JP2004107288A - α,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法 - Google Patents

α,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法 Download PDF

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田辺 陽
Jun Sunakawa
砂川 洵
Akira Sasaki
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Abstract

【課題】下記式(II)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステルの工業的製法の提供。
【解決手段】式:
【化1】
Figure 2004107288

(式中、RおよびRは水素原子または置換されていてもよい低級アルキル基を、Rはエステル残基を、Rは有機基を、XおよびYはCHまたは窒素原子を、RおよびRは水素原子、置換されていてもよい低級アルキル基、あるいはR、R、XおよびYが一緒になって置換基を有していてもよい4〜7員の環状構造などを表す。)
で表される化合物をルイス酸とルイス塩基で処理することを特徴とする
式:
【化2】
Figure 2004107288

で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、β−ヒドロキシカルボン酸エステルを原料とし、種々の合成中間体、医薬品原料等として工業的に非常に有用なα,β−不飽和カルボン酸エステルを製造する方法に関する。特に、本方法はカルバペネム系抗菌剤の合成中間体として有用なカルバペネム誘導体を製造するのに適している。
【0002】
【従来の技術】
従来、アルコール類の脱離反応による不飽和化合物の合成方法としては、硫酸、りん酸、蓚酸等の酸触媒を用いる方法、アルミナ、シリカゲル、モンモリノライト等の固体触媒を用いる方法、硫酸鉄(II)、硫酸銅(II)、硫酸ニッケル(II)等の金属触媒を用いる方法等が知られている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、これらの触媒を用いる反応条件では高温を必要とし、β−ヒドロキシカルボン酸エステルを基質として反応を行おうとした場合、分解反応あるいは重合反応が等が起こってしまい、満足な収率で得られない。また、β−ヒドロキシカルボン酸エステルからの脱離反応の場合、生成物として、α,β−不飽和カルボン酸エステルとβ,γ−不飽和カルボン酸エステルの二種の異性体が生成し得るが、これらの触媒を用いる反応の場合には、異性体の混合物として得られ、目的とするα,β−不飽和カルボン酸エステルの選択率は必ずしも高くない。
【0003】
また、β−ヒドロキシカルボン酸エステルのようにヒドロキシ基のβ−位に電子吸引性基を有する基質の場合には、水酸化カリウム、ナトリウム メトキシド等の強塩基触媒を用いても脱離反応が進行することが知られており(例えば、非特許文献2あるいは非特許文献3など)、この場合には目的とするα,β−不飽和カルボン酸エステルの選択率は高くなるものの、これらの触媒を用いた場合には、原料および生成物の加水分解反応によるカルボン酸の生成が起こり、満足な収率が得られない。そこで、これらの副反応を防止するための方法として、オキシ塩化リン、塩化チオニル、塩化メタンスルホニル、塩化p−トルエンスルホニル等のハロゲン化剤、スルホニル化剤等を用いてヒドロキシ基を適当な脱離基に変換した後に、穏和な条件下で脱離反応する方法が行われる(例えば、非特許文献4参照)。これらの方法によれば目的とするα,β−不飽和カルボン酸エステルを高選択率・高収率で得ることができるものの、工業的にこれらの方法を行う場合には、比較的に高価な試薬であるハロゲン化剤・スルホニル化剤をβ−ヒドロキシカルボン酸エステルと等モル量用いる必要があること、また、反応によって大量の脱離塩が副生し、廃棄物の増加ならびに後処理工程の煩雑化につながることからコスト的に不利である。
【0004】
【非特許文献1】
新実験化学講座、14巻、119頁
【非特許文献2】
ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティ (Journal of the American Chemical Society)70巻, p1895−1898 (1948年)
【非特許文献3】
ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティ (Journal of the American Chemical Society)81巻, p2822−2826(1959年)
【非特許文献4】
新実験化学講座、14巻、122頁
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、高価な試薬を用いることなく、かつ廃棄物の生成を抑えて、β−ヒドロキシカルボン酸エステルからα,β−不飽和カルボン酸エステルを高選択率・高収率で製造する工業的に有利な方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記式:
【化5】
Figure 2004107288
(式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子または置換されていてもよい低級アルキル基を、Rはエステル残基を、Rは有機基を、XおよびYは同一または異なって、CHまたは窒素原子を、RおよびRは同一または異なって、水素原子、置換されていてもよい低級アルキル基またはXあるいはYが窒素原子である場合のアミノ基の保護基を表すかあるいはR、R、XおよびYが一緒になって置換基を有していてもよい4〜7員の環状構造を表す。)
で表される五員環化合物をルイス酸とルイス塩基で処理することを特徴とする
式:
【化6】
Figure 2004107288
(式中、R、R、R、R、X、Y、RおよびRは前掲に同じ。)
で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法に関する。
【0007】
本発明はまた下記式:
【化7】
Figure 2004107288
(式中、Rは水酸基の保護基を、R、R、RおよびR前掲に同じ。)
で表されるβ−ラクタム化合物をルイス酸とルイス塩基で処理することを特徴とする
式:
【化8】
Figure 2004107288
(式中、R、R、R、RおよびRは前掲に同じ。)
で表されるカルバペネム化合物の製造法にも関する。
【0008】
本発明方法によれば、化合物(I)を、ルイス酸とルイス塩基で脱水反応することにより実施することができる。また、生成物が酸化を受け易く、たとえば芳香環化などの過剰反応を引き起こす恐れのある場合には、必要に応じて抗酸化剤を共存させることもできる。
本発明方法を反応式で示すと以下のとおりである。
【化9】
Figure 2004107288
(式中、R、R、R、R、X、Y、RおよびRは前掲に同じ。)
化合物(I)にルイス酸およびルイス塩基を作用させると、たとえば以下のような中間体が生成し、これを経由して本反応が進行するものと考えられる。
【化10】
Figure 2004107288
(式中、Mはルイス酸の金属原子部分、nは2−5を意味し、R、R、R、R、X、Y、RおよびRは前掲に同じ。)
【0009】
β−ラクタム化合物(III)を原料に用いた場合もまったく同様である。
【化11】
Figure 2004107288
(式中、R、R、R、RおよびRは前掲に同じ。)
また、一般式(IV)で表される化合物のうちRが水素原子である化合物は、それ自体公知の方法たとえば、J.Chem.Soc.Chem.Comm.,1980年,185−186頁記載の方法により、一般式(V):
【化12】
Figure 2004107288
で表されるカルバペネム誘導体へ変換することもできる。このものはさらに、それ自体公知の方法、たとえばTetrahedron Letters,第23巻,897−900頁(1982年)記載の方法により、一般式:R−SH(Rは有機基を表す)で示されるメルカプタン化合物と塩基(たとえば、トリエチルアミンやジイソプロピルエチルアミン)の存在下に反応させることにより、一般式(VI):
【化13】
Figure 2004107288
で表される種々のカルバペネム誘導体へ誘導することもできる。この際、Rで示される有機基としては、既知のカルバペネム系抗菌剤で使用される基を用いることができる。
これら一連の反応で得られるカルバペネム誘導体(IV)、(V)および(VI)はカルバペネム系抗菌剤の重要な中間体であって、本発明方法はこれらの中間体の製造方法として用いるのに好適である。
【0010】
以下に原料として用いられる式(I)あるいは(III)で表される化合物の置換基について説明する。
、R、RおよびRで示される低級アルキル基としてはメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル等の直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキルがあげられる。R、R、RおよびRにおける「置換されていてもよい低級アルキル基」の置換基としては、例えば水酸基、メルカプト基、(直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキル)オキシ、(直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキル)チオ、ホルミル、(直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキル)カルボニル、ホルミルオキシ、(直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキル)カルボニルオキシ、カルボキシル、(直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキル)オキシカルボニル、炭素数3〜7の低級シクロアルキル、ハロゲン原子、シアノ、アミノ、モノ−あるいはジ−(直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ−あるいはジ−(直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキル)アミド、カルバモイルオキシ、モノ−あるいはジ−(直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキル)アミノカルボニルオキシ等が挙げられる。これらの置換基は適当な保護基により保護されていてもよい。置換位置は化学的に可能な位置であれば制限はなく、一箇所あるいは複数箇所の置換が可能である。
【0011】
およびRにおけるアミノ基の保護基の例としては、通常用いられる各種の保護基が可能であるが、好適には例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル等の炭素数1〜5の低級アルカノイル、クロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフロロアセチル等の炭素数2〜5のハロゲノアルカノイル、ベンゾイル、2−ピリジルカルボキシ、3−ピリジルカルボキシ等のアリールカルボニル、フェニルアセチル、3−フェニルプロピオニル等のアラルキルカルボニル、tert−ブチルオキシカルボニル等の(炭素数1〜5の低級アルキル)オキシカルボニル、例えば2−ヨウ化エチルオキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル等の(炭素数1〜5のハロゲノアルキル)オキシカルボニル、例えばアリルオキシカルボニル等の置換または無置換の(炭素数3〜7の低級アルケニル)オキシカルボニル、例えばベンジルオキシカルボニル、p−メチルオキシベンジルオキシカルボニル、o−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル等のアラルキルオキシカルボニル、例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル等のトリアルキルシリル等が挙げられる。さらに生体内で加水分解されてアミノ基を再生する各種保護基を用いることも可能であって、好適には例えば、(5−メチル−1,3−ジオキソレン−2−オン−4−イル)メチルオキシカルボニル等が挙げられる。さらに、R、R、XおよびYが一緒になって置換基を有していても良い4〜7員の環状構造を表す場合の「4〜7員の環状構造」としては、以下に示すようなものがあげられる。
【0012】
【化14】
Figure 2004107288
好適なものとしてシクロペンタン、シクロペンタノン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、アゼチジン、アゼチジノン、ピロリジン、ピロリジノン、ピペリジン、ピペリジノン等が挙げられる。
【0013】
これら4〜7員の環状構造の置換基としては、例えば水酸基、メルカプト基、(直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキル)オキシ、(直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキル)チオ、ホルミル、(直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキル)カルボニル、ホルミルオキシ、(直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキル)カルボニルオキシ、カルボキシル、(直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキル)オキシカルボニル、炭素数3〜7の低級シクロアルキル、ハロゲン原子、シアノ、アミノ、モノ−あるいはジ−(直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ−あるいはジ−(直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキル)アミド、カルバモイルオキシ、モノ−あるいはジ−(直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキル)アミノカルボニルオキシ等が挙げられる。これらの置換基は適当な保護基により保護されていてもよい。置換位置は化学的に可能な位置であれば制限はなく、一箇所あるいは複数箇所の置換が可能である。
【0014】
で示されるエステル残基の例としては、生体内で代謝を受け加水分解されるエステル残基か、或いはカルボキシル基の保護基となりうるエステル残基があげられる。
前者のエステル残基としては、生体内で加水分解されてカルボキシル基を再生する限りいかなるものも含み、プロドラッグと総称される化合物群に誘導する際に使用される基が挙げられる。好ましい基としては、低級アルカノイルオキシ低級アルキル、シクロアルキルカルボニルオキシ低級アルキル、低級アルケノイルオキシ低級アルキル、低級アルコキシ低級アルカノイルオキシ低級アルキル、低級アルコキシ低級アルキル、低級アルコキシ低級アルコキシ低級アルキル、低級アルコキシカルボニルオキシ低級アルキル、低級アルコキシ低級アルコキシカルボニルオキシ低級アルキル、(5−低級アルキル−1,3−ジオキソレン−2−オン−4−イル)メチル等が挙げられる。
また後者のエステル残基としては通常用いられる各種の保護基が可能であるが、好適には例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル等の直鎖状または分枝鎖状で炭素数1〜5の低級アルキル、例えば2−ヨウ化エチル、2,2,2−トリクロロエチル等の炭素数1〜5のハロゲノ低級アルキル、例えばメチルオキシメチル、エチルオキシメチル、イソブチルオキシメチル等の炭素数1〜5の低級アルキルオキシメチル、例えばアセチルオキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル,ピバロイルオキシメチル等の炭素数1〜5の低級脂肪族アシルオキシメチル、例えば1−エチルオキシカルボニルオキシエチル等の1−(炭素数1〜5の)低級アルキルオキシカルボニルオキシエチル、例えばベンジル、p−メチルオキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル等のアラルキル基、例えばアリル、3−メチルアリル等の炭素数3〜7の低級アルケニル、ベンズヒドリル、フタリジル等が挙げられる。
【0015】
またはRで示される有機基について説明すると、既知カルバペネム系抗菌剤で使用されている有機基であれば、特に制約が無く、例えば米国特許第4194047号、特開昭60−19787号、特開昭60−104088号、特開昭60−202886号、特開昭61−5081号、特開平2−49783号、特開平4−279588号、Journal of Organic Chemistry 第57巻,4243−4249頁(1992年)、Journal of Antibiotics 第46巻, 1866−1882頁(1993年)、Heterocycles 第54巻,497−528頁(2001年)等に記載の既知カルバペネム系抗菌剤で使用されている有機基を用いることができる。かかる基の例としては低級アルキル、シクロアルキル、6〜10員アリール、6〜10員アリール低級アルキル、4〜10員脂肪族複素環式基、4〜10員芳香族複素環式基等が挙げられる。さらにこれらの基は一つ以上の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、低級アルキル、水酸基、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、メルカプト、低級アルキルチオ、アミジノ、グアニジノ、カルバモイル、チオカルバモイル、スルファモイル、シアノ、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、アラルキルオキシカルボニル、オキソ、ハロゲノ、シクロアルキル、6〜10員アリール、4〜10員脂肪族複素環式基、4〜10員芳香族複素環式基等が挙げられる。これら置換基に含まれる官能基は必要に応じて保護基によって保護することができる。用いられる保護基は常法により容易に除去し得るものであれば特に制約が無く、例えばT.W.Greene,P.G.m.Wuts: Protective Groups In Organic Synthesis;第3版,Wiley,New York (1999年)あるいはP.Kocienski,Protecting Groups,Thieme,Stuttgart(1994年)を参照することができる。
【0016】
また、Rで示される有機基としては、低級アルキルチオ、シクロアルキルチオ、6−10員アリールチオ基、(6−10員アリール)低級アルキルチオ、4−10員脂肪族複素環チオ基、4−10員芳香族複素環チオ基等のスルフィド基を挙げることもできる。さらにこれらの基は一つ以上の置換基を有していてもよく、このような基としては、低級アルキル、水酸基、低級アルコキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、ジ低級アルキルアミノ、メルカプト基、低級アルキルチオ、アミジノ、グアニジノ、カルバモイル、チオカルバモイル、スルファモイル、シアノ、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、アラルキルオキシカルボニル、オキソ、ハロゲノ、シクロアルキル、6−10員アリール、4−10員脂肪族複素環基、4−10員芳香族複素環式基が挙げられる。これらの置換基に含まれる官能基は必要に応じて保護基によって保護することができる。用いられる保護基は常法により容易に除去しうるものであれば、特に制約がなく、例えばT.W.Greene, P.G.M. Wuts: Protective Groups in Organic Synthesis; 第3版 Wiley, New York (1999) あるいは P.Kocienski, Protecting Groups, Thieme, Stuttgarr (1994) を参照することができる。
【0017】
で示される水酸基の保護基としては、通常用いられる各種の保護基が可能であるが、好適には例えば、tert−ブチルオキシカルボニル等の炭素数1〜5の低級アルキルオキシカルボニル、例えば2−ヨウ化エチルオキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエチルオキシカルボニル等の炭素数1〜5のハロゲノアルキルオキシカルボニル、例えばアリルオキシカルボニル等の置換または無置換の炭素数3〜7の低級アルケニルオキシカルボニル、例えばベンジルオキシカルボニル、p−メチルオキシベンジルオキシカルボニル、o−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル等のアラルキルオキシカルボニル、例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル等のトリアルキルシリル等が挙げられる。
【0018】
本発明で用いられるルイス酸としては、アルミニウム、スズ、ジルコニウム、マグネシウム、ホウ素、チタン、亜鉛、ケイ素、鉄、ゲルマニウム、アンチモン、ハフニウム、ビスマス、スカンジウム、イットリビウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、サマリウム、セリウム、バナジウムあるいはタングステン等を中心元素とする塩化物、臭化物、ヨウ化物、低級アルキル化物および錯体を挙げることができる。好ましくは、アルミニウム、スズ、ジルコニウム、マグネシウム、ホウ素、チタン、亜鉛、ケイ素あるいはスズを中心元素とする塩化物、臭化物、ヨウ化物、低級アルキル化物および錯体を挙げることができる。特に好ましくはチタン、ジルコニウムあるいはアルミニウムを中心元素とする塩化物、臭化物、ヨウ化物、低級アルキル化物および錯体を挙げることができる。また、その使用量は、原料化合物(I)あるいは(III)1モルに対して0.1〜5.0モル用いることができるが、好ましくは0.5〜4.0 モル、とりわけ1.0〜3.0 モルであるのが好ましい。
【0019】
本発明で用いられるルイス塩基としては、有機アミン化合物を挙げることができる。好ましくは、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のトリ低級アルキルアミンあるいはジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−sec−ブチルアミン等のジ低級アルキルアミンを挙げることができる。また、その使用量は、原料化合物(I)または(III)1モルに対して0.1〜6.0モル用いることができるが、好ましくは0.5〜5.0 モル、とりわけ1.0〜4.0 モルであるのが好ましい。
【0020】
本発明で必要に応じて用いられる抗酸化剤としては反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に制約が無いが、好ましいものとして例えば2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノン等のフェノール誘導体を挙げることができる。また、その使用量は、原料化合物(I)または(III)1モルに対して0.1〜5.0モル用いることができるが、好ましくは0.5〜4.0 モル、とりわけ1.0〜3.0 モルであるのが好ましい。
【0021】
この反応は溶媒中で実施することができ、溶媒としては反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に制約が無いが、好ましいものとして例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、またはそれらの混合溶媒を挙げることができる。反応は、冷却〜室温下、例えば−75℃〜40℃、とりわけ−40℃〜30℃で好適に実施できる。
【0022】
本発明方法によれば、緩和な反応条件で化合物(II)あるいは(IV)が得られる。原料化合物(I)あるいは(III)にはその不斉炭素に基づく光学異性体が存在しうるが、原料として光学活性な化合物を用いた場合、反応は立体構造を保持したまま進行し、エピマー化することなく化合物(II)あるいは(IV)へそれぞれ変換することもできる。
化合物(IV)、(V)あるいは(VI)において、必要に応じて公知の方法に従いR、R、Rおよび/またはRにおける保護基を脱離せしめることによって、直接カルバペネム系抗菌剤に導くことができ、このような中間体(IV)、(V)あるいは(VI)は殊に重要である。
【0023】
原料として用いられる式(I)あるいは(III)の一部は新規化合物であるが、実施例および参考例に示した方法あるいはこれに準じた方法で製造できる。次に実施例および参考例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はもちろんこれらによって何ら限定されるものではない。
なお以下の実施例および参考例で用いている略号の意味は次の通りである。
Ph:フェニル基
Me:メチル基
Et:エチル基
BHT:2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール
DMF: ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
TBDMS: tert−ブチル(ジメチル)シリル基
ALOC:アリルオキシカルボニル基
ATR:全反射吸収法
【0024】
【発明の実施の形態】
【0025】
【実施例】
実施例1
シクロペント−1−エン−1−カルボン酸ベンジル
【化15】
Figure 2004107288
2−ヒドロキシシクロペンタンカルボン酸ベンジル(22mg,0.1mmol)の塩化メチレン(1ml)溶液に氷冷下1M 四塩化チタン/トルエン溶液(0.1ml)を滴下した。次いで、トリブチルアミン(19mg,0.1mmol)の塩化メチレン(0.5ml)溶液を滴下した。室温に昇温して25分攪拌した後、1M 四塩化チタン/トルエン溶液(0.1ml)、トリブチルアミン(19mg,0.1mmol)の塩化メチレン(0.5ml)溶液の順に滴下した。さらに80分攪拌した後、1M 四塩化チタン/トルエン溶液(0.1ml)、トリブチルアミン(19mg,0.1mmol)の塩化メチレン(0.5ml)溶液の順に滴下した。15分攪拌した後、反応液を氷水にあけてクロロホルム抽出を行い、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=9/1)で精製し、シクロペント−1−エン−1−カルボン酸ベンジル(8.7mg,収率44%)を得た。
H NMR (400MHz, CDCl): δ = 1.90−2.02 (2H,m), 2.45−2.55 (2H,m), 2.55−2.65 (2H,m), 5.19 (2H,s), 6.80−6.87 (1H,m), 7.28−7.42 (5H,m).
【0026】
実施例2
1−ベンゾイル−4,5−ジヒドロ−1H−ピロール−2−カルボン酸メチル
【化16】
Figure 2004107288
メチル1−ベンゾイル−3−ヒドロキシプロリネート(24mg,0.1mmol)、BHT(22mg,0.1mmol)、トリブチルアミン(74mg,0.4mmol)の塩化メチレン(1ml)溶液に氷冷下1M 四塩化チタン/トルエン溶液(0.1ml)を滴下した。同温度で10分攪拌した後、1M 四塩化チタン/トルエン溶液(0.1ml)を滴下した。さらに10分攪拌した後、反応液を冷5%硫酸水素カリウム水にあけて酢酸エチル抽出を行い、有機層を冷5%硫酸水素カリウム水、塩水の順に洗浄後無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製し、1−ベンゾイル−4,5−ジヒドロ−1H−ピロール−2−カルボン酸メチル(12mg,収率52%)を得た。
H NMR (400MHz, CDCl):δ = 2.72 (2H,dt,J=3.0Hzと8.5Hz), 3.61 (3H,s), 4.11 (2H,t, J=8.5Hz), 6.19 (1H,t, J=3.0Hz), 7.36−7.51 (3H,m), 7.61−7.69 (2H,m).
IR(ATR): 1732, 1635, 1381, 1149, 714 cm−1
【0027】
実施例3
アリル(5R,6S)−6−(1−{[(アリルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル)−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレート
【化17】
Figure 2004107288
アリル(5R,6S)−6−(1−{[(アリルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル)−3−ヒドロキシ−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−塩−2−カルボキシレート(0.1mmol)、BHT(22mg,0.1mmol)、トリブチルアミン(74mg,0.4mmol)の塩化メチレン(1ml)溶液に氷冷下1M 四塩化チタン/トルエン溶液(0.1ml)を滴下した。同温度で10分攪拌した後、1M 四塩化チタン/トルエン溶液(0.1ml)を滴下した。さらに10分攪拌した後、反応液を氷水にあけて酢酸エチル抽出を行い、有機層を水洗、炭酸水素ナトリウム水洗、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた粗生成物をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製し、アリル(5R,6S)−6−(1−{[(アリルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル)−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレート(8.2mg,収率26%)を得た。
H NMR (400MHz, CDCl):δ = 1.46 (3H,d,J=6.3Hz), 2.70−2.87 (1H,m), 2.87−3.07 (1H,m), 3.36 (1H,dd,J=3.0Hzと8.1Hz), 4.19−4.33 (1H,m), 4.51−4.84 (4H,m), 5.05−5.23 (1H,m), 5.23−5.46 (4H,m), 5.84−6.04 (2H,m), 6.50 (1H,t,J=2.6Hz).
IR(ATR): 1782, 1740, 1250, 949, 787 cm−1
【0028】
実施例4
アリル(5R,6S)−6−(1−{[(アリルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル)−3−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレート
【化18】
Figure 2004107288
実施例3と同様にしてアリル(5R,6S)−6−(1−{[(アリルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル)−3−ヒドロキシ−3−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートからアリル(5R,6S)−6−(1−{[(アリルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル)−3−メチル−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを得る。
【0029】
実施例5
アリル (5R,6S)−6−(1−{[(アリルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル)−7−オキソ−3−フェニル−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレート
【化19】
Figure 2004107288
実施例3と同様にしてアリル(5R,6S)−6−(1−{[(アリルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル)−3−ヒドロキシ−7−オキソ−3−フェニル−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートからアリル(5R,6S)−6−(1−{[(アリルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル)−7−オキソ−3−フェニル−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを得る。
【0030】
実施例6
アリル(5R,6S)−6−(1−{[(アリルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル)−3−(エチルチオ)−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレート
【化20】
Figure 2004107288
実施例3と同様にして、アリル(5R,6S)−6−(1−{[(アリルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル)−3−(エチルチオ)−3−ヒドロキシ−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートからアリル (5R,6S)−6−(1−{[(アリルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル)−3−(エチルチオ)−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシレートを得る。
【0031】
参考例1
3−ブロモ−N−メトキシ−N−メチルプロパンアミド
【化21】
Figure 2004107288
N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(4.88g,0.50mmol)とトリエチルアミン(11.13g,110mmol)を乾燥DMF(80ml)に懸濁し、氷冷下3−ブロモプロピオン酸クロリド(8.57g,50mmol)を滴下した。同温度で30分間攪拌した後、反応液を氷水にあけ、塩水を加えてから酢酸エチル抽出、塩水洗浄(5回)、無水硫酸マグネシウム乾燥、減圧濃縮して3−ブロモ−N−メトキシ−N−メチルプロパンアミド(5.882g,収率60%)を得た。
【0032】
参考例2
N−ベンゾイル−N−メトキシカルボニルメチル−β−アラニン N’−メトキシ−N’−メチルアミド
【化22】
Figure 2004107288
グリシンメチルエステル塩酸塩(3.64g,29mmol)のメタノール(29ml)溶液に氷冷下トリエチルアミン(5.87g,58mmol)を滴下した。次いで3−ブロモ−N−メトキシ−N−メチルプロパンアミド(5.69g,29mmol)のメタノール(29ml)溶液を滴下して徐々に室温まで昇温した。3.5時間後不溶物を濾別し、メタノール洗浄した濾液・洗液を減圧濃縮した。濃縮残渣をクロロホルム(60ml)に懸濁し、氷冷下ベンゾイルクロリド(2.109g,15mmol)を滴下した。15分攪拌後、トリエチルアミン(2.94g,29mmol)を滴下した。反応液を氷水にあけ、5%硫酸水素カリウム水を加えて弱酸性とした後分液した。無水硫酸マグネシウム乾燥、減圧濃縮して粗製物(7.313g)を得た。このうち149mgを分取シリカゲル薄層クロマトグラフィー精製(展開溶媒:酢酸エチル)してN−ベンゾイル−N−メトキシカルボニルメチル−β−アラニン N’−メトキシ−N’−メチルアミド(79mg,計算収率84%)を得た。
H NMR (400MHz, CDCl):δ = 2.57−2.70 (1H,m), 2.87−3.01 (1H,m), 3.12と3.20 (合わせて3H,それぞれs), 3.53−3.89 (8H,m), 4.11−4.36 (2H,m), 7.31−7.52(5H,m).
【0033】
参考例3
メチル 1−ベンゾイル−3−オキソプロリネート
【化23】
Figure 2004107288
Tetrahedron Letters, 第36巻, 6209−6212頁 (1995年)に記載の方法に従って、1M リチウム ヘキサメチルジシラジド/THF溶液(2.3ml)を−78℃に冷却し、N−ベンゾイル−N−メトキシカルボニルメチル−β−アラニン N’−メトキシ−N’−メチルアミド(589mg,1.91mmol)の乾燥THF(16ml)溶液を滴下した。原料消失後、酢酸(414mg,6.9mmol)のTHF(2ml)溶液を滴下し、次いで10%りん酸二水素ナトリウム水とクロロホルムで希釈した。分液、無水硫酸マグネシウム乾燥、減圧濃縮した残渣物をシリカゲル(20g)カラムクロマトグラフィー精製(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)してメチル1−ベンゾイル−3−オキソプロリネート(486mg,定量的収率)を得た。
H NMR (400MHz, CDCl):δ = 2.59−2.87 (2H,m), 3.49−4.10 (2H,m), 3.86 (3H,s), 5.06 (0.65H,br.s, ケト体), 7.31−7.73 (5H,m).
IR(ATR): 1770, 1736, 1635, 1402, 1130, 702 cm−1
MS(EI):m/z247(M
【0034】
参考例4
メチル 1−ベンゾイル−3−ヒドロキシプロリネート
【化24】
Figure 2004107288
メチル1−ベンゾイル−3−オキソプロリネート(227mg,0.92mmol)をTHF(6ml)に溶解し、氷冷下0.25M りん酸緩衝液(pH6)(1.5ml)を加えた。水素化ホウ素ナトリウム(14mg,0.37mmol)を粉末のまま加えて10分間攪拌後、反応液をジエチルエーテルと塩水で希釈し、さらに10%りん酸二水素ナトリウム水を加えて分液、無水硫酸マグネシウム乾燥、減圧濃縮してメチル1−ベンゾイル−3−ヒドロキシプロリネート(171mg,収率75%)を得た。
MS(EI):m/z249(M
【0035】
参考例5
2−ヒドロキシシクロペンタンカルボン酸ベンジル
【化25】
Figure 2004107288
2−シクロペンタノンカルボン酸ベンジルを用いて参考例4と同様にして2−ヒドロキシシクロペンタンカルボン酸ベンジルを合成した。低極性の異性体のみを単離して脱水反応に付した。
【0036】
参考例6
アリル2−ジアゾアセトアセテート
【化26】
Figure 2004107288
アセト酢酸アリルエステル(1.42g,10mmol)とドデシルベンゼンスルホン酸アジド(4.218g,12mmol)の乾燥アセトニトリル(30ml)溶液に室温でトリエチルアミン(1.21g, 12mmol)を加え同温度で5.5時間攪拌した。減圧濃縮した残渣をシリカゲル(70g)カラムクロマトグラフィー精製(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)し、アリル2−ジアゾアセトアセテート(1.63g,97%)を得た。
H NMR (400MHz, CDCl):δ = 2.49 (3H,s), 4.70−4.77 (2H,m), 5.27−5.40 (2H,m), 5.89−6.02 (1H,m).
【0037】
参考例7
(3S,4R)−3−[(1R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[3−アリルオキシカルボニル−2−オキソ−3−ジアゾプロピル]アゼチジン−2−オン
【化27】
Figure 2004107288
アリル2−ジアゾアセトアセテート(1.63g,9.7mmol)とヨウ化ナトリウム(2.1g,12mmol)に乾燥アセトニトリル(50ml)を加え、室温で攪拌しながらトリエチルアミン(1.62g, 16mmol)、次いでクロロトリメチルシラン(1.63g,15mmol)を添加した。同温度で1時間攪拌した後減圧濃縮した残渣にヘキサン(100ml)を加え、不溶物を濾過により除去した。濾液を減圧濃縮して得たシリルエノールエーテルと(3S,4R)−3−[(1R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−アセトキシアゼチジン−2−オン(2.39g,8.33mmol)の乾燥アセトニトリル(40ml)溶液に室温でヨウ化亜鉛(664mg,2.08mmol)を添加し、同温度で2時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、冷やした飽和重曹水を加えて抽出、食塩水洗浄、無水硫酸マグネシウム乾燥、減圧濃縮した。残渣をシリカゲル(75g)カラムクロマトグラフィー精製(溶出溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)し、(3S,4R)−3−[(1R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[3−アリルオキシカルボニル−2−オキソ−3−ジアゾプロピル]アゼチジン−2−オン(2.445g,62%)を得た。
H NMR (400MHz, CDCl):δ = 0.067 (3H,s), 0.070 (3H,s), 0.87 (9H,s), 1.21 (3H,d,J=6.3Hz), 2.87 (1H,dd,J=2.2Hzと4.7Hz), 2.95−3.05 (1H,m), 3.35−3.45 (1H,m), 4.00−4.06 (1H,m), 4.71−4.77 (2H,m), 5.29−5.41 (2H,m), 5.88−6.03 (2H,m).
IR(ATR): 2135, 1757, 1716, 1651 cm−1
【0038】
参考例8
(3S,4R)−3−[(1R)−ヒドロキシエチル]−4−[3−アリルオキシカルボニル−2−オキソ−3−ジアゾプロピル]アゼチジン−2−オン
【化28】
Figure 2004107288
(3S,4R)−3−[(1R)−tert−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[3−アリルオキシカルボニル−2−オキソ−3−ジアゾプロピル]アゼチジン−2−オン(0.791g,2mmol)のTHF(8ml)溶液を氷冷下攪拌しながら酢酸(1.20g,20mmol)、1M フッ化テトラブチルアンモニウム/ THF(7ml)の順に滴下した。室温まで昇温して3日間静置した後、反応液を氷水にあけて酢酸エチル抽出、冷飽和重曹水洗浄、食塩水洗浄(2回)、無水硫酸マグネシウム乾燥、減圧濃縮した。残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)精製し、(3S,4R)−3−[(1R)−ヒドロキシエチル]−4−[3−アリルオキシカルボニル−2−オキソ−3−ジアゾプロピル]アゼチジン−2−オン(0.409g,73%)を得た。
H NMR (400MHz, CDCl):δ = 1.33 (3H,d,J=6.3Hz), 2.90 (1H,dd,J=2.2Hzと7.3Hz), 3.17−3.37 (2H,m), 3.98 (1H,dt,J=2.1Hzと6.7Hz), 4.13−4.23 (1H,m), 4.71−4.78 (2H,m), 5.88−6.00 (1H,m), 6.04 (1H,br.s).
IR(ATR): 3352 (br.), 2139, 1740(sh.), 1716, 1647 cm−1
【0039】
参考例9
(3S,4R)−3−[(1R)−アリルオキシカルボニルオキシエチル]−4−[3−アリルオキシカルボニル−2−オキソ−3−ジアゾプロピル]アゼチジン−2−オン
【化29】
Figure 2004107288
(3S,4R)−3−[(1R)−ヒドロキシエチル]−4−[3−アリルオキシカルボニル−2−オキソ−3−ジアゾプロピル]アゼチジン−2−オン(56mg,0.2mmol)と4−ジメチルアミノピリジン(54mg,0.44mmol)に塩化メチレン(0.5ml)を加え、氷冷下攪拌しながらクロロギ酸アリル(48mg,0.4mmol)の塩化メチレン(0.3ml)溶液を添加した。徐々に室温まで昇温しながら2.5時間攪拌した後、反応液を氷水にあけて酢酸エチル抽出(2回)、水洗(2回)、無水硫酸マグネシウム乾燥、減圧濃縮した。残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)精製し、(3S,4R)−3−[(1R)−アリルオキシカルボニルオキシエチル]−4−[3−アリルオキシカルボニル−2−オキソ−3−ジアゾプロピル]アゼチジン−2−オン(34.6mg,47%)を得た。
H NMR (400MHz, CDCl):δ = 1.44 (3H,d,J=6.3Hz), 2.95−3.11 (2H,m), 3.35−3.48 (1H,m), 3.95−4.05 (1H,m), 4.53−4.69 (2H,m), 4.69−4.81 (2H,m), 5.03−5.17 (1H,m), 5.22−5.45 (4H,m), 5.86−6.02 (2H,m), 6.16 (1H,br.s).
IR(ATR): 2139, 1741, 1713, 1647 cm−1
【0040】
参考例10
アリル(5R,6S)−6−(1−{[(アリルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル)−3,7−ジオキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレート
【化30】
Figure 2004107288
(3s,4R)−3−[(1R)−アリルオキシカルボニルオキシエチル]−4−[3−アリルオキシカルボニル−2−オキソ−3−ジアゾプロピル]畔地ジン−2−オンから公知の方法(例えば、Tetrahedron Letters, 21巻, 31−34頁 (1980年)に記載の方法)によってアリル (5R,6S)−6−(1−{[(アリルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル)−3,7−ジオキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレートを得た。このものは精製することなく更なる工程に用いた。
【0041】
参考例11
アリル(5R,6S)−6−(1−{[(アリルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル)3−ヒドロキシ−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレート
【化31】
Figure 2004107288
参考例5と同様にしてアリル (5R,6S)−6−(1−{[(アリルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル)−3,7−ジオキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレートからアリル (5R,6S)−6−(1−{[(アリルオキシ)カルボニル]オキシ}エチル)−3−ヒドロキシ−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−2−カルボキシレートを得た。このものは精製することなく更なる工程に用いた。
【発明の効果】
本発明によれば、式(II)で表わされるα,β−不飽和カルボン酸エステルを高選択率、高収率で製造することができる。

Claims (7)

  1. 式:
    Figure 2004107288
    (式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子または置換されていてもよい低級アルキル基を、Rはエステル残基を、Rは有機基を、XおよびYは同一または異なって、CHまたは窒素原子を、RおよびRは同一または異なって、水素原子、置換されていてもよい低級アルキル基、またはXあるいはYが窒素原子である場合のアミノ基の保護基を表すか、あるいはR、R、XおよびYが一緒になって置換基を有していてもよい4〜7員の環状構造を表す。)
    で表される五員環化合物をルイス酸とルイス塩基で処理することを特徴とする
    式:
    Figure 2004107288
    (式中、R、R、R、R、X、Y、RおよびRは前掲に同じ。)
    で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステルの製造法。
  2. 式:
    Figure 2004107288
    (式中、Rは水酸基の保護基を、R、R、RおよびRは前掲に同じ。)
    で表されるβ−ラクタム化合物をルイス酸とルイス塩基で処理することを特徴とする
    式:
    Figure 2004107288
    (式中、R、R、R、RおよびRは前掲に同じ。)
    で表されるカルバペネム化合物の製造法。
  3. ルイス酸がアルミニウム、スズ、ジルコニウム、マグネシウム、ホウ素、チタン、亜鉛、ケイ素、鉄、ゲルマニウム、アンチモン、ハフニウム、ビスマス、スカンジウム、イットリビウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、サマリウム、セリウム、バナジウムまたはタングステンを中心元素とする塩化物、臭化物、ヨウ化物、低級アルキル化物または錯体である請求項1〜2に記載の製造法。
  4. ルイス酸がアルミニウム、スズ、ジルコニウム、マグネシウム、ホウ素、チタン、亜鉛、ケイ素またはスズを中心元素とする塩化物、臭化物、ヨウ化物、低級アルキル化物または錯体である請求項1〜2に記載の製造法。
  5. ルイス酸がチタン、ジルコニウムまたはアルミニウムを中心元素とする塩化物、臭化物、ヨウ化物、低級アルキル化物または錯体である請求項1〜2に記載の製造法。
  6. ルイス酸がチタンを中心元素とする塩化物、臭化物、ヨウ化物、低級アルキル化物または錯体である請求項1〜2に記載の製造法。
  7. ルイス塩基が有機アミン化合物である請求項1〜6に記載の製造法。
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