粒度、嵩比重は下記のように測定した。
(1)チタン、マグネシウム含有量
十分乾燥した触媒を硫酸と純水の混合溶液で処理し、フィルターで濾過した後、ICP分析(島津製作所、ICPF 1000TR)によって定量した。
(2)アルコール、ポリエーテル(イソブチルイソプロピルジメトキシプロパン)、多価カルボン酸エステル(無水フタル酸、フタル酸モノエステル、フタル酸ジエステルを含む)含有量10重量%の水を加えたアセトン溶液に十分乾燥した触媒を加え、加水分解した後、ガスクロマトグラフィー(カラム;溶融シリカキャピラリーカラム、カラム温度;50℃→230℃昇温15℃/分、キャリアーガス;He)で定量した。
(3)粒度分布
振動機(飯田製作所、ロータップ製)および
ふるい(Bunsei Furui、内径200mm)を用いて測定した。
(4)嵩比重:JIS K−6721で測定
【0077】
[実施例1]
(固体状チタン触媒成分の調製)
無水塩化マグネシウム47.6g(0.5モル)、デカン245.0mlおよび2−エチルヘキシルアルコール196.4g(1.5モル)を140℃〜150℃で3時間加熱反応を行い均一溶液とした。その後、室温まで冷却し、この溶液中に無水フタル酸11.1g(75ミリモル)を添加し130℃で1時間攪拌し均一溶液を得た。このようにして得られた均一溶液30mlを室温に冷却した後、−20℃に保持された四塩化チタン80ml(0.28モル)中に、45分間にわたって滴下挿入した。挿入終了後、この混合液の温度を−20℃で1時間保持し、その後3時間かけて50℃に昇温し、その後90分間攪拌下、同温度に保持した。
【0078】
その後、熱濾過にて固体部を分離し、この固体部を50℃のデカンおよびヘキサンで洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した後、固体状チタン触媒成分のデカン懸濁液を得た。
【0079】
得られた固体状チタン触媒成分をモル比(Al/Ti)が5.0のトリエチルアルミニウムで予備処理し、この固体部をヘキサンで洗浄した後、固体状チタン触媒成分のヘキサン懸濁液を得た。続いてプロピレンで予備重合を行い、得られた触媒成分を用いて気相重合を行った。
【0080】
(予備重合)
十分に窒素置換した400mlのフラスコにヘキサン100ml、トリエチルアルミニウム1.0ミリモルおよび上記固体触媒成分チタン原子換算で0.5ミリグラム原子挿入した後、固体状チタン触媒成分1g当り3gの重合体が生成するようにプロピレンガスを1時間にわたって予備重合した。このようにして得られた予備重合固体成分を濾過にて回収しヘキサンで充分に洗浄した。
【0081】
(気相重合)
十分に窒素置換した2lのステンレス製オートクレーブに塩化ナトリウム(和光純薬特級)150gを挿入し、90℃で2時間減圧乾燥した。その後、系内を室温、常圧まで戻し、さらにエチレン雰囲気にした後70℃まで昇温し、トリエチルアルミニウム0.50ミリモル、予備重合固体成分(チタン原子換算で0.03ミリグラム原子)、水素ガス0.3MPaを供給し、次いで全圧が0.8MPaとなるようにエチレンを連続的に1.5時間供給した。重合温度は80℃に保った。
【0082】
重合終了後、水洗により塩化ナトリウムを除去しポリマーをメタノール洗浄した後、乾燥した。
【0083】
乾燥後、239.0gのパウダー状重合体が得られた。このパウダー状重合体のMFRは1.94g/10分、見かけ嵩比重は0.44g/mlであった。
この結果を表1に示す。
【0084】
[実施例2]
(固体状チタン触媒成分の調製)
無水塩化マグネシウム47.6g(0.5モル)、デカン245.0mlおよび2−エチルヘキシルアルコール196.4g(1.5モル)を140℃〜150℃で3時間加熱反応を行い均一溶液とした。その後、室温まで冷却し、この溶液中にイソブチルイソプロピルジメトキシプロパン14.4ml(62.5ミリモル)を添加し100℃で1時間攪拌し均一溶液を得た。このようにして得られた均一溶液30mlを室温に冷却した後、−20℃に保持された四塩化チタン80ml(0.28モル)中に、45分間にわたって滴下挿入した。挿入終了後、この混合液の温度を−20℃で1時間保持し、その後3時間かけて50℃に昇温し、その後90分間攪拌下、同温度に保持した。
【0085】
その後、熱濾過にて固体部を分離し、この固体部を50℃のデカンおよびヘキサンで洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した後、固体状チタン触媒成分のデカン懸濁液を得た。
【0086】
得られた固体状チタン触媒成分を実施例1と同様にして予備重合を行い、気相重合を行った。
この結果を表1に示す。
【0087】
[実施例3]
実施例1において得られた固体状チタン触媒成分を有機アルミニウム化合物とチタンのモル比がAl/Ti=2.3である有機アルミニウム化合物で予備処理し、実施例1と同様にして固体状チタン触媒成分1g当り3gの重合体が生成するようにプロピレンで予備重合した触媒を用いてスラリー重合を行った。
【0088】
(スラリー重合)
内容積1リットルのオートクレーブ中に、窒素雰囲気下、精製n−ヘプタン500mlを挿入し、エチレン雰囲気にした後70℃まで昇温し、トリエチルアルミニウム0.25ミリモル、および上記で得られた固体状チタン触媒成分のヘキサン懸濁液をチタン原子換算で0.015ミリモル相当量加えた後、80℃に昇温し、水素を0.3MPa 供給し、次いで全圧が0.8MPaとなるようにエチレンを連続的に1時間供給した。重合温度は80℃に保った。重合終了後、エチレン重合体をn−ヘプタン溶媒から分離して乾燥した。
この結果を表1に示す。
【0089】
[実施例4]
実施例2において得られた固体状チタン触媒成分を実施例1と同様にして固体状チタン触媒成分1g当り3gの重合体が生成するようにプロピレンで予備重合した触媒を用いて実施例3と同様にしてスラリー重合を行った。
この結果を表1に示す。
【0090】
[実施例5]
実施例1において、固体チタン触媒を予備処理、予備重合をしない触媒成分を用いて実施例3と同様にしてスラリー重合を行った。
【0091】
[比較例1]
無水塩化マグネシウム95.3g、デカン485mlおよび2−エチルヘキシルアルコール390.0gを140℃で約4時間加熱反応を行って均一溶媒とした後、この溶液中に無水フタル酸を22.2gを添加し、さらに、130℃にて1時間攪拌混合を行い無水フタル酸をこの均一溶液に溶解させた。
【0092】
このようにして得られた均一溶液を室温に冷却した後、この均一溶液75mlを−20℃に保持した四塩化チタン200ml中に45分にわたって全量滴下装入した。装入終了後、この混合液の温度を3時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでフタル酸ジイソブチル5.03mlを添加し、これより2時間同温度にて攪拌下保持した。2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を275mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び110℃で2時間、加熱反応を行った。反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、110℃デカンにて洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄し、固体状チタン触媒成分のデカン懸濁液を得た。
【0093】
得られた固体状チタン触媒成分を用いて実施例3と同様にしてスラリー重合を行った。
この結果を表2に示す。
【0094】
[比較例2]
無水塩化マグネシウム4.76g,デカン200ml溶液中に、攪拌下室温で17.6mlのエタノールを30分かけて滴下した後、約30分室温で混合した。ついで16.8mlのジエチルアルミニウムクロライドを2時間かけて滴下し、滴下後約1時間室温で混合した後、44.0mlの四塩化チタンを30分かけて滴下し、80℃で2時間の反応を行った。反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、80℃デカンにて洗浄し、固体状チタン触媒成分のデカン懸濁液を得た。
【0095】
得られた固体状チタン触媒成分を用いて実施例3と同様にしてスラリー重合を行った。
この結果を表2示す。
【0096】
[実施例6]
実施例2において、固体チタン触媒を予備重合しない触媒成分を用いて実施例3と同様にしてスラリー重合を行った。
【0097】
[比較例3]
無水塩化マグネシウム95.3g、デカン485mlおよび2−エチルヘキシルアルコール390.0gを130℃で2時間加熱反応を行って均一溶媒とした後、この溶液中にイソブチルイソプロピルジメトキシプロパン28.8mlを添加し、さらに、100℃にて1時間攪拌混合を行った。
【0098】
このようにして得られた均一溶液を室温に冷却した後、この均一溶液31mlを−20℃に保持した四塩化チタン80ml中に45分にわたって全量滴下装入した。装入終了後、この混合液の温度を90分かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでこれより2時間同温度にて攪拌下保持した。2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を100mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び110℃で2時間、加熱反応を行った。反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、90℃デカンにて洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄し、固体状チタン触媒成分のデカン懸濁液を得た。
【0099】
得られた固体状チタン触媒成分を用いて実施例3と同様にしてスラリー重合を行った。
この結果を表2に示す。
【0100】
[実施例7]
実施例1において、固体状チタン触媒成分をモル比(Al/Ti)が5.0のトリエチルアルミニウムで予備処理を行って得られた触媒成分を用いて実施例3と同様にしてスラリー重合を行った。
結果を表2に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
【表3】
【0104】
【表4】
【0105】
【表5】
【0106】
【表6】
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、微粉含量が少なく、粒子性状に優れた高活性エチレン重合体を触媒単位当り極めて高収率で製造することができる固体状チタン触媒成分、これを含むエチレン重合用触媒およびこの触媒を用いたエチレンの重合方法が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレンを極めて高い活性で重合させることができ、しかも粒子性状に優れたエチレン重合体を製造することができるような固体状チタン触媒成分、これを含むエチレン重合用触媒およびエチレンの重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホモポリエチレン、直鎖状低密度エチレン重合体(LLDPE)などのエチレン重合体は、透明性、機械的強度などに優れ、フィルムなどとして広く利用されている。
【0003】
このようなエチレン重合体の製造方法は従来より種々知られているが、重合用触媒として、チタン、マグネシウム、ハロゲンおよび任意成分としての電子供与体を含むチタン触媒成分を含むチーグラー型触媒を用いると、エチレン重合体を高い重合活性で製造しうることが知られている。例えばチタン触媒成分として液体状態に調製されたハロゲン含有マグネシウム化合物と、液状チタン化合物と、電子供与体とから得られる固体状チタン触媒成分を用いると、高活性を示すことが知られている。
【0004】
ところでこのようなエチレン重合体の製造においては、エチレンをより一層高い活性で重合させることができれば、生産性が向上するだけでなく、重合体当りの触媒残渣、特にハロゲン量が低減されるので、成形時の金型発錆などの問題点を解消することもできる。このためエチレンをより一層高い活性で重合させることができるようなチタン触媒成分の出現が望まれている。
【0005】
また重合直後のエチレン重合体は、スラリー法、気相法などにかかわらず、通常パウダー状で得られるが、このとき流動性に優れ、かつ微粉末などの粒子を含まず粒度分布に優れたエチレン重合体を製造することが望ましい。特に気相重合では、重合器へのファウリングや塊状物生成防止のために粒子性状に優れたエチレン重合体が所望されている。このように粒子性状に優れたエチレン重合体は、用途によってはペレタイズせずそのままで使用することができるなどの種々の利点を有している。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、エチレンを高活性で重合させることができ、しかも粒子性状に優れたエチレン重合体を製造することができるような固体状チタン触媒成分、エチレン重合用触媒およびこの触媒を用いるエチレンの重合方法を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】
本発明に係る固体状チタン触媒成分は、マグネシウム、チタン、アルコール、ポリエーテル及び/又は多価カルボン酸エステルを含む触媒成分であって、マグネシウムとチタンのモル比(Mg/Ti)が1〜12の範囲であり、チタンを2〜10重量%、アルコールを3〜25重量%、ポリエーテル及び/又は多価カルボン酸エステルを1〜11重量%を含有している。
【0008】
本発明に係るエチレン重合用触媒は、上記のような固体状チタン触媒成分と、有機金属化合物とから形成される。
【0009】
本発明に係るエチレンの重合方法では、このような触媒の存在下に、エチレンを重合させるかエチレンと炭素原子数が3〜20のα−オレフィンとを共重合させている。
【0010】
【発明の具体的説明】
以下本発明に係る固体状チタン触媒成分の製法を説明することにより、本発明を説明する。本発明はマグネシム化合物の炭化水素溶液と液状のチタン化合物とを接触させて固体生成物を接触させるか、或いはマグネシウム化合物とチタン化合物との炭化水素溶液を形成した後、固体生成物を形成させるが、この際、該固体生成物の形成を酸無水物、ポリエーテル、から選ばれた少なくとも一種の電子供与体の共存下に40℃〜60℃で処理することにより固体生成物を形成せしめる。この方法により、本願発明の効果を有する固体状チタン触媒成分を効率良く得ることができる。
【0011】
なお、本発明において「重合」という語は、単独重合のみならず共重合を包含した意味で用いられることがあり、また「重合体」という語は、単独重合体のみならず共重合体を包含した意味で用いられることがある。以下に本発明に係わる構成成分について順次説明する。
【0012】
マグネシウム化合物
マグネシウム化合物の炭化水素溶液を形成するのに使用する溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素類、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族炭化水素類、四塩化炭素やクロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類をあげることができる。このマグネシウム化合物の炭化水素溶液を形成するのに用いられるマグネシムとしては還元能を有しないマグネシウム化合物、すなわちマグネシウムー炭素結合やマグネシウムー水素結合を有しないマグネシウム化合物が好ましく用いられる。
【0013】
このような還元能を有さないマグネシウム化合物としては、具体的には、
塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、沃化マグネシウム、弗化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウム;
メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムなどのアルコキシマグネシウムハライド;
フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウムなどのアリロキシマグネシウムハライド;
エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウムなどのアルコキシマグネシウム;
フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグネシウムなどのアリロキシマグネシウム;
ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムなどのマグネシウムのカルボン酸塩;
マグネシウム金属;水素化マグネシウムなどを用いることもできる。
マグネシウム化合物は2種以上組合わせて用いることもできる。
【0014】
なお、上記のようなマグネシウム化合物は、アルミニウム、亜鉛、ホウ素、ベリリウム、ナトリウム、カリウムなどのマグネシウム以外の金属化合物、たとえば、後述する有機アルミニウム化合物との錯化合物、複化合物を形成していてもよく、あるいはこれら他の金属化合物と混合して用いることもできる。
【0015】
炭化水素に溶解したマグネシウム化合物を得るにはそれらの化合物及び溶媒の種類によっても異なるが、両者を単に混合する方法、混合し加熱する方法、該マグネシウム化合物可溶性の電子供与体、例えば、アルコール、アルデヒド、アミン、カルボン酸、エーテルなどを存在させ必要に応じて加熱する方法が挙げられる。
例えば、ハロゲン含有マグネシウム化合物をアルコールを用いて炭化水素溶媒に溶解させる場合では炭化水素溶媒の種類、使用量にもよるがハロゲン含有マグネシウム1モル当たりアルコール1モル以上、好ましくは2モル以上用いる。本件に用いるアルコールとしては、炭素数5以上のアルコール、好ましくは炭素数6以上のアルコールを用いることが好ましい。炭素数6以上のアルコールとして、例えば、2−メチルペンタノール、2−エチルブタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノールのような脂肪族アルコールが挙げられる。又、メチルシクロヘキサノールなどの脂肪族アルコール、ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコールなどの芳香族アルコールを例示することができる。この中でも特に好ましいのは2−エチルヘキシルアルコールである。又、アルコール以外であってもカルボン酸であれば、好ましいのは炭素数7以上のカルボン酸、例えば、2−エチルヘキサノイック酸、カプリル酸、ノニリック酸などが例示される。アルデヒドも炭素数7以上のアルデヒドが好適であり、カプリルアルデヒドウンデシリックアルデヒドなどを例示できる。アミンを使用する場合には好ましくは、炭素数6以上のヘプチルアミン、オクチルアミンなどを好適に用いられる。又、アルコールはアミンやアルデヒド、カルボン酸などと混合して用いることができる。又、マグネシウム化合物としてジアルキルマグネシウムやグリニャール試薬などの還元能を有するマグネシウム化合物であっても珪素、水、酸素などの還元能を消滅させる化合物で処理し還元能を有しないマグネシウム化合物として炭化水素溶媒に可溶化させることができる。
【0016】
固体生成物形成時に共存させる電子供与体の具体例としては、無水酢酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水安息香酸などの酸無水物、ポリエーテルとしては、複数の原子を介して存在する2個以上のエーテル結合を有する化合物を用いることができる。
【0017】
具体的に、このようなポリエーテルとしては、エーテル結合間に存在する原子が、炭素、ケイ素、酸素、窒素、リン、ホウ素、イオウあるいはこれらから選択される2種以上である化合物などを挙げることができる。このうちエーテル結合間の原子に比較的嵩高い置換基が結合しており、2個以上のエーテル結合間に存在する原子に複数の炭素原子が含まれた化合物が好ましく、例えば下記式で示されるポリエーテルが好ましい。
【0018】
【化1】
【0019】
(式中、nは2≦n≦10の整数であり、R1〜R26は炭素、水素、酸素、ハロゲン、窒素、イオウ、リン、ホウ素及びケイ素から選ばれる少なくとも1種の元素を有する置換基であり、任意のR1〜R26、好ましくはR1〜R2nは共同してベンゼン環以外の環を形成していてもよく、主鎖中に炭素以外の原子が含まれていてもよい)。上記のようなポリエーテル化合物としては、具体的に、2−(2−エチルヘキシル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−s−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−フェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2−クミル−1,3−ジメトキシプロパン、2−(2−フェニルエチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(2−シクロヘキシルエチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(p−クロロフェニル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(ジフェニルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(1−ナフチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−(2−フルオロフェニル)−1,3−ジメトキシプロパン、これらのうちでも、1,3−ジエーテル類が好ましく用いられ、特に、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ビス(シクロヘキシルメチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロヘキシル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−s−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジフェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロペンチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパンなどが好ましく用いられる。これらを2種以上組合わせて用いてもよい。
【0020】
マグネシウム化合物を炭化水素溶媒に溶解するには、前述のアルコール等存在下に、必要に応じて加熱する方法が一般的である。この接触は、通常0〜300℃、好ましくは20〜180℃、より好ましくは50〜150℃の温度で、15分間〜10時間程度、好ましくは30分間〜5時間程度で行なわれる。
【0021】
液状チタン化合物
本発明では、液状チタン化合物としては特に4価のチタン化合物が好ましく用いられる。このような4価のチタン化合物としては、次式で示される化合物を挙げることができる。
【0022】
Ti(OR)g X4−g
式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、0≦g≦4である。
【0023】
このような化合物としては、具体的には、
TiCl4、TiBr4、TiI4 などのテトラハロゲン化チタン、
Ti(OCH3)Cl3、
Ti(OC2H5)Cl3、
Ti(On−C4H9)Cl3、
Ti(OC2H5)Br3、
Ti(O−iso−C4H9)Br3などのトリハロゲン化アルコキシチタン、
Ti(OCH3)2Cl2、
Ti(OC2H5)2Cl2、
Ti(On−C4H9)2Cl2、
Ti(OC2H5)2Br2などのジハロゲン化ジアルコキシチタン、
Ti(OCH3)3Cl 、
Ti(OC2H5)3Cl 、
Ti(On−C4H9)3Cl 、
Ti(OC2H5)3 Br などのモノハロゲン化トリアルコキシチタン、
Ti(OCH3)4 、
Ti(OC2H5)4 、
Ti(On−C4H9)4 、
Ti(O−iso−C4H9)4 、
Ti(O−2−エチルヘキシル)4などのテトラアルコキシチタンなどが挙げられる。
【0024】
これらの中でもテトラハロゲン化チタンが好ましく、特に四塩化チタンが好ましい。これらのチタン化合物は、2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0025】
また、マグネシウム化合物を液状化する際に示したような炭化水素溶媒に希釈して用いてもよい。
【0026】
固体状チタン触媒成分の調製
本発明では、上記のような各成分から固体状チタン触媒成分を調製することができる。
【0027】
具体的には、マグネシウム化合物と液状チタン化合物とを接触させ、得られた接触物を20〜120℃の範囲内の温度に昇温し、この温度に保持することにより本発明の固体状チタン触媒成分が調製される。
【0028】
液状チタン化合物は、接触により特別な析出手段を加えなくとも固体状物を析出させうる充分な量で用いられることが好ましい。
【0029】
液状チタン化合物 の使用量は、その種類、接触条件などによっても異なるが、液状マグネシウム化合物1モルに対しては、通常約1モル以上であることが好ましく、さらには約5〜約200モル、特に約10〜約100モルであることがより好ましい。 なお、接触当初、接触温度が低すぎて接触物中に固体状物が析出しない時には、低温での接触を長時間行って固体状物を析出させることもできる。
【0030】
本発明では、上記で得られた接触物を、次いで20〜120℃、好ましくは30〜80℃、より好ましくは40〜60℃の温度まで徐々に昇温して固体状物を徐々に析出させ、この温度を保持する。
【0031】
保持時間は通常15分〜3時間、好ましくは1時間〜2時間程度である。
【0032】
また、昇温に要する時間は、反応器のスケールなどにより大きく異なる。
【0033】
このような条件で、液状マグネシウム化合物と液状チタン化合物とを接触させると、粒度分布の良好な顆粒状または球状の固体状チタン触媒成分を得ることができる。
【0034】
また、上記の接触物を有機アルミニウム化合物とチタンのモル比がAl/Ti=0.1〜12好ましくは1〜5である有機アルミニウム化合物で予備処理してもよい。
【0035】
予備処理の際の反応温度は、通常約−20〜+100℃、好ましくは約−20〜+80℃、さらに好ましくは0〜+40℃の範囲であることが望ましい。
【0036】
なお本発明に係わるエチレン重合用触媒は、オレフィン類が予備重合されていてもよい。
【0037】
予備重合は、不活性炭化水素媒体にオレフィンおよび上記の触媒成分を加え、温和な条件下に行うことができる。
【0038】
この場合、用いられる不活性炭化水素媒体としては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの 脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、あるいはこれらの混合物などを挙げることができる。
【0039】
これらの不活性炭化水素媒体のうちでは、特に脂肪族炭化水素を用いることが好ましい。このように、不活性炭化水素媒体を用いる場合、予備重合はバッチ式で行うことが好ましい。
【0040】
一方、オレフィン自体を溶媒として予備重合を行うこともできるし、また実質的に溶媒のない状態で予備重合することもできる。この場合には、予備重合を連続的に行うのが好ましい。
【0041】
予備重合で使用されるオレフィンは、後述する本重合で使用されるオレフィンと同一であっても、異なっていてもよく、具体的には、プロピレンであることが好ましい。
【0042】
予備重合の際の反応温度は、通常約−20〜+100℃、好ましくは約−20〜+80℃、さらに好ましくは0〜+40℃の範囲であることが望ましい。
【0043】
なお、予備重合においては、水素のような分子量調節剤を使用しない方が好ましい。
【0044】
予備重合は、上記のように、固体状チタン触媒成分1g当り約0.1〜1000g、好ましくは約0.3〜500g、特に好ましくは1〜200gの重合体が生成するように行うことが望ましい。
【0045】
そしてこのように粒子性状に優れた固体状チタン触媒成分を用いてエチレンをスラリー重合させると、顆粒状または球状で粒度分布に優れ、嵩密度が大きく流動性も良好なエチレン重合体を得ることができる。
【0046】
上記のように調製される本発明に係る固体状チタン触媒成分は、マグネシウム、チタン、アルコール誘導体、ポリエーテル及び/又は多価カルボン酸エステルを含有している。
【0047】
この固体状チタン触媒成分では、マグネシウム/チタン(モル比)は1〜12、好ましくは2〜4であり、チタン原子が2〜10重量%、好ましくは4〜9重量%、アルコールを3〜25重量%、好ましくは11〜20重量%、ポリエーテル及び又は多価カルボン酸エステルを1〜11重量%含有されている。
【0048】
触媒成分の組成は、固体状チタン触媒成分を大量のヘキサンで充分洗浄した後、0.1〜1Torr、室温の条件下で2時間以上乾燥した後、ICP(原子吸光分析)、ガスクロマトグラフィーなどにより測定することができる。
【0049】
本発明に係るの固体状チタン触媒成分の形状は、顆粒状またはほぼ球状であることが望ましく、その比表面積は、約10m2/g以上、好ましくは約100〜1000m2/gであることが望ましい。
【0050】
本発明では、固体状チタン触媒成分は、通常炭化水素溶媒で洗浄した後用いられる。
【0051】
エチレン重合用触媒
本発明に係る第2のエチレン重合用触媒は、上記のような固体状チタン触媒成分をアルミニウム化合物で処理することによって得られる。
【0052】
本発明で用いられるアルミニウム化合物しては、例えば、下記式で示される有機アルミニウム化合物を例示することができる。
【0053】
Ran AlX3−n
式中、Ra は炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、Xはハロゲンまたは水素であり、nは1〜3である。
【0054】
Ra は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、たとえば、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロ ペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
【0055】
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニム;
イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
【0056】
本発明で用いられるアルミニウム化合物としては、特にトリエチルアルミニウムが好ましい。
【0057】
本発明に係るエチレン重合用触媒は、オレフィン類が予備重合されていてもよい。
【0058】
なお本発明に係るエチレン重合用触媒は、上記のような各成分以外にも、エチレンの重合に有用な他の成分を含むことができる。
【0059】
エチレンの重合方法
本発明に係るエチレンの重合方法(本重合)では、上記のような固体状チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなるエチレン重合用触媒の存在下にエチレンを重合させるか、エチレンと他のオレフィン類、他の不飽和化合物などとを共重合させてもよい。
【0060】
このようなオレフィン類としては、炭素原子数が3〜20のα−オレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。
【0061】
さらにはビニル化合物、他の不飽和化合物、ポリエン化合物などを共重合させることもでき、たとえば
スチレン、置換スチレン類、アリルベンゼン、置換アリルベンゼン類、ビニルナフタレン類、置換ビニルナフタレン類、アリルナフタレン類、置換アリルナフタレン類などの芳香族ビニル化合物;
ビニルシクロペンタン、置換ビニルシクロペンタン類、ビニルシクロヘキサン、置換ビニルシクロヘキサン類、ビニルシクロヘプタン、置換ビニルシクロヘプタン類、アリルノルボルナンなどの脂環族ビニル化合物;
シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどの環状オレフィン;
アリルトリメチルシラン、アリルトリエチルシラン、4−トリメチルシリル−1−ブテン、6−トリメチルシリル−1−ヘキセン、8−トリメチルシリル−1−オクテン、10−トリメチルシリル−1−デセンなどのシラン系不飽和化合物などを共重合させることもできる。
【0062】
また上記の共重合モノマーを2種以上用いてエチレンと共重合させることもできる。
【0063】
本発明において、エチレンの重合では、固体状チタン触媒成(または予備重合触媒)は、重合容積1リットル当りチタン原子に換算して、通常は約0.0001〜1.0ミリモルの量で用いることが望ましい。有機アルミニウム化合物は、該触媒成分中の金属原子が、重合系中の固体状チタン触媒成分中のチタン原子1モルに対し、通常約1〜2000モル、好ましくは約5〜500モルとなるような量で用いることが望ましい。
【0064】
重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法あるいは気相重合法いずれにおいても実施することができる。特に気相重合法で実施することが好ましい。
【0065】
重合がスラリー重合の反応形態を採る場合には、重合溶媒として通常重合不活性な有機溶媒を用いられる。
【0066】
この有機溶媒としては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素などを用いることができる。
【0067】
これらは組み合わせて用いてもよい。また有機溶媒とともに反応温度において液状である共重合モノマーを用いることもできる。
【0068】
重合条件は重合の形態あるいは得られるエチレン重合体の種類などによっても異なるが、重合は、通常約20〜300℃、好ましくは約50〜150℃の温度で、常圧〜9.81MPa、好ましくは約0.20〜4.90MPa の圧力下に行われる。
【0069】
重合時に水素を用いて、得られる重合体の分子量を調節することができる。
【0070】
上記のような重合は、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を、反応条件を変えて2段以上に分けて行うこともできる。
【0071】
本発明では、エチレンを重合させる際に、上記したような特定の固体状チタン触媒成分を用いて触媒を形成しており、これによって粒子性状に優れたエチレン重合体を極めて高い重合活性で製造することができる。
【0072】
このため得られるエチレン重合体は、重合体単位当りの触媒含量、特にハロゲン含量が少なく、成形時に金型発錆を生じにくい。また微粉含量が少なく、粒子性状に優れたエチレン重合体が得られるので、特にペレタイズせずに使用することもできる。
【0073】
このような本発明で得られるエチレン重合体の嵩比重は、0.25〜0.47g/ml、好ましくは0.35〜0.47g/ml程度になる。また重合体の微粉量(≦100μm)が1wt%以下になる。
【0074】
上記のような本発明で得られるエチレン重合体には、必要に応じて耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、顔料、染料、無機あるいは有機充填剤などを配合することもできる。
【0075】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0076】
以下の実施例において、固体状チタン触媒成分の組成、粒度、嵩比重は下記のように測定した。
(1)チタン、マグネシウム含有量
十分乾燥した触媒を硫酸と純水の混合溶液で処理し、フィルターで濾過した後、ICP分析(島津製作所、ICPF 1000TR)によって定量した。
(2)アルコール、ポリエーテル(イソブチルイソプロピルジメトキシプロパン)、多価カルボン酸エステル(無水フタル酸、フタル酸モノエステル、フタル酸ジエステルを含む)含有量10重量%の水を加えたアセトン溶液に十分乾燥した触媒を加え、加水分解した後、ガスクロマトグラフィー(カラム;溶融シリカキャピラリーカラム、カラム温度;50℃→230℃昇温15℃/分、キャリアーガス;He)で定量した。
(3)粒度分布
振動機(飯田製作所、ロータップ製)および
ふるい(Bunsei Furui、内径200mm)を用いて測定した。
(4)嵩比重:JIS K−6721で測定
【0077】
[実施例1]
(固体状チタン触媒成分の調製)
無水塩化マグネシウム47.6g(0.5モル)、デカン245.0mlおよび2−エチルヘキシルアルコール196.4g(1.5モル)を140℃〜150℃で3時間加熱反応を行い均一溶液とした。その後、室温まで冷却し、この溶液中に無水フタル酸11.1g(75ミリモル)を添加し130℃で1時間攪拌し均一溶液を得た。このようにして得られた均一溶液30mlを室温に冷却した後、−20℃に保持された四塩化チタン80ml(0.28モル)中に、45分間にわたって滴下挿入した。挿入終了後、この混合液の温度を−20℃で1時間保持し、その後3時間かけて50℃に昇温し、その後90分間攪拌下、同温度に保持した。
【0078】
その後、熱濾過にて固体部を分離し、この固体部を50℃のデカンおよびヘキサンで洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した後、固体状チタン触媒成分のデカン懸濁液を得た。
【0079】
得られた固体状チタン触媒成分をモル比(Al/Ti)が5.0のトリエチルアルミニウムで予備処理し、この固体部をヘキサンで洗浄した後、固体状チタン触媒成分のヘキサン懸濁液を得た。続いてプロピレンで予備重合を行い、得られた触媒成分を用いて気相重合を行った。
【0080】
(予備重合)
十分に窒素置換した400mlのフラスコにヘキサン100ml、トリエチルアルミニウム1.0ミリモルおよび上記固体触媒成分チタン原子換算で0.5ミリグラム原子挿入した後、固体状チタン触媒成分1g当り3gの重合体が生成するようにプロピレンガスを1時間にわたって予備重合した。このようにして得られた予備重合固体成分を濾過にて回収しヘキサンで充分に洗浄した。
【0081】
(気相重合)
十分に窒素置換した2lのステンレス製オートクレーブに塩化ナトリウム(和光純薬特級)150gを挿入し、90℃で2時間減圧乾燥した。その後、系内を室温、常圧まで戻し、さらにエチレン雰囲気にした後70℃まで昇温し、トリエチルアルミニウム0.50ミリモル、予備重合固体成分(チタン原子換算で0.03ミリグラム原子)、水素ガス0.3MPaを供給し、次いで全圧が0.8MPaとなるようにエチレンを連続的に1.5時間供給した。重合温度は80℃に保った。
【0082】
重合終了後、水洗により塩化ナトリウムを除去しポリマーをメタノール洗浄した後、乾燥した。
【0083】
乾燥後、239.0gのパウダー状重合体が得られた。このパウダー状重合体のMFRは1.94g/10分、見かけ嵩比重は0.44g/mlであった。
この結果を表1に示す。
【0084】
[実施例2]
(固体状チタン触媒成分の調製)
無水塩化マグネシウム47.6g(0.5モル)、デカン245.0mlおよび2−エチルヘキシルアルコール196.4g(1.5モル)を140℃〜150℃で3時間加熱反応を行い均一溶液とした。その後、室温まで冷却し、この溶液中にイソブチルイソプロピルジメトキシプロパン14.4ml(62.5ミリモル)を添加し100℃で1時間攪拌し均一溶液を得た。このようにして得られた均一溶液30mlを室温に冷却した後、−20℃に保持された四塩化チタン80ml(0.28モル)中に、45分間にわたって滴下挿入した。挿入終了後、この混合液の温度を−20℃で1時間保持し、その後3時間かけて50℃に昇温し、その後90分間攪拌下、同温度に保持した。
【0085】
その後、熱濾過にて固体部を分離し、この固体部を50℃のデカンおよびヘキサンで洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した後、固体状チタン触媒成分のデカン懸濁液を得た。
【0086】
得られた固体状チタン触媒成分を実施例1と同様にして予備重合を行い、気相重合を行った。
この結果を表1に示す。
【0087】
[実施例3]
実施例1において得られた固体状チタン触媒成分を有機アルミニウム化合物とチタンのモル比がAl/Ti=2.3である有機アルミニウム化合物で予備処理し、実施例1と同様にして固体状チタン触媒成分1g当り3gの重合体が生成するようにプロピレンで予備重合した触媒を用いてスラリー重合を行った。
【0088】
(スラリー重合)
内容積1リットルのオートクレーブ中に、窒素雰囲気下、精製n−ヘプタン500mlを挿入し、エチレン雰囲気にした後70℃まで昇温し、トリエチルアルミニウム0.25ミリモル、および上記で得られた固体状チタン触媒成分のヘキサン懸濁液をチタン原子換算で0.015ミリモル相当量加えた後、80℃に昇温し、水素を0.3MPa 供給し、次いで全圧が0.8MPaとなるようにエチレンを連続的に1時間供給した。重合温度は80℃に保った。重合終了後、エチレン重合体をn−ヘプタン溶媒から分離して乾燥した。
この結果を表1に示す。
【0089】
[実施例4]
実施例2において得られた固体状チタン触媒成分を実施例1と同様にして固体状チタン触媒成分1g当り3gの重合体が生成するようにプロピレンで予備重合した触媒を用いて実施例3と同様にしてスラリー重合を行った。
この結果を表1に示す。
【0090】
[実施例5]
実施例1において、固体チタン触媒を予備処理、予備重合をしない触媒成分を用いて実施例3と同様にしてスラリー重合を行った。
【0091】
[比較例1]
無水塩化マグネシウム95.3g、デカン485mlおよび2−エチルヘキシルアルコール390.0gを140℃で約4時間加熱反応を行って均一溶媒とした後、この溶液中に無水フタル酸を22.2gを添加し、さらに、130℃にて1時間攪拌混合を行い無水フタル酸をこの均一溶液に溶解させた。
【0092】
このようにして得られた均一溶液を室温に冷却した後、この均一溶液75mlを−20℃に保持した四塩化チタン200ml中に45分にわたって全量滴下装入した。装入終了後、この混合液の温度を3時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでフタル酸ジイソブチル5.03mlを添加し、これより2時間同温度にて攪拌下保持した。2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を275mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び110℃で2時間、加熱反応を行った。反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、110℃デカンにて洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄し、固体状チタン触媒成分のデカン懸濁液を得た。
【0093】
得られた固体状チタン触媒成分を用いて実施例3と同様にしてスラリー重合を行った。
この結果を表2に示す。
【0094】
[比較例2]
無水塩化マグネシウム4.76g,デカン200ml溶液中に、攪拌下室温で17.6mlのエタノールを30分かけて滴下した後、約30分室温で混合した。ついで16.8mlのジエチルアルミニウムクロライドを2時間かけて滴下し、滴下後約1時間室温で混合した後、44.0mlの四塩化チタンを30分かけて滴下し、80℃で2時間の反応を行った。反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、80℃デカンにて洗浄し、固体状チタン触媒成分のデカン懸濁液を得た。
【0095】
得られた固体状チタン触媒成分を用いて実施例3と同様にしてスラリー重合を行った。
この結果を表2示す。
【0096】
[実施例6]
実施例2において、固体チタン触媒を予備重合しない触媒成分を用いて実施例3と同様にしてスラリー重合を行った。
【0097】
[比較例3]
無水塩化マグネシウム95.3g、デカン485mlおよび2−エチルヘキシルアルコール390.0gを130℃で2時間加熱反応を行って均一溶媒とした後、この溶液中にイソブチルイソプロピルジメトキシプロパン28.8mlを添加し、さらに、100℃にて1時間攪拌混合を行った。
【0098】
このようにして得られた均一溶液を室温に冷却した後、この均一溶液31mlを−20℃に保持した四塩化チタン80ml中に45分にわたって全量滴下装入した。装入終了後、この混合液の温度を90分かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでこれより2時間同温度にて攪拌下保持した。2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を100mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び110℃で2時間、加熱反応を行った。反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、90℃デカンにて洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄し、固体状チタン触媒成分のデカン懸濁液を得た。
【0099】
得られた固体状チタン触媒成分を用いて実施例3と同様にしてスラリー重合を行った。
この結果を表2に示す。
【0100】
[実施例7]
実施例1において、固体状チタン触媒成分をモル比(Al/Ti)が5.0のトリエチルアルミニウムで予備処理を行って得られた触媒成分を用いて実施例3と同様にしてスラリー重合を行った。
結果を表2に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
【表3】
【0104】
【表4】
【0105】
【表5】
【0106】
【表6】
【0107】
【発明の効果】
本発明によれば、微粉含量が少なく、粒子性状に優れた高活性エチレン重合体を触媒単位当り極めて高収率で製造することができる固体状チタン触媒成分、これを含むエチレン重合用触媒およびこの触媒を用いたエチレンの重合方法が提供される。
Claims (5)
- マグネシウム、チタン、アルコールポリエーテル及び/又は多価カルボン酸エステルを含有する触媒成分であって、マグネシウムとチタンのモル比(Mg/Ti)が1〜12の範囲であり、チタンを2〜10重量%、アルコールを3〜25重量%、ポリエーテル及び/又は多価カルボン酸エステルを1〜11重量%を含有することを特徴とするエチレン重合用固体状チタン触媒成分。
- 請求項1に記載の固体状チタン触媒成分を、有機アルミニウム化合物で予備処理することにより得られるエチレン重合用触媒。
- 請求項1に記載の固体状チタン触媒成分を、予備重合することにより得られるエチレン重合用触媒。
- 請求項2に記載の固体状チタン触媒成分を、予備重合することにより得られるエチレン重合用触媒。
- 請求項1〜4に記載されたエチレン重合用触媒の存在下に、エチレンを重合もしくはエチレンとαオレフィンとを共重合させることを特徴とするエチレンの重合方法。
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